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第31回 資料
第31回 2014.09.26 馬蹄腎 horseshoe kidney IVC Ao 馬蹄腎 400人に1 人程 男女比が約2:1 と男性に多い 左右の癒合部分(峡部isthmus)は腎実質もしくは結合織である. 結合織での癒合は,実質の癒合と比べわかりにくく,⾒逃す場合がありえる 馬蹄腎 90%は下極で癒合 10%は上極側で癒合 通常の腎像の位置 「ハ」の字 馬蹄腎 逆「ハ」の字 IVC Ao IVC Ao 馬蹄腎 逆「ハ」の字 逆「ハ」の字 Ao Ao 峡部 Ao 馬蹄腎と腎結石 馬蹄腎の左右の尿管は、峡部の腹側を走行する為、尿流が悪く水腎症や腎結石を伴うことが多い 馬蹄腎 左腎結石(下極) 馬蹄腎+左腎結石 Ao Ao 2009年 Ao 2012年 Ao 馬蹄腎 • 右腎水腎症 • 右腎結石(下極) 馬蹄腎 (2012年右腎結石が出現) twinkling artifact(+) 2012年 2010年 2012年 ナットクラッカー現象 ナットクラッカー現象の前に 左腎静脈をふくめて関連の血管について 静脈の⾛⾏ 左右非対称なもの 動脈と静脈でことなる⾛⾏をするもの 試験には要チェック 左右非対称なもの • 右腎静脈と左腎静脈 左腎静脈が⻑い • 右副腎静脈と左副腎静脈 • 右静巣静脈と左精巣静脈(男) 右卵巣静脈と左卵巣静脈(⼥) 左の方が⻑い 左腎静脈に流⼊する⾎管 副腎静脈 右副腎静脈 左副腎静脈 下大静脈 左腎静脈 卵巣静脈(精巣静脈) 右卵巣静脈(精巣静脈) 左卵巣静脈(精巣静脈) 下大静脈 左腎静脈 動脈と静脈でことなる⾛⾏をするもの 上腸間膜動脈と上腸間膜静脈 下腸間膜動脈と下腸間膜静脈 nutcracker phenomenon left renal entrapment syndrome ⾎尿をきたす疾患 ⾎尿診断ガイドライン検討委員会 nutcracker phenomenon left renal entrapment syndrome ナットクラッカー現象 左静脈が2つの動脈(大動脈と上腸間膜動脈)に挟まった部位で、動脈圧が高く静脈圧が低いために 静脈が押しつぶされると、静脈内圧が上がって静脈の血液の流れが悪くなるために、左側の腎臓の 毛細血管がうっ血や出血を来たす Aorta ・ SMA ・ LRV ・IVCの位置関係 SMV SMA LRV Ao IVC Retroaortic left renal vein 大動脈後左腎静脈 Retroaortic left renal vein 63歳 女性 くるみ割り器 SMA LRV SMA Ao aorta LRV 左腎静脈と腹部大動脈(縦断走査) 膵 肝 CE SV SMA Ao LRV 44歳 男性 左腎静脈の呼吸による径の変化 Ao LRV LRV 37歳 女性 ナットクラッカー現象 LRV LRV 正常者 CE ナットクラッカー現象 SV Ao SMA LRV LRV ナットクラッカー症候群の診断基準 ナットクラッカー症候群の診断基準として,Ishidoya らは ① ⾎尿と腰背部痛の原因となる泌尿器科的疾患がない ② 上腸間膜動脈─⼤動脈間距離(Nutcacker distance)が5 mm未満 ③ 左腎静脈の最⾼⾎流速度が15 cm /秒未満 ④ 左腎静脈と下大静脈の圧較差が4cmH₂O 以上である ことを提唱している Ishidoya, S., Chiba, Y., Sakai, K. et al.: Nutcracker phenomenon: a case with surgical treatment and its diagnostic criteria. Acta Urol. Jpn., 40: 135-138, 1994 上腸間膜動脈─⼤動脈間距離(Nutcacker distance)が5 mm未満 LRV 大動脈と上腸間膜動脈の形成する角度 (Aorta-SMA angle) 正 常 45~60° ナットクラッカー 10~20° ⼈間ドックでの症例 65歳 痩身体の女性 30年前から血尿を指摘されているいが、いつも精査するも異常は認めない 2013年のドックでも血尿 2+ ナットクラッカー現象 SMA LRV Ao Ratio of A-P diameter of LRV Hilar portion & aorto-mesenteric portion Cut-off value in supine position 3.8 17.8mm Hilar portion : 17.8mm aorto-mesenteric portion : 1.8mm Ratio : 9.8>3.8 ベルヌーイの定理 血流速度から狭窄前後の血圧の差がわかる 粘着性のない定常流の条件下では、 