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JP 2014-511682 A 2014.5.19 (57)【要約】 Dll4及びAng2の両方と結合

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JP 2014-511682 A 2014.5.19 (57)【要約】 Dll4及びAng2の両方と結合
JP 2014-511682 A 2014.5.19
(57)【要約】
Dll4及びAng2の両方と結合し、好ましくはVHH及びドメイン抗体のような免疫グロブリ
ン単一可変ドメインの形態にある二重特異性結合分子、前記を含む医薬組成物、及び脈管
形成におけるDll4-媒介作用及び/又はAng2媒介作用と密接に関係する疾患の治療でのそ
れらの使用が開示される。さらにまた、二重特異性結合分子をコードする核酸、宿主細胞
及び前記を調製する方法もまた開示される。
(2)
JP 2014-511682 A 2014.5.19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのAng2-結合要素及び少なくとも1つのDll4-結合要素を含む、二重特異性
結合分子。
【請求項2】
さらに少なくとも1つの血清アルブミン結合要素を含む、請求項1に記載の二重特異性結
合分子。
【請求項3】
4つのフレームワーク領域並びに3つの相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3をそれぞれ有
する少なくとも1つの可変ドメインを含むDll4-結合要素を含み、
10
前記CDR3が、
(a)配列番号:1から166及び458、
(b)配列番号:333から353、又は
(c)配列番号:375から395に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有す
る、
請求項1又は2に記載の二重特異性結合分子。
【請求項4】
二重特異性結合分子のDll4-結合要素が、単離された免疫グロブリン単一可変ドメイン
又は1つ以上の前記免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドであり、前記免
疫グロブリン単一可変ドメインが、それぞれ4つのフレームワーク領域並びに3つの相補性
20
決定領域CDR1、CDR2及びCDR3から成り、
さらに前記CDR3が、
(a)配列番号:1から166及び458、
(b)配列番号:333から353、又は
(c)配列番号:375から395に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有す
る、
請求項3に記載の二重特異性結合分子。
【請求項5】
1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインが、
(a)配列番号:1から166に示す第一のグループのアミノ酸配列から選択されるアミ
30
ノ酸配列を有するCDR3、
(b)配列番号:167から332及び459に示す第二のグループのアミノ酸配列から選択さ
れる配列に、表5に示すように、部分配列として含まれるアミノ酸配列を有するCDR1及びC
DR2を含み、
(c)配列番号:1−166について前記第一のグループの配列番号:xが、y=x+166
で前記第二のグループの配列番号:yと対応する、請求項4に記載の二重特異性結合分子
。
【請求項6】
1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインが、
(a)配列番号:333から353に示す第一のグループのアミノ酸配列から選択されるア
40
ミノ酸配列を有するCDR3、
(b)配列番号:354から374に示す第二のグループの配列から選択される配列に、表1
6-Aに示すように、部分配列として含まれるアミノ酸配列を有するCDR1及びCDR2、を含み
、
(c)前記第一のグループの配列番号:xが、y=x+21で前記第二のグループの配
列番号:yと対応する、請求項4に記載の二重特異性結合分子。
【請求項7】
1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインが、
(a)配列番号:375から395に示す第一のグループのアミノ酸配列から選択されるア
ミノ酸配列を有するCDR3、
50
(3)
JP 2014-511682 A 2014.5.19
(b)配列番号:396から416に示す第二のグループの配列から選択される配列に、表1
6-Bに示すように、部分配列として含まれるアミノ酸配列を有するCDR1及びCDR2、を含み
、
(c)前記第一のグループの配列番号:xが、y=x+21で前記第二のグループの配
列番号:yと対応する、請求項4に記載の二重特異性結合分子。
【請求項8】
1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインがVHHである、請求項4から7のいずれか1項
に記載の二重特異性結合分子。
【請求項9】
1つ以上のVHHが配列番号:167から332及び459に示すアミノ酸配列から選択されるアミ
10
ノ酸配列を有する、請求項8に記載の二重特異性結合分子。
【請求項10】
1つ以上のVHHが配列番号:354から374に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列
を有する、請求項8に記載の二重特異性結合分子。
【請求項11】
1つ以上のVHHが配列番号:396から416に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列
を有する、請求項8に記載の二重特異性結合分子。
【請求項12】
請求項5に規定の免疫グロブリン単一可変ドメインの親和性成熟によって得られた免疫
グロブリン単一可変ドメイン。
20
【請求項13】
請求項9に規定のVHHの親和性成熟によって得られたVHH。
【請求項14】
配列番号:356及び358に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有するDll4結合VHH。
【請求項15】
請求項14に規定のVHHのヒト化によって得られる免疫グロブリン単一可変ドメイン。
【請求項16】
配列番号:402、407及び416に示す配列から選択されるアミノ酸配列を有するDll4-結合
VHH。
30
【請求項17】
請求項16に規定のVHHのヒト化によって得られた免疫グロブリン単一可変ドメイン。
【請求項18】
請求項5に規定の免疫グロブリン単一可変ドメインのヒト化によって得られた免疫グロ
ブリン単一可変ドメイン。
【請求項19】
請求項12に規定の免疫グロブリン単一可変ドメインのヒト化によって得られた免疫グロ
ブリン単一可変ドメイン。
【請求項20】
配列番号:417のアミノ酸残基252−282と一致するEGF-2ドメイン内に完全に又は部分的
40
に含まれるDll4のエピトープと結合する、請求項1に記載の二重特異性結合分子。
【請求項21】
免疫グロブリン単一可変ドメイン又は前記ドメインを含むポリペプチドである、請求項
20に記載の二重特異性結合分子。
【請求項22】
4つのフレームワーク領域並びに3つの相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3をそれぞれ有
する少なくとも1つの可変ドメインを含むAng2-結合要素を含み、前記CDR3が、配列番号:
491、494、497、500、503、506、509、512、515又は518に示すアミノ酸配列から選択され
るアミノ酸配列を有する、請求項1から20のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子。
【請求項23】
50
(4)
JP 2014-511682 A 2014.5.19
二重特異性結合分子のAng2-結合要素が、単離された免疫グロブリン単一可変ドメイン
又は1つ以上の前記免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドであり、前記免
疫グロブリン単一可変ドメインが、それぞれ4つのフレームワーク領域並びに3つの相補性
決定領域CDR1、CDR2及びCDR3から成り、さらに前記CDR3が、配列番号:491、494、497、5
00、503、506、509、512、515又は518に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を
有する、請求項22に記載の二重特異性結合分子。
【請求項24】
1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインが、
(a)配列番号:491、494、497、500、503、506、509、512、515又は518に示す第一
のグループのアミノ酸配列(表36)から選択されるアミノ酸配列を有するCDR3、
10
(b)配列番号:489、492、495、498、501、504、507、510、513又は516に示す第二
のグループのアミノ酸配列(表36)から選択される配列に、表22-A又は28に示すように、
部分配列として含まれるアミノ酸配列を有するCDR1、
(c)配列番号:490、493、496、499、502、505、508、511、514又は517に示す第二
のグループのアミノ酸配列(表36)から選択される配列に、表22-A又は28に示すように、
部分配列として含まれるアミノ酸配列を有するCDR2を含む、
請求項23に記載の二重特異性結合分子。
【請求項25】
1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインがVHHである、請求項22から24のいずれか1
項に記載の二重特異性結合分子。
20
【請求項26】
1つ以上のVHHが配列番号:479、480、481、482、483、484、485、486、487又は488に示
すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項25に記載の二重特異性結合
分子。
【請求項27】
請求項24に規定の免疫グロブリン単一可変ドメインの親和性成熟によって得られた免疫
グロブリン単一可変ドメイン。
【請求項28】
請求項26に規定のVHHの親和性成熟によって得られたVHH。
【請求項29】
30
配列番号:479、480、481、482、483、484、485、486、487又は488に示すアミノ酸配列
から選択されるアミノ酸配列を有するAng2-結合VHH。
【請求項30】
請求項29に規定のVHHのヒト化によって得られた免疫グロブリン単一可変ドメイン。
【請求項31】
請求項24に規定の免疫グロブリン単一可変ドメインのヒト化によって得られた免疫グロ
ブリン単一可変ドメイン。
【請求項32】
結合分子の血清アルブミン結合要素が、単離された免疫グロブリン単一可変ドメイン又
は1つ以上の前記免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドであり、前記免疫
40
グロブリン単一可変ドメインが、それぞれ4つのフレームワーク領域並びに3つの相補性決
定領域CDR1、CDR2及びCDR3から成り、さらに前記CDR3が、配列番号:522、525、528、531
、534、537又は540に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項2か
ら31のいずれか1項に記載の結合分子。
【請求項33】
1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインが、
(a)配列番号:522、525、528、531、534、537又は540に示す第一のグループのアミ
ノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有するCDR3、
(b)配列番号:520、523、526、529、532、535又は538に示す第二のグループのアミ
ノ酸配列から選択される配列を有するCDR1、
50
(5)
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(c)配列番号:521、524、527、530、533、536又は539に示す第二のグループのアミ
ノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有するCDR2を含む、
請求項32に記載の結合分子。
【請求項34】
1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインがVHHである、請求項32から33に記載の二重
特異性結合分子。
【請求項35】
1つ以上のVHHが配列番号:98又は519に示すアミノ酸配列を有する、請求項34に記載の
二重特異性結合分子。
【請求項36】
10
配列番号:460から478に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する、請求
項2から35のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子。
【請求項37】
請求項1から36のいずれか1項に記載の結合分子をコードする核酸分子又は前記を含むベ
クター。
【請求項38】
請求項37に記載の核酸分子を含む宿主細胞。
【請求項39】
活性成分として、請求項1から36のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子の少なくと
も1つを含む医薬組成物。
20
【請求項40】
脈管形成におけるDll4-媒介作用及び/又はAng2-媒介作用と密接に関係する疾患を治療
するための、請求項39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
癌及び癌様疾患を治療するための、請求項40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
眼の疾患を治療するための、請求項39に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
30
本発明は、ヒトの治療方法(特に癌の治療方法)並びにそのような治療方法に有用な薬
剤及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍は約1mm3の臨界サイズに達すると、それらは、更なる増殖を可能にする酸素及び栄
養物の血液供給を維持するために脈管形成に依存するようになる。抗脈管形成療法は、い
くつかのタイプの腫瘍にとって重要な治療選択肢となった。これらの治療方法は、VEGF(
アバスチン)又はそのレセプター(シューテント及びソラフィニブ)を中和することによ
ってVEGF経路を遮断することに焦点を当てる(Ferrara et al., Nat Rev Drug Discov. 2
004 May;3(5):391-400)。マウスでの最近の研究は、アンギオポイエチン2(Ang2)(Tie
40
2レセプターのリガンド)は、他の脈管形成因子(例えばVEGF)の機能を発揮させること
によって血管再造形を制御することを示した。Ang2は主として内皮細胞によって発現され
、低酸素症及び他の脈管形成因子によって強力に誘発され、さらに腫瘍の脈管形成性を調
節して血管がVEGF及びFGF2に応答することを可能にすることが示された(Augustin et al
., Nat Rev Mol Cell Biol. 2009 Mar;10(3):165-77)。この役割と一致して、Ang2の欠
如又は阻害は脈管形成の低下をもたらす(Falcon et al., Am J Pathol. 2009 Nov;175(5
):2159-70)。Ang2の血中濃度上昇が、結腸直腸癌、NSCLC及びメラノーマの患者で報告さ
れている(Goede et al., Br J Cancer. 2010 Oct 26;103(9):1407-14;Park et al.,
Chest. 2007 Jul;132(1): 200-6;Helfrich et al., Clin Cancer Res. 2009 Feb 15;15(
4):1384-92)。CRC癌では、Ang2血中レベルは、抗VEGF治療に対する治療応答に相関性を
50
(6)
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示す。
【0003】
Ang-Tie系は、2つのレセプター(Tie1及びTie2)及び3つのリガンド(Ang1、Ang2及びA
ng4)から成る(Augustin et al., Nat Rev Mol Cell Biol. 2009 Mar;10(3):165-77)。
Tie2、Ang1及びAng2はこのファミリーでもっとも良く研究されたメンバーであり、Tie1は
みなしごレセプターであり、さらにAng4の血管再造形の役割については更なる規定が求め
られる。Ang2及びAng1は、Tie2結合及び活性化において反対の機能を媒介する。Ang2媒介
Tie2活性化は、内皮細胞の活性化、血管周囲細胞の分離、血管の漏出及び血管芽の誘発を
もたらす。Ang2とは対照的に、Ang1シグナリングは血管周囲細胞の補充し、それによって
内皮細胞の不活発性を維持することによって血管の完全性を維持する。
10
アンギオポイエチン2(Ang2)は、Tie2レセプターチロシンキナーゼのための分泌66kDa
リガンドである(Augustin et al., Nat Rev Mol Cell Biol. 2009 Mar;10(3):165-77)
。Ang2は、N-末端がコイルを形成したコイルドメイン及びC-末端のフィブリノゲン様ドメ
インから成り、後者はTie2相互作用のために必要である。Ang2は主として内皮細胞によっ
て発現され、さらに低酸素症及び他の脈管形成因子(VEGFを含む)によって強力に誘発さ
れる。Tie2は、内皮細胞、造血性幹細胞及び腫瘍細胞で見出される。Ang2-Tie2は、腫瘍
の脈管形成性を調節して血管がVEGF及びFGF2に応答することを可能にすることが示された
。
【0004】
in vitroでは、Ang2は、穏やかなマイトジェン、化学誘引物質及びヒト臍帯静脈内皮細
20
胞(HUVEC)の管形成誘導因子として機能することが示された。Ang2は、線維芽細胞で異
所的に発現されたTie2のチロシンリン酸化を誘導し、さらに下流のシグナリング事象(例
えばERK-MAPK、AKT及びHUVECのFAKのリン酸化)を促進する。Ang1誘導内皮細胞応答にお
けるAng2の拮抗的役割が報告されている。
Ang2欠乏はマウスで深刻なリンパ系形成障害をもたらすことが示された。Ang2の低下は
胚の脈管形成には重要ではないが、Ang2欠乏マウスは網膜及び腎臓の持続的血管障害を示
す。脈管形成部位(例えば卵巣)におけるAng2発現の動的パターンと併せれば、これらの
発見は、Ang2は他の脈管形成因子(例えばVEGF)の機能を発揮させることによって血管再
造形を制御することを示している。
Ang2-Tie2系は、脈管形成のスイッチ及び腫瘍の脈管形成の後期段階で決定的な役割を
30
示す。Ang2発現は腫瘍関連内皮で強力にアップレギュレートされる。腫瘍増殖の低下は、
特に腫瘍増殖の初期にAng2欠損マウスへ移植したときに観察された。Ang2 mAbによるAng2
の治療的阻害は、多様な腫瘍異種移植モデルで広範囲の有効性を示した。
【0005】
US2008/0014196で要約されているように、脈管形成は多数の疾患(固形腫瘍を含む)及
び転移の病理発生に関与する。
腫瘍増殖の例では、脈管形成は、過形成から新形成への移行並びに腫瘍の増殖及び転移
のための栄養補給の提供に決定的であるように思われる(Folkman et al., Nature 339-5
8, 1989)。血管形成は、腫瘍細胞が正常細胞に比して増殖利点を獲得することを可能に
する。したがって、抗脈管形成療法は、いくつかのタイプの腫瘍にとって重要な治療選択
40
肢となった。これらの治療法はVEGF経路の遮断に焦点を当てている(Ferrara et al., Na
t Rev Drug Discov. 2004 May;3(5):391-400)。
Notchシグナリング経路は細胞対細胞情報伝達のために重要であり、前記は、胚発生時
及び成熟生物における多数の細胞分化プロセスを制御する遺伝子調節メカニズムを必要と
する。Notchシグナリングは、多くの癌(例えばT-細胞急性リンパ芽球性白血病及び固形
腫瘍)で調節異常を生じる(Sharma et al. 2007, Cell Cycle 6 (8): 927-30;Shih et
al., Cancer Res. 2007 Mar 1, 67(5): 1879-82)。
Dll4(又はデルタ様4又はデルタ様リガンド4)はNotchリガンドのデルタファミリーの
メンバーである。Dll4の細胞外ドメインは、N-末端ドメイン、デルタ/セルレート/Lag-2
(Delta/Serrate/Lag-2)(DSL)ドメイン及び縦列編成の8つの表皮成長因子(EGF)様リ
50
(7)
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ピートを含む。一般的には、EGFドメインは、アミノ酸残基218−251(EGF-1;ドメイン1
)、252−282(EGF-2;ドメイン2)、284−322(EGF-3;ドメイン3)、324−360(EGF-4
;ドメイン4)及び362−400(EGF-5;ドメイン5)を、hDll4のアミノ酸残基約173−217に
DSLドメイン及びアミノ酸残基約27−172にN-末端ドメインとともに含むと理解されている
(WO 2008/076379)。
【0006】
Dll4は血管内皮(特に動脈内皮)で高度に選択的な発現を示すことが報告された(Shut
ter et al. (2000) Genes Develop. 14: 1313-1318)。マウスにおける最近の研究は、D
LL4はVEGFによって誘発されること、及び脈管の発芽および分枝を抑制する負のフィード
バック調節因子であることを示した。この役割と一致して、Dll4の欠失又は阻害は過剰な
10
脈管形成をもたらす(Scehnet et al., Blood. 2007 Jun 1; 109(11):4753-60)。この脱
抑制脈管形成は、非生産的脈管構造の形成のために、抗VEGF療法に耐性を示す腫瘍に対し
てさえ逆説的に腫瘍増殖を低下させる(Thurston et al., Nat Rev Cancer. 2007 May;7(
5):327-31;WO 2007/070671;Noguera-Troise et al., Nature. 2006 Dec 21; 444:7122
)。さらにまた、VEGF及びDll4の組合せによる阻害は、多数の腫瘍タイプの異種移植モデ
ルで抗VEGFのみと比較して優れた抗腫瘍活性を提供することが示されている(Noguera-Tr
oise et al., Nature. 2006 Dec 21; 444(7122):1032-7;Ridgway et al., Nature. 200
6 Dec 21;444(7122):1083-7)。
これらの結果により、Dll4は癌療法のための有望な標的と考えられ、Dll4を標的とし現
時点で(前)臨床開発中にある以下のいくつかの生物学的化合物がこれまでに報告されてい
20
る:REGN-421(=SAR153192;Regeneron, Sanofi-Aventis; WO2008076379)及びOPM-21M1
8(OncoMed)(Hoey et al., Cell Stem Cell. 2009 Aug 7; 5(2):168-77)、前記は両
方とも完全にヒトのDll4抗体である;YW152F(Genentech)、ヒト化Dll4抗体(Ridgway e
t al., Nature. 2006 Dec 21;444(7122):1083-7);Dll4-Fc(Regeneron, Sanofi-Aventi
s)、Dll4の細胞外領域及びヒトIgG1のFc領域を含む組換え融合タンパク質(Noguera-Tro
ise et al., Nature. 2006 Dec 21;444:7122)。
【0007】
しかしながら従来技術のモノクローナル抗体(MAb)及び融合タンパク質は、治療的応
用の観点からいくつかの欠点を有する。すなわち、分解を防ぐために、それらを凍結温度
近傍で保存しなければならない。さらにまた、腸管で急速に消化されるのでそれらは経口
30
投与に適していない。癌治療用MAbのまた別の主要な制限は移送が困難なことであり、そ
の結果、腫瘍内の濃度が低く全細胞を標的とすることができない。
本発明の目的は、ヒト治療用の新規な抗脈管形成結合分子を提供することであった。
そのような疾患、異常又は症状の予防、治療、緩和及び/又は診断のための方法(その
ような結合分子及びそれらを含む組成物の使用及び/又は投与を必要とする)を提供する
ことは本発明のさらに別の目的であった。
特に、当業界で従来用いられているか及び/又は公知である薬剤、組成物及び/又は方
法と比較して利点を提供するそのような薬理学的に活性な結合分子、組成物及び/又は方
法を提供することが本発明の目的であった。これらの利点には、治療的及び/又は薬理学
的特性の改善、及び/又は他の有利な特性、例えば、特に上記に記載した通常的な抗体と
40
比較して製造のための有利な特性が含まれる。
【発明の概要】
【0008】
第一の特徴にしたがえば、二重特異性結合分子、好ましくは二重特異性免疫グロブリン
、好ましくはVHH及びドメイン抗体のような免疫グロブリン単一可変ドメインが提供され
、前記分子は、少なくとも1つのDLL4-結合要素及び少なくとも1つのAng2-結合要素を1つ
の単一分子内に含む。これらの二重特異性結合分子は、好ましくはさらに別の結合要素、
好ましくは血清アルブミンと結合する結合要素を含む。
より具体的には、本発明の二重特異性結合分子は本質的に、(i)Dll4の少なくとも1つ
のエピトープと特異的に結合する少なくとも1つのDll4-結合要素、及び(ii)Ang2の少な
50
(8)
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くとも1つのエピトープと特異的に結合する少なくとも1つのAng2-結合要素を含み、ここ
で前記要素は、それら要素がDll4及びAng2と同時に結合するか、又はそれら要素が一度に
はDll4又はAng2のどちらかと結合できる態様で互いに連結される。
本発明の好ましい特徴にしたがえば、前記2つの要素は1つ以上の免疫グロブリン単単一
可変ドメインを含み、前記ドメインは互いに独立して、VHH又はドメイン抗体であるか、
及び/又は任意の他の種類の免疫グロブリン単一可変ドメイン、例えばVLドメイン(本明
細書で規定する)であり得るが、ただしこれら免疫グロブリン単一可変ドメインがそれぞ
れ前記抗原(すなわちDll4又はAng2)と結合することを条件とする。
好ましい実施態様にしたがえば、免疫グロブリン単一可変ドメインは同じタイプであり
、特に全ての免疫グロブリン単一可変ドメインがVHH又はドメイン抗体である。
10
特に好ましい実施態様にしたがえば、全ての免疫グロブリン単一可変ドメインはVHH、
好ましくはヒト化(又は“配列最適化”(本明細書で規定する))VHHである。したがっ
て、本発明は、(場合によってヒト化又は配列最適化)抗Dll4 VHH及び(場合によってヒ
ト化又は配列最適化)抗Ang2 VHHを含む二重特異性結合分子に関する。
しかしながら、本明細書の教示は、他の抗Dll4又は抗Ang2免疫グロブリン単一可変ドメ
イン(例えばドメイン抗体)を含む二重特異性結合分子に同様に応用され得ることは、当
業者には明白であろう。
【0009】
別の特徴では、本発明は、本発明の二重特異性結合分子をコードする核酸及び前記を含
む宿主細胞に関する。
20
本発明はさらに、少なくとも1つの本発明の二重特異性結合分子及び場合によって1つ以
上のさらに別の成分を含有する若しくは含む製品又は組成物に関する。
本発明はさらに、本明細書に記載する二重特異性結合分子、核酸、宿主細胞、製品及び
