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非対称情報下における昇進モデルと 「日本的」昇進慣行

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非対称情報下における昇進モデルと 「日本的」昇進慣行
非対称情報下における昇進モデルと
「日本的」昇進慣行
太田聴一
名古蓮大学
本稿は労働者よりも念業の方が労働者の昇進可能性をより明薙に把謹していると
いう状況のもとでの昇進モデルを展開し、そ
る
r
r
可鶏入社同時昇進」システム
を日本の代表的な昇進'慣行であ
した。モデルの主な結論は、上位の職踏の
空席数や労働者の異貫性の程変、さらには技能の企業特殊性の程度が昇進モードの
選択に影響を及ぽすということである。より呉体的には、高い経混成長を経験し、
人的資本の企業特殊性が高く、比較的関質的な労髄者を磯保可能であった日本企業
は「民鶏入社同時昇進 J のような昇進慣行を
せたと考えられる。
1
. はじめに
高度に発麗した内部労融市場においては、上位の職階への昇進が労働者の努力を
引き出すための重要な誘盟メカニズムの機能を
していることが多い。したがっ
て多くの研究がこのメカニズムの解明をめざしてき
提来の研究ではあまり
されていないが、現実にみられる内部昇進の重要な側
留のひとつ ζ 、必ずしもすべての労働者がよ{立の職階への昇進議会を与えられるわ
けで誌ない、ということがある。ある場合には労働者のキャリアの初期段階で少数
のエリートが選抜され、そのヱワート同士でよ設の職階への昇進議争が行われる。
地方、なるべく多くの労勤者に昇進機会を控供するような人事管理も
立行われ
ている。単純な二分法で表現するごとらば前者;玄米田型、後者辻日本型人事政策とい
うことカfで、きょう。
目的はこのような人事政策の議いがなぜ発生するのかを
理論的に追求することにある
O
この関鵠を分析するために、本稿は企業(もしくはよ奇)が労働者{部下)の昇
ニ
ア2 B本 総 務 研 究 翠0
3
0
.
1
9
9
5
.
1
2
議可能性についての構報を当該労欝者より多く持ち舎わせているケ…スにとりわけ
関心を払う。この想定
においてきわめて白熱なものと思われる。理由法
以下の通りである。
に、下位職にいる労欝墳が上伎の鞍躍における職務の逆行に必要な遥撃を十
分記判断することは難しい。実際、ホワイトカラー労観者の場合、上碍は部下の現
在の仕事の実韻のみを評髄しているわげではなく、性格や能力に関する嫌々な側面
を考議して人事政策を行っている o 例えば、勤勉さ、協調 t
f:,創造室、機極性、
任感、暫欝の正確さ、交渉能力など様々な鵠欝が査定されるわけである。各労欝者
は自分の性格などをおよそ現解していたとしても、部が企業にとって望ましい適性
か、また上位の職階の職務の逆行に必要な資葉は何であるのかを正確に判慨するこ
﹂
シ
あろう。逆に替えば、上言はそのような需報を部下よりもより多く持ち
合わせているわけである。
に、大鑑識では各労働者がお立いの実績を正識に比較することはかなり難し
いと患われる。このこと誌とりわけ、労舘替が異なった仕事や地理的に離れた部署
は配属されている場合に顕著となる。仮にある桂度は可能で、あるとしても、十分な
情報を校集することには大きな費用が伴うであろう。他方、霊ま督賞任者はより中央
の懐報に近い笠置におり、上イ立職の設轄の状況や多くの労働者の中で識がふさわし
いか立関してより多くの穣報を入手できる立場にいる。
筆者の知る怒り、このような構報の非対称性の問題を最初に定式 f
としたのは
P
r
e
n
d
e
r
g
a
s
t(
1
9
9
2
)である。設は上で述べたように、企業の方が労働者指身よりも
よ柱の職に対する i
毒性をよく理解しているという状況を想定する c この場合、もし
労働者が品分の適性に喜需を持っているならば、昇進のためは企業特殊的人的資本
に対する投資を行うインセンティヴをもっ。したがって一部の労積者を早い段階、
すなわち人的資本に対する投資前に昇議させると彼らは島建を持って投資を若うこ
とがで、きる
G
ただし、このようなー蔀の労働者を餐遇するような政策は投資のイン
センティヴをもたない多くのノンエリートを生み出してしまう。 P
r
e
n
d
e
r
g
a
s
tに
よれば、このような昇進政策辻米患の企業に額繋むみられるものであり、
「スター
契約」と呼んで、いる。他方、企業は労識者の適性を秘置し、ほほ全員に投資安行わ
せるという人事政策もとることができる o これが、日本にみられる「遅い J 昇進政
策である。 P
r
e
n
d
e
r
g
a
s
tの主躍は、もし人的資本に対する投資のリタ…ンが十分
に高い、もしくは外部労働市場があまり競争的でない場合には「遅い J 昇進モード
は「早い」昇進モードよりも効家的であるということである
G
委主対称、情報下における害事選モデルと「隈本的J 争奪還主僕行
73
この研究拡大変三示唆に富むものではあるが、若干の不満が残る。というのも、経
済成長や労働者の異鷲誌の程度が昇進モードの選手尺にどのような影響を与えるのか
という関鰭をあまり考慮していないからである。本稿の院的はこの点を明示的
議に入れたモデルを構築したうえで、司本企業内の昇進メカニズムを分軒すること
r
e
n
d
e
r
g
a
s
t(
19
9
2
)で導入された非対称情報の長定安踏襲す
にある。基本的には P
るが、本稿 i
まいくつかの点で異なっている。
第一に、経諮もしくは企業成長の効果を分析するために、企業の摺譲携造を
的にモデル内に取り込んでいる
O
このことにより、企業成長は上位の職階における
空席数の増加をもたらし、昇進モードの選択に影響撃を与えることが示される。
労働者の昇進可能性を企業特珠約人的資本に対する投資量の連続的な増
加関数として与えることにより、投資水準の決定問題を考察できるようにした。
生、きら誌は技能の金業
本稿の基本的主騒辻上位の職轄の空席数や労齢者の間賞i
'
設の桂度などが昇進モードの選択に盤要な影響を与えるということである。す
特殊1
なわち、高い経済成長
し、技能の企業持味性が高く、労欝者の岡賢│主を護課
るためのシステムを保有した日本企業は「間期入社民時昇進」のように比較的労
働者を乎等に取り扱う界進システムを発遣させたと論じる。
本稿の講或は以下のとおりである。次節で辻本犠の基本となるそデルを展開する。
第 3錨で日本の昇進慣行に対するモデルの適用可能性を議論する。第品部でモデル
の合意のより深い検討を符う
o
第 S節が結語である。
2
. モデル分析
