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前庭神経鞘腫
脳神経 � 聴覚/平衡覚に 関連する神経は、 内耳神経 � 聴覚� (解剖学講義)� 内耳神経は内耳孔 から内耳道へ� 鼓室� 鼓膜は垂直ではなく、前下方に傾く 解剖学講義� カラーで学ぶ解剖生理学(医学書院) 外耳道(2.5 cm くらい) ・耳介軟骨(耳垂はなし) ・集音だけではなく方向の手がかり (ヒトでは集音効果はほとんどない) ・耳介結節(ダーウィン結節)は動物などで �見られる長い耳尖が退化した遺残の可能性 ・耳介筋(顔面神経)は存在するがヒトでは退化的 ・耳介軟骨(膜)炎 ・耳介血腫� 解剖学講義より� 皮膚� 外1/3: 軟骨部 内2/3: 骨部 骨部では、特に 皮下組織が薄いので 外耳道炎などは強い 痛みを感じやすい 耳道腺(アポクリン腺)� 耳道腺やその他の 分泌物により耳垢 (毛や耳垢は異物の侵入 を防ぐ、外耳道尾皮膚の保護) 外耳に分布する知覚神経 耳介側頭神経、大耳介神経、 小後頭神経、迷走神経の枝(外耳道の後壁) 脂腺� 弾性軟骨� 1 中耳の構造(音の増幅)空気の振動から機械的振動へ 鼓膜の構造 アブミ骨底は 卵円窓(前庭窓) にはまり込む。 人体最小の筋 鼓膜は厚さ約0.1mm、長径約1cmの線維性膜。鼓膜臍にツチ骨柄がつく。 ツチ骨とキヌタ骨は二つの靭帯により鼓室壁につく。鼓膜張筋(三叉神経) とアブミ骨筋(顔面神経)は大きな音に対する耳小骨の制御(内耳の保護)に 働く。ただし、瞬間的な大きな音には対応できない。顔面神経麻痺により聴 覚過敏がおこる。鼓膜切開は、後下部で行われる。鼓索神経(顔面神経より 、副交感、味覚)は中耳との機能的関係はない。鼓膜切開は後下部で行わ れる。知覚神経は耳介側頭神経、迷走神経耳介枝や内面には舌咽神経の 枝が分布。 標準組織学各論(医学書院) 人体の正常構造と機能� (日本医事新報社) 臨床的には4+1(弛緩部)に区分� 内耳の構造� 骨迷路と膜迷路� � 耳管は鼓室と咽頭(耳管咽頭口)を連絡。通常は、ほぼ閉ざされているが嚥下運動により 開く(口蓋帆張筋の働き)。これにより鼓室内外の気圧の均衡を保つ。中耳炎の感染経路 にもなる。耳管開放症では、感染が起こりやすく、さらに自声強聴になる。耳管狭窄症では、 鼓室が陰圧になり、鼓膜が内側へ引っ張られる。� 鼓膜の3層構造。弛緩部は固有層を欠く。 人体組織学感覚器(朝倉書店) ・骨迷路は側頭骨の錐体内部に存在。 ・骨迷路は、骨質内の複雑な腔。 ・骨迷路は、蝸牛・前庭・(三)半規管からなる。 ・骨迷路内部に膜迷路(膜性の管系)。 蝸牛の回転は ヒトでは 2と3/4回転 標準組織学各論(医学書院) 骨迷路����膜迷路 前庭��������卵形嚢、 ���������������球形嚢���� 骨半規管�半規管 蝸牛��������蝸牛管 カラーで学ぶ解剖生理学(医学書院) 2 音の伝達(概略)� 蝸牛に存在する3つの空間(3階建構造) 人体の正常構造と機能� (日本医事新報社) トートラ�人体の構造と機能� 音の受容器(コルチ器) 内リンパ を産生 蝸牛管 ラット組織 外リンパ:低K+、高Na+ 内リンパ:高K+、低Na+ 標準組織学各論 人体の正常構造と機能� (日本医事新報社) コルチ器の構造(細胞構築) 外有毛細胞が常に蓋膜に接していることは確認されている が、内有毛細胞は解決されていない� 外有毛細胞は主に感度調節に働く 内リンパ液が特殊(高濃度のカルウムイオン)であり、音を神経情報 に変換するときに重要。