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Life Science News
Issue 4, 1999
Results, reports and refinements for life science researchers
CONTENTS
GeneChipによる遺伝子発現解析 .........2
FluorImagerを用いたGFPの非破壊定量解析 .........5
DYEnamic ET terminator cycle sequencing kitによる
ハイスループットDNA塩基配列解析 .........8
新規のトリチウム標識スフィンゴミエリン誘導体と
SPAを用いたスフィンゴミエリナーゼ活性の測定 .......11
MMP-9活性測定システムの高感度化 .......13
GST融合タンパク質の迅速な精製 .......15
タバコ培養細胞で発現したGFPの検出
取扱代理店
製品のご注文は左記の代理店まで
アマシャム ファルマシア バイオテク株式会社
製品お問い合わせバイオダイレクトライン
71-1704-01
電話番号:(03)5331-9336
FAX番号:(03)5331-9370
A m e r s h a m
P h a r m a c i a
B i o t e c h
Gene expression analysis by GeneChip®
― GeneChipによる遺伝子発現解析 ―
油谷浩幸
東京大学先端科学技術研究センター ゲノムサイエンス部門
G
E
N
E
C
H
I
P
A
R
R
A
Y
遺伝子発現解析
GeneChipによる遺伝子発現解析
ゲノムプロジェクトの進展により、ヒトゲノム塩基配
これまでにAffymetrix社のGeneChip装置を用いて行った
列のWorking draftとして90 %が2000年春には決定されよ
実験例を以下に紹介します。
うとしている一方、遺伝子数も10万を超えるとまで予想
RNAの標識法の比較
されています。ヒトcDNA配列のデータベースである
UniGeneのクラスター登録数も8万に及び、それらの機能
現在の標準プロトコールはcDNAの合成を行うために
解析をはじめとして、生命の設計図といえるゲノム塩基
1 µgのPoly(A)+RNAを鋳型に用います。ヒトの組織あるい
配列情報の解読が生物学にとり大いなる課題です。
は特定の細胞種についての遺伝子発現プロファイルを解
遺伝子の発現は生体において時間的かつ空間的に調節
析する際には、得られる検体量が限られることが多く、
されており、生命現象の主たる調節機構の一つです。従
より少量の検体での解析が望まれます。同一のヒト肝か
来のDifferential Display法やcDNA subtraction法にかわる
ら得られたPoly(A)+RNAおよび全RNAから作成したbiotin
包括的な遺伝子発現解析法として、オリゴヌクレオチド
標識cRNAを用いて、Test1アレイに対してハイブリダイ
DNAを基板上に合成するGeneChip法、cDNA断片をガラ
ゼーションを行った結果、大変よい再現性を示しました
スあるいは膜上に固定するマイクロアレイ法、cDNAの3'(図1)
。
側の9∼10塩基の出現頻度により発現強度を予測する
全RNAを用いるプロトコールでは若干cRNAの伸長が
SAGE(Serial Analysis of Gene Expression)法があげられ
悪い印象がありましたが、GeneChip上のプローブは主に
ます。
3'-側にデザインされていることもあり、影響は少ないも
マイクロアレイあるいはDNAチップの技術は以前から
のと考えられます。但し、マイクロダイセクション法に
開発されていましたが、cDNAに由来するEST(Expressed
より得られるような微量な検体での測定を可能にするに
Sequence Tag)クローンの急速な増加により、数万の遺伝
は、まだ感度が不十分であり、より高感度な検出あるい
子の発現情報(トランスクリプトーム)を包括的に収集
は標識システムの開発が必要と考えられます。
することが現実的に可能となりました。SAGE法はcDNA
を制限酵素切断することにより得られる9∼10塩基の断片
(タグ)の出現頻度をシークエンシングにより直接計測す
るため、他の2法に比して定量性も高く、新規遺伝子の同
定も可能と考えられます。もっとも30万コピーといわれ
る1細胞あたりのmRNAに対して統計的に有意な数のタグ
のデータを得るためには大量のシークエンス作業を必要
とし、多数の検体処理には不向きと思われます。またEST
データベース中にタグに対して対応する遺伝子がない場
合には実際の遺伝子の同定は必ずしも容易ではありませ
ん。
一方、マイクロアレイ法はcDNAをスポットした膜ある
いはガラス板を作成し、標識した検体とハイブリダイゼ
ーションを行います。従来のナイロン膜を用いてのマク
ロアレイに加えて、現在1枚のガラススライドに2400個程
度までのcDNAをスポットしたものが販売されているほ
か、研究所単位でより高密度のマイクロアレイあるいは
カスタムアレイの作成も行われています。スポッティン
図1. 検体RNAに関する検討
ヒト肝臓の全RNA20 µgおよびPoly(A)+RNA1 µgを用いて標識cRNAを作成
グによるアレイ間の誤差が合成オリゴヌクレオチドアレ
し、Test1アレイに対してハイブリダイゼーションを行いました。
イに対して大きくなることは否めず、異なる蛍光色素を
用いて標識した対照検体と同時にハイブリダイゼーショ
ンを行う必要があり、今後遺伝子発現データベースの構
築を多施設間ですすめる際に検討すべき問題点と思われ
ます。なお、共通のデータベースのフォーマットとして
SAGE法との比較による定量性検討
Affymetrix社及びMolecular Dynamics社が提唱して
ヒト単球およびGM-CSFを用いて分化させたマクロ
い る GATC( Genetic analysis technology consortium)
ファージから調製した同一のRNAを検体として、SAGE法
(http://www.gatconsortium.org/)があります。
とGeneChip法の定量性についての評価を行いました。
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GeneChip法では16∼20種類のオリゴヌクレオチドプロー
ブからの蛍光強度の平均値として発現強度(average difference)を求めていますので、図2に示しますように
absolute analysisの結果でもかなりよい相関が認められま
した。また、単球からマクロファージへの分化において
発現が誘導される遺伝子群についても発現増加率上位20
遺伝子中、14遺伝子が共通に認められ、GeneChip法で得
られる発現強度データの定量性を示すものと考えられま
す。なお、SAGE法とGeneChip法の間でデータが合致しな
い遺伝子について検討を進めたところ、GeneChip法によ
るデータ解析をする際の留意点として、偽遺伝子および
ファミリー遺伝子についてはオリゴヌクレオチドプロー
ブを用いているとはいえ、クロスハイブリダイゼーショ
ンにより実際より発現強度が高く現れる可能性があるよ
うです。また、ミスマッチプローブセルのなかにたまた
ま過剰シグナルをきたす塩基配列がありますと、見かけ
上の発現強度が陰性値に落ちてくる可能性があり、今後
プローブ配列のデザインの改良が望まれるところです。
あるいはソフトウェア的にデータとして使用しないとい
うようなマスクをかけて除外する操作が必要になります。
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図3. 組織特異的遺伝子
GeneChip法においては定量性よく発現量が反映されるので、実験間の比較が
容易です。マイクロアレイ法では対照となる検体と同時にハイブリダイゼーシ
ョンを行うため、異なる実験間でのデータの互換性が問題となります。
Human FLアレイを用いて神経芽細胞腫および胎児脳に共通に発現の高い遺伝
子群として同定された28の遺伝子があり、そのなかには神経特異的エノラーゼ
遺伝子(NSE)やN-myc 遺伝子が含まれています。
図4. 2検体間のスキャッター解析
肝癌及び非癌部のHuman FLによるGeneChip実験データを互いにプロットし
たスキャッターグラフで表示したものです。肝細胞のがん化に伴い、発現が変
動する遺伝子として、多くの遺伝子群が3倍以上発現が変動していることがわ
かります。
------ は3倍以上の発現変化を示す境界線です。
図2. GeneChipとSAGE法との比較
SAGE法におけるタグの出現頻度(Y軸)とGeneChip法における蛍光強度
(X軸)を対数スケールで示したものです。タグの出現頻度について0回につい
ては便宜上1回としてプロットしてあります。
癌組織における遺伝子発現の変動
組織特異的発現遺伝子群の探索
細胞のがん化は複数の遺伝子異常の蓄積によると考え
られ、そのなかにはがん遺伝子の発現亢進やがん抑制遺
伝子の発現低下がみられます。それぞれのがんの発生や
病気の進行及び治療薬に対する反応性に関わる遺伝子群
の特徴的な発現パターンを同定できれば、個々の症例の
癌組織から遺伝子発現プロファイルを解析することによ
り、診断からさらに個別の治療計画を選択することが可
能になります。
図4には肝細胞癌の癌部と非癌部における遺伝子プロフ
ァイルの変動を示します。細胞内の特定のパスウェイと
して、細胞周期とりわけG1/Sの移行に関与する遺伝子群
についての健常部に対する癌部における発現プロファイ
ルの変動などを解析することにより、異常な細胞増殖を
生じさせている遺伝子異常を予想できるようになるであ
ろうと期待されます(図5)
。
GeneChip法は上述しましたようにコントロールとする
検体を用いる必要なく定量的な取り扱いが出来ますので、
異なる組織間での発現プロファイルデータを比較するこ
とにより、組織特異的な発現を示す遺伝子を同定するこ
とが出来ます。図3には6つの異なる組織あるいは細胞間
で比較したものを示してあります。個々の組織の発生や
分化に関わる遺伝子群の同定が期待できるほか、ある遺
伝子に対して組織によりその発現調節が異なるというよ
うなことから新規な機能が発見されるということも期待
されます。
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Cell Cycle Control in G1/S Phases
Mdm2
DNA damage
p53
ATM
Bax
Apoptosis
TGF β
p16
Start
Bcl2
p27
p21
+P
CycD
CDK4
GADD45
CycE
CDK2
Cdc34
Ubiquitin
mediated
proteolysis
CycA
CDK2
Increase
+P
Rb
S-phase
proteins
E2F
DNA
No change
DNA biosysthesis
(KEGG)
Decrease
N.D.
