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A ポ イ ン ト 2 復興特別所得税に対する実務対応 1 復興特別法人税
No.49 株式会社 ムトウ コンサルティング事業部 札幌市北区北11条西4丁目1番地 電話〔直通〕011-728-6114 http://www.wism-mutoh.co.jp/department/consulting 平成25年6月 Q1 A 1 今年から復興特別法人税及び復興特別所得税が課税されるとのことですが、医療法人 の実務上の取扱い、留意すべき点などを教えてください。 ポ イ ン ト 復興特別法人税は法人税額の10%を平成24年4月以降の開始事業年度から3年間、復興 特別所得税は所得税額の2. 1%を平成25年1月から25年間それぞれ課税されます。 医療法人が受け取る利子、配当等に係る所得税の源泉徴収は復興特別所得税が併せて徴 収され、確定申告において税額控除の対象になりますが、源泉徴収された復興特別所得税 は復興特別法人税から税額控除され、法人税から控除することはできません。 復興特別法人税は、通常の法人税申告書とは別の新 たに設けられた申告書により申告し、納付も通常の法 人税の納付とは別の納付書により納付することになり ます。 ③上記復興特別法人税の金額を記載した申告書を提出 した法人は、その申告書の提出期限までに、復興特別 法人税を国に納付しなければなりません。 復興特別法人税、復興特別所得税の概要 (1)復興特別法人税、復興特別所得税の創設 平成23年12月2日に公布された「東日本大震災か らの復興のための施策を実施するために必要な財源の 確保に関する特別措置法により、復興特別法人税及び 復興特別所得税が創設されましたが、その骨子は次の 通りです。 税 率 適 用 期 間 3年間(平成24年4月1日から 復興特別法人税 基準法人税額 平成27年3月31日までの間に ×10% 開始する事業年度) 復興特別所得税 25年間(平成25年1月1日から 基準所得税額 平成49年12月31日までの25 ×2. 1% 年間) (注)基準法人税額とは、各事業年度の所得に対する法人税 の額ですが、所得税額控除、外国税額控除などを適用 しないで計算した法人税の額で附帯税の額を除きます。 (2)復興特別所得税の復興特別法人税からの控除、 申告及び納付 ①法人が各事業年度において課される復興特別所得税 の額は、その課税事業年度の復興特別法人税の額から 控除します。なお、復興特別法人税の3年の課税期間 を経過した後は、源泉徴収された復興特別所得税の額 は還付されます。 ②法人は、原則として各課税事業年度終了の日の翌日 から2ヵ月以内に、所轄税務署長に対して、次に掲げ る事項その他の事項を記載した復興特別法人税申告書 を提出しなければなりません。 ただし、課税標準法人税額がない場合には、申告書 を提出することを要しません。 1.その課税事業年度の課税標準法人税額 2.課税標準法人税額につき計算した復興特別法人税の額 3.控除をされるべき復興特別所得税の額で復興特別法人税 の額の計算上控除しきれなかった金額(還付されるべき金額) 課税標準法人税額がゼロの場合及び3年間の課税期 間の終了後に課税された復興特別所得税は、復興特別 法人税申告書の提出により源泉徴収された復興特別所 得税の還付が可能になります。 2 復興特別所得税に対する実務対応 (1)医療法人の申告における復興特別所得税の税額 控除の取扱い 法人が受け取る利子、配当等に係る所得税の源泉徴 収については、平成25年1月1以後に支払を受けるべ きものは、所得税のほかに復興特別所得税が併せて徴 収されます。 この源泉徴収された所得税及び復興特別所得税は、 法人の確定申告書において税額控除の対象になります が、ここで注意しなければならないことは、源泉徴収 された復興特別所得税は復興特別法人税から税額控除 されるという点です(復興特別所得税の額を法人税の 額から控除することはできません)。平成25年1月決 算法人から順次、その実務対応が必要となっています。 税額控除の 法人税の額 −源泉徴収された所得税の額 対応関係 復興特別法人税の額−源泉徴収された復興特別所得税の額 ここで、税額控除を受けるべき金額の計算の基礎と なる復興特別所得税の額は、源泉徴収された「所得税 及び復興特別所得税の額」に2. 1/102. 1を乗じて計 算した金額となります。 (2)所得税額と復興特別所得税額の配分方法 医療法人が所得税の税額控除並びに復興特別所得税 の税額控除を適用する場合、支払いを受けた医療法人 側で源泉徴収税額を、所得税額と復興特別所得税額に 配分する処理を行う必要があります。 まず「源泉徴収税額×2. 1/102. 1」で復興特別所 得税の額を求め、次に「源泉徴収税額−復興特別所得 税額」で所得税額を算出します。求めた復興特別所得 税額の1円未満の端数処理については、50銭超は切上 げ、50銭以下は切捨てます。この処理は、支払いを No.49 医療税務つうしん 受けるごとに配分するのが原則ですが、別表6(1) (3)給与所得に係る復興特別所得税の源泉徴収の の欄の分類により期末に一括して配分処理を行う簡便 取扱い 法も可能です。 平成25年1月1日以後に支払う給与等から、源泉徴 収すべき所得税および復興特別所得税の合計額が記載 別表6(1)の欄の分類 原 則 簡 便 法 されている「源泉徴収税額表」を用いることになります。 