...

租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正 一 未成年者口座内の

by user

on
Category: Documents
42

views

Report

Comments

Transcript

租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正 一 未成年者口座内の
租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正
目 次
五 特定新規中小会社が発行した株式を取
一 未成年者口座内の少額上場株式等に係
得した場合の課税の特例の改正��� 203
る配当所得及び譲渡所得等の非課税の創
設���������������� 145
六 金融機関等の受ける利子所得等に対す
二 非課税口座内の少額上場株式等に係る
る源泉徴収の不適用の改正����� 207
配当所得及び譲渡所得等の非課税の改正
七 配当所得の改正��������� 208
���������������� 183
八 生命保険契約等の一時金の支払調書制
度の改正�������������� 210
三 上場株式等に係る譲渡所得等の課税の
特例等の改正������������ 189
九 所得税法及び租税特別措置法等の規定
による本人確認方法の改正����� 213
四 特定口座内保管上場株式等の譲渡等に
係る所得計算等の特例等の改正��� 194
一 未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所
得等の非課税の創設
非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得
非居住者(以下「居住者等」といいます。)が、
及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)は、これ
次に掲げる未成年者口座内上場株式等の区分に
まで投資に関心のなかった個人の株式市場への参
応じそれぞれ次に定める期間内に支払を受ける
加を促進することを目的として平成26年から導入
べきその未成年者口座内上場株式等の配当等
されています。しかしながら、NISAの利用実態
(その金融商品取引業者等が国内における支払
を見ると、非課税口座を開設している者はこれま
の取扱者で一定のものであるものに限ります。)
でも比較的多くの株式投資を行っていた高齢者層
については、所得税を課さないこととされまし
に偏っているのが現状です。そこで、若年者層へ
た(措法 9 の 9 ①)。
の投資のすそ野拡大を図るとともに、高齢者層か
① 非課税管理勘定に係る未成年者口座内上場
ら若年者層への世代間の資産移転を促すことを目
株式等……その未成年者口座にその非課税管
的として、対象者を20歳未満の者に限定した未成
理勘定を設けた日から同日の属する年の 1 月
年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び
1 日以後 5 年を経過する日までの間
② 継続管理勘定に係る未成年者口座内上場株
譲渡所得等の非課税措置が創設されました。
式等……その未成年者口座にその継続管理勘
1 未成年者口座内の少額上場株式等に係
る配当所得の非課税措置の内容
定を設けた日からその未成年者口座を開設し
た者がその年 1 月 1 日において20歳である年
⑴ 配当所得の非課税措置の内容
の前年12月31日までの間
金融商品取引業者等の営業所に未成年者口座
(注 1 )
金融商品取引業者等とは、金融商品取引
を開設している居住者又は恒久的施設を有する
業者(第一種金融商品取引業を行う者に限
─ 145 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置の概要
創設のねらい
○ 若年層への投資のすそ野拡大
○ 高齢者に偏在する膨大な金融資産を若年層に移転して、成長資金へと動かす契機に
○ 未成年者の独り立ちまでの長期にわたる投資を促進
○ 世帯単位でみた非課税投資可能額の引上げ
1 .非課税対象 : 20歳未満の者が開設する未成年者口座内の少額上場株式等の配当、譲渡益
2 .非課税投資額 : 非課税管理勘定の設定年に、次の金額の合計額で80万円を上限(未使用枠は翌年以降繰越不可)
① その年中の新規投資額
② その口座の他の年分の非課税管理勘定から移管する上場株式等の時価
3 .非課税投資総額 : 最大400万円(80万円× 5 年間)
4 .口座開設期間 : 平成28年から平成35年までの 8 年間
(注) 現行の NISA 制度の口座開設期間は、平成26年から平成35年までの10年間とされている。
5 .非課税期間 : 原則最長 5 年間
(注) 口座開設期間終了後も、既投資分は20歳になるまで非課税で保有し続けることを可能とする。
(非課税期間の終了時に有する上場株式等の時価80万円を限度)
6 .払出し制限 : ①非課税期間中に生じた上場株式等の譲渡代金及び配当や、②非課税期間終了時に他の
年分の非課税管理勘定に移管しなかった上場株式等は、課税未成年者口座で管理。
その年 3 月31日において18歳である年の前年12月31日までは原則として未成年者口座
及び課税未成年者口座からの払出しは不可。
未成年者口座や課税未成年者口座から制限に反して払出しをする場合は、①過去に未成
年者口座内で生じた配当と譲渡益及び②払出し時点の未成年者口座内の少額上場株式
等の含み益について課税。
(注) 災害等により居住家屋が全壊したこと等の重大なやむを得ない事由が生じた場合には、非
課税による払出しを可能とする。
7 .施行日 : マイナンバー法の施行に合わせ、平成28年 1 月に受付を開始し、同年 4 月より口座開設開始。
【非課税措置のイメージ①】
<制度終了前に20歳になる場合>
非課税期間 最長 5 年
5 年間で累積最大 5 勘定
非課税投資総額400万円
28年
29年
30年
31年
32年
33年
34年
35年
36年
37年
38年
39年
(勘定設定年) (13歳)(14歳)(15歳)(16歳)(17歳)(18歳)(19歳)(20歳)(21歳)(22歳)(23歳)(24歳)
払出し制限解除
28年
(13歳)
80万円
未成年者口座
29年
(14歳)
80万円
30年
(15歳)
非課税口座(現行 NISA)
へ移管可能
80万円
31年
(16歳)
80万円
32年
(17歳)
33年
(18歳)
34年
(19歳)
80万円
譲渡代金
配当等
80万円
(現行NISA)
非課税口座
再投資が
可能
35年
(20歳)
80万円
120万円
払出し制限解除
課税未成年者口座(上場株式等・預貯金等)
─ 146 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
【非課税措置のイメージ②】
<20歳前に制度が終了する場合>
28年 29年 30年 31年 32年 33年 34年 35年 36年 37年 38年 39年 40年 41年
( 7 歳)
( 8 歳)
( 9 歳)
(10歳)
(11歳)
(12歳)
(13歳)
(14歳)
(15歳)
(16歳)
(17歳)
(18歳)
(19歳)
(20歳)
払出し制限解除
(勘定設定年)
28年
( 7 歳)
80万円
未成年者口座
非課税管理勘定
29年
( 8 歳)
80万円
30年
( 9 歳)
31年
(10歳)
32年
(11歳)
80万円
80万円
80万円
33年
(12歳)
80万円
34年
(13歳)
80万円
35年
(14歳)
継続管理勘定
36年
(15歳)
80万円
再投資が可能
時価
80万円
時価
80万円
37年
(16歳)
譲渡代金
38年
(17歳) 配当等
39年
(18歳)
20歳までは、非課税で
保有することが可能
(新規投資は不可)
40年
(19歳)
時価
80万円
譲渡代金
配当等
時価
80万円
時価
80万円
払出し制限解除
課税未成年者口座(上場株式等・預貯金等)
ります。
)
、登録金融機関又は投資信託委託
① 金融商品取引所に上場されている株式等そ
の他一定の株式等の配当等(次の②又は③に
会社をいいます。
(注 2 )
この「未成年者口座内上場株式等」とは、
掲げるものを除きます。
)で、内国法人から
未成年者口座管理契約に基づき未成年者口
支払がされるその配当等の支払に係る基準日
座に係る振替口座簿(社債、株式等の振替
においてその内国法人の発行済株式又は出資
に関する法律に規定する振替口座簿をいい
の総数又は総額の100分の 3 以上に相当する
ます。)に記載若しくは記録がされ、又はそ
数又は金額の株式(投資口を含みます。
)又
の未成年者口座に保管の委託がされている
は出資を有する者(大口株主等)がその内国
上場株式等をいいます。「未成年者口座」及
法人から支払を受けるもの以外のもの
び「未成年者口座管理契約」の用語の意義
この「金融商品取引所に上場されている株
については、下記 2 ⑹①及び②を参照して
式等その他一定の株式等」の範囲は、非課税
ください。
口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び
譲渡所得等の非課税措置(NISA)の対象と
⑵ 未成年者口座内上場株式等の配当等の範囲
なっている株式等と同様ですが、具体的には、
非課税の対象となる配当等は、未成年者口座
次のイからヘまでの株式等のうち、金融商品
内上場株式等の配当等(源泉分離課税とされて
取引所に上場されている株式等、店頭売買登
いる私募公社債等運用投資信託等の収益の分配
録銘柄として登録された株式、店頭転換社債
に係る配当等及び国外私募公社債等運用投資信
型新株予約権付社債、店頭管理銘柄株式、登
託等の配当等を除きます。
)のうち次に掲げる
録銘柄として登録された日本銀行出資証券又
ものをいいます(措法 9 の 9 ①、9 の 8 一~三)
。
は外国金融商品市場において売買されている
─ 147 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
株式等をいいます(措法37の11②一、措令25
3 項に規定する取得勧誘が同項第 1 号に掲
の 9 ②、措規18の10①)
。
げる場合(多数の者を相手方として行う場
イ 株式(株主又は投資主となる権利、株式
合をいいますが、適格機関投資家等のみを
の割当てを受ける権利、新株予約権及び新
相手方とするものは除かれます。次のロ及
株予約権の割当てを受ける権利を含みま
び③ロにおいて同じです。)に該当し、か
す。)
つ、委託者指図型投資信託約款又は委託者
ロ 特別の法律により設立された法人の出資
非指図型投資信託約款にその取得勧誘が同
者の持分、合名会社、合資会社又は合同会
号に掲げる場合に該当するものである旨の
記載がなされて行われるもの
社の社員の持分、法人税法第 2 条第 7 号に
ロ その受益権の募集が国外において行われ
規定する協同組合等の組合員又は会員の持
分その他法人の出資者の持分(出資者、社
る場合
員、組合員又は会員となる権利及び出資の
その募集に係る取得勧誘が金融商品取引
割当てを受ける権利を含み、下記ニに掲げ
法第 2 条第 3 項第 1 号に掲げる場合に該当
るものを除きます。
)
するものに相当するものであり、かつ、目
ハ 新株予約権付社債(資産の流動化に関す
論見書その他これに類する書類にその取得
る法律に規定する転換特定社債及び新優先
勧誘が同号に掲げる場合に該当するものに
出資引受権付特定社債を含みます。
)
相当するものである旨の記載がなされて行
われるもの
ニ 協同組織金融機関の優先出資に関する法
③ 特定投資法人の投資口の配当等
律に規定する優先出資(優先出資者となる
権利及び優先出資の割当てを受ける権利を
この「特定投資法人」とは、投資信託及び
含みます。)及び資産の流動化に関する法
投資法人に関する法律の投資法人のうち、次
律に規定する優先出資(優先出資社員とな
に掲げる要件を満たすもの(公募・オープン
る権利及び引受権を含みます。
)
エンド型)をいいます(措法 8 の 4 ①三、措
令 4 の 2 ⑥)。
ホ 公社債投資信託以外の証券投資信託の受
益権及び証券投資信託以外の投資信託で公
イ その規約に投資主の請求により投資口の
社債等運用投資信託に該当しないものの受
払戻しをする旨が定められていること。
ロ その投資口の募集に係る取得勧誘が金融
益権
商品取引法第 2 条第 3 項第 1 号に掲げる場
ヘ 特定受益証券発行信託の受益権
② 公社債投資信託以外の証券投資信託でその
合に該当し、かつ、その募集に係る投資口
設定に係る受益権の募集が一定の公募により
の引受けの申込みをしようとする者に対し
行われたもの(特定株式投資信託を除きま
その取得勧誘が同号に掲げる場合に該当す
す。
)の収益の分配に係る配当等
るものである旨の通知がなされて行われる
この「一定の公募により行われたもの」と
ものであること。
は、その募集が、次に掲げる場合の区分に応
じ、それぞれ次に定める取得勧誘により行わ
⑶ 支払の取扱者の範囲
れた証券投資信託をいいます(措法 8 の 4 ①
上記⑴のとおり、この特例により非課税とな
二、措令 4 の 2 ⑤)
。
る配当等は、NISAと同様に、未成年者口座を
イ その受益権の募集が国内において行われ
開設されている金融商品取引業者等がその未成
る場合
年者口座内上場株式等の配当等の国内における
その募集に係る金融商品取引法第 2 条第
支払の取扱者で一定のものであることが要件と
─ 148 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
されていますが、この「支払の取扱者で一定の
額(損失額)は、所得税に関する法令の規定の
もの」とは、上記⑵①から③までの配当等の支
適用については、ないものとみなすこととされ
払を受ける者のその配当等の受領の媒介、取次
ます(措法37の14の 2 ②)。
ぎ又は代理(業務として又は業務に関連して国
内においてするものに限ります。
)をする者で、
⑵ 対象となる上場株式等の範囲
社債、株式等の振替に関する法律に規定する口
この特例の対象となる「上場株式等」の範囲
座管理機関であるものとされています(措法 9
は、非課税口座内上場株式等に係る非課税措置
の 9 ①、 9 の 8 、措令 5 の 2 の 2 、措規 5 の 5
の対象となっている上場株式等と同じです。具
の 2 )。
体的には、上記 1 ⑵の①金融商品取引所に上場
したがって、支払の取扱者である金融商品取
されている株式等その他一定の株式等、②公社
引業者等を経由せずに未成年者口座内上場株式
債投資信託以外の証券投資信託でその設定に係
等に係る配当等を受領した場合(例えば、株式
る受益権の募集が一定の公募により行われたも
の発行会社から直接受領した場合)には、その
の及び③特定投資法人の投資口が対象となりま
配当等は非課税の対象とはなりません。
す(措法37の14の 2 ①)。
2 未成年者口座内の少額上場株式等に係
る譲渡所得等の非課税
⑶ 上場株式等の譲渡の範囲
この特例でいう「譲渡」の範囲は、上場株式
⑴ 譲渡所得等の非課税措置の内容
等の一般的な譲渡のほかに、上場株式等につき
金融商品取引業者等の営業所に未成年者口座
会社の合併・分割型分割、資本の払戻し、残余
を開設している居住者等が、次に掲げる未成年
財産の分配、出資の消却・払戻し、法人からの
者口座内上場株式等の区分に応じそれぞれ次に
退社・脱退による持分の払戻し、法人の組織変
定める期間内に、その未成年者口座内上場株式
更などの事由が生じたことによりその上場株式
等のその未成年者口座管理契約に基づく譲渡を
等の譲渡の対価とみなされる金額が生ずる場合
した場合には、その譲渡による事業所得、譲渡
(措法37の11③④)におけるこれらの事由によ
所得及び雑所得については、所得税を課さない
るその上場株式等の譲渡の対価の額とみなされ
こととされました(措法37の14の 2 ①)
。
る金額に対応する部分の権利の移転又は消滅も
① 非課税管理勘定に係る未成年者口座内上場
含まれます(措令25の13の 8 ⑰において準用す
株式等……未成年者口座にその非課税管理勘
る措令25の13①)
。一方、いわゆる有価証券先
定を設けた日から同日の属する年の 1 月 1 日
物取引により行う譲渡(金融商品取引法第28条
以後 5 年を経過する日までの間
第 8 項第 3 号イに掲げる取引の方法により行う
② 継続管理勘定に係る未成年者口座内上場株
譲渡)は対象となりません。なお、実際にこの
式等……未成年者口座にその継続管理勘定を
特例の対象とされる譲渡は下記⑹②ニに掲げる
設けた日からその未成年者口座を開設した者
方法により行われるものに限られます。
がその年 1 月 1 日において20歳である年の前
⑷ 未成年者口座内上場株式等の譲渡による所得
年12月31日までの間
一方、未成年者口座管理契約に基づく未成年
の区分計算
者口座内上場株式等の譲渡による収入金額がそ
この特例を適用する場合において、その居住
の未成年者口座内上場株式等の取得費及びその
者等が、未成年者口座内上場株式等と未成年者
譲渡に要した費用の額の合計額又はその譲渡に
口座内上場株式等以外の上場株式等の両方を有
係る必要経費に満たない場合におけるその不足
するときは、その未成年者口座内上場株式等の
─ 149 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金額又
成年者口座からの未成年者口座内上場株式等
は雑所得の金額とその未成年者口座内上場株式
の一部又は全部の払出し(振替によるものを
等以外の上場株式等の譲渡による事業所得の金
含みます。
)があった場合には、その払出し
額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額とを区分
があった未成年者口座内上場株式等について
して、これらの金額を計算することとされてい
は、その払出事由が生じた時に、その払出し
ます(措法37の14の 2 ③、措令25の13の 8 ⑰に
時の金額(価額)により未成年者口座管理契
おいて準用する措令25の13②前段)
。
約に基づく譲渡があったものとみなして、こ
この場合において、その居住者等の有する同
の非課税措置及び未成年者口座年間取引報告
一銘柄の上場株式等のうちにその未成年者口座
書の提出(下記⒁参照)に関する規定その他
内上場株式等とその未成年者口座内上場株式等
所得税に関する法令の規定を適用することと
以外の上場株式等とがある場合には、これらの
されています(措法37の14の 2 ④)。
上場株式等については、それぞれその銘柄が異
イ 未成年者口座管理契約に従って行うⓐ未
なるものとして、その者のその年分の上場株式
成年者口座から他の株式等の振替口座簿へ
等の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金
の記載若しくは記録若しくは保管の委託に
額又は雑所得の金額の計算上必要経費又は取得
係る口座(以下「他の保管口座」といいま
費に算入する金額の計算をすることとされてい
す。
)への移管又はⓑ未成年者口座内上場
ます(措令25の13の 8 ⑰において準用する措令
株式等に係る有価証券のその居住者等への
25の13②後段)
。
返還
また、上場株式等の譲渡をした日の属する年
ロ 相続又は遺贈
分の上場株式等の譲渡による事業所得の金額又
ハ 次に掲げる事由でその居住者等の基準年
は雑所得の金額の計算上必要経費に算入される
の 1 月 1 日以後に生じたもの
べき金額のうちに未成年者口座内上場株式等の
イ 未成年者口座の廃止
譲渡と未成年者口座内上場株式等以外の上場株
ロ 贈与
式等の譲渡の双方に関連して生じた金額(以下
ハ 未成年者口座管理契約において定めら
「共通必要経費の額」といいます。
)があるとき
れた方法に従って行われる譲渡以外の譲
は、その共通必要経費の額は、これらの所得を
渡
生ずべき業務に係る収入金額その他の基準のう
(注 1 )
上記イのⓐ未成年者口座管理契約に従
ちその業務の内容及び費用の性質に照らして合
って行う未成年者口座から他の保管口座
理的と認められる基準によりその未成年者口座
への移管又はⓑ居住者等への返還とは、
内上場株式等の譲渡に係る必要経費の額とその
居住者等の基準年前の各年に行われる未
未成年者口座内上場株式等以外の上場株式等の
成年者口座から課税未成年者口座への移
譲渡に係る必要経費の額とに配分することとさ
管や、基準年以後の各年に行われる未成
れています(措令25の13の 8 ⑰において準用す
年者口座から他の保管口座への移管又は
る措令25の13③、措規18の15の10⑰において準
その居住者等への返還が該当します(下
用する措規18の15の 3 ①)
。
記⑹②ホを参照)
。
(注 2 )
上記ハの基準年とは、その居住者等が
⑸ 未成年者口座から未成年者口座内上場株式等
の払出しがあった場合の取扱い
3 月31日において18歳である年をいいま
す。
① みなし譲渡
(注 3 )
このみなし譲渡によって、払出し時の
次のイからハまでに掲げる事由により、未
─ 150 ─
金額(価額)で未成年者口座管理契約に
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
基づく譲渡があったものとみなされるこ
ている株式等をいいます。)
とから、払出し時の金額までの金額に対
金融商品取引所において公表された払出
応する損益(取得価額との差額)は非課
事由が生じた日におけるその取引所売買株
税又はないものとされます。
式等の最終の売買の価格(公表された同日
における最終の売買の価格がない場合には、
② 払い出された株式の取得価額
上記①イのⓐ他の保管口座への移管若しく
公表された同日における最終の気配相場の
はⓑ有価証券の返還又は上記①ハイの未成年
価格とし、その最終の売買の価格及びその
者口座の廃止による未成年者口座内上場株式
最終の気配相場の価格のいずれもない場合
等の払出しがあった未成年者口座を開設して
には、同日前の最終の売買の価格又は最終
いる(又は開設していた)居住者等について
の気配相場の価格が公表された日でその払
は、その移管、返還又は廃止による払出しが
出事由が生じた日に最も近い日におけるそ
あった時に、その払出し時の金額をもって当
の最終の売買の価格又はその最終の気配相
該他の保管口座への移管若しくは有価証券の
場の価格とします。)に相当する金額
返還又は未成年者口座の廃止による払出しが
ロ 店頭売買株式等(店頭売買登録銘柄とし
あった未成年者口座内上場株式等の数に相当
て登録された株式等をいいます。)
する数のその未成年者口座内上場株式等と同
金融商品取引法の規定により公表された
一銘柄の上場株式等の取得をしたものとみな
払出事由が生じた日におけるその店頭売買
され、上記①ロの相続若しくは遺贈又は上記
株式等の最終の売買の価格(公表された同
①ハロの贈与により払出しがあった未成年者
日における最終の売買の価格がない場合に
口座内上場株式等を取得した者については、
は、公表された同日における最終の気配相
その相続若しくは遺贈又は贈与の時に、その
場の価格とし、その最終の売買の価格及び
払出し時の金額をもってその未成年者口座内
その最終の気配相場の価格のいずれもない
上場株式等と同一銘柄の株式等を取得したも
場合には、同日前の最終の売買の価格又は
のとされ、上記①ハハの譲渡により未成年者
最終の気配相場の価格が公表された日でそ
口座から払い出された未成年者口座内上場株
の払出事由が生じた日に最も近い日におけ
式等は、その払出し時の金額で譲渡があった
るその最終の売買の価格又はその最終の気
ものとみなされます(措法37の14の 2 ④)
。
配相場の価格とします。)に相当する金額
このため、上記①イからハまでの事由により
ハ その他価格公表株式等(上記イ又はロに
未成年者口座から払い出された上場株式等の
掲げる株式等以外の株式等のうち、価格公
その払出し後の取得価額は、その払出し時の
表者(株式等の売買の価格又は気配相場の
金額によることとなります。
価格を継続的に公表し、かつ、その公表す
る価格がその株式等の売買の価格の決定に
③ 払出し時の金額
上記②の払出し時の金額とは、次に掲げる
重要な影響を与えている場合におけるその
株式等の区分に応じそれぞれ次に定める金額
公表をする者をいいます。
)によって公表
をその株式等の一単位当たりの価額として計
された売買の価格又は気配相場の価格があ
算した金額をいいます(措令25の13の 8 ⑰に
るものをいいます。)
おいて準用する措令25の13④)
。
価格公表者によって公表された払出事由
イ 取引所売買株式等(その売買が主として
が生じた日における当該その他価格公表株
金融商品取引所(外国の法令に基づき設立
式等の最終の売買の価格(公表された同日
されたものを含みます。
)において行われ
における最終の売買の価格がない場合には、
─ 151 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
公表された同日における最終の気配相場の
場株式等の未成年者口座からの払出しは、未
価格とし、その最終の売買の価格及びその
成年者口座管理契約に反して行う口座からの
最終の気配相場の価格のいずれもない場合
移管又は返還とはされません(措令25の13の
には、同日前の最終の売買の価格又は最終
8 ⑭)
。なお、この場合の払出し時の含み益
の気配相場の価格が公表された日でその払
(又は含み損)は、非課税(又はないものみ
なす)とはなりません。
出事由が生じた日に最も近い日におけるそ
の最終の売買の価格又はその最終の気配相
⑹ 未成年者口座の要件等
場の価格とします。
)に相当する金額
(注)
投資信託の受益権の基準価額はこれに
① 未成年者口座の意義
居住者等(その年 1 月 1 日において20歳未
該当します。
ニ 上記イからハまでに掲げる株式等以外の
満である者又はその年中に出生した者に限り
株式等
ます。
)が、上記 1 の配当所得の非課税又は
その株式等の払出事由が生じた日におけ
2 ⑴の譲渡所得等の非課税の適用を受けるた
る価額として合理的な方法により計算した
め、その口座を設定しようとする金融商品取
金額
引業者等の営業所の名称及び所在地、その口
④ 未成年者口座内上場株式等の発行法人の合
座に係る振替口座簿に記載若しくは記録がさ
併等により取得した上場株式等を未成年者口
れ、又はその口座に保管の委託がされている
座に受け入れなかった場合の取扱い
上場株式等の配当等に係る配当所得及びその
未成年者口座内上場株式等について生じた
上場株式等の譲渡による事業所得、譲渡所得
下記⑹②ロロのⅰからⅸまでの事由により取
又は雑所得について当該特例の適用を受ける
得した上場株式等で未成年者口座に受け入れ
旨その他一定の事項を記載した未成年者口座
なかったものがある場合には、その上場株式
開設届出書に、未成年者非課税適用確認書又
等については、その事由が生じた時にその未
は未成年者口座廃止通知書を添付して、これ
成年者口座に受け入れたものと、その受入れ
をその金融商品取引業者等の営業所の長に提
後直ちにその未成年者口座から他の保管口座
出をして、その金融商品取引業者等との間で
への移管があったものとそれぞれみなして、
締結した未成年者口座管理契約に基づき平成
上記⑴及び⑷並びに⑸①から③までの特例が
28年 4 月 1 日から平成35年12月31日までの間
適用されます(措令25の13の 8 ⑰において準
に設定された上場株式等の振替口座簿への記
用する措令25の13⑪)
。
載若しくは記録又は保管の委託(以下「振替
(注) この場合には、下記⑹②チの未成年者口
記載等」といいます。
)に係る口座(その口
座から未成年者口座内上場株式等の払出し
座において未成年者口座管理契約に基づく取
があった場合における金融商品取引業者等
引以外の取引に関する事項を扱わないものに
から居住者等への払出し時の金額等の通知
限ります。
)をいいます(措法37の14の 2 ⑤
も必要となります。
一)
。
なお、居住者等が開設している未成年者口
座に係る未成年者口座内上場株式等につき、
下記⑹②ロロⅱからⅸまでの事由が生じたこ
(注) 未成年者口座を開設する際の手続の詳細
については、下記⑾を参照してください。
② 未成年者口座管理契約の意義
とによりその居住者等が上場株式等以外の株
この非課税措置の適用を受けるために居住
式等(一般株式等)を取得した場合には、そ
者等が金融商品取引業者等と締結した上場株
の事由が生じたことによる未成年者口座内上
式等の振替記載等に係る契約で、その契約書
─ 152 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
において、次に掲げる事項が定められている
株式等移管依頼書を提出して移管がさ
ものをいいます(措法37の14の 2 ⑤二、措令
れる上場株式等です(措令25の13の 8
25の13の 8 ③~⑨、同条⑰において準用する
③、措規18の15の10③)。
措令25の13⑥⑦⑩、措規18の15の10③~⑧)
。
a 未成年者口座内上場株式等移管依
イ 上場株式等の振替記載等は、その振替記
載等に係る口座に設けられた非課税管理勘
頼書を提出する者の氏名、生年月日
及び住所
b その未成年者口座内上場株式等移
定又は継続管理勘定において行うこと。
(注)
「非課税管理勘定」及び「継続管理勘
定」の意義については、下記③及び④を
管依頼書の提出先の金融商品取引業
者等の営業所の名称及び所在地
c その未成年者口座に設けられた非
参照してください。
ロ その非課税管理勘定においてはその居住
課税管理勘定に係る未成年者口座内
者等の次のイ又はロに掲げる上場株式等
上場株式等を当該未成年者口座に係
(ストックオプション税制(措法29の 2 、
る他の年分の非課税管理勘定に移管
29の 3 )の適用を受けて取得をしたものを
することを依頼する旨及びその移管
除きます。
)のみを受け入れること。
を希望する年月日
イ 次に掲げる上場株式等で、その口座に
d その移管しようとする未成年者口
非課税管理勘定が設けられた日から同日
座内上場株式等の種類、銘柄及び数
の属する年の12月31日までの期間内に受
又は価額並びにその未成年者口座内
け入れた上場株式等の取得対価の額の合
上場株式等の受入れをする非課税管
計額が80万円を超えないもの
理勘定が設けられた日の属する年
ⅰ その期間内にその金融商品取引業者
e その他参考となるべき事項
等への買付けの委託(買付けの委託の
(注 1 )
上記イの「上場株式等の取得対価
媒介、取次ぎ又は代理を含みます。
)
の額」とは、購入した上場株式等に
により取得をした上場株式等、その金
ついてはその購入の代価の額をいい、
融商品取引業者等から取得をした上場
払込みにより取得をした上場株式等
株式等又はその金融商品取引業者等が
についてはその払い込んだ金額をい
行う上場株式等の募集(金融商品取引
い、その口座に係る他の年分の非課
法第 2 条第 3 項に規定する有価証券の
税管理勘定からの移管により受け入
募集に該当するものに限ります。
)に
れた上場株式等についてはその移管
より取得をした上場株式等で、その取
に係る払出し時の金額をいいます。
得後直ちに当該口座に受け入れられる
もの
(注 2 )
上記ⅰの「金融商品取引法第 2 条
第 3 項に規定する有価証券の募集」
ⅱ その非課税管理勘定を設けた口座に
とは、新たに発行される有価証券の
係る他の年分の非課税管理勘定から、
取得勧誘のうち、50名以上の者を相
移管がされる上場株式等
手方として有価証券の取得勧誘を行
この上場株式等は、非課税管理勘定
う場合等に該当するものをいいます
を設けた口座を開設している居住者等
(金融商品取引法 2 ③、金融商品取引
が、その口座が開設されている金融商
法施行令 1 の 5 )。
品取引業者等の営業所の長に対し、次
ロ 上記イに掲げるもののほか、次に掲げ
の事項を記載した未成年者口座内上場
る上場株式等(措令25の13の 8 ⑰におい
─ 153 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
て準用する措令25の13⑩)
。
人株式で、その受入れを未成年者口座
ⅰ 未成年者口座内上場株式等について
に振替記載等をする方法により行うも
行われた株式又は投資信託若しくは特
の
定受益証券発行信託の受益権の分割又
ⅵ 未成年者口座内上場株式等を発行し
は併合により取得する上場株式等で、
た法人の行った株式交換(その法人の
その受入れを未成年者口座に係る振替
株主等に株式交換完全親法人の株式又
口座簿に記載若しくは記録をし、又は
はその親法人の株式のいずれか一方の
その未成年者口座に保管の委託をする
みの交付がされるものに限ります。
)
方法(以下「未成年者口座に振替記載
により取得する株式交換完全親法人の
等をする方法」といいます。
)により
株式若しくはその親法人の株式又は株
行うもの
式移転(その法人の株主に株式移転完
ⅱ 未成年者口座内上場株式等について
全親法人の株式のみの交付がされるも
行われた株式無償割当て、新株予約権
のに限ります。
)により取得する株式
無償割当て又は新投資口予約権無償割
移転完全親法人の株式で、その受入れ
当てにより取得する上場株式等で、そ
を未成年者口座に振替記載等をする方
の受入れを未成年者口座に振替記載等
法により行うもの
ⅶ 未成年者口座内上場株式等である新
をする方法により行うもの
ⅲ 未成年者口座内上場株式等を発行し
株予約権又は新株予約権付社債を発行
た法人の合併(その法人の株主等に合
した法人を被合併法人、分割法人、株
併法人の株式(出資を含みます。以下
式交換完全子法人又は株式移転完全子
同じです。
)又は合併親法人株式のい
法人とする合併、分割、株式交換又は
ずれか一方のみの交付がされるものに
株式移転(いずれも個人の株式等譲渡
限ります。
)により取得する合併法人
益課税(措法37の11③)の対象となら
の株式又は合併親法人株式で、その受
ないものに限ります。
)により取得す
入れを未成年者口座に振替記載等をす
る合併法人等新株予約権等で、その受
る方法により行うもの
入れを、その未成年者口座に振替記載
ⅳ 未成年者口座内上場株式等で投資信
等をする方法により行うもの
託の受益権であるものに係る投資信託
(注) 上 記 の「 合 併 法 人 等 新 株 予 約 権
の併合(その投資信託の受益者にその
等」とは、その合併、分割、株式交
併合に係る新たな投資信託の受益権の
換又は株式移転に係る合併法人、分
みの交付がされるものに限ります。
)
割承継法人、株式交換完全親法人又
により取得する新たな投資信託の受益
は株式移転完全親法人の新株予約権
権で、その受入れを未成年者口座に振
又は新株予約権付社債をいいます。
替記載等をする方法により行うもの
ⅷ 未成年者口座内上場株式等で取得請
ⅴ 未成年者口座内上場株式等を発行し