図5. 肝癌における遺伝子発現変動と細胞周期関連遺伝子
細胞周期のG1/Sの移行に関与する遺伝子群について、癌部と非癌部の間での発現変動を示して
あります。赤色は15倍以上、オレンジ色は5∼15倍、黄色は3∼5倍の増加、灰色は3倍以内の増
減、水色は減少を表します。本検体においてはp16遺伝子の発現亢進がみられる一方において、
p53経路の活性化は認められないということもわかります。
おわりに
謝辞
マイクロアレイ解析から生み出される情報量は莫大な
ものであり、時系列によるクラスター解析や主因子解析
などによるデータ解析はその端緒についたばかりであり、
さらにデータマイニングのためのツールの開発が急務で
あると考えられます。生物学の分野にゲノム配列や発現
情報をはじめとする大量の情報がもたらされる一方で、
SNP解析など個体間の遺伝子多型情報を検出することも進
められています。いよいよ情報科学としての新たな生物
学を構築し、医療の場へも応用してゆきたいと考えてい
ます。
SAGE法との比較実験における検体および解析結果に
ついては東京大学医学部 衛生学教室 松島綱治教授と
橋 本 真 一 博 士 のご協力によるものであり、ここに深謝い
たします。
GeneChip Fluidics Station 400(自動洗浄染色装置)
(左)HP GeneArrayTMScanner (GeneChip専用読み取りスキャナー)
(右)GeneChip Workstation System(GeneChipデータ解析システム)
™ and
™ are trademarks used by Affymetrix, Inc.
Copyright©1998 Affymetrix, Inc. All rights reserved. GeneChip®, Affymetrix®,
Pharmacia and Drop Design are trademarks of Pharmacia & Upjohn
Amersham is a trademark of Nycomed Amersham plc
All goods and services are sold subject to the terms and conditions of sale of Affymetrix Inc. A copy of these terms and conditions is available on request.
ORDERING INFORMATION
製品の開発は随時進んでおりますので、製品の種類、価格などの詳細についてはお問い合せください。
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Non-invasive and quantitative analysis of GFP
with FluorImager
FluorImagerTMを用いたGFPの非破壊定量解析
丹羽康夫、久留戸涼子
静岡県立大学大学院 生活健康科学研究科
Green fluorescent protein (GFP) は、基質やコファクター
を必要としない画期的なレポーター遺伝子として、その遺
伝子がクローニングされると同時に広く利用されるように
なりました。ところが、GFPの蛍光量を生体で定量的に
検出できるような簡便でかつ高精度な方法はありませんで
した。そこでFluorImagerを用い、試料にダメージを与え
ることなくGFPの蛍光量を定量的に解析することを試み
ました。ここではその結果を紹介します。
FluorImagerを用いたGFPの検出
ここで利用するGFPが、FluorImagerで検出できること
を確認するために、EGFPとsGFP(S65T) について、SDSP A G E 、あるいはマイクロタイタープレートにより、
530DF30フィルターを用いて検出した結果を図1に示しま
した。
SDS-PAGEの方は、EGFPとヒトのエストロジェンレセ
プターαとのキメラ遺伝子をヒト乳ガン細胞MCF7にトラ
ンスフェクションし、2日間培養の後回収し、泳動前に煮
沸処理した試料(レーン1)と、未処理の試料(レーン2)
を10 %ポリアクリルアミドゲルで泳 動 後 、ゲルをそのま
まFluorImagerでスキャンし、検出を行った結果です。
はじめに
一般的にFluorImagerは、ゲルやフィルター等、薄い支
持体上にある蛍光物質を定量的に検出するための装置と
して活用されています。ところが、マイクロタイタープ
レート専用のトレイが標準装備されていることからもわ
かるように、FluorImagerは焦点深度が非常に深いため、
読みとり装置に挿入可能な厚みの試料であれば、全ての
深さにおいてピントがあった蛍光像を得ることができる
といった優れた特徴を有します。加えて、光源としてレ
ーザー光を用いているため、水銀ランプを用いる方法と
比較して、光量が強くかつ安定しており、より高感度で
正確な定量値が得られる利点もあります。
GFPは238アミノ酸からなるタンパク質で、自身の65∼
67残基目のセリン・チロシン・グリシンが形成する発色
団が緑色蛍光(510 nm近辺にピーク)を発するといった
ユニークな特徴を備えており、その遺伝子がクローニン
グされると同時に、様々な分野で利用される一方で、多
くの改良型GFPが作られ、さらにその利用範囲が広がって
います(1)。65残基目のセリンをトレオニンに置換した
S65T型改良GFP(EGFP (1)あるいは植物用のsGFP(S65T)
(2-4) など)は、これまで作製された変異型GFPの中でも
最も優れた特徴を備えているばかりでなく、FluorImager
や共焦点レーザー顕微鏡の励起用レーザー光として最も
よく用いられているアルゴンイオンレーザー光の488 nmに
励起ピークをもつ理想的な蛍光特性を併せ持っています。
Green Fluorescence Intensity
(c)
100
- bialaphos
+ bialaphos
Control
80
60
40
20
0
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
図2. 生培養細胞におけるGFPの定量検出
a) EGFP発現ベクターをヒト乳ガン細胞MCF7にトランスフェクションし
G418で選択したコロニー
b) sGFP(S65T)発現ベクターで形質転換したタバコ培養細胞を選抜薬剤のビ
アラフォスを含む培地(+)と含まない培地(−)上で生育
c) b図中の代表的なGFPポジティブのコロニー(1∼20)とネガティブのコロ
ニー(21∼23)のImageQuantによる定量解析結果
図1. SDS-PAGE(左)とマイクロタイタープレート(右)によるGFPの検出
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質転換体を選抜するための薬剤を含まない培地において
も形質転換細胞塊を定量的に捉えることができることか
ら、選抜のための適当な薬剤が使用できない場合におい
ても形質転換細胞を容易に識別でき、しかもその発現量
の情報まで得られることが明らかになりました(5)。生細
胞を用いるこの方法では、GFPの発現量を経時的に捉える
ことも容易で、極めて利用価値が高い方法といえます。
煮沸未処理の試料においてのみ、融合タンパク質として
期待される分子量の位置にシグナルを検出することがで
きました。ここで検出されたバンドが目的のものである
ことは、常法に従ったウエスタンブロッティング解析に
より確認しました。
マイクロタイタープレートの方は、非形質転換植物と
sGFP(S65T) 形質転換植物の葉の一部を切り取った試料
(G6, G7)とそれらの粗抽出液(H6, H7)をFluorImagerで
スキャンし、検出を行った結果です。形質転換植物の葉
およびその粗抽出液においてのみGFPのシグナルが検出さ
れることがわかります。以上の結果から、FluorImagerを
用いることで、GFPを容易に定量可能な像として捉えられ
ることが確認できました。
植物生体におけるGFPの定量検出とその定量性
次に、生きた植物個体を用いてGFPの発現を定量化する
ことを試みました。用いた材料は、モデル植物として分
子遺伝学的解析に適したシロイヌナズナと呼ばれる草本
植物です。図3aは、sGFP(S65T) 遺伝子で形質転換したシ
ロイヌナズナをシャーレ内で無菌的に3週間ほど生育させ
たものを、上下を逆にしてFluorImagerのトレーにのせ、
530DF30と610LPフィルターで読みとった像をそれぞれ緑
と赤の擬似カラー表示させ重ね合わせた画像です。通常
光の下で肉眼的には緑色に見える植物の葉緑体は、アル
ゴンイオンレーザーの励起光により赤色の自家蛍光を発
します。従って図3では、GFPの発現量が低いnA8, nA9と
名付けた親株由来の各々3個体の植物は赤っぽく、逆に
GFPの発現量が高いnA5株由来の4個体はその発現量に応
じて黄色もしくは緑色に近い色として表示されています。
この図は擬似カラーですが、別の方法で肉眼的に観察し
た場合とほぼ同じイメージです。この中からnA5-1∼4の
葉について、その発現量の定量化を試みました。ところ
がここで、図3aからも明らかなように、生きた植物個体
を用いることで、同一個体においても、各々の葉が必ず
しも励起光に対して垂直ではないため、その角度に応じ
て蛍光強度が変化してしまうといった問題が生じました。
そこでこの問題を解決するために、植物の葉緑体が発す
る赤色の自家蛍光を利用することにしました。
動物および植物培養細胞におけるGFPの定量検出
SDS-PAGEやマイクロタイタープレートを用いた方法で
