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紛争・災害後の教育支援、人間の安全保障のための教育 紛争や災害はそれまで築かれた教育システムを破壊し、 になります。そして、教育はお互いの違いを学び、相手を アフガニスタン Afghanistan 一般プロジェクト無償資金協力 高等教育を復興する アフガニスタンは、ユネスコの協力を 農学部、獣医学部とカブール教育大学を 得て策定した「教育開発復興」で、高等 対象に、実習・実験用機材を供与するた 教育の復興計画を定めています。しか めに、4億1,600万円を限度とする無償資 紛争や災害は、子どもの心に大きな傷を残します。学校 し、長期の内戦により高等教育機関の建 金協力を行いました。また官民共同の技 が大切です。そして復興期には、破壊された学校などのイン を復興して通える環境を作り、学ぶ目標をつくることは、 物や設備は破壊され、実習・実験機材 術協力として、日本の5つの女子大学が共 フラ整備とともに、教員養成、教育内容の整備、教育システ 未来への希望や生きる目的を与えることにつながります。 も略奪されました。さらに、ひっ迫した 同で毎年十数名の女性教員の受け入れを 財政状況により、教職員の給料が遅配す 実施しており、両国の大学間連携として るなど、質の高い教員の確保も難しい状 は、カブール大学の農・工学部が日本の 況です。 大学と学術協定を締結し、数名の教員を 健康や生命の危機とともに、子どもたちの未来に大きな障壁 知ることで、民族融和や平和への歩みを支えるものとして をつくります。緊急段階では生命の保護、衛生状況の改善と も重要です。 ともに、迅速に子どもたちが復学できる状況を取り戻すこと ムの再構築を行って国の再建の基礎づくりを行うことが重要 です。また職を失った人々のための職業訓練も重要です。 教育支援では子どもの心のケアへの配慮も必要です。 こうした紛争・災害のみならず、人々が生存・生活に対 アフガニスタンのように長い紛争で破壊されたシステム する脅威から守られて、人間一人ひとりが生きるための力 日本は「カブール市大学機材整備計画」 を復興するのは容易なことではありません。しかし復興か を等しくもつこと、その人間の安全保障とエンパワメント で、首都にあるカブール大学の理工学部、 ら開発へと向かうためにも、人材育成のための教育が必要 のために、教育は重要な役割を果たします。 アフガニスタン/イラク Afghanistan / Iraq 緊急無償資金協力・イラク復興信託基金 国の未来をつくる子どもたちに教育を アルジェリア カブール大学での授業風景 Algeria 有償資金協力(円借款) 地震で壊れた学校を建て直す 2003年5月のアルジェリア北部地震 学校が多いのですが、地震災害による教 は、死者2,300人、負傷者1万1,500人、 室や教育機材の不足は、 「2008年までに アフガニスタンでは、長年にわたる紛 復などを実施しました。日本はこの事業 被災家屋180万戸の被害をもたらし、多 2部制を廃止する」 という政策目標にも、 争のために教育制度が崩壊し、多くの の総経費1,900万ドルのうち1,100万ド くの学校施設が被害を受けました。その 暗い影を落としています。 人々、特に女性の教育の機会が奪われて ルを支援しました。その結果、2003年 ため、被災地域の多くの児童や生徒は、 いました。タリバン政権時代に女性は教 の初等教育就学率は、男子67%、女子 プレハブの仮校舎や応急修復した校舎で し「教育セクター震災復興計画」の円借款 育と就労を禁じられ、1999年の初等教 40%にまで改善しました。 授業を受けています。校舎が全壊した場 (約29億円) を供与しました。これによっ 育就学率は男子38%、女子は実に3%に イラクでも、3度の戦争と10年以上に すぎませんでした。2001年の暫定政権 わたる経済制裁によって、かつて中東一 発足後、ユニセフが実施した「バック・ と評価されていた教育システムは荒廃し トゥー・スクール(学校に戻ろう)」キャ ンペーンでは、2002年3月の新学期開始 日本はJBICを通じ、アルジェリアに対 合は隣接校などを借りており、児童や生 て、特に被害が大きかった小学校26校、 徒の通学にも影響を及ぼし、学習環境は 中学校4校と高校6校について、耐震性を 日本はまた、イラクで国連人間居住計画 地震前と比べて非常に悪化しました。