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兵庫県自然学校における指導補助員の 実態と指導に与える影響

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兵庫県自然学校における指導補助員の 実態と指導に与える影響
兵庫 県 自然学校 に お ける指 導補助 員 の
実態 と指導 に与える影響
―教 員 目指導補助 員双方 の立 場 か ら見 た 自然学校一
教 育 内 容 ・ 方 法 開 発 専 攻
認識形成系教育 コース社会系教育分野
M13119A
大 介
伊 藤
く目
問題 の所 在 と研 究 の 目的・ 方法
序章
第
第
1章
… …… … ……… …… ……… …………………… ……………… …・
自然 学校 の 目的 口
2
第 1節
自然学校実施の歩み 口
……… ……… …… ……・……………………… …………… ……
2
第 2節
・… … … … … … … … …・…・
自然学校 の 目標 の 変遷 ・
5
第 3節
・… … … … … … … … … … … … … … … …
「発達 と しての教 育」 と「生成 と しての教 育」
:
8
2章
自然 学 校 に お け る 指 導 の 実 態 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 14
第 1節
プログラムか ら見 る 自然学校 における活 動 の 実態・口
… … … … … …・… … … … … … … … 14
第 2節
・
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … :18
・口
引率教 員 か ら見 た 自然学校 の 実態 ・
第 3節
…・… … 菫
…………………………………………
指導補助員 か ら見た 自然学校 の実態 ・コ
第 4節
第
次〉
1・
24
:32
自然学校 における指導 が 成果 と課題 を生み 出す要因・日
… ………………………………口
3章
"37
指 導 補 助 員 が 自然 学 校 に 与 え る影 響 … … … … … … … … … … … … … … … … … … 口
第 1節
口… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … =37
指導補助 員の 持 つ特性 ・
第 2節
口 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 40
指導補助 員 の役割 ・… … … … … ・
第 3節
・ 45
望 ま しい指導補助員の活用方法 ・… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …・
終章
:・
研究 の 成果 と課題 ・……・ ………………………………………………………………・ 48
,日
ロ
………………………………………………………………………………… 田 51
参考 ・ 引用文献 ロ
L.… ……………………… … … …… … ……………………………………………… 54
付録 ‥……… 口
1.イ ン タ ビュー 記録 ‥…………………………………………………………………………・ 55
(1)教 員
K.A…
55
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …・ 60
(2)教 員 N.Tヨ ロ
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …・ 63
(3)教 員 0.Kロ ロ
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …・ 66
(4)教 員 M.R甲 口
ロ
m 69
… …・… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … ロ
(5)指 導補助員 w.s 口
(6)指 導補助員 t.a・ … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … ‖ 73
(7)指 導補助員 y:a・ … … … … … … … …・… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … "引 77
