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早期着手と迅速再生を旨とする 新たな事業再生メカニズム
事業再生人材育成講座 早期着手と迅速再生を旨とする 新たな事業再生メカニズムの確立に向けて ∼日本の仕組みの組み直し∼ 講師 中村 廉平 商工中金組織金融部担当部長兼法務室長 産業構造審議会、法制審議会 各臨時委員 経済産業省早期事業再生研究会委員 経済産業省企業活力再生研究会委員 金融庁新しい中小企業金融の法務に関する研究会委員 Ⅰ これからの事業再生メカニズム 1 Ⅱ 「早期着手」の実現 9 Ⅲ 「迅速再生」の実現 57 Ⅳ おわりに 74 Ⅰ.これからの事業再生メカニズム [事業再生問題の本質] 2 1.不良債権・過剰債務・過剰供給の背景 3 2.メイン主導の事業再生メカニズム 対 株主主導の事業再生メカニズム 4 3.70年代までのメインバンク 5 4.80年代に銀行に生じたこと 6 5.メイン主導の事業再生メカニズムの崩壊 7 6.新たな事業再生メカニズム ∼「早期着手」と「迅速再生」∼ 8 1 事業再生問題の本質 • 銀行の問題ではない。 • 経営、銀行、株主(投資家)の問題である。 • 過去の成果と現状の評価から、将来の構 想を考える意味がある。 2 1.不良債権・過剰債務・過剰供給の背景 ∼事業再生メカニズムの不在∼ 不良債権額の推移 ・事業の変調への対応の遅れ :新規発生分 (兆円) 42.0 45 40 32.5 企業サイドの過剰債務構造 35 29.8 29.6 30.4 30 25 金融サイドの不良債権問題 20 15 産業レベルでの過剰供給構造 10 5 0 平成9年度 平成10年度 平成11年度 平成12年度 平成13年度 • 経営(企業)・株主・債権者の間のモニタリングの仕組み をねばり強く組み直すことが、こうした事態の未然防止に 不可欠。 3 2.メイン主導の事業再生メカニズム 対 株主主導の事業再生メカニズム • 70年代まで、わが国ではメイン主導の事業再生メカニ ズムが機能していた。経営危機時には銀行から経営陣が 派遣され、経営の再建が図られた。 • 経営(企業)サイドには銀行の関与を回避するため、早 期着手のインセンティブが働いた。 • 株価低迷をトリガーにした買収による経営交代が起こる 米国とは違うメカニズムである。 4 3.70年代までのメインバンク • メインバンク=貸出し+株式保有+役員派遣 宮地鐵工所(資本金360億円、従業員750人(1989年度末))における メインバンクのの位置づけ(1989年←1978年) ・貸出し額:35億円(総借入金の32% ← 34%) ・株式保有:総株数の5%(最大株主) ← 3.33%(5番目の株主) ・役員派遣:元銀行員1名(総取締役員数14人中) ← 1名 • メインバンク主導の内整理の事案(別紙) 5 4.80年代に銀行に生じたこと マクロ的な銀行離れ 銀行の顧客プールの劣化 1980年代の適債基準と上場数 東証上場の製造業企業の銀行借入/総負債比率 トヨタ、松下 Ⅰ 1 Ⅱ Ⅲ 1979 (1590) 0.9 FFO:175 0.8 LEO 銀行借入以外に資金調達手段のない企業 1985.7 (1691) 0.7 330 0.6 1987.7 (1769) 0.5 500 1989.3 (1847) 0.4 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 (年度) (資料)日本興業銀行『新銀行実務講座:8 証券』金融財政事情協会 東京証券取引所『証券統計年報 各年版』 (出所:青木昌彦『システムとしての日本企業』) (注)Ⅰ:無担保社債発行企業、Ⅱ:有担保社債発行企業、 Ⅲ:社債発行不可能企業 企業数は全国上場企業から、金融・保険を除いたもの 6 5.メイン主導の事業再生メカニズムの崩壊 ∼80年代のメイン離れ・90年代の資産デフレ∼ ・メイン離れ、資産デフ レにより、メイン主導 のメカニズムは機能不全 ・法的整理の活用には躊 躇する風潮 ○上場企業の倒産件数と事業再生メカニズムの変遷 ( 件 ) 3 0 ・メイン主導 の事業再生 ・法的整理は 必要なし 2 5 2 0 資産インフレが破綻 コストを吸収 事業価値 日 本 メイン主導 機能不全 債務超過 法的整理 手遅れ 時間 1 5 米 国 事業価値 1 0 再生着手 5 事業に変調 02 年 00 年 98 年 96 年 94 年 92 年 90 年 88 年 86 年 84 年 82 年 80 年 78 年 76 年 74 年 72 年 70 年 0 時間 ○日本型倒産の現状 ∼着手が遅く清算型が主∼ 【特殊な日本型倒産】 経営危機の発生(約2万件:2002年) 事業再生への着手の遅れ (債務超過等、手遅れの段階) 巨額の債務不履行 取引先への影響大 大幅な雇用削減 着手が遅れるほどに パニックは拡大 再建型(約千件) 清算型(約1万9千件) 会社更生法(60件) 私的整理(1万3千件) 民事再生法(900件) 破産・特別清算(6千件) 再建型5%:清算型95% 殆どが清算型であり経営資源は散逸 7 6.新たな事業再生メカニズム ∼「早期着手」と「迅速再生」∼ ○「早期着手」 PWCFAS 田作パートナー: 早期にやると有利です。選択肢がたくさんあるからです。合併・買収のほか、一部不採算部門を売って資金を売 るとか、丸ごと身売りして行った先で生き延びるとか、いろいろ考えられます。 ・キヤノン ・日産自動車 98年には、パソコン生産(01年 には販売も)と独自方式の液晶ディス プレー事業から撤退。 外資の提携先から、COOが就任し、人員削減、 主要工場の閉鎖、サプライヤーの半減等を内容とす る、再建計画を発表。 人員をデジタル複合機の開発等、新 しい事業分野に承継し、不採算部門か らの撤退に成功。 初年度には過去最高の赤字を計上したが、計画の 着実な遂行、提携先からの増資等により有利子負債 を削減、翌期には過去最高益を計上。 ○「迅速再生」 松嶋弁護士(倒産弁護士)「良い倒産 悪い倒産」: 良い倒産とは、①確実に再建の軌道に乗り、②取引先等の連鎖倒産を極力抑え、③より多くの従業員の雇用が確保され、 ④債務の弁済率が高く、⑤株主や経営者がきちんと責任をとり、⑥法的手続を早期に終了できる倒産。 ・ベンカン(継ぎ手メーカー) ・山田機械工業(自動結束機) 民事再生法により手続を開始したが、早期に事業 再生を図るため、破産に移行して営業譲渡を実行。 技術力には定評があり、早期に事業再建が行われた ため、多くの取引は継続された。 幹部職員が早い段階でオーナーを説得。事業価値 が劣化しないうちに会社更生法を活用。技術力も高 いことから再建の可能性は高く、販売網も維持され、 スポンサーの協力も得られた。 再生ファンド(MKS)が経営に関与し、コスト削 減等を行った結果、生産再開後1か月で黒字転換。 弁済率は非常に高く(約55%:平均値は約25%)、 連鎖倒産も防止、雇用も約8割が維持された。 8 Ⅱ.早期着手の実現 1.着手遅延はガバナンスの問題 11 (1)「早期着手」に向けた経営者、債権者、投資家の取組 (2)「早期着手」に向けた経営者、債権者、投資家の取組事例 (3)経営(企業)が主導する早期事業再生 (4)「決算短信」における早期事業再生関連指標群の採用 (5)早期事業再生関連指標群の有効性 2.なぜ銀行モデルが問題なのか 17 (1)企業パフォーマンスの分散が拡大 (2)日本企業は3つに分化 (3)新J型、A型、旧J型の概要 (4)委員会等設置会社に移行した(する)企業 (5)近年のガバナンス構造の多様化 (6)銀行の顧客プールの劣化 3.銀行モデルの方向 24 (1)従来型メインバンクシステム化の事業再生に代わる新たな早期事業再生メカニズム (2)コベナンツの具体例 (3)ノンバンク活用に向けた競争環境の整備 (4)キャッシュフロー融資を支える担保制度の整備 9 4.銀行モデルの進化は債権と株式を近づける 29 (1)投資家及び株主が主導する事業再生機能の充実 (2)ファンドの活動促進、事業再編促進のための制度整備 (3)リミテッドパートナーシップの構造 (4)産業活力再生特別措置法の商法特例 (5)改正産業再生法案件に関する「運用指針」の迅速審査類型 (6)リレーションシップバンキング 5.個人保証問題と銀行行動 36 (1)なぜ、着手が遅れるのか? (2)再生着手を遅延する行為への警鐘と個人保証問題の解決 6.閉鎖組織の再評価と銀行モデルの可能性 39 (1)−①・②人的資産の貢献 (2)−①・②・③人的資本の流出による損失の顕在化 (3)−①・②長期雇用を軸としたステークホルダーモデルの再評価 (3)−③コーポレートガバナンスに関する比較分析 (4)−①人的会社の割合比較(日・米・独) (4)−②人的会社の重要性 (5)閉鎖組織の再評価に向けた組織の多様化 (6)会社法の改革 7.早期再生の鳥瞰図 53 (1)制度改革の鳥瞰図 (2)これからの金融市場 (3)新しい日本経済システムのあり方に関する仮説 10 1.着手遅延はガバナンスの問題 • 経営の問題 • 銀行の問題 • 投資家の問題 11 (1)「早期着手」に向けた経営者、債権者、投資家の取組 債務超過状態 → ようやく再生に着手 事業(CF)の変調 → 自ら再生に着手 キャッシュフロー 経営(企業) 簡易には 「当期利益+減価償却費」で算出される 事業別CF経営への転換 ○現金の流れのことであり、会計上の 操作ができないので恣意性が無い ○事業別で捉えることでより有意な活 用が可能 開示慣行の定着 ガバナンス構造の競争 早期事業再生関連指標群 融資契約 早期事業再生 関連指標群 投資基準 金融機関 ローン市場 投資家及び株主 事業別CF着目型 融資への転換 競争の促進 担保制度の整備 ファンド、事業法人によるM&A の活性化 ローン市場の整備 ファンドの活動の活性化 事業法人によるM&Aの促進 事業別のCFに着目した先駆的な取組で共 通に活用されている指標群。 「負債とキャッシュフローの関係」:有利子負債比率 「利払いとキャッシュフローの関係」:インタレスト・カバレッジ・レシオ 「キャッシュフローの蓄積と負債の関係」:自己資本比率 【事業の状態を推定する上での留意事項】 ・定性要素(経営者の資質 等) ・中小企業の特性 (経営と所有の一体化 等) ・業種特性 ・絶対値よりも傾向が重要 実務で活用される主なキャッシュフロー ○「営業CF」:事業により生み出されるCFであり、プラスであることが大前提 ○「フリーCF」:自由に活用できるCFのことであり、営業CFから事業の継続に必要とされる投資を差し引いて算出 ○「EBITDA」:金利・税金支払、償却前利益でありCFを生み出す源泉。正確に企業の実力を示す指標として重視される 12 (2)「早期着手」に向けた経営者、債権者、投資家の取組事例 経営者(キャッシュフロー経営への取組) ○日立 庄山社長 (日経ビジネス2002.11/25) 従来は各事業グループに本社から売り上げ目標を落としていたが、今回からキャッシュフローベースの質を重視する考えに切 り替えた。もはや売上高が右肩上がりで伸びる時代ではない。売上規模の数字にはこだわらず、新規事業を柱に据えてあるべき 姿を考えろ、と指示を出した。 ○キヤノン 御手洗社長 (フォーブス2003.3、週刊ダイヤモンド2003.1/11) 借入金を返済して自己資本比率を上げるために2つのことを行ったのです。一つは、売上優先主義から利益優先主義への転換 です。もう一つは、キャッシュフローマネジメント、つまり現金の流れをつかみ、余剰資金を確保する経営手法の導入です。 