組成物を調製及び生成する方法に関する。
本発明はさらに、本明細書に記載する二重特異性結合分子、核酸、宿主細胞、製品及び
組成物の適用並びに使用とともにDll4の阻害によって調節することができる疾患及び異常
の予防及び/又は治療のための方法に関する。
本発明の二重特異性結合分子のAng2結合要素は、Ang1又はAng4よりも少なくとも5000倍
強く、好ましくは10000倍強くAng2と結合することが見出された。これによってAng1媒介
シグナリングの活性化阻止は大部分が回避されるであろう(前記活性化阻止は目的とする
30
抗脈管形成作用を妨害するであろう)。
さらにまた、本発明の二重特異性結合分子のDLL4結合要素は、Dll1、Jagged1及び好ま
しくはまたJagged2よりも少なくとも1000倍強い親和性でDLL4-Aと結合することが見出さ
れた。この選択性により、望ましくない副作用が回避され得る。
【0010】
好ましい実施態様では、本発明の二重特異性結合分子は連結されたVHHドメインとして
提供される。そのような分子は通常の抗体よりもはるかに小さく、したがって通常の抗体
よりもより深く腫瘍に進入する潜在能力を有する。この利点は、グリコシル化部位を遊離
させた後の本明細書開示の特異的配列によってさらに高められる。
さらにまた、二重特異性の性質(1分子中にDll4-及びAng2-結合要素)により、両機能
40
の腫瘍侵入は必然的に等しく、このことは、Dll4及びAng2に対する拮抗作用合体における
有利な効果が侵入される腫瘍の全深部に提供されることを担保するであろう。個々のアン
タゴニストの侵入の深さは常にある程度の変動を有するので、前記の事柄は、これら多数
の標的に対して個々のアンタゴニストが合体することの利点である。本発明の好ましい二
重特異性結合分子のまた別の利点は、血清アルブミン結合要素(例えば本明細書に記載の
血清アルブミン結合分子)によるそれらの血清半減期の延長である。
本発明の前記及び他の特徴、実施態様、利点及び応用は以下の更なる記述から明らかと
なるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
50
(9)
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【図1】ヒト、アカゲザル及びカニクイザルDll4のアミノ酸配列のアラインメントを示す
。
【図2】ヒト及びマウスDLL4の欠失変異体を示す(上付き数字内のアミノ酸ドメイン境界
部)。
【図3】hDLL4/hNotch1-Fc相互作用を阻止する精製VHHを示す(ELISAによる)。
【図4】hDLL4/hNotch1-Fc相互作用を阻止する精製VHHを示す(AlphaScreenによる)。
【図5】CHO-hDLL4/hNotch1-Fc及びCHO-mDLL4/hNotch1-Fc相互作用を阻止する精製VHHを
示す(FMATによる)。
【図6】DLL4媒介Notch1切断を阻止する精製VHHを示す(レポーターによる)。
【図7】精製VHHと組換えヒトDLL4及びマウスDLL4との結合を示す(ELISAによる)。
10
【図8】精製VHHと組換えヒトDLL1及び組換えヒトJagged1との結合を示す(ELISAによる
)。
【図9】精製VHHとヒト/マウス/カニクイザルDLL4との結合を示す(FACSによる)。
【図10】hDLL4/hNotch1-Fc相互作用を阻止する親和性成熟VHHを示す(ELISAによる)。
【図11】CHO-hDLL4/hNotch1-Fc及びCHO-mDLL4/hNotch1-Fc相互作用を阻止する精製親和
性成熟VHHを示す(FMATによる)。
【図12】精製VHHとヒト/マウスDLL4との結合を示す(ELISAによる)。
【図13】精製親和性成熟VHHと組換えヒトDLL1及び組換えヒトJagged1との結合を示す(
ELISAによる)。
【図14】精製VHHとヒト/マウス/カニクイザルDLL4との結合を示す(FACSによる)。
20
【図15】HUVEC分裂のDll4媒介阻害に対するVHHの作用についての評価を示す。
【図16】DLL4xAng2サイクル1 VHHの詳細を示す。
【図17】hDLL4-hNotch1相互作用を阻止する精製DLL4xAng2サイクル1 VHHを示す(ELISA
による)。
【図18】CHO-hDLL4/Notch1(44-1)及びCHO-mDLL4/Notch1(44-2)相互作用を阻止する
精製DLL4xAng2サイクル1 VHHを示す(FMATによる)。
【図19】ヒト、マウス及びカニクイザルDLL4過剰発現CHO細胞と結合する精製DLL4xAng2
サイクル1 VHHを示す(FACSによる)。
【図20】ヒト、マウス及びラットDLL4と結合する精製DLL4xAng2サイクル1 VHHを示す(
ELISAによる)。
30
【図21】ヒトDLL1及びヒトJagged1と結合する精製DLL4xAng2サイクル1 VHHを示す(ELI
SAによる)。
【図22】hAng2-hTie2(48-1)、mAng2-mTie2(48-2)及びcAng2/cTie2(48-3)相互作
用を阻止する精製DLL4xAng2サイクル1 VHHを示す(ELISAによる)。
【図23】DLL4xAng2サイクル2二重特異性VHHの詳細を示す。
【図24】hDLL4-hNotch1相互作用を阻止する精製DLL4xAng2サイクル2 VHHを示す(ELISA
による)。
【図25】CHO-hDLL4/Notch1(51-1)及びCHO-mDLL4/Notch1(51-2)相互作用を阻止する
精製DLL4xAng2サイクル2 VHHを示す(FMATによる)。
【図26】hDLL4媒介Notch1活性化を阻止する精製DLL4xAng2サイクル2 VHHを示す(レポ
40
ーター遺伝子アッセイによる)。
【図27】ヒト、マウス及びカニクイザルDLL4過剰発現CHO細胞と結合する精製DLL4xAng2
サイクル2 VHHを示す(FACSによる)。
【図28】ヒト、マウス及びラットDLL4と結合する精製DLL4xAng2サイクル2 VHHを示す(
ELISAによる)。
【図29】ヒトDLL1及びヒトJagged1と結合する精製DLL4xAng2サイクル2 VHHを示す(ELI
SAによる)。
【図30】hAng2-hTie2(56-1)、mAng2-mTie2(56-2)及びcAng2/cTie2(56-3)相互作
用を阻止する精製DLL4xAng2サイクル2 VHHを示す(ELISAによる)。
【図31】hAng1-hTie2相互作用を阻止する精製DLL4xAng2サイクル2 VHHを示す(ELISAに
50
(10)
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よる)。
【図32】hAng2媒介HUVEC生存を阻止する精製DLL4xAng2サイクル2 VHHを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
特段に指示又は規定されなければ、用いられる全ての用語は当分野でのそれらの通常の
意味を有し、前記通常の意味は当業者には明白であろう。例えば標準的な手引書(例えば
、Sambrook et al,“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”(2nd Ed.), VoIs. 1-3,
Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989);Lewin,“Genes IV”Oxford University
Press, New York, (1990);及びRoitt et al.,“Immunology”(2nd Ed.), Gower Medic
10
al Publishing, London, New York, 1989)の他に本明細書に引用した一般的な背景技術
を参照することができる。さらにまた、特段の指示がなければ、特に詳細には記載されて
いない全ての方法、工程、技術及び操作を実施することができ、それらは当業者には明白
であるのでそれ自体公知の態様で実施されている。繰り返せば、例えば標準的な手引書、
上記で言及した一般的な背景技術及び本明細書で引用したさらに別の参考文献を参照でき
る。
“二重特異性結合分子”という用語は、少なくとも1つのAng2-結合分子(又は“Ang2結合要素”)及び少なくとも1つのDll4-結合分子(又は“Dll4-結合要素”)を含む分子
を指す。二重特異性結合分子は2つ以上のAng2-結合分子及び/又は2つ以上のDll4-結合分
子を含むことができる(すなわち、二重特異性結合分子が、Ang2又はDll4と結合する当該
20
分子の部分に(すなわちその“Ang2-結合要素”(又は抗Ang2要素)又は“Dll4-結合要素
”(又は抗Dll4要素)に)、それぞれ二パラトープ性(下記で規定する)Ang2-結合分子
及び/又は二パラトープ性Dll4-結合分子を含む場合)。しかしながら、この文脈の“二
重特異性”という語が、Dll4及びAng2以外の分子に対して結合特異性を有するさらに別の
結合要素を当該二重特異性結合分子から排除すると解されるべきではない。そのようなさ
らに別の結合要素の非限定例は血清アルブミンと結合する結合要素である。
【0013】
特段の指示がなければ、“免疫グロブリン”及び“免疫グロブリン配列”という用語は
(本明細書で重鎖抗体又は通常の4鎖抗体のどちらを指すために用いられていようとも)
、完全なサイズの抗体、その個々の鎖の他にその部分、ドメイン又はフラグメント(抗原
30
結合ドメイン又はフラグメント(例えばそれぞれVHHドメイン又はVH/VL)を含むが、ただ
しこれらに限定されない)の全てを含む一般的な用語として用いられる。 さらにまた、
本明細書で用いられる“配列”(例えば“免疫グロブリン配列”、“抗体配列”、“(一
)可変ドメイン配列”、“VHH配列”又は“タンパク質配列”のような用語として用いら
れる)という用語は、文脈がより限定的な解釈を要求していない場合は、一般的には、対
応するアミノ酸配列及び前記をコードする核酸配列又はヌクレオチド配列の両方を含むと
理解されるべきである。
本明細書で用いられる(ポリペプチドまたはタンパク質の)“ドメイン”という用語は
、その三次元構造をタンパク質の他の部分とは別個に維持する能力を有する折り畳まれた
タンパク質構造を指す。一般的には、ドメインはタンパク質のそれぞれ別個の機能的特性
40
に必要であり、多くの場合当該タンパク質及び/又は当該ドメインの残りの部分の機能を
損なうことなく、付加し、除去し又は他のタンパク質に移転することができる。
【0014】
本明細書で用いられる“免疫グロブリンドメイン”という用語は、抗体鎖(例えば通常
の4鎖抗体又は重鎖抗体の鎖)の球形領域、または本質的にそのような球形領域から成る
ポリペプチドを指す。免疫グロブリンドメインは、抗体分子に特徴的な免疫グロブリンの
ひだを保持するという特徴を有する。前記ひだは、2つのベータシート内に編成された(
場合によって保存ジスルフィド結合によって安定化されている)約7つのアンチパラレル
ベータ鎖をもつ2層のサンドイッチから成る。免疫グロブリンドメインは、可変ドメイン
、すなわち1つ以上の免疫グロブリン可変ドメインを含む。
50
(11)
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本明細書で用いられる“免疫グロブリン可変ドメイン”という用語は、本質的に4つの
“フレームワーク”から成る免疫グロブリンドメインを意味する。前記フレームワークド
メインは、当業界及び本明細書の下記で“フレームワーク領域1”若しくは“FR1”、“フ
レームワーク領域2”若しくは“FR2”、“フレームワーク領域3”若しくは“FR3”、“フ
レームワーク領域4”若しくは“FR4”とそれぞれ称され、前記フレームワーク領域は、3
つの“相補性決定領域”又は“CDR”によって中断され、それらは、当業界及び本明細書
の下記でそれぞれ“相補性決定領域1”若しくは“CDR1”、“相補性決定領域2”若しくは
“CDR2”、“相補性決定領域3”若しくは“CDR3”と称される。したがって、免疫グロブ
リン可変ドメインの一般的構造又は配列は以下のように示すことができる:FR1-CDR1-FR2
-CDR2-FR3-CDR3-FR4。抗原結合部位を保持することによって抗原に対する特異性を抗体に
10
付与するのはこの免疫グロブリン可変ドメインである。本発明の関係では、VHH及びドメ
イン抗体のような免疫グロブリン単一可変ドメインが好ましい。
【0015】
本明細書で用いられる“免疫グロブリン単一可変ドメイン”は、また別の可変免疫グロ
ブリンドメインと対を形成することなくある抗原のエピトープと特異的に結合することが
できる免疫グロブリン可変ドメインを意味する。本発明のこの意味での免疫グロブリン単
一可変ドメインの例は、“ドメイン抗体”、例えば免疫グロブリン単一可変ドメインVH及
びVL(VHドメイン及びVLドメイン)である。免疫グロブリン単一可変ドメインのまた別の
例は、以下に規定するラクダ科動物由来の“VHHドメイン”(または単に“VHH”)である
。
20
上記定義の観点から、通常の4鎖抗体(例えば当業界で公知のIgG、IgM、IgA、IgD又はI
gE分子)の抗原結合ドメイン、又はFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグ
メント(例えばジスルフィド結合連結Fv又はscFvフラグメント)若しくは前記通常的4鎖
抗体から誘導されるジアボディ(いずれも当業界では公知である)の抗原結合ドメインは
、通常は免疫グロブリン単一可変ドメインとみなされないであろう。なぜならば、これら
の事例では、抗原の対応するエピトープとの結合は通常では1つの(単一の)免疫グロブ
リンドメインによって生じるのではなく、一対の(結合している)免疫グロブリンドメイ
ン(例えば軽鎖及び重鎖可変ドメイン)によって、すなわち免疫グロブリンドメインのVH
-VL対によって(前記は一緒になって対応する抗原のエピトープと結合する)生じるから
である。
30
【0016】
“VHHドメイン”(VHH、VHHドメイン、VHH抗体フラグメント及びVHH抗体としても知ら
れている)は、最初は“重鎖抗体”(すなわち“軽鎖を欠く抗体”)の抗原結合免疫グロ
ブリン(可変)ドメインと記載されていた(Hamers-Casterman C, Atarhouch T, Muylder
mans S, Robinson G, Hamers C, Songa EB, Bendahman N, Hamers R.:“Naturally occur
ring antibodies devoid of light chains”; Nature 1993, 363:446-448)。“VHHドメ
イン”という用語は、これらの可変ドメインを通常の4鎖抗体に存在する重鎖可変ドメイ
ン(前記は本明細書では“VHドメイン”又は“VHドメイン”と称する)から、及び通常の
4鎖抗体に存在する軽鎖可変ドメイン(前記は本明細書では“VLドメイン”又は“VLドメ
イン”と称する)から区別するために選択された。通常の4鎖抗体中のVH又はVLドメイン
40
とは対照的に(前記では、VHドメインとVLドメインとが一緒になってエピトープを認識す
る)、VHHドメインは、さらに別の抗原結合ドメインの非存在下でエピトープと特異的に
結合することができる。VHHドメインは、ただ1つの免疫グロブリンドメインによって形成
された小さくて強力で効率的な抗原認識ユニットである。
本発明の関係では、VHHドメイン、VHH、VHHドメイン、VHH抗体フラグメント、VHH抗体
、並びに“ナノボディ(Nanobody(商標))”及び“ナノボディ(商標)ドメイン”(“ナノ
ボディ(Nanobody)”とはAblynx N.V.社(Ghent; Belgium)の商品名である)は相互に
用いられ、免疫グロブリン単一可変ドメインの典型例(構造:FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CD
R3-FR4を有し、第二の免疫グロブリン可変ドメインの存在を必要としないでエピトープと
特異的に結合する)であり、いわゆる“認証残基”(例えばWO2009/109635、図1で規定
50
(12)
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される)によりVHとは区別される。
【0017】
免疫グロブリン一可変重鎖ドメイン(例えばVHH)のアミノ酸残基は、Kabatら(“Sequ
ence of proteins of immunological interest”,US Public Health Services, NIH Bet
hesda, MD, Publication No. 91)によって提供されたVHドメインのための一般的ナンバ
リングにしたがって番号が付与され、RiechmannとMuyldermansの論文(J. Immunol. Meth
ods 231:25-38, 1999)の例えば図2に示されているラクダ科動物由来のVHHドメインに適
用されているとおりである。このナンバリングにしたがえば、
−FR1は1−30位のアミノ酸残基を含み、
−CDR1は31−35位のアミノ酸残基を含み、
10
−FR2は36−49位のアミノ酸残基を含み、
−CDR2は50−65位のアミノ酸残基を含み、
−FR3は66−94位のアミノ酸残基を含み、
−CDR3は95−102位のアミノ酸残基を含み、さらに
−FR4は103−113位のアミノ酸残基を含む。
しかしながら、VHドメイン及びVHHドメインについて当業界で周知のように、CDRの各々
のアミノ酸残基総数は変動することがあり、Kabatのナンバリングによって示されるアミ
ノ酸残基総数とは一致しないことがあることには留意されるべきである(すなわち、Kaba
tナンバリングの1つ以上の位置が実際の配列で塞がれていないか、又は実際の配列がKaba
tのナンバリングによって許容される数よりも多いアミノ酸残基を含むことがある)。こ
20
のことは、一般的にはKabatのナンバリングは、実際の配列中のアミノ酸残基の実際のナ
ンバリングと一致することもしないこともあることを意味する。
【0018】
VHドメインのアミノ酸残基のナンバリングのまた別の方法(前記方法は類似の態様でVH
Hドメインにも適用できる)が当業界で公知である。しかしながら、特段の指示がなけれ
ば、本明細書、特許請求の範囲及び図面では、Kabatに対応しさらに上記のVHHドメインに
も適用されるナンバリングに従うであろう。
VHHドメイン内のアミノ酸残基総数は通常110から120、しばしば112から115の範囲であ
ろう。しかしながら、より小さな及びより大きな配列もまた本明細書に記載した目的に適
切であり得ることは留意されるべきである。
30
本発明の好ましい実施態様にしたがえば、免疫グロブリン単一可変ドメイン(例えばVH
H及びドメイン抗体)は、機能的な抗原結合分子として治療で使用するためにそれら単一
可変ドメインを極めて有利にさせる多数の固有の構造的特徴及び機能的特性を有する。特
に(ただしそれらに限定されないが)、VHHドメイン(前記は本来軽鎖可変ドメインと対
を形成することなく抗原と機能的に結合するように“設計”されてある)は、単一の比較
的小さな機能性抗原結合構造単位として機能を示すことができる。
【0019】
それらの固有の特性のために、本明細書に規定する免疫グロブリン単一可変ドメイン(
例えばVHH又はVH(又はVL)、単独であれ又は大きなポリペプチド(例えば二パラトープ
性分子)の部分としてであれ)は、以下の多くの目覚ましい利点を提供する:
40
−高親和性及び高選択性で抗原と結合するためには単一ドメインが要求されるのみで、し
たがって2つの別々に存在するドメインを必要とせず、これらの2つのドメインが正確な空
間的配置及び構造で(すなわちscFvのように特別に設計されたリンカーの使用を介して)
存在する必要もない;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは単一の核酸分子から発現でき、翻訳後改変(例えば
グリコシル化)を全く必要としない;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは容易に操作でき、多価形式及びマルチ特異性形式と
することができる(本明細書でさらに記述される);
−免疫グロブリン単一可変ドメインはそれらの標的に対して特異性及び親和性が高く固有
の毒性が低く、さらに輸液又は注射以外の別の経路で投与できる;
50
(13)
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−免疫グロブリン単一可変ドメインは熱、pH、プロテアーゼ及び他の変性剤又は条件に大
いに安定であり、したがって冷蔵装置を使用することなく製造、保存又は輸送が可能であ
る;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは、小規模及び工業的規模の両方で容易に及び比較的
安価に製造される。例えば、免疫グロブリン単一可変ドメインは、微生物発酵を用いて製
造でき(例えば下記でさらに記述される)、例えば通常の抗体のように哺乳動物発現系の
使用を必要としない;
−免疫グロブリン単一可変ドメインは、通常の4鎖抗体及びその抗原結合フラグメントと
比較して、比較的小さく(約15kDa又は通常のIgGの1/10より小さい)、したがって組織(
固形腫瘍及び他の高密度組織を含むが、ただしこれらに限定されない)へのより強い侵入
10
を示し、通常の4鎖抗体及びその抗原結合フラグメントよりも高い用量で投与できる;
−VHHは、特異的な(4鎖抗体由来のVHドメインと比べてとりわけそれらの伸長CDR3ループ
による)いわゆる“腔結合特性”を有し、したがって通常の4鎖抗体及びその抗原結合フ
ラグメントが接近できない標的及びエピトープにも接近できる;
−VHHは、高度に可溶性で非常に安定であり、さらにWardら(Ward et al., Nature, 1989
, 341:544-546)が記載したマウス由来抗原結合ドメインのような凝集傾向を示さないと
いう具体的な利点を有する。
【0020】
免疫グロブリン単一可変ドメインは、それらを入手した特定の生物学的供給源又は特定
の製造方法に関して制限を受けない。例えばVHHの入手には以下の工程が含まれ得る:
20
(1)天然に存在する重鎖抗体のVHHドメインを単離する工程、又は重鎖抗体又はVHHを含
むライブラリーをスクリーニングして前記からVHHを単離する工程;
(2)天然に存在する配列を有するVHHをコードする核酸分子を発現させる工程;
(3)天然に存在する配列を有するVHHを“ヒト化”(本明細書で記述する)する工程(場
合によって親和性成熟の後で)又はそのようなヒト化VHHを発現させる工程;
(4)ある動物種(特に哺乳動物種、例えばヒト)の天然に存在する抗体の免疫グロブリ
ン一可変重鎖ドメインを“ラクダ化”(下記に記述する)する工程、又はそのようなラク
ダ化ドメインをコードする核酸分子を発現させる工程;
(5)VHを“ラクダ化”する工程、又はそのようなラクダ化VHをコードする核酸分子を発
現させる工程;
30
(6)タンパク質、ポリペプチド又は他のアミノ酸配列を合成的又は半合成的に調製する
技術を用いる工程;
(7)核酸合成技術を用いてVHHドメインをコードする核酸分子を調製して、続いてそのよ
うにして得られた核酸を発現させる工程;
(8)重鎖抗体又はVHHを親和性成熟、変異導入(例えばランダム変異導入又は部位指定変
異導入)に付して、VHHの親和性及び/又は特異性を高める工程;及び/又は
(9)前述の工程を組み合わせるか、又は前述の工程から選択される工程。
【0021】
上記記載の工程を実施するために適切な方法及び技術は当業界で公知であり、当業者に
は明白であろう。例示すれば、特異的抗原又はエピトープと結合するVHHを入手する方法
40
はWO2006/040153及びWO2006/122786に記載されてある。
具体的な実施態様にしたがえば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又は本発明
のポリペプチドに存在する免疫グロブリン単一可変ドメインは、天然に存在するVHHドメ
インのアミノ酸配列と本質的に一致するが、“ヒト化”又は“配列最適化”されてあるア
ミノ酸配列を有するVHHドメインである(すなわち、前記天然に存在するVHH配列のアミノ
酸配列中の1つ以上のアミノ酸残基を、ヒト由来の通常の4鎖抗体の可変重鎖ドメイン中の
対応する位置に存在するアミノ酸残基の1つ以上によって置換することによって“ヒト化
”又は“配列最適化”されてあるアミノ酸配列を有するVHHドメインである)。前記は、
当業界で公知の方法を用いて実施でき、当業者は前記方法を日常的に利用できる。
ヒト化VHHドメインは1つ以上の完全にヒトのフレームワーク領域配列を含むことができ
50
(14)
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、さらに具体的な実施態様では、ヒト生殖細胞系列Vh3配列由来のヒトフレームワーク領
域配列DP-29、DP-47、DP-51若しくは前記の部分、又は前記と高度に相同なもの(場合に
よってJH配列(例えばJH5)と結合される)を含むことができる。したがって、ヒト化プ
ロトコルは、生殖細胞系列VH遺伝子(例えばDP47、DP29及びDP51)のフレームワーク1、2
及び3(FR1、FR2及びFR3)に対応するVHH残基のいずれかの単独又は組み合わされた置換
を含むことができる。本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインの適切なフレームワーク
領域(FR)は例えばWO2006/004678に示されたものから選択でき、具体的にはいわゆる“K
ERE”及び“GLEW”クラスが含まれる。例は、約44から47位にアミノ酸配列G-L-E-Wを有す
る免疫グロブリン単一可変ドメイン及びそれらの対応するヒト化カウンターパートである
。ヒト化VHHドメインは1つ以上の完全にヒトのフレームワーク領域配列を含むことができ
10
る。
例示すれば、103P、R、S-グループ及び/又はGLEW-グループ(以下で規定される)に属
するVHHのヒト化置換は108Qから108Lの置換である。免疫グロブリン単一可変ドメインの
ヒト化の方法は当業界で公知である。
【0022】
治療的応用の観点から改善された特性(例えば親和性の強化又は免疫原性の低下)を有
する免疫グロブリン単一可変ドメインは、当業界で公知の技術、例えば親和性成熟(例え
ば合成免疫グロブリン配列、ランダム免疫グロブリン配列又は天然に存在する免疫グロブ
リン配列から出発する)、CDR移植、ヒト化、種々の免疫グロブリン配列に由来するフラ
グメントの結合、オーバーラッププライマーを用いるPCRアッセンブリー、及び当業者に
20
周知の免疫グロブリン配列を操作する類似の技術、又は前述のいずれかの適切な任意の組
合せ(本明細書に記述する“配列最適化”とも称される)によって個々の結合分子から入
手できる。例えば標準的な手引書とともに本明細書の更なる記述及び実施例を参照できる
。
適切な場合には、親和性が増進された結合分子は、別の結合分子の親和性成熟によって
入手できる(後者は親和性成熟分子に対して“親”結合分子である)。
特異的な抗原又はエピトープと結合するVHHを入手する方法は、以前に例えばWO2006/04
0153及びWO2006/122786に記載されている。前記文献中にも詳細に記載されているように
、ラクダ科の動物に由来するVHHドメインは、もともとのVHH配列のアミノ酸配列中の1つ
以上のアミノ酸残基を、ヒト由来の通常の4鎖抗体のVHドメイン中の対応する位置に存在
30
する1つ以上のアミノ酸残基により置換することによって“ヒト化”することができる(
本明細書では、ヒト化は“配列最適化”とも称され、“配列最適化”は、ヒト化に加えて
、改善された特性をVHHに与える1つ以上の変異によるさらに別の改変を包含する)。ヒト
化VHHドメインは、1つ以上の完全にヒトのフレームワーク領域配列を含むことができ、よ
