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「生物活用」の効果的な指導方法について

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「生物活用」の効果的な指導方法について
科目「生物活用」の効果的な指導方法について
―初級園芸福祉士の資格取得を導入した展開について―
千葉県立○○○○高等学校 ○○
○○(農業)
1 はじめに
平成21年3月に告示された高等学校学習指導要領における,科目「生物活用」の目標は,
「園芸作物や社会動物の活用に必要な知識と技術を習得させ,それらの生物の特性を活用した活
動や療法の特質を理解させるとともに,生活の質の向上を図る能力と態度を育てる。」である。
また,「生物活用」は,園芸作物や社会動物の活用について学習させる科目であり,ヒューマ
ンサービスに関連する分野に属する科目である。園芸作物や社会動物の活用とは,精神・身体・
社会・教育的効用等を期待して行われる園芸や社会動物との触れ合いや飼育であり,生活の質と
は,同効用がもたらす心の豊かさや満足度である。今回の改訂において,現行の目標にある医療
等の専門的知識を必要とした園芸と動物を活用したセラピーによる健康の改善については除かれ
ている。園芸作物や社会動物の特性を活用した活動では,効用の理解,対象者の理解,交流の技
法など生物を活用する上での基礎的な内容の習得を目標としたうえで,「生活の質の向上を図る
能力と態度を育てる」こととされた。学習における能力と態度の育成に当たっては,対象者の理
解に基づいた交流活動を通して,園芸作物の栽培・利用が,やすらぎや意欲の向上を図る能力と
態度を育成するとともに,実際的・体験的学習を重視し,実践力を体得させる観点から実習や交
流活動を通して,園芸活動がもたらす効用について理解させ,人の発達段階やニーズに合わせて
園芸作物を有効に活用させる実践力を育てることとされている。
本校の生産流通科では,3年次に「生物活用」と「農業情報処理」のうち1科目を選択させて
おり,生物活用の選択者は,例年12~15名である。同科の学習内容は,食品製造,食品流通
や野菜の栽培が中心であるため,科目「生物活用」では,園芸作物の活用を取り上げている。
本研究は,交流活動にあたり生徒が主体となり,活動目標,計画の立案,活動準備や実際の活
動まで取り組むことができるような基礎的な知識や技法を習得させるとともに,特別養護老人ホ
ームにおける高齢者の方との交流活動を通して,対象者の安全や体調などを配慮することや活動
に伴う有用感を体験することで,思いやりのある「豊かな心」や「自ら学び,思考し,表現する
力」を育てることを目指す。
さらに,キャリア教育の視点から初級園芸福祉士の養成カリキュラムの学習内容を導入し,体
験活動を行うために必要な知識と技術を習得させ,体験活動の中から「社会性」を育成するため
の効果的な指導方法について研究する。
2 研究方法
本校生産流通科における科目「生物活用」は,3年次に選択科目として2単位で実施している。
本研究は,次に示す方法で取り組むこととした。
(1)交流活動に取り組むために学ぶ効果的な授業内容の工夫
ア 園芸福祉に基づいた交流活動を実践するための効果的な授業内容を精選する。
農-1-1
(2)交流活動を通し「自ら学び,思考し,表現する力」を育成すための工夫
ア 生徒が計画から実践まで主体的に取り組むことができる交流活動の学習方法を確立する。
イ 活動に対する生徒へのアンケート調査を実施する。
(3)資格取得
ア 資格取得(初級園芸福祉士)のための効果的な指導をする。
3 研究計画
平成23年度
平成24年度
6月
高齢者施設との連携,活動内容の計画相談
7月~9月
交流活動の準備,交流活動にむけた知識の習得
9月~1月
交流活動の実践
1月
交流活動の反省とまとめ,履修生徒へのアンケート
2月
次年度にむけた計画立案
3月