血管条の障害は難聴にもつながる。� コルチ器を構成する細胞� 有毛細胞 内有毛細胞:通常1列。上部に約40本の聴毛(不動毛)。 ヒトの場合、約3500くらいの細胞。 外有毛細胞:通常3列。主に遠心性線維。 上部に約100本の聴毛(不動毛)。約12000くらいの細胞。 その他(支持細胞) 最内側:内境界細胞 最外側:外境界細胞(ヘンゼン細胞) 内有毛細胞の支持:内指節細胞の指節突起 外有毛細胞の支持:外指節細胞(ダイテルス細胞)の指節突起 内柱、外柱細胞:特徴的な配列をしており、内トンネル (コルチトンネル)をつくる。 人体の正常構造と機能� (日本医事新報社) 内柱、外柱細胞と外指節細胞は微小管が発達し、コルチ器の形態を保持 3 感覚毛は、先端連結 (tip link) により結ばれている。不動毛 がより長い不動毛側に屈曲す るとチップリンク蛋白質 はチャネルを開口させ、 内リンパのカリウムイオンを 流入させる。これをきっかけに、 カルシウムイオンの流入が おこり、シナプスを介して蝸牛 神経を興奮させる。 アクチンフィラメント� .. 標準組織学各論 音の性質 振動数(周波数)・・・音の高さ。振動数が多いほど高音。 �����������ヒトの耳の感度が高いのは、500-5000 Hz(サイクル/秒) �����������可聴域は、20-20000 Hz。コウモリなどは超音波(20000 Hz ������� 以上)を探知。 振幅強度・・・日常会話は60 dB程度。域値が20 dB以上上昇すると �����������難聴と定義される。 1 Tip-link proteinsの構成分子はCDH23 (Muller U et al., Nature,2004) 2 TRPA1 (transient-receptor-poteintial-like, ankyrin-containing ion channel 1の同定 (Corey DP et al., Nature, 2004) 生理学テキスト(文光堂) 低音� 高音� � 老化に伴う聴力の低下は高音で著しい。低音は比較的 保たれることが多い。� 人体の正常構造と機能� (日本医事新報社) 中枢への伝達� コルチ器 らせん神経節� 蝸牛神経 らせん神経節� 内有毛細胞 前庭神経 蝸牛神経 内耳神経 外有毛細胞 *すべてではないが� 耳音響放射(音の産生):外有毛細胞の振動による発生。新生児 の聴覚障害を非侵襲的に検査。難聴がある場合、耳音響放射は 発生しないか、極めて小さい。� 遠心性線維:オリーブ蝸牛束(外有 毛細胞へ) トートラ人体の構造と機能 (丸善) 4 老人性難聴:�高音域で顕著。いわゆる高齢者の聴力�������� �����������������低下(耳が遠い)。感音性難聴が多い。 突発性難聴:�原因不明の難聴。ほとんどの場合、 �������片方の耳におこる。内耳の循環障害? �������ウイルス感染?�ストレス?�感音性難聴の一つ� メニエール病:内リンパ液の増加による膜迷路の拡張、 ��������������������感音性難聴の一つ� 難聴について 1、感音性難聴: コルチ器の有毛細胞の障害か、蝸牛神経の障害。 原因は血液循環の低下、大音量の繰り返し暴露やアスピリン やストレプトマイシンなどの薬物の影響 2、伝音性難聴: 外耳や中耳の障害で内耳(蝸牛)に音が伝える ことができない。 原因は耳垢塞栓、鼓膜の損傷や耳小骨の問題、加齢による 鼓膜の肥厚や耳小骨の関節の問題など。 基本的に手術で回復しうる。 