キャッシュフロー経営、連結経営はクルマの両輪といってもいい。 銀行(新しい融資形態への取組) ○取引先の健全化 (日本経済新聞:2003年1/29) 4大銀行グループは取引先企業約4700社の経営健全化に乗り出す。過剰債務を抱えて経営不安に陥っている企業だけでな く、赤字に転落したものの金融支援を受けていない「要注意先」企業の再生に取り組む。経営再建の対象を広げ、不良債権の新 規発生を防ぐ。 ○協調融資(シンジケートローン)の活用 (読売新聞:2002年12/6) みずほコーポレート銀行は、企業の借換時期が到来した融資などについて、余剰資金を抱える地域金融機関や機関投資家に呼 びかけて、複数の金融機関で融資する協調融資に順次切り替え、企業の資金需要に応えながら資産の圧縮を図りたいとしている。 投資家(新しい主体の登場) ○企業再生ファンドの動向 (「買収ファンドの研究」:エコノミスト2002年12/24) 日本で買収ファンドのビジネスが本格化し始めたのは1998年というのが一般的見方。2001年には件数・総額ともに過 去最高を記録し、02年はその横ばいか微減、03年からは少なくとも数年間は、銀行の不良債権処理の加速で買収ファンドが 手がける案件の数も再び増加傾向になると予想される。 ○戦略的M&Aの増加 (朝日新聞:2003年1/11) M&Aの件数は5年連続して過去最多を更新。目的別では、既存事業の強化が前年比31%増の1040件。新日本製鐵と 住友金属工業のステンレス事業統合などライバル同士の組合せや経営再建中の企業からの営業譲り受け、事業・子会社の買収な ど手法も多様化している。 13 (3)経営(企業)が主導する早期事業再生 ○先駆的事例(事業選別基準におけるキャッシュフローの活用) ・松下電器産業 ・東京海上火災保険 ・東芝 フリーキャッシュフロー若しく はCCM(投下資本に対してどれ だけの収益を生み出したかを測る 指標:松下版EVA)のいずれか が3期連続で赤字の事業は原則撤 退。幹部の報酬も指標に連動させ、 経営責任を明確にしている。 将来収益から人件費・物件 費等を引いたキャッシュフロー が赤字であれば原則として撤 退。客観的に判断するために 社内に数値管理をする専門部 署を設置。金融機関における 撤退ルールの導入は初めて。 99年からキャッシュフロー経営 を導入。01年からはTVC(投資 資本に対してどれだけの収益を生み 出したかを測る指標:東芝版EVA) を活用し赤字が2半期連続で「要注 意事業」、赤字で4半期連続で悪化 した場合には整理の対象とされる。 ○先駆例を促す仕組み • 開示慣行の定着 市場のルール先行(証券取引所における開示など) 法的開示ルールはその効果を見て • ガバナンス構造の競争 委員会等設置会社 vs 監査役設置会社 14 (4)「決算短信」における早期事業再生関連指標群の採用 (参考)「決算短信(1枚目)」における「経営指標」の記載状況 平成 ○ 年 ○ 月期 決算短信(連結) 平成 年 月 日 米国会計基準採用の有無 有 ・ 無 【決算短信の構成】 決算短信(1枚目) 経常利益 百万円 % ( ) ( ) 総 資 売 上 1株当た 潜在株式調整後 株主資本 本 高 り 当期純利益 経常利益 経常利益 1株当たり当期純利益 当期純利益率 当期純利 率 率 益 百万円 % 円 銭 円 銭 % % % ○年○月 ( ) 期 ( ) ×年×月 期 (注)①持分法投資損益 ○年○月期 百万円 ×年×月期 百万円 ②期中平均株式数(連結) ○年○月期 株 ×年×月期 株 ③会計処理の方法の変更 有 ・ 無 ④売上高、営業利益、経常利益、当期純利益におけるパーセント表示は、対前期増減率 (2) 連結財政状態 1株当たり株主資 総資産 株主資本 株主資本比率 本 百万円 百万円 % 円 銭 ○年○月 期 ×年×月 期 (注)期末発行済株式数(連結) ○年○月期 株 ×年×月期 株 (3) 連結キャッシュ・フローの状況 営 業 活動 に よ る キャッシュ・フロー 百万円 ○年○月 投資 活 動に よ る キャッシュ・フロー 百万円 財 務 活動 に よ る キャッシュ・フロー 百万円 現金及び現金同等物 期 末 残 高 百万円 業 種 別 企業集団の状況 1.○年○月期の連結業績(平成 年 月 日∼平成 年 月 日) (1) 連結経営成績 売上高 営業利益 百万円 % 百万円 % ( ) ( ) ○年○月 ( ) ( ) 期 ×年×月 期 区分 投資者の投資判断のベンチマーク となってきた指標 会 社 名 登録銘柄 コ ー ド 番 号 本社所在都道府県 (URL http://www. ) 代 表 者 役 職 名 氏 名 問い合わせ先 責任者役職名 氏 名 TEL( ) − 決算取締役会開催日 平成 年 月 日 親会社名 (コード番号: ) 親会社における当社の株式保有比 率 % 記載項目 記載の開始時期 1株当たり当期純利益(EPS) 潜在株式調整後1 株当たり当期純利益 資本金利益率 株主資本当期純利益率(ROE) 総資本経常利益率(ROA) 売上高経常利益率 配当性向 株主資本配当率(DOE) 額面配当率 株主資本比率 1株当たり株主資本(BPS) 1株当たり予想当期純利益 自己資本比率 自己資本規制比率 ソルベンシー・マージン比率 備 考 昭和46 年7 月 平成8年4月追加 昭和46 年7 月 昭和50 年6 月追加 昭和55 年4 月追加 昭和55 年4 月追加 昭和50 年6 月追加 昭和55 年4 月追加 昭和46 年7 月 昭和55 年4 月追加 昭和55 年4 月追加 昭和59 年4 月追加 平成9年10月追加 平成9年10月追加 ―――――― 昭和52年4月削除 昭和52年4月削除 株主資本比率とは別に記載 添付資料中で記載 経営方針 経営成績及び財政状態 ○2003年3月、「決算短信」の様式の一部改正により、「経営成績及び財 政状態」のなかで「早期事業再生指標群」を記載することとされた。 「早期事業再生指標群」 【開 示 例】 ・・・ 各種財務諸表 平成 11 年 「経営成績及び財政状態」 の記載内容 「経営方針」における記載内 容を踏まえ「経営成績」と「財政 状態」に区分して、会社の実態 に応じて具体的に記述。 平成 12 年 平成 13 年 平成 14 年 平成 15 年 自己資本比率 ○○.○% ○○.○% ○○.○% ○○.○% ○○.○% 時価ベースの自 △△.△% △△.△% △△.△% △△.△% △△.△% 己資本比率 債務償還年数 ○.○年 ○.○年 インタレスト・ □□.□ □□.□ カバレッジ・レ シオ 自己資本比率:自己資本/総資産 ○.○年 ○.○年 ○.○年 □□.□ □□.□ □□.□ 時価ベースの自己資本比率/株式時価総額/総資産 債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い (1) いずれも連結ベースの財務数値により計算している。 (2) キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用している。有利子負債は貸 借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としてい ○決算短信とは 上場会社が決算発表を行う際に、決算内容の要点をまとめた書類 る。 15 (5)早期事業再生関連指標群の有効性 ○インタレスト・カバレッジレシオ ○キャッシュフロー対有利子負債比率 有利子負債EBITDA倍率 インタレスト・カバレッジ・レシオ(EBITDA) 30.0 9.0 健全企業 8.0 問題企業 25.0 7.0 20.0 6.0 5.0 15.0 4.0 10.0 3.0 2.0 問題企業 健全企業 5.0 1.0 0.0 0.0 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 ○自己資本比率 株主資本比率 45.0 40.0 【健全企業、問題企業の説明】 健全企業 35.0 ○健全な企業: 30.0 25.0 債務超過に陥ったことの無い規業 20.0 ○問題を有する企業: 01年以降、倒産、債務超過、債務免除を受けた上場企業 15.0 問題企業 10.0 (公表データから作成) 5.0 0.0 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 16 2.なぜ銀行モデルが問題なのか • 日本企業の分化 • 企業間の格差の拡大 • 銀行の顧客プールの劣化 17 (1)企業パフォーマンスの分散が拡大 連結ROEの推移 10.0 10.0 平均(左目盛り) 8.0 9.0 6.0 8.0 4.0 7.0 2.0 6.0 0.0 標準偏差(右目盛り) -2.0 5.0 1984 1989 1994 1999 ガバナンス問題が重要との見方 (Corporate Governance does matter) 18 (2)日本企業は3つに分化 80年代までは従業員主権型モデル(ステークホルダー型・日本)の時代 90年代は株主主権型モデル(アングロサクソン型・米国)の時代 21世紀は修正の時代に アメリカ ヨーロッパ 日 本 企業改革法制定による経 営監視メカニズムの修復 CSRによるステークホ ルダーモデルの進化 新J型 A型 旧J型 旧J型企業群:メインバンク機能低下後の有効な外部監視が空白状態となり、製品市場での競争が貫徹せず、従業員からの経営監視が有効に機能していない企業群 A型企業群:①長期雇用から有期雇用への転換②委員会等設置会社への転換を図っている企業群 新J型企業群:①長期雇用②監査役設置会社③製品市場の競争は維持④メインバンクから株主監 視への転換⑤年功制度から成果主義への転換を図っている企業群 19 (3)新J型、A型、旧J型の概要 メインバンクシステムの機能不全 経営に対する監視機能の低下 優良企業 株式持ち合い 構造の解消 株主による外 部監視が機能 ・パフォーマンスに感応的な経営者の交代 ・年功ルールの見直し(抜擢等) 新 J 型 ・長期雇用 ・監査役会社 激しい 製品市場 緩やか の競争 ガバナンス の空白化 A型 ・有期雇用 ・委員会会社 非優良企業 株式持ち合い 構造の温存 外部監視機 能の欠如 ・パフォーマンスに非感応的な経営者の交代 ・年功ルールの強化 旧 J 型 ・終身雇用 ・年功序列型賃金 20 (4)委員会等設置会社に移行した(する)企業 企業数 電機 通信 金融 その他 56 社 26 社 3社 19 社 9社 上場 53 社 ・ スミダコーポレーション ・ ソニー ・ 東芝 ・日 立 製 作 所 + グ ル ー プ 19 社 ・ 三菱電機 ・ 日本テレコ ムホール ディングス +日本テレ コム ・ オリックス ・り そ な ホ ー ルディング ス +りそな銀行 ・大 和 証 券 グ ループ本社 ・野 村 ホ ー ル ディングス +グループ 14 社 ・ ニッセイ ・ HOYA ・ コニカ ・ イオン ・ パルコ ・ 西友 ・ 富山化学工業 ・ シャディ ・ コロンビアミュージックエ ンタテイメント 非上場 3社 ・ 指月電機製作所 ・ ディーアンドエムホール ディングス J−フォン 出所:各種新聞記事より (2003年現在) 21 (5)近年のガバナンス構造の多様化 所 有 構 造 負 債 経 営 組 織 機関投資家 外国人 安定株主 持合 個人 10大株主 負債比率 メインバンク依存度 取締役人数 常務以上人数 監査役人数 社外取締役人数 銀行出身 支配会社 執行役員 ストックオプション 