ア 備えた校舎の再建と必要な教育機材の供 ました。日本は、ユニセフの「バック・ (UN-HABITAT)へ約6億5,200万円の拠 ルジェリアでは2部制を実施している小 与が実施されています。 トゥー・スクール」事業に、約4,200万 出を行って、南部の3都市で特に深刻な状 に向け、約178万人の子どもの就学を目 ドルの拠出を行い、生徒約600万人に対 況にある200の小中学校を再建し、早期 標として、700万冊以上の教科書、1万 する学習教材の配布、約150校の校舎の の授業再開を支援しています。また、この 8,000枚の黒板、子ども・教師用の教育 修復、教員に対する研修などの活動を実 学校再建事業によって、地元住民の雇用 教材セットの配布、教員研修、学校の修 施しています。 機会がつくられることも期待されています。 インドネシア 国際機関拠出金(緊急支援) 仮設教室で学ぶ女生徒たち (アフガニスタン) (©ユニセフ) Indonesia カンボジア、ベトナム インド洋津波発生から3週間後、日本 して、各地で学校再開を支援し、被災者 は7,000万ドルをユニセフの緊急支援活 キャンプに「子どもセンター」を開いて子 動に対し拠出し、そのうち2,500万ドル どもたちの心のケアを行っています。 きれいになった学校と子どもたち Cambodia / Vietnam 人間の安全保障基金 子どもや青少年の未来を支援する 子どもたちの心のケア 18 日本に派遣しています。 1999年、日本は人間の生存・生活・ どの知識の普及や心のケアも行っていま 尊厳を確保するための「人間の安全保障 す。さらに社会への適応のため能力強化 基金」を国連に設置しました。この基金 セミナーも実施されました。 を活用して、紛争後の教育支援や、さま また人間の安全保障基金では、約61 ざまな脅威にさらされている子どもの教 万ドルを拠出して、ユネスコ・カンボジ 育を支援しています。 ア事務所が5つの現地NGOと連携して カンボジアとベトナムでは、貧困にあ 行った、「リスクにさらされたストリー えぐ農村部から都市に若者が流出してい トチルドレンに対するノン・フォーマル がインドネシアでの支援活動に活用され 日本の援助により、生徒43万人分の ますが、教育や仕事の機会に恵まれず、 教育プロジェクト」も支援しています。5 ました。これは、津波発生直後に出され 仮設教室用テントや、約10万7,000人分 路上生活を余儀なくされるケースが増え 歳から24歳の親を失った子ども、中途退 たユニセフ・緊急アピール総額の約半分 の心理ケアのためのレクリエーション・ ています。こうした若者たちは、搾取、虐 学者、ストリートチルドレンなど3,000人 を占める金額です。 キットが提供されました。また、迅速に 待、売春、人身売買などの危険にさらさ 以上を対象に、識字や算数、問題解決 こうした大災害によって、家族や生活 学校を再開するため、授業に必要な物資 れています。人間の安全保障基金では、 能力、生活技能(ライフスキル) を教えて の糧を失った子どもたちは、肉体的だけ を詰め合わせた「スクール・イン・ボッ 約36万ドルを拠出して、UN-HABITATが います。また美容、養鶏、裁縫、電気製 でなく精神的にも大きなダメージを受け クス」も約11万人分提供されました。こ 実施する 「都市部において危機的状況に 品の修理などの技術教育を実施して、子 ます。ユニセフが救援活動の中核に据え のような素早い支援活動の結果、災害発 ある若者への支援:若者の家」プロジェ どもたちの自立と社会復帰のための能力 ているのは、このような子どもたちをで 生から1カ月後の2005年1月26日には学 クトを支援しました。プロジェクトでは、 を伸ばしています。さらに学校への復学 きるかぎり早く普通の生活に戻すための 校の再開式が行われ、9割以上の小学生 路上生活する若者に基礎教育や職業訓 も積極的に支援しています。 支援です。ユニセフはテントなどを提供 が学校に戻ってきました。 配布されたカバンで通学する子どもたち(©ユニセフ) 縫製の職業訓練を受ける子どもたち(©ユネスコ) 練の機会を提供し、麻薬やHIV/エイズな 19 分野を超えた取り組み パートナーシップ 健康と教育には密接な関係があります。