...

医療税務つうしん No.38

by user

on
Category: Documents
66

views

Report

Comments

Transcript

医療税務つうしん No.38
No.38
株式会社
ムトウ コンサルティング事業部
札幌市北区北11条西4丁目1番地 電話〔直通〕011-728-6114
http://www.wism-mutoh.co.jp/02/02-05-consult-index.html
平成23年8月
Q1
A
1
大学病院の勤務医ですが、近い将来開業しようと考えております。個人開業医と
なるとどのような税金がかかりますか。
ポ
イ
ン
ト
開業のため土地を取得して診療所を建てますと、登録免許税、印紙税、不動産取得税がか
かります。それらは必要経費に算入できるものですが、開業前に支払うことになる登録免許
税等については固定資産の取得価額に含めるか又は開業費とするかになります。
開業後には毎年所得や事業に対して所得税、住民税や事業税が、所有している土地、建物
には固定資産税及び都市計画税が医療機器等には償却資産税がかかります。
額を計算します。不動産取得税の納税時期は、土地につ
いては所有権移転しておよそ4∼6ヵ月後、新築建物につい
ては評価があるため、翌年7∼9月頃になります。
例えば、
購入した開業用地の固定資産税評価額が2,
000
万円、建設した診療所建物の固定産税評価額が3,
000万
円である場合の不動産取得税は、土地2,
000万円×1/2
×3%=30万円、
建物3,
000万円×4%=120万円となります。
開業時に財産の取得等にかかる税金
(1)登録免許税
不動産を取得して登記する際登録免許税が課税されま
すが、
その課税標準額は、市町村の固定資産課税台帳に
登録された土地又は建物の価額です。ただし、新築建物に
ついては固定資産課税台帳に価格が登録されていません
ので、各法務局で居宅、事務所、病院等の建物の種類ごと
開業してから毎年、
に定められた「新築建物価格認定基準表」によります。そ
所得、事業や所有財産にかかる税金
の課税標準額に対して、所有権の保存登記の場合1,
000
分の4、売買による所有権の移転登記の場合1,
000分の20
(1)所得税
(土地の売買については軽減特例で平成24年3月31日ま
開業医になりますと医業に係る事業所得を計算して、毎
では、
1,
000分の13、平成24年4月1日から25年3月31日ま
年所轄税務署長に対して3月15日までに確定申告を行い
では、
1,
000分の15)の税率により登録免許税が課されます。
納税する必要があります。
例えば、固定資産税評価額2,
000万円の土地を購入し
総収入金額 − 必要経費 = 事業所得の金額
て所有権の移転登記をし、新築建物課税標準価格認定基
総収入金額とは保険診療収入及び自由診療収入等を
準表価額3,
000万円の診療所建物の保存登記をした場合
いい、必要経費とは、給与費、薬品材料費、委託費などの
の登録免許税は、
医業費用をいいます。事業所得は、
その年の1月1日
(又は
土地の所有権の移転登記2,
000万円×13/1,
000=26
開業した日)から12月31日までを一つの期間として、
この期
万円 建物の保存登記3,
000万円×4/1,
000=12万円と
間ごとに計算します。
なります。
所得税の納期限は3月15日ですが、振替納税を選択す
なお、金融機関からの借り入れに抵当権を設定しますと、
ると4月20日となります。
さらに、前年の所得税額から源泉徴
債権金額を課税標準として1,
000分の4の税率により登録
収税額を控除した年税額(予定納税基準額)が15万円以
免許税が課税されます。
上である場合には、原則として7月と11月に、年税額の3分
(2)印紙税
の1の金額を予定納税として納付します。
土地売買契約書や建物建築請負契約書、金銭消費貸
住民税
借契約書には記載された契約金額を課税標準として金額 (2)
道府県民税と市町村民税を併せて住民税と呼び、税額
