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Oracle グリッド・コンピューティング

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Oracle グリッド・コンピューティング
Oracle グリッド・コンピューティング
オラクル・ビジネス・ホワイト・ペーパー
2003 年 8 月
Oracle グリッド・コンピューティング
概要
ビジネス・サイクルの速度と予測の難しさから、多くの企業が管理能力の限界に
まで追いやられています。組織は、適応力をさらに高める必要がありますが、多
くの場合、情報システムの対応が遅れがちです。その埋合わせとして、IT 部門は、
不慮の事態に対処できるように、余剰の能力および冗長性を備えたコストの高い
インフラストラクチャを構築しています。
これらの問題に対処するため、オラクル社は、特に次世代コンピューティング、
すなわちエンタープライズ・グリッドを念頭に設計された初めてのインフラスト
ラクチャ・ソフトウェアである、Oracle Database 10g、Oracle Application Server 10g
および Oracle Enterprise Manager 10g を発表しました。
Oracle 10g インフラストラクチャ・ソフトウェアは、変化するビジネス・ニーズに
適応します。さらに大きなメリットとして、Oracle グリッド・コンピューティン
グは IT 経済に革命をもたらします。エンタープライズ・グリッド・コンピューティ
ングの導入により、必要に応じて調整できる、柔軟なコスト構造を備えた強力な
インフラストラクチャを構築できます。Oracle インフラストラクチャ・ソフトウェ
アは、データ・センターのエンタープライズ・グリッド・コンピューティングへ
移行しつつ、現在のテクノロジへの投資を保護します。
はじめに
今ではビジネス・ライフの不安定さがその不変の特徴となっています。変化が当
然となる一方で、ますますテクノロジ主導となっている変化の速度と予測の難し
さから、多くの企業が管理能力の限界にまで追いやられています。各企業は、経
済情勢がいかに不安定であろうと、価値を創造するための適応方法を開発する必
要があります。
エンタープライズ・グリッド・コンピューティングの目的は、環境の変化にかか
わらず、信頼性の高い方法によりビジネス・バリューを短時間で実現する手段と
してテクノロジを活用することにあります。Oracle Database 10g および Oracle
Application Server 10g は、特に次世代コンピューティングであるエンタープライ
ズ・グリッドのために設計された最初のインフラストラクチャ・ソフトウェアを
構成します。
Oracle 10g インフラストラクチャ・ソフトウェアは、変化するビジネス・ニーズに
適応します。すなわち、現在のアプリケーションが必要とする、信頼性の高い、
セキュアなパフォーマンスが Oracle 10g により提供されるため、より多くの時間
をビジネス運営に充てること、必要な回答を得ることなどができます。他のソフ
トウェア・インフラストラクチャでは、このような能力を提供できません。
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Oracle Corporation 発行「Oracle Grid Computing」の翻訳版です。
さらに大きなメリットとして、Oracle グリッド・コンピューティングは IT 経済に
革命をもたらします。タイトな予算の中で、企業は、IT コストの削減、スタッフ
の生産性の向上および停止時間の短縮を迫られています。Oracle グリッド・コン
ピューティングの導入により、ニーズに合わせて調整できる、柔軟なコスト構造
を備えた強力なインフラストラクチャを構築できます。
また、Oracle インフラストラクチャ・ソフトウェアは、データ・センターのエン
タープライズ・グリッド・コンピューティングへ移行しつつ、現在のテクノロジ
への投資を保護します。この改革の進行に沿って、コスト削減とビジネス・パ
フォーマンスの改善が実現し、確実な投資の回収が保証されます。
グリッド・コンピューティングとは
次世代コンピューティングの形容として、「ユーティリティ」、「オンデマンド」、
「グリッド」など多くの用語が使用されています。これらのコンセプトの相違点を
理解しておくことが大切です。
ユーティリティまたはオンデマンド・コンピューティング
最上位レベルでのグリッド・コンピューティングの構想は、ユーティリティとし
てのコンピューティングの提供です。データの所在、コンピュータ処理の要求方
法などを考慮する必要はありません。必要な情報や演算の結果を必要に応じて、
いつでも簡単に入手することが可能です。これは、利用者が発電機の所在や電力
グリッドの配線について知る必要がない電力事業の運営形態と類似しています。
電気は単に要求するだけで利用できます。目標は、コンピューティングを電気と