1990年度末 1995年度末 2000年度末 平均 標準偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差 9.28 6.87 11.79 8.52 12.89 11.76 4.38 6.79 7.80 8.51 8.13 10.13 25.35 11.19 23.71 11.15 18.71 11.41 14.63 8.52 14.07 8.41 10.99 8.55 20.62 8.43 22.49 10.10 29.18 14.28 45.22 12.07 43.86 12.51 45.01 13.98 51.57 17.77 50.00 19.49 49.60 23.55 4.61 4.92 5.29 5.77 − − 18.72 7.84 17.73 7.66 12.88 6.18 8.94 4.75 8.39 4.57 6.36 3.71 2.94 0.53 3.86 0.53 3.81 0.55 3.69 3.56 3.93 3.65 3.36 3.39 0.69 1.40 0.62 1.18 0.48 0.94 1.09 2.46 1.12 2.51 1.00 2.25 476社/1333社(2002年度) 333社/1333社(2002年度) (注)対象 : 東証一部上場企業(除く金融) 22 (6)銀行の顧客プールの劣化 ∼資金調達手段と外部ガバナンス(小佐野 京都大学教授・堀 立命館大学助教授) 信 用 格 付 資金調達手段 株式持合関係度 中 位 低 位 銀行借り入れ 強 成長可能性高 銀行借り入れ 社 債 社 債 強 弱 弱 メインバンク ・テイクオーバーの潜 在的可能性 ・テイクオーバーの潜在的可能性 ・機関投資家によるソ フトな経営圧力 ・機関投資家・外国人投資家による ソフトな経営圧力 株式市場 メインバンク※ 外部ガバナ ンスの主体 ※成長可能性が高い 場合は株式持合関係 が弱まり、市場の規律 が機能する可能性あり 旧J型 高 位 成長可能性低 株式市場 新J型 23 3.銀行モデルの方向 • キャッシュフロー重視型の融資慣行 • 競 争 • 担 保 • リレーションシップバンクキング 24 (1)従来型メインバンクシステム下の事業再生に代わる 新たな早期事業再生メカニズム ∼CF融資慣行への転換∼ ○従来型融資慣行の問題点 →キャッシュフローの状態が一定水準まで悪化した場合、融資 条件を変更できる契約(財務制限条項)が不在 着手遅延 →銀行間の情報共有、負担契約(パリパス条項)が不在 ・日本のシ・ローンの組成額は 急速に増加 ・変化の兆しはあるが未だ緒に ついたばかり。 日本のシ・ローン組成 迅速再生への障害 ○キャッシュフロー融資慣行の利点 ○米国のシ・ローン (プロジェクト・ファイナンス、シンジケート・ローン等) →事業モニタリング融資契約 早期着手 →銀行間での情報共有及び負担契約 迅速再生 相対貸出 残高 社 債 410兆円 240兆円 : (00年データ) シ・ローン 残高 130兆円 約20% ○日本のシ・ローン 金融機関 貸出 社 債 432兆円 52兆円 : (01年データ) シ・ローン 残高 12兆円 約2% 25 (2)コベナンツの具体例 ○財務制限条項 ○その他の条項 ・インタレスト・カバレッジ・レシオ −フリーキャッシュフロー/支払利息 ・デット・サービス・カバレッジ・レシオ −フリーキャッシュフロー/元利返済額 ・デット・エクイティレシオ −(借入金+社債)/自己資本 ・レバレッジ・レシオ −負債残高/EBITDA(金利・税・償却前利益) ・自己資本維持 ・利益維持 等 ・新規設備投資の制限(年間投資額の上限設定) ・配当・役員賞与の制限 ・資金使途特定 ・新規借入・貸付等の制限 ・余剰資金発生時の強制期限前弁済 ・担保提供制限 ・B/S明細開示 等 ○コベナンツ抵触時の対応 ・レンダーの請求により期限の利益喪失 (重要な指標に抵触した場合には当然に期限の利益喪失となることもある) ・期限の利益は喪失させないが、コミットメントを解消 ・期間を限定し権利行使を留保、その間に借入人が抵触を治癒 ・追加のコベナンツ条項付与、条項の改定等 ・融資条件の変更 等 26 (3)ノンバンク活用に向けた競争環境の整備 ○事業会社等多様な主体の金融チャネルへの参入促進 (信託会社の解禁(事業会社の参入)、信託対象財産(知的財産権等)の拡充、特定債権法の見 直し、貸出債権市場・ABCP市場の活性化) 中小企業向けの融資において、ノンバンクによるキャッシュフローに着目した融資が行われてき ている。都市銀行においても、無担保融資を進める動きがあり、競争の促進を通じて、資産価値に 頼らない新しい融資慣行が根付くことが期待される。 【ノンバンクの活動】 リコーリース 三洋倶楽部 住商リース ダイヤモンドリース ビジネクスト 融資限度額 500∼1000万円 3000万円∼5000万円 1∼3000万円 5000万円 1000万円 金利 11∼12% 7∼10% 4∼6% 4%前後 8∼15% 与信の特徴 無担保 不動産以外 設備担保 設備担保 原則無担保 資金の性格 つなぎ資金 プロジェクト資金 運転資金 運転資金 つなぎ資金・運転資金 WEDGE 2003年5月号記事より ○三洋倶楽部 不動産担保は取らず、月次の試算表や店舗別の営業データ、時間帯別の来客数等、経営内容と市場 の成長可能性により融資先を評価。 【都市銀行の取組】 ビ ジ ネ ス セ レクトロー ンの ほ か 、年 商 30億 円 未 満 の 優 良 企 業 向 け 担 保 三 井 住 友 ロー ンや 証 券 化 を前 提 に 年 商 10億 円 以 上 の 企 業 に 貸 し出 す ロー ン担 保 證 券 (C LO )を 活 用 し た 融 資 も 導 入 年 商 1 0 億 円 未 満 の 3 万 社 を 対 象 に 新 型 無 担 保 ロ ー ン 「融 活 力 」を 柱 に 東 京 三 菱 貸 出 拡 大 。年 商 1 0 億 − 1 0 0 億 円 の 中 堅 ・中 小 に は 売 掛 債 権 を 担 保 に 運転資金などを供給する定型ローンも導入 全 国 120カ所 に 中 小 企 業 向 け 融 資 の 専 門 営 業 拠 点 を 展 開 予 定 。5年 間 で 1万 社 の 新 規 取 引 先 獲 得 目 指 す 。新 型 の 無 担 保 融 資 の 金 利 は 年 2− UFJ 4% 台 で 、期 間 は 原 則 3年 以 内 。 年 商 10億 円 未 満 向 け の 無 担 保 事 業 ロー ン。融 資 期 間 は 1− 3年 で 、上 み ず ほ 限 3 0 0 0 万 円 以 内 。 こ れ と は 別 に 都 内 向 け 「デ ィ ー ゼ ル 車 買 い 替 え 融 資 制 度 」も 。リ ー ス 会 社 の 保 証 付 き 融 資 も 積 極 活 用 へ 2003年5月8日 日本経済新聞記事より 27 (4)キャッシュフロー融資を支える担保制度の整備 [制度整備 ①] 中小企業金融の多様化 不動産担保・個人保証に依存した融資慣行から、 キャッシュフローに着目した融資慣行に転換するため に、動産及び債権に関する担保法制の整備が必要。 ・動産公示制度の創設 ・債権譲渡特例法の改善 [制度整備 ②] シンジケートローンの促進 シンジケートローンの流動化を促進するために、担 保を一括して管理することを可能にするセキュリティ・ トラスティを可能とする制度整備が必要。 ・セキュリティ・トラスティの実現 (信託業法の整備) (債務者不特定の将来債権の譲渡) [制度の活用] プロジェクトファイナンスの促進 プロジェクトファイナンス等、事業に着目した融資を行う際には、キャッシュフローを生み出す事業体を 維持することを目的に、資産を包括的に担保に取ることが必要。 財団抵当制度の活用に合わせて、「動産公示制度の創設」及び「セキュリティ・トラスティの実現」がな されれば、相当程度、制度環境は改善する。 28 4.銀行モデルの進化は債権と 株式を近づける • 融資慣行の改革→ローン市場 • ファンド法制度 • 事業再編規制の緩和 • リレーションシップ投資 29 (1)投資家及び株主が主導する事業再生機能の充実 ∼CF融資慣行が生むローン市場∼ ○投資環境の現状 日本におけるM&Aの推移 → ファンドや事業法人によるM&Aが急速 に増加しつつある。 → しかし、ローンが銀行に塩漬けになって おり、投資案件が不足しているのが現状。 近年、国内における事業再編型のM&A が増加している。 日本におけるファンドの活動状況 ○ローン市場形成の意義 → CF融資慣行はローンの転売を可能とし、 ローン市場を形成する契機。 → ローン市場で時価が付き、銀行から投 資家への橋渡しが可能に。 市場拡大を当て込んで、買収ファンドが雨 後のタケノコのように生まれている。主なファ ンドだけでも、資金総額は既に1兆円を超え ている。(週刊ダイヤモンド03年1月25 日号) 30 (2)ファンドの活動促進、事業再編促進のための制度整備 ○ローン市場の整備 全国銀行協会では「貸出債権市場協議会」を設置し、銀行、投資家等の参加を得て、 ローン市場創設のための諸課題(情報開示ルール等)について検討を行い、本年3月 までに取りまとめを行うとしている。 ○ファンドによる事業再生の促進 中小企業等投資事業有限責任組合法 改正産業再生法(中小有責法の対象の拡大) ケイマンLPS 有限責任組織法制の整備を検討 (有限責任性+パススルー性) ○過剰供給構造を是正する事業再生を促す事業法人によるM&Aの促進 ・事業再編促進のための商法の規制緩和 改正産業再生法で措置 →2005年会社法改正で一般化の検討 ・独禁法の企業結合規制の透明化・迅速化 産業再生法の運用指針 一般案件の迅速類型の明確化 31 (3)リミテッドパートナーシップの構造 日 本 構成員の責任 課税取扱い 米 国 中小企業等投資事業 有限責任組合 株式会社 民法(任意)組合 全構成員(株主) 有限責任 全構成員無限責任 事業体段階と構成員 パススルー 段階の二段階課税 (出資者段階での課税) その他 (事業制限等) GP : 無限責任 LP : 有限責任 LPS LLC GP : 無限責任 LP : 有限責任 全構成員有限責任 パススルー (出資者段階での課税) パススルー (出資者段階での課税) パススルー (出資者段階での課税) 「中小企業等」に対す る投資事業に限定 LPSによるファンドの仕組み 投資家 出資 ファンド ( LPS ) ︻ LP 有 : 限責任者︼ 出資 業務執行 投資家 出資 ︻ LP 有 : 限責任者︼ 【GP : 無限責任者】 ファンド マネージャー等 株式等投資 投資先企業 投資先企業 32 (4)産業活力再生特別措置法の商法特例 E 事業革 新設備 導入 A事 業 B経 営資 C 共同 再構 築 源再 活用 事業 再編 D 債権放 棄を含 む3計 画 商-1 検査役の調査 E 事業革 新設備 導入 A事 業 B経 営資 C 共同 再構 築 源再 活用 事業 再編 D 債権放 棄を含 む3計 画 商-2 簡易組織再編成 または弁護士等の調査を行う必要があります。 産活法の認定を受けた計画に従って行われる現物出 資などについては、これらの検査役調査が一切不要と なり、取締役の調査のみで足りることとなります。 企業が子会社を支配関係から離脱させ、子会社の経 組織再編成は、原則、株主総会の特別決議が必要です。 