段階に応じた印紙税額がかかります。
「不動産の譲渡に関
は均等割と所得割から計算されますが、基本的に確定申告
する契約書」及び「建設工事の請負に関する契約書」で
で住民税の申告も行っていることになりますので、別途申告
契約金額が1千万円を超えるものには軽減措置があります。
する必要はありません。住民税は前年の所得に対して課税
例えば、
土地売買契約3,
500万円で軽減税率1万5千円、
しますので、納付のタイミングは1年ずれます。通常、
6月ごろ
診療所建築工事請負契約6,
000万円で軽減税率4万5千円、
に納税通知書が送付され、
6月、
8月、
10月、翌年1月の4回
金銭消費貸借契約8,
000万円で税率6万円かかります。
に分けて納付します。また、
6月に1年分を一括で納付する
(3)不動産取得税
ことも可能です。
不動産取得税は、土地や家屋を取得した場合に都道府
個人事業税
県によって課される税金で、課税標準は市町村の固定資 (3)
個人事業税は、社会保険診療から生じる所得には課税
産課税台帳に登録されている価額によります。なお、宅地
されません。
また、事業主控除が290万円認められています
評価土地については、課税標準を価格の2分の1の額とす
ので、
自由診療からの収入が290万円を超えない限り、個
る特例措置があります。
人事業税は課税されないことになります。個人事業税の納
不動産取得税の標準税率は4%ですが、住宅及び土地
については特例により課税標準に3%の税率を掛けて税
付は、
8月、
11月にそれぞれ半額ずつとなります。
2
No.38
医療税務つうしん
(4)消費税
償却資産を除く)の事業用固定資産(構築物、機械及び装
置、器具備品)の評価額の合計額が150万円(免税点)以
上の場合、
その評価額の合計額に対して課されます。償却
資産税の課税標準となる償却資産の評価額は、取得価額
に減価残存率を乗じて計算します。償却資産税については、
毎年1月に申告書を提出し、
その申告書を基に市町村が賦
課決定をして、
4月に納税者に納税通知書が送付されます。
土地、建物の課税標準は、国が定めた「固定資産評価基
準」に基づいて市町村が決定した価額で、標準税率は1.
4
%となっています(ただし土地には、税負担の調整措置があ
ります)。
1月1日に所在する固定資産に対して、
その年分の
税金が課税されますので、新たに所有した固定資産につい
ては翌年から課税され、
納期は、
自治体によって異なりますが、
札幌市の場合、
4月、
7月、
9月及び翌年1月です。都市計画
税は、都市計画区域にある土地、建物の所有者に対し、固
定資産税評価額を課税標準として0.3%課税されます。
なお、個人事業税と固定資産税、税込経理の消費税は、
医業所得に関する必要経費となります。
開業医も事業者であるため原則的には消費税の納税義
務がありますが、小規模事業者の場合消費税を納税しな
い免税事業者の制度があります。免税事業者とは、基準期
間である2年前の課税売上高が1,
000万円以下の場合で
すので、
開業初年度及び2年度は納税義務がありません
(た
だし、課税事業者を選択することもできます)。
3年目以降に
課税事業者となった場合には、消費税の申告期限と納付
日は3月31日で、所得税の確定申告と納付期限より半月ほ
ど遅いので注意が必要です。振替納税を選択した場合には、
通常4月27日となります。
また、前年の地方消費税を含む消
費税額が60万円を超える場合には、原則として中間申告・
納付が必要となります。
(5)固定資産税及び都市計画税
固定資産税は、毎年1月1日現在の土地、建物及び医療
機器等の償却資産の所有者に対し、
その評価額を課税標
準として固定資産の所在する市町村が課税します(自動
車を除く)。償却資産税は、取得価額が10万円以上(一括
Q2
A
1
医療法人が都道府県への事業税申告書に添付する「医療法人等の所得金額計算書
(所得配分方式)」の作成の仕方、留意点を教えてください。
ポ
イ
ン
ト