同様にユーティリティ化すること、すなわちユビキタスなコモディティにするこ
とです。
ユーティリティ・コンピューティングを実装するためには、様々な方法が考えら
れます。今日、最も一般的な方法は、既存のテクノロジに対して新しいライセン
ス許諾ポリシーを提供する方法です。たとえば、一部のサーバー・ベンダーは、
必要なときに大規模な SMP(Symmetric Multiprocessing)サーバーをパーティショ
ン化して、余剰なプロセスを起動する機能の普及に取り組んでいます。これは、
何年も前に、メインフレームによって開発されたモデルです。
これらの大型 SMP はオンデマンドで能力を発揮できるため、形態としてはユー
ティリティ・コンピューティングを可能にしますが、これらのシステムは必ずし
もコストの低減には結びつきません。結局、SMP サーバーは、依然として、非標
準の高価なテクノロジで構築されており、そのスケーラビリティにも問題があり
ます。実際、このようなオンデマンド・コンピューティングは、コストや制限も
含めて、メインフレームに非常によく似ています。真のテクノロジの革命とはい
えません。
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Oracle Corporation 発行「Oracle Grid Computing」の翻訳版です。
グリッド・コンピューティング
基本的にグリッド・コンピューティングは、ユーティリティ・コンピューティン
グへのニーズに対処するために設計された新しいコンピューティング・アーキテ
クチャです。グリッド・コンピューティングは、膨大な数のサーバーおよびスト
レージをプールし、すべての企業内コンピューティングのニーズに応える柔軟な
リソースを構築します。
ビジネス・アプリケーションは、ID 管理、リソース・プロビジョニングなどを実
行する一般的な Web サービスを通じてグリッド・コンピューティングと接続しま
す。グリッド・コンピューティング・インフラストラクチャでは、リソースに対
するデマンドを常時分析し、その供給を分析結果に基づいて調整します。
科学分野のグリッドとエンタープライズ・グリッド
現在、グリッド・コンピューティングは、主に特殊な科学分野または学術アプリ
ケーションで使用されていますが、エンタープライズ・グリッド・コンピューティ
ング・アプリケーションを検討する主流ビジネスが増えています。
•
科学分野のグリッド・コンピューティングは、膨大な計算や専門的なシ
ミュレーションなどの高度に特殊化された科学分野の問題に照準を合わ
せています。
•
エンタープライズ・グリッド・コンピューティングでは、クラスタ化され
た、業界標準のサーバーおよびストレージの増強する能力を、費用効果の
高い方法で活用するために、ビジネス・コンピューティング・リソースを
プールします。
グリッド・コンピューティングの効果
グリッド・コンピューティングには、次のような効果があります。
エンタープライズ・グリッド・コンピュー
ティングでは、クラスタ化された、業界
標準のサーバーおよびストレージの増強
する能力を、費用効果の高い方法で活用
するために、ビジネス・コンピューティ
ング・リソースをプールします。
•
変化するビジネス・ニーズに対応できる柔軟性。
•
低コストでの高品質のサービス。
•
投資の保護および短時間での投資回収。
変化するビジネス・ニーズに対応できる柔軟性
グリッド・コンピューティングによって、サービル・レベルの合意を介して、企
業のビジネス・アーキテクチャをその IT アーキテクチャに結合できます。現在の
ほとんどのアプリケーションは、1 つのロケーションにある 1 つのサーバー上の
リソースのみを使用しています。ビジネス・プロセスが変化すると、サーバー能
力の拡張、統合ソフトウェアの新規作成、追加のテストなどが必要になる場合が
あります。インフラストラクチャに、新しいビジネス要件を反映した変更を加え
るまでには非常に長い時間がかかる可能性があります。
グリッド・コンピューティングは、多くのサーバーにわたるアプリケーション間
でリソースを共有できる、高度なワークロード管理機能を導入しています。デー
タ処理機能をオンデマンドにより追加または削除でき、任意のロケーションに格
納されたリソースを動的にプロビジョニングできます。Web サービスによりアプ
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Oracle Corporation 発行「Oracle Grid Computing」の翻訳版です。
リケーションを迅速に統合して、新しいビジネス・プロセスが作成できます。
その結果、IT インフラストラクチャは、ビジネス・ニーズの変化にすぐ対応でき
ます。
低コストでの高品質のサービス
グリッド・コンピューティング・アーキ
テクチャでは、サーバー・ブレードやコ
モディティ・ストレージなどの低コスト
の市販コンポーネントを利用して、大規
模なコンピューティング・インフラスト
