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中国自動車部品工業レポート
日本自動車部品工業会 中国自動車部品工業レポート 第 36 号 2006 年 7 月 5 日 注目の記事 政策 ●「自主ブランド 50%」の必要性に疑問の声 「中国汽車産業十一五発展計画綱要」にある「自主ブランド 50%」の規定(ド ラフト)について、業界内では賛否両論の意見がある。 産業 ● 中国国産セダンの半数がすでに国産鋼板を使用 宝鋼集団有限公司によると現在、すでに 56 社もの国内自動車メーカーが長期 にわたって同社の鋼板を使用しており、宝鋼が生産する乗用車用の鋼板の市場 シェアは 50%を超えた。 部品 ●2005 年中国自動車部品メーカー上位 100 社が発表 最近の傾向として、外資系企業の自動車部品メーカーへの投資は、従来の合 弁・提携方式から全額出資へと移行しつつある、と専門家は指摘。 メーカー ●東風有限、設立から3年──本社機能を十堰から武漢に移転 今回の移転により、さらに多くの優秀な人材の確保、市場主義の経営理念の 強化、企業運営の加速、管理効率の大幅向上などが図れる、と同社の中村克己 総裁は強調。 ●「東風プジョー・シトロエン汽車金融有限公司」が設立へ 新会社は、国有銀行と組んで設立された中国初の外資系オートローン会社と いうことで注目を集めている。 数字で見る中国経済と自動車・部品産業 ●2006 年5月の中国自動車統計 ◎車種別生産・卸売台数(乗用車、トラック、バス) ◎乗用車メーカー上位 10 社(生産・卸売台数) ◎中国の自動車・部品の輸出入(完成車・シャーシの輸出入台数および部品 の輸出入額) 1元=約 14.4 円(7月5日) 注目の記事 政策 ●「自主ブランド 50%」の必要性に疑問の声 「自主ブランド 50%」とは一体どのような規定なのか、概念としては明白で はないが、合弁企業の戦略決定にすでに影響を及ぼし始めていることは事実で ある。先ごろ投入された上海 GM のビュイック・リーガルと神龍汽車の「凱旋」 の中国側の設計比率が、いずれも 50%を超えたことがその好例である。 消息筋によれば、「中国汽車産業十一五発展計画綱要」(以下、「綱要」)は、 2カ月以内に公布される可能性があるという。中国汽車技術研究中心(CATARC) 北京工作部を筆頭に策定された同草案は国家発展・改革委員会に提出され、現 在は業界内で意見募集にかけているとのことである。 「綱要」は、中国自動車産業における「自主ブランド発展」「技術進歩」「構 造調整」の3大問題に触れ、国内自動車メーカーに対し初めて「自主ブランド の比率を 50%以上にしなければならない」と規定。国内メーカー、とりわけ合 弁メーカーの関心を集めている。 ◆曖昧模糊の自主ブランド比率 中国自動車産業の今後5年間の発展を左右する「綱要」は公布を間近に控え ているが、肝心の自主ブランドの位置付けについては、まだ結論が出ていない。 自主ブランドの比率を 50%以上にしなければならないことは、すでに「綱要」 の草案に明記されている。しかし、この 50%が生産台数なのか、中国側が占め る出資比率なのかは一切説明されていない。また、自主ブランド比率の対象に 商用車が含まれるかどうかも不明である。これは重要なポイントであり、乗用 車を主力製品とするメーカーにとってはまさに死活問題。もし共同開発が自主 ブランドに含まれなければ、大部分のメーカーはこれをクリアできないであろ う。合弁企業ならなおさらである。これは、合弁企業はそもそも自主ブランド を持っていないためである。自主ブランドの比率が最終的に「綱要」に規定さ れることになれば、これら企業は存続の危機に立たされるに等しいとみられる。 この不確かな比率の問題は、すでに前出の2社のようにメーカーの経営戦略 に影響し始めている。上海 GM のビュイック・リーガルは、北米のビュイックの シャシーだけを導入し、外観、インテリア、エンジンシステムなどの設計はす べて上海 GM 自身が行っている。