...

講義資料 - 九州大学

by user

on
Category: Documents
29

views

Report

Comments

Transcript

講義資料 - 九州大学
2011年度後期遠隔授業
「日米ビジネス最前線とリーダーシップ」
最終講義
各講師の心に残る言葉
イノベーションフォーラム、私にもひとこと言わせて
これから日本はどう変わるか
2012年1月24日
松尾正人
2011年後期遠隔授業
「日米ビジネス最前線路リーダーシップ」各
講師のまとめ
心に残る言葉集
10月11日(火) 梶山千里福岡女子大学長
前九州大学総長、前学生支援機構理事長
人並みの努力は人並みに終わる
基礎をやれ、本を読め
経験をつむと選択肢が増える
独創性を積み重ねると創造性が出来る
出る杭は打たれる時代は終わったー実力を備えて目立ってゆけ
国際教育は男も女も同じ、しかし女性に有利なこともある
ー忍耐力、音感=コミュニケーション力、ネットワーク作りー
10月18日(火) 藤井清孝:ベタープレイス・ジャパン代表取
締役社長兼アジア・パシフィック代表
日本を変える3つのイノベーション
1.ビジネスモデル・イノベーション
2.ガバナンス・イノベーション
3.リーダーシップ・イノベーション
リーダーは自分の意思で方向を決める
皆の意見から良いものを選ぶのではない
良い仕事の定義が変わった
客がはっきりしている、成長、どんな人が働いているか
サラリーマンからオーナーシップへ
なぜアメリカは設け方がうまいかーイノベが得意、
お金の流れを読む、創造性に価値、
新しいビジネスモデルが作れる
11月8日(火) 森 敬太:SanBio創業者、社長
これからの医療は再生医療、日本が強い、
というビジョンで会社を興した
日本で4週間で全ての先生に会った
UC BerkeleyでMBA、シリコンバレーで会社設立
専門外でも抵抗ない
日本のバイオベンチャーは冬の時代だが金はある
事業会社から、研究助成金、ベンチャー融資
気合とビジョンが成功の基
11月22日(火) 荒金久美
(株)コーセー取締役、元研究所長
筋の良いシーズを見つける眼を磨けーネットワーク、直観力
周囲をねじ伏せる腕力ー研究者が持つべき
どこを押せばドアが開くかを知ること
二つの異なる能力を身に着ける
論理的思考と創造性、主張力と傾聴力
12月6日(火) 外村 仁
エバーノート・ジャパン会長
夢中になってやることはずっとおいしい
違うことをしている人や別の世界の人から学ぶこと
アメリカはOpt-in(まずはやってみる、後で修正),
日本はOpt-out(完璧になるまでやらない)
1000の“No”をいう。判断する人にはClearVisionがある
正しい判断は、良い素材に多く触れておくこと
本当の絵、きれいな自然、絶対的な美しさ
直感を磨き信じること
日本はAll Roundにしがち、SteveJobsは「消す」を行った
12月13日(火) 青木計世
キューデン・エコソル社常務取締役
1500人中大卒女子10人くらいーフラストレーション
アメリカで大きな転機
受身から主体的へ、大きなことをする人を見た
自分で提案すればやらせてくれる
インパクトのあることをやると抵抗が大
理念は守り、戦略は柔軟に
2012年1月17日 (火)加藤晴洋
キイノートベンチャーパートナー
VCとしての加藤さんの信念は、日本は起業しに
くい環境にある。シリコンバレーで起業するべき
である。
イノベーションフォーラム
イノベーションフォーラムをなぜやったか
日本国は今エネルギー政策の見直しを開始、来年夏まで
に結論を出す
原発については国全体の思いとしてはやめたいという意見
が70%を占めている。本当にやめてやっていけるのか。
そのときの重要な要素は
「代替自然エネルギーは十分可能性を持っているか」
学生もこれに参加し、自分で考え、知識の集積ではなく見
識にまで高めてほしい。