ベルヌーイの定理 が成立する 簡易ベルヌーイの定理 ⊿P=4V² ナットクラッカー現象 モザイクパターン [折り返し現象(エイリアシング)] SMA Ao IVC LRV ⊿P=4V² ⊿P=4☓(1.78)² ⊿P= 12.6mmHg 3mmHg以上では血尿の原因となる 51歳 痩身体の女性 人間ドックでは、尿潜血はいつも(±) ナットクラッカー現象+側副血行路あり(腰静脈叢へ) ナットクラッカー現象 LRV ナットクラッカー現象 上腸間膜動脈─⼤動脈間距離(Nutcacker distance)が5 mm未満 Ratio of A-P diameter of LRV Hilar portion : 16.1mm aorto-mesenteric portion : 1.2mm Ratio : 13.4 側副⾎⾏路 側副⾎⾏路 腰静脈叢へ 左卵巣静脈へ nutcracker phenomenon 叢 ︓ [音]ソウ(漢) [訓]くさむら むら むらがる 草が群がり生える。くさむら 群がり集まる。多くのものの集まり ナットクラッカー現象 側副血行路あり SMA IVC LRV Ao collateral vein L-Kid ナットクラッカー現象 側副血行路あり collateral vein collateral vein 痩身体の34歳 女性 学生時代血尿あり 現在も尿潜血(+) ナットクラッカー現象 Ratio of A-P diameter of LRV SMA Ao LRV Hilar portion : 9.7mm aorto-mesenteric portion : 1.4mm Ratio : 6.9 ナットクラッカー現象 側副血行路あり LRV collateral vein 側副⾎⾏路 左卵巣静脈 痩身体の52 歳 ⼥性 尿潜血 2013年(+) 2014年(±) ナットクラッカー現象 SMA Ao LRV 細いLRV 52歳 女性 腰静脈叢への側副血行路 SMA LOV Ao collateral vein 52歳 女性 左卵巣静脈の拡張 Left ovarian vein Left ovarian vein LRV LRV L-kid L-kid 52歳 女性 Ao Left ovarian vein L-kid 52歳 女性 痩身体の60 歳 ⼥性 尿潜血はいつも(+) ナットクラッカー現象 Ratio of A-P diameter of LRV SMA Ao 細いLRV LRV Hilar portion : 10.9mm aorto-mesenteric portion : 1.0mm Ratio : 10.9 ナットクラッカー現象 側副血⾏路(左卵巣静脈) LRV L-kid 左卵巣静脈 側副血⾏路(左卵巣静脈) LOV LOV L-kid 左卵巣静脈の拡張 • ナットクラッカー現象の側副血行路 • 骨盤うっ血症候群 卵巣静脈(精巣静脈) 右卵巣静脈(精巣静脈) 下大静脈に合流 左卵巣静脈(精巣静脈) 左腎静脈に合流 骨盤うっ血症候群 (Pelvic congestion syndrome) 左卵巣静脈への逆⾏性⾎流や左腎静脈の⾛⾏異常(ex. retro aortic left renal vein、nutcrackerphenomenon)など によって骨盤内静脈の拡張、うっ⾎をきたした病態で、慢性の下腹部痛、過多⽉経、不正性器出⾎などの原因となる。 ⼥性の慢性腹痛の原因として重要だが、意外と知られていない 「寺元記念病院画像診断センター」 ホームページ 骨盤うっ血症候群 (Pelvic congestion syndrome) 子宮の両側で屈曲蛇行した静脈拡張が目立ち、拡張した左卵巣静脈へと繫 がっている(←)。下大静脈が造影されていない早い時点で左卵巣静脈が 濃厚に造影されており、左腎静脈からの逆行性血流が示唆される 寺元記念病院画像診断センター dilation of the ovarian vein and left para-uterine varicosities. 左側子宮静脈瘤 左卵巣静脈の拡張 左腎静脈はナットクラッカー現象も出現する、このあたりは還流障害おきやすい 男性不妊の原因になる精索静脈瘤が起こる部位は殆ど左 ついでに 右卵巣静脈症候群もあるよ 右卵巣静脈症候群 Right Ovarian Vein Syndrome 卵巣静脈(精巣静脈) 右卵巣静脈(精巣静脈) 下大静脈に合流 左卵巣静脈(精巣静脈) 左腎静脈に合流 右卵巣静脈は尿管の前で鋭角を作って交叉して下⼤静脈に流⼊ 人間ドックでも遭遇かも知れない 右卵巣静脈症候群 妊娠16〜28週に突然の右背部痛が出現する。卵巣静脈は⼦宮の増⼤により、しばしば怒張し 尿管を圧迫する。 右側の卵巣静脈は直接下⼤静脈に開⼝し、左側では左腎静脈に開⼝する。 この違いにより右卵巣静脈は尿管と交差し、圧迫しやすくなる。 