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技術開発・普及に関する海外動向

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技術開発・普及に関する海外動向
参考資料5 : 技術開発・普及に関する海外動向
5-1
EU における温暖化対策関連技術開発・普及スキームに関する同区
(1) EU における温暖化対策技術開発スキームの統合化の背景
EU では、2000 年に提唱した欧州研究領域(ERA; European Research Area)において、
加盟国の研究活動の総合的な統一化を掲げており、その一環として従来から実施されてい
る技術開発・導入スキームの見直し強化やスキーム間の連携に取り組んでいる。
欧州委員会は、2005 年 4 月に公表した「欧州研究領域の構築-成長のための「知」
(COM(2005)118)」において、ERA の構築の観点から第 7 次研究開発枠組計画(FP7)
の 取 組 方 針 を 提 唱 し て お り 、 そ の 中 で 欧 州 技 術 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム ( ETP; European
Technology Platform)による戦略的な技術開発の展開や、FP7 と他の市場化プログラム
との連携による競争力強化を掲げている。
欧州の技術開発における基礎的研究、実用化研究、市場化支援の各段階に応じた技術開
発スキームとしては、COST(European Cooperation in Science and Technology)、FP、
EUREKA が挙げられる。各スキームと ETP の関係を付図5-1 に、各スキームの比較を付
表5-1 に示す。FP が欧州委員会によるトップダウン的な技術開発支援を行うのに対して、
COST は参加国、EUREKA は参加国や事業者によるボトムアップ的な運営が実施されて
いる点に特徴がある。なお、COST とは、主に基礎研究分野における欧州各国政府間の共
同研究のための枠組みであり、研究分野の設定や資金の拠出については、参加国によるボ
トムアップ形式で運用されている。
資-275
出所:第18 回産業構造審議会 産業技術分科会研究開発小委員会資料(2007 年 1 月)
付図5-1
EU における技術開発スキームと欧州技術プラットフォーム(ETP)の関係
付表5-1 EU における技術開発スキームの比較
名称
発足年
加盟国
参加者
主な目的
特徴・傾向
COST
1971 年
35 加盟国(これら以外の国
からも研究機関単位で参加
可能)
参加国の科学技術各分野
での研究協力
・基礎研究中心
・参加国政府が提案(ボトム
アップ)型
FP(研究開発枠組計画)
1984 年
EU 加盟国及び候補国を主
とする
EUREKA
1985 年
37 加盟国と欧州委員会
技術分野の枠を超えた総合
的研究開発政策の実施
・総合的、実用化研究
・欧州委員会が計画し、プロ
ジェクトを公募(トップダウン)
型
国際競争力強化を目指す
欧州企業の技術開発協力
・市場志向の研究
・参加国の企業等が随時提
案(ボトムアップ型)
基礎
欧州委員
会の立場
活動の
実施条件
活動資金
実用化・応用
事務局を担当
主体
一員
5 カ国以上の参加
原則として 3 カ国以上からの
3 参加者
テーマごとに約半分を上限
として、欧州委員自ら助成
2 カ国以上からの 2 参加者
(標準プロジェクトの場合)
国からの助成や自己資金を
参加者が持ち寄り
活動参加国が持ち寄り
出所:拡大EU -機構・政策・課題-(国会図書館、2007 年 3 月)
資-276
前述の COM(2005)118 では、欧州委員会による新たな技術市場化スキームとして、従来
からのイノベーション関連プログラムを統合化した競争・イノベーション枠組計画(CIP;
Competitiveness and Innovation Framework Programme)が提唱され、2007 年から運
用が開始されている(付図5-2)。CIP は 3 計画から構成されており、FP7 と同様に 2007
~2013 年を対象期間として、総額 36 億 2,100 万ユーロ(約 4,526 億 2,500 万円)の資金
提供が予定されている(付表5-2)。温暖化対策関連技術は主に欧州インテリジェントエネ
ルギー計画(IEE;Intelligent Energy Europe Programme)の対象となっている。
出所:CRDS 海外科学技術動向報告 2006 年 6 月 23 日版
付図5-2 EU 競争・イノベーション枠組計画(CIP)と第 7 次研究開発枠組計画(FP7)の関係
付表5-2 EU 競争・イノベーション枠組計画(CIP)のサブ計画の概要
計画名称
計画の概要
起業及びイノベーション計画
・中小企業の設立・成長への助成
( EIP ; Entrepreneurship
・ビジネス・イノベーション支援ネットワーク
and
予算額(2007~2013 年)
21 億 6,600 万ユーロ
(約 2,707 億 5,000 万円)
・エコ・イノベーション活動
Innovation Programme)
・起業・イノベーション文化と計画の策定
ICT 政 策 支 援 プ ロ グ ラ ム (ICT
・欧州共通の情報基盤の構築
PSP;Information Communication
・ICT の広範な導入と投資によるイノベー
Technologies
ションの促進
Policy
Support
Programme)
・包括的な情報社会の構築
欧州インテリジェントエネルギー
・エネルギー効率と資源の適正な利用
計 画 ( IEE ; Intelligent Energy
・新規の再生可能資源
Europe Programme)
・輸送に関するエネルギー
出所:CRDS 海外科学技術動向報告 2006 年 6 月 23 日版
資-277
7 億 2,800 万ユーロ
(約 910 億万円)
7 億 2,700 万ユーロ
(約 908 億 7,500 万円)
(2) 第7次欧州研究開発枠組計画(FP7)における技術プラットフォームの動向
① 欧州技術プラットフォーム(European Biofuels Technology Platform)の概要
近年の動向として、EU では EU レベルの研究開発支援制度である第 7 次欧州フレーム
ワーク計画(FP7)において、欧州テクノロジープラットフォーム(ETP;European
Technology Platform)と呼ばれる民間主導の研究開発組合的な組織が、技術開発計画の
策定やプロジェクトの実施において重要な役割を果たすようになっている。
ETP は特定の技術分野を対象として、EU レベルで企業や行政機関(国および地方)、
研究団体、大学、NPO、金融機関が参画する自主的な組織であり、技術開発から市場普及
までの戦略を策定して FP7策定への検討材料を提供するとともに、FP7 によって実施さ
れる各種の公募型プロジェクトの実施に際して、実質的な受け皿として機能している。
2007 年 12 月時点で 33 分野の ETP が存在している(付表5-3)。
資-278
付表5-3 EU におけるテクノロジープラットフォーム(ETP)の一覧(2007 年 12 月現在)
ETP名称
略称
対象分野
Advanced Engineering Materials and Technologies
EuMaT
工業材料及び技術
Advisory Council for Aeronautics Research in Europe
ACARE
航空輸送
Embedded Computing Systems
ARTEMIS
組込型コンピュータ
European Biofuels Technology Platform
Biofuels
バイオ燃料
European Construction Technology Platform
ECTP
建設
European Nanoelectronics Initiative Advisory Council
ENIAC
ナノエレクトロニクス
European Rail Research Advisory Council
ERRAC
鉄道輸送
European Road Transport Research Advisory Council
ERTRAC
道路輸送
European Space Technology Platform
ESTP
宇宙技術
European Steel Technology Platform
ESTEP
製鉄
European Technology Platform for the Electricity Networks of
the Future
SmartGrids
電力スマートグリッド
European Technology Platform for Wind Energy
TPWind
風力発電
European Technology Platform on Smart Systems Integration
EPoSS
スマートシステム
Food for Life
Food
食品
Forest based sector Technology Platform
Forestry (FTP)
森林
Future Manufacturing Technologies
MANUFUTURE
製造技術
Future Textiles and Clothing
FTC
繊維・衣類
Global Animal Health
GAH
動物の健康
Hydrogen and Fuel Cell Platform
HFP
水素・燃料電池
Industrial Safety ETP
IndustrialSafety
産業分野の安全確保
Innovative Medicines Initiative
IMI
革新的医薬
Integral Satcom Initiative
ISI
衛星通信
Mobile and Wireless Communications
eMobility
モバイル・ワイヤレス通信
Nanotechnologies for Medical Applications
NanoMedicine
医学用ナノテク
Networked and Electronic Media
NEM
NW化・電子化メディア
Networked European Software and Services Initiative
NESSI
NW化ソフトウェア・サービス
Photonics21
Photonics
フォトニクス
Photovoltaics
Photovoltaics