営の裁量を拡大しようとする場合、産活法の認定を受 しかし、産活法の認定を受けた場合、相手方の規模 けると、「配当可能利益」の範囲内で、期中に子会社 が1/5以下である組織再編成については、取締役会限り の株式を自社の株主に現物配当することができます。 で行うことができます。 この特例は、中間配当と同様に取締役会の決議だけで 子 また、申請企業が2/3以上の議決権を保有している子 現物出資・ 事後設立等 なお、交付しようとする株式の価額が配当可能利益 の規模にかかわらず、子会社の取締役会限りで行うこ を超えてしまう場合は、株主総会の特別決議により、 とができます。 「有償減資」を行うことで株主に子会社株式を交付す ることが必要です。 特別決議不要 申請 申請 申請 物的分割 2/3以上 の子会社 合併 ※申請企業が子会社に対して現物出資や事後設立などを行う場合 だけではなく、申請企業が現物出資を受ける場合(銀行から、 債権の現物出資を受けて、デット・エクイティ・スワップを行 う場合など)も対象となる。 子 子 申請企業の 1/5以下 子 商-4 合併対価柔軟化 E 事業革 新設備 導入 A事 業 B経 営資 C 共同 再構 築 源再 活用 事業 再編 D 債権放 棄を含 む3計 画 株主 取締役会 の決議 規模にかかわらず特別決議不要 ※反対株主による株式買取請求権や、債権者への通知などの手続 については、現行商法の規定が適用される。 メリット ・現物出資、事後設立などの際の、検査役の調査の 時間的コストや金銭的コストを削減 行うことができます。 会社が、グループ内で行う組織再編成についても、そ デット・ 銀行 エクイティ・ 債権の スワップ 現物出資 申請 E 事業革新設備導入 A事業 B経営資 C 共同 再構築 源再活用 事業再編 D 債権放棄を含む3計画 企業が行う合併、分割、営業譲渡、株式交換などの 商法上、現物出資や事後設立、財産引受けを行う場 合には、財産が過大に評価されないように、「検査役」 商-3 子会社株の配当 メリット ・株主総会の開催コストを削減し、取締役会による 機動的な組織再編成が可能 商-5 分割時の催告 E 事業革 新設備 導入 A事 業 B経 営資 C 共同 再構 築 源再 活用 事業 再編 D 債権放 棄を含 む3計 画 子 株主 申請 株主 子会社株式 を現物配当 2/3以上 の子会社 株主 申請 申請企業の配当可能利益の 範囲内でのグループ再編。 子会社の経営裁量を拡大。 メリット ・配当可能利益の範囲内で、グループ傘下の優良な 子会社の機動的な再編成(スピンオフ)が可能 商-6 資本等の減少 E 事業革 新設備 導入 A事 業 B経 営資 C 共同 再構 築 源再 活用 事業 再編 D 債権放 棄を含 む3計 画 企業が合併、吸収分割または株式交換を行う場合に 通常、企業が会社分割により債務を移転する際には、 企業が資本や準備金を減少するには、株主総会決議 は、その企業の株式を用いることが通常ですが、産活 その旨を債権者に対して催告(通知)する必要があり、 を行い、個別の債権者に催告することが必要です。 法の認定を受けた場合、合併などの対価として「金銭」 この催告がなされない債務は「連帯債務」となります。 や「他の株式会社の株式(外国の株式を含む)」を用 いることができます。 子 産活法の認定を受けて、資本等の減少と同時に減少 産活法の認定を受けた場合、無記名社債や振替社債 額を上回る増資をする場合には、取締役会の決議で行 について、社債管理会社に対して催告すれば、社債権 うことができ、債権者への個別催告も不要となります。 これにより、株主に金銭を交付することで100% 者に対して催告がなされたものとみなされ、債務を移 の資本関係を維持したり、株主にとって魅力的な親会 転することができます。 また、同時に行う「株式の併合」も、「単元」を調 整することで、取締役会決議で行うことも可能です。 社の株式を用いて組織再編成ができます。 社債権者 (注)税務上は、「非適格の組織再編」となります。 ・企業再生 ファンド ・国内の 事業会社 ・外国の 親会社など 株主 金銭や、 他の株式 を交付 (申請) (いずれかが 申請企業。) 株主 株主 (申請) 吸収合併、 吸収分割、 株式交換 ※本特例に伴い、①定款に株式の譲渡制限を定めている会社 との合併等における「特殊決議」が不要となるとともに、 ②必要な範囲内での子会社の親会社株式保有が認められる。 メリット ・合併等の対象会社の、100%子会社化が可能 ・株主にとって魅力的な合併対価等を提示 催告 申請 特例を受けることができる減資等の要件 債務の移転 が可能 株主 社債管理会社 減資 増資 申請 新設分割、 吸収分割 ※催告を受けた社債管理会社は、分割の内容によっては 「社債権者集会」を招集し、当該分割について異議の 申出を行うかどうかを決定する。これにより異議申出 がなされた場合には、企業は、弁済または担保の提供 等を行う必要があることに留意。 メリット ・分割の際の債務の移転について、債務者を明確化 が可能 株主への払戻しや、株式消却を 行わないこと 欠損のてん補に充てること 同時に増資を行い、増資の払込 額が減資額を上回ること 株式の併合の要件 併合と同時に単元の株式数を 減少・廃止し、各株主が保有 する議決権が変化しないこと 2株 1株に併合 同時に 1単元 1単元 1,000株 500株 メリット ・スポンサー決定後、速やかな減資・増資が可能 ・株主総会のコストや債権者への通知コストを削減 33 (5)改正産業再生法案件に関する「運用指針」の迅速審査類型 ● 改正産業再生法の対象となる案件について、(ア)∼(オ)に該当するものについては、通常30日かかる審査を15日以内で行うこと する。 当事会社の市場 シェア及び 市場構造 類 型 市場シェア:∼25% 25∼35% HHI 1000 1800 35∼50% 50%超 1800 輸入の増加、新規参入等の定性的な判断要素が含まれていたため、 「できるだけ速やかに」審査を行う類型にカテゴライズ。 ・シェア25%以下 ・HHI 1800未満 ・有力な競争者 (10%以上、輸入含む) 有力な競争者① (ア) 有力な競争者② (ユーザー購買力 を含む) 輸入 上位3社累積シェア 60%に相当* (イ) (ウ) ・シェア 25%以下 ・HHI 1000未満 ・シェア35%以下 ・HHI 1800未満 ・有力な競争者(10%以上、 輸入含む)が2以上 上位3社累積シェア 50%に相当* (海外価格 連動を含む) 破 綻 (オ) ・シェア 50%以下 ・破綻企業・事業部門の救済 シェア微増 (エ) ・HHI 増加分が100未満 ・有力な競争者(10%以上、輸入含む) *上位3社累積シェアの数値については、公取委より明示されてはいないが、公取委より示されたHHIと上位3社累積シェアの相関関係に 関する計算式(HHI=69.491× 上位3社累積 シェア (% )− 2344. 4) に、H HI=1,000,HHI=1,800を代入すると、 それぞれ、おおむね上位3社累積シェア50%、60%に相当する。 (ただし、事業者の市場シェアからみてHHIが明らかに1,000以上((イ)、(ウ)については1,800以上)であるときを除く。 ) 34 (6)リレーションシップ投資の重要性 投資家による経営関与の変遷 投資家を取り巻く環境変化 ①ウォールストリートルール ○機関投資家の台頭 (自らの行動による損失) ②シェアホルダーアクティビズム ○プルーデントマンルール (エリサ法制定) ○議決権行使は常時は仕えない ○機関投資家と経営者の対話 ③リレーションシップ投資 銀行の行動に類似 35 5.個人保証問題と銀行行動 • 追加貸出しは単なる延命につながる • 経営者の再生 • 銀行行動の変化 36 (1)なぜ、着手が遅れるのか? 倒産した企業において、過半数の経営者が6か月前までに、倒産の危機を認識。事業再生に 着手できない背景には、保証人は従業員への心配があり、倒産に至る経営者の多くは、事業再 構築ではなく、資金繰りに奔走してしまう。 倒産の危機を感じた時期 ∼過半数の経営者が6か月前までに倒産の危機を認識∼ (%) 20 17.7 18 17.1 16.4 15.8 16 倒産企業と生存企業の倒産回避策 14 11.8 11.5 12 ∼生存企業と比較して資金繰りへの取り組みが多い倒産企業∼ 10 倒産企業 生存企業 8 6.9 6 4 2.8 2 当 月 前 月 月 以 内 月 ∼ 3ヶ 月 以 内 前 々 3ヶ 月 超 ∼ 6ヶ 1年 以 内 内 6ヶ 月 超 ∼ 内 1年 超 ∼ 1年 半 以 1年 半 超 ∼ 3年 以 3年 超 0 倒産日までの期間 「平成14年度 中小企業白書」 倒産するにあたって特に心配したこと ∼従業員の失業が倒産の際に特に心配であったとする経営者が最も多い∼ 従業員の失業 0.8 2.5 保証人への影響 (家族・出資者・金融機関・その他の債権者を除く) 2.2 1.7 5.7 家族への影響 一 時 的 な 資 金 難 解 決 の た め の 対 策 営業・販売活動の強化 商品・サービスの開発や 経営者個人名義での借入金を (%)100 90 改良への取り組み 企業に投入 80 生存企業 70 の対応 流通・販売経路の見直し 経営者の個人保有資産の投入 60 50 40 販売・受注単価の値上げ 親族・知人への出資・融資要請 30 (要請含む) 20 10 倒産企業の対応 0 仕入・外注費の値下げ 金融機関・取引先への (要請含む) 出資・融資要請 支払・受取条件の見直し (要請含む) 役員・従業員の削減 債権者への影響(金融機関を除く) 7.4 その他のコストダウン 従業員の失業 事 業 の 収 益 体 質 の 改 善 を 意 図 し た 対 策 役員・従業員の報酬・賃金カット 経営者の個人財産の喪失 個人財産の喪失 遊休資産・設備の売却 23.8 販売・受注先への影響 (家族・出資者・金融機関・その他の債権者・保証人を除 く) 金融機関への影響 15.2 保証人への影響 事業の縮小・転換(営業譲渡を含む) 「平成14年 中小企業白書」 経営者個人の失業 21.3 独自技術・技能の喪失 出資者・株主への影響 19.5 「平成14年 中小企業白書」 37 (2)再生着手を遅延する行為への警鐘と 個人保証問題の解決 ○典型的な延命策のリスク 債務者側:粉飾決算・融通手形 → 刑事上・民事上の責任追及の可能性 債権者側:回収見込みのない追加融資 → 経営者への責任追及の可能性 ○過度な個人保証から経営者を再生させる方策 民事再生手続の場面: ・企業再生と一体の経営者による民事再生手続きの活用(東京地裁は予納金一律25万円) ・金融機関における、経営者の合理的な計画に基づく再生への協力体制の確立 破産の場面: ・自由財産の拡充(現状:現金は必要生活費一月分で21万円) ○過度な個人保証に代わる経営監視の仕組み 包括根保証の役割低下へ ※限度額も期間も定められていない保証 ・期限付き限度根保証や確定債務保証の利用 ・財務制限条項や損害賠償責任追及制度の利用 38 6.閉鎖組織の再評価と銀行モデルの可能性 • 物的資産から人的資産へ • 株主主権の限界 • なぜ長期雇用? • 閉鎖組織の再評価 39 (1)−① 人的資産の貢献 産業資本主義の終焉に伴い、競争力の源は設備や建物といった有形資産から無形資産へシフト しており、なかでも、特に組織特殊的な人的・知的資産の重要性がとりわけ高まっている。 