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2003 年 11 月~ 2006 年 9 月

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2003 年 11 月~ 2006 年 9 月
2003 年 11 月~ 2006 年 9 月
会長から皆様へ ICT 教育推進プログラム協議会会長 清水康敬 文部科学省からのメッセージ 文部科学省初等中等教育局参事官 嶋貫和男
3 年間の活動経過
ICT スキルアッププログラムで大きな成果
インタビュー 茨城県 稲葉節生教育長
事務局長からのメッセージ ICT 教育推進プログラム協議会事務局長 大井川和彦
ICT スキルアッププログラムを導入した各地の教育委員会より
2
3
4
6
7
8
活動報告 1 ICT
スキルアッププログラム
活動報告 2 リサイクル PC 寄贈プログラム
活動報告 3 スクール OS 無償プログラム
活動報告 4 その他の活動
11
17
21
21
ICT 教育推進プログラム協議会 役員・会員一覧
23
ICT……Information and Communication Technology の略。情報コミュニケーション技術のこと。
会長から皆様へ
会長から皆様へ
ICT 教育推進プログラム協議会 会長
清水康敬
わが国では 2001 年度からスタートしたミレニアムプロジェクトとして「教
育の情報化」が推進されています。この教育の情報化プロジェクトでは、
「学
校が変わる」
「授業が変わる」
「子どもが変わる」をキーワードにして、学校
の情報インフラの整備、教育用コンテンツ開発と利用促進、教員の ICT 活用
指導力の向上に関する数値目標に向けて推進してきました。ただし、この教
育の情報化の推進のためには、産・学・官の連携が重要であることは周知の
通りですが、わが国ではなかなかこれらの連携が機能できませんでした。諸
外国とは違い、わが国では企業の支援を直接受けることには学校関係者が躊
躇する傾向があるためです。
このような状況の中で、民間の力と学校の要望を連携できる組織として
「ICT 教育推進プログラム協議会」を設立して種々の活動をしてきました。
お陰様で関係企業等の賛同も得られ、協議会の会員団体も現在 36 となりま
した。また、本協議会の活動は4省(23 ページ参照)の後援を得ています
が、とくに文部科学省からはコンテンツ制作等に関する支援をいただいてい
ます。
ところで、教員や児童生徒が ICT を授業で活用することによって、
「児童
生徒の学力の向上」をさせることができ、
「情報化社会においては欠かせな
いスキル」を育成することができます。そのためには、学校の情報インフラ
の整備と教員の ICT 活用指導力の向上が鍵となっています。そこで、本協議
会では、
学校での ICT 活用を推進するために「教職員のスキルアップ」と「ICT
しみず やすたか
1940 年長野県生まれ。東
京工業大学教授他を経て、
機器へのアクセス機会の拡大」の側面からサポートしてきました。なかでも
「ICT スキルアッププログラム」は 6 都県で導入され、教員の ICT 活用指導
2001 年 3 月 に 定 年 退 職、
力向上に貢献しています。本協議会はこの3年間に教育界との連携の輪を広
東京工業大学名誉教授。現
げることができました。
在、独立行政法人メディア
教育開発センター理事長、
そこで、このたび本協議会の活動を広く知っていただくために、今までの
国立教育政策研究所・教育
3年間の活動報告をまとめました。協議会としましては、今後もより一層の
研究情報センター長 ( 兼
努力を重ねて学校教育の情報化の支援に努力していく所存です。さらに多く
務 )、NPO 法人 ブロードバ
ンドスクール協会 理事長。
の関係者の支援をいただきたくよろしくお願いします。
文部科学省からのメッセージ
文部科学省からのメッセージ
民の立場から今後も
教育の情報化の支援をお願いします
文部科学省初等中等教育局参事官
( 産業教育・情報教育担当 )
嶋貫和男
民間が中心となって、
学校における教育の情報化を支援していこうという、
このような協議会の活動は、
教育の情報化を加速させる、
まさに強力なサポー
ターであり、我々としても、とても心強く感じております。
「スクール OS 無償プログラム」や「リサイクル PC 寄贈プログラム」
、教員
の ICT 活用指導力の向上を目的とした「ICT スキルアッププログラム」等の
事業を推進されていることは、教育の情報化を推進する上で、
「学校の ICT
環境整備」
、
「教員の ICT 活用指導力の向上」などの目標を掲げ、その充実を
図ってきた私どもの取り組みと軌を一にするものであり、大変注目もし、期
待しているところです。
これらのプログラムについては、学校からの要望も大変多いと聞いており
ます。このような協議会の活動が規模においても、内容においても、更に充
実していくことを強く期待しております。
学校における「教育の情報化」は、
今年 1 月に策定された「IT 新改革戦略」
にも目標として掲げられているように、我が国の ICT 戦略の重要な柱のひと
つであり、国を挙げ、重点的に取り組むべき課題と考えております。この戦
略の中では、これまでの教育の情報化の諸施策について更にレベルアップを
図るとともに、校務の情報化の推進など、新たな目標も掲げております。
しかし、もとよりこのような目標は、国の施策のみによって完結するもの
しまぬき かずお
1949 年生まれ、北海道出
ではなく、地方公共団体の取り組みや、現場の先生方、情報化を支える民間
身。1974 年文部省に入省、
の推進力が相まって初めて達成が図られるものです。とりわけ、進化の激し
1991 年東京大学庶務部人
い ICT の分野では民間のノウハウ等に負うところが多く、期待も高まってお
事課長、1996 年文部省大
臣 官 房 人 事 課 課 長 補 佐、
ります。
2001 年文部科学省大臣官
ICT 教育推進プログラム協議会におかれましては、民の立場から今後とも
房人事課調査官、2004 年
教育の情報化を支援していただきたいと考えております。一層のご活躍を強
文部科学省大臣官房企画官
を経て現職に至る。
く期待しております。
3 年間の活動経過
3年間の活動経過
(2003 年 11 月~ 2006 年 9 月)
ICT 教育推進プログラム協議会は、日本の小中高等学校等における情報コミュニケーション技術へのアクセス機会
の拡大を通じ、教職員、児童、生徒の情報技術の向上を図り、情報化社会に貢献する人材育成に寄与することを目的
に、平成 15 年 11 月に設立されました。 以来、ここにご紹介するような活動を展開してきました。
■ ICT 教育推進プログラム協議会は、次の事業を行っています。
①情報コミュニケーション技術に関する知識の普及及び啓発。
②小中高等学校等の情報コミュニケーション技術活用のためのインフラストラクチャー整備事業。
③小中高等学校等の教職員、児童、生徒の情報コミュニケーション技術を向上するための事業。
④その他目的を達成するために必要な事業。
対象:国内全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校( 盲学校、聾学校、養護学校 )
および上記学校の教職員
ICT スキルアッププログラム
ICT 教育推進プログラム
協議会の発足式のようす
● 03 年 11 月 18 日
