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報 告 書 - 高校生のための日本の次世代リーダー養成塾

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報 告 書 - 高校生のための日本の次世代リーダー養成塾
第8回
日本の次世代リーダー養成塾
報
告
書
【開催日程】
2011年7月28日∼8月10日
2011年12月
0
目
次
ページ
1.第8回日本の次世代リーダー養成塾を開催して・・
1
2.開催概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
3.カリキュラム表・・・・・・・・・・・・・・・・
3
4.講師・講義内容一覧・・・・・・・・・・・・・・・
4
5.講義概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8
6.塾期間における成果や今後の課題・・・・・・・・
23
7 . ハ イ ス ク ー ル 国 会 に つ い て ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 43
【資料】
1 . 塾 期 間 中 の 塾 生 ア ン ケ ー ト 調 査 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 63
2 . 塾 生 ア ン ケ ー ト 「 現 時 点 の 国 家 的 課 題 」・ ・ ・ ・ ・ ・ 6 9
3 . 塾 生 の 生 活 実 態 調 査 結 果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 75
4 . 卒 塾 後 の 塾 生 ・ 保 護 者 ア ン ケ ー ト 調 査 結 果 ・ ・ ・ ・ 79
5 . 塾 生 概 要 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 83
6 . 塾 生 高 校 一 覧 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 84
7 . ク ラ ス 担 任 ・ 学 生 リ ー ダ ー 及 び ス タ ッ フ 名 簿 ・ ・ ・ 85
8 . ご 協 賛 い た だ い た 皆 様 と ご 協 力 い た だ い た 皆 様 ・ ・ 87
1
1.第8回日本の次世代リーダー養成塾を開催して
3月11日、東北地方太平洋沖を震源とする巨大地震に見舞われました。ここで改めて犠牲になら
れた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
ちょうど地震に見舞われた日、事務局は翌週に予定していた卒塾生対象のクウェート・アラブ首長
国連邦スタディツアーの準備をしていました。延々と続く地震に恐怖を覚え、テレビをつけると次々
に田畑や建物が津波に飲み込まれていく映像に言葉を発することさえできませんでした。卒塾生や家
族は大丈夫だろうか。生きていてほしいと切に手を合わせました。
地震直後には原発事故も発生し、今年のリーダー塾は開催できるのだろうかと不安を抱きました。
しかし、協賛企業を回ると「かつてない危機に直面しているからこそ次世代の育成が必要ではないか」
と暖かい励ましをいただきました。地震の翌週末にはJR博多駅前で卒塾生が街頭募金をしました。
リーダー塾らしい支援の仕方はないだろうか。開催地である宗像市から補助金をいただけることとな
り、被災地特別枠を設け岩手県から10名、宮城県から1名を招待することができました。
今年のリーダー塾では、従来の講師に加え、震災支援に携わった方々にも講師をお願いしました。
震災後の日本をどう立て直していくのかを考える機会ととらえ、今年で3回目となる「ハイスクール
国会」を復興会議と銘打って、高校生による「ニッポン復興計画」を策定することとしました。事前
の課題で塾生が住む自治体でどのような震災支援をしたかを調べさせました。最初4党から始まり、
塾半ばで分裂も経験し7党となり、選挙で総理大臣を選び、最終的には与野党が協力してエネルギー、
教育、経済、外交、防衛、財政など分野ごとの復興計画を一つにまとめ上げることができました。
今年で、卒塾生は、1320名となりました。就職難の時代が続いていますが、事務局には念願か
なって就職先を決めた卒塾生たちから嬉しい報告が次々に届いています。9月に岐阜県が主催した8
期生の報告会に1期の田口直樹さんが卒塾生の代表として懐かしい顔を見せてくれました。田口さん
は、講師を務めていただき当時、一橋大学大学院国際企業戦略研究科長だった竹内弘高先生(現在、
ハーバード大学経営大学院教授)の講義に感銘を受け、どうしても一橋大学に入学したいと毎日14
時間勉強して合格。その後「グローバルな場で日本の凄さを発信したい。それには、優秀な人材と切
磋琢磨できる会社で働きたい」と念願の三菱商事に入社しました。後輩たちに「リーダー塾はグロー
バルで活躍する憧れを与えてくれました」と熱く語ってくれました。
夢を限りなく持ち、それを確実に実現していく次世代を育成していくのがリーダー塾の役割です。
閉塞感漂う時代だからこそ、若い人たちには限りなく可能性を信じて生き抜いてほしい。講師の方々
から「若いうちに留学をして、外から日本を見て日本の将来を背負って立ってほしい」というメッセ
ージをこれほどまでに多くいただいた年はありません。ほとんどの塾生が作文で留学したいと書いて
いました。是非世界に雄飛し、日本のため、世界のために貢献してほしいと思います。
来春には今年延期となったクウェートと日本の外交樹立50周年記念事業であるクウェート大学と
の学生交流をするためスタディツアーに参ります。卒塾生への教育にもこれまで以上に力を入れてい
きたいと思います。震災後の厳しい環境下で今年もリーダー塾を終えることができたのは、各地方自
治体、協賛企業、講師の皆様、各関係施設や個人として応援していただいたすべての皆様のおかげで
す。本当にありがとうございました。今後ともご指導のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
日本の次世代リーダー養成塾事務局長・加藤暁子
-1-
2.第 8 回 日 本 の 次 世 代 リ ー ダ ー 養 成 塾 開 催 概 要
1.
主催者
日本の次世代リーダー養成塾
塾長:米倉弘昌/社団法人日本経済団体連合会会長
2.
開催日程
2011年7月28日(木)∼8月10日(水)
3.
開催・宿泊施設
グローバルアリーナ(福岡県宗像市吉留46−1)
波戸岬少年自然の家=8月5日、6日宿泊
(佐賀県唐津市鎮西町名護屋5581−1)
4.
塾生
対象:高校生(1年生∼3年生)
25都道府県、及び海外3ヶ国(アメリカ・カナダ・オーストラリア)
人数:165名
※参画県(北海道・青森県・神奈川県・静岡県・岐阜県・和歌山県・
福岡県・佐賀県)による推薦枠99名、全国からの一般公募枠55名及び
東日本大震災における被災地特別枠11名
5.
カリキュラム概要
① 各界を代表する講師陣による講義
教養系 (哲学、近現代経済・文明史、医学、科学、芸術など)
日本を代表する講師が高校生に知的好奇心を湧かせる講義をします。
ビジネス系 (日本企業の強みと弱み、ビジネスのしくみなど)
世界を相手に日夜活躍するビジネスの最先端の方々から、日本の企業の強みや弱み、ひいて
は日本の国のあり方を伝えます。
国際系 (国際問題や外交、国連やNGO活動への理解)
広く世界に目を向け、日本人としてのアイデンティティを持ち、国際舞台で活躍できる力を
つけます。
人間学 (将来の夢をどう具現化するか、リーダーとしての生き方など)
人生の先達が21世紀の日本を背負って立つ人材に必要なことは何かを語ります。
②講義後のディスカッション
講義終了後に、クラス担任の指導のもと、1クラス約20名によるグループディスカッショ
ンを行います。クラス担任は、日本を代表する企業の中堅社員が務めます。
③プロジェクト型企画「ハイスクール国会」
日本を担う若き高校生たちが、2週間を通して日本の将来の姿を真剣に議論し、政策を提言
する「ハイスクール国会」を開催します。今年は東日本大震災を踏まえ、復興会議を開き、高
校生による「ニッポン復興計画」を策定します。
④博物館などの見学
講義やハイスクール国会に関連するテーマの博物館や施設の見学をします。佐賀県立名護屋
城博物館では、貴重な資料や遺産から日本と朝鮮半島間の歴史を学びます。九州電力の玄海原
子力発電所では、見学を通して日本や世界のエネルギーの現状について知識を深め、未来のエ
ネルギーのあり方を考えます。
-2-
-3-
朝食・掃除
朝食・掃除
掃除
確認
8/8
(月)
8/9
(火)
8/10
(水)
12
13
14
6:00
朝食・掃除
(30分
交代)
朝
の
つ
ど
い
8/7 佐
(日) 賀
11
7:00
8:00
朝食
朝食
(30分
交代)
朝
の
つ
ど
い
8/6 佐
(土) 賀
10
掃除
移動・朝食
8/5 佐
(金) 賀
9
書
禅
朝食・掃除
8/2
(火)
6
8/4
(木)
朝食・掃除
8/1
(月)
5
8
朝食・掃除
7/31
(日)
4
朝食・掃除
朝食・掃除
7/30
(土)
3
8/3
(水)
朝食・掃除
7/29
(金)
2
8:00
7
朝食・掃除
7/28
(木)
7:00
1
6:00
日程
日目
10:00
山下 泰裕
九州旅客鉄道株式会社
代表取締役会長
石原 進
元国連事務次長
明石 康
中村ブレイス株式会社
代表取締役社長
中村 俊郎
慶應義塾大学大学院
メディアデザイン
研究科教授
石倉 洋子
9:00
古川 康
10:00
卒塾式
ハイスクール国会
国際日本文化研究
センター教授
金澤 一郎
作家
福岡県知事
小川 洋
ディス
カッション
グループ・
ディスカッ
ション
グループ・
ディスカッション
松尾 新吾
11:00
12:00
13:00
昼食
昼食
多田 克彦
笠谷 和比古
前全国知事会会長
麻生 渡
室伏 きみ子
李 鳳宇
荷物移
動
14:00
ハイスクール国会
静岡県知事
川勝 平太
グローバルアリーナへ移動
映画プロデューサー
入
所
式
宗教学者
山折 哲雄
15:00
日本画家
千住 博
HR
16:00
目標宣言
ハイスクール国会
荷物移
動
薩摩焼十五代
沈 壽官
宇宙航空研究開発機構
宇宙科学研究所教授
川口 淳一郎
グループ・
ディスカッション
HR
HR
HR
HR
ハイスクール
国会
HR
HR
17:00
フンドーキン
醤油株式会社
代表取締役
社長
小手川強二
ハイスクール
国会
フルブライト・ジャパン
(日米教育委員会)
事務局長
デビッド H.
サターホワイト
国際協力機構
(JICA)理事
移動
オリエン
テーション
17:00
黒田 篤郎
入塾式
16:00
グループ・
ディスカッション
グループ・
ディスカッ
ション
グループ・
ディスカッ
ション
有限会社多田自然農場
代表取締役
お茶の水女子大学
理学部・大学院教授
昼食
(30分
交代)
昼食
(弁当)
マレーシア元首相
マハティール・
モハマド
15:00
作文ワーク
国際日本文化研究
センター教授
昼食
昼食
受付
14:00
日本の次世代
リーダー養成塾
事務局長
加藤 暁子
13:00
昼食
記念撮
歓談 帰路へ
影
ハイスクール国会
九州電力株式会社
代表取締役会長
昼食
(弁当)
ハイスクール
国会
移動
昼食
昼食
昼食
昼食
宮内庁皇室医務主管
名護屋城博物館見学
学芸員さんのお話
佐賀県知事
12:00
姜 信子
ディス
カッショ
ン・
ワーク
ショップ
玄海エネルギーパーク見学
(玄海原子力発電所)
安田 喜憲
退
所 移動
式
11:00
オリエン
テーション
外務省
軍縮不拡散・科学部長
宮川 眞喜雄
東海大学理事・
体育学部長
片
確
づ
認
け
書禅
書禅
荷
物
移
動
書禅
書禅
書禅
書禅
書禅
青山学院大学教授
榊原 英資
9:00
夕食
夕食
夕食
夕食
夕食
19:00
18:00
夕食
夕食
夕食
夕食
(30分
交代)
夕食
(萬坊)
夕食
夕食
19:00
移動
みそ汁コンテスト
HR
18:00
3. 第8回 日本の次世代リーダー養成塾 カリキュラム表 (2011年7月28日∼8月10日)
HR
21:00
20:00
シンガーソング
ライター
宇佐元 恭一
ハイスクール国会
ハイスクール国会
ハイスクール国会
ハイスクール国会
ハイスクール国会
ハイスクール国会
21:00
ハイスクール
国会
ハイスクール国会
ハイスクール国会
ハイスクール国会
スタッフ・
施設紹介
20:00
委
員
会
22:00
22:00
就
寝
準
備
就
寝
準
備
23:00
就寝
就寝
就
寝
準
備
就
寝
準
備
就寝
就寝
就
寝
準
備
就
寝
準
備
就寝
就寝
就寝
就
寝
準
備
就
寝
準
備
就
寝
準
備
就
寝
準
備
就寝
就寝
就寝
就
寝
準
備
就
寝
準
備
就
寝
準
備
就寝
就寝
入浴
23:00
4.第8回日本の次世代リーダー養成塾 講師・講義内容一覧
講師
29名
(五十音順・肩書は塾開催当時)
明石
康 / 元国連事務次長・財団法人国際文化会館理事長
「グローバルな舞台に必要な力」
麻生
渡 / 前全国知事会会長
「日本とアジア」
石 倉 洋 子 / 慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授
「21世紀の世界、新しいビジネス、新しいキャリア」
石 原
進 / 九州旅客鉄道株式会社代表取締役会長・九州経済同友会代表幹事
「地域から世界に向けて新しい国の形を考える」
宇佐元恭一 / シンガーソングライター
「『雨ニモマケズ』2011∼こんな時こそ∼」
小川
洋 / 福岡県知事
「ふるさと福岡県に帰って」
笠谷和比古 / 国際日本文化研究センター教授
「徳川時代の災害と復興−治水問題そして富士山噴火問題−」
金 澤 一 郎 / 宮内庁皇室医務主管・国際医療福祉大学大学院長・東京大学名誉教授
「脳の不思議な世界」
川 勝 平 太 / 静岡県知事
「国難と国土復興」
川口淳一郎 /宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所教授
「小惑星『イトカワ』に挑んだ人類初の宇宙飛行∼7年間の歩み∼」
姜
信 子 / 作家
「書く」
黒 田 篤 郎 / 国際協力機構(JICA)理事
「私がアジアでの仕事を通じて考えてきたこと」
小手川強二 / フンドーキン醤油株式会社代表取締役社長
「発酵食品の魅力」
榊 原 英 資 / 青山学院大学教授
「君たちは何のために学ぶのか」
デビッド H.サターホワイト / フルブライト・ジャパン(日米教育委員会)事務局長
「Opportunity from Adversity –‘Change Agents’ Needed to Articulate a Vision for Japan」
4
千住
博 / 日本画家・京都造形芸術大学学長
「芸術とは何か?」
多 田 克 彦 / 有限会社多田自然農場代表取締役
「東日本大震災から復興に向けて―リーダーのあり方と生き方」
沈
壽 官 / 薩摩焼十五代
「陶房雑話∼朝鮮半島からもたらされた陶磁器の心∼」
中 村 俊 郎 / 中村ブレイス株式会社代表取締役社長
「空想の翼で駆け現実の山野を往かん−世界遺産石見銀山に生まれ、育ち、伝える−」
古川
康 / 佐賀県知事
「リーダーにとって必要な3つの ION
」
松 尾 新 吾 / 九州電力株式会社代表取締役会長・社団法人九州経済連合会会長
「深沈厚重」
マハティール・モハマド / マレーシア元首相
「巨大地震後のニッポン復興に果たす次世代リーダーの役割」
宮川眞喜雄 / 外務省軍縮不拡散・科学部長
「無遠慮必有近憂」
室伏きみ子 / お茶の水女子大学理学部・大学院教授
「自分自身を知るための命の科学―40億歳の生物たち」
安 田 喜 憲 / 国際日本文化研究センター教授
「生命文明の時代へ」
山 折 哲 雄 / 宗教学者
「日本人はどのように生きてきたか」
山 下 泰 裕 / 東海大学理事・体育学部長
「夢への挑戦」
李
鳳 宇 / 映画プロデューサー
「映画の役割、演じることの意味」
加 藤 暁 子 / 日本の次世代リーダー養成塾事務局長
「危機をどう突破するか―哲人宰相マハティールに学ぶ」
【プロジェクト型企画】ハイスクール国会
【見学】佐賀県立名護屋城博物館、九州電力玄海原子力発電所
【体験学習】みそ汁コンテスト
5
第8回日本の次世代リーダー養成塾講師陣(敬称略
榊原
姜
多田
明石
英資
信子
克彦
康
千住
マハティール・モハマド
黒田
篤郎
デビッド H.
サターホワイト
笠谷
和比古
総勢29名
博
石倉
洋子
中村
俊郎
小手川 強二
6
講義順)
宮川 眞喜雄
金澤
一郎
麻生
渡
石原
進
室伏
古川
きみ子
康
安田
喜憲
加藤
暁子
山下
川口
松尾
泰裕
小川
淳一郎
李
新吾
川勝
7
洋
鳳宇
平太
山折
沈
哲雄
壽官
宇佐元 恭一
5.第8回日本の次世代リーダー養成塾
講義概要
日本のみならず世界で活躍する29名の講師にご講義いただいた。今年は、大震災後の日本のあり方
を考える講義が多く、塾生たちにとって、リーダーのあるべき姿を学ぶ場となった。
各講義の要点と、塾生の感想(代表的な意見を抜粋)
榊原 英資 氏 「君たちは何のために学ぶのか」
(講義要点)
昔に比べると、電話やインターネットなどでいつでも世界とつながっている状態にある。世界が一つに
なり、国の境がなくなってきている。このような中、他国の安い生産力と競争し、日本の賃金も下がって
おり、格差が顕著になってきている。競争に負けず、又賃金を得るためには、他人(他国)にできないこと
をできるようになること、プロになることが必要だ。
プロになるためには、比較優位、一番にならなくても良いから、他人と比べ比較的優れていることを伸
ばし、専門分野に関係なく、様々なことに興味を持つ・学ぶことだ。それが専門分野に活きてくる。
日本は大陸から様々な文化を吸収し、日本の独自文化を創り出した。しかし、江戸時代、日本は鎖国し
て異質なものを排除し、江戸文化が花開いた。現在、韓国や中国は英語を積極的に学んでいるが、日本は
乗り遅れている。伝える手段が乏しいため、日本を発信する能力がない。食や相撲、歌舞伎など言葉がい
らない文化は世界に広がり評価を得ているのに、説明を必要とするような文化は伝わっていない。
現在の日本は、成長率は落ちているが、成熟期に入っている。自然に恵まれ、治安の良さも世界一。環境
問題にも配慮している。こんなに安全な国は他にない。健康も平均寿命は世界レベルである。日本は悲観的
になることはない、自信を持って世界に発信すべきだ。留学は若いうちに是非してほしい。違うものを見る
ことで、自分をみつめる機会になる。日本が見えるようになる。
(講義の感想)
○「日本」という国に自信を持てるようになった。また、
「異質なものに触れることで自分たちの良い点も
悪い点も見えてくる」という言葉を聞き、留学に凄く興味を持った。
「自分を発信する」ということは、自
分にはまだ難しいが、やっていかなくてはと思う。
○グローバリゼーションによって広がっている格差を少なくするために、私たちは日本人にしかできない
ことを、もっと積極的にやるべきだと思った。日本の環境、安全、健康という点での良さを聞き、日本人
として日本のことを、もっと誇って外国に広めたいと思った。
○私が一番心に残ったのは、
「プロになる」という言葉。インドや中国が急速に発展している中で、私たち
日本人は何ができるのか、とても考えさせられた。また、留学を考えていたので、もっと行きたくなった。
絶対留学して、外から日本を見つめ考えることで、良い所や悪い所を見つけたいと思う。
加藤 暁子 「危機をどう突破するか―哲人宰相マハティールに学ぶ」
(講義要点)
新聞記者時代、アジア通貨・経済危機を他国とは違った手法で克服しようとしていたマレーシアのマハ
ティール氏と出会い、そのリーダーシップに感銘を受けた。そんなマハティール氏がリーダーとして最も
大事な要件として挙げているのは、人の話をきちんと聞くことだ。3.11の震災後にマハティール氏に
再び、リーダーのあるべき姿について尋ねた。
「自分自身はオールマイティではない。外に出て、様々な分
野の人々から話を聞き、知らないことを知った上でリーダーとして確固たる判断を下すことが重要だ。原
発事故の対応はまさにそういうことだ」とおっしゃった。
マハティール氏の政治家としての姿勢は、自分のことはさておいて国民に今何が必要かを365日考え
ていることだ。日本の政治家をみると、自己中心的な人が多い。何はさておき、自分のことをいの一番に
考えているとしか思えない。塾生の中には政治家になりたいと考えている人もたくさんいるが、まず、政
治家以外の職業に就いてプロとして苦労をしてから政治家を目指すべきだ。純粋培養で政治家になるより、
よほど痛みのわかるいい政治家になると思う。
政治家だけではない。どの職業に就くにせよ、社会に出たら自分がしてもらって嬉しいことを相手にし
てあげることだ。人のために尽くすというのは、そういうことだ。そして、友人を大事にすることだ。
(講義の感想)
○今の政治家は、自己中心的であると聞き、これからのリーダーとなっていく者はどうあるべきか考えて
いかなければならないということを学んだ。
○「自分がされて嬉しいことをする」というお話にとても共感できた。これはリーダーの条件の中で、非
常に大切なことだと思う。このことに関連して、人のために尽くすとはどういうことなのかを考えさせら
れた。
○今回学んだ大切なこと、「人の話を聞く」。自分の意見ばかり貫き通しても、それが本当に良いかは分か
らないし、助言が自分の支えになるかもしれない。周囲の声を大切にすることが大切だと思った。
8
マハティール・モハマド 氏 「巨大地震後のニッポン復興に果たす次世代リーダーの役割」
(講義要点)
日本は、大震災に見舞われたのに他人に助けを求める姿は見られなかったし、パニックにもならなかっ
た。こういった姿や精神は誇れることだ。今後、災害を乗り越える力になるだろう。日本人の落ち着いた
姿勢があれば必ず問題に打ち勝てる。
リーダーに必要なことは、まず、問題に直面してもパニックにならず、冷静に対処することだ。マレー
シアが通貨危機に見舞われた時、IMFから資金を調達する話もあったが、自分たちで通貨価値をコント
ロールすることを選択した。批判もあったが、この決断が現在の豊かなマレーシアをつくっている。今回、
日本の災害は過去に類を見ない規模だった。新しい対処法を考えなくてはいけない。復興のため国が被災
者のためにできることとしては、特別な資金援助策を行う、被害の大きさをきちんと調査し把握する、今
後のために、沿岸部の避難訓練を新しいやり方で行うなどが考えられる。
次に、これから起きるかもしれない災害に対して対処できるようにすることだ。例えば、放射能汚染を
今後広げないために、核廃棄物の処理を適切に行わなければならない。
国のリーダーがやらねばならないことは、自分を支持してくれる支持者である国民を守ること、政治家
であれば国民に尽くすことが最も大切だ。国家を統治する者を国民が選べることが民主主義だ。それには、
国民の啓発や教育が必要である。教育により、より良い首相を選ぶことができる。
(講義の感想)
○平和を愛する姿勢に感銘を受けた。決して戦争という手段を用いず、外交、第三国の仲裁などによって
国際問題の解決を図るという発想は理念として立派だし、現実とも上手く折り合いがついていると思った。
○最後におっしゃっていたリーダーは真っ先に先頭に立って前を向いていく、そして後ろにいる人たちを
忘れてはいけないということが印象に残った。リーダーは後ろで支持してくれる人がいてのものだという
ことを改めて実感した。
○一番心に残ったのは、次世代リーダーというのは、この先起こりえる問題についても考えなければいけ
ないということだ。私たちはまだ高校生で、実際に社会に出るのはもう少し先のこと。その時に問題とな
っているのはきっと今と違うことだ。その時のことも視野に入れておかなければならないと気付いた。
千住 博 氏 「芸術とは何か?」
(講義要点)
大震災が起こり、多くの人が「想定外」の出来事と言うが、人の「想像力」は果たしてその程度のもの
か。今、世界には「藝術的発想」が足りない。
日本は「藝術立国」と言われている。日本はすなわち、和の国である。では「和」とは、
「和風」とは何
か。異質なもの同士がある約束に基づいて調和をもたらす、これが、「和」であり、「平和」につながって
いる。そして、「藝術」は、構造として異質なものを整えていくこと、つまり「藝術」とは、「仲良くやる
知恵」である。また、
「人間」はコミュニケーションをとる人。コミュニケーションをとらないのはヒトで
ある。リーダーは「素晴らしい」コミュニケーションをとる人である。
では「美」とは何か。「美」は「羊」と「大」が組み合わさっている。「羊」は食肉になり、ミルクが飲
め、毛皮となり、癒されるものだ。つまり生活に欠かせないものである。それが「大」すなわち、たくさ
んあること。つまり「美」は豊かさであり、「生きていく喜び」である。「生きる」ということは本能だ。
写真家のソフィー・カール氏は作品を通して「美は目だけで見るものではない」(五感でとらえるもの)と
している。では「美」と「きれい」の違いは何か。「美」は生きていく喜び、本能で、「きれい」は片づけ
る、洗練する、消去する、省く、秩序を与えるなど、絶えず意識しないと維持できないものである。
では、「藝術的発想」とは何か。「藝術的発想」とは、異質なものでもそれぞれのバランスをとり調和さ
せること、相手の痛みを知り共感できるような「人間的発想」である。
(講義の感想)
○今世の中に一番足りないのは、藝術的発想。遠くで苦しむ人を見て、「あの人も同じ人間」と思えれば、
「自分だけ良ければいい」という発想が変わる。本当にそのとおりで、皆がそういう考え方を持てれば、
平和も実現するだろうと思う。
○「藝術的発想とは人間的発想。」先生のお話を拝聴して、私の中の「藝術」の概念が大きく変化したとと
もに、「生きる」こと全般の理想や概念も大きく影響を受けた気がする。先生はとても「人間的」で素晴ら
しい人だと思った。
○「成功するまで、分かってもらえるまで努力しろ。成功した人は最後まで挑戦した人だ」というお話し
に感動した。あきらめない精神を改めて心がけようと思った。自分が本当にしたいことは心意気が通じる
まで努力しようと思う。
9
宮川 眞喜雄 氏 「無遠慮必有近憂」
(講義要点)
「無遠慮必有近憂」遠くを慮(おもんばか)るなければ必ず近きに憂あり、これは、先々のことをよく
考えておかないと、必ず近々心配事が起きるという意味で、論語の一節である。平穏な時こそ、自分を守
る術を身につけるべきだ。
「何が起こるかということをどれだけ予測できるか。危険を察知できるか。」と
いう能力をいかに身につけるか重要だ。
福島原子力発電所についていえば、1∼4号機の補助電源は水没し、原子炉に電力を供給できなかった
ため、今回の事故につながった。5・6号機は補助電源が丘の上にあり、利用できたので無事だった。こ
の事故を受けて原子力発電所を廃止する声があるが、将来、廃止をすることによるリスクはないのだろう
か。太陽光や風力発電に頼るだけで本当に大丈夫なのか、原子力の何倍もかかるコストはどうするのか。
日照時間が短かったり、風が吹かなかったりして電力が供給できなくなった場合に、産業界などの影響は
甚大となるが、その点は考えているのだろうか。
日本の原子炉は評価が高く、多くの国が求めている。しかし事故後、日本の原子炉は安全かという声が
ある。本当に原子炉が悪かったのか、補助電源や冷却装置などの設備が悪かっただけなのではないか。世
界の資源(石油など)は必ずなくなる。今までは先進諸国が石油などを占有していたが、これからは経済
力のついた途上国も必要としてくる。そのとき、日本は途上国に原子力で助けを差し伸べるべきなのでは
ないか。考えておく必要がある。
いかにして、自分たちで「変化」を創ることができるかを、考えていかなければならない。
(講義の感想)
○「常に備えよ!」やはり今回の地震(原発)の問題もこれにあてはまると思うし、危険を察知する能力
を身につけたいと思った。知識、想像力を自分の血、肉にしたい。
○今回の講義で、昔からの規制を日本人は変えたがらないのは怠け心からきていると言われ「はっ」とし
た。自分も生徒会などで「去年のやり方を継続」と考えてしまうことが多くあった。しかし、今回「それ
じゃだめなんだ!」と気付かされた。今後はどんどん積極的に新しいものに目線を向けて考えていこうと
思う。
○先生の「原発を減らすときのリスクも考える」というお話が一番印象に残った。今まで、原発があるリ
スクのみで、なくなった場合はあまり考えてなかった。やはり、普段から想像力を働かせて、危機察知能
力を上げておきたいと感じた。
姜 信子 氏 「書く」
(講義要点)
課題としていた作文、「私の3月11日」165名分全て読んだが、内容は「紋切り型」が多かった。
あなた方は、世の中に溢れている言葉をそのまま用いてはいないか。書くというのは、そういうものでは
ない。 自分の中からわき起こった言葉を使わなければ、自分の表現にならない。
「想定外」とはどういう
こと?「ひとつになろう日本」
「がんばれ日本」はどこからやってくる言葉?本当に「東北は我慢強い」?