(8)指 導補助員 m.k口 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 引 80
・… … … … … … … … … … … … … … … … …・田 84
(9)指 導補助員 k.m・ … … … … … … … … … … …・
(10)指 導補助員
・
f.k… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …・
87
… … … … … … … … … …・… … … … … … … … … … … … … … … … … …・:92
(11)指 導補助 員 k.yヨ ロ
・口 96
(12)指 導補助 員 y.m… … … … …・… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …・
・
2.自 然 学 校 参 加 児 童 か らの 手 紙 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …・
99
・
(1)S小 学校 M‥ … … … … … … … … … …・… … … … … … … … … … … … … … … … … … … …・
99
: 101
(2)M小 学校 F・・… … … … … … … … … …・… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 口
… … … … … … …・… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 口
(3)N小 学校 Kロ ロ
"…・
102
ヨ
3.イ ン タ ビ ュー 事 前 ア ン ケ ー ト用 紙 ヨ
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … ‖ 103
ヨ
… … … … … … … … … … … …・… … ロ
(1)教 員用・口
… … … … … … … … … … … … … … …・… … 103
・詢 104
… … … … … … … … …・… … … … … … … … … … … … … … … … … … …・
(2)指 導補助員用 口
謝辞
序章
問題 の所在 と研 究 の 目的・ 方法
兵庫 県 の公 立小 学校 では 5年 生 を対象 に 自然学校 が実施 されて い る。 自然学校 とは , 4
泊 5日 以上 の期間 を兵庫県 内 の施設 で生活 し,様 々 な体験活動 を実施す る学校行事であ る。
他県 で も似 た よ うな事業 は実施 されて い るが,兵 庫県 の 自然学校 は期間が 4泊 5日 以 上 と
長期 にわた るこ と,正 規 の教育活動であ ることの表れ として正 常 の学期 中に実施す るこ と
な どの独 自性 を持 ってい る。
自然学校 では児童 ,教 員以外 に指導補助員 ,技 術指導員 ,救 急員が参加 す る。 なかで も
指導補助員 は 4泊 5日 の全 ての 日程 を子 どもた ち と共に生活 す る。 指導補助員 と一 括 りに
言 らて も,大 学生や 専門学校生 な どの学生 であ りなが ら参加す る者 もいれ ば ,年 間に何度
も参加 して 自然学校 の訪す
金 で生計 を立ててい る,言 わば 「プ ロ」 も存在 してい る。 また
学校 に よっては, リー ダー ネ ー ム
(ニ
,
ックネ ー ム)で 呼 ばれ ,お 兄 さんお姉 さん といった
立場 で振 る舞 う場合 もあれ ば,「 先生」と呼 ばれ ,実 際 に教員 と同様 に振 る舞 う場合 もあ る。
この よ うに指導補助員 は多様性 を持 つ 存在 であ るが ,言 い換 えれ ば,指 導補助員 の立 場 に
つい て,共 通 の考 え方 が存在 していない とい うことで もある。
兵庫県立南但馬 自然学校 の調査1に よれ ば,自 然学校 に参加 した児童 の うち, 7割 を超 え
る児童 が帰 宅 後 に指 導補助員 の ことを保護者 と会話 してい る。 それ だけ指 導補助員 は児童
に大 きな影響 を与 える存在 であ る。 しか し,先 行研 究 の 多 くは 自然学校 の効果や実態 を明