太陽電池
Plants for the Future
Plants
植物
Robotics
EUROP
ロボット工学
Sustainable Chemistry
SusChem
持続可能な化学
Water Supply and Sanitation Technology Platform
WSSTP
給水及び公衆衛生
Waterborne ETP
Waterborne
海上輸送
Zero Emission Fossil Fuel Power Plants
ZEP
ゼロエミッション化石燃料発電所
出所:E VALUATION
OF THE
E UROPEAN T ECHNOLOGY P LATFORMS (ETP S )(欧州委員会、2008 年 8 月)
資-279
ETP の目的は概ね次のように整理される 47。
・ ヨーロッパの産業競争力を高める。
・ 戦略的に重要な分野におけるヨーロッパの共通の研究開発目標を定め、効果的で整合
性のある研究開発に取り組む。
・ 人的、及び財政的な研究開発資源の結集を図る。
・ 研究開発成果の速やかな商業化を図る。
・ 透明性や開放性の確保を重視し、特定の団体・産業の利益に偏らない研究開発を進め
る。
・ 技術革新に対し障害となる様々な規制を明らかにし、政策決定者と協力しつつ、それ
らを克服する。
それぞれの ETP での活動は、通常次のような手順で行われる。現在、大半のプラット
フォームが、3番目の実施段階に入りつつあるところである 48。
・ 産業界主導で関係者が集まり、共通の技術的なビジョンを作成する。
・ 戦略的研究行動計画(SRA: Strategic Research Agenda)を作成する。その計画の
中で中期から長期の技術目標やスケジュール他を明らかにする。
・ 人的および財政的な資源を結集し、SRA を実施する。
FP7 では特定の分野における SRA を実行するための官民パートナーシップとして、一
定の要件を満たす分野の ETP を対象として EU 内の研究活動を長期間に亘って効率的に
実施するためのジョイント・テクノロジー・イニシアティブ(JTI;Joint Technology
Initiative)を採用し、優先的に支援を行っている。
ETP の 具 体 例 と し て 、 バ イ オ 燃 料 を 対 象 と す る バ イ オ 燃 料 技 術 プ ラ ッ ト フ ォ ー ム
(European Biofuels Technology Platform、以下、
「バイオ燃料 TP」と略す)及び太陽熱
技術プラットフォーム(ESTTP;European Solar Thermal Technology Platform)の概
要を以下に示す。
② バイオ燃料技術プラットフォーム(European Biofuels Technology Platform)の概要
○ テクノロジープラットフォームの体制
バイオ燃料 TP は 2006 年 8 月に発足した、150 名以上の関係者が参画する EU レベル
での研究開発推進組織であり、国際的な価格競争力を有するバイオ燃料の開発への貢献、
健全なバイオ燃料産業の創設、研究開発実証(R&D&D)の効率的な推進によるバイオ燃
料の導入展開の加速を主な目的としている。
バイオ燃料 TP の体制は、スウェーデン及びドイツのエネルギー関係機関を事務局とす
る運営委員会のもとに5つの分野別 WG から構成されており、EU 加盟各国の研究開発プ
ログラムとの連携を図るために各国政府関係者等で構成されるミラーグループを設置して
いる(付図5-3)。
47
48
NEDO海外レポート NO.997(2007 年 3 月)
NEDO海外レポート NO.997(2007 年 3 月)
資-280
運営委員会
ミラー
グループ
WG1
バイオマスの
利用可能性・供給
事務局
(STEM , FNR, CPL)
WG2
変換プロセス
WG3
製品流通・利用
WG4 持続可能性評価
WG5 市場・規制
関係者総会
出所:バイオ燃料技術プラットフォームホームページ
付図5-3
バイオ燃料技術プラットフォームの体制
○ SRA 及び SDD の概要 49
バイオ燃料 TP は、2008 年 1 月に「戦略的研究行動計画(SRA;Strategy Research
Agenda)」及び「戦略的展開に関する報告書(SDD;Strategy Deployment Document)」
を公表した。SRA は、EU の研究開発支援制度である第 7 次フレームワーク計画((FP7
(2007~2017 年))において、当該分野における中長期的な研究開発の優先テーマと技術
目標、スケジュールを示すものとして、関係者によって構成されるプラットフォームによ
って作成される行動計画である。2008 年 1 月に公表されたバイオ燃料 TP の SRA は、2030
年に輸送用燃料に対する低コストかつ持続可能性のあるバイオ燃料の導入比率を 25%以
上とする目標の達成に向けて、研究開発実証(R&D&D;Research, Development and
Demonstration)の優先テーマの選定を目的としている。
バイオ燃料 TP の SRA では、付図5-3 に示した5つの WG 分野における R&D&D の優
先テーマとロードマップを定めている(付表5-4~付表5-7)。
SDD では、規制や経済的インセンティブ、関連施策のあり方について提言を行っており、
バイオ燃料導入目標達成に向けた技術面以外の手法の明確化を目的としている。
49
科学技術動向月報 N O .81(科学技術政策研究所、2007 年 12 月)
資-281
付表5-4 バイオマス資源に関する研究開発実証のロードマップ
短期
中期
長期
2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 2026 2028 2030
ロードマップ
○資源評価
資源評価
地域予測のための総合的アプローチの開発
供給システムの認証及びベンチマーク手法
①
1 事前処理等を含む供給システム全体での原料量・コスト・価格等
2 資源マップのアップデート
3 全国レベルの価格供給曲線
②
③
○原料
原料生産
変換プロセス側要件に適した生産・管理方法の調整
革新的な製造システム
変換プロセス側の要件に適した作物育種
新たなバイオマス資源としての単細胞生物及び養殖
①
②
④
⑤
⑥
③
⑦
⑧
1
2
3
4
5
6
7
8
持続性のある土地利用による収率の改善及びマネージメントの実施
現在の製造システムの改善
4Fアグロフォレストリー・システムの革新的な作付体系
EU内での植物・作物のイディオタイプの定義付け
4を基にエネルギー作物のための土地利用戦略への取り組み
エネルギー作物管理技術
植物育種による改善された特徴を持つ新しい植物
革新的な原料コンセプト
○バイオマスの取扱
収穫・収集・貯蔵
新規/改善型収穫・流通統合システム
湿潤/乾燥バイオマスの品質管理ステムの開発
①
②
③
1 一部のシステム及びスケール(scales)の改善された流通
2 多品種製品のための統合した収穫及び取扱
3 改善された標準スキーム(RDF含)
○システム解析
システム解析
システムのポートフォリオの実証
バイオエネルギーと環境管理間の相乗効果の評価
市場のバイオマス供給システム
①
②
③
④
1
2
3
4
地域に応じて最適化されたバイオマス供給チェーン
地域に応じて最適化されたバイオマス供給チェーン
バイオマス原料の需供及び政策の影響
一般的な市場状況下でのバイオマス入手可能性及び供給
付表5-5 バイオエタノール変換プロセスに関する研究開発実証のロードマップ
ロードマップ
短期
中期
長期
2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 2026 2028 2030
○糖質・でんぷんからのエタノール製造
酵素や発酵生物の改善
穀物分別
DDGS改善
DDGS繊維使用
プロセス最適化
炭素隔離技術
○リグノセルロースからのエタノール製造
リグノセルロース事前処理
リグノセルロース分別
リグノセルロース加水分解
C5発酵からエタノール
リグニンの価格安定
過程最適化
炭素隔離技術
○熱化学
バイオマス事前処理
ガス化や合成ガス洗浄
変換・合成
プロセス最適化
代替プロセス設計
代替バイオ燃料製品
①
1
2
3
4
5
6
②
③
④
⑤
⑥
でんぷんからエタノールの最大収率達成
乾物穀粒分別
DDGS残留物の完全消化によるエタノール化の実用化
穀粒繊維からエタノールの変換技術実施
エタノールプラントにおけるエネルギーバランスの最適化
過程の炭素隔離最適化
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
①
②
③
④
⑤
⑥
資-282
1
2
3
4
5
6
1 リグノセスロース事前処理の開発・最適化
特定リグノセルロースの酵素カクテルの特定
2
リグノセスロース酵素システムの開発・最適化
3 リグノセルソース発酵生物の開発・最適化
4 リグノセルソース酵素システムの開発・最適化
5 変換技術開発及びリグニン由来物質の付加価値化
6 プロセスからの炭素隔離最大化
次世代燃料のためのガス化システム事前処理技術
バイオマス熱化学工程開発済み
ガスアップグレーディング及び合成燃料化技術の開発
プロセス改善
代替気化システム開発、革新的なシステム統合化
他の可能性のあるバイオ燃料の工程開発済み
付表5-6 バイオ燃料の最終利用に関する研究開発実証のロードマップ
ロードマップ
EC燃料品質基準
短期
中期
長期
2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022 2024 2026 2028 2030
EURO V
EURO VI
EURO VII
○燃料流通システム
高濃度流通システムの適合性
SI・CIエンジン用燃料の研究開発
①
○自動車での最終用途
エンジンや燃料の適合性に関する研究開発
次世代エンジンの要件に関する研究開発
次世代エンジンにおけるバイオ燃料の
ポテンシャルの検証
次世代エンジンにおける新型バイオ燃料の検証
① ディーゼル及びガソリン双方のバイオ燃料混合流通システムの適合性
②
③
④
⑤
②次世代燃料の要件の定義
③次世代燃料必要条件の定義
④2020年までにバイオ燃料10%目標達成のためのバイオ燃料・混合燃料の確定
⑤2030年バイオ燃料25%目標達成のためのバイオ燃料・混合の確定
付表5-7 持続可能性に関する研究開発実証のロードマップ
ロードマップ
2008
○指標及び手法の更なる開発
サプライチェーンの持続性指標の開発
柔軟かつ透明性のあるWTW手法の改善
バイオ燃料及び化石燃料チェーンに関する
排出量のデータの改善