医療法人等の所得金額計算書作成のポイントは、決算書の医業収益、
その他の医業外収益
を社会保険収入、
自由診療収入、医療附随事業収入とそれ以外に正確に区分することです。
消費税等の経理処理が税込経理方式の場合は、自由診療収入や医療附随事業収入に含
まれる消費税等を控除しないとあん分率が狂ってしまいますので注意が必要です。
による収入と自由診療収入に分ける。
②決算書のその他の医業外収益を医療附随事業収入と
医療事業の収入金額に含めない収入金額に分け、①に
医療附随事業収入を加えて医療事業の収入金額を固
める。
③消費税の経理処理が税込経理方式の場合は、
自由診
療収入や医療附随事業収入に係る消費税及び地方消
費税を控除して計上する。
特に③を漏らすことのないよう留意しましょう。
医療法人等の所得金額計算書について
(1)医療法人に課税される事業税の概要
事業税は都道府県 特別法人の事業税の標準税率
税ですが、医 療 法 人
年400万円以下の所得 2.
7%
については事業税の
年400万円超の所得 3.
6%
課税上特別法人とさ
れ、税率は右表の通り 地方法人特別税 事業税額×81%
2段階の優遇措置がとられています。
さらに、前年度の確定
申告による事業税額の多寡に関係なく、事業税の予定申
告又は中間申告は不要で、出資額が1億円を超えても外形
標準課税の対象とはなりません。
また、消費税と同様、社会政策的見地から社会保険診
療等は非課税となっていますが、非課税となる区分が下記
のとおり若干異なりますので注意が必要です。
収 入 科 目 消費税 事業税
労働者災害補償保険法診療収入 非課税 自動車損害賠償補償法診療収入 非課税 役員への社宅・寮使用料収入 非課税 不在者投票手数料 不課税 受取利息 非課税 受取配当金 不課税 還付加算金 不課税 有価証券の売却 非課税 課税
課税
課税
課税
課税
課税
課税
課税
(2)「医療法人等の所得金額計算書(所得配分方
式)」作成上の留意点
所得配分方式とは、事業税計算上、医療事業に係る所
得を社会保険診療の収入金額とそれ以外の医療事業に
係る収入金額で按分して、社会保険診療に係る所得を算
定する方法です。医療事業に係る所得から社会保険診療
に係る所得を控除したものが事業税の課税所得金額です。
留意点
①決算書の医業収益をもとに健康保険法、介護保険法等
お問い合せは
2
医療事業の収入金額になるものと含めないもの
医療事業の収入金額になるもの、含めないものの主なものを
ピックアップすると次のようになります。
医療事業の収入金額の明細書
社会保険診療収入 健康保険法、国民健康保険法、高齢者の
医療の確保に関する法律、国家公務員(地方公務員)等共済
組合法、私立学校教職員共済法、介護保険法、生活保護法
自由診療収入 自費診療収入、健康診断・特定検診・予防注
射受託収入、健康診断等証明収入、入院代・ベッド代差額収
入、受託技工・検査料等収入、診断書・介護意見書等のその
他の医業収入、労災補償保険法診療収入、自動車損害賠償補
償法診療収入、介護施設個室、テレビ・冷蔵庫使用料、介護
交通費、福祉用具貸与、訪問介護、介護予防訪問介護等
医療附随事業収入 利子・配当等収入、事務取扱手数料、販
売手数料、電気・ガス等使用料収入、休日当番交付金、不用
品売却収入、役員の社宅・寮使用料収入、実習生謝金、予防
接種補助金・委託料、保険解約・満期返戻金、自動販売機収
入、還付加算金、その他の附随収入
医療事業の収入金額に含めない収入金額の明細書
従業員の社宅・寮等の使用料収入及び食事代収入、生命保険
金・損害保険金(事故当事者や遺族へ支払った金額)、還付
金等、国又は地方公共団体からの補助金・助成金、特定の補
助金・助成金、仕入れ割戻額、各種引当金・準備金戻入額、
企業年金払戻金
ムトウ コンサルティング事業部 税理士・宮下へ 電話〔直通〕011-728-6114
病院機能評価等の情報はこちらに
http://www.wism-mutoh.co.jp/02/02-05-consult-index.html
Fly UP