今回の課題は「私の」3月11日。いろんなことについて、真剣に考え、感じなければ、自分の文章は書
けない。必要なのは、問いを立て直すこと。問いを真剣に立てれば、そのことで、既に答えに近づいてい
る。今自分がいる世界が、「とりかえしのつかない世界」ではないか、と見方を変えてみること、自分で
感じることが凄く大事だ。
訳もわからない状態で世の中とつながっていても意味がない。一度、
「一つになろう日本」
「頑張ろう日
本」というような、どこからやってきた言葉かもわからないような言葉から自分を切り離してみることだ。
言葉っていうのは、命がけで出さなければならないものだ。自分の言葉に確信があれば、他人からどう言
われようが気にしなくていい。「人並み」と言われることが表現者には一番辛い。確信を持って、自分の
言葉で闘う覚悟があればいい。その中で、相手との折り合いを見つけていけばいい。それから、言葉が見
つからないときは、言葉が出るまでじっくり待つ。自分は、とりあえず動いて、そして言葉が出てくるの
をじっと待つ。
(講義の感想)
○先生は一番に「何を問うべきなのか?」について話してくれた。ただ単に結論を出すのではなく、きち
んと問いを立てて、自分の考えを記して、問いを解決していくことが大切なのだ。私も問いを立てていき
たい。
○本当にためになった。心から言葉があふれてくる喜びを知り、自分に自信が持てた。先生の真摯な姿勢
が、言葉が胸にすっとくるのは本当に心からの言葉だからだと思い、自分もそういうコミュニケーション
を取れるようになりたいと思った。
○今、話している言葉は、本当に自分の言葉なのか?その言葉に意味はあるのか?これから、この言葉を
自分に問い続けたい。恐らく、この問いの答えを出すことは難しいと思う。しかし、これから先、自分の
言葉に深い意味、大きな責任を持たせていきたい。
10
黒田 篤郎 氏 「私がアジアでの仕事を通じて考えてきたこと」
(講義要点)
アジアには世界の半分の人口が集まっている。近隣にそれだけ多くの人がいることは地理的に有利な
ことだ。アジアもEUみたいに自由に行き来できないか、まとまらないか、ということはずっと考えら
れている。しかし、この構想の実現は難しい。なぜなら、国家間のGDPの差があまりにも大きいため
である。
現在の製品は、部品をアジア諸国、組み立ては中国、販売は日本、という流れになっている。1つの
製品に多くの国が関わることが可能になったのは、物流コストが下がったためで、ASEANは関税が
かからない。
日本の貿易相手国はかつてアメリカが一番であったが、今は中国に変わった。日本と中国はどちらも
電器・機械が輸出品目のトップになっている。ちなみに、日本は半導体、中国はその半導体を使ったパ
ソコンを製品として輸出(水平貿易)している。現在、タイやベトナムに日本企業が多く進出しており、
インドにも今後増えてくるだろう。あなた方が就職する頃には、もっと企業はグローバル化すると思わ
れる。
JICAでは、3月11日以降、多くの国の国際緊急援助隊を迎えた。支援金の受け入れの際、「日
本にこれまでたくさん支援をしてもらったので、今度は自分たちが支援する番」といったメッセージを
添えてくれた。1000件を超えるメッセージが届いた。今回、特に、支援を受け入れる仕組みをつく
る必要性を感じた。
(講義の感想)
○経済のことでアジアと日本との関わり合いやこれから発展していく国はどうなっていくかなど、とて
も興味深く思った。中国がこれからどのように成長を遂げていくか調べてみたいと思う。
○日本が今まで海外のために支援してきたことが今回の震災で本当に大切であったことが分かった。
「情けは人のためならず」、本当にそのとおりだと思う。青年海外協力隊についても興味を持った。技
術などを教える仕事だから、もっと自分のスキルを磨いて行きたい。
○今、中国やインドは凄く成長しているのは知っていたが、どちらかというと脅威と考えていて、大き
なマーケットがある、有利だとは考えていなかったので、新しい視点を見つけられた。中国などに飲み
込まれてしまわないように、日本にしかできないことをしていかなくては、と思った。
石倉 洋子 氏 「21世紀の世界、新しいビジネス、新しいキャリア」
(講義要点)
子どもの頃になりたかった将来の職業と現在の夢が変化した人はなぜ変わったのか。医者から、国際
的に役に立つ仕事に変わったり、料理人から卸業に変わったり。これは、変えなくてもいいかもしれな
い。今は、医者でも国際的に活躍できる時代であり、今までのビジネスのあり方にとらわれる必要はな
い。子どもの頃の夢は比較的非現実的かもしれない。でも、ずっと夢を持っていた方がいい。夢を諦め
ることはすぐにできるからだ。
今は発信する力があれば、誰でも何でもできる時代だ。スピード感があって、オープン化されていて、
力のシフトが起こっている。これからのビジネスとは、ターゲットを絞って、より高い効果を上げるこ
とが可能だ。
キャリアとライフスタイルを考えるためには、現実を直視し、自分にしかできないことを見つけるこ
とだ。
「自分の強み」と「何か」を組み合わせてみると、ユニークなものが生まれるかもしれない。地
域の枠を越え、国境や分野を越えた協働をすることができる。
そのために、明日からできることがある。恐れずにジャンプしよう。世界を変えよう。学び続ける力
こそが、21世紀に必要な力である。体力も必要だし、継続がカギとなる。あなたが主役、世界に飛び
出そう!
(講義の感想)
○未来は予想するものではなく、創るものだという言葉が一番心に残った。私たちが自分らしく、でき
ることをやっていくことで未来をクリエイトしていくことができるのだと思う。こつこつと努力してい
くことで道は拓けてくると思うから、自分にできることを精一杯やっていきたい。
○今は誰でも発言できる時代。特に、一般人の若者に力があると思う。しがらみの少ない若者だからこ
そ、大きな機会と新しい可能性がある。自分もリーダーとして、地域を超えて世界に発信していきたい。
○ユニークさを追求しよう、自分!日本人の性分でなかなか変わったことがしにくいけど、できないわ
けじゃない。国内で完結しない世界での自分を求めて、自分にしかできないことを見つけようと思う。
21世紀に生きる者に与えられたチャンスを存分に活かしていきたい。
11
金澤 一郎 氏 「脳の不思議な世界」
(講義要点)
脳は贅沢である。脳に使う消費エネルギーは、身体全体の20%を占める。また、脳には、4本の大き
な血管が通っている。人間は他の動物と比較して、体重の割に脳が大きい動物である。
大脳には四つの働きがある。後頭葉は視覚、側頭葉は記憶、前頭葉は創造・統合・分別、頭頂葉は空間
把握を司っている。大きく分けると、左脳では言語、右脳では空間把握をもっぱら司っている。
人間の意識の連続性は大切なものである。脳にはあらゆる種類の視神経細胞が用意されており、現実に
見えているものに自分の経験情報を統合して見ているので、見えないものも見えるし、複数の情報を同時
に処理することができる。また、動くものは認識しやすい。
人間のすべての活動は、脳の働きによる。記憶は脳の得意技であり、覚える・覚えておく・思い出す
ことができる。記憶の貯蔵は脳全体で行っている。また、喜びも悲しみも脳次第で、落ち込むと血流が悪
くなる。様々な体の部分の活動は、それぞれを司る部位が脳内で異なっている。年齢が高くなっても
低下しない能力、年齢とともに向上する能力もある。認知症の予防も可能かもしれない。脳には感受
性期があり、例えばその時期に誉められると、報酬系という、欲望・嗜好・金銭的などが満たされると
働く仕組みがあり、思いやりの心が育つと言われている。
いつも脳を柔らかくしていてほしい。そのためには常に物事に疑問を持ち、その本質を問い正すこ
とだ。脳をたくさん使って活性化させよう。
(講義の感想)
○「他人の不幸は蜜の味」
。人間の本能が科学でも証明されていたことに驚いた。本能というのはもっと
抽象的なものだったはずなのに、近代科学の進歩でそんなことも具体的に説明され証明されていき、未来
が楽しみだと感じた。
○私が一番驚いたことは、子供の頃に誉められると他人を思いやる人になるということ。今まで、誉めす
ぎると誉められることが当たり前となってしまい、逆に他人を思いやれないのではないかと思っていた。
厳しい教育をするだけでなく、厳しいながらにも誉めるところは誉めることが大事だと感じた。
○一番心に残った言葉、
「世の中、答えのない問題もある。」リーダーを目指す私たち高校生はこの言葉を
絶対に忘れてはいけない、どこにも完璧な答えがないから上に立つリーダーたちが最終的決定を下さなけ
ればならないと思った。
○脳みそってすごい!生物ってロマンチック!!!例えば、自閉症などの障害のある方々が、社会参加で
きるように、脳の働きを利用することもできるのではないか。どうやったら可能なのか考えていきたい。
多田 克彦 氏 「東日本大震災から復興に向けて―リーダーのあり方と生き方」
(講義要点)
農業の概念を変えたいと考え、農業を始めた。能力があっても使命がないと開花しない。使命に能力が
ついてくるものだ。
震災後、自分の農場は水、食糧は確保できたが、電気の供給が受けられなかった。牛舎では、搾乳など
全て電気で管理されていたので、電気の供給が止まり手仕事となった。しかし時間をかけ手で搾乳しても
冷蔵庫が使えないので、全部捨てた。この経験により、いかに電気の恩恵を受けていたかを知った。
遠野市の隣の釜石市の被害がひどいと聞いて、車で釜石市に向かい、行政の支援などとは別に各避難所
を回り必要な支援を聞いて回った。自分にできる支援として、疲れたときには甘いものがほしくなるとい
うことで、子どもからお年寄りまで食べられるプリンをつくり配った。被災者の方たちはとても喜んでく
れた。
農業は後継者をどう育てるかが課題と言われるが、後継者は育てるものではなく、出てくるものだ。人
は常に変化のある世の中に生きている。変化を怖がらないこと。牛乳の販売については、すでに大手の企
業が市場を占めている。だから、自分は大手にできないことをしていかなくてはいけないと考えた。
日本は地方の中小企業が支えている。復興のカギは、中小企業の社長がいかに動くかだと思う。今まで
は「組織」の時代だったが、これからは「個」がいかに強く生きるかだ。復興は個人個人が動かなくては
いけない。動きやすくする仕組みをつくることが必要だ。ただ物を配って支援しているようではだめだ。
知識や知恵をださなければいけない。現場を見て、動いて、考えて、実行していくことが大事である。
(講義の感想)
○リーダーは危機に際して自然と現れるもので、その人は常日頃、情報収集・心身鍛練・哲学を怠らない
人。本当にそうだと思った。
○個として生きる、それを考えていかなければ、これからの日本は成長していかないと思った。
○人は三カ月支援され続けると自立できなくなる。この話には非常に驚いた。
○復興の中で人間一人一人が自立することの難しさ、それを促すことの厳しさを学んだ。個として強く生
きるとは生やさしいことではない。今からしっかり準備していきたい。
12
デビッド H. サターホワイト 氏
「Opportunity from Adversity ‒ Change Agents Needed to Articulate a Vision for Japan」
(講義要点)
自分は、アメリカで生まれたが、両親の仕事の関係で日本に来て京都に住み、お寺で禅の修行を経験し
たりした。中学校・高校は神戸のインターナショナルスクールに在学したが、高校卒業前に帰国すること
となった。日本で卒業できた兄妹と違い、同級生と一緒に卒業できなかったことが心残りとなり、また日
本へ行くことを強く希望するようになった。願いが叶い日本に来ることができ、現在人生の3分の2を日
本で過ごしている。アジアの中(日本)でお米の文化や大切さを学ぼうと思い、一年間、米作りをしたこと
もある。
坂本龍馬が人気のある理由は、彼なりに日本の創成期のビジョンを思い描いて行動していたからだと考
えられる。今の政府はビジョンが描けていないのではないか。逆に言うと、明確な将来のビジョンがある
人がリーダーになれるのではないか。
10年後20年後のビジョンを描こう。一人一人の将来ビジョンを確立することが重要だ。今、憲法を
改正しないで、これだけ民主主義を維持している国は他にはない。これからは、よりリーダーシップを問
われる時代になる。これからの日本、どういう日本にしていくかは次世代のリーダーを目指す君たちにか
かっている。
最後に、留学をしたいと考えている人は、困難な壁があっても、何としてでも行ってほしい。
(講義の感想)
○この先20年、25年のビジョンを描くことができる、そのビジョンを実現する力が必要なんだという
ことを学んだ。先を見通す視野が必要だと改めて思った。
○先生はアメリカで生まれたにもかかわらず、日本の心も持ち合わせている素晴らしい人だと思う。龍馬
は私も個人的に好きなのだが、龍馬のビジョンは相当はっきりしていたはずだ。しかし、今の国家にそれ
を求めるのは難しい気もする。自分はビジョンを描けるように頑張りたいと思う。
○私は「日本人として生きるということはどういうことか」と考えさせられた。それを理解することは、
日本の文化や思想、歴史、また、外国との比較など多くを学んでも難しいと思う。それでも、今日のお話
を参考に、少しでも理解できるよう努めていきたい。
○これから日本人はどのようにしていけばいいのか。私は、首相を倒すのではなく、今は全員が協力
をし合っていくべきだと考える。25年後という長いスタンスを見据えて、そのビジョンをこれから
練りたい。
中村 俊郎 氏 「空想の翼で駆け現実の山野を往かん−世界遺産石見銀山に生まれ、育ち、伝える−」
(講義要点)
誰でも産まれたときは家族・親戚・近所など、多くの人に喜ばれたと思う。自分を育んでくれた街、
大好きな地域が、過疎化をたどっている。故郷をなんとかして元気にしたいと思って、中村ブレイスを立
ち上げた。
「ブレイス(brace)」とは、
「支える」ということ。中村ブレイスという社名は、義足・義手を作
るだけでなく、支えたいという気持ちからつけた。現在会社の製品は世界35カ国で販売しており、年間
10億円の売り上げがある。
本当に貧しい国の人々が買える義足を作りたいと思うようになった。フィリピンの竹細工に注目し、安
価で軽くて丈夫な義足が工夫することでできた。困難なことでも、なんとかしたいという熱意と諦めない
気持ちが大事だ。会社を立ち上げた頃は、若さと夢があった。家族と社員の支えがあった。リーダー塾で
講義をするようになって若い人たちに触れ合うことでもう少し頑張ってみようと思った。一緒に成長させ
てもらった、と感じている。
日本は誰でも優しさを持っている。思いやる心はとても大切だ。また、どこの国でも素晴らしい技術や
知恵がある。古いもの(伝統的なもの)を使うことが技術の逆行と思うのであれば、新しいものとミックス
したら、さらに進化したものができると思う。夢だけは持ち続けて成長していきたい。できないことをで
きない、で諦めない。まず動いてやってみる。物事の捉え方として、
「なんでこんな目に合うんだ」と思う
のと「これは試練だ。成長する」と思うのでは変わってくる。常にプラス思考に考えていきたい。
(講義の感想)
○話を聞いていて、本当に上に立つ人間として素晴らしいなと思った。この人にならついていきたいと思
わせられた。できないと決めつけずにやってみることの大切さ、周りの人へ感謝を忘れないということを
学んだ。
○やろうと思ったら取りあえずやってみようということが心に残った。やる気・知恵・ネットワークは特
に大切な三つだと思う。プラス志向に考え、一歩一歩確実に成長して行きたい。
○先生がポジティブで笑顔であるからこそ、社員の方も周りの人々も笑顔になれるのではないかと思う。
そしてチャンスが巡ってくるのもポジティブであるからだと思う。リーダーが上を向いているチームやグ
ループや会社は、周りを元気にできるものだと思う。
13
麻生 渡 氏 「日本とアジア」
(講義要点)
君たちには、世界で活躍するリーダーになってほしい。今、世界は一体化している。日本について考え
ることはもちろん大事だが、日本から世界を考える人になってほしい。現在、世界におけるアジアの影響
力は非常に強くなっている。だからこそ、世界史や日本史を学んでほしい。世界の基礎教養が分からない
と、世界のリーダーとは話が通じない。特に19、20、21世紀の歴史を学ぶ必要がある。
1868年に明治維新があった。19世紀に産業革命が起こり、ヨーロッパが世界各地を支配し始めた
時代、イギリスは清と戦い、勝利し、南京条約が制定された。日本は日本海海戦で、ロシアのバルチック
艦隊と戦い、勝利した。ヨーロッパが中心の世界史にあって、日本の勝利は世界を驚かせた。このことは、
世界に大きな影響を与え、植民地、インド他のアジア諸国で独立運動の動きが起きた。
第二次世界大戦後、中国やインドは速いスピードで成長している。成長は経済発展が必要で、日本の戦
後はその見本だ。現在はBRICs(ブラジル Brazil、ロシア Russia、インド India、中国 China の4カ
国の頭文字を並べたもので)の成長が著しい。BRICsの次は、アフリカがいよいよ経済発展してくる。
現在、世界中で資源を奪い合っている。その資源の多くはアフリカに眠っている。世界ルールの確立こ
そ日本繁栄の基礎だ。しかし、そのルールを作成するには大きな努力が必要だろうと思う。今の世界は有
色白色関係なく、活躍できる場となった。これはバルチック艦隊を破った日本の勝利がきっかけである。
世界史、日本史の他、昭和史も学んでみるといい。高度な政党政治と日本民族の欠点が分かる。
(講義の感想)
○アジアと関係を築いていくには、歴史を学べばいいと分かった。特に中国との関係では、中国のことを
良く学び利益が生める関係を作ることが大切だ。今後アジアの国々とより良い関係を築き、日本の経済も
好転していけば良いと思った
○歴史を学ぶということは論理的に考える力に、大きく影響するのではないか。過去に起こったあらゆる
ことを知ることで、これから起きることに対処するために必要な知識も蓄えられ、どう対処すべきかを予
測する力が養えると思った。
○アジアと日本のこれから、特に中国とはしがらみのない関係にリセットすべきだと思う。福岡はアジア
との交流を活発に行って、その懸け橋になっていってほしい。
明石 康 氏 「グローバルな舞台に必要な力」
(講義要点)
バブル崩壊から日本経済は20年低迷を続けている。日本から海外へ行く留学生の数が激減し、日本か
ら外国の一流大学に挑戦する人が少ないのは寂しいことだ。最近の学生がダメになったのではない。優秀
な人たちはいつの時代にもいる。2011年6月2日、次世代人材育成計画の会合が開かれた。6月22
日までにその次世代人材育成計画の報告書を作成した。その内容は、語学教育の充実、大学入試の見直し、
新学期の時期の見直し(4月から9月へ)
、ギャップイヤー導入(3年間)などである。
震災後の対応の報道により、世界は日本人の優しさ、思いやりの姿を見た。世界150カ国以上の国か
ら支援の申し出があった。アメリカは「トモダチ作戦」と称し、軍による救援活動をしてくれた。アメリ
カの危機管理能力は素晴らしい。スリランカは、100万ドルの義援金、物資・救援体勢の提供をしてく
れた。また、宮城の中国人就労者を助けた会社の専務に、多くの中国人が感銘をうけた。今回の震災は日
本だけでなくアジアを変えるかもしれない。アジアを結びつけるきっかけになるかもしれない。世界には
探せば悲観的な材料も多いが、いいこともたくさんある。世界は一つになりつつあるが、各国の伝統・文
化・風習はそれぞれ大切にすべきだ。全部が同じになっても楽しくない。アイデンティティーは大切にし
ないといけない。
今回の震災をはずみとして、再び日本は活力を取り戻すと思う。しかし日本だけでは生きていけないの
で、アジアと協力し合って共に歩むべきだ。
(講義の感想)
○ピンチはチャンス、今回の震災でアジアまでもを変えられる可能性があるというお話が心に残った。こ
の地震で失ったものは大きいけれど、それ以上のことをしていけば、震災が起きた意味が創りだせるはず
だ。そのために新しい視点から日本の姿を考えていきたい。
○「自前の」
「色々な」民主主義という言葉がとても印象的だった。この言い方そのものが相手を尊重する
民主主義に基づく考えなのだと感じた。
○「目は遠くに足は地に」という言葉は今の日本に必要な提言だと感じだ。やはり、震災などの災害や大
事件が起きた時には、中・長期的な視点で物事を考えることは難しい。また、遠くを見ていると、近くの
事がおろそかになりがちだ。この言葉の実行は難しいと思うが、努力して、実行できるようになりたい。
14
笠谷 和比古 氏「徳川時代の災害と復興−治水問題そして富士山噴火問題−」
(講義要点)
徳川時代前期、築城ブームにより膨大な木材が必要となったことなどから、開発が一気に進み、雨水を
適切に保持する水量調整機能を持っていた豊かな森林が乱伐によって崩壊した。結果、大雨が降ると河川
水量は急激に増水し、山から土砂が流入し、自然の調和を失い水害を招く結果となった。17世紀半ばに
は、その過ちに気付き、山林原野の保護政策による治山治水政策がとられることとなった。
「山川掟(さ
んせんのおきて)」には、開発禁止、植林などの通達がみられる。
徳川時代中期には、それまで強大な水流の中下流域では難しかった堤防作りが、技術の発達で可能とな
り、沖積平野の開発が一気に進んだ。しかし、強度のある堤がいったん破れると、以前とは比較にならな
い被害を生じることとなった。
幕府の治水対策としては、新田開発の幕府による規制や、普請の財源についての費用分担などにより、
水源から河口まで広域行政が行われた。宝永の富士噴火の時に、降灰被災地対策のための高役金を全国に
賦課したが、九州では拠出することへの反発も強く、一部自腹で賄う藩主もあった。
寛保2年(1742年)関東地方で大水害が起こったが、当時の将軍吉宗は、日課である朝の雨量観測
によってこの事態を事前に予測し、水害救助船をたくさん作り、歌舞伎座の土間を炊き出し場所とする調
整を行うなど、できる対策を行った。これは新田開発を推進した立場から、常に水害の発生に気を配り、
危機管理を行っていたためである。
(講義の感想)
○徳川吉宗が毎朝、雨量観測を、毎晩、天体観測をしていたことに感動した。いざという時のためにリー
ダーとして自らができる事をして危険を察して準備する、その対応能力を私も見習い、身につけたい。
○当時の算術が今でいう数Ⅱの一部まで進んでいた(世界で一番進んでいた)ことに驚かされた。河川の
水をコントロールする技術・考え方や、現実的に考えてやるべきことを実践できる合理性などは、数学で
培われたのかなと推測する。リーダーになるためにも、
「数学→論理性」をしっかり学んでいきたい。
○徳川時代の危機管理に対する意識の高さと、国民の科学的・合理的思考に感銘を受けた。従う側がしっ
かりした意見を持ってこそ導く側が責任感のある行動を取るようになるのだろうかと考えた。
○江戸時代の農民は今よりも政治意識が高かったと聞いて、ちょっと申し訳ないような悲しいよう
な気がした。災害時の対応で、一番大きいのはもちろんトップに立つ人の技量や、普段からの危機
管理が影響すると思うが、自分たち国民の意識なども大きく影響すると思った。
小手川 強二 氏 「発酵食品の魅力」
(講義要点)
人生は山登りと同じで、谷が深いほど次の山を登る喜びは大きい。挫折しても頑張ればまた道は開ける。
ある経営者の話で、新しい社員が入ってきて仕事を覚えさせるのに、いろいろな仕事をさせてみている
と、各人の潜在能力に差はない。せいぜいあって二倍程度。差が出るのは、一生懸命やる人とやらない人、
つまり、もの凄く熱意がある人と熱意のない人で、その差は百倍から千倍にもなる、という。どんな優秀
な人でも、その程度の差だ。本人の向上心、意欲が高くて一生懸命努力したら必ず成長できる。
何かをするとき、なかなか上達しない、うまくいかない時も、努力を続けることだ。どこかできっかけ
やこつを掴むとぐっと伸びる時がくる。とにかく、努力を続けることが大事だ。人生では、横ばいどころ
か、下降するときもあるかもしれない。そんな時も、精神的に落ち込まないこと。そういうときに一番大
事なのは家族と友人だ。皆さんにとっては保護者だ。
発酵食品は、菌が働いてできる。人は菌の働きやすい環境を作り、菌の手助けをする。麹菌は、空気が
ないと生きられないが、空気たっぷりの環境で醤油や味噌を造ると、あまり良い麹菌に育たない。脳天気
な麹菌になってしまうようだ。空気をあまりあげない、菌が生きていけるぎりぎりの環境で育てると素晴
らしい麹菌になる。何もかも充足しているそんな環境よりも、厳しい環境で育てる方が良いものが育つ。
(講義の感想)
○お話を伺って人生って面白い、と思った。このリーダー塾で多くのことを学んで、ここに来る前の人生
は本当に平凡だったと感じている。これからの人生はもっとエキサイティングな日々を送ろうと思う。
○潜在能力の差は多くても二倍、熱意の差は最大千倍にもなるという言葉に感銘を受けた。元からある能
力はあまり気にせず、熱意をもって努力しようという気になった。
○「人生は下り坂もあるがそういう時は怖がらずに一歩踏み出し、
『どうにかなる』と言えば勇気が出る」
というお話には大いに賛成する。いつまでも怖がっていては何にもならない。むしろ、もっと下り坂にな
るかもしれない。そんな時こそ、自分を信じ、とことん頑張っていこうと思った。
○地道に努力を重ねることに意味があるのだと思った。結果も大切だけど結果までの過程も重要だ。
どんな活動でもすぐに結果がついてくるわけではないから、これからは、地道に頑張っていきたい
と思う。
15
石原 進 氏 「地域から世界に向けて新しい国の形を考える」
(講義要点)
将来推計人口では、2010年から2030年の20年間で、人口が減少すること、特に九州など地方
都市では社会減もあり、生産年齢人口が減少すると予測されている。所得格差も、東京と九州の差はさら
に開いている。震災後、自動車部品工場の被災などにより九州でも生産活動が停滞し、大きなダメージを
受けている。公的債務は年々増え、2011年度の残高は1990年の三倍以上となっている。
九州はアジアに近いという強みがある。JR九州の国際航路ビートルは年間50万人の旅客があり、日
本最大の航路となっている。アジアに対する拠点となりうる地域である。現在国では、地方に配るお金が
なくなってきている。道州制を導入し、権限委譲や自主財源の確保による地方の自立が重要となる。国鉄
の分割民営化はできた。道州制もできるはずだ。戦後体制も抜本的に見直す必要がある。現在の人口減、
高齢化、低成長、中国の台頭などに応じて、増税や年金給付の切り下げ、自力による安全保障、国家観、
公徳心を教える教育体制への転換が必要であり、世界に通用する人材を育てるために、語学力、自国の文
化・歴史の理解、様々な国の人と交渉する能力を身に付けさせることが必須である。今後日本を背負って
いく君たちは、次のことを心構えとしてもらいたい。
①目標を持つ「目標なくして計画なし、計画なくして行動なし、行動なくして成功なし」、まず目標を
しっかり持ち、計画し行動することが大事だ②自主自立「一身独立して一国独立す」
、公の心を持つこと
③積極的チャレンジ④Above the Expectation⑤外国語会話能力である。
(講義の感想)
○「一身独立して一国独立す」これは本当に素晴らしい言葉で、私の座右の銘でもある。他にも福沢諭吉
は「棚卸しをする」という言葉を残している。簡単にいえば必要なものと必要でないものとを分け、優先
順位をつけるということ。これらの言葉は、私たちが生きる今こそ必要だと思う。
○日本の経済成長が低下する中、我々がやるべき道を示してもらった。日本は国を開いていない。
韓国のように物流を盛んにして、人の行き来を自由にすべきだ。日本の指導者はもっと積極的にリ
ーダーシップを発揮して、自由に交易をするべきだと思う。
○国債が年々増加している話が心に残った。消費税は他国に比べてかなり低いのに、法人税は高い。
これでは国内の企業が、外国へ出てしまうし、海外の企業も呼び込めない。経済後退が進んでいる
中、これでは、さらに経済状態が悪化してしまう。日本の仕組みを変えなければならないと思う。
室伏 きみ子 氏 「自分自身を知るための命の科学―40億歳の生物たち」
(講義要点)