らかに した もので あ り,指 導補助員 を対象 に した研究五はあま り行われ ていない。
自然学校 が今後 ,よ り成果 を上 げるためには , 自然学校 において重要 な役割 を持 つ 指導
補助員 が どの よ うに活動 してい るか とい う実態 ,ま た , 自然学校 に対 して , どの よ うな影
響 を与 えてい るのか とい う実態 を明 らかにす ることが必要 で ある。 したが って ,本 研 究 の
目的 は,指 導補助員 の活動や ,そ れ らが 自然学校全体や児童 に与 え る影響 につ いて分析 し
,
望 ま しい指導補助員 の活用 の方法 を示す ことであ る。
研 究 の方法 として 以下 の 4つ の 手 立て を用 い る。
(1)兵 庫県教育委員会 をは じめ とす る行政側 の過去 の 自然学校 関連 の資料や ,先 行研 究 を
も とに 自然学校 を実施す る 目的 を明 らかにす る。
(2)自 然学校 の実施者 であ る教員 と指 導補助員 の双方 にイ ン タ ビュー を実施 し,自 然学校
にお ける指導 の実態 を明 らかにす る。
(3)イ ンタ ビュー の分析 か ら,指 導補助員が 自然学校 に与 えてい る影響 を明 らかにす る。
(4)指 導補助員 が 自然学校 に与 える影響 を踏 ま えて,有 効 な指導補助員 の あ り方 を示す。
第
1章
第 1節
自然 学 校 の 目 的
自然学校実施の歩み
まず本章 において , 自然学校 が 実施 され た経緯や兵庫 県教 育委員会 が示 す 日標 か ら, 自
然学校 を通 して どの よ うな子 どもを育 てたいのか ,そ の 目的 を明 らかに してい く。
本節 においては, 自然学校 が 実施 され るまで の変遷 ,実 施 され てか ら現在 まで どの よ う
な歩 みがあ つたのか を明 らかに してい く。
自然学校 実施 の歩み につい てま とめた ものが ,4ペ ー ジに記載 してい る図 1‖ iで ある。
63年 か ら県 下 の公 立小学校 の 5年 生 を対
象 に 自然学校推進 事業 を開始 した こ とに始ま る。 この事 業 は,兵 庫 県が昭和 62年 に開催
自然学校 の 実施 は,兵 庫県教 育委員会 が昭和
した「こころ豊か な人 づ く り懇話会 」にお ける
『 人 は 自然 とのふれ あ いの 中で 自然 の神 秘 、
優 しさ、恐 ろ しさな どに感 動 し、豊 かな感性、問題解決能力、粘 り強 さな どを培 うととも
に、人 とのふれ あい を通 して 、 生 きる喜びや 苦 しみ を知 り、思いや り、協調性 、社会性 な
どを身 に付 ける』 とい う提言 を基本理念 としてい る。 昭和
63年 には 自然 の 中での集 団宿
泊体験学習 の試行実施 を行 い ,実 際 に 113校 の小学校 で 5泊 6日 の 自然学校 が 実施 され る
ことになった。「自然学校」 とい う名称 に関 して ,朝 日 (1994)市 は,(文 部省 が
1984年
か ら開始 した 「自然教室推進事業」を取 り上げた上で)「 文部省 な どで用 い られ てい る『 自
然教 室』が ,兵 庫県では (社 )兵 庫県 自然保護協会 の友誼団体 としての『 兵庫 県 自然教 室 』
が
20年 以 上前か らす でに活 動 してい ることと,単 なる『 教室』 の移行 ではな く,異 な っ
た立 場 での『 学校教育』である点 な どが強 調 され た もので あろ う。 (中 略 )ま た ,全 員参加
を原則 とし,実 施時期 は正常 の学期 中 と した。これ は正規 の教育であ ることの反 映であ る。」
と述 べ てお り,兵 庫 県 自然学校 が 義務教 育課程 の一 環 であ ることを大 きな特徴 としてい る
こ とが分 か る。 3年 間 の試行実施 の後 ,平 成
3年 には兵庫 県 内のす べ ての公 立小学校 で完
全実施 され ることになった。
いの教育」の充実 を 目指 し,「 生 きる力」を育む体験活動 の場 とし
自然学校推進事業 は 「′
ての役害Jを 担 うこ とになっていった。そ の き っか け となった 出来事 が 平成 7年 に発 生 した
阪神淡路大震災 と平成
9年 に発 生 した神 戸市須磨 区の連続児童差殺傷事件 であ る。阪神淡