求権付株式、取得条項付株式、全部取
た法人の分割(その法人の株主等に分
得条項付種類株式又は取得条項付新株
割承継法人の株式又は分割承継親法人
予約権が付された新株予約権付社債で
株式のいずれか一方のみの交付がされ
あるものに係る請求権の行使、取得事
るものに限ります。
)により取得する
由の発生又は取得決議(いずれも個人
分割承継法人の株式又は分割承継親法
の株式等譲渡益課税(所法57の 4 ③一
─ 154 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
~三・六)の対象とされないものに限
は、上記⑸④を参照。
ります。)により取得する上場株式等
ハ 継続管理勘定においてはその居住者等の
で、その受入れを未成年者口座に振替
次に掲げる上場株式等のみを受け入れるこ
記載等をする方法により行うもの
と。
ⅸ 次に掲げる事由により取得する上場
イ その口座に継続管理勘定が設けられた
株式等で、その受入れを未成年者口座
日から同日の属する年の12月31日までの
に振替記載等をする方法により行うも
間に、その継続管理勘定を設けた口座に
の
係る非課税管理勘定から移管がされる上
a 未成年者口座内上場株式等である
場株式等で、その移管に係る払出し時の
新株予約権付社債に付された新株予
金額の合計額が80万円を超えないもの
約権(従来の転換社債の転換権を含
この上場株式等は、非課税管理勘定を
みます。
)の行使
設けた口座を開設している居住者等が、
b 未成年者口座内上場株式等につい
その口座が開設されている金融商品取引
て与えられた株式の割当てを受ける
業者等の営業所の長に対し、次の事項を
権利(株主等として与えられた場合
記載した未成年者口座内上場株式等移管
(その未成年者口座内上場株式等を
依頼書を提出して移管がされる上場株式
発行した法人の他の株主等に損害を
等です(措令25の13の 8 ④、措規18の15
及ぼすおそれがあると認められる場
の10③)。
合を除きます。
)に限ります。
)の行
ⅰ 未成年者口座内上場株式等移管依頼
使
書を提出する者の氏名、生年月日及び
c 未成年者口座内上場株式等につい
住所
て与えられた新株予約権(投資法人
ⅱ その未成年者口座内上場株式等移管
の新投資口予約権を含み、その新株
依頼書の提出先の金融商品取引業者等
予約権を引き受ける者に特に有利な
の営業所の名称及び所在地
条件若しくは金額であることとされ
ⅲ その未成年者口座に設けられた非課
るもの又は役務の提供その他の行為
税管理勘定に係る未成年者口座内上場
による対価の全部若しくは一部であ
株式等を当該未成年者口座に係る継続
ることとされるもの(所得税法施行
管理勘定に移管することを依頼する旨
令第84条の適用があるもの)を除き
ます。
)の行使
及びその移管を希望する年月日
ⅳ その移管しようとする未成年者口座
d 未成年者口座内上場株式等につい
内上場株式等の種類、銘柄及び数又は
て与えられた取得条項付新株予約権
価額並びにその未成年者口座内上場株
に係る取得事由の発生(個人の株式
式等の受入れをする継続管理勘定が設
等譲渡益課税(所法57の 4 ③五)の
けられた日の属する年
対象とされない取得事由の発生に限
ります。
)又は行使
ⅴ その他参考となるべき事項
ロ 上記イに掲げるもののほか、上記ロロ
(注)
未成年者口座について生じた上記ⅰ
の上場株式等
からⅸまでの事由により取得した上場
ニ その非課税管理勘定又は継続管理勘定に
株式等で未成年者口座に受け入れなか
おいて振替記載等がされている上場株式等
ったものがある場合の取扱いについて
の譲渡は、次の方法により行うこと。
─ 155 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
イ 金融商品取引業者等への売委託による
ロ その居住者等がその年 1 月 1 日におい
て20歳である年の前年12月31日において
方法
ロ 金融商品取引業者等に対してする方法
有する継続管理勘定に係る上場株式等
ハ 上場株式等を発行した法人に対して行
……同日の翌日に行う他の保管口座への
う単元未満株式の買取請求(会社法192
移管
①)による譲渡について、その買取請求
ヘ その非課税管理勘定又は継続管理勘定に
を未成年者口座を開設する金融商品取引
記載若しくは記録又は保管の委託がされる
業者等の営業所を経由して行う方法
上場株式等は、その居住者等の基準年(上
ニ 法人の資本の払戻し若しくは残余財産
記⑸①の(注 2 )を参照)の前年12月31日ま
の分配(措法37の11③、37の10③三)又
では、次によること。
は株式等証券投資信託、非公社債等投資
イ その上場株式等のその非課税管理勘定
信託若しくは特定受益証券発行信託の終
又は継続管理勘定が設けられた口座から
了若しくは一部の解約(措法37の11④
他の保管口座でその口座と同時に設けら
一・二)により交付を受ける金銭及び金
れた課税未成年者口座以外のものへの移
銭以外の資産のうち上場株式等の譲渡の
管又はその上場株式等に係る有価証券の
対価とみなして課税する部分の権利の移
その居住者等への返還をしないこと。
転又は消滅について、その金銭及び金銭
ただし、「災害等が生じたことにより
以外の資産の交付が未成年者口座を開設
移管若しくは返還を行う場合」又は「金
する金融商品取引業者等の営業所を経由
融商品取引所への上場等が廃止された場
して行われる方法
合」には、この要件にかかわらず、上場
ホ 次に掲げる上場株式等は、それぞれ次に
株式等のその口座からの移管又は返還を
定める移管をすること。
することができます。
イ その口座に非課税管理勘定が設けられ
ⅰ 上記の「災害等が生じたことにより
た日の属する年の 1 月 1 日から 5 年を経
移管若しくは返還を行う場合」とは、
過する日(以下「 5 年経過日」といいま
次に掲げる事由による移管又は返還で
す。
)において有するその非課税管理勘
その口座及び課税未成年者口座に記載
定に係る上場株式等(その非課税管理勘
若しくは記録若しくは保管の委託又は
定が設けられた口座の他の年分の非課税
預入れ若しくは預託がされている上場
管理勘定又は継続管理勘定への移管がさ
株式等及び金銭その他の資産の全てに
れるものを除きます。
)……次に掲げる
ついて行うもの(以下「災害等による
場合の区分に応じそれぞれ次に定める移
返還等」といいます。)をいいます。
管
a その居住者等がその居住の用に供
ⅰ 5 年経過日の属する年の翌年 3 月31
している家屋であってその者又はそ
日においてその居住者等が18歳未満で
の者と生計を一にする親族が所有し
ある場合……その 5 年経過日の翌日に
ているものについて、災害により全
行うその口座と同時に設けられた課税
壊、流失、半壊、床上浸水その他こ
未成年者口座への移管
れらに準ずる損害を受けたこと。
ⅱ 上記ⅰに掲げる場合以外の場合……
b その年の前年12月31日(その年中
その 5 年経過日の翌日に行う他の保管
に出生した者にあってはその年12月
口座への移管
31日となり、同年の中途において死
─ 156 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
亡した者にあってはその死亡の日と
の悪化によりその営む事業を廃止し
なります。
)においてその居住者等
たことその他これらに類する事由
を所得税法上の扶養親族とする者
ⅱ なお、上記ⅰのaからeまでの事由
(以下「扶養者」といいます。
)が、
に該当して非課税管理勘定又は継続管
その扶養者又はその者と生計を一に
理勘定から上場株式等又は金銭等の移
する親族のためにその年中に支払っ
管又は返還を行う場合には、その事由
た医療費の金額の合計額が200万円
が生じたことについて未成年者口座を
を超えたこと。
開設している居住者等の納税地の所轄
(注)
上記の医療費の範囲は、医療費
税務署長の確認を受け、その税務署長
控除の対象となる医療費の範囲と
から交付を受けたその確認をした旨の
同じです。したがって、上記の医
記載がある書面をその未成年者口座を
療費の金額は、保険金、損害賠償
開設している金融商品取引業者等の営
金その他これらに類するものによ
業所の長にその事由が生じた日から 1
り補塡される金額がある場合には、
年を経過する日までに提出する必要が
その金額を控除した後の金額にな
あります。この確認は、未成年者口座
ります。
を開設している居住者等から所轄税務
c その居住者等の扶養者が、配偶者
署長への次に掲げる事項を記載した書
と死別し、若しくは離婚したこと又
面(上記iのaからeまでの事由が生
はその扶養者の配偶者が生死不明と
じたことを明らかにする書類が添付さ
なり、かつ、これらの事由が生じた
れ た も の に 限 り ま す。
)による申出
日の属する年の12月31日(その扶養
(その事由が生じた日から11月を経過
者が同年の中途において死亡した場
する日までに行われるものに限りま
合には、その死亡の日)においてそ
す。
)を受けて行われるものとされて
の扶養者が所得税法上の寡婦(その
います(措法37の14の 2 ⑤二ヘ、措令
年分の合計所得金額が500万円以下
25の13の 8 ⑤、措規18の15の10④⑤)。
であるものに限ります。
)若しくは
a その者の氏名、生年月日、住所及
寡夫に該当し、又は該当することが
び個人番号
b 現にその未成年者口座を開設して
見込まれること。
(注)
上記の生死不明とは、現行の寡
婦(寡夫)控除の対象となる者に
係るもの(所令11①各号)と同様
いる金融商品取引業者等の営業所の
名称及び所在地
c 上記iのaからeまでの事由の詳
細及びその事由が生じた年月日
です。
d その居住者等又はその者の扶養者
が、所得税法上の特別障害者に該当
d その他参考となるべき事項
ⅲ また、
「金融商品取引所への上場等
が廃止された場合」とは、居住者等が
することとなったこと。
e その居住者等の扶養者が、雇用保
開設する口座に設けられた非課税管理
険法第23条第 2 項に規定する特定受
勘定又は継続管理勘定に係る上場株式
給資格者若しくは同法第13条第 3 項
等の金融商品取引所への上場が廃止さ
に規定する特定理由離職者に該当す
れたこと又は店頭売買登録銘柄として
ることとなったこと又は経営の状況
の登録が取り消されたこと(以下「上
─ 157 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
場等廃止事由」といいます。
)による
予約権者がその合併によりその新株予
その口座からの払出しをいいます(措
約権者が有していたその被合併法人の
令25の13の 8 ⑥、措規18の15の10⑥)
。
新株予約権に代えて金銭その他の資産
ロ その上場株式等の未成年者口座管理契
を受ける場合における当該新株予約権
約に定められた方法以外の方法による譲
の譲渡(租税特別措置法施行令第25条
渡で次に掲げるもの以外のもの(その譲
の 8 第 4 項第 1 号に掲げる事由による
渡の対価に係る金銭その他の資産の交付
新株予約権の譲渡)
が、その口座が開設されている金融商品
ⅵ 取得請求権付株式、取得条項付株式、
取引業者等の営業所を経由して行われな
全部取得条項付種類株式又は取得条項
いものに限ります。
)又は贈与をしない
付新株予約権が付された新株予約権付
こと。
社債であるものに係る請求権の行使、
ⅰ その上場株式等を発行した会社の合
取得事由の発生又は取得決議による譲
併、分割、出資の消却又は組織変更
渡(所得税法第57条の 4 第 3 項の規定
(租税特別措置法第37条の10第 3 項第
による譲渡益課税の繰り延べの対象と
1 号、第 2 号、第 5 号又は第 6 号に規
なるものを除きます。)
定する事由)に伴う上場株式等の譲渡
ハ その上場株式等の譲渡の対価又はその
ⅱ 租税特別措置法第37条の11第 4 項第
上場株式等に係る配当等として交付を受
1 号の投資信託の終了(信託の併合に
ける金銭その他の資産(以下「譲渡対価
係るものに限ります。
)に伴う上場株
の金銭等」といいます。
)は、その受領
式等の譲渡
後直ちに課税未成年者口座に預入れ又は
ⅲ 上場株式等を発行した法人の行う株
預託をすること。
式交換又は株式移転によるその法人に
(注) 上記の「譲渡の対価」には、上場株
係る株式交換完全親法人又は株式移転
式等を発行した法人の合併、分割その
完全親法人に対する当該上場株式等の
他の事由により交付を受ける額が租税
譲渡(租税特別措置法第37条の12の 2
特別措置法第37条の11第 3 項又は第 4
第 2 項第 5 号に掲げる譲渡)
項の規定により上場株式等に係る譲渡
ⅳ 上場株式等を発行した法人が行う会
社法第234条第 1 項又は第235条第 1 項
所得等に係る収入金額とみなされる金
銭その他の資産を含みます。
(これらの規定を他の法律において準
ただし、次に掲げる配当等又は譲渡の
用する場合を含みます。
)の規定その
対価は、金融商品取引業者等を経由して
他一定の規定による 1 株又は 1 口に満
支払われるものではないことから、課税
たない端数に係る上場株式等の競売
未成年者口座に預入れ又は預託をする必
(会社法第234条第 2 項(同法第235条
要がありません(非課税の対象にもなり
第 2 項又は他の法律において準用する
ません。)。
場合を含みます。
)等の規定による競
ⅰ 上場株式等に係る配当等で、その口
売以外の方法による売却を含みます。
)
座が開設されている金融商品取引業者
によるその上場株式等の譲渡(租税特
等が国内における支払の取扱者でない
別措置法第37条の12の 2 第 2 項第 8 号
もの
に掲げる譲渡)
ⅱ 上記ロⅰからⅵまでの譲渡の対価と
ⅴ 法人の合併に係る被合併法人の新株
─ 158 ─
して交付を受ける金銭その他の資産で、
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
その交付が、その口座が開設されてい
品取引業者等の営業所の長に提出すること。
る金融商品取引業者等の営業所を経由
イ 出国移管依頼書を提出する者の氏名、
生年月日及び住所
して行われないもの
ト その口座につき上記ホ若しくはヘに掲げ
る要件に該当しないこととなる事由又は災
ロ 出国移管依頼書の提出先の金融商品取
引業者等の営業所の名称及び所在地
害等による返還等(上記ヘイⅰ参照)が生
ハ 金融商品取引業者等の営業所に開設さ
じた場合には、これらの事由(下記⑿①に
れている未成年者口座の記号又は番号
おいて「未成年者口座等廃止事由」といい
ニ 出国をする予定年月日及び帰国をする
ます。)が生じた時にその口座及びその口
予定年月日並びに出国後の国外における
座と同時に設けられた課税未成年者口座を
連絡先
ホ 出国移管依頼書を提出する者が国税通
廃止すること。
チ 未成年者口座からの未成年者口座内上場
則法の規定による納税管理人の届出をし
株式等の全部又は一部の払出し(振替によ
ている場合には、その納税管理人の氏名
るものを含むものとし、特定口座以外の口
及び住所
座(非課税口座を除きます。
)への移管に
係るものに限ります。
)があった場合には、
ヘ その他参考となるべき事項
ヌ 出国移管依頼書の提出を受けた金融商品
その未成年者口座を開設され、又は開設さ
取引業者等の営業所の長は、その出国の時
れていた金融商品取引業者等は、その未成
に、未成年者口座に係る未成年者口座内上
年者口座を開設し、又は開設していた居住
場株式等の全てをその未成年者口座と同時
者等に対し、その払出しがあった未成年者
に設けられた課税未成年者口座に移管する
口座内上場株式等の払出し時の金額及び数、
こと。
その払出しに係る事由及びその事由が生じ
ル 出国移管依頼書の提出を受けた金融商品
た日その他参考となるべき事項を通知する
取引業者等の営業所の長は、その未成年者
こと。
口座を開設している居住者等が、帰国をし
(注)
相続又は遺贈(贈与をした者の死亡に
た後、その金融商品取引業者等の営業所の
より効力を生ずる贈与を含みます。)によ
長に帰国をした旨及び次に掲げる事項を記
る払出しがあった場合には、上記の通知
載した届出書を提出する時までの間は、そ
は、その相続又は遺贈によりその未成年
の未成年者口座に係る非課税管理勘定に上
者口座に係る未成年者口座内上場株式等
場株式等を受け入れないこと。
であった上場株式等を取得した者に対し
イ その届出書を提出する者の氏名、生年
月日及び住所
て行うこととなります。
リ 未成年者口座を開設している居住者等の
基準年の前年12月31日までにその者が出国
により居住者等に該当しないこととなる場
合には、その者は、その出国をする日の前
日までに、その旨、その未成年者口座に係
る未成年者口座内上場株式等の全てを課税
ロ 出国移管依頼書の提出先の金融商品取
引業者等の営業所の名称及び所在地
ハ 出国をした年月日及び帰国をした年月
日
ニ その他参考となるべき事項
③ 非課税管理勘定の意義
未成年者口座に移管することを依頼する旨
未成年者口座管理契約に基づき振替記載等
及び次の事項を記載した出国移管依頼書を、
がされる上場株式等につき、その記載若しく
その未成年者口座が開設されている金融商
は記録又は保管の委託に関する記録を他の取
─ 159 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
引に関する記録と区分して行うための勘定で、
措令25の13の 8 ⑩)。
平成28年から平成35年までの各年(その居住
イ その法人とその金融商品取引業者等との
者等が、その年 1 月 1 日において20歳未満で
間にその法人がその金融商品取引業者等の
ある年及び出生した日の属する年に限りま
発行済株式(議決権のあるものに限ります。
す。)の 1 月 1 日に設けられるものをいいま
以下同じです。
)又は出資(以下「発行済
す(措法37の14の 2 ⑤三)
。
株式等」といいます。
)の総数又は総額の
(注) この非課税管理勘定は原則として 1 月 1
50%を超える数又は金額の株式を直接に保
日に設けられますが、未成年者非課税適用
有する場合における当該関係(いわゆる親
確認書が年の中途において提出された場合
子関係)
におけるその提出された日の属する年につ
ロ その金融商品取引業者等との間に上記イ
いてはその提出の日に設けられ、未成年者
の関係がある法人がその金融商品取引業者
口座廃止通知書を添付した未成年者口座開
等以外の法人(以下「他の法人」といいま
設届出書が提出された場合には下記⑿⑦の
す。)の発行済株式等の総数又は総額の50
その記載事項の提供を受けた所轄税務署長
%を超える数又は金額の株式を直接に保有
から下記⑿⑦イの未成年者口座が開設でき
する場合におけるその金融商品取引業者等
る旨等の提供があった日(その非課税管理
と当該他の法人の関係(いわゆる兄弟関
勘定を設定しようとする年の 1 月 1 日前に
係)
その事項の提供があった場合には、同日)
⑥ 課税未成年者口座管理契約の意義
この非課税措置の適用を受ける居住者等が、
に設けられます。
特定口座又は預金口座、貯金口座若しくは顧
④ 継続管理勘定の意義
未成年者口座管理契約に基づき振替記載等
客から預託を受けた金銭その他の資産の管理
がされる上場株式等につき、その記載若しく
のための口座を開設する際に未成年者口座を
は記録又は保管の委託に関する記録を他の取
開設する金融商品取引業者等と締結した契約
引に関する記録と区分して行うための勘定で、
(未成年者口座管理契約と同時に締結される
平成36年から平成40年までの各年(その居住
ものに限ります。)で、その契約書において、
者等が、その年 1 月 1 日において20歳未満で
次に掲げる事項が定められているものをいい
ある年に限ります。
)の 1 月 1 日に設けられ
ます(措法37の14の 2 ⑤六、措令25の13の 8
るものをいいます(措法37の14の 2 ⑤四)
。
⑪~⑬、同条⑰において準用する措令25の13
⑦)
。
⑤ 課税未成年者口座の意義
未成年者口座を開設した居住者等が、その
イ 上場株式等の振替記載等又は金銭その他
未成年者口座を開設している金融商品取引業
の資産の預入れ若しくは預託は、特定口座
者等の営業所又はその金融商品取引業者等と
に関する定めにかかわらず、その記載若し
次に定める関係にある法人の営業所に開設し
くは記録若しくは保管の委託又は預入れ若
ている特定口座又は預金口座、貯金口座若し
しくは預託に係る口座に設けられた課税管
くは顧客から預託を受けた金銭その他の資産
理勘定において行うこと。
の管理のための口座(これらの口座において
(注) 上記の「課税管理勘定」とは、課税未
課税未成年者口座管理契約に基づく取引以外
成年者口座管理契約に基づき振替記載等
の取引に関する事項を扱わないものに限りま
がされる上場株式等又は預入れ若しくは
す。)で、当該未成年者口座と同時に設けら
預託がされる金銭その他の資産につき、
れるものをいいます(措法37の14の 2 ⑤五、
その記載若しくは記録若しくは保管の委
─ 160 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
託又は預入れ若しくは預託に関する記録
は、次に定めるところによること。
を他の取引に関する記録と区分して行う
イ 上場株式等のその口座から他の保管口
ための勘定をいいます。また、「特定口座
座への移管又はその上場株式等に係る有
に関する定めにかかわらず」とされてい
価証券のその居住者等への返還をしない
るのは、特定口座を開設する際に締結す
こと。
る上場株式等保管委託契約においては、
ただし、次の事由に基づく場合には、
上場株式等を特定保管勘定において管理
この要件にかかわらず、移管又は返還を
することとされているためです(措法37
することができます。
の11の 3 ③二)。
ⅰ 災害等事由(上記②ヘイⅰのaから
ロ 課税管理勘定において振替記載等がされ
eまでに掲げる事由をいいます。
)に
ている上場株式等の譲渡は、特定口座に関
よる移管又は返還でその口座及びその
する定めにかかわらず、次の方法により行
口座と同時に設けられた未成年者口座
うこと。
に記載若しくは記録若しくは保管の委
イ 金融商品取引業者等への売委託による
託又は預入れ若しくは預託がされてい
る上場株式等及び金銭その他の資産の
方法
ロ 金融商品取引業者等に対してする方法
全てについて行うもの(下記ハ及びホ
ハ 上場株式等を発行した法人に対して行
において「災害等事由による返還等」
う単元未満株式の買取請求(会社法192
といいます。)。
①)による譲渡について、その買取請求
ⅱ 居住者等が開設している口座に設け
を課税未成年者口座を開設する金融商品
られた課税管理勘定に係る上場株式等
取引業者等の営業所を経由して行う方法
の上場等廃止事由(上記②ヘイⅲ参
ニ 法人の資本の払戻し若しくは残余財産
照)によるその口座からの払出し
の分配(措法37の11③、37の10③三)又
ロ その上場株式等の課税未成年者口座管
は株式等証券投資信託、非公社債等投資
理契約に定められた方法以外の方法によ
信託若しくは特定受益証券発行信託の終
る譲渡で上記②へロⅰからⅵまでに掲げ
了若しくは一部の解約(措法37の11④
るもの以外のもの(その譲渡の対価に係
一・二)により交付を受ける金銭及び金
る金銭その他の資産の交付が、その口座
銭以外の資産のうち上場株式等の譲渡の
が開設されている金融商品取引業者等の
対価とみなして課税する部分の権利の移
営業所を経由して行われないものに限り
転又は消滅について、その金銭及び金銭
ます。)又は贈与をしないこと。
以外の資産の交付が課税未成年者口座を
ハ 金銭その他の資産のその口座からの払
開設する金融商品取引業者等の営業所を
出し(その口座又は未成年者口座に記載
経由して行われる方法
若しくは記録又は保管の委託がされる上
ハ 上場株式等に係る譲渡対価の金銭等は、
場株式等の取得のためにする払出し及び
その受領後直ちにその口座に預入れ又は預
その口座に係る上場株式等につき災害等
託をすること。
事由による返還等(上記イⅰ参照)がさ
ニ その口座に記載若しくは記録又は保管の
委託がされる上場株式等及びその口座に預
入れ又は預託がされる金銭その他の資産は、
その居住者等の基準年の前年12月31日まで
─ 161 ─
れる場合のその金銭その他の資産の払出
しを除きます。)をしないこと。
(注) 居住者等が開設している課税未成年
者口座である特定口座に係る特定口座
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
内保管上場株式等につき、上記②ロロ
⑺ 未成年者口座管理契約又は課税未成年者口座
ⅱからⅸまでの事由(発行法人の合併
管理契約に反する行為があった場合の取扱い
等)が生じたことによりその居住者等
① 非課税措置の不適用
が上場株式等以外の株式等(一般株式
この非課税措置は、未成年者口座を開設し
等)を取得した場合には、その事由が
た居住者等が18歳になるまでの間は、上場株
生じたことによる特定口座内保管上場
式等及び資金等を未成年者口座及び課税未成
株式等の課税未成年者口座からの払出
年者口座から払い出すことが禁止されていま
しは、課税未成年者口座管理契約に反
す。これに反して、未成年者口座及び課税未
して行う上記イの口座からの移管又は
成年者口座を開設する居住者等の基準年の前
返還とはされません(措令25の13の 8
年12月31日までにこれらの口座からの上場株
⑭)
。
式等の払出しなどの契約不履行等事由が生じ
ホ その口座につき、上記ハ若しくはニに掲
た場合には、それまでに未成年者口座におい
げる要件に該当しないこととなる事由又は
て生じた所得についてこの非課税措置は適用
災害等事由による返還等(上記イⅰ参照)
せずに、遡及して課税することとされていま
が生じた場合には、これらの事由(下記⑿
す(措法37の14の 2 ⑥)
。ただし、災害等に
①において「課税未成年者口座等廃止事
よる返還等(上記⑹②ヘイⅰ参照)が生じた
由」といいます。
)が生じた時にその口座
ことに基因するものは、この遡及課税は行い
及びその口座と同時に設けられた未成年者
ません。
口座を廃止すること。
この契約不履行等事由とは、未成年者口座
ヘ 居住者等の基準年の 1 月 1 日において、
管理契約若しくは課税未成年者口座管理契約
その口座が開設されている金融商品取引業
又はこれらの履行について、次に掲げる事由
者等に重複して開設されているその口座以
に該当したことをいいます。
外の特定口座があるときは、同日にその口
イ 上記⑹②ホ若しくはヘ又は⑥ハ若しくは
座(特定口座である口座に限ります。
)を
ニに掲げる要件に該当しない事由が生じた
廃止すること。
こと。
ト 金融商品取引業者等の営業所の長に出国
ロ 未成年者口座又は課税未成年者口座の廃
移管依頼書を提出した個人がその金融商品
止(災害等による返還等(上記⑹②ヘイⅰ
取引業者等と締結した課税未成年者口座管
参照)が生じたことによるものを除きま
理契約及びその履行については、その出国
す。)をしたこと。
の時から帰国の時までの間は、当該個人を
② 譲渡所得等の課税方法
居住者とみなして課税未成年者口座及び課
この契約不履行等事由に該当して未成年者
税未成年者口座管理契約に関する取り決め
口座内において生じた譲渡所得等について課
(上記ロ及びヘに関する事項を除きます。
)
税が行われる場合には、次のように取り扱わ
れて課税が行われます(措法37の14の 2 ⑥)。
を適用すること。
(注)
上記トの要件により、出国期間中も課
イ 未成年者口座の設定の時から契約不履行
税未成年者口座内の上場株式等及び金銭
等事由が生じた時までの間にした未成年者
その他の資産の払出し等をすることはで
口座内上場株式等の譲渡による事業所得、
きないこととされています。
譲渡所得又は雑所得についてはこの非課税
措置の適用がなかったものとし、かつ、そ
の契約不履行等事由が生じた時に、その未
─ 162 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
成年者口座内上場株式等の未成年者口座管
年者口座内上場株式等を贈与により取得し
理契約において定められた方法に従って行
た者については、契約不履行等事由が生じ
われる譲渡以外の譲渡があったものとみな
た時に、その時における払出し時の金額を
されます。
もって未成年者口座内上場株式等と同一銘
ロ 未成年者口座の設定の時から契約不履行
等事由が生じた時までの間に上記⑸①イの
柄の株式等の取得をしたものとそれぞれみ
なされます。
ⓐ他の保管口座への移管又はⓑ居住者等へ
なお、上記イからハまでにより譲渡があっ
の返還があった未成年者口座内上場株式等
たものとみなされる未成年者口座内上場株式
についてはこの非課税措置の適用がなかっ
等に係る収入金額がその未成年者口座内上場
たものとし、かつ、その契約不履行等事由
株式等の取得費及びその譲渡に要した費用の
が生じた時に、その移管があった時におけ
額の合計額又はその譲渡に係る必要経費に満
る払出し時の金額により未成年者口座管理
たない場合におけるその不足額(損失額)は、
契約において定められた方法に従って行わ
所得税に関する法令の規定の適用については、
れる譲渡以外の譲渡があったものとみなさ
ないものとみなすこととされます(措法37の
れます。
14の 2 ⑦)
。したがって、譲渡所得の金額の
ハ 契約不履行等事由の基因となった未成年
計算上損失が生じている場合でも、他の未成
者口座内上場株式等及び契約不履行等事由
年者口座以外の上場株式等に係る譲渡所得等
が生じた時における当該未成年者口座に係
の金額や、下記④により課税される未成年者
る未成年者口座内上場株式等については、
口座内又は課税未成年者口座内の配当所得と
その契約不履行等事由が生じた時に、その
の損益通算をすることはできません。
時における払出し時の金額により未成年者
③ 譲渡所得等の区分計算
口座管理契約において定められた方法に従
この契約不履行等事由に該当し、非課税措
って行われる譲渡以外の譲渡があったもの
置の適用を受けた譲渡所得等について課税さ
とみなされます。
れることとなった場合において、その居住者
ニ 上記ロの適用を受ける未成年者口座を開
等が、その未成年者口座内上場株式等及び未
設していた居住者等については、その移管
成年者口座内上場株式等以外の上場株式等を
があった時に、その時における払出し時の
有する場合には、上記②イからハまでによる
金額をもってその移管による払出しがあっ
未成年者口座内上場株式等の譲渡による事業
た未成年者口座内上場株式等の数に相当す
所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金
る数の未成年者口座内上場株式等と同一銘
額とその未成年者口座内上場株式等以外の上
柄の株式等の取得をしたものとみなされま
場株式等の譲渡による事業所得の金額、譲渡
す。
所得の金額又は雑所得の金額とを区分して、
ホ 上記ハの適用を受ける未成年者口座を開
これらの金額を計算することとされています
設していた居住者等については、契約不履
(措令25の13の 8 ⑮において準用する措令25
行等事由が生じた時に、その時における払
の13②前段)。
出し時の金額をもって未成年者口座内上場
この場合において、その居住者等の有する
株式等(上記⑹②ヘロの譲渡又は贈与がさ
同一銘柄の上場株式等のうちにその未成年者
れたものを除きます。
)の数に相当する数
口座内上場株式等とその未成年者口座内上場
の未成年者口座内上場株式等と同一銘柄の
株式等以外の上場株式等とがある場合には、
株式等の取得をしたものと、上記ハの未成
これらの上場株式等については、それぞれそ
─ 163 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
の銘柄が異なるものとして、その者のその年
不要の特例(措法 8 の 5 ①)の適用を受け
分の上場株式等の譲渡による事業所得の金額、
る場合には、契約不履行等事由が生じた時
譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上必
に支払があったものとみなされた未成年者
要経費又は取得費に算入する金額の計算をす
口座内上場株式等の配当等に係る配当所得
ることとされています(措令25の13の 8 ⑮に
の金額の合計額ごとに行うこととされてい
おいて準用する措令25の13②後段)
。
ます(措法 9 の 9 ③)。したがって、当該配
また、契約不履行等事由の生じた日の属す
当等については、 1 回に支払を受けるべき
る年分の上場株式等の譲渡による事業所得の
配当等の額ごとに申告不要の特例の適用を
金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算
受けることはできません。
入されるべき金額のうちに未成年者口座内上
場株式等の譲渡と未成年者口座内上場株式等
⑻ 契約不履行等事由が生じた場合の源泉徴収
以外の上場株式等の譲渡の双方に関連して生
① 譲渡所得等に対する源泉徴収
じた金額(以下「共通必要経費の額」といい
未成年者口座及び課税未成年者口座を開設
ます。)があるときは、その共通必要経費の
する居住者等の基準年の前年12月31日までに
額は、これらの所得を生ずべき業務に係る収
その未成年者口座又は課税未成年者口座につ
入金額その他の基準のうちその業務の内容及
き契約不履行等事由が生じた場合には、その
び費用の性質に照らして合理的と認められる
未成年者口座が開設されている金融商品取引
基準によりその未成年者口座内上場株式等の
業者等は、その契約不履行等事由が生じたこ
譲渡に係る必要経費の額とその未成年者口座
とによる未成年者口座の廃止の際、次のイに
内上場株式等以外の上場株式等の譲渡に係る
掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金
必要経費の額とに配分することとされていま
額に15%(他に地方税 5 %)の税率を乗じて
す(措令25の13の 8 ⑮において準用する措令
計算した金額の所得税を徴収し、その徴収の
25の13③、措規18の15の10⑨において準用す
日の属する月の翌月10日までに、これを国に
る措規18の15の 3 ①)
。
納付しなければなりません(措法37の14の 2
④ 配当所得の課税方法
⑧)
。ただし、災害等による返還等(上記⑹
未成年者口座及び課税未成年者口座を開設
②ヘイⅰ参照)が生じたことにより口座を廃
する居住者等の基準年の前年12月31日までに
止する場合には、遡及課税が行われないため
契約不履行等事由が生じた場合には、その未
この源泉徴収の適用もありません。
成年者口座の設定の時からその契約不履行等
イ 次に掲げる金額の合計額
事由が生じた時までの間に支払を受けるべき
イ 未成年者口座を設定した日からその廃
未成年者口座内上場株式等の配当等について
止の日までの間に支払われたその未成年