そのために調査して、学び、全員意見表明する
皆さんは良く調べ、よく意見を述べてくれた。素晴らしい。
イノベーションフォーラム
私にもひとこと言わせて!!
原子力発電 私の思い
• 100%安全であるという技術はない。必ず事故は
起こるという前提に立つ。
• 日本の原発は事故は起こらないという前提に立つと
いう大きな間違いを侵した
• 事故が起こったときに影響が大きい技術は避ける
べきである
では、100%安全な原発ならよいか?
田坂広志ー前内閣官房参与
官邸から見た原発事故の真実 これから始まる真の危機
http://www.youtube.com/user/jnpc#p/u/0/bMRD3p2nuuI
田坂広志著、 光文社新書
100%安全な原発なら良いか?
原発=原子炉+使用済み燃料プール
1.使用済み燃料プールの容量が限界に来ている
2.使用済み核燃料の処理が出来ていない
トイレなきマンション
3.メルトダウンした炉を廃炉にする時の処分の仕方
がわからない
4.日本の安全は技術の問題ではない。
人的、組織的、制度的、文化的な
安全性が問題だ(田坂広志)。
1.使用済み燃料プールの問題
プールは満杯に近いー日本全体の平均=66%占有
地震や津波でプールが壊れると大問題、メルトダウン
もありうる。4号機が心配。
水
深
1
0
メ
ー
ト
ル
2.使用済み核燃料の再処理問題
青森県六ヶ所村再処理工場
2006年試験開始以来延長続きで、本格稼動ができていない、
処理量も少ない
•
日本全国の原子力発電所で燃やされた使用済み核燃料を集め、その中から
核燃料のウランとプルトニウムを取り出す再処理工場。最大処理能力はウラ
ン800トン/年、使用済燃料貯蔵容量はウラン3,000トン。
2007年の使用済み核燃料総量は14,870トン
•
2010年の本格稼動を予定して、現在はアクティブ試験という試運転を行って
いる。試運転の終了は当初2009年2月を予定、しかし、相次ぐトラブルのため
終了は2010年10月まで延期されることが発表されていたが、2010年9月に
なってから、さらに完成まで2年延期されることが発表された。完成までの延
期はこれまでに18回にも及ぶ。これら延期のため、当初発表されていた建設
費用は7600億円だったものが、2011年2月現在で2兆1930億円と約2.8倍以
上にも膨らんでいる[1]。
•
青森県六ヶ所村の敷地内にはウラン濃縮工場、低レベル放射性廃棄物埋設
センター、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターが併設して建設されてい
る。今後 MOX燃料工場の建設も予定されており、核燃料サイクルのための
核燃料コンビナートを形成する。
3.廃炉の問題
• 廃炉処分のコストはコスト計算には入っていな
い
• メルトダウンした原子炉を廃炉にする時、どの
ように処理するのか方策が見えない
4.日本の安全は人的、制度的、組織的、文化的
問題だ
• 経済産業省と原子力保安院が同じ組織にある
• 原子力安全庁の新設は正しいが人数が少なく、規制
の文化を正しく強く実行できるか疑問
• 経済優先の発想が水素爆発となったのではないか
• 事故直後から、気象庁の放射線拡散シミュレータ-
speedieを公表し、環境モニタリングを行うよう進言した
が実行されず
• 東電の隠蔽体質
もう一度
100%安全であるという技術はない。必ず事
故は起こるという前提に立つ。
たとえ技術が100%安全であっても、人的、
組織的、制度的、文化的な安全性が問題だ。
事故が起こったときに影響が大きい技術は
避けるべきである
カリフォルニアにおける2009年6月24日の
電力需要供給曲線
実際の発電量
電力需要予測
実際の電力需要
2050年のエネルギーの選択
代替再生可能エネルギーのどれが主役になるか
Solar Trillions" by Tony Sebaより