ICT 教育推進プログラム
協 議 会 設 立。19 団 体 が
参 加。 写 真 は、 米 国 マ
イクロソフト社 CEO ス
ティーブ バルマーも参
加しての発足式
● 04 年 1 月
ICT ス キ ル
アッププログ
・ 兵 庫 県 に て 17 開 催、709
名が受講
・7 カリキュラムを開発
ICT スキルアッププログラム
2 カリキュラム開発(授業編、校
務編)
ラ ム、 カ リ
キュラムの開
発スタート
16
平成
年度
リサイクル PC 寄
贈プログラム
● 04 年 5 月
15
平成
ICT スキルアップ
年度
プログラム、研修
の提供開始
スクール OS 無償プログラム
リサイクル PC 寄
贈プログラム
2004 年 3 月時点、
・ソフトウェア管理に関するパ
ンフレット作成
・全国の9教育委員会が参加登
3 教育委員会、40
校に対して 1,051
台を寄贈
● 04 年 6 月 23 日
スクール OS 無償
理事会開催。参加団
プログラム
体は 22 団体に増加
全国の小中高等学
校および特別支援
10 校・249 台 の
録し、小中高等学校および特
学校、148 校より
寄贈が決定
別支援学校に 87 校に提供
申込
3 年間の活動経過
■事業は 3 つのプログラムを中心に展開されています。
ICT スキルアッププログラム
リサイクル PC 寄贈プログラム
スクール OS 無償プログラム
ICT ス キ ル ア ッ プ プ ロ グ ラ ム
リサイクル P C 寄贈プログラム
スクール O S 無償プログラム
は、学校の情報リテラシー向上に
は、企業等で使用していた使用
は、学校にある企業などから寄
貢献するための教育プログラムで
済み PC を一旦完全にクリーン・
贈された使用済み PC に対して、
す。教員を中心に、児童・生徒の
アップにした状態に戻し、その後
Microsoft ( R ) Windows ( R ) 2000
ICT 教育に役立つカリキュラム /
OS やセキュリティソフトウェア
オペレーティングシステム( OS )
マテリアルを提供する他、教員向
をインストールまたは添付したも
のライセンスなどを無償で提供す
けの Web ページなどから情報を
のを小中高等学校等に寄贈するプ
るプログラムです。
無償で提供しています。
ログラムです。
● 06 年 3 月
● 06 年 3 月 3 日
パソコン検定協会、マイク
CEC E スクエア・エボリュー
ロソフト社と共同で中・高
ション成果発表会に参加
校生向けパソコン検定公式
テキストを開発
ICT 教育推進プログラム
平成
協議会の理事会のようす
度
18 年
● 05 年 6 月 22 日
理事会開催。参加団
体は 30 団体に増加
● 06 年 6 月 28 日
理事会開催。参加団
平成
度
17 年
校長・教頭のための ICT のス
スメ(ストリーミングコンテ
ンツ)を作成、配布開始。全
● 05 年 8 月~ 06 年 3 月
10 カリキュラムが揃う
教育情報化推進協議会、NPO 法人
ブロードバンドスクール協会と合同
で学校教育の情報化を推進するた
め、
「校内 LAN 整備加速パッケージ」
と「一日インターネット安全教室」
を全国 50 校に無償で提供
体は 34 団体に増加
● 06 年 1 月
ICT スキルアップ
プログラム
兵 庫 県、 茨 城 県、
宮 城 県、 東 京 都、
埼玉県、その他で
● 05 年 11 月
実施。受講者合計
ICT スキルアッププログ
は 5,203 名
ラムカリキュラムの一部
を国立教員養成系大学向
けに、国立大学教育実践
研究関連センター協議会
経由で提供開始(現在、
17 大学が参加)
リサイクル PC 寄
贈プログラム
1 教育委員会、22
校 に 対 し て 681
台を寄贈
スクール OS 無償
プログラム
ICT スキルアッププログ
ラム講習会の一風景
全国の小中高等学
校および特別支援
学校、180 校に提
供
インタビュー 茨城県 稲葉節生教育長
ICT スキルアッププログラム
導入で大きな成果
インタビュー
茨城県
稲葉節生教育長
ICT スキルアッププログラム導入後 “指導できる教員” の
割合を 96.5%にまで高めた茨城県。研修を成功させ先生
方の ICT 指導力を高める秘訣を稲葉教育長にうかがった。
聞き手●大井川和彦(ICT 教育推進プログラム協議会事務局長)
教育委員会としてもきちっと計画を立てて取り組んだ
■指導できる教員が 68.9% から 96.5%にアップ
合わせが、トータルで良い結果を招いたのだと思います。
稲葉:ICT スキルアッププログラムは、私たちにとって
大井川:ところで、ICT スキルアッププログラムの導入
たいへんありがたい企画です。先生方の研修に優れた講
を決めた理由は、どんなことでしたか? 簡単にお話し
師を派遣していただき、丁寧に指導してもらえる。しか
ただけないでしょうか?
も、テキストなどは無料。これらのことにたいへん感謝
しています。プログラムを導入して 2 年になりますが、
■ ICT 活用の在り方が県の求める内容と一致
茨城県は平成 15 年度末の段階で、パソコンを使って教
稲葉:いくつかありますが、次のような理由で導入を決
科指導できる教員の割合が 68.9% でしたが、平成 17 年
めました。
度末には 96.5%にまで向上しました。この数字は全国
①各コースの内容が1日で完結できる構成であり、多く
第 2 位とのことです。
の先生が参加しやすい構成になっていること。
大井川:他の都道府県でも、このプログラムを展開して
②コースが複数用意されており、初心者向けから、リー
いますが、茨城県はもっとも積極的に参加され、研修の
ダー向けなどレベルに応じ、個々の教員の要求に対応で
機会提供を教育委員会が強力に推し進めてくださってい
きること。
ます。それによって、96.5%という数字の示す成果が現
③授業における ICT 活用の在り方が、本県の ICT 教育の
れているのだと思います。この企画が成果を上げている
求める内容と一致するものであったこと。教材が、すぐ
ことを実証するという意味でも、茨城県の取り組みは私
に授業に活用できる内容であったことも挙げられます。
たちにとっても嬉しい限りです。
④テキストが非常に使いやすく、各コースのテーマに
稲葉:導入に当たっては、担当指導主事が「いい機会だ
そって、初心者にも理解しやすい内容であること。
から、協議会に協力してもらおう」と判断し、学校現場
⑤講師の費用、教材費用等の負担がないこと。
では多くの先生方が、
「今こそ ICT 指導力を身につける
⑥研修会受講後にも、研修内容について E-mail による
時期である」とその必然性を感じていた……タイミング
サポートがあり、各学校での研修、実践中の疑問やト
がピッタリだったんですね。それで研修が軌道に乗った
ラブルにも対応できるサポート体制が用意されているこ
のだと思います。
ただ研修を受けるというだけではなく、
と。また、授業用コンテンツの Web での提供や、マイ
どういう組み合わせがベストなのか、現場に対してはど
クロソフト製品についての、無料電話サポートなどがあ
んな形でそれを反映していくか等々、教育委員会として
ること。
もきちっと計画を立てて取り組みました。これらの組み
大井川:わかりやすくまとめていただきありがとうござ
事務局長からのメッセージ
います。では、成功の秘訣については、どのような配慮
事務局長からのメッセージ
というか作戦が功を奏したとお考えですか?
