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自動車盗難等防止行動計画の策定について 平成14年1月23日
自動車盗難等防止行動計画の策定 平成14年1月23日 広 報 資 料 生 活 安 全 企 画 課 について 刑 事 企 画 課 捜 査 第 一 課 1 経 緯 国際組織犯罪等に対し、関係行政機関の緊密な連携を図ることによ り、有効かつ適切な対策を総合的かつ積極的に推進するため、昨年7月 10日、内閣官房長官を本部長、国家公安委員長を副本部長とする 「国際組織犯罪等対策推進本部」が設置され、同8月29日、「国際組 織犯罪等対策に係る今後の取組みについて」が決定された。 本決定に基づき、自動車の盗難及び盗難自動車の不正輸出を防止す るための総合的な対策について検討するため、昨年9月18日、関係 4省庁と民間9団体からなる「自動車盗難等の防止に関する官民合同 プロジェクトチーム」が設置されたところであるが、同チームにより 別添のとおり、自動車盗難等防止行動計画が取りまとめられた。 (注)自動車盗の現状 ○ 自動車盗は平成11年以降急増し、平成13年の認知件数は約 6万3千件で前年より約7千件増加。 2 ○ 被害額が300万円以上の高級車の被害が増加傾向。 ○ 平成11年以降、キーなしの盗難件数がキー付きを上回り急増。 自動車盗難等防止行動計画の概要 自動車盗難等防止行動計画は、平成14年1月から平成18年12 月までの5年間に、 ○ 自動車盗難防止対策 ○ 自動車盗難事件に対する取締り ○ 盗難自動車の不正輸出防止対策 ○ 海外における盗難自動車の被害回復支援 に取り組み、今後1∼2年で増勢傾向に歯止めをかけ、その後減少を 図ることをその目標としている。 3 今後の予定 行動計画の実施状況については、毎年、官民合同プロジェクトチー ムで取りまとめの上、「国際組織犯罪等対策推進本部」へ報告するこ ととされている。 自動車盗難等防止行動計画 平成14年1月 自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム はじめに 自動車の盗難は、ここ数年で急激に増加し、自動車窃盗の認知件数は、警察庁の統計 によると、平成10年までは、3万5,000件前後で推移してきたが、平成11年以 降急激に増加し、平成11年に4万3,092件、平成12年に5万6,205件、平 成13年に6万3,275件と増加している。 これら自動車窃盗の増加の原因は必ずしも明確ではないが、最近の検挙事例から売却 利益を目的とした組織的犯罪の増加が原因と推定されている。 このような現状の中、国際組織犯罪等に対し、関係行政機関の緊密な連携を図ること により、有効かつ適切な対策を総合的かつ積極的に推進するため、平成13年7月10 日、内閣官房長官を本部長、国家公安委員長を副本部長とする「国際組織犯罪等対策推 進本部」が設置され、同8月29日、「国際組織犯罪等対策に係る今後の取組みについ て」が決定された。 同決定に基づき、自動車の盗難及び盗難自動車の不正輸出を防止するための総合的な 対策について検討するため、同9月18日、関係4省庁と民間9団体から構成された 「自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム」が設置され、月1回のペ ースで会合が開催され、自動車盗難等防止行動計画が取りまとめられたものである。 自動車盗難等防止行動計画は、平成14年1月から平成18年12月までの5年間に、 ○ 自動車盗難防止対策 ○ 自動車盗難事件に対する取締り ○ 盗難自動車の不正輸出防止対策 ○ 海外における盗難自動車の被害回復支援 に取り組むものであり、その実行により、1∼2年で増勢傾向に歯止めをかけ、その後 減少を図ることをその目標としている。 この冊子は、「自動車盗難等防止行動計画」とその策定についての経緯等をまとめた 「自動車盗難等防止行動計画の策定について」を掲載したものである。 平成14年1月 自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム 自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチームの設置について 1 趣 旨 「国際組織犯罪等対策に係る今後の取組みについて」(平成13年8月29日国際 組織犯罪等対策推進本部決定)に基づき、自動車の盗難及び盗難自動車の不正輸出を 防止するための総合的な対策について検討するため、自動車盗難等の防止に関する官 民合同プロジェクトチーム(以下「プロジェクトチーム」という。)を設置する。 2 構成員 プロジェクトチームの構成員は、次のとおりとする。 警察庁生活安全局生活安全企画課長 警察庁刑事局刑事企画課長 警察庁刑事局捜査第一課長 財務省関税局監視課長 財務省関税局業務課長 経済産業省製造産業局自動車課長 国土交通省都市・地域整備局街路課長 国土交通省自動車交通局技術安全部管理課長 国土交通省自動車交通局技術安全部技術企画課長 国土交通省海事局港運課長 (社)日本損害保険協会 (社)日本自動車工業会 (社)日本自動車販売協会連合会 (社)日本中古自動車販売協会連合会 (社)全国レンタカー協会 (社)全日本駐車協会 (社)日本自動車整備振興会連合会 (社)全日本検数協会 (社)日本貨物検数協会 3 関係者の出席 プロジェクトチームの会議には、必要に応じ、構成員以外の関係者の出席を求める ことができる。 4 会議の庶務 プロジェクトチームの会議の庶務は、警察庁及び(社)日本損害保険協会において 処理する。 自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム構成員 警察庁生活安全局生活安全企画課長 加 地 隆 治 警察庁刑事局刑事企画課長 廣 畑 史 朗 警察庁刑事局捜査第一課長 大 山 憲 司 (井 口 財務省関税局監視課長 渥 美 財務省関税局業務課長 原 経済産業省製造産業局自動車課長 立 国土交通省都市・地域整備局街路課長 斉) 恭 弘 雅 彦 岡 恒 良 竹 内 直 文 (西 田 壽 起) 国土交通省自動車交通局技術安全部管理課長 岸 本 邦 夫 国土交通省自動車交通局技術安全部技術企画課長 久 米 正 一 国土交通省海事局港運課長 神 谷 俊 広 (社)日本損害保険協会 西 浦 英 次 (社)日本自動車工業会 北 島 國 守 (社)日本自動車販売協会連合会 早 川 基一郎 (社)日本中古自動車販売協会連合会 武 藤 孝 弘 (社)全国レンタカー協会 若 林 一 三 (社)全日本駐車協会 梅 田 精 彦 (社)日本自動車整備振興会連合会 佐々木 (社)全日本検数協会 