社会問題に関する指標や手法の開発
CEECにおける追加のワーキング・グループの設立
短期
2010
2012
②
②
③
③
2014
中期
2016
2018
2020
2022
①
②
③
④
○アセスメント及びモニタリング
既存及び新手法によるバイオ燃料評価
バイオ燃料市場開発等のモニタリング
バイオ燃料の様々な原料及び最終消費シナリオの評価
○持続性可能性基準に基づくチェーン統合の改善
持続性可能性基準に基づくチェーン統合の改善
チェーン持続性及びソリューションに影響する
主要要因の識別
⑤
⑥
⑨
⑦
⑨
⑩
⑧
⑨
①
⑫
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑪
⑫
⑨ etc
①
⑫
持続可能性指標群の構築
新たな見識を含むWTW方法の定期的な更新
排出量データの定期的な更新
幅広く容認されている指標の有用性
ワーキング・グループの設立
殆どの加盟国でのワーキング・グループの設立
改善手法による評価の統合化
各種評価指標を用いた詳細評価
市場開発の定期的なモニタリング報告
評価報告
チェーン統合の進行状況を示す定期的なインベントリ
主要要因やソリューションの定期的なインベントリ
資-283
長期
2024 2026
2028
2030
③ 太陽熱技術プラットフォーム(European Solar Thermal Technology Platform)の概要
○ テクノロジープラットフォームの体制
ESTTP は 2006 年 5 月に発足した、200 名以上の関係者が参画する EU レベルでの研究
開発推進組織であり、将来における持続可能な再生可能エネルギー分野での太陽熱技術の
ポテンシャルへの認識の強化、太陽熱分野における研究開発活動の拡大、太陽熱技術の開
発の加速、次世代太陽熱技術の普及拡大を主な目的としている。
ESTTP の体制は、事業者団体及びコンサルタント企業を事務局とする運営委員会のも
とに3つの分野別グループから構成されており、EU 加盟各国の研究開発プログラムとの
連携を図るために各国のミラーグループを設置している(付図5-4)。
ESTTP事務局
運営委員会
(構成員17名)
・ESTIF(欧州太陽熱工業連盟)
・EUREC(欧州再生可能エネルギーセンター協議会 )
・PSE(独コンサルタント企業)
フォーカスグループ1
建築物用太陽熱システ
ム(冷暖房)
+ワーキンググループ
フォーカスグループ2
フォーカスグループ3
産業設備用太陽熱シス
テム
(冷凍システムを含む)
太陽熱システムの技術
開発・戦略・シナリオ
(市場及び政策)
+ワーキンググループ
+ワーキンググループ
各国の技術プ
ラットフォーム
ESTTP関係者総会
出所:太陽熱技術プラットフォーム資料
付図5-4
太陽熱技術プラットフォーム(ESTTP)の体制
○ SRA の概要
ESTTP では、2008 年 5 月に SRA をとりまとめて公表している。2030 年のビジョンと
しては、熱需要の 50%を太陽熱で賄うものとし、その実現に向けて新築アクティブソー
ラー建築物、既築建物のアクティブソーラー改修技術、250℃まで対応可能な産業用設備、
地域冷暖房用システムの開発が必要としている。
SRA では、ビジョン達成に向けて短期(2008~2012 年)、中期(2012~2020 年)、長
期(2020~2030 年)のロードマップが示されている。ロードマップの一部を付表5-8 及
び付表5-9 に示す。
資-284
付表5-8 低温用太陽熱集熱システムのロードマップ
工業生産技術
短期(2008~2012 年)
中期(2012~2020 年)
長期(2020~2030 年)
・ 集熱器と建築部材の結
・ 建 築 部 材 と しての自 動
・ 建 築 規 格 と しての全 面
合化
応用/次世代技術
生産化
・ センサー技術の改良
・ 窓型集熱器用技術
・ 集熱パネルへの着色
・ 太陽熱-発電用集熱器
統合化
・ ファサード用蓄熱機能
付きハイブリッド型太陽
熱-発電用集熱器
・ 加速劣化試験方法
・ 暖冷房用空気集熱器
基礎研究
・ 熱媒
・ ポリマー型集熱器等
・ 真空断熱
・ 集 熱 器 と 蓄 熱 システム
の結合化
・ 機能的コーティング
・ 新素材
・ “見えない”(外見上識
別できない)集熱器の
実用化
・ 切り替え可能なコーティ
ング技術
付表5-9 太陽熱用蓄熱システムのロードマップ
短期(2008~2012 年)
工業生産技術
・ 次世代型水蓄熱システ
ム
・ PCM(潜熱蓄熱体)
中期(2012~2020 年)
・ 吸着システムの改良
・ 次世代蓄熱材料による
初期システム
長期(2020~2030 年)
・ 蓄 熱 システム技 術 のコ
ンパクト化
・ 中低温蓄熱技術の商業
化
・ 中温用蓄熱システムの
コストダウン
・ デザイン及び基準の最
適化
・ 規格の策定
応用/次世代技術
・ 吸着材及びPCMの生
産技術の改良
・ 新たな形状と補助材料
・ 制御用インターフェース
・ 次世代材料及び反応器
生産技術
・ 新たな中温蓄熱用材料
とコンセプトの実証
・ マイクロ反応器用装置
・ 材 料 工 学 に基づく合 成
素材
・ 新たな熱化学システム
・ 太陽熱のみで駆動可能
・ 既存石油燃料システム
な中温用蓄熱技術
を代替する実証用蓄熱
システム
基礎研究
・ コンパクト化のための次
世代材料
・ 反応器技術
・ 熱化学及び数値解析技
術の開発
・ 反応器における物質・
・ マイクロ反応器用装置
・ 材料工学のための数値
解析技術
・ 触媒反応/膜処理技術
・ 次世代型中温蓄熱用素
材
熱移動
資-285
―
(3) 温暖化対策技術分野における戦略的な技術開発への取組状況
① 欧州エネルギー技術開発戦略(SET-Plan)の策定
温暖化対策技術に関連する分野においては、2007 年 11 月に欧州委員会が取りまとめた
「欧州エネルギー技術開発戦略(SET-Plan)COM(2007)723 final」において、2020
年までの目標(エネルギー消費量 20%削減・再生可能エネルギー20%導入・温室効果ガス
(GHG)20%削減)の達成には、技術によるブレイクスルーが必要であり、2020 年目標
の達成に向けた今後 10 年間における EU の主要技術的課題として、以下の7つを挙げて
いる。
・ 第 2 世代バイオ燃料の化石燃料に対する競争力のある代替燃料化、生産段階での持続可
能性への配慮
・ 産業規模での実証を通じた CO2 回収・輸送・貯蔵技術の商業化(全システムの効率化や
最先端研究を含む)
・ 最大級の風力発電所の発電容量の倍増(初期段階では洋上風力発電)
・ 大規模太陽光発電および集光太陽熱発電の商業化の実証
・ 再生可能エネルギー及び分散エネルギー源の大規模統合に対応可能なスマート欧州電
力系統の実現
・ 建物・運輸・産業分野の大規模市場におけるエネルギー変換の効率化、高効率エネルギー
消費機器やシステムの導入(熱電併給や燃料電池等を含む)
・ 核分裂技術の分野で競争力優位の保持(核廃棄物管理の長期的な解決策と一体)
欧州委員会は SET-Plan の検討に際して、戦略の確立のための情報提供を目的とする主
要エネルギー技術の現状及び将来見通しに係る包括的検討として「技術マップ
(SEC(2007)1510)」の整理を行っている。技術マップは SET-Plan の提案を裏付けるデー
タと位置づけられている。技術マップの総括表を付表5-10 に示す。
資-286
付表5-10 欧州エネルギー技術開発戦略(SET-Plan)における技術マップの総括(1/6)
説明
1) 導入分野
2) 現状市場占有率
3) 現状技術水準
潜在性
1) 基礎シナリオ
2) 普及の可能性
3) ブレークスルーの可能性
風力
1) 発電
2) 需要の 3%
容量:50GWe
3) 陸上:商業化
洋上:設置開始
1) 2020 年:120GWe
2030 年:148GWe
2) 2020 年:120~180GWe
2030 年:168~300GWe
3) 商業化に向けた大規模試験
(特に洋上)
太陽光
発電
1) 発電
2) 需要の 0.1%
容量:3.4GWp
3) 小規模:商業化
大規模:開発中
フィルム状電池:
開発中
集光型
太陽熱
1) 発電
2) 需要の 0%
容量:100MW
3) 放物線トラフ:商業
化
タワー式:
商業化
ディッシュ式:
実証中
1) 2020 年:9GWe
2030 年:16GWe
2) 2020 年:65-125GWe
2030 年:300-665GWe
3) ・建物内のフィルム状電池の
統合
・大規模システム用の高集
光装置
1) 2020-2030 年:0GWe
2) 2020 年:1.8GWe(EU27 内)→
55TWhe の輸入で 1.8GWe
2030 年:4.6GWe(EU27 内)
→ 216TWhe の 輸 入 で
4.6GWe
3) 高温化、低コスト蓄熱
大規模化(100MWe 以上)
地中海縦覧グリッド
技術
追加的影響
供給安定化
競争性
CO2 回避
軽減コスト
化石燃料
エネルギー追
(百万 t-C02)
(€/t-CO2)
削減量(Mtoe)
加コスト(%)
(-0.3)-0
0-35
(-5)-0
0-100
(2020 年)
(2020 年)
(2020) 年
(2020 年)
(-2)-0
1-75
(-20)-5
2-250
(2030 年)
(2030 年)
(2030 年)
(2030 年)
5-700
(-10)-5
10~2400
(2010~30
(2010~30 年)
(2010~30
年)
年)
風力使用増加と共にバックアップ等の計算に含まれていない
容量増加も必要。
環境
障壁
ニーズ
・柔 軟性のない電力 系統
インフラ
・大規模試験用施設の不
足
・蓄電装置の未開発
・財政支援の絶対的不足
・社会受容の欠如
・専門家の不足
・電力系統インフラ改善
と系統統合のための適
切な EU 規制
・大機の試験施設/高性
能化に向けた研究開発
・財政支援策の調整
・人材教育
・中小企業によるイノ
ベーション支援
資
-287
30~60
(2020 年)
140~320
(2030 年)
980~2230
(2010~30
年)
240
(2020 年
125
(2030 年)
160
(2010~30 年)
9~20
(2020 年)
42~100
(2030 年)
300~690
(2010~30
年)
3~7
(2020) 年
8-17
(2030 年)
・電力の高コスト
・技術と経済の関連
・建物との一体化
・専門家の不足
・電力系統への接続
・法規制や行政手続
・研究開発
・市場の自由化
・財 政 面 のインセンティ
ブ
・輸出促進の枠組み
5~35
(2020 年)
15~130
(2030 年)
145~1035