は、試料の前処理が必要であるばかりでなく、生体観察
が可能であるといったGFPの最大の特徴を生かすことがで
きません。そこで生細胞を用い、GFPの発現を定量的に検
出することを試みました。
図2では、EGFP発現ベクターをMCF7にトランスフェク
ションし、G 418で選択したコロニー(a )と、s G F P
(S65T) 発現ベクターで形質転換したタバコの培養細胞を
選抜薬剤のビアラフォスを含む培地(+)と含まない培
地(−)上で生育後、プラスチックシャーレをそのまま
トレーに載せ、FluorImagerによりシャーレの底面から
530DF30フィルターを用いて読みとり、画像化したデータ
を示します。この中でタバコ培養細胞(b)に関しては代
表的なGFPポジティブのコロニー(1∼20)とネガティブ
のコロニー(21∼23)を選び、ImageQuant®とMicrosoft®
Excelを用いることで定量化を行いました。図2cのグラフ
から明らかなように、各々のコロニーにおける相対的な
蛍光値が容易に求めることができました。さらには、形
(b)
Fluorescence Ratio
4
3
2
1
0
nA5-1
(d)
nA5-2
nA5-3
nA5-4
25
No. of Seedlings
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20
15
10
5
0
0-1 1-3 3-5
0-1 1-3 3-5
nA5-2 (T3)
nA5-4 (T3)
Fluorescence Ratio
図3. 植物個体を用いたGFPの定量
a) sGFP(S65T) 発現ベクターで形質転換した独立した3系統(nA5, nA8, nA9)
に由来する植物でのGFP蛍光
b) nA5-1∼4の葉におけるGFPの補正値
c) nA5-2∼4に由来する幼植物体でのGFP蛍光
d) c図中幼植物体の定量解析結果
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赤色の自家蛍光はGFPの蛍光シグナルとは異なるため、
FluorImagerに標準装備のフィルターを用いることで、1波
長励起2波長蛍光測定という形で容易に測定が可能です。
し か も ImageQuantと Microsoft Excelを 用 い る こ と で 、
各々のイメージ画像における同じ位置での蛍光比を容易
に求めることが可能です。このように求めた値がbのグラ
フに示してあります。このグラフから、nA5-2, -3は、
nA5-1, -4と比較して、その値が約2倍であることがわかり
ます。別の解析からこのラインでは挿入遺伝子座が1個所
であることが既に明らかになっていました。以上の結果
からGFP遺伝子に関しては、nA5-2, -3はホモ、nA5-1, -4は
ヘテロであると予測できます。
ここで、試料にダメージを与えることなく蛍光量を定
量化できるといったFluorImagerの最大の特徴を生かし、
図3aに示した植物を定量解析後土に植え替えて、そこか
ら自家受粉させた種子を収穫し、得られた子孫について
解析を行いました。無菌的に発芽させたnA5-2, -4由来の幼
植物体について同じようにFluorImagerを用いGFPの発現
を定量解析した結果が図3c, dに示してあります。 dのグラ
フからも明らかなように、ホモと予測したnA5-2由来の植
物では全てGFPポジティブでかつ発現量が高い一方で、ヘ
テロと予測したnA5-4由来の植物ではGFPネガティブで赤
い自家蛍光のみを発する個体(図3c、白矢印で示す)が約
1/4の確立で出現し、GFPポジティブの個体もホモとへテ
ロがほぼ期待数どおり検出されたことから、予測が正し
かったことと、この方法により、蛍光量の2倍の違いを判
別可能であることが確かめられました(5)。植物の場合、
幸運にも赤色の自家蛍光を利用してGFPの蛍光量を補正す
ることが可能でしたが、自家蛍光がない場合には、適当
な蛍光色素で染色するか、試料を励起光に対して垂直に
置くことで、同様な解析が可能と考えています。
最後にFluorImagerを用いた解析例として、我々により
身近なイネを用いた結果を示します。図4は、sGFP(S65T)
発現ベクターで形質転換したイネ(国立遺伝学研究所の
伊藤幸博博士より供与)の穂の部分をFluorImagerで検出
した結果です。グレーで示した図は、665DF30フィルター
を用いて捉えた画像で、反射画像として利用できます。
緑色の擬似カラーで示した530DF30フィルターを用いて捉
えた画像から、穂についたコメの中でGFPを発現している、
すなわち遺伝子組み換えコメを容易に識別可能です。
B i o t e c h
おわりに
FluorImagerは100ミクロンの解像度が得られるため、コ
ロニーであれば原核生物から真核生物の培養細胞まで、
また、シャーレ内に収まる試料であれば無菌的にかつダ
メージを与えることなく生体試料におけるGFPの発現量を
定量的に解析できることがわかりました。図3では葉と根
での発現量を別に測定することで、器官特異的な発現の
違いを調べることも容易です(5)。さらにFluorImagerでは、
一度の読みとりで21.5×36.5 cmの範囲のデータを取得可
能なので、シロイヌナズナの場合、幼植物体を用いれば
約3000個体を同時に解析することができます(5)。図5には
FluorImagerを含めた各蛍光検出機器の特徴をまとめてあ
ります(5)。
µm
-6
[10n m]
mm
-5
-4
-3
-2
-1
0
細胞内/細胞レベル
組織/器官
個体レベル
集団レベル
光源
顕微鏡
Hg, Kr/Ar
実体顕微鏡
Hg
FluorImager
Ar
図5. 蛍光検出機器の比較
この図からも明らかなように、FluorImagerは組織や器
官レベルから、顕微鏡類では観察が困難な個体や集団レ
ベルでのGFPの発現量を指標としたプロモーター解析やミ
ュータント選抜、遺伝子サイレンシングなどの解析に適
しています。またFluorImagerは、これまでに遺伝子導入
法が確立していない生物については、その確立のため強力
な武器として、特に植物分野では21世紀の食糧・環境問題
の解決に必須とされる新規な遺伝子組み換え植物を作出
する際に威力を発揮することが期待されます(4)。
参考文献
1. Tsien, R.T., Annu. Rev. Biochem. 67, 509-544 (1998)
2. Chiu, W-I. et al., Current Biology, 6, 325-330 (1996)
3. 丹羽康夫,「植物の細胞を観る実験プロトコール」細胞工学
別冊, 植物細胞工学シリーズ6, 秀潤社, 196-199 (1997)
4. 丹羽康夫, Plant Morphology, 10, 22-29 (1998)
5. Niwa, Y., et al., Plant J, 6, 325-330 (1999)
Microsoftは米国マイクロソフト社の登録商標です。
図4. sGFP(S65T) 遺伝子組み換えイネ
FluorImager
ORDERING INFORMATION
製品名
包装
コード番号
FluorImager595
1式
問合せ
Life Science News 4, 1999 Amersham Pharmacia Biotech
7
価格
¥12,000,000
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High throughput DNA sequencing
with DYEnamic ET terminator cycle sequencing kit
DYEnamicTM ET terminator cycle sequencing kitによるハイスループットDNA塩基配列解析
D
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C
I
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G
起こります。このとき、Acceptor dyeは単独で励起された
場合に比べて最大10倍以上もの強い蛍光を発します。この
現象を利用したのがEnergy transfer技術で、DYEnamic ET
terminatorではdideoxy nucleotides(ddG, ddA, ddT, ddC)
に、Donor dye(Fluorescein)と4種類のAcceptor dye(rhodamine 110, rhodamine-6-G, tetramethyl rhodamine, rhodamine X)を組み合わせています。Donor dyeにFluorescein
を採用しているため、アルゴンレーザー(488 nm)を使用
する全ての4色蛍光DNAシークエンサーで使用することが
できます。したがって、初期のDNAシークエンサーを用
いても、従来の数分の一量のテンプレートDNAから塩基
配列解析が可能で、テンプレート量を0.1 pmol程度まで減
らすことができます。M13 mp18を用いたコントロール実
験では、わずか4 fmol(10 ng)のDNAからでも良好な結果
が得られることを確認しています。
DYEnamic ET terminatorは、4色蛍光色素を用いたサイク
ルシークエンシング反応によるDNA塩基配列解析のために
開発された新しいダイターミネーターです。ddNTPを二種類
の蛍光色素で標識してEnergy Transfer技術を応用すること
で、従来の単色標識ダイターミネーターに比べて数倍強い蛍