藤 本 嘉 和 (社)日本貨物検数協会 中 村 照 雄 均 自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム会議 議事経過 第1回 平成13年9月18日(火) ○ 自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェ クトチーム設置要綱 ○ 構成員メンバー ○ 作業スケジュール ○ 作業スケジュール決定 ○ 自動車盗難等防止行動計画(仮称)のイメージ 第2回 平成13年10月29日(月) 提示 ○ 英国調査団報告書の説明ヒアリング ○ 民間から政府への施策要望説明 ○ 民間側要望に対する政府対応説明 ○ 政府から民間に対する対策実施要望説明 ○ 政府側要望に対する民間対応説明 ○ 自動車盗難等防止行動計画の策定 ○ 自動車盗難等防止行動計画 ○ 国際組織犯罪等対策推進本部への報告方法 ○ 「自動車盗難等防止行動計画」に基づく対策の 第3回 平成13年11月28日(水) 第4回 平成13年12月25日(火) 第5回 平成14年1月23日(水) 進行管理 平 成 1 4 年 1 月 2 3 日 自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム 自動車盗難等防止行動計画 1 行動計画の策定の趣旨 この行動計画は、自動車盗難及び盗難自動車の不正輸出を防止するための総合的な 対策について目標を設定し、実施の指針を示すことを目的とする。 2 平成14年から平成18年までの間の行動計画 平成14年1月から平成18年12月までの5年間に、次の対策に取り組むものと する。なお、括弧内は、担当の官庁又は団体である。 (1)自動車盗難防止対策 ・ 盗難防止性能の高い自動車の普及 自動車製造者に対し警察から自動車窃盗の手口実態等の情報を提供し、盗難防 止性能の高い自動車の開発を図るよう働きかけるとともに、広報啓発によりユー ザーによる盗難防止性能の高い自動車の選好を促す。(警察庁、経済産業省、国 土交通省、日本自動車工業会、日本自動車販売協会連合会) ・ イモビライザーの普及促進 自動車製造者に対し、盗難多発車種等を始めとしてイモビライザー装着車種の 拡大等引き続きイモビライザーの普及の促進を呼びかけるとともに、イモビライ ザー等盗難防止装置の有効性を、自動車盗難に係る統計データから検証した上で 広報する。(警察庁、経済産業省、国土交通省、日本自動車工業会) ・ 盗難防止装置の構造基準の制定 イモビライザー等盗難防止装置の構造基準の制定について、道路運送車両の保 安基準(昭和26年運輸省令第67号)を改正する。(国土交通省) ・ イモビライザーの性能向上 エンジン始動ごとにIDコードを生成するイモビライザーシステム等の研究開 発が進められているところであるが、盗難手口情報を踏まえ更なる性能高度化に 努めるよう自動車製造者に対し働きかける。(日本自動車工業会) ・ 自動車の整備事業者に対する不審な自動車の発見の呼びかけ 自動車の整備事業者に対し、自動車の整備等に際して自動車の車台番号と自動 車検査証から自動車の同一性を確認するよう呼びかける。(警察庁、国土交通省、 日本自動車整備振興会連合会) ・ 自動車の使用者に対する防犯指導及び広報啓発 次の事項を重点として自動車の使用者への防犯指導、広報啓発を積極的に推進 する。(全体) ① 自動車盗難の現状 認知件数の推移、被害額、支払保険金の総額等を説明し、危機意識に訴える。 ② 自動車盗難防止対策 自動車使用者の心掛けとして、少しでも車から離れるときは窓を完全に閉め エンジンキーを抜きドアをロックすること、自動車の保管場所に防犯灯や監視 カメラを設置すること、車内には現金、鞄、スペアキーなどを置かないように すること、路上駐車を避け管理人のいる駐車場を利用することを呼びかける。 また、併せて、イモビライザー等盗難防止装置の概要と有効性についても説 明する。 ・ 駐車場等における対策についての防犯指導及び広報啓発 駐車場法対象の駐車場管理者に対して、自動車盗難に対する注意喚起、防犯上 有効な対策の紹介を広報啓発する。(国土交通省、全日本駐車協会) 全国都道府県・政令指定市等の駐車場担当者が出席する「駐車場担当者会議」 において、自動車盗難防止について注意喚起するとともに、管内駐車場経営者に 対して防犯対策の促進を図るよう呼びかけを依頼する。(国土交通省) 駐車場法対象外の駐車場の管理者及び自動車の使用者に対し、照明の確保等の 防犯指導、広報啓発を積極的に推進する。(警察庁) ・ 盗難対策車への保険料優遇措置の拡大 イモビライザー等の盗難防止装置を装着した自動車に対する保険料優遇措置に ついて自動車保険料率算定会、損害保険業者に対し一層の働きかけを行う。(警 察庁、経済産業省、国土交通省、日本損害保険協会) ・ 登録事項等証明書の交付等に当たっての厳格な運用等 自動車盗難の防止に資するよう、陸運支局及び自動車検査登録事務所において、 道路運送車両法に基づく登録事項等証明書の交付及び自動車検査証の再交付に当 たって、運転免許証の呈示を求める等により本人確認を実施する。(国土交通 省) 自動車盗難の被害に遭った所有者又は使用者に、自動車の使用の本拠の位置を 管轄する陸運支局又は自動車検査登録事務所に対し警察が告知した盗難届出受理 番号等を明示して届け出るよう促し、自動車登録検査業務電子情報処理システム にその旨を記録して、当該自動車の登録事項を不正に変更しようとする登録申請 があった場合等に的確な対応を図る。(警察庁、国土交通省) ・ 盗難車種情報、手口情報等の自動車盗難に係る情報の提供 盗難車種情報、手口情報等の自動車盗難に係る情報については、自動車盗難の 防止を図るため提供が適当と認められる情報内容の選定、提供先の基準、提供先 における適正な管理の在り方等について検討の上、提供する。(警察庁) ・ 民間における盗難自動車情報の共有化 日本中古自動車販売協会連合会と関係各都道府県商工組合等を構成員とする 「日本オートオークション協議会」が運営、管理し、関係各都道府県商工組合と 会員販売店等が利用している「走行管理システム」の盗難自動車情報のデータベ ースに、日本損害保険協会の盗難自動車データを追加入力するものとし、「盗難 車登録システム」として運用する。(日本損害保険協会、日本中古自動車販売協 会連合 会 ) ・ 地域自動車盗難等防止協議会の設置 地域における自動車盗難等の防止を図るため、都道府県又は地区単位で、地域 自動車盗難等防止協議会の設置を働きかける。(全体) (2)自動車盗難事件に対する取締り 自動車ナンバー自動読取システムの整備を推進する。 都道府県警察においてパトロール、目撃情報等による不審自動車の発見に努める。 