(2010~30
年)
15~55
(2020 年)
5~45
(2030 年)
10~50
(2010~30 年)
2~10
(2020 年)
5~40
(2030 年)
45~315
(2010~30
年)
0.2~0.3
(2020 年)
0.3
(2030 年)
・電力の高コスト
・殆どの EU 国による支援
の欠如
・プロジェクト実証の機 会
不足
・電力系統インフラへの投
資
・EU 内での CSP 用 FIT
拡大
・大 規 模 実 証 及 び 商 業
化事業のためリスクシェ
ア型資金調達メカニズ
ム
・研究開発及び実証
・CSP 輸入に対する EU
市場の開放
・欧州・地中海縦断グリ
ッドへの投資
・世 界 市 場 構 築 の 枠 組
み
付表5-10 欧州エネルギー技術開発戦略(SET-Plan)における技術マップの総括(2/6)
技術
太陽熱
冷暖房
大規模
水力
資
発電
-288
中小
水力
発電
説明
1) 導入分野
2) 現状市場占有率
3) 現状技術水準
潜在性
1) 基礎シナリオ
2) 普及の可能性
3) ブレークスルーの可能性
1) 発電
2) 需要の 2%
容量:13GWth
3) 小 規 模 の 温 水 装
置:商業化
暖冷用:実証中
業務用中温
システム:開発中
1) 発電
2) 需要の 9%
設置容量:
95GW( 非 揚 水 シ
ステム)
3) 大規模:商業化
1) 2020 年:52GWe
2030 年:135GWe
2) 2020 年:90-320GWe
2030 年:200-700GWe
3) ・建物との統合化
・冷房
・業務用中温システム
1) 発電
2) 需要の 1%
設置容量:11GW
小規模:商業化
マイクロ:開発中
1) 2020 年:100GWe
2030 年:100GWe
2) 2020 年:101-108GWe
(2005 年:25-50%の改修)
2030 年:104-112GWe
(2005 年:25-50%の改修)
3) 既存施設の大規模改修
動的運用 (例:揚水発電)
1) 2020 年:14.5GWe
2030 年:15.5GWe
2) 2020 年:14.5-18GWe
2030 年:16.5-19GWe
3) 低落差/超低落差タービン
・電力工学
CO2 回避
(百万 t-C02)
4~30
(2020 年)
8~65
(2030 年)
80~600
(2010~30 年)
追加的影響
供給安定化
軽減コスト
化石燃料
(€/t-CO2)
削減量(Mtoe)
25~35
270~330
(2020 年)
(2020 年)
50~55
80
(2030 年)
(2030 年)
65~480
170~220
(2010~30 年) (2010~30 年)
3.5~15
(2020 年)
7.5~20
(2030 年)
70~270
(2010~30 年)
25
(2020 年)
10~20
(2030 年)
20~25
(2010~30 年)
1~5
(2020 年)
5~6.5
(2030 年)
20~80
(2010~30 年)
0.5~7.5
(2020 年)
1.5~6.5
(2030 年)
15~110
(2010~30 年)
5~10
(2020 年)
5~7
(2030 年)
5~8
(2010~30 年)
0.2~2.5
(2020 年)
0.4~2
(2030 年)
3.5~35
(2010~30 年)
環境
競争性
エネルギー追
加コスト(%)
0.3~2
(2020 年)
0.1~1
(2030 年)
障壁
ニーズ
・蓄熱
・財政インセンティブの欠
如
・建物との統合化
・専門家の不足
・法規制や行政手続
・エネルギー貯蔵と材料
の研究開発
・技術普及への財政イン
センティブ
0.05~0.2
(2020 年)
0.04~0.2
(2030 年)
・施設支援の欠如
・規制及び管理の複雑化
・研究開発及び実証の支
援の欠如
・研究開発及び実証の機
会不足
・社会的受容
~0
(2020 年)
~0
(2030 年)
・施設支援の欠如
・規制及び管理の複雑化
・研究開発及び実証の支
援の欠如
・研究開発及び実証の機
会不足
・社会的受容
・研 究 開 発 及 び実 証 へ
の国民の支持
・協調的、焦点的な EU
レベルでの研究開発及
び実証事業
・EU 全体の明解かつ調
和のとれた誘導的規制
及び行政
・研 究 開 発 及 び実 証 へ
の国民の支持
・協調的、焦点的な EU
レベルでの研究開発及
び実証事業
・EU 全体の明解かつ調
和のとれた誘導的規制
及び行政
付表5-10 欧州エネルギー技術開発戦略(SET-Plan)における技術マップの総括(3/6)
現状の説明
1) 導入分野
2) 現状市場占有率
3) 現状技術水準
潜在性
1) 基礎シナリオ
2) 普及の可能性
3) ブレークスルーの可能性
地熱
1) 発熱及び発電
2) 需要の 1%未満
3) ヒートポンプ:
商業化
地域暖房:商業化
改良地熱発電シス
テム:研究開発中
1) 2020 年:1.0GWe
2030 年:1.3GWe
(暖房熱源としては想定せず)
2) 2020 年:1-6GWe
2030 年:1-8GWe
2020 年:38-42GWe
2030 年:60-70GWe
波力
発電
1) 発電
2) 無し
3) 大規模:
1MW 以下で実証
中、数 MW で継続
1) 2020 年:0.9GWe
2030 年:1.7GWe
2) 2020 年:5-10GWe
2030 年:10-16GWe
3) 商業化に向けた大規模実証
海上送電インフラ
コージェ
ネ レ ー
ション
1) 発電/地域暖房/産
業
2) 需要の 10%
設置容量: 95GWe
3) 中・大規模:商業化
超小型 CHP
燃料電池:研究開
発評価中
50-85
1) 2020 年:160GWe
(2020 年)
2030 年:169GWe
50-95
2) 2020 年:165-185GWe
(2030 年)
2030 年:195-235GWe
3) 中・大規模な修理、高効率型 1000~1400
(2010~30 年)
設備への更新
バイオマスベースの CHP
畜熱および冷房
技術
追加的影響
供給安定化
CO2 回避
軽減コスト
化石燃料
(百万 t-C02)
(€/t-CO2)
削減量(Mtoe)
5~12
0~100
15~35
(2020 年)
(2020 年)
(2020 年)
8~16
(-10)~80
20~50
(2030 年)
(2030 年)
(2030 年)
100~200
(-10)~90
300~700
(2010~30 年) (2010~30 年) (2010~30 年)
環境
競争性
エネルギー追
加コスト(%)
0.2
(2020 年)
(-0.3)~0.3
(2030 年)
資
-289
70~150
10~15
(2020 年)
(2020 年)
70~150
15~25
(2030 年)
(2030 年)
70~150
140~275
(2010~30 年) (2010~30 年)
2~5
(2020 年)
5~10
(2030 年)
40~80
(2010~30 年)
0.5
(2020 年)
0.7~0.9
(2030 年)
15~30
(2020 年)
30~70
(2030 年)
15~40
(2010~30 年)
20~30
(2020 年)
20~35
(2030 年)
400~500
(2010~30 年)
0.5~1
(2020 年)
1~3
(2030 年)
障壁
ニーズ
・適正な法規の欠如
・財政インセンティブの欠
如
・行政手続きの不透明、
特許可時間の長さ
・人材不足
・社会の受容の欠如
・既存知識の分散
・一貫性のある財政支
援の仕組み
・追加インセンティブ
・適正な規制、基準、許
認可手続き
・研究開発支援
・国際協力と既存知識
の一元化
・職業訓練
・研究開発及び実証
・EU レベルでの協調的
アプローチ
・長期フィードインタリフ
及び資本投資支援
・EU レベルでの沿岸域
管理
・価格競争力
・技術習得の高コスト
・専門技術及び民間投資
の不足
・沖合グリッドの高コスト、
陸上グリッドの利用困難
・行政及び立法
・海岸利用
・加 盟 国 における政 策 の
一貫性の欠如
・燃料と電力 価格の市場
での不安定性
・既存の多くの老朽施設
の低効率性と価格競争力
の不足
・熱需 要と電 力需 要の相
関関係
・超小型 CHP 開発の遅れ
・分野全般(特に電力)で
の効率性の改善
・バイオ CHP 技術改良
・蓄熱技術の革新と冷
房システムの改良
・地域暖房用熱供給イ
ンフラの高性能化(技術
及び経済性)
・燃料電池と超小型
CHP の大規模導入のた
めの研究開発、実証、
資金調達
・分散型エネルギー供
給体制への移行支援
付表5-10 欧州エネルギー技術開発戦略(SET-Plan)における技術マップの総括(4/6)
説明
1) 導入分野
2) 現状市場占有率
3) 現状技術水準
潜在性
1) 基礎シナリオ
2) 普及の可能性
3) ブレークスルーの可能性
CO2 排
出ゼロ
の化石
燃料発
電所
1) 発電
2) ゼロ
3) 個別の要素につい
ては小規模に商
業化。全体として
は先端研究及び
検証段階で、大規
模実証着手を準
備
1) 2020 年:0GWe
2030 年:0GWe
2) 2020 年:5-30GWe
2030 年:90-190GWe
3) 2015 年までに大規模実証
事業の成功
核分裂
原子力
1) 発 電 ( 発 熱 で き る
Gen-IV)
2) 需要の 31%
設 置 容 量 : 約
135GWe
3) Gen-III:成熟技術
Gen-IV: コンセプト
による。最低でも戦
略的判断に向けて
の基礎研究は最低
でも 2012 年までに
は必要である。
2020 年までには実
証 プ ラ ン ト (VHTR
及び SFR)稼働
(-0.5)~
15~50
(-5)
55~160
1) 2020 年:114GWe
(-0.1)
(2020 年)
(2020 年)
(2020 年)
2030 年:100GWe
(2020 年)
35~125
(-10)
100~400
2) 2020 年:127-150GWe
(-2)~(-0.5)
(2030 年)
(2030 年)
(2030 年)
2030 年:127-200GWe
(2030 年)
300~1200
(-10)~(-5)
3) 市場シェアを維持するために 1100~3800
は 25 年以内に 100GWe が (2010~30 年) (2010~30 年) (2010~30 年)
必要(GEN-III)
高速炉及び燃料サイクルの ・VHTR(プロセス熱)の市場挿導入は視野に入れていない
開発はより高い持続性を可 ・既存の原子力発電所は年間約 800Mt の CO2、250Mtoe の