光シグナルを得ることができます。したがって、少ないテン
プレートDNA量でも、より長いDNA塩基配列解析が可能で
す。この新技術とThermo Sequenase II DNAポリメラーゼと
を組み合わせたDYEnamic ET terminator cycle sequencing
kitによるDNA塩基配列解析について紹介します。
はじめに
4色蛍光を使用するダイターミネーター法は、最もポピ
ュラーなDNA塩基配列決定法の一つです。G, A, T, Cそれ
ぞれのシークエンシング反応液を混合して一本のレーンに
電気泳動可能なため、大量の配列解析が容易で、ゲノム配
列解析プロジェクトでは欠かせない中核的な手法になって
います。近年、クローニング技術の進歩に伴い、Bacterial
Artificial Chromosome(BAC)などの巨大ベクターが開発
されて、ゲノムDNAの配列解析に応用されています。
BACベクターはクローニング可能なDNAサイズが大きく
ゲノミックライブラリー作製に威力を発揮しますが、配列
解析を行う際にはサブクローニングを行う必要があり、ハ
イスループット化のネックになっています。そのため、
BACクローンから直接DNA配列解析を行う系の開発が望
まれていました。
ベクターのDNAサイズが大きくなるとDNA量あたりの
モル数は減少します。1回のシークエンシング反応に用い
るテンプレートDNA量には限界があるため、従来の蛍光
標識ダイターミネーター法では、BACクローンをテンプレ
ートにすると十分なシグナル強度が得られないという問題
が生じます。
DYEnamic ET terminatorは2種類の蛍光色素(Donor dye
とAcceptor dye)をdideoxy nucleotideに二重標識したダイ
ターミネーターです。アルゴンレーザーによって励起したDonor
dyeのエネルギーがAcceptor dyeに転移(Energy transfer)し
て蛍光を発し、単独のdyeを励起した場合よりも数倍強い
蛍光を発します。その結果、BACなどの巨大クローニング
ベクターを用いた場合や、微量のテンプレートDNAから
でも高精度な塩基配列解析が可能になりました。優れた
DNA鎖伸長反応と高い解析精度を特徴とする次世代シー
クエンシング酵素Thermo Sequenase IIとDYEnamic ET terminatorとの組み合わせは、ゲノムDNA配列解析のハイス
ループット化に大きく貢献します。
微量プラスミドの塩基配列解析
DYEnamic ET terminator の特徴である強い蛍光シグナ
ルは、微量プラスミドDNAの配列解析を可能にします。
図1は、わずか25 ng(0.08 pmol)のプラスミドDNAをテン
プレートとしてDYEnamic ET terminator cycle sequencing
kitでシークエンシング反応を行い、ABI PRISMTM 377シー
クエンサーにより解析した結果を示しています。500 bp付
近でもシグナルの減衰はほとんど見られず、約600 bpまで
配列解析が可能であることがわかります。
図1. 25 ngのプラスミドDNAをテンプレートにした解析
BACクローンの塩基配列解析
DYEnamic ET terminatorの特徴
BACなどのゲノムサイズの大きなテンプレートDNAを
励起波長が近接する二種類の蛍光色素が近傍にあると 使用する場合でも高精度な塩基配列解析が可能です。ここ
き、波長の短い蛍光色素(Donor dye)が励起されると、 では、0.8 µgのBACクローンをDYEnamic ET terminator
もう一方の蛍光色素(Acceptor dye)にエネルギー転移が cycle sequencing kitでシークエンシング反応を行い、ABI®
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A m e r s h a m
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Model 373シークエンサーで解析しました(図2)
。その結
果、400 bp以上にわたって明瞭なシグナルが得られ、従来
の4色蛍光ダイターミネーター法では困難であった巨大ク
ローニングベクターからの直接配列解析が可能であること
が示されました。
B i o t e c h
酵素の至適条件下では1000 bp以上まで伸びますが、合成
されるDNA断片の量は長鎖DNAほど少なくなり蛍光強度
が低下するため解析が困難になります。Energy transferに
よる蛍光シグナル強度の増大は、特別な装置を必要とせず、
通常のDNAシークエンサーにより800 bp以上の配列解析を
可能にします。
DNA配列解析精度
Thermo Sequenase II DNAポリメラーゼは、DNA鎖連続
移動性(processivity)とヌクレオチド類似体(dITPや標識
ddNTP)の取り込み能に優れており、高精度なDNA配列
解析に最適の酵素です。GC含量が65 %以上のテンプレー
トDNAやホモポリマーでも正確なDNA配列解析を行うこ
とができます。
図4および5には、Tの繰り返し配列を含むイヌcDNAとGC
含量が65 %以上のDNAサンプルを解析した例をそれぞれ
示しました。いずれのサンプルでも、99 %以上の精度で
550 bp以上のDNA配列が解析されています。従来の酵素
では、ポリAあるいはポリTの繰り返し配列の後ではシグ
ナルが減衰して塩基配列の解読が困難になりますが、
Thermo Sequenase II DNAポリメラーゼを採用している
DYEnamic ET terminator cycle sequencing kitではホモポリ
マー配列の後でもシグナル強度の減衰が抑えられ、正確な
塩基配列解析が可能なことがわかります。
図2. 0.8 µg のBACクローンをテンプレートにした解析
判読長の改善
DYEnamic ET terminatorの強い蛍光シグナルは、500 bp
を越える長鎖DNA配列の解析においても威力を発揮しま
す。100 ngのM13 mp18 DNAをテンプレートとして
DYEnamic ET terminator cycle sequencing kitでシークエン
シング反応を行い、ABI PRISM 377で解析した例を図3に
示します。この例では、820 bpの配列を99 %の正確さで解
析が可能でした。DNA鎖伸長反応は、シークエンシング
図4. イヌcDNAサンプルの配列解析
図5. 高GC含量(65 %以上)サンプルの配列解析
ハイスループットDNAシークエンシング
ゲノムDNA配列解析プロジェクトのように大量の塩基
配列を解析するためには、DNAシークエンサーと反応試
薬の性能を検討して、短時間でより多くの解析が可能なシ
ステムを構築しなければなりません。多様なテンプレート
図3. 100 ng のM13mp18 DNAをテンプレートにした解析
Life Science News 4, 1999 Amersham Pharmacia Biotech
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A m e r s h a m
P h a r m a c i a
DNAに対応して、高精度の解析能が求められます。
Thermo Sequenase II DNAポリメラーゼは、優れたDNA
鎖連続移動性により、60℃, 1分間の伸長反応でも解析に十
分なシグナル強度が得られるので、シークエンシング反応
に要する時間を大幅に短縮します。また、高濃度の塩存在
下(∼200 mM)でも反応が阻害されないため、DNAの調
製条件に依存せずに様々なテンプレートDNAから塩基配
列解析を行なうことができます。
DYEnamic ET terminator cycle sequencing kitには、PE
Biosystems社製ABI MODEL 373, ABI PRISM 377/310シーク
エンサー専用キットの他、弊社マルチキャピラリーDNA
シークエンサーMegaBACE 1000専用に至適化したキット
もあります。MegaBACE 1000は、大規模シークエンシン
グと自動化を目的として設計された最高水準のゲノム
DNA解析装置です。96本のキャピラリーにより、24時間
で960サンプルの解析が可能で、世界中のゲノムセンター
で採用されています。図6は、ボイリング法で抽出した0.4
µgのλZAP由来のプラスミドをMegaBACEで解析した例
です。ポリAなど配列の偏りがある領域でも正確な解析が
行われており、700 bp以上のDNA配列を解析することが
できました。
B i o t e c h
まとめ
ヒトをはじめとする各種ゲノム塩基配列の解析が盛んに
行なわれ、ハイスループットDNA配列解析法のニーズが
高まっています。DYEnamic ET terminatorは、従来の4色
蛍光標識ターミネーター法に比べて感度が大幅に向上して
いるため、BACなどの巨大ベクターをテンプレートとして
DNA配列を直接解析することができます。また、Thermo
Sequenase II DNA ポリメラーゼは、テンプレートDNAの
塩基組成や配列の影響を受けにくく、伸長反応速度が速い
ため、短時間で高精度のDNA配列解析を可能にします。
DYEnamic ET terminator cycle sequencing kitは、高速
DNAシークエンシング反応に加えて、微量サンプルの高
感度解析を実現した次世代のシークエンシング試薬です。
微量DNA配列解析からハイスループット解析まで、