はこの非課税措置の適用がなかったものとし
者口座に係る未成年者口座内上場株式等
て課税されます。また、その課税される未成
の譲渡の対価の額の合計額(その譲渡の
年者口座内上場株式等の配当等は、その契約
対価のうち、その金銭その他の資産をそ
不履行等事由が生じた時においてその未成年
の未成年者口座と同時に設けられた課税
者口座内上場株式等の配当等の支払があった
未成年者口座に預入れ又は預託をしなか
ものとして、租税特別措置法及び所得税法の
ったものの額は除きます。)
規定が適用されます(措法 9 の 9 ②)
。
ロ 未成年者口座を設定した日からその廃
(注) これにより課税される未成年者口座内上
止の日までの間にその未成年者口座から
場株式等の配当等について配当所得の申告
課税未成年者口座に移管がされた上場株
─ 164 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
式等のその移管があった時における払出
次の上場株式等に係る取得対価の額及
し時の金額の合計額
びその上場株式等の取得に要した費用
ハ 未成年者口座を廃止した日において未
成年者口座に係る振替口座簿に記載若し
くは記録がされ、又は保管の委託がされ
ている上場株式等のその廃止の日におけ
る払出し時の金額の合計額
の額です(措令25の13の 8 ⑯)
。
1 上場等廃止事由(上記⑹②ヘイⅲ
参照)が生じた上場株式等
2 上記⑹②ヘロⅰからⅵまでに掲げ
る譲渡があった上場株式等
(注)
上記イの「譲渡の対価」には、上場株
(注 3 )
上記①により徴収して納付すべき所
式等を発行した法人の合併、分割その他
得税は、所得税法上の源泉徴収(所法
の事由により交付を受ける額が租税特別
2 ①四十五)による所得税とみなされ、
措置法第37条の11第 3 項又は第 4 項の規
他の源泉徴収による所得税と同様に、
定により上場株式等に係る譲渡所得等に
同法、国税通則法及び国税徴収法の規
係る収入金額とみなされる金銭その他の
定が適用されます(措法37の14の 2 ⑨)
。
資産を含みます。また、「その譲渡の対価
(注 4 )
上記①による所得税を徴収する際に
のうち、その金銭その他の資産をその未
は、その所得税の額に2.1%の税率を乗
成年者口座と同時に設けられた課税未成
じて計算した復興特別所得税を併せて
年者口座に預入れ又は預託をしなかった
徴収し、その納期限までに、その徴収
もの」とは、上記⑹②へロⅰからⅳまで
した復興特別所得税を所得税と併せて
の譲渡の対価として交付を受ける金銭そ
国に納付しなければならないこととさ
の他の資産で、その交付が非課税口座が
れています(復興財確法28)
。
開設されている金融商品取引業者等の営
② 計算書の添付等
業所を経由して行われないもの(上記⑹
イ 計算書の添付
②へハⅱを参照)が該当します。
上記①の源泉徴収をする金融商品取引業
ロ 未成年者口座を設定した日からその廃止
者等は、その徴収した所得税を納付する場
した日までの間においてその未成年者口座
合には、その納付の際、納付書に次に掲げ
に記載若しくは記録又は保管の委託がされ
る事項を記載した計算書を添付しなければ
た上場株式等の取得対価の額及びその上場
なりません(措令25の13の 8 ⑲、措規18の
株式等の譲渡に要した費用の額の合計額
15の10⑲)。
(その譲渡の対価に係る金銭その他の資産
を、その未成年者口座と同時に設けられた
イ 徴収した所得税を納付する金融商品取
引業者等の営業所の名称及び所在地
課税未成年者口座に預入れ又は預託をしな
ロ その月において契約不履行等事由が生
かった未成年者口座内上場株式等に係る取
じたことにより所得税を徴収して納付す
得対価の額及びその譲渡に要した費用の額
べき者の数
ハ その月において契約不履行等事由が生
(注 2 )は除きます。
)
(注 1 )
上記ロの「上場株式等の取得対価の
額」は、購入した上場株式等について
じたことにより徴収して納付すべき所得
税の額
はその購入の代価の額をいい、払込み
ニ その月において契約不履行等事由が生
により取得をした上場株式等について
じたことにより所得税を徴収すべき未成
はその払い込んだ金額をいいます。
年者口座に係る上記①イに掲げる金額か
(注 2 )
上記ロの合計額から除かれる金額は、
─ 165 ─
らロに掲げる金額を控除した金額の総額
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
ホ その他参考となるべき事項
た復興特別所得税を併せて徴収し、その納
なお、この計算書の書式は、租税特別措
期限までに、その徴収した復興特別所得税
置法施行規則別表第七㈡に定められていま
を所得税と併せて国に納付しなければなら
す(措規18の15の10⑳)
。
ないこととされています(復興財確法28)
。
ロ 徴収した所得税の納税地
④ 計算書の添付等
上記①により徴収して納付すべき所得税
イ 計算書の添付
の納税地は、契約不履行等事由が生じた未
上記③の金融商品取引業者等は、契約不
成年者口座が開設されている金融商品取引
履行等事由が生じたことによりこの非課税
業者等の営業所の所在地です(措令25の13
措置の適用がなかったものとみなされた未
の 8 ⑳)
。
成年者口座内上場株式等の配当等について
ハ 帳簿書類の整理保存等
租税特別措置法第 8 条の 3 第 3 項、第 9 条
上記①により徴収した所得税を納付する
の 2 第 2 項又は第 9 条の 3 の 2 第 1 項の規
金融商品取引業者等は、未成年者口座に関
定により徴収した所得税を納付する場合に
して備え付ける帳簿に、上記①イ及びロに
は、所得税法の計算書に関する規定にかか
掲げる金額及び契約不履行等事由が生じた
わらず、その納付の際、納付書に次に掲げ
ことにより徴収した所得税の額に関する事
る事項を記載した計算書を添付しなければ
項を明らかにしなければなりません(措令
なりません(措令 5 の 2 の 3 ①、措規 5 の
25の13の 8 )
。
5 の 3 ①②)。
③ 配当所得に対する源泉徴収
イ 徴収した所得税を納付する金融商品取
上記⑺④のとおり、未成年者口座及び課税
引業者等の営業所の名称及び所在地
未成年者口座を開設する居住者等の基準年の
ロ その月において契約不履行等事由が生
前年12月31日までに契約不履行等事由が生じ
じたことによりこの非課税措置の適用が
た場合には、契約不履行等事由が生じた時に
なかったものとみなされた未成年者口座
おいてその未成年者口座内上場株式等の配当
内上場株式等の配当等につき租税特別措
等の支払があったものして課税されるため
置法第 8 条の 3 第 3 項、第 9 条の 2 第 2
(措法 9 の 9 ②)
、源泉徴収についても契約不
項又は第 9 条の 3 の 2 第 1 項の規定によ
履行等事由が生じた時にその未成年者口座を
り所得税を徴収して納付すべき者の数
開設されていた金融商品取引業者等が、その
ハ その月において契約不履行等事由が生
未成年者口座の設定の時からその契約不履行
じたことによりこの非課税措置の適用が
等事由が生じた時までの間に支払を受けるべ
なかったものとみなされた未成年者口座
き未成年者口座内上場株式等の配当等につい
内上場株式等の配当等につき租税特別措
て、配当等の支払の取扱者として15%(他に
置法第 8 条の 3 第 3 項、第 9 条の 2 第 2
地方税 5 %)の税率により源泉徴収を行うこ
項又は第 9 条の 3 の 2 第 1 項の規定によ
ととなります(措法 9 の 3 の 2 ①)
。ただし、
り徴収して納付すべき所得税の額
災害等による返還等(上記⑹②ヘイⅰ参照)
ニ その月において契約不履行等事由が生
が生じたことにより口座を廃止する場合には、
じたことによりこの非課税措置の適用が
遡及課税が行われないためこの源泉徴収の適
なかったものとみなされた未成年者口座
用もありません。
内上場株式等の配当等の額の総額
(注) 上記による所得税を徴収する際には、そ
の所得税の額に2.1%の税率を乗じて計算し
─ 166 ─
ホ その他参考となるべき事項
なお、この計算書の書式は、租税特別措
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
置法施行規則別表第七㈡に定められていま
る場合を含みます。))を提出すること等ができ
す(措規 5 の 5 の 3 ②)
。
ることとされました(措法37の14の 2 ⑩)。
① 合計所得金額等の判定
ロ 帳簿書類の整理保存等
上記③の金融商品取引業者等は、未成年
この申告不要を選択した場合には、未成年
者口座に関して備え付ける帳簿に、契約不
者口座内の所得・損失の金額は、各種人的控
履行等事由が生じたことにより源泉徴収を
除の対象となる寡婦、寡夫、勤労学生、控除
すべき未成年者口座内上場株式等の配当等
対象配偶者、扶養親族等(所法 2 ①三十~
の額及びその未成年者口座内上場株式等の
三十四の四、所令11②、11の 2 ②)の判定上
配当等について租税特別措置法第 8 条の 3
の合計所得金額などには含まれません(措令
第 3 項、第 9 条の 2 第 2 項又は第 9 条の 3
25の13の 8 一)。
の 2 第 1 項の規定により徴収した所得税の
② 確定所得申告等をする場合
額に関する事項を明らかにしなければなり
その年分の総所得金額、退職所得金額及び
ません(措令 5 の 2 の 3 ②)
。
山林所得金額の合計額が所得控除の合計額を
超える場合で、所得税の合計額が配当控除等
⑼ 契約不履行等事由が生じた場合の未成年者口
の金額を超える場合には確定所得申告が必要
座内上場株式等に係る譲渡所得等の申告不要
とされています(所法120)が、この申告不
その年分の所得税に係る未成年者口座を有し
要制度を選択することにより、上場株式等に
ていた居住者等で、その未成年者口座に係る未
係る譲渡所得等の金額(措法37の11①)から
成年者口座内上場株式等の譲渡について上記⑺
契約不履行等事由が生じた未成年者口座内上
②のイからハまでに基づいて計算されたその未
場株式等に係る譲渡所得等の金額を除外して
成年者口座内上場株式等の譲渡による事業所得
申告の要否の判定及び申告をすることができ
の金額、譲渡所得の金額及び雑所得の金額を有
ます(措令25の13の 8 二)。
するものは、その年分の所得税については、上
(注) したがって、その年中の所得金額が契約
場株式等に係る譲渡所得等の金額(措法37の11
不履行等事由が生じた未成年者口座内上場
①)若しくは上場株式等に係る譲渡損失の金額
株式等に係る譲渡所得等の金額のみである
(措法37の12の 2 ②⑥)又は所得税法上確定申
場合には、確定申告をしないことも可能と
告書提出不要制度の判定の基礎となる給与所得
及び退職所得以外の所得金額若しくは公的年金
なります。
③ 確定申告を要しない場合
等 に 係 る 雑 所 得 以外の所得金額(所法121①
この申告不要制度を選択することにより、
③)の計算上、その未成年者口座内上場株式等
給与所得を有する者の確定申告不要(いわゆ
の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金額
る20万円基準。所法121①)又は公的年金等
又は雑所得の金額を除外したところにより、所
に係る雑所得を有する者の確定申告不要(い
得税法上の確定申告書(確定所得申告書、還付
わゆる20万円基準。所法121③)の適用上、
申告書、損失申告書、準確定申告書など所得税
契約不履行等事由が生じた未成年者口座内上
法第120条から第127条までの申告書)及び上場
場株式等に係る譲渡所得等の金額を「給与所
株式等の譲渡損失の繰越控除を受けるための損
得及び退職所得以外の所得金額」又は「公的
失申告書(租税特別措置法第37条の12の 2 第 9
年金等に係る雑所得以外の所得金額」に含め
項(同法第37条の13の 2 第10項において準用す
ないで上記の20万円基準の判定をすることが
る場合を含みます。
)において準用する所得税
法第123条第 1 項(同法第166条において準用す
─ 167 ─
できます(措令25の13の 8 三)。
④ 決定等の場合の取扱い
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
居住者等が契約不履行等事由が生じた日の
⑰において準用する措令25の13⑭)。
属する年分の所得税について、国税通則法第
この場合の一定の本人確認書類の範囲は、
25条による決定(決定に係る更正又は再更正
非課税口座内上場株式等に係る非課税措置と
を含みます。)をする場合には、契約不履行
同様です(措規18の15の10⑰において準用す
等事由が生じた未成年者口座内上場株式等に
る措規18の15の 3 ⑪、18の12③)。
係る譲渡所得等の金額は、その決定に係る課
税標準等には含まれないものとされています
③ 告知を受けた金融商品取引業者等の営業所
の長の確認
上記②の告知を受けた金融商品取引業者等
(措法37の14の 2 ⑪)
。
の営業所の長は、その告知があった氏名、生
⑽ 未成年者非課税適用確認書の交付申請に関す
年月日、住所及び個人番号が、その告知の際
る手続
に提示又は送信を受けた本人確認書類又は署
① 未成年者非課税適用確認書の交付申請書の
名用電子証明書等に記載又は記録がされた氏
提出
名、生年月日、住所及び個人番号と同じであ
未成年者非課税適用確認書の交付を受けよ
るかどうかを確認しなければならないことと
うとする居住者等は、次に掲げる事項を記載
されており、仮にこれらが異なる場合には、
した交付申請書を、平成28年 1 月 1 日から平
その交付申請書は受理することができません
成35年 9 月30日までの間に、金融商品取引業
(措法37の14の 2 ⑭、措令25の13の 8 ⑰にお
者等の営業所の長に提出をしなければなりま
いて準用する措令25の13⑯一)。
せん(措法37の14の 2 ⑫、
措規18の15の10⑫)
。
氏名、生年月日、住所及び個人番号が同じ
イ 交付申請書の提出をする者の氏名、生年
であることが確認された場合には、金融商品
取引業者等の営業所の長は、「確認に関する
月日、住所及び個人番号
ロ 交付申請書の提出先の金融商品取引業者
帳簿」に、その確認をした年月日及び交付申
請書の提出をした者から提示を受けた本人確
等の営業所の名称及び所在地
ハ 未成年者非課税適用確認書の交付を受け
認書類の名称又はその提示の際に署名用電子
証明書等の送信を受けた旨を記載することに
たい旨
より、その確認をした旨を明らかにしておか
ニ その他参考となるべき事項
(注) この非課税措置では、非課税口座内上場
なければなりません(措令25の13の 8 ⑰にお
株式等に係る非課税措置と異なり、交付申
いて準用する措令25の13⑱、措規18の15の10
請書に、基準日における国内の住所を証す
⑰において準用する措規18の15の 3 ⑫)。
る書類の添付は必要ありません。
なお、居住者等が金融商品取引業者等の営
② 未成年者非課税適用確認書の交付申請書の
業所の長に未成年者非課税適用確認書の交付
提出時の告知義務等
申請書の提出又は未成年者口座開設届出書の
金融商品取引業者等の営業所の長に交付申
提出をしようとする場合において、これらの
請書の提出をしようとする居住者等は、その
書類に記載されたその提出をする者の氏名、
提出をする際、その金融商品取引業者等の営
生年月日、住所及び個人番号がその金融商品
業所の長に一定の本人確認書類を提示し、又
取引業者等の営業所が備え付ける「確認に関
は署名用電子証明書等を送信して氏名、生年
する帳簿」に既に記載されているときは、そ
月日、住所及び個人番号を告知し、その告知
の者はその金融商品取引業者等の営業所の長
をした事項について確認を受けなければなり
に対しては、上記②による本人確認書類の提
ません(措法37の14の 2 ⑬、措令25の13の 8
示又は署名用電子証明書等の送信をする必要
─ 168 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
はありません。ただし、これらの書類に記載
税口座内上場株式等に係る非課税措置と同様
された氏名、住所又は個人番号が、その「確
です(措令25の13の 8 ⑰において準用する措
認に関する帳簿」に記載されているその者の
令25の13⑳~、措規18の15の10⑰において
氏名、住所又は個人番号と異なるときは、そ
準用する措規18の15の 3 )。
の者は改めて本人確認書類を提示する必要が
あります(措令25の13の 8 ⑰において準用す
⑤ 未成年者非課税適用確認書の交付等
イ 申請事項の提供を受けた所轄税務署長は、
その申請事項に係る交付申請書の提出をし
る措令25の13⑲)
。
④ 金融商品取引業者等の営業所の長から所轄
た居住者等(以下「申請者」といいます。)
税務署長への申請事項の提供
について、その申請事項の提供を受けた時
交付申請書の提出を受けた金融商品取引業
よりも前にその所轄税務署長又は他の税務
者等の営業所の長は、その提出を受けた後速
署長に対して申請事項(その申請書に記載
やかに、その交付申請書に記載された事項
された勘定設定期間に係るものに限りま
(以下「申請事項」といいます。
)を特定電子
す。) の 提 供 が 行 わ れ て い な い か ど う か
情報処理組織(e-Tax)を使用する方法によ
(重複して申請が行われていないかどう
りその金融商品取引業者等の営業所の所在地
か)の確認を行います。
の所轄税務署長に提供(送付)しなければな
この確認をした所轄税務署長は、次に掲
らないこととされています(措法37の14の 2
げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める
⑮)。
書類又は書面を、その申請事項に係る交付
(注 1 )
所轄税務署長に申請事項の提供をした
申請書の提出を受けた金融商品取引業者等
金融商品取引業者等の営業所の長は、そ
の営業所の長を経由してその申請者に交付
の申請事項に係る交付申請書について帳
しなければなりません(措法37の14の 2 ⑯、
簿を備え、その交付申請書の提出をした
措規18の15の10⑰において準用する措規18
者の各人別に、申請事項を記録しなけれ
の15の 3 ⑮)。
ばならないこととされています(措法37
イ その申請事項の提供を受けた時前に当
該所轄税務署長又は他の税務署長に対し
の14の 2 ⑮後段)。
(注 2 )
提供する申請事項の氏名には、片仮名
でふりがなを付さなければならないこと
とされています(措規18の15の10⑰にお
て申請事項の提供がない場合……未成年
者非課税適用確認書
ロ 上記イに掲げる場合以外の場合……次
に掲げる事項を記載した書面
いて準用する措規18の15の 8 ②)。
(注 3 )
特定電子情報処理組織を使用して行う
申請事項の提供は、非課税口座内上場株
式等に係る非課税措置と同様にe-Taxの手
続により行うこととされています(措規
18の15の10⑰において準用する措規18の
ⅰ 交付申請書の提出をした者の氏名、
生年月日及び住所
ⅱ 未成年者非課税適用確認書の交付を
行わない旨及びその理由
ⅲ その他参考となるべき事項
ロ 未成年者非課税適用確認書の交付申請書
15の 3 ⑬⑭)。
なお、金融商品取引業者等による申請事項
を受理した金融商品取引業者等の事務を効
の提供は、所轄税務署長の承認を受けた場合
率化する観点から、金融商品取引業者等の
には、各営業所の分を本店等が一括して提供
営業所の長から未成年者非課税適用確認書
することもできます(措法37の14の 2 )
。
の交付申請書の申請事項の提供を受けた所
この場合の所轄税務署長の承認手続は、非課
轄税務署長は、その金融商品取引業者等の
─ 169 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
ロ その所轄税務署長がその未成年者非課税
営業所の長を経由して未成年者非課税適用
適用確認書を作成した年月日
確認書又は未成年者非課税適用確認書を交
付しない旨等を記載した書面の交付をする
ハ 整理番号
際、次に掲げる事項を、電子情報処理組織
ニ その他参考となるべき事項
(国税庁の使用に係る電子計算機とその金
融商品取引業者等の営業所の長の使用に係
⑾ 未成年者口座を開設する際の手続
る電子計算機とを電気通信回線で接続した
① 未成年者口座開設届出書の提出
電子情報処理組織をいいます。
)を使用す
金融商品取引業者等の営業所において未成
る方法によりその金融商品取引業者等の営
年者口座を設定しようとする居住者等(その
業所の長に提供することとされています
口座開設年の 1 月 1 日において20歳未満であ
(措令25の13の 8 ⑰において準用する措令
る者又はその年中に出生した者に限ります。)
25の13、措規18の15の10⑰において準用
は、未成年者口座開設届出書に、未成年者非
する措規18の15の 3 )
。
課税適用確認書又は未成年者口座廃止通知書
イ 所轄税務署長が金融商品取引業者等の
を添付して、その口座開設年の前年10月 1 日
営業所の長を経由して交付する未成年者
からその口座開設年において最初にこの非課
非課税適用確認書又は未成年者非課税適
税措置の適用を受けようとする上場株式等を
用確認書を交付しない旨等を記載した書
その口座に受け入れる日(未成年者口座廃止
面の別
通知書を添付する場合には、その受け入れる
ロ 未成年者非課税適用確認書に記載され
日又はその口座開設年の 9 月30日のいずれか
早い日)までに、これをその口座を設定しよ
た整理番号
ハ 金融商品取引業者等の営業所の長が、
うとする金融商品取引業者等の営業所の長に
所轄税務署長に対して交付申請書の申請
提出をしなければなりません(措令25の13の
事項の提供をする際に、その申請事項が
8 ②前段)。
記載された交付申請書を識別するための
(注) 未成年者口座開設届出書に未成年者口座
記号又は番号を提供している場合には、
廃止通知書を添付して提出する場合には、
その記号又は番号
その年 9 月30日がその提出期限とされてい
ニ その他参考となるべき事項
るため、同日を過ぎると同日の属する年は
(注)
上記の電子情報処理組織を使用する方
法とは、具体的にはe-Taxのメッセージボ
未成年者口座を開設できないこととなりま
す。
ックスに格納する方法により提供されま
この場合に、未成年者口座廃止通知書の交
す。
付の基因となった未成年者口座においてその
未成年者口座を廃止した日の属する年分の非
⑥ 未成年者非課税適用確認書の記載事項
未成年者非課税適用確認書には、未成年者
課税管理勘定に既に上場株式等を受け入れて
口座に非課税管理勘定を設けることができる
いるときは、その廃止した日から同日の属す
旨その他次に掲げる事項を記載することとさ
る年の 9 月30日までの間は、金融商品取引業
れています(措法37の14の 2 ⑤七、措規18の
者等の営業所の長は、その未成年者口座廃止
15の10⑩)
。
通知書が添付された未成年者口座開設届出書
イ その未成年者非課税適用確認書に係る交
を受理することができず、その廃止の日の翌
付申請書の提出をした者の氏名及び生年月
年から口座開設が可能となります(措令25の
日
13の 8 ②後段)。
─ 170 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
この未成年者口座開設届出書に記載すべき
税適用確認書の交付申請書を提出する場合の
事項は、以下のとおりです(措規18の15の10
本人確認書類と同様です。
③ 告知を受けた金融商品取引業者等の営業所
②)。
イ 未成年者口座開設届出書の提出をする者
の長の確認
上記②の告知を受けた金融商品取引業者等
の氏名、生年月日、住所及び個人番号
ロ 未成年者口座開設届出書の提出先の金融
の営業所の長は、その告知があった氏名、生
商品取引業者等の営業所の名称及び所在地
年月日、住所及び個人番号が、その告知の際
ハ 未成年者口座管理契約に基づきその口座
に提示又は送信を受けた本人確認書類又は署
に係る振替口座簿に記載若しくは記録がさ
名用電子証明書等に記載又は記録がされた氏
れ、又は当該口座に保管の委託がされてい
名、生年月日、住所及び個人番号並びに未成
る上場株式等に係る配当所得及び上場株式
年者口座開設届出書に添付された未成年者非
等の譲渡による事業所得、譲渡所得又は雑
課税適用確認書に記載された氏名及び生年月
所得についてこの非課税措置の適用を受け
日と同じであるかどうかを確認しなければな
る旨
らないこととされており、仮にこれらが異な
ニ 未成年者口座開設届出書の提出年月日
る場合には、その未成年者口座開設届出書は
ホ 未成年者口座を設定しようとする日の属
受理することができないこととされています
(措法37の14の 2 ⑰において準用する同条⑭、
する年
措令25の13の 8 ⑰において準用する措令25の
ヘ その他参考となるべき事項
(注) この未成年者口座開設届出書の提出は、
13⑯二)。
書類による提出のほか、電子情報処理組織
ただし、税務署長から未成年者非課税適用
(インターネットや電子メール)を利用して、
確認書の交付を受けた後にその交付を受けた
未成年者口座開設届出書に記載すべき事項
居住者等の氏名が変更されているときは、そ
を送付する方法によることも可能です。た
の金融商品取引業者等の営業所の長は、上記
だし、この場合でも未成年者非課税適用確
②により告知があった氏名とその未成年者非
認書又は未成年者口座廃止通知書について
課税適用確認書に記載された氏名とが同一で
は、別途郵送等により提出することが必要
あるかどうかの確認は要しないこととされて
となります。
います。この場合には、その金融商品取引業
② 未成年者口座開設届出書の提出時の告知義
者等の営業所の長は、その居住者等から提示
務等
を受けたその変更前の氏名の記載がある本人
未成年者口座開設届出書の提出をする居住
確認書類により、その氏名に変更を生じた事
者等は、その提出をする際、その提出先の金
実及びその変更前の氏名とその未成年者非課
融商品取引業者等の営業所の長に、その者の
税適用確認書に記載された氏名が同じである
一定の本人確認書類を提示し、又は署名用電
かどうかを確認しなければならないこととさ
子証明書等を送信して氏名、生年月日、住所
れています(措令25の13の 8 ⑰において準用
及び個人番号を告知し、その告知をした事項
する措令25の13⑰)。
につき確認を受けなければならないこととさ
④ 未成年者口座の重複開設等の禁止( 1 人 1
れています(措法37の14の 2 ⑰において準用
口座)
する同条⑬、措令25の13の 8 ⑰において準用
現に未成年者口座を開設している居住者等
する措令25の13⑭)
。なお、この場合の一定
は、その未成年者口座が開設されている金融
の本人確認書類は、上記⑽②の未成年者非課
商品取引業者等の営業所の長及びその金融商
─ 171 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
品取引業者等の営業所の長以外の金融商品取
なお、金融商品取引業者等による未成年者
引業者等の営業所の長に対し、次の書類の提
口座開設情報の提供は、所轄税務署長の承認
出をすることはできません(措法37の14の 2
を受けた場合には、各営業所の分を本店等が
⑱)。
一括して提供することもできます(措法37の
イ 未成年者口座開設届出書
14の 2 、措令25の13の 8 ⑰において準用す
ロ 非課税口座内上場株式等に係る非課税措
る措令25の13⑳~、措規18の15の10⑰にお
置(NISA)の非課税適用確認書の交付申
いて準用する措規18の15の 3 )。
請書(その居住者等がその年 1 月 1 日にお
いて20歳である年の前年12月31日までに提
⑿ 未成年者口座廃止通知書の交付申請手続等
出するものに限ります。
)
① 未成年者口座廃止届出書の提出
⑤ 金融商品取引業者等の営業所の長から所轄
未成年者口座を開設している居住者等がそ
税務署長への未成年者口座開設情報の提供
の未成年者口座についてこの非課税措置の適
未成年者非課税適用確認書を添付した未成
用を受けることをやめようとする場合には、
年者口座開設届出書の提出を受けた金融商品
その者は、次に掲げる事項を記載した未成年
取引業者等の営業所の長は、その提出を受け
者口座廃止届出書を、その未成年者口座が開
た後速やかに、次に掲げる事項を、特定電子
設されている金融商品取引業者等の営業所の
情報処理組織(e-Tax)を使用する方法によ
長に提出しなければなりません(措法37の14
りその金融商品取引業者等の営業所の所在地
の 2 ⑳、措規18の15の10⑭)。
の所轄税務署長に提供しなければなりません
イ 未成年者口座廃止届出書を提出する者の
(措法37の14の 2 ⑲、措規18の15の10⑬)
。
氏名、生年月日、住所及び個人番号
イ 未成年者非課税適用確認書の提出をした
者の氏名、生年月日、住所及び個人番号
ロ 未成年者口座廃止届出書の提出先の金融
商品取引業者等の営業所の名称及び所在地
ロ 未成年者非課税適用確認書に記載された
整理番号
ハ 未成年者口座を廃止する旨及びこの非課
税措置の適用を受けることをやめようとす
ハ 未成年者非課税適用確認書に記載された
氏名が変更されている場合には、その旨及
びその未成年者非課税適用確認書に記載さ
れた氏名
る未成年者口座の記号又は番号
ニ 未成年者口座に現に設けられている非課
税管理勘定の年分
ホ その他参考となるべき事項
ニ 未成年者非課税適用確認書の提出を受け
なお、未成年者口座管理契約若しくは課税
た金融商品取引業者等の営業所の名称及び
未成年者口座管理契約又はこれらの履行につ
その金融商品取引業者等の法人番号
き未成年者口座等廃止事由(上記⑹②トを参
ホ 未成年者非課税適用確認書の提出年月日
照)又は課税未成年者口座等廃止事由(上記
ヘ 未成年者非課税適用確認書の受理後に非
⑹⑥ホを参照)が生じたことにより未成年者
課税管理勘定が設定された日又は設定予定
口座が廃止された場合には、これらの事由が
年月日及びその非課税管理勘定が設定され
生じた時に、その未成年者口座を開設してい
た未成年者口座の記号又は番号
る居住者等が、その未成年者口座が開設され
ト その他参考となるべき事項
ている金融商品取引業者等の営業所の長に未
(注) 未成年者口座廃止通知書を添付した未成
年者口座開設届出書が提出された場合の手
続は、下記⑿⑥及び⑦を参照してください。
─ 172 ─
成年者口座廃止届出書を提出したものとみな
されます(措法37の14の 2 ⑳)。
② 未成年者口座廃止届出書の提出の効果
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
未成年者口座廃止届出書の提出があった場
合には、その提出があった時にその未成年者
式等の受入れの有無
ト その他参考となるべき事項
口座廃止届出書に係る未成年者口座が廃止さ
(注) 廃止届出事項の提供をした金融商品取引
れ、その未成年者口座に受け入れていた上場
業者等の営業所の長は、その旨及びその提
株式等についてその提出の時後に支払を受け
供した事項につき、帳簿を備え、各人別に、
るべき上場株式等の配当等及びその提出の時
その事績を明らかにしておく必要がありま
後に行う上場株式等の譲渡による所得につい
す(措令25の13の 8 ⑰において準用する措
ては、この非課税措置は適用されません(措
令25の13の 6 ④)
。
法37の14の 2 )
。
なお、金融商品取引業者等による廃止届出
(注) 居住者等の基準年の前年以前に未成年者
事項の提供は、所轄税務署長の承認を受けた
口座が廃止された場合には、上記⑺による
場合には、各営業所の分を本店等が一括して
遡及課税及び上記⑻による源泉徴収の適用
提供することもできます(措法37の14の 2 、
があります。
措令25の13の 8 ⑰において準用する措令25の
③ 未成年者口座廃止届出書の記載事項の税務
13⑳~、措規18の15の10⑰において準用す
る措規18の15の 3 )。
署長への通知
未成年者口座廃止届出書の提出を受けた金
④ 未成年者口座廃止通知書の交付
融商品取引業者等の営業所の長は、その提出
この廃止届出事項の提供をした金融商品取
を受けた後速やかに、次に掲げる事項(以下
引業者等の営業所の長は、未成年者口座廃止
「廃止届出事項」といいます。
)を、特定電子
届出書を提出した居住者等に対し、未成年者
情報処理組織(e-Tax)を使用する方法によ
口座廃止通知書を交付しなければなりません。
りその金融商品取引業者等の営業所の所在地
ただし、未成年者口座はその年 1 月 1 日にお
の所轄税務署長に提供しなければなりません
いて20歳未満である者のみが開設できること
とされていることとの関係から、未成年者口
(措法37の14の 2 、措規18の15の10⑮)
。
イ 未成年者口座廃止届出書の提出者の氏名、
座廃止通知書の交付の相手方となる居住者等
は、その年 1 月 1 日において19歳である年の
生年月日及び個人番号
ロ 提出者からその未成年者口座廃止届出書
9 月30日までに未成年者口座廃止届出書を提
の提出の日以前の直近に提出を受けた未成
出した者に限ります。また、その未成年者口
年者非課税適用確認書又は未成年者口座廃
座廃止届出書の提出の日の属する年の 1 月 1
止通知書に記載された整理番号
日において19歳である居住者等が開設してい
ハ 未成年者口座廃止届出書の提出を受けた
る未成年者口座でその未成年者口座に係る同
金融商品取引業者等の営業所の名称及びそ
日の属する年分の非課税管理勘定に上場株式
の金融商品取引業者等の法人番号
等の受入れをしていたものに対しては、未成
ニ 未成年者口座廃止届出書の提出により未
成年者口座を廃止した旨及びその提出年月
年者口座廃止通知書を交付する必要はありま
せん(措法37の14の 2 )。
⑤ 未成年者口座廃止通知書の記載事項
日
ホ 提出者に対する未成年者口座廃止通知書
未成年者口座廃止通知書には、次に掲げる
事項を記載することとされています(措法37
の交付の有無
ヘ 提出者に未成年者口座廃止通知書を交付
の14の 2 ⑤八、措規18の15の10⑪)。
する場合には、未成年者口座を廃止した日
イ その未成年者口座廃止通知書に係る未成
の属する年分の非課税管理勘定への上場株
年者口座廃止届出書の提出者の氏名及び生
─ 173 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
初に設けようとする非課税管理勘定の年分
年月日
ロ その提出者からその提出の日以前の直近
に提出を受けた未成年者非課税適用確認書
又は未成年者口座廃止通知書に記載された
整理番号
及びその非課税管理勘定が設けられる未成
年者口座の記号又は番号
ト その他参考となるべき事項
(注) この場合に、その金融商品取引業者等の
ハ その未成年者口座廃止届出書に係る未成
年者口座が廃止された年月日
営業所の長は、当該未成年者口座廃止通知