石油燃料を節減している。
能にする。
(上記の数値は含まない)
技術
追加的影響
供給安定化
軽減コスト
化石燃料
(€/t-CO2)
削減量(Mtoe)
(-3)~(-15)
30
(2020 年)
(2020 年)
(-40)~(-90)
16~18
(2030 年)
(2030 年)
(-230)~
18~20
(-600)
(2010~30 年)
(2010~30 年)
環境
CO2 回避
(百万 t-C02)
20~120
(2020 年)
330~700
(2030 年)
1800~4700
(2010~30 年)
競争性
エネルギー追
加コスト(%)
0.3~2
(2020 年)
2~6
(2030 年)
資
-290
障壁
ニーズ
・大規模実証されていない
技術
・先 例のない発電 所 種類
であることによるコスト高
・非 好 意 的 な市 場 と 規 制
状況
・財政支援の欠如
・CO2 輸送・貯蔵のインフ
ラ不足
・社会的受容性
・EU 全体の核戦略の欠如
・調 和 の と れ た規 制 や 基
準の欠如
・国民、行政受容の欠如
・Gen-IV の研究開発に対
する公的資金の不足
・将来的な人材不足(科学
者及びエンジニア)
・研究開発
・大規模実証事業
・適正な法規と市場枠組
みの整備
・CO2 輸送・貯蔵インフ
ラの開発
・安定、予測可能な規制
的/経済的/行政的環境
・明確な EU 核戦略
・Gen-IV の研 究開 発、
実証及び展開の支援を
高める(公的資金調達、
官民協力体制、共同事
業等)
・核エネルギーに対する
広報、対話の改善
・化学的専門分野(一般)
や核技術(具体的)の教
育や研修の促進
付表5-10 欧州エネルギー技術開発戦略(SET-Plan)における技術マップの総括(5/6)
説明
1) 導入分野
2) 現状市場占有率
3) 現状技術水準
潜在性
1) 基礎シナリオ
2) 普及の可能性
3) ブレークスルーの可能性
核融合
発電
1) 発電
2) 無し
3) 核 融 合 エネルギー
技術実行可能性
実証の原型実験
とするため、ITER
を建設中
1) 2030 年までには利用不可
2) 2030 年以降
3) DEMO を核融合動力プラント
実証として稼働
配電
1) 送電、配電
2) ・ 伝 送 レ ベ ル 発 生
の 75-85%
・送電、配電の際
に消費電力の
7-10%が浪費
3) ・長い架空電線路
・ネットワーク集
中管理
該当
該当
5~10
20~30
1) ネットワーク障 害により新世
なし
なし
(2020 年)
(2020 年)
代の物は制約を受けてい
15~25
50~60
る。
(2030 年)
(2030 年)
2) 2020 年:1% 削減
150~250
500~600
2030 年:2.5% 削減
(2010~30 年)
(2010~30 年)
3) HVDC,FACTS,WAMS
・ 分散発電システムの積極
・総合電力グリッドは欧州市場の競争を育成(主に電力価格
的なネットワーク管理
や自由化支援)
・投資による損失低減や下記の利益を含む軽減コストは定量
化困難なため評価対象から除く
・電力網の調整・統合化開発の主な利点は、ボトルネックによ
る制約を受ける価格競争食のある発電への支援であり、こ
の評価では各発電部門はほぼ最大出力で電力網に接続さ
れると想定
・更に、ネットワークへの投資繰り延べ、停電回数の減少、供
給品質の向上も利点に含まれる
技術
資
施設
-291
(Smart
Grids)
環境
CO2 回避
(百万 t-C02)
該当なし
追加的影響
供給安定化
軽減コスト
化石燃料
(€/t-CO2)
削減量(Mtoe)
該当なし
該当なし
競争性
エネルギー追
加コスト(%)
該当なし
・稼働中は CO2 または他の大気汚染物質なし
・低価格で多量入手可能な水及びリチウムは石油燃料削減
に貢献する大きなポテンシャルを持つ
・エネルギーコストは欧州産業競争の飛躍的な改善によって
バランスが取れるようになると予想される
障壁
ニーズ
・長期性により財源への
産業的貢献の制限
・専門家の不足
・先端技術に対する科学&
技術への課題
・DEMO デザイングルー
プに産業加入することに
よって核融合 開発団体
の強化
・教育や研修プログラム
の強化
・EU 及び国際的資源を
通じて核融合開発期間
を短縮する強 い政治 的
意思
・これから 30 年間に渡っ
て、EU 加盟国は少なくと
も 4000 億-4500 億ユー
ロの投資が必要
・新世代と強固なグリッ
ド(例:陸風、集光型太陽
熱)の距離によっては接
続費の 10-25%がグロー
バルグリッド投資に加算
され得る。
・次世代技術統一のた
めの共有デザイン
・管 理及 びモニタリング
のための ICT
・標準規則・ガイドライン
・ステークホルダー間の協
議における強化方法と接
続費用の定義と共有化
・規制の枠組み
・社会的反対
・協調的研究への取組の
欠如
付表5-10 欧州エネルギー技術開発戦略(SET-Plan)における技術マップの総括(6/6)
技術
バイオ
燃料
水素・
燃料電
資
池
-292
説明
1) 導入分野
2) 現状市場占有率
3) 現状技術水準
潜在性
1) 基礎シナリオ
2) 普及の可能性
3) ブレークスルーの可能性
1) 輸送
2) 390 万 t
(2005 年)
3) 第 1 世代:商業化
第 2 世代:試験的
規模で実証中
1) 2020 年:輸送用ガソリン及び
ディーゼル需要の 7.5%
2030 年:同上 9.5%
2) 2020 年:同上 10-14%
2030 年:同上 15-20%
3) 2015 年までに、第 2 世代バイ
オ燃料の大規模実証
1) 2020 年-2030 年:乗用車にお
けるシェア 0%
2) 2020 年:乗用車におけるシェ
ア 1.5%
2030 年:乗用車におけるシ
ェア 6~12%
3) ・低コストかつ耐 久 性、信 頼
性のある燃料電池
・大容量の水素貯蔵
・低コストかつ大規模な炭素
ゼロ(あるいは少量)の水素
供給
1) 輸送・発電
2) ゼロ
3) 大 規 模 水 素 製 造 :
商業化または開
発中
小規模:実証中
または商業化
燃料電池:実証
中
追加的影響
供給安定化
軽減コスト
化石燃料
(€/t-CO2)
削減量(Mtoe)
10~25
150~160
(2020 年)
(2020 年)
20~40
90
(2030 年)
(2030 年)
190~450
120~125
(2010-2030)
(2010-2030)
環境
CO2 回避
(百万 t-C02)
15~40
(2020 年)
45~75
(2030 年)
375~810
(2010-2030)
475
5
(2020 年)
(2020 年)
100~240
30~60
(2030 年)
(2030 年)
145~290
185~330
(2010~30 年) (2010~30 年)
乗用車への影響のみ
2.5
(2020 年)
10~20
(2030 年)
80~135
(2010~30 年)
競争性
エネルギー追
加コスト(%)
1.5-3.5
(2020 年)
2.0-3.5
(2030 年)
0.3
(2020 年)
0.7~0.8
(2030 年)
障壁
ニーズ
・構造的な障壁は無
・バイオマスの入手可能
性と持続可能性(エネル
ギー分野間の配分及び非
エネルギー分野との競争
含む)
・各国及び EU レベルで
の研究開発への支援の
強化・集中
・大規模実証に向けた
資金調達の仕組み
・EU 内での市場、規制、
政策の調和
・研究開発の強化
・EU レベルでの実証や
市場浸透に向けた取組
・長期の官民協力体制
・監 督 体 制 及 び資 金 調
達支援スキームの確立
・教育
・長期 的かつ断続 的な緩
和オプション
・エンドユース機器普及支
援策の欠如
・規制、法体系、基準
・水素製造・供給のための
高額なインフラ先行投資
・中 小 企 業 に対する公平
性の欠如
・燃料電池のコスト高
・水素の原料に配分問題
の先送り
SET-Plan では、技術課題への対応に向けて、以下の具体的な提案を行っている(付表
5-11)。
付表5-11 欧州エネルギー技術開発戦略(SET-Plan)における当面の取組に係る提案の一覧
区分
提案概要
戦略的行動計画
戦略的エネルギー
技術運営グループ
SET-Plan の実現のための各国及び欧州、国際的な取組の整合性の確保
を目的として、各国の政府高官及び欧州委員会で構成されるグループを
2008 年の早期に創設
政策やプログラムの連携、進捗の監視や評価を担当
欧州エネルギー
サミット
2009 年前半に進捗評価や部門間の交流等を目的として、産業界から消費
者を含む他、欧州内の研究機関や金融機関、その他国際機関が参加する
サミットを開催
欧州エネルギー技術
情報システム
エネルギー技術目標の明確化と SET-Plan に関する合意形成を目的とし
て、エネルギー技術に関する情報公開とナレッジマネジメントの情報公開
システムを構築
SET-Plan の進捗状況の定期報告、エネルギー市場観測及び隔年のエネ
ルギー戦略評価を支援
効果的な実施
欧州産業イニシアティブ
各種活動や関係者の結集による産業界のエネルギー研究を強化する観
点から、6つの分野で産業イニシアティブを創設
・欧州風力イニシアティブ:洋上を含む大規模システム
・欧州ソーラーイニシアティブ:太陽光発電及び集光型太陽熱発電
・バイオエネルギー欧州イニシアティブ:次世代バイオ燃料
・欧州 CO2 回収・輸送・貯蔵イニシアティブ:CO2 排出ゼロ化石燃料発電所
・欧州電力系統イニシアティブ:スマート電力ネットワーク
・持続可能な核分裂イニシアティブ:第 4 世代技術
欧州エネルギー研究
連盟
エネルギーに関する類似の研究活動を行っている国立研究機関の連携に
よる効率化を目的として、欧州エネルギー研究連盟を設立
汎欧州エネルギー
ネットワーク・システム
EU 及び近隣国における低炭素統合エネルギーシステム開発の最適化を
目的として、欧州エネルギーインフラネットワーク・システム移行計画を
2008 年中に設置
資源
投資の増加
欧州第7次研究枠組計画(FP7)及び欧州インテリジェントエネルギー計画
(IEE)の予算の増額
欧州投資銀行によるエネルギープロジェクトへの増額
2008 年末までに低炭素エネルギー投資法を提案
人的資源の拡大
欧州産業イニシアティブや欧州エネルギー研究連盟による教育や訓練の
拡大
国際協力
国際協力
研究事業や国際規格策定における国際協力
グローバルエネルギー効率・再生可能エネルギー基金等を通じた技術移
転による新規市場開拓
資-293
② 第 7 次研究開発枠組計画(FP7)における温暖化対策技術への取組状況
FP7 では、エネルギー分野の技術開発については SET-Plan の実現に向けた取組として位
