...

2007年2月 第377号のPDFをダウンロード(1.6MB)

by user

on
Category: Documents
32

views

Report

Comments

Transcript

2007年2月 第377号のPDFをダウンロード(1.6MB)
News
JIKEN CENTER
自研センターニュース
2
February 2007
平成19年2月15日発行 毎月1回15日発行(通巻377号)
昭和51年5月27日 第三種郵便物認可
C
O
N
T
E
N
T
S
テクノ情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
大型トラックで世界初追突被害軽減システム
リペアリポート ・・・・・・・・・・・・・・・・6
D&R調査研究における改善提案活動の総括
調査・研究報告 ・・・・・・・・・・・・・・・10
アルミニウム合金製外板パネル修理方法調査報告<その2>
RCAR東京会議 各国発表事例 ・・・・・・・・・13
RCARバンパバリアテスト基準の紹介
お客様相談室レポート ・・・・・・・・・・・・14
お客様相談室に比較的多く寄せられるご質問
リペアインフォメーションS ・・・・・・・・・・16
クォータウインドAssy・バックドアガラスの脱着作業事例
「構造調査シリーズ」新刊のご案内 ・・・・・・・20
KARTとの技術交流会開催 ・・・・・・・・・・・21
レクサスブランド車両の高外観塗装について ・・・22
日本アウダックス社 ・・・・・・・・・・・・・23
指数テーブル「2007年2月号」発行のご案内
別冊 新型車情報
1 ∼□
16
1トヨタ オーリス
(150系)・・・・・・・・・・・□
1 ∼□
12
2ニッサン スカイライン
(250GT/350GT)・・・□
【お知らせ】
今月の「リサーチングスケルトンズ」はお休みさせて
いただきます。
TECHNO INFORMATION
テクノ情報
大型トラックで世界初追突被害軽減システム
(プリクラッシュセーフティシステム)
自動車工学(鉄道日本社)2006年5月号に有益な記事がありましたので同社のご了承のもと、
ここに一部を紹介させていただきます。また、作動システムに関する写真、イラストは日野自動車
(株)のご協力を、統計データ
(グラフ)
は国土交通省のご協力を得て掲載させていただきました。
1.はじめに
このたび、日野自動車株式会社から世界初*1の
大型トラック用追突被害軽減ブレーキシステム
「プリ
クラッシュセーフティ
(PCS)
」が大型トラックのプロフ
ィアに塔載され発売されましたので紹介します。
今 回 装 備され たレーダ 式 の「プリクラッシュ
セーフティ」は万一の追突を早期に判断し警報音
とブレーキを作動させる安全機能で、トヨタ自動車
株式会社と共同で開発したシステムです。
日野プロフィア ADG-FR1EXYG型
2.概要
このシステムは、大型トラックによる追突事故の防止と、追突が避けられなかった場合の被害軽減を
目的とした安全対策の一環として開発されました。運転者の過失(注意散漫、居眠りなど)によって、
近年、大型トラックが第一原因車として引き起こされる追突による多重衝突事故で多くの死傷者を出し、
被追突車が乗用車など小型軽量車であると、死傷者は被追突車側に集中する傾向があります。
また、現場が幹線高速道路などである場合は、路線が長時間にわたって閉鎖されるなど、社会的に大
きな損失を招いている現状があります
こうした問題意識はメーカ側と行政(国土交通省)側とで共有され、国土交通省が推進する「先進安
全技術実験車*2(ASV:アドバンスド・セーフティ・ビークル)
」プロジェクトの成果として、保安基準
のなかで一定条件下での“自動制動”が実用可能になりました。
このプリクラッシュセーフティシステムは、これに対応した大型トラックでは世界初の先進の安全シ
ステムです。
3.そのしくみ
このプリクラッシュセーフティシステムは、次の主要素によって構成されています。
e舵角センサ
t警報装置
qミリ波レーダ
wヨーレイトセンサ
rプリクラッシュセーフティ
ECU
y電子制御ブレーキ
(EBS)
〔第1図 プリクラッシュセーフティのシステム構成〕
2
自研センターニュース 2007年 2月号
TECHNO INFORMATION
プリクラッシュセーフティシステムの中核は、①「ミリ波レーダ」で、これに②ヨーレイトセンサ、
③舵角センサ、④プリクラッシュセーフティECU(このシステムの演算装置)
、⑤警報装置、⑥EBS(エ
レクトロニック・ブレーキ)などで成り立っています。
〔第2図〕は具体的な被害軽減フローです。悪天候でも物体認知にすぐれる①「ミリ波レーダ」による
電子スキャンは、雨・霧などの悪天候下にも対象車をまちがいなく認識します。車両前面部(〔第3図〕
路面上約1m・バンパ直上)に受発信器を備え、車両前方上下角4度/左右角10度の扁平な矩形断面の範
囲に照射された電磁波(ミリ波)は自動車などの金属製物体で確実に反射され、受信器が反射波を検知