ラクチャを迅速かつ容易に作成できます。
グリッド・コンピューティング・アーキテクチャでは、サーバー・ブレードやコ
モディティ・ストレージなどの低コストの市販コンポーネントを利用して、大規
模なコンピューティング・インフラストラクチャを迅速かつ容易に作成できます。
グリッド・コンピューティング独特の、集中化されたクラスタリングおよびロー
ド・バランシングにより、最高のパフォーマンス、スケーラビリティ、信頼性お
よびセキュリティを実現できます。
•
グリッド・コンピューティングにより、すべてのコンピューティング・リ
ソースが必要に応じた各アプリケーションに柔軟に割り当てられるため、
高いパフォーマンスおよび高可用性が提供されます。
•
グリッド・コンピューティングはハードウェア、ソフトウェア、ネットワー
クおよびオペレータによる、あらゆる一般的なエラーの原因に対応できま
す。
•
グリッド・コンピューティングは、リソースを集中管理し、単一のユニッ
トとしているため、他のアーキテクチャより、はるかにセキュアなインフ
ラストラクチャの構築を可能にします。
投資の保護および短時間での投資回収
一般的に、他のベンダーの提供するグリッド・ソリューションでは、カスタム・
アプリケーションおよび新しいインフラストラクチャが必要です。
Oracle ソリューションの場合は、既存のインフラストラクチャからグリッド・コ
ンピューティングへの移行を任意に進めることが可能です。移行プロセスが進行
するたびに、一段高いレベルの効率化、オペレーティング・コストの低減、投資
回収サイクルの短縮を実現します。また、既存のすべてのアプリケーションを実
行できます。
Oracle グリッド・コンピューティングはプラットフォームに依存しません。
Oracle Database 10g と Oracle Application Server 10g を使用して、サーバーおよびス
トレージを、あらゆるエンタープライズ・コンピューティング・ニーズに使用で
きる、柔軟なオンデマンドのコンピューティング・リソースとしてプールできま
す。Oracle 10g インフラストラクチャ・ソフトウェアでは、あらゆる種類のシステ
ム(メインフレーム、UNIX、Windows および Linux サーバー)を使用してエンター
プライズ・グリッドを構築できます。Oracle 10g インフラストラクチャ・ソフトウェ
アは、オラクル以外のシステム内のアプリケーションとデータをグリッドとして
統合することさえ可能です。
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Oracle Corporation 発行「Oracle Grid Computing」の翻訳版です。
Oracle グリッド・コンピューティング対応のアプリケーション
Oracle 10g インフラストラクチャ・ソフトウェアは、様々なアプリケーションと
併用できます。
基幹業務アプリケーション
Oracle グリッド・コンピューティングによって、ERP、CRM、SCM などの既存基
幹業務アプリケーションの利用率、信頼性およびセキュリティが強化されます。
Oracle グリッド・コンピューティングにより、これらのアプリケーションはオン
デマンドでリソースを共有できるようになります。たとえば、四半期末が迫る時
期には、注文処理が逼迫する一方、ビジネス・インテリジェンス・システムはア
イドル状態の場合があります。次の四半期の始めには、ビジネス・インテリジェ
ンス・アプリケーションはより多くのリソースを必要とし、一方、注文処理は低
減します。
計算集中型アプリケーション
今日、専用システムでの実行にコストがかかりすぎるアプリケーションがありま
す。ただし、グリッド・リソースを短期的に使用することにより、そのようなア
プリケーションも経済的に実現可能となります。たとえば、コンシューマ製品を
すべての販売代理店および小売業者に配送する方法を立案している企業、および
社会福祉サービスを市民に提供する方法を策定している官公署の場合を考えてみ
ます。いずれも、膨大な量の計算能力が短期間で必要となる、非常に複雑なスケ
ジューリング上の問題を抱えています。
シミュレーションも同様です。手持ちのテクノロジでは不可能なほど複雑な構造
のビルのモデルを、小さな建設会社が構築することも可能です。
それぞれの企業は、気象モデル、財務モデル、マーケティング・モデルなどを、
はるかに低いコストで利用できるようになります。
分散データ・アプリケーション
最後に、アプリケーションに短期的にリンクすることでメリットが得られる膨大
な数の大規模データ・ソースがありますが、従来は、そのために可能な技術的方
法がありませんでした。たとえば、住宅ローン会社が融資を受けられる顧客にダ
イレクト・メールを送付する場合があります。グリッド・コンピューティングに
より、サード・パーティのクレジット・データベース、人口調査データベース、
マーケティング・データベースなどを迅速に統合して、最適のメーリング・リス
トを生成できます。