置づけられており、SET-Plan において今後 10 年間の主要技術分野として位置づけられた
技術に対して優先的な予算配分を行っている。
FP7 のエネルギー分野における 2009 年度の予算の一覧を付表5-12 に示す。
付表5-12 欧州研究開発枠組計画(FP7)のエネルギー技術分野に係る 2009 年度の予算額の一覧
区分
FP7-ENERGY
-2009-1
(8300 万ユーロ
(約 103 億 7,500 万円))
FP7-ENERGY
-2009-2
(1 億ユーロ
(約 125 億円))
募集テーマ
Area Energy.2.1 太陽光発電
Area Energy.2.5 集光型太陽熱発電
Area Energy.2.4 地中熱
Area Energy.2.9 分野横断的問題
Activity Energy.3 再生可能燃料生産
Activity Energy.5 ゼロエミッション発電向け CO2 回収及び
貯蔵技術
Activity Energy.7 スマートエネルギーネットワーク
Activity Energy.2 再生可能電力発電
Activity Energy.4 冷暖房用再生可能エネルギー
Activity Energy.6 クリーンコール技術
Activity Energy.7 スマートエネルギーネットワーク
Activity Energy.8 エネルギー効率及び省エネルギー
Activity Energy.9 エネルギー政策決定のための知識
FP7-ENERGY
-2009-3
(550 万ユーロ
(約 6 億 8,750 万円))
FP7-ENERGY
-2009-バイオリファイナリー
(5,700 万ユーロ
(約 71 億 2,500 万円)
Area Energy.2.1 太陽光発電-関係者による活動のコーデ
ィネート支援
Area Energy.3.7 再生可能燃料生産-バイオ燃料分野にお
ける関係者による活動のコーディネート支援
Area Energy.5&6.2 CO2 回収及び貯蔵技術-関係者による
活動のコーディネート支援
Area Energy.7.3-汎欧州ネットワーク関係者による活動の
コーディネート支援
Area Energy.9.1 欧州エネルギーインフラネットワーク&シ
ステム移行計画-関係者による活動のコーディネート支援
Area Energy.10.1 NCP※間の国際的な協力
Energy.2009.3.3.1 持続可能なバイオリファイナリー
Energy.2009.3.3.2 バイオリファイナリー分野のプロジェクト
間情報交換、相乗効果及び交流の強化
合
予算額
2,600 万ユーロ
(約 32 億 5,000 万円)
2,200 万ユーロ
(約 27 億 5,000 万円)
2,300 万ユーロ
(約 28 億 7,500 万円)
1200 万ユーロ
(約 15 億円)
2800 万ユーロ
(約 35 億円)
1500 万ユーロ
(約 18 億 7,500 万円)
1,000 万ユーロ
(約 12 億 5,000 万円)
3500 万ユーロ
(約 43 億 7,500 万円)
1,000 万ユーロ
(約 12 億 5,000 万円)
200 万ユーロ
(約 2 億 5,000 万円)
550 万ユーロ
(約 6 億 8,750 万円)
5,500 万ユーロ
(約 68 億 7,500 万円)
200 万ユーロ
(約 25 億円)
2 億 4,550 万ユーロ
(約 306 億 8,750 万円)
計
※ NCP(ナショナル・コンタクト・ポイント);OECD 多国籍企業ガイドライン採択国に設置される相談窓口の担当機関)
資-294
付表5-12 に示した FP7-ENERGY-2009-3 分野では、各技術分野における関係者の活動
のコーディネート支援を募集しており、SRA(戦略的研究行動計画)を既に策定している
ETP の活動に対する支援等に対して予算配分を行っている(付表5-13)。
付表5-13 FP7 におけるエネルギー技術分野の関係者コーディネート支援に係る募集内容の一覧
募集テーマ
支援対象及び予算額
Area Energy.2.1.3
支援対象:太陽光発電 ETP によるワークショップや会議、会合の設置及び
-太陽光発電分野
運営費用、IT ツールの開発及び保守、パンフレットや報告書、関
連資料の作成費用
補助率:50%(3 年間で最大 50 万ユーロ(約 6,250 万円))
Topic ENERGY.2009.3.7.1
支援対象:バイオ燃料 ETP によるワークショップや会議、会合の設置及び
-バイオ燃料分野
運営費用、IT ツールの開発及び保守、パンフレットや報告書、関
連資料の作成費用
補助率:50%(3 年間で最大 50 万ユーロ(約 6,250 万円))
Topic ENERGY.2009.5&
支援対象:ゼロエミッション燃料 ETP によるワークショップや会議、会合の設
6.2.1 –ゼロエミッションエネ
置及び運営費用、IT ツールの開発及び保守、パンフレットや報
ルギー生産分野
告書、関連資料の作成費用
補助率:50%(3 年間で最大 50 万ユーロ(約 6,250 万円))
Topic ENERGY.2009.7.3.4
支援対象:将来電力ネットワーク ETP によるワークショップや会議、会合の
-スマートグリッド分野
設置及び運営費用、IT ツールの開発及び保守、パンフレットや
報告書、関連資料の作成費用
補助率:50%(3 年間で最大 50 万ユーロ(約 6,250 万円))
Topic ENERGY.2009.9.1.1
支援対象:実施中の関連取組の整理及び連携化、既存ツールの評価及び
-欧州エネルギーインフラネ
評価モデルの開発、移行計画検討手法の開発、エネルギー技
ットワーク&システム移行
術のロールアウト可能性の評価枠組の開発、将来インフラ及び
計画
政策の開発等
補助率:-
Topic ENERGY.2009.10.1.1
支援対象:NCP のネットワーク強化に向けた取組(ベンチマーキング、共同
※
- NCP 間の国際的な協力
ワークショップ、トレーニング、他国 NCP への仲介、新規参加
NCP への支援等)、
補助率:-
※ NCP(ナショナル・コンタクト・ポイント);OECD 多国籍企業ガイドライン採択国に設置される相談窓口の担当機関)
資-295
③ 競争・イノベーション枠組計画(CIP)における温暖化対策技術への取組状況
前述の CIP における IEE では、2009 年 2 月時点で 192 件のプロジェクトが終了してお
り、206 件のプロジェクトが実施中である(付表5-14)。
付表5-14 IEE(欧州インテリジェントエネルギー計画)におけるプロジェクト実施状況
技術分野
終了プロジェクト
実施中プロジェクト
合計
再生可能エネルギー(ALTENER)
61 件
75 件
136 件
省エネルギー(SAVE)
59 件
58 件
117 件
輸送(STEER)
15 件
21 件
36 件
発展途上国(COOPENER)
26 件
10 件
36 件
総合戦略
31 件
42 件
73 件
合計
192 件
206 件
398 件
出所:欧州委員会ホームページより集計( HTTP :// IEEA . ERBA . HU / IEEA / PAGE /PAGE . JSP ? OP = HOME )
2008 年時点で実施中のプロジェクトの一部の概要を参考資料3に示す。
④ EUREKA における温暖化対策への取組状況
EUREKA は、新技術の市場化を目的とする企業や研究機関による研究開発ネットワー
クであり、1985 年に設立され、現在 38 カ国が加盟している。欧州委員会は加盟国と同様
に構成員の一員として位置づけられている。研究開発資金については、加盟国の研究開発
助成制度等から提供されており、EUREKA 自体は資金提供や助成は行っていない。
EUREKA におけるプロジェクト開始までの手続きフローを付図5-5 に示す。プロジェ
クトには複数の加盟国からの参加者が必要とされている。プロジェクトの提案事業者は、
所属国のナショナル・プロジェクト・コーディネータ(NPC)を通じてプロジェクトの審
査を受けることになる。NPC とは、加盟国の関連省庁や政府機関内に設置される組織で、
プロジェクトへの参加希望者に対し、対象市場に関する知識や、科学的な専門知識、一般
的な情報の提供の他、各国の研究資金提供プログラムへのアクセスを支援している 50。NPC
を通じて提案されたプロジェクトは審査を受け、認証されると EUREKA ラベル(付図
5-6)が発行され、EUREKA の正式プロジェクトとして扱われる。
50
NEDO 海外レポート N O .1008(2007 年 10 月)
資-296
出所:NEDO 海外レポート N O .1008(2007 年 10 月)
付図5-5 EUREKA におけるプロジェクト開始までの手続きフロー
付図5-6 EUREKA 及び EUROGIA+のラベル
EUREKA はプロジェクト毎に結成されるコンソーシアムによって運営されており、長
期的かつ戦略的な産業界主導のプロジェクト運営コンソーシアムとして、7つの技術分野
でクラスターが形成されている。
温暖化対策技術分野のクラスターとして、2004 年から EUROGIA が実施されており、
2008 年より EUROGIA+が発足しており、2008 年から 2013 年までの 5 年間の活動を行う
予定である。EUROGIA+の予算規模をに示す。なお、EUROGIA+は現在プロジェクトを
募集中であり、2009 年 2 月時点で採択が確定したプロジェクトは無い。
資-297
付表5-15 EUREKA における EUROGIA+の予算規模
区分
資金提供
予算用途
年間額
総額(5 年間)
民間資金
1 億ユーロ(約 125 億円)
5 億ユーロ(約 625 億円)
公的資金
1 億ユーロ(約 125 億円)
5 億ユーロ(約 625 億円)
合計
2 億ユーロ(約 250 億円)
10 億ユーロ(約 1,250 億円)
7,000 万ユーロ
3 億 5,000 万ユーロ
(約 87 億 5,000 千万円)
(約 437 億 5,000 千万)
1 億 3,000 万ユーロ
6 億 5,000 万ユーロ
(約 162 億 5,000 万円)
(約 812 億 5,000 万円)
2 億ユーロ(約 250 億円)
10 億ユーロ(約 1,250 億円)
化石燃料・CO2 対策
再生可能エネルギー
合計
⑤ 欧州再生可能エネルギー指令における再生可能エネルギー導入目標の設定
2008 年 12 月に欧州議会で採択された「再生可能資源由来エネルギーの利用促進に関す
る欧州議会及び欧州委員会指令(以下『再生可能エネルギー指令』と略す)」では、SET-Plan