本節で l
ま基本的なモデルを説明する o 考察の対象としている経法における企業法
2つの踏識で構成されている。下位の職階はさ佐藤労欝者で占められる。地方、
の職階は霊長醤者で占められ、下位の労働者の髄きぶ、りそ経営者に報告することが仕
事内容である。監督者一人当たりの部下の数(すなわち統率の麟) ,まある烹数以下
汁ればならないとする o すなわちその定数を趨えると監禁の効率性が議下する
ことによって生産活動に支需をきたすと考えるわけである o 単純化のために労鵠者
泣
2期間生存すると改定する。労館者、企業ともリスク中立的である。持聞は次の
ま麗用され下f
立の蟻般に配属される o 第
ようは推移する。まず、第 1期首に労犠者 i
l期末に労{鶴巻の上位の職に対する適性が少なくとも企業に判明する
育報を用いて器い適性の
はこの i
74 日本綾子蒔波書宅 N
o3
0,1
9
9
51
2
,
,
O
ここで企業
を解雇する事ができる。解雇された労働者
2期には外部労鶴市場において成立する賞金を受け取る o このような政策を以
下す支資機会の器J
I隈」と時ぶことにする o 残った比較的藤秀な(上位の職との適性
立の職務の遂行 ζ 必要な人的資本記対する投資を
の高い)労齢者辻企業特殊かつよ f
行う。投資に成功した労働者は第 2期首に監督者の職暗に昇進し、的方、投資に
した労骸者は解麗され、外部労{駒市場で成立する黄金を受け寂る。この仮定に
対する…つの解釈は、議督者の仕事を遂行するために最f
義援必要な技能水準が存在
し、その水準を達成で、きるかどうかは様々な要鵠によって確率的に左者される、と
いうものである。また本槙では昇進確率は労働者による投資水準の増加関数で、ある
と想定している。
き点として、本第の分析では内部昇進のみを想定
していることがある。これ辻労働者が第 1鵠に下位の職階立おいて働くことが上位
の職務進行のための人的資本に対する投資の費用を大幅に節減することになるとい
う仮定が背後にある。この想定について誌次範で再論する。
議性に関する情報の現れ方と雇用契約
以上が本稿で考紫する選抜過程であるが、 i
の形態によっていくつかのケースに分類できる。まず、構報の現れ方であるが、こ
れは 2つのケース立分かれる。第一に、油性に関する需報が第 l端末に労働者と企
業の笈主に開訴される場合が考えられる O これは対称情報のケースであり、高蔀で
述べたようにこれが大規模組織の実体を反映しているとは考えにくい。第二はその
ような警報が企業側のみは開示されるケースで、あり、本穣の議な考察対象である非
対称情報の想定である。さらに麓期契約の形態にも二つの場合が考えられる O 第一
に、藤現時点で 2期間を通じての完全な契約が結ぼれるケースが考えられ、この場
合将来起こりうるすべての可能性とその対処法が契約 ι明記される。このよう
約をここでは「完全契約J と呼ぶことにする。しかしながら現実にこのような契約
artandHolmstrom(
1
9
8
6
)が
を締結することには様々な形の取引費用が待う。 H
指携しているように伊U
x
J工、(1)長期の契約期間内に記こりうる様々の事象をそ子説す
るカにかかる繋票、{おそのような様々の可能性に対処する方法を決定し合意を形成
するための饗用、 (
3
)暁確に勢約を作成してその効力を保証するための襲期、
なったとき対処するための費用、などが考えられる。したがって、企業は労
働者と 1期ずつの契約を提示し、それを楚新してゆく可能強も十分考えられる。こ
れが「不完全契約」のケースであり、本稿の考薬害対象である o 二本館ではこのような
「非対意需報J かっ「不完全契約」下記おける昇進メカニズムを分析する。これま
で述べたように、このケースがもっとも現実に近いものと思われるからである。
ただし、第 4節では拾のケースを想定した場合の合意も検討している。
手ド対称情報下における手字選主モデルと 「日本約」事字選主演行 75
では労働者の i
設住に関する非対呑{警報の想定は企業の昇進政策にとってどのよう
な意味合いをもつのであろうか。 Pr
仙 台r
g
a
s
t(
1
9
9
2
)が指識したように、この場合、
企業は労識者に「自分の通性誌高い」と信じさせることによって、労働費用一定の
もと、より多くの人的資本に対する投資を引き出すことができる。ところがこのこ
とは誘器整合的(I
n
c
e
n
t
i
v
ec
o
m
p
a
t
i
b
l
e
)ではない ο というのも、非対称簿報のも
と、企業はすべての労備者に昌信を持たせようとすることを労散者は理解しており、
そのような企業簡の罷報を信頼しないからである。このようなモラルハザードの問
題が存表する場合は企業のとりうるひとつの人事政策は、適性の抵い労働者に投資
機会を与えず、殺りの比較的譲住の高い労骨者〈ここでは候補教と呼ぶ)に自信を
るというものである。実際、労働者が上{立の職務に対する適性に践するおお
よその分布を理解しているならば、このような人事管理は有効なものとなろう。
なわち、競争から排除された労働者の数さえ知ることができれば、 f
議議者はその構
報を利期して自分の適性に関する予想をよ方修正するのである。しかしながら、こ
の場合には投資に参加する労動者数が少なくなるという費用がかかる。業 i
まこれ
らの科揮と費用をよと較しながら最議な昇進政策を選択することになる c
具体的な定式化は以下の通りである。労働者の昇進確率辻企業特殊的な人爵資本
に対する投資量何)と管理職応対する
(訟の増加関数である。次のような
関数型を仮定する。
P(e,
a
)ニ a
p
(
e
)
(
1
)
p
(
O
)=O,
p(∞)話 1,
p
'(
e
)>0,
p
'(
0
)口∞, p
'(
∞
)
コ
ニo
,
p"(
e
)く G
ここで a誌 記a
)(a>O)という分布を持ち、その範囲は [m,
1J(m>O)であるとす
をする。こ
るo さらに契約に参加するすべての主体はこの分布裂を知っていると叡2
こでよ蓮笠が C以下の労動者は解雇されることによって投資機会が与えられないもの
さ
与m が成立する。
とする(以下 C を選抜点と呼ぶことにする)c 当誌ながら c
i
まー窓の統率の騒を探たなければならない。すなわち、監督の効壊を保つために監
督者一人当たりの下{立の労勲者数はある水準を謡えではならない。ここで第 t期
;
二
おける労犠裳数をうもとし、許容最大限の統率の磁の逆数を 6と表すと、第 t期に
おいては次の技手詩的制約条件が満たされねばならない。
1
1
州出企;三'-"'k
ap(e)g(
76 B本緩済研究苦0.30,
1
9
9
5
.