日本人難聴患者に報告された 難聴の原因遺伝子 人工内耳のしくみ� 1. 体外装置であるサウンドプロセッサが音を拾い、拾った音を デジタル信号に変換します。� 2. このデジタル信号を、送信コイルからインプラントへ送ります。� 3. インプラントは、受信したデジタル信号を電気信号に変換し 、蝸牛(内耳)内に埋め込んだ電極に送ります。� 4. 電極が蝸牛内の聴神経を刺激します。こうして送られた刺 激が脳で音として認識されます。� 補聴器の場合は、伝音性難聴でも感音性難聴でも構わな いが、ある程度、内耳有毛細胞が残存していることが条件 となる。 補聴器における音の伝達を順番に考えると、まず①マイク で音を拾います、②拾った音を各々の聴力の状態に合わせ ていろいろ加工します。③その後、レベルに応じて増幅器で 音を大きくし、④小型スピーカから耳栓を通して「音」を出力 します。⑤音は通常と同様に、鼓膜−耳小骨−内耳へと伝わ ります。⑥その音を残存する神経細胞が感じ取ります。そ して、⑦内耳の音情報は脳へ向かって送られていきます。� きこえと遺伝子 金原出版 聴性脳幹反応(auditory brainstem response:ABR)� 聴覚神経系を興奮させることによって得られる脳幹部での電位を頭皮上より記録し たもの。蝸牛神経と脳幹部聴覚路由来の反応で音刺激から10msecの間に発生する 6-7個の電位により構成される。この反応は、意識や睡眠状態の影響を受けにくく、 極めて再現性のよい安定した波形が得られる。� � 各ピークの起源 � � I 蝸牛神経 � II 橋延髄接合部 � III 橋尾側(上オリーブ核) IV 橋吻側 � V 中脳(中脳下丘) VI 内側膝状体 � VII 聴皮質 �� � � �� 聴覚課題 1、外界の音を内耳神経に伝達する経路が概説できる。 2、聴覚感受装置(コルチ器)の構造が説明できる。� ABRは、各波形の起源も明らかにされており、診断的価値が極めて高く、 難聴や脳幹障害の診断に幅広い臨床応用が期待できる。乳幼児の聴覚障害のスクリーニングにも使われる。 ex) 聴神経腫瘍、意識障害、多発性硬化症、脳死の判定、等。� 5 平衡覚� 2種類の平衡感覚� � 1、静的平衡(位置情報)� 2、動的平衡(回転、加速)� 鼓室� � � カラーで学ぶ解剖生理学(医学書院) ①卵形嚢(直径5〜6mm、長卵円形、その中に感覚受容措置である 直径2〜3mmの卵形嚢斑)�(水平方向の直線加速度) ②球形嚢(直径2〜3mm、圧平された球形、その中に卵形嚢斑より やや小さい球形嚢斑)(垂直方向の直線加速度) ③三半規管(管の直径0、3mm、円の直径は1〜2cm、 3つの膨大部とその中に膨大部稜)、XYZ平面に配置。(回転) 骨迷路������膜迷路 前庭���������卵形嚢、 ����������������球形嚢������ 骨半規管��半規管 蝸牛���������蝸牛管 前庭と(三)半規管の感覚受容 細胞(有毛細胞)は、それぞれ 平衡斑(卵形嚢斑、球形嚢斑) 、膨大部にある。� 卵形嚢、球形嚢 及び半規管を まとめて前庭器 とよぶ 卵形嚢と球形嚢は連嚢管で連絡 膨大部稜 標準組織学各論(医学書院) 人体組織学感覚器(朝倉書店) I型、II型感覚(有毛)細胞 基底小体 クチクラ 不動毛の 根元 支持細胞は、有毛細胞を取り囲むように 配置している。 �I型(フラスコ型)とII型(円柱型) は、神経終末の付着様式が異なる。 ��I型はII型よりも分化の進んだ細胞 ��と考えられる。 