組織的に敢行される自動車盗事件を特定重要窃盗犯の一つに定め、都道府県警察 に対し、取締りと防犯での緊急の取組みを指示しており、今後も自動車盗難事件に 対する取締りを強化する。 外国捜査機関等との情報交換体制を強化し、盗難自動車不正輸出事件の捜査を推 進する。(警察庁) (3)盗難自動車の不正輸出防止対策 ・ 盗難自動車に関する情報交換等 警察の盗難自動車に係る情報、陸運支局等の登録情報の税関への提供方法等を 検討の上、通関時のチェック態勢を強化する。(警察庁、財務省、国土交通省) 日本損害保険協会から検数業界に対し盗難自動車に係る情報を提供し、不審事 案の通報を行う。(日本損害保険協会、全日本検数協会、日本貨物検数協会) 中古自動車販売業者等を通じ、不正輸出に関する不審情報の交換に努める。 (警察庁、財務省、日本中古自動車販売協会連合会) ・ 装備資機材の拡充 コンテナ貨物大型X線検査装置の配備を引き続き進め、不正輸出のおそれのあ る貨物の厳正な検査を行う。(財務省) ・ 審査・検査等の強化 中古自動車等の輸出申告(旅具通関を含む。)に際し、可能な限り抹消登録証 明書原本の呈示を求め、必要に応じて車台番号を確認する等、盗難自動車の不正 輸出に対する審査・検査を強化する。(財務省) 盗難自動車の不正輸出を防止するため、港の埠頭内・埠頭周辺におけるパトロ ールを強化するとともに、不審船舶を発見したときは税関・警察合同による取締 りを実施する。また、盗難自動車が発見された場合は、共同で捜査又は調査する。 (警察庁、財務省) ・ 輸出に係る抹消登録制度等の整備 使用済自動車に係る現行抹消登録制度及び自動車検査証返納制度を、新設され る自動車リサイクルシステムと整合する仕組みに改める道路運送車両法改正を行 う際に、盗難自動車の輸出防止にも資するよう輸出に係る抹消登録制度等を整備 することを検討する。(国土交通省) ・ 埠頭の管理強化の要請 盗難自動車の不正輸出を防止する観点から、埠頭へ出入りする自動車の入場規 制、フェンスの設置、照明施設及び監視カメラの整備等埠頭の管理強化について、 港湾管理者に対する協力を引き続き要請する。(警察庁、財務省、国土交通省) (4)海外における盗難自動車の被害回復支援 国際刑事警察機構を通じた情報交換により、外国捜査機関等により盗難自動車が 発見されたことが判明したときは、都道府県警察を通じて我が国における所有権者 等に連絡し、当該外国捜査機関等の連絡先を教示するとともに、必要に応じ、当該 外国捜査機関に対し、我が国における所有権者等の盗難自動車の回復の意思及び連 絡先を連絡するなどの支援を行う。(警察庁) 3 目標の設定及び国際組織犯罪等対策推進本部への報告 平成14年から平成18年までの間の行動計画の実行により、自動車盗難被害件数 について、1∼2年で増勢傾向に歯止めをかけ、その後減少を図るものとする。 なお、行動計画に基づく対策の実施状況については、毎年、官民合同プロジェクト チームで取りまとめの上、国際組織犯罪等対策推進本部に対し報告するものとする。 平 成 1 4 年 1 月 2 3 日 自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム 自動車盗難等防止行動計画の策定について 「国際組織犯罪等対策に係る今後の取組みについて」(平成13年8月29日国際組 織犯罪等対策推進本部決定)に基づき設置された自動車盗難等の防止に関する官民合同 プロジェクトチームにおいては、自動車盗難及び盗難自動車の不正輸出を防止する総合 的対策の在り方について議論を行い、自動車の盗難及び盗難自動車の不正輸出の現状を 分析するとともに、今後実施が必要と考えられる対策を取り上げ、その実現可能性、問 題点等について検討の上、官民共通の対策指針である「自動車盗難等防止行動計画」を 策定したものであるが、下記は、自動車盗難等防止行動計画の策定に当たって行われた 検討の内容等を記述したものである。 記 1 自動車の盗難及び盗難自動車の不正輸出の現状 (1)自動車の盗難の現状 自動車の盗難は、ここ数年で急激に増加している。自動車窃盗の認知件数は、警 察庁の統計によると、平成10年までは3万5,000件前後で推移してきたが、 平成11年以降急激に増加し、平成11年に4万3,092件、平成12年に5万 6,205件、平成13年に6万3,275件となっている。前年同期比で約12. 6パーセント増の割合で増加している。 65,000 60,000 55,000 50,000 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 昭和 29 昭和 年 30 昭和 年 31 年 昭和 32 昭和 年 33 昭和 年 34 昭和 年 35 年 昭和 36 昭和 年 37 昭和 年 38 年 昭和 39 昭和 年 40 年 昭和 41 昭和 年 42 昭和 年 43 年 昭和 44 昭和 年 45 昭和 年 46 昭和 年 47 年 昭和 48 年 昭和 49 昭和 年 50 昭和 年 51 年 昭和 52 年 昭和 53 昭和 年 54 昭和 年 55 年 昭和 56 昭和 年 57 昭和 年 58 昭和 年 59 昭和 年 60 年 昭和 61 昭和 年 62 昭和 年 63 年 平 成 元 年 平成 2年 平成 3年 平成 4年 平成 5年 平成 6年 平成 7年 平成 8年 平成 9年 平成 10 平成 年 11 平成 年 12 年 平成 13 年 0 自動車盗の特徴的傾向としては、平成10年にはエンジンキーを付けていた状態 で盗まれたケースが18,752件、エンジンキーを付けていない状態で盗まれた ケースが17,132件と、平成10年まではエンジンキーを付けていた状態で盗 まれたケースの方がより多かったが、平成11年には、エンジンキーを付けていな い状態で盗まれたケースが23,858件、エンジンキーを付けていた状態で盗ま れたケースが19,234件と、平成11年からはエンジンキーを付けていない状 態で盗まれたケースの方がより多くなっている。 60,000 認知件数 キー付き キーなし 55,000 50,000 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年 11年 12年 また、高級車の被害は顕著であり、自動車の窃盗件数に占める300万円以上の 価格の高級車窃盗の件数の割合は、平成5年の6.8パーセント以降、平成6年に 8.6パーセント、平成7年に9.1パーセント、平成8年に12.6パーセント、 平成9年に14.5パーセント、平成10年に16.0パーセント、平成11年に 21.1パーセント、平成12年に22.1パーセントと一貫して増加を続けてい る。 