稲葉:最初に挙げられるのは、授業への ICT 活用が活発
3年間の活動をふりかえって
でない学校や市町村を対象に研修を実施したことです。
そして “指導に自信がない” 教員を対象とした研修とし
て実施したこと。さらに、プログラム参加者には、事後
の自己研修の内容を用意しました。
大井川:ねらいを明確に定めたわけですね。
大井川和彦
■校内研修も充実させた
ICT 教育推進プログラム協議会
事務局長
マイクロソフト株式会社 執行役
公共インダストリー統括本部長
稲葉:校内研修による学校内での伝達講習も徹底しまし
た。養成した校内の情報教育リーダーを中心として、校
内研修を充実させたのです。その際、テキストがダウン
ロードできるので、
校内研修はやりやすかったようです。
大井川:なるほど、細かい心遣いや、研修後のフォロー
も充実しているわけですね。茨城県で研修が大きな成
2003 年 11 月の ICT 教育推進プログラム協議会設立
果を上げている理由がわかる気がします。私たちが教
から約 3 年が経ちました。当初より、5 年間という期
育を支援していく活動の背後には、夢があります。子ど
間を区切り、全力を傾けて教育の情報化に取り組むこ
とを目標にしていましたが、その半分が経過したこと
もたちの学びは幅広いわけですが、知識の吸収だけでな
になります。
く、考える力や交渉する力、あるいはプレゼンテーショ
弊社は、
「世界中のすべての人々とビジネスの可能
ンする力のようなものをトータルに育てていくとき、コ
性を最大限に引き出すためのお手伝いをします」とい
ンピュータは力を発揮すると思うのです。先生方には、
う企業ミッションをかかげています。このミッション
ICT をもっともっと活用していただき、子どもたちの力
のもとで弊社が実施している企業市民活動の取り組み
を伸ばしていただきたいのです。そこに少しでも貢献で
の一環として、当協議会の活動に参画しました。今、
きれば、私たちも同じ日本人として非常に嬉しいなと思
振り返れば、私どもの活動は清水先生に、民間の立場
います。
から教育の情報化に対して何か貢献することはできな
稲葉:ICT スキルアッププログラムは、
19 年度までサポー
いかとご相談することから始まりました。清水先生に
貴重なアドバイスをいただいたことを、今でも鮮明に
トを受けられるということですね。
少し気が早いですが、
覚えています。
その後は茨城県が独自性をもって、これを発展的な教員
現 在、 当 協 議 会 の 会 員 は 36 団 体・ 企 業 に 増 え、
研修に役立てていきますので、期待していてください。
12,756 名の先生方が「ICT スキルアッププログラム」
大井川:私たちも、続けてご利用いただけるようなイン
の教員研修を受講もしくは独自開発の教材を通じて学
フラ、あるいはサポートを何らかの形で作っていきたい
習されました。
「リサイクル PC 寄贈プログラム」に
と考えています。今日はたいへん参考になるお話をお聞
関しては、5 教育委員会、69 校に 2,108 台のリサイ
かせいただき、ありがとうございました。
クル PC を寄贈し、
「スクール OS 無償プログラム」で
は、546 校に対して OS ライセンスを提供することが
できました(数字は 2006 年 8 月末現在)
。
最近では当初のプログラムの枠を超え、国立の教員
養成系大学に対してカリキュラムを提供したり、パソ
コン検定協会と共同で生徒向けテキストを制作したり
と、活動の幅も広がってまいりました。これも、一重
に会員団体の皆様のご協力のお陰でございます。今後
一層、学校における教育の情報化を促進し、児童、生
徒の学力向上や校務の効率化にお役に立てるよう邁進
していく所存です。皆様には引き続き協議会の活動を
ご支援いただきますようお願い申し上げます。
教育と ICT について語り合う稲葉教育長と大井川事務局長
ICT スキルアッププログラムを導入した各地の教育委員会から
ICT スキルアッププログラム
を導入した各地の教育委員会より
兵庫県教育委員会
東京都教育委員会
受講者は県の情報教育推進リーダーとして活躍
授業で活用するという視点を高く評価
平成 15 年 8 月 1 日、井戸兵庫県知事がマイクロソフ
東京都教職員研修センターにおける情報教育に関す
トコーポレーション米国本社を訪問、兵庫県の情報化の
る教員研修が、組織再編のために縮小傾向にある中で、
推進について協力を要請しました。その後、マイクロソ
ICT スキルアッププログラム協議会から本プログラムの
フトが、人材の交流や IT を活用した先進的な教育の推
実施について提案をいただいきました。3 年間の時限措
進等について兵庫県と協力する方向で協議が進展し、兵
置ということでしたが、ICT 機器を授業に活用して児童・
庫県とマイクロソフト株式会社は平成 16 年度から、兵
生徒の授業理解を促進するとともに、児童・生徒の情報
庫県における情報化を推進するため相互に連携して、県
活用能力を育成するための教員のスキルアップに合致し
立高校における先進的な教育システムの先行実施、及び
た内容の研修のため、東京都における実施を依頼しまし
県立教育研修所等における教職員の情報化研修の実施に
た。
合意しました。
導入の成果については、ICT 機器を授業で活用するこ
学校における IT の活用を進めるため、県内の小中高
とは効果的であるという認識が広まりつつあり、ICT 機
等学校等の教員を対象に、マイクロソフトと ICT 教育推
器を活用する教員が増えてきているという管理職からの
進プログラム協議会が共同で開発する教材を、平成 16
報告があります。また、ICT スキルアッププログラムを
年度から全国に先駆け兵庫県において先行導入し、実践
受講した教員が所属校の校内研修等の講師を務め、ICT
的な研修を実施しました。
活用リーダーとして活躍している事例もあります。私た
この 2 年間の取り組みで、指導できる教員の割合が
ちは、授業で ICT を活用するという視点のプログラム内
14.6%上がりました。しかし、この結果は予想外で、全
容を、非常に高く評価しています。
国の伸びより低い数字になっています。実施したプロ
なお、東京都は教員数が非常に多いため、ICT に関す
グラムは、用意されたプログラムでも上級者を対象とし
るリーダーを養成して、ICT リーダーが講師を務めたり、
たコースが多く、操作、指導とも苦手な教員が対象とな
伝達研修を実施したりして、情報に関する研修機会を増
る基礎的なコースの実施が少なかったからかもしれませ
やすことが重要と考えています。ICT リーダー養成に関
ん。
するプログラムの充実をお願いしたいと思います。 ICT リーダーズ研修の受講者が開発した ICT を活用す
情報教育のように進化が早い分野において民間の力を
る「防災世界子ども会議プロジェクト」が 2005 年神戸、
お借りできることは非常にありがたいので、平成 19 年
2006 年台湾で開催され、2007 年に名古屋で開催する国
度も、東京都への支援をお願いいたします。
際的な ICT を活用するプロジェクトとして継続されてい
ます。また他の受講者が取組んだプロジェクトは、兵庫
兵庫県での ICT スキ
県が主催する「ひょうご e- フェスティバル」で ICT の
ルアッププログラム
効果的な活用実践として発表され表彰されました。受講
研修のようす
者は、着実に兵庫県の情報教育を推進するリーダとして
活躍し、将来が期待されています。
ICT スキルアッププログラムは、指導力の高い講師と
実践に即した適切なテキスト・教材により受講者から高
い評価を得ています。今後、このプログラムを各自治体
東京都での ICT ス
が実施し拡張していくためにも、各コースの指導者向け
キルアッププログ
ラム研修のようす
の研修の実施をお願いしたいと思います。
ICT スキルアッププログラムを導入した各地の教育委員会から
宮城県教育委員会
埼玉県教育委員会
教科指導ができる教員の割合が
多くの項目で、
前年比 11.2 ポイント増加
受講者が満足しているとの結果
宮城県では、平成 16 年に「みやぎ IT 教育推進構想」
埼玉県教育委員会は、ICT 教育推進プログラム協議会
を策定し、IT で築く確かな学力の実現とその定着を図る
が開発したノウハウによる研修を学校に提供することに
ため、
「IT を活用した分かる授業づくり」に取り組んで
より、多様な研修が実施できると考え導入しました。
きました。平成 16 年 3 月の調査では、
「コンピュータ
平成 18 年度からの実施のため具体的な成果の検証は
を操作できる教員」の割合は 9 割を超え、おおむね満
これからですが、各研修ごとに集計したアンケートの結
足できる状況にありますが、
「コンピュータを使って教
果を見ると、研修の満足度、理解度、授業や校務への有
科指導等ができる教員」の割合となると小学校で 7 割、
益度、講師の説明内容、テキストの内容等、多くの項目
他の校種では 5 割に留まっており、今後さらに教員の