神龍汽車と PSA が共同開発した「凱旋」も、合 弁企業の自主開発によるもの。この車種の知的財産権は、合弁双方が保有して いる。上記2社の例では、中国側の設計比率はいずれも 50%を上回っている。 自主ブランド 50%の規定は、合弁企業の戦略策定に影響を及ぼすほか、「綱要」 の検討に参与したメーカーの提案も、 「綱要」の表現に影響していると思われる。 ◆50%か 60%か 「自主ブランド 50%」という曖昧な表現のほか、乗用車の自主ブランド比率 についても「綱要」は明確に記述していない。 「綱要」への数回にわたる修正は、 この自主ブランドの適用範囲に対して異なる記述をしている。 4月公表の「綱要」の草案には「自主ブランドを発展させ、自主ブランドの 国内市場シェアを向上させる。そのうち自主ブランド乗用車の国内市場シェア は、60%以上に向上させなければならない」との記述があった。この 60%に関 する記述が「自動車産業における自主ブランド 50%」の修正版であるかどうか は今のところ不明である。こうした異なる表現について関係筋は「具体的な比 率およびその計算方法は検討中であり、コメントを控えたい」と口を濁してい る。 いずれにせよ「60%の比率は高すぎる」と多くの専門家は見ている。それに、 市場シェアを人為的に設定するのは不可能である。自主ブランド比率は市場シ ェアによって決まり、後者は消費者の認識度による部分が大きい。従って「人 為的に値を規定することは無意味である」との見解を持つ人も少なくない。 また、自主ブランド比率の計算基準も難問である。自動車アナリストの鐘師 氏は「生産台数により計算する場合は、過剰生産分が在庫として積み上げられ ることになる。生産能力で計算する場合は、資本の払い込み状況によって変わ る場合も出てくる。なお、合弁企業における中国側の出資比率に応じた共同開 発は、形式的なものにすぎず、意味がない」と語っている。 ◆比率設定への疑問 自主ブランドは中国自動車産業の将来に影響する重要な問題であり、それが 業界の共通認識となっていることは間違いないが、 「綱要」のような政府の指針 的文献に具体的な目標値を規定することは異様であるとの見解もある。あるメ ーカーのトップは「大手国有企業に対して自主ブランドの目標値を設定するの はいいが、株式会社、合弁企業、民営企業に対しては適切ではない」と語った。 民営企業はもともと自主ブランドを発展させている。外資系メーカーについ ては、そもそも中国進出の目的が中国自主ブランドの発展を支持するためとは 誰も思わないであろう。このため、自主ブランドを過度に強調しすぎると、現 在の自動車産業の利益をかなり損なうことになりかねない。 (2006/6/15 『21 世紀経済報道』) 産業 ●中国国産セダンの半数がすでに国産鋼板を使用 長年、輸入に頼っていた中国の国産自動車の鋼板だが、現在は半数以上が国 内製を使用している。 宝鋼集団有限公司の徐楽江総経理(社長)によると、現在、すでに 56 社もの 国内自動車メーカーが長期にわたって同社の鋼板を使用しており、宝鋼が生産 するセダン用の鋼板の市場シェアは 50%を超えた。 徐氏によると、上海 VW(アウディ含む)、上海 GM、南京汽車、長安フォード、 広州トヨタ、天津一汽トヨタ、北京現代、奇瑞汽車など国内乗用車メーカーは すべて宝鋼が生産する自動車用鋼材を採用。一定以上の規模をもち、年間の生 産台数が5万台を超え、宝鋼の鋼材を長期間に渡って採用しているメーカーは 56 社で、さらに増えつつある。 国産乗用車用鋼板は長年、輸入に頼ってきた。しかし宝鋼は 1994 年から高級 自動車鋼板の研究開発、生産、市場開拓を開始。十数年にわたる努力の結果、 現在、宝鋼の自動車用鋼板の生産水準は世界的メーカーのトップクラスになっ たうえ、認証も得て、世界の各有名自動車メーカーの高級車用への供給ができ るようになったのである。現在、宝鋼が生産する高強度両面亜鉛メッキ鋼板な どの製品はアウディ、ビュイックなどの高級車用に供給されている。