路大震災 の 際 には,生 命 の尊厳や助 け合 いの大 切 さな ど貴重 な教 訓 を得 てい る。 この教訓
を今後 の教 育 に生かそ うと兵庫 県では様 々 な取組 が実施 されて いた。そ の 矢先 ,平 成
9年
の痛 ま しい 事件 が発 生 した。県 が設置 した 「′
いの教育緊急会議」 において 「子 どもた ちの
遊び を通 しての 自然体験や生活 体験な どの機会 が減少 してい るこ とが人 間関係 の希薄化や
社会性 の欠如 につ なが ってい る。 自然 の 中には美 しい もの ,恐 ろ しい もの な ど様 々 な もの
が渾然 と存在 してい る。 そ の意味か らも未知 の もの との出会 いや 冒険 へ の挑戦 ,仲 間 との
交流 を通 して ,子 どもたちに 自然 に対す る畏敬 の念や た くま しく生 きる力 を育む ことが大
切 であ る。」Vと の指摘 が され た。 この よ うな諸課題 に対 して , 自然学校推進事業 は 「′
いの
教育」 の充実 を 目指 して ,子 どもたちの 「生 きる力」 を育む体験活動 の場 として も教 育的
な効果 を期待 され るよ うにな っていった。
また ,教 育基本法 の 改訂や学習指導要領 の 改訂等 ,国 の教 育改革 において も体験活動 の 重
要性 が述 べ られて い るVヽ そ の背景 として,子 どもた ちを取 り巻 く環境 が変化 した ことで
,
社会性 が身 についてい ない ,直 接体験 が不足 してい るな どの課題 が生 じ,結 果 として人 間
関係 が うま くつ くれず ,集 団生活 に適応 しに くい子 どもが 増加傾 向にあるこ とな どが考 え
られ る。
こ うした状況 の 中,兵 庫県では全 国 に先駆 けて ス ター トした 自然学校 の教 育的役害Jが ま
す ます重要 になってい ると考 え,今 後 の 自然学校 の一 層 の 充実 を図 るために,平 成
9年 。
13年 には 自然学校推進事業検討委員会 ,平成 19年 には 自然学校評価検証委員会 を設置 し
,
自然学校 での取組 につい て評 価・ 検証 を行 った うえで充実 のための方 策 を示 してい る。
62年
「こ ころ豊 か な人 づ く り談 話 会 」 (昭 和
)
『 人は自然 とのふれあいの 中で 自然 の神秘、優 しさ、恐 ろしさなどに感動 し、豊 かな感性、間
題解決能力、粘 り強 さなどを培 うとともに、人 とのふれあいを通 して、生きる喜びや 苦 しみを
知 り、思いや り、協調性、社会性などを身に付 ける』
5泊 6日 の 「自然学校」が ス ター ト
(昭 和
63年
)
指導補助員・ 救急員等 を確保す る取組 を開始 (平 成元年 )
3年 )
公 立全 小学校 を対 象 に実施 (平 成
阪神 ・ 淡 路大 震 災 の 教 訓 (平 成
7年 )
いの教育」 の 充実 を
自然学校 が 「′
目指 して 「生 きる力 」 を育む体験
神戸市須磨区の児童連続殺傷事件 (平 成 9年 )
活動 の場 と して期待 され る
↓
「′
いの教育緊急会議 」 の提言
自然 学校 推進 事 業検 討 委員会 (平 成
自然学校推進事業検討委員会 (平 成
自然学校 充実 プ ラ ンの策定 (平 成
9年 度 )
13年 度
14年 度
自然 学校 評 価 検 証委 員 会 の 設 置 (平 成
)
)
19年 度
)
図 1:兵 庫 県 自然学校 の 歩 み
第 2節
自然学校 の 目標の変遷
前節 では,自 然学校 とい う事業 の歩 み につい て明 らかに した。本節 では ,自 然学校 の 歩
み に合 わせ て ,自 然学校 の 目標 が どの よ うに変遷 して きた のか 明 らかにす るこ とを通 して
,
自然学校 を通 して 育てた い子 ども像 を明 らかに してい く。
自然学校推進事業が ,「 人 は 自然 とのふれ あ いの 中で 自然 の神秘 、優 しさ、恐 ろ しさな ど
に感 動 し、豊 かな感性 、問題解決能力 、粘 り強 さな どを培 うとともに、人 とのふれ あ い を
通 して 、生 きる喜びや苦 しみ を知 り、思 いや り、協調性 、社会性 な どを身 に付 ける」宙iと
い う 「こころ豊 かな人づ くり談話会」 での提 言 を基本理念 に してい ることか ら,自 然学校
実施 当初 の 究極 の 目的は次 の 2つ であ る と考 え られ る。