200∼299万円 300万円以上 認知件数 14,000 60,000 12,000 50,000 10,000 40,000 8,000 30,000 6,000 20,000 4,000 10,000 2,000 0 0 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年 11年 12年 これら自動車窃盗の増加の原因は、必ずしも明確ではないが、最近の検挙事例か ら見ると、単に車を乗り回す目的で盗むのではなく、売却利益を目的とした組織的 犯罪の増加が原因と推定されている。盗難自動車が外国において発見されている事 例も多く、盗難自動車の売却先は、国内に限られず、外国にも不正輸出されている ものと見られている。 他方、検挙状況については、捜査の困難化に伴い、検挙件数が平成10年から次 第に減少していたが、警察においては、昨年8月に組織的に敢行される自動車盗事 件を特定重要窃盗犯の一つに定め、全国の警察に対し取締りと防犯両面での緊急の 取組み強化を行ったことなどにより、本年は11月現在、検挙件数・人員とも昨年 同期比で増加となっている。 自動車盗難の発生場所としては、社団法人日本損害保険協会の調べによると、屋 外の契約駐車場が最も多く44.5パーセントを占め、次いで屋外の自宅敷地が1 6.9パーセント、路上11.4パーセントの順となっている。 自動車盗難の発生時間帯は、午後10時から翌日の午前4時まで頃に集中してい る。(警察庁統計) 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 22 ∼ 24 時 20 ∼ 22 時 18 ∼ 20 時 16∼ 18時 14 ∼ 16 時 12 ∼ 14 時 10 ∼ 12 時 8∼ 10 時 6∼ 8時 4∼ 6時 2∼ 4時 0∼ 2時 1,000 0 自動車窃盗の手口としては、最近の事例から見ると、コンビニ等でエンジンキー を抜かずに駐車し車から離れた隙に盗まれた事例、ドアロックした自動車について は、ドアのガラスを割られたり、合鍵を短時間のうちに作製されドアロックを解錠 されて盗まれた事例、自動車登録制度を悪用して自動車の所有者の住所等の個人情 報を調べることにより盗まれた事例等が報告されている。 70,000 認知件数 検挙件数 検挙人員 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 2年 3年 4年 5年 6年 7年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 8年 9年 10年 11年 12年 13年 9年 10年 11年 12年 13年 認知件数 34,167 35,366 34,740 35,648 34,725 35,730 33,722 34,489 35,884 43,092 56,205 63,275 検挙件数 13,839 13,550 14,140 19,739 19,717 20,821 19,264 18,291 18,210 15,241 11,415 13,390 検挙人員 6,536 6,391 6,129 6,331 5,896 5,806 5,380 5,264 5,495 5,028 4,590 4,933 (2)盗難自動車の不正輸出の現状 盗難自動車の不正輸出の現状については、把握の手段に乏しいが、自動車の盗難 台数と外国で発見された盗難自動車の台数及び我が国において発見された盗難自動 車の台数の差等から盗難自動車の不正輸出が増加していることが推定されている。 盗難自動車の不正輸出についても、検挙の結果等から売却による利益を目的とし た組織的犯罪と推定される。すなわち、自動車の窃取から盗難自動車の不正輸出、 外国における売却までが一連の活動としてビジネス化しているものと推定される。 主な盗難自動車の輸出先としては、英国、UAE、ロシア、オーストラリア等が 指摘されている。 盗難自動車の不正輸出の手口としては、盗難自動車を自動車用エンジン、部品、 電化製品等と品名を偽って輸出申告する、車台番号を改ざんして輸出申告する、あ るいは偽造した抹消登録証明書を用いて輸出申告する等の手口がある。 税関により発見された盗難自動車の台数は、下表のとおりである。 12年件数 乗用車 バイク ダンプ等貨物車 建設重機 部品 合 計 12年台数 51件 3件 11件 14件 − 79件 158台 58台 15台 16台 − 247台 13年件数 13年台数 146件 174件 31件 18件 3件 372件 269台 621台 36台 27台 3台分 956台 対前年同期比 (台数) 170.3% 10.7倍 240.0% 168.8% 全増 387.0% 主な摘発実績 ○ 平成13年2月、中古自動車1台の輸出申告があり、車台番号とエンジン番号の 両方を警察に通報したところ、当該エンジンが使用された車台番号は、申告された 中古自動車の車台番号とは異なっており、車台番号を改ざんした盗難車であること が判明した。 ○ 平成13年4月、自転車として申告されたコンテナ貨物を大型X線検査装置で検 査したところ、申告外の自動車が詰められていたことから警察に通報した結果、盗 難車であることが判明した。 ○ 平成13年7月、電化製品として輸出申告されたコンテナ貨物を検査したところ、 申告外の乗用車2台を発見したことから警察に通報したところ盗難車であることが 判明した。 ○ 平成13年10月、自動車用エンジン、部品として輸出申告されたコンテナ貨物 を検査し、申告外の乗用車3台を発見したことから、同じ輸出者の別申告のコンテ ナ貨物検査を実施したところ、さらに乗用車3台を発見し、警察に通報したところ 盗難車であることが判明した。 2 自動車の盗難及び盗難自動車の不正輸出に対する今後の取組み (1)今後実施すべき対策の検討 官民合同プロジェクトチームにおいては、自動車の盗難及び盗難自動車の不正輸 出の現状を踏まえ、今後必要と考えられる対策を、官民相互に提案しあい、その実 施の適否等を議論するという形式で検討が進められた。 民間から政府に対し要望があった対策の一覧は、次のとおりである。 民間から政府に対する施策実施要望一覧 (社)日本損害保険協会 ・ 盗難防止装置の有無による盗難件数、盗車率のデータ開示及びユーザ ーに対する盗難防止装着の有効性のアピール ・ イモビライザーの普及拡大策の促進。