する。また、②ヨーレイトセンサと③舵角センサによって運転者がステアリング操作を行っているか、
どの程度の速さで操作中の車の進路が変化しているのかなどを検知し、④プリクラッシュセーフティ
ECUによって車速とともに前方車両との車間距離と相対速度のそれぞれの変化度合いを瞬時に演算して、
追突の可能性があると判断すると、⑤警報装置が車室内に短い周期の断続警報音を発して運転者に危急
を警告します。
ここで、運転者が自ら急制動操作をすれば、その操作に従った制動が効きます。警報を発生したにも
関わらず運転者の反応が間に合わなければ、⑥EBS(電子制御ブレーキシステム)を自動的に作動させ
ます。このときの減速度は、最大0.5Gに設定されていますが、路面の状況がすべりやすい凍結路などの
場合は、標準装備のABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が優先して作動します。このため、減
速度は設定最大が発揮されるとは限りません。
しかし、衝突回避が出来なくても被害は軽減でき、運転者が警告音を認識して集中力を回復し、ある
いは覚醒して自ら急ブレーキ操作を行えば、より大きな減速度が発生し(乾燥路面ならば0.8G∼1Gも期
待できる)、条件によっては追突を寸前で回避できる可能性もあります。しかし、万一、運転者の反応
が遅れて追突事故が発生した場合でも、自動ブレーキによって車速は確実に減速された状態となるので、
被害は軽減されます。
〔第2図 「プリクラッシュセーフティ」の追突被害軽減フロー(停止車両に近づく場合)
〕
(1)悪天候でも物体認知に優れる「ミリ波レーダ」を車両前方より照射し、進路前停止車両や路上障害
物を検知。
ピ…
ピピ
弱いブレーキ作動
(2)各種「センサ」が、車両走行速度および進路、物体との距離から“追突の可能性がある”と判断し
た場合には、警報音、メータ内ディスプレイの警報表示、警報ブレーキを作動させ、ドライバに
注意を喚起、追突回避操作を促進。
自研センターニュース 2007年 2月号
3
強いブレーキ作動
(3)万一ドライバが回避操作を行わず、“追突の可能性が高い”と判断した場合にはコンピュータ制御
により強力なブレーキを追加作動させ、追突速度をさらに低減することで、前方車両や障害物およ
び自車両双方の被害を軽減させます。
〔第3図 ミリ波レーダの取付位置。フロントバンパ裏に取付けている。ミリ波は降雨や濃霧などの天候の
影響は無視できる。雨天時に表面が汚れていても、性能は影響されない。
〕
4.システムが作動しない条件
このプリクラッシュセーフティシステムが作動しない条件は、
1.システム電源がOFFのとき。
2.車速が15km/h以下のとき。
1.の状態でエンジンを始動すると、メータクラスタ内に警告灯が点灯します。電源がOFFであること
に気づかずに運行していれば、システムそのものが作動しません。また、渋滞路線など車速15km/hのノ
ロノロ運転中は、システム電源がONであってもシステムは作動しません。
5.まとめ
大型トラックは物流の根幹を担う輸送手段である一方、その重量、車格などから発生した交通事故が
大事故につながるケースが多いです。
〔第4図〕の通り、事業用自動車の業態別重大事故死者数の推移を見ると年々減少傾向にありますが、
大型トラックによる死者数が圧倒的に多く、また〔第5図〕の通り負傷者数においても同様な結果であ
り、大型車トラックによる交通事故が現在の社会的問題になっています。
今回開発された追突被害軽減ブレーキシステムは前述のような各種制御システムを使用することによ
って衝突速度を衝突前速度より20Km/h下げることが可能になり、追突された車両の乗員の死亡者数を約
9割、また重傷者数を約6割軽減する効果があると見込まれています。
このような事故削減効果が大きい追突被害軽減ブレーキシステムを社会的にニーズの高い大型トラッ
クに早期普及されることが望まれています。
4
自研センターニュース 2007年 2月号
TECHNO INFORMATION
1,800
1,600
1,493
1,507
1,519
1,527
1,502
1,489
1,478
1,418
1,400
1,305
1,318
1,301
1,177
トラック
1,200
死
者
数
1,333
1,132
1,125
1,073
1,000
800
600
トラック
乗合バス
乗合バス
400
228
214
167
200
78
69
39
0
平成元年
44
2年
81
39
3年
191
182
67
72
39
48
4年
5年
166
164
73
73
32
6年
22
7年
131
113
129
63
35
54
30
8年
9年
63
32
10年
131
61
20
11年
115
112
123
40
29
14年
47
36
15年
106
49
28
12年
43
26
13年
104
47
23
16年
年
〔第4図 事業用自動車の業態別重大事故死亡者数の推移〕