1
2
(
2
)
労働者双方ともに次期に成立する kを
単純化のため
に実日っていると
設定する。議論の本質は主がある薙率分布にしたがうと想定しても変わらない。
さて、上位の職階の重金を 1彩、外部労鋤市場で成立している繋金をすで表そう。
ここでは本完全契約、すなわち 1長男ずつの契約の更新を想定しているので、第 1期
における賃金決定などを考慮せずに昇進政策を分析することが可能である。言い換
えれば、第 1期末での労鶴者の投資仔動と企業による監督者の賞金費用最小化問題
のみを考えれ i
まよい。稜捕者の効用最大化問題は次のように表すことができる。
maxr十 E
(aI
a主主c)p(e)(w-r)-e
(
3
)
人的資本に対する投資筆記を増加させると昇進確率、すなわち高い賃金を得る確率辻
上昇するが、労畿の不効活も増加する。労鋤者 l
まこの利得と損失を比較しなが
る。非対称摘報の復定により投資撃をは労散者の実際の適性に関
わらず一定であること
されたい。一騎の必要条件は以下の通りである。
E(aI
a孟c)p'住)(w-r)=1
(
4
)
この条静から暁らかに投資量は選抜点と監督者の賃金の増加関数である。したがっ
て企業は賞金一定のもと投資機会を斜眼することはよって残った候補者の投資量を
増加させることができるわけである。
企業は (
2
),
(
4
),さら i
こc孟認の条件のもと監督者の愛金費婦を最小化しようとする。
TC],[FOC],[
C
C
]と表記す札ば、事費舟最小北問題は以下のよ
それぞれの制約を [
つ
えられる。
明
吋 1aNda
wp
(
5
)
S
.t
.
吋1
p
=TC]
E(aI
a与さc)p'(e)(w-r)=1
=FOC]
[
C
C
]
cゑm
き て 言 。C
] 愛用いて最適な投資量を選技点と監督者均賃金の関数で表し、それ
TC] に代入すれば、次のような簡単な問趨
を罰的関数と [
minwJ(c,
w)S
.
t
. J k,
w}注k,c~m
非対称情報下 l
こ殺げる昇華義司王デ}!.-と
る
。
(
6
)
T日本的」界最主演行
77
iag(
ここで J
(山 = 内 川 ) )
1
州 a
る
。
我々が知り
以上で基本的な定式化は完了し
いのはいかなる場合に企業はー
るかで、ある (数学的に表現すれば c>m
部分の労働者の投資機会を制限しようと
となるケース)。亘感的にいって、 も
部の適性の高い労働者のみに自
る需要が小さければ企業法一
をも
行わせることで事足りる
に低い労働者がいる場合にも授らを
であろう。 また企業は労働者丹中
ら排諒するであろう。 この場合、彼ら
ら誹設すること辻残りの労殻
の分大きな投資を符うことを
患
之、労1
勤者の最
るのである。 さら i
トがあり、 これが投資接会新設のコスト
議投資水準が投資から寄られる利得 i
こ敏感
も投資磯会の毒Ij隈が行
われる可能性があるつ この場合、 震金を余り引き
安
を持つというメワッ
くとも一部の労鶴者の昇進
うことによって残りの労働者(候補者)
を上昇させる。
これらをまとめると次のような命題になる。
の正の投資水準のもとで
I
p"(
e
)I
<∞と
、
る
。 岡
もし次のいず
初
れかが成立するならば企業は人的資本に対する
フ
。
(
l)kが十分に小さい。 (
2)mが十分に小さい。
おいて
に比べて十分に小さい。ただしこれらは c=mで評{泌さ
I
p" I
が p'
いる。
{引の 2つの制約式;こ対応するラグランジュ乗数をそれぞれ九,んとおくとー踏の条
ラック条f
牛は次のようになる。
件と
。
士
Jl(C,
W)(Wト
ム )+λ2
(
7
)
ム(c,
W)(Wト
ー λl)+J,
C
< W)=O
(
8
)
λ
1(
J(
c
.W)k)ニ 0,λ1
(
9
)
λ2(c-m) O.λ22
五0
1
(
め
。
話
(
8
)
式から λ
1
一
(W十 J
/
J
2
)であるカ宜、 J
2一 一
78 日本経済研究実0.30,
1
望
号5
.