自動車ユーザーに対する認知度 アップ、法制化の検討 ・ 盗難防止性能の高い自動車の開発、販売の促進 ・ 警察の盗難情報、陸運支局等の登録情報を活用した通関時の強制的チ ェック態勢の構築 ・ 輸出時における税関でのチェック態勢強化のより一層の促進 ・ 中古車両等輸出検査の徹底(大型X線装置の配備) ・ 埠頭へ出入りする車両の入場制限、フェンスの設置、照明施設及び監 視カメラの整備等の港湾管理者に対する協力要請 ・ 駐車場管理者等に防犯カメラの設置、照明設備の充実、警備員の常 駐、 巡回パトロール等の指導 ・ 駐車場法対象外の駐車場管理者への防犯指導 ・ 登録事項等証明書交付時の一層の厳格な運用 ・ 自動車のリサイクルに関連する輸出抹消登録制度の早期実現 ・ 海外で発見された盗難車の被害者による回収を支援するための施策、 態勢の構築 (社)日本自動車工業会 ・ 水際対策、取締りの一層の強化 ・ 自動車関連部品流通対策についての検討 ・ 登録情報の閲覧発行の管理 ・ 発見回収のための盗難車データの管理・共有化 ・ 統計データ、手口情報、盗難車情報の開示 (社)日本自動車販売協会連合会 ・ 地元警察と共同した防犯協議会の設置 (社)全国レンタカー協会 ・ 自動車不正輸出取締りの強化 ・ 通関手続きの際、廃車手続きが適正に実施済みか否かを確実にチェッ クする態勢の整備 ・ 自動車輸出手続様式の車台番号を国土交通省の自動車登録コンピュー ターにマッチングさせるシステムの導入 ・ 不審車両の徹底調査 ・ レンタカー営業所、土木建設現場周辺における取締りの強化 ・ レンタカー防犯連絡会設置の促進 また、政府から民間に対し要望があった対策の一覧は、次のとおりである。 政府から民間に対する主な施策実施要望一覧 財務省 ・ 水際における盗難車両の疑いのある自動車を発見した場合の通報体制 の強化 ・ 輸出申告時(業務通関及び旅具通関)における抹消登録証明書の可能 な限りの原本呈示 経済産 業 省 ・ 盗難対策車への保険優遇措置の拡大 ・ 盗難車情報の共有化 ・ イモビライザー装着車種の拡大等の普及促進 ・ 盗難防止のための広報啓発キャンペーンの実施 ・ ユーザーへの防犯啓発 ・ ドアロック、エンジンキーシリンダー、トランクキーシリンダーの強 化改良 国土交 通 省 ・ 盗難対策車への保険優遇措置の拡大 ・ イモビライザー装着車種の拡大等の普及促進 ・ イモビライザーの一層の性能高度化の研究開発(質のアップ) ・ ドアロック、エンジンキーシリンダー、トランクキーシリンダーの強 化改良 ・ 整備事業者に対する整備時の不審車両発見に関する指導 ・ 整備事業者を通じたユーザーへの防犯啓発 ・ 駐車場法の対象となる駐車場管理者への防犯に関する広報・啓発の実 施 警察庁 ・ 盗難対策車への保険優遇措置の拡大 ・ キー付き盗難への保険金支払いの削減等の検討 ・ イモビライザーの一層の性能高度化の研究開発(質のアップ) ・ イモビライザー装着車種の拡大等の普及促進 ・ 安価で高性能な後付けイモビライザーの研究開発 ・ ドアロック、エンジンキーシリンダー、トランクキーシリンダーの強 化改良 ・ エンジンキーの管理の徹底 ・ 駐車場管理者等への防犯カメラの設置、照明設備の充実、警備員の常 駐、巡回パトロール等の指導 ・ 整備事業者に対する整備時の不審車両発見に関する指導 ・ 中古自動車販売店に対し、不審車両発見励行の指導 ・ 整備事業者を通じたユーザーへの防犯啓発 これらを踏まえ、要望があった対策の実施可能性、適否等の議論を行った。 民間側要望に対する政府対応説明 ・ 盗難防止装置の有無による盗難件数、盗車率のデータ開示およびユー ザーに対する盗難防止装置装着の有効性のアピール(損保) □ 現状では、イモビライザー等盗難防止装置の有無による盗難件数、盗 難率を正確に出すことはできないが、それに代わる資料の提供及び将来 における、そのようなデータの収集・提供については検討中である。盗 難防止装置等の有効性について、どのようにアピールしていくのか、関 係機関・団体と連携して検討する。 ・ イモビライザーの普及拡大策の促進。自動車ユーザーによる認知度ア ップ、法制化の検討。(損保) <イモビライザーの普及拡大策の促進> □ 自工会等に対し、イモビライザーについて標準装備/オプション装備 対象車種の拡充など一層の普及拡大を図るよう、関係省庁と連携を図り つつ、引き続き要請を行っていく。 <自動車ユーザーによる認知度アップ> □ イモビライザーの装備、鍵かけの励行等、自動車ユーザーによる自動 車盗難対策の励行につき関係省庁・関係団体と連携を図りつつ、政府広 報などによる広報活動を行っていく。 <法制化の検討> □ イモビライザー等盗難防止装置の適切な普及を図るため、これらの装 置を装着した場合に一定水準以上を満たすものでなければならないこと とするよう、構造基準の制定を行って参りたい。また、イモビライザー の装着義務付けについては、イモビライザーの普及率、欧米の盗難発生 状況等を踏まえると、時期尚早と考えるが、今後も、盗難発生件数の推 移、イモビライザーの普及状況等を注視し、費用対効果等の観点からこ れら装置の義務付けの必要性について継続して検討して参りたい。(国 土交通省) ・ 盗難防止性能の高い自動車の開発、販売の促進(損保) □ 関係省庁と連携を図りつつ、イモビライザー等盗難防止装置について 構造基準を制定することとしているが、併せて、盗難手口等の盗難発生 状況等を踏まえ、必要に応じて、自工会等に対し、盗難防止性能の高い 自動車の開発を図るよう働きかけを行う。(国土交通省) □ 自工会と何ができるか検討するなどして働きかけを行う。 □ 自販連等を通して販売店の意識を高めて、日々の営業活動を通じたユ ーザー啓蒙を図り、もって盗難防止性能の高い自動車の販売を促進す る。(経済産業省) ・ 国内流通および水際における総合的な盗難車発見態勢の整備(損保) □ 警察庁、国土交通省及び財務省において、情報の共有化によるチェッ ク体制の整備について検討中である。(財務省) □ 現在、財務省関税局と捜査第一課において、盗難車両情報の取扱いに ついて検討中である。(警察庁) ・ 警察の盗難情報、陸運支局等の登録情報を活用した通関時の強制的チ ェック態勢の構築(損保) □ 警察庁、国土交通省及び財務省において、情報の共有化によるチェッ ク体制の整備について検討中である。(財務省) □ 自動車登録情報の活用に関しては、税関等関係省庁のシステムをどの ようにつくるかにもよるが、一定条件の元に提供することは国土交通省 として可能である。(国土交通省) □ 現在、財務省関税局と捜査第一課において、盗難車両情報の取扱いに ついて検討中である。