で、受講者が満足しているとの結果を得られています。
資質向上を図るための研修機会を拡充していく必要があ
私たちは、現在、教員がコンピュータを使って指導
ると考え、ICT スキルアッププログラムの導入を決めま
できるようになるための取り組みの一環として、研修に
した。
ICT スキルアッププログラムを取り入れています。埼玉
宮城県では、
「コンピュータを使って教科指導等がで
県教育委員会が独自に作成したコンテンツについても、
きる教員」の割合を平成 22 年度までに 75%へ引き上げ
研修の中でふれて頂いており、埼玉県の学校現場に対応
るという目標を設定しています。平成 18 年 3 月の調査
した研修という視点も取り入れて頂いています。
では、その割合が、前年度と比較して全体では 62.5%
ICT 教育推進プログラム協議会は、環境省、経済産業
から 73.7%へと 11.2 ポイント上昇しました。校種別に
省、総務省、文部科学省の後援を受けて、様々な団体や
見ると、小学校では 76.9%から 84.6%(7.7 ポイント)、
業種の企業が会員として加わって活動されています。そ
中学校では 52.2%から 69.6%(17.4 ポイント)
、高校で
の結果、各種の有益なプログラムの提供が可能となって
は 47.9%から 59.8%(11.9 ポイント)
、盲聾養護学校で
いると考えます。
は 55.3%から 62.4%(7.1 ポイント)と、いずれも上昇
平成 19 年度も継続して ICT スキルアッププログラム
しています。しかし、目標値にはいぜんとして届かず、
の提供を頂きます。研修アンケートを受けての更なる内
引き続き ICT スキルアッププログラムによる研修機会の
容の充実が図られ、協議会の活動が推進されるようお願
拡充が必要です。
いします。
平成 17・18 年度におけるコース別の実施状況を見て
みると、
「パソコン活用基礎授業編」が 18 回、
「ICT ア
クセシビリティ」が 11 回、
「ICT スキル基礎小学校編」
が 8 回、
「パソコン活用基礎校務編」が 6 回、
「Windows
宮城県での ICT ス
Server 2003 編」
「ICT リーダーズ」がともに 3 回な
キルアッププログ
ラム研修のようす
どとなっています。
とりわけ、盲聾養護学校の教員を対象とした「ICT ア
クセシビリティ」は、Windows 内にあるアクセシビリ
ティ(補助)機能を活用することで、障害を持つ子ども
でも気軽にパソコン操作の利便性を得られることが実感
できるものでした。このような機能があることは、日ご
ろパソコンを使い慣れている教員でも、ほとんどその存
在を知らなかったり、有効に使い切れていない状態でし
た。この研修プログラムの中で、障害に応じ様々に設定
を変えてコンピュータを操作するという体験を通して、
あらゆる障害のある子どもの目線に立った指導が可能で
あることを知ることになりました。
埼玉県での ICT スキルアッププログラム研修のようす
ICT スキルアッププログラムを導入した各地の教育委員会から
福岡県教育委員会
授業への導入が行いやすいと好評
福岡県教育委員会は、高度情報社会の進展に対応する
ため、ICT を活用した授業の実施、児童・生徒の ICT 活
用能力及び情報モラルの育成を重点課題として推進して
おります。教員の活用能力の向上については、平成 19
年度末までに県立高等学校のすべての教員が ICT を活用
した授業ができるようになることを目標に研修等に取り
組んでおりましたが、ICT 教育推進プログラム協議会及
びマイクロソフト株式会社から、福岡県の情報教育の推
福岡県での ICT スキ
進に不可欠な教員研修について御支援の申し出をいただ
ルアッププログラム
研修のようす
きました。
そこで、今回 ICT スキルアッププログラムが、他県等
で実績がありノウハウに裏打ちされた効果的かつ教員研
修に適した内容であるため、導入させていただくことと
なりました。
プログラムは、授業に即した具体的な内容であり、授
業への導入が行いやすいと好評です。今後とも、教員の
実態やニーズ、ICT 技術の進展に合わせた研修内容の提
供をお願いします。
10
ICT スキルアッププログラム
活動報告
1
ICTスキルアッププログラム
8000
7000
するための、教職員向けのプログラムです。本プログラムでは教職員
研修の実施や、カリキュラム・教材の提供、教職員コミュニティサイ
ト『Innovative Teachers』の運営など、様々なコンテンツの提供やサ
ポートを行っています。カリキュラムは協議会が組織する ICT スキル
カリキュラムは授業や他の教員との勉強会で実際に使用でき、ICT を
5000
4000
3000
活用した魅力的な授業を生み出すことが期待されます。
2000
本プログラムは都道府県単位で展開しており、現時点では兵庫県、
1000
東京都、宮城県、茨城県、埼玉県および福岡県において導入されてい
ます。平成 17 年度の全国のべ受講者数は 5,203 名を数えています。
0
(人)
6844 名
5203 名
兵庫県
東京都
宮城県
茨城県
埼玉県
導入
間接受講者
アップ部会で作成し、教職員に基本的に無償で提供しています。また
6000
●直接受講者…研修に実際に
参加した教職員
●間接受講者…Web サイト
から教材をダウンロードして
利用した教職員
兵庫県
東京都
宮城県
茨城県
埼玉県
福岡県
導入
直接受講者
ICT スキルアップ プログラムは、教育における ICT の利活用を促進
年度別受講者数推移
兵庫県導入
709 名
16 年度
17 年度
18 年度
2006 年 8 月末現在
ICT スキルアップ プログラムは、10 のコースで実施されています
コース
コース名
対 象
内 容
1
パソコン活用基礎 校務編
教職員
学校において日常的に使われる案内文、懇談会資料等の文書や、
クラス名簿、成績集計表などの作成方法を習得し、校務の効率
化を図るスキルを身に付ける。
2
パソコン活用基礎 授業編
教職員
児童・生徒の学習意欲を高める導入の部分から、学習した内容
を整理・発表させるまとめの部分まで、実際の授業の流れに沿
って、ICT の活用方法を習得。PC だけではなく、インターネッ
トやデジタルカメラの活用についての研修も含む。
3
ICT リーダーズ
校内でリーダー 学校における ICT 利活用の推進リーダー養成コース。研修の中で
となる教職員
ICT を活用した授業案や校内の教職員のスキルアップを図るため
の研修計画を作成、発表する。
4
校長・教頭のための
ICT のススメ
( ストリーミングコンテンツ )
管理職にある
教職員
教育の情報化の意義・目的の再認識から、ICT 導入の工夫や、ヒ
ント、個人情報の管理やセキュリティ対策の概要までを学ぶス
トリーミング教材。
5
ICT スキル基礎 小学校編
ICT スキル基礎
小学校編
児童が習得可能な ICT スキルのうち、65 の必須スキルと 28 の
応用スキルを、12 の授業題材を通じて学習できるカリキュラム。
授業案形式のテキストは、そのまま授業に活用できる。
6
ICT スキル基礎 中学校編
ICT スキル基礎
中学校編
生徒が習得可能な ICT スキルのうち、44 の必須スキルと 36 の
応用スキルを、10 の授業題材を通じて学習できるカリキュラム。
授業案形式のテキストは、そのまま授業に活用できる。
7
ネットワーク
高等学校教員
セキュリティやネットワークを構築するための知識を学びなが
ら、生徒にネットワークの仕組みを理解させるためには、どの
ように授業を行なうかを習得する。
中・高等学校
教員
アルゴリズムの学習を通して、プログラミングを継続して学び、
教える方法を習得する。生徒がアルゴリズムとプログラミング
の基礎を身につけることができる題材を、講義と実習を交えて
紹介する。
ICT を活用して英語を学習する方法について、講義と実習、模擬
授業などを交えた研修を行なう。
8
アルゴリズムとプログラミング
(基礎)
9
ICT イングリッシュ
小・中・
高等学校教員
10
ICT アクセシビリティ
小・中・高
障害のある児童・生徒を担当する教職員のためのパソコン入門
および特別支援 講座。子どもの障害に応じたユーザー補助機能の使い方や教材
学校教員
の作成方法等を学ぶ。
11
活動報告 1
I C T 研修 取材レポート
I C T イングリッシュ
ICT を活用して英語を学習する方法について、講義と
実習、模擬授業などを通して学ぶ研修です。2006 年 7
月 28 日、東京都立足立新田高等学校を会場に実施され
た研修を取材しました。東京都内の小学校、中学校の先
生方が集まりました。
講師は為田裕行さん
(フューチャー
インスティテュート株式会社)です。
研修は昼休みをはさんで午前と午後にわたり、次のよ
うな内容で展開していきました。
「ICT イングリッシュ」の研修風景
【午前】
*講師が小学校、中学校の英語の授業や授業準備に使え
どを紹介。それに続いて、受講者は海外の「日本を紹介