生物は過去に、今分かっているだけで5回の大絶滅を経験している。地球環境の変化に耐える力を持っ
た生物だけがその度に生き残り、変化に対応して多様化していった。地球上の環境変化は全ての生物にと
ってストレスであり、ストレス対応能力を身につけた生物のみが生き残ってきたのだ。ヒトへのストレス
の影響には、ガンなど様々な疾患がある。一方ヒトには、ストレスを良い方に働かせる能力を持っている。
例えば、一定の目標を課してそれに向かって頑張る、夢を実現するために努力すること、などだ。
小さな挫折を何度か経験してきた人の方が、挫折を知らずに育ってきた人よりも、大きな挫折に出会っ
たときに強く立ち向かえて負けない、そういう力を身につけている。だから、失敗は恐れないこと。皆さ
んには、いろいろなことをやってみて失敗し、小さな挫折を沢山経験してほしい。その方がこれから大人
になって、大きな挫折や障害に遭遇した時に負けずに立ち向かえる。多少の苦労や失敗は人を強くし、耐
える力や思いやる心、工夫して立ち直ろうとする力をつけてくれる。軽いストレスは、心のトレーニング
だ。
私たちが今存在できているのは奇跡的なことで、途切れずに生命を紡いできたかけがえのない存在だ。
現在、ヒトは人口の急激な増加により、多くの生物を絶滅に追い込んでいる。ヒトが存在していくために
は数万種の命のつながりが必要だ。私たちは子孫のために、よりよい地球を残さなければならない。
3月11日の大震災は、大きな災害をもたらし、大変な出来事だった。これからの日本の復興に、若い
皆さんに大変期待している。どうか、生命というものの大事さを噛みしめ、智恵を育んで、暖かい社会を
作っていっていただきたい。
(講義の感想)
○生物の多様性を守ることが必要なのだと分かった。私たちは自分でエネルギーを作り出している植物
や、それを食べた動物を食べて生きている。改めて、植物や動物に感謝したいと思った。
○今、生きていることの素晴らしさ、生命の神秘を感じた。大絶滅期に、環境に対応して生き残ってきた、
生物の歴史を知り、自分がその一部であることを再認識した。よりよい未来を作るためにできることを探
っていきたい。
○今日の講義で、軽度なストレスはよいストレスだと学んだ。そして小さい挫折をいくつか味わったほう
が大きい挫折に立ち向かえるということも。これからは苦労しても、失敗してもめげずに自分の成長につ
ながると信じて頑張っていきたい。
○生き物一つ一つが、かけがえのないたった一つのもの。自分もこの世界で唯一無二の存在として、自分
にしかできないことを見つけ、やり抜いていきたい。
16
山下 泰裕 氏 「夢への挑戦」
(講義要点)
私はとてもやんちゃな子であった。親もそんな私が心配であったのか、小学4年生の時に柔道場に連
れて行かれ、それから「柔の道」を学び始めた。恩師や先輩からは、技だけでなく心を教えていただい
た。オリンピックで念願の金メダルを取った後は、指導者の道を歩くことになったが、人を導く指導者
としての立場は選手とは全く異なり、試行錯誤の連続だった。
指導者となった当初、柔道に身の入らない、半ばさじを投げていた学生がいた。ところが、彼の違う
一面、実に心優しい、思いやりのある一面に触れ、初めて褒めたところ、その日から彼は見違えるよう
に変わったのである。人を一面だけで決めつけてはいけない。良いところに光を当てて認める。これは、
教育だけでなく人との接し方の基本だと思っている。
私は今、
「人生のチャンピオン」を創る人間教育を理念としている。それは私が恩師から教えていただ
いたことでもある。神奈川県を中心に「いじめ防止」運動にも取り組んでおり、基本はスポーツマンシ
ップ、スローガンは「日常生活でもフェアプレー」である。難しい問題であるが、地道に取り組んでい
くつもりだ。また、大先達の嘉納治五郎先生の言葉「自他共栄」を胸に、柔道を通した国際交流も続け
ている。皆さんは、リーダーを志してこの場にいるのだから、どうぞ、その夢をずっと持ち続けてほし
い。リーダーとは「人生のチャンピオン」であるということだ。強さと共に、優しさと思いやりを兼ね
備えた人のことだ。それこそが本当のリーダーであり、今、大変な時であるこの国が強く求めている人
材なのである。
(講義の感想)
○「教育とはその人の持っているいいところを引き出すことだ。一人一人違っていいじゃないか」とい
う言葉は今の日本の教育にまつわるあらゆる問題の核心をついていると思った。
○「日常生活でもフェアプレー」はとてもインパクトがあり、心に残った。また「相手を思いやる」と
いう和の心を柔道を通して世界中に伝えている先生をとても尊敬する。
○剣道の恩師から、
「武士道」そして「道」について、よく考えさせられた。先生の「道とは日常生
活で活かすもの」という話に大変感動した。自分が今まで探してきた「道」に対する答えの一つが
見つかった気がした。自分なりの「道」への答えはまだ見つからないが、これから先、一生かけて
見つけていきたい。
小川 洋 氏 「ふるさと福岡県に帰って」
(講義要点)
これからは多様性を認めていくこと、選択肢を増やしていくことが大事だ。また、できるだけ早い時
期に海外の人たちと交流することは非常に大事である。そのために、まず日本の歴史や文化、世界の歴
史をきちっと学んでほしい。次に道具としての英語。道具がないと伝わらない。それから中身だ。自分
の言いたいことに本質的なものがあれば、言葉がたどたどしくても相手は聞いてくれる。それを繰り返
しながら、読み書きをやっていけばちゃんと伝えられる。道具としての言葉の使い方もうまくなる。
仕事をしていく上では、自分が学び身につけた知識、実際の仕事や体験を通じて学んだ知識が非常に
大事である。それまでの自分の知識を最大限活用し、新しい仕事にチャレンジしていく。それから、そ
の道の専門家に聞きに行く。自分自身で難しいと思っていた課題でも、あらゆる角度からそうした道具
立てで考えていき、悩み、考え抜いて、これしかないという結論を得て、それを実現しようとすれば、
そう簡単に潰されたりすることはない。悩み抜き、考え抜いた結論というのは、自分がそれを提案した
出発点よりも後退することは絶対にないと思うし、そう信じている。
私は、福岡県をまず元気にして、元気の輪を日本全体に広げていきたいと考えている。
「元気を西から」。
持っている力を最大限発揮し、復興、国力の維持に役割を果たしていきたい。同時に、昨日より今日、
今日より明日、未来に向かって希望や夢が持てる地域社会を再構築したいと考えている。
最後に、皆さんにはいろいろなことにチャレンジしてほしい。それから、物事を見る視野、観点をで
きるだけ広く持つようになってほしい。海外にも目を向けていただきたい。結局、社会も企業も経済も、
担うのは人間だ。私たち自身であり、それを担っていくのは、皆さん一人一人にかかっている。
(講義の感想)
○若いうちに異文化に触れ合うというお話が一番心に残った。今日のお話を聞いて日本で異文化に触れ
合うことも可能だと分かった。身近なところから異文化に触れ合っていきたいと思う。
○昨日より今日、今日より明日を考えるということが、とても心に残った。終わったことに囚われてい
ても仕方がない、前に進むしかないので、素晴らしい考え方だと思った。これからは、前向きに考えよ
うと思う。
○阪神大震災の時のことを思い出されて少し言葉に詰まられたときに、先生は人の痛みが分かる、素晴
らしい人だと思った。
17
山折 哲雄 氏 「日本人はどのように生きてきたか」
(講義要点)
震災後被災地に行った時、大伴家持の歌が脳裏に浮かんだ。「海行かば水漬く屍 山行かば草生す屍
大君の辺にこそ死なめ かへり見はせじ」
。この歌には、魂鎮めの想いがあるのではないか。古代では、
魂の行方こそ大事であった。屍をどのように鎮めることができるのか、鎮めることで私たちの心を安定
させることができる。生き残ったものと死んだものとの関係をどのように作りあげていくのか、考えな
くてはならない。
寺田寅彦は、この地上には永遠なるものは一つもないと言った。地震列島が生み出した無常観、地震
からも台風からも逃れることはできないという、長い時間をかけて育まれてきた自然な感情がある。被
災地の人々の穏やかな表情はそれを示している。
西洋には、
「ノアの方舟」の考え方がある。論理的、科学的な考え方、選民思想の象徴ともいえる。一
方、法華経には「三車火宅」のたとえがある。屋敷で火事が起こり、中の子どもたちに逃げるように言
っても、逃げようとしない。
「方舟」で予言に耳を貸さない人々と同じである。三車火宅の話では、さら
に、家の外に美しく飾り立てた車を用意して呼びかけ、みんなで安全なところに避難する。このたとえ
は、アジア的思想の表れではないか。日本は、近代的な価値観とアジア的な価値観の二重構造でこの千
年を生き残ってきた。あれかこれかではなく、あれもこれもという思想だ。ずるいとか曖昧とか評され
るが、その選択は必ずしも間違っていなかった。
これから価値観をどう形づくっていくのか、難しい問題だ。二重構造のままいくのか、どちらかを選
ぶのか。それを考えるのが次世代の君たちだ。そして、このことを深く考え洗練させたとき、次の時代
のリーダーが生まれるのだ。
(講義の感想)
○とても衝撃的で心に残った。
「ノアの方舟」思想と「三車火宅」思想が共存している日本文明は奇跡と
も言える調和だと思う。世界平和は多宗教に触れること、それだけと考える。地球規模の問題も犠牲の
考えだけでは無理だ。先進国全体でリスクを受け入れなければならない。
○生と死についてここまで真剣に考えさせられたのは初めてでした。生あるもの、形あるものはみな滅
びるという無常観の考えは興味深く、また恐ろしいと思いました。
○避難所に逃げることができて生き残ったあまりに少ない人たちを見て、両親が「ノアの方舟」のこと
を言っているのを思い出した。別に真面目に生きていた人が生き残ったわけではない。でも何かを犠牲
にした人が避難できていて、先生の話にとても共感できた。
川口 淳一郎 氏 「小惑星『イトカワ』に挑んだ人類初の宇宙飛行∼7年間の歩み∼」
(講義要点)
「はやぶさ」が目指したのは、他の天体への往復の宇宙飛行。実はこれは、世界の誰もが考えていな
かったことで、その手段・技術というのも我々だけが考えていた。イオンエンジンで往復する、ロボッ
トが自分で何処へ行くか決める、サンプルを取ってサンプルの入ったカプセルを直接地球の大気に突入
させて回収する、これらは全部我々のオリジナルで、そのことは、我々の誇りである。
学びから脱皮する時期がやってくる、皆さんにはこれを知っておいてほしい。日本の国民性は勤勉で
緻密、一点の曇りもない製品を作る。逆に言うと、どこが欠けているか探し出して「できない」と結論
する文化だ。研究所では違っていて、60点の方策が一つあれば、それを100パーセント確実にとら
えたらできる、と考える。欠けているところではなく、できるところを見るわけである。
「はやぶさ」は、
コピーでないこと、第一代目となることを目指した。自ら作り出してこそ本物を見る目が養われる。そ
ういう目を持ってほしい。
我々が目指したのは世界一でなく世界初だ。言うまでもなく、二番目で良いわけはない。若いあなた
方に伝えたいこと、一つは技術より根性だということだ。意気込みとあきらめない心があったからやり
遂げられた。そして、日本の閉塞感を打ち破る方法は、Inspiration for Innovation、アイデアの転換。
日本は「製造」の国だったが、これからは「創造」へと変わらなければ。
「高い塔を建ててみなければ新
たな水平線は見えてこない」
、この言葉を贈りたい。果敢な挑戦を忘れてはいけない、目指すべき目標は
新たな創造だ。
「はやぶさ」や日本女子サッカーが示してくれた日本人のポテンシャル、あなたたちはで
きるんだという自信を持って取り組んでほしい。
(講義の感想)
○学んでばかりではオリジナルなものは創りだせないということが心に残った。学ぶことはオリジナル
を創りだすための材料であって、自分で考えなければならないという事だと思った。
○『
「はやぶさ」は日本のポテンシャル。私たちはできるんだ』という言葉がとても印象に残った。勇気
をもらった。日本は今、色々な問題を抱えているが、一人一人が頑張れば乗り越えられるはずだ。
○今の日本だけを見るならば宇宙開発よりも被災地復興にお金をかけるべきかもしれない。しかし、長
い目で見れば科学技術の進歩になり、経済にも貢献する。これは、とても難しい問題で、バランスを考
えることが大切だと思う。
18
古川 康 氏 「リーダーにとって必要な3つの ION 」
(講義要点)
リーダーとしてこれから求められることは、Vision、Passion、Action という三つの「ION」。ビジョン
を持ち、情熱を持って語り、実行する、行動することがリーダーとして必要だ。これを頭におくことで、
今の自分に何が一番大事か、何が足りないのかが見えてくる。一番大切なのは「ビジョン」、これに尽き
る。自分が何を実現したいのか、それを明確にしないと、いくら情熱があっても、行動が起こせない。
事業仕分けでは、国民生活にどんな利益が出るのか検証する必要があると言っていた。しかし、生活
に役に立たなくても大切なものはたくさんある。そこを否定してしまうと、全くつまらない社会になっ
てしまう。鹿児島新幹線は十数キロしか佐賀県内を通らないが、鳥栖を通しただけで150億円負担し
た。費用対効果はないだろうが、費用対効果がないからという理由で新幹線が通ることを拒否すること
が正しいとは思わない。費用対効果、それだけで判断してはいけないと思う。
リーダーに求められるのは、その時々の雰囲気だけでものごとを判断するのではなくて、長期的な視
野に立ち、まさにビジョンを持ち、この地域に本当にそれが必要か、もしあった方がいいのであれば、
反対があろうとも将来のために実現していく。リーダーは強い意志をもって実行していく必要があると
私は思っている。難しいことをやる場合、確信をもって進めていくのがリーダーとしての役目である。
ビジョンをしっかり持つべきだ。
皆さんも世界を視野に入れてほしい。ビジョンを持って、情熱をもって、取り組めば成就できる。や
り方は山ほどある。やりたいことをあきらめずに最後まで実現してほしい。
(講義の感想)
○「とにかくやるということを決めて実現していけば方法はいくらでもある」
「Vision、Passion、Action」
本当に感動した。これからは三つの ion を意識して行動していきたい。
○まずはやること、次に諦めないこと。そして、どんな時にでも笑えること。今日の講義ではそれを学
んだ。リーダーがピンチの時に慌てたり緊張しているより、大丈夫と笑う方が何倍も安心できると思っ
た。
○「自分が一度決めた事は諦めない」この言葉はとても大切だと思う。芯のある人間になるためには、
「諦
めない」ことが大事だと思う。
李 鳳宇 氏 「映画の役割、演じることの意味」
(講義要点)
俳優は一つの役を勝ち取るために、
「必死」になって演じ成長していく。俳優は演じることが仕事なの
で当たり前ではあるが、皆さんも人を導くために演じることが大切な場合もある。
「演じる」の言葉は「嘘」
のニュアンスで捉えられるときもあるが、
「演じる」ことで人を説得したり、包容したり、鼓舞したり、
勇気づけたりすることができる。ただし、上辺だけの「演技」では、すぐ見破られる。大切なのは、心
を含めた「内面」で、
「内面」と「演じる」が合わさって個人の本当の力になるのだ。
自分が将来何をやっていきたいか迷っていた頃、留学先のパリで映画ばかりを観ていたことがあった。
一番たくさん観たのは日本映画で、日本にはこんなに素晴らしい映画文化があるのかと感動した。その
頃は自分の愛国心の向かう先、自分はどの国に帰属するのか悩んだ時期でもあった。映画にのめり込ん
で映画の道に進み、1986年に日本で映画会社に入った。日本が好きで日本で映画を作る自分は、日
本人だと思った。一風変わった日本人であると思ったのだ。
映画には、知らない国を好きにさせるくらいの影響力がある。映画は記憶に残る。映像は忘れるとき
もあるが声は覚えていることが多い。DVDで映画を観ることは映画館で上映された映像のコピーなの
で、
「本当に映画を観たこと」にはならない。だから、皆さんには映画館で映画を観てほしい。そして、
ぜひ自分が誇れる日本映画を一つでも見つけてほしい。
映画を作る過程でできる仲間とは一生付き合える。映画を作るのにかかる時間は数カ月でも、その仲
間とは永遠にいられる。何事も必死にやることで仲間ができ、仲間を愛することでその国を愛すること
ができる。それこそが愛国心ではないだろうか。
(講義の感想)
○「演じること」から人を説得する力や導く力を学び活かすことが大切であるという話が印象に残った。
映画から学ぶ事が多くあるので、リーダーになるために、また違う視点で映画を見てみようと思った。
○集団を愛することは仲間を愛することから始まるのだと気付かされました。近くの人を愛せない人は
やはり集団を愛することもできない。また映画には人生を変えるような影響力があると思った。
○演じる人には内面的な魅力が必要だということを先生はおっしゃっていた。それと同じようにリーダ
ーになる人にも人を導く力が必要だという。人の中でいろいろな仕事をしていく上で、人を惹きつける
力は欠かせないと思う。どんな活動であってもグループの団結力や雰囲気はとても大切だと感じた。
○映画製作の映像を見て、今私たちが置かれているリーダー塾という状況ととても似ていると思っ
た。俳優たちは現場で初めて出会い月日を共にし、一つのものを作り上げ最後に別れる。今、自分
たちのあり方を、もう一度考え直したいと思った。
19
沈 壽官 氏 「陶房雑話∼朝鮮半島からもたらされた陶磁器の心∼」
(講義要点)
表現−「表」はスキル、
「現」はウィル。皆さんは、将来表現者として仕事をすることとなる。自分が何
を考え何を大切に思っているか、その意志を正確に周囲に見せるスキルが必要となる。
「学びて思わざれば
則ちくらし。思いて学ばざれば則ちあやうし。
」
「スキル」だけでは暗い、
「ウィル」だけでは危うい。バラ
ンスが大事だ。次世代のリーダーとして、高い意志を高い技術で表現することを目指してほしい。また、
「ウィル」は偏らないようノーマルに保つ必要がある。どんなものでも受け容れられる体勢、幾つになっ
ても感動できることが大事だ。感動は、外から何か別のものが飛び込んできて、そのものが自分の中でぶ
つかりあって、新しいエネルギーになっていくことだ。その感動が長い期間自分の中から抜けないという
のが、影響を受けるということだ。影響を受けることは良いことだ。真似とは違う。学んで吸収する。し
かし、ずっとその範疇にとどまっていてはいけない。
司馬遼太郎先生にいただいた手紙に、
「民族というのは些末なものです。文化の共有個体でしかなく、種
族ではありません。私も僭越ながら年少の頃より心がけ、自分を一個の人類に仕上げたつもりです。
」とあ
った。国を越え海峡を越えて通用するかしないか、違う土俵、環境で生きていけるか。一個の人間として
立っていられる強さが必要だ。私の好きな言葉に「不易流行」がある。例えば変わらないものは岬の灯台
のようなもの。灯台は動かず、辺りを照らしながらそこにあり続ける。動かない灯台を、つまらないと笑
っちゃいけない。動かないものへの「リスペクト」をなくしたら、灯台が動かずに辺りを照らすことを止
めたら、自由に動けるはずの船は、自分がどこにいるかすら分からなくなる。船は灯台の灯を見て、自分
のいる場所が確認できるのだ。伝統と革新、過去と現在は表裏一体で、分けられるものではない。だから
革新的な表現者は、伝統を深く尊敬するし、伝統を正しく有するものは現代の革新的な表現を尊敬するこ
とができるのだ。
(講義の感想)
○スキルとウィル(意志)
。この言葉を心に留めておこうと思う。今は、ウィルを固めながら、スキルを身
につけ、将来はやりがいのある仕事をしたい。
○あなた方はみな表現者であるというお考えに感動した。
「他人を理解できなくても他人を許すことはでき
る」という言葉を聞いて自分もそうありたいなと思った。
○心に残ったのは、どんどん影響を受けていいがそれは真似とは違うもの、という言葉だ。その境という
のは凄く難しいものだと思う。人の話を聞くのは大切だが、自分の軸を持つことも大切だと思う。人の意
見を聞きつつ、自分の意見を言えるような人になりたい。
安田 喜憲 氏 「生命文明の時代へ」
(講義要点)
法華経では危機の時大地から菩薩が現れて衆生を救うとされている。東北の人々を救いたい、宮沢賢治
は南無妙法蓮華経と唱えながら歩いた。政治は菩薩行で、政治家は菩薩でなければいけない。今、政治家
に菩薩がいない。自分の欲ばかりで、この非常時に挙国一致内閣をどうして作れないのか。政治家は半分
にして質を高め、総理は国民が直接選挙で決めるべきだ。
第二次世界大戦の戦勝国は核戦争が起こったときの対応策を持っている。これがあれば原発事故にも対
応できる。敗戦国は原発にネガティブ。また、日本は国土が狭い。放射性廃棄物を捨てる場所がない。ア
メリカや中国は広大で場所がある。狭い国土に原発は合わない。日本は天然エネルギーに時間をかけて転
換すべきだ。今回事故があったからといって、即原発を止めては経済活動が止まってしまうが、原発中心
のエネルギー需要から、自然再生型の、水力・地熱・風力・太陽光・バイオマスなどの天然エネルギーに
20年かけて変えるべきだ。日本は世界第3位の地熱の大国で、地熱発電タービンの技術もある。国立公
園だったり温泉事業者の反対などがあったかもしれないが、今後は熱利用を進めていくべきである。
女川原発は、過去のデータを考慮し高台に作り今回重大な被害を免れた。福島は、経済効率の観点で、
冷却しやすいように、土地を切り下げて海の近くに作った。戦後の日本のとってきた政策の過ちは、人の
命よりお金儲けが大事という社会を作ったことだ。かつて、明治維新では、会津藩の人は北海道や青森に
移り住み、下級武士が日本を変えていった。今、福島の人々が移住を余儀なくされている。時代が変わる
時なのかもしれない。これからは生命文明の時代となってほしい。生きとし生けるものの生命が輝いてこ
そ始めて人間の幸せはある。お金よりも命。命の輝く時代を作っていかなくてはならない。今、日本を変
えるのは君たちだ。
(講義の感想)
○政治は菩薩行、政治家は菩薩。道徳心・慈悲の心を持てという言葉が心に残った。命を軽視する政治を
変えていけるよう、生命文明の時代を生きるものとして志高く学んでいこうと思う。
○地熱発電の利用についての話が興味深かった。私の住んでいる県は全市町村に温泉がある。地熱発電を
利用してもっと地域を活性化させたい。また、人の幸せのために行動できる人間に、成長していきたい。
○日本は地熱大国という話が印象に残った。地熱はエコで素晴らしいエネルギーだが、その開発のために
は国立公園や温泉を犠牲にしなければならないのは悩みどころだと思う。
20
松尾 新吾 氏 「深沈厚重」
(講義要点)
企画室に配属され中期的な経営方針の叩き台を作ったことがある。過去の経営方針を全て確認して気付
いたのは、書きぶりは違っても、次の四つの視点で構成されているということだ。①供給の安定②コスト
の低減③地元との連携④明るい職場作り。この時、同じように日本国の問題点を自分なりに考えてみた。
その時考えたことは三つ。①行政政治のシステムが旧態依然としており効率化が図られていない②防衛、
国の安全保障について考えることをタブー視する風潮がある③教育では日本国民としての根幹をきちんと
教えていないのではないか。あれから30年ほど経ったが、今も当時と同じような課題があるのではない
か。行政の効率化については道州制を導入することで、実現すると考えている。また、防衛は、今のシス
テムで何とかやっていけるという安易さに流され、本気で我がこととして国防・安全保障について考える
国民が少ないままである。教育では、教育を国の義務とはき違えているのではないか。義務教育では、人
として生きる基礎をなるべく早く学ばせたほうがよい。そうすれば、短い期間でも事足りる。教師は聖職
として厚遇してでも、次世代の人材をしっかり育成した方がよい。
日本は人材立国だ。世界で唯一の被爆国である日本は原子力を平和利用した。今回の震災で原発事故の
発生や今後の燃料調達、使用済み核燃料の処分方法など、エネルギーの安定供給のため早期に解決しなけ
ればならないことがある。コストが高いといわれる次世代エネルギーについて、電気代が高くても構わな
いと国民的コンセンサスが得られれば、次のエネルギーとして転換することも可能となる。
人は集団で仕事をする時、その時々で為すべき事をしていけば自己顕示しなくても評価してもらえる。
人から認められたいとの思いが強く出るとマイナス評価になる時もある。無理に関係を築かなくとも、己
が仕事に真摯に取り組めば共感してくれる人が現れるはずだ。周りから認められるリーダーには持って生
まれた資質より、公平・先見性・指針を示す能力・潔い責任の取り方の四つが重要である。努力次第でど
んな人にもできることである。
(講義の感想)
○リーダーに必要な公平・先見性・指針を示す能力・潔い責任の取り方、これら全てを身につけるには努
力が必要だ。努力するのは大変であるが、それを乗り越えた人がリーダーになれるのだと思った。
○原子力発電の問題は、最終処分の確立ができていないことだ。これができていないと将来の子孫に多大
な迷惑をかけることになる。現実的に、すぐに原発をやめることが難しい中、今自分たちだけ良ければい
いというのではなく、将来のことを考えて対策を立てていくべきだと思う。
○「心有る人には見らる やぶこうじ」という言葉が心に残った。自分がなすべきことを誠実に行ってい
れば、仮に目立たない存在であっても心有る人が必ず見てくれ、そして評価してくれると思うのでこれか
らもしっかり頑張っていきたい。
川勝 平太 氏 「国難と国土復興」
(講義要点)
震災後、知事会で支援先として岩手県が割り振られるとすぐに、派遣場所を被災地に近い遠野市に決め
岩手県に了解を取った。その翌日には、先遣隊を派遣し、現地の状況をつかみ、必要なものを用意して3
月25、26日に現地入りした。当時、被災地ではビタミンが不足しており、新鮮な野菜を準備して軽ト
ラックで運んだ。現地は瓦礫も多く軽トラックでしか入れない状況であったので、自動車会社と連携して
花巻空港に軽トラック10台を準備してもらった。
今回、被災地で働いた機関は自衛隊や米軍、ボランティアなど様々であったが、震災後すぐに動いたの
は、実は国の機関である東北地方整備局だ。地震後直ちにヘリを飛ばし、上空から被災状況を報告し対応
を開始した。啓開(通れるように道を切り開くこと)チームと、道路診断のプロ集団で協力し、瓦礫を撤
去し、支援のために道路をとりあえず通れるようにしていった。こういう場合、都道府県単位では、こう
いった組織的な動きは困難だ。私は、広域行政の最大の抵抗勢力は府県制だと考えている。多極分権が必
要だ。明治維新以前、日本は内政に関することは権力が分散し、外交や防衛、通貨に関わることを国の単
位で行っていた。先進国並みのGDP規模で、景観の似た地域といったくくりで地域性を留意して、多極
分権の一極を造り、内政に関わるもののみは全て権力をおろせばいいと思う。
震災で、天災だから津波だから仕方ないという、あきらめの気持ちがあるかもしれない。しかし、あき
らめは、言い換えると無常観で、無常は、常なるものはないということだ。暗い夜はずっと夜のままでは
ない、夜は必ず明ける。寒い冬は永遠には続かない。必ず雪解けがあり春はやってくる。無常観は、あき
らめを希望に変えるメカニズムを持っているのだ。
(講義の感想)
○国と地方の今後のあり方についてとても勉強になった。都道府県に捉われずにもっと大きい区切りで地
方分権を行えば、絶対に現状よりいい対応ができるはずだ。今、日本は新たな変革をする時が来たと本当
に思う。
○一番印象に残ったのは、
「明けない夜はない」という言葉。無常観と言うと、栄える時期は続かない、い
つかは全て滅んでしまうと考えがちだが、逆に悪いこともずっと続くわけではないということが強く印象
付けられた。悪い状況となっても、この言葉を信じて頑張っていきたい。
○内政を地方におろす、首都を移すといった話や富士山への独特な見方が心に残った。話に筋が通ってい
て、人柄もとても良い方なので、他の先生がおっしゃっていたように本当に総理大臣になってほしい。
21
宇佐元 恭一 氏 「『雨ニモマケズ』2011∼こんな時こそ∼」
(講義要点)
3月11日、皆さんはどこにいましたか?