市場価値総額 有形資産 ・機械 ・設備 ・建物 無形資産 ◇人的資産 ◇物的資産 ・コンピュータ機器 ・ソフトウェア ・ブランド ・経営者の企画力 ・特許権 ・技術者の開発力 ・従業員のノウハウ ・データベース 人的資産等無形資産の占める割合 東証上場企 業時価総額 米国市場価値総額 1978年 無形資産 144兆円(30%) 324兆円(70%) 1998年 17% 無形資産 有形資産 有形資産 無形資産 無形資産 69% 83% 367億ドル(94%) 有形資産 31% 出所:経済産業省「ブラン ド価値評価研究会報告書」 マイクロソフト 出所:マーガレット・ブレア、トマス・コーチャン「新しい関係ー アメリカの会社における人的産」 有形資産 23億ドル(6%) 出所:岩井 克人「会社はこ れからどうなるのか」 40 (1)ー② 人的資産の貢献 我が国企業においても簿価に反映されていないブランドやノウハウ等の無形資産の時価総額に 占める割合が大きくなっており、人的資産の重要性が高まっている。 企業のバランスシート 負 債 資 産 有形資産 簿価純資産※ ※簿価純資産:バランスシートに反映されている資産− 負債(バランスシートに反映されていないブランド、ノウ ハウ等は対象外) 資 本 無形資産 時価総額 ブランド ノウハウ 等 人的資産等無形資産の時価総額に占める割合 セブンイレブ ンジャパン 花 王 ソフトバンク 任天堂 ソニー 日産自動車 無形資産 無形資産 無形資産 無形資産 無形資産 無形資産 3.4兆円(85%) 有形資産 6000億円 (15%) 1.4兆円(77%) 有形資産 4600億円 (23%) 1.2兆円(72%) 2.2兆円(72%) 有形資産 4200億円 有形資産 8300億円 (28%) (28%) キャノン 東 芝 無形資産 2.5兆円(62%) 無形資産 1.3兆円(58%) 無形資産 9兆円(56%) 無形資産 2.8兆円(56%) 有形資産 1兆円 7.1兆円 有形資産 (44%) 2.2兆円 有形資産 (44%) トヨタ自動車 本田技研工業 5.9兆円(71%) 有形資産 2.3兆円 2.1兆円(68%) 有形資産 9600億円 (32%) ベネッセコー ポレーション 無形資産 3100億円(65%) 有形資産 1700億円 (35%) (29%) 大正製薬 NTT 無形資産 無形資産 4400億円(48%) 6.1兆円(47%) 4700億円 有形資産 (52%) 有形資産 6.9兆円 アサヒビール 無形資産 2100億円(35%) 有形資産 1.5兆円 有形資産 (38%) (42%) (53%) 3900億円 (65%) ※有価証券報告書から入手できるデータで、可能な範囲内で試算 41 (2)−① 人的資本の流出による損失の顕在化 (サーチ&サーチ社の例) 産業資本主義の終焉に伴い、競争力の源は物的資産から人的資産へシフトしている 中で、株主主権にこだわることは逆に人的資産の流出を促進してしまい、株主及び企業 に対して、大きな打撃を与えることになり得る。 株 主 ① 議決権行使によ る会長の解任 ③ 大損失 サーチ&サーチ社 (英・広告会社) M&Cサーチ社(新設) 会長 会長 役員 役員 会長 会長 役員 役員 従業員 従業員 従業員 従業員 ②・会長の経営者の手腕 ・従業員とのチーム・ワーク ・顧客との信頼関係 等が流出 顧 客 顧 客 42 (2)−② 人的資本の流出による損失の顕在化 (ソロモン・ブラザーズの例) IT化、グローバル化による資本調達の容易化に伴い、独立して存続しうる企業体の範 囲と直接的な人的つながりの範囲が同化しつつある。 ソロモン・ブラザーズ 忠誠心 物的・人的の 両面で結合 の希薄化 資金、看板 指揮・調整 債権取引部門 Long Term Capital Management 部下の失敗を とらされて解雇 リーダー 経営者 忠誠心 指揮・調整 独 立 強い人的つながり 専門スタッフ 専門スタッフ 忠誠心 指揮・調整 専門スタッフ ・・・・・・ 専門スタッフ ・・・・・・ ソロモン・ブラザーズの 1990-93年の利益全体 の87%相当の利益に 貢献したスタッフが流出 43 (2)−③ 人的資本の流出による損失の顕在化 (営業秘密の流出) 最近、営業秘密の流出が大きな話題となっている。このことは、人的資産・知的資産が重要性を 増すとともに、知恵やノウハウの物的資産からの独立が進んでいる現状を如実に示している。 出版業A社 無料情報誌につ いてのノウハウ 出版業B社 担当取締役の移動 無料情報誌につ いてのノウハウ 人的資本・知的資本 流出防止策の欠如 人材の流出と共に人的 資本・知的資本が流出 電機産業D社 電機産業C社 対策を講じること が課題 担当技術者の移動 DVD部品につ いてのノウハウ DVD部品につ いてのノウハウ 出所:日経新聞(4/21)1面 44 (3)−① 長期雇用を軸としたステークホルダーモデルの再評価 競争力の源が人的資本・知的資本にシフトしている現状において、長期雇用に基づく従業員主体の 内部監視メカニズムの復活が必要であり、多くの経営者や学者もこの点を指摘している。 御手洗 富士雄 キャノン社長 知識創造企業においては、会社の実体は社員。従って会社 の実力を突き詰めれば社員の実力の集積値。終身雇用による 運命共同体意識が社員の団結力となり、目標に向かって一致 団結して進む。新技術は発想から製品化まで10年以上かかる ため、生活の不安なく長期間没頭できる環境が研究開発には 必要。(2002.1) 町田 勝彦 シャープ社長 技術の融合を生むためにも、社内にノウハウ、人材のストッ クをいかに積み重ねるかが重要になる。特にこれからは、専 門外を経験した技術者、「ゼネラルスペシャリスト」をどう 育成するかの競争になるだろう。それだからこそ、早期退職 みたいなことをせず、頑張って終身雇用を維持していきたい。 ただし、実力主義だということをはっきりさせ、一方で個人 のスキルを高める受け皿を用意する。(2003.1) 岩井 克人 東京大学教授 企業が企業として成立するために従業員が企業にたいして コミットメントをもつことが不可欠となったポスト産業資本 主義時代においては、…(中略)…会社という制度が、オー ナーや支配株主といったおカネの供給者の利益を増進するた めの道具から、逆に、専門経営者や工業技術者や熟練労働者 の組織特殊的な人的資産をまさにオーナーや支配株主の簒奪 から防衛する垣根へと変わりつつある。(2003.1) 宮島 英昭 早稲田大学教授 21世紀の日本企業の課題は、①成熟分野の企業における事業再 組織をいかに進めるかと、②成長分野における新規起業をいかに 引き上げるかにあり、いずれの課題も強いリーダーシップをもつ 経営者の存在、従業員のインセンティブを引き上げる組織の革新、 適切な企業統治構造の設計が必要である。しかし、その反面、日 本企業の効率性の源泉の一つが、長期雇用に基づく熟練形成にあ るとすれば、こうした改革・制度設計は、長期雇用とインセンティ ブ両立的であることが求められよう。(2002.6) 寺西 重郎 一橋大学教授 モジュール化が容易になりインターフェイスが標準化すれば するほど最終的な製品の質は核となる基本的な部品の品質に依 存し、これについては継続的・関係依存的なチーム生産の効果 が品質向上には不可欠であると思われる」「新しい経済システ ムの持続可能性を確保するためには、経済的コストを引き下げ ることが必要であり、…(中略)…何よりも、長期的視野での 行動に基づく関係依存的投資のメカニズムをなんらかのかたち で確保し、いわゆる「ものづくり」の基盤を強固なものにする 必要がある。(2002.12) L.C.サロー MIT教授 “成功するためには技能チームが不可欠 成功するためには技能チームが不可欠” −資本主義はチー ムを組むことを受け入れ、チームを大切にして、チームの一部として 働く意思をもつことが重要であると思えるようになった今まさに、その チームとしての企業の求心力の役割を果たしてきた終身雇用制、実 質賃金の上昇といった要素が消え去ろうとしている。利己主義に固ま らないチームで働ける人材の必要性が高まっているため、熟練した従 業員に会社に対する親近感をもたせ、会社というチームの一員として の性格を強めるべきだと思えるようになった今まさに、企業は正反対 の方向に動いている。(1996.9) 45 (3)−② 長期雇用を軸としたステークホルダーモデルの再評価 競争力の源が人的資本・知的資本にシフトしている現状において、長期雇用に基づく従業員主体の 内部監視メカニズムの復活が必要であり、多くの経営者や学者もこの点を指摘している。 樋口 美雄 慶応義塾大学教授 高い技術力を持ち、高付加価値化を図っている企業で は、正社員比率が上昇している。企業が技術力を向上さ せるには安定した長期雇用が不可欠であることがわかる。 職種や企業における労働者の役割により長期雇用慣行の 有効性は異なるが、雇用保障の軽視は企業の競争力の低 下をもたらしかねない。(2001.11) 小池 和男 東海学園大学教授 日本企業は管理職を中心に・・・(中略)・・・定期昇給を 廃止する。査定はもちろんあるが、アメリカのふつうの 方式とちがい、1年ごとにご破算になる。いちじるしい 短期化であり、悲管理職にも広がりつつある。極度に短 期の業績を重視するサラリー方式では、競争力の源、不 確実性をこなす技能の形成に支障が生じよう。 (2003.1) P.キャペリ ペンシルベニア大学教授 新入社員に対する教育投資は減少傾向にあるが、なか には、この手の投資が削減されたことで組織内部のスキ ルが慢性的な不足状態となり、ますます外部から採用し 続けなければならないといった悪循環を生んでいるケー スもある。人材育成が減少することで、熟練労働者の不 足といった社会的な問題が深刻化する可能性も否定でき ない。(2001.8) 小倉 昌男 ヤマト運輸元会長 “社員を切るから、株価も下がる” ー株価を上げるためのリス トラ、というアメリカ式のやり方の背景には、会社は株主のも のだ、という考え方があるのだろう。しかし、これには疑問を 持っている。もちろん株主はとても大事な存在で、きちんと報 いていかなければならない。しかし、会社は最終的には社員の もの、そしてお客さんのためのものだと思う。株主があまりに 強くなり、そのために実際に働いている社員がないがしろにさ れ、お客さんへのサービスの質が落ちるのでは、何のために会 社があるのかわからなくなる。(2003.6) G.ベッカー シカゴ大学教授 21世紀は人的資本の世紀であり、国の繁栄と富を実現し国民がそ の恩恵を受けることができるかを決める基本的要素である。従って知 識、情報、技能、健康等の人的資本への投資が明日の経済社会を決定 する。(2002.12) 株式会社ウォールマート 世界最大の小売業。2003年3月期の売り上げ2,445億㌦。 従業員150万人。時給販売員を含む大半の社員に自社株を 保有させ、長く勤めるほど見返りの大きいシステムを構築。 組合結成を認めず、従業員との一体感を醸成。管理職の7 割りが時給販売員からの昇進。創業家が株式の38%を保有 し、現取締役会長は創業家の二世が務める。 46 (3)−③ コーポレートガバナンスに関する比較分析 ∼日仏独型 VS 米英型∼ 米英と欧州・日本では企業に対する見方は大きく異なっており、国情にあった企業モデル の確立が重要である。株主のみならず従業員を重視する企業モデルは、日本企業の文 化的な伝統となじみやすい。 グラフ 2:雇用をとるか配当をとるか? グラフ1:会社は誰のものか? 