宝鋼の 2005 年における自動車用鋼板の国内シェアは 51.6%。さらに宝鋼の自動車用鋼板は 生産開始から現在までの販売量が 1500 万トン近くに達している。 (2006/6/27 『中国鋼鉄工業協会』 ) 部品 ●2005 年中国自動車部品メーカー上位 100 社が発表 6月 23 日、中国汽車工業協会(CAAM)と国家統計局工業交通統計司が共同で 「2005 年中国自動車部品メーカー上位 100 社」を北京で発表した。第1位は万 向集団であった。 CAAM の統計によると、2005 年における一定規模以上の自動車部品メーカー 4447 社の売上高は前年比 4.5%増の 3449 億元で、自動車業界の売上高(1兆 1895 億元)の 29%を占めた。また、利益額は 200 億元で、自動車業界の利益額(526 億元)の 38%を占めた。2005 年の自動車部品輸入額は同 5.7%増の 83.8 億米ド ルで、輸出額は同 51.5%増の 85.3 億米ドルであった。 今回発表された上位 100 社の 2005 年の売上高は、前年同期比 10.7%増の 2175.77 億元(210 億元増加)。自動車部品メーカー(一定規模以上)の売上高 の 63%を占めた。第 1 位と第 100 位のメーカーの 2005 年における売上高は、そ れぞれ 252.15 億元と 6.81 億元で、これは 2004 年のランキングの第1位と第 100 位よりそれぞれ 44 億元、1.81 億元増加している。100 社の売上高を見ると、100 億元以上が4社、50 億~100 億元が4社、20 億~50 億元が 14 社、10 億~20 億 元が 30 社、10 億元以下が 48 社あった。売上高が 20 億元を超える会社は 22 社 で、100 社の売上高の 61.44%を占めた。 (2006/6/23 『中国汽車新網』) ◆上位 100 社ランキング(2005 年) 順位 企業名 売上高(単位・万元) 1 万向集团 2521488 2 潍坊柴油机厂 1691772 3 广西玉柴机器集团有限公司 1213751 4 东风本田发动机有限公司 1077333 5 延锋伟世通汽车饰件系统有限公司 775965 6 北京现代摩比斯汽车零部件有限公司 651486 7 上海汽车股份有限公司 638869 8 富奥汽车零部件有限公司 558925 9 柳州五菱汽车有限责任公司 425479 10 广州汽车集团零部件有限公司 416810 11 一汽解放汽车有限公司无锡柴油机分公司 410250 12 东风康明斯发动机有限公司 362482 13 辽宁曙光汽车集团股份有限公司 321513 14 上海柴油机股份有限公司 310912 15 长春一汽四环汽车股份有限公司 302418 16 联合汽车电子有限公司 292886 17 无锡威孚高科技股份有限公司 279095 18 东风车桥有限公司 260880 19 哈尔滨东安汽车动力股份有限公司 225467 20 万丰奥特控股集团有限公司 224737 21 正兴车轮集团有限公司 205006 22 天津丰田汽车发动机有限公司 200725 23 东风实业有限公司 199922 24 天津富士通天电子有限公司 193460 25 汕头经济特区矢崎汽车部件有限公司 188167 26 江阴模塑集团有限公司 184097 27 戴卡轮毂制造有限公司 179963 28 北京摩比斯变速器有限公司 177838 29 河北凌云工业集团有限公司 175079 30 惠州住润电装有限公司 175021 31 德尔福(上海)动力推进系统有限公司 174051 32 东风朝阳柴油机有限责任公司 165807 33 一汽解放汽车有限公司大连柴油机分公司 165421 34 北京福田环保动力股份有限公司 165137 35 重庆宗申发动机制造有限公司 164963 36 沈阳航天三菱汽车发动机制造有限公司 155633 37 江门市华铃精密机械有限公司 154902 38 新乡航空工业(集团)有限公司 