「雨ニモマケズ」この曲を8年歌ってきた。何でこの歌が自分におりてきたのかよく分からなかった。
3月11日は、翌日岩手でコンサートがある予定で、岩手に向かっている途中だった。地震で引き返して、
テレビで津波の後の光景を見た。人生観が変わってしまうかのような景色だった。4月11日、避難所で
コンサートをやった。未だ余震が激しい時期で、こんな時期にやっていいか随分考えた。コンサート後、
中学生が、
「久々に音楽を聞きました。音楽っていいですね。食べ物と同じくらい大切」と言ってくれた。
すごく嬉しかった。力をもらった。震災後東北でこの歌を歌ってきた。震災後、この歌に新たな役割がで
きたようだ。
今、こうして生きて、こういう時間を共有できているって幸せなことだと思う。次世代のリーダーを目
指す皆さん、偉くなるとか出世するとかも大事。だけど、人の上に立とうとする人は、一番下の人の気持
ちの分かる人になってください。どんなハード、設備も、それを動かすのは、間違いなく人間の心です。
(講義の感想)
○私が一番心に残ったのは「雨ニモマケズ」。詩は知っていたが、曲がつくとあんなにも雰囲気が変わる
のかと驚いた。曲をつけることによって感情も表せていたと思う。
○「音楽は食べるものと同じくらい大切」という被災者の言葉から芸術の根底にある「生きててよかった」
と感じる美の意識こそ人間を人間たらしめているのだと思った。
○言葉にならないほど感動した。先生の歌を聴いているとリーダー塾での日々が思い出されて泣いてしま
った。また両親や先生方への感謝の気持ちを表すことができた。音楽には言葉では伝えられないことが伝
えられる気がする。音楽の力は凄い。
○凄く楽しかった。当たり前のことなんて一つもない、という言葉、とても心に残った。自分では分かっ
ているつもりだけど、ちゃんと自覚していないと忘れてしまう。それがこの言葉の意味なんだと思う。周
りにいるたくさんの人々、私を見守ってくれている人、全てに対し感謝の気持ちを忘れず、卒塾後も頑張
りたい。
22
6.塾期間における成果や今後の課題
第8回日本の次世代リーダー養成塾を終えて、塾生やクラス担任、学生リーダーへのアンケートを参考
に塾の様子や感じたこと、成果や今後の課題をまとめた。
塾生について
(1) 概要
塾生は、負担金をいただいている8の参画県(北海道、青森県、神奈川県、静岡県、岐阜県、和歌山県、
福岡県、佐賀県)推薦枠99名と、全国から選抜する一般公募枠55名、今年はそれに加え、被災地特別
枠11名の合計165名からなる。今年は、震災の関係で、残念ながら岩手県が参画できなくなった。そ
こで、被災地特別枠を新たに設けることとし、福岡県宗像市から補助金をいただき、日本航空株式会社よ
り塩害をうけた田畑を綿栽培で再生する「東北コットンプロジェクト」の一環として、被災地特別枠全員
分の航空券をご協賛いただいたおかげで、岩手県から10名、宮城県から1名の被災地からの塾生の無償
での参加が実現した。
塾生の一般公募枠の募集については、年度初めに全国の高校にポスターとパンフレットを学校長宛てに
送付するとともに、近年増えている卒塾生からの口コミによる応募に対応すべく、PRのツールとなる塾
生募集パンフレットを卒塾生に送っている。今年は、震災の関係で一般枠の面接を中止せざるを得なくな
ったため、書類のみで選考した。
今年のリーダー塾は、被災地特別枠を設けたためか、塾開始前から期間中にかけて取材依頼がかつてな
いほど多かった。地元放送メディア数社は、被災地特別枠の塾生を追いかけるミニドキュメンタリーを制
作してくださった。これら新聞や放送などのニュース報道を中心とした取材に加え、教育雑誌など専門誌
からの取材も多くなっていることは、リーダー塾が世間に浸透しつつある裏付けではないかと思う。今後、
さらに、再来年の10周年に向けて、卒塾生の追跡を含め、塾の開催がもたらす教育的な効果についての
広報の充実を図っていきたいと思う。
(2)背景・成果・課題
1. 大震災と塾の開催
今年は募集開始の一か月前に発生した3月11日の東日本大震災の影響で、一般枠の塾生については、
開塾以来、初めて面接は行わず、書類のみで選抜した。当初震災の影響が応募に大きく影響するのではと
予想したが、そのようなことはなく、昨年以上の応募があった。また、参画県の岩手県が、震災の影響に
て大変残念ながら参画を見送ることになった。しかし、このように大変な時だからこそ、将来のリーダー
育成に貢献したいという塾の方針に賛同し、今年も変わらぬご支援をしてくださった多くの皆さまに心か
ら感謝したい。
今回設けた被災地特別枠では、岩手県から10名、宮城県から1名の高校生が参加したが、2名は自宅
を津波で流されていた。入塾式の日、彼らの到着直後、被災地から参加ということで取材も多くあるだろ
うし、震災で受けた心の傷も考慮すべく、メディアへの露出の賛否などを聞こうと思い、スタッフが被災
地特別枠の塾生全員を集めて話をした。すると、
「せっかくこのような機会を与えていただいたので、ぜ
ひとも被災地の現状を皆さんに伝えたい。映像や写真も持ってきた」と自ら提案があった。そこで、急遽、
入塾式の後のオリエンテーションの時間を使って、発表を行うことになった。
まずは、大槌高校の校長先生より提供いただいた大槌町が津波で一瞬にして流される様子の生々しい映
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像が流れた。ビデオの冒頭部分では、そのようなことを予想もしていなかった楽観的な高校生たちの生の
声が聞こえてきたが、それが最後は悲鳴、嘆き、驚きの声に変わった。このビデオを紹介した塾生からは、
「途中気分が悪くなる人もいるかもしれません。その時は目をつぶって観ないようにしてください。しか
し、これが現実です。
」とあった。目をそらす塾生は一人もいなかったように思えた。
そして次は、自宅を流された塾生の発表。家族は犠牲にならずに済んだが、何もなくなってしまった自
宅の写真を淡々と紹介し続けた。この塾生は笑顔がとても印象的な塾生であった。テレビ局の取材のイン
タビューで彼女は、
「笑顔でなければ前に進めないから」と語っていた。この発表を皮切りに、ハイスク
ール国会を中心とした、165名の高校生による「ニッポン復興会議」が始まった。今回震災を体験した
塾生はもちろん、被災していない塾生の目も「何か貢献したい」というやる気に満ちていた。
被災地の様子を語る被災地特別枠の塾生
津波の瞬間のビデオを見る塾生
被災地特別枠の塾生の存在は、今回のリーダー塾で欠かせない存在であったと思う。被災地外の塾生は、
メディアや人伝えに聞く情報だけが情報源であるが、実際に被災した塾生と話すことで気づいたことがた
くさんあったようだ。また、被災地の塾生から情報を得て、ニーズを再検討し、すでに自分が企画実施し
ていた支援活動の方針について再考した者もいた。
今回はすべての塾生、スタッフの頭の中に、
「震災」
「被災者」など、3月11日の震災をいかなるとき
も意識するような、とても強い共通認識があったために、いつもよりも少し違った雰囲気の塾であった。
誰もが非常に強い使命感を持っていることが感じられた。この意識は、震災があったので強まったのであ
ろうが、塾としては、このような強い使命感をいつも持ち続けられるような人材を、継続して育てていく
ことが必要であると改めて感じた。
カリキュラムは、例年通りの教養を中心とした内容を軸に、大震災や原子力発電所について、様々な視
点で考える講義や見学などを加えた。今年で3回目となる「ハイスクール国会」は、「高校生によるニッ
ポン復興会議」と題し、事前の宿題から、自治体にインタビューさせるなどして、塾本番の国会に臨む準
備をさせた。また、それに加え、姜信子先生の講義の課題である「私の3月11日」の作文も提出させた。
今年は講師が多かったために、通常行っている毎講義後のディスカッションが少なく、ほとんどの議論
は「ハイスクール国会」での議論になった。ハイスクール国会の議論は、毎日行われるため、寝ても覚め
ても、
「大震災」のことを考えることになった。
2. 塾生の様子
昨年に続き、男子塾生の活躍が顕著であった。目立つ塾生
も、そうでない塾生もとても個性的であったと思う。リーダ
ーという観点からみると、広告塔になるリーダーの周りに実
務を中心に強力にサポートするサブリーダーがいて、そのサ
ブリーダーで組織が運営されているという印象を受けた。今
年、
「ハイスクール国会」では、一旦でき上がった党からの「離
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党」を認めた。すると優秀なサブリーダーたちがこぞって独立した。これは、皆にとって衝撃的であった。
独立したサブリーダーたちがリーダーになってどのような働きをするか、優秀なサブリーダーを失ったリ
ーダーたちがどう組織を立て直していくのかが注目された。
結果は、両者にとってとてもいい戦いができ、成長ができたと感じた。
過去の塾生も含め、当塾の塾生には周囲を気にして合わせていくという
傾向が多く見られた。今回はそのような殻を破ってほしいという思いも
あり、あえて波瀾万丈なストーリー展開ができるようにした。実際、後
に離党して新党を結成したリーダーたちは短時間で効率よく成果を上
げたし、サブリーダーを失ったリーダーも、この事実に自分の至らなさ
ハイスクール国会のディスカッ
ションにも参加してくださった
デビッド H.サターホワイト先生
を見出し、これまで以上に組織を活性化するように努めた。一つ非常に
残念だったのは、離党したメンバーが、
「国会外」の宿泊部屋などで非
常に肩身の狭い思いをしたらしいことである。塾では、議論での意見の
不一致と私生活は分けるように厳しく指導しているが、議論に慣れていないこともあって、その「けじめ」
をつけることができないようである。よって、離党したメンバーたちは、「裏切り者」になったような後
ろめたさを持つ塾生もおり、古巣のメンバーに私生活でも気を遣う結末となってしまった。これは、塾生
に限らず、日本人の悪い癖でもあると考える。
また、主に「ハイスクール国会」を通してであるが、165
名全員で議論する場を多く設けるようにした。それにより、
様々な人の意見を聞けるようにして、全員で作り上げていく一
体感を出すことが狙いであった。塾後半では、今までになかっ
た批判的な意見が数多く出て、議論がより活発化した。それに
より、波風立てず綺麗にまとめていくよりも、批判しあい、弱
点を直視することで内容が研磨され、より精度の高いものがで
休憩時間を惜しんで
安田喜憲先生に質問する塾生
きる過程を味わえたと思う。これも、真剣に「復興計画」を作
ハイスクール国会での第一党決定の瞬間
りたいという塾生の一心により実現したと思う。
また、講義の中の質疑応答でも、講師の意表を突くような鋭い質問も
出た。全体を通して、塾生の一人一人の一生懸命さが感じられた2週間
であったと感じた。
2週間で、多くの塾生が見違えるような成長を遂げたことが、塾生自
身、クラス担任、保護者のコメントからも見てとれる。しかし、同時に
まだまだ改善の余地も多いことから、以下には塾生が今後強化すべきと
休憩時間を惜しんで
安田喜憲先生に質問する塾生
思われる課題を挙げたい。
【礼儀】
多くの前半のクラス担任の先生方から、挨拶や基本的な礼儀ができていないという指摘があった。そこ
で、前半のクラス担任には、挨拶など基本的なマナーを指導していただく結果となった。指導しないと挨
拶ができないというのは、非常に残念であった。しかし、指導の成果は、少しずつ現れ、後半のクラス担
任からは、それらの指摘はほとんど受けないようになった。今回の塾の経験を通して、基本的なことがで
きる、より魅力的な人間になってもらうことを期待したい。
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【文章力】
近年講義の翌朝書かせていた講義レポートを、今年から講義直後、5分間に限定して書かせた。講義直
後の新鮮な記憶で書かせることと、限られた時間で自分の考えをまとめることを目的とした。内容に関し
ては、ほとんどの塾生が、ありきたりな内容を書いてきた。今回は、クラス担任に全て目を通してもらい、
内容によっては突き返すという作業を行ってもらった。
作家の姜信子先生の「書く」という講義で、
「自分の考えを自分の言葉で書くことの重要性」について
学んだ。姜先生には開塾前に「私の3月11日」という題で、塾生が書いた165名分の課題文を全てチ
ェックしていただいた。どれも同じような、あたりさわりのない文章で、読むのが「苦痛」であったとの
ご感想であった。文章力が弱い、オリジナリティーがないということである。講義では、姜先生の塾生へ
の飾らない力強いメッセージに、多くの塾生が感銘を受けた。その後の講義レポートや書禅では、より具
体的な意見が記述される変化が少し見られた。今後、本を多く読んで研鑽を積み、
「書く」ことを通して、
自分の考えを明確にすることも頑張ってほしい。以前に比べ、インターネットの普及により、ブログやS
NS、Eメールなどで、気軽に意見を世界に発信でき、
「書く量」は多いかもしれない。しかし、量や頻
度にとらわれ、書く内容への意識や、受け取った相手への配慮が低下していると考える。そのため、学校
裏サイトが生まれ、個人攻撃をし、身勝手な書き込みによりブログが炎上するなどの忌々しき事態が問題
になっている。文章は相手の顔の表情が見えないだけに、ついつい書き過ぎてしまう傾向がある。相手を
思いやる心を忘れずに、正確に、力強く、世界に発信する力をつけてもらいたい。
【企画力】
リーダー塾期間中、塾生は必ずどこかの委員会に所属し、責任もってその委員会の任務を遂行すること
としている。委員会は、クラスの責任者である学級委員をはじめ、日常生活にかかわる会場、掃除、入浴、
施錠などである。上記の文章力にも関連するが、今年初めて「新聞委員」を設けた。震災後、多くの方が
情報不足で苦しんだ経験をした。特に通信関係は被災地においては、何日も途絶え、情報がないことで心
細い思いをした方も多かったと思う。そのようなときに、各地でプロの記者から小学生までが行った新聞
づくりが、被災地の方々にとって、身近な生活情報を得られたことはもちろん、新聞によって日々感動さ
せられ、希望を与えられたというニュースを見て、この企画を思いついた次第である。また、新聞制作を
通して、限られた期間の中でも、物事を鋭く観察し、情報を収集・分析し、わかりやすく発信、さらには
社会に提言する力をつけてもらいたいと考えた。
当初、新聞委員長は決まったものの、話し合いが難航し、振り当てられた発行日をクラスごとで担当し、
内容もクラスに任せることになった。そこで、最初は全く統一感のない、企画の魅力が感じられない、場
当たり的な新聞がスタートした。講師の先生方やクラス担任にもインタビューしていたが、名前の漢字が
間違っていたり、敬称に全く気を付けていなかったりした。また、インタビューした内容をそのまま掲載
しただけで、そこに何の工夫もなかった。発行前には、すべて委員長が目を通し、事務局もチェックした。
事務局からは、何度も突き返されて悔しい思いもしたことであろう。しかし、その内容にも、日々オリジ
ナリティーが表れてきた。全国から塾生が集まっていることを活かし、地域の違いに目をつけた記事が登
場した。また、ハイスクール国会がターニングポイントを迎える時には、各党首にインタビューして、意
気込みを掲載した。内容には、まだまだ改善の余地は見られたが、毎日締め切りがある中で、企画、制作、
チェックを繰り返した経験が、今後彼らが様々なイベントにかかわっていく中で、役に立ってくれると期
待している。
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【体力、精神力】
人間関係が構築されていなかったクラスに体調不良者が顕著に多かった。おそらく、精神的に疲れ果て
て、体調が悪くなったためと考えられる。人間関係がうまくいかないことは、どの組織でもあるので、こ
れ自体が悪いとは全く思わないし、学べることが多くあると思う。しかし、多くの問題の内容を聞いてみ
ると、積極的な意見のぶつかり合いから悩み、改善に向けての意見の不一致というよりも、自分の思い通
りにならない他人を批判することから来ていた。また、この調整を塾生の中から買って出るものがおらず、
学生リーダーや担任が必死に立ち回っていたことは、非常に残念である。塾生には、異なることを受け入
れ、むしろ楽しむ心の余裕を持ってもらいたいし、リーダーとして、異なるものをまとめていく能力を身
につけてほしい。
【向上心】
例年のことであるが、カリキュラムが過密すぎる、もっと自由な時間がほしいという意見が今年も多く
あった。カリキュラムについては、休憩時間が短い時もあったし、静と動のカリキュラムがバランス良く
配置されていなかったところは、今後事務局としても改善していきたいと考える。しかし、塾生にまず考
えてほしいことは、文句を言う前に、自分の中で「最大限このチャンスを活かす努力をしたか」というこ
とである。時間的な点でいうと、おそらく、朝8時から夜21時までの活動は、日々の学校生活とさほど
違いがないものと考える。また、毎日体育やレクレーションの時間があるわけでもなく、ほぼ学校や塾で
講義を聞くことが多いと思われる。その点を考慮すると、リーダー塾のカリキュラムは、本当にきついの
か。さらには、リーダーになろうという志を持って、決して安いとは言えない10万円の参加費を払って
まで自らの意志で参加し、人生のたった2週間を親元から離れて、講師や仲間から最大限学べるものを掴
み取ってやろうという気概が、どれほどのものか。再度自問自答してほしいと思う。諸外国の学生は、寝
る間も惜しんで勉強していることを忘れないでほしい。そして、自己研鑽にどん欲になってほしい。
3. 塾生の問題意識
今年は、ハイスクール国会で復興計画を立てることになり、塾開催前から宿題として日本が直面してい
る課題に取り組み、塾期間中は連日、日本の国のあり方について議論していたためか、日本の国家として
のあり方について塾生の問題意識は高かった。九州電力会長の松尾新吾先生からご自身の講義の前に「現
時点での国家的課題は何か」という事前課題をいただいたため書禅の時間を使って塾生に書いてもらった
が、政治家の姿勢やメディアのあり方、復興、地震対策、電力、教育など幅広い分野で問題意識がうかが
えた。全体的な結果は、政治・リーダーシップ100名、日本経済・雇用53名、復興・地震対策49名、
電力・原子力発電・放射能48名、人材・教育27名、新エネルギー23名、情報・メディア21名、外
交・国防13名(複数回答)となった。各項目の塾生の詳細な意見は、69ページをご参照ください。
4. 塾後の卒塾生の様子
塾後に、塾生とその保護者にアンケートを行った。アンケートに回答した全ての塾生が、リーダー塾で
「ものの考え方や視点が変わった」と答えた。その中でも、「視野が広がった」と答えた者が3割で、デ
ィスカッションなどを通して「異なる意見も受け入れられるようになった」が2割であった。新たに興味
を持つようになった分野に関しては、一番多い「政治国際情勢」が3割、その次に「海外」が2割であっ
た。保護者のアンケートで目立ったのが、塾後「留学したい」と言い出した卒塾生が多く、中には「今の
学校をすぐに退学して留学したい」と言う者もいたとのことだ。日本の若者が内向きといわれている中で、
塾期間で世界の様々な情勢に触れ、講師に叱咤激励され、実際に海外に留学している塾生も多かったこと
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から、彼らにも大きな刺激を受けたと思われる。
また、ハイスクール国会で話し合った様々な大震災の支援活動を、さらに発展させている様子が伺える。
ハイスクール国会の中で多く出た意見の中で、日ごろの防災訓練が真剣ではないという点があった。各自
が学校に戻って、校長先生に防災訓練について提言しようという全員での誓いもあったことから、多くの
8期生が早速学校の先生に提案をしたようである。中には、防災訓練のために予算をつけてもらうことに
成功した塾生もいたが、先生に取り合ってもらえず、仲間にアドバイスを求めていた者もいた。また、被
災地支援のための NPO 法人の設立を真剣に検討したり、仮設住宅訪問などの独自のボランティア活動を
計画している者もいる。塾生の事後アンケートの中で多く書かれていたコメントに、「やればできると思
えるようになった」
「まずは挑戦してみることができるようになった」とあった。今までであれば、人ご
とで済ませ、あきらめていたことを、自分のこととして捕らえ、行動に移すまでに成長した塾生を頼もし
く思う。
(3) 参加しての感想
全国に強い絆の仲間ができ、そして日本の現状についてのディスカッションができた。
意識の高い同年代の仲間と2週間一緒に過ごしたことで、刺激し合い、お互いに様々なことを吸収で
きたことがとても良かった。
全国の精鋭の人たちと、熱い討論を交わせて色々な意見、観点を養うことができた。
一流の講師の先生のお話を聞くことができ、たくさん学ぶものがあった。
講師の先生のお話は本当に涙が出るくらい感動し、人生観が変わった。自分は井の中の蛙だと思い知
った。
感銘を受けたこともたくさんあったし、色々な人がいて世界は広いと感じた。本音で友達と話せた。
自分の好きなこと、将来なりたいものを見つめ直すことができた。ディスカッションが好きになった。
自分の意見を人前で言うことができた。反論もされたが、たくさんのことを知ることができた。
今までの自分と何か大きく変われた。スイッチが入ったような気がする。もっと勉強したいと思えた。
自分の知識量の少なさ、普通のことができていないことに気づいた。自分よりも生き生きしている
人々に出会えたこと。
自分の弱さを知れた。自分の良さを知れた。強く生きる自信をもらえた。
自分の視野を広げられた。講師の方のお話やグループディスカッションで他の人の意見を聞いて、多
方面から物事を見られるようになった。
自分が今までいかに小さい範囲でしか行動してなかったか、世界の広さ、自分と同世代の人との違い
に気づけた。
真面目なことを真面目に話し合える喜びを感じた。
強い意志を持っていれば、誰かが一緒に動いてくれて、誰かが自分を支えてくれる。仲間の素晴らし
さを感じた。
来たときはおぼろげだった将来の夢が、リーダー塾にきて明確になった。好きなことを共有できる友
達ができた。
いっぱい刺激を受けることができた。なによりもモチベーションが上がった。
参加したみんな一人一人が強い意志を持っていて、自分ももっとしっかりした人間になりたいと思い、
向上心を持って、将来に対する決意がしっかりと固まった。
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29
クラス担任
(1) 概要
今年は、7クラスを14名のクラス担任に塾生の指南役として
ご尽力いただいた。1クラスは、23名∼24名程度で、前半と
後半で一週間ずつ担当していただいた。今回初めて、事前のクラ
ス担任研修を、リーダー塾を開催するグローバルアリーナで行っ
た。塾の概要、カリキュラムの概要などを一通り説明し、前半、
後半で担当していただく企画などの打合せを行った。また、ハイ
スクール国会で復興計画の主要テーマとなるエネルギー問題について九州電力の専門家をお招きし、レク
チャーしていただいた。また、懇親会では、クラス担任の経験者も招いて、例年の塾の様子やクラス担任
の仕事内容について経験を共有してもらう場を設けた。
塾本番では、クラス担任には、前半後半ともに生活面も含めかなり厳しく指導していただいた。次ペー
ジにクラス担任として参加した感想を紹介するが、全体的には高校生の成長に感激する一方、当初、「挨
拶ができない」
「大人を喜ばせるようなことを意識して言う」
「高校生らしい発想があまり見られない」な
ど、クラス担任の皆さまが描いていたリーダー塾に来る高校生のイメージと比較して、マイナスイメージ
を持たれた方が多かったようである。挨拶など基本的なことについては、ぜひとも家庭や学校でしつけを
お願いしたいところであるが、リーダーである前に人としての基本であることから、前半のクラス担任の
皆さまには、そのような挨拶やマナーをはじめとした道徳教育に注力していただく結果になった。基本が
できていなかったことは大変残念であったが、これは大人がきちんとできているか、大人がきちんと子供
にしつけをできているかを問う日本社会の課題であるとも考える。今回参加した塾生にとっては、将来社
会に出て必要不可欠な礼儀をこの機会に学べたことから、クラス担任の感想を見ても、この点で成長でき
たと思う。
また、ハイスクール国会においては、主に関わっていただいた後半のクラス担任の皆さまから、部下や
後輩を指導した経験値や様々なアイディアで、塾生が様々な場面で求められる力を試すために、積極的か
つ多大なご尽力をいただいた。塾生を我が子のように時には厳しく、時には優しく指導していただいたク
ラス担任の皆さまに、心より感謝したい。また、クラス担任のアシスタント役を務めた卒塾生のОB・О
Gからなる学生リーダーにとっても、社会人の仕事ぶりを間近でみるとても良い機会となった。
【クラス担任派遣企業】
(五十音順)
株式会社麻生
学校法人麻生塾
麻生専門学校グループ
九州電力株式会社
住友信託銀行株式会社
株式会社西部技研
学校法人筑紫女学園
日本アイ・ビー・エム株式会社
日本アイ・ビー・エムシステムズ・エンジニアリング株式会社
株式会社ふくや
株式会社ミズ
三井住友海上火災保険株式会社
三井物産株式会社
株式会社三菱東京UFJ銀行
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(2)参加しての感想
クラス担任を通して、日本の将来を真剣に考えている高校生がこれだけ存在していることを知り、ま
だまだ日本は成長していけるという未来と期待を感じることができました。またそのための教育をリ
ーダー塾の活動に微力ながらクラス担任として参画できたことを誇りに思います。
「得られたこと」
:高校生が成長する様を感じられたこと、求めれば応えてくれる感覚が鋭いこと。
「感じたこと」
:塾への高い期待の一部にクラス担任への期待も含まれていると感じました。どの生
徒も真剣でした。
「塾生の成長」を一番の目的としたときに、各担任の先生方の多種多様な考え方、そして指導方法の
違い、一つの目的のために皆様とディスカッションをしながら、自問自答を繰り返し、目的達成に向
けて、自分自身への行動へと移していくことは、これからの仕事に対する姿勢として大切にして参り
ます。もっと自分を成長させたいという気持ちがリーダー塾を終えて強く思っていることです。
クラス23名を眺めた時に、周囲への配慮を怠らない者、積極的にリードしようとする者、みんなの
輪の中に導くように手を差し伸べる者、それぞれがいろいろな役割を担うことで集団が成り立つこと
を改めて感じとることができました。
塾生が純粋に夢を語る姿を見て、夢をもつことの大切さを再確認することができました。また、高校
生が目に見えて一日ごとに成長する姿を見て、高校生を育てる環境の大切さを実感しました。
希望に満ちた高校生たちと触れ合う一週間は、自分は何者なのか、何を人生で実現したいのか、とい
った原点に立ち返り、深く考える上で大変貴重でした。
最も自分が勉強になったことは、仕事の「本来の目的」をよく考えるようになったことです。今回の
目的は「塾生の成長」であり、最優先すべきは塾生であったと思います。しかし、時にはいろいろな
事情から完璧に目的を達成することが難しいことがあったと思います。社会人として自分もそういう
経験もしているため、そのような場面で「まあ、仕方ないかな」と自然と妥協してしまう姿勢があり
ました。しかし、今回ある意味、第三者としてのポジションで参加させていただき、クラス担任や事
務局の皆さんとディスカッションさせていただく中で、本来の目的が何であるのかの軸をぶらさずに
物事を考えるようになれたと思います。この経験を仕事にも必ず活かしていけると思います。
職場での部下を指導するのとまた違う、人を指導することの難しさを感じました。特に信頼関係をど
のように築くかに腐心した一週間でした。
高校生たちの伸びしろと希望に満ちた目に、日本の将来は決して暗くないし、暗くしてはいけないと
いう思いを強くしました。
(3)成果・課題
<クラス担任研修>
今年は事前研修を本番のリーダー塾と同じグローバルアリーナ
にて1泊2日で行った。そのため、現地視察も兼ねることで、塾参
加初日の1時間近くの説明時間が割愛でき、その他のオリエンテー
九州電力の専門家による講義
ションをより丁寧に行うことができた。また、本番の塾についても、現地を事前に見ることで、例年と比
べ、よりイメージしやすかったのではと考える。また、ハイスクール国会において、顧問をお願いする予
定であったことから、塾生も興味関心が高いと思われるエネルギー問題の知識を深めるため、九州電力の
専門家にお話を伺った。
研修では、こちらから塾の概要や担任の業務内容などの説明を行い、概ねご理解いただけたようである
が、実際の自分の役割の具体的なイメージが掴み難かったというお声をいただいた。改善提案としては、
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クラス担任が活躍する写真や映像を多く見せてもらいたかった、経験者からより細かく話を聞きたかった
というものであった。これらについては、来年のクラス担任研修で配慮したいと考える。しかし、事前研
修で先入観を植え付けてしまうと、新たな試みが生まれにくかった過去の経緯もあることから、提供する
情報については過分にならないように気をつけたい。
<クラス担任の役割>
クラス担任の主な役割として、担当するクラスの塾生の管理、ク
ラス運営、塾運営のサポート、それに加えクラスを超えたハイスク
ール国会での顧問の役割がある。ハイスクール国会での役割につい
ては、別の欄で記載したい。
昨年までは、クラスの塾生一人一人のコミュニケーションツール
として、日々感じたことを「ふりかえり日記」として塾生からクラ
ス担任に毎日提出させて、クラス担任にコメントを書いて返却して
もらっていた。しかし、そのコメント記入に多大な時間を要し、他のカリキュラムに影響するなど本末転
倒してしまったため、今年から廃止にした。
今年は、講義後のグループディスカッションが少なかったことから、クラス担任が個々の塾生を観察・
指導したり、話したりする時間があまりとれず、一人一人に合った細かな指導ができなかったと悔やまれ
るクラス担任が多かった。中には、前述したふりかえり日記のようなものを何日か提出させ、時間がない
中でコミュニケーションをとろうとされたクラス担任や、必要に応じて数人の塾生と、またクラスの塾生
全員と個人面談を設けたクラス担任もいらっしゃった。その方々は、その個人面談がその後の塾生に大き
な変化をもたらし、実施した価値が非常にあったとのことであった。指導される側も、全体の中の一人で
はなくて、自分のためだけに指導してもらえることに対して、指導された内容に対しての意識も高くなっ
たようである。
今年から講義終了直後に講義レポートを記載させ、クラス担任にはその講義レポートに目を通してもら
い、内容によっては突き返すという作業をお願いした。それにより、
「感想文のような抽象的な文言が多