3,500
3,251
3,007
3,144
3,229
3,171
2,976
3,116
3,029
2,978
3,000
2,725
2,825
2,726
トラック
2,500
2,306
2,168
負
傷
者
数
2,040
1,972
2,000
ハイタク
乗合バス
1,599
1,423
1,500
1,319
1,338
1,281
貸切バス
1,268
1,095
959
1,000
775
500
877
702
751
939
864
730
648
628
602
719
0
平成元年
559
2年
499
3年
548
4年
566
5年
556
6年
564
7年
876
572
853
503
625
737
400
8年
9年
10年
11年
12年
835
843
830
801
700
713
442
480
13年
14年
595
505
514
851
889
704
543
412
15年
16年
年
〔第5図 事業用自動車の業態別重大事故負傷者数の推移〕
*1:商用車用の追突被害軽減ブレーキシステムの商品化は世界初。
*2:国土交通省第2期ASV(Advanced Safety Vehicle)プロジェクト。
【1996∼2000年度】から参画。
参考文献:自動車工学 2006年5月号
日野自動車ホームページ
国土交通省ホームページ
(研修部/齋藤義雄)
自研センターニュース 2007年 2月号
5
REPAIR REPORT
リペア リポート
D&R調査研究における
改善提案活動の総括
1.はじめに
自研センターでは、損傷性・修理性の改善の一環として「RCAR基準」での衝突試験を通して、新型
車の「D&R」調査研究を行なっています。
1995年から基礎調査を開始し、『壊れにくく、直しやすいクルマ』づくりに役立つよう、自動車メー
カーに対して車両の構造や修理技法などについて改善提案を行っています。
今回、これまでの改善提案の成果を総括し、実際に改善された事例を紹介します。
注1.「RCAR基準」
(1)RCAR(Research Council for Automobile Repairs 国際自動車修理研究会議)
自動車の安全性能の向上や損傷性・修理性の改善を目的として各国のリサーチセンターで設立された国際団体。2006
年9月現在、世界20ヶ国、27センターが加盟。
(2)RCAR基準
自動車の損傷性・修理性を評価するための低速15km/hオフセット衝突試験基準。
注2.D&R(Damageability:損傷性=壊れにくさ、Repairability:修理性=直しやすさ)
2.D&R調査における自動車メーカーへの改善提案活動
D&R調査では、衝突試験でどのような壊れ方をしたのか確認するほか、車体寸法や加速度のデータ、
高速度映像などを用いて分析しています。
また、復元修理を実施して作業内容を確認したり、修理書やボデー寸法図および部品の補給形態など
の修理上の作業性・利便性の調査を行っています。
これらの調査から損傷性・修理性の改善に繋がる情報を「改善提案」として自動車メーカーへ発信し
ています。
(1)改善提案の概要
自動車メーカーへの改善提案は、以下のような内容で構成されています。
①タイトル(部位など 例.ヘッドランプの補給形態の改善について)
②経緯(部品の損傷状況など)
③具体的な改善内容
④他メーカーでの採用実績
(2)改善提案の実績
2002年から2005年までの改善提案件数は累計で
図1
提案件数累計と内訳
補給形態
28件
16%
構造変更
105件
59%
178件となりました。
提案の種類を構造変更、修理書、部品の補給形
総件数178件
態と大まかに3分類すると、全体の内訳は構造変
更が約6割と最も多く、次いで修理書、部品の補
給形態の順となっています。(図1参照)
6
自研センターニュース 2007年 2月号
修理書
44件
25%
REPAIR REPORT
(3)改善提案の採用状況
提案の種類別に採用状況を見ると、修理書や部品の補給形態は採用されるケースが多く、全体に「次
期モデルで検討」の回答が多くなっています。
(図2参照)
自動車メーカーが現行車で構造変更の提案を直ちに採用出来ないのは、デザイン、車両重量、値段と
いった商品性や構造上などの観点から総合的に検討を加えなければならないことに加え、D&R調査と
改善提案が新型車発売後に実施されるため、自動車メーカーにとって設計・デザインなど構造変更を伴
う対策が容易ではないためです。
また、
「次期モデルで検討」
となった提案部位の内訳を見ると、特定の部位に集中しています。
(図3参照)
図2 提案種類別の採用状況
120
採用(現行モデル)
次期モデルで検討
不採用
保留・未回答
6
100
80
66
件
数 60
40
19
6
0
13
11
4
7
14
4
28
20
構造変更
修理書
補給形態
改善提案の種類
図3
「次期モデル検討」の部位別内訳
20
18
16
14
件
数
12
特定部位に提案が集中!