日本 ドイツ フランス 米国 イギリス 9 7 3 8 3 1 7 7 8 2 2 2 4 日本 7 1 3 ドイツ 4 1 フランス 4 0 米国 1 1 イギリス 1 1 7 6 2 9 9 7 5 9 6 0 8 9 8 9 ステークホルダー全て 雇用維持をより重視 株主 配当をより重視 出所:「Whose Company is it? The Concept of the Corporation in Japan and the West」 Masaru Yoshimori 47 (4)ー① 人的会社数の割合比較(日・米・独) LLC 合名・合資会社 合名・合資会社 12 %(72万社) 45 %(36万社) 1 %(4万社) Corporation 88%(505万社) <米国> 株式・有限会社 55%(45万社) <ドイツ> 株式・有限会社 99%(240万社) <日本> 米国並み LLC 72万社 合名・合資会社 36万社 合名・合資会社 4万社 33万社 Corporation 505万社 株式・有限会社 45万社 株式・有限会社 240万社 192万社 ドイツ並み 48 (4)ー② 人的会社の重要性 例① 米国における医療、教育分野における非営利法人の活躍 組織数 健康サービス 教育サービス 会社 36% ソーシャルサービス 研究開発サービス 娯楽サービス 3% 30% 41% 42% 58% 64% 59% 70% 97% NPO 利益額 教育サービス 健康サービス ソーシャルサービス 20% 23% 会社 研究開発サービス 娯楽サービス 10% 29% 44% 56% 71% 77% NPO 80% 90% (出所:Allen.F,Gale.D『Corporation Governance and Competition』) 医療や福祉のようにクオリティに対する不確実性の高い分野においては、「非営利 (部外者に利益を分配しないこと)」であることが顧客からの信頼獲得につながり、 却って利益を上げられる可能性が高い。 49 例② LLCの典型的事例 ◆大企業同士のJV( General Motors Isuzu Commercial Truck,LLC )◆ ○いすゞとGMが中型トラックの販売、サービス機能を繋げるためにLLCを設立。 いすゞは米国での販売網のコストダウンを主目的として、GMは販売店におけるマネジ メントの向上を主目的としており、出資比率はいすゞ側が51%、GM側が49%。 ○いすゞ側は、LCFという代表的なトラックとともに、ディーラーのマネジメント手法とそ れを熟知する従業員、販売店を拠出し、GM側はボンネットトラックの品揃えとともに、 ディーラーが使うシステムを拠出。 ○これにより、二社の強みのシナジー効果が生じ、かつ、車種のバリエーションの広が り、コスト削減、ベストプラクティスのシェアが可能となっている。 ◆モスキート投資銀行 (ロバーツ・ミタニLLC)◆ ○大手金融機関に勤務した経験のある人間が集まって設立したモスキート(蚊のよう に小さい)投資銀行。 ○未公開テクノロジー企業の資金を、世界中に存在するベンチャーキャピタルから 調達する、「知恵とネットワーク」によるビジネス。 ○異なる経歴・能力を持つ人間が知恵を出し合い、チームとして投資事業を実施し、 投資先ハイテク企業の企業価値を高めることにより収益を得ている。 ◆投資ファンド◆ ○潜在力はあるが、事業不振に陥っている企業等を投資先として選定して株式 を取得し、経営ノウハウの提供、不採算部門の切り離しや採算部門の建て直し 等を支援する事により企業価値を向上させ株式売却等により収益を得るいわゆ る「バイアウトファンド」 ○企業経営のプロやM&A関連の法律専門家が、投資プロフェッショナルとし て集まり、それぞれの能力を集約するハンズオン型の支援をする事によって投 資対象企業の価値を格段に高め、高収益を確保するビジネス。 ◆コンサルティング業 ( Jam Japan LLC )◆ ○マーケティング、新市場進出に関して知見を有する日本人と米国人が出資者 となって設立したコンサルティング会社。日本に進出する米国企業等の新しい市 場での事業の立ち上げの総合的なコンサルティング業務を実施。 ○構成員それぞれが能力を補完し、高い付加価値を提供している。 ○事業規模を拡大する必要があるため、株式公開により資金調達は想定してい ない。 例③ 長期雇用を実現している米国の閉鎖系優良企業 ◆広告代理店 レオ・バーネット社(Leo Burnett)◆ ○全世界に63ヶ所の支社を構え、売上高は世界最大規模の6億ドル。 商品の品質、価格ともに高い競争力を有する。 ○上級管理職をそれぞれクライアント1社の業務に集中させ、顧客企業と そのビジネスを熟知した上で、広告を提案するため、顧客満足度が高い。 資金調達のために株式を発行したことがなく、銀行からの借り入れもゼロ に等しい。採用と研修に巨額の資金を投入し、給与水準は業界トップクラ スで、広告代理店業界の中で最低の従業員の離職率、最高の生産性を誇る。 ◆証券会社 A.G.エドワーズ(A.G. Edwards)◆ ○証券業界トップで平均の2倍以上のROE(株主資本利益率18%超を 10年以上継続する超優良企業。「ブローカーの役割は顧客の代理人とし て行動することにある。」との企業理念に賛同し、長期的価値創造を支え る株主のみから資金調達。 ○会社の利益に連動する報酬システムと充実した研修で、ブローカーの離 職率8%と業界の半分以下。(A.G. エドワーズは公開企業であるが、創 業者エドーズの一族が、コアとなる株主になっている。) ◆ファーストフード チック・フィレ社(Chick-fil-A)◆ ○1軒の軽食堂から、600店以上のファースト・フードショップに成長。 2001年の売上高は12億ドル。業容拡大の資金の大半を、事業から生じるキ ャッシュフローによって拠出し、株式を発行したことがない。 ○各店長と取り交わすパートナーシップ協約により、会社の利益と社員の利益 が連動する仕組みでインセンティブを向上し、事実、店長の年収は業界平均の 1.3倍から1.5倍、店長の離職率は業界平均の6分の1以下。 ◆保険会社 ステート・ファーム社(State Farm)◆ ○全米世帯の20%と保険契約を結ぶ業界トップの保険会社(相互会社) で資本は200億ドル以上。フォーチュン誌から「金融サービス業界で最も 成功した例」と呼ばれる。 ○顧客価値の創造を企業理念とし、従業員の評価基準、インセンティブ、外 交員の選抜、研修、昇進制度、顧客獲得、商品ライン、宣伝、価格設定、サ ービスその他の全ての社内の仕組みが、顧客への価値の提供を指向。 ○慎重な採用、生産性の向上を最大化する昇進制度、会社と社員の利益が連 動するように組み立てられたパートナーシップにより、離職率は業界最低水 準。(外交員で4年以上継続する者は平均して20∼30%であるが、ステ ート・ファームでは80%) 50 (5)閉鎖組織の再評価に向けた組織の多様化 ∼多様な組織選択を可能とする組織法整備 出資者が経営を行う非・公開株式会社を人的資産蓄積型の新組織として再評価し、抜 本的な改革を実現する。そのためには、①譲渡制限株式会社、②LLC、③LPS、④NPO、 ⑤信託という5つの制度改革を実行する。 人的資本を形成する組織とし て、出資者が経営を行う形態 の組織を再評価すべき時代 IT、バイオ等の先端分野のみなら ずサービス分野でもノウハウを武 器に起業活動が可能な時代 小規模で高収益の実現可能な起 業活動を担う組織整備が必要 譲渡制限株式会社 ①有限会社法制との統合 ②最低資本金制度の廃止 ①機関設計の自由度拡大、 イメージ改善 ②創業の促進 LLC LPS NPO 合名合資会社制度を母体に所有 と経営が一体化している組織に ついて、構成員課税を導入 有限責任制を導入した組 合制度の整備 株式会社制度に 活動範囲の拡大 人的資産が競争力の唯一 の源になる事業の受け皿と して活用 統合 閉鎖法人のイメー ハイリスクな出資を行うプ ジ改善 ライベートな投資事業の受 け皿として活用 公益的事業の受け皿(官 製市場の民間開放の受 け皿)として活用 信託制度 主体、受託財産の拡充 株式会社制度に 統合 閉鎖法人のイメージ ビジネストラストとし 改善 て活用 51 (6)会社法の改革 会社法における組織形態について、①公開会社、②譲渡制限会社、③LLCの3つの組 織形態に合わせて各種制度整備を行う。 企業の分類 株式会社 公開会社 商法特例法 商法特例法 見直しの視点 大会社 有限会社 有限会社 譲渡制限会社 中小会社 公開会社 ■ 事業再編規制緩和と機関設計の ■ 事業再編規制緩和と機関設計の 自由度の拡大 自由度の拡大 譲渡制限会社 ■ イメージの改善、有限会社と同程度に自由な ■ イメージの改善、有限会社と同程度に自由な 機関設計 機関設計 ■ 最低資本金制度廃止による創業の促進 ■ 最低資本金制度廃止による創業の促進 LLC 合名・合資会社制度を母体に 合名・合資会社制度を母体に 所有と経営が一体化してい組織 所有と経営が一体化してい組織 ■ 法人課税ではなく構成員課税を認める ■ 法人課税ではなく構成員課税を認める ■ 人的資産が競争力の唯一の源になるよ ■ 人的資産が競争力の唯一の源になるよ 事業の受け皿として活用 うな うな事業の受け皿として活用 (注) 制度設計の視点を提示したもので、現段階で会社法制を3分類することを主張するものではなく、会社区分の制度設計に 当たっては、中小企業が差別を受けることがないよう細心の注意を払うべきである。 52 7 . 早期再生の鳥瞰図 日本企業 1.着手遅延は ガバナンスの問題 2.何故銀行モデルが 問題なのか 閉鎖組織 5.個人保証問題と 銀行行動 6.閉鎖組織の再評価 と銀行モデルの 可能性 旧J型 3.銀行モデル の方向 銀行 新J型・A型 4.銀行モデルの進化は 債権と株主を近づける 投資家 53 (1) 制度改革の鳥瞰図 競争環境下での人的資産を重視した新ステークホルダーモデル “ 新J型 ” ・長期雇用/成果主義 ・多様な金融機能と外部監視機能 ・取引市場における徹底した競争市場環境 ・開放的な組織 “新J型企業”−公開株式会社 “新J型企業”−閉鎖系組織 市場機能の充実 組織の多様化 取引市場における 経営監視機能 ・談合体質の是正 ・財政効率化 ・旧公益市場の活性化 ・依存企業群の改革 ・契約慣行の定着 ・紛争処理の迅速化 金融市場改革 雇用市場整備 ・CF融資慣行への転換 ・債権保全手法等の多様 化 ・信託制度の改正 ・新資金仲介専門銀行 ・ファンド法制の整備 ・金融商品間の損益 通算の導入 ・年功制の否定と成果主義 の確立 ・労働市場の整備 ・閉塞的な組織の開放 譲渡制限 株式会社 LLC LPS ・最低資本金 制度の廃止 構成員課税 の導入 有限責任制 度の整備 ・機関設計の 自由度拡大 信託 制度 NPO 活動範囲の 主体、財産の 拡大 拡充 人的資本・知的資本の評価確立 人的資産・知的資産の評価軸 の確立(フロー、ストック、人的 資産、知的資産の蓄積を促す 組織体制のモデル化) 人的資産・知的資産の蓄積状 態を比較可能な形で客観的 に評価する慣行 54 (2)これからの金融市場 資産重視融資慣行からCF融資慣行への転換 資金仲介主体の拡充 ・信託制度の改正 ・新資金仲介専門銀行 構想の具体化 ・信託業法改正による受託財産と主体の拡大 ・貸金業法改正などによる優良ノンバンクの資金 調達環境の整備 CF担保制度の整備 ・CF融資慣行への転換促進 ・CF担保制度の整備 財団抵当法、企業担保法、担 保附社債信託法の改正、動産 流動化特例法の制定 個人保証に依存しない融資慣行の確立 ・債権保全手法、モニタリング手法の多様化 ・民事再生法を活用した経営者再生制度の確立 ・財務制限条項の導入促進 ・具体化の検討とモデル提示 資本市場の活性化 ファンド法制の整備 ・ファンド法制の整備 LLC研究会報告書において 提案 税制の整備 ・金融商品間の中立性の確保と課 税の簡素化 株式、利子、配当等に関する金 融商品間の損益通算(一元的金 融課税)の導入 機関投資家によるガバナンス強化 ・機関投資家によるガバナンス 強化 機関投資家のパッシブ運用を活 性化するための指標の多様化 55 (3) 新しい日本型経済システムのあり方に関する仮説 従来の経済システム 目指すべき経済システム 雇 用 終身雇用 終身雇用 年功序列 年功序列 長期雇用 長期雇用 非年功序列 非年功序列 金 融 メインバンク メインバンク 金融の多様化 金融の多様化 株式所有 持ち合い 持ち合い 非安定大株主 非安定大株主 企業連携 企業系列 企業系列 オープンな オープンな 企業連携 企業連携 集権型 集権型 ピラミッド型 ピラミッド型 分権的 分権的 水平的 水平的 株式会社 株式会社 組織選択の 組織選択の 多様化 多様化 目指すべき経済システムにおける具体例 拡大された取締役 拡大された取締役 候補者プール 候補者プール 直接金融 直接金融 (外部資本市場) (外部資本市場) 市場型間接金融 市場型間接金融 (投資銀行) (投資銀行) 機関投資家 機関投資家 報酬体系の改革 報酬体系の改革 相対型間接金融 相対型間接金融 ((リレーションシップバンキング) リレーションシップバンキング) ((グループファイナンス グループファイナンス)) 条件付の 条件付の 株式持合 株式持合 外国人投資家 外国人投資家 分業のための企業連携 分業のための企業連携 社内カンパニー制 社内カンパニー制 分社 分社 (グループ)化 (グループ)化 純粋持株会社 純粋持株会社 組織形態 LLC、NPO LLC、NPO 閉鎖株式会社 閉鎖株式会社 公開株式会社 公開株式会社 56 Ⅲ.迅速再生の実現 1.迅速再生の意味 58 2.倒産法制も使いよう 59 (1)「迅速再生」に向けた取組 ∼法的整理と外部人材の戦略的活用∼ (2)法的整理活用による再建の現状 3.破綻という常識を変える 62 (1)−①事業再建法制の活用を躊躇させている障害の解消 (1)−②金融検査マニュアルの改訂について (1)−③東京証券取引所の上場廃止基準 (1)−④少額債権保護の代表事例 (1)−⑤ハウステンボス会社更生法申請時における新聞報道 (2)事業再生のための融資の促進 (3)事業再生に関する税制 4.内部人材重視の常識を変える 70 (1)事業再生人材の育成と活用に向けて (2)米国における事業再生人材の組織 (3)米国における事業再生人材の公認資格 57 1.迅速再生の意味 • 倒産法制も使いよう • 破綻という常識を変える • 内部人材重視の常識を変える 58 2.倒産法制も使いよう • 速く済む • 後がよい 59 (1)「迅速再生」に向けた取組 ∼法的整理と外部人材の戦略的活用∼ ベンカン(継ぎ手メーカー) 山田機械工業(自動結束機) ライフ(信販会社) 民事再生法により手続を開始したが、 早期に事業再生を図るため、破産に移 行して営業譲渡を実行。 幹部職員が早い段階でオーナーを 説得。事業価値が劣化しないうちに 会社更生法を活用。 メインバンクの国有化に伴い、資金調達 が悪化、信用不安の拡大を避けるため会 社更生手続を開始。 技術力には定評があり、早期に事業 再建が行われたため、多くの取引は継 続された。 技術力も高いことから再建の可能 性は高く、販売網も維持され、スポン サーの協力も得られた。 開始決定は6月末だったが、事業の性格 上再建には更生会社の冠を外す必要性 が高く、翌3月までに手続を終了すべく手 続が行われた。 再生ファンド(MKS)が経営に関与し、 コスト削減等を行った結果、生産再開 後1か月で黒字転換。 弁済率は非常に高く(約55%:平均 値は約25%)、連鎖倒産も防止、雇 用も約8割が維持された。 スポンサーからの出資・貸付と、小口債 券の流動化により調達した資金を活用し、 早期に一括弁済を実施。弁済率も約54% を実現。 ○組織再編・事業再生関連の制度整備 組織再編関連の制度整備 97年 倒産法制の見直し開始 98年 99年 株式移転・交換制度 産業活力再生特別措置法施行 00年 会社分割制度 民事再生法施行 01年 組織再編税制 私的整理ガイドライン制定 02年 連結納税制度 会社更生法改正 産業活力再生特別措置法改正 (株) 産 業 再 生 機 構 創 設 中小企業再生支援協議会創設 破産法改正 企 業 再 生 ファンド デット・エクイティ・スワップ 93年 持株会社解禁、合併法制の見直し 98年 03年 DIPファイナ ンス 事業再生関連の制度整備 ・中 小 企 業 等 投 資 事 業 有限責任組合法制定 ・SPC法 制 定 ・債 権 譲 渡 特 例 法 制 定 99年 ・産 業 再 生 法 に よる支 援 (検 査 役 調 査 の 緩 和 他 ) 00年 ・民 事 再 生 法 に お け る減 資手続導入 01年 金融再 生 プ ログ ラム 債権流動化関連の制度 ・特 定 債 権 法 制 定 ∼ 96年 ○金融制度に関する制度整備 ・SPC法 改 正 ・政 府 系 金 融 機 関 に よる ・政 策 投 資 銀 行 に よる支 ・独 禁 法 ・銀 行 法 の 5% 支援制度創設 援制度創設 ルール適用除外 ・RCCと企 業 再 生 フ ァン ドとの 連 携 強 化 ・中 小 企 業 貸 出 に 関 す る新 たな担い手の拡充 ・RCC等 に よる貸 出 債 券 市 場の創設 ・RCC等 に よる証 券 化 機 能 の拡充 60 (2)法的整理活用による再建の現状 私的整理よりも、法的整理を活用した事業再生の方が上手く再建を果たしている。 「法的整理=倒産」という見方から、「法的整理=再建」という見方を確立すべき。 倒産後事業継続企業の業績と債務整理方法の関係 ∼法的措置を実施した企業の方が黒字を計上している企業の割合が高い∼ (%) 100 90 5.6 21.1 23.5 25.0 24.8 26.7 38.5 80 30.0 赤字 赤字 70 22.4 収支均衡 23.5 60 40.6 72.2 黒字 32.6 36.0 38.0 50 32.3 収支 均衡 40 30 56.6 52.9 20 22.2 10 42.6 32.0 29.2 黒字 私的整理 2期連続経常赤字 法的整理 私的整理 直前期のみ経常赤字 法的整理 「平成14年度 中小企業白書」 私的整理 直前期経常黒字 法的整理 私的整理 法的整理 0 37.3 34.4 合計 61 3.破綻という常識を変える • 民間慣行を変える • 融資と税制を変える 62 (1)ー① 事業再建法制の活用を躊躇させている障害の解消 倒産法制の活用には、会社の破綻と事業の再生の局面があるが、今後は後者を重視し た取組が期待される。 我が国の制度慣行上の課題は、債務者区分、上場廃止基準、取引債権者への影響、報 道慣行の4つ。 私的整理 法的整理 これまで 法的整理 今 後 債務者区分 変化しない 破綻先に区分 しっか りした再 建 計 画 であれ ば債務者区分の改善が可能 上場廃止基準 変化しない 上場廃止 一律上場廃止は見直し 取 引 先 との 関 係 安 定 不安定 少 額 債 権 弁 済 制 度 の 活 用 例 そ ご う :50 0万 円 ラ イ フ :1 0 0 0 万 円 報道慣行 「倒 産 」「破 綻 」 「事 実 上 の 倒 産 」 とは 「経 営 破 た ん 」 扱われない と報道 再建への取組が開始された 事実を客観的に報道。 抜本的な再建計画 に取組む インセンティブ となりうる 時価総額基準 で決定 取引先への影響の 小さい再建が可能 法的整理の メリットの浸透 に期待 ジェイ・アリックス(米国ターンアラウンド・マネージャーの第一人者): 米国でも80年代までは倒産法制の活用は恥とされていたが、その後、破綻の側面よりも再生の側面を重視 する風土となった。 63 (1)−② 金融検査マニュアルの改訂について 再建計画の実現可能性が高い場合は、法的再建手続きの場合も、上 位の債務者区分に判定することができる基準が盛り込まれた。 債務者区分の判断に関するこれまでの取り扱いを明確化 ○法的整理申立後は破綻先に分類 【改訂前】 再建計画と債務者区分引 き上げの関係が不明確 【改訂後】 再建計画に合理性があり、実現 可能性が高い場合には要注意先 と判断しても良いことが明確化 合理的かつ実現可能性の高い再建計画 立案に対するインセンティブの強化 64 (1)−③ 東京証券取引所の上場廃止基準 いずれかに該当する場合上場廃止 【2003年5月見直し】 再建型の法的整理・私的整理 ・法的整理の申立て (再建型・清算型を問わず) ※再建型私的整理は上場維持 については一定の要件を満たした ものについて上場継続を可能とする ・再建計画合意の見込み ・流通している株式が無価値化しないこと ・1か月間の上場時価総額が10億円以上 ・上場時価総額基準 9か月連続で時価総額が10億円未満 ・債務超過(2年連続) 65 (1)−④ 少額債権保護の代表事例 企業名 信販会社ライフ 第一ホテル 佐藤工業 そごう 青木建設 金 額 1000万円 300万円 400万円 500万円 350万円 手 続 会社更生 会社更生 会社更生 民事再生 民事再生 少額債権の保護には3つの段階がある。 【保全処分中】 → 【手続継続中】 → 【計画による弁済】 (弁済禁止からの除外) (手続中の弁済) 66 (1)ー⑤ ハウステンボス会社更生法申請時の新聞報道 日本経済新聞(03年2月26日) 見出し 早期再生困難に 本文 ハウステンボスは…再建計画の抜本的な見直しに向け協議を始めた。 読売新聞(03年2月26日) 見出し ハウステンボス更生法申請へ 本文 ハウステンボスは…会社更生法適用を申請する。 朝日新聞(03年2月26日) 見出し ハウステンボス倒産へ 本文 ハウステンボスは…会社更生法の適用を申請する。 毎日新聞(03年2月26日) 見出し ハウステンボス破たん 本文 ハウステンボスは…会社更生法を長崎地裁に申請し、事実上倒産する。 67 (2)事業再生のための融資の促進 再建途上の企業に対する融資は、既存の債権に比べて優先して弁 済。事業再生後の融資であれば更に安全性が高い。政策金融機関の 融資制度を呼び水として、民間金融機関による取組が期待される。 私的整理段階での融資 法的手続活用時の融資 (私的整理ガイドライン・産業再生機構が支援する案件) 既存の債権に優先し て弁済される。 手続開始 共益債権として扱われるた め、安全な融資とされる。 手続終了 法的手続申立て ※米国における公開企業の DIPファイナンスは年間30∼50件程度 (市場規模は2000億円∼6500億円程度) 従前に比較して確実な キャッシュフローが見込 まれる。 認可決定 政策金融機関による協調融資 (政策投資銀、商工中金、中小企業金融公庫) 政策投資銀行の融資承諾額:約250億円 民間金融機関の協調融資額:約 30億円 (02年データ) 68 (3)事業再生に関する税制 税制の取り扱いは、事業再生を成功させる上では極めて重要。早 期の事業再生を促す上で有効な税制の有り方を検討する必要があ る。 