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履歴書を、焼く!!
経済学部・堀ゼミ 3 年生がお薦めする「経営者が書いた本」(9) 履歴書を、焼く!! きょうの一冊:盛田昭夫『学歴無用論』文芸春秋,1966 この本は、本館 3F 企画コーナーにあります。【請求記号:336.4/Mo67 】 東大、一橋、早慶上智・・・名だたる大学に通う大学生は果たして本当にビジネスの場面においても俊才なのか。 私の二番目の兄は浪人して某有名私立大学に入った。彼が最後までこだわったのは、大学の名前と、一番上の兄に負けたくないというプラ イドだった。そして彼は今某有名企業に入社したいと言っている。そんな兄を尻目に、私桜美林大学に入学し、夢だった留学をして自分にと って大切なことを優先させた。 そんな私を見て兄は、 「お前は自由に生きていていいな。しかし世は実力主義といっても大半の企業は未だ学歴を重視するんだぞ。それを頭 に入れておく必要がある」と言った。確かにそうだと思っていた。最近日本の企業も実力を重視する傾向がないわけではないが、おそらくほ とんどの企業が学歴重視である。大学の先輩から聞いた話では、ある銀行は有名大学とそうでない大学で、試験の実施日も違っていたそうだ。 就職の第一関門から学歴というものは強い武器になるのであろう。 そういう考えになりつつあった私にとって“履歴書を焼く”という言葉は目を引くものだった。 SONY を一代にして世界的な大企業に育てた盛田さんは、 「履歴書を焼く」と 1961 年に口外して波紋を呼んだ。そして 1966 年、彼はこの 本を書いた。彼は単なるアメリカの真似、完全実力主義を行っているわけではない。日本の社会背景や人間性を理解し、アメリカに学ぶとこ ろは大いに学び、日本の独自の雇用制度をつくるべきだと述べている。その上で学歴など意味を持たないというのだ。大学出だからと言って 仕事が出来る、或いは出来て当然。高卒だから仕事ができないという観念が間違っているということから、入社試験の履歴書には一切学歴を 書く欄を無くし、入社後も学歴を伏せたままの人事を行っている。 また、彼は日本の創造性の欠如にはそういった学歴社会が関係していると述べている。コツコツと勉強をし、有名大学に入学したというこ とはやはりすごいと思う。しかし人が学ばなきゃいけないことは、机の上で学ぶものだけではない。そして時にそういった学びが人を豊かに する。だからこそ、学歴よりも人間性、創造性、行動力を高く評価する SONY という企業は、一代で世界的大企業になれたのだろうし、それ に追随するような企業がもっと増えて欲しいと思った。 これから私は何を武器に社会で歩いていくのかわからない。いずれにせよ、自分の力で道を切り開いていけるだけの力をつけようと思った。 (評者:神谷 未来) 2007/06/15 桜美林大学図書館