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Oracle Corporation 発行「Oracle Grid Computing」の翻訳版です。
Oracle グリッド・コンピューティングの特長
Oracle Database 10g および Oracle Application Server 10g は、特にエンタープライ
ズ・グリッド・コンピューティングのために設計されています。
•
パフォーマンスとスケーラビリティを低コストのハードウェア・クラスタ
で実現。Oracle 製品は、Intel Itanium および Linux クラスタ対応の主要イ
ンフラストラクチャです。また、Oracle 製品のみが、アプリケーション・
サーバー・クラスタおよびデータベース・サーバー・クラスタにわたるワー
クロード管理を可能にして、パフォーマンスおよび効率を最大化します。
•
信頼性。エンタープライズ・グリッドでは、データとアプリケーションの
連続的な可用性が要求されます。Oracle 10g インフラストラクチャ・ソフ
トウェアは、最高の可用性機能を備えています。
•
セキュリティおよびプライバシー。Oracle 10g インフラストラクチャ・ソ
フトウェアは、エンタープライズ・グリッド・リソースを共有するユーザー
に対して、プライバシーの保持を保証する業界標準のセキュリティ機能を
備えています。
•
自動管理。エンタープライズ・グリッド・コンピューティングのインフラ
ストラクチャは大規模なため、従来の管理ツールの管理能力では不十分で
す。Oracle 10g インフラストラクチャ・ソフトウェアでは、多くの機能が
自動化されているため、1 名の管理者が何百ものサーバーを管理できます。
•
分散コンピューティング。エンタープライズ・グリッド・コンピューティ
ングでは、ネットワーク内の任意の場所でアプリケーションおよびデータ
を実行できます。Oracle 10g インフラストラクチャ・ソフトウェアには、
あらゆるタイプの要件を処理できる高度な統合機能が備わっています。
Oracle 10g グリッド・コンピューティング機能の詳細は、『Oracle10g Grid
Computing: A Technical White Paper, August 2003』を参照してください。
Oracle グリッド・コンピューティングの実装
業界標準サーバーのクラスタを配置する企業が増加する中で、必然的にエンター
プライズ・グリッドに類似した IT インフラストラクチャが登場します。このよう
に、多くのハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントをできるかぎり標
準化しようとするトレンドの進行により、安定したグリッド的なインフラストラ
クチャの信頼性とコスト効果が最大化されます。
グリッド・コンピューティングのために設計された初めてのインフラストラク
チャ・ソフトウェアである Oracle 10g は、現在の IT インフラストラクチャから、
時間とコスト削減効果のあるグリッド・コンピューティング・インフラストラク
チャへのスムーズな移行を可能にします。革新の 4 つの主要分野が結合してグ
リッド・コンピューティングを可能にしました。
•
Intel Itanium プロセッサ、ブレード・サーバー、Linux などのテクノロジを
ベースとした、低コスト、高密度のモジュール型サーバーおよびストレー
ジの標準化。
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•
1 つ以上のデータ・センターが共有するサーバーおよびストレージのクラ
スタの統合。
•
クラスタ内の何百ものサーバーの 1 名の管理者による同時管理の実現す
る、様々な日常的管理タスクの自動化。
•
Web サービスなどの分散コンピューティング・テクノロジを介した、プロ
ビジョニング、ID 管理などの一般的なインフラストラクチャ・サービス
の最適化。
標準化
今日の企業は、サーバー・テクノロジとストレージ・テクノロジを組み合せて使
用していますが、エンタープライズ・グリッド・コンピューティング・インフラ
ストラクチャは、標準化された小規模なサーバーおよびストレージの配列を活用
して構築されています。グリッド・コンピューティングによってコスト削減を実
現する第 1 歩は、新しいグリッドのベースとして、これらの標準的なコンピュー
ティング装置およびストレージ装置を指定することです。冗長性によって高可用
性が保証されるため、これらの装置はごく単純な使い捨ての装置でもよいほどで
す。これらのコンピューティングおよびストレージ用の基本装置のコストが低い
ほど、インフラストラクチャ全体のコストも低減します。
第 1 の手順として、1 つのアプリケーションを実行する、サーバーとストレージ
の小規模なクラスタ 1 つから出発できます。以前のシステムの廃止を進めながら、
新しい容量をグリッドに追加して、使用中のアプリケーションをそこに移動でき