書につき帳簿を備え、その未成年者口座廃
ニ その未成年者口座を廃止した日の属する
止通知書を提出した者の各人別に、提出事
年分の非課税管理勘定への上場株式等の受
項を記載し、又は記録しなければなりませ
入れの有無
ん(措法37の14の 2 後段)
。
ホ その未成年者口座廃止通知書を作成した
なお、金融商品取引業者等による提出事項
金融商品取引業者等の営業所の名称及び所
の提供は、所轄税務署長の承認を受けた場合
在地並びにその作成した年月日
には、各営業所の分を本店等が一括して提供
ヘ その他参考となるべき事項
することもできます(措法37の14の 2 、措
⑥ 提出事項の所轄税務署長への提供
令25の13の 8 ⑰において準用する措令25の13
未成年者口座廃止通知書を添付した未成年
⑳~、措規18の15の10⑰において準用する
者口座開設届出書の提出を受けた金融商品取
措規18の15の 3 )。
引業者等の営業所の長は、その提出を受けた
⑦ 所轄税務署長から金融商品取引業者等の営
後速やかに、次に掲げる事項(以下「提出事
業所の長への通知
項」といいます。
)を特定電子情報処理組織
この提出事項の提供を受けた所轄税務署長
(e-Tax)を使用する方法によりその金融商
は、未成年者口座廃止通知書の提出者に係る
品取引業者等の営業所の所在地の所轄税務署
上記③の手続に係る廃止届出事項(その提出
長に提供しなければなりません(措法37の14
事項に係る廃止年月日と同一のものに限りま
の 2 、措規18の15の10⑯)
。
す。)の提供の有無を確認することとされて
イ 未成年者口座廃止通知書を提出した者の
います。この確認をした所轄税務署長は、次
氏名、生年月日及び個人番号
に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定め
ロ 未成年者口座廃止通知書に記載された整
理番号
る事項を、その提出事項の提供をした金融商
品取引業者等の営業所の長に、電子情報処理
ハ 未成年者口座廃止通知書に記載された氏
組織(e-Tax)を使用する方法により提供す
名が変更されている場合には、その旨及び
ることとされています(措法37の14の 2 、
その未成年者口座廃止通知書に記載された
措規18の15の10⑰において準用する措規18の
氏名
15の 3 )。
ニ 未成年者口座廃止通知書の提出を受けた
イ その提出者に係る廃止届出事項の提供が
金融商品取引業者等の営業所の名称及びそ
ある場合(下記ロに掲げる場合に該当する
の提出年月日並びにその金融商品取引業者
場合を除きます。)……次に掲げる事項
等の法人番号
イ その金融商品取引業者等の営業所にお
ホ 未成年者口座廃止通知書の提出を受けた
旨及びその未成年者口座廃止通知書に記載
された未成年者口座の廃止年月日
ける提出者の未成年者口座の開設ができ
る旨
ロ 廃止通知書の提出者の氏名及び生年月
ヘ 未成年者口座廃止通知書の提出により最
─ 174 ─
日
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
ハ その金融商品取引業者等の営業所の長
取引業者の営業所の他の営業所にその未成年
から提供を受けた提出事項のうち、その
者口座を移管しようとする場合には、その居
提出者の整理番号及び未成年者口座に設
住者等は、移管を依頼する旨その他所定の事
ける非課税管理勘定の年分
項を記載した未成年者口座移管依頼書を、移
ニ その金融商品取引業者等の営業所の長
が、所轄税務署長に対して提出事項の提
管前の営業所を経由して移管先の営業所の長
に提出しなければなりません。
供をする際に、その提出事項が記載され
③ 未成年者口座が開設されている金融商品取
た未成年者口座廃止通知書を識別するた
引業者等において事業譲渡等があった場合の
めの記号又は番号を提供している場合に
取扱い
は、その記号又は番号
事業の譲渡、法人の合併・分割又は金融商
品取引業者等の営業所の新設・廃止若しくは
ホ その他参考となるべき事項
ロ その提出者に係る廃止届出事項の提供が
業務を行う区域の変更により、居住者等が金
ない場合又はその提出事項の提供を受けた
融商品取引業者等の営業所(移管前の営業
時前に既に所轄税務署長若しくは他の税務
所)に開設している未成年者口座に関する事
署長に対して同一の提出者に係る提出事項
務の全部が、他の金融商品取引業者等の営業
(廃止年月日が同一のものに限ります。
)の
所又は同一の金融商品取引業者等の他の営業
提供がある場合……次に掲げる事項
所(移管先の営業所)に移管された場合には、
イ その金融商品取引業者等の営業所にお
その移管前の営業所の長がした未成年者口座
ける当該提出者の未成年者口座の開設が
開設届出書の受理その他の手続は、その移管
できない旨及びその理由
先の営業所の長がしたものとみなして、引き
続きこの非課税措置が適用されます。
ロ 上記イロからホまでに掲げる事項
④ 未成年者出国届出書の提出等
⒀ 未成年者口座に関するその他の手続
未成年者口座を開設している居住者等の基
上記のほか、未成年者口座については、非課
準年の 1 月 1 日以後にその者が、出国により
税口座と同様に、次の手続や義務に関する規定
居住者等に該当しないこととなる場合には、
が設けられています(措法37の14の 2 、措令
その者は、その出国をする日の前日までに、
25の13の 8 ⑰において準用する措令25の13の 2
その旨その他所定の事項を記載した未成年者
~25の13の 6 、措規18の15の10⑰において準用
出国届出書を、その未成年者口座が開設され
する措規18の15の 4 ~18の15の 8 )
。
ている金融商品取引業者等の営業所の長に提
① 未成年者口座異動届出書の提出
出しなければなりません。
未成年者口座を開設している居住者等が、
未成年者口座を開設している居住者等の基
その氏名、住所又は個人番号の変更をした場
準年の 1 月 1 日以後にその者が、出国により
合には、その者は、遅滞なく、その旨その他
居住者等に該当しないこととなった場合には、
所要の事項を記載した未成年者口座異動届出
その者は、その出国の日の前日に未成年者口
書を、その未成年者口座が開設されている金
座廃止届出書をその未成年者口座が開設され
融商品取引業者等の営業所の長に提出しなけ
ている金融商品取引業者等の営業所の長に提
ればなりません。
出したものとみなされます。このため、その
出国の日以後に支払を受けるべき上場株式等
② 未成年者口座移管依頼書の提出
未成年者口座を開設している居住者等が、
の配当等及び同日以後にその口座において処
その未成年者口座が開設されている金融商品
理される上場株式等の譲渡による所得につい
─ 175 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
ては、この非課税措置は適用されないことに
の額、その未成年者口座に係る未成年者口座内
なります。
上場株式等の配当等の額その他所定の事項を記
(注) 上記の未成年者出国届出書は、未成年者
載した未成年者口座年間取引報告書を未成年者
口座を開設している居住者等の基準年の 1
口座ごとに作成し、その年の翌年 1 月31日まで
月 1 日以後に出国する場合に適用されます。
に、その金融商品取引業者等のその未成年者口
居住者等の基準年の 1 月 1 日前に出国をす
座が開設されていた営業所の所在地の所轄税務
る場合には、未成年者口座管理契約の要件
署長に提出しなければなりません(措法37の14
となっている上記⑹②リの手続を行うこと
の 2 、措規18の15の11①)。
になります。
① 未成年者口座年間取引報告書の記載事項及
び書式
⑤ 未成年者口座開設者死亡届出書の提出
未成年者口座を開設している居住者等が死
未成年者口座年間取引報告書の記載事項は、
亡したときは、その者の相続人(相続人がな
次のとおりです。また、書式については、後
いときは、受遺者)は、その居住者等が死亡
掲の租税特別措置法施行規則別表第七㈢のと
したことを知った日以後遅滞なく、その旨そ
おりです。なお、国税庁長官は、同令別表第
の他所定の事項を記載した未成年者口座開設
七㈢の書式について必要があるときは、所要
者死亡届出書を、その未成年者口座が開設さ
の事項を付記すること又は一部の事項を削る
れている金融商品取引業者等の営業所の長に
ことができることとされています(措令25の
提出しなければなりません。
13の 8 ⑰において準用する措令25の13の 7 ③、
⑥ 金融商品取引業者等の営業所における未成
措規18の15の11②④、18の15の 9 ⑤⑥)。
イ 未成年者口座を開設していた居住者等の
年者口座に関する帳簿書類の整理保存義務
この未成年者口座内の少額上場株式等の配
氏名、生年月日、住所及び個人番号
当所得及び譲渡所得等に係る非課税措置は、
ロ 未成年者口座の設定の際に提出を受けた
未成年者口座において管理されている上場株
未成年者非課税適用確認書又は未成年者口
式等に係る配当所得及び譲渡所得等を非課税
座廃止通知書に記載された整理番号
とするものであるため、この未成年者口座を
ハ 未成年者口座が開設されていた金融商品
管理している金融商品取引業者等に対して、
取引業者等の営業所の名称、所在地及び電
帳簿書類の作成及び保存並びに居住者等から
話番号並びにその金融商品取引業者等の法
提出を受けた届出書等の保存義務が課されて
人番号
います。その内容は、非課税口座内上場株式
ニ 未成年者口座に非課税管理勘定又は継続
管理勘定が設けられた日の属する年中にそ
等に係る非課税措置とほぼ同様です。
の未成年者口座に受け入れた上場株式等
⒁ 未成年者口座年間取引報告書の提出
(以下「当初取得等上場株式等」といいま
金融商品取引業者等は、その年においてその
す。
)及び同年以後にその未成年者口座に
金融商品取引業者等の営業所に開設されていた
受け入れた未成年者口座内上場株式等の株
未成年者口座で非課税管理勘定又は継続管理勘
式分割若しくは併合又はその発行法人の合
定が設けられていたものがある場合には、その
併等の上記⑹②ロロⅰからⅸまでの事由に
未成年者口座を開設した居住者等の各人別に、
より取得した上場株式等(以下「分割等上
その未成年者口座を開設した居住者等の氏名、
場株式等」といいます。)につき、その受
住所及び個人番号、その年中にその未成年者口
け入れた未成年者口座に係る非課税管理勘
座において処理された上場株式等の譲渡の対価
定又は継続管理勘定ごとの種類別及び銘柄
─ 176 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
別の数又は口数(分割等上場株式等にあっ
ては、その未成年者口座を開設していた居
ハ 上記イに掲げる金額の総額及びロに掲
げる金額の総額
住者等がその分割等上場株式等の取得に係
ト その年中に分割等上場株式等の受入れを
る株式分割・併合又は合併等の事由が生じ
した場合には、その分割等上場株式等の取
た直後に有することとなったその分割等上
得に係る事由及びその事由が生じた年月日
場株式等の数又は口数)並びに取得対価の
並びにその分割等上場株式等の種類及び銘
額(分割等上場株式等にあっては、その分
柄(その分割等上場株式等の種類又は銘柄
割等上場株式等の取得の基因となった当初
とその取得の基因となった未成年者口座内
取得等上場株式等に係る取得対価の額)の
上場株式等の種類又は銘柄とが異なる場合
合計額並びにその未成年者口座に係る当初
には、その取得の基因となった未成年者口
取得等上場株式等の取得対価の額の総額
座内上場株式等の種類及び銘柄並びにその
ホ その年中にその未成年者口座に係る非課
分割等上場株式等の種類及び銘柄)
税管理勘定又は継続管理勘定からの払出し
チ その未成年者口座と同時に設けられた課
(振替によるものを含みます。
)があった未
税未成年者口座に、その年12月31日(その
成年者口座内上場株式等につき、その非課
者が死亡した日の属する年にあっては、そ
税管理勘定又は継続管理勘定ごとの次に掲
の死亡の時)において預入れ又は預託がさ
げる事項
れている金銭の額及び金銭以外の資産の価
イ その払出しの事由及びその払出しのあ
額の合計額
リ その年中にその未成年者口座又は課税未
った年月日
ロ その払出しのあった未成年者口座内上
成年者口座につき契約不履行等事由が生じ
場株式等の種類別及び銘柄別の数又は口
た場合には、その旨及びその契約不履行等
数
事由が生じた日並びに次に掲げる事項
ハ その払出しの次に掲げる場合の区分に
イ その契約不履行等事由が生じたことに
応じそれぞれ次に定める金額
より、この非課税措置の適用がなかった
ⅰ その払出しが譲渡以外の事由による
ものとみなされた未成年者口座内上場株
ものである場合……払出し時の金額
式等の配当等の額の合計額、その未成年
ⅱ その払出しが譲渡によるものである
者口座を設定した日からその契約不履行
等事由が生じた日までの間にその未成年
場合……譲渡対価の額
ニ その年中の払出しに係る上記ハⅰ及び
者口座において交付を受けた特別分配金
の額の合計額、その未成年者口座内上場
ⅱに定める金額の総額
ヘ その年中に交付したその未成年者口座に
株式等の配当等につき徴収された所得税
係る未成年者口座内上場株式等の配当等に
の額並びにその未成年者口座内上場株式
関する次に掲げる事項
等の配当等につきその支払の際に課され
イ その未成年者口座に係る非課税管理勘
た外国所得税の額の合計額
定又は継続管理勘定ごとの種類別及び銘
ロ その契約不履行等事由が生じた未成年
柄別の未成年者口座内上場株式等の配当
者口座に係る上記⑻①イに掲げる金額、
等の額の合計額
上記⑻①ロに掲げる金額、上記⑻①イに
ロ その未成年者口座に係る非課税管理勘
掲げる金額からロに掲げる金額を控除し
定又は継続管理勘定ごとの種類別及び銘
た金額及び上記⑻①により徴収された所
柄別の特別分配金の額の合計額
得税の額
─ 177 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
ヌ その未成年者口座につきその年中に次に
(注 2 )
未成年者口座を開設した居住者等が分
掲げる書類の提出があった場合には、その
割等上場株式等の取得に伴いその取得の
旨及びその書類の区分に応じそれぞれ次に
基因となった未成年者口座内上場株式等
定める事項
を有しないこととなったときは、その有
イ 未成年者口座異動届出書(住所の変更
しないこととなった日の属する年以後の
に係るものに限ります。
)……その提出
各年におけるその未成年者口座に係る未
年月日及びその未成年者口座異動届出書
成年者口座年間取引報告書には、その有
を提出した者に係る変更前の住所
しないこととなった未成年者口座内上場
ロ 未成年者口座廃止届出書……その提出
年月日
株式等に係る上記ニの事項の記載は、要
しないこととされています(措規18の15
ハ 未成年者口座開設者死亡届出書……そ
の提出年月日及びその未成年者口座開設
の11③、18の15の 9 ④)
。
② 光ディスク等による未成年者口座年間取引
者死亡届出書に係る被相続人の死亡年月
報告書の提出
日
イ 未成年者口座を開設されている金融商品
ル その未成年者口座につき居住者等の出国
取引業者等は、申請書を提出して所轄税務
により未成年者口座廃止届出書の提出があ
署長の承認を受けた場合には、未成年者口
ったものとみなされることとなる場合には、
座年間取引報告書に記載すべきものとされ
その旨及び当該みなされることとなった日
る事項を記録した光ディスク等(光ディス
並びに未成年者出国届出書の提出年月日
ク、磁気ディスク又は磁気テープをいいま
ヲ その未成年者口座を開設していた者が国
す。
)の提出をもって未成年者口座年間取
税通則法の規定により届け出た納税管理人
引報告書の提出に代えることができること
が明らかな場合には、その氏名及び住所又
とされ、未成年者口座年間取引報告書に係
は居所
る提出義務、質問検査権及び罰則の適用に
ワ その他参考となるべき事項
ついては、提出された光ディスク等は、未
(注 1 )
未成年者口座に非課税管理勘定が設け
成年者口座年間取引報告書とみなすことと
られた日の属する年の未成年者口座年間
されています(措法42の 2 の 2 ②④)。
取引報告書を作成する場合において、そ
ロ 未成年者口座年間取引報告書を提出すべ
の居住者等がその非課税管理勘定に係る
き者が、一定の事項を記載した申請書を、
未成年者口座内上場株式等を取得した時
その報告書を提出すべき所轄税務署長に提
よりも前に、その未成年者口座内上場株
出して承認を受けた場合には、その者は、
式等と種類及び銘柄を同じくする未成年
その所轄税務署長以外の税務署長に対し、
者口座内上場株式等の取得をし、かつ、
その報告書の記載事項を電子情報処理組織
その取得をした未成年者口座内上場株式
を使用して送信する方法又はその記載事項
等の全てを既にその非課税管理勘定から
を記録した光ディスク等を提出する方法の
譲渡等により払い出しているときは、こ
いずれかの方法により提供できます(措法
れらの未成年者口座内上場株式等は、そ
42の 2 の 2 ③)。
れぞれその種類及び銘柄が異なるものと
ハ 未成年者口座年間取引報告書を提出すべ
して、未成年者口座内上場株式等に関す
き者が、上記イ又はロの申請書の提出をし
る事項を記載することとされています(措
た場合において、その申請書の提出の日か
規18の15の11③、措規18の15の 9 ③)。
ら 2 月を経過する日までにその申請につき
─ 178 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
承認をし、又は承認をしないこととした旨
用する措令25の13の 7 ②)。
の通知がなかったときは、同日にその承認
イ 配当等の受領者の告知等(所法224①
~③)
があったものとみなされます(措令27の 3
ロ 配当等の支払調書、投資信託の収益分
④)。
配の支払調書等の提出(所法225①)
③ 支払調書の提出不要等
未成年者口座年間取引報告書に記載すべき
ハ オープン型の証券投資信託の収益の分
ものとされる上場株式等に係る譲渡対価の額
配の支払通知書及びいわゆるみなし配当
等及び上場株式等の配当等については、非課
の支払通知書の交付(所法225②~④)
税口座年間取引報告書と同様の特例が設けら
ニ 上場株式配当等の支払通知書の交付
(措法 8 の 4 ④~⑦)
れています(措令25の13の 8 ⑰において準用
④ 質問検査権、罰則等
する措令25の13の 7 ①②)
。
上記のほか、この未成年者口座年間取引報
イ 上場株式等の譲渡の対価等に関する支払
調書
告書の提出については、次に掲げる事項に関
未成年者口座年間取引報告書にその額そ
する規定が整備されています。
の他の事項を記載すべきものとされる上場
イ 未成年者口座年間取引報告書の提出に関
株式等の譲渡の対価の支払を受ける者(業
する調査について、所得税法上の支払調書
務に関連して他人のために名義人として支
等の提出に関する調査と同様の質問検査権
払を受ける者に該当する者(所法228②)
(措法37の14の 2 ~、措令25の13の 8
を除きます。
)及びその支払をする者につ
⑰において準用する措令25の13の 7 ④)
いては、その上場株式等の譲渡に係る株式
ロ 未成年者口座年間取引報告書の不提出又
等の譲渡の対価の受領者等の告知(所法
は虚偽記載についての罰則(措法42の 3 ④
224の 3 )及び株式等の譲渡の対価等の支
二)
払調書の提出(所法225①)は要しないこ
ハ 上記イの質問検査に対し、不答弁、虚偽
ととされています(措令25の13の 8 ⑰にお
答弁又は検査拒否・妨害・忌避をした者及
いて準用する措令25の13の 7 ①)
。
び虚偽記載等をした帳簿書類の提示をした
者の罰則(措法42の 3 ④五・六)
ロ 配当等に関する支払調書
ニ 上記ロ及びハに関する両罰規定(措法42
未成年者口座年間取引報告書にその額そ
の 3 ⑥⑦)
の他の事項を記載すべきものとされる上場
株式等の配当等の支払を受ける者(業務に
関連して他人のために名義人として支払を
3 適用関係
受ける者に該当する者(所法228①)を除
上記 2 の制度は、平成28年 1 月 1 日以後に未成
きます。
)
、支払をする者及びその支払の取
年者非課税適用確認書の交付申請書の提出がされ、
扱者については、その上場株式等の配当等
平成28年 4 月 1 日以後に設定される未成年者口座
に係る次に掲げる手続は要しないこととさ
について適用されます(措法37の14の 2 ⑤一⑫)。
れています(措令25の13の 8 ⑰において準
─ 179 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
─ 180 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
備 考
1 この報告書は、居住者若しくは恒久的施設を有する非居住者が開設した非課税口座(法第37条の14第 5 項
第 1 号に規定する非課税口座をいう。以下同じ。)においてされた非課税口座内上場株式等(同条第 1 項に規
定する非課税口座内上場株式等をいう。以下同じ。)の譲渡(同項に規定する譲渡をいう。以下同じ。
)若し
くは非課税口座内上場株式等の配当等(法第 9 条の 8 に規定する非課税口座内上場株式等の配当等をいう。
以下同じ。
)に係る法第37条の14第26項の報告書又は居住者若しくは恒久的施設を有する非居住者が開設した
未成年者口座(法第37条の14の 2 第 5 項第 1 号に規定する未成年者口座をいう。以下同じ。
)においてされた
未成年者口座内上場株式等(同条第 1 項に規定する未成年者口座内上場株式等をいう。以下同じ。)の譲渡若
しくは未成年者口座内上場株式等の配当等(法第 9 条の 9 第 1 項に規定する未成年者口座内上場株式等の配
当等をいう。以下同じ。)に係る法第37条の14の 2 第27項の報告書について使用すること。
2 省略
3 この報告書を未成年者口座年間取引報告書として使用する場合には、この報告書の表の「非課税口座年間
取引報告書」の字句を抹消し、次の要領により記載すること。
⑴ 「住所(居所)」の欄には、この報告書を作成する日の現況による住所又は居所を記載すること。
⑵ 「生年月日」の欄には、該当する年号を〇で囲み、その年月日を記載すること。
⑶ 「整理番号」の欄には、未成年者口座に非課税管理勘定(法第37条の14の 2 第 5 項第 3 号に規定する非課
税管理勘定をいう。以下 3 において同じ。)を設ける際に提出を受けた同項第 7 号に規定する未成年者非課
税適用確認書又は同項第 8 号に規定する未成年者口座廃止通知書に記載された整理番号を記載すること。
⑷ 「当初取得等上場株式等又は分割等上場株式等」の欄には、当初取得等上場株式等(未成年者口座に非課
税管理勘定又は継続管理勘定(法第37条の14の 2 第 5 項第 4 号に規定する継続管理勘定をいう。以下 3 に
おいて同じ。)が設けられた日の属する年中に当該未成年者口座に受け入れた法第37条の14の 2 第 5 項第 2
号ロ⑴ⅰ若しくはⅱ又はハ⑴に掲げる上場株式等をいう。以下 3 において同じ。)又は分割等上場株式等
(同年以後に当該未成年者口座に受け入れた施行令第25条の13の 8 第17項において準用する施行令第25条の
13第10項各号に掲げる上場株式等をいう。以下 3 において同じ。
)について、当該受け入れた未成年者口座
に係る非課税管理勘定又は継続管理勘定ごとの種類別及び銘柄別に、それぞれ次のように記載すること。
イ 「種類」の項には、株式、投資口、新株予約権付社債、転換特定社債、新優先出資引受権付特定社債、
特定株式投資信託の受益権、株式等証券投資信託の受益権、非公社債等投資信託の受益権、特定受益証
券発行信託の受益権、特定目的信託の受益権のように記載すること。
ロ 「株数又は口数」の項には、当初取得等上場株式等又は分割等上場株式等の数又は口数(分割等上場株
式等にあつては、当該未成年者口座を開設していた居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が当
該分割等上場株式等の取得に係る第25条の13の 8 第17項において準用する施行令第25条の13第10項各号
に規定する事由が生じた直後に有することとなつた当該分割等上場株式等のうちその年分の非課税管理
勘定又は継続管理勘定に受け入れた数又は口数)を記載すること。
ハ 「取得対価の額」の項には、当初取得等上場株式等又は分割等上場株式等の取得対価の額(法第37条の
14の 2 第 5 項第 2 号ロ⑴に規定する取得対価の額をいい、分割等上場株式等にあつては当該分割等上場
株式等の取得の基因となつた当初取得等上場株式等に係る同号ロ⑴に規定する取得対価の額とする。)を
記載すること。
⑸ 「その年中に払出しのあつた上場株式等」の欄には、次のように記載すること。
イ 「事由」の項には、その未成年者口座内上場株式等の未成年者口座に係る非課税管理勘定又は継続管理
勘定からの払出しの事由について、その払出しの事由の次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定めるよう
に記載すること。
ⅰ 法第37条の14の 2 第 4 項第 1 号に掲げる事由 非課税移管等
ⅱ 法第37条の14の 2 第 4 項第 2 号に掲げる事由 相続等
ⅲ 法第37条の14の 2 第 4 項第 3 号に掲げる事由 基準年以後払出し
ⅳ 当該未成年者口座に係る他の年分の非課税管理勘定又は継続管理勘定への移管 勘定移管
─ 181 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
ⅴ 法第37条の14の 2 第 6 項に規定する契約不履行等事由 契約不履行等事由
ロ 「譲渡対価の額又は払出し時の金額」の項には、譲渡による払出しの場合にはその譲渡対価の額を、譲
渡以外の事由による払出しの場合には法第37条の14の 2 第 4 項に規定する払出し時の金額を、それぞれ
記載すること。
⑹ 「口座内の配当等の交付状況」の欄には、その年中に当該未成年者口座において交付された未成年者口座
内上場株式等の配当等について、当該未成年者口座に係る非課税管理勘定又は継続管理勘定ごとの未成年
者口座内上場株式等の種類別及び銘柄別に次のように記載すること。
イ 「種類」の項には、それぞれ次のように記載すること。
ⅰ 株式(投資口を含む。以下 3 において同じ。)について数種の株式がある場合には、優先株、後配株
のように記載すること。
ⅱ 投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)又は特定受益証券発行信託の受
益権である場合には、株式等証券投資信託、非公社債等投資信託、オープン型証券投資信託、特定株
式投資信託、特定不動産投資信託、特定受益証券発行信託のように記載すること。
ⅲ 法人課税信託の受益権である場合には、特定投資信託、特定目的信託、その他法人課税信託のよう
に記載すること。
ⅳ 国外において発行された株式、投資信託の受益権、特定受益証券発行信託の受益権又は法人課税信
託の受益権である場合には、ⅰからⅲまでの記載のほか、
「国外」と記載すること。
ロ 「その年中に交付を受けた配当等の額」の項には、当該未成年者口座内上場株式等の配当等の額の合計
額を記載すること。
ハ 「その年中に交付を受けた特別分配金の額」の項には、第18条の15の11第 2 項第 6 号ロに掲げる収益の
分配の額の合計額を記載すること。
⑺ 「課税対象所得等の状況」の欄には、次のように記載すること。
イ 「課税未成年者口座内の預貯金及び預り金の残高」の項には、当該未成年者口座と同時に設けられた法
第37条の14の 2 第 5 項第 5 号に規定する課税未成年者口座に、その年12月31日(その者が死亡した日の
属する年にあつては、その死亡の時)において預入れ又は預託がされている金銭の額及び金銭以外の資
産の価額の合計額を記載すること。
ロ 「課税対象となる配当等に関する事項」の欄には、次のように記載すること。
ⅰ 「交付を受けた配当等の額の合計額」の項には、契約不履行等事由が生じたことにより、法第 9 条の
9 第 2 項の規定により同法第 1 項の規定の適用がなかつたものとみなされた未成年者口座内上場株式
等の配当等の額の合計額を記載すること。
ⅱ 「特別分配金の額」の項には、未成年者口座を設定した日から当該契約不履行等事由が生じた日まで
の間に当該未成年者口座において交付を受けた所得税法第 9 条第 1 項第11号に掲げる収益の分配の額
の合計額を記載すること。
ⅲ 「外国所得税の額」の項には、当該未成年者口座内上場株式等の配当等につきその支払の際に課され
た第18条の15の11第 2 項第 9 号に規定する外国所得税の額を記載すること。
ハ 「課税対象となる譲渡所得等に関する事項」の欄には、次のように記載すること。
ⅰ 「譲渡対価の額の合計額」の項には、契約不履行等事由が生じた未成年者口座に係る法第37条の14の
2 第 8 項第 1 号に掲げる金額を記載すること。
ⅱ 「取得対価の額及び譲渡に要した費用の額の合計額」の項には、法第37条の14の 2 第 8 項第 2 号に掲
げる金額を記載すること。
⑻ その年中に契約不履行等事由が生じたことにより法第 9 条の 9 第 1 項の規定の適用がなかつたものとみ
なされた未成年者口座内上場株式等の配当等がある場合には、「口座内の配当等の交付状況」の欄の記載方
法に準じて、当該未成年者口座を設定した日から当該契約不履行等事由が生じた日までに交付した未成年
者口座内上場株式等の配当等について「種類」、「銘柄」
、
「交付を受けた配当等の額」及び「交付を受けた
特別分配金の額」を記載した明細書を作成し、添付すること。
─ 182 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
⑼ 当該未成年者口座において施行令第25条の13の 8 第17項において準用する施行令第25条の13第10項各号
に規定する事由により取得をした未成年者口座内上場株式等の受入れがあつた場合には、当該取得に係る
同項各号に規定する事由及び当該事由が生じた年月日並びに当該取得をした未成年者口座内上場株式等の
種類及び銘柄(当該取得をした未成年者口座内上場株式等の種類又は銘柄と当該取得の基因となつた未成
年者口座内上場株式等の種類又は銘柄とが異なる場合には、当該取得の基因となつた未成年者口座内上場
株式等の種類及び銘柄並びに当該取得をした未成年者口座内上場株式等の種類及び銘柄)を「摘要」の欄
に記載すること。
⑽ 当該未成年者口座につき次に掲げる書類の提出があつた場合には、その旨及び当該書類の区分に応じそ
れぞれ次に定める事項を「摘要」の欄に記載すること。
イ 施行令第25条の13の 8 第17項において準用する施行令第25条の13の 2 第 1 項に規定する未成年者口座
異動届出書(住所の変更に係るものに限る。) その提出年月日及び当該未成年者口座異動届出書を提出
した者に係る変更前の住所
ロ 法第37条の14の 2 第20項に規定する未成年者口座廃止届出書 その提出年月日
ハ 施行令第25条の13の 8 第17項において準用する施行令第25条の13の 5 に規定する未成年者口座開設者
死亡届出書 その提出年月日及び当該未成年者口座開設者死亡届出書に係る第18条の15の10第17項にお
いて準用する第18条の15の 7 第 2 項第 2 号に規定する被相続人の死亡年月日
⑾ 当該未成年者口座につき施行令第25条の13の 8 第17項において準用する施行令第25条の13の 4 第 2 項の
規定により同項に規定する未成年者口座廃止届出書の提出があつたものとみなされることとなる場合には、
その旨及び当該みなされることとなつた日並びに同条第 1 項に規定する未成年者出国届出書の提出年月日
を「摘要」の欄に記載すること。
⑿ この報告書を提出する第18条の15の11第 1 項の金融商品取引業者等に係る業界コードが明らかな場合に
は、当該業界コードを「摘要」の欄に記載すること。
⒀ 納税管理人が明らかな場合には、その氏名及び住所又は居所を「摘要」の欄に記載すること。
4 この報告書を未成年者口座年間取引報告書として使用する場合において、「課税対象所得等の状況」の欄に
記載すべき事項については、当該事項を記載した書面(用紙の大きさは、日本工業規格A 4 に準ずる。)の添
付をもつて同欄の記載に代えることができる。
5 合計表をこの様式に準じて作成し、添付すること。
二 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得
等の非課税の改正
扱者で一定のものである配当等に限ります。)
1 改正前の制度の概要
については、所得税を課さないこととされてい
⑴ 配当所得の非課税措置の内容
ます(措法 9 の 8 )。
居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住
① 金融商品取引所に上場されている株式等そ
者(以下「居住者等」といいます。
)が、金融
の他これに類する一定の株式等で、内国法人
商品取引業者等の営業所に開設した非課税口座
から支払がされるその配当等の支払に係る基
に非課税管理勘定を設けた日から同日の属する
準日においてその内国法人の発行済株式又は
年の 1 月 1 日以後 5 年を経過する日までの間に
出資の総数又は総額の100分の 3 以上に相当
支払を受けるべきその非課税管理勘定に係る次
する数又は金額の株式(投資口を含みます。)
に掲げる非課税口座内上場株式等の配当等(そ
又は出資を有する者(大口株主等)がその内
の金融商品取引業者等が国内における支払の取
国法人から支払を受けるもの以外のもの
─ 183 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
ています(措法37の14②)。
② 公社債投資信託以外の証券投資信託でその
設定に係る受益権の募集が一定の公募により
行われたもの(特定株式投資信託を除きま
⑶ 非課税口座の要件等
① 非課税口座の意義
す。
)の収益の分配
「非課税口座」とは、居住者等が、上記⑴
③ 特定投資法人の投資口の配当等
(注 1 )
上記の「非課税管理勘定」とは、居住者
及び⑵の特例の適用を受けるため、一定の手
等が金融商品取引業者等と締結した上場株
続に従い、その口座を設定しようとする年の
式等の振替口座簿(社債、株式等の振替に
属する勘定設定期間の非課税適用確認書、非
関する法律に規定する振替口座簿をいいま
課税管理勘定廃止通知書又は非課税口座廃止
す。
)への記載若しくは記録又は保管の委託
通知書を添付した非課税口座開設届出書を金
(以下「振替記載等」といいます。)に係る
融商品取引業者等の営業所の長に提出をして、
契約に基づき口座に記載若しくは記録又は
その金融商品取引業者等との間で締結した非
保管の委託がされる上場株式等につき、そ