1
2
(
p
'
)
2
J
>0なので九く Oとなる。
pp"(
w-r)
したがって [
T
C
]は等号で或立する。地方、 (7)(8)式よりん=一 (w+λl)J1二=JIJ/J2
ので、もし Jl>Oが c=mで成立していればんもこの点で正となるので企業は投
FOC]とJの主義により、 J(m,
w)は次のようになる。
資髄援を者おうとする o [
さて kが十分小さいときには [
TC]を
)
1
十
(
よ ag(山
w)エーが m)[mp
(1i
山
させるために必要な投資水準は下落し、
上 式 の 内 第 1噴詰ゼロに近づく。地方第 2墳は食なので[ ]
内i
主食となる。
W)辻正になる。また m が十分小さいときにも]舟が負となること
よって Jl(m,
'よりも十分小さい場合にも[ ]内は寅
は明らかである。さらに、 p"の絶対鐘が p
となる。よって命鰭は証明された。(証明終)
[FOC]を用いて投資水準の賃金上昇に対する眼界的な反容をみることによって、
3
)は労{験者の最適投資水準が投資から得られる判得に敏感に良定、する場合の想、
命題(
窓であることがわかる。
雇用した労犠者のうちかなり適性の抵い者がいれば上の命題が示すよう
後らから投資機会を奪うことになるが、では、瀧i
全の分布の形状自 f
初主人事戦略に
ますのであろうか。藍惑的に明らかなように、もし労機者が適
どのような影響を及 i
性に関して十分間欝的ならば金業が投資機会を製捜するイン七ンティウ、、は減少する。
というのも、この場合、投資機会の鱗駿を行ったとしても快補者は島分の適性
する期持を大騒には上方{喪主しないからである。
もし労働者が十分間質的ならぜ企業は投資議会の制限を行わない。
適性分布の王子均を変えずにその分布の範囲を十分小さくすれば師式の第 2墳はゼロ
w)の符号辻議になる。(証明終〉
に返づく。この場合 Jdm,
1の(
2
)と糸 uま非対称情報下記おける労働者の異費性と投資機合の制課の関係
同惑をもたらす。すなわち、企業が投資機会の制限を行うかどう
に関して興味深い j
か
;
ま(
a
)最も i
盆詮の縫い労働者の造住水準自身と〈訪その適性水準がどの緯度平均
非対称情報下における界j
議そう子ソレと「良本的J 昇進慣行 79
から主義離しているか、の双方に掠存するということである。このことは出式の[ ]
内 第 七 第 2項に反映されている。次 i
二 kに鍔する比較静学の結果を示しておこ
フ
。
命題 2
(
I
)p
'
"くOもしくは
I
p l
が十分小さいならば選抜点辻 kの減少関数、すなわち
川
主主 <0で為る。
θk
剖殿督者の賃金は k枠 組 関 数 で あ る 。 す な わ ち 苛 >00
(証明)
比較詩学により、次式を得る。
﹁
ん一仏
k
cC一
一内ぴ
AU
>
1一
L
C
一戸
一
敬
WH
司
O
証
言
したがって、主の増加辻監督者の黄金を上昇させるが、選抜点に対する効果は J1
2
の符号に依存する。
Jの定識を用いれ拭 J
1
2は次のように計算できる。
1
ag(
iag(a)d討 が [p'i
J1
2口 [
p
"
1
州 a
]eI2-C
出 品
問
ここで e=e,
C
< w)で e
l,
e2>0であるのもし elZ<Oならば(
1
3
)式より J
12<0となり、
δc
最小化の二階の条件 Ju<0を考慮すれば鈎式よりーく O
が薄られる。ところで
θk
[FOC]を用いれ江 e
1
2は次のように与えられる。
kの減少関数となるお
I
p
'
"I
が十分小さいならば e
1
2
出
したがって p
'
"<0もしくは
Aw
l
{
e12='"(W-r
)e
l
e
2
+
p
"
e
l
)
1
2
p"(W-r
となり、議抜点試
(証明終)
このように kの選抜点
80 日本経済研究 N
o
.
30
,
1
9
9
5.
1
2
える
辻昇進確率関数の形状に依存するが、ここで
注意すべき点は大域的には
Cが kの増加関数とはなり得ないということである。
なぜならば昇進確率は 1を結えないということから次のような大主義的制約が存殺す
るからでもある。
1
1
(
15
)
ag刷 時 k
上式から
C の下限は
kの減少関数であることがわかる。
まどのように決定されるのであろうか。この爵いに答える
ところで第 1期の震金 i
ためには次のような労散者の「参加制約」を考恵しなければならない。すなわち、
第 1類に新たに労働者を麗期する際に辻、労働者の期待さ主捷効用をある水準以上に
様たねばならないということである 3 ここの最鉱水準は外部労融市場において労{験者
が獲千尋することができる生謹効用で与えられる。主観的製引率と利子率を無視すれ
にするような第 1期目
ば、労働者に対する
wdま次式で
与えられる。
W
1+G(c)r+[l-G(C
)j[
r
+E(aI
a
主
主c
)
p
(
e
)(
W
2
r
)-ej二 2
r
ここでW
2
える
を
(
1
)
6
さで、この式を用いればkの変化が第 1期の賃金
を分軒することができる。
を kで数分することにより、空豆
δk
o
であることが証明できる。したがって、命題 2の{むを考慮すれば鞍間関賃金格義辻
kの増加関数となることがわかる。
最後に、均禽の決定を図示しておこう。関 1に異なる kの穫に対する J(
c,
W)が
描かれている。縦軸が黄金、横軸が選抜点を示している。 kが増加するはしたがっ
て曲線はよ方にシフトする。 (
6
)
式から明らかなように均衡は c
主主総の範囲における
これらの曲隷の最小点で与えられる c
非 対 称1
'
腎季最下における弊進モデルと「活水約 J 昇進'降雪行 81
寄V
J(c,
W)=k
1
i
c
事
政1
1
む
3
. 日本的昇進 横行に対する適用
d
本節の目的は前節で得られたいくつか
る昇進慣行の説明
を日
することにある。 とりわけ本節が註呂するの辻、
における大卒ホワイトカラー労鶴者が入社後し i
まらくの
をつけられない、いわ
とりわけ大企業におけ
r
[
奇期入社 i
胃持昇進 j
(
5
1
0
年
〉
る
。 これ i
ましばし
指摘される日本企業における「遅い昇進」と密接な関様がある。すなわち、
屠への決定的な議抜が行われる時点が比較的遅いということである。 このよう
進政策は最近の八代 (
1
9
9
3
)による質問票調査によっても明確に確認されており、従
業員 1
0
0
0人以上の企業のおよそ 65%が「同期入社同時昇進J 政策を採用している。
くはなるが 1
9
8
5
年に
された労働者による
昇進政策が広く行われていることを
れによるとおよ
もこのような
している。表 1
ある。
減量しいが、八代(19
9
3
)
っているので議密な比較 i
年間で同期入社同時昇進政策を探用している企業比率
る。実際、筆者はこのような弊瀧政策が最近強化されたと
~o.30 , 1995 ‘ 12
可働
ω
i
まあれ需期入社民持界選抜策を採男してお
り、その比率は企業規模が大きくなるほど上昇することがわかる
82 岡本経済研究
、
G
調査規摸、対象
と比べるとおよそ 8
しているようで、あ
る分析は寡関にして知
らない。他方、米国における典型的な昇進政策は日本のそれとはかなり異なってい
るようである。 Rosenbaum(
1
9
7
9
)はある米国の製造業企業についての分析を紹介
しているが、彼によるとその企業は幹部候補者をかなり早い段階で選抜するという
昇進政策を用いている。もちろん厳密な比較は不可能で、あるが、米国企業は日本企
業よりも一般に早い選抜を行っているという主張はかなり受け入れられていると思
われる。
では、このような昇進政策の差異は何によって生じたのであろうか。前節で展開
したモデルはこの問題を考察するための有用な視点を提供しているように思われる。
ここで前節のモデルにおける時閣の推移を 3つの段階に分けて考えてみよう。第一
段階ではすべての労働者は下位の職階で生産活動を行う。第二段階では幹部候補者
の選抜が行われ、選ばれた者は企業特殊的な人的資本に対する投資を行う。最後に
第三段階で投資に成功した者が監督者に昇進する。本稿では昇進政策に関する日米
聞の差異は第二段階でどの程度投資機会の制限を行うかにある、と解釈する。すな
わち、日本企業は米国企業よりも多くの労働者に昇進機会を与えていると考えるわ
けである。以下では昇進政策の違いをもたらす可能性のある 4つの理由を考察する。
3
.