10
8
6
4
2
0
リ
ヤ
バ
ン
パ
フ
ロ
ン
ト
バ
ン
パ
ホ
ー
ン
ヘ
ッ
ド
ラ
ン
プ
ラ
ジ
エ
ー
タ
サ
ポ
ー
ト
フ
ロ
ン
ト
サ
イ
ド
メ
ン
バ
フ
ロ
ン
ト
フ
ェ
ン
ダ
コ
ン
デ
ン
サ
エ
キ
ゾ
ー
ス
ト
提案部位
エ
ア
バ
ッ
グ
サ
イ
ド
シ
ル
ラ
ジ
エ
ー
タ
グ
リ
ル
リ
ヤ
フ
ェ
ン
ダ
フ
ー
ド
E
/
G
ル
ー
ム
付
属
品
フ
ロ
ン
ト
サ
ス
ペ
ン
シ
ョ
ン
リ
ヤ
エ
ン
ド
パ
ネ
ル
(4)改善提案の採用事例
自動車メーカーに採用された改善提案には、D&R調査で確認された外装や骨格に関するものが多く、
修理書関連ではサイドメンバ半裁作業の追加、ディスチャージヘッドランプの簡易点検方法の追加、
ボデー寸法図の計測ポイントの追加などがあります。部品の補給形態関連ではヘッドランプユニットの
自研センターニュース 2007年 2月号
7
分割化、ラジエータサポートやサイドメンバのAssy部品と分割補給の設定のほか、リヤ損傷では取替頻
度の高いバックドアガラス(特にモール単品)補給に関するものがあります。
今回、構造変更に関する提案の採用事例として「フードロックサポートの形状改善」および「HIDヘ
ッドランプの構造改善」について、簡単に紹介します。
① 「フードロックサポートの形状改善」
【車種】
写真1
損傷状況
写真2
改善結果
写真3
損傷状況
トヨタ イプサム ACM21W
【経緯(損傷状況)
】
ボンネットロックサポートの後退により、クーラコン
デンサに曲がり変形が生じた。
(写真1参照)
【提案内容】
ボンネットロックサポートの形状を変更し、後
部の高額メカニカル部品を損傷させない構造に
する。
【改善結果】
バンパカバー取付けステー部の形状が変更され
た。ビードおよび切欠きが追加され、低速衝突
の際にステー部が折れることで、後部のコンデ
ンサやラジエータが損傷しにくい構造となっ
た。
(写真2参照)
② 「HIDヘッドランプの構造改善」
【車種】
スバル フォレスター SG5
【経緯(損傷状況)
】
ヘッドランプバラストがヘッドランプから離れ
てサイドメンバに取付けられており、後退した
フロントバックビームのボルトが接触、バラス
ト外側ケース部に打痕が生じ、取替となった。
(写真3、図4参照)
8
自研センターニュース 2007年 2月号
REPAIR REPORT
【提案内容】
ヘッドランプバラストをヘッドランプと一体化し、損傷しにくいヘッドランプ下面に配置する。さら
に、外傷から保護するためカバーで覆う構造にする。
【改善結果】
2002年9月のマイナーチェンジの際、ヘッドランプバラストはヘッドランプの下面に取付く構造とな
った。(図5参照)
図4
,
ヘッドランプ構造(改善前∼ 02.9)
,
ヘッドランプ構造(改善後 02.9∼)
図5
ヘッドランプバラスト
3.今後の取組み
ヘッドランプバラスト
D&R調査では、以下のことが言えます。
(1)発売後の車両は設計やデザイン変更を伴う構造変更が難しい。
(2)提案が特定部位に集中している。
これらの問題解決には、自研センターが改善提案を自動車メーカーに提供し、車両の設計段階から検
討して頂けるようにしていく必要があります。損傷性・修理性に関する改善内容が設計段階の検討項目
のひとつに加わることで修理性改善には大きな効果があると考えます。
現在、自動車メーカーが有効活用できるような「デザインガイド」の作成に取組んでおり、衝突試験
による損傷事例や分析データおよび復元修理の確認によって得られた構造・設計上のポイントなどをま
とめる予定です。
大掴みではありますが、D&R調査研究活動の総括としてこれまでの改善提案の成果を紹介しました。
今後も損傷性・修理性の改善に繋がる活動を積極的に推進していく予定です。
(技術調査部/宇都宮勝洋)
自研センターニュース 2007年 2月号
9
調査・研究報告
アルミニウム合金製外板パネル修理方法調査
<その2>
前回、アルミニウム合金(以下アルミ合金)製外板パネルの修理において使用する主な手工具と材料
について解説しましたが、今回は実際の作業に有効な工具とその作業事例を紹介します。
通常、損傷パネルの修理において頻繁に使用される工具にワッシャ溶植機があり、これは自動車ボデーに
多くみられる閉断面部分の損傷を引き出し修理するには有効な工具の一つです。しかしながらアルミ合
金製外板パネルの場合、そのアルミニウムの特性から従来型のワッシャ溶植機では対応できないため、
その代用品として最近ではスタッド溶接機が用いられています。
では何故アルミ合金製外板パネルは従来型のワッシャ溶植機で対応できないのでしょうか? それは
これまでのワッシャ溶植(溶接)が、ワッシャとパネルの接触面に電流を流すことにより発生する抵抗
とその材料がもっている固有抵抗を利用した発熱→温度上昇により接合する技術だったため、固有抵抗
が鋼板の1/4、熱伝導率が鋼板の3倍と発熱しづらく熱を逃がしやすい特性をもつアルミニウムには対
応することが難しくなっています。
そこで今回はスタッド溶接以外の修理方法として樹脂材料による溶着引き出し作業を紹介します。
ワッシャ溶植機
樹脂材料を利用した溶着引き出し工具は多くの種類が販売されていますが、今回使用した工具は以下
の通りです。
スクリュープーラセット
商品名 スクリュープーラセット
製造元 日本整備株式会社
これはパネル表面に専用のプレートフックをホ
ットメルトで溶着させ、その溶着力を利用して引
き出し修理する工具です。
10
自研センターニュース 2007年 2月号
調査・研究報告
修理事例 「バックドア」
損傷状態
この損傷は、伸びも折れも少ないが、閉断面構
造であるためパネル表面(外側)からの引き出し
作業によって修理する必要があります。
作業要点
スクリュープーラの溶着力を強固にするため、
パネル、プレー
プレートフック双方充分に加熱し、圧着する