DYEnamic ET terminator cycle sequencing kitは多様なニー
ズにマッチしてゲノムDNA配列解析に大きく貢献します。
図7. 理化学研究所ゲノム科学総合研究センターで稼働中のMegaBACE 1000
1台で1日あたり960サンプルものウルトラハイスループット処理を実現してい
ます。
(理化学研究所 服部正平先生のご厚意により掲載)
図6. ボイリング法で抽出したλZAP由来のプラスミドをMegaBACE 1000で
解析した例
ORDERING INFORMATION
製品名
包装
ABI model 373 & ABI PRISM 377/310専用
DYEnamic ET Terminator cycle sequencing kit
DYEnamic ET Terminator cycle sequencing kit
DYEnamic ET Terminator cycle sequencing kit
Matrix standards*
Mobility file disk*
コード番号
100回分
1000回分
5000回分
US81050
US81060
US81070
US80860
US80872
価格
¥85,000
¥690,000
¥2,900,000
¥10,000
¥3,000
このキットで初めてDNA配列解析を行う場合は、マトリックスファイルの設定およびモビリティーファイルを新たに設定する必要があります。
MegaBACE 1000専用キットについては、バイオダイレクトラインまでお問い合わせください。
*Matrix standardsとMobility file diskは、100回分キットに標準添付されています。
All goods and services are sold subject to the terms and conditions of sale of the company within the Amersham Pharmacia Biotech group which supplies them. A copy of these terms and
conditions is available on request.
DYEnamic and Thermo Sequenase are trademarks of Amersham Pharmacia Biotech Limited or its subsidiaries.
ABI PRISM is a trademark of The Perkin-Elmer Corporation.
Amersham is a trademark of Nycomed Amersham plc.
NOTICE TO PURCHASER ; LIMITED LICENSE
These kits are sold pursuant to Authorization from PE Applied Biosystems under one or more of the following US Patents : 4,849,513; 5,015,733; 5,118,800; 5,118,802; 5,151,507; 5,171,534; 5,332,666; 5,242,796; 5,306,618; 5,366,860;
4,855,225 and corresponding foreign patents and patent applications. Further information on purchasing licenses to perform DNA sequence and fragment analysis may be obtained by contacting the Director of Licensing at PE Applied
Biosystems, 850 Lincoln Centre Drive, Foster City, California 94404 AMERSHAM IS LICENSED AS A VENDER FOR AUTHORIZED SEQUENCING AND FRAGMENT ANALYSIS INSTRUMENTS.
NOTICE TO PURCHASE ABOUT LIMITED LICENSE
The purchase of these kit (reagent)s include a limited non-exclusive sublicense under certain patents* to use the kit (reagent) to perform one or more patented DNA sequencing methods in those patents solely for use with Thermo Sequenase
DNA polymerase purchaced from Amersham for research activities. No other license is granted expressly, impliedly or by estoppel. For information concerning availability of additional licenses to practice the patented methodologies,
contact Amersham Life Science, Inc., Director, Business Development, 2636 S.Clearbrook Dr., Arlington Heights, IL 60005.
*US Patent number 4,962,020; 5,173,411; 5,409,811; 5,498,523. Patent Pending.
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Determination of sphingomyelinase activity using a novel
tritium labelled sphingomyelin derivative and Scintillation
Proximity Assay system
― 新規のトリチウム標識スフィンゴミエリン誘導体とScintillation Proximity Assay
システムを用いたスフィンゴミエリナーゼ活性の測定―
Scintillation Proximity Assay(SPA)法を用いて、スフィンゴ
ミエリナーゼ(SMase)のin vitro活性測定方法が開発されま
した。SPAで用いた基質は新規のスフィンゴミエリン誘
導体で、コリンヘッドグループの4基のアンモニウムがト
リチウム([3H])標識され、かつsn -2位の脂肪酸がビオチン
標識されたものです。この基質をSMaseで分解すると、
トリチウム標識されたコリンリン酸が遊離し、proximity
シグナルが消失します。
す(図1参照)(4)。このように、N-SMaseとA-SMaseは同
じ脂質伝達セラミドを産生しますが、セラミドの挙動は
その産生の経路の部位によって決定されており、今日で
は、セラミドの細胞における活性が研究の中心になって
います(1)。
S
C
R
E
E
N
I
N
G
TNF
はじめに
スフィンゴミエリンは、細胞膜での構造上の機能に加え
て、シグナル伝達にも関係していると言われてきました。
スフィンゴミエリンサイクル(1)と細胞性セラミドの生理的
機能に関する知見により、この仮説は支持されています。
スフィンゴミエリンサイクルは以下のステップを経由し
て起こります。ある種の細胞外物質はSMaseを活性化し、
SMaseはスフィンゴミエリンを分解してセラミドとコリン
リン酸を生成します。続いてホスファチジルコリン:セ
ラミドコリンホスホトランスフェラーゼが、ホスファチ
ジルコリンのコリンリン酸ヘッドグループをセラミドへ
付加し、スフィンゴミエリンを再合成します。
少なくとも5種の異なるタイプのSMaseが確認されてお
り、そのうちよく知られているのは、細胞膜に結合して
いるマグネシウム依存性中性SMase (N-SMase)と、リソソ
ームおよびエンドソーム中にみられる酸性SMase (ASMase)の2種です(2)。最近ではN-SMaseとA-SMaseは個々
の反応部位に依存して異なるシグナル経路を制御してい
ることが示されました(3)。
スフィンゴミエリナーゼの活性化機構
SMaseを活性化する細胞外物質には、腫瘍壊死因子-α
(TNF-α)、1α,25-ジヒドロキシビタミンD3、インターフェ
ロン-γ などがあります。SMase活性化のメカニズムは、
ほとんどの場合、まだ解明されていません。TNF-αについ
ては、
中性・酸性SMaseがTNF-α55 kDa受容体(TNF-R55)
を介して別々の経路で活性化されることが示唆されまし
た(3)。
N-SMaseの活性化で生じたセラミドは、マイトジェン
およびセラミド活性化プロテインキナーゼ(MAPK,
CAPK)のようなプロリン指向性プロテインキナーゼを刺
激し、MAPKはホスホリパーゼA2(PLA2)の活性化を含
む多数の情報伝達反応をもたらします。TNF-R55の細胞
質ドメインではA-SMaseが活性化され、さらにホスファ
チジルコリン特異的ホスホリパーゼC(PC-PLC)が活性
化されることにより、A-SMaseの活性化における補因子
のジアシルグリセロール(DAG)が産生されます。ASMaseによって作られたセラミドは、NFκBを活性化しま
SM
Neutral
SMase
Ceramide
PC-PLC
PC
DAG