り具体的な実施態様では、DP-29、DP-47、DP-51又は前記の部分から誘導されたヒトフレ
ームワーク領域配列(場合によってJH配列(例えばJH5)と結合される)を含むことがで
きる。
【0023】
“ドメイン抗体”、“Dab”及び“dAb”としても知られ(“ドメイン抗体”及び“dAb
”という用語はグラクソスミスクライン(GlaxoSmithKline)グループ会社の商標として
40
用いられている)、例えば以下に記載されている:Ward, E.S., et al.:“Binding activ
ities of a repertoire of single immunoglobulin variable domains secreted from Es
cherichia coli”; Nature 341: 544-546 (1989);Holt, L.J. et al.:“Domain antibod
ies: proteins for therapy”; TRENDS in Biotechnology 21(11): 484-490 (2003);及
びWO 2003/002609。
ドメイン抗体は、本質的に非ラクダ化哺乳動物由来抗体、特にヒト4鎖抗体のVH又はVL
に対応する。単一の抗原結合ドメインとして(すなわちそれぞれVL又はVHドメインと対を
形成することなく)エピトープと結合するために、例えばヒトの単一VH又はVLドメイン配
列ライブラリーを用いることによる、そのような抗原結合特性のための特異的選別が要求
される。
50
(15)
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ドメイン抗体(例えばVHH)は約13から約16kDaの分子量を有し、完全にヒトの配列に由
来する場合にはヒトでの治療的使用のためにヒト化を必要としない。VHHドメインの事例
のように、それらは原核細胞発現系でも良好に発現され、全体的製造コストの著しい削減
を提供する。
さらにまた、上記で述べたCDRの1つ以上を他の“足場”(ヒト足場又は非免疫グロブリ
ン足場が含まれるが、ただしこれらに限定されない)に“移植”できることは当業者には
また明白であろう。そのようなCDR移植に適した足場及び技術は当業界で公知である。
【0024】
“エピトープ”及び“抗原決定基”(前記は相互に用いることができる)という用語は
、抗原結合分子、例えば通常の抗体又は本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインによっ
10
て、及びより具体的には前記分子の抗原結合部位によって認識される巨大分子(例えばポ
リペプチド)の部分を指す。エピトープは、免疫グロブリンのための最少結合部位を規定
し、したがって免疫グロブリンの特異性の標的を表す。
一定のエピトープ、抗原又はタンパク質(又はその少なくとも1つの部分、フラグメン
ト若しくはエピトープ)と“結合”又は“特異的に結合する”ことができる、前記に“親
和性を有する”、及び/又は前記に対して“特異性を有する”ポリペプチド(例えば免疫
グロブリン、抗体、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン若しくは前記を含むポリペ
プチド、又は一般的に抗原結合分子若しくはそのフラグメント)は、前記エピトープ、抗
原又はタンパク質に“対抗性”若しくは“対抗する”と称されるか、又はそのようなエピ
トープ、抗原又はタンパク質に対する“結合分子”である。
20
一般的には、“特異性”という用語は、個々の抗原結合分子又は抗原結合タンパク質(
例えば本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン)分子が結合できる種々のタイプの抗原
又はエピトープの数を指す。抗原結合分子の特異性はその親和性及び/又はアビジチーを
基準に決定できる。親和性(抗原と抗原結合タンパク質の解離の平衡定数(KD)によって
表される)は、エピトープと抗原結合タンパク質上の抗原結合部位との間の結合強度の測
定値であり、KD値が小さければ小さいほど、エピトープと抗原結合分子間の結合強度は強
くなる(或いは、親和性はまた親和性定数(KA)として表すことができる:KAは1/KDであ
る)。当業者には明白なように(例えば本明細書の更なる開示に基づいて)、親和性は対
象の特定の抗原に応じてそれ自体公知の態様で決定することができる。アビジチーは、抗
原結合分子(例えば免疫グロブリン、抗体、免疫グロブリン単一可変ドメイン又は前記を
30
含むポリペプチド)と関係抗原間の結合強度の測定値である。アビジチーは、エピトープ
と抗原結合分子上のその抗原結合部位との間の親和性及び当該抗原結合分子上に存在する
関係結合部位の数の両方に関係する。
エピトープを認識する抗原結合分子の部分はパラトープと呼ばれる。
【0025】
特段の指示がなければ、“Dll4-結合分子”又は“Ang2-結合分子”という用語は、抗Dl
l4又は抗Ang2抗体、抗Dll4又は抗Ang2抗体フラグメント、本明細書に規定する“抗Dll4抗
体様分子”又は“抗Agn2抗体様分子”、及び前記のいずれかとの結合物を含む。抗体には
モノクローナル抗体及びキメラ化モノクローナル抗体が含まれるが、ただしこれらに限定
されない。“抗体”という用語は、完全な免疫グロブリン(例えば宿主細胞で組換え体発
40
現によって生成されるモノクローナル抗体)、或いは抗体フラグメント又は“抗体様分子
”(単鎖抗体及び線形抗体(いわゆる“SMIP”(Small ModularImmunopharmaceutical)
、例えばWO02/056910に記載されたもの)を包含する。抗体様分子は、本明細書に規定す
る免疫グロブリン単一可変ドメインを含む。抗体様分子の他の例は免疫グロブリンスーパ
ーファミリー抗体(IgSF)又はCDR移植分子である。
“Ang2-結合分子”又は“Dll4-結合分子”はそれぞれ、一価の標的結合分子(すなわち
対応する標的の1つのエピトープと結合する分子)或いは二価又は多価結合分子(すなわ
ち2つ以上のエピトープと結合する結合分子、例えば下記に規定する“二パラトープ性”
分子)の両方を指す。2つ以上のAng2(又はDll4)結合免疫グロブリン単一可変ドメイン
を含むAng2(又はDll4)結合分子はまた“フォーマット化”結合分子と称され、それらは
50
(16)
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、前記免疫グロブリン単一可変ドメインに加えて、前記標的結合要素内にリンカー及び/
又はエフェクター機能を有する要素(例えば半減期延長要素(例えばアルブミン結合免疫
グロブリン単一可変ドメイン))、及び/又は融合タンパク質(例えば血清アルブミン)
、及び/又は付加ポリマー(例えばPEG)を含むことができる。
【0026】
本明細書で用いられる“二パラトープ性Ang2(又はDll4)結合分子”又は“二パラトー
プ性免疫グロブリン単一可変ドメイン”は、本明細書に規定する第一の免疫グロブリン単
一可変ドメイン及び第二の免疫グロブリン単一可変ドメインを含む結合分子を意味するで
あろう(ここで前記2つの分子は対応する抗原の2つの非オーバーラップエピトープと結合
する)。二パラトープ性結合分子は、当該エピトープに対して異なる特異性を有する免疫
10
グロブリン単一可変ドメインを含む。エピトープを認識する抗原結合分子(例えば抗体又
は本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン)の部分はパラトープと呼ばれる。
フォーマット化結合分子はまた、2つの同一免疫グロブリン単一可変ドメイン、又は同
じ若しくはオーバーラップエピトープ又はそれらの対応する抗原を認識する2つの異なる
免疫グロブリン単一可変ドメインを含むことができる(ただし好ましさは劣る)。この事
例では、(VEGFに関する)2つの免疫グロブリン単一可変ドメインは、VEGFダイマーを形
成する2つのモノマーの各々で同じ又はオーバーラップするエピトープと結合することが
できる。
典型的には、本発明の結合分子は、例えばバイアコア(Biacore)又はキネクサ(Kinex
a)アッセイで測定したとき、10E-5から10E-14モル/リットル(M)以下、好ましくは10E-
20
7から10E-14モル/リットル(M)以下、より好ましくは10E-8から10E-14モル/リットル、
さらに好ましくは10E-11から10E-13モル/リットルの解離定数(KD)で、及び/又は少な
くとも10E7 ME-1、好ましくは少なくとも10E8 ME-1、より好ましくは少なくとも10E9 ME1、例えば少なくとも10E11 ME-1の結合定数で結合する。10E-4Mより大きいいずれのKD値
も、一般的には非特異的結合を示すと考えられる。好ましくは、本発明のポリペプチドは
、500nM未満、好ましくは200nM未満、より好ましくは10nM未満、例えば500pMのKDで所望
の抗原、すなわちそれぞれVEGF又はDll4と結合するであろう。抗原結合タンパク質と抗原
又はエピトープとの特異的結合は、それ自体公知の任意の適切な態様で(例えば本明細書
に記載のアッセイ、スキャチャード分析及び/又は競合結合アッセイ、例えば放射能免疫
アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)及びサンドイッチ結合アッセイ、及び当業界
30
でそれ自体公知の種々の変型を含む)決定できる。
【0027】
アミノ酸残基は、標準的な3文字又は1文字アミノ酸コード(一般的に公知であり当業界
で合意されている)にしたがって表示されるであろう。2つのアミノ酸配列を比較すると
き、“アミノ酸の相違”という用語は、第二の配列と比較して参照配列のある位置におけ
る表示の数のアミノ酸残基の挿入、欠失又は置換を指す。置換の場合にはそのような置換
は、好ましくは保存的アミノ酸置換であろう。保存的アミノ酸置換は、あるアミノ酸残基
が類似する化学的構造の別のアミノ酸残基により置換されることを意味し、前記は、当該
ポリペプチドの機能、活性又は他の生物学的特性に対してほとんどまたは本質的に影響を
与えない。そのような保存的アミノ酸置換は、例えばWO98/49185から当業界で周知であり
40
、この場合、保存的アミノ酸置換は、好ましくは以下のグループ(i)−(v)内のあるア
ミノ酸が同じグループの別のアミノ酸残基によって代用される置換である:(i)小さな
脂肪族、非極性又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro及びGly;(ii)極性で負
に荷電した残基及びそれらの(非荷電)アミド:Asp、Asn、Glu及びGln;(iii)極性で
陽性に荷電した残基:His、Arg及びLys;(iv)大きな脂肪族、非極性残基:Met、Leu、I
le、Val及びCys;並びに(v)芳香族残基:Phe、Tyr及びTrp。特に好ましい保存的アミノ
酸置換は以下のとおりである:AlaからGlyに又はSerに;ArgからLysに;AsnからGlnに又
はHisに;AspからGluに;CysからSerに;GlnからAsnに;GluからAspに;GlyからAlaに又
はProに;HisからAsnに又はGlnに;IleからLeuに又はValに;LeuからIleに又はValに;Ly
sからArgに、Glnに又はGluに;MetからLeuに、Tyrに又はIleに;PheからMetに、Leuに又
50
(17)
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はTyrに;SerからThrに;ThrからSerに;TrpからTyrに;TyrからTroに又はPheに;Valか
らIleに又はLeuに。
【0028】
ポリペプチド又は核酸分子は、例えばその本来の生物学的供給源及び/又はそれが入手
された反応媒体又は培養媒体と比較した場合に、それが前記供給源又は媒体中で通常付随
している少なくとも1つの他の要素、例えば別のタンパク質/ポリペプチド、別の核酸、
別の生物学的成分若しくは巨大分子、又は少なくとも1つの夾雑物質、不純物若しくは微
量成分から分離されているときには、“本質的に単離された(形態)”であるとみなされ
る。特にポリペプチド又は核酸分子は、それが少なくとも2倍、特に少なくとも10倍、さ
らに特に少なくとも100倍さらに1000倍まで又はそれ以上に精製されているとき、“本質
10
的に単離されている”とみなされる。“本質的に単離された形態”であるポリペプチド又
は核酸は、適切な技術(例えば適切なクロマトグラフィー技術、例えばポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動)を用いて決定したとき好ましくは本質的に均質である。
2つのDll4-結合分子配列間又は2つのAng2-結合分子配列間の“配列同一性”は、これら
配列間で同一であるアミノ酸のパーセンテージを指す。前記は、WO2008/020079の49及び5
0ページのパラグラフf)に記載されているように計算又は決定することができる。“配列
類似性”は、同一であるか又は保存的アミノ酸置換であるアミノ酸のパーセンテージを示
す。
VHドメインのアミノ酸残基のナンバリングのためのまた別の方法は当業界では公知であ
る(前記方法はまたVHHドメインに類似の態様で適用できる)。しかしながら特段の指示
20
がなければ、本明細書、特許請求の範囲及び図面では、Kabatに対応しさらに上記に記載
のVHHドメインに適用されるナンバリングにしたがうであろう。
【0029】
“親和性成熟”Dll4結合分子”又はAng2-結合分子(特にVHH又はドメイン抗体)は、1
つ以上のCDRに1つ以上の変異を有し、この変異は、対応する親Dll4結合分子又はAng-2結
合分子と比較してDll4又はAng2に対する親和性の改善をもたらす。本発明の親和性成熟Dl
l4結合分子又はAng2結合分子は、例えば以下に記載されている当業界で公知の方法によっ
て調製することができる:Marks et al., 1992, Biotechnology 10:779-783;Barbas, et
al., 1994, Proc. Nat. Acad. Sci, USA 91: 3809-3813;Shier et al., 1995, Gene 16
9:147-155;Yelton et al., 1995, Immunol. 155: 1994-2004;Jackson et al., 1995, J
30
. Immunol. 154(7):3310-9;及びHawkins et al., 1992, J. MoI. Biol. 226(3): 889 8
96;KS Johnson and RE Hawkins,“Affinity maturation of antibodies using phage di
splay”, Oxford University Press 1996。
本発明のためには、“配列番号:xのアミノ酸配列”は、特段の記載がなければ、対応
する配列番号:xに示される配列と100%同一であるアミノ酸配列:
a)対応する配列番号:xに示される配列と80%同一であるアミノ酸配列;
b)対応する配列番号:xに示される配列と3つ、2つ又は1つのアミノ酸相違を有するアミ
ノ酸配列、
を含む。
【0030】
40
“癌”又は“癌様”という用語は、典型的には脱調節細胞増殖/分裂を特徴とする哺乳
動物の生理学的状態を指すか又は表す。本発明の二重特異性結合分子により治療されるべ
き癌の例には癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫及び白血病が含まれる(ただしこれらに限
定されない)。US2008/0014196でDll4アンタゴニストによる治療のために提唱されたその
ような癌のより具体的な例には以下が含まれる:扁平上皮癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌
、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌、腹膜の癌、肝細胞癌、胃腸の癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫
、子宮頸癌、卵巣癌、肝癌、膀胱癌、ヘパトーマ、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮内膜
の又は子宮体の癌、唾液腺癌、腎癌、肝癌、前立腺癌、陰門癌、甲状腺癌、肝臓癌、胃癌
、メラノーマ、並びに種々のタイプの頭部及び頸部の癌。血管形成の調節障害は、本発明
の組成物及び方法によって治療できる多くの異常をもたらし得る。これらの異常には非新
50
(18)
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形成性及び新形成性症状の両方が含まれる。新形成には上記に記載したものが含まれるが
、ただしこれらに限定されない。
【0031】
Dll4アンタゴニストによる治療のためにUS2008/0014196で提唱されたように、非新形成
性異常には以下が含まれる(ただしこれらに限定されない):望ましくない又は異常な肥
大、関節炎、慢性関節リウマチ(RA)、乾癬、乾癬性プラーク、サルコイドーシス、アテ
ローム性硬化症、アテローム硬化症性プラーク、糖尿病性及び他の増殖性網膜症(未熟児
網膜症を含む)、水晶体後線維増殖症、血管新生緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病性黄斑水
腫、角膜血管新生、角膜移植血管新生、角膜移植拒絶、網膜/脈絡膜血管新生、眼角の血
管新生(ルベオーシス)、眼の血管新生性疾患、血管再狭窄、動静脈奇形(AVM)、髄膜
10
腫、血管腫、血管線維腫、甲状腺過形成(グレーヴズ病を含む)、角膜及び他の組織の移
植、慢性炎症、肺の炎症、急性肺損傷/ARDS、敗血症、一次性肺高血圧、悪性肺滲出、大
脳浮腫(例えば急性発作/閉鎖性頭部損傷/外傷に付随するもの)、滑膜炎症、RAにおけ
るパンヌス形成、骨化性筋炎、肥大性骨形成、変形性関節症(OA)、難治性腹水、多発性
嚢胞性卵巣疾患、子宮内膜症、第三間隙形成液疾患(3rd spacing of fluid diseases)
(膵炎、仕切り症候群、火傷、腸疾患)、子宮線維症、早産、慢性炎症、例えばIBD(ク
ローン病および潰瘍性大腸炎)、同種異系腎移植拒絶、炎症性腸疾患、ネフローゼ症候群
、望ましくない又は異常な組織塊増殖(非癌性)、血友病性関節、過形成瘢痕、毛の成長
阻害、オシエル-ウェーバー(Osier-Weber)症候群、化膿性肉芽腫性水晶体後線維増殖症
、強皮症、トラコーマ、血管癒着、滑膜炎、皮膚炎、子癇前症、腹水、心膜滲出(例えば
20
心膜炎に付随するもの)及び肺滲出。
【0032】
発明の詳細な説明
第一の特徴では、本発明は、少なくとも1つのDll4結合要素及び少なくとも1つのAng2結
合要素を含む二重特異性結合分子に関する。
好ましい実施態様では、本発明は、少なくとも1つのさらに別の結合要素、好ましくは
血清アルブミン結合要素(血清アルブミン結合分子)をさらに含む、少なくとも1つのDll
4結合要素及び少なくとも1つのAng2結合要素を含む二重特異性結合分子に関する。
好ましい実施態様では、本発明の結合分子の血清アルブミン結合要素は、単離された免
疫グロブリン単一可変ドメイン又は1つ以上の前記免疫グロブリン単一可変ドメインを含
30
むポリペプチドであり、前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、それぞれ4つのフレー
ムワーク領域並びに3つの相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3から成り、さらに前記CDR3
は、配列番号:522、525、528、531、534、537又は540に示すアミノ酸配列から選択され
るアミノ酸配列を有する。
より好ましくは、血清アルブミン結合要素の前記1つ以上の免疫グロブリン単一可変ド
メインは以下を含む:
a.配列番号:522、525、528、531、534、537又は540に示す第一のグループのアミノ酸配
列から選択されるアミノ酸配列を有するCDR3;
b.配列番号:520、523、526、529、532、535又は538に示す第二のグループアミノ酸配列
から選択されるアミノ酸配列を有するCDR1;
40
c.配列番号:521、524、527、530、533、536又は539に示す第二のグループのアミノ酸配
列から選択されるアミノ酸配列を有するCDR2。
【0033】
より好ましい実施態様では、血清アルブミン結合要素の前記1つ以上の免疫グロブリン
単一可変ドメインはVHHであり、好ましくは配列番号:98又は519に示すアミノ酸配列を有
する。
好ましい実施態様にしたがえば、前記Dll4結合要素及び前記Ang2結合要素は、それぞれ
少なくとも1つのDll4結合免疫グロブリン単一可変ドメイン及び少なくとも1つのAng2結合
免疫グロブリン単一可変ドメインを含む。
好ましい特徴では、前記Dll4結合要素及び前記Ang2結合要素は各々、少なくとも1つのA
50
(19)
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ng2結合免疫グロブリン単一可変ドメイン及び少なくとも1つのDll4結合免疫グロブリン単
一可変ドメインをそれぞれ含み、前記免疫グロブリン単一可変ドメインの各々は、4つの
フレームワーク領域並びに3つの相補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3をそれぞれ含む。
したがって、本発明の二重特異性結合分子に含まれる抗Dll4要素及び/又は抗Ang2要素
は、2つ(又は3つ以上)のそれぞれ抗Dll4又は抗Ang2免疫グロブリン単一可変ドメインを
含むことができ、ここで前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、Dll4(又はAng2)標的
内の異なるエピトープに向かう。したがって、二重特異性結合分子内の2つの免疫グロブ
リン単一可変ドメインは異なる抗原特異性を有し、したがって異なるCDR配列を有するで
あろう。
そのような二価の結合分子はまた、それぞれ“二パラトープ性一ドメイン抗体構築物”
10
(当該免疫グロブリン単一可変ドメインが一ドメイン抗体から成るか又は本質的に前記か
ら成る場合)、又は“二パラトープ性VHH構築物” (当該免疫グロブリン単一可変ドメイ
ンがVHHから成るか又は本質的に前記から成る場合)と称される(なぜならば、これら2つ
の免疫グロブリン単一可変ドメインは2つの異なるパラトープを含むからである)。
【0034】
本発明の二重特異性結合分子では、結合分子の一方又は両方が二価であり得る。例えば
Ang2結合要素が二パラトープ性でありDll4結合要素が1つの免疫グロブリン単一可変ドメ
インであるか、又はAng2結合要素が1つの免疫グロブリン単一可変ドメインでありDll4結
合要素が二パラトープ性であってもよい。
本発明の二重特異性結合分子では、二価のAng2結合免疫グロブリン単一可変ドメインを
20
含むのは、好ましくはAng2結合要素(例えば二パラトープ性VHH)である。
Dll4結合要素は、4つのフレームワーク領域並びに3つの相補性決定領域CDR1、CDR2及び
CDR3をそれぞれ有する少なくとも1つの可変ドメインを含み、ここで前記CDR3は、
(a)配列番号:1から166及び458、
(b)配列番号:333から353、又は
(c)配列番号:375から395
に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する。
配列番号:1から166及び458の第一のグループから選択されるアミノ酸配列(a)は、表
5及び配列番号:167から332及び459に示す第二のグループの配列から選択される対応する
アミノ酸配列に部分配列として含まれる。
30
配列番号:333から353の第一のグループから選択されるアミノ酸配列(b)は、表16-A
及び配列番号:354から374に示す第二のグループの配列から選択される対応するアミノ酸
配列に部分配列として含まれる。
配列番号:375から395の第一のグループから選択されるアミノ酸配列(c)は、表16-B
及び配列番号:396から416に示す第二のグループの配列から選択される対応するアミノ酸
配列に部分配列として含まれる。
【0035】
第二の特徴では、前記Dll4結合要素は、単離された免疫グロブリン単一可変ドメイン又
は1つ以上の前記免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドであり、ここで前
記免疫グロブリン単一可変ドメインは、それぞれ4つのフレームワーク領域並びに3つの相
40
補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3から成り、さらに前記CDR3は、
(a)配列番号:1から166及び458、
(b)配列番号:333から353、又は
(c)配列番号:375から395
に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する。
さらに別の特徴では、Dll4結合要素の前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、
(a)配列番号:1から166及び458に示す第一のグループのアミノ酸配列から選択されるア
ミノ酸配列を有するCDR3、
(b)配列番号:167から332及び459に示す第二のグループのアミノ酸配列から選択される
配列に、表5に示すように部分配列として含まれるアミノ酸配列を有するCDR1及びCDR2を
50
(20)
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含み、
ここで配列番号:1−166について前記第一のグループの配列番号:xは、y=x+166で
前記第二のグループの配列番号:yと対応する。
さらに別の特徴では、前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、
(a)配列番号:333から353に示す第一のグループのアミノ酸配列から選択されるアミノ
酸配列を有するCDR3、
(b)配列番号:354から374に示す第二のグループの配列から選択される配列に、表16-A
に示すように、部分配列として含まれるアミノ酸配列を有するCDR1及びCDR2を含み、
ここで前記第一のグループの配列番号:xは、y=x+21で前記第二のグループの配列番
号:yと対応する。
10
さらに別の特徴では、前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、
(a)配列番号:375から395に示す前記第一のグループのアミノ酸配列から選択されるア
ミノ酸配列を有するCDR3、
(b)配列番号:396から416に示す第二のグループの配列のから選択される配列に、表16Bに示すように部分配列として含まれるアミノ酸配列を有するCDR1及びCDR2を含み、
ここで前記第一のグループの配列番号:xは、y=x+21で前記第二のグループの配列番
号:yと対応する。
【0036】
好ましい実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインはVHHである。
さらに別の特徴では、VHHは、表5及び配列番号:167から332及び459に示すアミノ酸配
20
列から選択されるアミノ酸配列を有する。
Ang2結合要素は、4つのフレームワーク領域並びに3つの相補性決定領域CDR1、CDR2及び
CDR3をそれぞれ有する、少なくとも1つの可変ドメインを含み、前記CDR3は、配列番号:4
91、494、497、500、503、506、509、512、515又は518に示すアミノ酸配列から選択され
るアミノ酸配列を有する。
第二の特徴では、前記Ang2結合要素は、単離された免疫グロブリン単一可変ドメイン又
は1つ以上の前記免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチドであり、ここで前
記免疫グロブリン単一可変ドメインは、それぞれ4つのフレームワーク領域並びに3つの相