課税上場株式等管理契約に基づき平成26年 1
の記載若しくは記録又は保管の委託に関す
月 1 日から平成35年12月31日までの間に設定
る記録を他の取引に関する記録と区分して
された上場株式等の振替記載等に係る口座
行うための勘定で、平成26年から平成35年
(その口座において非課税上場株式等管理契
までの各年に設けられるものをいいます。
(注 2 )
上記の「非課税口座内上場株式等」とは、
非課税上場株式等管理契約(下記⑶②参照)
約に基づく取引以外の取引に関する事項を扱
わないものに限ります。)をいうこととされ
ています(措法37の14⑤一)。
に基づき非課税口座に係る振替口座簿に記
(注 1 )
上記の「非課税適用確認書」とは、居
載若しくは記録がされ、又はその非課税口
住者等の申請に基づき税務署長から交付
座に保管の委託がされている上場株式等を
を受けた書類で、その者の氏名、生年月
いいます。
日、勘定設定期間として次の表に掲げる
期間のいずれかの期間、その勘定設定期
⑵ 譲渡所得等の非課税措置の内容
間の次に掲げる区分に応じそれぞれ次に
居住者等が、非課税口座に非課税管理勘定を
定める基準日における国内の住所その他
設けた日から同日の属する年の 1 月 1 日以後 5
一定の事項の記載のあるものをいいます
年を経過する日までの間に、その非課税口座に
(措法37の14⑤三、措令25の13⑫、旧措規
係る非課税口座内上場株式等の非課税上場株式
等管理契約に基づく譲渡をした場合には、その
譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑所得につ
いては、所得税を課さないこととされています
(措法37の14①)
。
一方、非課税上場株式等管理契約に基づく非
課税口座内上場株式等の譲渡による収入金額が
その非課税口座内上場株式等の取得費及びその
18の15の 3 ④)
。
勘定設定期間
基準日
平成26年 1 月 1 日から
平成25年 1 月
イ 平成29年12月31日まで
1日
の期間
平成30年 1 月 1 日から
平成29年 1 月
ロ 平成33年12月31日まで
1日
の期間
係る必要経費に満たない場合におけるその不足
平成34年 1 月 1 日から
平成33年 1 月
ハ 平成35年12月31日まで
1日
の期間
額(損失額)は、所得税に関する法令の規定の
(注 2 )
上記の「非課税管理勘定廃止通知書」
適用については、ないものとみなすこととされ
とは、金融商品取引業者等の営業所に非
譲渡に要した費用の額の合計額又はその譲渡に
─ 184 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
課税口座を開設している居住者等が、そ
に記載された勘定設定期間においてのみ設
の非課税口座に設けられるべき非課税管
けられること。
理勘定を他の非課税口座に設けようとす
ハ 非課税管理勘定は、一定の場合を除きそ
る場合に、その旨その他一定の事項を記
の勘定設定期間内の各年の 1 月 1 日におい
載した金融商品取引業者等変更届出書を
て設けられること。
その金融商品取引業者等に提出し、その
ニ 非課税管理勘定においてはその居住者等
金融商品取引業者等の営業所の長から交
の次に掲げる上場株式等(ストックオプシ
付を受ける書類で、その者の氏名、生年
ョン税制の適用を受けて取得をした上場株
月日、非課税管理勘定を廃止した年月日
式等を除きます。)のみを受け入れること。
その他一定の事項の記載のあるものをい
イ 次に掲げる上場株式等で、その口座に
います(措法37の14⑤四、旧措規18の15
非課税管理勘定が設けられた日から同日
の 3 ⑤)
。
の属する年の12月31日までの期間内に受
け入れた上場株式等の取得対価の額(購
(注 3 )
上記の「非課税口座廃止通知書」とは、
非課税口座を開設している居住者等がそ
入代価、払込金額又は移管に係る払出し
の非課税口座について本特例の適用を受
時の金額(価額)をいいます。
)の合計
けることをやめようとする場合に、その
額が100万円を超えないもの
旨その他一定の事項を記載した非課税口
ⅰ その期間内にその金融商品取引業者
座廃止届出書をその金融商品取引業者等
等への買付けの委託(買付けの委託の
に提出し、その金融商品取引業者等の営
媒介、取次ぎ又は代理を含みます。以
業所の長から交付を受ける書類で、その
下同じです。
)により取得をした上場
者の氏名、生年月日、非課税口座を廃止
株式等、その金融商品取引業者等から
した年月日、その廃止した日の属する年
取得をした上場株式等又はその金融商
分の非課税管理勘定への上場株式等の受
品取引業者等が行う上場株式等の募集
入れの有無その他一定の事項の記載のあ
(公募に限ります。)により取得をした
るものをいいます(措法37の14⑤五、旧
上場株式等で、その取得後直ちにその
措規18の15の 3 ⑥)。
口座に受け入れられるもの
ⅱ その非課税管理勘定を設けた口座に
② 非課税上場株式等管理契約の意義
この非課税の特例の適用を受けるために居
係る他の年分の非課税管理勘定から、
住者等が金融商品取引業者等と締結した上場
一定の手続の下で移管がされる上場株
株式等の振替記載等に係る契約で、その契約
式等
ロ 上記イのほか、一定の上場株式等
書において次に掲げる事項が定められている
ものをいうこととされていました(旧措法37
ホ その非課税管理勘定において振替記載等
の14⑤二、旧措令25の13⑥~⑪、措規18の15
がされている上場株式等の譲渡は、金融商
の 3 ③)
。
品取引業者等への売委託による方法等によ
イ 上場株式等の振替記載等は、その振替記
ること。
へ その他一定の事項
載等に係る口座に設けられた非課税管理勘
定において行うこと。
ロ 非課税管理勘定は、その居住者等から提
⑷ 非課税口座に関するその他の手続等
出を受けた非課税適用確認書、非課税管理
勘定廃止通知書又は非課税口座廃止通知書
─ 185 ─
① 非課税口座異動届出書の提出
非課税口座を開設している居住者等が、そ
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
の氏名、住所又は個人番号の変更をした場合
業所」といいます。)に開設している非課税
は、その者は遅滞なく、その旨その他一定の
口座に関する事務の全部が、他の金融商品取
事項を記載した届出書(以下「非課税口座異
引業者等の営業所又は同一の金融商品取引業
動届出書」といいます。
)を、その非課税口
者等の他の営業所(以下「移管先の営業所」
座が開設されている金融商品取引業者等の営
といいます。
)に移管された場合には、その
業所の長に提出(その非課税口座異動届出書
移管前の営業所の長がした非課税口座開設届
の提出に代えて行う電磁的方法による非課税
出書の受理その他の手続は、その移管先の営
口座異動届出書に記載すべき事項の提供を含
業所の長がしたものとみなして、引き続きこ
みます。)をしなければならないこととされ
の非課税の特例が適用されます(措令25の13
ています(措令25の13の 2 ①)
。
の 3 ①)。
(注) 上記の「電磁的方法」とは、インターネ
④ 金融商品取引業者等の営業所の長から所轄
ットや電子メール等の電子情報処理組織を
税務署長への提供事項の提供
使用する方法その他の情報通信の技術を利
次に掲げる金融商品取引業者等の営業所の
用する方法をいいます。
長は、それぞれ次に定める事項(以下「提供
事項」といいます。
)を、①電子情報処理組
② 非課税口座移管依頼書の提出
非課税口座を開設している居住者等が、そ
織(e-Tax)を使用して提供事項を送信する
の非課税口座が開設されている金融商品取引
方法又は②提供事項を記録した光ディスク、
業者の営業所(以下「移管前の営業所」とい
磁気テープ又は磁気ディスク(以下「光ディ
います。
)の他の営業所(以下「移管先の営
スク等」といいます。)を提出する方法によ
業所」といいます。
)にその非課税口座を移
り、その金融商品取引業者等の営業所の所在
管しようとする場合には、その居住者等は、
地の所轄税務署長に提供(送付)しなければ
その移管を依頼する際、その旨、その者の氏
ならないこととされています(旧措法37の14
名、生年月日、住所及び個人番号その他一定
⑨⑬⑯⑲、旧措令25の13の 2 ④、25の13
の事項を記載した届出書(以下「非課税口座
の 3 ②)。
移管依頼書」といいます。
)を、移管前の営
イ 非課税適用確認書の交付を受けようとす
業所を経由して移管先の営業所に提出しなけ
る居住者等から非課税適用確認書の交付申
ればならないこととされています(旧措令25
請書の提出を受けた金融商品取引業者等の
の13の 2 ②)
。
営業所の長……その申請書に記載された事
非課税口座移管依頼書が移管先の営業所に
項(以下「申請事項」といいます。)
受理された場合には、移管前の営業所の長が
ロ 非課税適用確認書(非課税口座開設届出
した非課税口座開設届出書の受理その他の手
書に添付して提出されるものを含みます。
続は、その移管先の営業所の長がしたものと
以下同じです。
)の提出を受けた金融商品
みなして、引き続きこの非課税の特例が適用
取引業者等の営業所の長……その非課税適
されます(措令25の13の 2 ③)
。
用確認書の提出をした居住者等の氏名、生
③ 金融商品取引業者等の事業譲渡等があった
年月日、基準日における国内の住所その他
一定の事項
場合の取扱い
事業の譲渡、法人の合併・分割又は金融商
ハ 金融商品取引業者等変更届出書の提出を
品取引業者等の営業所の新設・廃止若しくは
受けた金融商品取引業者等の営業所の長
業務を行う区域の変更により、居住者等が金
……その金融商品取引業者等変更届出書を
融商品取引業者の営業所(以下「移管前の営
提出した者の氏名、金融商品取引業者等変
─ 186 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
更届出書の提出を受けた旨、非課税管理勘
て、上記④イからニまでに掲げる金融商品取
定を廃止した年月日その他一定の事項
引業者等の営業所の長は、それらの事項を所
轄税務署長に提供したものとみなしてこの非
ニ 非課税口座廃止届出書の提出を受けた金
課税の特例が適用されます。
融商品取引業者等の営業所の長……その非
課税口座廃止届出書を提出した者の氏名、
非課税口座廃止届出書の提出を受けた旨、
2 改正の内容
非課税口座を廃止した年月日その他一定の
本特例は「NISA(ニーサ)」と呼ばれているも
事項
のであり、国民に継続的な資産形成を始めるイン
ホ 非課税管理勘定廃止通知書又は非課税口
センティブを付与するとともに、経済成長に必要
座廃止通知書(非課税口座開設届出書に添
な成長資金を確保する観点から導入された制度で
付して提出されるものを含みます。以下
すが、未成年者口座内の少額上場株式等に係る配
「廃止通知書」といいます。
)の提出を受け
当所得及び譲渡所得等の非課税措置の創設とあわ
た金融商品取引業者等の営業所の長……そ
せ、さらに投資家のすそ野を広げる観点等から、
の提出をした居住者等の氏名、廃止通知書
次の改正が行われました。
の提出を受けた旨、その廃止通知書に記載
された非課税管理勘定又は非課税口座が廃
⑴ 非課税投資限度額の引上げ
止された年月日その他一定の事項
非課税口座に設けられる各年分の非課税管理
ヘ 非課税口座異動届出書(氏名及び個人番
勘定に受け入れることができる上場株式等の取
号の変更に係るものに限ります。
)の提出
得対価の額の限度額は、上記 1 ⑶②ニイのとお
を受けた金融商品取引業者等の営業所の長
り100万円とされていましたが、投資家のすそ
又は非課税口座移管依頼書の提出の際に経
野を一層拡大し、家計の資産形成を更に支援す
由した上記②の移管前の営業所の長……そ
る観点から、月々の積立投資に適した金額であ
の非課税口座異動届出書又は非課税口座移
る120万円に引き上げられました(措法37の14
管依頼書に記載された事項その他一定の事
⑤二)。
項
ト 上記③の事業譲渡等による移管先の営業
⑵ 未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当
所の長……上記③の事業譲渡等による移管
所得及び譲渡所得等の非課税措置の創設に伴う
があった旨その他一定の事項
措置
⑤ 提供事項を提供する場合の本店等一括提供
前述の「一 未成年者口座内の少額上場株式
制度
等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税の創
上記④イからニまでに掲げる金融商品取引
設」に伴い、次の改正が行われました。
業者等の営業所の長が、それぞれ上記④イか
① 未成年者口座の開設者が20歳に到達した場
らニまでに定める事項をその営業所の所轄税
合の非課税口座の自動開設
務署長に提供する場合において、その所轄税
未成年者口座を開設している居住者等が20
務署長の承認を受けた場合には、その金融商
歳になった場合には、その未成年者口座が開
品取引業者等の営業所の長は、それらの事項
設されている金融商品取引業者等の営業所に、
をその承認に係る当該所轄税務署長以外の税
非課税口座が開設されることとなりました。
務署長に提出することができることとされて
具体的には、居住者等が平成29年から平成
います(旧措法37の14、旧措令25の13~
35年までの各年(その年 1 月 1 日において居
、旧措規18の15の 3 )
。この場合におい
住者等が20歳である年に限ります。)の 1 月
─ 187 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
する年月日
1 日において金融商品取引業者等の営業所に
未成年者口座を開設している場合には、その
ニ 移管しようとする未成年者口座内上場株
居住者等は同日においてその金融商品取引業
式等の種類、銘柄及び数又は価額並びにそ
者等の営業所の長に非課税適用確認書が添付
の未成年者口座内上場株式等の受入れをす
された非課税口座開設届出書の提出をしたも
る非課税管理勘定が設けられた日の属する
のと、居住者等は同日にその金融商品取引業
年
ホ その他参考となるべき事項
者等と非課税上場株式等管理契約を締結した
ものと、その金融商品取引業者等の営業所の
長は所轄税務署長に同日に申請事項を提供し
⑶ その他利便性の向上策等
たものと、その金融商品取引業者等の営業所
① 情報提供方法の一本化
の長は同日に所轄税務署長に上記 1 ⑷④ロに
金融商品取引業者等の営業所の長から所轄
定める事項を提供したものとそれぞれみなし
税務署長に提供することとされている上記 1
て非課税の特例が適用されます(措法37の14
⑷④イからトまでの事項の提供方法について、
)。したがって、未成年者口座を開設して
光ディスク等を提出する方法が廃止され、電
いる居住者等は、特段の手続を行うことなく、
子情報処理組織(e-Tax)を使用して送信す
その未成年者口座が開設されている金融商品
る方法に一本化されました(措法37の14⑨⑬
取引業者等の営業所に非課税口座が開設され
⑯ ⑲ 、 措 令25の13の 2 ④、25の13の 3
ることになります。
②)
。この手続の簡素化により、主に、金融
商品取引業者等の営業所の長が上記 1 ⑷④イ
② 未成年者口座から非課税口座への上場株式
等の移管
の非課税適用確認書の交付申請書の提出を受
未成年者口座から非課税口座に上場株式等
けてから所轄税務署長が非課税適用確認書を
の移管をすることができることとされました。
発行するまでの期間の短縮が見込まれ、非課
具体的には、非課税上場株式等管理契約にお
税口座の開設手続の迅速化に資することが期
いて定められる非課税管理勘定に受け入れる
待されます。
ことができる上場株式等の範囲(上記 1 ⑶②
② 本店等一括提供制度の拡充
ニ参照)に、未成年者口座を開設している居
本店等一括提供制度(上記 1 ⑷⑤参照)の
住者等が、その未成年者口座が開設されてい
対象となる事項の範囲に、上記 1 ⑷④ヘの非
る金融商品取引業者等の営業所の長に対し、
課税口座異動届出書の提出があった場合又は
次の事項を記載した「未成年者口座非課税口
上記 1 ⑷④トの金融商品取引業者等の事業譲
座間移管依頼書」を提出して移管がされる上
渡等があった場合に、金融商品取引業者等の
場株式等が追加されました(措法37の14⑤二、
営業所の長が所轄税務署長に提供すべき事項
措令25の13⑨、措規18の15の 3 ④)
。
が追加されました(措法37の14㉓、措令25の
イ 未成年者口座非課税口座間移管依頼書を
13)。
提出する者の氏名、生年月日及び住所
ロ 未成年者口座非課税口座間移管依頼書の
提出先の金融商品取引業者等の営業所の名
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴及び⑵②の改正は、平成28年 1 月 1
称及び所在地
日以後に設けられる非課税管理勘定について適
ハ 未成年者口座に設けられた非課税管理勘
用し、同日前に設けられた非課税管理勘定につ
定に係る未成年者口座内上場株式等を移管
いては従前どおりとされています(改正法附則
することを依頼する旨及びその移管を希望
69①)。
─ 188 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
⑵ 上記 2 ⑵①の改正は、平成28年 1 月 1 日から
23②、24)。
⑷ 上記 2 ⑶②の改正は、平成27年 4 月 1 日以後
施行されます(改正法附則 1 )
。
⑶ 上記 2 ⑶①の改正は、平成27年 4 月 1 日以後
に所轄税務署長に提供する提供事項について適
に提供する申請事項等について適用し、同日前
用し、同日前に所轄税務署長に提供した提供事
に提供した申請事項等については従前どおりと
項については従前どおりとされています(改正
されています(改正法附則69③、改正措令附則
法附則69④)。
三 上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例等の改正
式及び店頭転換社債型新株予約権付社債
1 改正前の制度の概要
ロ 店頭管理銘柄株式
⑴ 上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例
ハ 認可金融商品取引業協会の定める規則
① 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居
に従い、登録銘柄として認可金融商品取
住者(以下「居住者等」といいます。
)が、
引業協会に備える登録原簿に登録された
平成28年 1 月 1 日以後に上場株式等の譲渡
日本銀行出資証券
(有価証券先物取引の方法により行うもの等
を除きます。)をした場合には、その上場株
ニ 外国金融商品市場において売買されて
いる株式等
式等の譲渡による事業所得、譲渡所得及び雑
ロ 投資信託でその設定に係る受益権の募集
所得(以下「上場株式等に係る譲渡所得等」
が一定の公募により行われたもの(特定株
といいます。)については、他の所得と区分
式投資信託を除きます。)の受益権
し、その年中のその上場株式等の譲渡に係る
ハ 特定投資法人の投資口
事業所得の金額、譲渡所得の金額及び雑所得
ニ 特定目的信託(その信託契約の締結時に
の金額の合計額(以下「上場株式等に係る譲
おいて原委託者が取得する社債的受益権の
渡所得等の金額」といいます。
)に対し、上
募集が一定の公募により行われたものに限
場株式等に係る課税譲渡所得等の金額(各種
ります。)の社債的受益権
の所得控除をした後の上場株式等に係る譲渡
ホ 国債及び地方債
所得等の金額をいいます。
)の15%相当額の
ヘ 外国又はその地方公共団体が発行し、又
所得税(他に個人住民税 5 %)を課する(申
告分離課税)こととされています(措法37の
は保証する債券
ト 会社以外の法人が特別の法律により発行
する債券(外国法人に係るもの並びに投資
11①、措令25の 9 ①)
。
② 上記①の「上場株式等」とは、株式等(株
法人債、短期投資法人債、資産の流動化に
式、公社債、投資信託の受益権その他平成28
関する法律の特定社債及び同法の特定短期
年 1 月 1 日から株式等譲渡益課税の対象とな
社債を除きます。)
る株式等をいいます。
)のうち次に掲げるも
のをいいます(旧措法37の11②、措令25の 9
チ 公社債でその発行の際の有価証券の募集
が一定の公募により行われたもの
リ 社債のうち、その発行の日前 9 月以内
②~⑩、措規18の10①)
。
イ 株式等で金融商品取引所に上場されてい
(外国法人にあっては、12月以内)に金融
るものその他これに類するものとして次に
商品取引法の規定により有価証券届出書、
掲げる株式等
有価証券報告書、四半期報告書、半期報告
イ 店頭売買登録銘柄として登録された株
書、外国会社届出書、外国会社報告書、外
─ 189 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
イ 次に掲げる外国法人が発行し、又は保
国会社四半期報告書又は外国会社半期報告
書(以下「有価証券報告書等」といいま
証する債券
す。)を内閣総理大臣に提出している法人
ⅰ その出資金額又は拠出をされた金額
の合計額の 2 分の 1 以上が外国の政府 が発行するもの
により出資又は拠出をされている外国
ヌ 金融商品取引所(これに類するもので外
法人
国の法令に基づき設立されたものを含みま
す。)においてその金融商品取引所の規則
ⅱ 外国の特別の法令の規定に基づき設
に基づき公表された公社債情報(一定の期
立された外国法人で、その業務がその
間内に発行する公社債の種類及び総額、そ
外国の政府の管理の下に運営されてい
の公社債の発行者の財務状況及び事業の内
るもの
ロ 国際間の取極に基づき設立された国際
容その他当該公社債及び当該発行者に関し
機関が発行し、又は保証する債券
て明らかにされるべき基本的な情報をいい
ます。
)に基づき発行する公社債で、その
ワ 銀行業若しくは第一種金融商品取引業を
発行の際に作成される目論見書に、その公
行う者若しくは外国の法令に準拠してその
社債がその公社債情報に基づき発行される
国において銀行業若しくは金融商品取引業
ものである旨の記載のあるもの
を行う法人(以下「銀行等」といいます。)
又はその銀行等の関連会社が発行した社債
ル 国外において発行された公社債で、次に
(その取得をした者が実質的に多数でない
掲げるもの
社債とされる一定のものを除きます。)
イ 有価証券の売出し(その売付け勧誘等
が一定の場合に該当するものに限りま
カ 平成27年12月31日以前に発行された公社
す。
)に応じて取得した公社債(ロにお
債(その発行の時において同族会社に該当
いて「売出し公社債」といいます。
)で、
する会社が発行した社債を除きます。)
その取得の時から引き続きその有価証券
(注) 公社債のうち上記イ及びホからカまで
の売出しをした金融商品取引業者(第一
に掲げるものは特定公社債とされ、その
種金融商品取引業を行う者に限ります。
)
、
利子は利子所得の20%源泉分離課税の対
登録金融機関又は投資信託委託会社(以
象から除外されています(措法 3 ①)
。
下「金融商品取引業者等」といいます。
)
の営業所において保管の委託がされてい
⑵ 上場株式等に係る配当所得等の課税の特例
るもの
① 居住者等が、平成28年 1 月 1 日以後に支払
ロ 金融商品取引法第 2 条第 4 項に規定す
を受けるべき上場株式等の配当等を有する場
る売付け勧誘等に応じて取得した公社債
合には、その上場株式等の配当等に係る利子
(売出し公社債を除きます。
)で、その取
所得及び配当所得については、他の所得と区
得の日前 9 月以内(外国法人にあっては、
分し、その年中のその上場株式等の配当等に
12月以内)に有価証券報告書等を提出し
係る利子所得の金額及び配当所得の金額(以
ている会社が発行したもの(その取得の
下「上場株式等に係る配当所得等の金額」と
時から引き続きその売付け勧誘等をした
いいます。
)に対し、上場株式等に係る課税
金融商品取引業者等の営業所において保
配当所得等の金額(所得控除を適用した後の
管の委託がされているものに限ります。
)
上場株式等に係る配当所得等の金額をいいま
ヲ 外国法人が発行し、又は保証する債券で
次に掲げるもの
す。)の15%相当額の所得税(他に個人住民
税 5 %)を課する(申告分離課税)こととさ
─ 190 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
① 内国法人から支払を受ける配当等(下記②
れています(旧措法 8 の 4 ①)
。
② 上記の「上場株式等の配当等」とは、所得
から⑤までに掲げるものを除きます。
)で、
税法第23条第 1 項に規定する利子等又は同法
その内国法人から一回に支払を受けるべき金
第24条第 1 項に規定する配当等で次に掲げる
額が、10万円に配当計算期間(その配当等の
ものをいいます(旧措法 8 の 4 ①一~五)
。
直前にその内国法人から支払がされた配当等
イ 上記⑴②イに掲げる株式等の利子等又は
の支払に係る基準日の翌日からその内国法人
配当等で、内国法人から支払がされるその
から支払がされるその配当等の支払に係る基
配当等の支払に係る基準日においてその内
準日までの期間をいいます。以下同じです。)
国法人の発行済株式又は出資の総数又は総
の月数を乗じてこれを12で除して計算した金
額の100分の 3 以上に相当する数又は金額
額以下であるもの
の株式(投資口を含みます。
)又は出資を
② 国若しくは地方公共団体又はその他の内国
有する個人(以下「大口株主等」といいま
法人(下記⑥において「内国法人等」といい
す。
)以外の者が支払を受けるもの
ます。)から支払を受ける上記⑵②イに掲げ
る利子等又は配当等
ロ 投資信託でその設定に係る受益権の募集
が一定の公募により行われたもの
③ 内国法人から支払を受ける投資信託でその
ハ 特定投資法人の投資口の配当等
設定に係る受益権の募集が一定の公募により
ニ 特定目的信託(その信託契約の締結時に
行われたもの(特定株式投資信託を除きま
す。)の収益の分配
おいて原委託者が有する社債的受益権の募
④ 特定投資法人から支払を受ける投資口の配
集が一定の公募により行われたものに限り
当等
ます。
)の社債的受益権の剰余金の配当
⑤ 内国法人から支払を受ける特定目的信託
ホ 特定公社債の利子
(その信託契約の締結時において原委託者が
⑶ 確定申告を要しない配当所得等
有する社債的受益権の募集が一定の公募によ
平成28年 1 月 1 日以後に支払を受けるべき所
り行われたものに限ります。)の社債的受益
得税法第23条第 1 項に規定する利子等(特定公
権の剰余金の配当
⑥ 内国法人等から支払を受ける特定公社債の
社債以外の公社債の利子等その他一定の利子等
利子
は除きます。
)又は同法第24条第 1 項に規定す
る配当等(源泉分離課税の対象となる配当等そ
の他一定の配当等は除きます。
)で次に掲げる
⑷ 上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率等の
ものを有する居住者等は、同年以後の各年分の
特例
所得税については、総所得金額、配当控除の額
① 平成28年 1 月 1 日以後に支払を受けるべき
若しくは純損失の金額若しくは確定申告を要し
上場株式等の配当等について、所得税の源泉
ない場合に該当するかどうかの判定の基礎とな
徴収等を行う場合に適用する所得税法等で定
る給与所得及び退職所得以外の所得金額若しく
められている20%の税率は、15%(他に個人
は公的年金等に係る雑所得以外の所得金額又は
住民税 5 %)とすることとされています(旧
上場株式等に係る配当所得等の金額の計算上、
措法 9 の 3 )。
これらの利子等に係る利子所得の金額又は配当
② この特例の対象となる「上場株式等の配当
等に係る配当所得の金額を除外したところによ
等」とは、所得税法第24条第 1 項に規定する
り、その計算をすることができることとされて
配当等で次に掲げるものをいいます(旧措法
います(旧措法 8 の 5 ①)
。
9 の 3 )。
─ 191 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
が一定の公募に行われたもの(特定株式投
イ 上記⑴②イに掲げる株式等の配当等で、
資信託を除きます。)の収益の分配
内国法人から支払がされるその配当等の支
払に係る基準日においてその内国法人の大
ハ 特定投資法人の投資口の配当等
口株主等以外の者が支払を受けるもの
ニ 特定目的信託(その信託契約の締結時に
ロ 次に掲げる投資信託でその設定に係る受
おいて原委託者が有する社債的受益権の募
益権の募集が一定の公募により行われたも
集が一定の公募により行われたものに限り
の(特定株式投資信託を除きます。
)の収
ます。)の社債的受益権の剰余金の配当
ホ 特定公社債の利子
益の分配
イ 公社債投資信託以外の証券投資信託
ロ 証券投資信託以外の投資信託(公募公
2 改正の内容
⑴ 公募特定受益証券発行信託の追加
社債等運用投資信託を除きます。
)
ハ 特定投資法人の投資口の配当等
上記 1 ⑴の譲渡所得等の課税の特例の対象と
ニ 特定目的信託(その信託契約の締結時に
なる上場株式等の範囲及び上記 1 ⑵から⑸まで
おいて原委託者が有する社債的受益権の募
の配当所得等に係る特例の対象となる配当等の
集が一定の公募により行われたものに限り
範囲について次の改正が行われました。
ます。
)の社債的受益権の剰余金の配当
① 上場株式等に係る譲渡所得等の課税の特例
の改正
⑸ 上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務等の
上記 1 ⑴の譲渡所得等の特例の対象となる
特例
上場株式等の範囲に、特定受益証券発行信託
① 平成28年 1 月 1 日以後に個人又は内国法人
の受益権でその信託契約の締結時において委
(公共法人等を除きます。
)若しくは外国法人
託者が取得する受益権の募集が一定の公募に
に対して支払われる上場株式等の配当等の国
より行われたもの(以下「公募特定受益証券
内における支払の取扱者は、その個人又は内
発行信託」といいます。)が追加されました
国法人若しくは外国法人にその上場株式等の
(措法37の11②三の二)。
配当等の交付をする際、その交付をする金額
(注) 特定受益証券発行信託とは、信託法第185
に15%(次の②イに掲げる配当等でその配当
条第 3 項に規定する受益証券発行信託のう
等の支払をする内国法人に係る大口株主等に
ち、次に掲げる要件の全てに該当するもの
対して交付をするものについては、20%)の
を い い ま す( 所 法 2 ① 十 五 の 五、 法 法 2
源泉徴収税率を乗じて計算した金額の所得税
二十九ハ)
。
を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10
1 信託事務の実施につき一定の要件に該
日までに、これを国に納付しなければならな
当するものであることについて税務署長
いこととされています
(旧措法 9 の 3 の 2 ①)
。
の承認を受けた法人が引き受けたもので
② この特例の対象となる「上場株式等の配当
あること。
等」は、国内において支払われる次に掲げる
2 各計算期間終了の時における未分配利
所得税法第23条第 1 項に規定する利子等又は
益の額として計算した金額のその時にお
同法第24条第 1 項に規定する配当等のうち一
ける元本の総額に対する割合(以下「利
定のものです(旧措法 9 の 3 の 2 ①)
。
益留保割合」といいます。
)が2.5%を超え
イ 上記⑴②イに掲げる株式等の利子等又は
ない旨の信託行為における定めがあるこ
配当等
と。
ロ 投資信託でその設定に係る受益権の募集
─ 192 ─
3 各計算期間開始の時において、その時
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
までに到来した利益留保割合の算定時期
例の対象となる上場株式等の配当等の範囲に、
のいずれにおいてもその算定された利益
公募特定受益証券発行信託の収益の分配が追
留保割合が2.5%を超えていないこと。
加されました(措法 8 の 4 ①四、 8 の 5 ①五、
9 の 3 四、 9 の 3 の 2 ①四)。
4 その計算期間が 1 年を超えないこと。
5 受益者(受益者としての権利を現に有
するものに限ります。)が存しない信託に
⑵ 第一種少額電子募集取扱業者の除外
上記 1 ⑴②の上場株式等のうちワに掲げる第
該当したことがないこと。
上記の「一定の公募により行われたもの」
一種金融商品取引業を行う者又はその関連会社
とは、その募集が、次に掲げる場合の区分に
が発行した社債の範囲から、第一種少額電子募
応じ、それぞれ次に定める取得勧誘により行
集取扱業者又はその関連会社が発行した社債が
われた特定受益証券発行信託をいいます(措
除外されました(措法37の11②十三)。
令 4 の 2 ⑦)
。
第一種少額電子募集取扱業者は、金融商品取
イ その受益権の募集が国内において行われ
引法等の一部を改正する法律(平成26年法律第
る場合
44号)によって創設された類型で、第一種金融
その募集に係る金融商品取引法第 2 条第
商品取引業のうち少額の非上場有価証券等のイ
3 項に規定する取得勧誘が同項第 1 号に掲
ンターネットを通じた募集の取扱い(第一種電
げる場合(多数の者を相手方として行う場
子募集取扱業務)のみを行う者をいうこととさ
合をいいますが、適格機関投資家のみを相
れています。この第一種少額電子募集取扱業者
手方とするものは除かれます。ロにおいて
は、従来の第一種金融商品取引業を行う者(証
同じです。
)に該当し、かつ、目論見書及
券会社等)と異なり、他の業務との兼業規制が
び信託契約の契約書にその取得勧誘が同号
かけられていないことから、一般の事業会社が
に掲げる場合に該当するものである旨の記
発行した社債との差別化を図ることができない
載がなされて行われるもの
ため、上場株式等となる特定公社債の範囲から
除外されたものです。
ロ その受益権の募集が国外において行われ
る場合
その募集に係る取得勧誘が金融商品取引
3 適用関係
法第 2 条第 3 項第 1 号に掲げる場合に該当
⑴ 上記 2 ⑴①及び⑵の改正は、平成28年 1 月 1
するものに相当するものであり、かつ、目
日以後に行う上場株式等の譲渡について適用さ
論見書その他これに類する書類及び信託契
れます(措法37の11①)。
約の契約書にその取得勧誘が同号に掲げる
⑵ 上記 2 ⑴②の改正は、平成28年 1 月 1 日以後
場合に該当するものに相当するものである
に支払を受けるべき上場株式等の配当等又は同
旨の記載がなされて行われるもの
日以後に支払われる上場株式等の配当等につい
② 上場株式等に係る配当所得等の課税の特例
等の改正