トフック双方充分に加熱し、圧着する
パネル、
溶着面(塗装面)を清掃(足付け)を兼ねてコン
パウンドで磨きます。
ホットメルトがあらかじめ溶着されたプレート
フックを、更にドライヤで加熱(100℃)しパネ
ルに圧着します。
プレートフック
引き出し作業は十分に冷却してからおこないま
す。この強制的な急冷時にホットメルト硬化中の
フックプレートの浮き、ズレによる溶着力低下に
注意します。
(溶着直後の急激なエア吹き付けは、
プレートのズレを発生させ、逆効果となる場合が
あるため注意)
エアガンによる冷却
スクリュープーラ(専用引き出し工具)を使用
して、損傷面積に応じた段階的な引き出し作業を
行います。
ネジの締め込み量=引き出し量は、スプリング
バック量を考慮し作業を行います。
静荷重による引き出し作業と同時に、周辺部
(凸部)のハンマリングを併用することでパネル
修理を効率的に行うことができます。
スクリュープーラによる引き出し作業
自研センターニュース 2007年 2月号
11
調査・研究報告
引き出し不足や作業中のプレートフック剥離の
場合は、繰返し作業を行います。
修正前
修正後
塗膜剥離
フェザエッジ
ある程度の引き出し作業によって大きな凹みを
修理した後、パテを使用して最終仕上げをおこな
います。
塗膜剥離は不織布製などの研磨材を使用し素材
の削り過ぎに注意して作業します。
粒度#120∼180程度のペーパを使用しフェザエッ
ジをとります。
パテの密着性を向上させるため、表面処理剤を
塗布(使用するパテの使用方法参照)した後パテ
付け作業を行い、硬化後研磨して仕上げます。
表面処理
面出しは素材を削り過ぎないように注意しなが
ら作業します。
以上で板金修理作業が完了です。
この事例のように比較的軽微な損傷で、損傷範
囲の大きな損傷に有効な修理手段として今回のよ
うな樹脂による溶着引き出し作業を検討してみて
はいかがでしょうか?
(技術開発部/松浦茂之)
12
自研センターニュース 2007年 2月号
パテ付け
RCAR東京会議 各国発表事例
RCARバンパバリアテスト基準の紹介
1.はじめに
自研センターでは、事故により損傷した自動車の復元修理費適正化・低減化のための取組みの一環と
して、実車の衝突テストを行って損傷性・修理性※(D&R)の調査を行っています。
テスト方法はRCAR衝突テスト基準※を用い、テストで得られたデータをもとに自動車メーカに対して
損傷性・修理性を改善するための提案を行っています。
昨年10月に東京で行われたRCAR総会にて、新たな衝突テスト法としてバンパバリアテスト基準が設
定されましたのでその概要を紹介いたします。
(※本誌6頁の「リペアリポート―D&R調査研究における改善提案活動の総括」に掲載の注意事項をご参照ください。
)
2.いままでの経緯
2001年のRCAR韓国総会にて、アリアンツ技術センター(独)からRCAR衝突テスト基準の見直しが
提案され、より市場の事故実態に合った衝突試験の開発を目的としたワーキンググループ(作業部会)
が発足しました。
以来ワーキンググループで様々な調査研究および議論が重ねられた結果、主としてサイドメンバなど
の構造部材の損傷を評価するテストと、フードやフェンダなどの外板パネルの損傷を評価するテストの
2種類を導入することになりました。
すでに構造損傷を評価するテストとしては、2004年に15km/h衝突テスト基準の改定が行われており、
外板パネル損傷を評価するテストに相当するものが、今回新たに設定されたバンパバリアテストです。
3.バンパバリアテストの開発目的
市場での事故の状況をよく調べたところ、車と車の衝突中にバンパ同士が確実に噛合っていないことによ
り、フードやフェンダなどの外板パネル損傷の範囲が拡大する場合があることが分かりました。
(写真1)
また、バンパ高さの違いやブレーキングによる車の潜り込みにより、バンパ同士が全く噛合わないこ
ともあります。
(図1)
以上のことから車と車が衝突した時の、バンパ同士の噛合いの状態を再現するテスト方法としてバン
パバリアテストが開発されました。
バンパ高さの違いによる車両の滑り込み
ブレーキングによる車両の滑り込み
写真1
相手車にバンパが潜り込んだ損傷
図1
バンパ同士が噛合わない事例
自研センターニュース 2007年 2月号
13
4.バンパバリアテスト基準の概要
バンパバリアは一般的なバンパを模擬しており、バンパレインフォースに相当するスチール製の本体
部分と、その前側のエネルギ吸収部分で構成されています。(写真2)
なおバンパバリアの地上高についてはフロントバンパテストが455mm、リヤバンパテストについては
405mmまたは455mmです。リヤバンパテストのバリアの地上高は、それぞれの市場における車種構成な
どを考慮して各国が選定することとしています。(写真3)
バンパバリア本体
テスト速度10km/h
バリア地上高
エネルギ吸収材
写真2
バンパバリア
写真3
衝突テストの状況(フロントバンパテスト)
5.終わりに
今後自研センターでは、15km/h衝突テストとともにバンパバリアによるテストも行い、その結果をもとに、
自動車メーカに対して「より壊れにくくより直しやすい」車の開発を要請して参ります。
*参考 ワーキング参加センター
アリアンツ
(独)
、GDV(独)
、IIHS(米)
、サッチャム
(英)
、CESVIMAP(西)
、CESVI France(仏)
、IAG(豪)
、自研センターの計8センター
(技術調査部/小松 靖)
Customer Relations Department REPORT
お客様相談室レポート
お客様相談室に比較的多く寄せられるご質問
自研センターニュースでは、お客様相談室に比較的多く寄せられるご質問と回答を取り上げてきまし
たが、同様のご質問が多いので、過去の記事を再度掲載します。
Q
A
指数ではボデーシーラの塗布(ボデーシーリング)作業はすべて補修塗装指数の付加数値で算
出するのですか?