「初級園芸福祉士養成講座」導入モデル校申請
4月
履修生徒へのアンケート
4月~6月
交流活動にむけた知識の習得
5月~10月
交流活動の実践
11月~12月
2月
交流活動の反省と研究のまとめ
初級園芸福祉士認定試験
4 研究内容
(1)連携施設
ア 「まんざきの家」
本校から徒歩5分にある特別養護老人ホームである。ステイとデイケアの利用,訪問サー
ビスをしている。利用者は成田市在住者で,以前は農業を営んでいた方もいる。デイケア
を利用している方との交流が中心である。
イ 「玲光苑」
本校から車で7分ほどにある特別養護老人ホームである。デイサービス・ショートステ
イ・地域包括支援などをしている。以前はボランティアの方と活動する園芸クラブがあっ
たが,現在は活動を停止している。
(2)交流活動の実践
図1 種まきの様子
農-1-2
交流活動①「プランターに葉菜類の種まきをする」(まんざきの家)
足腰の弱い方が多く,車イスの利用者がいるため,プランターを利用して秋野
目
的
菜を栽培する。プランターを利用することにより①作業がしやすい②移動が可
能③利用者が施設で過ごす場所からでも成長を楽しむことができる。
活 動 内 容
成長の早い葉菜類(ホウレンソウ,コマツナ,チンゲンサイ,シュンギク)を
選定し,プランター栽培をする。
生徒は,うまく話せるか心配や不安を抱きつつも,共に作業をすることで絆を
深めたいと思っていた。また,利用者の方に植物を育てる楽しさを味わっても
らい,植物を育てることで外に出る機会をつくってもらいたいと考えた。利用
反
省
者に野菜を選んで,種を播いてもらった。ラベルに作物名と氏名を記名して,
自分が播いた野菜の成長を楽しんでもらうように工夫した。プランターは利用
者に合わせた高さに調整して作業できるため,有効である。利用者の方からハ
クサイやソラマメを育てたいという要望があった。
次回の計画
施設の庭に花を植えて色彩鮮やかにしよう。
図2 畑の様子
交流活動②「畑にハクサイを植える」(まんざきの家)
目
的
利用者からハクサイを栽培したいとの要望があった。プランターではハクサイ
の栽培が難しいため,施設の畑を整備して秋野菜を栽培する。
畑を整備して野菜の育つ様子を楽しんでもらえるようにした。ハクサイ,キャ
活 動 内 容
ベツ,ブロッコリを定植した。足腰の弱い方が多いので,畑で共に作業するの
ではなく,畑づくりを見学してもらった。
「畑を見に行くのが楽しみになった。」,「収穫するのが待ち遠しい。」と喜び
反
省
の感想を聞くことができた。利用者は生徒の活動に興味を示し,定植していると
ころで声をかけてくれていたため,生徒はやりがいを感じることができた。
次回の計画
施設に花を植えて楽しんでもらいたい。
図3
パンジーと
チューリップ
をプランター
に植えている
様子
農-1-3
交流活動③「花を楽しもう」(まんざきの家)
施設で生活する時間に花の成長と色彩を楽しむことができるようにするため,プランタ
目
的
ーにパンジーとチューリップの植え付けをする。秋から春まで楽しめる色彩豊富なパン
ジーを選定し,利用者には好きな色のパンジーを選んでもらうことにする。春に季節感
を感じてもらえるようにチューリップも植え付けする。
活 動 内 容
パンジーとチューリップをプランターに植え付けした。施設の花壇づくりをした。
生徒の発案を計画し,実践した。好むパンジーの色も様々で,黄色など明るい色が好ま
れると予想していたが,紫や白を好む方が多かった。「どの色の苗を植えようか。」等
反
省
と会話も弾み,コミュニケーションがスムーズにとれた。「とても楽しかった。」「お
花は,きれいで大好き。」と喜んでもらえた。楽しい時間を過ごせることができ,互い
に充実感を得ることができた。
次回の計画
自分たちが育てている野菜を利用して,収穫祭を企画する。
図4 花壇づくりの様子
交流活動④ [収穫祭をやろう」(まんざきの家)
目
的
活 動 内 容
サトイモ,ネギ,ダイコン等,生徒が育てた野菜を収穫し,豚汁を作って利用