健康は人間の生 日本は保健所、保健婦、母子保健制度とともに学校保 教育に対する支援が最大の効果を生み出すためには、相 存のために欠かせないものですが、教育においても同様で 健の徹底により、戦後の短期間で乳幼児死亡率を減少さ 手国政府、市民、国際機関や他の援助国、非政府組織 また、このような援助協調とともに、ユネスコやユニセ す。健康が教育を推進し、また教育により保健衛生の知 せるなど、大きな効果を上げました。現在、途上国で猛 (NGO)、民間部門との幅広いパートナーシップが欠かせ フなどの国連機関の教育支援活動を信託基金などの資金 識を得ることで健康状態が改善されます。学校に、安全 威をふるうHIV/エイズやマラリア、ギニア・ウァームな な飲み水やトイレなどの衛生施設を整備し、保健指導や寄 どの感染症対策には、特に学校での保健、公衆衛生教育 日本は、相手国が主導して策定した、教育セクター・ 草の根で活動するNGOとの連携も極めて重要です。日本 生虫駆除などを行うことは保健衛生状態を改善し、また給 が効果があります。公衆衛生の基本として、手洗いや安全 プログラムの重点目標や優先順位に沿って、他の援助国・ は、 「草の根・人間の安全保障無償」や「日本NGO支援無 食の実施や栄養指導などは栄養状態を改善します。そして な水の利用などの推進には、まず子どもに対する教育が重 機関と連携・協調しつつ、効率的な援助を行うことを推 償」などで内外のNGOの教育支援活動に協力しています。 良好な健康状態は学習効果を高めます。 要です。 ラオス Laos 技術協力 ユネスコの「万人のための 教育」推進をサポートする ユネスコは、世界教育フォーラム (2000 めの教育(EFA) ダカール行動の枠組み」 健康と教育は密接につながる で支えています。 ません。 年4月、ダカール) で掲げられた「万人のた の実現を主導的に推進しています。 進しています。 モンゴル Mongolia 草の根・人間の安全保障無償 貧しい児童に幼児教育を∼草の根の活動を支援 モンゴルの首都ウランバートル北側の も授業についていけず、就学をあきらめ ラオスは、子どもの健康と教育が密接 して、ラオス人有名歌手の歌や紙 日本は、2000年よりユネスコに設置し ソンギノハイルハン区第10地区には、市 ることも少なくありません。センターでは、 な関係にあるという認識で、2005年に 芝居による衛生キャンペーン、タ た「人的資源開発信託基金」を通じて、さ 内の貧困層が住んでいます。近年は、雪 貧困家庭のゲル(移動式住居) を訪問す 「国家学校保健政策」を策定し、健康を イのプロジェクトと連携した寄生 まざまなユネスコのEFA活動を支援して 害や干ばつによる地方住民の流入で人口 る巡回授業も行っていますが、効率的で 促進する学校の活動に積極的に取り組ん 虫対策の人材育成や試験的プロジ います。発足以来、 「パキスタンのEFA実 が急増しています。唯一の幼稚園である はありませんでした。日本はそのため、 でいます。具体的には健康と生活技能 ェクトを行ってきました。この過 施能力強化」 、 「イエメン基礎教育教師ト 児童発展センターは、1999年に住民参加 「児童発展センター拡張計画」で約544万 (ライフスキル) 、健康的学習環境、保健 程で「国家学校保健政策」策定の レーニング」 、 「ニジェール初等教育臨時教 で設立され、最貧困家庭の児童など50人 円の草の根・人間の安全保障無償資金 サービスと栄養、疾病対策と予防につい 機運が高まり、策定にも関わりま 員現職訓練支援」 、 「ベトナムEFAパートナ が入園して情緒教育や就学前の準備を行 協力を行い、センター拡張を支援しまし ての、学校と地域の連携による教育現場 した。現在JICAは専門家を派遣 ーシップ強化」 、 「アフガニスタンにおける っています。しかし施設が狭いため、多 た。より多くの貧困児童が幼稚園に通え での改善が目標で、中央、県、郡に学校 し、政策普及や学校保健推進委員 識字教育と学校外教育開発(ランド・アフ くの児童を入園させることが困難でした。 るようになり、小学校就学前の準備を行 ガン) 」など、この基金を活用してこれまで 入園できない児童は、小学校に入って 保健推進委員会を設置しました。 