補性決定領域CDR1、CDR2及びCDR3から成り、さらに前記CDR3は、配列番号:491、494、49
7、500、503、506、509、512、515又は518に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配
30
列を有する。
さらに別の特徴では、Ang2結合要素の前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、
(a)配列番号:491、494、497、500、503、506、509、512、515又は518に示す第一のグ
ループのアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有するCDR3(表36もまた参照された
い)、
(b)配列番号:489、492、495、498、501、504、507、510、513又は516に示す第二のグ
ループのアミノ酸配列から選択される配列に、表22-A又は28に示すように部分配列として
含まれるアミノ酸配列を有するCDR1(表36もまた参照されたい)、
(c)配列番号:490、493、496、499、502、505、508、511、514又は517に示す第二のグ
ループのアミノ酸配列から選択される配列に、表22-A又は28に示すように部分配列として
40
含まれるアミノ酸配列を有するCDR2(表36もまた参照されたい)を含む。
好ましくは、Ang2結合要素の免疫グロブリン単一可変ドメインはVHHであり、好ましく
は配列番号:479、480、481、482、483、484、485、486、487又は488に示すアミノ酸配列
から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0037】
別の好ましい実施態様では、Ang2結合要素の免疫グロブリン単一可変ドメインは、本明
細書に記載の免疫グロブリン単一可変ドメインの親和性成熟又はヒト化によって入手され
た。
同様に、本発明はまた、本明細書に記載のAng2結合要素のVHHの親和性成熟又はヒト化
によって入手されたVHHに関する。
50
(21)
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本発明はしたがってまた、配列番号:479、480、481、482、483、484、485、486、487
又は488に示すアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有するAng2-結合VHHに関する
。
治療的適用の観点から改善された特性(例えば親和性の強化又は免疫原性の低下)を有
するDll4結合及び/又はAng2結合要素は、例えば親和性成熟(例えば合成免疫グロブリン
配列、ランダム免疫グロブリン配列又は天然に存在する免疫グロブリン配列から出発する
)、CDR移植、ヒト化、種々の免疫グロブリン配列に由来するフラグメントの結合、オー
バーラッププライマーを用いるPCRアッセンブリー、及び当業者に周知の免疫グロブリン
配列を操作する類似の技術、又は前述のいずれかの適切な任意の組合せによって、本発明
の個々のDll4結合又はAng2結合要素から入手できる。例えば標準的な手引書或いは本明細
10
書の更なる記述及び実施例を参照できる。
好ましくは、親和性が増進された本発明のDll4結合要素は、別の結合分子の親和性成熟
によって入手できる(後者は親和性成熟分子に対して“親”結合分子である)。同じこと
がAng2結合要素についても言える。
したがって、さらに別の好ましい実施態様では、本発明のDll4結合又はAng2結合分子は
、上記に規定の親免疫グロブリン単一可変ドメインの親和性成熟によって入手された免疫
グロブリン単一可変ドメインである。
【0038】
さらに別の好ましい実施態様では、本発明は、VHHの親和性成熟によって得られる免疫
グロブリン単一可変ドメインに関する。
20
親和性成熟に適した親Dll4結合要素は、例示すれば配列番号:167から332及び459に示
すアミノ酸配列を有する上記に記載のVHHである。
親和性成熟に適した親Ang2結合要素は、例示すれば配列番号:479、480、481、482、48
3又は484に示すアミノ酸配列を有する上記に記載のVHHである。
したがって、本発明はまた、上記に規定のVHHの親和性成熟及び/又は配列最適化によ
って入手されたAng2結合分子、例えば配列番号:482、483、484、485、486、487、488に
示すアミノ酸配列を有するVHHの配列最適化によって入手されたVHHに関する。後者のVHH
を作製するために用いられた“供給源”アミノ酸配列は配列番号:479、480又は481に示
される。さらにまたこれらのアミノ酸配列は、本発明の結合分子に利用できる適切なAng2
結合要素である。
30
本明細書に記載するように、本発明の結合分子は、好ましくは少なくとも1つの血清ア
ルブミン結合要素を含む。特に好ましい結合分子はしたがって、少なくとも1つのDll4結
合要素、少なくとも1つのAng2結合要素及び少なくとも1つの血清アルブミン結合要素を有
する。これら3つの結合要素の順序は、例えば図16又は23に示す任意の可能な順序であり
得る。例えばDll4-、Ang2-又は血清アルブミン結合要素はN-末端又はC-末端に存在し得る
。特に、図16の凡例に示す“00042”、“00045”又は“00050”はAng2結合要素を代表し
、一方、“00018”はDll4結合要素を代表紙、“ALB11”は血清アルブミン結合要素を代表
する。前記のいずれも特定の配列と解されるべきではないが、本発明の結合分子の可能な
設定の関係で用いられる場合には前記はANg2-、Dll4-及び血清アルブミン結合要素を一般
的に代表する。
40
しかしながら、血清アルブミン結合要素はDll4-及びAng2-結合要素との間(又はその逆
)に存在することが好ましいが、特に好ましくは、少なくとも1つのAng2-結合要素がN-末
端にあり、その後に少なくとも1つの血清アルブミン結合要素が続き、その後に少なくと
も1つのDll4結合要素がC-末端に存在する。前記の設定は特に有用であることが示されて
いる。
【0039】
好ましい特徴では、本発明はしたがって、配列番号:460−478に示すアミノ酸配列から
選択されるアミノ酸配列を有する、少なくとも1つのDll4結合要素、少なくとも1つのAng2
結合要素及び少なくとも1つの血清アルブミン結合要素を含む結合分子に関する。
本明細書で用いられるとき、“少なくとも1つ”の結合要素(Ang2、Dll4又は血清アル
50
(22)
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ブミン)は、本発明の1つの結合分子が、好ましくは本明細書に記載の免疫グロブリン単
一可変ドメインによって表される、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つのAng2-、Dll4-及び/又
は血清アルブミン-結合要素(すなわち実体/構成単位)を含むことができることを包含す
る。
さらにまた別の好ましい実施態様では、本発明は、配列番号:197に示すアミノ酸配列
を有するVHHの親和性成熟によって得られたDll4免疫グロブリン単一可変ドメインに関す
る。
さらにまた別の好ましい実施態様では、配列番号:197に示すアミノ酸配列を有するVHH
に由来する前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号:354から374に示すアミノ
酸配列を有する免疫グロブリン単一可変ドメインから選択される。
10
好ましい実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号:358に示すア
ミノ酸配列を有するVHHである。
さらにより好ましい実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号:35
8に示すアミノ酸配列を有するVHHのヒト化によって入手された。
別の好ましい実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号:356に示
すアミノ酸配列を有するVHHである。
さらにより好ましい実施態様では、本発明は、配列番号:356に示すアミノ酸配列を有
するVHHのヒト化によって入手された免疫グロブリン単一可変ドメインに関する。
さらにまた別の好ましい実施態様では、本発明は、配列番号:224に示すアミノ酸配列
を有するVHHの親和性成熟によって入手された免疫グロブリン単一可変ドメインに関する
20
。
【0040】
さらにまた別の実施態様では、配列番号:224に示すアミノ酸配列を有するVHHに由来す
る前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号:396から416に示すアミノ酸配列を
有する免疫グロブリン単一可変ドメインから選択される。
別の好ましい実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号:402に示
すアミノ酸配列を有するVHHである。
さらにより好ましい実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号:40
2に示すアミノ酸配列を有するVHHのヒト化により入手された。
別の好ましい実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号:416に示
30
すアミノ酸配列を有するVHHである。
さらにより好ましい実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号:41
6に示すアミノ酸配列を有する免疫グロブリン単一可変ドメインのヒト化により入手され
た。
別の好ましい実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号:407に示
すアミノ酸配列を有するVHHである。
さらにより好ましい実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインは、配列番号:41
3に示すアミノ酸配列を有する免疫グロブリン単一可変ドメインのヒト化により入手され
た。
別の実施態様にしたがえば、免疫グロブリン単一可変ドメインは本明細書に規定するVH
40
ドメインである。
【0041】
さらにまた別の実施態様では、本発明の又は本発明のポリペプチドに存在するDll4-及
び/又はAng2-結合免疫グロブリン単一可変ドメインのクラスの代表例は、天然に存在す
るVHドメインのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有し、前記VHドメインは“ラクダ
化”されてあり、すなわち、通常の4鎖抗体の天然に存在する可変重鎖のアミノ酸配列中
の1つ以上のアミノ酸残基が、重鎖抗体のVHHドメイン中の対応する位置に存在する1つ以
上のアミノ酸残基によって置き換えられている。前記はそれ自体公知の態様で実施でき、
当業者には明白であり、さらに別にWO1994/04678を参照できる。そのようなラクダ化は、
VH-VL接触面に存在するアミノ酸の位置及びいわゆるラクダ科動物認証残基において好ま
50
(23)
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しくは生じ得る(例えばWO1994/04678もまた参照されたい)。そのような“ヒト化”及び
“ラクダ化”技術の詳細な記載及びそれらと密接に結びつく好ましいフレームワーク領域
配列は、さらに別にWO2006/040153のpp.46及びpp.98並びにWO2006/122786のpp.107から入
手できる。
【0042】
本発明のDll4結合要素又はAng2結合要素、例えば免疫グロブリン単一可変ドメイン及び
/又はそれらを含むポリペプチドは、それらがDll4又はAng2分子内の1つ以上のエピトー
プとそれぞれ特異的に結合するという点で、DLL4又はAng2に対してそれぞれ特異性を有す
る。
Dll4結合要素及び/又はAng2結合要素とその抗原Dll4又はAng2とのそれぞれ特異的な結
10
合は、それ自体公知の任意の適切な態様で決定できる。前記態様には、例えば本明細書に
記載のアッセイ、スキャチャード分析及び/又は競合結合アッセイ(例えば放射能免疫ア
ッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA及びELISA)及びサンドイッチ競合アッセイ)並
びに当業界でそれ自体公知の前記の変型が含まれる。
抗原Dll4に関しては、本発明のDll4結合要素、例えば免疫グロブリン単一可変ドメイン
は種に関して制限されない。したがって、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメイン又は
それらを含むポリペプチドは、ヒトでの治療目的を意図する場合には好ましくはヒトDll4
と結合する。しかしながら、別の哺乳動物種由来のDll4と結合する免疫グロブリン単一可
変ドメイン又は前記を含むポリペプチドもまた本発明の範囲内にある。Dll4の1つの種型
と結合する本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、1つ以上の他の種型のDll4と交
20
差反応することができる。例えば、ヒトDll4と結合する本発明の免疫グロブリン単一可変
ドメインは、霊長類の1つ以上の他の種に由来するDLL4と、及び/又は疾患の動物モデル
、特に脈管形成におけるDll4媒介作用と密接に関係する疾患及び異常の動物モデルで用い
られる1つ以上の動物種(例えばサル(特にカニクイザル又はアカゲザル)、マウス、ラ
ット、ウサギ、ブタ、イヌ)由来のDll4と交差反応性を示すことができる。そのような交
差反応性を示す本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、評価を得ている疾患モデル
(例えばサル(特にカニクイザル又はアカゲザル)又はマウス及びラット)で本発明の免
疫グロブリン単一可変ドメインを試験することを許容するので、研究及び/又は薬剤開発
で有益である。
【0043】
30
さらにまた、本発明のDll4結合要素は、それらが対抗するDll4の特異的エピトープ又は
抗原決定基によって制限を受けず、又は範囲を限定されない。好ましくは、治療用Dll4ア
ンタゴニストの開発時に動物モデルとして使用が意図される、ヒト以外の他の種に由来す
る1つ以上のDll4分子との交差反応性を考慮すると、Dll4結合要素は、ヒトDll4と高い同
一性を有する対象Dll4の領域内のエピトープを認識する。例示すれば、マウスモデルで使
用することを考慮して、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、EGF-2ドメイン内
に完全に又は部分的に存在するエピトープ(前記はヒトとマウスとの間で高い同一性を示
す)を認識する。同じことがAng2に当てはまる。
したがって、好ましい実施態様では、本発明は、Dll4結合要素、特に免疫グロブリン単
一可変ドメイン又は前記を含むポリペプチドに関し、ここで前記免疫グロブリン単一可変
40
ドメインは、配列番号:417のアミノ酸残基252−282と一致するEGF-2ドメイン内に完全に
又は部分的に含まれるエピトープと結合するグループから選択される。
本発明のポリペプチドが本明細書に規定する二パラトープ性分子(前記は2つ以上の本
発明の免疫グロブリン単一可変ドメインを含む)である場合、前記免疫グロブリン単一可
変ドメインの少なくとも1つは、上記に規定するEGF-2ドメイン内のエピトープと結合する
。
【0044】
好ましくは、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、500 nM未満、好ましくは20
0 nM未満、より好ましくは10 nM未満、例えば500 pM未満の親和性でDll4及び/又はAng2
と結合する(実施例5.7に記載するように表面プラズモン共鳴分析によって決定される)
50
(24)
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。
好ましくは、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、実施例5.1に記載の競合ELI
SAアッセイで測定したとき、10-6から10-10モル/リットル以下の範囲、より好ましくは10
-8
から10-10モル/リットル以下の範囲、さらに好ましくは10-9から10-10モル/リットル以
下の範囲のIC50値を有する。
好ましい本発明の実施態様(ただし前記に限定されない)にしたがえば、本発明のDll4
結合免疫グロブリン単一可変ドメイン又は前記を含むポリペプチドは、10-5から10-12モ
ル/リットル(M)未満、好ましくは10-7から10-12モル/リットル(M)未満、より好まし
くは10-8から10-12モル/リットル(M)未満の解離定数(KD)で、及び/又は少なくとも1
07 M-1、好ましくは少なくとも108 M-1、より好ましくは少なくとも109 M-1、
10
例えば少なくとも1012 M-1の結合定数(KA)で、さらに特に500 nM未満、好ましくは200
nM未満、より好ましくは10 nM未満、例えば500 pM未満のKDでDll4と結合する。本発明の
免疫グロブリン単一可変ドメインのDll4に対するKD及びKA値を決定できる。同じことがAn
g2についても当てはまる。
【0045】
さらに別の実施態様では、本発明は、それぞれ抗原Dll4又はAng2と、オーバーラップし
ない異なるエピトープにおいて結合する2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含
むDll4結合要素に関する。より具体的には、本発明のそのようなポリペプチドは、(i)D
ll4又はAng2の第一のエピトープとそれぞれ特異的に結合する第一の免疫グロブリン単一
可変ドメイン、及び(ii)Dll4又はAng2の第二のエピトープとそれぞれ特異的に結合する
20
第二の免疫グロブリン単一可変ドメイン、を含むか又は本質的に前記から成り、ここで、
Dll4/Ang2の第一のエピトープ及びDll4/Ang2の第二のエピトープは同一のエピトープでは
ない。換言すれば、本発明のそのようなポリペプチドは、Dll4/Ang2に存在する少なくと
も2つの異なるエピトープに対抗する2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含むか
又は本質的に前記から成り、ここで前記免疫グロブリン単一可変ドメインは、それらがDl
l4/Ang2と同時に結合することができるような態様で互いに連結される。この意味では、
本発明のポリペプチドはまた“二価”又は“多価”免疫グロブリン構築物、特に前記ポリ
ペプチドがDll4/Ang2について少なくとも2つの結合部位を有するという点で、本質的に“
多価免疫グロブリン単一可変ドメイン構築物”とみなすことができる。
【0046】
30
本発明のそのようなDll4結合要素は(少なくとも)2つの抗Dll4免疫グロブリン単一可
変ドメインを含み、ここで、(前記)2つの免疫グロブリン単一可変ドメインはDll4分子
内の異なるエピトープに対抗する。したがって、これら2つの免疫グロブリン単一可変ド
メインは異なる抗原特異性、したがって異なるCDR配列を有するであろう。この理由のた
めに、本発明のそのようなポリペプチドはまた、2つの免疫グロブリン単一可変ドメイン
が2つの異なるパラトープを含むので、“二パラトープ性ポリペプチド”又は“二パラト
ープ性一ドメイン抗体構築物”(免疫グロブリン単一可変ドメインが一ドメイン抗体から
成るか、本質的に前記から成る場合)、又は“二パラトープ性VHH構築物”(免疫グロブ
リン単一可変ドメインがVHHから成るか、又は本質的に前記から成る場合)とそれぞれ称
される。同じことが、必要な変更を加えてAng2についても当てはまる。
40
具体的な実施態様にしたがえば、本発明のポリペプチドが3つ以上の抗Dll4免疫グロブ
リン単一可変ドメイン(すなわち3つ、4つ、又はそれ以上の抗Dll4免疫グロブリン単一可
変ドメイン)を含む事例では、当該抗Dll4免疫グロブリン単一可変ドメインの少なくとも
2つはDll4分子内の異なるエピトープに対抗し、ここで、さらに別のいずれの免疫グロブ
リン単一可変ドメインもこれら2つの異なるエピトープのいずれかと、及び/又はDll4分
子内に存在するさらに別のエピトープと結合することができる。同じことが必要な変更を
加えてAng2にも当てはまる。
【0047】
本発明にしたがえば、2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは、互いに別個にVH
又はVHH、及び/又は免疫グロブリン単一可変ドメインの任意の他の種類、例えば本明細
50
(25)
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書に規定するVLドメインであり得るが、ただしこれらの免疫グロブリン単一可変ドメイン
が抗原、すなわちDll4又はAng2とそれぞれ結合することを条件とする。
結合要素の詳細な記述は主としてDll4結合要素について提供されるが、Dll4結合要素に
ついて本明細書に概略される全ての特色及び選択事項は、必要な変更を加えてAng2結合要
素についても等しく適用される。
好ましい実施態様にしたがえば、二重特異性結合分子に存在する結合分子(Ang2結合要
素内のAng2結合分子又はDll4結合要素内のDll4結合分子又は2つの隣接するAng2結合要素
及びDll4結合要素)は、互いに直に連結されるか(すなわちリンカーを使用しないで)、
又はリンカーを介して連結され得る。リンカーは、好ましくはリンカーペプチドであり、
2つの異なる結合分子と標的のオーバーラップしないエピトープ(1つのかつ同じ標的分子
10
内に存在するか又は2つの異なる分子内に存在する)の各々との結合を許容するように選
択される。
二パラトープ性結合分子の事例では、Ang2結合要素又はDll4結合要素内のリンカーの選
択はとりわけエピトープに左右され、具体的には免疫グロブリン単一可変ドメインが結合
する標的上のエピトープ間の距離に左右され、場合によって限られたある程度の日常的実
験の後で当業者には明白であろう。
【0048】
2つの結合分子(2つのVHH又はドメイン抗体又はVHH及びドメイン抗体)、又は2つの結
合要素は、それぞれ別のVHH又はドメイン抗体を介して互いに連結され得る(そのような
結合分子では、2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは別の免疫グロブリン単一可
20
変ドメインと直に又は適切なリンカーを介して連結され得る)。そのような別のVHH又は
ドメイン抗体は、例えば半減期の延長を提供するVHH又はドメイン抗体であり得る。例え
ば、後者のVHH又はドメイン抗体は、(ヒト)血清蛋白質、例えば(ヒト)血清アルブミ
ン又は(ヒト)トランスフェリンと結合できるものであり得る。
また別には、対応する標的と結合する2つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインは、
連続して(直に又は適切なリンカーを介して)連結され、別のVHH又はドメイン抗体(半
減期の延長のために提供できる)は、これら2つ以上の前述の免疫グロブリン配列の1つと
直に又はリンカーを介して連結され得る。
適切なリンカーは本発明の具体的なポリペプチドとの関係で本明細書に記載され、アミ
ノ酸配列を含むことができる(例示であって、当該例示に限定されない)。前記アミノ酸
30
配列は、好ましくは9以上のアミノ酸、より好ましくは少なくとも17アミノ酸、例えば約2
0から40アミノ酸を有する。しかしながら、前記上限は重要ではなく、例えばそのような
ポリペプチドの生物医薬の製造に関する便利さという理由のために選択される。
リンカー配列は天然に存在する配列でも天然に存在しない配列でもよい。治療目的のた
めに用いられる場合は、リンカーは、本発明の二重特異性結合分子が投与される対象動物
で好ましくは非免疫原性である。
【0049】
有用な1つのリンカーグループは、WO1996/34103及びWO1994/04678に記載された重鎖抗
体のヒンジ領域から誘導されたリンカーである。
他の例はポリアラニンリンカー配列、例えばAla-Ala-Alaである。
40
さらに別の好ましいリンカー配列の例は、種々の長さのGly/Serリンカー、例えば(glyx
sery)zリンカー((gly4ser)3、(gly4ser)4、(gly4ser)、(gly3ser)、gly3、及び(gly3ser
2)3を含む)である。
リンカーのいくつかの非限定的な例は、図40及び48に示される、例えば以下のリンカー
である:
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(35GS;配列番号:90);
GGGGSGGGS(9GS;配列番号:91);
GGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(40GS;配列番号:92)。
二重特異性結合分子が、ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)要素の添加
によって改変される場合、リンカー配列は、そのような改変(例えばPEG化)を可能にす
50
(26)
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るために好ましくはアミノ酸残基(例えばシステイン又はリジン)をリンカー領域に含む
。
PEG化に有用なリンカーの例は以下である:
GGGGCGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(“GS25,C5”、配列番号:94);
GGGSGGGGSGGGGCGGGGSGGGGSGGG(“GS27,C14”、配列番号:95);
GGGGSGGGGSGGGGCGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(“GS35,C15”、配列番号:96);及び
GGGGCGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGS(“GS35,C5”、配列番号:97)。
さらに、リンカーはまた、例えばWO2004/081026に示すポリ(エチレングリコール)要素
であり得る。
【0050】
10
別の実施態様では、免疫グロブリン単一可変ドメインは別の要素(場合によって1つ又
は2つのリンカーを介して)、例えば別のポリペプチドを介して互いに連結される。前記
ポリペプチドは、好ましい実施態様(ただし当該実施態様に限定されない)では、上記に
記載のさらに別の免疫グロブリン単一可変ドメインであり得る。そのような要素は、本質
的に活性をもたないか、又は生物学的作用(例えば当該ポリペプチドの所望の特性の改善
)を示すか、又は1つ以上のさらに別の所望の特性を当該ポリペプチドに付与し得る。限
定ではなく例示として、前記要素は当該タンパク質又はポリペプチドの半減期を改善し得
るか、及び/又はその免疫原性を低下させ得るか、又は任意の他の所望の特性を改善し得
る。
好ましい実施態様にしたがえば、本発明の二重特異性結合分子は、特に治療薬をとして
20
の使用を意図するか又は治療薬として使用されるとき、患者の血清又は他の体液中での本
発明のポリペプチドの半減期を延長する要素を含む。“半減期”という用語は、例えばポ
リペプチドの分解及び/又は天然のメカニズムによる除去及び/又は消失により、(改変
)ポリペプチドの血清中濃度がin vivoで50%低下するために要する時間と規定される。
より具体的には、そのような半減期延長要素は、免疫グロブリン単一可変ドメインに共
有結合させるか又は融合させることができ、前記は、Fc部分、アルブミン部分、アルブミ
ン部分のフラグメント、アルブミン結合部分(例えば抗アルブミン免疫グロブリン単一可
変ドメイン)、トランスフェリン結合部分(例えば抗トランスフェリン免疫グロブリン単