て適用されます(措法 8 の 4 ①、 8 の 5 ①、 9
の 3 、 9 の 3 の 2 ①)。
上記 1 ⑵から⑸までの配当所得等に係る特
─ 193 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
四 特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例
等の改正
に設ける勘定の種類、上記①又は②の特例の
1 改正前の制度の概要
適用を受ける旨その他一定の事項を記載した
⑴ 特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所
特定口座開設届出書を提出して、その金融商
得計算等の特例
品取引業者等との間で締結した上場株式等保
① 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居
管委託契約又は上場株式等信用取引等契約に
住者(以下「居住者等」といいます。
)が、
基づき設定された上場株式等の振替口座簿へ
上場株式等保管委託契約に基づき特定口座
の記載若しくは記録若しくは保管の委託又は
(その者が二以上の特定口座を有する場合に
上場株式等の信用取引等に係る口座(その口
は、それぞれの特定口座)に係る振替口座簿
座においてこれらの契約及び上場株式配当等
(社債、株式等の振替に関する法律に規定す
受領委任契約に基づく取引以外の取引に関す
る振替口座簿をいいます。以下同じです。
)
る事項を扱わないものに限ります。)をいう
に記載若しくは記録がされ、又は保管の委託
こととされています(措法37の11の 3 ③一)。
がされている上場株式等(以下「特定口座内
また、金融商品取引業者等の営業所の長は、
保管上場株式等」といいます。
)の譲渡をし
既に特定口座を開設している居住者等から重
た場合には、その特定口座内保管上場株式等
ねて提出がされた特定口座開設届出書は受理
の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金
することができません(旧措法37の11の 3
額又は雑所得の金額とその特定口座内保管上
⑤)。よって、同一の金融商品取引業者等に
場株式等以外の株式等の譲渡による事業所得
開設できる特定口座は一口座となります。
の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額と
④ 上場株式等保管委託契約とは、上記①の特
を区分して、これらの金額を計算することと
例の適用を受けるために居住者等が金融商品
されています(措法37の11の 3 ①、措令25の
取引業者等と締結した上場株式等の振替口座
10の 2 ①前段)
。
簿への記載若しくは記録又は保管の委託に係
② 信用取引又は発行日取引(以下「信用取引
る契約で、その契約書において次の事項が定
等」といいます。
)を行う居住者等が、上場
められているものをいいます(措法37の11の
株式等信用取引等契約に基づき上場株式等の
3 ③二、旧措令25の10の 2 ⑦⑧⑩~)。
信用取引等を特定口座において処理した場合
イ 上場株式等の振替口座簿への記載若しく
には、信用取引等に係る上場株式等の譲渡に
は記録又は保管の委託はその記載若しくは
よる事業所得の金額又は雑所得の金額とその
記録又は保管の委託に係る口座に設けられ
信用取引等に係る上場株式等の譲渡以外の株
た特定保管勘定において行うこと。
式等の譲渡による事業所得の金額又は雑所得
ロ その特定保管勘定においてはその居住者
の金額とを区分して、これらの金額を計算す
等の次に掲げる上場株式等(ストックオプ
ることとされています(措法37の11の 3 ②、
ション税制の適用を受けて取得した上場株
措令25の10の 2 ③)
。
式等を除きます。)のみを受け入れること。
③ 特定口座とは、居住者等が、上記①又は②
イ 特定口座開設届出書の提出後に、その
の特例の適用を受けるため、金融商品取引業
金融商品取引業者等への買付けの委託等
者等の営業所に、その口座の名称、その口座
により取得をした上場株式等又はその金
─ 194 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
融商品取引業者等から取得をした上場株
「相続等一般口座」といいます。)に係る
式等で、その取得後直ちにその口座に受
振替口座簿に記載若しくは記録がされ、
け入れるもの
若しくはその口座に保管の委託がされて
ロ その金融商品取引業者等以外の金融商
いた上場株式等(引き続きこれらの口座
品取引業者等に開設されている居住者等
(以下ハにおいて「相続等口座」といい
の特定口座(以下「移管元の特定口座」
ます。)に係る振替口座簿に記載若しく
といいます。
)から、移管元の特定口座
は記録がされ、又はその相続等口座に保
に係る特定口座内保管上場株式等の全部
管の委託がされているものに限ります。
又は一部の移管がされる場合のその移管
以下同じです。
)で、その相続等口座か
がされる上場株式等
らその相続等口座が開設されている金融
(注)
上記ロの移管を行う場合には、その
商品取引業者等に開設されているその被
設定する特定口座(以下「移管先の特
相続人等に係る受贈者、相続人又は包括
定口座」といいます。)に上場株式等の
受遺者(以下「相続人等」といいます。)
受入れをしようとする居住者等は、移
の特定口座へ移管されるもので次の要件
管元の特定口座が開設されている金融
を満たすもの
商品取引業者等の営業所の長に対し、
ⅰ 贈与により取得した上場株式等
移管元の特定口座に係る特定口座内保
贈与により取得した上場株式等のう
管上場株式等を移管先の特定口座に移
ち同一銘柄の上場株式等は全て相続等
管することを依頼する旨その他一定の
口座から相続人等の特定口座へ移管が
事項を記載した特定口座内保管上場株
され、かつ、その移管がされる上場株
式等移管依頼書を提出して移管元の特
式等がその相続等口座に係る上場株式
定口座に係る特定口座内保管上場株式
等の一部である場合には、相続人等の
等の全部又は一部を移管先の特定口座
特定口座においてその移管がされる上
に移管することを依頼しなければなら
場株式等と同一銘柄の上場株式等を有
ないものとされています。また、その
していないこと。
依頼を受けた移管元の金融商品取引業
ⅱ 相続又は遺贈により取得した上場株
者等の営業所の長は、その依頼に係る
式等
特定口座内保管上場株式等の全てを振
相続又は遺贈により取得した上場株
替口座簿に記載又は記録をして、移管
式等のうち、同一銘柄の上場株式等は
先の特定口座に移管しなければならな
全て相続等口座から相続人等の特定口
いものとされています(旧措令25の10
座へ移管がされること。
(注) 上記ハの相続は限定承認に係るもの
の 2 ⑪、措規18の11⑥)。
ハ 贈与、相続又は遺贈により取得したそ
以外のものをいい、遺贈は包括遺贈の
の贈与者、被相続人又は包括遺贈者(以
うち限定承認に係るもの以外のものを
下「被相続人等」といいます。
)の開設
いいます。以下同じです。
していた特定口座に係る特定口座内保管
ニ 贈与、相続又は遺贈により取得した上
上場株式等であった上場株式等若しくは
場株式等で異なる金融商品取引業者等に
非課税口座に係る非課税口座内上場株式
被相続人等が開設していた特定口座から
等であった上場株式等又は特定口座以外
相続人等の特定口座に移管がされるもの
の口座(非課税口座を除きます。以下
(上記ハⅰ又はⅱの上場株式等の区分に
─ 195 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
応じ、それぞれ上記ハⅰ又はⅱの要件を
他一定の事項の記載がある申出書に
満たすものに限ります。
)
その割当株式に係るその保険会社か
ホ 金融商品取引業者等に特定口座を開設
ら交付を受けたその割当てを受ける
する居住者等がその特定口座に係る特定
株式の数を証する書類(以下「割当
口座内保管上場株式等について次に掲げ
株式数証明書」といいます。
)を添付
る行使又は取得事由の発生(以下「行使
して提出しなければなりません(旧
等」といいます。
)により取得する上場
措令25の10の 2 ⑮二十二、措規18の
株式等で、その行使等により取得する上
11⑫)
。
場株式等の全てを、その行使等の時に、
ⅱ 申出書を受理した金融商品取引業
その特定口座に係る振替口座簿に記載又
者等の営業所の長は、その申出書を
は記録をする方法により受け入れるもの
提出した居住者等が、その金融商品
ⅰ その特定口座に係る特定口座内保管
取引業者等の営業所及びその金融商
上場株式等について与えられた株式の
品取引業者等の他の営業所に現に開
割当てを受ける権利又は新株予約権の
設し、又は開設していた一般口座に、
行使
その申出書に係る割当株式の特定口
ⅱ その特定口座に係る特定口座内保管
座への受入れの際、その割当株式と
上場株式等である新株予約権の行使
同一銘柄の株式を有していないこと
ⅲ その他一定の権利の行使又は取得事
及びその受入れの日前においてその
由の発生
株式を有していたことがないことを
ヘ 保険会社の相互会社から株式会社への
確認しなければならないこととされ
組織変更によりその保険会社から割当て
ています(措令25の10の 2 ⑳)
。
を受けた株式(その割当ての時に、社債、
ⅲ 上記ⅱの金融商品取引業者等の営
株式等の振替に関する法律第131条第 3
業所の長は、申出書に係る割当株式
項に規定する特別口座に記載又は記録が
を特定口座に受け入れたときは、そ
されることとなったものに限ります。以
の受け入れた日の属する月の翌月末
下「割当株式」といいます。
)で、その
日までに、その申出書及びその申出
割当株式の全てをその特別口座から特定
書に添付された割当株式数証明書そ
口座への移管により受け入れるもの
の他一定の書類を、その申出書を提
(注)
この場合の特定口座に受け入れる際
出した居住者等の住所地の所轄税務
の手続は次のとおりとされています。
署長に提出しなければならないこと
ⅰ 割当株式の移管をしようとする居
とされています(措令25の10の 2 、
措規18の11)
。
住者等は、その割当株式の受入れを
ト その他一定の上場株式等
する特定口座を開設している金融商
品取引業者等の営業所の長を経由し、
その者の住所地等の所轄税務署長に
⑵ 特定口座を開設していた居住者等が出国によ
対し、一般口座(特定口座及び非課
り居住者等に該当しないこととなった場合の取
税口座以外の口座をいいます。以下
扱い
同じです。)においてその割当株式と
① 特定口座開設届出書の提出をした居住者等
同一銘柄の株式を現に有しておらず、
が、その提出後、出国により居住者等に該当
かつ、有していたことがない旨その
しないこととなった場合には、特定口座廃止
─ 196 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
届出書を特定口座が開設されている金融商品
柄、数その他一定の事項を記載した書類を
取引業者等の営業所の長に提出したものとみ
いいます。以下同じです。)を提出するこ
なされます(措令25の10の 5 ①)
。
と。
② 居住者等が、特定口座開設届出書の提出を
③ 出国口座から特定口座に移管することがで
した金融商品取引業者等の営業所に開設され
きる上場株式等は、原則としてその出国口座
ていた特定口座(以下「出国前特定口座」と
に移管された上場株式等のうち、出国の日か
いいます。)に係る特定口座内保管上場株式
ら出国口座内保管上場株式等移管依頼書を提
等の全てにつき、出国をした後引き続きその
出する日までの間にその出国口座への受入れ
金融商品取引業者等の営業所に開設されてい
又はその出国口座からの払出しが行われない
る口座(以下「出国口座」といいます。
)に
場合におけるその上場株式等と同一銘柄の上
係る振替口座簿に記載若しくは記録を受け、
場株式等とされています。また、上場株式等
又はその出国口座において保管の委託をし、
につき出国口座に係る振替口座簿に記載若し
かつ、帰国をした後再びその金融商品取引業
くは記録を受け、又は保管の委託をしている
者等の営業所に設定する特定口座に係る振替
者がその出国口座を開設している金融商品取
口座簿に記載若しくは記録を受け、又はその
引業者等と締結した金融商品取引法第35条第
特定口座に保管の委託をしようとするときは、
1 項第 7 号に規定する累積投資契約のうち次
次に掲げる要件を満たす場合に限り、その出
に掲げる要件を満たすものに基づき取得する
国口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録
上場株式等で、その振替口座簿に記載又は記
がされ、又はその出国口座に保管の委託がさ
録がされ、又は保管の委託がされている上場
れている上場株式等(以下「出国口座内保管
株式等と同一銘柄のものその他一定の上場株
上場株式等」といいます。
)をその特定口座
式等については、特定口座への受入れが可能
に移管することができます(旧措令25の10の
です(旧措令25の10の 5 ③、旧措規18の13③)。
5 ②)。
イ その累積投資契約はその振替口座簿に記
イ その居住者等が、出国をする日までに、
載若しくは記録を受け、又は保管の委託を
特定口座継続適用届出書(出国前特定口座
している者とその金融商品取引業者等との
に係る特定口座内保管上場株式等を出国口
間でその出国口座を設定した日前に締結さ
座に係る振替口座簿に記載若しくは記録を
れたものであること。
受け、又はその出国口座に保管の委託をす
ロ その累積投資契約に基づき取得した上場
る旨その他一定の事項を記載した書類をい
株式等(その出国口座に係る振替口座簿に
います。以下同じです。
)をその金融商品
記載若しくは記録がされ、又はその出国口
取引業者等の営業所の長に提出すること。
座に保管の委託がされているものに限りま
ロ その居住者等が、帰国をした後、その金
す。
)の配当等(所得税法第24条第 1 項に
融商品取引業者等の営業所の長に特定口座
規定する配当等をいいます。以下同じで
開設届出書の提出をする際、その特定口座
す。
)のみをその上場株式等と同一銘柄の
開設届出書とともに出国口座内保管上場株
上場株式等の購入の対価に充てるものであ
式等移管依頼書(その出国口座に係る振替
ること。
口座簿に記載若しくは記録がされ、又はそ
の出国口座に保管の委託がされている上場
⑶ 特定公社債等である上場株式等の特定口座へ
株式等をその特定口座に移管することを依
の受入れ措置
頼する旨、移管する上場株式等の種類、銘
平成25年度税制改正において、特定口座に特
─ 197 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
定公社債等の受入れが可能となったことに伴い、
への記載若しくは記録又は保管の委託に
公社債等の課税方式の変更に伴う制度移行を円
係る口座(以下「他の保管口座」といい
滑に行う観点から、経過措置として、新制度の
ます。)に、その取得(平成27年12月31
施行前に既に保有している特定公社債等を、平
日以前の取得で、その金融商品取引業者
成28年 1 月 1 日に特定口座に受け入れることが
等への買付けの委託(買付けの委託の媒
できる措置が講じられています。
介、取次ぎ又は代理を含みます。
)によ
① 対象となる特定公社債等の範囲
る取得、その金融商品取引業者等からの
この経過措置の対象となる特定公社債等と
取得又はその金融商品取引業者等が行う
は、次に掲げる公社債又は受益権をいいます
上場株式等の金融商品取引法第 2 条第 3
項に規定する取得勧誘若しくは同条第 4
(平成25年改正法附則44⑤)
。
イ 特定公社債(従来から株式等譲渡益課税
項に規定する売付け勧誘等に応じたこと
の対象となっている新株予約権付社債並び
による取得に限ります。)後直ちに振替
に資産の流動化に関する法律に規定する転
口座簿への記載若しくは記録又は保管の
換特定社債及び新優先出資引受権付特定社
委託がされていることその他一定の要件
債を除きます。
)
を満たす上場株式等
ロ 公社債投資信託又は証券投資信託以外の
ロ 一般取得上場株式等……その金融商品
投資信託の受益権で、その設定に係る受益
取引業者等に開設されているその居住者
権の募集が一定の公募により行われたもの
等の他の保管口座に、平成27年 6 月30日
ハ 特定目的信託(その信託契約の締結時に
以前から引き続きその金融商品取引業者
おいて原委託者が取得する社債的受益権の
等の振替口座簿への記載若しくは記録又
募集が一定の公募により行われたものに限
は保管の委託がされている上場株式等
(特定取得上場株式等を除きます。)
ります。
)の社債的受益権
② 平成28年 1 月 1 日における特定取得上場株
ロ 受入一般取得上場株式等の取得価額及び
式等及び一般取得上場株式等の受入れ措置
取得日
イ 特定取得上場株式等及び一般取得上場株
他の保管口座から特定口座に受け入れた
式等
一般取得上場株式等(以下「受入一般取得
平成28年 1 月 1 日において金融商品取引
上場株式等」といいます。
)を受入れ後に
業者等の営業所に開設されている特定口座
譲渡した場合にその譲渡による所得の金額
には、その特定口座を開設している居住者
の計算上総収入金額から控除すべき売上原
等が同日において有する上場株式等(特定
価又は取得費の額の計算の基礎となるその
公社債等に該当するものに限ります。以下
受入一般取得上場株式等の取得価額及び取
同じです。)のうち次に掲げる特定取得上
得の日については、次によることとされて
場株式等及び一般取得上場株式等であるも
います(平成25年 5 月改正措令附則 7 ⑥、
のを受け入れることができることとされて
旧平成25年 5 月改正措規附則 2 ②)。
います(平成25年改正法附則44②)
。
イ 当該他の保管口座に係る銘柄ごとの受
イ 特定取得上場株式等……その金融商品
入一般取得上場株式等の取得価額につい
取引業者等に開設されているその居住者
ては、次に掲げる上場株式等の区分に応
等のその特定口座以外の有価証券の振替
じそれぞれ次に定める価額とされます。
口座簿(社債、株式等の振替に関する法
ⅰ 上記①イの特定公社債……その特定
律に規定する振替口座簿をいいます。
)
公社債が当該他の保管口座の振替口座
─ 198 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
簿への記載若しくは記録がされ、又は
未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当
当該他の保管口座に保管の委託がされ
所得及び譲渡所得等の非課税措置の適用を受け
た日におけるその特定公社債の発行価
る場合には、未成年者口座と同時に課税未成年
額又は売出価額に、その特定口座に受
者口座を開設しなければなりませんが、この措
け入れた公社債の数を乗じて計算した
置により、例えば既に特定口座を開設している
金額
金融商品取引業者等においても更に特定口座で
ⅱ 上記①ロの投資信託の受益権……そ
ある課税未成年者口座を開設することが可能と
の受益権が当該他の保管口座の振替口
なり、その金融商品取引業者等の営業所におい
座簿への記載若しくは記録がされ、又
て未成年者口座を開設して同非課税措置を利用
は当該他の保管口座に保管の委託がさ
することができることになります。
れた日におけるその受益権の一口当た
りの基準価額(投資信託及び投資法人
⑵ 特定口座間における上場株式等の移管手続の
に関する法律施行規則第26条第 1 項第
見直し
7 号に掲げる受益証券基準価額帳に記
上記 1 ⑴④ロロの異なる金融商品取引業者等
載される受益証券基準価額をいいま
に設けられた特定口座間において上場株式等の
す。)に、その特定口座に受け入れた
移管を行う場合には、移管の依頼を受けた移管
受益権の口数を乗じて計算した金額
元の金融商品取引業者等の営業所の長は、依頼
ロ 受入一般取得上場株式等の取得の日に
に係る特定口座内保管上場株式等の全てを、国
ついては、その受入一般取得上場株式等
外における振替口座簿に類するものに記載又は
が当該他の保管口座の振替口座簿への記
記録をして、移管先の特定口座に移管すること
載若しくは記録がされ、又は当該他の保
ができることとされました(措令25の10の 2
管口座に保管の委託がされた日となりま
⑪)。これにより、振替口座簿に記載等をする
す。
ことができない国外の株式等や公社債等につい
ても特定口座間の移管が可能となります。
2 改正の内容
⑴ 同一金融商品取引業者等における重複口座開
⑶ 特定口座に受け入れることができる上場株式
設禁止の緩和
等の範囲の拡充
未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当
未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当
所得及び譲渡所得等の非課税措置(措法 9 の 9 、
所得及び譲渡所得等の非課税措置が創設された
37の14の 2 )の創設に伴い、金融商品取引業者
ことに伴う整備を行うとともに、特定口座の利
等の営業所の長は既に特定口座を開設している
便性を高める観点から、上記 1 ⑴④の上場株式
居住者等から重ねて提出がされた特定口座開設
等保管委託契約に基づき特定口座に受入れ可能
届出書であっても、次に掲げる場合には、その
な上場株式等の範囲について、次の改正が行わ
特定口座開設届出書を受理できることとされま
れました。
した(措法37の11の 3 ⑤)
。
① 特定口座に受入れ可能な上場株式等の範囲
① 既に開設されている特定口座が課税未成年
に、次の上場株式等が追加されました。
イ 贈与、相続又は遺贈により取得したその
者口座である場合
② 提出された特定口座開設届出書が、課税未
被相続人等の開設していた未成年者口座に
成年者口座として特定口座を開設するために
係る未成年者口座内上場株式等であった上
提出がされたものである場合
場株式等(引き続きその口座(以下「相続
─ 199 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
等口座」といいます。
)に係る振替口座簿
ⅱ 未成年者口座が開設されている金融
に記載若しくは記録がされ、又はその相続
商品取引業者等の営業所の名称及び所
等口座に保管の委託がされているものに限
在地並びに特定口座が開設されている
ります。以下同じです。
)で、その相続等
金融商品取引業者等の営業所の名称及
口座からその相続等口座が開設されている
び所在地
金融商品取引業者等に開設されている相続
ⅲ 未成年者口座内上場株式等を特定口
人等の特定口座へ移管されるもの(措令25
座に移管することを依頼する旨及びそ
の10の 2 ⑮三)
の移管を希望する年月日
(注)
特定口座への受入れにあたっては、従
ⅳ その未成年者口座及び特定口座の記
来の相続等口座から特定口座へ移管がさ
号又は番号並びにその非課税管理勘定
れる上場株式等と同様に、上記 1 ⑴④ロ
又は継続管理勘定を設けた日の属する
ハⅰ又はⅱの上場株式等の区分に応じて
年
定められた要件を満たすことが必要とな
ⅴ 移管をしようとする未成年者口座内
上場株式等の種類、銘柄及び数又は価
ります。
額
ロ 新株予約権のうち、その金融商品取引業
者等に開設された非課税口座に係る非課税
ⅵ その他参考となるべき事項
口座内上場株式等であるもの又はその金融
ロ その未成年者口座に設けられた非課税
商品取引業者等に開設された未成年者口座
管理勘定又は継続管理勘定に係る未成年
である未成年者口座内上場株式等であるも
者口座内上場株式等の一部の移管がされ
のの行使により取得する上場株式等で、そ
る場合には、その移管がされる未成年者
の行使により取得する上場株式等の全てを、
口座内上場株式等と同一銘柄の未成年者
その行使の時に、その特定口座に係る振替
口座内上場株式等は全てその移管がされ
口座簿に記載若しくは記録をし、又はその
る未成年者口座内上場株式等に含まれる
特定口座に保管の委託をする方法により受
こと。
け入れるもの(措令25の10の 2 ⑮十二)
(注) この移管により特定口座に受け入れる
ハ 居住者等が開設する未成年者口座に設け
上場株式等の取得価額は、その移管があ
られた非課税管理勘定又は継続管理勘定に
った日の価額(時価)となります(措法
係る未成年者口座内上場株式等で、その未
37の14の 2 ④、措令25の13の 8 ⑰)
。
成年者口座からのその未成年者口座が開設
ニ 居住者等が開設する特定口座(課税未成
されている金融商品取引業者等に開設され
年者口座であるものに限ります。
)に係る
ている居住者等の特定口座への移管により
特定口座内保管上場株式等で、次に掲げる
受け入れるもの(次に掲げる要件を満たす
事由による特定口座の廃止の日にその特定
も の に 限 り ま す。
)
( 措 令25の10の 2 ⑮
口座からその特定口座が開設されている金
二十六、措規18の11⑱)
融商品取引業者等に開設されているその特
イ その居住者等がその未成年者口座を開
定口座以外の特定口座への振替の方法によ
設している金融商品取引業者等の営業所
りその特定口座内保管上場株式等の全てを
の長に対し、次に掲げる事項を記載した
受 け 入 れ る も の( 措令25の10の 2 ⑮ 二 十
書類を提出して移管されること。
七)
ⅰ その居住者等の氏名、生年月日及び
イ 未成年者口座等廃止事由が生じたこと
住所
によるその特定口座の廃止
─ 200 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
めです。
ロ 課税未成年者口座等廃止事由が生じた
ロ 特定口座に受け入れることができる上場
ことによるその特定口座の廃止
ハ 基準年の 1 月 1 日においてその特定口
株式等の範囲に、その割り当てられた上場
座が開設されている金融商品取引業者等
株式等について生じたイ株式の分割、ロ会
に重複して開設されているその特定口座
社 法 第185条 に 規 定 す る 株 式 無 償 割 当 て
以外の特定口座があることによるその特
(その株式無償割当てによりその特別口座
に記載又は記録することとされている株式
定口座の廃止
と同一の種類の株式が割り当てられるもの
(注)
上記イの未成年者口座等廃止事由とは、
未成年者口座につき未成年者口座管理契
に限ります。
)又はハ取得条項付株式の取
約の要件である前述一 2 ⑹②ホ若しくは
得事由の発生(その取得の対価としてその
ヘに掲げる要件に該当しないこととなる
取得をされる株主にその特別口座に記載又
事由又は災害等による返還等(前述一 2
は記録がされている株式と同一の種類及び
⑹②ヘイⅰ参照)が生じた場合をいい、
銘柄の株式が交付されるものに限ります。)
上記ロの課税未成年者口座等廃止事由と
により取得した上場株式等が追加されまし
は、その口座につき前述一 2 ⑹⑥ハ若し
た。なお、このイからハまでの事由により
くはニに掲げる要件に該当しないことと
取得した上場株式等についても、生命保険
なる事由又は災害等事由による返還等
会社の組織変更による株式の割当ての日か
(前述一 2 ⑹⑥ニイⅰ参照)が生じた場合
ら10年以内に特定口座への移管により受け
入れるものに限られます。
をいいます。また、上記ハの基準年とは、
未成年者口座を開設する居住者等が 3 月
31日において18歳である年をいいます。
⑷ 出国により居住者等に該当しないこととなっ
② 上記 1 ⑴④ロヘの特定口座に受け入れるこ
た場合の取扱いの改正
とができる生命保険会社の相互会社から株式
上記 1 ⑵②の上場株式等の出国口座から特定
会社への組織変更によりその社員に割り当て
口座への移管について次の改正が行われました。
られた上場株式等で特別口座において管理さ
① 国外転出をする場合の譲渡所得の特例の創
れているものについて、次の改正が行われま
設に伴う措置
した(措令25の10の 2 ⑮二十二)
。
平成27年度税制改正で創設された国外転出
イ 当該上場株式等の特定口座への受入れは、
をする場合の譲渡所得の特例の適用を受けた
その組織変更による割当ての日から10年以
場合には、特定口座内保管上場株式等につい
内に行われるものに限ることとされました。
ても国外転出等の時の価額で譲渡し、その価
これは、上記 1 ⑴④ロヘの(注)ⅱのとおり、
額で取得したものとみなされるため、この適
申出書を受理した金融商品取引業者等の営
用を受けて出国口座に移管した出国口座内保
業所の長は、一般口座にその割当株式と同
管上場株式等については、その取得価額をこ
一銘柄の株式を有していないこと及びその
の特例の適用を受けた価額により特定口座に
受入れの日前においてその株式を有してい
移管される必要があります。ただし、国外転
たことがないことを確認しなければならな
出(出国)の日から 5 (10)年以内に帰国等
いこととされていますが、組織変更による
をした場合には、その国外転出をする場合の
割当ての日から10年を経過すると、証券会
譲渡所得の特例の適用を取り消すことができ
社では顧客の取引記録の保存義務がなくな
(所法60の 2 ⑥)、納税猶予の期間が満了した
り、その確認ができなくなる場合があるた
場合に価額が下落しているときは、その満了
─ 201 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
の日の価額に譲渡価額等を減額することがで
託の受益権を特定口座に受け入れることが可
きる(所法60の 2 ⑩)こととされています。
能となりましたが、これに伴う措置として、
これらの場合には、帰国等の日又は納税猶予
出国口座から特定口座に移管することができ
の期間の満了日から 4 月以内に更正の請求を
る累積投資契約に基づき取得する上場株式等
行うこととされています(所法153の 2 ①③)
。
に係る要件の見直しが行われました。
イ このため、出国口座内保管上場株式等を
具体的には、上記 1 ⑵③ロの「累積投資契
特定口座に移管しようとする居住者等でそ
約に基づき取得した上場株式等の配当等のみ
の出国の日の属する年分の所得税につき国
をその上場株式等と同一銘柄の上場株式等の
外転出をする場合の譲渡所得の特例(所法
購入の対価に充てるものであること」という
60の 2 ①⑩)の適用を受けた者は、帰国を
要件について、公社債投資信託の累積投資契
した後、特定口座開設届出書及び出国口座
約を念頭に利子等が加えられ、「累積投資契
内保管上場株式等移管依頼書の提出の際に、
約に基づき取得した上場株式等の利子等又は
上記の更正の請求に係る更正の請求書の提
配当等のみをその上場株式等と同一銘柄の上
出の有無を明らかにするとともに、当該更
場株式等の購入の対価に充てるものであるこ
正の請求をしている場合にはその更正の請
と」とされました(措規18の13④)。
求書の写し及び更正通知書又はその写しを
提出しなければならないこととされました
⑸ 特定公社債等である上場株式等の特定口座へ
の受入れ措置の改正
(措令25の10の 5 ②三、措規18の13③)
。
ロ また、この居住者が国外転出(出国)の
受入一般取得上場株式等を特定口座に受け入
日から 5 年を経過する日(10年間の納税の
れる際に特定口座内においてその受入一般取得
猶予を受けている者については、10年を経
上場株式等の取得価額となる上記 1 ⑶②ロイⅱ
過する日)までに帰国をした場合には、そ
の基準価額に、投資信託及び投資法人に関する
の帰国の日から 4 月を経過した日(同日が、
法律施行規則第26条第 1 項第 7 号に掲げる受益
国外転出をした者が帰国をした場合等の更
証券基準価額帳に記載される受益証券基準価額
正の請求の特例に基づく更正の請求をした
に類するものが追加されました(平成25年 5 月
者のその請求に基づく更正の日前である場
改正措規附則 2 ②)
。これにより、国外で発行
合にあっては、同日)以後に出国口座内保
された公社債投資信託又は証券投資信託以外の
管上場株式等移管依頼書を提出しなければ
投資信託の受益権で受入一般取得上場株式等に
なりません(措令25の10の 5 ②四)
。改正
該当するものについては、受益証券基準価額帳
前の制度では出国口座内保管上場株式等移
に記載される受益証券基準価額に類する価額に
管依頼書の提出に期限の制限はありません
より特定口座に受け入れることが可能となりま
でしたが、国外転出をする場合の譲渡所得
す。
の特例の適用を受けた場合には、帰国後の
更正の請求により出国口座内保管上場株式
3 適用関係
等について取得価額が変動する可能性があ
るため、この更正の請求ができる期間が終
⑴ 上記 2 ⑴の改正は、平成28年 1 月 1 日から施
了するまでは、特定口座への移管ができな
行されます(改正法附則 1 )。
⑵ 上記 2 ⑵の改正は、平成27年 4 月 1 日以後に
いこととするものです。
② 累積投資契約の範囲の拡充
行う移管について適用し、同日前に行った移管
平成25年度税制改正により、公社債投資信
─ 202 ─
については、従前どおりとされています(改正
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
定口座に受け入れる特定口座内保管上場株式等
措令附則18①)
。
⑶ 上記 2 ⑶①イの改正は、平成28年 1 月 1 日以
について適用されます(改正措令附則18⑧)。
後に特定口座に受け入れる贈与、相続又は遺贈
⑺ 上記 2 ⑶②の改正は、平成27年 4 月 1 日以後
により取得した上場株式等について適用し、同
に特定口座に受け入れる割当株式について適用
日前に特定口座に受け入れた贈与、相続又は遺
し、同日前に特定口座に受け入れた割当株式に
贈により取得した上場株式等については従前ど
ついては従前どおりとされています(改正措令
おりとされています(改正措令附則18②)
。
附則18⑤)。
⑷ 上記 2 ⑶①ロの改正は、平成28年 1 月 1 日以
⑻ 上記 2 ⑷①の改正は、平成27年 7 月 1 日以後
後の新株予約権の行使により特定口座に受け入
に提出をする出国口座内保管上場株式等移管依
れる上場株式等について適用し、同日前の新株
頼書について適用し、同日前に提出をした出国
予約権の行使により特定口座に受け入れた上場
口座内保管上場株式等移管依頼書については従
株式等については、従前どおりとされています
前どおりとされています(改正措令附則20①)。
⑼ 上記 2 ⑷②の改正は、平成28年 1 月 1 日以後
(改正措令附則18④)
。
⑸ 上記 2 ⑶①ハの改正は、平成28年 1 月 1 日以
に出国をする場合について適用し、同日前に出
後に特定口座に受け入れる未成年者口座内上場
国をした場合については従前どおりとされてい
株式等について適用されます(改正措令附則18
ます(改正措規附則12)。
⑽ 上記 2 ⑸の改正は、平成28年 1 月 1 日から施
⑦)。
⑹ 上記 2 ⑶①ニの改正は、平成28年 1 月 1 日以