かったが、徐々に自分自身の考えや具体的な言葉も多くなり始めた。そのような塾生はディスカッション
において発言で自分の考えを具体的に伝えることができるようになってきた」という成果を実感されたク
ラス担任もいた。また、作家の姜信子先生の講義により、
「自分の言葉で書く」ことを意識する塾生が多
くなったという報告もあった。
ほとんどのクラス担任より、カリキュラムが過密過ぎるとのご意見があった。今年は特に講師が多かっ
たこともあり、講義後のグループディスカッションも少なかったために、講義で学んだ内容をじっくり掘
り下げる時間もなく、塾生が消化不良気味となってしまったとのことであった。ま
た、塾生だけでなく、事務局やスタッフなど指導する側もカリキュラムについて行
くのに必死であったことから、2週間を「こなす」ことに注力し過ぎているという
ご指摘が多かった。カリキュラムに自由時間が少ないことから、塾生を指導したく
てもする時間がないという弊害があったようである。特に後半のクラス担任は、途
中からクラスに入るのに加え、クラスでのディスカッションが一度しかなかった。
来年は、塾の質をきめ細やかな塾生指導の面からも上げるという意味で、講義の数
を減らし、個々の塾生を指導する時間や、例年のような講義の内容を深めるディスカッションの時間を十
分確保できるカリキュラムにしたいと考える。
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<ハイスクール国会での顧問の役割>
クラス担任のハイスクール国会における立場については、発足以来「アドバイザー的立場」で指導をお
願いしている。過去にもあったが、顧問の関与の度合いが難しかったというお声が何度か挙がった。しか
し、過去3回実施して、クラス担任が関与すると、塾生がすぐにクラス担任に答えを求めようとすること
から、過度な指導で自主性を失わせるより、自分たちですべてをやり遂げる中で、失敗も経験することの
方が意味があると考える。具体的な関与の度合いについては、その時のメンバー、ケース、議題、雰囲気
で全く異なる。そのため、マニュアルを作成し、どのチームでも同じように指導するのは非常に困難であ
ることから、ハイスクール国会の意義を十分にクラス担任に説明した上で、今まで通り、ある程度は現場
でのクラス担任の判断にお任せする方が、塾生も一辺倒ではない、変化に富んだ指導を受けることができ、
刺激も多いのではと考える。
ハイスクール国会については、事前研修で過去のハイスクール国
会での様子や政策内容などの情報提供や、指導方針をより明確にし
てほしいという改善点が挙がった。情報提供については、手探りで
始めた当初に比べ、3回の実施で狙いと効果もある程度明確になっ
てきたことから、来年はより分かりやすい資料や説明を心がけたい。
塾途中、このハイスクール国会でパフォーマンスが得意な塾生ば
かりが党首に選ばれるなどして目立ってきたことから、数名のク
ラス担任から、
「このハイスクール国会は、パフォーマンスが得
ハイスクール国会での
選挙の開票作業をするクラス担任
意なリーダーを育てる試みなのか」と、国会の意義が理解できな
いというお声があった。塾途中でこのような疑問を抱かせてしまったのは、事前の説明不足が主な原因で
あると考える。企業でのリーダー育成と社会経験がほとんどない高校生のリーダー育成の違い、またリー
ダー塾のリーダー育成方針についてももっと丁寧に説明しておくべきであったと反省する。ハイスクール
国会の狙いなどについては、ハイスクール国会の報告のページ(43ページ)をご参照ください。
<クラス担任の指導の経験より>
下記は、クラス担任のアンケートから、主に指導に関して気をつけていただいた点やその感想などを紹
介する。
塾生の良いと思った意見を褒めてあげると、どんどん活発に意見を出すようになり驚きました。そう
すると、意見を出さない塾生も意見を言い出すので、塾生のポテンシャルは高いし、環境が成長に大
きな影響を与えることをまざまざと見た気がしました。
最後に一見とりとめもないような塾生の議論をきちっとまとめてあげると、塾生の顔がパッと明るく
なったので、ディスカッションというものを少し理解してもらえた気がします。
難しい問題でもまずは自分で考えてみるということを指導するように心がけていました。塾生たちは、
「正解」を求める傾向が強く、自分では考えずに、人に聞くことで解決しようとしていました。その
ため最初は特に口出しせずに、議論が論点から外れた時に軌道修正をし、異なる観点を与えるなどの
対応をしました。
社会的なルール・気配り・マナーの面では、全体的に何度も指導しました。中盤になると、講義の席
を積極的に前に座る子、開始の5分前に着席する姿勢、講義目前に雑談する者へ注意する塾生も出て
来て、その成長を感じることができました。
HRで「あいさつ」の基本について話し、自分から先にすること、ついでの一言を添えることの大切
さを伝えたところ、数名に関しては翌日から劇的に変化したことを嬉しく感じました。
33
厳しいスケジュールながら、3分∼5分の個人面談を決行しました。全員が楽しみにしていた様子で
あったことに加え、面談後にお礼を述べてくれたことから、3分∼5分とはいえども、塾生にとって
は充実した時間だったと思います。
毎朝、朝礼時の体操を日課とし、塾生からは「目が覚める」などの反応がありました。
卒塾時に他のクラスの塾生が、
「先生のあの時の一言で変われました」と泣きながら言いに来てくれ
たのには、涙が出ました。
自分の知らない自分を知ることは自身の成長に繋がるので、そのためには相手の意見を聞く事が重要
である事を理解して欲しかったです。
非常に素直な子供たちが多かったと感じましたが、人間教育的な部分は自分が描いていた高校生より
も低かった。大きなものを成し得るには、まず、当たり前の事を当たり前にできる人間になってもら
いたいと思い、クラスの指導を行いました。
目的を忘れないために振り返りの時間を設ける事で、個人の目標や考えも浸透したと思います。常に自分
自身を軌道修正する事が大切だと感じました。
皆のために自分自身に何ができるのか、集団生活では一人のミスは全員のミスという方向で指導をし
ました。自分は大丈夫などと自分の事だけ考えるのではなく、チーム全体の事を考える。それができ
ない人間がリーダーになれるわけがないということを厳しく指導しました。
私が期間中伝えていた基本的な事を忠実に行う大切さについて、その意味が今振り返ると理解できた
と塾生から手紙を頂きました。私自身参加して良かったと深く感じました。
学校でそうなのか、自分では何も考えずにとりあえず先生に聞くという習慣が身についている塾生が
多いという印象を受けました。そうではなく「塾生に気付かせる、考えさせる」ことを意識して指導
するようにしました。
そもそも自分は何を目指してここに居るのかを意識させ、講義、ディスカッションを含めた塾での生
活すべてがその「目的」を達成するための「手段」であることを意識して行動するようにことあるご
とに伝えました。
34
学生リーダー
(1) 概要
学生リーダーとして、塾生の生活面のサポートや指導を行う「クラス生活担当」7名と事務局の補佐的
役割を担う「事務局担当」4名の合計11名を大学生ボランティアとして採用した。今年はうち10名が
卒塾生であった。塾本番の約1カ月前には、東京の事務局で学生リーダーの事前研修を行い、研修後、学
生リーダーとクラス担任とが連絡を取り合い、自主的に事前にメールなどを通じて、クラス運営について
の意見交換に努めた。
「クラス生活担当」は、塾生の生活面での指導や管理を主な業務としながら、塾生と年齢的に近い特徴
を活かし、お兄さんお姉さん役として塾期間中の生活面の指導や今後の進路などの相談に乗るなど、塾生
とクラス担任の間をとりもつ存在である。
「事務局担当」は、講義の撮影や録音、事務局での物品準備など目立たないが、リーダー塾を陰で支え
る縁の下の力もちの存在としてなくてはならない。昨今、目立つことは率先する学生が多い中で、今年は
敢えて事務局を志望してきた学生がいたことは嬉しかった。
今年の学生リーダーも卒塾生を中心に募集した。例年は学生リーダーの数を確保することにかなり苦心
するが、今年は卒塾生の数も増えたためか学生リーダーの応募数も多く、多数の応募者を不合格とせざる
を得なかったことは非常に心苦しかった。自分が塾生としてリーダー塾で学んだことに感謝し、後輩たち
がよりよい環境で学ぶように支える使命感を持っている学生を選ぶように心がけた。
リーダー塾期間中は、クラス担任と二人三脚で密に連絡をとりながら、率先して塾生に関わり、自らも
成長しようとする努力が見られた。今年は全体のミーティングを行う前に事務局と学生リーダーのミーテ
ィングを行ったが、そのミーティングの進め方や内容について学生リーダー側から改善点を積極的に挙げ
るなどの意識の高さを垣間見せる場面もあった。毎年、学生リーダーは、塾生と同じ位置に立つのではな
く、指導する立場にあることを繰り返し指導している。いまだ塾生との距離間がつかめない場合が見受け
られるため、さらなる指導をしていきたいと思う。
学生リーダーの様子については、成果・課題の部分で触れたい。
【学生リーダーの所属大学は以下のとおり。
】
(五十音順)
学習院大学
九州大学
慶應義塾大学
国際基督教大学
駒澤大学
上智大学
仙台大学
立命館アジア太平洋大学
延世大学校(韓国)
Northeastern University(米国)
35
(2) 成果・課題
<クラス生活担当>
クラス生活担当の学生リーダーにとって、2週間の塾生たちとの生活と、社会人であるクラス担任との
関わりによって、自身も成長する貴重な経験となったようだ。
クラス生活担当の学生リーダーには、社会人のクラス担任とともにクラス運営に携わってもらったが、
塾生の就寝時間や施設利用の際のルールなど生活面での指導は学生リーダーに全てを任せた。学生リーダ
ーは自分の経験を活かしつつも、あくまでも指導者としての立場で試行錯誤をしながら指導を行っていた。
塾生への指導について当初どのように指導したらよいか悩んでいたようだが、毅然とした態度で言葉にも
緩急をつけ、なぜ注意をするのか理由を加えることにより塾生も素直に注意を受け入れるようになった。
塾生と年齢が近いこともあり進路や人間関係について相談を受けていた。そして、今までの経験を踏まえ
アドバイスを行い、卒塾後も連絡を取り合いながらフォローしているようで塾生にとって良い先輩となっ
ている。
クラス担任からは学生リーダーは、自分の考えをしっかり持っていて、塾及び塾生に対し熱い思いを持
って行動していると見えていた。クラス担任とお互いに塾生の情報が共有できるよう頻繁に会議をしたこ
とでお互いの交流も深められた。特に気になる塾生には学生リーダーから声をかけ、その情報をクラス担
任にフィードバックすることでお互いの信頼関係を構築していた。後半のクラス担任には前半の塾生の活
動状況などを報告するなどクラス担任がうまく塾生に馴染めるよう努力する姿があった。しかし、まだ若
く指導をする経験が足りない学生リーダーもいたようで、塾生と悪い意味で同化してしまうなど問題点が
なかったわけではない。
2週間もの長期間にわたり、高校生の指導や相談相手としてその役割を頑張っていたが、やはり塾後半
では体力の低下とともに、自らが学生リーダーとして参加した目的が少しおろそかになっていった部分も
見られた。この点は、その時々で注意を促すことで彼らの成長につなげることができたのではないかと思
われる。また、クラス担任からは、社会人の指導方法など学ぶところも多くあったようである。
今回の反省点としては、例年以上にスケジュールが過密であり、クラス単位や塾生と学生リーダー、ク
ラス担任と学生リーダーがじっくり話し合う時間が取れなかったことで、この点を踏まえ、来年はミーテ
ィング内容や時間を工夫したい。
<事務局担当>
事務局学生リーダーは定型的な業務に加え、刻々と進行するスケジュールに対応し資料の作成や物品の
準備など事務局の指示に従い着実に業務をこなしていた。また、前日から会場のグローバルアリーナにお
いて、入塾式の準備や初日の塾生の受付、配布物の準備に学生リーダーの協力を得られたため、スムーズ
な準備ができた。
事務局担当学生リーダーは講義中の撮影や録音など様々な業務があるが、各業務の責任者を定め、学生
リーダーの責任感を育成する場とした。事務局学生リーダーは各自の役割を責任をもって担ってくれた。
しかし、塾終盤は、体力の低下とともに時間にルーズになる姿も見られた。この経験を活かし、今後は最
後まで気を抜かずにやり遂げることを意識できるようになってもらいたい。
<今後の課題>
学生リーダーは、指導する立場にあるという意識を持ち続けるように塾開始以前から意識を高める研修
ができる工夫をしたい。また、塾開始前から運営のサポートを経験させ、参加意識を高められるようにし
たいと考える。また体力低下により業務に支障が出ないよう塾期間中の自己管理を徹底させたい。
36
(3)参加しての感想
伝え方や指導する難しさを痛感し、自分の未熟さも見つめ直す機会になった。とてもいい勉強をさせ
てもらった。
今自分に足りないものが明確化されたように感じた。クラス担任、他学生リーダーと一緒になって塾
を作り上げたことで、チームワークの大切さ、また、リーダーと言えども一人ではなく周りの人々に
支えられているということを改めて感じた。
学習意欲のある高校生が今どのように考え、どんな活動をしているのかを知り、自分も刺激を受け自
分にできることがもっとあるということを気付かされた。
2週間という短い間ながらも、自分なりのリーダーシップを発揮しクラスを引っ張ってきた。しかし、
まだ足りない部分も多く、この学生リーダーを通して見えてきた足りないものを、次にリーダーとし
てチームを引っ張っていくときには気をつけていきたいと思う。
高校生とどのように接したらよいか理解することができ、先頭に立つ難しさ、支える側の大切さを再
認識することができた。
本当に貴重な体験、ありがとうございました。もっとリーダー塾が日本中・世界中に認知してもらえ
ればいいと思いますし、ここで得られる体験という物は最高なものになると思います。
塾生のために何かしてあげたい、塾生の様々な場面での気付きをサポートしてあげたいと思っていた
が、実際に参加してみると、塾生に何かをしてあげる以上に私自身が彼らから学ぶこと、刺激を受け
ることが多く、塾生として参加していた3年前よりも何倍も濃い2週間を過ごすことができた。
人と人との関わりの大切さを感じることができ、自分の夢を語る高校生を見て、もう一度自分が目指
すものについて考えるきっかけになった。
講義や塾生の反応を見ながら、自分はこれからどの方向へ行けばいいのか考えることができた。普段
いつも悩んでいることだが、塾を通して普段とは違う視線から自分の状況をみることができた、リー
ダー塾は大学生にも刺激を与えていると気付いた。
学生リーダー事前研修
塾初日に自己紹介をする学生リーダー
37
カリキュラムについて
(1)全般
今年は、3月11日に発生した東日本大震災からの復興を主テーマとし、団体や個人で支援活動に関わ
る講師や、災害や復興政策に詳しい各界の講師を招き、様々な立場からの意見や情報に触れ、これから日
本の国がどうあるべきか、自分たちがどう学び成長していくべきかを、それぞれが真剣に考える良い機会
となった。また、震災後に大きな課題になっているエネルギーの問題については、原子力発電の今後の在
り方を考えるために、様々な講師からエネルギー問題についての考えを聞くとともに、原子力発電所を見
学して、現在の日本のエネルギー供給の現状ならびに今後の課題について考えた。
期間中に九州電力の原子力発電所に対する地元説明会をめぐる「やらせメール問題」が連日、大きく報
じられる中で渦中にある講師が登壇することがあり、取材陣が殺到する場面もあった。その都度、なぜ、
取材が多いのかを塾生に説明した。通常は、講師の講義をメディアに公開することを原則にしているが、
あまりのカメラの多さに塾生が集中して講義を受けられなくなると判断し、会場内への取材陣の入場を制
限することもあった。講師も塾生もメディアから注目される中、渦中の問題にも触れながらエネルギー問
題の本質について真剣勝負の議論ができた。このことは塾生にとって、タイムリーな課題に臆することな
く挑む格好の現場を学ぶ場となった。
(2)今年の特徴的なカリキュラムについて
【佐賀フィールドトリップと玄海原子力発電所見学】
期間中の8月5日から8月7日の2泊3日、グローバル
アリーナを離れ、佐賀県の波戸岬少年自然の家に宿泊し、
九州電力の玄海原子力発電所見学を行なった。
講師には、
「はやぶさ」のプロジェクトマネージャの川
口淳一郎先生をはじめ、薩摩焼十五代沈壽官先生や映画プ
ロデューサー李鳳宇先生から、何かを創り出すこと、表現
することを通して、何かを成し遂げる時に必要な心構えや
その課程の大切さについて学んだ。
「名護屋城博物館見学」では日本と朝鮮半島の交流の歴史と関係について学んだ。
呼子名物萬坊のイカの活き作り
名護屋城博物館の本丸跡地
名護屋城博物館
川口先生には、7年間にわたる小惑星「イトカワ」への探査を成功させた小惑星探査機「はやぶさ」の
プロジェクトについて、お話しいただいた。「はやぶさ」からの送信機能が働かなくなった際の、位置を
つかむまでの試行錯誤、地球からの指示に懸命に機体を動かして反応する「はやぶさ」は我々のパートナ
ーだった、というお話は、非常に感動的であった。
『「はやぶさ」は、その身を挺して地球に「イトカワ」
の砂の入ったカプセルを届け、散っていった。その時の感想は、お帰り、というものではない。強いて言
38
えば悲しいし辛かった。だからこそ、この経験を活かして、必ず次の探査機の開
発につなげてみせる』というお言葉に、塾生たちはあきらめないことの大切さを
学んだ。
また、7年という長い期間、モチベーションを下げないために、研究室のポッ
トのお湯を絶やさないように心がけたというエピソードには、こんな感想
川口淳一郎先生
があった。
『
「毎朝、ポットのお湯をかえておく」という行動にリーダーとはどうあ
るべきなのかということが含まれているように感じた。自分の目指すリーダーは多
分、多くの人が想像するようなリーダーとは違う。フォロアーシップを持ち、誰が
リーダーになったとしても素晴らしい仕事をする集団を作ることがリーダーシッ
プではないかと思う』
。
九州電力の「やらせメール問題」の渦中にあったため、玄海原子力発電所の見学
には賛否両論あった。しかし、エネルギー問題はハイスクール国会の主要テーマであり、原子力発電の仕
組みをきちんと知った上でエネルギー問題をしっかり論議してもらいたいと考え、予定通り実施した。玄
海原子力発電所見学では、玄海エネルギーパーク館内で、原子力発電の仕組みを模型などで分かりやすく
紹介した展示を見学し、また、玄海原子力発電所で採用している原子炉の仕組みや安全対策について、係
員の方から詳しく説明を受けた。塾生からは、福島第一原発の事故を踏まえ「同様の状況の発生は玄海原
発では想定されているのか」
「事故後の地元の方の反応はどうか」といった質問があり、いずれの質問に
も丁寧に応じていただいた。見学では、実際の発電所構内へも入ることができ、バス車窓からの建屋見学
の経験は、ハイスクール国会でエネルギー問題を議論していた塾生にとって、得難い経験となっていた。
ハイスクール国会では、その後エネルギーに関する白熱した議論が何度も行われた。最終的にまとめられ
たマニフェストでは、現実的にすぐに脱原子力発電をすることは難しいので、今後50年かけて、原子力
発電から自然エネルギーへ移行していくという政策が盛り込まれた。
九州電力玄海原子力発電所見学
九州電力玄海原子力発電所で説明を受ける塾生
39
【みそ汁コンテスト】
昨年に引き続き、8月2日に塾生たちがみそ汁を作る「みそ汁コンテスト」を開催した。食材は宗像市
にある「道の駅むなかた」で販売されている食材の中から5品目選び各クラスがその味を競うものとした。
まず、16時からフンドーキン醤油株式会社の小手川強二社長に「発酵食品の魅力」と題して講義をし
ていただき、
「麹菌は、空気がないと生きられないが、空気たっぷりの環境で醤油や味噌を造ると、あま
り良い麹菌に育たない。脳天気な麹菌になってしまう。空気をあまりあげない、菌が生きていけるぎりぎ
りの環境で育てると素晴らしい麹菌になる。何もかも充足しているそんな環境よりも、厳しい環境で育て
る方が良いものが育つ。みなさんも少し厳しい環境で頑張ってほしい」とエールをいただいた。
小手川先生の講義の後、各クラスはグローバルアリーナのバーベキュー広場に会場を移動し、いよいよ
みそ汁の調理が始まった。各クラス一つのかまどを使い、塾生は、食材を切る、洗いものをする、かまど
の火を調整する、など各々の力を発揮できそうな場所で、互いに役割分担をしながらそれぞれ工夫を凝ら
したみそ汁を完成することができた。
小手川強二先生のご講義の様子
みそ汁を調理する塾生
調理終了後は食堂に場所を移し、自分たちの作ったみそ汁に舌鼓。煙に悪戦苦闘しながら自分で調理した
こともあり、家庭で味わうみそ汁とは一味違う味に感激した様子だった。
食堂にて自分たちのみそ汁を味わう塾生
各クラスが作ったみそ汁は、フンドーキン醤油株式会社の小手川強二社長ご夫妻、宗像市長の谷井博美
氏、西日本新聞経営企画室長の藤井通彦氏、日本の次世代リーダー養成塾事務局長の加藤暁子が審査員と
して試食し、最優秀賞を決定した。
保護者の事後アンケートには、塾生が帰宅してさっそくみそ汁を作ってくれたというコメントもあった。
日本の食文化を学ぶという意味でも、非常に貴重な体験になったと思う。
各クラスの工夫を凝らしたみそ汁
審査員によるみそ汁審査
40
【書く力を鍛える作文ワーク】
今年は、自分の考えを分かりやすく文章で表現する力を鍛えるために、
「書
く」ことに特化した時間を初めて設けた。
まず、「私の3月11日」という題で、塾生は開塾前に宿題として作文を
提出し、事前に講師である作家の姜信子先生に読んでもらい、165名全て
の作文にコメントをいただいた。塾生たちの作文に対する総評は、書き手の
意志が伝わってこないというものであった。同じような表現、同じような描
姜信子先生
写が続き、クローンのような作文がほぼ165本続いたため、
「シーシュポスの岩か賽の河原か」
、といっ
た読み手にとって苦痛や徒労とも表現できる感想を持たれたようであった。書き手の意志がある程度伝わ
ってきた作品は、165本中、2本程度だったとのこと。
塾では、
「書く」ことをテーマに、ご講義いただいた。
「世の中に溢れてい
る言葉をそのまま用いてはいないか、言葉というものは命がけで出さなけれ
ばならない、世の中に溢れている言葉をただ引用するようなことでは駄目な
んだ」というお話しに、塾生たちは、それぞれ書くという行為を見つめ直し
ていた。
その後は再度新たな課題で作文に挑戦した。姜先生のコメントの入った
姜先生に質問する塾生
事前提出の作文を各自に返し、地域の異なる塾生が2人若しくは3人組とな
って、それぞれの「3月11日」について語り合い、改めて「私の」その日
の自分のことを、作文に仕上げていった。学校で、書くことが得意な塾生も、姜先生からの「自分に問い
を立て、そこから自分が感じたことを書く」という新たな「書く」という挑戦に苦しんだ時間であったよ
うだ。再度書いた「私の3月11日」の作文にも、姜先生のコメントを
いただき、書く力を鍛えるカリキュラムは終了した。
塾生たちには、現役の作家に自分の作文にコメントをもらう、という
得難い経験となった。また、再提出の際の作文の変化には、個人差があ
ったようではあるが、借り物の言葉で安易に表現することの危うさにつ
いて気付き、自分の言葉で表現することの大切さ、苦しさは、塾生に伝
二人一組での作文ワーク
わったようであった。少しずつでも、自分の中からわき起こった言葉を探して、使えるようになってほし
いと思う。
【書禅】
「書禅」は、朝一番、講師による講義を受ける前の約40分
武道場で、心を落ち着け、頭の中を整理し、紙に向かって「書
く座禅」をすることだ。前日に問題として上がったことをテ
ーマとして、塾生にA4のまっさらの紙1枚に問題点や解決
方法などを書いてもらった。
たとえば、
「挨拶ができない」という問題がクラス担任や学
生リーダーから指摘された翌日には、
「なぜ挨拶をするのか」というタイトルで塾生に課題を与えた。塾
生からは挨拶をすると、
「一日気持ちが良くなる」
「前日に友人とけんかして解決したいと思ったとき、挨
拶をすると仲直りのきっかけをつくることができる」「いらいらしていた気分など自分の感情をコントロ
ールすることができる」などの効用を挙げた。形式にとらわれがちな挨拶について改めて考えることで、
挨拶をすることがなぜ必要かを考えさせることができ、日を重ねるごとに挨拶が苦手だった塾生も、挨拶
41
ができる塾生に感化され、165名全員が自然に挨拶できるようになった。
また、今年の多くの講師は、外から日本を見て、日本人としての自覚を持つ必要性から留学をすること
を勧めた。書禅でも、留学について書いてもらった。内向きな若者が多いと言われる中で、今年の塾生の
大半が近い将来留学をしたいと考えていることがわかった。
多くの塾生が「視野を広げたい」という漠然とした理由を挙げている中で、「医者になりたいので日本
に比べて手術を多くできる米国で学びたい」「薬の研究開発は海外の方が積極的に行っているので留学を
早くしたい」など具体的に何のために留学したいかを考えている塾生は少数にとどまった。留学をしたこ
とがある塾生からは「確固たる目的をもって留学をしないと、学ぶことの本来の目的から逸脱して流され
てしまう。せっかく親からの支援で留学をするのだから何のために留学するのかをきちんと考えて留学す
るか、自分で稼いでから留学すべきでは」など厳しく自分を律することの必要性を書いている経験者の声
があった。女子塾生が留学について積極的だった半面、男子塾生の中には「治安が心配」など消極的な意
見が多かったのも特徴的だった。
また、最終日前日の書禅では、書禅の締めくくりとして卒塾を前にして作文の集大成として、「自分が
総理大臣になったら」と題して所信表明演説を書いてもらった。しかし、多くの塾生が「初心表明」と書
いていた。高校生にもなって「所信表明」の意味することがわからないのにはがっかりした。
2週間もかけてハイスクール国会で復興計画を立てた割には、内容も薄く、人を惹きつけるだけの内容
はほとんどなかった。自分の思うところを人前で話すことができるのに、なぜ、書くと幼稚な文章になる
のか、改めて、
「書く力」が著しく低下している現実を目の当たりにした。来年もできるだけ時間を割い
て、書く能力を身につけさせる工夫が必要であることを再認識した。
(4)全般的な反省と課題
今年お迎えした講師は29名。例年23名程度であるから、今年は、講義がみっしり詰まったカリキュ
ラムであった。これは、震災が起こったため震災関連の講師を補強したためである。講師の人数が増えた
ことで、講義後のグループディスカッションの回数が例年よりかなり少なくなった。各講義後、そこから
テーマを見つけてクラスで行うディスカッションも、より深く講義の内容を反芻するためには、非常に重
要である。クラス担任も、スケジュールに余裕がなかったため、クラスの塾生と関わる時間が少なく、き
め細かなクラス運営や個人指導が思うようにできなかったようであった。クラス担任を民間の社会人から
迎えるメリットを最大限活かし、塾生一人一人の成長をより効果的に上げられるように、カリキュラムの
時間配分や個々のプログラム配置の工夫をしていきたい。スケジュールが過密であるがゆえ、時間管理へ
の意識は高く、講義会場にも余裕を持って到着したり、入浴や洗濯の時間配分に留意して過ごしていたよ
うに思われる。
講義レポートについては、講義直後に時間を5分に限って行った。姜先生のご指摘にもあったが、堂々
とプレゼンテーションする塾生の姿とはかけ離れて、文章力が非常に弱かった。誤字脱字も多い。来年度
は、レポートの課題の出し方を工夫するとともに、フィードバックできるような仕組みも設けたい。
今年は、「ハイスクール国会」に連動した内容の講義も多かった。そのため、講義内容を即、国会での
話し合いに反映できるという面があり、カリキュラムの相乗効果、分析力や思考力などの総合力育成のた
めに非常に有効であった。講義とハイスクール国会の関連づけについては、今回の経験を基に今後のカリ
キュラム作成の参考としたい。
42
7.「ハイスクール国会」について
(1)
「ハイスクール国会」概要
「ハイスクール国会」は3年前より開始し、毎年テーマやルールを変え
て実施してきた。この国会実施の背景は、昨今、日本国民全体が政治や国会
議員について、非常に不信感を抱いており、それにより、若者は内向き志向になり、将来へ大きな不安を
抱えていることを当塾としても危惧したためだ。メディアも含め、多くの大人は批判するだけである。さ
らに悪いことに、その批判するだけの癖が若者にも定着しつつある。国家のビジョンがなく、内紛を繰り
返す今の政治の最大の被害者は、将来をこれから担う若者である。それであれば、将来を担う若者に、日
本のあるべき姿を大いに語ってもらい、問題意識を高め、逆に近い将来当事者になる彼らから、今の大人
たちに対して提言してほしい。さらにはエネルギーと行動力ある若者からも変革を起こしてほしいという
願いを込めて、
「ハイスクール国会」を開始した。グローバル化を語る前に、自国の課題にしっかりと向
き合ってほしいと考える。
今年の「ハイスクール国会」は、3月11日に発生した
東日本大震災を受け、
「高校生によるニッポン復興会議」と
題して、今後の日本政府が行っていく各分野での復興政策
や国づくりに加え、自分たち高校生でもできる復興計画を
考えてもらうこととした。
その下準備として、事前課題で当日の自分の置かれた状
況や震災後の自分の考えを整理し、それを地域が異なるメ
ンバー5人で共有・分析した。塾本番では、この5人チームを二つずつ組み合わせ、①高校生としてでき
ること②エネルギー問題③日本経済④国家への危機への備え⑤日本のリーダー育成―の五つの分野につ
いて議論し、その後方針を同じくするメンバーからなる複数の党に分かれて政策を練った。当初4党に分
かれて政策を考えてきたが、党内での意見の不一致や方針の違いがどの党も見られたため、一定の条件を
満たせば、新党結成をしてよいというルールに変更した。その結果、新しく3党が結成された。そして、
7党の政策発表により、第一党を選び、同時に選出された総理大臣を中心に、ハイスクール国会全体とし
ての「復興計画」となるマニフェストを取りまとめた。
最終的なマニフェストは、
「国民が安心して暮らせる社会を作るために、安全や保障を充実させていく」
という目的を中心に掲げるものとなった。教育、エネルギー、防衛、復興など10の分野での政策を発表
した。エネルギーでは、今後50年で原子力発電から完全に脱却し、風力や太陽光などの自然エネルギー
に変えていくことや、発送電分離を行い電力会社を個人で選ぶことができるようにするとした。また、防
衛では、米軍依存から脱却し、自衛隊が自国を守ることを目指す中立国になることを宣言した。財源では、
消費税を10%に上げ、復興徴収税を新たに設立し、国会議員の定数と給与を減らす。教育では、大学に
「防災学部」を設置し、災害に関する研究から避難指導までの総合的教育を行う。また、農業については、