cPLA2
PDP Kinases
(CAPK, MAPK)
PKC
Arachidonic acid
Acidic
SMase
SM
Ceramide
NFκB
図1. TNFシグナリングにおける中性・酸性スフィンゴミエリナーゼの活性化
スフィンゴミエリナーゼSPAシステム
in vitroでのSMase活性は、放射性標識された加水分解
産物を溶媒抽出と薄層クロマトグラフィーにより分離・
定量して測定します。また、蛍光性のアナログも使用可
能ですが(5)、これらの方法は分離の手順を伴うので、ハ
イスループットのスクリーニングアッセイを開発するに
は不向きです。
SMase阻害剤を検出するためにSPAシステムを開発しま
した。これはシンチレーションproximityの原理により、
分解されていない基質と分解産物が識別され、これらの
分離ステップが不要です。基質の標識位置と比活性に関
しては、分析対象物の必要条件と合致していることが重
要です。
SPAの基質は二種標識した新規のスフィンゴミエリンア
ナログです。コリンヘッドグループの4基のアンモニウム
はトリチウム([3H])で高比活性(85 Ci/mmol)に標識さ
れ、sn-2位の脂肪酸がビオチン化されています。proximityシグナルは、ストレプトアビジンをコートしたSPAビー
ズの添加により得られ、[3H]コリンリン酸がSMaseで切断
されて遊離するとシグナルが消失します。酵素活性は、
EDTAとTritonTM X-100(pH 3.6)を含む反応停止液で阻
害されます。基質から反応産物を分離する必要はありま
せん。
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TR55
D
R
U
G
A
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T
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B i o t e c h
SPAと従来法との比較
% Substrate cleaved
100
75
100
% Substrate cleaved
SPAの評価にはバクテリア(Streptomyces sp.)およびヒ
ト胎盤由来のSMaseを使用しました。反応は100 µlで行い、
50 mM EDTAと0.2 % Triton X-100を含む2 Mグリシン
(pH 3.6)を20 µl添加して反応を停止しました。ブランク
値は約30,000 SPA cpmで、これは比活性80∼85 Ci/mmolの
基質50 nCi分に相当します。SPAを従来の抽出法と比較す
ると、同様の結果が得られました(図2参照)
。
Extraction
50
75
50
25
0
0
SPA
10
25
15
20
25
Glutathione (mM)
図4. グルタチオンによるバクテリア由来SMaseの阻害
反応液にグルタチオンを10∼25 mMの範囲で添加し、37 ℃で30分間インキュ
ベートしました。反応は基質量0.6 pmol、酵素量1 mUで行いました。
0
0.06 0.25
1
4
16
62.5
250
Neutral sphingomyelinase (mU)
図2. バクテリア(Streptomyces sp.)由来の酵素を用いたSPA法と抽出法に
よるSMaseアッセイの比較
0.06∼250 mUの範囲の酵素と0.6 pmolの基質を、100 mM Tris HCl, pH 7.4,
5 mM MgCl 2 存在下で反応液に添加しました。反応液を37 ℃で30分間イン
キュベートし、続いて反応を停止させ、SPAビーズを添加するか、もしくはク
ロロホルム:メタノール(2:1 v/v)で抽出を行いました。
まとめ
SPAはSMase阻害剤のスクリーニングを迅速で簡便にし
ます。さらに他の哺乳類SMaseの特性を明らかにし、特異
的阻害剤を開発することは、情報伝達および他の細胞内
プロセスでの異なるSMaseの役割をより理解することにつ
ながり、潜在している新たな分野の治療薬開発にも役立
つと期待されます。この分野へのSPAテクノロジーの応用
は、薬物スクリーニングのスループットを大幅に向上し、
新薬開発を加速します。
% Substrate cleaved
基質の分解速度は初め非常に迅速で、バクテリア由来
SMaseでは30分でプラトーに達し、ヒト胎盤由来のもので
も同様の結果が得られました(図3参照)。基質の分解は
酵素の量に依存し、酵素の量を多くするほど、基質分解
量は増大しシグナルは減少しました。
SMaseは図4に示すようにグルタチオンによって活性を
阻害され(6)、IC50値は17.5 mMでした。なお、96 wellsと
384 wellsのアッセイフォーマット間で結果には差がありま
せんでした。
参考文献
1. Hannun, Y., J. Biol. Chem. 269, 3125-3128 (1994)
2. Spence, M., Adv. Lipid Res. 26, 3-23 (1993)
3. Weigmann, K. et al., Cell 78, 1005-1015 (1994)
4. Schutze, S. et al., Cell 71, 765-776 (1992)
5. Gatt, Y. et al., Meth. Enzymol. 72, 351-361 (1981)
6. Liu, B. et al., J. Biol. Chem. 272, 16281-16287 (1997)
100
75
Tritonは米国 Rohm & Haas Companyの登録商標です。
50
25
0
0
10
20
30
40
50
60
time (min)
図3. バクテリア由来SMaseによる基質分解と反応時間との関係
100 mM Tris HCl, pH 7.4, 5 mM MgCl2存在下、37 ℃で1 mUのSMaseを
使用してタイムコースを調べました。
ORDERING INFORMATION
SPAシステムは、アマシャム ファルマシア バイオテクとの技術契約締結を通してのみの販売になります。
詳しくは、バイオダイレクトラインまでお問い合せください。
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Methods to increase the sensitivity of
the MMP-9 activity assay
―MMP-9活性測定システムの高感度化―
R. Hanemaaijer, N. van Lent, H. Visser and J. Verheijen
Gaubius Laboratory, TNO-PG, Leiden, The Netherlands
生体サンプル中のMMP-9は微量であり、高感度でアッセイで
きることが望まれていました。BIOTRAKTM MMP-9活性測定シ
ステムのプロトコールを一部変更することにより、標準プロ
トコールでの500pg/mlの感度を60 pg/mlまで高める方法をご紹
介します。
C
E
L
L
はじめに
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMPs)は、血管新
生、腫瘍肥大や転移などの多くの病理・生理学的過程、お
よびリューマチ性関節炎や歯周病のような組織破壊を伴う疾
病において重要な役割を担っています(1, 2)。MMPsは、切
断部位近隣のアミノ酸を認識し、ペプチド結合を切断するた
め、MMPsの活性測定では、ウロキナーゼやプラスミンなど
のプロテアーゼ活性を測定する際に使用する多くの発色基質
や蛍光基質を用いることはできません。さらに、MMPsの切
断認識配列には重複があるため、それぞれのMMPに特異的
なペプチド基質をデザインすることは容易でありませんでし
た(3, 4)。
私たちは、プロウロキナーゼのプラスミン認識配列を
MMPsによってのみ認識される配列に置換することで、
MMPs特異的に活性化される修飾プロウロキナーゼを開発
しました(4)。MMP-9活性測定では、まず固相化抗体に捕捉
された活性型MMP-9によって修飾プロウロキナーゼが活性
化されます。その後、この活性化酵素によって消化される色
素ペプチド基質(S-2444TM)の発色を405 nmの吸光度とし
て測定することで、MMP-9活性を定量します(図1)(5, 6)。
ま た 、こ の 方法は 潜在型 M M P - 9を A P M A (p aminophenylmercuric acetate)で活性化することで、試料
中の活性型と潜在型MMP-9のトータル活性量としての測定
も行えます(6)。
MMP-9活性測定システムの標準プロトコールは、2∼32
ng/mlと0.5∼8 ng/mlの2つの測定レンジで使用することがで
きます。しかし、生物試料の中にはMMP-9が微量であるこ
とが多く、そのため高感度でアッセイできることが望まれて
いました。ここでは、MMP-9活性測定を60 pg/mlまで高感
度化する方法についてご紹介します。
超高感度MMP-9活性測定と解析法
MMP-9活性測定システムは、次の変更点を除いて、添付
プロトコールに従いました。
(a)MMP-9を0.06∼32 ng/ml
まで測定できるように調製し、
(b)吸光度の測定を検出酵
素と基質を添加後、9.5 時間までは20∼30分間隔で、さらに
20時間後にも行いました。
測定データは2つの異なる方法で解析しました。まず、エン
ドポイント法として、2, 4, 6, 9.5, 20時間後における405 nmの
吸光度(ΔA405)をMMP-9の濃度に対してプロットしまし