において示された 2020 年に総エネルギー消費量の 20%を再生可能エネルギーとする目標
の達成のため、加盟国へ 2020 年における最低導入率の達成を義務づけている。
同指令では、EU 全体での 20%導入目標を、各国のエネルギー消費量及び現在の再生可
能エネルギー比率、GDP に基づき各加盟国へ配分している。配分方法の概要を以下に示す。
- 目標は国内資源ポテンシャルの分析を踏まえている。
¾ 独自技術やそれにかかるコストは加盟国各国で異なるため、各国の目標値がそれぞれ異
なる必要がある。
¾ 温暖化ガス削減及び再生可能エネルギー導入目標の効率的な実施のため、ポテンシャル
ベースのシナリオの検討が可能な PRIMES モデルを採用。
¾ 国によって国家目標が大幅に異なるが、これは資源ポテンシャルの違いに由来。
¾ 人口密度の高い加盟国や島は平均を下回る国家目標設定の傾向がある。また、豊富で低
価格のポテンシャルを持つ加盟国は平均を上回る目標が設定される。
- フラットレート増加及び GDP を基にした目標設定
¾ 2020 年の総最終エネルギー消費量を 1270.6Mtoe と予想。
¾ EU の再生可能エネルギー目標はその 20%の 254.1Mtoe となる。(1270.6Mtoe×20%=
254.1Mtoe)
¾ 再生可能エネルギーシェアを 2001 年から 2005 年の間に最低 2%増加させた加盟国によ
って削減された量(101.9Mtoe)を 20%削減量から控除。(254.1-101.9= 152.2Mtoe)
¾ その半分(152.2/2=76.1Mtoe または 5.5%)を 2005 年の各加盟国の再生可能エネルギーシ
ェアに均一に加算。
¾ 残りの半分の 76.1Mtoe を EU の全人口で割り、国民あたりの加算量を算出し、補正係
資-298
数として一人当たりの国内総生産指数 (GDP per head index) を乗じる。
¾ 国民あたりの加算量と一人当たりの国内総生産指数をかけた数値に更に個別の国の人口
をかける。それによって各加盟国の達成しなければならない量を算出。
¾ 必要達成量に、各加盟国によって既に設定されている量(再生可能エネルギー源シェア+
フラットレート)に加算し、2020 年の再生可能エネルギー源最終生産量を Mtoe ベー
スで算出。
¾ 2020 年の最終エネルギー消費量をパーセンテージ化にしたものが加盟国各国への 2020
年までの目標となる。各加盟国でこの目標水準が 50%を超えないよう配慮される。(今
回は 50.03%にとなったスウェーデンのみ 49%に調整)。
上記のように、各国の目標は需要と既存導入量をベースに算出しているが、欧州委員会
では 2007 年 1 月 10 日に公表した「再生可能エネルギーロードマップ(COM(2006)848)」
の検討の一環として、エネルギーシミュレーションモデル(PRIMES モデル及び Green-X)
を用いて 2020 年時点の再生可能エネルギーの導入可能性の評価を行っており、上記の各
国目標はポテンシャルの範囲に収まるものと位置づけられている。
資-299
付表5-16 欧州再生可能エネルギー指令における各加盟国の再生可能エネルギー導入目標
RES 比率
2020 年
5.5%
一人
国全体の
2020 年に
RES
(2005 年)
総最終
フラットレート
当たり
加算量
必要な
目標
エネルギー
加算後
加算量
消費量
RES 比率
[PJ]
[%]
[%]
オーストリア
[GJ/人]
RES 量
[PJ]
[PJ]
[%]
23.3
1,236
28.8
8.8
71
427
34.5
2.2
1,567
7.7
8.4
87
207
13.2
ブルガリア
9.4
515
14.9
0.8
6
83
16.1
キプロス
2.9
80
8.4
5.0
4
11
13.2
チェコ
5.0
1,265
10.4
2.9
29
161
12.7
デンマーク
15.4
654
20.9
11.3
60
197
30.1
エストニア
17.1
155
22.6
2.5
3
38
24.7
フィンランド
28.5
1,077
34.0
8.8
46
412
38.2
フランス
10.3
6,897
15.8
8.0
496
1,583
23.0
5.8
9,218
11.3
8.0
651
1,690
18.3
ギリシャ
6.9
1,022
12.4
5.0
57
184
18.0
ハンガリー
4.3
867
9.8
2.5
26
111
12.7
アイルランド
3.1
587
8.6
11.3
47
96
16.5
イタリア
5.2
6,469
10.7
7.1
412
1,102
17.0
ラトビア
34.9
247
40.4
1.7
4
104
41.9
リトアニア
15.0
256
20.5
1.7
6
59
22.8
ルクセンブルグ
0.9
197
6.4
18.9
8
21
10.7
マルタ
0.0
29
5.5
3.4
1
3
10.3
ベルギー
ドイツ
オランダ
2.4
2,229
7.9
9.2
148
323
14.5
ポーランド
7.2
3,000
12.7
1.7
71
451
15.0
ポルトガル
20.5
905
26.0
4.2
43
278
30.7
ルーマニア
16.5
1,462
22.0
1.3
23
345
23.6
スロバキア
6.7
536
12.2
2.1
11
76
14.2
スロベニア
16.0
264
21.5
4.2
8
65
24.6
8.7
4,852
14.2
5.9
261
948
19.6
38.9
1,446
44.4
9.6
85
727
50.03
スペイン
スウェーデン
英国
1.3
6,205
6.8
8.8
523
943
15.2
EU27
8.4
53,238
13.9
6.7
3,189
10,647
20.0
※RES=再生可能資源由来エネルギー(Renewable Energie Sources)
資-300
(4) 複数の研究開発スキームの連携による技術開発・普及への取組状況について
① FP7 から EUREKA への資金提供による Eurostars プロジェクトの概要
FP7 と EUREKA の連携の一環として、2007 年 10 月より EUREKA のプロジェクトの
一つで、中小企業による新製品やサービスの開発を目的とする「Eurostars」プログラム
に対して、FP7より 1 億ユーロ(約 125 億円)が拠出されている。FP7 からの資金提供
に加え、EUREKA 参加国による公的助成 3 億)ユーロ(約 375 億円とあわせて、6 年間
で 4 億ユーロ(約 600 億円)運用されている。
Eurostars は各国の中小企業向け研究開発支援プログラムの統合化を図るものであり、
欧州研究領域(ERA)の一環と位置づけられている。Eurostars は EUREKA 事務局が運
営し、公募、申請書の受理、評価、プロジェクトの進捗管理などを行っている。
② 欧州技術プラットフォーム(ETP)による EUREKA プロジェクトの運営
EU では、ERA の実現に向けた取組の一環として、複数の研究開発助成スキーム間の連
携が進められている。例として、EUREKA におけるプロジェクト運営組織であるクラス
ターやアンブレラとして、FP7 における欧州テクノロジープラットフォーム(ETP)の中
心メンバーが活動を行っているケースがみられる。FP7 における ETP が EUREKA にお
けるプロジェクト組織を担っている事例を付表5-17 に示す。
付表5-17 FP7(第 7 次研究開発枠組計画)と EUREKA におけるプロジェクト運営組織の連携例
技術分野
FP7
※1
EUREKA
ナノエレクトロニクス
ENIAC(JTI )
MEDEA+(クラスター※2)
組込型コンピュータ
ARTEMIS(JTI※1)
ITEA(クラスター※2)
建設
ECTP(JTI 申請予定)
EurekaBuild(アンブレラ※3)
※1 JTI(Joint Technology Initiative);FP7 における一定要件を満たす SRA の実施のための長期の
官民パートナーシップで、FP7 における優先的な支援対象
※2 クラスター:EUREKA における長期的かつ戦略的な産業界主導のプロジェクト運営組織
※3 アンブレラ:EUREKA における特定技術分野に係る公的機関や専門家のネットワーク
ETP が EUREKA のプロジェクト運営組織として活動している例として、欧州建設技術
プラットフォーム(ECTP;European Construction Technology Platform)の組織構成を
付図5-7 に示す。各国に設置された国レベルの TP と、重点領域の検討を行うグループが
EUREKA における専門家ネットワークとしてプロジェクト運営を行うアンブレラを形成
しており、EUREKA の建設分野のプロジェクトである Eureka-Build の運営に当たってい
る。
資-301
ECTP
(欧州建設技術プラットフォーム
ハイレベル
グループ
支援グループ
アドバイザリー
グループ
(クライアント・ユーザー)
EurekaBuild
(Eureka アンブレラ)
事務局
アドバイザリー
グループ
(中小企業)
各国
テクノロジー
プラットフォーム
(25カ国)
重点領域
(7分野:地下建設、都市・建築
物、ネットワーク、文化遺産、材
料、QOL、プロセス・ICT)
総会
出所:ECTP(欧州建設技術プラットフォーム)資料(2006 年 11 月)
付図5-7 欧州建築技術プラットフォームと EUREKA プロジェクト運営組織の関係例
ETP は SRA(戦略的研究行動計画)を策定しており、EUREKA において実施されるプ
ロジェクトについても、SRA に基づく技術市場導入や実証の一環として位置づけられてい
る。付表5-17 に例示した ETP は、FP7 において官民パートナーシップに基づく重点支援
対象とされる JTI として認定、又は申請中の ETP であり、FP7 での取組と併行して
EUREKA プロジェクトの運営を実質的に担うこととなる。ETP を対象とするヒアリング
調査 51によると、EUREKA は FP7 とともに、SRA 実行のための資金確保の手段と一つと
して位置づけられており(付表5-18)、2007 年に公表された欧州委員会による ETP 活動
報告によると、上記以外の ETP においても、SRA に基づき EUREKA でのプロジェクト
展開を計画している52。
51
52
Evaluation of the European Technology Platforms (ETPs)(IDEA CONSULT、2008 年 8 月)