ます。使用時間の経過とともに、インフラストラクチャの簡素化が進み、コスト
節減効果は倍増します。
次に、サーバーおよびストレージ・システムの大幅なコスト削減を可能にする、
過去 5 年間に開発されたコンピューティング・テクノロジをいくつか紹介します。
•
プロセッサ。Intel Itanium 2、Sun SPARC、IBM PowerPC などの低コストで
大容量の 64 ビット・プロセッサが新規に登場し、ハイエンド SMP サーバー
で使用されている非標準のプロセスと同等以上のパフォーマンスを実現
しています。
•
サーバー。ブレード・サーバー・テクノロジにより、ハードウェア・コス
トが低減し、サーバー密度が高まります(それが、さらにデータ・センター
のための高価な固定資産要件の軽減も可能にします)。
•
ストレージのネットワーク化。ディスク・ストレージのコストは、依然と
して、プロセッサのコストを凌ぐスピードで下落し続けています。Network
Attached Storage(NAS)や Storage Area Networks(SAN)などのネットワー
ク・ストレージ・テクノロジでは、システム間でのストレージの共有によ
りさらに効率的な運用ができるため、これらのコストがさらに低減します。
•
ネットワーク・インターコネクト。ギガビット・イーサネットおよび
Infiniband テクノロジにより、サーバー・クラスタの接続コストが下がり
ます。
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Oracle Corporation 発行「Oracle Grid Computing」の翻訳版です。
•
Linux オペレーティング・システム。Linux オペレーティング・システム
は、1 つのグリッド全体で使用できる堅牢でコスト効果の高いサーバー・
オペレーティング・システムを提供します。
統合
グリッド・コンピューティングに向けた第 2 の手順は、単一または少数のデータ・
センターへのインフラストラクチャの統合です。統合により、グリッド数を抑え
ると同時に、アプリケーションが使用できるリソースのプールの規模を拡大でき
ます。また、グリッドの規模が大きいほど、信頼性が高まり、管理コストは削減
されます。すべてのアプリケーションとトランザクション処理、意思決定支援お
よびエンタープライズ・コンテンツ管理のグリッド・サーバー・クラスタ機能を
100%提供できるインフラストラクチャは Oracle 10g のみです。すなわち、Oracle
製品のみが、使用中の既存アプリケーションを書き直すことなく、グリッド・コ
ンピューティング環境で実行できます。統合の詳細は、2003 年 8 月発行の
『Infrastructure Consolidation with Oracle: A Business White Paper』を参照してくださ
い。
自動化
第 3 の手順は、拡大するグリッドを効率的に管理するグリッドの自動化です。エ
ンタープライズ・グリッドには何百もの(潜在的には何千もの)サーバーが含ま
れるため、1 グリッドの各サーバーを手動で管理するのは困難です。Oracle
Enterprise Manager 10g は、エンタープライズ・グリッドで必要となる日常的な管
理タスクを自動化すると同時に、Oracle Grid Control と呼ばれる集中管理コンソー
ルを提供しています。ソフトウェア・インストール、パッチの適用、アップグレー
ド、ワークロード・バランシングおよびその他様々なタスクを、すべて Oracle Grid
Control から集中的に処理できます。すなわち、インフラストラクチャ全体を 1 つ
の大規模なコンピューティング・システムで管理できるのです。最大規模のグリッ
ドを持つデータ・センターでも、1 名または少数の管理者により維持できます。
最適化
グリッドを採用するための最後の手順は、グリッド・サービス・アーキテクチャ
を使用できるようにアプリケーションを適応させることです。グリッドを使用す
ると、既存のアプリケーションのパフォーマンス、スケーラビリティおよび信頼
性が高まります。アプリケーションをアップグレードして、この新しいサービス
指向アーキテクチャを利用することで、アプリケーション統合およびビジネス・
プロセス管理をさらに強化できます。
Oracle 10g エンタープライズ・グリッド・コンピューティングにより、ID 管理や
アプリケーション・プロビジョニングなどの重要な標準的サービスを Web サービ
スの形で提供できます。すなわち、Web サービスを理解するアプリケーションで
あればどのアプリケーションでも、これらの Oracle 10g サービスを利用、共有で
き、さらには、それが標準化と統合を促します。たとえば、今日のほとんどのア
プリケーションは、独自のログインとパスワード管理を行っています。Oracle 10g
は、標準の Web サービスを通じてシングル・サインオン機能を提供します。ユー