預貯金の利子および 支払い 期末一括 合同運用信託の収益の分配 を受け そして、年末調整も、所得税および復興特別所得税の るごと 公社債の利子等 合計額により行うことになり、年調年税額(年末調整 銘柄ごと期末一括 剰余金の配当、利益の配当 による年税額(復興特別所得税を含む))は、算出所得 (所有期間按分計算の および剰余金の分配 税額から住宅借入金等特別控除額を控除した後の税額 簡便法の場合) 集団投資信託の収益の分配 に対して102. 1%を乗じた金額(100円未満切捨て) その他 − となります。 Q2 A 1 平成25年度の税制改正で社会保険診療報酬の所得計算の特例制度について、見直しが あったそうですが、どのように変わったのでしょうか。 ポ イ ン ト 平成25年度の税制改正で、社会保険診療報酬の所得計算の特例について、制度は存続さ れるものの医業及び歯科医業に係る収入金額が7, 000万円を超える者を適用対象から除 外する措置が講じられました。この改正は、個人は平成26年分以後の所得税から、法人 は平成25年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。 る。」と指摘されました。 社会保険診療報酬の所得計算の特例 (1)改正前の社会保険診療報酬の所得計算の特例の 概要 医業又は歯科医業を営む個人及び医療法人が、年間 の社会保険診療報酬が5, 000万円以下であるときは、 その社会保険診療に係る実際経費にかかわらず、その 社会保険診療報酬を4段階の階層に区分し、各階層の 金額に次の割合を乗じた金額の合計額を社会保険診療 に係る経費とすることができる特別措置が講じられて いました。 社会保険診療報酬の金額 概算経費率 2, 500万円以下 72% 2, 500万円超 3, 000万円以下 70% 3, 000万円超 4, 000万円以下 62% 4, 000万円超 5, 000万円以下 57% (2)改正に至る経緯(会計検査院の意見表示と厚生 労働省の実態調査) ②厚生労働省の実態調査 ―― これを受けて、日本医師 会と日本歯科医師会で平成24年6∼8月に個人立診 療所を対象にアンケートを実施した結果、次のような 実態が明らかにされました。 ①保険診療収入5, 000万円以下の診療所のうち、 42. 5%が 4段階制を適用している ②医師では70歳以上、歯科医師では60∼69歳で4段階制 の適用が多い ③4段階制適用のうち、総収入5, 000万円以下は75. 3% (医科) ④4段階制適用のうち、自由診療割合は全体平均では1 割であるが、総収入が7, 000万円∼8, 000万円の層では 40%を超えている(医科) ⑤段階制廃止により、全体の約40%が「事業継続ができ なくなる恐れあり」と回答している この結果を踏まえ厚生労働省は、 「4段階制が小規 模医療機関の事務処理負担の軽減を図る制度として有 効に機能しており、維持することが適当」と判断、他方、 多額な自由診療を得ている医療機関については、小規 模とはいえないことなどから「自由診療収入も含めた 収入額が一定額以上の者を適用対象から除外する」見 直しを行うこととなったものです。 ①会計検査院の意見表示 ―― 平成23年10月会計検査 院から、 「多額の自由診療収入があっても社会保険診 療報酬の金額が5, 000万円以下であることにより特例 を適用していたり、特例の概算経費率と実際経費率に (3) 平成25年度税制改正 開差があることにより多額な措置法差額が生じていた 今回の改正で、 「社会保険診療報酬の所得計算の特 り、特例適用者のほとんどが実際経費を計算した上で、 例について、その年の医業及び歯科医業に係る収入金 概算経費と比較して有利な方を選択していたりする事 額が7, 000万円を超える者を適用対象から除外する」 態が見受けられたことを踏まえ、財務省及び厚生労働 こととされました。この結果、その年の社会保険診療 省において、特例が有効かつ公平に機能しているかの 報酬、自由診療報酬、その他収入の合計金額が7, 000 検証を行い、特例について、その目的に沿ったより適 万円超となる個人・法人は、社会保険診療報酬に関し 切なものとするための措置を講ずるよう意見を表示す ても、実額経費による所得計算を行うことになります。 2 改正前後の適用例 医院の収入金額が下記の状況の場合、改正に よって医師課税の特例の適用はどうなりますか。 社会保険診療報酬の収入金額 (社保・国保収入) 4, 800万円 自由診療の収入金額 (自費・その他収入) 2, 500万円 お問い合せは 改正前 要件 ― 社会保険診療報酬の収入金額が年間5, 000万円以下 (社保・国保収入)4, 800万円 ≦ 5, 000万円 よって措置法26の適用あり。 改正後 1.社会保険診療報酬基準 要件 ― 社会保険診療報酬の収入金額が年間5, 000万円以下 (社保・国保収入)4, 800万円 ≦ 5, 000万円 2.収入基準(社保・国保収入 + 自費・その他収入) 要件 ― 収入金額が年間7, 000万円以下 (社保・国保収入)4, 800万円 +(自費・その他収入)2, 500万円 = 7, 300万円 > 7, 000万円 よって措置法26の適用なし。 ムトウ コンサルティング事業部 税理士・宮下へ 電話〔直通〕011-728-6114 接遇などの教育・研修や病院機能評価の情報等はこちらに http://www.wism-mutoh.co.jp/department/consulting