そうなサイト、情報収集に便利な Web 翻訳のサイトな
するサイト」を検索して、英語の授業に使えそうなコン
テンツを見つけました。
【午後】
受講者を個別に指導
*一人ひとりが午前中に見つけた海外の「日本を紹介す
する為田講師(左)
るサイト」を発表しました。日本に関するクイズのサイ
ト、日本の踊り、日本のお祭り、日本の家屋、日本語の
数の数え方、などのサイトが紹介されました。
「Web Messenger」
*講師のアドバイスを参考に、日本文化を紹介するポス
を体験する(下)
ターを Word を使って作成しました。英文を打ち込み、
ワードアートを利用してカラフルな画像を貼りつけまし
た。
*英語の授業にも有効な MSN の「Web Messenger」
を講師が紹介。各自が簡単なメッセージを打ち込み、そ
の使用感を体験しました。
*この日の講習のまとめとして、受講者は PowerPoint
を使って授業の計画を作成し、発表しました。
受講者インタビュー
授業を ICT で活性化できないか?と思い参加
●宮坂きみ子教諭●
小学校で ICT をどのように活用できるか興味をもって
この研修会に参加してみました。パソコンと英語の組み
合わせで「小学生でもこんなことならできる !?」ってい
うことをいくつか教えてもらいよかったです。インター
墨田区立堤小学校宮坂きみ子教諭(左)
ネットの情報検索では、自分が知りたいと思うところ
あきる野市立御堂中学校古川絹恵教諭(右)
にたどり着くのにすごく時間がかかることもあるんです
が、今日、知りたい情報に近づけそうなサイトを紹介し
の持ち方が全く違います。そこで、うまく授業を活性化
てもらったことも教材作りなどに役立つと思います。
したり、英語に興味を持つ手段として ICT が使えないか
●古川絹恵教諭●
と思い参加しました。こんなふうに PowerPoint を授業
私は中学校で英語を教えています。時々少し雰囲気を
で活用できるんだ!ということがわかったことが収穫で
変えてコンピュータを使った授業をすると、生徒の興味
す。早速 2 学期、授業でやってみたいと思います。
12
ICT スキルアッププログラム
I C T リーダーズ
I C T 研修 取材レポート
すべての先生が ICT を活用して児童・生徒を指導でき
ることが求められています。そのためには、各学校で
ICT リーダーを中心に、組織的に先生方への指導を行う
しくみを整える必要があります。ここでカギとなるのは
言うまでもなく ICT リーダーですが、各校において複数
のリーダーが存在することが、ICT 活用を根づかせるポ
イントだとされています。この研修もその意味をこめて
「ICT リーダーズ
(s)
」
と命名されました。
なお、
ICT リーダー
先生方の活発な話し合いも行われた研修の風景
に求められるスキルや知識、心構えは多岐に渡り、内容
2006 年 8 月、3、4、10 日に東京都世田谷区立三宿中
も豊富なので 3 日間の研修スケジュールが設定されて
学校にて開催された「ICT リーダーズ研修」を取材しま
います。
した。この研修には、世田谷区内の小学校、中学校です
でに ICT リーダーとして活躍中の先生方や、今後の活躍
が期待されている先生方が集いました。3 日間のコース
の大きな流れは次のようになっています。
【第 1 日】ICT リーダーとは何か考える
理想的な ICT リーダーに求められる条件について考え、
ICT リーダーズに必要な心構えやスキル、知識について
講義だけでなく、受講者どうしの討論によって認識を深
めました。
【第 2 日】ICT を活用した授業計画を立てる
理 想 的 な ICT リ ー
ICT を教育に用いるメリットを確認し、それを踏まえて、
ダーについて考え、
授業案を PowerPoint を使って作成しました。
まとめた
【第 3 日】
参加者それぞれが自分の学校における ICT 環境の問題点
自校の ICT 環境の問題
点について、各自が洗
を洗い出して発表。それに基づいて、校内研修のプラン
い出し発表した
を作成し、発表しました。
受講者インタビュー
他校の先生方からアイディアをいただいた
●渋谷秀峰教諭●
ある程度は自信があるほうですが、わからないことも
たくさんあります。教員をやっていると、教わる機会と
いうものが次第に減っていくので、自分でも意識して教
世田谷区立桜木中学校 渋谷秀峰教諭(右)
わる立場というものを体験するようにしています。自分
がリーダーとなって教える立場になったとき、やはりわ
世田谷区立三軒茶屋小学校 守屋直孝教諭(左)
からない人の気持ちとか考え方とか、何がわからないの
スキルアップのためにいいかなと思って参加しました。
かといったものまで知っていることが大事なので、今回
知識のある方や他校の先生方からアイディアをいただい
の研修はかなり役に立ったと感じました。
たり、今まで話もしたことがない先生方といろいろな情
●守屋直孝教諭●
報交換ができました。これがこの研修に参加したいちば
今まで情報機器は専門外で自己流でした。情報教育主
んの収穫です。ここで自分が立てた研修計画や授業案を
任になり、主任会のときにこの研修会があることを知り、
他の先生方に紹介し、声かけをしていこうと思います。
13
活動報告 1
I C T アクセシビリティ
I C T 研修 取材レポート
半透明のスクリーンをかざし、視覚障
レポート1 研修のようす●埼玉県立日高養護学校
害者の身になったパソコン操作を体験
2006 年 8 月 25 日に埼玉県立日高養護学校で行われ
た研修を取材しました。ICT が障害者の世界を大きく広
げることは知られていますが、その基本を障害者の身に
なり実習体験を通して学ぶのが、
このコースの特徴です。
講師は、東京大学先端科学技術研究センターの中邑
賢龍特任教授と近藤武夫特任助手。日高養護学校の先生
割り箸を口にくわえてパソコンを起動
方を前に、次のような内容で研修が行われました。
【午前】
love Hidaka.」と入力してファイルを保存しました。
*中邑特任教授による ICT アクセシビリティについての
*「フィルターキー」「マウスキー」など、マウスを
講義。パソコンをはじめとする IT 機器が障害者の世界
使うことのできない障害者がパソコンを使うための
を大きく広げること、ICT により障害者が健常者と同様、
Windows の機能とその使い方が紹介されました。
あるいはそれ以上に活躍できる時代が来ていることを、
【午後】
中邑特任教授は説得力のある事例とともに示しました。
*キーボードを使えない障害者のために、マウスやト
*障害者の身になってパソコンを操作する体験。参加者
ラックパッドだけでパソコンを使う方法を紹介。
は、手を使えない障害者の身になり、割り箸を口にくわ
*視覚障害者のために、画面の文字を拡大したり、画面
えてノートパソコンの蓋を開け、Windows を起動し、
「I
のコントラストを変化させて画面を見やすくする方法を
紹介。ディスプレイの前に半透明のスクリーンをかざし、
ICT が障害者の世界を大きく変えるこ
弱視の障害者の身になったパソコン操作を体験。
とを実例をあげて説く中邑特任教授
*パソコンのどこを操作していいかわからず混乱してし
まう知的障害者への対応として、Windows の自動起動
の機能などが紹介されました。
* PowerPoint を利用して簡単に作れる障害児向けの教
材作成実習。画面に表示された絵が残り時間を知らせる
タイマーを作成しました。
埼玉県立日高養
受講者インタビュー
護学校 私にもできる、がんばろう!という気持ちに
青木猛正教頭
(左)栗原和子
●栗原和子教諭●
教諭(右)
午前中に障害のある方にどうして ICT を利用しなけれ
ばいけないかということ、ICT によって障害の概念が変
わってきていることをお話しいただきました。そこにリ
●青木猛正教頭●
ンクする形で講習が組まれ、実習で身をもって確かめる
一人ひとりの子どもたちの障害に応じた形で、世界を
という構成は、「私にもできる」と思わせてくれ、がん
広げるために、ICT では様々な機能を活用することでい
ばろうという気持ちがわいてきました。本校にも書字動
ろいろなことができると、今日の講習を受けて改めて感
作ができない子、拡大しなくては文字を打てない子など
じました。特に午後の PowerPoint を使った教材作りの
がいます。今日、スクリーンキーボードの 50 音ひらが
実習は大きな刺激になりました。いろいろな教材や画像
な入力などいろいろな操作法があることを知りました。
を作り、教室内外にスクリーンを立てて投影することに
自分がこれまで、今日教えてもらったことを知らなかっ
より、子どもたちに、いま置かれている状況、他人との
たことが、生徒たちには申し訳なかったと思います。
関係、
授業との関係などを知らせることができそうです。
14
ICT スキルアッププログラム
レポート2 受講した先生の実践●宮城県立光明養護学校
宮城県は、
情報教育推進とともに福祉先進県を標榜し、