JICAは、2002年から 「子どものための 保健サービス強化プロジェクト」を実施 会を強化する協力を行い、校長・教員の 「3つの衛生」キャンペーンイベント 能力強化や、地域を巻き込んだ持続性を に1,300万ドル以上のEFA関連支援を行 めざす協力も展開しつつあります。 いました。 えるようになりました。 「万人のための教育 また2002年度から、 School Feeding Program(WFP) 学校給食プログラム支援(WFP) 事務所を拠点として、識字教育や初等教 育の普及のための事業を実施しています。 具体的には、EFAダカール目標を実現す 学校給食で充実した学びを るために支援が必要なユネスコ加盟国を 対象として、①就学前教育と学校外教育 食糧事情が悪化している国では、多く 行いました。対象となる学校では、授業 の貧しい家庭の子どもたちが飢えに悩ん のなかでHIV/エイズ教育も実施する予定 ③国家計画(EFA行動計画)作成のため でいます。空腹は子どもから集中力や学 で、エイズの予防にも大きな効果がある の支援、④国際的ネットワークの形成、⑤ 習意欲を奪います。また、深刻な栄養不 と考えられます。 評価活動などを行っています。 足は、肉体的、知的発育を妨げます。日 また、日本は、少数民族が住むミャン 本は、拠出金や特定国に対する食糧支援 マー辺境のコーカン特別区で、ケシの代 事業などを通じて、国連世界食糧計画 替作物としてのソバの栽培を支援してい (WFP)が実施する学校給食プログラム ます。このソバのミャンマー国内市場を を積極的に支援しています。授業の合間 開拓するために日本が商品開発を支援し に配給される給食は、貧しい家庭の子ど た「ソバ・クッキー」は、ソバの栄養に着 もたちに栄養を与え、就学率、出席率、 目したWFPによって給食に採択されま 学習能力を向上させます。 した。ソバ・クッキーの給食によって登 アンゴラでは、内戦から3年を経過し 校児童が増えているという報告もありま た後も、貧困を背景として就学率の低い す。ケシという麻薬撲滅の一環として始 ウアンボ州とカンザ・スール州を対象 められた農業支援は、ミャンマーの子ど に、人間の安全保障基金を活用して、 もたちの健康と教育に貢献しています。 WFPを通じて約1億2,000万円の支援を 20 信託基金」 を拠出して、ユネスコ・バンコク 入 園 し た 児 童 た ち の拡充・改善、②学校教育の普及・充実、 日本のNGOとの協力 「教育協力NGOネットワーク (JNNE : Japan NGO Network for Education) 」は、 2001年1月に設立された、教育分野に関わ る日本のNGOのネットワークです。これは、 NGOの能力強化、政府や国際機関などに 対する政策提言、教育協力に関する調査研 究業務、さらにセミナーなどを開催して教育 協力への理解と参加を広く働きかけること を目的としています。外務省では、JNNEと の懇談会を実施し、情報交換や教育協力 政策についての意見交換を行っています。 「日本NGO支援無償資金協力」は、日本 の国際協力NGOに対し外務省が実施して いる資金面での支援策のひとつで、途上 国で活動するNGOなどに対する「草の根 無償資金協力」と、2000年度から災害・ 紛争の国際緊急援助NGOを対象に始ま った「NGO緊急活動支援無償」を統合し て、2002年度に創設されました。本部ス タッフの人件費、業務打ち合わせ会議関 連経費なども一部支援対象にすることで、 日本のNGOの円滑で効果的な援助活動 に貢献しています。2004年度には、46の 日本のNGO団体が32カ国で行う72件の 事業に10億4,000万円を供与しました。こ のなかには、JHP・学校をつくる会による カンボジア小学校校舎建設プロジェクト など、教育分野の協力も多く含まれてい ます。 給食に並ぶ子どもたち 21 [高等教育・技術教育] 日本の協力と展開 ●[高 等教育・技術教育] 中国 高等教育 China 有償資金協力(円借款) 日中の大学間で連携する 急速に進む経済のグローバル化を背景に、高い教育や技 れています。日本は、工学、農学、経営学などの分野で、 中国では、義務教育(小中学校)の就 て内陸部19省・市・自治区 学率が2003年には98%に達し、大学・ の167大学を対象に、校舎 大学院などの高等教育機関の就学率を や設備の整備や教職員の日 術を備えた人材がますます求められており、高等教育の持 教育内容や教授法の改善、施設の拡充、格差の是正、マ つ重要性が再認識されています。