(警察庁) ・ 輸出時における税関でのチェック態勢強化の、より一層の促進(損保) ・ 水際対策、取締りの一層の強化(自工会) ・ 自動車不正輸出取締りの強化(レンタカー協会) □ 盗難車両の不正輸出を水際で取締るため、警察庁と財務省関税局が協 力体制について協議を行い、本年2月1日から、 ○ 盗難車両に関する各種情報交換をはじめとする警察と税関の協力体 制の整備 ○ 税関における審査・検査の際に、必要に応じ、通関時に抹消登録証 明書の呈示を求め、車台番号等の確認を行う ○ コンテナを開披することなく検査できる大型X線検査装置等を活用 し、不正輸出のおそれのある貨物の厳正な審査を行う ○ 盗難車両が発見された場合は共同して、検査、調査を行う などの対策を実施している。(警察庁・財務省) □ 盗難車両の旅具通関扱いによる不正輸出を水際で取締るため、本年7 月16日から、 ○ 盗難車両及び不審外国貿易船等に関する各種情報交換をはじめとす る警察と税関の連携の強化 ○ 旅具通関扱いをする自動車等の輸出申告に際しては、口頭申告から 書面申告へ変更する。 ○ 自動車等の携帯品の輸出申告の際に、上陸許可証並びに抹消登録証 明書の呈示を求め、車台番号等の確認を行う。 ○ 不審外国貿易船等入港時における不正輸出の取締りの強化 ○ 埠頭内及び埠頭周辺におけるパトロール等の強化 ○ 中古業者を通じた不審情報の収集 ○ 盗難車両が発見された場合は共同して捜査、調査を行う などの対策を実施しており、引き続き、連携を密にして水際対策の強化 を図っている。(警察庁・財務省) □ また、盗難車両の不正輸出に対する水際での取締りを強化するため、 本年11月26日から、輸出申告された中古自動車の登録が抹消されて いるか否かの確認を、可能な限り抹消登録証明書の原本の呈示で行うこ と等の施策を実施する。(財務省) ・ 中古車両等輸出検査の徹底(大型X線装置の配備)(損保) □ コンテナ貨物大型X線検査装置は、本年2月に横浜税関に整備を完了 し、本年度中に神戸税関、大阪税関に整備することとしている。さら に、今後、東京税関及び名古屋税関へのコンテナ貨物大型X線検査装置 の整備を予定している。(財務省) ・ 埠頭へ出入りする車両の入場制限、フェンスの設置、照明施設及び監 視カメラの整備等の港湾管理者に対する協力要請(損保) □ 盗難車両の不正輸出防止を図るための埠頭の管理強化については、港 湾管理者に対し、通達により協力を要請している。(国土交通省) ・ 防犯、取締り体制の更なる強化(損保) □ 最近の自動車盗の特徴として、暴力団関係者等により組織的に敢行さ れる事例が目立つことから、昨年8月、組織的に敢行される自動車盗事 件を特定重要窃盗犯の一つに定め、全国警察に対し、取締りと防犯両面 での緊急の取組み強化を指示し、自動車盗事件捜査への取組み強化を図 っている。(警察庁) ・ 駐車場管理者等に防犯カメラの設置、照明設備の充実、警備員の常駐 巡回パトロール等の指導(損保) □ (社)全日本駐車協会等の発行する機関誌に自動車盗難に対する注意 喚起、防犯上有効な対策の紹介等に関する意見広告を出してもらうよ う、調整を進める。 □ また、全国都道府県・政令指定都市等の駐車場担当者が出席する「駐 車場担当者会議」において、自動車盗難防止について注意喚起するとと もに、管内駐車場経営者に対して防犯対策の促進を図るよう呼びかけを 依頼する。(国土交通省) ・ 駐車場法対象外の駐車場管理者への防犯指導(損保) □ 各都道府県警察、防犯協会等を通じて、駐車場管理者の実態を把握 し、防犯指導を実施する。(警察庁) ・ 登録事項等証明書交付時の一層の厳格な運用(損保) □ 自動車窃盗等を行おうとする者が、登録事項等証明書(登録された自 動車の所有者等を証明した書面)の交付を請求し、これに記載された自 動車の所有者の住所等を調べて犯罪に悪用する事例が見られるため、平 成13年12月3日から、全国の陸運支局及び自動車検査登録事務所に おいて、交付請求者に対して、運転免許証の提示を求める等により、本 人確認を実施する。 なお、自動車検査証(車検証)の再交付についても、不正に申請して 犯罪に悪用する事例が見られるため、本人確認を実施する。 また、登録自動車の盗難に遭われた所有者又は使用者が、当該自動車 の使用の本拠の位置を管轄する陸運支局又は自動車検査登録事務所に、 警察より告知された盗難届受理番号等を明示して申し出ていただいたと きは、自動車登録検査業務電子情報処理システムにその旨を記録して、 当該自動車の登録事項を不正に変更しようとする登録申請があった場合 等に的確な対応を図る。(国土交通省) ・ 自動車のリサイクルに関連する輸出抹消登録制度の早期実現(損保) □ 次期通常国会に提出予定の道路運送車両法の改正により、自動車リサ イクル法(仮称)の枠組みに従った解体処理を確認しなければならない車 とそうでない車の区別の明確化を図るとともに、盗難車の輸出防止にも 資するため、輸出に係る抹消登録制度を整備することを検討中である。 (国土交通省) ・ 海外で発見された盗難車の被害者による回収を支援するための施策、 態勢の構築(損保) □ ICPOを通じた情報交換により、外国捜査機関等で盗難車両が発見 されたことが判明した場合は、都道府県警察を通じて現在の所有者に連 絡し、外国捜査機関等におけける連絡先等を教示するとともに、必要に 応じ、車両が発見された国に対し、被害車両回復の意思、現在の所有権 者の連絡先等を連絡するなどの支援を行う。今後、具体的な問題ごとに 検討を行う。(警察庁) ・ 自動車関連部品流通対策についての検討(自工会) □ 部品を扱う団体等と部品流通段階で何ができるか検討する。(経済産 業省) ・ 登録情報の閲覧発行の管理(自工会) □ 自動車窃盗等を行おうとする者が、登録事項等証明書(登録された自 動車の所有者等を証明した書面)の交付を請求し、これに記載された自 動車の所有者の住所等を調べて犯罪に悪用する事例が見られるため、平 成13年12月3日から、全国の陸運支局及び自動車検査登録事務所に おいて、交付請求者に対して、運転免許証の提示を求める等により、本 人確認を実施する。 なお、自動車検査証(車検証)の再交付についても、不正に申請して犯 罪に悪用する事例が見られるため、本人確認を実施する。 また、登録自動車の盗難に遭われた所有者又は使用者が、当該自動車 の使用の本拠の位置を管轄する陸運支局又は自動車検査登録事務所に、 警察より告知された盗難届受理番号等を明示して申し出ていただいたと きは、自動車登録検査業務電子情報処理システムにその旨を記録して、 当該自動車の登録事項を不正に変更しようとする登録申請があった場合 等に的確な対応を図る。(国土交通省) ・ 発見回収のための盗難車データの管理・共有化(自工会) □ データの共有化については、個人情報保護法との関係を踏まえつつ、 提供先等を勘案の上、慎重に検討する必要がある。(警察庁) ・ 統計データ、手口情報、盗難車情報の開示(自工会) □ 手口情報については、とりまとめ作業をしているところであり、提供 する方向で検討する。