た。一方、速度論的解析法として、各サンプルに対する吸
光度をインキュベーション時間の二乗に対してプロットしま
B
I
O
L
O
G
Y
図1. MMP-9活性測定システムの概略図
活性型MMP-9は固相化した特異抗体により捕捉され、修飾ウロキナーゼ
(UKcol)とペプチド基質を添加後、測定されます。また、潜在型MMP-9も捕
捉されますが、APMAであらかじめ活性化する必要があります。
した。ここで得られた直線の傾き(ΔA405/t2)は、酵素活性
の強さを示します。エンドポイント法は簡単にプロットでき
ますが、速度論的解析法はコンピューターによるデータ解析
システムを必要とします。
長時間測定による検出の高感度化
図2Aに示した速度論的解析データでは、幅広いMMP-9濃
度範囲でのΔA405がインキュベーション時間の二乗に比例し
ていることを示しています。このプロットは、未知のMMP-9
濃度を求めるために使用することができ(図2B)
、相関係数
から測定値の信頼度の情報も得ることができます(図2Bの
場合、R2 = 0.993)
。
より簡単なエンドポイント法では、各MMP-9濃度に対し
て、反応時間ごとに測定したΔA405をプロットします。イン
キュベーション時間が2時間と6時間の場合には、測定レンジ
はそれぞれ4∼32 ng/mlと1∼16 ng/mlとなりました(図3A,
3C)
。さらにインキュベーション時間を9.5時間と20時間に延
長すると、測定レンジはそれぞれ0.25∼7 ng/mlと0.06∼0.5
ng/mlになりました(図3D, 3F)
。明らかに、インキュベー
ション時間の延長に伴って測定レンジが拡大しており、
MMP-9濃度が非常に低い場合やサンプル量が微量の場合に
も測定することができるようになります。
このプロトコールで測定するための試薬はすべてMMP-9
活性測定キットに含まれています。フルレンジの測定とし
て、0.06∼32 ng/ml範囲の標準曲線を作成することをおすす
めします。
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A
S
S
A
Y
S
A m e r s h a m
A
1 ng/ml
2 ng/ml
4 ng/ml
12 ng/ml
24 ng/ml
28 ng/ml
32 ng/ml
0.7
0.6
0.5
∆A405
P h a r m a c i a
0.4
B i o t e c h
A
B
C
D
E
F
0.3
0.2
0.1
0
0
2
4
6
8
10
12
14
16
18
20
t2 (h2)
B
activity (1000 × ∆A405/ t2)
35
30
25
20
15
10
5
0
R2 = 0.993
0
5
10
15
20
25
30
35
図3. MMP-9活性測定で使用可能な測定レンジの解析
様々な濃度のMMP-9活性を同じプロトコールで測定しました。それぞれの反応
(A)2時間、
(B)
時間におけるΔA405をMMP-9濃度に対してプロットしました。
4時間、
(C)6時間、
(D, E)9.5時間、
(F)20時間後に吸光度を測定しました。
図には、様々な反応時間(t)における測定レンジを示しています。
conc. MMP-9 (ng/ml)
図2. MMP-9活性測定の時間と濃度依存性
A. それぞれの直線は同一濃度活性型MMP-9を経時的に測定したものです。
インキュベーション時間の二乗(t2)に対してΔA405をプロットしました。
B. それぞれの濃度でのMMP-9活性を解析しました。1000×ΔA405/t2として示
される酵素活性をMMP-9濃度に対してプロットしました。1時間から20時間ま
での反応時間で活性を測定しました。
参考文献
まとめ
プロトコールを一部変更したMMP-9活性測定法には、
MMP-9を検出するために用いるザイモグラフィーやELISA、
ウェスタンブロッティング法に比べていくつかの利点があり
ます。このMMP-9活性測定は、1回のΔA405測定ではなく連
続的な測定に適しています。20時間まで経時的に測定する
ことにより、測定開始2時間後には2∼32 ng/mlであった測定
レンジを0.06∼32 ng/mlまで広げることができます。また、
これらすべてのMMP-9活性は同じプレートを用いて測定す
ることができます。ザイモグラフィーやELISA、ウェスタン
ブロッティングの場合のように、サンプルの希釈を何段階も
とり、何度も測定を繰り返す必要はありません。
以上のように、MMP-9活性測定システムは容易に高感度
測定に応用することができます。標準曲線を作成する際に、
0.5, 0.25, 0.125, 0.063 ng/ml濃度のMMP-9標準を追加し、
測定ポイント(例えば2, 4, 6, 9時間および一晩)を増やすだ
けです。測定方法は極めて簡単で、サンプル中のMMP-9含
量の多少にかかわらず、同じプレートを用いてMMP-9活性
を測定することができます。
1. Birkedalhansen, H. et al., Crit. Rev. Oral Biol. Med. 4,
197-250 (1993)
2. Cawston, T., Pharmacol. Ther. 70, 163-182 (1996)
3. Nagase, H. et al., Biopolymers 40, 399-416 (1996)
4. Verheijen, J. et al., Biochem. J. 323, 603-609 (1997)
5. Hanemaaijer, R. et al., Matrix Biology 17, 657-665
(1998)
6. Capper, S. et al., Life Science News 2, 8-9 (1999)
S-2444はChromogenix AB社の登録商標です。
ORDERING INFORMATION
製品名
MMP-9活性測定システム
包装
コード番号
価格
96 wells
RPN2630
¥98,000
この記載の製品は試験研究用です。人体、動物への医療、臨床診断用としては使用できません。また、人体への投与は絶対にしないでください。
有効期限のある製品ですので、実験スケジュールにあわせてご購入ください。出荷後少なくとも4週間は安定です。
製品の特性上、返品、交換は原則としていたしかねますので、あらかじめご了承ください。ご注文の際は、製品名、コード番号のご確認をお願いいたします。
Life Science News 4, 1999 Amersham Pharmacia Biotech
14
A m e r s h a m
P h a r m a c i a
B i o t e c h
Rapid purification of GST-fusion proteins
―GST融合タンパク質の迅速な精製―
Johan Öhman, Eva Rupp-Thuresson, Lars Haneskog*, Anna Heijbel* and Hans J Johansson*
Pharmacia & Upjohn, Stockholm, Sweden
*Amersham Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden
Glutathione S-Transferase(GST)tagを持つタンパク質は、 ムを洗浄し、いったんカラムをÄKTAexplorer 10Sシステム
から外した後、7 mlの20 U/ml Thrombin プロテアーゼをディ
Glutathioneをリガンドとするアフィニティークロマトグラフ
スポーザブルシリンジでカラムに添加しました。室温で1晩
ィー担体により、温和な条件下(還元型グルタチオンとの競
合溶出)で簡単に精製することができます。我々は、迅速な (14時間)放置後、カラムをシステムに取り付け、溶出バッ
ファー(10 mM 還元型グルタチオン, 50 mM Tris-HClバッ
GST融合タンパク質精製のために開発されたGlutathione
ファー, pH 8.0)で溶出しました。
Sepharose® 4 Fast Flow担体とGSTrapTMプレパックカラム
を用いて、大腸菌と動物細胞からGST融合タンパク質を高速
精製しました。
質量分析
サンプルを50 %アセトニトリル、0.5 %トリフルオロ酢酸
溶液にバッファー交換しました。質量分析の試料は、サンプ
ルを50 %アセトニトリル、0.5 %トリフルオロ酢酸に飽和シナ
ピン酸と混合した後、風乾して作製しました。質量分析は、
MALDI-TOF-MS(弊社プロトタイプ)を用いて行いました。
はじめに
Glutathione Sepharose 4 Fast Flow(FF)担体は、高い
結合容量(GST 10 mg/mlゲル)と、高速処理を特徴として
います。ベース担体には、工業的利用でも定評がある
Sepharose FF高度架橋アガロースビーズを採用し、大量スケ
ールのクロマトグラフィーにおいても安定した結果が得られ
ます。一般的に、GST融合タンパク質の発現系では、目的
タンパク質のみを精製するために、GST-tagと目的タンパク
質との間にプロテアーゼ認識部位を導入した発現ベクターが
使用されます。この報告では、GSTrapプレパックカラムを
用いて、大腸菌からGST-tagを除去した目的タンパク質のみ
を精製し、質量分析を行った例と、Glutathione Sepharose
4 FF担体を充填したカラムを用いて、大量の動物細胞培養
液中から微量のGST融合タンパク質を迅速に精製し、結晶
解析を行った例をご紹介します。
結果
質量分析のための大腸菌産生G S T 融合タンパク質精製と