152454 39 山东隆基集团有限公司 149436 40 江西长力汽车弹簧股份有限公司 145427 41 风帆股份有限公司 136741 42 北京星宇中车科技有限公司 136280 43 江苏摩比斯汽车零部件有限公司 132763 44 东风汽车车轮有限公司 127302 45 北京德尔福万源发动机管理系统有限公司 123385 46 杭州西湖汽车零部件集团有限公司 123077 47 昆明云内动力股份有限公司 119958 48 上海通用东岳动力总成有限公司 119759 49 山东渤海活塞集团有限责任公司 118400 50 上海德尔福汽车空调系统有限公司 107278 51 青特集团有限公司 106471 52 万都(北京)汽车底盘系统有限公司 104722 53 惠州东风易进工业有限公司 98998 54 天津英泰汽车饰件有限公司 98597 55 北京江森汽车部件有限公司 95704 56 上海现代摩比斯汽车零配件有限公司 95547 57 天津矢崎汽车配件有限公司 93606 58 北京摩比斯中车汽车零部件有限公司 93399 59 山东永嘉缸盖集团公司 90867 60 上海东洋电装有限公司 90452 61 沈阳兴远东汽车零部件有限公司 86996 62 广西方盛实业股份有限公司 86975 63 烟台首钢电装有限公司 86859 64 天津津住汽车线束有限公司 86852 65 佛吉亚全兴(武汉)汽车座椅有限公司 86067 66 重庆市渝江压铸有限公司 85870 67 高田(上海)汽车安全装置有限公司 85813 68 烟台矢崎汽车配件有限公司 85612 69 诸城市义和车桥有限公司 85000 70 安徽省安庆环新集团有限公司 83520 71 天津丰津汽车传动部件有限公司 81920 72 吉林东光集团有限公司 81538 73 杭州汽车发动机厂 80370 74 浙江亚太机电股份有限公司 80091 75 东莞京滨汽车电喷装置有限公司 79917 76 广州爱机汽车配件有限公司 79449 77 杭州矢崎配件有限公司 78956 78 安阳市汽车零部件有限公司 78325 79 浙江益鹏发动机配件有限公司 78149 80 哈尔滨东安汽车发动机制造有限公司 77843 81 扬州柴油机有限责任公司 77807 82 中鼎股份有限公司 77756 83 东风本田汽车零部件有限公司 77162 84 西门子威迪欧汽车电子(长春)有限公司 77072 85 广州艾帕克汽车配件有限公司 75842 86 湖南同心实业股份有限公司 75803 87 华泰铝轮毂(泰安)有限公司 75021 88 天津华丰汽车装饰有限公司 73460 89 天津电装电子有限公司 73227 90 浙江今飞机械集团有限公司 72836 91 李尔长春汽车内饰件系统有限公司 71651 92 扬州市洪泉实业有限公司 71329 93 重庆红宇精密工业有限责任公司 71309 94 山东龙口兴民车轮有限公司 70243 95 丹东阿尔派电子有限公司 69593 96 瑞立集团有限公司 69330 97 西门子威迪欧汽车电子(芜湖)有限公司 68682 98 保定长城内燃机制造有限公司 68584 99 德尔福派克(广州)有限公司 68491 100 博世汽车部件(苏州)有限公司 68057 (2006/6/23 『汽車週報』) メーカー ●東風有限、設立から 3 年──本社機能を十堰から武漢に移転 東風汽車有限公司(以下、東風有限)は6月 22 日、武漢経済技術開発区で新 本社ビルおよび商用車技術センターの落成式典を行った。これは、同社の本社 機能が十堰から武漢に移転し、国際企業への重要な第一歩を踏み出したことを 意味している。 東風有限の中村克己・総裁は、同社設立3周年記念式典を兼ねた同式典で、 次のように語った。 「武漢への本社機能の移転と商用車技術センターの設立は、合弁会社設立当 初からの決定事項であった。東風有限は3年をかけ、全社の力を結集して事業 の基礎固めに努力してきた。