盗難車種情報については、現在、提供方法、管理 方法等を検討中である。(統計データについては、自工会に確認したと ころ、盗難車種情報と同内容のため、盗難車種情報についての回答と同 じ。)(警察庁) ・ 地元警察と共同した防犯協議会の設置(自販連) □ 各種情報交換等ができるよう、都道府県単位あるいは地区単位で、自 動車盗難防止防犯協議会を設置するよう指示する。(警察庁) ・ 通関手続きの際、廃車手続きが適正に実施済みか否かを確実にチェッ クする体制の配備(レンタカー協会) □ 警察庁、国土交通省及び財務省において、情報の共有化によるチェッ ク体制の整備について検討中である。(財務省) ・ 自動車輸出手続様式の車体番号を、国土交通省の自動車登録コンピュ ーターにマッチングさせるシステムの導入(レンタカー協会) □ 警察庁、国土交通省及び財務省において、情報の共有化によるチェッ ク体制の整備について検討中である。(財務省) □ 自動車登録情報の活用に関しては、税関等関係省庁のシステムをどの ようにつくるかにもよるが、一定条件の元に提供することは国土交通省 として可能である。(国土交通省) ・ 不審車両の徹底調査(レンタカー協会) □ 各都道府県警察において警らや目撃情報等による不審車両の発見に引 き続き努める。また、盗難車両情報の取り扱いについては、財務省関税 局と警察庁捜査第一課において現在検討中である。(警察庁) ・ レンタカー営業所、土木建設現場周辺における取締りの強化(レンタ カー協会) □ 各都道府県警察において、今後とも当該管轄地域における被害の発生 実態等に応じた取締りを行う。(警察庁) ・ レンタカー防犯連絡会設置の促進(レンタカー協会) □ 各種情報交換等ができるよう、都道府県単位あるいは地区単位で、レ ンタカー防犯連絡協議会を設置するよう指示する。(警察庁) 政府側要望に対する民間対応説明 ・ 水際における盗難車両の疑いのある自動車を発見した場合の通報体制 の強化(財務省) □ 盗難車両の不正輸出を水際で阻止するために、損保協会と共同で検索 システムを構築、損保協会から送信された盗難車データと検数の船積デ ータとを合致させ、一致した場合、所轄警察及び最寄りの税関へ通報す る体制を、本年1月に確立、現在実施中。(業務通関され、在来船等に バラ積される車両を対象) また、従来より、中古自動車の輸出に際し、検数作業(船積時)の中 で、車両に異常が見られた場合、速やかに最寄り税関へ通報を実施して いる。 なお、関税法基本通達67条(1)ニに基づき、港頭地区以外でコン テナ扱いで輸出される貨物のコンテナへの詰め込みに際し、品名・数量 等の確認及び施封を一部実施しているが、この際、不審貨物等を発見し た場合、税関への通報を実施している。(全日検、日検) ・ 盗難対策車への保険優遇措置の拡大(経済省、国交省、警察庁) ・ キー付盗難への保険金支払の削減等の検討(警察庁) □ 各保険会社が自社の商品をどのような内容にするかについては、各社 において検討すべき事項であるので、損保協会としてその内容を決定す ることはできない。しかしながら、盗難防止性能の高い自動車の普及・ 自動車ユーザーの自己防衛意識の醸成のために保険商品面からの対策も 必要であるという政府の要請の趣旨は理解できるので、要請内容と趣旨 について会員会社および自動車保険料率算定会に十分伝達する。 □ 盗難対策車への保険料優遇措置については、イモビライザー等の盗難 防止装置や盗難車発見装置等を装着した自動車に対する保険料の割引制 度が数社において既に導入されている。今後も、盗難防止性の高い自動 車に対する優遇措置を各社が創意工夫して開発していくものと思われ る。 □ キー付き盗難への保険金支払いの削減等、自動車の管理状況の悪いユ ーザーに対して保険契約上のデメリットを課す商品は現在販売されてい ない。ユーザーの自己防衛意識を醸成するために保険商品面からも検討 が必要であるという政府側の要請の趣旨は理解できるが、実施するため には、損害査定の技術的な問題(自動車販売時のキー本数、その後の盗 難・紛失の事実確認のための制度の確立等)、ユーザー側の理解等解決 すべき問題点も多いと思われる。 今後、盗難の先進国である欧米諸国の状況等も調査しながら研究を進 める必要があると思われる。(損保協会) ・ 盗難車情報の共有化(経済省) □ 現在、検数協会と連携して、損保会社の盗難情報を活用して、水際作 戦を実施し盗難車の発見に努めている。 □ 更に、日本オートオークション協議会において運用されている盗難車 発見システムとも上記と同様に情報の共有化を図り、国内流通過程にお ける盗難車両発見のための方策を検討している。(損保協会) □ 当会及び傘下各県商工組合が構成メンバーとなっている「日本オート オークション協議会」が運営・管理し当会傘下商工組合及び会員販売店 等が利用している「走行管理システム」(主にオークション取引時の中 古自動車の走行距離を記録し管理するシステム)の盗難車情報のデータ ベースに「日本損害保険協会」の盗難車データを追加入力することと し、「盗難車登録システム」として運用する予定である。(中販連) ・ イモビライザー装着車種の拡大等の普及促進(経済省、国交省、警察 庁) □ 関係省庁等からの要請に対して、かねてより各社への取組みを促して いるところ。盗難多発車種については、順次設定が拡大されているが、 今後は警察庁で整備いただいている全国統計の内容を参考にしながら、 キーなし盗難が多い車種について、メーカー各社に対して更なる設定の 拡大を促していく。(自工会) □ 上記のような設定拡大を図るとともに、イモビライザーの効用や車両 保険割引制度等に関するユーザーへの啓発活動を推進する(具体的には カタログでの扱い、広報活動の中で取り上げる)。(自工会) □ ユーザーへの防犯啓発と併せて、会員会社を通じ、ユーザーに対しイ モビライザーが車両盗難防止に効果的であることを周知する。(自販 連) ・ イモビライザーの一層の性能高度化の研究開発(質のアップ)(国交 省、警察庁) □ エンジン始動ごとにIDコードを生成するイモビライザーシステムを 導入するなど、かねてより研究開発に努めているところ。今後も手口研 究等を通じて、更なる性能高度化に努めたい。(自工会) ・ 安価で高性能な後付けイモビライザーの研究・開発(警察庁) □ 大掛かりな改修が必要であり、車両の性能、安全性を保障できなくな る等、技術的に困難である。(自工会) ・ 盗難防止のための広報啓発キャンペーンの実施(経済省) □ 平成14年1月より損保協会、政府広報等と連携した広報活動を予 定。(自工会) ・ ユーザーへの防犯啓発(経済省) □ 官民合同PTにて作成されたツールを会員各社に配布し、会員各社を 通じてユーザーに対し防犯意識の啓発を図る。