開発途上国の大学など高 ネジメントの改善などに協力しています。さらに大学の国 引き上げることを目標に掲げ、2003年に 本研修、日中の大学による 等教育機関もこれに対応して変化することが求められてい 際化に対応するため、国を超えた教育・研究ネットワー は17%まで向上させました。しかしなが 共同研究などを行い、2005 ます。とりわけ、知識型社会に対応する人材の育成、社 ク、日本の大学との教員派遣や教員交流、情報通信技術 ら日本の51%やタイの38%に比べると依 年5月までに695名が来日し の活用による遠隔講義なども推進しています。 然低い水準にあります。 ました。これらは、日本の 会貢献、生涯学習の推進、産学連携の強化などが求めら インドネシア 一般プロジェクト無償資金協力・技術協力 Indonesia 2001年度に始まった「内陸部・人材 大学が持つノウハウや知的 育成計画」は、地域活性化、市場ルール 資源の活用と、日中間の相 の強化、環境保全の人材育成をサポート 互理解を促進し、地球規模 するため、開発が遅れている内陸部の高 の課題改善に向けた両国の 等教育の量的・質的な拡充の支援を行 協力体制を築くために貢献 っています。この事業では円借款によっ しています。 電子・通信工学の技術者を養成する インドネシアでは、1980年代初 教員に電子工学の第三国研修*を始めま 頭からの工業開発政策に基づき、 した。また1999年からは、全国のポリテ ASEAN 西安での人材育成ワークショップ(©JBIC) ASEAN 技術協力 中間技術者育成のポリテクニック クニックに電気系(電気、電子、通信、情 (技術専門学校)設置を開始しまし 報)教員を供給する4年制教員養成コース た。日本は、1986年に無償資金協 の設置と情報技術3年コースの新設のた 力でスラバヤ電子工学ポリテクニ めに「電気系ポリテクニック教員養成計 2001年4月から2006年10月まで協力 大学の教育・研究協力ネットワークづく 内と日本)の取得支援、研究支援、ワーク ックの新設を支援し、1987年から 画」を実施し、2001、2002年には無償資 が行われている、アセアン工学系高等教 りと、連携によるアセアン19大学の工学 ショップやセミナーの開催支援などが行わ 1994年まで電子工学と通信工学の 金協力で施設や機材を支援しました。そ 育開発ネットワーク(AUN/SEED-Net) 分野の研究、教育能力の向上を目的と れています。そして研究者が国を超えて議 教材開発、教員育成と学校運営な して第三国研修は、現在ではアフリカか は、アセアン10カ国19大学と日本の11 しています。これは1997年の日本・ア 論を深め、同時にアセアンの一員である どの「スラバヤ電子工学ポリテクニ らの研修生も受け入れ、この分野のアジ セアン首脳国会議での協力方針発表をき ことを再認識することで、地域の連帯がさ ック」プロジェクトを実施しました。 ア・アフリカ協力も始まっています。 *JICAの研修事業の一つで、日本が開発途上国に移転 っかけに、アセアン経済危機克服への取 らに深まるとも考えられています。 1993年からは他のアジア諸国の 1991年から参加のNHKロボットコンテスト (大学の 部) で2001年に念願の初優勝を果たした 日本とアセアンの工学系ネットワーク り組みとして、工学系の新たな大学間ネ した技術を、その国を通じて周辺国などに移転・普 及させるための研修。 ットワークとして考案されました。 このプロジェクトでは、アセアンの工 ラオス Laos 技術協力 市場経済で活躍する人材を育てる 1986年以降、ラオスは市場経済への トワークづくり、能力向上のための修士 号(アセアン域内)と博士号(アセアン域 セミナーとシンポジウムの参加者たち 職し、調査した100機関・企業の8割が 移行を着実に進めています。1995年6月 この学部の出身者を積極的に雇用 に新設されたラオス国立大学には、市場 したいとの意向を示してい 経済で活躍する人材を育成するためにラ ます。 オス初の経済経営学部が創設され、JICA ラオス国立大学 は、 「国立大学経済経営学部支援プロジ 学系高等教育研究者や指導者間のネッ 経済経営学部で 学ぶ学生 ェクト」 を2002年9月から実施しています。 