一可変ドメイン)、ポリオキシアルキレン部分(例えばポリエチレングリコール分子)、
アルブミン結合ペプチド又はヒドロキシエチルデンプン(HES)誘導体であり得るが、た
30
だしこれらに限定されない。
【0051】
別の実施態様では、本発明の二重特異性結合分子は、血中で見出される抗原(例えば血
清アルブミン、血清免疫グロブリン、タイロキシン結合タンパク質、フィブリノゲン又は
トランスフェリン)と結合する要素を含み、それによって本発明の生成ポリペプチドにin
vivoでの半減期の延長を付与する。特に好ましい実施態様にしたがえば、そのような要
素はアルブミン結合免疫グロブリンであり、特に好ましくはアルブミン結合免疫グロブリ
ン単一可変ドメイン、例えばアルブミン結合VHHドメインである。
ヒトでの使用が意図される場合、そのようなアルブミン結合免疫グロブリン単一可変ド
メインは、好ましくはヒト血清アルブミンと結合し、好ましくはヒト化アルブミン結合VH
40
Hドメインである。
ヒト血清アルブミンと結合する免疫グロブリン単一可変ドメインは当業界で公知であり
、例えばWO2006/122786にさらに詳細に記載されている。特に有用なアルブミン結合VHHは
ALB1及びそのヒト化対応物ALB8(WO 2009/095489)である。しかしながら、上記の特許
刊行物に記載されている他のアルブミン結合VHHドメインも同様に有用であり得る。
特に有用なアルブミン結合VHHドメインはALB8であり、前記は配列番号:98又は519に示
すアミノ酸配列から成るか又は前記を含む。
【0052】
本発明のさらに別の実施態様にしたがえば、2つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(
好ましくはVHH)は、例えばWO01/79271及びWO03/59934に記載されたように、血清アルブ
50
(27)
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ミン分子に融合させることができる。例えばWO2001/79271に記載されているように、融合
タンパク質は通常の組み換え技術によって入手できる。すなわち、二重特異性結合分子を
コードするDNAに血清アルブミン又はそのフラグメントをコードするDNA分子を結合させ、
得られた構築物を選択した宿主細胞、例えば酵母細胞(例えばピキア・パストリス)又は
細菌細胞での発現に適切なプラスミドに挿入し、続いて前記融合ヌクレオチド配列を宿主
細胞にトランスフェクトして適切な条件下で増殖させる。有用なHSAの配列は配列番号:9
9に示されている。
【0053】
別の実施態様にしたがえば、本発明のポリペプチドの半減期延長改変(そのような改変
はまた当該ポリペプチドの免疫原性を低下させる)は、薬理学的に許容できるポリマー(
10
例えば直鎖又は分子鎖ポリ(エチレングリコール)(PEG)又は前記の誘導体(例えばメト
キシポリ(エチレングリコール)又はmPEG)の結合を含む。一般的にはPEG化の任意の適切
な形態、例えば抗体及び抗体フラグメント(ドメイン抗体及びscFvが含まれるが、ただし
これらに限定されない)のために当業界で用いられるPEG化を用いることができ、例えば
以下を参照できる:Chapman, Nat. Biotechnol., 54, 531-545 (2002);Veronese and Ha
rris, Adv. Drug Deliv. Rev. 54, 453-456 (2003);Harris and Chess, Nat. Rev. Drug
. Discov. 2 (2003);及びWO2004/060965。
ポリペプチドのPEG化のための多様な試薬はまた市場で例えばネクター・テラピューテ
ィクス(Nektar Therapeutics)(USA)又はNOF社(日本)から入手でき、例えばサンブ
ライト(商標)(Sunbright)EAシリーズ、SHシリーズ、MAシリーズ、CAシリーズ及びMEシ
20
リーズ、例えばサンブライト(商標)ME-100MA、サンブライト(商標)ME-200MA及びサンブラ
イト(商標)ME-400MAである。
【0054】
好ましくは、部位指定PEG化が、特にシステイン残基を介して用いられる(例えば以下
を参照されたい:Yang et al., Protein Engineering 16, 761-770, 2003)。例えば、こ
の目的のために、PEGを本発明のポリペプチドに天然に存在するシステイン残基に結合で
きる。本発明のポリペプチドは、PEG結合用の1つ以上のシステイン残基を適切に導入する
ために改変できる。又はPEG結合用の1つ以上のシステイン残基を含むアミノ酸配列を本発
明のポリペプチドのN-末端及び/又はC-末端に融合させることができる。前記はいずれも
、それ自体当業者に公知のタンパク質操作技術を利用する。
30
好ましくは、本発明のポリペプチドのために、5kDaを超える、例えば10kDaを超え、200
kDa未満、例えば100kDa未満、例えば20kDaから80kDaの範囲の分子量を有するPEGが用いら
れる。
PEG化に関しては、本発明はまた、1つ以上のアミノ酸の位置で好ましくは以下の(1)
−(4)のようにPEG化された二重特異性結合分子を包含する:前記PEG化は(1)in vivo
での半減期を延長するか;(2)免疫原性を低下させるか;(3)PEG化についてそれ自体
公知のさらに別の有利な特性を提供するか;(4)その標的に対する当該ペプチドの親和
性に本質的に影響を与えない(当業界で報告された適切なアッセイで測定したとき、例え
ば50%を超えて、より好ましくは10%を超えて前記親和性を低下させない);及び/又は
(4)本発明の二重特異性結合分子の他の所望の特性のいずれにも影響を与えない。適切
40
なPEGグループ及びそれらを(特異的に又は非特異的に)結合させる方法は当業者には明
白であろう。ポリペプチドのPEG化のための多様な試薬はまた、市場で例えばネクター・
テラピューティクス(USA)又はNOF社(日本)から入手でき、例えばサンブライト(商標)
(Sunbright)EAシリーズ、SHシリーズ、MAシリーズ、CAシリーズ及びMEシリーズ、例え
ばサンブライト(商標)ME-100MA、サンブライト(商標)ME-200MA及びサンブライト(商標)ME
-400MAである。
【0055】
本発明の特に好ましい実施態様にしたがえば、本発明のPEG化ポリペプチドは、40kDa又
は60kDaの分子量を有する線状PEGである1つのPEG要素を含み、ここでPEG要素はリンカー
領域で、具体的には配列番号:93に示すGS9-リンカーペプチドの5位のCys残基で、配列番
50
(28)
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号:95に示すGS27-リンカーペプチドの14位で、又は配列番号:96に示すGS35-リンカーペ
プチドの15位で、又は配列番号:97に示すGS35-リンカーペプチドの5位で当該ポリペプチ
ドに結合される。
本発明の二重特異性結合分子は、上記に記載のPEG試薬の1つ、例えば以下の化学式に示
す“サンブライト(商標)ME-400MA”を用いてPEG化できる:
【0056】
【化1】
10
【0057】
リンカー及び/又は半減期延長官能基を含む二重特異性結合分子は配列番号:81及び図
48に示されている。
別の実施態様にしたがえば、免疫グロブリン単一可変ドメインは本明細書に規定のドメ
イン抗体である。
本発明の二重特異性結合分子に存在する免疫グロブリン単一可変ドメインはまた、“ラ
クダ化” されてある天然に存在するVHドメインのアミノ酸配列と一致する配列を有しえ
る(ラクダ化は、通常の4鎖抗体の天然に存在する可変重鎖のアミノ酸配列中の1つ以上の
20
アミノ酸残基を、重鎖抗体のVHHドメイン中の対応する位置に存在する1つ以上のアミノ酸
残基によって置き換えることにより達成される)。前記はそれ自体公知の態様で実施され
、当業者には明白であり、WO94/04678を参照できる。そのようなラクダ化は、VH-VL接触
面及びいわゆるラクダ科動物認証残基に存在するアミノ酸位でもっぱら生じ得る(例えば
またWO94/04678を参照されたい)。そのような“ヒト化”及び“ラクダ化”技術の詳細な
記述及びそれらと密接に結びつく好ましいフレームワーク領域配列は、さらに別にWO2006
/040153のpp.46及びpp.98並びにWO2006/122786のpp.107から入手できる。
【0058】
結合分子は、それらが、それぞれAng2分子内又はDll4分子内の1つ以上のエピトープと
特異的に結合する1つ以上の免疫グロブリン単一可変ドメインを含むという点で、Ang2又
30
はDLL4に対してそれぞれ特異性を有する。
結合要素とその抗原Dll4又はAng2との特異的な結合は、それ自体公知の任意の適切な態
様で決定できる。前記態様には、例えば本明細書に記載のアッセイ、スキャチャード分析
及び/又は競合結合アッセイ(例えば放射能免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(E
IA及びELISA)及びサンドイッチ競合アッセイ)並びに当業界でそれ自体公知の前記の変
型が含まれる。
それぞれ抗原Ang2又はDll4に関して、免疫グロブリン単一可変ドメインは種について制
限を受けない。したがって、免疫グロブリン単一可変ドメインは、ヒトでの治療目的が意
図されるならば、好ましくはヒトAng2又はヒトDll4と結合する。しかしながら、別の哺乳
動物種由来のAng2又はDll4とそれぞれ結合する免疫グロブリン単一可変ドメイン又は前記
40
を含むポリペプチドもまた本発明の範囲内にある。Ang2又はDll4の1つの種型と結合する
免疫グロブリン単一可変ドメインは、1つ以上の他の種に由来する対応する抗原と交差反
応することができる。例えば、ヒト抗原と結合する免疫グロブリン単一可変ドメインは、
霊長類の1つ以上の他の種に由来する対応する抗原と、及び/又は疾患の動物モデル(例
えばサル(特にカニクイザル又はアカゲザル)、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ)
及び特にAng2の抑制によって調節され得る疾患及び異常の動物モデル(例えば本明細書に
記載する種及び動物モデル)で用いられる1つ以上の動物種の対応する抗原と交差反応で
きる。そのような交差反応性を示す本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、評価を
得ている疾患モデル(例えばサル(特にカニクイザル又はアカゲザル)又はマウス及びラ
ット)で本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインを試験することを許容するので、研究
50
(29)
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及び/又は薬剤開発で有益である。
【0059】
さらにまた結合要素は、それらが対抗する抗原の特異的ドメイン又は抗原決定基によっ
て制限を受けず、又は範囲を限定されない。好ましくは、治療用Ang2/Dll4アンタゴニス
トの開発時に動物モデルとして使用が意図される、ヒト以外の他の種に由来する1つ以上
の抗原分子との交差反応性を考慮すると、結合要素は、ヒト抗原と高い同一性を有する対
応抗原の領域内のエピトープを認識する。例示すれば、マウスモデルを利用することを考
慮すれば、本発明の二重特異性結合分子に含まれる抗Ang2免疫グロブリン単一可変ドメイ
ンは、Ang2のEGF-2ドメイン内に完全に又は部分的に存在するエピトープ(前記はヒトと
マウスとの間で高い同一性を示す)を認識する。
10
したがって、好ましい実施態様では、本発明の二重特異性結合分子はDll4結合分子を含
み、前記Dll4結合分子は、配列番号:101のアミノ酸残基252−282と一致するEGF-2ドメイ
ン内に完全に又は部分的に含まれるエピトープと結合するグループから選択される免疫グ
ロブリン単一可変ドメインである。
【0060】
別の特徴では、本発明は本発明の二重特異性結合分子をコードする核酸分子に関する。
そのような核酸分子はまた、本明細書では“本発明の核酸分子”と称され、本明細書で規
定する遺伝的構築物の形態を有し得る。本発明の核酸は、ゲノムDNA、cDNA又は合成DNA(
例えば目的の宿主細胞又は宿主生物での発現に特に適応するコドン使用頻度を有するDNA
)であり得る。本発明のある実施態様にしたがえば、本発明の核酸は上記に規定の本質的
20
に単離された形態である。
本発明の核酸はまたベクター(例えばプラスミド、コスミド又はYAC)の形態であるか
、前記に存在するか、及び/又は前記の部分であり得る。ベクターは本質的に発現ベクタ
ー(すなわち、二重特異性結合分子の発現をin vitro及び/又はin vivoで(すなわち適
切な宿主細胞、宿主生物及び/又は発現系で)提供できるベクター)であり得る。そのよ
うな発現ベクターは一般的には少なくとも1つの本発明の核酸を含み、前記核酸は1つ以上
の適切な調節エレメント(例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなど)に
作動出来るように連結される。特定の宿主で特定の配列を発現させるという観点から、そ
のようなエレメント及びそれらの選択は当業者の一般的知識である。調節性エレメント及
び本発明の二重特異性結合分子の発現に有用又は必要な他のエレメント(例えばプロモー
30
ター、エンハンサー、ターミネーター、組込み因子、選別マーカー、リーダー配列、レポ
ーター遺伝子など)は、例えばWO2006/040153のpp.131から133に開示されている。
本発明の核酸は、本発明のポリペプチドについてのアミノ酸配列に関する情報を基にし
て、それ自体公知の態様で(例えば自動DNA合成及び/又は組換えDNA技術によって)調製
又は入手でき、及び/又は適切な天然の供給源から単離することができる。
【0061】
別の特徴では、本発明は、本発明の1つ以上の二重特異性結合分子を発現するか、又は
発現する能力を有する宿主細胞、及び/又は本発明の核酸を含む宿主細胞に関する。特に
好ましい実施態様にしたがえば、前記宿主細胞は細菌細胞である。他の有用な細胞は酵母
細胞、真菌細胞又は哺乳動物細胞である。
40
適切な細菌細胞には、グラム陰性細菌株(例えば大腸菌(Escherichia coli)、プロテ
ウス(Proteus)及びシュードモナス(Pseudomonas)の株)及びグラム陽性細菌株(例え
ばバシルス(Bacillus)、ストレプトミセス(Streptomyces)、スタフィロコッカス(St
aphylococcus)及びラクトコッカス(Lactococcus)の株)が含まれる。適切な真菌細胞
には、トリコデルマ(Trichoderma)、ニューロスポラ(Neurospora)及びアスペルギル
ス(Aspergillus)の種に由来する細胞が含まれる。適切な酵母細胞には、サッカロミセ
ス(Saccharomyces)(例えばサッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisia
e))、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)(例えばシゾサッカロミセス・ポン
ベ(Schizosaccharomyces pombe))、ピキア(Pichia)(例えばピキア・パストリス(P
ichia pastoris)及びピキア・メタノリカ(ichia methanolica))及びハンセヌラ(Han
50
(30)
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senula)の種に由来する細胞が含まれる。
適切な哺乳動物細胞には、例えばCHO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞などが含まれ
る。しかしながら、異種タンパク質の発現に当業界で用いられる両性動物細胞、昆虫細胞
、植物細胞及び他の任意の細胞も同様に用いることができる。
【0062】
本発明はさらに、本発明の二重特異性結合分子を製造する方法を提供する。そのような
方法は一般的には以下の工程を含む:
−二重特異性結合分子をコードすることができる核酸を含む宿主細胞を、本発明の二重特
異性結合分子の発現を可能にする条件下で培養する工程;及び
−前記宿主細胞によって発現されたポリペプチドを前記培養から回収又は単離する工程;
10
及び
−本発明の二重特異性結合分子を場合によってさらに精製するか、及び/又は改変するか
、及び/又は処方する工程。
工業的スケールでの生産について好ましい宿主生物には大腸菌、ピキア・パストリス及
びS.セレビシアエが含まれ、前記は大規模な発現、生産及び発酵に、特に大規模な医薬の
発現、生産及び発酵に適切である。
具体的な発現系の選択は、部分的にはある種の翻訳後改変(より具体的にはグリコシル
化)の要求に左右される。グリコシル化が所望又は要求される本発明の二重特異性結合分
子の生産には、発現タンパク質をグリコシル化する能力を有する哺乳動物の発現宿主を使
用することが必要であろう。これに関して、得られるグリコシル化パターン(すなわち結
20
合される残基の種類、数及び位置)は発現に使用される細胞又は細胞株に左右されること
は当業者には明白であろう。
本発明の二重特異性結合分子は、上記に示した細胞の細胞内で(例えばサイトゾルで、
ペリプラズムで、又は封入体で)生成され、続いて前記宿主細胞から単離され、場合によ
ってさらに精製されるか、又はそれらは細胞外に(例えば宿主細胞が培養されている培養
液に)産生され、続いて培養液から単離され、場合によってさらに精製される。
【0063】
ポリペプチドの組換え体の生産に用いられる方法及び試薬、例えば具体的な適切な発現
ベクター、形質転換若しくはトランスフェクションの方法、選別マーカー、タンパク質発
現の誘発の方法、培養条件などは当業界で公知である。同様に、本発明のポリペプチドの
30
製造方法で有用なタンパク質の単離及び精製技術は当業者には周知である。
さらに別の特徴では、本発明は、配列番号:1から166及び458、配列番号:333から353
、又は配列番号:375から395にそれぞれ示される配列から選択されるアミノ酸配列を有す
る抗Dll4-VHHに含まれるCDR3のアミノ酸配列を有するペプチド及び前記をコードする核酸
分子に関する。
これらのペプチドは本発明のVHHから誘導されるCDR3に対応する。それら(特にそれら
をコードする核酸分子)は、CDR移植を実施して免疫グロブリン鎖のCDR3を置換するため
に、又は非免疫グロブリン性足場(例えばプロテアーゼ阻害物質、DNA結合タンパク質、
チトクロームb562、ヘリックス束タンパク質、ジスルフィド架橋ペプチド、リポカリン又
はアンチカリン)に挿入してそのような足場に標的結合特性を付与するために有用である
40
。CDR移植の方法は当業界で周知であり、例えば抗体をヒト化するために広く用いられて
いる(前記は通常ヒト抗体のFvフレームワークへのげっ歯類抗体由来のCDRの移植を含む
)。
【0064】
本発明のCDR3を含む免疫グロブリン又は非免疫グロブリン足場を得るために、そのよう
な分子をコードするDNAを分子生物学の標準的な方法にしたがって、例えば遺伝子合成に
よって、オリゴヌクレオチドアニーリングによって、又はオーバーラップするPCRフラグ
メントの手段(例えばDaughertyら(Nucleic Acids Research, 1991, Vol. 19, 9, 24712476)が記載している)によって入手することができる。VHH CDR3を非免疫グロブリン足
場に挿入する方法は、Nicaiseら(Protein Science, 2004, 13, 1882-1891)により記載
50
(31)
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された。
本発明はさらに、本発明の少なくとも1つの二重特異性結合分子を収納するか若しくは
含む製品又は組成物に関し、場合によって前記はさらに、それ自体公知である(すなわち
前記組成物の意図される使用に応じて)そのような組成物のさらに別の1つ以上の要素を
含む。
医薬としての使用のために、本発明の二重特異性結合分子又は前記を含むポリペプチド
は、少なくとも1つの本発明の二重特異性結合分子及び少なくとも1つの医薬的に許容でき
る担体、希釈剤又は賦形剤及び/又はアジュバント、並びに場合によって1つ以上のさら
に別の医薬的に活性なポリペプチド及び/又は化合物を含む医薬調製物又は組成物として
処方することができる。非限定的に例示すれば、そのような処方物は経口投与に、非経口
10
投与に(例えば静脈内、筋肉内若しくは皮下注射または静脈内輸液による)、局所投与に
、吸入、皮膚絆創膏、インプラント、座薬などによる投与に適した形態であり得る。その
ような適切な投与形態(投与態様に応じてそれらは固体、半固体又は液体であり得る)、
或いはその調製で使用される方法及び担体は当業者には明白であり、本明細書でさらに記
述される。
【0065】
したがって、さらに別の特徴では、本発明は、少なくとも1つの二重特異性結合分子、
特に本発明の1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン又は前記を含むポリペプチド及び少
なくとも1つの適切な担体、希釈剤又は賦形剤(すなわち医薬としての使用に適切である
)並びに場合によって1つ以上のさらに別の活性物質を含む医薬組成物に関する。
20
本発明の二重特異性結合分子はそれ自体公知の任意の適切な態様で処方及び投与するこ
とができる。特に免疫グロブリン単一可変ドメインについては例えば、WO2004/041862、W
O2004/041863、WO2004/041865、WO2004/041867及びWO2008/020079或いは標準的な手引書
(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing Compan
y,USA (1990),Remington;the Science and Practice of Pharmacy, 21th Edition, Li
ppincott Williams and Wilkins (2005);又はthe Handbook of Therapeutic Antibodies
(S. Dubel, Ed.), Wiley, Weinheim, 2007(例えば252-255ページ参照))を参照でき
る。
例えば、本発明の免疫グロブリン単一可変ドメインは、通常の抗体及び抗体フラグメン
ト(ScFv及びジアボディを含む)並びに他の医薬的に活性なタンパク質のためにそれ自体
30
公知の任意の態様で処方及び投与され得る。そのような処方物及び前記を調製する方法は
当業者には明白で、例えば、非経口投与(例えば静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、管腔内
、動脈内又は脊髄内投与)又は局所(すなわち経皮又は皮内)投与に適した調製物を含む
。
【0066】
非経口投与用調製物は、輸液又は注射に適した例えば無菌的な溶液、懸濁液、分散液又
は乳液であり得る。そのような調製物に適した担体又は希釈剤には、例えば滅菌水並びに
医薬的に許容できる水性緩衝剤及び溶液(例えば生理学的リン酸緩衝食塩水、リンゲル液
、デキストロース溶液及びハンクス溶液);水油;グリセロール;エタノール;グリコー
ル、例えばプロピレングリコール或いは鉱物油、動物油及び植物油(例えばピーナツ油、
40
ダイズ油又は前記の混合物)が含まれるが、ただしこれらに限定されない。通常は水溶液
又は懸濁液が好ましい。
したがって、本発明の二重特異性結合分子は、医薬的に許容できるビヒクル(例えば不
活性希釈剤)又は消化吸収性食用担体と一緒にして全身的に、例えば経口的に投与できる
。経口治療薬投与のためには、本発明の二重特異性結合分子は1つ以上の賦形剤と一緒に
して、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロッ
プ、ウェファースなどの形態で用いることができる。そのような組成物及び調製物は少な
くとも0.1%の本発明のDll4結合分子を含むべきである。組成物又は調製物中のそれらの
パーセンテージはもちろん変動可能であり、便利にはあるユニット投薬形の重量の約2か
ら約60%であり得る。そのような治療的に有用な組成物中の本発明の二重特異性結合分子
50
(32)
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の量は有効投薬レベルが得られる量である。
錠剤、ピル、カプセルなどはまた、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤及び甘味料又は香
料、例えばWO08/020079の143−144ページに記載されたものを含むことができる。 ユニッ
ト投薬形がカプセルである場合、前記は上記タイプの物質に加えて液状担体(例えば植物
油又はポリエチレングリコール)を含むことができる。他の多様な物質もコーティングと
して、またはそうでなければ固体のユニット投薬形の物理的形態の改変のために存在し得
る。例えば、錠剤、ピル又はカプセルはゼラチン、ワックス、シェラック又は砂糖などで
被覆できる。シロップ又はエリキシルは、本発明の二重特異性結合分子、甘味剤としてシ
ュクロース又はフルクトース、保存料としてメチルパラベン及びプロピルパラベン、色素
及び香料(例えばサクランボ又はオレンジ香料)を含むことができる。もちろん、任意の
10
ユニット投薬形の調製に用いられるいずれの材料も医薬的に許容でき、さらに用いられる
量で実質的に非毒性であるべきである。さらにまた、本発明の二重特異性結合分子を徐放
性調製物及び装置中に取り込むことができる。
【0067】
経口投与用調製物及び処方物はまた、本発明の構築物が胃の環境に耐え腸を通過するこ
とを可能にする腸溶皮とともに提供できる。より一般的には、経口用調製物及び処方物は
胃腸管の所望される任意の部分へのデリバリーのために適切に処方できる。さらにまた、
適切な座薬を胃腸管へのデリバリーのために用いることができる。
本発明の二重特異性結合分子はまた、WO2008/020079の144及び145ページにさらに記載
されているように輸液又は注射により静脈内又は腹腔内に投与できる。
20
本発明の二重特異性結合分子の局所投与のためには、一般的には皮膚学的に許容できる
担体と一緒にした組成物又は処方物として当該二重特異性結合分子を皮膚に投与すること
が所望され、それらはWO2008/020079の145ページにさらに記載されているように固体又は
液体であり得る。
一般的には、液体組成物(例えばローション)中の本発明の二重特異性結合分子の濃度
は約0.1−25 wt%、好ましくは約0.5−10 wt%であろう。半固体又は固体組成物(例えば
ゲル又は散剤)中の濃度は約0.1−5 wt%、好ましくは約0.5−2.5 wt%であろう。
治療での使用に要求される本発明の二重特異性結合分子の量は、選択される個々の二重
特異性結合分子だけでなく、投与経路、治療される症状の性質並びに患者の年齢及び症状
により変動し、最終的に主治医又は臨床医の裁量に委ねられるであろう。さらにまた、本
30
発明の二重特異性結合分子の投薬量は、標的の細胞、腫瘍、組織、移植片又は器官にした
がって変動する。便利には、所望の用量は1回の投与で提供するか、または適切な間隔で
投与される分割投与として、例えば1日につき2回、3回、4回又は5回以上のサブ用量とし
て提供できる。サブ用量自体をさらに、例えば大雑把に間をあけて何回か別々の投与とし
て、例えば散布器から多数回の吸引として、又は眼に複数回の点眼適用として分割しても
よい。
投与処置スケジュールは長期の毎日の処置を含むことができる。“長期”とは、少なく
とも2週間、好ましくは数週間、数カ月又は数年の期間を意味する。この投薬範囲におけ
る必要な改変は、本明細書の教示により単なる日常的な実験を用いるだけで当業者が決定
できる。以下の成書を参照された:Remington’s Pharmaceutical Sciences (Martin,E.
