Comments
Description
Transcript
資料集(写真等は割愛)
08.8.19 肥満の心理学 ヒトはなぜ食べすぎるのか 生涯学習研修会 2008, 8, 23 (社)広島県栄養士会 (広島:広島県健康福祉センター8F 大研修室) 講師 今田純雄(広島修道大学) しかし, 食べたい! おなかが一杯 資料集(写真等は割愛) July, 2008 Berlinにて おなかが一杯 しかし, 食べたい! 空腹感 (hunger) 食欲 (appetite) 身体 おなかが すいている 空腹感 (hunger) しかし, 食べたいも のがない! 心理 食行動 の開始 食欲 (appetite) The Biology of Human Starvation(1951) 食行動 の開始 1 08.8.19 しかし,現代は。。。 空腹感 (hunger) 食欲 (appetite) 食欲 (appetite) 空腹感 (hunger) 食行動 の開始 食行動 の開始 同様に,現代は。。。 膨満感 (fullness) 満足感 満腹感 (satisfaction) 満足感 膨満感(fullness) 満腹感(satiety) (satisfaction) (satiety) 身体 心理 食行動 の停止 身体 食行動 の停止 心理 (こころ) 現代社会: 食行動は心的影響を受けやすい 現代社会は,誘惑(心的トリガー, 誘因。。。罠)で一杯 身体 心理 (こころ) 空腹でもないのに食べる 満腹なのに食べ終わらない 食べ過ぎ!体重過多! 2 08.8.19 なぜ,このようなことになったのか。 図1-2 過去半世紀にわたる性別,年代別の体型変化(出典:肥満研究,2006, 12, p.2) 1990年代半ばの実態 *問題があり,実際にはもっとひど いものと推測される。 1992年:アメリカ農務省 *最適な食生活パターンを示すことに完全 に成功しているわけではない。 Marion Nestle: マリオン・ネッスル FOOD INDUSTRY(食品産業) 労働力・土地・金融 サービス提供会社 食用作物生産者 食用動物生産者 年間1兆ドル以上 GNPの13% 労働力の17% 輸送・保管・流通・輸出・ 処理・販売会社 肥料・農薬・種子・飼料 製造会社 設備・給仕道具供給者 農業機械・器具製造会社 食品サービス部門 EAT MORE (もっと食べろ) 供給過剰 3800 Kcalは多すぎる! (推定破棄熱量1100 Kcal) (屋台・自動販売機・レストラン・ バー・ファーストフード店・学校・ 病院・刑務所・職場) 消費者 食品飲料への直接支出(年) 8000億ドル アルコール飲料 900億ドル 小売食品企業 54% 食品サービス 46% 図2-5 供給熱量と摂取熱量の年次変化(出典:供給熱量は農林水産省「食 料需給表」,摂取熱量は厚生労働省(厚生省)「国民健康・栄養調査」 (平成14年以前は「国民栄養調査」)) 3 08.8.19 厚生労働省 食の現状を考える 栄養学・食品学 食の現状は。。。 健康日本21 食事バランスガイド 食育 特定検診・特定保健指導 ・食欲を刺激し続ける環境 ・簡便さを最優先 Eat less! Eat safely! Eat cleverly! 栄養機能性食品 トクホ ー 食べる行為への一極集中 ・巧妙な戦略 ー 食べ過ぎを食べることで解消? 食品産業 新商品の開発 食べろ! 膨大な広告・宣伝 食べろ! 調査・マーケティング 食べろ! ・混乱 どうすればい いのだろう? ー 人は都合のいい情報を採用する ー ブランド信仰 食品偽装 家庭の食卓変化 家庭の食卓変化 ・食環境:コンビニ利用可能性↑(自宅より10分以内) 団塊ジュニア世代の食卓と子育て :ハウス食品お客様生活研究センターとの共同研究 :2229サンプル(一次調査) → 456サンプル(二次調査) コンビニ 97.7% スーパー 95.4% ドラッグストアー 81.0% 100円ショップ 70.2% ファーストフード 66.0% ・利用頻度(週に1-2/3-4/5回以上) コンビニ 42.3%:年代差なし ドラッグストアー 34.4%:年代差なし 100円ショップ 14.7%(13.5-17.2%):年代差なし ファーストフード 8.5%(3.9-10.6%):年代差なし スーパー 52.0%(46.9-64.5%):(週に3-4/5回以上)年代差あり 夕食準備とセッティング 家庭の食卓変化 20% 40歳代前半 40-44 30歳代後半 お菓子やスナック菓子が食事の変わりに なることがある(12.8%) 35-39 30歳代前半 30-34 揚げ物は家では作らない 13.7%(9.4-19.2%): 40-44歳↑ ご飯以外は家で調理しない 購入した総菜はそのまま出す 2.8%(1.9-4.8%):30-34歳↑ 49.7%(44.8-60.6%): 40-44歳↑ 20歳代後半 25-29 0 30歳代後半 味噌汁はインスタント・だし入り 30歳代前半 18.2%(10.6-23.5%):40-44歳↓ 62.5%(58.2-64.8%) 10 15 20 25 30 35 40 45 50 40-44 調味料は食卓で自由に使う 53.9%(52.5-60.6%: 40-44歳↑ 食卓ではテレビがついている 5 40歳代前半 昼食は,コンビニ,ファースト フードなどで簡単にすます (15.6%) 35-39 30-34 20歳代後半 25-29 夕食は,大皿盛りで自由に 38.7%(30.6-50.6%): 25-29歳↑ 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 40歳代前半 おなかがいっぱいになれば,見か けやおいしさが多少欠けていても 満足できる(22.5%) 40-44 誰が,何を,どれだけ食べた かがわかりにくい ↓ 摂取量・好き嫌い 自由 (楽しい食卓?) 