障害のある子どもたちへの自立教育にも力を入れていま
す。その宮城県は他の都道府県に先駆けて、県下すべて
の盲、聾、養護学校を対象に ICT アクセシビリティ研修
一斉導入をおこないました。平成 17 年度からさっそく、
ICT アクセシビリティの研修が始まり、多くの先生方が
受講しました。
中学部の阿部浩也先生は、
この学校で教え始めて 4 年、
国語や数学を教えています。2005 年の夏に、ICT アク
セシビリティの研修を受けました。
「研修後、PowerPoint を頻繁に活用するようになりまし
た。授業の導入部分で、今日何をするか、オリエンテー
阿部浩也教諭が作成した教材の一部
ションのような時間を設けます。その場面で一番よく使
いますね」
阿部先生は指導に使った教材の一部を紹介してくれま
した。
(右上の画像参照)
高等部の鶴淵常夫先生も、研修の成果をさっそく子ど
もたちの指導に活かしています。その授業のようすを簡
単に紹介しましょう。
この学習活動(右の写真)は、場に応じた適切な対応
の仕方を学ぶ授業の一環で、CD ショップで試聴をする
PC を使い指導する鶴淵常夫教諭
シミュレーションです。パソコン上のタッチパネルに触
見せると、生徒たちは一斉にバツを作り「だめー!」と
れ、好きな音楽を選んで聴けるようになっています。授
答えました。理由は、「踊ってるから!」なぜ踊っては
業を受けたのは 6 人の自閉症の男子生徒たち。
いけないのかの問いには「公共の場だから !!」
公共のマナーとしてどのように試聴すればよいのか、
「ICT アクセシビリティ」の研修受講前は、授業に ICT を
CD ショップに見立てた教室でパソコンを前に実際に演
用いることなど想像できなかったという鶴淵先生は、授
じてみるのです。以前、校外学習で実際に CD ショップ
業についてこう話してくれました。
に行ったときは、試聴機のヘッドフォンをつけ、音楽に
「生徒たちの集中度は、紙のカードでやっていたときと
合わせ声を出して歌ってしまった生徒がいたとか……。
まったく違います。私は授業に限らず PowerPoint を使っ
この日の授業では、個々の生徒が代わるがわる試聴する
た経験がなかったのですが、今日のこれ(CD 試聴機の
役を務め、その実技を見た他の生徒たちは、よいときは
模擬版)も自作の PowerPoint 画面を表示しているんで
手で丸を、
よくないときはバツを作って評価をしました。
すよ。生徒の集中力が高まり、授業が格段にスムーズに
担当の鶴淵先生が体を揺すりながら試聴する人を演じて
運ぶようになりました」
受講者インタビュー
は写真や図、アニメーションが特に効果的です。また、
PowerPoint を使用すると、途中でクイズを入れるなど
PC を使用することで学習効果を高めたい
生徒を飽きさせない構成を工夫しやすくなり、より流れ
●阿部浩也教諭●
の良い授業を組み立てられます。集中力が高まり理解も
口頭やカードでの説明では、な
進むので、こちらの教えがいも増します。PowerPoint
かなか生徒が注目しなかったので
を使って教員同士が情報を交換しながら教材を作るよう
すが、プロジェクターに写すと一気
にもなりました。実際に触れられるもの、体験できるも
に集中します。障害で文字が読めな
のも大切にしながらパソコンを活用することで、さらに
い生徒もいますから、そんな生徒に
授業における学習効果を高めていきたいです。
15
活動報告 1
受講者への
アンケート結果
各研修では、プログラムの最後にアンケートへの回答をお願いしています。受講者
の総数が多いコースを 3 つ選び、プログラムへの評価を集計してみました。8 つの項
目それぞれについて、満足= 5 点……不満足= 1 点とした平均点を表示しています。
ほぼすべての項目で平均 4 点以上の高い評価をいただいています。
①研修直後のプログラムへの評価
小学校編
回答総数= 181
ICT アクセシビリティ
研修
満足度
4.3
3
テキスト
役に立つか
4.4
4.5
3
4.2
4.3
研修
役に立つ
テキスト
内容満足度
3
4.6
4.5
4.2
研修
役に立つ
テキスト
内容満足度
テキスト
わかりやすさ
4.7
4.5
4.5
4.5
テキスト
わかりやすさ
講師
説明
4.2
23.4
多くの教職員に利
用されている
回答総数= 691
0.7
10
29.2
33.9
まったく普及して
いない
10.3
5
10.3
ごく一部の教職員
に利用されている
27.6
ほとんど活用・利
用していない
分以外の教職員にプログラム
の利用を広げています。
1.6
ある程度の教職員
に利用されている
33.4
あまり活用・利用
していない
15
20
25
30
講師
説明
③受講 3 か月後の他の教職員の利用・
普及度合い
受 講 者 の 8 割 近 く が、 自
ほぼすべての教職
員が利用している
一応、活用・利用
している
研修
役に立つ
授業の
進行
ラムを活用している人は、全体
の 61.3%にのぼっています。
ある程度は活用・
利用している
0
4.2
授業の
進行
②受講 2 ~ 3 か月後の受講プログラムの
活用度合い
何らかの形で受講したプログ
無回答
1
4.1
4.1
授業の
進行
十分に活用・利用
している
3.9
2
4.4
講師
説明
研修
理解度
4
4.2
1
4.4
4.4
テキスト
わかりやすさ
4.2
4.4
2
1
4.4
テキスト
役に立つか
研修
理解度
4
2
テキスト
内容満足度
5
5
研修
理解度
4
4.5
回答総数= 335
研修
満足度
研修
満足度
5
テキスト
役に立つか
校務編
回答総数= 147
22.0
35 %
回答総数= 691
3.0
無回答
0
5
10
15
20
25
30
部会紹介 活動の計画や新プロジェクトなどを話し合う
ICT スキルプログラム部会は、年に 2 回ほど開催されています。こ
の場には、以下の委員のほか事務局のスタッフやプログラムに関連す
る企業の社員などが参加して、活動の報告や計画、新たなプロジェク
ト内容の検討などが行われています。
会 長 清水康敬
(独立行政法人メディア教育開発センター理事長)
部会長 南部昌敏(上越教育大学学校教育総合研究センター教授)
2006 年 9 月 30 日に開かれた部会。次のような報告
委 員 上谷良一
(兵庫県教育委員会企画調整担当課長付情報教育係長)
委 員 小泉力一(尚美学園大学芸術情報学部教授)
委 員 山本朋弘(熊本県立教育センター第三研修部指導主事)
委 員 横山隆光(岐阜県羽島市立羽島中学校校長)
や討論が行われました。平成 17 年度の活動報告と
18 年度の活動計画。* e-Learning コンテンツの制
作についてのプラン及び検討。2007 年 2 月にカン
ボジアで開催の Innovative Teachers' Conference(実
践事例発表会)への参加者の選定
16
35 %
リサイクル PC 寄贈プログラム
活動報告
2
リサイクル PC 寄贈プログラム
リサイクル PC 寄贈プログラムは、全国の小中高等学
平成 15 年度は 10 校に対して 249 台、平成 16 年度は
校等で、まだ充分に ICT アクセス環境の整備ができてい
3 教育委員会、40 校に対して 1,051 台、平成 17 年度は
ない学校を支援するため、企業や団体から寄付された「
1 教育委員会、22 校に対して 681 台を寄贈しました。
使用済み PC」を一定の基準のもとに再生し、
「リサイク
ル PC」として活用するプログラムです。
<リサイクル PC 寄贈部会の主なメンバー>
リサイクル PC 寄贈部会で年に 4 回(9 月、
12 月、3 月、
NPO 法人イー・エルダー、ソフトバンクテレコム株式
6月)寄贈を希望する学校を審査します。ICT アクセス
会社、トランスコスモス株式会社、日本ユニシス株式会
環境に恵まれない学校、および積極的・独創的な PC 活
社、マイクロソフト株式会社、メリルリンチ日本証券株
用プランを持つ学校を選定しています。
式会社、株式会社リクルート
兵庫県立長田商業高等学校に
寄贈され、生徒に使用されて
いるリサイクル PC
リサイクル PC 寄贈のしくみ
ICT 教育推進プログラム協議会
使用済みPC
提供企業・団体
使用済み PC の提供
PC 再生費用の寄付
マイクロソフト
OS の提供
イー・エルダー
教育委員会
付属品確認
ハードウェア動作確認
ハードディスク消去
OS 再インストール
セキュリティソフト添付
教育用ソフト添付
筐体クリーニング
トレンドマイクロ
トランスコスモス
学 校
セキュリティソフトの提供
ヘルプデスクサポート提供
活用プラン提出
利用状況レポート
その他の
ソフトウェアベンダー
教育用ソフトの提供
リサイクル PC 寄贈部会で
寄贈先学校を審査・決定
17
活動報告 2
リサイクル PC 寄贈校訪問
横浜市立つつじが丘小学校
5 年生の教室では休み時間
に子どもたちが PC を囲む
65 台を PC 教室、職員室、各教室に配置
横浜市立つつじが丘小学校は、多摩田園都市の住宅街