この本の著者、Tony Seba、は現在の世界のエネル
ギーインフラ能力を14テラワットとしている。エネル
ギー需要増加速度が現在の米国と同じと仮定すると、
2050年には102テラワットのインフラが必要である。
しかし、全ての有効なエネルギー節減対策が実行され
たとすると、必要なインフラは30テラワット程度となる。
つまり今後40年間で16テラワットのインフラを作らね
ばならない。それを何でまかなうかが問題である。その
ため下表の3つの基準に照らして考察している。
2050年の代替可能なエネルギーの本命は何か
エネルギー源 クリーンで持続可能か
経済的に見合うか
拡張可能か
風力
今の電力の中でもっとも安 全ての可能な場所に設置す
騒音、外観、鳥が死ぬなど
価な部類、5円*/KWh程 れば2テラワットまで理論的
があるが概してクリーン
度。
には可能
地熱
ほぼクリーン、ただし、注入
する水の確保の問題、水の
注入による地下のひび割れ
の影響、地下流体に含まれ
る汚染物質(水銀など)によ
る影響、景観や温泉の問題
などがある。
水力
もはや水力発電に適した場
石炭に比べると少ないが、 現存プラントは5-8円/K
所はほとんど残っていない。
水中に没した大量の植物の Whだが2016年稼動の新プ
これまで100年間で作られ
腐敗による溶解性メタン発 ラントは11.4円/KWh位と
た能力は0.7テラワット、今
生、下流地域での栄養分不 なる、ただし、何百人にも上
後はもっと難しくなるので0.
足による合成肥料の増加、 る生活者の移住コストを計
35テラワットがせいぜいとい
などの問題がある。
算に入れていない。
われる。
5-8円/KWhと安い
世界では0.15テラワット程
度しか可能性はない。しかし
日本は世界第3位の地熱保
有国。多くの可能性がある。
ほとんどの地熱発電可能領
域は公立公園内にあるので
国が決めれば実行可能。
バイオ
植物が太陽光をバイオマスに エネルギー収支的に見てネガ 全米の路上にある車両をすべて
変換する効率は年間ベースで ティブ、すなわち、バイオ燃料 稼動させるに必要なエタノール
0.3%程度、その上大量の水 製造にはできた燃料以上のエ を作るには全米農地の35%(C
と肥料を要する、エタノールは ネルギーを必要とする、とうもろ Aの3倍の面積)が必要、その上
ガソリンよりも90%多いCO2を こしの場合できるエタノールよ 経済的にはロスなので続けるこ
出す。
り29%も多い化石燃料が必要。
とはできない。
原子力
原子力発電所建設の資本コス
もちろんクリーンではない。チェ
トは$8-$12/ワットと高い すべての仮定が成り立つとして、
ルノイブリの事故で6000Km2
(太陽熱発電所の2倍)、建設に 今後40年間で1000基の原子
が荒廃し、400以上の集落が埋
は最低10年かかる、今後の新 力発電所(各1ギガワットとする)
められ、何万人もの人が避難し
プラントは25-30円/KWhの を作ったとしてもせいぜい1テラ
た。核廃棄物は何万年もの間リ
コストとなる、その上使用済み
ワットである。
スクを与え続ける。
燃料の処理コストは国の出費。
石炭
普通の500MW石炭発電所は
年間19万3千トンの汚泥、
拡張可能である。この考察では
12万5千トンの灰、
現在5-8円/KWhといわれ 石炭、石油、天然ガス、原子力
1万5百トンの窒素化合物
るが、汚泥や灰の処理など計 が今日と同じ量のエネルギー、
を出す。含まれるウランやトリウ 算に入れていない費用が多い。 14テラワット、を作り続けるとい
ムは燃焼で10倍に濃縮され人
う仮定で考える。
間の生活に影響する。
ソーラー
クリーンで持続可能。どんなエ
ネルギーと比べても土地利用
効率、資源利用効率、拡張性で 太陽熱発電は現在CAの砂漠
群を抜いている。必要な土地は では 10-15円/KWh、今
石油や石炭の採掘や処理に必
後下がり続ける。
