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県内法人企業の人員過不足に関する調査結果[PDF:55KB]
平成28年8月1日 No.16−177 株式会社 いよぎん地域経済研究センター ―県内企業の約4割で人員が不足、サービス・物流分野は深刻― 株式会社いよぎん地域経済研究センター(略称 IRC、社長 重松 栄治)では、こ のたび標記の調査結果を取りまとめましたので、お知らせします。なお、本調査は 2016 年 8月1日発行の「IRC Monthly」2016 年8月号に掲載しています。 記 【調査要旨】 1. 愛媛県内に事業所をおく法人を対象にアンケートを実施した結果、現在の人員について 「不足・やや不足」と回答した企業は 43.4%であった。特に、 「旅館・ホテル業」や「運 輸業(陸運)」では「不足・やや不足」と回答した企業の割合が7割を超えており、不 足感が際立っていた。 2. 雇用形態別にみると、正社員でより不足感が強く、人員が不足している理由として、中 途・新卒ともに採用が難航していることが挙げられた。 3. 今後3年程度の人員についても、「不足・やや不足」と回答した企業は 51.8%と半数を 超え、一段と人員不足が深刻化することが憂慮される結果となった。 4. 今年度(2016 年4月入社) の新卒採用について、採用計画を達成した企業は全体で 52.0% であった。計画未達となった理由を尋ねたところ、 「応募者が少なかった」 「応募がなか った」との回答が多かった。 5. さまざまな業種で人手不足が深刻化しているが、特にサービス・物流分野で深刻な状況 に陥っていることが分かった。今後、働き手の確保が一段と困難になるなか、女性や高 齢者の活躍推進や、IoT などの先進テクノロジーを活用した生産性向上など、人口減少 時代を見据えた取り組みが急務である。 以 私たちはチャレンジします。みなさまの笑顔のために。 株式会社 伊予銀行 上 NEWS RELEASE 愛媛県松山市南堀端町 1 番地 〒790-8514 TEL(089) 941-1141 はじめに また、 「不足・やや不足」と回答した企業の割合 様々な業種で人手不足が深刻化している。労働需 は、製造業で 36.4%、非製造業で 47.7%となり、非 給がひっ迫し、求職者にとっては雇用環境が改善す 製造業のほうが人員不足を感じている企業の割合が る一方、企業にとっては人手不足が経営上の大きな 高い。特に、 「旅館・ホテル業」や「運輸業(陸運) 」 足かせとなっている。そこで、県内企業の人員の過 では、 「不足・やや不足」と回答した企業の割合が7 不足状況を把握するため、アンケートを行った。 割を超えており、不足感が際立っていた。サービス 分野のように、機械化などで省力化を進めることが 調査概要 対 象 調査方法 調査時期 回答状況 難しい業種ほど、人員の不足感が強かった。 愛媛県内に事業所をおく法人 830 先 郵送によるアンケート方式 2016 年 5 月 有効回答数 422 先 (有効回答率50.8%) ∼正社員でより不足感が強い∼ 雇用形態別に見ると、 「不足・やや不足」と回答し た割合は、正社員で 40.5%、非正社員で 28.0%とな った(図表−2) 。正社員では、 「運輸業(陸運) 」や 「旅館・ホテル業」で「不足・やや不足」と回答し 1.現在の人員の過不足について た企業が7割程度あった。非正社員でも、 「旅館・ホ ∼約4割の企業で人員が不足∼ テル業」や「運輸業(陸運) 」のほか、 「食料品製造 現在の人員の過不足について尋ねたところ、 「不 業」などで特に不足感が強かった。 足」および「やや不足」と回答した企業は、43.4% であった(図表−1) 。当社が2年前に実施した同様 1 のアンケート (2014 調査)では、 「不足・やや不足」 と回答した企業は 29.9%であったため、2年前と比 図表−2.雇用形態別の人員の過不足状況 0.0 正社員 8.3 (n=422) 51.2 35.5 5.0 べ人員の不足感がさらに強まっていると言える。 非正社員 5.9 (n=354) 65.8 23.4 4.5 図表−1.