逆JICAの発想で海外から農業技術者を招待し、日本の農業支援を行ってもらう。TPPへ参加し、日
本の農工業製品のブランド化を図り、海外の富裕層へ発信していくとした。マニフェスト全文は54ペー
ジに添付する。
企業から派遣していただいたクラス担任の皆さまには、顧問としてディスカッションの指導や党のアド
バイザーをお願いし、運営に関しても刻々と変わる塾生の様子に対応していく内容にしたので、日々のご
経験から様々なアイディアをいただいた。
政治イメージが変わったかというアンケートに対しては、95%が「変わった」と答え、
「変わらなか
43
った」という5%は、自分たちで政策議論をやってみて、本物の国会議員よりも「ハイスクール国会」の
方が、議論が活発に行われていると感じたからという理由からであった。変わったと答えた塾生の多くが、
多数の人の意見をまとめる大変さを挙げていた。また、政策立案に際して配慮しなければならない点が多
数あることから、その難しさを感じ、批判をするだけであった政治家の仕事の大変さを体感し、社会を変
えるという大仕事の醍醐味を感じとったようであった。多くのアンケートのコメントに、
「ハイスクール
国会最高」
「苦しかったけど楽しかった」
「自分の勉強不足に気づいた」
「これからも絶対に続けて欲しい」
と記載してあった。
以下は、ハイスクール国会の狙いである。
(2)ハイスクール国会の狙い
① 将来の日本について当事者として考える。
② ニュースなどで見聞きする政治・国会議員への批判・不満について、本当にそうなのか、批判するだ
けでいいのか、自分が国会議員の立場に立って経験を通して再考してみる。
③ 多種多様な考えを持つ人たちと、議論を通して目標設定、計画、実現のプロセスを一緒にやってみる。
④ 議論を通して、自分の考え・立場を明確にする。
⑤ 同じ事柄に対して様々な考え方があることを、人の意見を注意深く聞くことで知る。
⑥ 多種多様な背景や考えを持つ人が集まった時に、その時々でリーダーに必要な様々な要素について実
践を通して考える。
⑦ 様々なリーダーのもとで発揮するリーダー以外の役割について実践を通して考える。
⑧ 国会や党という社会を変えるような崇高な目的を掲げる組織に属したときに、組織としての目的達成
やまた個々人のあり方について考える。
⑨ 政策立案を通して、一つの分野だけでなく、相互関係する様々な要素を、総合的・複眼的な視点から
見る。
⑩ 短時間で、発案・企画・決断・とりまとめ・発表する能力を養成する。
この狙いを踏まえ、塾が始まる前と塾中に行った「ハイスクール国会」の内容と成果、課題を述べたい。
(3)ハイスクール国会の内容、成果と課題
【事前課題】
<事前課題1>
事前課題として、震災当日の自分の状況や感じたこと、並びに今回の震災から見えてきた日本人の強み
や弱み、政府の対応についての考え、復興財源のアイディア、今後対策を講じておく事項について自らの
考えを書かせること宿題として提出した。また、自分の居住する自治体が行った支援・受けた支援を聞き
取り調査するとともに、世代や職業が違う3名へインタビューを行ってもらい、様々な状況の人たちが震
災で困ったことなどを調査した。
<事前課題2>
地域の異なる5人組に塾生を振り分け、それをプレチームとした。それぞれのプレチームのリーダーを
事務局で指名し、上記の事前課題1の情報・意見交換や自分たちが足で稼いだ生の情報を分析する作業を、
塾開始前の1カ月弱で行った。
44
<事前課題の成果>
事前課題は、塾生のハイスクール国会についての真剣さを非常に感じられる内容であった。ほとんどの
課題の欄が、びっしりと埋められていた。自分の居住している自治体にインタビューすることを課題にし
たが、多くが実際に自治体を実際に訪問して、その中で様々な問題を知ることができ、有意義に感じてい
たようであった。中には、対応が良くなかったり、回答がなかった自治体もあったようで、それにはがっ
かりしていた塾生もいた。日頃行くことがない役場や市役所などに行くこと自体が大きな刺激となったの
に加え、支援を受ける自治体、支援する自治体、地域によって様々な支援の違いがわかったことは、今後
様々な視点で物事を考える上で、非常に良い経験ができたと思う。塾生からは、自治体にインタビューで
きたことを、心から喜ぶアンケートのコメントが多く見られた。
また事前にプレチームで異なる地域の塾生とメールなどで連絡を取り合ったことは、リーダー塾参加へ
の意識を高めることにも役立ったようである。
以降は、塾期間中に実施したプログラムである。
【プレチームディスカッション】
プレチームディスカッションは、震災に関連する様々な課題の中
でも、避けては通れない且つ解決に緊急を要す課題を中心に議論し
た。政策を立案する前に、様々な視点で考える下地作りを行った。
1 セット60分×5テーマで、テーマごとに1プレチーム5人か
らなる、33のプレチームの組み合わせを変え、2プレチームごと
(一部3プレチーム)で議論した。プレチームディスカッションは、
下記の5つのテーマで行った。
① 高校生の私たちにできること
今回の震災では地方自治体に加え、海外から絶賛されたようにNPOなどボランティアの活躍が注目
された。それに引き換え集まった義援金がなかなか配られないなど様々な問題も浮き彫りになった。
今回の震災で判明した日本の強みとは何か、弱みとは何か。自分たちの問題として考え、高校生の私
たちに何ができるのかを考える。
② エネルギーについて
将来の日本を見据えたエネルギーのあり方を考える。今後日本人の生活スタイルも考慮し、どんなエ
ネルギー供給が可能か。原子力発電はどうあるべきか。新規エネルギーが開発されるまでの節電のア
イディアも同時に考える。
③ 日本経済について
震災により東北地方を中心に落ち込みに拍車がかかっている日本経済。節電によりフル稼働できない
企業が増え、海外に生産拠点を移転することを決定する企業も増えている。震災の復興や原発事故の
補償で巨額の借金国家の経済をどう立て直すのか、その方策を考える。
④ 国家の危機への備えについて
国家が危機に陥った時に迅速に対応するために必要な備えについて考える。国・地方自治体による国
内政策はもちろん、外交政策、国内の混乱に乗じて外国からの攻撃を防衛する対処方法など国防の観
点からも考える。
45
⑤ 日本のリーダー育成について
首相、県知事、市長、企業のリーダーから避難所の運営リーダーまで、今回の震災では様々な場面で
リーダーの存在、判断が状況を左右した。被災地で町長がいなくなった地域では、リーダー不在で混
乱に陥ることもあった。逆に、経営者が率先して被災地に入り、国や自治体よりも早い支援、ビジョ
ン表明を行った。災害時、有事の時でも的確な判断、構想力、決断力などを兼ね備え、国民を導いて
いくリーダーを今後育てるにはどうしたら良いかを考える。また、次世代の教育のあり方についても
考える。
プレチームディスカッションのテーマ設定は、敢えて高校生が自らは日頃考えないようなテーマも盛り
込んだ。予想通り、特に「日本経済」や「国家の危機への備え」といった自分の生活環境に直接関係がな
いテーマについては、議論が難航していたようであった。
もっとも充実していたテーマが、
「エネルギー」と答えた塾生が33%と一番多かったことから、迷走
している原発問題、将来のエネルギー問題に対しての塾生の意識が高いことが伺える。その点でも、原子
力発電所の見学や、原発に対する様々な意見を講師から聞けたことは、非常に有意義であったと考える。
議論の方法は、それぞれのグループで司会や書記など、自分たちで決めるということにしたが、クラス
担任には顧問として、1人につき2グループを担当してもらった。いつも同じ者が司会をするところ、違
う人がやるようにしたところなどバラバラであった。特に何かを達成する、まとめるなど、こちらからこ
の議論の最終的なまとめ方については指示しなかったが、お互いのグループで話し合ったことを、時折共
有してもらうように顧問にお願いした。
難しいテーマほど、専門知識が多い塾生に議論が振り回されてしまう傾向はあった。しかし、日頃話し
合うことのないテーマで議論したことは、それでも勉強している高校生もいると知ることができ、自分の
知識不足を反省し、知識習得への大きな原動力になった。ハイスクール国会で良かったことや感じたこと
で、
「自分の知識のなさを実感した」と挙げた塾生が圧倒的に多かった。できれば、それぞれのテーマで
もう少し時間がとれれば良かったと思う。
【4名の党首決め】
165名の国会議員の中から、党を4党結党するために、4名の
党首を立候補にて募集した。そうすると、男子12名、女子4名の
計16名の立候補者が出た。1候補者1分間で、自己PRならびに
主に掲げる政策について発表してもらった。選挙の結果、男子3名、
女子1名の党首が選ばれた。残りの161名の国会議員
は、再度その4名の党首の主張を聞き、自分と考えを同
じくする党首、方針に共感できる党首、ついて行きたい
と思うような党首を一人選び、投票した。投票は、宗像
市から本物の記載台と投票箱をお借りし、実際の選挙と
同じような臨場感をもって行った。そして、4名の党首
が選出され、それぞれの塾生がどの党首について行きた
いかを、改めて一人一人が選び、その党首のもとで政策
を練っていく党を結成した。
46
党首選に立候補した 16 名の候補者による演説
この時点では、発表でインパクトがあった党首が多く選出され
た。より具体的な考えも聞けるように、パネディスカッションな
ども取り入れることができれば、なお良かったと考えるが、実際
の政治の世界でもわかりやすくメッセージを伝える発表能力が
重要視される。特に選挙は、「この人にやってもらいたい」と思
わせることが決め手となる。後述するが、この後、この選ばれた
4名の党首のもとで行われるディスカッションは、一時迷走する
ことになる。その要因は、実際政策を決める過程で、党首のビジ
ョンの不明確さや自信なさそうな働きぶりが露呈し、発表での党首の印象とのギャップが大きくあったか
らである。よって、発表能力に加え、確固としたビジョンを持ち、それを自信をもって伝えていくような
実務における能力も必要なことがわかったようであった。
所属する党を決める際、半数程度の塾生がとても迷っていたようであった。自分の立場を決めるという
ことに、難しさを感じたときでもあったと思う。
【4党での政策議論】
それぞれの党首のもと、議論が開始された。議論は、どの党も効率的でスムーズとは言えないものであ
り、どの党も非常に苦労していた。主な傾向は、一度行って結論まで出かけたところで、やっと批判的な
意見が出て、また議論が振り出しに戻るというものであった。全体的に、時間がないために、議論を無理
やりまとめてしまおうというリーダーと一部のメンバーの姿勢が伺えた。しかし、その中で、その議論の
やり方に反対したり、違う意見を持っていて、まったく受け入れられなかった者たちの不満が顕著化して
きた。しかし、反対意見を持つメンバーも、意見を明確に表明できずにいた。
また、党首決定演説で力強いスピーチをしていた4名の党首が、党ごとの議論になったとたんに存在感
が薄くなった。どの党首も口を揃えて言っていたのが、
「サブリーダーが中心になってまとめてくれてい
る」とのことだ。優秀なサブリーダーがいて、党首の意見を具現化してくれる体制は非常にすばらしいが、
もう少し党首の存在感や考えを出してもらいたかったと思う。その背景には、自分より優秀なサブリーダ
ーが出てきたときに、極度に遠慮したり、落ち込んだりする
傾向があったことが伺える。党首の自信のなさは他のメンバ
ーも感じていたようで、それが士気を下げる原因にもなって
いたこともあった。党首に選ばれたことに自信を持ち、その
上で優秀な人材を適材適所に配置する重要性を、リーダーと
なった塾生もそうでない塾生も学べたのではと思う。
党首や党運営に疑問を持つメンバーの不満が溜まってきたと考え、
「一定条件を満たせば離党し、新党
結成を許可する」という新たな展開を加えることにした。
【新党結成―新党が3党増え7党に】
新党結成の条件は、5名以上メンバーを集
め、みんなの前で離党した理由を発表し、ク
ラス担任からなる顧問と事務局が納得できる
理由であれば、許可するとした。検討期間は、
1日。すると、三つの新しい党の候補が出て
きた。その3党は、すべて認められた。既存
新党結成後の7党首による演説
47
の党も党首が改めてPRし、他の党員は、自分が従来の党にとどまるか、新党に移るかを選択した。その
結果、離党したのは、塾生の16%にあたる165名中26名。一番離党が多かった党では、3分の1が
離党した。新党結成した議員たちは、よほどの覚悟で決断したこともあり、その後1日弱しか政策をまと
める時間がなかったにもかかわらず、非常に生産的で効率的な議論が行われていた。離党した塾生のコメ
ントに、
「実際の政治で考えの違いで離党する政治家がいて、いつも信じられなかった。自分がハイスク
ール国会で離党したことに、自分自身がびっくりしている」というものがあった。
また、離党者が多く出た党も士気を失わず、党首はその事実を真摯に受け止め、党の立て直しに全力投
球した。こちらも、振り出しに戻る議論から、ずっとレベルの高い良い議論ができた。新党結成後、党内
の緊張感も増し、既存の党首がより積極的になったようである。
しかし、一番残念なことは、塾生の様子のところでも前述したが、離党した塾生が私生活でも「裏切り
者」のように感じることもあり、肩身の狭い思いをしたことである。宿舎の部屋中でも居づらい雰囲気が
あったようだ。塾期間中、議論のルールは「議論での意見の不一致を私生活に持ち込まない」と何度も説
明するが、議論に慣れていないこともあり、実践がなかなか難しいようである。これについては、来年以
降もより注意深く見守りたいし、このような失敗経験にも意味があると思うので、そのフォローをしっか
りと行っていきたい。
アンケートによると、離党に対しては、ほとんどの塾生が「良かった」と答えている。ごく少数の塾生
は、途中で事務局により方針が変えられたことに不満があったようだが、実際の社会では予想もしていな
い展開も起こりえることから、想定外の展開を経験する良い機会になったと思う。離党により、より明確
に同じ方針を共有する党員が結束したメリットもあるが、逆に人数が減ったことで、違う視点から意見を
出していたような党員がいなくなって同じような考えをもつ者ばかりの集まりになってしまったという
デメリットも感じていたようである。
【各党の発表・第一党選出・総理大臣任命】
佐賀のフィールドトリップから戻った後、すぐに各党の発表を実施すること
にしていたことから、佐賀からの帰りのバスに党ごとに乗り込み、最終的な議
論を車中で行った。発表者について、とくにルールを設けていなかったため、
1党だけ党首が発表しなかった。これは、党首が遠慮していたのと、党首に勝
る勢いのカリスマ的なサブリーダーが居たことが要因であるようだった。当初、
7党の発表後に、一度の投票で第一党を決定することにしていた。しかし、投
票の結果、党首が発表しなかった党が最も多くの票を集めた。第一党の党首が総理大臣に就任することに
なっていたため、自ら発表をしなかった党首がそのまま総理大臣になっていいのかと、事務局とクラス担
任で協議し、どの党も過半数を取っていないことを理由に、得票数が多かった上位2党の党首が所信を述
べた上で、決選投票を行った。その結果、今後50年で原子力発電所をなくしていくというエネルギー政
策を掲げた「太陽の党」が勝利し、党首は宗像市の谷井博美市長より内閣総理大臣に任命された。
各党の発表については、当初迷走していた議論と同じ人物が
行ったとは思えないくらい、内容がより具体的で良くなってい
たのに、クラス担任からなる顧問も事務局も非常に驚かされた。
各党の発表の後には、質疑応答の時間も設けたが、質問する側
も非常に具体的で鋭い質問ができたし、それに対して、質問さ
れた側は落ち着いて良く回答できていたと思う。時折、質問
者への逆質問がある場面があり、そのハラハラドキドキする
48
谷井博美宗像市長から内閣総理大臣の
任命を受ける第一党の党首
やりとりに会場に心地良い緊張感も生まれた。
また、7党での投票の際は、1人2票を持ち、1票は必ず自分の所属以外の党へ投票するとした。一番
党外からの支持を集めたのは、たった8名で結成した新党の「日本国際党」であった。その次が、同じく
新党で6名の「はいさい党」
。
「日本国際党」は、最終的に第一党になった党員数48名の「太陽の党」よ
りも、他党のメンバーから二倍近い評価をもらったことになる。
各党の発表内容の概要は以下のとおり。
党名(当初の党員数→新党結成後の党員数) ※新党―途中で新たに結成された党
① 太陽の党(50名→48名)
* エネルギー分野では、原子力発電所を50年でなくしていく。原子力発電に変わるエネルギー
として、メタンハイドレートや天然ガス、自然エネルギーを使う。国民一人一人が電力会社を選べ
るようにする。
* 復興財源として消費税を上げ、復興税を新たに設ける。国会議員の定数削減や事業仕分けなど
で、支出を少なくする。
② 和の国日本党(39名→37名)
* 「復興と予防」を中心とした政策。避難訓練の質を上げ、教員試験の時に避難指導の項目を導
入する。地域間で孤立する人をつなげるため、それぞれの地区で避難の講習を受講させる。震災時
の宿泊できる場所を地域ごとで管理する法律を作り、災害時のホームステイ制度をつくる。
* 漁業を行う環境を整えるために、漁船を国で確保し、漁船をレンタルできるようにする。その
財源として、たばこ・酒税を上げる。
③ つくろう未来の宝(40名→30名)
* 教育を中心に、被災地ならびに日本を立て直す。当面の支援について、早期に仮設住宅を建設
し、避難所を学習環境として提供。教科書や備品の提供を行い、楽器などは周辺校と連携をとり貸
し借りをするシステムを作る。病気にも対応できるような人材を配置した子育てサロンを設立し、
精神面で専門家が支える。
* 義務教育で「日本文化」の授業を導入し、小学校では着物の着付けも学び、中学校では、日本
を発信する力をつけるためにもディスカッションの授業を取り入れる。
* 国立リーダー養成塾を設立し4年間の在学中の1年間は留学する。各地方に1校ずつ設け、合
計で8校設立する。校舎は廃校になった学校をリフォームし、建物の下部が教室、上部が寮にする。
④ 教育刷新党(36名→24名)
* 教育を中心とした国づくりを行う。被災地の早期教育環境の整備として、教員以外で教員免許
を有する人を避難所へ派遣し、避難所で教育学部で学ぶ大学生を実習生として配置する。
* 大学に「防災学部」を設置し、自然災害の研究や災害発生時の対策や防災訓練の指導などを行
う。日本全体の教育の底上げをするために、地域コミュニティーを強化し、英語教育や情報教育を
強化、小中高や中高一貫教育の推進を行う。
49
⑤ ここ一番党(0名→12名)※新党
* 世界一の日本をビジョンに掲げる。世界一とは、海外から尊敬され、国民が自国を誇り、他国
より一歩先を行く国になること。教育でリーダーシップやフォロアーシップのある人材を増やす。
国内防衛を米国依存から脱却し、自衛隊による国内防衛に努める。日米安全保障条約に頼らず、日
本は中立を宣言する。
* 復興支援については、汚染地域を国際機関と合同調査し、特区を定め国が土地を買い取り、国
内企業、大学、研究機関を誘致する。
*財源は復興徴収税を徴収し、被災者には同額を返金する。
⑥ 日本国際党(0名→8名)※新党
* なるべくお金を使わない経済政策として、国会議員の給与を減額する。定年を65歳に上げ、
社会保障費を減らすとともに、日本の伝統技術を継承する期間を長くする。
* 大人版のリーダー養成塾を開催し、国際的な対応や時代と事態に応じた対応ができるリーダー
を養成する。国内外における企業間の交換留学制度を設け、グローバルな人材を育成する。
* 逆JICAを利用し、海外から農業技術者に来てもらい、被災地の田畑の復旧を行う。TPP
によって日本の農工業のブランド化を図る。日本の高品質な商品を海外の富裕層へ向けて発信する。
* 工場のリスク分散を行うために、九州に工場の拠点を置き、海外にも日本企業の工場を設置し、
災害時で部品調達が難しくなった場合、九州から海を利用して部品の輸送を行う。
⑦ はいさい党(0名→6名)※新党
* 沖縄を拠点とした国づくりを行う。日本を英語で学ぶ学校(Japanese Culture International
School)を設立し、日本文化を英語で学ぶ。英語以外の言語やビジネスも学べる。外国人も日本の
文化を学べる。
* 「アジアのへそ」と呼ばれる沖縄の地理的条件を活かし、既存の「国際通り」の他にも、アジ
ア諸国の文化・風土を感じられる商店街をつくる。これにより、沖縄の人や留学生の働く場も設け、
沖縄の経済を潤す。また、アジア諸国との交流を深め、より深く日本を知ってもらえるようにする。
【政策のまとめ・マニフェスト作成】
第一党になった「太陽の党」を中心に、他の党の優れた政策も盛り
込むべく、165名でのマニフェストをまとめるためのディスカッシ
ョンがスタートした。やり方はすべて塾生にまかせた。議論は、毎回
白熱した。時間も制限されていたため、基本はすべての党の政策を皆
が見直し、合体させ、取り入れる政策、取り入れない政策を選別し、
矛盾が生じるところを直していくという段取りであった。野党のメンバーは、与党のメンバーの二倍強い
ることから、なかなか意見がまとまらず、強引に次の議論に進む場面も見られた。時には、活動時間外で
対応するため、質問がある人は、紙に質問を書いて、それに与党メンバーが答えるという、気が遠くなる
ような作業もしていた。専門色が強い議論については、その他のメンバーがついていけなくなるときや、
わかるまで丁寧な質問を求め続ける場面もあった。
50
アンケートによると、専門的な話になったときに、ごく
一部の人しかディスカッションに参加できない場面が多く
見られ、特に防衛やエネルギーの分野で、細かい技術的な
議論にまで発展し、時間も限られていたため、そのような
議論から抜け出せない時に、いらだちを感じた塾生が多か
ったようだ。専門知識を持
つことは、素晴らしいが、
周りがついてきていないと感じた場合、議論の中心にいる者は、他のメ
ンバーを巻き込めるよう、わかりやすく説明するなどの配慮ができれば
良かったと思う。また、時間がない中で、優先順位をつけることも今後
学んでもらいたい。
感心したのは、財源を考える上で、実際の政府の予算を参照し、その予算から自分たちが掲げるマニフ
ェストの消費税増税や新たな復興税などで本当に足りるのかどうか、計算していた姿である。短時間にも
関わらず、実際にそこまで検証しようとした心意気は高く評価できると思う。また、自主的に時間管理を
する党員も出てきて、刻一刻と過ぎる時間に対しての全員の意識を高めていた。
また、最後のマニフェスト作成の時間が非常に短かったため、分業制でマニフェストの各党のデータを
打ち込み、整理する要員が配備されていた。その党員2名は、黙々と各党のマニフェストを打ち込むだけ
でなく、政策の矛盾点を総理大臣に指摘していた。
マニフェスト発表の際は、総理大臣の発表の後、それぞれの分野
の担当者が発表した。また、それに対して、クラス担任からなる顧
問や学生リーダーから各分野ごとに質問をしていただき、それに対
して担当者が回答した。その発表には、多くのメディア関係者も駆
けつけ、緊張感ある発表の場となった。
(4)塾生の感想
他党と協力するというのは予想以上に難しかった。
人を動かすこと、国を動かすことの難しさを感じた。
政策をまとめあげるとき、対立意見が多く難しかった。
自分の無能さにがっかりした。
国会議員が一生懸命参加しても、ある程度の問題点はあるということがわかった。
学校で政治の話をしても誰も相手にしてくれないが、リーダー塾では真剣に議論できるので本当に楽
しかった。
自分たちの声で変えられるかもしれない、そう思った。
ほとんどが講師の先生の話の受け売りになってしまい、独自の考えや様々な意見が出てこなかった。
もっと知識の出し合いの議論ではなく、高校生アイディアいっぱいの議論や政策があれば良かった。
事前課題で、普段行かない町役場に行くことだけでも考えが変わった。
インタビューした地方自治体より、とても丁寧なお返事をいただき、それだけでも勉強になった。
被災地から参加したが、みんなが被災地のことを考えてくれていたり、日本国家のことを考えていて、
私の中で良い刺激になった。
ゼロからの考えを出すところが楽しくもあり、苦労した。
リーダーのサポートをし過ぎるのも良くないと思った。
51
政治は日本国民すべてが参加し、みんなで問題を解決していかなければならないと思った。
人数が少なかったので、批判的、建設的意見が出にくかった。
政策に全部を盛り込もうとし過ぎて、ぐちゃぐちゃになった。
自分たちも政治の辛さを体験するうちに、だんだんとそれも楽しいと思えてきた。
国会議員として活動して、大変さが良くわかった。本物の議員はもっと大変だろうと思った。また、
知識がとても必要になってくると思った。
政策を考えるにあたって、みんなの意見を聞くというのはすごく大事だと思った。
日本について今までで一番深く考えることができた。
自分が党首だったが、周りの副党首や書記にサポートされすぎて、リーダーシップを発揮できないこ
とがあった。でも、変わらなければならないと途中からは意識改革を試みた。
言いたいことを言えなかった。こんな悔しい経験は初めてだった。
政策を立てていくうちに、本当にやりたいことが見えて来た。
自分と他の人の意見を比べてみることは、大事だと思った。
首相という立場の人は、本当に多くの視点を持ち、人情に厚く、信頼されている人ではなければダメ
だと気づいた。
離党で人数が減ったため、発言者の数も減って、多くの意見を聞けなくなった。
離党した議員がいたため、その人たちが触れていた経済の分野が全く触れられなくなった。
国会議員はひどい人たちだと思っていたけど、思っていたより大変だった。
メリット、デメリットを考え、どちらを優先するかが難しいということが分かった。
ハイスクール国会を通して、自分の成長を感じることができた。
政策を考えるのは、簡単のようで難しいと思った。
多くの人の意見を集約し一つの案にまとめるとき、捨てなければならない意見もあると気づいた。
離党があって、党首の力強さが出てきた。
クラスでのディスカッションもハイスクール国会につながることがわかった。
途中ストレスで食欲がなくなったり、具合が悪くなったりしたけど、全てを終えた時の達成感がとて
も大きい。
日本人の高校生でリーダーを目指しているというのに、皆知識が不足していて、視野がせまい。海外
の私より日本について知らない人が多すぎてがっかりした。こんなもんかと思ってしまった。ごく一
部の下調べをした人々のみが活躍してしまい、それは偏りを生むので、もっと参加する塾生の選定を
しっかりしてほしい。
自分は思っていた以上に知識が浅く、深い議論になると何も言えなくなることに気づいた。
政策を考えるときに、考慮すべき点が多すぎて、容易に出せないと身をもってわかった。
ハイスクール国会がなかった1∼5期生がかわいそうだと思えたくらい充実していた。
(5)顧問のクラス担任の感想
党首に不満がある塾生が新たに党を結成した後に、党首の苦しみを自ら経験し、自分の意見をまとめ、
人にわかりやすく伝え、納得してもらう難しさを経験したことで、とても大きく成長できたと思いま
す。党首以外でも自分の意見が通らなくても、党を支える重要性を理解し、建設的な意見を出し、皆
で結果を出していく重要性に気づいた塾生の成長も見事だったと思います。すべてに感動しました。
各人の思考力に相当なバラツキがあるので、議論にならない場面も多々見受けられましたが、思考力
52
の乏しい塾生は、思考力のある塾生から刺激を受けるだけでも、良い経験になったのではと思います。
また、思考力のある塾生は、みんなに説明して理解してもらうことの難しさを学べたのではないかと
思います。
ディスカッションが不得手だと思いました。安易な多数決または発言力の強い意見に流される傾向が
多く見受けられたと思います。
プレチームディスカッションでは、クラスのディスカッションでは見られなかった積極性を見せる子
もおり、私自身が新たな一面を発見する機会にもなりました。
クラス担任の介入度合が大きいほど、その意見に流されやすくなるため、今後もクラス担任はアドバ
イザー的な立場に徹した方が効果的だと感じました。
無難に体裁だけ取り繕うのではなく、常に変化を求めて塾生にプレッシャーをかけていくやり方は大
変良かったと思います。完成度の高い政策をまとめることが目的ではなく、教育の場として、塾生そ
れぞれの意識を高め、チームの意見をぶつけながら、一つの方向に向かっていく経験をさせる方が重
要かと思いますので、塾生が全責任をもってやるというプレッシャーをかけるのが良いと思いました。
学習し過ぎて、高校生らしい発想が少ないことに驚きを覚え、もう少し柔軟な意見や発想を聞いてみ
たかったです。高校生らしい意見が飛び交うような運営をもう少し考えた方が良いかと思います。
党首選挙では人気投票的な要素が非常に多かったと感じました。パネルディスカッションなどで、よ
り具体的な考えを披露する場を設けたら良いのではと思います。
ディスカッションは、問題点を明らかにする前に解決手段を考えてしまう傾向がありました。定期的
に原点に帰らせるように、
「何が問題なの?」と問いかけることが必要だと感じました。
総理大臣選出後は、
「専門知識の議論に偏ってしまっていて、発言できる人も限られており、ディス
カッションに参加できずに全く楽しくない」という意見を多々聞きました。最後にまとめ上げる復興
計画については、もっと踏み込んだ議論をしてほしかったのと、工夫がもっと欲しかったです。
各自担当している政党の様子を見てその情報を共有し、「どうすれば塾生がより成長するのか?」と
いう点を考えながら、運営を日々工夫していくハイスクール国会は、リーダー塾の中でも一番やりが
いがあり、本当に楽しみながら実施しました。事務局とクラス担任で、一緒に悩み考えながら一つの
ものを作り上げていく過程と、その結果として塾生がどのようなアウトプットを出してくるかという
毎日がとても刺激的で、素晴らしい運営方法だったと思います。
(6)今後の課題
2週間かけて日本の課題にじっくりと取り組むハイスクール国会は、リーダー塾の重要な取り組みの一
つとなってきた。このプログラムを更に充実したものとするため、以下のことを実施することとしたい。
※ リーダーを選ぶときに、中身より目立つ人がリーダーに選ばれる傾向にあり、リーダーのあるべき姿
をきちんと塾生に指導した上で、選挙に臨ませる必要があるのではないか。
※ 募集時にその年のハイスクール国会のテーマを決め、応募時から、そのテーマについての知識をつけ
てもらうようにすれば、より充実した議論が行える。テーマ設定の時期を検討したい。
※ ストーリー展開をドラマチックにするには個々の議論を深める時間が足りないので、そのバランスを
研究する必要がある。
※ 事前にニュースで見聞きした情報から抜け出し、塾生が独自の発想を持てるような工夫をしたい。
※ 政策立案などの専門知識を持った指導者を期間中配置できれば、なお良い。
53
ハイスクール国会2011
∼高校生によるニッポン復興計画∼
2011年8月9日
日本の次世代リーダー養成塾第 8 期生
【全体的な方針】
国民の安心した暮らしを確保するため安全・保障を柱とした復興計画を策定
目次
1.