支援の内容は、カリキュラム、教科書、 シラバスなどの整備による教育機能の拡 大と充実、修士号・博士号取得のための 日本やアジアへの留学による教員の研 究能力の強化、学生管理、図書館シス テムなどの学部運営能力の向上です。 また日本の神戸大学からの教員、研究 者の現地への短期派遣や遠隔講義の開催 などの支援プログラムも行われています。 8割前後の卒業生が卒業後半年以内に就 22 23 [高等教育・技術教育] ウガンダ 技術教育・職業訓練 Uganda 技術協力 自己収入と起業家育成も と拡充、技術訓練や指導・運営などを支援しています。 個人の所得向上と、国の開発・発展を支える技術者な どの産業人材の育成のために、技術教育や職業訓練は基 具体的には、市場のニーズに合うカリキュラムづくり、指 礎教育とは異なる特別な役割を担っています。そして、優 導員の能力強化、産業界との連携、持続可能な学校運営 れた労働力は海外からの投資にもつながり、産業の多角 のマネジメントなどに協力しています。 長期内戦による技術労働者不足は、ウ こうしたプロジェクトの成果を、さら カ東南部各国の職業訓練校からも指導員 ガンダの産業振興と経済発展の大きな阻 に広範囲に役立てるために、ウガンダ国 をナカワ職業訓練校に招き、指導技術向 害要因になっていました。JICAによる 内の他の職業訓練校はもちろん、アフリ 上のための指導者研修を行っています。 「ナカワ職業訓練プロジェクト」は、1997 年5 月から2004年5月まで、首都カン 化、高度化を通して国際競争力を高めます。また、将来 このような訓練校は発展して、近隣の途上国から研修員 パラのナカワ職業訓練校で行われまし を担う若者の雇用創出や起業にもつながり、開発途上国 を受け入れ、南南協力の拠点としても活用されています。 た。内容は訓練体制の整備、職業訓練 の安定や自立的発展にも貢献します。 また近年は自己収入事業を推進した自立的運営の支援な ども行っています。 日本は、開発途上国において職業訓練校や機材の整備 コースの開設と実施、指導員の能力向上 の研修、産業界との連携委員会の確立 などの協力です。また運営費の一部を学 校が生み出すために、その施設を活用し セネガル Senegal 一般プロジェクト無償資金協力・技術協力 1984年、第一次産品に依存した経済 して、電子、産業電子、電子工学、自 構造から、軽工業などを中心とした工業 動車整備各科の機材供与と、研修員受 化を開発目標としたセネガルに、日本・ け入れや短期専門家派遣が行われまし セネガル職業訓練センターが無償資金協 た。こうした結果、2004年の就職率は 力で建設されました。以降、中堅技術者 80%と高水準を達成し、このセンター長 の「特定地域における零細・中小企業プ 修も行っています。 機械実習で学ぶ Vietnam は近隣国からの研修受け入れについて、 研修受け入れを開始し、99年からは上 「セネガルはテランガ(迎え入れる)精神 級技術者育成の協力が行われました。セ の国、南南協力の担い手として最適で ネガル随一という評価を地元産業界から す」 と意欲を語っています。 ベトナム 得ているセンターは、フランス語圏アフ 技術協力 地元のニーズにこたえる「ものづくり」 リカで三指に入る職業訓練校に成長して 外資系企業の進出や工業化が加速す います。 2002年7月から2003年12月までは「中 堅技術者養成コース」のアフターケアと ウズベキスタン らに、UNIDO(国際連合工業開発機構) ロジェクト」と連携して、起業家育成研 セネガル発、職業訓練の南南協力 養成の協力を経て、92年から周辺国の た自己収入事業も取り入れています。さ 精密機材による実習と専門家 Uzbekistan 有償資金協力(円借款) は、 「ハノイ工科短期大学機械技術者養 ここでは通常の訓練のほかに、地元 るベトナムでは、技術労働者のレベルア 成計画」 (2000年∼2005年) を実施して、 の工場で働く従業員への短期訓練や、 ップが重要な課題となっています。JICA 北部の拠点校であるハノイエ科短期大 民間企業からの製品受注などを行って 学の機械技術者養成訓練コースの開発 います。こうした活動を通じて地元産業 と運営を支援しています。 