At the Launch of FP7-欧州技術プラットフォーム第 3 次報告(欧州委員会研究総局、2007 年 3 月)
資-302
付表5-18 欧州技術プラットフォーム(ETP)の活動資金調達先の例
費用の区分
事務局の運営費用
資金源
・欧州委員会による助成(一部の ETP)
・産業界からの寄付金
・ETP 構成メンバーからの会費徴収(一部の ETP)
SRA
※1
等計画策定・イベント開催費用等
・欧州委員会による助成(一部の ETP)
・産業界からの寄付金
・ETP 構成メンバーからの会費徴収(一部の ETP)
SRA
※1
の実施費用
(研究開発活動の立ち上げ)
・FP(欧州研究開発枠組計画)
・Structural Fund(構造基金)※2
・公的プログラム/研究開発プログラム(EUREKA 等)
・産業界からの寄付金
・債券/株式による資金調達
・リスク・キャピタル
等
※1 戦略的研究行動計画
※2 EU 内の地域間格差是正を目的として欧州委員会が加盟国(地域)に配分する補助金
出所:E VALUATION O F T HE E UROPEAN T ECHNOLOGY P LATFORMS (ETP S )(IDEA C ONSULT 、2008 年 8 月)
資-303
米国における温暖化対策技術に関する技術開発・普及に関する取組の概要
5-2
米国における温暖会対策技術に関する技術開発スキームについては、2006 年に策定され
た「気候変動技術プログラム(CCTP;Climate Change Technology Program)戦略プラ
ン」に基づき、エネルギー省(DOE)及び環境保護庁(EPA)が技術開発事業を実施して
いる。CCTP 戦略計画は、長期的な技術開発を対象として 6 つの目標に対する戦略的な指
針を示し、これらに充当される約 30 億ドルの連邦政府予算を整理している(付表5-19)。
付表5-19 米国気候変動技術プログラム(CCTP)戦略計画における主要目標
(1) エネルギーのエンドユーザーおよびインフラからの排出削減
(短期)
(中期)
(長期)
ハイブリッド自動車やプラグイン・ハイブリッド車; 都市設計(E NGINEERED U RBAN D ESIGNS );高性能住宅;
高効率の電気製品;高効率のボイラーや燃焼装置;高温超伝導の実証
燃 料 電 池 自 動 車 と水 素 燃 料 ; 低 公 害 航 空 機 ; 固 体 照 明 ;超 高 効 率 の HVACR(暖 房 、換 気 、冷
房、冷凍装置);「スマート」ビルディング;エネルギー集約産業を変貌させる技術、等
都市設計と地域計画の広範な使用;エネルギー管理型コミュニティ(E NERGY M ANAGED C OMMUNITIES );工
業用の熱・電力・プロセス・技術の融合;超伝導送信と超伝導装置
(2) エネルギー供給部門からの排出削減
(短期)
(中期)
(長期)
石炭ガス化 複 合 発 電(IGCC)の商用化;定置型の水素燃料電池;コスト競争力のある太陽光電池;セ
ルロース系エタノールの実証;分散型発電;先進原子炉と燃料サイクル技術
次世 代発 電の大規 模化;石 炭/バイオマスからの水 素生 成;低風 速タービン;先進バイオ精製 所;コミュ
ニティ規模の太陽光発電;原子力発電所;核融合パイロットプラントの実証
無 公 害 化 石 エネルギー;水 素 経 済 と電 気 経 済 ;再 生 可 能 エネルギーの広 範 な利 用 ;バイオエネルギーと
バイオ燃料;原子力発電の広範な利用;核融合発電
(3) 二酸化炭素(CO 2 )の回収と隔離
(短期)
(中期)
(長期)
炭 素 隔 離 リーダーシップフォーラム(CSLF)と地 域 炭 素 隔 離 パートナーシップ(CSRP);燃 焼 後 回 収 ;O XY 燃料の燃焼;地中貯留層の特性化;直接注入 CO 2 の希薄化等
安全性が証明された地中貯蔵;CO 2 輸送インフラ; 土壌吸収と土地利用;CO 2 海洋隔離の生物学的
影響の研究
成功した CO 2 貯留記録の追跡調査;大規模隔離;炭素および CO 2 利用の製品と材料;安全な長期
的海洋貯留
(4) CO2 以外の温室効果ガスの排出削減
(短期)
(中期)
(長期)
メタンの市場化;精密な農業;先端冷凍技術;自動車の粒状物質制御技術
埋立地ガスの先進利用;土壌の微生物作用;SF 6 の代替物;ディーゼルエンジン内で亜酸化窒素(N 2 O)
を単なる窒素に還元する触媒
統合廃棄物管理システム;廃棄物ゼロの農業;ソリッドステートの冷凍システムと冷房システム
(5) 排出量測定能力と排出モニタリング能力の向上
(短期)
低コストセンサーと低コスト通信
(中期)
大型の安全管理されたデータ記憶装置;プロキシや推定器に代わる直接測定
(長期)
センサーや指 示 計 、データ・ビジュアライゼーションや記 憶 装 置 、及びモデルを統 合 した完 全 機 能 の測 定 /
モニター・システムアーキテクチャー
(6) 先進技術を開発するための基礎科学の役割強化
-
-
※ 短期:20 年以内、中期:20~40 年、長期:40 年以上
出所:NEDO海外レポート NO.986,(2006 年 10 月)
資-304
CCTP 戦略計画は、上記 6 目標の達成のために下記の 7 つの重要アプローチを挙げ、
アプローチ毎に今後のステップを提示している(付表5-20)。
付表5-20 米国気候変動技術プログラム(CCTP)戦略計画における重要アプローチの概要
アプローチ
気候変動テクノロジー
研究開発活動の強化
各種の基礎科学研究の
強化
官民パートナーシップの
機会の拡大
国際協力の機会の増進
最新テクノロジーの
実証試験の支援
将来の熟練技術労働者
の確保
気候変動テクノロジーの
普 及 に必 要 な技 術 支 援
政策の提供
ステップの概要
・気候変動技術の研究・開発・実証・普及に対する連邦政府支援を、必要に応じて見直
し、再編成し、優先順序を付け直し、更には、これを拡大。
・複数省庁間ポートフォリオが適切であるかどうかを定期的に評価し、ギャップや機会を確
認し、分析に基づいた提言を行う。
・重要技術分野では、テクノロジーの潜在性を長期にわたって査定評価する。
・気候関連技術の企画と管理、および、研究開発(R&D)の企画と評価に利用する方法・
ツール・政策策定プロセスを改善。
・CCTP に参加する各連邦研究開発機関において、気候変動技術開発の技術的進歩を
妨げる障壁を克服するために基礎研究を利用または融合するプロセスを確立。
・大学および連邦政府以外の研究機関で行う気候変動技術 R&D への参加を拡大する手
段を策定。
・研究コミュニティのイノベーションを刺激するため、連邦政府各省庁の斬新な概念や先進
的概念等に焦点をあてた基礎的・探査的研究プログラムの見直し。
・官民パートナーシップの現状を見直し、R&D ポートフォリオの企画やプログラムの遂行
を行う一般的形態として官民パートナーシップの更なる形成を助長。
・R&D 以外のパートナーシップ形成を助長。
・温室効果ガス(GHG)や GHG 原単位削減技術に関し、取り扱いに注意が必要となりうる
パートナー情報を安心して共用することを可能にする方策を確立。
・主要な気候変動技術 R&D 活動への国際参加を拡張し、現在進行中の多くの国際協力
イニシティブを礎として構築。
・気候変動に関する(IPCC)第 3 作業部会の定期的評価レポート、および、その他の技術
関係 IPCC 特別レポートに対する米国側インプットの調整で、国務省と CCSP を支援。
・気候変動科学や技術研究に関する国際協力を奨励する二国間協定を交渉、履行、協
賛する努力の支援。
・ECD や IEA、IPCC や G8 といった既存の国際機関を効率的に活用する方法を考察。
・途上国のキャパシティー・ビルディングを促進し、先進気候変動技術の開発・移転・普及
を可能にするため、クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップのような
国際的な統合アプローチを策定。
・連邦政府各省庁の普段の企画・予算策定プロセスの一環として、CCTP 戦略目標と関係
のある最先端技術の実証試験を行うことを考慮。
・気候変動関連技術 R&D を生涯の仕事と考える有望な志願者を対象とする、大学院フェ
ローシップの創設を検討。
・連邦政府省庁、国立研究所やその他の連邦出資研究開発センター(FFRDC)で、気候変
動技術開発関連インターシップを拡大する可能性を検討。
・CCTP 予算を用いて、気候変動と先進技術オプションに関連する K-12 向けの教育カリ
キュラムを設置する可能性を検討。
・CCTP 関係研究・開発・実験活動への民間投資を促進する技術政策オプションを評価。
・民間部門による先進気候変動テクノロジーや他の GHG 原単位削減慣行への投資や導
入を促進する技術政策オプションを評価。
・必要に応じて、気候変動科学技術融合に関する閣僚委員会(Cabinet-level Committee
on Climate Change Science and Technology Integration)の実施している政策関連活動
を支援。
・炭素隔離や GHG 排出削減を推進する土地利用および土地管理慣行を促進する様々な
技術政策オプションを評価。
出所:NEDO海外レポート NO.986,(2006 年 10 月)
資-305
CCTP の 2007 年度予算の一覧を付表5-21 に示す。
付表5-21 米国気候変動技術プログラム(CCTP)の予算額(2007 年度)
プログラム名
2007 年度予算
概要
(単位:$100 万)
水素貯蔵
34.6
自動車等の水素貯蔵技術の開発
低速風力発電技術
19.1
ソリッドステートライト
19.3
低消費電力光源の開発
セルロースバイオマス
32.8
セルロース燃料の研究開発
運輸燃料電離システム
7.5
水素を電気と水蒸気に変換する技術の開発
隔離
78.2
炭素地中隔離の研究
弱い風力でも費用対効果のある電力を供給する技
術の開発
石炭をガスに転換し、そのガスを燃料としてガスター
IGCC (石炭ガス化複合発電)
55.6
ビンと蒸気タービンによる複合発電を行う技術で効
果的に発電が可能
原子力水素イニシアティブ
18.7
原子炉を用いた水素製造技術の開発
先端燃料サイクル・先端燃料炉
25.0
核燃料のリサイクル
メタンパートナーシップイニシアテ
ィブ
13.0
メタンガスの回収を利用による排出削減
温室ガスの排出削減を企業に促進するための連携
気候リーダー
2.0
CCPT プログラムサポート
1.0
-
306.8
-
総額
プログラム
資-306
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