いいえ違います。
脱着・取替指数と補修塗装指数の取替パネル(修正パネルは除く)塗り数値および内板骨格パ
ネルにはボデーシーリング作業が含まれています。
補修塗装指数の付加数値で算出するものは、外板パネルの板金修正部(表1アミ枠)
にボデーシーリ
ング作業をする場合で、付加数値1mごとに0.1を加算できます。
表1のようにまとめたものが指数テーブルマニュアルに紹介されてますのでご参照ください。
なお、すべての指数値に材料代は含まれません。
14
自研センターニュース 2007年 2月号
表1 指数に含まれるシーリングとその範囲(2006年10月発行指数テーブルマニュアルP112)
適用範囲
脱着・取替指数に
含まれるシーリング
具体例
qアンダコート塗布後では塗布できない部位
qフロントサイドメンバとダッシュパネル、センタ
フロアとの溶接接合部
wサイレンサシート貼付後では塗布できない部位
wリヤフロア取替時のサイレンサシート貼付部
eパネル取付後では塗布できない部位
eクォータパネルのホイールアーチ部内側
補修塗装指数の
塗り数値(旧塗り指数) 脱着、取替指数に含まれるシーリング
に含まれるもの
以外の塗布部(ヒンジ取付部は除く)
qボンネット、ドアなどのヘミング部
wクォータパネルとバックパネルの溶接接合部
補修塗装指数の
内板骨格パネルに含ま 内板骨格パネルの取替部
れるもの
内板骨格パネルの修正部
q内板骨格パネルの塗布部
補修塗装指数の
付加数値(旧付加指数)
外板パネルの修正部
に含まれるもの
qボンネット、ドアなどのヘミング部
wクォータパネルとバックパネルの溶接接合修正部
なお、脱着取替指数に含まれているボデーシーリングの作業例を紹介します
¡ アンダコート吹き付け後では、塗布できない部位(写真1)
™ サイレンサシート貼付後では、塗布できない部位(写真2)
£ パネル取付後では、塗布できない部位(写真3)
写真1
アンダコート塗布後ではできない例
拡大
フロントサイドメンバとダッシュパネルの接合部
写真2
サイレンサシート下の部分の例
拡大
リヤフロア部
写真3
クオータパネルのホイールアーチ部等パネル取付後では塗布できない例:ホイールアーチ部
拡大
ホイールアーチ部
(指数部/池田浩和)
自研センターニュース 2007年 2月号
15
REPAIR Information S
リペア インフォメーション S
クォータウインドAssy・バックドアガラス
の脱着作業事例
2006年1月に発売されたトヨタエスティマ(ARC50W)について、クォータウインドAssy脱着作業と
バックドアガラス脱着作業を行いましたのでご紹介します。
(発売後好調な車種で、トヨタ車の中ではカローラ、ヴィッツに次ぐ販売台数です。:2006年)
1.エスティマのクォータウインドAssy脱着要領を紹介します。
(写真1)
この車両のクォータウインドAssyはモジュールガラスを採用しており、クリップ類などの補給部品は
一切設定がありません。(図1)
参考価格
クォータウインドウAssy¥29,500(2006年12月現在 税別)
クォータウインドウASSY
写真1
図1
作業手順
図2
(1)リヤドアスカッフプレート、リヤフロ
アマットプレートNo.1、デッキトリムサイ
ルーフサイドレールガーニッシュリヤ
ドパネルAssy、ルーフサイドインナガーニ
ッシュ、クォータピラーガーニッシュ、ル
ーフサイドレールガーニッシュリヤ、バッ
ルーフサイドインナガーニッシュ
クドアスカッフプレート、バックドアセン
タガーニッシュなど室内トリムを取外した
クォータピラーガーニッシュ
後、クォータウインドASSYの取外し作業
バックドアスカッフプレート
を行います。(図2)
*この車種はリヤシートNo.2が手動の格納
リヤフロアマットプレートNo.1
リヤドアスカッフプレート
シートでしたのでシートの取外作業を行
わず作業を行いました。(電動格納シー
トの車種ではありません。
)
16
自研センターニュース 2007年 2月号
デッキトリム
サイドパネルASSY
バックドアセンタ
ガーニッシュ
REPAIR Information S
(2)ガラス上下部分の接着剤を可能な限りウイン
ドシールドカッタ(L型カッタ)を使用して切断
します。
(写真2)
切断可能範囲
切断可能範囲
写真2
(3)ガラス後方下側のクリップを避けた部位から
クリップ位置○
ピアノ線を貫通させ、もう一方は既に室内側から
ウインドシールドカッタを使用して切断した部位
(ガラス上部)から、室内側に引き入れ、後方上
側のクリップを破損させないように接着剤を切断
します。
(写真3)
室内側
ピアノ線
写真3
(4)ガラス前方も同様の要領でピアノ線を室内側
に引き入れ上下クリップを破損させないように接
着剤を切断します。
(写真4)
ピアノ線
ピアノ線
写真4
(5)ガラス後方下側のクリップは接着剤の塗布面
が複雑であるため、接着剤切断時に破損してしま
いました。
(写真5)
写真5
自研センターニュース 2007年 2月号
17
(6)取外作業の結果、4箇所あるクリップの内、後方
下側(写真5)のクリップ以外は破損させることなく作