I型は強い刺激に ��素早く応答し、II型は弱い刺激に ��高感度に応答する。コルチ器の有毛 ��細胞はII型に似る。 I型:前庭動眼反射? II型:前庭頚反射? 60-100本の不動毛と1本の動毛 蝸牛管のコルチ器の相当する構造 (感覚上皮) 平衡斑 生理学テキスト(文光堂) 感覚上皮の基底膜を貫くと 有髄から無髄へ 標準組織学各論(医学書院) 6 平衡斑は、頭の空間的位置(傾きや バランス)や直線加速度の検知に 重要(エレベーターや乗り物の加減速 など)。 卵形嚢は水平方向、球形嚢は垂直方向。 運動線維は感度調節� 平衡砂(耳石)は、その主成分は支持細胞 から出される炭酸カルシウム。絶えず代謝 しているとされるが、詳細は明らかではな い。その下層は透明なゼリー様物質で支持 細胞の分泌物と考えられる。ここに、有毛 細胞の感覚毛(平衡毛)が進入している。 コルチ器の蓋膜に相当。 運動線維 感覚線維 有毛細胞の数は、卵形嚢斑で約3万程度、球形嚢斑 で1万8千程度と考えられている。 トートラ人体の構造と機能 (丸善) 標準組織学各論(医学書院) ストリオーラによって 感覚毛の向きが逆転 卵形嚢斑はストリオーラによって 内側と外側の領域に別れる。 膨大部稜 球形嚢斑はストリオーラによって 上と下の領域に別れる。 蝸牛管のコルチ器の相当する構造 (感覚上皮) 人体の正常構造と機能(日本医事新報社) 平衡斑 生理学テキスト(文光堂) 小帽(クプラ:ゼラチン様構造、 支持細胞からの分泌物) 有毛細胞(一本の動毛と 50-100の不動毛、I型とII型、 頂上にはI型が多い、細胞 の数は6千程度) 支持細胞 膨大部陵� 感覚線維と運動線維 標準組織学各論(医学書院) 7 前庭器に分布する一次ニューロン 細胞体は前庭神経節にある。その 求心性線維は、蝸牛のらせん 神経節の求心性線維と共に 内耳神経を構成する。 トートラ人体の構造と機能(丸善) トートラ人体の構造と機能(丸善) 内耳神経は、顔面神経と共に内耳道を通って 脳内に入る。内耳神経の平衡感覚成分の大部分 は、延髄(と橋)の前庭神経核群(上核、下核 内側核、外側核)に終わる。一部は小脳に 達する。前庭神経核の二次ニューロンは 眼球運動核群や脊髄前角、小脳へ出力を送り、 体のバランスを補正する”前庭反射”がおこる。 顔面神経 内耳神経 視床を介して、大脳皮質にも投射して、回転や 重力の知覚に関与する。 聴神経腫瘍(脳腫瘍の7-10%を占める 良性腫瘍、神経鞘腫で一番多い)は、 ほとんど前庭神経の特に下前庭神経 由来である。 難聴、めまい、顔面神経麻痺。 左右の前庭神経核は交連線維により連絡している “交連性抑制” 前半規管 外側半規管 上前庭神経節 上前庭神経� 下前庭神経節 下前庭神経� 卵形嚢 後半規管 球形嚢 人体の正常構造と機能(日本医事新報社) ○乗り物酔い 視覚と平衡感覚の矛盾から? 自分が車を運転して酔わないのは、加速度や傾きが 予測可能だから? フィギュアスケートや体操選手はこれらを克服している? ○良性発作性頭位めまい症 卵形嚢平衡斑の耳石がはがれ落ちて三半器管 (特に後半器管)に入り込む。頭を動かすとそれが 刺激となりめまいや吐き気が起こる。 頭を強打した場合などに起こりやすい。 ○悪性頭位めまい症は めまいが生じる姿勢にとどまっている限りめまいが続くもので 原因が中枢性である可能性が高い。 ○メニエール病は内リンパの増加 平衡覚課題 1、平衡覚を内耳神経に伝達する経路が概説できる。 2、平衡覚感受装置(平衡斑、膨大部稜)の構造が説明できる。� � 8