者の方と一緒に食べ,交流を深める。
利用者と料理することから計画したが,実際には豚汁を学校で下ごしらえして施設で味付
けをした。豚汁を食べる前に,カルタやビック双六,折り紙などをして一緒に過ごした。
自分たちがつくった豚汁を食べて「おいしい。」,「幸せ。」と言われ,充実感を得た。
反
省
午後のおやつの時間の活動であったが,「体を動かしたからお腹がすいた。」と喜んで食
べてもらえた。心が通じ合うような交流ができたと実感できた。
図5 交流の様子
農-1-4
図6 交流の様子
(3)生徒のアンケート結果
ア 「まんざきの家」の利用者の方との交流活動をどのように思
いますか。
a
とても良い
b
良い
c
どちらともいえない
d
あまり良くない
イ 質問①で「とても良い」「良い」と答えた理由を教えてくだ
さい。(複数回答可)
a
利用者(お年寄り)が喜んでくれるから
b
自分たちが学んでいる植物を介して交流できるから
c
自分たちが栽培した野菜を活用できるから
d
自分自身が楽しくできるから
e
その他
ウ 高齢者との交流活動を行う上での心配りや注意点は実践でき
ましたか。
a
できた
b
できなかった
c
どちらともいえない
エ
高齢者とのコミュニケーションはスムーズにとれましたか。
a
できた
b
できなかった
c どちらともいえない
オ
交流場所(人前)で発表したり,伝えたりすることができ
ましたか。
a
できた
b
できなかった
c
どちらともいえない
農-1-5
(4)生徒の感想
・まんざきの家でのお年寄りとの交流は,お年寄りの方と楽しく話をすることができた。相
手が高齢の方なので,自分なりの気遣いもしながら行動することができた。何回かの交流
活動を行っているうちに自分が少しずつ成長しているのが実感できた。後輩にも生物活用
の授業をとおして,より一層自分を磨いてほしいと思います。
・まんざきの家では積極的な交流ができなかったと反省している。でも,誰かを楽しませた
いという思いが大切だと思う。
・園芸活動では自分達がしっかりと理解していなくてはいけないと思った。豚汁づくりで
は,まんざきの家の方々ととても仲よくすることができた。自分達がつくった豚汁を食べ
て「幸せ。」と言ってくれる方がいてとてもうれしかった。
・一緒に何かをすると,話題もできてうまくコミュニケーションがとれて,行くたびに話し
かけてくれるようになってとても嬉しかった。挨拶すると返してくれ,気持がきれいにな
ると思う。
・自分達が作った野菜がいろいろな場面で活かすことができて良かった。
・まんざきの家でお年寄りの方とお話したり遊んだりとても新鮮な時間を過ごすことができ
た。
・相手を気遣うことも大切だけれども,何より楽しい時間を過ごすことが自分にとってもお
年寄りにとっても一番大切だと思った。
5「初級園芸福祉士養成講座」のカリキュラムへの導入
近年,福祉施設では園芸活動を取り入れるために初級園芸福祉士の資格を取得する職員が増え
ている。交流活動の実践においての知識やノウハウの修得においてもカリキュラムの導入は有効
であると考える。
初級園芸福祉士の養成においては,①地域の幅広い人たちと園芸福祉活動を通して地域のコミ
ュニティーや街づくりにつなげるための基礎的な知識を修得すること,②将来,園芸福祉活動の
リーダー的な役割を担うための企画力,および運営力を育むうえで必要な基礎的能力を重視して
いる。このカリキュラムは,交流活動を実践していくうえで必要な知識やノウハウが得られるた
め,授業に取り入れることは有効である。
生物活用の授業に養成カリキュラムを導入し,既定の講義内容と時間数を受講させることで初
級園芸福祉士の受験資格が得られるため,次年度の学習計画に導入し,申請したところ,認定校
として認められた。
(1)基本要件
ア 受講生徒数/認定試験の受験想定生徒数が10名以上確保できている。
イ 履修科目/教本である「園芸福祉士」に基づいて,後述の園芸福祉士協会所定のカリキュ
