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7.応力緩和特性
EP事業部 ■東京EP営業部:Tel. 03-3278-9905 Fax. 03-3278-1844 ■大阪EP営業部:Tel. 06-6252-9533 Fax. 06-6252-8762 ■名古屋EP営業部:Tel. 052-951-0703 Fax. 052-961-4035 DIC.PPS Technical information TSD-1005 Apr.,2008 応力緩和 PPS の組成が異なる場合、PPS ポリマ-比率が低い程、耐緩 和、耐クリ-プに優れる。また、架橋型 PPS とリニア-PPS の比較で は架橋型 PPS の方が耐緩和、耐クリ-プに優れる 緩和やクリ-プが問題になるのは高温度域であり、エンプラでは Tg の高いものの方が一般的に優れる。ちなみに汎用エンプラの PBT、ナイロン 66、PPS の Tg はそれぞれ 30、60、90℃である。 以下の Fig.1-4 は、厚さ 3mm の試験片を用い、初期圧縮応 力;30MPa をかけた場合のショ-トタ-ム(Short term)応力緩和デ-タ である。 この試験結果から以下のことが言える。まず PPS、 PBT、ナイロンの比較では PPS が最も応力緩和が少ない。 ナイロン は、80℃以下では最も緩和が大きいが 120℃以上では PBT と 似たレベルである。 これは、100℃以下ではナイロン中に含ま れる吸湿量の影響が大きいのに対し 100℃以上では吸湿が極 端に低い為と考えられる。 また、2 種類の組成の PPS の比較ではポリマ-比率の低い FZ-3600、FZ-6600 の方が緩和特性に優れる。架橋とリニア-PPS の比較では架橋型の FZ-1140 の方がリニア-型の FZ-2140 より 緩和が優れるのに対し、ポリマ-比率の低いフィラ-タイプではポリマ ーの差は少ない。 Compressive stress, MPa 28 27 FZ-1140, FZ-2140 FZ-3600, FZ-6600 PBT GF30 Nylon66 GF30 26 0 300 600 900 Time, sec. Fig.1 Short term stress relaxation at 23℃ 1200 30 Compressive stress, MPa ・ガラス繊維の配向;配向が強いほど耐緩和、クリ-プに優れる。 即ち、流動方向>>直角方向>厚み方向の順に優れる。 ・結晶性;結晶化度が低ければ耐緩和、クリ-プに劣る。従って 結晶化を完全にし、耐緩和、クリ-プを確保する為にも 120~ 130℃以上の金型温度が必要である。場合によってはアニル処理も効果が有る。 ・環境;温度が高い程また初期荷重や変位が大きい程、耐 緩和、耐クリ-プに劣る。 29 25 28 26 24 FZ-1140 FZ-3600 PBT GF30 22 20 0 FZ-2140 FZ-6600 Nylon66 300 600 900 Time, sec. Fig.2 Short term stress relaxation at 80℃ 1200 30 Compressive stress, MPa 現実にはクリ-プと判断できる場合も多いが緩和現象も少なく ない。 例えば成型品を、ネジで締め付けた後にネジが緩んで くるのは緩和である。応力緩和やクリ-プ変形は、PPS 材料の組 成が一定の時、以下の傾向がある。 30 28 26 24 FZ-1140 FZ-3600 PBT GF30 22 20 0 FZ-2140 FZ-6600 Nylon66 300 600 900 Time, sec. Fig.3 Short term stress relaxation at 120℃ 1200 30 Compressive stress, MPa 物体に荷重をかけた状態で放置しておくと時間経過と共に変 形が大きくなり極端な場合、破壊に至る。これをクリ-プと言う。 逆にある一定の変形を与えると時間経過と共に一定変形を維 持するための荷重が徐々に減少する。これを応力緩和と言う。 いずれの現象もその材料に固有の粘弾性に依って引き起こさ れるものであり、以下の Hook の法則に似た数式で表現するこ とが出来る。 応力緩和;σ(t)=εE(t)・・・・・・・・・・(1) クリ-プ;ε(t)=σ/E(t)・・・・・・・・・・(2) ここで、σは応力、εはひずみ、Eは弾性率、(t)は、時間 t の関 数であることを示す。特に(1)式、(2)式の E(t)をそれぞれ緩和弾 性率、クリ-プ弾性率と言う。 28 26 24 FZ-1140 FZ-3600 PBT GF30 22 20 0 300 FZ-2140 FZ-6600 Nylon66 600 900 Time, sec. Fig.4 Short term stress relaxation at 160℃ 1200 ★製品のご使用に際しては必ず MSDS(製品安全データシート)を、お読み下さい。本資料は、現 時点で信頼し得ると考えられる資料、情報並びに測定データなどに基づいて作成したものです。 なお、本資料の値は、材料の代表的な測定値であり、材料規格ではありません。