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イグニッションオフ・ エンジン停止・表示リセット ― 裏で支える

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イグニッションオフ・ エンジン停止・表示リセット ― 裏で支える
DEVELOPMENT
SOLUTIONS
Robert Bosch GmbH
シュテファン・
ヴィッケルト
ETAS
ヴェルナー・
ザントマン
イグニッションオフ・
エンジン停止・表示リセット
― 裏で支える先進技術
ラピッドプロトタイピングのギャップを解消する
新ボードES1135
ASCETを使用する開発担当者は、ETASのシミュレーション/システム制御ボードES1135に搭載された不揮発性
RAM(NVRAM)に、次回の作業で再利用するデータを保存しておくことができます。また新製品のINTECRIOで
は、MATLAB®/Simulink®のユーザーも同様のテクノロジを利用できます。
タイヤ交換してからどのくらいの距離を
走ったかは、車のオドメータを見ればす
ぐに確認できることです。オドメータの
表示はイグニッションをオフにしてもゼ
ロに戻ることはありませんが、一見当た
り前のこの機能は、開発者にとってそれ
ほどたやすくは実現できません。なぜな
ら「イグニッションオフ、エンジン停止、
表示リセット」という一連の動作は、オ
ドメータその他の機能が独自に実現して
いる動作ではないためです。走行距離の
データ処理を例にとれば、現在の走行キ
ロ数を次回の運転時に再使用するために
は、イグニッションオフ後のECUの処理
で、この数値をECUの不揮発性RAMにコ
ピーする必要があります。
車載ECUのEEPROM(電気的に内容を
書換え可能な読出し専用メモリ)に書き
込まれるデータには、車両データ(走行
距離など)と診断データ(故障メモリの
内容など)に加え、より複雑な制御アル
ゴリズムに基づく最新の適応データがあ
り、この適応データに関しては繰り返し
利用できるように同一メモリに保存する
必要があります。
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RT J1.2005
イグニッションオフ後の車載ECUの処
理を開発段階でシミュレートする場合、
従来はプラットフォームソフトウェアが
実際のECU上で実行されていなければな
りませんでした。また特定の変数をある
適応データ(現在のオドメータの値など)
にて初期化する場合には、ECUの不揮発
性メモリから読み出したデータを初期化
ルーチンによってラピッドプロトタイピ
ングシステムに転送していました。他方、
累計値または学習値を必要とする機能に
ついては(バイパスモードにて)シミュ
レーションコントローラ上で実行してい
ました。まだECUが存在しない開発初期
のフルパスモードによるプロトタイピン
グでは、今までのところ、イグニッショ
ンオフ後の車載ECUの処理をシミュレー
ションすることは不可能でした。
ETASのシミュレーション/システム制
御ボードES1135は、自らに搭載した不揮
発性RAMにより、このようなラピッドプ
ロトタイピングのギャップを解消します。
ES1135ボードを使用すれば、開発の初期
段階から不揮発性RAMを利用できること
でモデリングの自由度と作業効率を高め
られ、量産ECUに採用するEEPROMの詳
細な仕様をかなり早い段階で知ることも
可能になります。
Robert Bosch GmbHのディーゼルシス
テム部門で排出ガス後処理システムの機
能開発に取り組んでいるグループでは、
ラピッドプロトタイピングの段階で総合
的なテストを行い、ソフトウェアの品質
向上の実現にも高い関心を抱いており、
不揮発性RAMを搭載していることを主な
理由として機能開発にES1135ボードを使
用しています。現在同社が取り組んでい
るDeNOxTronicプロジェクトは、選択触
媒還元(SCR)として知られる方式を採
用しています。窒素酸化物NOxを還元す
る上でこのSCRは極めて効果的とされて
おり、ヘビーデューティ車のディーゼル
エンジンを将来の排気ガス規制に適合さ
せる上で必要となります。
SCR触媒コンバータに蓄えられる尿素
の量は、NOxの還元プロセスにとって重
要な変数です。一旦コンバータ内に吸収
された尿素はエンジンが停止しても揮発
しないため、吸収された尿素量を示す現
在のデータは、次回のECU初期化時に使
用できなければならず、不揮発性RAMに
データを保存しておく必要があります。
前述のグループでは、SCRシステムのラ
ピッドプロトタイピングを行う過程で、
ES1135を使用してこの機能をシミュレー
ションしています。
DEVELOPMENT
SOLUTIONS
ES1135ボードは多彩な特長を備えています。主な機能の概要は以下の通りです。
• ウォッチドッグ機能
安全関連系のアプリケーションのコード開発に利用できます。ウォッチドッ
グ機能の起動/停止やモード設定は、API(C関数)を用いて容易に行なえま
す。
• IBM 750GXプロセッサ(クロック数1 GHz、L2キャッシュ1 MB)
きわめて高速な演算性能を発揮します。一般的なソフトウェアモデルの場合
でL2キャッシュのヒット率は約82%に達するため、シミュレーションコント
ローラのキャッシュのサイズ・アクセス速度も重要です。当ボードは十分な
キャッシュ容量と高速アクセスにより、高スループットを実現します。
メモリの長期寿命を確保するため、
ES1135にはアクセス回数の制限がない不
揮発性RAMが搭載されています。データ
の整合性を確保するため、64KBの
NVRAMを切替えメモリとして使用して
おり、切替えに伴うオーバーヘッドが小
さいため、プログラムがアクセスできる
NVRAM容量としてほぼ32KBを確保でき
ます。ターゲットシステムに関するECU
のイグニッションオフ後の処理とは異な
り、ES1135ボードでは周期的に、あるい
はアプリケーションからのコマンド
(API)
によって、不揮発性変数のデータをRAM
からNVRAMにコピーします。また
ファームウェアには、NVRAM内のデー
タ消去、データの整合性管理、更新動作
の設定などのAPIも用意されています。
• 256 MB RAM
• 自由な動作設定が可能なLED
機能の状態に応じて、対応するアプリケーションからLEDを制御することが
できます。
ES1135
シミュレーション/
システム制御ボード
ES1135のNVRAMの基本的な機能は、
ASCET-RP V5.1以降で利用できるように
なりました。
ASCET-RP V5.3以降では、さらに多く
の機能が用意されています。プログラム
コードとNVRAMの内容の整合性を
チェックするため、生成されるプログラ
ムコードの中ではプログラム識別子に代
わって、特殊なNVRAM識別子が用いら
れています。このようにすることで
NVRAMに保存された内容は、モデルの
変更後であってもその変更がNVRAM自
体に関わるものでない限り、引き続き使
用することが可能です。
NVRAMに記録された適応データの保
存や、必要に応じて行う保存データによ
るNVRAMの上書きを簡単に行えるよう
にするため、ASCET-RP V5.3には不揮発
性変数の値をファイルに書込むためのオ
プションが用意されています。パラメー
タデータセットについての保存/再読込み
機能については、これまでASCETの中に
組み込まれてきましたが、ASCET-RP
V5.3の実験環境では、実験のランタイム
時にNVRAMエディタを呼び出すことが
できます。このウィンドウには入力機能
と表示機能が備えてあり、入力機能を使
用すれば、更新サイクルの設定(デフォ
ルト10秒)など、NVRAMが持っている
特定のAPIにアクセスすることができま
す。また表示機能では、前回の更新から
の経過時間などが表示されます。
ES1135は、高度な演算能力と不揮発性
RAMを必要とする開発プロジェクトに最
適なシミュレーション/システム制御ボー
ドです。
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J2005.1 RT
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