界のニーズを把握し、それに応じた訓練 を行うようになり、地元産業との良好な 関係を築くことができました。訓練を終 了した学生は、専門技術を得ただけで 日本の農業高校のノウハウを はなく、 「働く姿勢」や「ものづくりへの 熱意」も十分に身につけていると、現地 社会主義から市場経済 業高等学校拡充計画」の円借款(約63億 の日系企業などを含めた地元産業界で への移行期にあるウズベキ 円) を行いました。そして農業高校50校 高い評価を得ています。 スタンでは、就業人口の4 に、理科の実験器具などの教材やトラク 割が従事し、GDPの3割を ターなどの機器を供与し、校長クラスの 占める農業の発展と、それ 学校運営責任者や教員の研修を日本と を支える農業教育の充実が ウズベキスタンで実施しました。 最重要課題のひとつです。 日本で研修生たちは、農業高校などで ウズベキスタンは、日本 学校運営のノウハウや、作物栽培、酪 の高校にあたる過程を義務 農・獣医、食品加工などの実習方法や授 教育化するなど、教育改革 業の進め方について学びました。乳製品 を行っていますが、その一 の製造、土木機械操作などの新技術を活 環として、農業を中心とし 用した研修内容は、研修生から高い評価 た職業教育の整備と拡充 を受けています。 旋盤技術の実習 を進めています。そのため 農場でのトラクター実習(©JBIC) 24 日本はJBICを通じて、「職 25 [高等教育・技術教育] 留学生借款 ●科学技術人材開発計画 経済・開発政策の立案・実施や、産業 留学生支援 ビルディング)のために、日本はこれま 3カ国に対し、JBICを通じて総額591億 また、1999年からは、開発途上国の国づくり支援を目 ますます重要となる日本と諸外国の親密な人的ネットワー クを形成して、相互理解や友好親善を促進します。また、 的に、留学生の受け入れの対象分野から募集や選考方法 日本と諸外国との教育・研究水準を向上させ、開発途上 までを、途上国政府と日本が共同で行う 「留学生無償資金 国の人材養成に協力するなど、「知的国際貢献」 としてき 協力」が始まり、2004年度には、この制度により243人の わめて重要な意義をもっています。 留学生を日本の高等教育機関が受け入れました。 日本は、世界でも有数の日本の教育研究環境を諸外国 日本は、これまで「留学生受入れ10万人計画」のもと、 国費留学生受け入れの計画的整備、私費留学生などへの の未来を担う若者たちに提供することは、国際社会の一員 援助、留学生に対する教育・研究指導の充実など、留学 としての責務と考え、留学生交流のいっそうの推進に積極 生受け入れのための諸施策の充実につとめてきました。 的に取り組んでいます。 109,508 留学生総数 私費留学生数 105,592 95,550 98,135 国費留学生数 78,812 外国政府派遣留学生数 85,024 実験に取り組む学生たち(©JBIC) 64,011 60,000 41,347 45,066 40,000 31,251 20,000 10,428 12,410 15,009 18,631 22,154 798 774 895 35,360 38,775 52,405 53,787 53,847 52,921 51,047 51,298 55,755 53,640 995 976 4,465 934 4,961 1,026 5,219 1,072 5,699 1,058 6,408 1,214 6,880 1,330 8,051 7,371 1,231 1,297 8,250 8,323 8,774 8,930 9,173 せる制度です。これによって、より効率的 計画」に対し、1992年の第1期に続き、 な留学が可能となりました。この事業は多 1999年の第2期事業に円借款を供与しま くの日本の大学の理解と協力を得て、マレ した。 ーシア人学生の日本の理工系の大学と大学 第1期は、マレーシア国内の教育機関に 院への留学を持続的に支援しています。 よる2年間の予備教育の後、入学試験を 2001年から5年間で約300人が編入学し、 受けて日本の大学に1年次から4年間在学 学生たちは進学先などで高い評価を受けて するものでした。第2期では、学部レベル います。 