■普通教室で
にある児童数 606 名の小学校です(2006 年 9 月現在)。
つつじが丘小学校では、普通教室にも 2 台ずつノー
同校には、2006 年度 2 月にリサイクル PC65 台が寄贈
ト PC が配布されています。休み時間に 5 年生の教室を
されました。寄贈された PC はノートブック型で、PC
のぞくと、子どもたちがノート PC を取り囲んでいまし
教室だけでなく職員室や普通教室にも配置され、子ども
た。何をしているの?と聞くと「次の時間(社会科)の
たちや先生方のさまざまな活動に幅広く利用されていま
ためにパソコンで調べることがあるんです」と答えてく
す。2006 年 9 月下旬に同校を訪れ、リサイクル PC 活
れました。
用のようすを見せていただき、小正和彦校長からリサイ
クル PC プログラムに応募した理由や、今後の PC 活用
や情報化のビジョンについてお聞きしました。
■ PC 教室で
6 年生が「総合的な学習の時間」に PC を使って調べ
学習に取り組んでいました。テーマは「外国の衣食住と
日本の衣食住の共通点とちがいを伝えよう」
。子どもた
PC 教 室 で リ サ イ ク ル PC を
使って調べ学習をする 6 年
生。PC 教室には元からある
PC に リ サ イ ク ル PC が 加 わ
り、子どもたちの学習環境が
大きく改善された
ちは、2006 年のワールドカップに出場した国について、
人々の暮らしのようすをインターネットを検索して調べ
ていました。
(PC 教室では、教育委員会から配当された
PC と寄贈リサイクル PC を用途に合わせて併用)
■職員室で
職員室では、すべての先生に 1 人 1 台の PC が配布さ
れています。この 4 月に赴任した横山晶子先生(音楽
担当)はこう評価してくれました。
「初めてこの学校に
来たとき、すべての先生の机上に 1 台ずつ PC があるこ
とにびっくりしました。これを叶えてくれたリサイクル
PC プログラムは、素晴らしいと思います」
18
職員室でリサイクル PC を
使って仕事をする横山教諭
校内 LAN はネットデイで保
護者、地域ボランティア、教
職員が構築した
リサイクル PC 寄贈プログラム
学校を開いていくために PC が必要だった
横浜市立つつじが丘小学校校長
小正和彦
私は本校の校長に赴任する前、民間で教育関係のコン
おかげさまで 65 台とい
テンツ開発に携わっていたことがあるので、教育の情報
う十分な台数を寄贈してい
化には大きな関心がありました。着任してみると、学校
ただいたので、職員室だけ
というところが世の中一般にくらべ、この分野で遅れて
でなく PC 教室にも、各教
いることを痛感し、何とかしたいと思いました。PC 教
室にも配置することができ
室には市から配当された PC が 20 台ほどありましたが、
ました。
職員室には 1 台か 2 台しかなく、ベースとなる環境と
本校は横浜市教育委員
してこれではあまりにも台数不足と感じました。
会から「PSY(パイオニア
通常の方法で PC を整備するとなると予算的に実現不
スクールよこはま)
」の指
可能なので、情報担当の寺岡教諭に相談しました。する
定を受けています。本校のテーマは「地域連携」と「民
と、彼が「リサイクル PC 寄贈プログラム」のことを教
間との連携」です。学校を開いて地域センター化してい
えてくれたのです。彼は前任校にいたときに、このプロ
くということですが、そのときに地域の教育力だけでな
グラムの情報を得ていたのです。そこで直ちに申し込み、
く、民間のリソースも導入していこうという考えです。
私たちの願いが叶って、2006 年の 2 月に 65 台の寄贈
それを実現するためには、インフラとして絶対にコン
を受けました。
ピュータネットワークが必要です。PC の整備だけでな
私自身は、まず教職員に 1 人 1 台の環境が必要と考
く、保護者にも協力していただきネットデイによって校
えていました。保護者も含めて、毎日 PC を使いメール
内 LAN の整備も行いました。
を使うのが普通になっている世界で、教師だけがそれを
リサイクル PC の寄贈を受けるにあたっては、なぜイ
していないというのはおかしい。先生方には、セキュリ
ンフラ整備が急務なのか上記のような私の考えを話しま
ティの面からも私物ではない 1 人 1 台の PC を使っても
した。先生方は、リサイクル PC 寄贈プログラムに学校
らうことが必要です。それを使うことで、どの程度教育
自ら働きかけて PC を手に入れたことの意義を、つまり
の質を向上できるのか、あるいは校務を効率的にできる
備品として当然のように配当されたものではないリサイ
のか、身をもって体験していただこうと考えたのです。
クル PC の持つ意味を理解してくれています。
●寄贈された
20%未満(7%)
PC の
アンケート結果
(2005 年 1 月集計)
●寄贈された
使用率は? 20%以上(5%)
40%以上(5%)
PC の主な
使用者は?
60%以上(7%)
80%以上
(17%)
100%使用
(59%)
PC の主な
使用目的は?
その他(4%)
課外活動
(15%)
教員
(46%)
(43%)
職員
(11%)
未回答(1%)
●寄贈された
児童・生徒
●寄贈された
校務(事務)
(17%)
PC の主な
設置場所は?
教務
(14%)
PC教室
その他
(21%)
(23%)
図書館(室)
普通教室
(12%)
(22%)
職員室
(22%)
授業
(49%)
19
活動報告 2
部会紹介 寄贈先の選定や寄贈 PC の仕様などを話し合う
リサイクル PC 寄贈部会は、年に 4 回
ほど開催されています。この場には、部
会に参加している企業や団体の担当者が
集い、活発に意見が交換されています。
2006 年 7 月 10 日に開かれた部会では、
次のような報告や討論が行われました。
*リサイクル PC の寄贈状況
*寄贈する PC のスペックなどの問題点
*今後の寄贈見通し
*寄贈先の検討と承認
*寄贈する PC の仕様変更
2006 年 7 月 10 日に開かれたリサイクル PC 寄贈部会
リサイクル PC 寄贈プログラムに積極的に参加されているメンバーのお話
前々回かその前の部会で話題になったことがありま
●山崎紀徳さん●
す。PC を更新するときに、社内の規定でハードディス
ソフトバンクテレコム株式会社
クを物理的に壊さなければダメだという企業が多いとい
(旧日本テレコム株式会社)
う話です。でも、これでは寄贈ができません。そういう
私の会社では 2 年前に PC の一斉更新を行い、3000
台近くの PC を取り替えることになりました。そのとき、
ところを企業は見直していかなければいけませんね。
使わなくなる PC を社会に役立てる方法はないかと考え
企業で長年コンピュータを扱ってきた私が、学校の先
ていたところ、マイクロソフトやイー・エルダーのウェ
生方にお願いしたいのは、セキュリティのことは教えて
ブページでこのプログラムを知り、活動に関わることに
いただく必要がありますが、あとは子どもたちに自由に
なりました。
PC を使わせてください、ということです。何に使おう
学校と民間企業の現場とは、全く異なる世界ですね。
がいいと思うんですよ、横並びの同質の人間を育てる必
でも、自分の子どもが成長して、ネット社会に関わる年
要はないんですから。みんな同じことをやっているので
齢に近づいてくると、企業と学校とのギャップを埋めて
はつまらないと思います。自宅で使えない子どももいる
いかなければと思うようになってきました。とはいって
わけだし、学校の中で自由に PC を使える時間を作って
も、直接、会社名で学校関係者にコンタクトをとろうと
あげることが重要だと私は思います。
したら、何か裏があるんじゃないかと思われがちですよ
●芦川 忠さん●
ね。
日本ユニシス・ビジネス株式会社
間にひとつ何かが入ると全然違うなと思います。今回
も、このプロジェクトに参加しているおかげで、それな
私たちはこのプログラム以外にも、社内で使わなく
らパソコンを寄贈してもらえないだろうかということで
なった PC の寄贈を行っています。こうした活動は、寄
先生方からお話がいただけました。この活動も含め私た
贈すればそれで終わりではありません。
「これは中古の
ちが接着剤になって、企業と学校とのギャップを埋める
PC です」とは言いますが、新品以上のものを私たちは
寄贈してきているつもりです。
ことができればと思います。
「リサイクル PC 寄贈プログラム」では、再セットアッ
プしてくださる方がいるのでそのまま出せばいいのです
●小岩信和さん●
が、直接寄贈の依頼を受けたときは、お客様の使用環境
日本ユニシス株式会社
企業ですから利益を追求しますし、売ることが最重要
を確認して、その環境に合わせてセットアップして寄贈
ですけれども、ビジネスをする上で社会に貢献する活動
します。それでも心配ですから、1 台 1 台何度も確認し
ができない企業は、エンドユーザーからだんだん見放さ