30歳代後半 35-39 30歳代前半 30-34 20歳代後半 25-29 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 4 08.8.19 なぜ食べすぎるのか 調査のまとめ(進行中) 家庭の食卓変化 食の外部依存の常態化: 食卓の外部依存 から 台所の外部依存 へ 建て前と本音:食品偽装への態度分析 過食の境界モデル 受容的: 楽してんねんから仕方ないやん。。。 批判的: 許せない!信用できない! 好意的: 一部の問題にすぎない。大丈夫,大丈夫。 (Herman & Polivy, 1984) 現代人の過食(肥満)は, 心理現象である。 環境,社会,文化 生理制御 (嫌悪統制) 生理制御 (嫌悪統制) 心理制御 (食餌性統制) 食べたい 食べたくない 生理制御 (嫌悪統制) 心理制御 (食餌性統制) 生理制御 (嫌悪統制) 外発性摂食 食べたい 食べたくない 食べたい エネルギーの枯渇 エネルギーの超過 食行動の心理統制 エネルギーの枯渇 エネルギーの超過 ダイエット 境界線 ダイエット 境界線 食べたい 空腹感 満腹感 空腹感 食べるな 満腹感 食べるな 食べるな 食行動(快) 不快 不快 食べたい 食行動(快) 情動性摂食 不快 不快 抑制性摂食 (脱抑制) 図2-2 過食の境界モデル(出典:Herman & Polivy, 1984より,一部変更を加え た) 外見(痩身)重視の環境 図2-2 過食の境界モデル(出典:Herman & Polovy, 1984より,一部変更を加えた) なぜ食べすぎるのか 環境,社会,文化 F 摂食抑制性過食 どうすれば,いいのだろうか。 図3-1 飽食社会における水漏れ樽(出典:今田,2005,2007) 5 08.8.19 ボルメトリクス・ ダイエット Louge, A. W. 1986 Barbara Rolls Penn State University Capaldi, 1996 2005 Paul Rozin (University of Pennsylvania) Odgen, 2003 Brian Wansink Conell University 2007 APA, Award for Distinguished Scientific Contributions Conner & Armitage, 2002 2005 2006 2007 心理コントロール 生理制御 (嫌悪統制) 生理制御 (嫌悪統制) 幅をせばめる! 食べたい 満足 エネルギーの枯渇 エネルギーの超過 ボルメトリクス・ ダイエット ダイエット 境界線 食欲 満足感 空腹感 満腹感 Barbara Rolls Penn State University 食欲の喚起さ れにくい環境 作り,習慣つ くり 低カロリーで, 膨満感,満足 感の得られる 食事 2005 6 08.8.19 心理コントロール 生理制御 (嫌悪統制) 生理制御 (嫌悪統制) 幅をせばめる! 食べたい 満足 エネルギーの枯渇 エネルギーの超過 ダイエット 境界線 食欲 満足感 空腹感 満腹感 食欲の喚起さ れにくい環境 作り,習慣つ くり 書籍紹介 低カロリーで, 膨満感,満足 感の得られる 食事 満腹感が得られるまでた べるのではなく,空腹感 (食欲)が満たされた時 点で摂食終了の習慣をつ ける(腹八分)。 「かしこくやせる」方法 (今田, 2007) 最新! 1. 身体を動かそう 2. 食べる量を減らそう 3. 誘惑から遠ざかろう 4. 自分を知ろう 5. おいしく楽しく食べよう 二瓶社(600円) 有斐閣(1800円) 培風館(1900円) 朝倉書店(4300円) 2007 2005 1997 1996 6. 安定した生活リズムをもとう 7. ケ(単調でありふれた)の食卓の復活 7 08.8.19 「かしこくやせる」方法 (今田, 2007) 1. 身体を動かそう 2. 食べる量を減らそう 食欲,満足感を いかに上手にコ ントロールする か。 3. 誘惑から遠ざかろう 4. 自分を知ろう 5. おいしく楽しく食べよう 6. 安定した生活リズムをもとう 7. ケ(単調でありふれた)の食卓の復活 おわります 一皿の量が多いと 一皿の量を減らす 種類が多いと 種類を少なくする 食べた量がわからないと エネルギー密度が高いと 食べた量がわかるようにする 食べる量が増える エネルギー密度の低いもの 楽に食べられると 楽に食べられないようにする 軽度なストレスがかかると のんびりとした気分で 得をしたと思うと 得をしようとはしない などなど。。。 などなど。。。 生理的調整はほとんど機能しない。 食べる量が減る! 心理的調整を機能させる。 人は食べすぎて,過体重・肥満化していく。 8