9,009 9,746 9,804 ● 外務省(成長のための基礎教育イニシアティブ(BEGIN) ) 1,906 ● 文部科学省(国際教育協力関連サイト) 1,524 1,585 1,542 1,441 1,369 1,517 1,627 www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/kyouiku/main5_a9.htm www.jica.go.jp/Index-j.html タイ 留学生、ヤング・リーダーズ・プログラ インドネシア 1,810 622 フィリピン 学校留学生、専修学校留学生の7つの マレーシア プログラムから構成されています。ODA モンゴル ● JBIC(国際協力銀行) 530 ベトナム ● JICAナレッジサイト(教育) gwweb.jica.go.jp/km/km_frame.nsf/ 600 www.jbic.go.jp/ 440 バングラデシュ 本語・日本文化研修留学生、高等専門 のとおり。 を日本の大学が認定して2年次に編入学さ シア留学生派遣事業の 「高等教育借款基金 www.mofa.go.jp/mofaj/area/af_edu/initiative.html 中国 大学院レベルの研究留学生、教員研修 援助対象国中上位10カ国の人数は右記 シア国内の現地教育機関で行い、その単位 の人材育成を進めています。日本はマレー www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/index/seisaku/bunya.html ● JICA(国際協力機構) ム留学生と学部レベルの学部留学生、日 しました。これは大学教育の一部をマレー 備とともに、海外留学による科学研究分野 ● 外務省(ODAサイト) 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 年 国費留学生制度 での留学にツイニング・プログラムを採用 教 育 分 野 の 開 発 援 助 サ イ ト 45,439 44,783 45,577 45,245 43,573 41,804 41,273 41,390 20,549 4,118 2020年までの先進国入りを目標に掲げ ているマレーシアは、国内の高等教育の整 68,270 25,852 17,701 14,659 9,267 11,733 3,077 3,458 2,345 2,502 7,483 2,082 0 863 25,643 48,561 Malaysia 単位認定制度で持続的な留学を 117,302 120,000 ●東方政策計画 ●高等教育借款基金計画(2) マレーシア 有償資金協力(円借款) 留学生の推移 (人) ●日・タイ技術移転計画 ●高等教育借款基金計画(1) マレーシア 円の円借款を供与しました。 2003年にこの目標は達成され、2004年の留学生受け入れ 80,000 タイ でにインドネシア、タイ、マレーシアの 総数は約11万7千人となっています。 ●高等職業人材開発事業計画(1) ●高等職業人材開発事業計画(2) 高度化のための能力強化(キャパシティ 留学生交流は、グローバル化する経済や社会のなかで、 100,000 インドネシア ● 日本ユネスコ協会連盟(世界寺子屋運動) www.unesco.or.jp/contents/tera/index.html ●(財) 日本ユニセフ協会 www.unicef.or.jp ● UNESCO(教育関連サイト) www.unesco.org/education/index.shtml ● 世界銀行(教育関連サイト) worldbank.org/education/ ● ユニセフ(ユニセフ本部) www.unicef.org/ ● アフリカ教育開発連合(ADEA) www.adeanet.org/ ● JNNE(教育協力NGOネットワーク) 315 www.jca.apc.org/sva/jnne/ 255 240 220 ブラジル 151 カンボジア 0 500 1000 1500 2000 人数(2004年度) 26 27 外務省 経済協力局 〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1 電話03-3580-3311(代表) www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda 2005年11月