1 意志決定プロセス
P
r
e
n
d
e
r
g
a
s
t(
1
9
9
2
)は昇進システムの選択においてはどの程度意志決定が中央集
権的であるかが重要であると論じた。米国企業では生産に関わる重要な意志決定の
多くがマネージャー層によってなされており、このことは生産に対する相対的貢献
度が上位の管理職で高いことを意味する。したがって、早期の選抜が下位の職層で
なされたとしても、そのことによって選抜から漏れた労働者が意欲をなくすことに
よる損失は比較的小さいと考えられる。他方、日本企業では多くの重要な意志決定
が下住の労働者に任されており、下住の職階において労働(投資)意欲が匝害され
れば企業にとって大きな損失となる。よって、日本企業においては管理職層への選
抜が米国企業に比べて遅くなされると P
r
e
n
d
e
r
g
a
s
tは主張する。
前節で検討したモデルも同様の結論をもたらす。日本企業が米国企業と比べてよ
り多くの権限を下位の職階に委譲しているならば、下住の管理職層に対する需要は
より大きい可能性がある。このような状況は (
2
)式において θが大きいことで表現
される。このことは kが大きいことを意味し、前節の命題を適用すればこの場合
投資制限が行われにくいという結論になる。したがって日本の「同期入社同時昇
進」のシステムはこのような技術的な要請から説明しうる。説明の表現は P
r
e
n
非対称情報下における昇進モデルと「日本的」昇進慣行
83
d
e
r
g
a
s
tのものとは異なるが、本質は変わらない。ワ「なわち、下位の監督者に
決定の権限を委譲するという日本企業の特笠辻、卒い段階でエリートを選抜するよ
うな入事管理 U 対目いれないものである。
3
.
2 企業成長
しかに企業内の権限委譲の問題法一つの説明要霞で:まあるが、変化しつつある
日本の昇進システムを理解するに誌十分と i
ゎ、えない。というのも、表 1が示すよ
8
5
年時点)昇進政策に満足しておらず、入
うに欝査対象の企業の多くが現衣の(19
社後より早い時点で昇進格差をつ;すようとしているからである。実藤、先に指摘し
たように「同議入社開待昇進」のシステムを採践している企業試減りつつあるよう
に思われる。では、何がこのような鰭向をもたらしたのであろうか。様々な説明要
自のうち本稿が容に注邑するの誌経済成長の鈍化である。この点は前節のモデルを
いて容易に分析できる o (
2
)式から鳴らかなように経諦成長、ひいて辻悪用成長の
鈍イヒはなを減少させるので選抜点は高くなる、もしくは投資機合の制限を行う
能性が高くなる。すなわち、議用(経議)成長の鈍化辻「同期入社問時昇議J シス
テムのような入社後比較釣長期にわたる労動者に対する平等な処遇政策の実議を困
i 日本秘資が藍寵した急激な経法成長こそがそのような昇進
する。逆口、え i
システムの形成に 3
重要な影響を与えた可能性がある。
このような寵説の議議な検証は非常は盟難であるが、表
uま横重苦瑚からの鵠証を
提示してくれる。表は各需査対象食業の売り上げ上昇率を 4つに区分した上、それ
ぞれの罷分に}おじて現哀の昇進政築と特来の計踏を分類している。ここで検討した
い復説は龍成長企業ほど現在の同時昇進期間の短縮を許翻している、というもので
ある。一見、表 1は必ずしもこのような設設を支持しないようにみえるが、実際は
そうではない。というのも、そもそも対象企業数が比較的小さいのに反し、表 1で
は成長霞分が細かく、傭った印象を与えかねないからである。この点を修正するた
めに成長区分を高成長、低成長の 2区分に分類し程変す。すなわち、新た
分は元の高成長、中成長企業で構成され、他方、新たな1JJ;成長fR分は元の低成長、
マイナス戎長企業で構設される。この新たな区分に属する企業数を計算することに
より、次の結論を棒る。
高成長企業で入社時点から能力主雑人事を行っていると盟答している企業数は 9
3
社である。一方、高或長企業で将来そのような昇進システムを援用しようとしてい
る企業数は 1
3
5
社である。したがって増加率はおよそ 45%となる。関様の計算を
84 日本ままち等研究 ぬ 3
0,1
9
9
5
.
1
2
日本の「同期入社問時昇進」システム(%)
(
1
)a
(
2
)
(
3
)
(
4
)
(
5
)
N.A.
針
27.8 36.0 25.1 5.4 2.5 3.2 1
0
0
(41.9)tt(37.0)(15.6) (
1
.
3
)(
0
.
5
)(
3
.
7
)
総会
総数 b
629
企業規模
-300
300-999
1000-2999
3000-4999
5000売り上げ成長
高成長璽
中成長型
低成長型
停滞蜜
33.8
30.5
25.9
27.0
15.0
35.3
35.4
32.7
29.7
43.0
15.5 2.4
25.0 4
.
9
.0 8
.
6
31
32.5 10.8
35.0 7.0
4.8
3.0
0.9
8
.
2
1
.2
日.
9
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
207
164
1
1
6
37
100
d
28.2 43.7 1
7
.6
(45.6)(35.2) (
9
.
2
)
26.8 36.4 26.8
(35.4)(41.4)(17.7)
26.5 33.3 29.6
(41.4)(34.0)(21.0)
2
3
.苦 36.6 19.7
(42.3)(42.3)(9.9)
2.8 1
.4 6
.
3
(
0
.
7
)(
0
.
0
)(
6
.