要な面積に比べて微々たるも
の。
数テラワット級に拡張可能
波力発電
波力発電の実験は、神戸大学や兵庫県の企業などが和歌山県すさみ町
の沖合に試作機を浮かべて、今月から行っています。試作機は10メート
ル四方の浮きの上に発電機が載せられ、波で揺れると発電するもので、
これまでの実験で、目標としていた40キロワット、一般の家庭30世帯から
40世帯分の電力の発電に成功しました。波力発電は、発電量のわりに費
用がかかることが課題ですが、今回の試作機は波の上下の揺れを回転
運動に変える新しい装置を導入し、構造を簡単にできたことから、電力量
1キロワットアワーあたりのコストを30円台と、波で圧縮空気をつくって発
電する従来のタイプの7分の1以下に抑えることができたということです。
波力発電装置の例
波力発電のメリットとデメリット
波力発電の場合は、波の状況は予測しやすいために、
発電量に見通しがつけやすいというメリットがあります。
確かに波の力も日々変動する事は事実です。しかし波
力の場合は、風力ほど大きな変動は無く、したがって大
きな出力低下のリスクは風力ほど大きくはないといえま
す。発電に最適な地理条件さえ確保できれば、波力発
電は比較的安定的な発電方法だといえます。
しかし波力発電にはデメリットもあります。波力発電の
ための装置は、激しく変化する海洋気象に耐えなくては
なりません。激しい台風による高波や高潮にも耐える必
要性があります。
結論
結論として、太陽エネルギーに頼るのが一
番合理的であり、後は風力が有力と考える。
ただし日本では地熱は有力かもしれない。
原子力に頼ることは安全性、コスト、拡張性
の観点から無理である。
波力発電は これから。
これからの日本はどうなる
日本国の借金は大きな問題
– “Japan-Point of No Return” by Vitaliy Katsenelson, CFA,
Investment Management Association
– 予算のうち国債費(利子支払い+償還費)は約20兆円
– このうち利子は約10兆円、利子は約1%
– ギリシャのように問題になっていないのは所有者の90%
が日本国内だから
– 今後国内で販売が出来なくなり外国人所有者が増える
– そうなると国際的利子変動の波を受ける
– 利子が2%になったら日本国は破産しかねない
それを防ぐにはどうしたらよいか
政府は税を下げ、景気刺激のための支出を増やしてきた
収入と支出の差を埋めるための借金。負債は1990年から3倍へ
歳出の30%が社会保障費、25%が国債費
ベンチャーキャピタリストVijay Parikhの意見
これからはもっと働かなくてはならなくなる
a) 好きなことをやれ!今後もっと働かなくてはならな
いだろう。しかしその仕事が好きならあまり苦には
ならないだろう
b) ブラックスワン現象(きわめて異常な現象)が起こり
うることに気をつけろ。たとえば日本が危機に陥り
政府が公務員を削減し年金を減らすようなこと。
c) そのソースが誰であれ、常に新しいアイデアや
アドバイスにオープンであれ。
d) 米国は世界中から最も賢い人が集まり、最も
オープンな社会なのでビジネスで成功する確率
が高い。
Seth Godinの見方
• 不況は永遠に続く、なぜなら80年続いてきた工業社会が終
局に来ているから。
• 従来は「会社の言うとおりに働いてきた」普通の人は普通の
収入を得てきた。これからはそうならない
• 人の言ったとおりのことをやっていると、賃金の安い人に置
き換えられる
• ホワイトカラーの仕事もエンジニアの仕事も置き換え可能な
時代になった
• Race to the Bottomになるか、Race to the Topになるか
• Race to the Topになるためには
自分で選べ、自分で何か始めろ、かけがえのない人材にな
れ
最後に、こんなイノベーティブな街づくりはいかが?
Fly UP