40
W.,ed. 4),Mack Publishing Co.,Easton,PA。投薬量はまた、何らかの合併症の発生
時に個々の医師によって調整され得る。
【0068】
さらに別の実施態様にしたがえば、本発明は、本発明の二重特異性結合分子、例えば免
疫グロブリン単一可変ドメイン又は前記を含むポリペプチドの例えば以下の治療目的のた
めの使用に関する:
−脈管形成におけるDll4媒介及び/又はAng2関連作用と密接に関係するか、またはNotch
シグナリング経路及び/又はTie3シグナリング経路を本発明の二重特異性結合分子により
調節することによって予防、治療又は緩和できる(特にヒトの)異常、疾患又は症状の予
防、治療及び/又は緩和のため;
50
(33)
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−そのような治療を必要とする患者の処置方法で(そのような方法は、その必要がある対
象者に本発明の少なくとも1つの二重特異性結合分子(例えば免疫グロブリン単一可変ド
メイン又は前記を含む医薬組成物)の医薬的に活性な量を投与する工程を含む);
−脈管形成におけるDll4媒介及び/又はAng2媒介作用と密接に関係する異常、疾患又は症
状の予防、治療又は緩和のための医薬の調製のため;
−上記の目的のために使用される医薬組成物又は医薬中の活性成分として。
具体的な特徴にしたがえば、前記異常、疾患又は症状は本明細書に規定の癌又は癌様疾
患である。
別の特徴にしたがえば、前記疾患は脈管形成におけるDll4媒介及び/又はAng2媒介作用
と密接に関係するか、又はNotchシグナリング経路及び/又はTie2シグナリング経路を二
10
重特異性結合分子で調節することによって治療又は緩和できる眼の疾患である。
【0069】
治療される癌様疾患に応じて、本発明の二重特異性結合分子はそれだけで又は1つ以上
の別の治療薬剤と一緒に用いることができる。前記別の薬剤は、特にDNA損傷薬剤のよう
な化学療法剤、又は血管形成、シグナルトランスダクション経路若しくは癌細胞の有糸分
裂のチェックポイントを阻害する治療的に活性な化合物から選択される。
前記別の治療薬剤は、同時に(場合によって同じ医薬調製物の成分として)、又は二重
特異性結合分子の投与の前若しくは後で投与できる。
ある種の実施態様では、前記別の治療薬剤は、EGFR、VEGFR、HER2-neu、Her3、AuroraA
、AuroraB、PLK及びPI3キナーゼ、FGFR、PDGFR、Raf、KSP、PDK1、PTK2、IGF-R又はIRの
20
阻害剤グループから選択される1つ以上の阻害剤であり得るが、ただしこれらに限定され
ない。
追加される治療薬剤のさらに別の例は、CDK、Akt、src/bcr abl、cKit、cMet/HGF、c-M
yc、Flt3、HSP90の阻害剤、ヘッジホッグアンタゴニスト、JAK/STAT、Mek、mTor、NFkapp
aB、、プロテアソーム、Rhoの阻害剤、wntシグナリングの阻害剤、又はユビキチン化経路
の阻害剤又はNotchシグナリング経路の別の阻害剤である。
Aurora阻害剤の例は、PHA-739358、AZD-1152、AT 9283、CYC-116、R-763、VX-680、VX
-667、MLN-8045、PF-3814735であるが、ただしこれらに限定されない。
PLK阻害剤の例はGSK-461364である。
raf阻害剤の例は、BAY-73-4506(VEGFR阻害剤でもある)、PLX 4032、RAF-265(さらに
30
またVEGFR阻害剤である)、sorafenib(さらにまたVEGFR阻害剤である)及びXL 281であ
る。
KSP阻害剤の例は、ispinesib、ARRY-520、AZD-4877、CK-1122697、GSK 246053A、GSK923295、MK-0731及びSB-743921である。
src及び/又はbcr-abl阻害剤の例は、ダサチニブ(dasatinib)、AZD-0530、ボスチニ
ブ(bosutinib)、XL 228(IGF-1R阻害剤でもある)、ニロチニブ(nilotinib)(PDGFR
及びcKit阻害剤でもある)、イマチニブ(imatinib)(cKit阻害剤でもある)及びNS-187
である。
【0070】
PDK1阻害剤の例はBX-517である。
40
Rho阻害剤の例はBA-210である。
PI3キナーゼ阻害剤の例は、PX-866、BEZ-235(mTor阻害剤でもある)、XL 418(Akt阻
害剤でもある)、XL-147及びXL 765(mTor阻害剤でもある)である。
cMet又はHGFの阻害剤は、XL-184(VEGFR、cKit、Flt3の阻害剤でもある)、PF-2341066
、MK-2461、XL-880(VEGFRの阻害剤でもある)、MGCD-265(VEGFR、Ron、Tie2の阻害剤で
もある)、SU-11274、PHA-665752、AMG-102及びAV-299である。
c-Myc阻害剤の例はCX-3543である。
Flt3阻害剤の例は、AC-220(cKit及びPDGFRの阻害剤でもある)、KW 2449、レスタウ
アーチニブ(lestaurtinib)(VEGFR、PDGFR、PKCの阻害剤でもある)、TG-101348(JAK2
の阻害剤でもある)、XL-999(cKit、FGFR、PDGFR及びVEGFRの阻害剤でもある)、スニチ
50
(34)
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ニブ(sunitinib)(PDGFR、VEGFRおよびcKitの阻害剤でもある)、タンズチニブ(tandu
tinib)(PDGFR及びcKitの阻害剤でもある)である。
HSP90阻害剤の例は、タネスピマイシン(tanespimycin)、アルベスピマイシン(alves
pimycin)、IPI-504及びCNF 2024である。
JAK/STAT阻害剤の例は、CYT-997(チューブリンとも相互作用する)、TG 101348(Flt
3の阻害剤でもある)及びXL-019である。
Mek阻害剤の例は、ARRY-142886、PD-325901、AZD-8330及びXL 518である。
mTor阻害剤の例は、テムシロリムス(temsirolimus)、AP-23573(VEGF阻害剤としても
作用する)、エヴェロリムス(everolimus)(さらにまたVEGF阻害剤である)、XL-765(
PI3キナーゼ阻害剤でもある)、及びBEZ-235(PI3キナーゼ阻害剤でもある)である。
10
Akt阻害剤の例は、ペリフォシン(perifosine)、GSK-690693、RX-0201及びトリシリビ
ン(triciribine)である。
【0071】
cKit阻害剤の例は、AB-1010、OSI-930(VEGFR阻害剤としても作用する)、AC-220(Flt
3及びPDGFR阻害剤でもある)、タンズチニブ(Flt3及びPDGFRの阻害剤でもある)、アク
シチニブ(axitinib)(VEGFR及びPDGFRの阻害剤でもある)、XL-999(Flt3、PDGFR、VEG
FR、FGFRの阻害剤でもある)、スニチニブ(Flt3、PDGFR、VEGFRの阻害剤でもある)、及
びXL-820(VEGFR及びPDGFR阻害剤としても作用する)、イマチニブ(bcr-abl 阻害剤とし
ても作用する)、ニロチニブ(bcr-abl及びPDGFRの阻害剤でもある)である。
ヘッジホッグアンタゴニストの例はIPI-609及びCUR-61414である。
20
CDK阻害剤の例は、セリシクリブ(seliciclib)、AT-7519、P-276、ZK-CDK(VEGFR2お
よびPDGFRも阻害する)、PD-332991、R-547、SNS-032、PHA-690509及びAG 024322である
。
プロテアソームの阻害剤の例は、ボルテゾミブ(bortezomib)、カルフィロゾニブ(ca
rfilzomib)及びNPI-0052(NFkappaBの阻害剤でもある)である。
NFkappaB経路の阻害剤はNPI-0052である。
ユビキチン化経路の阻害剤の例はHBX-41108である。
好ましい実施態様では、前記別の治療薬剤は抗脈管形成剤である。
抗脈管形成剤の例は、FGFR、PDGFR及びVEGFRの阻害剤又は対応するリガンド(例えばペ
ガプタニブ(pegaptanib)のようなVEGF阻害剤又は抗VEGF抗体ベヴァシズマブ(bevacizu
30
mab))、及びサリドマイド(例えば以下から選択される(ただしこれらに限定されない
):ベヴァシズマブ、モテサニブ(motesanib)、CDP-791、SU-14813、テラチニブ(tela
tinib)、KRN-951、ZK-CDK(CDK阻害剤でもある)、ABT-869、BMS-690514、RAF-265、IMC
-KDR、IMC-18F1、IMiD(免疫調節薬)、サリドマイド誘導体CC-4047、レナリドミド(len
alidomide)、ENMD 0995、IMC-D11、Ki 23057、ブリヴァニブ(brivanib)、セジラニブ
(cediranib)、XL-999(cKit及びFlt3の阻害剤でもある)、1B3、CP 868596、IMC 3G3、
R-1530(Flt3の阻害剤でもある)、スニチニブ(cKit及びFlt3の阻害剤でもある)、アク
シチニブ(cKitの阻害剤でもある)、レスタウアーチニブ(Flt3及びPKCの阻害剤でもあ
る)、ヴァタラニブ(vatalanib)、タンズチニブ(Flt3及びcKitの阻害剤でもある)、
パゾパニブ(pazopanib)、GW 786034、PF-337210、IMC-1121B、AVE-0005、AG-13736、E-
40
7080、CHIR 258、ソラフェニブトシレート(sorafenib tosylate)(Raf阻害剤でもある
)、RAF-265(Raf阻害剤でもある)、ヴァンデタニブ(vandetanib)、CP-547632、OSI-9
30、AEE-788(EGFRおよびHer2の阻害剤でもある)、BAY-57-9352(Rafの阻害剤でもある
)、BAY-73-4506(Rafの阻害剤でもある)、XL 880(cMetの阻害剤でもある)、XL-647(
EGFR及びEphB4の阻害剤でもある)、XL 820(cKitの阻害剤でもある)、及びニロチニブ
(nilotinib)(cKit及びbrc-ablの阻害剤でもある))である。
【0072】
前記別の治療薬剤はまたEGFR阻害剤から選択できる。前記は小分子EGFR阻害剤であるか
又は抗EGFR抗体である。抗EGFR抗体の例は、セツキシマブ(cetuximab)、パニツムマブ
(panitumumab)、マツズマブ(matuzuma)であるが、ただしこれらに限定されない。小
50
(35)
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分子EGFR阻害剤の例はゲフィチニブ(gefitinib)である。EGFR調節物質の別の例はEGF融
合毒素である。
本発明の二重特異性結合分子との組合せに有用なEGFR及びHer2阻害剤はとりわけ、ラパ
チニブ(lapatinib)、ゲフィチニブ、エルロチニブ(erlotinib)、セツキシマブ、トラ
スツズマブ(trastuzumab)、ニモツズマブ(nimotuzumab)、ザルツムマブ(zalutumuma
b)、ヴァンデタニブ(vandetanib)(VEGFRの阻害剤でもある)、ペルツズマブ(pertuz
umab)、XL-647、HKI-272、BMS-599626 ARRY-334543、AV 412、mAB-806、BMS-690514、JN
J-26483327、AEE-788(VEGFRの阻害剤でもある)、ARRY-333786、IMC-11F8、Zemabである
。
治療において本発明の二重特異性結合分子と有利に組み合わせることができる他の薬剤
10
は、トリツムマブ(tositumumab)及びイブリツモマブチウキセタン(ibritumomab tiuxe
tan)(2つの放射能標識抗CD20抗体)、アレムツズマブ(alemtuzumab)(抗-CD52抗体)
、デノスマブ(denosumab)(破骨細胞分化因子リガンド阻害剤)、ガリクシマブ(galix
imab)(CD80アンタゴニスト)、オファツムマブ(ofatumumab)(CD20阻害剤)、ザノリ
ムマブ(zanolimumab)(CD4アンタゴニスト)、SGN40(CD40リガンドレセプター調節物
質)、リツキシマブ(rituximab)(CD20阻害物質)又はマパツムマブ(mapatumumab)(
TRAIL-1レセプターアゴニスト)である。
【0073】
本発明の二重特異性結合分子と一緒に用いることができる他の化学療法剤は以下から選
択される(ただしこれらに限定されない):ホルモン、ホルモンアナローグ及び抗ホルモ
20
ン(例えば、タモキシフェン(tamoxifen)、トレミフェン(toremifene)、ラロキシフ
ェン(raloxifene)、フルヴェストラント(fulvestrant)、メゲストロールアセテート
(megestrol acetate)、フルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカル
タミド(bicalutamide)、クリプロテロンアセテート(cyproterone acetate)、フィナ
ステロイド(finasteride)、ブセレリンアセテート(buserelin acetate)、フルドロコ
ーチゾン(fludrocortisone)、フルオキシメステロン(fluoxymesterone)、メドロキシ
プロジェステロン(medroxyprogesterone)オクトレオチド(octreotide)、アルゾキシ
フェロン(arzoxifene)、パシレオチド(pasireotide)、ヴァプレオチド(vapreotide
))、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール(anastrozole)、レトロゾール
(letrozole)、リアロゾール(liarozole)、エキセメスタン(exemestane)、アタメス
30
タン(atamestane)、フォルメスタン(formestane))、LHRHアゴニスト及びアンタゴニ
スト(例えば、ゴセレリンアセテート(goserelin acetate)、ロイプロリド(leuprolid
e)、アバレリクス(abarelix)、セトロレリクス(cetrorelix)、デスロレリン(deslo
relin)、ヒストレリン(histrelin)、トリプトロレリン(triptorelin))、抗代謝薬
(例えば、アンチフォレート、例えばメトトレキセート、ペメトレキシド(pemetrexed)
、ピリミジンアナローグ、例えば5フルオロウラシル、カペシタビン(capecitabine)、
デシタビン(decitabine)、ネララビン(nelarabine)およびゲムシタビン、プリン及び
アデノシンアナローグ、例えばメルカプトプリンチオグアニン、クラブリジン(cladribi
ne)及びペントシタチン(pentostatin)、シタラビン(cytarabine)、フルダラビン(f
ludarabine));抗腫瘍性抗生物質(例えば、アントラサイクリン、例えばドキソルビシ
40
ン、ダウノルビシン、エピルビシン及びイダルビシン、、マイトマイシンC、ブレオマイ
シン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、ピキサントロン、ストレ
プトゾシン);白金誘導体(例えばシスプラチン、オキザリプラチン、カルボプラチン、
ロバプラチン、サトラプラチン);アルキル化剤(例えばエストラムスチン(estramusti
ne)、メクロレタミン(meclorethamine)、メルファラン(melphalan)、クロラムブシ
ル(chlorambucil)、ブスプラン(busulphan)、ダカルバジン、シクロホスファミド、
イフォスファミド(ifosfamide)、ヒドロキシウレア、テモゾロミド(temozolomide)、
ニトロソウレア、例えばカルムスチン及びロムスチン、チオテペア(thiotepa);抗有糸
分裂剤(例えば、ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビ
ン、ビンフラニン及びビンクリスチン;及びタキサン、例えばパクリタキセル、ドセタキ
50
(36)
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セル及びそれらの処方物、ラロタキセル;シモタキセル、及びエポシオレン、例えばイク
サベピロン(ixabepilone)、パツピロン(patupilone)、 ZK-EPO);トポイソメラーゼ
阻害剤(例えば、エピポドフィロトキシン(epipodophyllotoxin)、例えばエトポシド(
etoposide)およびエトポフォス(etopophos)、テニポシド(teniposide)、アムサクリ
ン(amsacrine)、トポテカン(topotecan)、イリノテカン)、及び雑多な化学療法剤(
例えば、アミフォスチン(amifostine)、アナグレリド(anagrelide)、インターフェロ
ンアルファ、プロカルバジン、ミトタン(mitotane)、およびポルフィマー(porfimer)
、ベキサロテン(bexarotene)、セロコキシブ(celecoxib)。
本発明の二重特異性結合分子の特に好ましい組合せパートナーはVEGFアンタゴニスト、
例えばベバシズマブ(Avastin(商標))、ヴァルガテフ(商標)(Vargatef(商標))、ソラ
10
フェニブ及びスニチニブである。
【0074】
本発明の二重特異性結合分子又はそれら含むポリペプチド、及び前記を含む組成物の有
効性は、任意の適切なin vitroアッセイ、細胞系アッセイ、in vivoアッセイ及び/又は
それ自体公知の動物モデル又は前記の組合せを具体的な対象疾患又は異常に応じて用い試
験することができる。適切なアッセイ及び動物モデルは当業者には明白で、前記には、例
えば本明細書に記載し下記実施例でも利用するアッセイ、例えば増殖アッセイが含まれる
。
本発明の実験で得られたデータによって、本発明のDll4結合要素は従来技術のDll4結合
分子の特性よりも優れた特性を有することが確認される。前記データは、例えば図10のEL
20
ISAデータ(親和性成熟VHHは、hDLL4/hNotch1-Fc相互作用を完全な態様で遮断することを
示す)、或いはhDLL4/hNotch1-Fc競合ELISAでの親和性成熟VHHのIC50値(nM)、並びに組
換えヒトDLL4及びマウスDLL4に対する精製親和性成熟VHHの親和性KD(nM)から得ること
ができる。このことは、本発明のDll4結合要素は、脈管形成におけるDll4媒介作用と密接
な関係を有する疾患及び異常で治療有効性を有する有望な候補物であることを示している
。
本発明の別の実施態様にしたがえば、以下の工程によって疾患を診断する方法が提供さ
れる:
a)上記に規定される本発明のDll4及び/又はAng2結合要素とサンプルを接触させる工程
;
30
b)前記Dll4及び/又はAng2結合要素と前記サンプルとの結合を検出する工程;及び
c)工程b)で検出された結合を標準物と比較し、前記サンプルと比較した結合の相違によ
って、脈管形成におけるDll4媒介作用と密接な関係を有する疾患又は異常が診断される。
【0075】
前記使用及び他の使用のために、例えば特異的結合対(例えばビオチン-(ストレプト)
アビジン結合対)の一部分である機能群を導入することによって本発明の二重特異性結合
要素をさらに改変することは有用であり得る。そのような機能群を用いて、本発明の二重
特異性結合分子を別のタンパク質、ポリペプチド又は化合物(前記は他方の結合対とすな
わち結合対形成を介して結合する)に連結することができる。例えば、本発明の二重特異
性結合分子をビオチンに連結し、さらにアビジン又はストレプトアビジンとつないだ別の
40
タンパク質、ポリペプチド、化合物又は担体と結合させることができる。例えば、そのよ
うな連結を実施した本発明の二重特異性結合分子をレポーターとして例えば診断系で用い
ることができる(そのような診断系では検出可能なシグナル生成物質がアビジン又はスト
レプトアビジンに連結されている)。
【0076】
材料と方法
a)ヒト、マウス及びカニクイザルDll4を過剰発現するCHO及びHEK293細胞株の作製
ヒト(配列番号:417;NM_019074.2)及びマウスDll4(NM_019454.3)をコードするcDN
Aを、ヒト成人正常心臓組織cDNAライブラリー(BioChain, Hayward, CA, USA)及びマウ
ス心臓組織cDNAライブラリー(C57/Bl6株から単離)から、対応する配列の5’及び3’UTR
50
(37)
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で設計したオリゴヌクレオチド(表1参照;配列番号:421から426)を用いてそれぞれ増
幅する。アンプリコンを哺乳動物発現ベクターpCDNA3.1(+)-neo(Invitrogen, Carlsbad,
CA, USA)でクローニングする。
表1.Dll4遺伝子完全長オルトローグの増幅に用いたオリゴヌクレオチド配列
【表1】
10
【0077】
カニクイザルDll4 cDNAを、カニクイザル正常心臓組織cDNAライブラリー(BioChain, H
ayward, CA, USA)から、近縁種アカゲザルのDll4コード配列の5’及び3’UTRで設計した
プライマーを用いて増幅する(マカカ・ムラタ(Macaca mulatta)Dll4、配列番号:418
20
;XM_001099250.1)(表1参照)。最終的アンプリコンを哺乳動物発現ベクターpCDNA3.1(
+)-neo(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)でクローニングする。カニクイザルDll4のア
ミノ酸配列はアカゲザルと100%同一であり、ヒトと99%同一であることが示された(図1
;ヒト配列との相違は太字下線付きで示されている)。
ヒトDll4、マウスDll4又はカニクイザルDll4を過剰発現するチャイニーズハムスター卵
巣(CHO)細胞を樹立するために、親CHO細胞にpCDNA3.1(+)-neo-hDll4、pcDNA3.1(+)-neo
-mDll4又はpcDNA3.1(+)-neo-cDll4をそれぞれエレクトロポレートする。ヒトDll4及びマ
ウスDll4を過剰発現するヒト胎児腎(HEK293)細胞を、それぞれpCDNA3.1(+)-neo-hDll4
又はmDll4プラスミドのFugene(Roche)を用い脂質媒介トランスフェクションによってHE
K293親細胞株で作製する。全ての条件について、トランスフェクタントは1mg/mLのゲネチ
30
シン(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)を添加することにより選別される。
【0078】
b)モノクローナル抗Dll4 IgG Fabフラグメントの作製
US 2008/0014196(Genentech)で、Riddwayら(2006)が用いたヒト/マウス交差反応性
Dll4 mAbは、多数の異種移植モデルで腫瘍増殖に対しVEGF mAb及びDll4 mAbの累積作用を
示すことを記載している。この抗Dll4 mAb及びその対応するFabを精製し、前記抗体(フ
ラグメント)の生化学/細胞アッセイ及び異種移植モデルにおける特性及びファージ選別
時の特異的溶出について評価する。Dll4 mAbの公表された可変重鎖及び軽鎖配列をhIgG2a
kフレームワークにおいてクローニングし、HEK293細胞で一過性に発現させ、さらに上清
からタンパク質Aクロマトグラフィーを用いて精製する。精製Dll4 mAbはELISA及びFACSで
40
ヒトDll4及びマウスDll4との結合を示し(CHO-mDll4及びCHO-hDll4細胞を使用)、両増殖
因子オルトローグに対して親和性はBiacoreでナノモル以下である。
対応するDll4 Fabフラグメントは、バックトランスレーションによる遺伝子アッセンブ
リー及び大腸菌発現のためのコドン最適化(Letoの遺伝子最適化ソフト(www.entechelon
.com)を用いる)により構築される。可変軽鎖(VL)、可変重鎖(VH)、定常軽鎖(CL)
及び重鎖の定常ドメイン1(CH1)のアッセンブリーのためのオリゴヌクレオチドプライマ
ーを設計し、アッセンブリーPCRを実施する。VL+CL及びVH+CH1をコードするcDNAセグメン
トをpUC119から誘導したベクター(LacZプロモーター、カナマイシン耐性遺伝子、マルチ
クローニング部位及びハイブリッドgIII-pelBリーダー配列を含む)において、それぞれ
制限部位SfiI及びAscI並びに制限部位KpnI及びNotIを用いクローニングする。Fabコード
50
(38)
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配列に関してインフレームで、発現ベクターはC-末端HA及びHis6-タグをコードする。Fab
フラグメントはHis6-タグ付きタンパク質として大腸菌で発現され、続いて金属固定アフ
ィニティクロマトグラフィー(IMAC)及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により
培養液から精製される。可変重鎖及び可変軽鎖の対応するアミノ酸配列(それぞれUS 200
8/0014196の配列番号:1及び配列番号:2);完全な重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列は配列
番号:419および420にそれぞれ示されている。
【0079】
c)エピトープマッピングのためのDll4変異体の作製
抗Dll4 VHHによって認識されるエピトープを含むDll4の細胞外ドメイン(ECD)中の領
域を同定するために、Dll4 ECDの漸進的欠失変異体を作製する。ポリHis-タグを融合させ
10
たDll4 ECDの欠失フラグメントのネステッドシリーズをコードするポリヌクレオチドの上
流にCMVプロモーターを含む哺乳動物発現ベクターpSecTag2/Hygro(Invitrogen, Carlsba
d, CA, USA)を、標準的な組換えDNA技術を用いて作製する(図2参照;アミノ酸ドメイン
の境界は上付き数字中に存在する)。これらの組換えタンパク質をフリースタイル293発
現系(Freestyle 293 Expression System, Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)を用い一過
性にトランスフェクトしたHEK239細胞で発現させ、この系から条件付け培養液を収集して
IMACにより精製する。EGF2様ドメインを欠くDll4変異体のみが、上記に記載のヒト化した
ヒト/マウス交差反応性抗Dll4 mAbとの結合障害を示した(前記抗体は捕捉性抗ヒトIgG被
覆Biacoreセンサーチップを介して固定)。このIgGはこのDll4ドメインに特異的な結合エ
ピトープを有することが判明している(特許出願Genentech, US 2008/0014196A1)。
20
【0080】
d)Dll4レポーターアッセイプラスミドの作製
レポーターアッセイは、Notch1のγ-セクレターゼ媒介切断及びDll4刺激時のNotch1細
胞内ドメインの核内移転に基づいて開発される(本質的に以下に記載されている:Struhl
and Adachi, Cell. 1998 May 15, 93(4):649-60)。Gal4/VP16コード配列をNICD-コード
配列に挿入する。強力なハイブリッド転写アクチベーターGAL4-VP16(前記はヘルペスシ
ンプレックスウイルス転写アクチベータードメインVP16と融合させた酵母GAL4のDNA結合
フラグメントから成る)を、Notch1のトランスメンブレンドメインに対しカルボキシ末端
側に挿入する。γ-セクレターゼによるこの構築物の切断はGal4/VP16 NICD融合タンパク
質の遊離をもたらし、前記は核に移転し、そこで同時にトランスフェクトされたルシフェ
30
ラーゼレポータープラスミドと結合してこれを活性化するであろう(前記は強力なGAL4-U
ASプロモーター配列を含む(Struhl, G. and Adachi, A., Cell, vol. 93, 649-660, 199
8))。ヒトNotch1-Gal4/VP16発現カセットをpcDNA3.1(+)-neo(Invitrogen, Carlsbad,
CA, USA)でクローニングする。pGL4.31[Luc2P/Gal4UAS/Hygro]ベクター(Promega, Madi
son, WI, USA)をルシフェラーゼレポータープラスミドとして用いる。
【実施例1】
【0081】
種々の種に由来するDll4による免疫はラマで液性免疫応答を誘導する
1.1 免疫
獣医学部(University Ghent, Belgium)倫理委員会の承認後、4頭のラマ(No. 208, 2
40
09, 230, 231と称する)を組換えヒトDll4(R&D Systems, Minneapolis, MN, US)を6回
の筋肉内注射(1週間間隔で100又は50μg/用量)により免疫する。Dll4抗原はStimune(C
edi Diagnostics BV, Lelystad, The Netherlands)で処方される。さらに別の3頭のラマ
(No. 127b, 260, 261と称する)を、標準的なプロトコルにしたがい、ヒトDll4及びマウ
スDll4過剰発現CHO細胞(上記のように樹立)を4回交互に皮下注射して免疫する。細胞は
D-PBSに再懸濁し、注射前に氷上で維持する。さらにまた、別の3頭のラマ(No. 282, 28