教育
2.
エネルギー
3.
外交
4.
防衛
5.
福祉
6.
復興
7.
予防
8.
経済
9.
産業
10. 財政
11. 高校生にできること
54
国民が安心して
暮らせるようにする
なぜ安心できないのか?
→不安があるから
安全
予
防
エ
ネ
ル
ギ
保障
外
防
産
福
教
財
経
交
衛
業
祉
育
政
済
|
55
1. 教育
① 被災地の教育
I. 早期に仮設住宅の設立し避難所を学習環境として提供
支援物資の配給により日用品や食費をかけない
II. 教科書と備品の提供
周辺学校と連携をとり、貸し借りができるシステムを構築
III. 子育てサロンの設立
精神科医や看護師などの心のケアや病気の対応が可能な人を配置
IV. 学校が被災し、使用できない場合
A) 大きなスクリーンを有する施設でのリアルタイム通信教育
B) 避難所への教育学部の大学生を実習生として派遣
C) 教員以外での教員免許を有する人を避難所に派遣
V. 進学中の緊急災害時
A) 鉄道・バス会社との連携
B) 無料自転車レンタルシステム(駅・公共施設)
VI. 子供たちが精神面においてダメージを受けている場合
カウンセラーの設置
VII. 過去の震災の被災者をボランティアとして避難所に派遣
VIII. 地域の学生を道徳教育の一環として避難所に派遣
IX. 軽い運動・レクリエーションを行う機会を設置
② 国立リーダー養成塾
I.
制度
A) 4年制
B) 定員は1学年40人
C) 15歳以上25歳以下であれば入学可
D) 各地方(東海・北陸/近畿/四国/中国/九州・沖縄)に1校ずつ、関東・甲信越/北海道・東北
に2校を設置
E) 高校は過疎地域の廃校になった校舎をリフォーム(上…寮、下…校舎)
F) 寮生活を原則とする
G) 1年に1度9校の生徒(1学年分)を集め、リーダー校の交流と情報交換
H) 入試制度…5教科試験+小論文+面接+ディスカッション+評定
I)
先生…教員免許保持者・特別講師…企業で活躍した、している人
J)
ディベート・ディスカッションを必須教科とする
II. 留学について
A) 全校生徒が1年間留学(2年時に)する
B) 留学先は英語圏
③ 日本全体
I.大人版リーダー塾の開催
A) 企業的な考え、財源を考慮し、国際的な対応、時代と事態に応じた対応ができるリーダ
ーの育成
56
II.企業間の交換留学(国内外を問わない)
例)主に協力していく企業…JICA・JETRO・CLAIRまた国の留学支援機関とも
協力
III.義務教育で週1時間の「日本文化」の授業の導入
A) 小学校←興味を持たせる
(ア) 低学年…箸の持ち方・挨拶・言葉づかい・カルタなど
(イ) 中学年…百人一首・書道
(ウ) 高学年…武道・着物の着付け←学校で用意
B) 中学校
(ア) 文化について調べる
(イ) 発信する力・プレゼン・ディスカッションをする力をつける
IV.今後発生が想定される災害への対応
A) 大学に「防災学部」を設置
防災学部…天災(火災・水害・台風・火山の噴火など)についての研究・天災後の対策、
シミュレーション・防災訓練の指導を行う
B) <教育課程案>
・ 一般の社会的基礎教養の習得→専門分野別教養→自主研究
・ 地域コミュニティーの強化
・ 学校周辺地域の方との交流を通して和の心を学ぶ
V.日本の教育の底上げ・国際人を輩出する人材づくり
VI.英語教育の強化
A) 海外の学生との交流
B) ALTによる授業の増加
VII.小中高一貫校の推進
A) 長いスパンでのカリキュラムが可能
VIII.情報のインプット・アウトプット能力の向上
A) インプット
(ア) 道徳授業での災害についての教育
(イ) 職場体験
(ウ) 企業等から招く講師による講義
B) アウトプット
(ア) スピーチ・書く力・要約力を高める授業
(イ) ディスカッション授業
④ 沖縄
沖縄に注目した理由…アジアのへそ(立地的に中心地)であるから
I.
JCIS(Japanese Culture International School)
<特色>
・日本のカルチャーとサブカルチャーを英語で学ぶ→共通語は英語とする
・地理的条件を生かし、全世界から留学生を受け入れる
・他言語を学べる
・ビジネスを学べる
57
・企業・学校から定期的に短期留学を行う
<利点>
・外国語を学ぶことで新たな視点を得る
・外国人が日本のカルチャーとサブカルチャーを学べる
・グローバルで質の高い教育を受けた人材が育つ
→世界的に活躍可能な人が育つ
2.エネルギー
安全のために原子力発電所を約50年をかけてなくし、最終的に完全廃止
残った高レベル放射性廃棄物を地底に埋める(例.モンゴル・フィンランド・南極)
① 完全に原子力発電所を廃止していくまでの代替エネルギー
I.
つなぎの期間中
A) 天然ガス(日本海等に存在=外国から買う必要なし)
B) 自然エネルギー←補助金を出して支援
(ア) 風力(→低周波・自然破壊)
(イ) 太陽光
(ウ) 地熱
(エ) 水力
II. つなぎの期間後(原発廃止後)
A) メタンハイドレート(日本に存在=外国から買う必要なし)
B) 核融合
② 発送電分離による電力会社を多様化
I.
国民一人一人が、自分で使う電力を選べるようにする
→・国民がもっと電力について関心を持つようになる
・価格競争により安価になる
・自然エネルギーを使いたい人が使える
II. 送電線の一括国有化
③ 残った高レベル放射性廃棄物処理を他国で援助支援
58
3.外交
① 被災地の田畑家の復旧←逆JICAの利用
② TPPの導入によって日本の農工業のブランド化
I.
関税なしにより工業が発達
→利益…農業は地産地消により旬の食べ物が流通
II. ブランド化…日本のハイクオリティー製品を海外の富裕層へ向けて発信
③ 工業のリスクの分散
④ 九州に拠点を置き、海外へ日本の企業の工場を建設
→日本で何らかの災害発生により部品調達が難しい場合…海外の企業から調達
九州に拠点を置くことにより、海を利用した輸送が可能
4.防衛
① 日米安保
I. 国内防衛を米軍依存から脱却し、自衛隊による国内防衛
II. 米軍に頼りきっていては、有事の際に米軍の意図が絡むため安心とは言えない(日本の安全に
外国の意識が絡むため)
② 予備自衛官を増やす
③ 中立宣言
I. メリット
A) 攻撃対象にならない→戦争に加担せずに済む
B) 他国から一目を置かれる
C) 国外干渉しなくてよい
D) 米軍との切り離し
II. 補足
A) 核兵器・原発など核に関するものは持たない
④ 日米安全保障条約を長期的ビジョンでなくし、日本のみで防衛
5.福祉
① 心のケア
I.
精神科を増やす
II. 個々の訪問をする
III. インフラの整備←視覚から復興を感じられるようにする
IV. 仕事などやりがいをあたえる
② 地域間でのコミュニティーを重要視する
I.
災害時の避難
II. コミュニティーを形成しやすくする
III. メンタルケアが行いやすくなる
③ 地域活動を増やす
④ 地域での避難訓練を行う
⑤ 子育てサロン←ボランティア団体や自治体が運営
⑥ 保育士を募集
59
6.復興
① 被災地の田畑の復旧
I.
海外の人々とも協力→来た人々は日本の技術を学ぶことができる・またこの人々が帰国する
ことで風評被害を抑えることが可能
II. 逆JICAの利用
② 塩害による被害
→綿花・そばを植え、塩分濃度を下げる
③ TPPを一部導入することによって日本の農工業のブランド化
I.
関税なしにより工業が発達
→利益を農業支援に用いる。農業は地産地消により旬の食べ物が流通
II. ブランド化…日本のハイクオリティー製品を海外の富裕層へ向けて発信
④ 工業のリスクの分散
I.
九州に拠点を置き、海外へ日本の企業の工場(部品製作)を建設
→・日本で何らかの災害発生により部品調達が難しい場合、海外の企業から調達
・北九州工業地域に拠点を置くことにより、海を利用した輸送が可能
⑤ 海外からの信頼・信用を取り戻すため、IAEAなどの国際機関と汚染地域の合同調査をし、安
全宣言を発表
⑥ 日本中の技術を持つ中小企業を優先的に低価格で提供し、国内企業・大学・研究機関・養成塾を
誘致・設立
⑦ 外資系企業を誘致していく
⑧ 住宅…ユニバーサルデザインの集合住宅を高台に設置し、低価格・無利子ローンで提供
※孤児や一人で住むお年寄りは所得を得るには時間がかかるため、無料提供を行う
7.予防
① 自然災害発生時に被害を最小限に抑止
I.
人的被害への対策
A) 意識の向上
(ア) 指導者の教育→新法律(避難指導について)
B) 避難の効率化
C) 孤立者の避難
(ア) 従来の避難の強化→新法律
II. 物的被害への対策
A) 帰宅難民対策→新法律(災害時のホームステイ制度)
B) 液状化対策→新法律
C) 土崩れ対策→新法律(植林)
60
8.経済
① 企業誘致
<内容>
・工場・企業の支店を沖縄に移す
・技術を持っている人を沖縄に異動し、技術提供者として雇用する
<利点>
・立地的好条件より日本の高品質商品を、アジアをはじめとした世界各国の人々にさらに買っ
てもらえることで、日本経済全体が潤う
・沖縄の雇用が増加する
② インフラ・新素材などの工業地帯の開発
→雇用
→技術の発達
③ 株式制度を推進して経済の循環へ(銀行による高齢者の教育)
→高齢者の持つ資産の運営法を変え、株式という形で経済を動かす
→内需を高める
9.産業
① 一次産業(漁業)の被災者支援←すぐに再開可能
I. 漁業をおこなう環境づくりを整えるため、漁船を確保し貸し出す
(ア) 中古の漁船を買い取り→新法律・財源
(イ) 船種によりレンタル料を徴収し、漁船の買い取りの予算に回す。レンタル料は、状
況により事業が安定してからの支払いも可能。
(ウ) ある一定の期間を設け、漁業者の自立を促進し、状況が安定するまでレンタル制度
を利用できる。
10.財政
① 収入を上げる
I.
増税
A) 消費税
(ア) 生活必需品には課さない
(イ) 2020年までに最大10%までアップ
(ウ) 時期を定めるなど、段階的におこなう
B) 復興徴収税
(ア) 新しい収入源
(イ) 特別税として日本国民全員から徴収
(ウ) 被災者(被災者手帳を持っている人)には、被災者手当として返金するが、受け取
らないという選択により、意思表示可能
(エ) 払えない人
イ) 被災者→義捐金による対処
ロ) 生活保護者→地方自治体による対処
※徴収方法は地方自治体に任せる
61
II. 公共事業費を増やす(ゼネコンによる)→新たな雇用・市場の創設→経済の立て直し
III. 金利ゼロの復興国債を発行し、日本を支援したいと思っている方に買ってもらう
② 支出を下げる
I.
人件費を減らす(国会議員の定数・給料を減らす)
II. 定年を65歳に上げる→社会保障費が浮く・日本の伝統・技術を受け継ぐことが可能
III. 余分な公共施設、国有地、公舎などを売る
IV. 事業仕分けを進める
11.高校生にできること
① 復興
I.
リーダー塾卒塾生を中心に復興チームを作り、高校生ならではの支援活動を行う
II. 海外に日本が安全であることをアピールする
III. ボランティア活動に積極的に参加する
IV. 募金活動を行う
V. リーダー塾8期生でチャリティーグッズを作る(心に訴えるもの)
② 教育
I.
学校や地域での避難訓練を強化する
II. 日本や世界の情勢を知るためにニュース・新聞などを見て勉強する
III. Skypeやメーリングリストなどを使って意見交換する
IV. 震災の映像や写真を見て、記憶を風化させないようにする
V. 高校生と小中学生の交流を深め、若い世代同士での意見交換の場を設ける
VI. ホームページを作り、若い世代の声を発信していく
VII. NGOなどと協力して海外の団体と共に活動する
62
資
料
1.塾期間中の塾生アンケート調査結果
全体のアンケート調査を塾生に対して行った。報告書では、主な設問について掲載することとする。なお、
アンケートに回答しなかった塾生がいること、また、一部回答していないものなどがあり、総数がバラバ
ラであるため、人数ではなくパーセンテージで表記している。
問1 感銘を受けた講義・自分でものを考える上で役に立った講義(3つ選択)
※アンケート集計上位5つを記載
①千住
博氏
49%
②姜 信子氏
36%
③中村
俊郎氏
34%
④石倉
洋子氏
20%
⑤金澤
一郎氏
17%
問2 興味深かった施設やイベント(複数回答可)
※アンケート集計上位5つを記載
①ハイスクール国会
57%
②みそ汁コンテスト
44%
③グループディスカッション
40%
④目標宣言
32%
⑤ディスカッション・ワークショップ
26%
問3 下記のカリキュラムについて感想を聞かせてください。
(1)書禅
①とても良かった
16%
②良かった
47%
③普通
33%
④あまり良くなかった
3%
⑤良くなかった
1%
(主な感想)
・普段落ち着いて考えを文章に表す機会がないから良かった。
・書くと気持ちの整理がうまくついた。
・決められた時間の中で考えをまとめる勉強になった。
・自分の考えをもう一度考えるという、日常生活ではなかなかしにくい時間だった。
・書くことが苦手なので、その練習になった。
※書禅とは、朝の講義が始まる前に、与えられたテーマで作文を書くプログラム
63
(2)ホームルーム
①とても良かった
50%
②良かった
35%
③普通
14%
④あまり良くなかった
1%
⑤良くなかった
0%
(主な感想)
・普段の学校とは違うクラスでの活動が楽しかった。
・同じクラスの様々な人の意見が聞けたこと。
・楽しくグループで交流でき、交流の輪が広がったから、もっと時間があってもいい。
・小さなグループで仲良くなれる。男女隔てなく話せる場だった。
・もっと時間がほしかったが、時間一杯チームワークを深められた。
(3)ディスカッション・ワークショップ
①とても良かった
44%
②良かった
31%
③普通
18%
④あまり良くなかった
6%
⑤良くなかった
1%
(主な感想)
・ディスカッションのやり方を分かりやすく学べた。
・ディスカッションにおいて気をつけることを知れた。
・ディスカッションの本質を学べた。
(4)グループディスカッション
①とても良かった
54%
②良かった
33%
③普通
8%
④あまり良くなかった
4%
⑤良くなかった
1%
(主な感想)
・テーマを考えて脱線しないようにしていくのが難しかったが、他の人の意見を聞いて自分の考えを
深められた。
・学校で、こんな機会がなかったため、熱く語り合えて良かった。
・初めてあそこまで議論できると思わなかった。
・あまり意見が言えませんでした。
※グループディスカッションとは、講義後にクラス単位で直前の講義について議論するプログラム
64
(5)姜信子先生による作文ワーク
①とても良かった
39%
②良かった
34%
③普通
22%
④あまり良くなかった
4%
⑤良くなかった
1%
(主な感想)
・自分の思いが上手く言葉にならなくて難しかったけど、最終的には自分の想いがはっきりした。
・パートナーと話してみると思ってもみなかった感情や、自分が考えつかなかったことを感じられ、本
当に深く書くことに対して強い気持ちで臨んでいけたと思います。
・ここまで深く考え、自分と向き合って文章を書いたのは初めてです。書いたことが本当に正しいのか
はわかりませんが、自分自身でしっくりと納得する文章を書くことができました。今までいかに自分
が当たり障りのない飾り立てた文章を書いていたかがわかりました。
(6)名護屋城博物館
①とても良かった
21%
②良かった
36%
③普通
34%
④あまり良くなかった
6%
⑤良くなかった
3%
(主な感想)
・歴史の資料一つ一つを意識して見学できて良かった。城跡など広さに驚いた。
・教科書に出てくるようなものがあって、凄かった。
・日本の暗い歴史にも少し触れられた。
・朝鮮と九州のつながりについて知ることができた。
(7)保護者への手紙
①とても良かった
33%
②良かった
36%
③普通
23%
④あまり良くなかった
6%
⑤良くなかった
2%
(主な感想)
・改めて両親に感謝の気持ちを伝えられた。
・久しぶりに手紙を書いて日頃の感謝の気持ちを伝えられたので良かった。
・少し自立できたのを伝えられた。
・実は初めてだったので、とても新鮮でした。
65
(8)みそ汁コンテスト
①とても良かった
60%
②良かった
25%
③普通
10%
④あまり良くなかった
5%
⑤良くなかった
0%
(主な感想)
・赤や白の味噌の違い、ダシの違いなどを学びながら、クラスの仲間と絆を深められた。
・みんなと協力し、一つのものを作り上げることができたので良かった。
・班の中でアイディアを出し合い、美味しいものができ賞を取ることができた。
・九州(宗像)の食材を使って美味しいみそ汁ができた。
・簡単だと思っていたのに、意外に難しかった。
(9)目標宣言
①とても良かった
65%
②良かった
28%
③普通
6%
④あまり良くなかった
1%
⑤良くなかった
0%
(主な感想)
・みんなの夢を知り、自分のモチベーションを上げることができた。
・目標を明確にすることで、絶対叶えようと思った。
・自分の夢に向かって進む再確認と、仲間との競争心が出てきた。
※目標宣言では、塾最終日前日に一人一人全塾生の前で今後の目標を宣言した。
66
問4 リーダー塾に参加して一番良かったこと
記述式のため、キーワードをピックアップして集計した
①志の高い、一生付き合える仲間・友人ができたこと 53%
②講義やディスカッションから新しい知識を得た 17%
③自分を見つめなおし、自分が分かった
④成長できた
16%
14%
ほぼ半数の塾生が、志の高い仲間・友人ができたと答えている。全国から集まった塾生と二週間寝食を
共にした仲間のことが強く印象に残ったようだ。また、各地の高校生と出会えたことで、自分の視野を広
め、今後も継続してお互いを高めあう信頼関係を築くことができた。
また、一流の講師陣の講義やクラスでのディスカッションを通して、新しい知識や自分と異なった意見
に触れ「自分とは違う考えにたくさん出会えた」
「自分の世界観が広がった」など知的好奇心を満たすこ
とができた。
そして2週間のこれまでにない環境の中で「今までの自分とは異なる自分を知ることができたこと」
「精
神的に自立できた」
「自分の小ささに気付いた」など、自己の成長あるいは弱さを実感し、自分を真摯に
見つめ直す機会にもなった。
問5 塾に参加して困ったこと、改善した方が良い点
記述式のため、キーワードをピックアップして集計した
①カリキュラムやスケジュールに関すること
44%
②施設に関すること
32%
③人間関係に関すること
13%
④持参品に関すること
9%
⑤塾運営に関すること
3%
最も多かった意見は、カリキュラムやスケジュールに関することで、主に「スケジュールが詰め込みす
ぎ」
「睡眠時間が短い」
「学校の勉強ができない」など日程に対する意見が大半であった。夜間についても
ハイスクール国会の時間に充てるなど、ディスカッションや発表準備に時間を費やし、塾生にとってはハ
ードなスケジュールだったとの意見である。しかし、そもそもリーダー塾の開催目的は、知的好奇心を満
たすため自己を磨くことである。そのため相応の講師をお招きしてカリキュラムを組んでいることから、
ある程度ハードなスケジュールとなることは当然である。次年度以降、審査の段階で参加意義をしっかり
持っているか、リーダー塾生としてふさわしいかを見極めることが一層必要であろう。ただし講義時間が
延びた場合、後のカリキュラムに影響が出てしまうこととなるため、講義が時間どおりに終わるよう時間
管理は徹底して行う必要がある。
次に多かったのは、講義に使用する備品、空調、施設備品に関することであった。椅子について「机が
ないとメモを取りづらい」
「間隔が狭く体が痛くなる」などの意見があった。また、空調に関する意見も
あったが部屋ごとに温度の調整はできないため、衣服による温度調整や、暑いと感じる塾生、寒いと感じ
る塾生が、お互いに過ごす場所を検討して交代してみるなど各自で問題を解決する工夫を行うまでに至ら
なかったことは残念である。また、トイレ休憩などの際に特定のトイレが混雑するなどの問題もあった。
67
前述したとおりハイスクール国会の時間が夜間にも充てられていたため「入浴時間が短い」
「洗濯時間
が取れなかった」と時間がなかなか確保できない塾生、あるいは乾燥機で完全に乾かすことができず部屋
で干している塾生が多かった。洗濯機・乾燥機の台数に限りがある中、どうすれば決められた時間内にみ
んなの洗濯を終わらせることができるかを、互いに知恵を出し解決できなかったのか。
人間関係については、集団生活に馴染めず苦労した塾生や、他塾生や他団体の態度や生活マナーについ
ての意見が主で、新しい環境でのコミュニケーションに戸惑いを感じた塾生がいた。
全般的にみて、塾冒頭の段階で明確な生活指導を行うとともに、選考の段階でも、何を目的としてリー
ダー塾に参加するのかをしっかりと確認する必要があると考える。
持参品についは、名刺なども持参品に記載してほしいとの意見があった。リーダー塾は、多くの塾生が
「全国に友人ができた」とあるように、交流面で寄与していることは確かであるが、リーダー塾は単なる
仲間作りの場ではなく、様々なカリキュラムを通じて己を成長させることを求めている。一律に名刺によ
る交流を促すことは、当面行わないこととしたい。
事務局として反省すべき点は反省し、来年のリーダー塾に活かしていきたい。
68
2.「現時点での国家的課題とは何か」塾生アンケート
期間中、九州電力の松尾新吾会長から講義を前に、塾生に対して「現時点での国家的な課題とは何か」
を記述する宿題が出題された。8月7日の書禅の時間を使って塾生に課題に取り組んでもらったテーマ別
結果と詳細は以下の通りである。
対象:第8回日本の次世代リーダー養成塾塾生 165名
実施:2011年8月7日
結果:政治・リーダーシップ
100名(30%)
日本経済・雇用
53名(16%)
復興・地震対策
49名(15%)
電力・原子力発電・放射能
48名(14%)
人材・教育
27名(8%)
新エネルギー
23名(7%)
情報・メディア
21名(6%)
外交・国防
13名(4%)
(複数回答)
理由及び詳細:
1.政治・リーダーシップ
*総理辞任問題に見られるが、党、国会全体で団結がない。国全体を見てほしい。
*原発問題で露呈されたが、国会議員の知識不足。国会議員を選ぶ国民の質が落ちている。
*政治家が揚げ足取りばかりでリーダーが不在。
*決断力の欠如。首相が先頭に立ち危険を冒さないで誰がするのか。
*首相のリーダーシップがない。側近の政治家や官僚もついてこず、孤独。法案も成立しない。
*自分で何かを調べようとせず、納得いかなくても流される傾向。選挙で選んだ国民にも責任がある。選
挙に関心が薄かったり、口先にだまされてしまったり、政府が失敗すればメディアでたたき、文句ばかり
言う。メディアの在り方や教育の在り方に問題あり。
*対応の遅さが被害を拡大させた。
*有事のときの対応の遅さ、垣根を越えて最善の策を。
*首相は汚職、無責任発言などを解決して公約を実現。勉強不足。
*リーダーシップがない。目先の利益ばかりを考えている。
*利権ばかりを求めている。
*国会が機能していない。海外からも信頼されず暗い国になってしまう。
*政府の機関や地方と連携していない。
*首相がころころ替わりすぎる。
*世襲や比例代表制。衆参二院制、議院内閣制など選挙制度を含めた問題。
*日本の将来へのビジョンが不明で国民は不安。
*戦後をもう一度振り返り、日本人の原点に返り、国民の団結が必要。
*野党・与党の枠を超えてどうすれば日本が良い状態であるか考えるべき。
*やましさのある政治は必要ない。
69
*政府内の団結力がない。
*国会議員は政策を立案していく手腕より票を集める能力に長けている。人気とりが選ばれることが課題。
*原発事故の初動の遅れや被災地への訪問も遅い。自己保身ばかり。
*復興復旧が後回しになりすぎている。
*国会での発言中への暴言がひどい、ディスカッションの基本ができていない。
*議員の給料が高すぎる。下げれば復興に回せる。
*競争せずに平等を重視した教育ばかりしてきたからリーダーシップのある人材がいない。
*政治家が核について無知すぎる。
*自己中心的な政治権力争いによって震災者まで諦める状況になっている。
*話術に長けている政治家が少ない。
*米大統領のような象徴的パフォーマンスをすることによって国家や国民はついてくるはずである。ただ
し、中身がない政治では意味がない。
*リスク管理を徹底的に。
*憲法改正。
*誰もが初当選の時は、国民の心を動かすような素晴らしい考えをもっていた。しかし、いざ就任すると
自分の欲に支配され、まわりが見えなくなってしまっている。日本全体の根源的な部分から見直されなけ
ればならない。
*原発に対する意識や警戒があまり国会議員にはない。
*国のトップは政策の優先順位をつけてほしい。
*GDPが世界第3位に落ちたのに国会議員に危機感がない。
*国家は人に頼る力が足りない。原発事故でも専門家の話を聞いていれば被害がここまで大きくならなか
った。
*政府が間違ったことをしたときに市民が軌道修正できる社会の構築。
*ケネディの「国が国民のために何ができるかではなく、国民が国のために何ができるか」を考えていく
べき。
*リーダーとしての決断力。
*若者の投票率をあげる。
*首相が英語ができない。
*内閣の統制。
*国会議員が多すぎる。野党はただただ野次を飛ばすだけならいらない。
*健全な政党がない。
*野党と与党の間に情報の格差がありすぎ、民主党になっても何も準備ができていないために混乱を招い
ている。
*即時政権交代。
*議員のフォロワーシップが足りない。
*政治家には協力という言葉を覚えてほしい。
*内閣総理大臣の任期が短すぎる。
*総理大臣の臨機応変な対応が必要。
*被災地を心からお見舞いして考えている政治家がいない。私利私欲に走るな。
70
2.日本経済・雇用
*日本が返済できる借金のマックスは1000兆円だが現在900兆円まできているのでどうするのか。
*復興には財源を確保しないといけない。
*雇用問題。
*女性が子育てしても社会復帰しやすい政策。