現在の人員の過不足 0.5 2014 調査 0.3 全産業 11.6 (n=414) 全産業 8.1 (n=422) 2016 調査 58.0 27.5 48.3 2.4 36.7 適正 やや不足 100 不足 (%) ∼中途、新卒ともに採用が難航∼ 0.6 非製造業 7.7 (n=260) 過剰 やや過剰 50 6.6 0.2 製造業 8.6 (n=162) 0.0 過剰 0 54.3 4.3 現在人員が不足している(不足・やや不足)と回 答した企業に対し、その理由について尋ねた(図表 44.6 0 やや過剰 32.1 39.6 50 適正 やや不足 8.1 100 不足 −3) 。 「中途採用が困難」 (55.2%)が最も多く、次 いで「新卒採用が困難」 (44.3%) 、 「パート・アルバ (%) イトの採用が困難」 (33.3%)となり、採用難の現状 注:小数点以下第2位を四捨五入しているため、 合計が100% にならない場 合がある(以下同様) を物語る結果となった。 1 IRC Monthly2014 年8 月号TOPICS「県内企業の約3割で人員が不足、今後さらに 深刻化する見通し」 -2- 図表−5.採用計画の達成状況 図表−3.人員が不足している理由 【複数回答】 全産業 (n=329) 55.2 中途採用が困難 44.3 新卒採用が困難 パート・アルバイト の採用が困難 製造業 (n=132) 33.3 転職、退職者の増加 18.6 仕事が増えたから 18.0 52.0 48.0 59.8 非製造業 (n=197) 46.7 53.3 0 15.3 定年退職者の増加 40.2 50 達成 100 未達 (%) 13.1 事業を拡大したから 6.0 その他 (n=183) 0 20 60 (%) 40 また、計画未達の企業に対し、未達となった理由 を尋ねた(図表−6)。「応募者が少なかった」 (43.7%)が最も多く、次いで「応募がなかった」 ∼人員不足はさらに深刻化する見通し∼ 今後3年程度の人員の過不足について尋ねたと (30.4%) 、 「求める人材がいなかった」 (27.8%)と ころ、 「不足・やや不足」と回答した企業の割合は、 なった。取材でも、 「大手求人情報サイトに登録した 全体の 51.8%となった(図表−4) 。現在の人員が が、学生からの応募がなかった」 、 「大手企業が新卒 「不足・やや不足」と回答した企業の割合 43.4%と 採用を強化しており、地元の中小企業に学生の目が 比較すると、8.4 ポイント不足感が強まる見通しで 向いていない」といった声が聞かれるなど、新卒採 あり、一段と深刻化することが憂慮される。 用に苦戦した様子がうかがえる。 図表−4.現在および今後3年程度の人員の過不足 図表−6.採用計画が未達となった理由 【複数回答】 (過剰) 0.2 現在(全産業) (n=422) 今後3年程度 (全産業) (n=417) 応募者が少なかった 8.1 48.3 36.7 6.6 43.7 応募がなかった 30.4 求める人材がいなかった 3.6 3.8 (過剰) 0.0 0 分からない 過剰 40.8 やや過剰 43.4 50 適正 やや不足 8.4 100 不足 (%) 27.8 内定辞退者が多かった 18.4 その他 (n=158) 3.2 0 20 40 60 (%) おわりに 2.新卒採用(2016 年4月入社)の状況 今回のアンケート結果で、県内企業の約4割は人 ∼計画達成企業は約5割∼ 員が不足しており、なかでも、サービス・物流分野 今年度(2016 年4月入社)の新卒採用の状況につ が深刻な状況になっていることが分かった。 今後も、 いて尋ねた。採用計画を達成した企業は 52.0%とな 労働力人口減少が見込まれており、働き手の確保は った(図表−5) 。部門別では、製造業は 59.8%、 一段と困難になるものと想定される。女性や高齢者 非製造業は 46.7%となった。なかでも、人員不足が の活躍推進や、IoT などの先進テクノロジーを活用 深刻な「旅館・ホテル業」では達成率が2割を下回 した生産性向上など、人口減少時代を見据えた取り っており、建設業では4割程度にとどまった。 組みが急務である。 (菊地 麻紀) -3-