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Oracle Corporation 発行「Oracle Grid Computing」の翻訳版です。
ザーは、1 度のログインとパスワード入力のみで、グリッド内のすべてのアプリ
ケーションにアクセスできます。
Oracle 製品には、既存のアプリケーションを Web サービスとしてラッピングする
ツールおよび新規アプリケーションを作成するツールが用意されています。
Oracle 社におけるグリッド・コンピューティングの使用
オラクル社自らも、グリッド・コンピューティングを使用して、ビジネス・プロ
セスの改善を進め、当社インフラストラクチャの効率化とコスト削減を実現して
います。
世界各国のオラクル社の販売組織では、Oracle Application Demo Systems(ADS)
を使用して、潜在顧客、顧客およびパートナに対して Oracle 製品のデモンストレー
ションを行っています。ADS は、Oracle E-Business Suite(約 180 モジュールで構
成)全体を単一インスタンスで実行し、この環境の 450 件のコピーが営業部門用
に保持され、サポートされています。さらに、当社は、テクノロジのデモンスト
レーション用に約 50 の環境で構成されるファームも維持しています。ADS ハー
ドウェアには、Linux を実行する Dell PE2650 サーバーが 300 台含まれ、それぞれ
が、P4 Xeon のデュアル・プロセッサ、6GB のメモリーおよび 75TB の RAW スト
レージを備えています。当社のデモンストレーション環境(営業の成功にはパ
フォーマンスが重要)の Linux グリッドでの実行により、このようなアーキテク
チャの能力と効果が実証されています。
低コストのコモディティ・ハードウェア上での Linux の実行は、Oracle E-Business
Suite などのミッション・クリティカルなアプリケーションに対するテクノロジと
して検証されています。実際、オラクル社は、自社のビジネスを Linux/Intel 中間
層上で実行する E-Business Suite で運営しています。このデプロイメントには、テ
キサス州オースティンの当社データ・センターにおける Global Single Instance
(GSI)が含まれています。この GSI により、ミッション・クリティカルなアプリ
ケーションを世界中の 42,000 名を超えるオラクル社従業員に提供しています。
GSI データベースは、Real Application Clusters(3 ノード)で実行される Oracle9i
Database で、それぞれが 104GB の RAM と 3TB のストレージを備えた 3 台の Sun
F12K マシンが使用されています。中間層には 21 台の Dell 2650 マシンと Linux を
実行する 6GB の RAM が含まれます。
オラクル社にとっての利点は、コスト削減とパフォーマンスの高速化です。Linux
上の GSI で Oracle E-Business Suite を実行することで、従来の UNIX/RISC での場
合と比較して、コストは 5 分の 1 となり、処理速度は 3 倍になりました。
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Oracle Corporation 発行「Oracle Grid Computing」の翻訳版です。
結論
短期的で長期的な効果を得られるのは、オラクル社のグリット・コンピューティ
ング・アーキテクチャのみです。今日のエンタープライズ・グリッド・コンピュー
ティングの活用を、Oracle 10g インフラストラクチャ・ソフトウェアが可能にしま
した。これは、実装に膨大な時間とコストを必要とし、多数のコンサルタントに
実行される大規模なパラダイム・シフトではありません。実際、企業は、最小限
の投資で、業務の支障がなく、グリッド・テクノロジの導入に着手でき、短時間
で投資を回収することが可能です。また、Oracle 10g により、グリッド・コンピュー
ティング・テクノロジが進化と成熟を遂げる中、いっそう大きな長期的効果を得
ることもできます。
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Oracle Corporation 発行「Oracle Grid Computing」の翻訳版です。
Oracle グリッド・コンピューティング
2003 年 8 月
著書: Robert G. Shimp
寄稿者:
Oracle Corporation
World Headquarters
500 Oracle Parkway
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U.S.A.
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