私的整理 法的整理 産業再生機構案件 債 務 者 側 民事再生法 × ○ ○ 資産再評価に伴う 資産の評価損益の計上は認 産業再生法の認定により評 資産の評価損の計 評価損益の扱い 会社更生法 ◎ 資産の評価損益の 計上が認められる められない 価損の計上は認められる 上は認められる △ ○ ○ 法と同様の扱い い 欠損金分も利用できる 金から優先利用可 △ ○ ○ ○ 合理的な再建計画に基づくと認 められるものに限り損金算入 合理的な再建計画として 損金算入 債権カット分 は損金算入 債権カット分 は損金算入 ◎ 債務免除益と繰越 合理的な資産の整理に該当す 合理的な資産の整理とし 青色繰越欠損金で不足 期限切れ繰越欠損 欠損金の相殺 ると認められた場合、民事再生 て、民事再生法と同様の扱 する分は期限切れ繰越 債 権 債権放棄を行った 者 場合の損金算入 側 69 4.内部人材重視の常識を変える • 常時は内部監視、緊急時には外部監視の メカニズムの復元 • 外部人材のプール • 事業再生ビジネスのルール 70 (1)事業再生人材の育成と活用に向けて ○再建を要する案件の増加 2002年の上場企業倒産件数 :29社(戦後最高水準) 不良債権処理に伴い引き続き 高水準である可能性は高い。 ○事業再生実務家の声 「大型企業の再建には、専門 4大銀行における取引先の 健全化支援:4700社(日 本経済新聞:03/1/29) 家による20∼30名のチームが 数ヶ月間貼り付く必要がある。」 早急に多くの事業再生人材が必要とされる 9.7% ○米国における事業再生人材 米国では事業再生がビジネスとして成 立しており、事業再生の専門家の団体 (「ターンアラウンド・マネジメント・ アソシエーション(TMA)」)に現在 5000人近くが加入。 ○TMAの加入者 22.7% 5.0% コンサルタント・実務家 弁護士 貸し手 6.8% 中継ぎ 経営者(ターンア ラウ ンド・マネージ ャー) フィナンシ ャルア ドバイザー 7.8% 会計士 12.4% 8.0% 投資家 銀行員 10.8% 8.4% 9.4% ヘッ ドハンター その他 ○人材育成・活用のための環境整備(平成14年度補正予算) 育成 「事業再生人材育成センター」、大学院モデル講座等 活用 「事業再生実務家協会」(現在会員600名) 「事業再生実務家協会」 ・・・現在、シンポジウム、トップセミナー等の開催、大学 院事業再生モデル講座への協力など積極的に活動中。 「中小企業再生支援協議会」における専門家の活用 「中小企業再生支援協議会」 71 (2)米国における事業再生人材の組織 米国には、事業再生人材(ターンアラウンド・スペシャリスト)の組織として、以下の二つが存在する。 (下記2機関のメンバーでなくとも、コンサルティング会社の経営コンサルタント、法律・会計事務所及び 金融機関の企業再建チーム などもターンアラウンド・スペシャリストと呼ばれることに留意。) TMA (Turnaround Management Association) ◆創設:1988年 (本部:イリノイ州シカゴ市) ◆活動内容:多種多様な問題を抱え、状況の改善や再建を目指す企業を対象とする様々なコンサルティング活動をサポート。 また、会員を対象に数々のセミナーを開催し継続教育を実施。 ◆会員数:約6,300人。(’02年末時点。カナダ、イギリス、ニュージーランドの海外3ヶ所を含む32の支部の合計。非米国人を含む。) ◆会員資格: <正会員> 企業・事業再生関連業務を主たる職業とするプロフェッショナル。 <準会員> 企業・事業再生関連業務を主たる職業としないが、関連ビジネスの発展に寄与する者 <政府会員> 企業・事業再生関連分野で活動する政府職員、裁判官、司法職員等。 <学会会員> 企業・事業再生関連科目を教授する教官、研究している大学又は大学院生。 ◆会員の主な職業:ターンアラウンド・マネジャー、弁護士、ファイナンシャル・アドバイザー、生産管理アドバイザー、 司法関係者、金融機関職員、学者 AIRA (The Association of Insolvency and Restructuring Advisors) ◆創設:1987年 (本部:オレゴン州メッドフォード市) ◆活動内容:主に、倒産企業や支払不能に陥った企業を対象とする会計実務における活動をサポート。 倒産法制や倒産企業会計などについて、政府や会計原則制定機関などに意見答申。 ◆会員数:約800人 ◆会員資格: <普通会員>公認会計士、公認企業倒産会計士、公認経営会計士などの資格保有者。 <特別会員>弁護士、管財人、金融機関職員、企業再建・再編のプロなどの実務家。 <政府・学会> 政府管財人、破産法廷判事、研究者(大学教官など) ◆会員の主な職業: 会計士、弁護士、倒産専門コンサルタント、管財人、学者 72 (3)米国における事業再生人材の公認資格 米国においては、以下の通り、前述2機関が公認するターンアラウンド・スペシャリストの資格が存在する。 CTP (Certified Turnaround Professionals) ◆運営機関:TMA (前頁参照) ◆認定機関:ACTP (’93年創設。The Association of Certified Turnaround Professionals) ◆認定支援機関: Northeastern University (ボストン) ◆人数:全米で200人強(’02年末時点) ◆取得要件: ① 5年以上のコンサルタント経験を有し、そのうち3年以上がターンアラウンド関連業務であること ②適格者3名以上からの推薦状 ③取引先3社からの取引確認状 ④倫理条項遵守誓約書 ⑤関与したケース(事例)の提出 ⑥公認校における学士以上の学歴又は10年以上のコンサルティング又は経営層としての実務経験 ⑦本人の照会チェック ⑧ACTPが主催する筆記試験の合格 (科目:「会計」、「法律」、「経営」) ◆継続要件: TMA・ACTPの認定する継続教育プログラムへの参加(最低5年以上、125単位)、 ターンアラウンド分野での活動を継続していること 等 ◆活動内容:企業再建、企業問題発生時の対応、問題事業や組織の改善 CIRA (Certified Insolvency and Restructuring Advisors) ◆運営機関、認定機関:AIRA (前ページ参照) ◆人数:200人強 ◆取得要件: ①AIRAのメンバーであること ②倫理条項遵守誓約書 ③AIRAの実施する講座の受講と筆記試験の合格 (科目:「企業再建・倒産実務」、「実務企画」、「会計・財務諸表・税務」) ④最近8年間のうち、4,000時間を窮境企業経営、企業再編、支払不能企業に関連するビジネスに従事していたこと ⑤倫理条項遵守誓約書 ⑥「CPA、Chartered Accountant、Certified Management Accountant等の資格保有者であるか、「学士であり、実務界 にて5年以上の会計又は金融の経験を有すること ⑦現雇用主を除く第三者3名からの照会状の提出 ◆活動内容: 窮境企業経営、企業・事業再生、支払不能企業などへの会計実務の提供 73 Ⅳ.おわりに • 行政の責務=制度改革 • 民間の責務=慣行是正 • 共通の課題=新しい常識の共有 74 提案の区分 (1)「早期事業再生ガイドライン」における提案の進捗状況 ∼「早期着手」に向けた制度慣行の改革∼ 制度整備 政策的支援 進捗状況の評価 実施済み 実施予定・途上 民間による対応 進行中 【提 案】 【進捗状況】 開示 慣行( 東証の 開示項 目での 活用) 東証 :決算 短信で 指標群 の記載 【3月 期∼】 ガバ ナンス の充実 民間 企業に おける 自主的 な取組 に期待 競争 の促進 産業 金融部 会中間 報告公 表【4 月】 信託 関連法 制整備 CF 担保制 度の整 備 担保 制度研 究会報 告書公 表【1 月】 担保 法制整 備 ロー ン市場 の整備 (全銀 協) 貸出 債権市 場協議 会報告 書公表 【3月 】 ファ ンドの 活用促 進 LL C研究 会開催 中【6 月取り まとめ 】 キャ ッシュ フロー 経営 [早期着手] キャ ッシュ フロー 融資 LP S法制 投資 家・株 主によ る事業 再生 商法 現代化 【H17】 事業 法人に よるM &Aの促進 産業 活力再 生特別 措置法 改正【 4月施 行】 企業 結合ガ イドラ イン 民事 再生手 続の活 用 経営 者の再 生 自由 財産の 拡充( 破産法 改正) 【臨時 国会】 個人 保証問 題への 対応 個人 保証問 題の制 度比較 調査開 始【6 月∼】 融資 慣行の 変革 コベ ナンツ の活用 等新し い融資 慣行へ の転換 75 提案の区分 制度整備 (2)「早期事業再生ガイドライン」における提案の進捗状況 ∼「迅速再生」に向けた制度慣行の改革∼ 進捗状況の評価 実施済み 政策的支援 実施予定・途上 民間による対応 進行中 【提 案】 プレ パッケ ージ型 事業再 生 プレ パッケ ージ型 事業再 生モデ ルの提 示 【進捗状況】 プレ パッケ ージ研 究会( 事業再 生研究 機構) 【5月 ∼】 債務 者区分 におけ る取扱 の明確 化 金融 検査マ ニュア ル改訂 【2月 下旬】 東証 上場廃 止基準 の見直 し 東証 :上場 廃止基 準の見 直し【 5月∼ 】 [迅速再生] 法制 活用時 の障害 の解消 少額 債権弁 済制度 活用に よる取 引債権 保護 報道 慣行の 改善 DI Pファ イナン スの活 用 プレ パッケ ージ研 究会( 事業再 生研究 機構) 【5月 ∼】 報道 機関の 自主的 な取組 に期待 事業 再生フ ァイナ ンス研 究会( 事業再 生研究 機構) 【秋∼ 】 事業 再生へ のイン センテ ィブ 税制 への期 待 税務 問題委 員会( 事業再 生研究 機構) 【4月 ∼7月 】 16年 度税制 改正要 求 事業 再生人 材の育 成 事業 再生人 材の育 成と活 用 事業 再生人 材育成 センタ ーモデ ル授業 開始【 5月∼ 】 事業 再生実 務家協 会設立 【4月 】 事業 再生人 材の活 用 中小 企業地 域再生 協議会 (43 カ所設 置)【 6月現 在】 76 (3)事業再生は仕組みの組み直し ∼企業も銀行も行政も 重化学工業化 商業資本主義 知識集約化 創造的知識集約化 産業構造ビジョン 物的資産 旧A型<旧J型 産業資本主義 統合 世紀 20 構造改革(旧J型否定) 移行期 世紀 21 人的資産 旧J型<新A型 新資本主義(新J型提示) ポスト産業資本主義 新A型<新J型 構造改革ビジョン 分割 資本主義ビジョン 集中 77 早期事業再生研究会 早期事業再生ガイドラインは、経済産業省において開催した「早期事業再生研 究会」の議論の結果を踏まえて作成したものである。 研究会委員名簿 【座長】高木新二郎 獨協大学 法学部教授 ときわ総合法律事務所客員弁護士 阿部 泰久 社団法人日本経済団体連合会 経済本部 税制グループ長兼経済法制グループ副長 片山 英二 阿部・井窪・片山法律事務所 弁護士 齊藤 誠 一橋大学大学院 経済学研究科 教授 坂井 秀行 坂井・三村法律事務所 弁護士 静 正樹 株式会社東京証券取引所 上場部 企画調整担当課長 須田 徹 税理士法人トーマツ 理事長代表社員 田作 朋雄 PwC FAS株式会社 取締役・パートナー 中村 廉平 商工中金 法務室長 松下 淳一 学習院大学 法学部 教授 三好 眞 株式会社 金融工学研究所 常務取締役 三好 康之 メリルリンチ日本証券株式会社 投資銀行部門 マネージングディレクター 安嶋 明 日本みらいキャピタル株式会社 代表取締役社長 柳川 範之 東京大学大学院 経済学研究科・経済学部 助教授 住田 昌弘 株式会社整理回収機構 常務執行役員 由良 芳從 全国銀行協会 UFJ銀行 戦略支援部 部長 横山 洋一郎 日本政策投資銀行 事業再生部 次長 (50音順・敬称略) 78