現在、企業の融合と改編は基本的に完成し、武漢 でさらに高いスタート地点から始める時期を迎えた。東風有限は中国のほか、 世界にも拡大しようとしている。今回の移転は、3年の基礎管理強化と市場中 心の経営理念強化を経て、真の国際企業になるための入り口に到達したことを 示している。武漢への移転により、さらに多くの優秀な人材を確保できる。特 に R&D 部門の人材である。また、市場とユーザーの距離を縮め、市場主義の経 営理念を強化できると同時に、クロスファンクショナルチーム(CFT)による企 業運営を加速し、管理効率を大幅に高め、企業をより透明かつオープンにでき る」。 中村総裁は、東風有限本社の武漢移転の意義として、次の4つを挙げている。 ① これまで各地に分散していた R&D、経営企画、販売などの部門が一カ所に集 まることで、部門間協力のスムーズ化や、企業管理の質、運営効率、意思決 定効率、市場ニーズへの迅速な対応の向上を図れる。 ② 武漢は中国の中心に位置し、各主要都市間を1日で往復できる。これにより、 企業、国内市場、ユーザーとの距離を縮め、市場中心主義の経営意識を強化 できる。 ③ 今後の海外市場開拓の準備ができる。東風有限はすでに海外事業部を設立済 みで、今後はスポット輸出から戦略的輸出への転換を考えている。 ④ より多くの優秀な人材を確保でき、武漢の高等教育機関とより良い協力関係 を構築できる。 また、東風有限の徐平・董事長(兼東風汽車総経理)は、次のように語る。 「今回の武漢移転により、東風有限自身の優位性と武漢の地理的優位性を発 揮できる。より多くの優秀な人材の確保、市場情報入手のスピードアップ、管 理の透明化、高効率化を図れる。さらに、商用車技術センターの設立で、中国 トラック産業においてリーダー的地位を獲得することができる。東風有限の飛 躍的発展は、必ずや東風集団の発展を支え、中国自動車産業の発展にも新たな 力をもたらすだろう」。 東風有限は、2003 年6月に武漢に設立された。登録資本金は 167 億元で、東 風汽車と日産が 50%ずつ出資した。会社設立後の3年間の成長は、各業界から 大きな注目を集めている。中日双方は「合弁会社の利益を最優先する」という 原則により、相互尊重・協力、調和的コミュニケーション、オープンかつ透明 な管理といった精神の下、全社員の変革に対する情熱を引き出すことに成功。 QCD 基礎管理改善、CFT、KPI(重要業績評価指標) 、HPP(高潜在能力人材管理体 系)、CMS(資金集中管理体系) 、SAP(ナビゲーター計画)、集中購買など日産を 代表とする世界企業で使われている先進かつ合理的運営管理方法による一連の 改革・革新方法を積極的に導入し、わずか3年で大型合弁企業へと成長するこ とができた。2005 年の東風有限の商用車販売は 26 万台超で、市場シェアは全国 トップであった。乗用車販売は 15.75 万台で、市場シェアは第8位。東風有限 は 2007 年までに、2003 年の倍となる販売台数 62 万台、売上高 800 億元、利益 率 10%の実現を目標としている。3年以内には、乗用車7モデルを投入し、商 用車で中国トップ、世界ベスト3のメーカーとなることを目指す。現在も順調 に進展しており、2006 年1-4月の販売台数は 16 万台であった。2006 年内に乗 用車販売 20 万台を達成し、商用車国内トップを維持するという。 東風有限傘下の東風商用車公司は5月 18 日、東風「天龍」トラックシリーズ を発表。東風日産も6月 18 日に新戦略乗用車・ブルーバード・シルフィーを発 表し、間もなく発売開始となる。今回の3周年記念式典では、本社中央広場に ティアナ、ティーダ3ボックス/2ボックスなどに加え、ブルーバード・シル フィーも展示した。完全自主ブランドの重型トラック「天龍」も全シリーズ展 示し、東風商用車の3年間の発展成果を披露。さらに、東風柳州の MPV モデル 「風行」、東風汽車の新型軽型トラックシリーズ、鄭州日産のパラディンなども 展示し、3年間の発展の成果をアピールした。 