3
)
。
台
5.6 1
.5 3
(
1
.
0
)(
0
.
5
)(
4
.
0
)
7.4 1
.9 1
.2
(
2
.
5
)(
0
.
0
)(
1
.
2
)
5.6 11
.3 2
.8
(
0
.
0
)(
2
.
8
)(
2盗
塁7
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
0
1
0
D
1
0
0
1
0
0
1
4
2
1
9
8
1
6
2
7
1
主主)邑(l)i司期入社といえども、去を初から実力を重視し、関待券長きにはこだわらない a
(
2
)同期入社者 l
立、入主士主員百年穏浅はできるだけ同時に界記態させていくようにしているが、
それ以降は格差をつけていく。
(
3
i
同期入社者 l
立、入社後1
0年殺民主 はできるだけ同時に芥滋きせていくようにしているが、
それ以降は格差をつけていく。
(
4
)同期入社者 l
止、入社後1
5
年総事立はできるだけ同時に券君主きせていくようにしているが、
それ以降は格差をつけていく。
(
5
)周期入社者ほ最後までできるだ i
t
l
司時に昇進させていく。
b企業数
c()内 i
主将来の言f
霊
童
d高成長室=返去き空手表書の炎上足立炎50%以 上
r:t成長室2
=送 去 5年言語の炎上総括主義が20%以 上5
0
%未満
低成長裂=逸去 5年僚の予言jニ
潟当
主f
設がち%以上.2
0%未満
j
係争普君主=退去 5年主義の交上総長主主主主£マイナス
出所)労働省官房政策議登部綴(1合 8
7
)
えば、低成長企業では増加率は 62%となる。よって、抵成長企業の方が入社時点か
ら
から
主義人事の採用により
患いている
あると結論づけることができる c 入社時点
と、およそ 5年くらいの
を諜男して
いる全議数を合計して毘捧の計算を持っても高成長企業で誌増加率辻 17%、f
孟成長
は32%となるので結論は変わらない。結局、低成長企業のほうが高成長企業
よりも同時弊進の期間の短縮もしく
により積極的であるということができる。
災対称、情報下における昇進モデルと下総本告さ j 昇 進 慣 行
85
一穀的にいって、多くの臼本企業にとってこの低成長患に管理職の空揮を十分確
保することはも i
まや困難である。 このよう
l
ま前節で述べたように、一部の
労欝者の昇進機会?を寄り援することが企業にとって最連な戦略となる。ただしこ
に辻、比較的多くのノンエリートを
メカニズムを提供するかが重要な
題期の働きぶりを反映するよう
出すことになり、設らにどのよう
となる。一つの対策として辻賃金構造をより
えてゆくことが考えられる o
となって
いる年捧制の導入など辻端的な例であろう。また、出向、転籍などは解震という
端な手段をとら
にノンヱワ
トを企業外広送り出す有効な方法と
えられる。
3
.
3 労鶴市場
P
r
e
n
d
e
r
g
a
s
t(
19
9
2
)は労欝市場の競争性が勢進モード
ると主張する。
とえばある企業が「日
に重要な影響を与え
の比較的労働者の遊性を開示し
し
、
昇進モードを灘択する場合には、外部労勢市場からあまり頻繁に賃金オファーが提
こなる。 というのも、頻繁な黄金オファーがあれ誌労覇
示されないことが必要条斧 i
者詰自分の能力をより正確に理解するようになると考えられるからである。 し
がって P
r
e
n
d
e
r
g
a
s
t法 B本の「運い J
働市場をその成立条件にしていると
してい
はない
ほど
る。では、 そのような労働市場の競争詮
は栢であろうか。当然ながら最も
は人的資本
の企業特殊性の程度である。 もしも労働者の技能がかなり企業特殊的なら江企業は
イ也の企業から労働者を獲得しでも彼らの訓練に大き
を主主担せねばならず、
w
k
附則
のことは被嘉照者にたいする黄金オファーの鎮度を減少させるであろう。逆に、技
能の企業特殊性が小さい経済において辻黄金オファーの頚震が多くなる。
日
本の官まい転職率と怠勾配の隻金フ。ロファイノレは、 日本において企業特殊技能が重要
であることのf
委託となっている (
出i
n
c
e
rand狂 i
g
u
c
h
i,1
9
8
8
)。
部第で提示し
モデルを
いても技龍の金業特殊'性の緯度が昇進モ
ドの選択に
を与えることを推論寸ることができる。前節のそデルの想定は、ある
f
立の職階
した労働者のみがその余業の土佐の職指へ昇濯する可能性を
というものであっ
すなわち、外部から管珊職を雇窮する可能性誌考議しなかっ
しかしながら、ある程度の訓練費用さえ食担すれば外部から
ると仮定すると人的資本の企業特殊性が昇進モード
になる。
とし
以下のように前節のそ
を車用でき
る影響を分析できるよう
を拡張してみよう。
企業で昇進に失敗した労識者のうち、 自社の菅現職に適'
1
笠の高い労働者をスカウト
86 日本経清研究芳0.3
0,1
9
9
5
.
1
2
ll
の程震を
ステム
できるものとする。その場合企業は、慣報収集費用や再言]
1
棟費用などの退加的固定
を実担しなければならない。一人当たりの帯罰練費用を T
ことにしよ
う。内部昇進の労識者にはこのような費用はかからない。単純化のために、嘉男或
はなく (Nt
/
Nt-l出口、また、賃金は職賭 l
こ付議しており、
中途採用
を問わず同ーの賃金を支払わねばならないと依定しよう。この場合、技術的制約条
件を表す(
2
)式は次のようになる。
1
1
ap(
均制日*討
位。
[
T
C
]
'
き
ち
ここで Pは中途採用数を表す。企業の費用最小化問題辻 (
6
)
式と
して以下の
ように与えられる。
minw(J(c,
w)+0*)十 O*T
S.t
.
乱9
J(c,
w)+O*さ
与O
cwO*
θ本孟 0,
技帯約制約条件が等号で成立することは明らかである。また、偽の制約が不等号で
成立する、すなわち内点解の場合、
2の(
1
)で用いた条件、
o
c
,
J12<0が満たされれは一一 <0であることが証明できる
δT
O
し
わち
てこの場合、再
軍司議費男の上昇 i
土議室抜去を器下させる。蒋寄せ隷費男の大きさ法人的資本の企業特珠
佳と正の紹興があると考えることができるので、技龍の企業特殊詮が大き
投資産u
殺を行うインセンティヴが小さいという結論になる。このこと辻、なぜ日
において「間期入社同時昇進」の慣行が発達したのかという問題に対する一つの
答になっている。
3
.