行されます(平成25年 5 月改正措規附則 1 )。
後に課税未成年者口座である特定口座以外の特
五 特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特
例の改正
については、その特例により控除した金額に相
1 改正前の制度の概要
当する金額を圧縮(減額)することとされてい
ます(措法41の19③、措令26の28の 3 ⑥)。
⑴ 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住
者(以下「居住者等」といいます。
)が、特定
⑵ 上記⑴の「特定新規中小会社」とは次に掲げ
新規中小会社の特定新規株式を払込み(その発
る株式会社をいい、「特定新規株式」とは、当
行に際してするものに限ります。以下同じで
該株式会社の区分に応じそれぞれ次に定める株
す。)により取得をした場合において、その居
式をいいます(旧措法41の19①)。
住者等がその年中にその払込みにより取得をし
① 中小企業の新たな事業活動の促進に関する
た特定新規株式(その年12月31日において有す
法律第 7 条に規定する特定新規中小企業者に
るものとされるものに限ります。以下「控除対
該当する株式会社(その設立年数が 1 年未満
象特定新規株式」といいます。
)の取得に要し
であるなど一定のものに限ります。
)……そ
た金額(その金額の合計額は1,000万円が限度
の株式会社により発行される株式
とされます。)については、寄附金控除を適用
② 総合特別区域法第55条第 1 項に規定する指
することができることとされています。
定会社で平成28年 3 月31日までに同項の規定
なお、この特例の適用を受けた場合には、そ
による指定を受けたもの……その指定会社に
の適用を受けた年の翌年以後のその適用を受け
より発行される株式でその指定の日から同日
た特定新規株式に係る同一銘柄株式の取得価額
以後 3 年を経過する日までの間に発行される
─ 203 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
もの
(注 1 )
国家戦略特別区域法では、国家戦略特別
③ 内国法人のうち、沖縄振興特別措置法第57
区域について、産業の国際競争力の強化に
条の 2 第 1 項に規定する指定会社で平成26年
資する事業又は国際的な経済活動の拠点の
4 月 1 日から平成29年 3 月31日までの間に同
形成に資する事業を実施することにより、
項の規定による指定を受けたもの……その指
我が国の経済社会の活力の向上及び持続的
定会社により発行される株式
発展に相当程度寄与することが見込まれる
区域として定めることとされており、現在、
2 改正の内容
6 つの区域(東京圏(東京都千代田区、中
第185回国会で可決・成立した国家戦略特別区
央区、港区、新宿区、文京区、江東区、品
域法(平成25年法律第107号)において創設され
川区、大田区及び渋谷区、神奈川県並びに
た国家戦略特区は、産業の国際競争力の強化及び
千葉県成田市)、関西圏(大阪府、兵庫県及
国際的な経済活動の拠点の形成に関する施策の総
び京都府)、新潟県新潟市、兵庫県養父市、
合的かつ集中的な推進を図るため、2015年度まで
福岡県福岡市、沖縄県)が定められています。
の期間を集中取組期間とし、いわゆる岩盤規制全
また、同法では、政府は、国家戦略特別
般について突破口を開いていくというものです。
区域基本方針(以下「基本方針」といいま
この国家戦略特別区域法を改正し、国家戦略特
す。
)を定めなければならないこととされて
区において、女性活躍促進等のための外国人家事
おり、内閣総理大臣は、国家戦略特別区域
支援人材の活用、保育士不足解消等に向けた地域
諮問会議の意見を聴いて、基本方針の案を
限定保育士の創設、グローバル人材育成等のため
作成し、閣議の決定を求めなければならな
の公立学校運営の民間開放、外国人を含めた起
いこととされています。内閣総理大臣は、
業・開業促進のための開業ワンストップセンター
国家戦略特別区域ごとに、基本方針に即し
の設置、都市公園内における保育所等設置の解禁
て区域方針を定めるものとされ、国家戦略
等に関する特例の創設等を行うことをその内容と
特別区域担当大臣及び関係地方公共団体の
する「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域
長は、国家戦略特別区域ごとに、区域計画
法の一部を改正する法律案」が、平成27年 6 月26
の作成等を行うため、国家戦略特別区域会
日現在、国会において審議中です。この法律案で
議を組織し、同会議は、基本方針及び区域
は、認定区域計画に定められている一定の事業
方針に即して区域計画を作成し、内閣総理
(その事業の将来における成長発展を図るために
大臣の認定を申請することとされ、内閣総
外部からの投資を受けることが特に必要なものに
理大臣は区域計画が一定の基準に適合する
限ります。
)を行う株式会社でその事業を行うこ
と認めるときは認定をするものとされてい
とについて適正かつ確実な計画を有すると認めら
ます。
れることその他の一定の要件を満たすものにより
(注 2 )
「国家戦略特別区域法及び構造改革特別区
発行される株式を払込みにより個人が取得した場
域法の一部を改正する法律案」では、本特
合には、租税特別措置法で定めるところにより、
例に係る規定のほか、国家戦略特別区域に
課税の特例の適用がある旨の規定が盛り込まれて
おいて機械等を取得した場合の特別償却等
います。これを踏まえ、外部からの投資が特に必
又は法人税額の特別控除制度の見直しに係
要な株式会社を税制面から支援するため、本特例
る規定や優良住宅地の造成等のために土地
の適用対象となる特定新規中小会社の範囲に、認
等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の
定区域計画に定められている一定の事業を行う株
特例の適用対象への国家戦略特別区域内に
式会社が追加されました。
おける認定区域計画に定められた特定事業
─ 204 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
を行う者に対する土地等の譲渡で一定のも
が設立時の従業員の数以上であり、かつ、
のの追加に係る規定が盛り込まれています。
前事業年度末に比して 2 人以上(商業又
これらの具体的な改正内容については、後
はサービス業に属する事業を主たる事業
掲の「租税特別措置法等(法人税関係)の
として営む会社にあっては 1 人以上)増
改正」や、
「租税特別措置法等(所得税関係
加していること。
の土地・住宅税制関係)の改正」の「二 ② 株式会社の要件
優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡
この特例の対象となる株式会社の具体的な
した場合の長期譲渡所得の課税の特例の改
要件は、今後公布される国家戦略特別区域法
正」を参照してください。
の関係政省令において、概ね次の事項が定め
られる予定です。
⑴ 特定新規中小会社の範囲の拡充
イ 次に掲げる株式会社の区分に応じそれぞ
上記 1 ⑴の特例の対象となる特定新規中小会
れ次に定める要件を満たすこと。
社の範囲に、認定区域計画に定められている特
イ 上記①イ又はロの事業を営む中小企業
定事業のうちその特定事業の将来における成長
者である株式会社……次に掲げる会社の
発展を図るために外部からの投資を受けること
区分に応じそれぞれ次に定める要件を満
が特に必要な一定の事業を行う株式会社で、そ
たすこと。
の特定事業を行うことについて適正かつ確実な
ⅰ 設立後 1 年未満かつ最初の事業年度
計画を有すると認められることその他の一定の
に属している会社……次に掲げる要件
要件に該当するものが追加されました(措法41
の全てを満たすこと。
の19①四)
。
a 研究者又は新事業活動従事者の数
が 2 人以上であり、かつ、その数の
① 対象事業の要件
この特例の対象となる株式会社が行うべき
常勤の役員及び従業員の合計に対す
「特定事業」の具体的な内容は、今後公布さ
る割合が10%以上であること(以下
れる国家戦略特別区域法の関係政省令におい
「研究者数等要件」といいます。)。
b 事業の将来における成長発展に向
て、概ね次のとおり定められる予定です。
イ 中小企業者が行う高度医療の提供に資す
けた事業計画を有すること(以下
る医療技術の研究開発等に関する事業若し
「事業計画要件」といいます。)。
くは付加価値の高い農林水産物の効率的な
ⅱ 設立後 1 年未満かつ最初の事業年度
生産に必要な高度な技術の研究開発等に関
が終了している会社……次に掲げる要
する事業
件の全てを満たすこと。
ロ 中小企業者が行う国家戦略特別区域法に
a 資金計画に記載された特区事業費
よる農地法等の特例(国家戦略特区法18)
の額を前事業年度の営業費用の額で
の適用を受ける事業
除して計算した割合が50%以上であ
ハ 小規模企業者が行う雇用の創出に資する
ること(以下「特区事業費要件」と
いいます。)。
事業であって次の要件を満たすもの
イ 設立時の従業員の数が 5 人以上(商業
b 研究者数等要件
又はサービス業に属する事業を主たる事
c 前事業年度の売上高に占める営業
業として営む会社にあっては 1 人以上)
利益の割合が 2 %を超えていないこ
であること。
と(以下「営業利益率要件」といい
ロ 投資契約の締結日における従業員の数
─ 205 ─
ます。
)
。
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
b 新事業活動従事者数要件又は試験
ⅲ 設立後 1 年以上 2 年未満の会社……
研究費等要件
次に掲げる要件の全てを満たすこと。
c 営業利益率要件
a 特区事業費要件
b 新事業活動従事者の数が 2 人以上
ⅳ 設立後 2 年以上 3 年未満の会社……
であり、かつ、その数の常勤の役員
次に掲げる要件の全てを満たすこと。
及び従業員の合計に対する割合が10
a 特区事業費要件
%以上であること(以下「新事業活
b 試験研究費等要件又は売上高成長
率が25%を超えること。
動従事者数要件」といいます。
)又
c 営業利益率要件
は前事業年度の試験研究費等の収入
金額に対する割合が 3 %を超えるこ
ロ 特定の株主グループの有する株式の総数
と(以下「試験研究費等要件」とい
が発行済株式の総数の 6 分の 5 を超える会
います。
)
。
社でないこと。
ハ 金融商品取引所に上場されている株式等
c 営業利益率要件
の発行者である会社でないこと。
ⅳ 設立後 2 年以上 5 年未満の会社……
ニ 発行済株式の総数の 2 分の 1 を超える数
次に掲げる要件の全てを満たすこと。
a 特区事業費要件
の株式が一の大規模法人及び当該大規模法
b 試験研究費等要件又は売上高成長
人と特殊の関係のある法人の所有に属して
率(前々事業年度の売上高に対する
いる会社又は発行済株式の総数の 3 分の 2
前事業年度の売上高の伸び率等をい
以上が大規模法人及び当該大規模法人と特
います。以下同じです。
)が25%を
殊の関係のある法人の所有に属している会
超えること。
社でないこと。
ホ 払込みにより当該会社の株式の取得をす
c 営業利益率要件
ロ 上記①ロの事業を営む小規模企業者で
る者と投資契約(その投資契約に係る払込
ある株式会社……次に掲げる会社の区分
金を、事業実施計画に記載された事業の用
に応じそれぞれ次に定める要件を満たす
に供する旨の記載があるものに限ります。)
こと。
を締結する会社であること。
ヘ その会社の営む事業が公序良俗に反して
ⅰ 設立後 1 年未満かつ最初の事業年度
おらず、かつ、風俗営業に該当しないこと。
に属している会社……次に掲げる要件
の全てを満たすこと。
⑵ 特定新規株式の範囲の拡充
a 研究者数等要件
上記 1 ⑴の特例の対象となる特定新規株式の
b 事業計画要件
ⅱ 設立後 1 年未満かつ最初の事業年度
範囲に、特定新規中小会社の範囲に追加された
が終了している会社……次に掲げる要
上記⑴の株式会社により発行される株式で、国
件の全てを満たすこと。
家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一
a 特区事業費要件
部を改正する法律附則第 1 条第 1 号に掲げる規
b 研究者数等要件
定の施行の日から平成30年 3 月31日までの間に
c 営業利益率要件
発行されるものが追加されました(措法41の19
ⅲ 設立後 1 年以上 2 年未満の会社……
次に掲げる要件の全てを満たすこと。
a 特区事業費要件
─ 206 ─
①四)。
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
⑶ 特例の適用を受けるために確定申告書に添付
すべき書類等
3 適用関係
上記 1 ⑴の特例により寄附金控除の適用を受
上記 2 の改正は、国家戦略特別区域法及び構造
けるためには、その適用を受けようとする年分
改革特別区域法の一部を改正する法律附則第 1 条
の確定申告書に、一定の書類を添付しなければ
第 1 号に掲げる規定の施行の日から平成30年 3 月
なりませんが(措令26の28の 3 ⑨)
、その添付
31日までの間に発行される特定新規株式について
すべき書類については、今後公布される財務省
適用されます(措法41の19①四)。
令において定められる予定となっています。
六 金融機関等の受ける利子所得等に対する源泉徴収の不適用の
改正
(旧措令 3 の 3 ⑥)。
1 改正前の制度の概要
金融商品取引業者等が支払を受ける公社債の利
2 改正の内容
子又は社債的受益権の剰余金の配当で次に掲げる
金融商品取引業者のうち、第一種金融商品取引
もの(以下「公社債の利子等」といいます。
)に
業を行う者が支払を受ける公社債の利子等は、デ
ついては、所得税の源泉徴収を行わないこととさ
ィーリング(証券会社等が自己勘定で有価証券の
れています(措法 8 ②)
。
売買を行うこと)のために一時的に保有する公社
① 社債、株式等の振替に関する法律に規定す
債を念頭に、公社債の流通の円滑化のために、特
る振替口座簿(以下「振替口座簿」といいま
例として源泉徴収が不適用とされています。
す。)に記載又は記録がされた公社債の利子
他方、第186回通常国会にて成立した金融商品
(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律
取引法等の一部を改正する法律(平成26年法律第
により信託業務を営む金融機関のその記載又
44号)により新設された第一種少額電子募集取扱
は記録がされた公社債の利子で一定のものを
業者については、第一種金融商品取引業を行う者
除きます。)でその記載又は記録がされてい
ではあるものの金融商品取引法上のディーリング
た期間内に生じたもの
ができないこととされたことや、金融商品取引業
② 振替口座簿に記載又は記録がされた社債的
以外の業務との兼業規制が課せられないため金融
受益権の剰余金の配当(金融機関の信託業務
商品取引業以外の業務に関連して公社債等を保有
の兼営等に関する法律により信託業務を営む
することができることとされたことに伴い、本特
金融機関のその記載又は記録がされた社債的
例の対象となる金融商品取引業者の範囲から除外
受益権の剰余金の配当で一定のものを除きま
することとされました(措令 3 の 3 ⑥)。
す。)でその記載又は記録がされていた期間
(注) 「第一種少額電子募集取扱業者」とは、第一
内に生じたもの
種金融商品取引業を行う者のうち少額のクラ
上記の金融商品取引業者等とは、金融商品取引
ウドファンディング(インターネットを通じ
法第 2 条第 9 項に規定する金融商品取引業者(第
た少額有価証券の募集)のみを行う業者をいい、
一種金融商品取引業を行う者に限ります。
)
、同条
参入要件を緩和するために、第一種金融商品
第29項に規定する金融商品取引清算機関又は同条
取引業を行う者に課せられている兼業規制や
第30項に規定する証券金融会社とされていました
標識掲示義務等が適用除外とされています。
─ 207 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
支払を受けるべき公社債の利子等について適用し、
3 適用関係
金融商品取引業者等が同日前に支払を受けるべき
上記 2 の改正は、金融商品取引業者等が金融商
公社債の利子等については従前どおりとされてい
品取引法等の一部を改正する法律(平成26年法律
ます(改正措令附則 7 )。
第44号)の施行の日(平成27年 5 月29日)以後に
七 配当所得の改正
利益の配当又は剰余金の分配とみなす(以下
1 改正前の制度の概要
「みなし配当等」といいます。)こととされてい
ます(旧所法25①、旧所令61①②)。
⑴ 配当所得とは、配当等に係る所得をいいます
① その法人の合併(法人課税信託に係る信託
が、この配当等とは次に掲げるものをいうこと
とされていました(旧所法24①)
。
の併合を含むものとし、適格合併を除きま
① 法人(公益法人等及び人格のない社団等を
す。
)
② その法人の分割型分割(適格分割型分割を
除きます。)から受ける剰余金の配当(株式
除きます。)
又は出資(公募公社債等運用投資信託以外の
公社債等運用投資信託の受益権及び社債的受
③ その法人の資本の払戻し(株式に係る剰余
益件を含みます。
)に係るものに限るものと
金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うもの
し、資本剰余金の額の減少に伴うもの及び分
に限ります。
)のうち、分割型分割によるも
割型分割(法人課税信託に係る信託の分割を
の以外のものをいいます。)又はその法人の
含みます。
)によるものを除きます。
)
解散による残余財産の分配(以下「資本の払
戻し等」といいます。)
② 利益の配当(資産の流動化に関する法律に
④ その法人の自己の株式又は出資の取得(金
規定する金銭の分配を含むものとし、分割型
融商品取引所の開設する市場における購入に
分割によるものを除きます。
)
よる取得その他一定の取得を除きます。)
③ 剰余金の分配(出資に係るものに限りま
⑤ その法人の出資の消却(取得した出資につ
す。)
いて行うものを除きます。)、その法人の出資
④ 基金利息(保険業法に規定する基金利息を
の払戻し、その法人からの社員その他の出資
いいます。
)
⑤ 投資信託(公社債投資信託及び公募公社債
者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又
等運用投資信託を除きます。
)及び特定受益
はその法人の株式若しくは出資をその法人が
証券発行信託の収益の分配
取得することなく消滅させること
⑵ 法人の株主等がその法人の次の①から⑥まで
⑥ その法人の組織変更(その組織変更に際し
の事由により金銭その他の資産の交付を受けた
てその組織変更をしたその法人の株式又は出
場合において、その金銭の額及び金銭以外の資
資以外の資産を交付したものに限ります。)
産の価額の合計額がその法人の資本金等の額又
は連結個別資本金等の額のうちその交付の基因
となったその法人の株式又は出資に対応する部
2 改正の内容
⑴ 投資法人の金銭の分配に係る改正
分の金額を超えるときは、その超える部分の金
① 上記 1 ⑴の配当所得とされる配当等の範囲
額に係る金銭その他の資産は、剰余金の配当、
に、投資法人の金銭の分配で出資等減少分配
─ 208 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
以外のものが追加されました(所法24①)
。
金銭の分配は、従来どおり資本の払戻しに
出資等減少分配とは、投資法人の金銭の分
該当するものとされ、それが明確化されま
配のうち、出資総額又は出資剰余金の額から
した。
控除される金額があるものをいいますが、こ
③ 上記②の改正に伴い、出資等減少分配があ
の控除される金額と一時差異等調整引当額の
る場合のみなし配当等の額の計算において、
増加額とが同額である場合のその金銭の分配
配当等の額とされない所有株式に対応する資
は除くこととされています(所規18の 2 ①)
。
本金等の額は、その出資等減少分配を行った
(注) 一時差異等調整引当額とは、利益を超え
投資法人のその直前の分配対応資本金額を、
て分配された金額のうち、所得超過税会不
その投資法人の発行済投資口の総数で除し、
一致等の範囲内で利益処分に充当するもの
これにその出資等減少分配を受けた投資主が
とされ(投資法人の計算に関する規則 2 ②
その直前に有していたその投資法人の投資口
三十)、投資法人の計算に関する規則に従っ
の数を乗じて計算した金額とされました(所
て、投資法人の貸借対照表の純資産の部に
令61②四)。
おいて、一時差異等調整引当額として区分
分配対応資本金額とは、その出資等減少分
して表示される金額をいいます。そして、
配の直前のその投資法人の資本金等の額にそ
この一時差異等調整引当額の処分について
の投資法人の次の算式で算出した割合を乗じ
あらかじめ定めた貸借対照表の注記に従っ
て計算した金額をいいます。
て、その後の利益からの組入れによって戻
《算式》
入れを行うこととされています。その生じ
た利益の全てを原則として投資主に分配す
る投資法人にあっては、いわば、将来の利
益を先取りするものと観念できます。なお、
一時差異等調整引当額の増加額は、投資法
人のその金銭の分配に係る計算期間(事業
年度)の貸借対照表における一時差異等調
割合=
その出資等減少分配による
出資総額等の減少額
その出資等減少分配の日の属する事業年
度の前事業年度終了の時の純資産帳簿価
額(その終了の時からその出資等減少分
配の直前の時までの間における資本金等
の額又は利益積立金額の増加額又は減少
額を、増加し、又は減少した金額)
整引当額の表示額とその翌計算期間(事業
(注 1 )
分子の「その出資等減少分配による出
年度)の貸借対照表における一時差異等調
資総額等の減少額」とは、出資等減少分
整引当額の表示額との差額(増分)という
配により増加する出資総額控除額(貸借
ことになりますが、実務上は、その金銭の
対照表の純資産の部において出資総額控
分配に係る計算期間(事業年度)の金銭分
除額に区分される金額です。
)及び出資剰
配計算書に、その増加額として記載される
余金控除額(同純資産の部において出資
金額になる予定です。
剰余金控除額に区分される金額です。
)の
② 上記 1 ⑵③のみなし配当等の生ずる基因と
合計額から、その出資等減少分配により
なる発行法人の資本の払戻しに、出資等減少
増加する一時差異等調整引当額を控除し
分配が追加されました(所法25①三)
。
た金額をいいます(所規18の 2 ②)
。
すなわち、投資法人の利益を超える金銭の
(注 2 )
分子の金額が分母の金額を超える場合
分配について、その利益を超える部分の金額
には、割合は 1 とします。またその出資
が将来の利益の額のみから成る場合には、通
等減少分配の直前の資本金等の額が零以
常の利益の分配と同様、その全額を配当等
下である場合には 0 と、その直前の資本
とするとともに、それ以外の利益を超える
金等の額が零を超え、かつ、分母の金額
─ 209 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
が零以下である場合には割合は 1 としま
先出資についての会社法の準用)において
す。なお、上記の割合は、端数を切り上
準用する場合を含むこととされています。
(注 2 )
上記の改正は、平成26年度税制改正事項
げて小数点以下三位までとします。
(注 3 )
発行済投資口とは、投資法人の発行済
ですが、会社法の一部を改正する法律(平
みの投資口をいい、その投資法人が有す
成26年法律第90号)の施行の日が同法の公
る自己の投資口を除いたものです。
布の日から起算して 1 年 6 月を超えない範
なお、この整備に伴い、上記 1 ⑵③の資本
囲内において政令で定める日(平成27年 5
の払戻し等がある場合のみなし配当等の額の
月 1 日)であったことから、今回の改正で
計算において、資本の払戻し等の範囲から出
措置されています。
資等減少分配が除かれています
(所令61②三)
。
⑵ 会社法の改正に伴う改正
3 適用関係
⑴ 上記 2 ⑴①の改正は、平成27年 4 月 1 日以後
会社法の一部を改正する法律(平成26年法律
に支払を受けるべき配当等について適用し、同
第90号)における会社法の改正による株式の併
日前に支払を受けるべき配当等については従前
合に反対する株主によるその株式会社に対する
どおりとされます(改正法附則 4 )。
その株式の併合により端数となる株式の買取請
⑵ 上記 2 ⑴②及び③の改正は、平成27年 4 月 1
求制度の創設に伴い、上記 1 ⑵④のみなし配当
日以後に資本の払戻しにより交付を受ける金銭
等が生ずる事由となる自己株式の取得から除外
その他の資産について適用し、同日前に資本の
される特定の事由による取得事由に会社法第
払戻しにより交付を受けた金銭その他の資産に
182条の 4 第 1 項の規定(反対株主の株式買取
ついては従前どおりとされています(改正法附
請求)による買取りが追加されました(所令61
則 5 )。
⑶ 上記 2 ⑵の改正は、平成27年 5 月 1 日以後に
①九)
。
(注 1 )
会社法第182条の 4 第 1 項には、資産の流
生ずる事由について適用し、同日前に生じた事
動化に関する法律第38条(特定出資につい
由については従前どおりとされています(改正
ての会社法の準用)又は第50条第 1 項(優
所令附則 5 )。
八 生命保険契約等の一時金の支払調書制度の改正
いこととされています(所法225①四、旧所規
1 改正前の制度の概要
86①)。
⑴ 生命保険金等の支払調書
① その支払を受ける者の氏名又は名称、住所
居住者又は内国法人に対し国内において生命
若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所
保険契約に基づく保険金等(以下「生命保険金
の所在地及び個人番号又は法人番号
等」といいます。
)の支払をする者は、生命保
険金等の支払を受ける者の各人別に、次に掲げ
② その年中に支払の確定した生命保険金等の
金額
る事項を記載した支払調書をその支払日の属す
③ その年中に生命保険金等の支払の基礎とな
る年の翌年 1 月31日までに、その支払をする者
る契約に基づき分配又は割戻しをする剰余金
の事務所、事業所その他これらに準ずるもので
又は割戻金でその生命保険金等とともに又は
その生命保険金等の支払事務を取り扱うものの
その生命保険金等の支払の後に分配又は割戻
所在地の所轄税務署長に提出しなければならな
しをするものの金額
─ 210 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
得税の額
④ 契約に係る保険料又は掛金の総額等
⑥ 支払の確定した日
⑤ 生命保険金等につき源泉徴収をされる所得
⑦ 上記②の損害保険等給付の支払をする者と
税の額
⑥ 支払の確定した日
その支払の基礎となる契約を締結した者の氏
⑦ 上記②の生命保険金等の支払をする者とそ
名又は名称、住所若しくは居所又は本店若し
の支払の基礎となる契約を締結した者の氏名
くは主たる事務所の所在地及び個人番号又は
又は名称、住所若しくは居所又は本店若しく
法人番号
は主たる事務所の所在地及び個人番号又は法
(注) 上記の損害保険契約とは、保険業法に規定
人番号
する損害保険会社若しくは外国損害保険会社
(注)
上記の生命保険契約とは、保険業法に規定
等の締結した保険契約又は少額短期保険業者
する生命保険会社若しくは外国生命保険会社
の締結したこれに類する保険契約をいい、そ
等の締結した保険契約又は少額短期保険業者
の外国損害保険会社等が国外において締結し
の締結したこれに類する保険契約をいい、そ
たものを除きます。
の外国生命保険会社等が国外において締結し
たものを除きます。
2 改正の内容
生命保険金等に基づく一時金又は損害保険等給
⑵ 損害保険等給付の支払調書
付に基づく満期返戻金に係る一時所得の金額の計
居住者又は内国法人に対し国内において損害
算上控除できる額は、原則としてその生命保険金
保険契約に基づく給付(以下「損害保険等給
等又は損害保険等給付の支払を受ける者本人が払
付」といいます。
)の支払をする者は、損害保
い込んだ保険料等に限られていますが、例えば法
険等給付の支払を受ける者の各人別に、次に掲
人が契約した生命保険契約について、個人に名義
げる事項を記載した支払調書をその支払日の属
を変更した後その個人に対して保険金が支払われ
する年の翌年 1 月31日までに、その支払をする
た場合に、本来その個人の所得金額の計算上控除
者の事務所、事業所その他これらに準ずるもの
できない旧契約者(=法人)の払込保険料をも含
でその損害保険等給付の支払事務を取り扱うも
めて控除しているなど、正しく所得金額の申告が
のの所在地の所轄税務署長に提出しなければな
行われていないケースがありました。こうした問
らないこととされています(所法225①五、旧
題に対応するため、次の改正が行われました。
所規87①)
。
① その支払を受ける者の氏名又は名称、住所
⑴ 生命保険等の支払調書の記載事項の追加
若しくは居所又は本店若しくは主たる事務所
「生命保険金等の一時金の支払調書」につい
の所在地及び個人番号又は法人番号
て、契約の締結後にその契約に係る契約者の変
② その年中に支払の確定した損害保険等給付
の金額
更(その契約に係る契約者の死亡に伴い行われ
る変更を除きます。)があった場合には、次に
③ その年中に損害保険等給付の支払の基礎と
掲げる事項を記載することとされました(所規
なる契約に基づき分配又は割戻しをする剰余
86①)。
金又は割戻金でその損害保険等給付とともに
① その契約者の変更(その契約に係る契約者
又はその損害保険等給付の支払の後に分配又
の変更を 2 回以上行った場合には、最後の契
は割戻しをするものの金額
約者の変更)前の契約者の氏名又は名称及び
④ 契約に係る保険料又は掛金の総額等
住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事
⑤ 損害保険等給付につき源泉徴収をされる所
務所の所在地
─ 211 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
② その契約に係る現契約者が払い込んだ保険
項及び第 3 条第 2 項(脱退一時金)に
料又は掛金の額
規定する脱退一時金
③ その契約に係る契約者の変更の回数
ヘ 所得税法施行令第20条第 2 項(非課
(注 1 )
次に掲げる契約について契約者の変更が
税とされる業務上の傷害に基づく給付
あった場合には、上記①から③までの事項
等)に規定する共済制度に係る同項の
を記載する必要はありません。
脱退一時金
イ 団体保険(普通保険約款において、団
ト 租税特別措置法第29条の 4 (勤労者
体の代表者を保険契約者とし、その団体
が受ける財産形成給付金等に係る課税
に所属する者を被保険者とすることとな
の特例)に規定する財産形成給付金又
っ て い る 保 険 を い い ま す。 以 下 同 じ で
は第一種財産形成基金給付金若しくは
す。)に係る契約
第二種財産形成基金給付金
ロ 生命保険に類する給付等に係る保険契
(注 2 )
「生命保険契約等の年金の支払調書」は、
この改正の対象とはなりません。
約で次に掲げるもの
イ 所得税法施行令第76条第 1 項各号又
は第 2 項各号(退職金共済制度等に基
⑵ 損害保険等給付の支払調書の記載事項の追加
づく一時金で退職手当等とみなさない
損害保険等給付の支払調書についても、⑴と
もの)に掲げる給付
同様に、契約の締結後にその契約に係る契約者
ロ 旧厚生年金保険法第 9 章(厚生年金
の変更(その契約に係る契約者の死亡に伴い行
基金及び企業年金連合会)の規定に基
われる変更を除きます。)があった場合には、
づく一時金、確定給付企業年金法第 3
次に掲げる事項を記載することとされました
条第 1 項(確定給付企業年金の実施)
(所規87①)。
に規定する確定給付企業年金に係る規
① その契約者の変更(その契約に係る契約者
約に基づいて支給を受ける一時金、法
の変更を 2 回以上行った場合には、最後の契
人税法附則第20条第 3 項(退職年金等
約者の変更)前の契約者の氏名又は名称及び
積立金に対する法人税の特例)に規定
住所若しくは居所又は本店若しくは主たる事
する適格退職年金契約に基づいて支給
務所の所在地
を受ける一時金又は所得税法施行令第
72条第 3 項第 5 号イからハまで(退職
手当等とみなす一時金)に掲げる規定
② その契約に係る現契約者が払い込んだ保険
料又は掛金の額
③ その契約に係る契約者の変更の回数
(注 1 )
次に掲げる契約について契約者の変更
に基づいて支給を受ける一時金
ハ 中小企業退職金共済法第16条第 1 項
(解約手当金)に規定する解約手当金又
があった場合には、上記①から③までの
事項を記載する必要はありません。
は所得税法施行令第74条第 5 項(特定
イ 団体保険に係る契約
退職金共済団体の承認)に規定する特
ロ マンションの管理組合又は管理者等
定退職金共済団体が行うこれに類する
を契約者とし、その共用部分又は団地
給付
共用部分を保険の目的とする損害保険
ニ 小規模企業共済法第12条第 1 項(解
契約
(注 2 )
「損害保険契約等の年金の支払調書」は、
約手当金)に規定する解約手当金
ホ 確定拠出年金法附則第 2 条の 2 第 2
─ 212 ─
この改正の対象とはなりません。
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
の確定する生命保険金等で同日以後に契約者の変
3 適用関係
更が行われたものについて適用されます(改正所
上記 2 の改正は、平成30年 1 月 1 日以後に支払
規附則17、18)。
九 所得税法及び租税特別措置法等の規定による本人確認方法の
改正
申告書を提出した場合を除きます。
)には、
1 改正前の制度の概要
遅滞なく、その申請書の提出をした金融機関
⑴ 障害者等の少額貯蓄非課税制度
の営業所等の長に、変更等をした事項その他
① 障害者等の少額貯蓄非課税制度の適用を受
の一定の事項を記載した届出書を、本人確認
けようとする者が、金融機関の営業所等の長
書類の写しを添付して提出しなければならな
に、非課税貯蓄申込書、非課税貯蓄申告書又
いこととされています(旧所規 7 ⑥、措規 2
は非課税貯蓄限度額変更申告書の提出をする
の5)
。その届出書の提出を受けた金融機関
場合には、障害者等の身体障害者手帳その他
の営業所等の長は、その届出書を受理した日
一定の書類(以下「障害者等確認書類」とい
の属する年の翌年から 5 年間、その届出書及