ラムでの講義を行う。事前協議により,一部は既存授業での履修も可能とする。
ウ 担当教諭の選定/上記履修科目の60%以上を担当でき,初級園芸福祉士の資格取得,ま
たは取得予定の教諭がいる。不足分は,予定講師をあらかじめ協会に申請,承認を得る。
エ 実習場所/校内外に農・園芸作業ができる場所が確保されている。
オ
交流機会/地域住民・高齢者・障害者・児童施設など校外の人々とのコミュニケーショ
ン・ボランティア活動の機会を持っている。
カ 協会認定講師の派遣
(2)実施プロセス
ア 承認申請書・計画書の提出
イ 協会内での検討
農-1-6
ウ 講座認定校の決定
エ
協会への手続き
をもつ)
キ
オ
講座を開講
カ
修了証の配布(修了証を受けた生徒が受験資格
認定試験の受験
6 2年目の活動
(1)選択生徒の意識
ア なぜ,「生物活用」を選択したか。
イ 交流活動をやってみたいか。
(2)交流活動の実践
交流活動①「サルビアの花壇づくり」(まんざきの家)
目
的
施設からの要望により,サルビアでの花壇づくりを行う。
サルビアでの花壇づくりを行う。足腰の弱い方が多いので,花壇に花を植える
活 動 内 容
ことは難しいため,花壇づくりを見学してもらうことにした。部屋の中から,
また体調の良い方はサルビアを定植しているところまで来てくれた。
お年寄りと接するにはどのようにしたら良いかと思い,とても緊張した。サル
反
省
ビアを植えていると,冗談を言って笑わせてくれたり,「きれいだね。」と喜
んでくださり,自分達が楽しく嬉しい気持ちになった。
レイズドベッドがあれば,お年寄りが主体的に活動できると実感した。「レイ
次回の計画
ズドベッド」製作の必要性を強く感じた。
※レイズドベッドとは腰の高さの苗床(高床花壇)のことで,基本的に高齢者
や車椅子利用者が作業することを考えつくられている。
農-1-7
図7
サルビアの定植
交流活動②「夏の花のプランターづくり」(まんざきの家)
目
的
活 動 内 容
花色も豊富で,季節の花でもあるペチュニアを選び,定植を一緒に行う。
好きな色のペチュニアを選び,プランターに定植を一緒に行う。
普段お年寄りと接することがないため不安もあったが,想像していた以上に積
極的で,「この花がいい。」,「もっとやりたい。」と言われ,驚いた。お年
寄りによって自分達の緊張がほぐれた。「若い人がいるだけで元気が出る。な
反
省
んでも一緒にやりたい。」というお年寄りの積極的な気持ちを実現してあげた
いと思い,作業を手助けすることができて良かった。作業台を用いることで,
お年寄りの体調や能力に応じて作業位置を調整することができた。施設に行く
前に学校で作業台を作って高さを自分たち自身で試し,プランターへの定植の
方法を再確認したことは良かった。
花を植えるという作業は短時間でまた一回で終わってしまうので,収穫まで一緒に
次回の計画
やることのできる野菜の栽培などをしてみたい。低い位置での活動はできないの
で,さらに工夫をしてみたい。
図8
交流の様子
交流活動③「マリーゴールドの花壇づくり」(玲光苑)
目
的
マリーゴールドで花壇づくりを行い,利用者の楽しめる庭にする。
暑さに強く,季節に合った花でもあるマリーゴールドで花壇づくりを行う。暑
活動内容
さのなかでの作業なので,負担が大きくなるため見学してもらう予定であった
が,意欲的な利用者の方が一緒に作業をした。
反
省
施設の方やお年寄りが笑顔で話しかけてくださったので,やる気に変わった。
話しかけたり,隣で一緒に花を植えるだけで「楽しい 。」,「若返るみた
農-1-8
い。」などと喜んでもらえたことに驚いたのと同時に,とても嬉しくなった。
もっと自分から話しかけられたら良かったと思う。自分達が施設に行くことだ
けでも喜んでもらえたことがわかったので,とても楽しかった。利用者の方か
ら花が庭に咲いているのを見られるので,楽しみが増えると好評だった。
次回の計画
定期的な交流活動をしたいと施設からの申し出もあり,秋野菜の栽培を行う。
図9
花壇づくりの様子