業は可能でしたが、それら3箇所のクリップもガラス
本体からは分離させてしまう結果となりました。
(写
※取外作業で4箇所中破損した1箇所を除き、3箇所
真6)
(本来はガラスモール部分と一体整形)
がガラス本体から外れてしまいました。
写真6
(7)クリップ取付位置のガラス側台座の破損が軽微であったため、クリップを再度接着することでガラ
ス本体を取替えることなく再使用することが可能でした。(写真7、8)
写真7
写真8
2.バックドア脱着作業要領を紹介します。(写真9)
写真9
18
自研センターニュース 2007年 2月号
REPAIR Information S
作業手順
(1)バックドアガラスには、ガラス両サイドと下
(2)ガラス上部の接着剤は車両外側からウインド
部にかけてモールが貼り付けてあるため、はじめ
シールドカッタ(L型カッタ)を使用して切断し、
にモールを剥がします。
(写真10)
下部の接着剤は室内側から切断します。
(写真11)
切断範囲
アウトサイドモールディング
アウトサイドモールディング
切断範囲
写真10
写真11
(3)ウインドシールドカッタでは届かない、両サ
イドの接着剤はピアノ線を使用して切断します。
(写真12)
ピアノ線
写真12
(4)ガラス4隅に残った接着剤は、既に切断してある部分からピアノ線を通し、車両外側に向かって、
引き切ります。
(写真13)
その際、両サイド下部の切断時に配線を切断しないように注意します。
(写真14)
ピアノ線
写真13
写真14
自研センターニュース 2007年 2月号
19
REPAIR Information S
(5)取外作業によって破損した4箇所のクリップ(写
真15)
(6)バックドアガラス周辺の補給部品については
以下のようになっています。(図3)
写真15
参考価格(2006年12月現在 税別)
バックドアガラス ¥41,800
バックウインドウガラス
クリップ(ガラス上部)¥230
バックドアガラススペーサ
(ガラス下部) ¥260
バックウインドウアウトサイド
モールディング ¥2,560
○補給部品設定有
図3
(7)ガラス取付作業は、クリップによってガラス
位置が決まるため、クリップ取付位置の精度がポ
イントになりますが、ガラスに示されている取付
位置(写真16)に従ってクリップを貼り付けま
す。(取替)
クリップ取付位置マーク
(技術開発部/島田東一)
写真16
「構造調査シリーズ」新刊のご案内
自研センターでは新型車について、損傷した場合の復元修理
No.
車 名
型 式
462
トヨタ カローラアクシオ
140系
463
トヨタ オーリス
150系
464
三菱 ekワゴン、ekスポーツ
の立場から見た車両構造、部品の補給形態、指数項目とそ
の作業範囲、ボデー寸法図など諸データを掲載した「構造調
査シリーズ」を発刊しておりますが、今月は右記新刊をご案内
いたしますので、是非ご利用ください。定価は1,120円です
(税込み、送料別)。
お申し込みは自研センター総務企画部までお願いします。
TEL
20
自研センターニュース 2007年 2月号
H82W系
047-328-9111
FAX
047-327-6737
KARTとの技術交流会開催
12月8日、自研センターにおいて韓国のリサーチセンターKART(Korea Automobile Insurance Repair
Research&Training Center)との技術交流会を開催しました。
本交流会は、双方の研究内容の情報交換や若手社員の国際交流を目的として、1999年から韓国と日本
の相互で開催してきており、本年度は第8回目として自研センターで開催しました。
内容は、プレゼンテーションと自研センターの施設案内、テーマごとのグループに分かれてのフリー
ディスカッションを行いました。プレゼンテーションのテーマは以下の通りです。
(自研センター)
・コンパティビリティ対応構造のD&R調査
・超高張力鋼板の修理技術調査
・ASV関連電子機器再設定時間の研究
・日本のドライブレコーダーに関する情報
(KART)
・エンジン室の火災に関する研究
・新しいAOS
プログラム
・ヘッドランプの修理性の研究
・自動車メーカー経営のサービス工場の修理費に関する調査
・輸入車の修理コストに関する問題について
(日本アウダテックス)
・日本アウダテックス社の今後のWEB戦略について
また、フリーディスカッションにおいては、
「衝突テスト」
「指数」
「見積りシステム」
「管理一般」の
各グループに分かれて、活発な情報交換・意見交換を行いました。
会議はすべて英語で行われ、各参加者は必ずしも英語に堪能ではありませんでしたが、この会議に備
えて勉強してきた英語力を駆使して意見交換ができたことは、社員にとっても非常に貴重な経験となっ
たと思います。
自研センターとしても、今後とも海外のセンターとの交流・情報交換をより一層緊密にしていくとと
もに、国際舞台で活躍できる人材の育成に力を入れて生きたいと考えております。
(総務企画部/藤井大作)
自研センターニュース 2007年 2月号
21
レクサスブランド車両の
高外観塗装について
レクサスLS460