(自販連) □ 販売活動の一環で行っていきたい。(中販連) ・ 駐車場法の対象となる駐車場管理者への防犯に関する広報・啓発の実 施(国交省) □ 地区協議会連絡会議、講演会・見学会の開催や機関誌を通じて、会員 間の情報交換、防犯意識の啓発等に努めている。(駐車協会) ・ ドアロック、エンジンキーシリンダー、トランクキーシリンダーの強 化改良(経済省、国交省、警察庁) □ これまでも取り組んでおり、今後も手口情報等を参考にしながら改良 に努める。(自工会) ・ エンジンキーの管理の徹底(警察庁) □ 販売店で合鍵を作る場合、ユーザー本人であることの確認を徹底して いる。ユーザー自身のキー管理については、施錠徹底を呼びかける広報 活動を通じて鍵の大切さも訴求したい。(自工会) ・ 駐車場管理者等への防犯カメラの設置、照明設備の充実、警備員の常 駐、巡回パトロール等の指導(警察庁) □ 駐車場の形態によって管理基準や管理の範囲が異なるので、一定の限 度があるが、その範囲内で対応している。(駐車協会) ・ 整備事業者に対する整備時の不審車両発見に関する指導(国交省、警 察庁) □ 現在車検時に同一性の確認の一つとして、車両と車検証の車台番号の 確認を行っている。(日整連) ・ 中古自動車販売店に対し、不審車両発見励行の指導(警察庁) □ (財)全国防犯協会連合会の推奨を受けて、中古車販売店を対象にし て当会が全国各県で行っている「古物管理者講習会」において、講習会 テキスト等を利用し指導している。(中販連) ・ 整備事業者を通じたユーザーへの防犯啓発(国交省、警察庁) □ 車両盗難について会報等の機関紙に掲載し、整備事業者からユーザー に説明する。(日整連) ・ 輸出申告時(業務通関及び旅具通関)における抹消登録証明書のでき る限りの原本呈示(財務省) □ 原本呈示により輸出業者に大変な手間と費用がかかるので、現状どお り、抹消登録証の写しを提出し、当該車両の譲渡証明書かオークション シートの添付を義務付ける等の考慮をお願いしたい。(中輸協) ほとんどの要望に対し、実施を担当する政府側又は民間側が、既に実施されてい る対策の内容を説明するか又は今後の実施を積極的な方向で検討する旨回答する結 果となった。特に、平成13年8月29日に国際組織犯罪等対策推進本部において 決定された「国際組織犯罪等対策に係る今後の取組みについて」に取りまとめられ た対策について具体的な実施の在り方が明らかなものとなるとともに、新規に提案 のあった対策についても、政府側、民間側とも積極的な方向で実施が検討される結 果となった。 (2)今後の対策の実施体制の在り方 官民が相互に協力して自動車の盗難及び盗難自動車の不正輸出の防止を図るため には、官民共通の対策の目標を設定した上で、具体的な対策の実施について指針を 定め計画的に進めていくものとすることが適当である。すなわち、全体の達成目標 を定め、官民共通の対策の指針となるべき、「自動車盗難等防止行動計画」を策定 し、官民で共同して対策を実施するものとすることが適当である。 また、自動車の盗難及び盗難自動車の不正輸出の防止をより早期に効率よく推進 していくためには、官民が取り得る限りの対策を臨機に追加していくことが必要で ある。すなわち、情勢の変化に応じて適宜、官民合同プロジェクトチームを開催し、 局面に応じた新たな対策を検討し、速やかに意思決定を行い、実行していくものと することが適当である。 なお、既存の対策についても、その効果を検証しつつ、対策手法の見直しを加え ていくものとすることも効率的な推進の観点から必要である。 以上から、「自動車盗難等防止行動計画」の見直しを含めた対策の進行管理を官 民合同プロジェクトチームにおいて行うものとすることが適当と考えられる。 (3)継続して検討すべき対策 自動車の盗難及び盗難自動車の不正輸出に対する今後の取組みの検討においては、 対策の実施について必要性が認められたものの実施に当たり解決しなければならな い問題点がある対策、今回の検討作業の中で期間的な問題から結論が出ていない対 策など、今後も継続して検討すべき対策がいくつか残された。その内容等は以下の とおりであるが、これらについては今後も継続して検討を行い、実施が可能と認め られた場合には、可及的速やかに「自動車盗難等防止行動計画」に追加の上、実施 するものとする。 ・ イモビライザー等盗難防止装置の装着義務付け イモビライザー等盗難防止装置の装着義務付けに関しては、現時点においては、 現在の普及状況、消費者の経済負担等の理由から時期尚早と判断されたが、その 普及状況や装着に必要な経費の負担に対するユーザーの意見等を踏まえつつ、継 続して装着義務付けの必要性について検討を行う必要がある。 ・ 自動車盗難防止を促す保険商品の検討等 自動車の使用者の自主警備の意識を醸成するため、新型保険商品の開発も必要 と考えられる。例えば、エンジンキーを付けたままで自動車を盗難された場合に は支払う金額を削減する形態の保険商品の検討などが考えられる。このような場 合には、消費者からの反応の予測、エンジンキーの発行の厳格な管理等のエンジ ンキーに係る事実確認のための制度の担保等解決すべき点も指摘される。 今後、自動車盗難被害が深刻な外国における保険商品の状況調査を含め研究を 進める必要がある。 ・ 使用過程自動車に装着する盗難防止装置の高度化・普及 新規開発される自動車については、今後、イモビライザー等盗難防止装置が標 準装備化されるなど、その普及が期待されるのであるが、大量普及までには相応 の期間を要する。そこで、自動車盗難防止対策の実効をより早期に上げるために は、使用過程にある自動車についても、何らかの対策を検討する必要がある。具 体的には、後付可能な盗難防止装置についての技術的な検討を引き続き進めると ともに、その他の防犯機器の普及・高度化やユーザーの意識啓発などについても 検討を進める必要がある。 ・ 盗難自動車発見回収のための盗難自動車データの提供 盗難自動車の発見回収を促進するため、盗難自動車データを官から民へ提供す ることも考えられる。これについては、個人情報保護法との関係を踏まえつつ、 提供先等を含め、犯罪者に悪用されないようにするための盗難自動車データの管 理方法等について継続して検討を行う。 ・ 自動車関連部品流通対策 自動車の盗難に悪用されないようにするため、自動車関連部品を扱う事業者団 体と部品流通段階における対策の可否等について検討を行う必要がある。 ・ 車両の迅速な特定のための方策 車両が発見された外国において、我が国における現在の所有権者、車両の製造 元等の迅速な特定を可能にするための規格等の検討を行う必要がある。