4 労識者約罵嚢性
齢者の異葉性の程度の間離に艶れておく令部読のそ
最後民日本企業再における労i
デ lレの一つの結論は、労働者の上位の職務に対する瀧性が比較的問震であ
が投資制限を行うインセンティヴは小さい、ということであった。では「間期入社
の慣行を持つ日
おいて労働者
がら、日本人が米国人 i
二上仁べて関震的であるという
用でき
ト
い。ただ、
、
-
~、
弘叩
労働者とそうでな
のであろうか。当然な
i
こはあまり接拠がなく、採
したいことは百本企業試労畿者の採病時に昇進ルー
とをかなり有効
しているのではないかとい
非対称情報下における昇進モデルと「日本的J 弊滋俊行
87
うことで、ある。生野(19
8
9
)は次のように言う
r (略)昇進の必要な一部の者にの
み訓練を行うと、その説作用として他の者は「やる気J を失う恐れがある
O
そこで、
できるだけ早い時期に、わかりやすい基準で色分けをして、昇進をあきらめさせる
必要がある。パート社員や諌違社員(工場では臨時工や請負工など)辻、正社員に
なって昇進する可能性が関ざされていることを承知で働くという意味で、目的に叶
うものである。
J
(
p
.
8
6
)。俄の重要な色分けの基準は学歴である。実 i
警には
q
前
期入社同時昇進 J システム誌男子正社員の中でも大卒ホワイトカラーに関して顕著
であり、したがって、日本において比較的避い管理職への決定的選抜が行われてい
ることの背景誌は職難や学躍によるプレ・スクリーニングが強く動いている可能性
がある。なぜ学藤がそのような間質性の確保に用いられているかというと、ゃ;まり
そこ l
二は企業特殊な技能を尊重する日本企業の特性が反映していると思われる。有
用な技能の大部分を企業内でま繋得させようとする日本企業は、労働者の外部での仕
事経験や資格などにはあまり関係なく、若くて潜在能力の高い(すをわち詰i
離の成
まこのような企業部の要構
果のよがりやすい)労犠者を割譲の対象にしたい。学歴、 i
にマッチしたシグナル機能を果たしているといえよう
c
日本の労動市場がかなり明確に企業規模によって分断さ瓦ていることも附鷲性の
現由のーっかもしれない。実際、 R
ebick(
19
9
3
)は日本における規模開露金輪盤辻
米露む比べてかなり顕著であると報告している。日本の労働市場が能力や学歴など
ぷよって明確に分断されているとするなら法、一食業に比較的問責な労骨者が集
まっても不思議ではない。このことも日本的な昇進噴行の形成にある程度の役割を
果たしたのかもしれない。
以上、昇進モードの選択に影響者与えると考えられるいくつかの要因を指摘した。
ではこれらの要因は糞金構造にいかなる影響を与えるのであろうか。下位の管理職
への権読書さ譲や高い食業或長などは kが大きいことを意味しており、前節の結果
から職諮問震金搭義を拡大させると予想される。実際、最近の実証分析でも企業成
長が職階慌の賃金格載を拡大させるということが確認されている(A.
r
i
g
ae
t札,
1
9
9
2
)。さらに、 OhkusaandOhta(
1
9
9
4
)辻経済成長が策金フ。ロファイル舎急勾
配にすることを明らかにしており、館第の分析と整合的である o 人的資本の企業特
要求建についても、総式における再認1練饗用の上昇は管理職の賃金を上昇させること
が わ か る の で 、 職 階 開 業 金 格 差 を 拡 大 す る 在 力 と い え る 。 民 総h
imotoand
R
a
i
s
i
a
n(
1
9
8
9
)辻賃金フ。ロファイルの白米比較の実証研究において米閣に比して日
88 宮本経器等研究 ぬ .
3
0,
1
9
係.
1
2
本の賃金フ。ロファイルは急傾斜で、あることを
い出し、 日本の労働者の方がより企
業特殊な技能を獲得していることの証まであると
じているが、本稿の分析と整合
的である。労勧者の同質性の効果について
られない。
4.モデル構造の再吟味
本第で i
立第 2箆で震関したモデルにおける
と契約方法に関する仮定の
第 2箆で誌現実妥当?主を
場不完全契約の組み合
を接討したが、 そこで指摘したよう
と契約方法の組み合わせは他
を若う
c
二
;3通りある。 これらの飽のケースを悲定すれば結論はどのように変わるのであろ
うか。
まず非対称情報の{瓦定を保ちながら,契約の方法を
ら完全契約、す
岡山十
日
川
なわち 2
を
らか
閥的関数を監督者賃金最小化から総黄金最小化へと変化させる。企業
じての契約に変更してみよう。 このような契約方法の変更は、
と労働者の双方が危険中立的で、あるという仮定より、
は技術的制約などの制約
群のもとでの結合損失最小化、すなわち投資要用最小化に婿着する。
し非対称
を保持していることより、全ての鏡補者は
る
つ したがって昇進確率の小さい労儀者に投資させること誌は費用がかか
O
践が行われることになる。 この場合にも kが小さけれ誌食業辻
渡i
全のf
丘い労{動
ることが京されうる。 さらに投資誤認の強さ
ら事離しているか立蘇容する。 こtLら
ら
ものと変わるところはないが、その理由
場合には、
2
っている。
る労勤者が同一水準の投資を行うことから
じる社会的
損失を減少させるため投資機会の制限を行う。他方、不完全契約のケ
スでは比較
的適性の高
に自
めに企業
を
をもって投資させることにより
さえるた
うのである。
では非対称情報の仮定を
示されると
コストを
として、適性に関する情報が企業と
開
どうなるであろうか。人的資本に対する投資に
し
、
とする我々の仮定のもとで辻、全ての労動者に投資させること
な戦略となる。
w
丸叩
より、労盤者は自
なっ
に関わらず言えることである。
者投資前に正確に判断するので、譲住水準
じて
ら札る c 比較的援い条体の下で、投資水準法適性水準の増加関
委主主守翁:情報下における昇進モデルと
r8本的J 善寺滋替変行 89
数となる O さらに、 kの上昇は投資水準と管理職糞金を上昇させる。対称情報の仮
定のもと、全ての労{障者が候補者となって投資を行うというここでの結論法、非対
幹情報下で投資制E
震が行われるという本稿の基本モデルと著しい対患をなすもので
ある。
一般託、適性情報の公開試食業、労働者双方によりよい結果をもたらすと考えら
れる。では、なぜ実欝の経済において対称情報の佼定が盆々にして溝たされないの
であろうか。設い換えれ法、なぜ企業は瀧性構報を正確に労i
勤者;こ伝えら札ないの
であろうか。主要な理由は、第 2蔀で主践したように企業側にモラルハザードの誘