交流活動④「秋野菜の栽培」(玲光苑)
目
的
プランターを利用して秋野菜を栽培する。畑を整備し秋野菜を栽培し,玲光苑の施設
で収穫祭ができるようにする。
成長の早い葉菜類(ホウレンソウ,コマツナ,チンゲンサイ,シュンギク)を
活動内容
プランターに種まきをする。利用者の方には播きたい野菜を選んでもらった。
収穫祭ができるよう葉菜類の種を播き,畑をつくった。
どのように話しかけたら楽しんでもらえるかと考えながら一緒に種まきをし
た。「楽しい。」と言ってもらえたので,緊張がとれて自分も楽しむことがで
反
省
きた。予想していたより積極的で,明るい方が多く,作業をしやすくするため
に相談しながら種まきをすることができた。お年寄りから元気をいただいた感
じがした。
次回の計画
パンジーの花壇づくりを行う。
図10 種まきの様子
農-1-9
交流活動⑤「パンジーの花壇づくり」(まんざきの家・玲光苑)
目
的
活動内容
パンジーで花壇づくりを行い,利用者の楽しめる庭にする。
花色が豊富で,季節に合った花であるパンジーで花壇づくりを行う。まんざきの
家と玲光苑の花壇をつくった。
「庭が明るくなってとてもきれい。」と喜んでもらえた。花壇づくりはかがむた
反
省
め,一緒に活動ができなかったので,次の計画を立てたいと思った。利用者の方
に喜んでもらえることは,とても嬉しいことだと感じた。
次回の計画
学校で栽培している野菜を材料にして収穫祭を行う。
◇まんざきの家
◇玲光苑
図11 種まきの様子
(3)初級園芸福祉士養成カリキュラムの実践
交流活動⑥「立体花壇づくり」
テーマを決め,グループで相談しながらデザインや花選びを進める。共同で作業を
目
的
して,一つの作品を仕上げる。協調性を養い,自分の意見や考えを伝えること,ま
たグループの人の意見を聴く等コミュニケーション力の向上を目指す。
グループを編成する。花壇をつくるうえでの「テーマ」を決め,テーマに沿っ
活 動 内 容
た花選びや装飾をグループで相談して考える。装飾はペットボトルを利用した
ハンギングバスケットを製作して行う。ペットボトルの切り込みを入れたとこ
ろには,ビニールテープを張り,安全性に考慮する。
図12
立体花壇づくりの様子
農-1-10
7 シラバスの具体例
科 目 名
生 物 活 用
使 用 教 材
学
期
学
科
学
年
単 位 数
生産流通科
3年
2単位
「生物活用」農産漁村文化協会
副教材:「園芸福祉入門」創森社
学
習
項 目
(1)園芸の活用と効果 ※
(2)園芸福祉概論 ※
(3)高齢者とのかかわりについて
1 学 期 (4)福祉施設での活動 ※
(5)園芸福祉にかかわる植物の種類と育て方 ※
(6)花壇づくり・プランターの花苗の植え付け
(7)交流活動 ※
(1)高齢者施設で野菜を育てる
(2)ペットボトルを活用した立体花壇づくり ※
(3)花壇づくり・プランターの花苗の植え付け
2 学 期
(4)地域を結ぶ様々な活動 ※
(5)モデルガーデンづくり ※
(6)交流活動
(1)交流プログラムの実践 ~自分達で計画・準備から実践まで~ ※
3 学 期
(2)交流活動 ※
ノートとのりを各自準備してください。プリントを配布したときは,プリン
学 習 方 法
トをノートに貼って提出します。ノートは毎時提出してください。
・出欠の状況。
・ノート,レポートの記入と提出状況。
・挨拶をしっかりし,身だしなみを整えて授業に臨めているか。
・園芸のもつ様々な効果を理解できているか。
評 価 の 観 点 ・交流活動を行うための知識・技能が身についているか。
・対象者の安全や健康などを配慮するなど思いやりをもった活動をしようと
する姿勢があるか。
・生徒間で協力し,自らすすんで交流活動の計画から準備・実践までの活動
に取り組むことができているか。
「考査点」:40%,「記録点」(ノート・レポート等):15%
成 績 評 価
「実技・態度点」:30%,「出席点」:15%
この科目では,園芸作物を利用した交流活動を行います。そのために,交流