3, 284と称する)を、標準的なプロトコルにしたがい、組換えヒトDll4及びマウスDll4(
R&D Systems, Minneapolis, MN, US)を4回交互に筋肉内注射(2週間間隔で100又は50μg
/用量)して免疫する。ヒトDll4による0日目の第1回の注射はフロイントの完全アジュバ
ント(Difco, Detroit, MI, USA)で処方し、一方その後のヒト及びマウスDll4による注
50
(39)
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射はフロイントの不完全アジュバント(Difco, Detroit, MI, USA)で処方される。
1.2 ラマで誘導された免疫応答の評価
ヒトDll4に対する免疫応答の動物での誘発をELISAにより評価するために、ラマ208、20
9、230及び231から0日目(免疫前)、21日目及び43日目(末梢血リンパ球(PBL)収集時
)に、ラマ127b、260及び261から0日目及び51日目に、さらにラマ282、283及び284から0
日目、28日目及び50日目に血清を収集する。略記すれば、2μg/mLの組換えヒトDll4又は
マウスDll4(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)を4℃で一晩96ウェルのMaxiSorpプレ
ート(Nunc, Wiesbaden, Germany)に固定する。ウェルをカゼイン溶液(1%)でブロッ
クする。血清希釈物を添加した後、特異的に結合する免疫グロブリンを、セイヨウワサビ
ペルオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ラマ免疫グロブリン(Bethyl Laboratories Inc., M
10
ontgomery, TX, USA)及びそれに続く基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)
(Pierce, Rockford, IL, USA)の存在下での酵素反応を用いて検出する(前記酵素反応
はDll4に対する有意な抗体依存免疫反応が誘発されることを示す)。特異的に結合する免
疫グロブリンは、通常のラマIgG1抗体又は重鎖専一ラマIgG2若しくはIgG3抗体を特異的に
認識する抗体により検出できるので、抗体応答は、通常の抗体及び重鎖専一抗体発現B細
胞レパートリーの両方によって上昇する(表2-A)。マウスDll4を注射された全てのラマ
で、抗体応答は、通常抗体及び重鎖専一抗体発現B細胞によってマウスDll4に対して特異
的に上昇する。さらにまた、ヒト及びマウスDll4過剰発現HEK293細胞でのFACS解析により
、細胞免疫動物の血清力価が確認される(表2-B)。各ラマのDll4血清力価応答は表2に示
されている。
【0082】
表2.Dll4に対する抗体媒介特異的血清応答
A)ELISA(組換えタンパク質固相被覆)
20
(40)
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【表2−A】
10
20
30
【0083】
表2.Dll4に対する抗体媒介特異的血清応答
B)FACS(HEK293細胞の本来の発現タンパク質)
(41)
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【表2−B】
10
20
30
【実施例2】
【0084】
重鎖のみの抗Dll4抗体フラグメントレパートリーのクローニング及びファージの調製
最後の免疫原注射に続いて、重鎖抗体を産生するB細胞の供給源として免疫組織を免疫
ラマから収集する。典型的には、2つの150mL血液サンプル(最後の抗原注射から4日後及
び8日後に収集)、及び1つのリンパ節生検材料(最後の抗原注射から4日後に収集)を各
動物につき収集する。前記血液サンプルから、Ficoll-Hypaque(Amersham Biosciences,
Piscataway, NJ, USA)を製造業者の指示に従って用いて末梢血単核球(PBMC)を調製す
る。PBMC及びリンパ節生検材料から全RNAを抽出し、前記をRT-PCRのための出発材料とし
て用い、WO 05/044858に記載されているようにVHHコードDNAセグメントを増幅する。各免
40
疫ラマについて、当該動物の全収集免疫組織から単離した全RNAをプールすることによっ
てライブラリーを構築する。略記すれば、VHHライブラリーのファージディスプレーを促
進するように設計したベクターで、PCR増幅VHHレパートリーを特定の制限部位を介してク
ローニングする。前記ベクターはpUC119に由来し、LacZプロモーター、M13ファージgIII
タンパク質コード配列、アンピシリン又はカルベニシリン耐性遺伝子、マルチクローニン
グ部位及びハイブリッドgIII-pelBリーダー配列を含んでいる(pAX050)。VHHコード配列
に関してインフレームで、前記ベクターはC末端c-mycタグ及びHis6タグをコードする。標
準的プロトコルにしたがってファージを調製し、ろ過滅菌後4℃で更なる使用のために保
存する。
【実施例3】
50
(42)
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【0085】
Dll4特異的VHHのファージディスプレーによる選別
全てのラマから入手しファージライブラリーとしてクローニングしたVHHレパートリー
を、複数の選別条件を適用しながら種々の選別手段で用いる。可変事項には以下が含まれ
る:i)Dll4タンパク質フォーマット(ヒトDll4(Met1-Pro524)及びマウスDll4(Met1-P
ro525)のC末端Hisタグ付加組換え発現細胞外ドメイン(R&D Systems, Minneapolis, MN,
USA)、又はDll4過剰発現CHO又はHEK293細胞上に存在する完全長ヒトDll4及びマウスDll
4)、ii)抗原提示方法(Dll4で直接被覆したプレート又はビオチンタグを介してDll4で
被覆したニュートラビジン(Neutravidin)プレート;液相:溶液中でのインキュベーシ
ョン後にニュートラビジン被覆プレート上で捕捉)、iii)抗原濃度、及びiv)種々の溶
10
出方法(トリプシンによる非特異的方法又は同族レセプターNotch1/Fcキメラ若しくは抗D
ll4 IgG/Fabによる特異的方法)。全ての選別をMaxisorp 96-ウェルプレート(Nunc, Wie
sbaden, Germany)で実施する。
選別は以下のように実施する:固相及び液相選別様式のためのDll4抗原調製物を多数の
濃度で上記のように提示する。2時間ファージライブラリーとインキュベートし、続いて
十分に洗浄した後、結合ファージをトリプシン(1mg/mL)で30分間溶出させる。ファージ
溶出にトリプシンを用いる場合、0.8mMのプロテアーゼ阻害剤ABSFを適用してプロテアー
ゼ活性を直ちに中和する。コントロールとして抗原が存在しない選別を並行して実施する
。バックグラウンド(無抗原コントロール)を超える濃縮を示すファージアウトプットを
大腸菌感染に用いる。感染大腸菌は、次の選別ラウンド(ファージレスキュー)用ファー
20
ジの調製に用いるか、又は個々のVHHクローンの解析のために寒天プレート(LB+amp+グル
コース2%)にプレートする。選別アウトプットを特異的結合物についてスクリーニングす
るために、単一コロニーを寒天プレートから採取し、1mLの96-深底ウェルプレートで増殖
させる。グルコースの非存在下でIPTG(最終濃度0.1−1mM)を添加することによって、La
cZ制御VHH発現を誘発する。標準的プロトコルにしたがってペリプラズム抽出物(約80μL
の体積)を調製する。
【実施例4】
【0086】
Dll4-Notch1アルファスクリーン及びFMAT競合アッセイにおけるペリプラズム抽出物の
スクリーニング
30
ヒトDll4/ヒトNotch1アルファスクリーン(AlphaScreen)アッセイでペリプラズム抽出
物をスクリーニングし、発現されたVHHの遮断能力を評価する。ビオチン(Sigma, St Lou
is, MO, USA)及びビオチンアミドヘキサン酸3-スルホ-N-ヒドロキシスクシンイミドエス
テルナトリウム塩(Sigma, St Louis, MO, USA)を用いてヒトDll4をビオチン化する。No
tch1/Fcキメラ(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)を抗Fc VHH(製造業者(Perkin E
lmer, Waltham, MA, US)の指示にしたがいアクセプタービーズと連結されている)を用
いて捕捉する。VHHの中和能力を評価するために、ペリプラズム抽出物の一連の希釈物を
ビオチン化ヒトDll4とプレインキュベートする。この混合物に、アクセプタービーズ及び
ストレプトアビジンドナービーズを添加し、さらに1時間室温でインキュベートする。励
起波長680nmおよび発光波長520nmを用いエンビジョンマルチラベルプレートリーダー(En
40
vision Multilabel Plate reader, Perkin Elmer, Waltham, MA, USA)でプレートを読み
取り蛍光を測定する。蛍光シグナルの減少は、ビオチン化ヒトDll4とヒトNotch1/Fcレセ
プターとの結合がペリプラズマ抽出物中の発現VHHによって遮断されたことを示す。
また別には、CHO-hDll4及びCHO-mDll4細胞をヒトNotch1/Fc FMAT(微小体積蛍光測定ア
ッセイ技術(Fluorometric Microvolume Assay Technology))競合アッセイで用いる。
組換えヒトNotch1/Fcキメラ(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)をランダムにAlexa647(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)で標識する。略記すれば、5μLのペリプラズム材
料を100pM又は175pMの標識ヒトNotch1/Fcにそれぞれ7,500のCHO-hDll4又はCHO-mDll4過剰
発現細胞とともに添加し、2時間インキュベートした後で読み取りを実施する。無競合の
ベースラインを設定するために、ヒトNotch1/Fc-Alexa647を有する細胞の少なくとも30の
50
(43)
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複製物が含まれ、前記の基準線から阻害パーセンテージを算出する。全ての計算はFL1_全
シグナルを基準にする(前記はウェル当たりの蛍光の平均xウェル当たりのカウント数を
含む)。
このスクリーニングから阻害性VHHを選別し配列を決定する。配列の分析によって、異
なる40のB細胞系列に属する167の固有のVHHが明らかになった。各B細胞系列について見出
された変種の総数は表3に示されている。ペリプラズムのスクリーニングデータの大要は
表4に示されている。入手した全ての固有VHHの配列は、配列リスト(配列番号:167−322
及び459)及び表5(CDR及びフレームワーク領域が指示されている)に示されている。
【0087】
表3.DLL4特異的VHH B細胞系列の同定に使用される選別パラメーター
【表3】
10
20
30
40
(44)
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【0088】
(47)
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【表4】
10
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(48)
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【0089】
50
(49)
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【表5】
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30
40
【実施例5】
50
(63)
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【0090】
精製VHHの性状決定
実施例4で述べたスクリーニングから選別した阻害性抗Dll4 VHHをさらに精製し、性状
を決定する。選択したVHHを大腸菌TG1でc-myc、His6タグ付加タンパク質として発現させ
る。発現は1mMのIPTGの添加により誘発し、37℃で4時間持続させる。細胞培養の遠心分離
後、ペレットの凍結溶解によりペリプラズム抽出物を調製する。これらの抽出物を出発材
料として用い、VHHをIMAC及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により精製し、SDSPAGEで判定したとき純度95%が得られる。
5.1 ELISAによるDll4遮断VHHの評価
VHHの遮断能力をヒトDll4-ヒトNotch1/Fc遮断ELISAで評価する。略記すれば、1μg/mL
10
のヒトNotch1/Fcキメラ(R&D Systems, Minneapolis, MN, USA)で96ウェルのMaxiSorpプ
レート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を被覆する。15nMの固定濃度のビオチン化ヒトDll4
を一連のVHH希釈物と1時間プレインキュベートし、その後この混合物を被覆Notch1レセプ
ターとともにさらに1時間インキュベートする。ビオチン化ヒトDll4の残留結合をセイヨ
ウワサビペルオキシダーゼ(HRP)連結エキストラビジン(Sigma, St. Louis, MO, USA
)を用いて検出する(図3)。ヒトDll4は上記に記載したようにビオチン化する。ヒトDll
4-ヒトNotch1/Fc相互作用を遮断するVHHのIC50値は表6に示されている。
【0091】
表6.hDLL4/hNotch1-Fc競合ELISAでのVHHのIC50(nM)
【0092】
【表6】
20
30
5.2 アルファスクリーンによるDll4遮断VHHの評価
略記すれば、1nMのビオチン化ヒトDll4をストレプトアビジン被覆ドナービーズ(20μg
/mL)上で捕捉し、一方0.4nMのレセプターヒトNotch1(Fc融合タンパク質として)を抗ヒ
トFc VHH被覆アクセプタービーズ(20μg/mL)上で捕捉する。両ロードビーズを一連の希
釈の競合VHHとともにインキュベートする(図4)。ヒトDll4-ヒトNotch1/Fc相互作用を遮
断するVHHのIC50値は表7に示されている。
【0093】
表7.hDLL4/hNotch1競合アルファスクリーンでのVHHのIC50(nM)
40
(64)
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【表7】
10
(a)
部分的阻害
20
【0094】
5.3 CHO細胞で発現されたヒト又はマウスDll4とヒトNotch1/Fcとの結合の抗Dll4 VHHに
よる阻害
VHHの遮断能力を、実施例4で概略したようにヒト及びマウスDll4-ヒトNotch1/Fc競合FM
ATアッセイで評価する(図5)。CHO細胞発現ヒト又はマウスDll4とヒトNotch1/Fcとの相
互作用を遮断するVHHのIC50値は表8に示されている。
【0095】
表8.CHO細胞で発現されたヒト又はマウスDLL4とヒトNotch1/Fcとの相互作用を遮断する
精製VHHの(平均)IC50値(nM)
【表8】
30
40
【0096】
5.4 レポーターアッセイによるDll4遮断VHHの評価
50
(65)
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選択したVHHの能力を評価するために、レポーターアッセイをセットする。前記アッセ
イは、Dll4による刺激時のNotch1のγ-セクレターゼ媒介切断及びNotch1の細胞内ドメイ
ン(NICD)の遊離に基づく。Notch1-GAL4/VP16構築物をpGL4.31[Luc2P/Gal4UAS/Hygro]レ
ポータープラスミドとともにHEK細胞に同時トランスフェクトして、融合タンパク質の一
過性発現を得る。これらの一過性にトランスフェクトした細胞をHEK293-hDll4安定的細胞
株とともに同時培養することによって24時間刺激する。トランスフェクションから48時間
後に読み取りを実施する。同時培養の開始前にVHHを1時間HEK293-hDll4細胞とプレインキ
ュベートし、さらに同時培養中にもVHHを加える(図6)。Notch1のDll4媒介切断及びその
後のNICDのレセプター細胞の核への移転を遮断するVHHのIC50値は表9に示されている。
【0097】
10
表9.DLL4/Notch1レポーターアッセイでの精製抗Dll4 VHHの(平均)IC50値(nM)
【表9】
20
【0098】
5.5 エピトープビンニング
例えばベンチマーク抗体が結合するときにVHHが同時にDll4に結合できるか否かを決定
するために、エピトープビンニング実験を実施する(Biacore T100装置を用いた表面プラ
ズモン共鳴(SPR)による)。抗Dll4 FabフラグメントをCM5センサーチップの参照及び活
動フロー細胞に不可逆的に固定する。各サンプル(周期)に対して、ヒトDll4を活動及び
参照フロー細胞に注入し、抗Dll4 Fabによって可逆的に捕捉する。VHHの追加結合を固定
表面に注入することによって評価する。全てのVHH及び抗Dll4 Fabは、表面接触時間120秒
30
、流速10μL/分により100nMで注入される。表面は10mMグリシン(pH1.5)を用いて再生す
る。処理曲線はBiacore T100評価ソフトにより評価する。表10-Aは分析したVHH及びコン
トロールの連続注入/再生軌道を示す。VHH DLLBII56A09(配列番号:300)、DLLBII96C0
3(配列番号:326)、DLLBII101G08(配列番号:197)及びDLLBII115A05(配列番号:224
)は、Dll4 Fabによって捕捉されたヒトDll4とは追加の結合を示さない。Dll4 Fabの注入
もまたヒトDll4との追加の結合をもたらさず、全てのエピトープが飽和されていることを
示す。したがって、これらのVHHは、ヒトDll4と結合するDll4 Fabとオーバーラップする
エピトープを認識すると結論することができる。ヒト専一VHH DLLBII6B11(配列番号:17
4)およびDLLBII104G01(配列番号:215)は、Dll4 Fab捕捉ヒトDll4と追加の結合を示し
、ヒトDll4に特異的なこれらのVHHは、ヒト/マウス交差反応性VHHとは異なるエピトープ
を認識することを示唆する。
【0099】
表10−A. 抗DLL4 VHHのエピトープビンニング−DLL4 Fabによる同時結合
40
(66)
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【表10−A】
10
【0100】
20
5.6 Dll4欠失変異体によるエピトープマッピング
これらのDll4変異体とVHHとの結合をBiacoreで評価する。略記すれば、VHH DLLBII101G
08(配列番号:197)及びDLLBII115A5(配列番号:224)でCM4センサーチップを被覆し、
200nMの各欠失変異体をチップに注入する。結合を定量的に判定する。ヒト及びマウスDll
4変異体hDll4.1及びmDll4.8(それぞれEGF様2ドメインを欠く)とDLLBII56A09(配列番号
:300)、DLLBII101G 08(配列番号:197)及びDLLBII115A05(配列番号:224)との結合
は観察されない。hDll4/Dll4 IgG競合ELISAを用いた間接的証拠によれば前記の観察は既
に指摘されていた。略記すれば、1 μg/mLの Dll4 IgGで96ウェルのMaxiSorpプレート(N
unc, Wiesbaden, Germany)を被覆する。6nMの固定濃度のビオチン化ヒトDll4をVHHの一
連の希釈と1時間プレインキュベートし、その後、前記混合物を前記被覆IgG上でさらに1
時間インキュベートする。ビオチン化ヒトDll4の残留結合をセイヨウワサビペルオキシダ
ーゼ連結エキストラビジン(Sigma, St. Louis, MO, USA)を用いて検出する(データは
示されていない)。ヒトDll4は上記に記載したようにビオチン化する。モノクローナル抗
Dll4 IgG(Genentech, US 2008/0014196A1)はDll4のEGF様2ドメイン内のエピトープと
結合することは、特許文献から公知である。
【0101】
表10−B.抗DLL4 VHHのエピトープマッピング−DLL4欠失変異体との結合
30
(67)
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【表10−B】
10
【0102】
5.7 Dll4-VHH相互作用の親和性の決定
Dll4-VHH相互作用の親和性を決定するための動力学的解析をBiacore T100装置により表
面プラズモン共鳴(SPR)によって実施する。組換えヒトDll4をEDC及びNHSを用いてアミ
ンカップリングによってCM5チップに固定するか、又はビオチン化ヒトDll4をSAチップ(
20
ストレプトアビジン表面)上に捕捉する。精製VHH又はFabフラグメントを種々の濃度(10
から300nM)で2分間注入し、流速45μL/分で20分間解離させる。サンプル注入の合間に、
10mMグリシン(pH1.5)及び100mMのHClにより表面を再生させる。HBS-N(Hepes緩衝液、p
H7.4)を泳動緩衝液として用いる。可能な場合には、結合曲線に1:1相互作用モデル(La
ngmuir結合)を適合させることによってデータを評価する。得られた結合及び解離速度定
数(ka)及び(kd)から親和性定数KDを計算する。抗Dll4 VHHの親和性は表11に示されて
いる。
【0103】
表11.組換えヒトDLL4に対する精製VHHの親和性KD(nM)
【表11】
30
40
(a)
1:1適合を生じない不均質な結合
【0104】
5.8 オルトローグ(mDll4、cDll4)及びファミリーメンバー(hJagged-1,hDLL1)との
結合
マウスDll4との交差反応性を決定するために、結合ELISAを実施する。略記すれば、組
換えマウスDll4(R&D Systems, Minneapolis, MS, USA)で1μg/mL、4℃で96ウェルMaxiS
orpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を一晩被覆する。ウェルをカゼイン溶液(PBS
50
(68)
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で1%)ブロックする。連続希釈としてVHHを適用し、マウス抗myc(Roche)及び抗マウスA
P連結物(Sigma, St Louis, MO, USA)を用いて結合を検出する(図7)。参照として、ヒ
トDll4との結合を測定する。EC50値は表12に要約されている。
【0105】
表12.組換えヒトDLL4及びマウスDLL4結合ELISAでのVHHのEC50(nM)値
【表12】
10
20
【0106】
30
VHHのカニクイザル交差反応性を決定するために、FACS結合実験を実施する。カニクイ
ザルDll4発現HEK293細胞(一過性又は安定的トランスフェクション)をVHHの結合力価測
定実験に用いる。氷上で30分インキュベートした後、全てのサンプルを洗浄し、検出は抗
c-myc-Alexa647(Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CA, USA)を用いて実施する
。ヒト及びマウスDll4過剰発現HEK293細胞を参照として用いる。平均MCF値をFACSアレイ
で決定し、EC50値の計算に用いる(図9参照)。
相同リガンドヒトDLL1及びヒトJagged-1との結合が存在しないことを固相結合アッセイ
(ELISA)で判定する。略記すれば、ヒトDLL1(Alexis, San Diego, CA, USA)及びヒト
Jagged-1(Alexis, San Diego, CA, USA)で1μg/mL、4℃で96ウェルのMaxiSorpプレート
(Nunc, Wiesbaden, Germany)を一晩被覆する。ウェルをカゼイン溶液(PBSで1%)でブ
40
ロックする。連続希釈としてVHHを適用し、マウス抗myc(Roche)及び抗マウスAP連結物
(Sigma, St Louis, MO, USA)を用いて結合を検出する。全ての抗Dll4 VHHがこれらの相
同リガンドに対して交差反応性無しと考えられる(図8)。
【0107】
5.9 Dll4媒介HUVEC分裂の阻止におけるVHHの評価
選択したVHHの能力をRidgwayらが記載した分裂アッセイの改変型で評価する(Ridgway
et al., Nature. 2006 Dec 21;444(7122):1083-7)。略記すれば、96ウェルの組織培養プ
レートを精製Dll4-His(RnD Systems;C末端Hisタグ付加ヒトDll4、アミノ酸27-524、0.7
5ml/ウェル、10 ng/ml)を用い被覆緩衝液(PBS、0.1%BSA)中で被覆する。ウェルをPBS
で洗浄した後、4000 HUVE細胞/ウェルで4組ずつ播種する。4日目に細胞分裂を[3H]-チミ
50
(69)
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ジンの取り込みによって測定する。図15に示したように、これらの結果は、DLL4 VHHのDL
LBII101G08、DLLBII104G01、DLLBII115A05、DLLBII56A09及びDLL4 Fabは、HUVEC分裂にお
けるDLL4依存作用を用量依存態様で阻害することを明示している。IC50値は表13に要約さ
れている。試験したVHHは、DLL4依存作用の完全な阻害を10μMで達成する。
【0108】
表13.DLL4分裂アッセイで得られたIC50値
【表13】
10
【実施例6】
【0109】
選択したVHHの親和性成熟
VHH DLLBII101G08及びDLLBII115A05を2サイクルの親和性成熟に付す。
第一のサイクルでは、アミノ酸置換が、変異性PCR方法を用いてフレームワーク(FW)
及び相補性決定領域(CDR)の両方にランダムに導入される。変異導入は、1ngのDLLBII10
20
1G08又はDLLBII115A05 cDNA鋳型を用い、その後に1ラウンド目の生成物の0.1ngを用いる
第二の変異性PCRが続く2ラウンドPCRによるアプローチ(Stratagene(La Jolla, CA, USA
)から入手されるGenemorph II ランダム変異導入キット)で実施される。精製工程の後
で、VHHライブラリーのファージディスプレーを促進するように設計したベクターに固有
の制限部位を介してPCR生成物を挿入する。ビオチン化組換えヒトDLL4(biot-rhDLL4)の
濃度下降及びトリプシン溶出を用いて溶液中での連続選別ラウンドを実施する。コールド
のrhDLL4(biot-rhDLL4よりも少なくとも100x過剰)を用いる第3ラウンドの親和性駆動
選別もまた実施する。ネズミDLL4での選別は、交差反応性(の保存)はスクリーニングレ
ベルで評価されるので組み入れない。個々の変異体は、pUC119由来の発現ベクター(pAX5
0)を用いて組換えタンパク質として生成される(前記ベクターはLacZプロモーター、ア
30
ンピシリン耐性遺伝子、マルチクローニング部位及びompAリーダー配列を含む)。大腸菌
TG1細胞を前記発現ベクターライブラリーで形質転換し、寒天プレート(LB+Amp+2%グ
ルコース)にプレートする。寒天プレートから単一コロニーを採取し、1mL 96深底ウェル
プレートで増殖させる。VHH発現をIPTG(1mM)の添加により誘発する。標準的方法にした
がってペリプラズム抽出物(体積約80μL)を調製し、ProteOn(BioRad, Hercules, CA,
USA)オフレートアッセイで組換えヒト及びマウスDll4との結合についてスクリーニング
する。略記すれば、GLC ProteOnセンサーチップの“リガンドチャネル”L2及びL4を組み
換えヒトDll4で被覆し(L1/L3は参照チャネル)、一方、“リガンドチャネル”L3及びL6
はマウスDll4で被覆する。親和性成熟クローンのペリプラズム抽出物を1/10に希釈し、“
分析物チャネル”A1−A6に注入する。プレートに存在する野生型クローンの平均オフレー
40
トを計算し、オフレート改善の計算の参照として供する。
第二のサイクルでは、サイクル1で認定した感受性を有する位置を同時任意抽出するこ
とによってコンビナトリアルライブラリーを作製する。このために、完全長DLLBII101G8
またはDLLBII115A05 cDNAを、前記同時任意抽出位置において縮退オリゴヌクレオチド(N
NS)を用いるオーバーラップPCRによって合成し、さらにレスキューPCRを実施する。コン
ビナトリアルライブラリーの作製のために用いたプライマーのリストは表14及び配列番号
:427から457で見出すことができる。上記(実施例2)に記載したように特異的制限部位
を用いて、前記任意抽出VHH遺伝子をファージディスプレーベクター(pAX50)に挿入する
。個々のVHHクローンのペリプラズム抽出物の調製は以前に記載したように実施する。
【0110】
50
(70)
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表14.オリゴヌクレオチド親和性成熟ライブラリー
【表14】
10
20
30
40