カラム内プロテアーゼ消化
GST-phosphatase SH2ドメイン融合タンパク質(37 kDa)
をGSTrap 1 mlカラムを用いて精製しました。大腸菌の清澄
化済み抽出液2 mlから2 mgのGST融合タンパク質が回収さ
れました(図1A)
。SDS-PAGEの結果、溶出画分の大部分は
GST融合タンパク質であることが分かりました(図1B)
。
サンプル添加
洗浄
A280
4
材料と方法
3
サンプル
質量分析に用いるphosphatase SH2ドメインの精製には、
GST-phosphatase SH2ドメイン融合タンパク質(37 kDa)
を発現させた大腸菌の清澄化済み菌体破砕液を用いました。
結晶化に使用するタンパク質の精製には、動物細胞分泌発
現系であるヒト胚腎細胞(HEK293)の培養液を用いまし
た。培養液1.5リットル中には、0.5∼1.5 µg/mlの GST融合
タンパク質(糖鎖を持つ120 kDaの分泌タンパク質)が発現
していました。
クロマトグラフィー
すべての操作は、室温にてÄKTATM explorer 10Sあるいは
ÄKTAexplorer 100精製システムで行いました。大腸菌の
GST融合タンパク質および目的タンパク質の精製には、
GSTrap 1 ml、5 mlプレパックカラムをそれぞれ使用しまし
た。動物細胞のGST融合タンパク質の大量処理には、XK
16/20空カラムに34 mlのGlutathione Sepharose 4FF担体を
充填して使用しました。
2
溶出
1
0
0.0
5.0
10.0
15.0
20.0 Volume (ml)
図1A . GST-phosphatase SH2ドメイン融合タンパク質の精製
サンプル:
GST-phosphatase SH2ドメイン融合タンパク質(37 kDa)発現
大腸菌抽出液 2 ml(清澄化済み)
カラム:
GSTrap 1ml
流速:
2 ml/min
結合バッファー: 20 mM リン酸バッファー, 0.15 M NaCl, pH 7.3
溶出バッファー: 20 mM 還元型グルタチオン, 50 mM Tris-HCl, pH 8.0
システム:
ÄKTAexplorer 10S
図1B. SDS-PAGEによる分析
(8-25 % PhastGel使用、銀染色)
Mr
レーン1:
レーン2:
レーン3:
レーン4:
レーン5:
レーン6:
LMWマーカー
サンプル
素通り画分
洗浄画分
溶出画分
LMWマーカー
94 000
67 000
43 000
30 000
20 100
14 400
1
プロテアーゼによるカラム内でのGST融合タンパク質の切断
2
3
4
5
6
次に、GST-tagを含まない純粋なphosphatase SH2ドメイ
ンを得るために、カラムを5倍にスケールアップし(GSTrap
5 mlカラムを使用)
、カラム内でThrombin消化後、結合バッ
サンプルを添加した後に、結合バッファー(20 mM リン
酸バッファー, 0.15 M NaCl, pH 7.3)でGSTrap 5 mlカラ
Life Science News 4, 1999 Amersham Pharmacia Biotech
15
P
R
O
T
E
I
N
P
U
R
I
F
I
C
A
T
I
O
N
A m e r s h a m
P h a r m a c i a
ファーで溶出しました(図2A)
。Thrombin消化後の洗浄画
分には2 mgのphosphatase SH2ドメイン、溶出画分には4 mg
のGST-tag部分が含まれていました。SDS-PAGEの結果よ
り、得られたphosphatase SH2ドメイン画分に不純物は認め
られず、Thrombin 消化が完全に行われていることがわかり
ました(図2B)
。質量分析の結果、2本のメインピーク(m/z
12,472、6,241)が得られました。この分子量は予想される
phosphatase SH2ドメインの一価イオンと、二価イオン分子
量にそれぞれ一致しました(図3)
。
結晶解析のためのGST融合タンパク質精製
ヒト胚腎細胞(HEK293)の培養液1.5リットル中に発現・
分泌されている糖鎖をもつ120 kDa分泌型GST融合タンパク
質の精製を、34 mlのGlutathione Speharose 4FF担体を充填
したXK16/20カラムを使用して行いました(図4A)
。全精製
工程5時間以内で高純度に精製されたタンパク質が1 mg回収
されました(図4B)
。この画分を限外ろ過(10 kDaカットオ
フ)により濃縮し、結晶化を行いました(図5)
。
1
A 280
0.35
洗浄
サンプル添加
4
0.4
3
洗浄
0.3
67 000
0.2
プロテアーゼ消化
1
0.1
0
0
0
50
100
55 000
溶出
0.15
0
150
Volume (ml)
4
116 000
97 000
0.20
2
3
200 000
0.25
結合バッファー
による洗浄
2
Mr
サンプル添加
0.30
A280
A 280
B i o t e c h
20
100
36 000
31 000
溶出
0.10
120
Volume (ml)
21 000
0.05
図2A. Phosphatase SH2ドメインの精製とGST-tagの除去
0.0
サンプル:
GST-phosphatase SH2ドメイン融合タンパク質(37 kDa)発現
大腸菌の抽出液 100 m l(清澄化済み)
カラム:
GSTrap 5 ml
流速:
10 ml/min(サンプル添加、洗浄時)
、2.5 ml/min(溶出時)
結合バッファー: 20 mM リン酸バッファー, 0.15 M NaCl, pH 7.3
溶出バッファー: 10 mM 還元型グルタチオン, 50 mM Tris-HCl, pH 8.0
プロテアーゼ消化: 20 U/ml Thrombin Protease、14時間、室温
システム:
ÄKTAexplorer 10S
LMWマーカー
サンプル
素通り画分
洗浄画分
Thrombin消化後、結合バッファー
による洗浄画分
(ピーク前半の1/3)
レーン6: 洗浄画分(ピークの中央部)
レーン7: 洗浄画分(ピーク後半の1/3)
レーン8: 溶出画分
94 000
67 000
43 000
1
2
3
4
5
6
7
大腸菌からGST融合タンパク質とGST-tagを酵素消化によ
り切断したタンパク質をGSTrapプレパックカラムを使用し
て精製しました。得られた精製タンパク質を脱塩、濃縮後、
MALDI-TOF-MSで質量分析を行った結果、計算分子量に
相当するピークのみが得られ、高純度に精製されていること
が確認できました。
一方、大量の動物細胞培養液からは、微量に存在する
GST融合タンパク質をGlutathione Sepharose 4FFの高流速
特性を活かして迅速に精製することができました。ワンステ
ップ精製後のタンパク質には、培地成分のコンタミネーショ
ンはほとんど認められず、結晶化可能なレベルまで高純度に
精製されていることが示されました。
75
70
65
6240.82
55
50
45
40
35
30
25
20
15
10
5
12000
図5. 動物細胞由来のGST
融合タンパク質の結晶
まとめ
80
10000
レーン1: マーカー
レーン2: サンプル
レーン3: 素通り画分
レーン4: 溶出画分
8
85
8000
図4B. SDS-PAGE
による分析(4-12 %
ポリアクリルアミドゲ
ル使用、銀染色)
30 000
20 100
14 400
12472.0
6000
1500
Volume (ml)
120 kDaのタンパク質発現HEK293細胞の
培養液1.5リットル
カラム:
34 mlのGlutathione Sepharose 4FF担体
をXK 16/20空カラムに充填(1.6×17 cm)
流速:
10 ml/min(サンプル添加、洗浄時)
、
1 ml/min(溶出時)
結合バッファー:10 mM Na2HPO4, 1.8 mM KH2PO4, 2.7
mM KCl, 0.14 M NaCl, pH 7.3
溶出バッファー:20 mM還元型グルタチオン, 50 mM TrisHCl, 50 mM NaCl, pH 8.0
システム:
ÄKTAexplorer 100
90
0
1000
サンプル:
Mr
Intensity
60
500
図4A. 動物細胞由来のGST融合タンパク質の精製
図2B. SDS-PAGEによる分析
(8-25 % PhastGel使用、銀染色)
レーン1:
レーン2:
レーン3:
レーン4:
レーン5:
0
14000
16000
Mass(m/z)
図3. Phosphatase SH2ドメインのMALDI-TOF-MS分析
TrisはUnion Carbide Chemicals and Plastic Co.の登録商標です。
ORDERING INFORMATION
製品名
包装
コード番号
価格
GSTrap
1 ml×2
1 ml×5
5 ml×1
25 ml
500 units
17-5130-02
17-5130-01
17-5131-01
17-5132-01
27-0846-01
¥16,000
¥34,000
¥31,000
¥75,000
¥7,000
Glutathione Sepharose 4FF
Thrombin protease
Life Science News 4, 1999 Amersham Pharmacia Biotech
16
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