閣があり、ただ単に構々の労働者に「あなたの瀧性:立高い」と伝えても虐頼きれな
いからで、ある。このため第 2箆でド可逆的投資制課が信頼確集め手段と概えられ
まどうであろうか。この場合
た。では、全ての労{勤者の査定成績を公開するとすれ i
には、労{勤者が適性の分布を把握している躍り、そのようなi
警報は信頼に足るもの
とをるであろう。
〕
、
イパシーの問題の龍に次のような環出でやはり企業
にとってコストの高いものとなるであろう。
に、投資蔀に適性を去関してしまうと適性の1
J!:ぃ労働者が共謀して適性の高
い労{義者の投資を妨審しようとするかもしれない。というのふ誰かの投資を
して自分の昇進確擦を引き上げようとする捺誌は、最も昇進確率の高い労働者の投
資を務審することが最も有効となるからである o 他方、企業が労鱗者の適性に関す
る情報を務寵してしまえ法、その分、妨害行動の有効性が損なわれることになる。
適性博報を公開してしまえば、妨害行動を阻止するために企業は多大の監視費用を
食祖せねなならないで、あろう。
之、たとえ企業が費熊なしに拐害行動を事前にくい止めることができたとし
第ニ l
惑?曹は知何ともしがたい。嫉妬感情を喚起することは磯場におけ
ても、人間の航路j
る緊密な相互交流を重視している臼本企業にとって大きなマイナス告もたらすもの
と考えられる。
第三に、もしも技能の企業特殊性がそれ誌ど強くなければ、愛秀であると判監さ
れた労働者詰外部からの引き抜きによって転職するかもしれない。
このように、適性情報を公開することに辻様々なコストを伴うと考えられる。
よって現実立法人事情報は企業に関する情報'7)中でも極秘扱いされているものの内
の一つである。
90 日 本 経 済 研 究 泌 3
0,1
9
9
5
.
1
2
5
. 結語
本稿は非対称情報下における昇進モデルを考察することによって日本の昇進メカ
ニズムの性質を検討した。ここで考察したモデルの基本的主張は上位の職階の空席
や労働者の同質性、さらには技能の企業特殊性の程度などが昇進モードの選択に重
要な影響を与えるということであった。すなわち、高い経済成長を経験し、技能の
企業特殊性が高く、労働者の同質性を確保するためのシステムを保有した日本企業
は「同期入社同時昇進」のような昇進システムを発達させたと論じた。もちろん、
これらは未だ仮説の段階であり、その意味で未熟で、ある。それにもかかわらず、前
節で展開したモデルの有用性は明らかになったと思われる。今後の研究課題はより
詳細なデータを用いた検証と、他の国の経験との比較作業であろう。
注釈
本稿は英文拙論 O
h
t
a
(
1
9
9
5
)の一部を改訂したものである。関西労働研究会、名古屋大学経済
構造研究センターにおける研究会のメンバーの方々より貴重なコメントをいただいた。また
AlanManning、有賀健、大日康史、大橋勇雄、橘木俊詔の諸教授、さらに本誌レフェリーから
は詳細なご批判をいただ、いた。ここに深く感謝する。筆者の非才によりその多くを生かしきれず
'1'斬│鬼にたえない。当然ながら本稿に合まれる全ての誤りは筆者のものである。
1)代表的な文献は Ma1
comson(
1
9
8
4
)、MacLeodandMa1
comson(
1
9
8
8
)等である。昇進モデ
1
9
9
2
)がある。
ルのサーヴェイとして伊藤 (
2)そもそも昇進は上司が決めるものであるからこのような議論は必要ないという考え方もある。
ただ、情報の経済学の伝統においては労働者が(潜在的な)雇用者よりも自らの能力につい
てよりよく知っていると想定されており、このことが労働市場における逆選択の問題を引き
起こすわけである。本稿ではこのような想定を採用しないことを強調するために比較的詳細
に論拠を提示している。
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) ここでは議論の単純化のために解雇を仮定しているが、配転、出向などを用いて投資制限を
行うと仮定することもできる。いずれにせよ議論の本質は変わらない。
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)のように情報に対する投資であると解釈しでもよい。すなわち、上
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した労働者のみによって遂行できる、と考えるわけである。この場合、そのような証明確率
は労働者による情報に対する投資水準の増加関数で、あると考える。他に C
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)参線。
引以下のように単純なモデルでは雇用時点で完全な契約を結ぶことは容易であると考えること
も可能であるが、企業は常にそのような契約そ破棄して新たな契約を第 1期末に提示する誘
因をもっ。もし契約を実行させるための訴訟費用が高く、評判下落による企業の損失が比較
的小さい場合には、企業はそのような契約に拘束されることはないであろう。このような場
はここで論じた不完全契約のケースが現実妥当性を持つ。
6) 昇進篠さ鮮のより一般的な定式化 i 立、 ih る労働者の昇進穣率が当該労働者時の~性や努力水準の
関数のみならず、その他の労働替の適性や投資水準の関数であるとすることであろう。実際、
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)等によるトーナメントモデルでは競争者と比較しての相対的な実
績のみが昇進に影響を与えると考えている。本稿での想定は、投資に成功した労働者はすべ
て昇進するという意味で絶対的な実綴を問題にしており、 トーナメントモデルとは終なって
いる。
7)最近の事例研究として檎木・遂合総合生活関発研究所編(目安5
)がある。また小池綴 (
1
9
91
)
も
有用である。
8)紙J~奈の制約のため嫌密な証明は警告j愛した。興味ある読者は原論文である
Ohta (1 995) 合参照
されたい。
参考文献
伊藤秀史(19
号沿「査定・昇進・策金体系の経済理論J 横木俊詔績「査定・昇進・主主金決定」第吉
章、有斐閣
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1諮 9
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