50
(71)
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【0111】
ProteOnオフレートアッセイでの組換えヒトDll4との結合についてのスクリーニングに
よって、38倍まで(DLLBII101G08)及び11倍まで(DLLBII115A05)オフレートが改善され
たクローンが同定された(表15)。
【0112】
表15.DLLBII101G08及びDLLBII115A05親和性成熟クローンのオフレートスクリーニング
【表15】
10
20
30
【0113】
最上位DLLBII101G08変種及びDLLBII115A05変種をC末端c-mycタグおよび(His)6タグをイ
ンフレームで有する発現ベクターpAX100においてクローニングする。組換えマウスDll4に
おけるオフレートもまた改善される。大腸菌でVHHをHis6タグ付きタンパク質として生成
し、IMAC及びSECで精製する。配列は表16-A(LLBII101G08)及び16-B(DLLBII11A05)に
それぞれ提示されている。
【0114】
(72)
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【表16−A】
10
20
30
40
50
(73)
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10
20
30
40
【0115】
50
(74)
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【表16−B】
10
20
30
40
50
(75)
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10
20
30
40
【実施例7】
50
(76)
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【0116】
精製した親和性成熟抗Dll4 VHHの性状決定
親和性成熟VHH DLLBII101G08及びDLLBII115A05変種を上記(実施例6)に記載したよう
に発現させ精製する。rhDLL1/rhJAG1結合ELISA及びhDll4/mDll4/ cynoDll4 FACS(実施例
5.8;表20;図12及び13)、rhDll4-rhNotch1競合ELISA (実施例5.1;表17;図10)、競
合rhNotch1-CHO-hDll4 FMAT(実施例5.3;表18;図11)でVHHの性状を決定する。
性状決定のデータは表21に要約されている。全般的に、親和性成熟VHHは親和性及び効
力に置いて明瞭な改善を示し、一方、それらとmDll4及びcynoDll4との結合は維持され、h
DLL1又はhJAG1との結合は観察されない。
【0117】
10
表17.hDLL4/hNotch1-Fc競合ELISAでの親和性成熟VHHのIC50値(nM)
【表17】
20
30
【0118】
表18.ヒトNotch1/FcとCHO細胞発現ヒト又はマウスDLL4との相互作用を阻止する精製親
和性成熟VHHのIC50値(nM)
【表18】
40
50
(77)
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10
【0119】
表19.組換えヒトDLL4及びマウスDLL4に対する精製親和性成熟VHHの親和性KD(nM)
【表19】
20
30
40
【0120】
表20.CHO-hDLL4、CHO-mDLL4及びCHO-cDLL4との結合に対する親和性成熟VHHのEC50値(
nM)(FACS)
(78)
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【表20】
10
20
【0121】
(79)
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【表21】
10
20
30
40
【実施例8】
【0122】
半減期の延長に抗-血清アルブミン結合を利用するDLL4及びAng2を標的とする二重特異
50
(80)
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性VHHの構築、製造及び性状決定
第一のサイクルで、抗DLL4 VHH DLLBII00018(US2011/0172398A1)並びにサイクル1最
適化抗Ang2 VHH 00042(配列番号:482)、00045(配列番号:484)及び00050(配列番号
:483)を構築ブロックとして用いて二重特異性VHH DLLANGBII00001−00016を作製する。
半減期延長方法論として、血清アルブミン結合VHHとの遺伝子融合を用いる。結合ブロッ
クを9Gly-Ser可撓性リンカーを介して連結する。実施例5に記載するようにVHHを製造しさ
らに精製する。全ての二重特異性VHHのフォーマット及び配列の大要は、図16及び表22-A
(下線はリンカー配列を示す)、配列番号:460−475に示される。発現レベルは表22-Bに
示される。
【0123】
【表22−A】
10
20
30
40
(81)
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10
20
30
40
(82)
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10
20
30
40
(83)
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10
【0124】
(84)
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【表22−B】
10
20
30
40
【0125】
50
(85)
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一価の構築ブロックDLLBII00018に匹敵する抗DLL4阻止特性を探索するために、全ての
精製二重特異性VHHを、hDLL4/hNotch1競合ELISA(米国特許2011/0172398A1に記載の通り
の実施例5.1を参照)(図17)及びCHO-hDLL4/CHO-mDLL4競合FMAT(米国特許2011/0172398
A1に記載の通りの実施例5.3を参照)(図18)で分析する。ELISA競合アッセイは8nMの固
定濃度のビオチン化hDLL4を用いて実施する。ELISA及びFMATの両競合アッセイはまた、VH
Hをそれぞれ12.5μM及び25μMのヒト血清アルブミンとプレインキュベートした後で実施
される。IC50値及び%阻害の要旨は表23に示される。
【0126】
(86)
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【表23】
10
20
30
40
(87)
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10
【0127】
さらにまた、二重特異性VHHとネズミ及びカニクイザルDLL4との交差反応性を決定する
20
ために、FACS結合実験を実施する。簡単に記せば、マウス及びカニクイザルDLL4を過剰発
現するCHO細胞をVHHの結合力価測定実験に利用する。氷上で30分インキュベートした後、
全てのサンプルを洗浄し、抗c-mycの後にPE標識ヤギ抗マウスIgGを用いる二工程検出を実
施する。ヒトDLL4を過剰発現するCHO細胞を参照として用いる。FACSアレイを用いて平均M
CF値を決定し、EC50値の計算に利用する(表24;図19)。
【0128】
表24.CHO細胞で過剰発現させたヒト、マウス及びカニクイザルDLL4と結合する二重特
異性VHHのEC50値(FACS)
【表24】
30
40
マウスDLL4及びラットDLL4との交差反応性を決定するために、結合ELISAを実施する。
簡単に記せば、組換えマウスDLL4(R&D Systems, Minneapolis, MI, USA)及びラットDLL
496で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を一晩4℃で被覆する。
1%カゼイン溶液でウェルをブロックする。VHHを連続希釈として適用し、結合は、ビオチ
ン化抗VHH 1A4とその後に続くエキストラビジン-HRPによって検出される。1A4は抗-VHH V
HHである(当研究所でAblynx NVによって作製)。参照として、ヒトDLL4との結合を測定
する。EC50値は表25及び図20に要約される。
【0129】
50
(88)
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表25.ヒト、マウス及びラットDLL4と結合する二重特異性VHHのEC50値(ELISA)
【表25】
10
相同なヒトリガンドDLL1及びJagged-1との結合が存在しないことは固相結合アッセイ(
ELISA)により判定される。簡単に記せば、1μg/mLの組換えヒトDLL1(Alexis, San Die
go, CA, USA)又は組換えヒトJagged-1(Alexis, San Diego, CA, USA)で96ウェルのMax
iSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を一晩4℃で被覆する。1%カゼイン溶液で
ウェルをブロックする。VHHを連続希釈として適用し、結合は、ビオチン化抗VHH 1A4とそ
の後に続くエキストラビジン-HRPによって検出される。全ての二重特異性VHHがこれらの
相同なリガンドと交差反応しないと考えられる。結果は図21に示す。
一価の抗Ang2構築ブロック00042、00045及び00050に匹敵する抗Ang2阻止特性を探索す
るために、全ての精製二重特異性VHHを、ヒトAng2/hTie2-Fc(図22-1)、マウスAng2/mTi
e2(図22-2)及びcynoAng2/cTie2(図22-3)競合ELISAで分析する。このアッセイはまた
、VHHと0.5μMのヒト血清アルブミンとのインキュベーション後に実施される。IC50値及
び%阻害値の要旨は表26に示される。
【0130】
20
(89)
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【表26】
10
20
30
40
(90)
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10
【0131】
ヒト血清アルブミンに対するある種のDLL4-Ang2二重特異性VHHの親和性を決定し(実施
例5参照)、表27に示す。親和性定数KDは、得られた結合及び解離速度定数Ka及びKdから
20
計算される。
【0132】
【表27】
30
40
【0133】
第二のサイクルで、抗DLL4 VHH DLLBII00018(US2011/0172398A1)並びに最終配列最適
化抗Ang2 VHH 00921(配列番号:485)、00938(配列番号:486)及び00956(配列番号:
488)を構築ブロックとして用いて二重特異性VHH DLLANGBII00017−00019を作製する。半
減期延長方法論として、血清アルブミン結合VHHとの遺伝子融合を用いる。結合ブロック
を9Gly-Ser可撓性リンカーを介して連結する。全ての二重特異性VHHのフォーマット及び
50
(91)
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配列の大要は、図23及び表28(下線はリンカー配列を示す)、配列番号:476−478に示さ
れる。
【0134】
【表28】
10
20
30
【0135】
一価の構築ブロックDLLBII00018に匹敵する抗DLL4阻止特性を探索するために、全ての
精製二重特異性VHHを、hDLL4/hNotch1競合ELISA(米国特許2011/0172398A1に記載の通り
の実施例5.1を参照)(図24)及びCHO-hDLL4/CHO-mDLL4競合FMAT(米国特許2011/0172398
A1に記載の通りの実施例5.3を参照)(図25)、及びhDLL4媒介Notch1活性化(レポーター
遺伝子)アッセイ(米国特許2011/0172398A1に記載の通りの実施例5.4を参照)(図26)
で分析する。ELISA競合アッセイは8nMの固定濃度のビオチン化hDLL4を用いて実施する。E
LISA競合アッセイ、 FMAT競合アッセイ及びレポーター遺伝子アッセイはまた、VHHをそれ
ぞれ12.5μM 、25μM及び162μMのヒト血清アルブミンとプレインキュベートした後で実
施される。IC50値及び%阻害の要旨は表29に示される。
【0136】
40
(92)
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【表29】
10
20
30
40
【0137】
ヒトDLL4、マウスDLL4及びラットDLL4との結合はBiacoreで判定される。簡単に記せば
、二重特異性VHHの動力学的分析をバイアコアT100装置でSPRによって実施する。組換えヒ
トDLL4(R&D Systems, Minneapolis, MI, USA)及びマウスDLL4(R&D Systems, Minneapo
lis, MI, USA)をCM5チップにアミンカップリングを介して固定する。VHHをこれらの表面
に2.5から1800 nMの種々の濃度で注入する。サンプルを2分間注入し、流速45μL/分で20
分間解離させる。サンプル注入の合間に、10mMグリシン(pH1.5)の100秒パルスで表面を
再生させる。1:1相互作用モデル(Langmuir結合)を適合することによって結合/解離デ
50
(93)
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ータを評価する。得られた結合及び解離速度定数ka及びkdから親和性定数KDを計算する(
表30)。
【0138】
表30.ヒト及びマウスDLL4と結合する二重特異性VHHの結合動力学(Biacore)
【表30】
10
さらに、ネズミ及びカニクイザルDLL4に対する二重特異性VHHの交差反応性を決定する
ために、FACS結合実験を実施する。簡単に記せば、マウス及びカニクイザルDLL4を過剰発
現するCHO細胞をVHHの結合力価測定実験に用いる。氷上で30分インキュベートした後、全
てのサンプルを洗浄し、ビオチン化抗VHH 1A4とその後に続くPE標識ストレプトアビジン
を用いる二工程検出を実施する。参照として、ヒトDLL4を過剰発現するCHO細胞を利用す
る。平均MCF値はFACSアレイを用いて決定し、EC50値の計算に利用する(表31;図27)。
【0139】
表31.CHO細胞で過剰発現するヒト、マウス及びカニクイザルDLL4と結合する二重特異
20
性VHHのEC50値(FACS)
【表31】
30
マウスDLL4及びラットDLL4との交差反応性を決定するために、結合ELISAを実施する。
簡単に記せば、組換えマウスDLL4(R&D Systems, Minneapolis, MI, USA)及びラットDLL
496で96ウェルのMaxiSorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を一晩4℃で被覆する。
1%カゼイン溶液でウェルをブロックする。VHHを連続希釈として適用し、結合は、ビオチ
ン化抗VHH 1A4とその後に続くエキストラビジン-HRPによって検出される。参照として、
ヒトDLL4との結合を測定する。EC50値は表32及び図28に要約される。
【0140】
表32.ヒト、マウス及びラットDLL4と結合する二重特異性VHHのEC50値(ELISA)
【表32】
40
相同なヒトリガンドDLL1及びJagged-1との結合が存在しないことは固相結合アッセイ(
ELISA)により判定される。簡単に記せば、1μg/mLの組換えヒトDLL1(Alexis, San Dieg
o, CA, USA)又は組換えヒトJagged-1(Alexis, San Diego, CA, USA)で96ウェルのMaxi
Sorpプレート(Nunc, Wiesbaden, Germany)を一晩4℃で被覆する。1%カゼイン溶液でウ
ェルをブロックする。VHHを連続希釈として適用し、結合は、ビオチン化抗VHH 1A4とその
50
(94)
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後に続くエキストラビジン-HRPによって検出される。全ての二重特異性VHHがこれらの相
同なリガンドと交差反応しないと考えられる。結果は図29に示す。
最終配列最適化一価抗Ang2構築ブロック00921、00938及び00956に匹敵する抗Ang2阻止
特性を探索するために、全ての精製二重特異性VHHを、ヒトAng2/hTie2(図30-1)、マウ
スAng2/mTie2(図30-2)及びcynoAng2/cTie2(図30-3)、hAng1/hTie2(図31)競合ELISA
、及びhAng2媒介HUVEC生存アッセイ(図32)で分析する。IC50値及び%阻害値の要旨は表
33に示される。
【0141】
(95)
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【表33】
10
20
30
40
【0142】
50
(96)
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ヒト、マウス、カニクイザル及びラットAng2に対するDLLANGGBII00017、00018、00019
の親和性を測定し(実施例5参照)、表34に示す。
表34.組換えヒト、カニクイザル、マウス及びラットAng2に対する精製VHHの結合動力
学
【表34】
10
20
ヒト、マウス及びカニクイザル血清アルブミンに対するDLLANGGBII00017、00018、0001
9の親和性を測定し(実施例5)、表35に示す。得られた結合及び解離速度定数ka及びkdか
ら親和性定数KDを計算する
【0143】
表35.組換えヒト、マウス及びカニクイザル血清アルブミンに対する精製VHHの結合動
力学
【表35】
30
40
*適切に適合させ得ず
【0144】
50
(97)
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【表36】
10
20
30
40
(98)
【図1】
【図3−1】
【図3−2】
【図3−3】
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(99)
【図4−1】
【図4−2】
【図4−3】
【図4−4】
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(100)
【図4−5】
【図5−1】
【図5−2】
【図5−3】
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(101)
【図5−4】
【図5−5】
【図5−6】
【図5−7】
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(102)
【図5−8】
【図5−9】
【図5−10】
【図6−1】
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(103)
【図6−2】
【図6−3】
【図6−4】
【図7−1】
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(104)
【図7−2】
【図7−3】
【図7−4】
【図8−1】
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(105)
【図8−2】
【図8−3】
【図9−1】
【図9−2】
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(106)
【図9−3】
【図9−4】
【図10−1】
【図10−2】
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(107)
【図11−1】
【図11−2】
【図11−3】
【図11−4】
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(108)
【図12−1】
【図12−2】
【図12−3】
【図12−4】
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(109)
【図13−1】
【図13−2】
【図13−3】
【図13−4】
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(110)
【図14−1】
【図14−2】
【図14−3】
【図14−4】
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(111)
【図14−5】
【図14−6】
【図15】
【図17A】
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(112)
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図17E】
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(113)
【図17F】
【図17G】
【図17H】
【図17I】
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(114)
【図17J】
【図17K】
【図17L】
【図17M】
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(115)
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【図18−1A−1】
【図18−1A−2】
【図18−1B−1】
【図18−1B−2】
(116)
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【図18−2A−1】
【図18−2A−2】
【図18−2B−1】
【図18−2B−2】
(117)
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【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A−1】
(118)
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【図20A−2】
【図20B−1】
【図20B−2】
【図20C−1】
(119)
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【図20C−2】
【図21A−1】
【図21A−2】
【図21B−1】
(120)
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【図21B−2】
【図22−1A−1】
【図22−1A−2】
【図22−1B−1】
(121)
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【図22−1B−2】
【図22−1C−1】
【図22−1C−2】
【図22−1D】
(122)
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【図22−2A】
【図22−2B】
【図22−2C】
【図22−2D】
(123)
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【図22−3A】
【図22−3B】
【図22−3C】
【図22−3D】
(124)
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【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図25−1A−1】
(125)
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【図25−1A−2】
【図25−1B−1】
【図25−1B−2】
【図25−1C−1】
(126)
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【図25−1C−2】
【図25−2A−1】
【図25−2A−2】
【図25−2B−1】
(127)
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【図25−2B−2】
【図25−2C−1】
【図25−2C−2】
【図26A−1】
(128)
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【図26A−2】
【図26B−1】
【図26B−2】
【図26C−1】
(129)
【図26C−2】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
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【図28A】
【図28B】
【図28C】
【図29A】
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【図29B】
【図30−1A】
【図30−1B】
【図30−1C】
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【図30−2A】
【図30−2B】
【図30−2C】
【図30−3A】
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【図30−3B】
【図30−3C】
【図31A】
【図31B】
(134)
【図31C】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
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【図2】
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【図16−1】
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【図16−2】
【図23】
【配列表】
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【国際調査報告】
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(51)Int.Cl.
C12N
FI
テーマコード(参考)
5/10
(2006.01)
C12N
5/00
101 A61K 38/00
(2006.01)
A61K 37/02
A61P 35/00
(2006.01)
A61P 35/00
A61P 27/02
(2006.01)
A61P 27/02
(81)指定国 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,T
J,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,R
10
O,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,
BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,H
U,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI
,NO,NZ,OM,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,
UZ,VC,VN
(74)代理人 100119013
弁理士 山崎 一夫
(74)代理人 100123777
弁理士 市川 さつき
20
(74)代理人 100111501
弁理士 滝澤 敏雄
(72)発明者 グシュウィンド アンドレアス
ドイツ連邦共和国 55216 インゲルハイム アム ライン ビンガー シュトラーセ 17
3 ベーリンガー インゲルハイム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング コーポレート パテンツ内
(72)発明者 オット ルネ ゲオルク
ドイツ連邦共和国 55216 インゲルハイム アム ライン ビンガー シュトラーセ 17
3 ベーリンガー インゲルハイム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング コーポレート パテンツ内
30
(72)発明者 ブクノー ヨアヒム
ベルギー ベー9840 デ ピンテ サルヴィアパルク 1 ビュス 1
(72)発明者 ビュイセ マリー アンジェ
ベルギー ベー9820 メレルベーケ ブルグ エー ロンセストラート 23
(72)発明者 デプラ エリク
ベルギー ベー9070 デステルベルゲン ブルグストラート 58
Fターム(参考) 4B024 AA01 CA04 CA20 DA02 EA04 GA11
4B065 AA26X AA90X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA25 CA44
4C084 AA01 AA02 AA07 BA02 BA41 DA37 DA39 NA14 ZA332 ZB262
4H045 AA11 AA30 BA10 DA76 EA20 FA74
40
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