「生物活用」 活動を行うための基礎的な知識と技術を身につけます。積極的に取り組み,
選 択 者 へ 体験のなかから人間的にも成長して欲しいと思います。
交流している施設は「まんざきの家」と「玲光苑」です。
※は,初級園芸福祉士の養成カリキュラムによるものである。
8 研究のまとめと今後の課題
課題の設定に当たり,生産流通科の全学年の生徒にアンケートを実施したところ,「学校で学
んでいることを活かして交流活動をしてみたいか。」という問いに対し,7割以上の生徒が交流
活動に意欲的であった。そこで,「生物活用」において園芸作物を活用した交流活動を行うこと
にした。
農-1-11
初年度から,交流活動の知識・技術を習得させるために初級園芸福祉士養成の教材を用いて指
導を行った。交流活動を充実させ,且つ,初級園芸福祉士の資格を取得可能にするため,養成カ
リキュラムを導入することが効果的であると思われたからである。申請の結果,生物活用の授業
を一年間履修することで,「初級園芸福祉士」の受験資格が得られるようになった。毎年2月に
認定試験が行われるが,生物活用が3年次の履修であることから資格を取得しても,進路活動に
は活かされないことは残念である。しかし,資格の取得は将来的に生徒の職業選択の幅を広げる
ことになると思われる。
これまでの研究成果として,初級園芸福祉士養成カリキュラムと交流活動を中心とした効果的
な授業内容を精選し,加えて,評価の観点等をシラバスに記した。
科目「生物活用」の内容は(1)生物活用の意義と役割(2)園芸作物の栽培と活用 (3)
社会動物の飼育と活用(4)生物を利用した療法(5)生物活用の実際と幅広いものである。担
当者として教科の目標を達成するための内容の設定に苦慮することもあった。生徒は,交流活動
を通して,体力や健康度に大きく差のある高齢者の方と接する機会をもつことができた。また,
園芸活動において手助けをしたり,相手に話しかけることだけで喜ばれるという経験をした。相
手を思いやり,自らが行動することは,相手を喜ばせることになり,自分自身の成長にもつなが
ることを実感できたようである。交流活動は,生徒のコミュニケーション能力,社会性,相手を
思いやる豊かな心を育成するために効果的であると考えられる。交流活動のなかから高齢者と活
動を行う際の課題や次の活動の企画を生徒が行うようになり,「自ら学び,思考し,表現する
力」を身につけることにつながったと思われる。また,交流活動で見せる積極的な行動や相手へ
気遣いをする生徒の様子を見て,生徒の社会性が成長する可能性を強く感じることもあった。交
流活動の様子が施設のブログに載ることを楽しみにしていたことから,活動を外部に発信してい
くことは生徒の学習意欲の向上につながると再認識した。
今後は,教科を中心に交流活動をより充実させ,地域と連携していく学校,そして地域に必要
とされる人材づくりにつなげていきたい。
9 おわりに
教科研究員として,このような研究の機会を与えていただいたことにたいへん感謝しておりま
す。また,日頃の教科指導を計画的,且つ,効果的に実践することの大切さを感じました。今後
も一層の努力をしていきたいと思います。
最後に,本研究を進めるにあたり,懇切丁寧にご指導いただきました,平成23年度千葉県教
育庁教育振興部指導課主幹兼教育課程室長
根本進先生,平成24年度千葉県教育庁教育振興部
指導課指導主事 山本昭博先生,教科指導員(農業)千葉県立君津青葉高等学校
平成23年度千葉県立成田西陵高等学校長
西川明夫先生,
藤沼文郎先生,平成24年度千葉県立成田西陵高等
学校長 伊藤弘行先生をはじめ,教科研究員の先生方ならびにご指導・ご協力いただきました関
係諸先生方に深く感謝申し上げます。
≪ 参考文献 ≫
・高等学校学習指導要領
文部科学省
・高等学校学習指導要領解説農業編
文部科学省
農-1-12
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