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レンズシフト機能付きフロントプロジェクタ(PDF:38.9KB)
特集論文 レンズシフト機能付きフロントプロジェクタ 小島邦子* 木田 博** 掘 秀彦** Lens−Shiftable Front Projector Kuniko Kojima, Hiroshi Kida, Hidehiko Hori 要 旨 レンズシフト機能付きDLP(注1)方式のフロントプロジェ して照明光学系も移動するか,非常に大きな開口径の投写 クタを,プリズムを用いないノンテレセントリック方式で レンズで構成する必要があるため,実現は難しいと考えら 開発し,“XD−1000/2000” として製品化した。 れていた。 レンズシフト機能とは,主に講堂・ホール用のインスト 今回開発した新光学エンジンは,照明光学系を移動する レーションモデルに搭載されているもので,プロジェクタ ことなくノンテレセントリック方式でレンズシフト機能を の本体を動かすことなく電動で画面位置を縦横に調整でき 実現するために,投写レンズのFナンバーを照明光学系の る機能である。 Fナンバーよりも小さく構成した。さらに,投写レンズの これまで,DLP方式のプロジェクタにおけるレンズシ 性能とレンズ口径/コストを考慮して,投写レンズのFナ フト機能の実現は,プリズムを用いたテレセントリック方 ンバーを最適化している。また,投写レンズの入射側に照 式の構成が一般的であった。しかし,プリズムを用いると, 明光学系のFナンバー相当の固定アパーチャを配置してい プリズムの界面での反射により明るさが低下するとともに, る。これにより,明るくコントラストの良い光学系をコン 反射した光が迷光となりコントラストも低下するという問 パクトな構成で実現することができた。 題があった。また,ノンテレセントリック方式でレンズシ (注1) DLPは,Texas Instrument社の登録商標である。 フト機能を実現しようとすると,投写レンズの移動に対応 レンズシフト機能付き フロントプロジェクタ ノンテレセントリック方式 固定アパーチャ 投写レンズ 投写光軸 Full Offset時 DMD DMD光軸 照明光学系 電動で投写レンズを移動 投写位置が移動 On−Axis時 レンズシフト機能 DMD&投写光軸 DMD:Digital Micromirror Device レンズシフト機能付きフロントプロジェクタ 新光学エンジンは,レンズシフト時に照明光学系を移動することなく,ノンテレセントリック方式でレンズシフト機能を実現している。また, 投写レンズのFナンバーを照明光学系のFナンバーよりも小さく構成し,かつ投写レンズの入射側に固定アパーチャを配置しているため,明る くコントラストの良い光学系をコンパクトな構成で実現することを可能にしている。 * 先端技術総合研究所 **京都製作所 37 (521)