*輸出に頼っている日本にとっての円高問題は死活問題。
*厚労省と文科省の幼保問題。
*異文化・語学教育の必要性。
*学力とモラルの低下。
*財源確保の不確実性。
*生活保護の増加、ホームレスの増加、福祉施設運用の難しさなど社会保障制度の問題。
*財源確保の不確実性が心配。
*法人税が高すぎて企業が海外に脱出してしまう。
*海外への輸出の強化。
*Japanブランドの崩壊。
*財源を確保するための税の種類を考えた方がいい。とりわけ被災者は生活が厳しい。
*経済、流通、外交などすべてが首都に集中し過ぎている。大震災に備え、首都機能を分散してはどうか。
一気に倒れるより一つでも生き残る方が立ち直りも早い。
*高齢者に対する福祉の財源確保。
*公共事業を増やして税金を減らしては。
*早く消費税など増税に踏み切ってほしい。
*中小企業の振興。
*関税撤廃が農業振興につながる。
*原発を建設せず予算を復興、防災、研究開発に振り向ける。
*災害復興税を創設する。娯楽費にかけては。
*アニメやゲームが衰退してきているのでサブカルチャーの促進。
*高校の無償化は勉強する意志がない人には支給しない。
*補正予算をもっと早く成立させるべきだ。
*尖閣諸島にある300兆円分の資源を確保し、日本経済の回復を狙う。
*増税は未来への貯金と考え、消費税は10∼15%にあげるべき。
*累進課税の見直し。
*震災以前の少子高齢化問題を解決する。
3.復興・地震対策
*被災地の人々の心のケア。
*物資の配給などもっと考えてほしい。
*被災地対応が遅く、被災者に食料や水が十分に与えられていない。
*どれを第一にやるべきかのビジョンが立っていない。
*自然災害への意識を高める。
*農水産業など一次産業の復活。
*雇用の確保。
71
*仮設住宅の建設に時間がかかりすぎている。
*義援金の分配を早急に。1円でもいいからお金がほしいという被災者の気持ちを忘れている。
*産業の復興の仕方を早急に決めてほしい。
*海に面する地域の津波対策。
*地方自治体の情報収集を待っていては対応が遅くなるので国主導で自衛隊を使う。
*被害状況の確認、救助要請、物資の搬入などの対策を対策本部をあげて調達。
*復興財源をどうするか。
*瓦礫の撤去をするための方策。
*いち早い復興を。スピード感と心の安定のある復興に。
*動物保護がとても遅れたこと。
*ボランティアの役割、物資の分配などの方法を考えるべき。
*給食の内容が悲惨。
*放射能の影響で十分な部活動や体育の授業が行えない。
*被災地の受験生の支援をしてほしい。
*都市計画の立案。
*復興の邪魔にならないように国と自治体の管轄の違いの是正。
*避難訓練の徹底。
4.電力・原子力発電・放射能
*国と電力会社の間で情報の伝達がうまく行われていない。
*火力発電の今後の活用。これだけでやっていけるのか。
*原電の対応の遅さでセシウムが検出され、風評被害も広がった。何を信用していいのかわからない。
*過去の経験がないので対処ができない。悪化するばかりで心配。
*放射能で汚染された食物の管理。国民だけでは情報が足りないので国家的なプランを立てて改善した方
がいい。
*子どもをもっている人は、政府がいくら安全と言っても不安で仕方ない。
*クリーンエネルギーの輸出。日本の技術力を生かし、世界で模範的な安全な日本の構築。
*電力不足による生産が思うようにできず復興への足かせ。
*使用済み核燃料の問題。
*核廃棄物の処理の仕方の解決の糸口が見つかっていない。原発を一刻も早く止めてほしいが、全体の3
割も発電しているので止めたら日本の産業は止まってしまう。どうしたらいいのか。
*福島原発の周辺の放射能汚染の拡大。
*地震大国で同じような事故が起こるのではないか。
*食料品への汚染は牛肉やお茶だけではないのではないか。
*目に見えないもので何年か先に病気になる可能性が増えているのは恐ろしい。
*住民への説明が不足している。
*暮らしやすい生活をしたいなら原子力発電所は必要。今の現状では自然エネルギーが原発の代替にはな
らない。
*原発は今以上のメンテナンスをしてほしい。
*福島原発事故の収束を最優先。
*緊急マニュアルを策定する。
72
*水循環システムの強度の見直し。
*仮に原発を廃止した場合は、地球温暖化防止のCO2削減はどうなってしまうのか。
*原発は徐々に減らしていく。
*危険なところに立地している原子力発電所の順次廃炉。
*節電計画の策定。
*安全基準の見直し。
*原発のチェック機能の強化。
5.人材・教育
*非常時に対応できる人材が政府にいない。教育と政治体制に問題があるのではないか。リーダー塾をも
っとしてはどうか。
*勉強は楽しいし生きていくためには必要だが自らの気づきがないと学習していこうと思わない。学校の
カリキュラムや受験体制を根底から変えるべき。
*国の未来に希望が持てない。
*意志の弱い日本人の特性に関連して「日本だめだね」という言葉が日常的に使用されている。
*ゆとり教育によって教育水準が低下。自分の考えがいえない子どもの増加。
*政治家は指導力がないと言われている。本質を伝えない報道にも問題がある。次世代リーダー養成塾の
ような体験を全国に。
*英語教育の充実。英語力がないと国際的な場で戦えない。
*ディスカッションやディベートを小中高校生から学校で取り組むべき。
*国のために一身を投じるくらいの人材を育てることが必要。
*伝統がすたれ、国旗が焼かれても気にしない。
*日本人に人らしさを教えるべき。そのために先人に学んでは。
*日本文化の継承。日本語教育に力を入れるべき。言語と文化は密接な関係がある。たとえば、兄弟とい
う言葉も兄と弟に分かれている。儒教文化があり尊敬する心があるからだ。
*日本は資源もなければ土地もない。人材だけでここまで発展したのだから、人材育成が失敗している今、
教育制度の見直しをすべし。
*留学生を増やす。
*オリンピック選手などを目指す子どもの支援など、将来有望な子どもに使うべき。
*悲観的な歴史教育をやめ、誰のため何のために勉強するのかをきちんと教え、自分の国を誇りに思うこ
とができる教育の実現。
6.新エネルギー
*50後までに原発を完全停止させると仮定してそれまでに新エネルギーとそのつなぎのエネルギーを
考えないといけない。
*メタンハイドレートや地熱発電などについての具体的な対策を知りたい。
*原子力発電の安全性が問われていて日本のエネルギーをどうするか決まっていない。
*原発の安全神話が崩壊、中東では民主化が広まり不安定、今こそ新エネルギーを再考。
*原発に替わる新エネルギー法の策定。
*代替エネルギーの開発。
*最終ゴールは原発のない世界だ。
73
*原発をなくすわけにはいかないので減少分の確保が急務。
*実現可能は案を出すべき。そして安全安心な国にすること。
7.情報・メディア
*政府、東電などの情報公開が遅れ、迅速な報道がなされず、国民の不安をあおっている。
*批判するだけで政府をたたくだけ。
*どれを第一にやるべきかのビジョンが立っていない。
*事後報告が多すぎる。
*メディアが政策でなく、不信任などの政争ばかりを追いかけている。
*あれだけ多くのメディアがあるのにほとんどの報道は画一的で多角的な視点で物事を見ていない。与党
を批判することが正義であると勘違いしている。
*閣内で責任のなすりつけあいに加え、自分は知らないというのは無責任。
*国民は個人でもっと知識を得て、ニュースに関心を持つべき。世論調査には答えるのに投票には行かな
いのはおかしい。
*間違った情報による詐欺の横行。
*具体的な情報公開すれば国民は安心できる。
*ニュース番組で話している内容が違い混乱した。
*非常時に放送するのはNHKだけでいい。節電にもつながる。信頼のできる情報を冷静に淡々と伝えて
もらった方が安心できる。
*海外に対してしかるべきタイミングで事実が伝えられていないためデマが飛び交い混乱に陥ってしま
った。
*政府は情報を秘密にせずもっと公開してほしい。
*震災後にチェーンメールでデマ情報が流れた。情報に惑わされるな。
*原発の悪い部分を強調し過ぎ、電力会社は絶対安全という。そのギャップをどうにかしてほしい。
*誤報が流れても惑わされるな。情報の明確化。
*メディアの情報源をもっと気にすべし。また、個別メディアの傾向を知ること。
8.外交・国防
*グローバル化した今、日本は世界と好き嫌いなく仲良くし一致団結しなければならない。
*情報提供が遅く、外国の信頼を失う。
*外国と友好的につきあっていくために国際的な信頼回復が必要だ。
*民主党が政権を担って外交の迷走が進んでいる。空母を保有する中国の影響や米国関係の悪化で日本は
孤立し、国として成り立っていかなくなる。
*竹島、尖閣、北方四島など領土問題。
*風評被害に対して正しい情報を発信してほしい。
*TPPを導入して経済を活発にする。
*日本国内の米軍基地は日本のアメリカ従属の象徴ではないか。日本の自衛隊が日本の防衛力を示すべき。
*自衛隊の戦力強化。
*外国からの信頼を回復する手立てを考える。
74
3.塾生の生活実態調査結果
意識調査
8期生を対象に、塾生の生活スタイルや環境などの意識調査を行った。165名の塾生が回答した。
回答した塾生の内訳
性別/学年
1年
2年
3年
総計
女
25
46
20
91
男
23
33
18
74
総計
48
79
38
165
携帯電話
75
睡眠・朝食
家族とのつながり
76
社会とのつながり
学校生活・学習面
77
塾に通っているか?
1年
2年
3年
通っている
40%
32%
26%
通っていない
60%
68%
74%
過呼吸
78
4.卒塾後の塾生・保護者アンケート
卒塾してから約1カ月後に8期生および保護者の方を対象に、卒塾後の塾生の変化についてのアンケー
トを行った。主な項目をアンケートから抜粋して掲載している。
(塾生108名、保護者111名)
(1)卒塾生アンケート
【問1】塾参加後、ものの考え方や視点が変わりましたか(下記左グラフ)
【問2】どのような点が変わりましたか(下記右グラフ)
「参加後の考え方や視点の変化」については、回答のあった塾生のほとんどが何らかの形で変化があっ
たと回答している。具体的にどのような点が変わったかの質問を記述式で答えてもらったところ、上記の
ような結果となった。具体的な回答は以下のとおり。
<主な変化の内容>
何事もまずはやってみようと思った。
日本のことを知り、誇りに思いたいと思った。
受身から自分から動く行動へと変わった。
学ぶことの意味・姿勢について考え、留学をしたいと思うようになった。
物事を様々な角度からみて表面だけではなく本質を考えるようになった。
先入観ではなく、本質を考え対応できるようになった。
自分が当たり前と思っても全ての人に当てはまるわけではなく、自分の意見が正しいとは限らない
と思うようになった。
自分の考えだけではなく周りの考えも吸収し、自分と比較することが自然とできるようになった。
みんな意見が違ってもいいんだと思えてきた。
他人の意見を聞き、相手の立場になって物事を考えれるようになった。
発言してない人や意見が違う人が何を考えているかを考えるようになった。
相手を敬い、尊敬の念を持ち続ける様に意識するようになった。
政治についてただ批判をしていたが、自分ならどうするかを意識するようになった。
支える立場を経験し、それまで気付かなかったリーダー像を知ることができた。
79
【問3】参加後、視野が広がり、いろいろなことに興味を持つようになりましたか(下記左グラフ)
【問4】どのようなことに興味を持つようになりましたか(下記右グラフ)
上記のアンケート結果の通り、大半の生徒が何かしらの興味を持つようになっている。また、全国各地
から集まった同世代の塾生からも様々な話を聞いて興味をもった塾生もいるようである。
具体的な回答は以下のとおり。
<新たに興味を持つようになったこと>
実際の政府がこれからどのように復興を行うか興味をもつようになった。
ハイスクール国会を通して政治や社会情勢に興味をもった。
世界から見た日本について知りたい。
日本をもっと良く知ってから世界へ。
自分には無理と簡単に諦めていたことでも挑戦しようと思った。
学校の授業の内容と社会の問題などの関連性を考えるようになった。
人の心理、歴史、宗教、精神論。
様々な分野の知識を習得したい。
高校生だからこそできること、高校生にしかできないことを考え積極的に行動したい。
義足義肢の分野に興味を持った。
2週間のこれまでとは全く違う共同生活の中で、他の塾生からの指摘や新しい環境に身を置くことによ
って自分の強みや長所を発見したようである。しかし、全国の高校生と自分を比較することで苦手や不得
意とする面も見えてきたことは嬉しい。まだまだ高校生でもあり、人生経験や社会経験も今回発見した長
所はより伸ばし、苦手だと感じた部分においてはこれからの人生において切磋琢磨してほしい。
80
(2)保護者アンケート
【問1】リーダー塾参加前と参加後でお子様の様子に変化がありましたか(下記左グラフ)
【問2】どのようなところに変化がありましたか(下記右グラフ)
リーダー塾終了後、保護者の方が感じている塾生の変化は、
「とても変わった」が38%、
「少し変化があ
った」54%で、92%の塾生に何らかの変化があったと回答している。変化の内容としては、学習面や
生活面、その他の部分で内容としてはまちまちだった。
<変化の内容>
前向きになり、勉強も積極的になった。
海外に行きたいので英語を勉強すると言い出した。
人間の生き方や考え方に興味をもつようになった。
意志表示をはっきりするようになった。
親の仕事にも関心を持ち、親子の会話が増えた。
内気な子だったが、コミュニケーションをとることも学んだようだ。
社会貢献活動への意欲がわいている。
自信を持って論理的な構成や説得力を意識して発言するようになった。
自分がどう行動するかで周りに与える影響を考える様になった。
感謝する機会が増え、
「ありがとう」という言葉を多く使うようになった。
周囲の状況を観察しながら自己の信念に従って意欲的に行動をするようになった。
81
【参加後の子どもの様子ならびに感想】
学校という規模の価値観から抜け、もっと広く大きい視野を持って学べたようだ。大学進学だけでな
くもっと先を見据え将来を考えるようになる点など学べることが多い。
二週間と短い間であるが、各分野で活躍する方々のお話を直接に伺うことができ、また同世代の志の
高い高校生と問題意識をディベートしたり将来を語ることは日常の高校生活では決して得ることの
できない貴重な時間を経験できたと思う。
全国の高校生の中には、とてもしっかりした考えを持っている人がいるということに驚き、自分も世
界に目を広げていきたいようです。
自分の未熟さを感じたようでしたが、まだ頭が柔らかく固定観念のない高校生を対象とすることは良
いことだと思う。
二週間もの間で学習面での遅れなどが気になっていたが、子供の成長に繋がればと意を決して参加さ
せたが間違いではなかった。将来のビジョンが少しずつ見えてきて、生き生きとして帰ってきた。
親が思っていた以上に、子供は成長したのだと、思わされた2週間でした。
学力がもっと伸びれば良いのですが、それ以上に、
「あいさつ」や「人の傷み」が理解できる人間に
なってほしいのでいまのように素直に育ってほしい。
成長のためのヒントを沢山いただいて感謝しています。今はまだ消化しきれてないところもあります
が、きっと彼らをたくましい人間にしてくれる取り組みだと思います。
学校では経験できないことや人に出会え、自分の可能性・価値に気付いてくれると思う。
地方都市に住んでいると、地方色に染まり視野も狭まれがちですが、全国の高校生と意見交換するこ
とは良い体験になると思います。
容易に連絡がとれない状況は、初めてだったので親としても不安感はありましたが、親離れ・子離れ
はいずれしないといけないと納得しました。
参加した子供だけでなく、親も刺激を受け、それぞれの人生により真剣に向き合う機会を得た気がし
ます。
初め本人は参加にきのりしなかったようですが、参加して講師の話や友人から刺激を受け、人生最大
の衝撃だったようです。
82
5. 第8回日本の次世代リーダー養成塾
塾生概要
○受講者総数 165名 (男子74名・女子91名) 25都道府県及び3ヶ国
○参画県枠 99名 (男子42名・女子57 名)
1
北海道
2
青森県
3
神奈川県
4
静岡県
5
岐阜県
6
和歌山県
7
福岡県
8
佐賀県
11
8
11
10
12
6
27
14
計
名
(男子
4 名)
(女子
7 名)
名
(男子
4 名)
(女子
4 名)
名
(男子
2 名)
(女子
9 名)
名
(男子
5 名)
(女子
5 名)
名
(男子
5 名)
(女子
7 名)
名
(男子
3 名)
(女子
3 名)
名
(男子
12 名)
(女子
15 名)
名
(男子
7 名)
(女子
7 名)
99 名
(男子
42 名)
(女子
57 名)
(男子
3 名)
(女子
7 名)
(男子
0 名)
(女子
1 名)
(男子
3 名)
(女子
8 名)
名
(男子
0 名)
(女子
1 名)
名
(男子
1 名)
(女子
0 名)
名
(男子
1 名)
(女子
0 名)
名
(男子
5 名)
(女子
6 名)
名
(男子
2 名)
(女子
1 名)
名
(男子
1 名)
(女子
0 名)
名
(男子
2 名)
(女子
1 名)
名
(男子
1 名)
(女子
1 名)
名
(男子
2 名)
(女子
1 名)
名
(男子
0 名)
(女子
1 名)
名
(男子
1 名)
(女子
1 名)
名
(男子
1 名)
(女子
0 名)
名
(男子
2 名)
(女子
4 名)
名
(男子
2 名)
(女子
2 名)
名
(男子
1 名)
(女子
1 名)
名
(男子
2 名)
(女子
3 名)
名
(男子
1 名)
(女子
0 名)
名
(男子
0 名)
(女子
1 名)
名
(男子
2 名)
(女子
1 名)
名
(男子
1 名)
(女子
1 名)
名
(男子
1 名)
(女子
0 名)
55 名
(男子
29 名)
(女子
26 名)
○被災地特別枠 11名 (男子3名・女子8名)
1
岩手県
2
宮城県
10 名
1 名
計
11 名
○一般公募枠 55名 (男子29名・女子26名)
1
山形県
2
群馬県
3
埼玉県
4
東京都
5
神奈川県
6
山梨県
7
愛知県
8
京都府
9
大阪府
10
兵庫県
11
広島県
12
香川県
13
福岡県
14
佐賀県
15
熊本県
16
大分県
17
宮崎県
18
沖縄県
19
アメリカ
20
カナダ
21
オーストラリア
計
1
1
1
11
3
1
3
2
3
1
2
1
6
4
2
5
1
1
3
2
1
83
6.第8回日本の次世代リーダー養成塾
学校所在地
北海道
青森県
岩手県
宮城県
山形県
群馬県
埼玉県
東京都
神奈川県
山梨県
岐阜県
静岡県
愛知県
学校名
塾生高校一覧(計123校)
学校所在地
北海道札幌国際情報高等学校
私立札幌光星高等学校
私立遺愛女子高等学校
私立飛鳥未来高等学校
私立望洋大谷学園室蘭大谷高等学校
私立立命館慶祥高等学校
青森県立青森中央高等学校
青森県立青森高等学校
青森県立弘前高等学校
青森県立田名部高等学校
青森県立むつ工業高等学校
岩手県立花巻北高等学校
岩手県立金ヶ崎高等学校
岩手県立大船渡高等学校
岩手県立一関第一高等学校
岩手県立岩泉高等学校
岩手県立盛岡商業高等学校
宮城県立気仙沼高等学校
山形県立寒河江高等学校
私立新島学園高等学校
私立本庄東高等学校
国立筑波大学附属駒場高等学校
私立東洋英和女学院高等部
私立国際基督教大学高等学校
私立早稲田大学高等学院
私立大妻中野高等学校
私立淑徳高等学校
私立昭和女子大学附属昭和高等学校
私立学習院女子高等科
私立多摩大学目黒高等学校
神奈川県立上鶴間高等学校
神奈川県立湘南高等学校
私立洗足学園高等学校
私立横須賀学院高等学校
私立鎌倉女学院高等学校
私立聖和学院高等学校
私立横浜雙葉高等学校
私立カリタス女子中学高等学校
私立浅野高等学校
私立鵠沼高等学校
山梨県立吉田高等学校
岐阜県立大垣北高等学校
岐阜県立岐阜各務野高等学校
岐阜県立加茂高等学校
岐阜県立多治見北高等学校
岐阜県立岐山高等学校
岐阜県立土岐商業高等学校
岐阜県立恵那農業高等学校
岐阜県立加茂農林高等学校
岐阜県立岐阜農林高等学校
私立多治見西高等学校
私立岐阜女子高等学校
私立麗澤瑞浪高等学校
静岡県立掛川西高等学校
静岡県立浜松西高等学校
静岡県立浜名高等学校
静岡県立科学技術高等学校
静岡県立沼津東高等学校
静岡県立清水東高等学校
私立静岡学園高等学校
私立南山国際高等学校
私立南山高等学校
私立名古屋高等学校
京都府
大阪府
学校名
私立洛南高等学校
私立関西学院千里国際高等部
私立智辯学園和歌山高等学校
和歌山県
私立開智高等学校
兵庫県
私立カネディアン・アカデミー高校部
広島県
福山市立福山高等学校
香川県
香川県立大手前高松高等学校
福岡県立福岡高等学校
福岡県立香住丘高等学校
福岡県立戸畑高等学校
福岡県立筑紫丘高等学校
福岡県立玄洋高等学校
福岡県立城南高等学校
福岡県立明善高等学校
福岡県立ありあけ新世高等学校
福岡県立宗像高等学校
福岡県立小倉東高等学校
福岡県立久留米高等学校
福岡県立大牟田北高等学校
福岡県立輝翔館中等教育学校
福岡県
福岡県公立古賀竟成館高等学校
福岡県立小倉工業高等学校
福岡県立三池工業高等学校
私立久留米大学附設高等学校
私立福岡雙葉高等学校
私立海星女子学院高等学校
私立久留米信愛女学院高等学校
私立福岡大学附属大濠高等学校
私立筑紫女学園高等学校
私立西南学院高等学校
私立東海大学付属第五高等学校
私立明光学園高等学校
私立福岡工業大学附属城東高等学校
佐賀県立武雄高等学校
佐賀県立鹿島高等学校
佐賀県立伊万里高等学校
佐賀県立唐津東高等学校
佐賀県立唐津西高等学校
佐賀県立小城高等学校
佐賀県
佐賀県立佐賀北高等学校
佐賀県立唐津清翔高等学校
佐賀県立有田工業高等学校
私立東明館高等学校
私立佐賀学園高等学校
私立佐賀清和高等学校
私立早稲田佐賀高等学校
熊本県
熊本県立多良木高等学校
大分県立中津南高等学校
大分県立上野丘高等学校
大分県
大分県立大分西高等学校
大分県立杵築高等学校
私立大分東明高等学校
宮崎県
宮崎県立五ヶ瀬中等教育学校
沖縄県
沖縄県立普天間高等学校
私立慶應義塾ニューヨーク学院
アメリカ Mercersburg Academy
Oak Park and River Forest High School
College Heights Secondary
カナダ
Bishop's College School
オーストラリア Brauer College
84
7.クラス担任・学生リーダー及びスタッフ名簿
(敬称略 所属五十音順)
【クラス担任】
株式会社麻生
井上
武
学校法人麻生塾 麻生専門学校グループ
安部
剛敏
九州電力株式会社
立花
義人
住友信託銀行株式会社
谷
株式会社西部技研
永松
資紹
学校法人筑紫女学園
花村
哲
雜賀
郁江
畠山
園子
白井
徹哉
株式会社ふくや
西川
寛
株式会社ミズ
溝上
泰仁
三井住友海上火災保険株式会社
片山
亮太郎
三井物産株式会社
吉丸
寛実
株式会社三菱東京UFJ銀行
石原
恒平
日本アイ・ビー・エム株式会社
日本アイ・ビー・エムシステムズ・
エンジニアリング株式会社
将也
【クラス生活担当学生リーダー】
学習院大学
戸島
真梨子
九州大学
大城戸
国際基督教大学
大田
一博
上智大学
川
玲奈
仙台大学
井上
貴史
Northeastern University
織田
翔平
立命館アジア太平洋大学
中野
誠
絵里
【事務局担当学生リーダー】
慶應義塾大学
荒木 優里
駒澤大学
今野 孝洋
延世大学校
金
立命館アジア太平洋大学
西塔 琢人
85
裕津
【事務局補助スタッフ】
春日市役所
上野
志保
宗像市役所
田中 美保
【事務局スタッフ】
日本の次世代リーダー養成塾事務局長
日本の次世代リーダー養成塾事務局員
86
加藤
暁子
相戸
和歌子
安住
香織
立花
裕二
8.ご協賛いただいた皆様とご協力いただいた皆様
(2011年10月1日現在)
今回の日本の次世代リーダー養成塾は、次に掲げる皆様のご協賛とご協力により開催することができま
した。ここに、深く感謝申し上げます。
ご協賛いただいた皆様
芦川 英通様
株式会社アステム
株式会社麻生
学校法人麻生塾 麻生専門学校グループ
株式会社アトル
アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)
大竹 美喜様
公益財団法人オリックス財団
九州電力株式会社
株式会社九電工
九州旅客鉄道株式会社
国際ロータリー第2700地区
西部瓦斯株式会社
株式会社サニックス
株式会社資生堂
株式会社翔薬
株式会社伸良商事
住友化学株式会社
住友信託銀行株式会社
株式会社玉屋
株式会社戸上電機製作所
株式会社西日本シティ銀行
西日本鉄道株式会社
日本航空株式会社
株式会社バイオン
久光製薬株式会社
株式会社福岡銀行
87
福岡地所株式会社
株式会社ふくや
富士ゼロックス株式会社
フンドーキン醤油株式会社
株式会社ミズ
株式会社三井住友銀行
三菱商事株式会社
株式会社三菱東京UFJ銀行
株式会社安川電機
YASKAWA未来クラブ
吉本 平史様
財団法人福岡県市町村振興協会
五十音順
ご協力いただいた皆様
IN・COM株式会社
鹿児島県
鹿児島市
特定非営利活動法人九州・アジア経営塾
株式会社グローバルアリーナ
佐賀県波戸岬少年自然の家
佐賀県立名護屋城博物館
城山観光株式会社
株式会社西部技研
学校法人筑紫女学園
日本アイ・ビー・エム株式会社
日本アイ・ビー・エムシステムズ・エンジニアリング株式会社
有限会社ビッグブラザーズ
株式会社ホテル日航福岡
株式会社萬坊
三井住友海上火災保険株式会社
三井物産株式会社
株式会社リクルート
五十音順
88
日本の次世代リーダー養成塾 事務局
〒107-0062 東京都港区南青山 5-12-28
メゾン南青山 403 号
TEL:03-5466-0804
FAX:03-5466-0842
ホームページ
http://leaderjuku.jp/
メールアドレス
[email protected]
89
Fly UP