てから出荷します。私たちは、お客様が納得し要求通り
れていくと思うんですね。だから、企業としてそれを続
に動いて有効に使えているところまで見届ける必要があ
けることがとても重要だと思っています。
ると思います。
20
スクール OS 無償プログラム・その他の活動
活動報告
3
スクール OS 無償プログラム
企業などから学校へ使用済み PC が寄贈される際には、
参加要件を満たした学校には、次のものやサービスが
企業自身や顧客の情報を守るため、OS を含むすべての
提供されます。
ソフトウェアが消去されていたり、データだけが消去さ
● Windows2000 のライセンス
れている場合でも、ソフトウェアのライセンスが同時に
使用許諾書、ライセンス許諾書、インストールガイド
提供されていないことがあります。スクール OS 無償プ
● OS の CD-ROM(希望した場合のみ)
ログラムは、このような問題に対処するためのプログラ
●テクニカルサポート
ムです。
スタンドアロン環境で発生した OS に関する問題につ
スクール OS 無償プログラムは、初等中等教育機関の
いてのサポート(無償、回数無制限)
学校が所有する寄贈された使用済み PC に、Microsoft(R
)Windows(R)2000 のライセンスを無償で提供します。
平成 17 年度は全国の小中高等学校および特別支援学
校、180 校(平成 16 年度は 148 校)に提供しました。
活動報告
4
その他の活動
他の組織への協力と連携
■国立教員養成系大学向けカリキュラム提供
割も果たしているので、このテキストの意義はきわめて
ICT 教育推進プログラム協議会は、ICT スキルアップ
大きいと感じています。」
プログラムカリキュラムの一部を国立大学教育実践研究
関連センター協議会経由で、全国の 17 大学に提供して
■パソコン検定公式テキスト
います。
ICT 教育推進プログラム協議会は、パソコン検定協会、
●宮崎大学の新地辰朗教授よりコメント
マイクロソフト株式会社と共同で、中学、高校向けにパ
「『 情 報 科 学 入 門 E( 1)
』 と い う 講 座 で、ICT ス キ ル
ソコン検定試験用の公式テキストを制作し、2006 年 3
アッププログラムのテキストをダウンロードして利用
月から販売を開始しました。共同制作されたテキストに
しています。学校行事や授業に関わるテーマで、Word、
は、ICT スキルアッププログラムの内容も取り入れられ
Excel、PowerPoint の活用方法が説明してあるので教員
ています。
養成の題材として有効です。学生は自分の担当する部分
パソコン検定は、総合的な ICT 活用技能を評価する認
を教材として研究し、
指導方法について毎回検討します。
定資格で、受験者数は年間約 10 万人。現在、全国のお
リテラシーの個人差を解消し、情報基礎科目としての役
よそ 3000 校の中学、高校が学校単位で受験しています。
21
活動報告 4
平成 17 年度 Eスクエア・エボリューション成果発表会で
行われたパネルディスカッション
■校内 LAN 整備加速パッケージ
2005 年 8 月~ 2006 年 3 月、教育情報化推進協議会、
一日インターネット安全教室
NPO 法人ブロードバンドスクール協会と合同で学校教
育の情報化を推進するため、
「校内 LAN 整備加速パッ
ケージ」と「一日インターネット安全教室」を全国 50
校に無償で提供。ICT 教育推進プログラム協議会は「一
日インターネット安全教室」の実施を担当しました。
■ E スクエア・エボリューション成果発表会
2006 年 3 月 3 日、4 日、財団法人コンピュータ教育
開発センター(CEC)の主催による「平成 17 年度 Eス
ア教育開発センター、NPO 法人ブロードバンドスクー
クエア・エボリューション成果発表会-教育・学習への
ル協会と合同で分科会「変わる・広がる・実を結ぶ IT活用教育シンポジウム-」に、独立行政法人メディ
ICT 教育最前線!」を開催しました。
教育の国際会議に参加
■アドバイザリー会議
第 1 回は 2004 年 12 月 7 ~ 9 日にシンガポールで、第
2004 年から毎年、
「Regional Advisory Council」
(主催:
2 回は 2005 年 11 月 8 日~ 10 日の 3 日間、韓国ソウル
マイクロソフト)という国際会議が開催されています。
で開催されました。
この会議にはアジア、オセアニア地域の国や地域から教
ソウルで行われた第 2 回の発表会は、マイクロソフ
育行政の情報担当者及び情報教育の研究者が参加し、ど
ト と KERIS(Korea Education & Research Information
のように ICT を授業に採り入れるか、どのように ICT 化
Service)により主催され、25 か国 250 名の情報教育に
を進めていくかについて、
活発な意見交換が行われます。
関わる小中高等学校等の教員が参加しました。日本から
日本からも、毎回数名の先生が参加しています。
は、ICT スキルアッププログラムを導入している兵庫、
第 1 回は 2004 年 5 月 24 ~ 26 日にタイのプーケット
宮城、茨城の各県から
で、第2回は 2005 年 5 月 25 ~ 27 日にフィリピンのセ
2名ずつの教員が参加
ブ島で、第 3 回は 2006 年 8 月 16 ~ 18 日、オーストラ
しました。各国からの
リア、シドニーで開催されました。
参加者たちは、それぞ
れの ICT を活用した実
■実践事例発表会
践についてポスター
2004 年 か ら、
「Innovative Teachers' Conference」 と
セッションにより発表
いう国際的な実践事例発表会が毎年開催されています。
しました。
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第 2 回発表会への日本からの参加者
ICT 教育推進プログラム協議会 役員・会員一覧
役 員
会長 独立行政法人メディア教育関発センター理事長/東京工業大学名誉教授 清水康敬
理事 株式会社朝日新聞社代表取締役社長 秋山耿太郎
理事 NPO 法人イー・工ルダー理事長 鈴木政孝
理事 財団法人学習ソフトウェア情報研究センター理事長 菱村幸彦
理事 財団法人コンピュータ教育関発センター(CEC)理事長 宮島龍興
理事 社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)理事長 辻本憲三
理事 社団法人日本教育工学振興会(JAPET)会長 坂元昂
理事 株式会社日本経済新聞社代表取締役社長 杉田亮毅
理事 株式会社毎日新聞社代表取締役社長 北村正任
理事 株式会社読売新聞グループ本社代表取締役社長 内山斉
会 員
■正会員■
NPO 法人 e-AT 利用促進協会
NPO 法人イー・エルダー
財団法人学習ソフトウェア情報研究センター
独立行政法人メディア教育開発センター
財団法人コンピュータ教育開発センター
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会
社団法人日本教育工学振興会
■特別会員■
朝日新聞社
日本経済新聞社
毎日新聞社
読売新聞東京本社
■賛助会員■
株式会社 IE インスティテュート
株式会社アクセル
麻生教育サービス株式会社
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
株式会社エルテックス
株式会社学習研究社
カシオ計算機株式会社
関西電力株式会社
株式会社キャリエ・レゾ
グローバルナレッジネットワーク株式会社
株式会社 JMC エデュケーションズ
住信リース株式会社
ソフトバンクテレコム株式会社
地球環境行動会議(GEA)
トランスコスモス株式会社
トレンドマイクロ株式会社
日本電気株式会社
日本ユニシス株式会社
パソコン検定協会事務局
株式会社日立製作所
日立電子サービス株式会社
フューチャーインスティテュート株式会社
マイクロソフト株式会社
メリルリンチ日本証券株式会社
株式会社リクルート
■後援■ 環境省
総務省
文部科学省
経済産業省(スクール OS 無償プログラム / リサイクル PC 寄贈プログラム)
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ICT 教育推進プログラム協議会 中間レポート ~3年間の活動経過~
2006 年 10 月 21 日発行
制作・発行:ICT 教育推進プログラム協議会
〒 107-0052 東京都港区赤坂 1-9-13 三会堂ビル 2 階 電話:048 ー 228-1229
協力:マイクロソフト株式会社 Partners in Learning
本レポートに掲載した会社名、プログラム名、製品名などは各社の商標または登録商標です。
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