「天龍」重型トラックは、1カ月 前に発売されたばかりだが、現在までにすでに 1000 台の注文を受けている。 また、2003 年9月に武漢に移転した東風汽車本社も、7月には漢口金融街に ある中信大廈から武漢開発区に移転する予定で、武漢体育中心と通りを隔てた 向かいにある新オフィスビルが間もなく完成予定である。 (2006/6/22 『中国汽車新網』) ●「東風プジョー・シトロエン汽車金融有限公司」が設立へ 関係者からの情報によると、中銀集団保険有限公司(以下、中銀集団) 、神龍 汽車、プジョー・シトロエン傘下のオランダのファイナンス会社(以下、PSA オ ランダ金融)の3社による合弁会社「東風標致雪鉄龍(東風プジョー・シトロ エン)汽車金融有限公司」の設立申請が、5月 28 日に正式に中国銀行業監督管 理委員会の承認を得たという。これによりこの新会社は、開業前の各法律手続 きの履行をすべて完了し、開業のための資質と条件を備えたことになる。7月 から北京で営業を開始する計画で、その後国内のその他地区にも拡大を図って いく。 神龍汽車と組んだ金融業界側提携パートナーは、急成長を続ける神龍汽車に 金融面から強力なサービスを提供すべく、2年前から積極推進、安定成長、規 範運営、リスク回避の原則にのっとり、自動車金融サービス会社の設立準備に 着手してきた。 新会社の登録資本金は5億元。出資比率は、中銀集団が 50%、神龍汽車と PSA オランダ金融が各 25%となっている。主な経営目的は、東風プジョーと東風シ トロエンの2大ブランドを扱うディーラーへの在庫対応のための融資提供、上 記 2 ブランド車を購入したエンドユーザーへの自動車ローンの提供である。 新会社の最も大きな特徴は、3大株主の各資源を十分に活用し、資金支援、 営業ネットワーク、業務展開、リスク管理、商品連鎖などの面で、相乗効果を 生み、互いの強みを発揮できる点にある。 ① 中銀集団の親会社である中国銀行は新会社に対し、資金支援と個人向け自動 車ローンの経験を伝授する。中国銀行の全国にある支店は、金融サービスを 提供できる。 ② PSA オランダ金融の親会社であるプジョー・シトロエン融資銀行は、融資残 高 230 億ユーロを超える大型金融会社で、欧米 18 カ国での自動車融資の技 術と経験を新会社に伝授できる。 ③ 金融サービスの重要な商品連鎖として、東風プジョーと東風シトロエンの市 場での保有台数がすでに 60 万台強に達していることが挙げられる。神龍汽 車の 2005 年の販売台数は前年同期比 60%増で、2006 年も好調な成長を維持 し、販売台数は 20 万台を突破すると予測されている。2006 年2月、5月に それぞれ発売した東風プジョー206 と東風シトロエン「凱旋」への市場の反 応が非常に良く、納車待ちが続いている。2006 年末にはさらに新モデルを発 売する計画である。 上記2モデルの発売に続き、 「東風標致雪鉄龍金融服務公司」が間もなく開業 を迎えるなど、2006 年に入り神龍汽車には良い出来事が続いている。また、神 龍汽車の 2006 年1-5月の販売台数は、前年同期比 40%増の8万 2000 台強と好 調である。 (2006/6/16 『中華工商時報』) 数字で見る中国経済と自動車・部品産業 自動車統計資料(2006 年5月) 資料1.車種別生産・卸売台数 (単位:千台) 2005年 生産台数 (千台) トラック バス セミトレーラー 乗用車 合計 1419.1 271.8 96.9 3283.0 5070.8 2006年1-5月 前年比 (%) 卸売台数 (千台) - 1427.8 273.6 99.2 3271.0 5071.6 前年比 (%) 生産台数 前年同期比 卸売台数 前年同期比 (千台) (%) (千台) (%) - 737.9 115.6 31.8 2167.7 3053.0 105.6 112.4 99.1 146.2 131.8 714.0 113.1 34.6 2112.7 2974.3 105.0 111.2 129.0 144.2 130.8 出所:『CAAM』 →車種別の伸び率を見ると、依然としてトラック、バス、乗用車が生産・卸売 とも前年を上回り、特に乗用車の伸び率が顕著であった。