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401 自著「ノスタルジア鈴鹿の山」
437 蛇マムシ 山で出会う動物の中で一番いやな奴は蛇とマムシである。 とくにあの蛇腹を見ると身体中に寒気が走る。幼少のころ鈴鹿野登山の山麓に住んでいたとき、 古老の話で「山で若夫婦が腰を下ろした大木が動きだした。よく見ると大蛇だった」 。 「大人しくしないと山の鈴ヶ池の大蛇に食われるぞ!」、悪戯する子供に躾話をしていた。 半分はウソと思っていたが、のちにこの池から本当に3mを越す青大将が発見され、伝承は本 当だった。小学校5年のころ雨引山山麓を水源とする椋川を遡行した。水車小屋に流れ込む水 流付近の木の枝をみると何かが動く。じっと見つめるとこれも3mもあろうかという蛇。私た ち悪ガキも「うワッ!」絶叫して一散に逃げ帰った。 小学校6年のとき学校登山で仙ヶ岳に登った。そのとき級友の1人がマムシに咬まれた。 大騒ぎになって急いで下山し医者に運びこんだ。幸い少し足が腫れた程度で済んだが、血清が ない時代であり下手すると生命を失うところだった。 ふわくに入会して最初の夏山山行が霊仙山。7合目に登る岩場でMさんが岩に手をつくと生 暖かい感触がする。ふっと見るとマムシである。皆も驚いて石を投げて追払ったが、帰りに同 じ道を下ったとき、同じ岩場の同じ岩の上に同じ奴がいて、皆も声を出して逃げた。 水晶岳とハト峰の中間あたり、愛知川支流の下水晶谷を下ったとき、大蛇が枝にからみつい ている。頭は小さいのに胴体がやたら太い、どうやら小動物を丸呑みしているようだ。 道の真上なのでこのままでは怖くて通れない。 枯れ枝でヤツを突っついてみても少しも動か ない。だんだんふわくパーテイ全体が恐怖にかられ出した。 「今日はもう止めよう」 CLの決断で朝明渓谷に引き返したのであった。 ある夏のこと、大阪のペットショップが禁止のコブラを内密に輸入した。ところが扱いに 困ってしまい、10匹ほどを御池岳の鞍掛峠付近のヤブに捨てた。それが警察にバレたのだが、 警察と地元は驚き大急ぎで登山道を閉鎖し登山禁止に。そしてコブラを探しまわったが 1匹も発見できなかった。 冬も近くになったのでもうコブラも生きていないだろう。警察は 結論を出し登山路の閉鎖を解いたのである。 ふわく山の会山行でマムシに咬まれたのは女性のYさん。 南鈴鹿の臼杵岳に付き上がる沢 登りをしていたとき、スパッツの上から足を咬まれた。そのときは“チクッ”としただけなの で、気にせずに遡行したが、休憩して立ち上がろうとしても動けない。 見ると足が凄く腫れ あがっている。患部を布でキツく縛りあげ、大急ぎで皆が下ろし生命に別状はなかった。だが 足の腫れが引き青アザが消えるまで半年もかかったのである。