います。)及び本人確認書類の提示をして氏
び本人確認書類の写しを保存しなければなら
名、生年月日、住所及び個人番号並びに障害
ないこととされています(旧所規13①)。
者等に該当する旨を告知しなければならない
④ 非課税貯蓄申告書を提出した個人が、その
こととされています(旧所法10②⑤、旧所令
提出後、その氏名、住所又は個人番号の変更
41の 2 ①、措法 4 ②)
。
をした場合には、その非課税貯蓄申告書の提
② 非課税貯蓄申込書の提出の際に本人確認書
出をした金融機関の営業所等の長に非課税貯
類の提示を省略するために、金融機関の営業
蓄に関する異動申告書を提出することとされ
所等の長に、告知すべき事項を記載した帳簿
ています。この非課税貯蓄に関する異動申告
への記載申請書の提出をする場合は、障害者
書の提出に当たっては、本人確認書類を提示
等確認書類及び本人確認書類の写しの提出が
しなければならないこととされています(旧
必要とされています(旧所令41の 2 ②)
。そ
所令43①)。
の申請書を受理した金融機関の営業所等の長
⑤ 非課税貯蓄相続申込書を提出する者は、そ
は帳簿を作成し、提出を受けた障害者等確認
の提出の際、金融機関の営業所等の長に本人
書類及び本人確認書類の写しの名称を記載す
確認書類の提示をしなければならないことと
るとともに、帳簿の閉鎖の日又はその申請書
されています(旧所令47②)。
を受理した日の属する年の翌年から 5 年間、
⑥ 上記①から⑤までの本人確認書類は次の書
当該申請書及び障害者等確認書類及び本人確
類とされていました(旧所規 7 ②)。
認書類の写しを保存しなければならないこと
イ 個人番号カードで告知又は提示をする日
とされています(旧所令48⑤、措令 2 の 4 ③、
(以下「告知等の日」といいます。)におい
て有効なもの
旧所規 7 ⑤、13①、措規 2 の 5 )
。
③ 上記②の申請書の提出をした者が、その提
ロ 通知カード及び住所等確認書類
出後、その氏名、住所又は個人番号の変更を
ハ 住民票の写し又は住民票の記載事項証明
した場合(下記④の非課税貯蓄に関する異動
書で個人番号の記載のあるもの(告知等の
─ 213 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
日前 6 月以内に作成されたものに限りま
令339①⑨、旧所規81の12①)。この告知をす
す。)及び住所等確認書類で住民票の写し
る場合又は告知書を提出する場合には、本人
等(下記⑦イの書類)以外のもの
確認書類を提示しなければならないこととさ
⑦ 上記⑥の住所等確認書類は次の書類とされ
れています。
② 譲渡性預金の譲渡等に関する告知書の提出
ていました(旧所規 7 ③)
。
イ 住民票の写し又は住民票の記載事項証明
国内において、譲渡性預金(譲渡禁止の特
書(告知等の日前 6 月以内に作成されたも
約のない預貯金で一定のものをいいます。)
のに限ります。
)
の譲渡又は譲受けをした者は、その者の氏名
ロ 印鑑証明書
又は名称、住所及び個人番号又は法人番号そ
ハ 国民健康保険、健康保険、船員保険、後
の他一定の事項を記載した告知書を、その譲
期高齢者医療若しくは介護保険の被保険者
渡性預金を受け入れている金融機関の営業所
証、健康保険日雇特例被保険者手帳、国家
又は事務所の長に提出しなければならないこ
公務員共済組合若しくは地方公務員共済組
ととされています(所法224の 2 、旧所規81
合の組合員証又は私立学校教職員共済制度
の17①~③)
。この告知書の提出をする場合
の加入者証
には、本人確認書類を提示しなければらない
こととされています。
ニ 国民年金手帳
ホ 運転免許証(告知等の日において有効な
③ 株式等の譲渡の対価等の受領者の告知制度
ものに限ります。
)又は運転経歴証明書
国内において株式等の譲渡の対価、交付金
ヘ 旅券で告知等の日において有効なもの
銭等又は償還金等(以下「株式等の譲渡の対
ト 在留カード又は特別永住者証明書で、告
価等」といいます。)につき支払又は交付を
受ける者は、その株式等の譲渡の対価等の支
知等の日において有効なもの
払又は交付を受けるべき時までに、その都度、
⑵ 所得税法における本人確認に関する制度
その者の氏名又は名称、住所及び個人番号又
は法人番号を、その株式等の譲渡の対価等の
① 利子、配当等の受領者の告知制度
国内において利子等又は配当等(無記名公
支払者又は交付者に告知しなければならない
社債等に係るものを除きます。
)につき支払
こととされています。この告知をする場合に
を受ける者は、その利子等又は配当等につき
は、本人確認書類を提示しなければならない
その支払の確定する日までに、その確定の都
こととされています(旧所法224の 3 ①③④、
度、その者の氏名又は名称、住所及び個人番
旧所令342①、343①②、344①、345③⑥、346
号又は法人番号を、支払事務取扱者に告知し
③⑥、旧所規81の22①、81の27、81の31)。
なければならないこととされています(旧所
④ 信託受益権の譲渡の対価の受領者の告知制
法224①、旧所令336①、337①②、338①、旧
度
所規81の 8 ①)。また、国内において無記名
国内において信託受益権の譲渡の対価につ
公社債等に係る利子等又は配当等につき支払
き支払を受ける者は、その信託受益権の譲渡
を受ける者は、その無記名公社債等の利子等
の対価の支払を受けるべき時までに、その都
又は配当等についてその者の氏名又は名称、
度、その者の氏名又は名称、住所及び個人番
住所及び個人番号又は法人番号その他一定の
号又は法人番号を、その信託受益権の譲渡の
事項を記載した告知書を、その支払を受ける
対価の支払者に告知しなければならないこと
際、その支払の取扱者に提出しなければなら
とされています。この告知をする場合には、
ないこととされています(旧所法224②、所
本人確認書類を提示しなければならないこと
─ 214 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
とされています(旧所法224の 4 、旧所令348
名称、住所及び個人番号又は法人番号その
①、349①②、350①、旧所規81の35①)
。
他の事項を記載した帳簿(その者から本人
⑤ 先物取引の差金等決済をする者の告知制度
確認書類の写しを添付した告知すべき事項
先物取引の差金等決済をする者は、その差
を記載した帳簿への記載申請書の提出を受
金等決済をする日までに、その差金等決済の
けて作成されたものに限ります。
)を備え
都度、その者の氏名又は名称、住所及び個人
ているときは、その者はその告知を受ける
番号又は法人番号を、商品先物取引業者等に
者に対しては、本人確認書類の提示を要し
告知しなければならないこととされています。
ないこととされています(旧所令337③、
この告知をする場合には、本人確認書類を提
339⑨、343③、349③、350の 4 ③、350の
示しなければならないこととされています
9 ③、旧所規81の 7 ②、81の11②、81の21
(所法224の 5 ①、所令350の 3 ①、350の 4 ①
①、81の34①、81の36③、81の39① )。 ま
た、その申請書を受理した告知を受ける者
②、350の 5 ①、旧所規81の36⑧)
。
⑥ 金地金等の譲渡の対価の受領者の告知制度
は帳簿を作成し、提出を受けた本人確認書
国内において金地金等の譲渡の対価につき
類の写しの名称を記載するとともに、受理
支払を受ける者は、その金地金等の譲渡の対
した日の属する年の翌年から 3 年間、その
価の支払を受けるべき時までに、その都度、
申請書及び本人確認書類の写しを保存しな
その者の氏名又は名称、住所及び個人番号又
ければならないこととされています(旧所
は法人番号を、その金地金等の譲渡の対価の
令337③、339⑨、343③、349③、350の 4
支払者に告知しなければならないこととされ
③、350の 9 ③、 旧 所 規81の 7 ② ⑤、81の
ています。この告知をする場合には、本人確
11②⑥、81の21①⑤、81の34①④、81の36
認書類を提示しなければならないこととされ
③⑦、81の39①④)。下記ロの届出書の提
ています(旧所法224の 6 、旧所令350の 8 ①、
出を受けた場合も同様です(旧所規81の 7
350の 9 ①②、350の10①、旧所規81の40①)
。
④⑤、81の11④⑥、81の21④⑤、81の34③
(注) 上記①又は③から⑥までの告知を受けた
④、81の36⑥⑦、81の39③④)。
者は、提示を受けた本人確認書類の名称を
ロ 上記イの申請書の提出をした者は、その
帳簿に記載し、告知を受けた事項が本人確
提出後、その氏名若しくは名称、住所若し
認書類に記載された事項と同じであること
くは個人番号の変更をした場合又は行政手
を確認した旨を明らかにしておく必要があ
続における特定の個人を識別するための番
り ま す( 旧 所 規81の 8 ①、81の12①、81の
号の利用等に関する法律の規定により個人
22①、81の35①、81の36⑧、81の40①)。ま
番号若しくは法人番号が初めて通知された
た、上記②の告知書の提出を受けた者は、
場合には、遅滞なく、その申請書の提出を
その告知書に記載された事項が本人確認書
した者に、変更等をした事項その他の一定
類に記載された事項と同じであることを確
の事項を記載した届出書を、本人確認書類
認した旨をその告知書に記載しておく必要
の写しを添付して提出しなければならない
があります(旧所規81の17③)。
こととされています(旧所規81の 7 ③、81
⑦ 告知すべき事項を記載した帳簿への記載申
の11③、81の21②、81の34②、81の36④、
81の39②)。
請書の提出等
イ 上記①又は③から⑥までの告知をする者
⑧ 本人確認書類の範囲
が、告知をする場合において、その告知を
上記①から⑦までの個人についての本人確
受ける者が、その告知をする者の氏名又は
認書類は次に掲げる者の区分に応じ次の書類
─ 215 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
⑶ 租税特別措置法における本人確認に関する制
とされていました(旧措規81の 6 ①)
。
イ 国内に住所を有する個人……次に掲げる
度
① 特定口座開設届出書等を提出する者の告知
いずれかの書類
イ 個人番号カードで提示する日において
イ 特定口座開設届出書の提出をしようとす
る居住者等は、その提出をする際、金融商
有効なもの
ロ 通知カード及び住所等確認書類
品取引業者等の営業所の長に、氏名、生年
ハ 住民票の写し又は住民票の記載事項証
月日、住所及び個人番号を告知しなければ
明書で個人番号の記載のあるもの(提示
ならないこととされています。この場合に、
する日前 6 月以内に作成されたものに限
その居住者等は、その金融商品取引業者等
ります。
)及び住所等確認書類で下記⑨
の営業所の長に本人確認書類を提示しなけ
イの書類以外のもの
ればならないこととされています(旧措法
37の11の 3 ④、 旧 措 令25の10の 3 )。 特 定
ロ 国内に住所を有しない個人
口座開設届出書の提出を受けた金融商品取
イ 住所等確認書類(住民票の写し等(下
引業者等の営業所の長は、提示を受けた本
記⑨イの書類)を除きます。
)
人確認書類の名称を帳簿に記載し、告知を
ロ 官公署から発行され、又は発給された
受けた事項が本人確認書類に記載された事
書類その他これらに類するもの
項と同じであることを確認した旨を明らか
⑨ 住所等確認書類の範囲
にしておかなければなりません(旧措令25
上記⑧の住所等確認書類は次の書類とされ
の10の 3 ④、旧措規18の12④)。
ていました(旧措規81の 6 ②)
。
イ 住民票の写し又は住民票の記載事項証明
ロ 特定口座開設届出書の提出をした者は、
書(提示する日前 6 月以内に作成されたも
その提出後、その氏名、住所若しくは個人
のに限ります。
)
番号の変更をした場合又は番号利用法の規
ロ 戸籍の附票の写し又は印鑑証明書
定により個人番号が初めて通知された場合
ハ 上記⑴⑦ハに掲げる書類
には、遅滞なく、その特定口座開設届出書
ニ 国民年金手帳、児童扶養手当証書、特別
の提出をした者に、特定口座異動届出書を
児童扶養手当証書、母子健康手帳、身体障
提出しなければなりません。その提出の際
害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉
は、本人確認書類を提示しなければならな
手帳又は戦傷病者手帳
いこととされています(旧措令25の10の 4
①)
。
ホ 運転免許証(提示する日において有効な
② 非課税口座開設届出書等を提出する者の告
ものに限ります。
)又は運転経歴証明書
ヘ 旅券で提示する日において有効なもの
知
ト 在留カード又は特別永住者証明書で、提
イ 非課税口座内の少額上場株式等に係る配
当所得及び譲渡所得等の非課税の適用を受
示する日において有効なもの
チ 国税若しくは地方税の領収証書、納税証
けるため、非課税適用確認書の交付申請書
明書又は社会保険料の領収証書(領収日付
又は非課税口座開設届出書の提出をしよう
の押印又は発行年月日の記載のあるもので、
とする居住者等は、その提出をする際、金
その日が提示する日前 6 月以内のものに限
融商品取引業者等の営業所の長に、氏名、
ります。
)
生年月日、住所及び個人番号を告知しなけ
ればならないこととされています。この場
合に、その居住者等は、その金融商品取引
─ 216 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
業者等の営業所の長に本人確認書類を提示
の営業所の長に対し提出しなければならない
しなければならないこととされています
こととされています。この場合において、そ
(旧措法37の14⑦⑪、旧措令25の13⑭~⑯)
。
の告知書の提出をする者は、本人確認書類を
本人確認書類の提示を受けた金融商品取引
提示しなければならないこととされています
業者等の営業所の長は、提示を受けた本人
(旧国外送金等調書法 3 ①、 4 の 2 ①、旧国
確認書類の名称を帳簿に記載し、告知を受
外送金等調書令 5 ②、 6 ①、 9 の 3 ①、 9 の
けた事項が本人確認書類に記載された事項
4 ①③、国外送金等調書規則 6 ②、11の 3 )。
と同じであることを確認した旨を明らかに
この告知書の提出を受けた金融機関の営業所
しておかなければなりません(旧措令25の
等又は金融商品取引業者等の営業所の長は、
13⑱、旧措規18の15の 3 ⑪)
。なお、非課
提示を受けた本人確認書類の名称を帳簿に記
税口座開設届出書の提出を受けた場合は、
載しておかなければなりません(旧国外送金
非課税適用確認書に記載された事項につい
等調書令 6 ③、 9 の 4 ③)。
ても確認し、帳簿に記載する必要がありま
また、その告知書の提出をする場合におい
す。
て、告知書の提出を受ける者がその告知書の
ロ 非課税口座を開設している居住者等が、
提出をする者の氏名又は名称、住所及び個人
その氏名、住所又は個人番号の変更をした
番号又は法人番号を記載した帳簿書類(告知
場合には、遅滞なく、その非課税口座が開
書の提出をする者から提出を受けた本人確認
設されている金融商品取引業者等の営業所
書類の写しの添付があるものに限ります。)
の長に、非課税口座異動届出書を提出しな
を備えているときは、その者はその告知を受
ければなりません。その提出の際は、本人
ける者に対しては、本人確認書類の提示を要
確認書類を提示しなければならないことと
しないこととされています(旧国外送金等調
されています(旧措令25の13の 2 ①)
。
書令 5 ③、 6 ②、 9 の 3 ②、 9 の 4 ②)。
② 預金等の口座等に係る氏名等の確認
③ 本人確認書類の範囲
上記①及び②の告知の際の本人確認書類の
上記①の国外送金等をする者又は国外証券
範囲は、上記⑵⑧の本人確認書類及び⑨の住
移管等をする者が、本人口座又は本人証券口
所等確認書類の範囲とほぼ同様です。ただし、
座(上記①の国外送金等に係る金融機関の営
住所等確認書類のうち戸籍の附票の写し及び
業所等又は国外証券移管等に係る金融商品取
上記⑵⑨チの領収証書は住所等確認書類の範
引業者等の営業所の長が、上記①の国外送金
囲から除かれています(旧措規18の12②③)
。
等をする者又は国外証券移管等をする者から
本人確認書類の提示を受けて氏名又は名称、
⑷ 内国税の適正な課税の確保を図るための国外
住所及び個人番号又は法人番号を確認してい
送金等に係る調書の提出等に関する法律におけ
る口座又は勘定に限ります。)において国外
る本人確認に関する制度
送金等や国外証券移管等をする場合は、上記
① 国外送金等をする者又は国外証券移管等を
①の告知書の提出は必要ありません(国外送
する者の告知書の提出
金等調書法 2 六・十三、 3 ①②、 4 の 2 ①②、
国外送金等をする者又は国外証券移管等を
旧国外送金等調書令 3 、 3 の 3 )。
する者は、その国外送金等又は国外証券移管
等をする際、一定の事項を記載した告知書を
⑸ 社会保障・税番号制度の導入に伴う本人確認
その国外送金等に係る金融機関の営業所等又
に関する制度
は国外証券移管等に係る金融商品取引業者等
社会保障・税番号制度の導入に伴い、上記⑴
─ 217 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
から⑷までにより支払調書等の対象となる金銭
て、公的個人認証を利用する方法によることがで
等の支払等のうち、番号利用開始日(平成28年
きることとされました。
1 月 1 日)前の契約の締結等の際に既に告知及
この方法は、具体的には次の①から③までの電
び本人確認しているため当該契約の締結等の日
磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の
以後の金銭等の支払等の都度、告知及び本人確
知覚によっては認識することができない方式で作
認することを要しないこととされているものに
られる記録であって、電子計算機による情報処理
係る個人番号の告知及び本人確認については、
の用に供されるものをいいます。以下同じです。)
番号利用開始日から 3 年を経過する日後の最初
又は情報が記録された電磁的記録(以下「署名用
の金銭等の支払等の時までに行うことができる
電子証明書等」といいます。
)を送信することに
こととされています。この個人番号の告知及び
より、本人確認書類の提示等に代えるというもの
本人確認の際には、個人番号カード等の本人確
です(所法224、所規81の 6 ⑥、措法37の11の 3
認書類を提示しなければならないこととされて
④、措規18の12①、国外送金等調書法 3 ①、国外
います(旧番号整備法 8 ③⑤、25②⑤、旧番号
送金等調書規則 4 ⑥、番号整備法 8 ③、平成26年
整備令 8 ⑭⑰、16⑤⑥⑬⑭⑰⑱、36①
7 月改正措規附則24②)。
②、旧平成26年 7 月改正所規附則49②③、51③
① 署名用電子証明書(電子署名等に係る地方
④⑥、52②③、54②③、55、56、57②③、58②
公共団体情報システム機構の認証業務に関す
③、59②③)
。
る法律(平成14年法律第153号)第 3 条第 1
項に規定する署名用電子証明書をいいます。
2 改正の内容
以下同じです。)
行政手続のオンライン化が進み、様々な手続が
② 地方公共団体情報システム機構により電子
インターネットを通じて手軽にできるようになっ
署名(電子署名及び認証業務に関する法律
ていますが、このオンライン手続を誰もが安心し
(平成12年法律第102号)第 2 条第 1 項に規定
て行うことができるようにするために公的個人認
する電子署名をいいます。以下同じです。
)
証の仕組みが導入されているところです。この公
が行われた①の署名用電子証明書に係る者の
的個人認証とは、インターネットを通じて行政手
個人番号及び個人識別事項(行政手続におけ
続を行う際に、他人によるなりすましやデータの
る特定の個人を識別するための番号の利用等
改ざんがされていないことを確認するための本人
に関する法律施行規則(平成26年内閣府・総
確認の手段であり、電子証明書と呼ばれるデータ
務省令第 3 号)第 1 条第 1 項第 2 号に規定す
を住民基本台帳カードに記録し、これを用いて申
る個人識別事項をいいます。)に係る情報で、
請書等の情報に電子署名を付すことにより、本人
同令第 4 条第 1 号の規定により総務大臣が定
が送付した情報であるということを示すというも
めるもの
のです。公的個人認証の利用範囲はe-Taxなど主
③ 上記①の署名用電子証明書により確認され
に行政手続に限られていましたが、個人番号制度
る電子署名が行われた情報で、当該署名用電
の導入に伴い、電子署名に係る地方公共団体の認
子証明書に係る者の氏名、住所及び個人番号
証業務に関する法律(改正後:電子署名等に係る
に係るもの
地方公共団体情報システム機構の認証業務に関す
(注 1 )
署名用電子証明書は、申請者が、その申
る法律)等が改正され、平成28年 1 月 1 日から総
請者が記録されている住民基本台帳を備え
務大臣の認定を受けた民間事業者との手続にも利
る市町村の市町村長への申請をすることに
用できるようになります。そこで税制上の本人確
より、個人番号カードに記録されます(電
認手続においても、本人確認書類の提示等に代え
子署名等に係る地方公共団体情報システム
─ 218 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
機構の認証業務に関する法律 3 )。よって、
しなければなりません(所令48⑤、所規 7 ⑤、
署名用電子証明書等を送信する方法による
13①)
。また、上記 1 ⑴③の住所等の変更届
本人確認は、法人の本人確認には用いるこ
出書の提出を受けた金融機関の営業所等の長
とはできません。
は、その届出書を受理した日の属する年の翌
(注 2 )
署名用電子証明書等の内容を確認するこ
とができる民間事業者は、総務大臣の認定
年から 5 年間、送信を受けた署名用電子証明
書等を保存しなければなりません(所規13①)。
を受けた署名検証者(電子署名等に係る地
② 所得税法における本人確認に関する制度
方公共団体情報システム機構の認証業務に
イ 利子、配当等の受領者の告知制度等
関する法律第17第 4 項に規定する署名検証
上記 1 ⑵①から⑥までの利子、配当等の
者をいいます。)に限られています。そのた
受領者等の本人確認書類の提示に代えて、
め、その認定を受けていない者が署名用電
署名用電子証明書等の送信ができることと
子証明書等の送信を受けたとしても告知さ
さ れ ま し た( 所 法224① ②、224の 3 ①、
れた氏名等の確認を行ったことにはなりま
224の 4 、224の 5 ①、224の 6 、所令337①、
せん。
338①、343①、344①、345⑥、346⑥、349
(注 3 )
上記 1 ⑶の租税特別措置法における本人
①、350①、350の 4 ①、350の 5 ①、350の
確認に関する制度において署名用電子証明
9 ①、350の10①、 所 規81の 8 ①、81の12
書等を送信する方法を利用する場合は、上
①、81の17②③、81の22①、81の27、81の
記③の情報に加え、上記①の署名用電子証
31、81の35①、81の36⑧、81の40①)。
明書により確認される電子署名が行われた
また、署名用電子証明書等の送信を受け
情報で、当該署名用電子証明書に係る者の
た者は、その旨を帳簿に記載し、告知を受
生年月日に係るものが必要となります。
けた事項が署名用電子証明書等に記録され
た事項と同じであることを確認した旨を明
⑴ 署名用電子証明書等を送信する方法による本
らかにしておく必要があります(所規81の
人確認の導入
8 ①、81の12①、81の22①、81の27、81の
この署名用電子証明書等を送信することによ
31、81の35①、81の36⑧、81の40① )。 な
る本人確認を行うことができるようになったの
お、譲渡性預金の譲渡等に関する告知書の
は、次の制度です。
提出を受ける際に、署名用電子証明書等の
① 障害者等の少額貯蓄非課税制度
送信を受けた者は、告知書に記載された事
上記 1 ⑴①から⑤までの非課税貯蓄申込書
項が署名用電子証明書等に記録された事項
の提出等の際の本人確認書類の提示又はその
と同じであることを確認した旨をその告知
写しの提出に代えて、署名用電子証明書等の
書に記載しておく必要があります(所規81
送信ができることとされました(所法10②⑤、
の17③)。
所令41の 2 ②③、43①、47②、所規 7 ⑥)
。
ロ 告知すべき事項を記載した帳簿への記載
上記 1 ⑴②の告知すべき事項を記載した帳
申請書の提出等
簿への記載申請書の提出を受ける際に署名用
イ 上記 1 ⑵⑦イの告知すべき事項を記載
電子証明書等の送信を受けた金融機関の営業
した帳簿への記載申請書の提出の際に、
所等の長は、上記 1 ⑴②の帳簿にその旨を記
本人確認書類の写しの添付に代えて、署
載するとともに、帳簿の閉鎖の日又はその申
名用電子証明書等の送信ができることと
請書を受理した日の属する年の翌年から 5 年
されました(所令337③、343③、345⑥、
間、送信を受けた署名用電子証明書等を保存
346⑥、349③、350の 4 ③、350の 9 ③、
─ 219 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
所規81の 7 ②、81の11②、81の21①、81
ロ 上記 1 ⑶①ロの特定口座異動届出書の
の27、81の31、81の34①、81の36③、81
提出の際に、本人確認書類の提示に代え
の39①)
。この記載申請書の提出を受け
て、署名用電子証明書等の送信ができる
る際に署名用電子証明書等の送信を受け
こととされました(措令25の10の 4 ①)。
た者は、上記 1 ⑵⑦イの帳簿にその旨を
ロ 非課税口座開設届出書等を提出する者の
記載するとともに、その申請書を受理し
告知
た日の属する年の翌年から 3 年間、その
イ 上記 1 ⑶②イの非課税適用確認書の交
送信を受けた署名用電子証明書等を保存
付申請者又は非課税口座開設届出書の提
しなければなりません(所規81の 7 ②⑤、
出の際に、本人確認書類の提示に代えて、
81の11②⑥、81の21①⑤、81の26、81の
署名用電子証明書等の送信ができること
30、81の34①④、81の36③⑦、81の39①
とされました(措法37の14⑦⑪、措令25
④)。
の13⑭⑯)
。これらの書類の提出を受け
ロ 上記 1 ⑵⑦ロの住所等の変更届出書の
る際に署名用電子証明書等の送信を受け
提出の際に、本人確認書類の提示に代え
た金融商品取引業者等の営業所の長は、
て、署名用電子証明書等の送信ができる
その旨を帳簿に記載し、告知を受けた事
こととされました(所規81の 7 ③、81の
項が署名用電子証明書等に記録された事
11③、81の21②、81の26、81の30、81の
項と同じであることを確認した旨を明ら
34②、81の36④、81の39②)
。署名用電
かにしておく必要があります(措規18の
子証明書等の送信を受けた者が行う帳簿
15の 3 ⑫)。また、非課税口座開設届出
への記載や署名用電子証明書等の保存に
書の提出を受けた場合は、非課税適用確
ついては上記イと同様です(所規81の 7
認書に記載された事項についても確認し、
④⑤、81の11④⑥、81の21④⑤、81の26、
帳簿に記載する必要があります。
81の30、81の34③④、81の36③⑦、81の
ロ 上記 1 ⑶②ロの非課税口座異動届出書
の提出の際に、本人確認書類の提示に代
39③④)
。
③ 租税特別措置法における本人確認に関する
えて、署名用電子証明書等の送信ができ
ることとされました(措令25の13の 2 ①)。
制度
イ 特定口座開設届出書等を提出する者の告
(注) 未成年者口座開設届出書等を提出する者
知
の告知
イ 上記 1 ⑶①イの特定口座開設届出書の
平成27年度税制改正において創設された
提出の際に、本人確認書類の提示に代え
未成年者口座内の少額上場株式等に係る配
て、署名用電子証明書等の送信ができる
当所得及び譲渡所得等の非課税においても、
こととされました(措法37の11の 3 ④、
署名用電子証明書等による本人確認ができ
措令25の10の 3 ①③)
。特定口座開設届
ることとされています。詳細については、
出書の提出を受ける際に署名用電子証明
前述の「一 未成年者口座内の少額上場株
書等の送信を受けた金融商品取引業者等
式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課
の営業所の長は、その旨を帳簿に記載し、
税の創設」を参照してください。
告知を受けた事項が署名用電子証明書等
④ 内国税の適正な課税の確保を図るための国
に記録された事項と同じであることを確
外送金等に係る調書の提出等に関する法律に
認した旨を明らかにしておく必要があり
おける本人確認に関する制度
ます(措規18の12⑤)
。
イ 国外送金等をする者又は国外証券移管等
─ 220 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
をする者の告知書の提出
効期限のあるものにあっては、提示する日にお
上記 1 ⑷①の国外送金等又は国外証券移
いて有効なもの)に限ります。)が追加されま
管等をする場合の告知書の提出の際に、本
した(所規 7 ③、81の 6 ②、措規18の12④)。
人確認書類の提示に代えて、署名用電子証
この改正により、具体的には、①被爆者健康
明書等の送信ができることとされました
手帳、②小型船舶操縦免許証、③宅地建物取引
(国外送金等調書法 3 ①、 4 の 2 ①、国外
主任者証、④後期高齢者医療限度額適用・標準
送金等調書令 5 ②、 6 ①③、 9 の 3 ①、 9
負担額減額認定証、⑤健康保険任意継続被保険
の 4 ①③)。なお、告知書の提出を受ける
者証等が住所等確認書類に追加されることとな
際に署名用電子証明書等の送信を受けた金
ります。なお、①被爆者健康手帳については有
融機関の営業所等又は金融商品取引業者等
効期間がないため、提示する日前 6 月以内に作
の営業所の長は、その旨を帳簿に記載して
成されたものが、それ以外の書類は提示する日
おく必要があります(国外送金等調書令 6
において有効なものが住所等確認書類となりま
③、 9 の 4 ③)
。また、本人確認書類の写
す。
しの添付に代えて、作成の際に送信を受け
た署名用電子証明書等を併せて保存してい
3 適用関係
る上記 1 ⑷①の帳簿書類については、上記
⑴ 上記 2 ⑴①の改正は、平成28年 1 月 1 日以後
1 ⑷①の本人確認書類の写しの添付がある
に提出する非課税貯蓄申込書、非課税貯蓄申告
帳簿書類と同様の取扱いとすることとされ
書、非課税貯蓄限度額変更申告書、非課税貯蓄
ました(国外送金等調書令 5 ③、 6 ②、 9
に関する異動申告書又は非課税貯蓄相続申込書
の 3 ②、 9 の 4 ②)
。
について適用し、同日前に提出した非課税貯蓄
ロ 預金等の口座等に係る氏名等の確認
申込書、非課税貯蓄申告書、非課税貯蓄限度額
上記 1 ⑷②の本人口座又は本人証券口座
変更申告書、非課税貯蓄に関する異動申告書又
に係る本人確認書類の提示に代えて、署名
は非課税貯蓄相続申込書については従前どおり
用電子証明書等の送信ができることとされ
とされています(改正法附則 3 、改正所令附則
ました(国外送金等調書令 3 、 3 の 3 )
。
3 、 4 )。
⑤ 社会保障・税番号制度の導入に伴う本人確
⑵ 上記 2 ⑴②イの改正は、平成28年 1 月 1 日以
認に関する制度
後に支払の確定する利子等又は同日以後に行わ
上記 1 ⑸の本人確認書類の提示に代えて、
れる株式等の譲渡等について適用し、同日前に
署名用電子証明書等の送信ができることとさ
支払の確定した利子等又は同日以後に行われた
れました(番号整備法 8 ③⑤、25②⑤、番号
株式等の譲渡等については従前どおりとされて
整備令 8 ⑭、16⑤⑥⑬⑭⑰⑱、36①
います(改正法附則15①②、16~19)。
②、平成26年 7 月改正所規附則49②③、51③
⑶ 上記 2 ⑴②ロイの改正は、平成28年 1 月 1 日
④⑥、52②③、54②③、57②③、58②③、59
以後に受理する告知すべき事項を記載した帳簿
②③)
。
への記載申請書について適用し、同日前に受理
した告知すべき事項を記載した帳簿への記載申
⑵ 住所等確認書類の範囲の拡充
請書については従前どおりとされています(改
上記 1 ⑴⑦、⑵⑨及び⑶③の住所等確認書類
正所規附則11①、12①、13①、14①、15①、16
の範囲に、官公署から発行され、又は発給され
①)
。
た書類その他これらに類するもの(告知等の日
⑷ 上記 2 ⑴②ロロの改正は、平成28年 1 月 1 日
前 6 月以内に作成されたもの(有効期間又は有
以後に提出する上記 1 ⑵⑦ロの変更届出書につ
─ 221 ─
――租税特別措置法等(金融・証券税制関係)の改正――
いて適用し、同日前に提出した上記 1 ⑵⑦ロの
口座異動届出書については従前どおりとされて
変更届出書については従前どおりとされていま
います(改正措令附則19、23①)。
す(改正所規附則11②、12②、13②、14②、15
⑺ 上記 2 ⑴④イの改正は、平成28年 1 月 1 日以
後に告知書を提出する場合について適用し、同
②、16②)
。
⑸ 上記 2 ⑴③イイ及び 2 ⑴③ロイの改正は、平
日前に告知書を提出した場合については従前ど
おりとされています(改正法附則101①)。
成28年 1 月 1 日以後に特定口座開設届出書、非
課税適用確認書の交付申請書又は非課税口座開
⑻ 上記 2 ⑴④ロの改正は、平成28年 1 月 1 日以
設届出書の提出をする場合について適用し、同
後に行う確認について適用し、同日前に行った
日前に特定口座開設届出書、非課税適用確認書
確認については従前どおりとされています(改
の交付申請書又は非課税口座開設届出書の提出
正国外送金調書令附則 2 、 3 )。
をした場合については従前どおりとされていま
⑼ 上記 2 ⑴⑤の改正は、平成28年 1 月 1 日から
施行されます(番号整備法附則三、番号整備令
す(改正法附則68、69②)
。
⑹ 上記 2 ⑴③イロ及び 2 ⑴③ロロの改正は、平
附則、平成26年 7 月改正所規附則 1 )。
成28年 1 月 1 日以後に提出する特定口座異動届
⑽ 上記 2 ⑵の改正は、平成28年 1 月 1 日から施
出書又は同日以後に提出をする非課税口座異動
行されます(改正所規附則 1 六、改正措規附則
届出書について適用し、同日前に提出した特定
1 六)
。
口座異動届出書又は同日前に提出をした非課税
─ 222 ─
Fly UP