セミトレーラーも これまでと同様、生産は前年を下回ったが、卸売は前年を上回った。 トラックの同期における生産台数は、前年同期比 5.6%増の 73.8 万台。卸売 台数は、同 5.0%増の 71.4 万台であった。 バスの同期における生産台数は、同 12.4%増の 11.6 万台。卸売台数は、同 11.2%増の 11.3 万台であった。 セミトレーラーの同期における生産台数は、同 0.9%減の 3.2 万台。卸売台数 は、同 29.0%増の 3.5 万台であった。 乗用車の同期における生産台数は、同 46.2%増の 216.8 万台。卸売台数は、 同 44.2%増の 211.3 万台であった。 5月の大型連休も奏功し、乗用車の売れ行きが好調。1-5月における自動車 生産台数は 305.3 万台(前年同期比 31.8%増)、卸売台数は 297.4 万台(同 30.8%増)で、ともに過去最高を記録した。 資料2.乗用車メーカー上位 10 社(2006 年1-5月)(単位:台) 順位 メーカー名 生産台数 メーカー名 卸売台数 1 上海GM 158,320 上海GM 151,829 2 上海VW 142,005 上海VW 135,047 3 一汽VW 125,586 奇瑞汽車 123,916 4 奇瑞汽車 124,195 一汽VW 122,437 5 北京現代 116,570 北京現代 114,748 6 広州ホンダ 103,265 広州ホンダ 101,349 7 天津一汽夏利 97,952 天津一汽夏利 90,282 8 天津一汽トヨタ 87,175 天津一汽トヨタ 87,505 9 神龍汽車 83,660 東風日産 83,675 10 東風日産 83,157 神龍汽車 82,254 出所:『CAAM』 →上海 GM、上海 VW、奇瑞汽車のトップ3の構図はこれまでと変わらず。 特徴としては、5月単月の中・高級車の販売において、上位 10 社の半数が日 系車であったことが挙げられる。中国の消費者の間では、カムリの投入など が話題になっている模様。 資料3.中国の自動車・部品の輸出入 部品 完成車・シャーシ 輸入 輸出 輸入 輸出 (千台) 前年比(%) (千台) 前年比(%) (百万ドル) 前年比(%) (百万ドル) 前年比(%) 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年1月 2006年2月 2006年3月 2006年4月 2006年5月 42.37 72.05 127.39 172.34 175.92 163.03 17.72 11.29 21.87 21.07 14.73 121.40 170.00 176.80 135.30 102.10 92.67 115.80 197.38 197.38 184.82 125.58 61.32 54.99 104.47 128.89 148.77 - - 2112.81 2527.74 3001.19 6263.82 7326.32 6726.11 455.29 678.51 767.18 838.45 702.92 168.70 119.60 118.70 209.10 117.50 91.81 130.30 228.29 150.52 158.99 140.90 656.46 501.40 730.46 741.59 718.26 - - 出所:『CMS』、ヒアリング ※輸出に関しては『CMS』に掲載されていないため、『CMS』にヒアリングを実施。前年 以前の数字は出ていない。 →2006 年5月における輸入台数(完成車・シャーシ)は、前年同月比 25.6%増 の 1.5 万台。部品の輸入は、同 41%増の 7.0 億米ドル。 一方、完成車・シャーシの輸出台数が4月より急増。月を追うごとに増加し ている。