レクサスGS350
1.はじめに
レクサスブランドの新車塗膜には今までのトヨタブランド車と異なり高外観仕様が採用されています。
この新車の塗装工程は外観の見栄え品質向上のため、従来の一般塗装工程とは異なる方法が用いられ
ています。以下にその新車塗装工程の特徴、補修塗装時の注意点および補修塗装指数での対応について
紹介します。
2.新車塗装方法について
塗装方法は、塗色に関わらず全車に工程が追加されているものと塗色により新たな塗装方法が採用さ
れているものがあります。(図1参照)
(1)水研工程の追加(全車)
全車において塗装工程の途中段階で水研を実施し、最終的な塗装表面の平滑感を向上させています。
水研範囲は目視で目立つ垂直パネル面が中心です(ただし、車種により範囲は異なります)。
(2)ダブルクリアの採用(濃色系塗色車)
カラーNo.212(ブラック)や1G0(ダークグレーマイカ)などの濃色系塗色において、クリヤを2層に
塗装する(一部塗色ではトップコートにカラークリヤを使用)ことで外観品質を向上させています。
トヨタブランド車
レクサスブランド車
トップクリヤ層
第1クリヤ層
上塗り層
中塗り層
下塗り層
クリヤ層
上塗り層
中塗り層
下塗り層
水研
図1
22
自研センターニュース 2007年 2月号
塗膜構成の比較
3.補修塗装時の注意点について
従来の塗装要領で補修可能ですが、
「平滑感の再現」
「膜厚の確保」を重視したクリヤ塗装、磨き作業
が必要となります。補修塗装作業時は以下の要領を参考にしてください。
(1)補修前に必ず隣接パネルの肌を確認する。
(2)ダブルクリヤ採用の濃色系塗色は、隣接パネル(未補修部)との質感を合せるため、クリヤ膜厚を
確保した塗装を実施する。
(3)平滑感を合せるため、充分な磨き作業を実施する。
4.補修塗装指数での対応
「塗り数値」に関し、外観品質向上に対応した車両区分の新設と磨き時間の増加に伴う見直しを行な
いました。また、
「加算基礎数値」はぼかしパネルの磨き時間増加に伴う見直しを行ないました。
基本的な指数の運用方法に変更はありませんが、以下の点に注意願います。
(1)ソリッド塗装の場合は、「2コートソリッド」加算を行ないます。
(2)ソリッド塗装、メタリック塗装または2コートパール塗装でプッシュプル式ブースを使用して塗装する場合
は、塗料に関わらずブース加算を行ないます。
(3コートパール塗装および高機能塗装の場合は不要)
以上のことを考慮してレクサスブランド車の補修塗装指数を発表(既に発表済みの車種に関して訂正)
しています。
なお、今後発売される車種においてもレクサスブランド車と同様の対応が必要と判断した場合は新基
準にて指数を作成します。
(指数部/藤野一郎)
日本アウダテックス社
指数テーブル「2007年2月号」発行のご案内
●2007年2月号 国産車・指数テーブル(3メーカー・6車種)
メーカー名
車 名
型 式
※「2007年 2月号」のみの単独販売は行っており
ません。
カローラアクシオ
140系
購入を希望される方は下記「2007年版セット」
(年
カローラフィールダー
140系
間購読)
をお求め下さい。
オーリス
150系
ブレイド
150系
ホンダ
ストリーム
RN6・7・8・9系
三 菱
ekワゴン、ekスポーツ
H82W系
トヨタ
【2007年版】
・国産車セット<商品番号:2007価格:¥18,000>
・輸入車セット<商品番号:3007価格:¥4,000>
・国産車・輸入車セット
●2007年2月号 輸入車・指数テーブル(1メーカー・1車種)
メーカー名
BMW
車 名
X3
<商品番号:4007価格:¥20,000>
型 式
【注】 PA25
【注】主要外装部品版のためエンジン関連部品やリヤサスペン
ションのメカニカル系と溶接部位の作業項目は記載されて
おりません。
※バックナンバーは、2006年版・2005年版・2004年版の各「国
産車・輸入車セット」
「国産車セット」
「輸入車セット」
となります。
なお、在庫がなくなり次第販売を終了させていただきますので
ご了承下さい。
※ご購入の際のご不明な点は、下記にお問い合わせ下さい。
◆「指数テーブル」のご注文およびお問い合わせ◆
日本アウダテックス株式会社 TEL:03-5351-1900(代)
FAX:03-5350-6305
自研センターニュース 2007年 2月号
23
http://jikencenter.co.jp/
自研センターニュース 2007.2(通巻377号)平成19年2月15日発行 昭和51年5月27日 第三種郵便物認可 発行人/鈴木 稔 編集人/小林吉文 C 発行所/株式会社自研センター 〒272-0001 千葉県市川市二俣678-28 Tel(047)328-9111(代表) Fax(047)327-6737
⃝
定価336円(消費税込み、送料別途)
本誌の一部あるいは全部を無断で複写、複製、あるいは転載することは、法律で認められた場合を除き、
著作者の権利の侵害となりますので、その場合には予め、発行人あて、書面で許諾を求めてください。
お問い合わせは、自研センターニュース編集事務局までご連絡ください。
Fly UP