その結果、交差部より上⽅の尿管、腎盂は強く拡張し疼痛を⽣じる。 超⾳波検査により腎盂の拡張が確認できるが、通常⾎尿などの症状に乏しい。有効な治療がなく、 妊娠28週以降⾃然治癒する。 「周産期看護マニュアル よくわかるリスクサインと病態生理」 中井章人著,東京医学社 本題にもどって 痩身体者の左腎静脈について 痩身体者のLRV • 痩身体者は注意が必要 全てがナットクラッカー現象にならないように 右腎静脈との比較においてやや拡張している所見は、健常者でもしばしば認められるので、これだけで病的とはない • 疑いがあれば、まず血尿があるかを尋ねる • ナットクラッカー現象の場合は極端にLRVが拡張や側副血行路が認められる ナットクラッカーの左腎静脈 痩身体者の左腎静脈 SMA LRV LRV RRA IVC Ao ナットクラッカー現象以外にも血管の圧迫でおきる疾患 • 上腸間膜動脈症候群 • 腸骨静脈圧迫症候群 上腸間膜動脈症候群 Superior mesenteric artery syndrome (Wilkie syndrome). SMAシンドローム ウィルキー症候群 上腸間膜動脈症候群(SMA syndrome) 十二指腸水平脚が、大動脈と上腸間膜動脈に挟まれて狭窄や閉塞し、腹痛や嘔吐を生じる <画像所見> 食道下部~胃~十二指腸水平部は著明に拡張し、液貯留を認める。 小腸の拡張は認めない。 閉塞部位は大動脈と上腸間膜動脈の間隙付近 「プロメテウス」 消化管エコーの最新動向 本症例を生じやすい要因としては、 ①先天的に大動脈と上腸間膜動脈の形成する角度が小さい。 ②体重減少(神経性食思不振症) ③筋緊張低下による内臓弛緩・下垂(妊娠、脳障害、強皮症など) ④仰臥位での長期臥床(手術後、全身ギブス固定、全身火傷) ⑤高度の腰椎前弯 が挙げられる。 急激に発症し、激しい胆汁性嘔吐と胃拡張、腹痛、脱水を呈するまれな急性型と、間歇的に食後の心窩部痛、 腹部膨満感、嘔気、嘔吐を認め、徐々に体重が減少する慢性型とがある。 治療は保存的治療が主流で、治療に抵抗する例や再発を繰り返す例が手術の適応となるが、手術法は十二 指腸空腸側々吻合が簡便で成績も良い。 参考文献;ここまでわかる急性腹症のCT 荒木 力 MEDSI 急性腹症のCT へるす出版 上腸間膜動脈症候群(SMA syndrome)の症状 十二指腸閉塞なので、嘔気・嘔吐、胃部の膨満感、腹痛など SMA症候群をきたす要因として、急激な体重減少がある場合があり、 神経性食思不振症など摂食障害の患者に見られたりします。 十二指腸水平脚とSMA(上腸間膜動脈)との間には脂肪組織があり、それがクッションの役割を 果たしている。 そのため通常は閉塞まで至ることはないが、体重減少により脂肪が減少すると、 そのクッションが取り除かれることとなり、 十二指腸閉塞を来たす。 正常者 SMA 十二指腸水平部 Ao 腸骨静脈圧迫症候群 iliac compression syndrome May Thurner Syndroom 腸骨静脈圧迫症候群 左腸骨静脈は、右腸骨動脈と腰椎の間を両者に挟まれた状態で走行 人によっては、この挟まれ方が強いために左腸骨静脈の内腔が著しく狭窄したり閉塞したりするために、 血液がうっ滞して深部静脈血栓症の原因になることがある 腸骨静脈圧迫症候群 May Thurner Syndroom 動脈と静脈でことなる⾛⾏をするもの 上腸間膜動脈と上腸間膜静脈 下腸間膜動脈と下腸間膜静脈 門脈 SMV 上腸間膜静脈 (副腎静脈) 門脈に注ぐ 脾静脈 下腸間膜静脈 IMV (生殖腺静脈) 脾静脈に注ぐ 内腸骨静脈 (中直腸、下直腸静脈) 大腸がんの転移先は 門脈を介した肝臟 ちょっと待った、下部直腸がんは肺転移だよ 右側の大腸(盲腸,上行結腸,横行結腸)は 上腸間膜動脈 左側の大腸(下行結腸,S 状結腸,直腸 S 状部,直腸)は 下腸間膜動脈 右側の大腸(盲腸,上行結腸,横行結腸)は上腸間膜動脈から血液の供給を受けている 左側の大腸(下行結腸,S 状結腸,直腸 S 状部,直腸)は下腸間膜動脈から分かれた以下の動脈から血液 の供給を受けている •盲腸 回結腸動脈 •横行結腸 中結腸動脈 •S状結腸 S状結腸動脈 •上部直腸 上直腸動脈 •上行結腸 右結腸動脈 •下行結腸 左結腸動脈 •直腸 S 状部 上直腸動脈 •下部直腸 上直腸動脈と内腸骨動脈から分かれた中・下直腸動脈 門脈 SMV 上腸間膜静脈 (副腎静脈) 門脈に注ぐ 脾静脈 下腸間膜静脈 IMV (生殖腺静脈) 脾静脈に注ぐ 内腸骨静脈 (中直腸、下直腸静脈) 肝静脈 門脈 肝臟 腸骨静脈 下大静脈 下直腸静脈 中直腸静脈 上直腸静脈 直 腸 肛 門 門脈に流入しない血管 Rs癌とRa癌→下腸間膜動脈リンパ節→門脈→肝転移 Rb癌は内腸骨動脈リンパ節→下大静脈→ 心臓→肺転移 下部直腸がんは肺転移