自然学校実施 当初 の 究極 の 目標
1.自 然 の神 秘 ,優 しさ,恐 ろ しさな どに感 動 し,豊 かな感性 ,問 題 解決能力 ,粘 り強 さな どを培 う
2.生 きる喜びや 苦 しみ を知 り,思 いや り,協 調性 ,社 会性 な どを身 に付 ける
これ らの 目標 を達成す るため の 手 立て として , 自然 とふれ あ うこ と,人 とふれ あ うこ と
が想 定 され てい る と考 え られ る。
実際に昭和
63年 度 に実施 され る際 の実施要項宙五では趣 旨 として以 下の よ うな記述 が あ
る。
1趣
旨
学習 の場 を教室か ら豊かな 自然 の 中へ 移 し,児 童 が人や 自然 とふれ あい ,地 域社会 へ の理 解 を深
めるな ど,様 々 な活動 を年 間指導計画 に位 置付 けて実施す るこ とに よ り,心 身 ともに調和 の とれ た
健全 な児童 の 育成 を 目的 とす る。
昭和 62年 度 の懇 話会 で,「 児童生徒 の 自然 とのふれ あい ,家 族 ,友 達 ,地 域 の人 々 との
心のふれ あ いが ,人 間形成 に大 きな意 義 がある」 とい う提言 が され た ことを受 けて ,こ の
よ うな文脈 の趣 旨 になった もの と思われ る。
現在 (平 成 26年 度 )の 実施要項破では,趣 旨 として次 のよ うに 目的が記述 され てい る。
1趣
旨
学習 の場 を教室か ら豊 かな 自然 の 中へ 移 し,児 童が人や 自然 ,地 域社会 と触れ合 い ,理 解 を深 め
るな ど,長 期宿泊体験 を通 して ,自 分 で考 え,主 体的 に判 断 し,行 動 し,よ りよ く問題 を解決す る
力や ,生 命 に対す る畏敬 の念 ,感 動す る心 ,共 に生 きる心 を育む な ど,「 生 きる力」 を育成す るこ
とを 目的 とす る。
実施要項 の 2つ につい て比 較 してみ る。 平成
26年 度 の もの は,昭 和 63年 度 の もの と
比 較 してみ る と, 目的が 「′
い身 ともに調和 の とれ た児童 の 育成」 か ら 「生 きる力 を育成 す
るこ と」 に変 わってい る。 さらに,「 生 きる力」 の 具体例 として,「 よ りよ く問題 を解決す
い身 とも
る力や ,生 命 に対す る畏敬 の念 ,感 動す る心 ,共 に生 きる心」が示 され てお り,「 ′
に調 和 の とれ た児童 」 とい う表現 よ りも,育 てたい子 どもの像 が明確 になってい る。 一 方
で ,活 動 につ いて も,育 成 したい 「生 き る力」 につい て も 「な ど」 とい う言葉 が入 つてい
るこ とで,あ る程度学校 がオ リジナ リテ ィを出す こ とが求 め られてい ることが読み取れ る。
これ らの 自然学校 の 目標・ 目的 の変遷 には,平 成
9年 ,13年 に 自然学校推進事業検討委
員会 が ,平 成 19年 に 自然学校評価検証委員会 が設置 され , 自然学校 につい ての 自然学校
の成果 。課題 を踏 ま え,今 後 の充実につ い て の検討 が行 われ た ことが影響 してい る と考 え
られ る。 ここでそれ ぞれ の委員会 での検討事項Xに つ いて順 に見てい く。
(平 成
9年 自然学校推進事業検討委員会〉
。自然学校 の原 点に帰 り,自 然 と豊 かにふれ あ う活動 を通 して ,自 然 に対 す る認識 を広 げ
,
深 め させ るプ ロ グラム を一層 充実 させ る必要 がある。
・ 震 災体験 を踏 ま え,生 命 あ るもの を身近 に感 じさせ ,生 命 を尊重す るこころを醸成す る
プ ログラム を開発 し,実 践す る必要が ある。
・ 自然学校 で体験 し,学 んだ こ とを学校や家庭等 ,普 段 の生活 に生 きてはた らくよ う配慮
す ることが大切 である。
の の く
は, ヽ
い い
, や て
会 は
員 で さ き
誘舗罐姓い
味 。輸桧接
る
﹂ひ
.
.
ゝ
.
須磨 の事件 を受 けて実施 され た心の教 育緊急会議 の提言対が影響 し
よ うな痛 ま しい事 件 の背景 として次 の よ うな原因 が指 摘 され た。
ちの重み を実感 と して とらえきれ な い子 どもが増 えてい る
一
言
や
情
感
ために必要な規範意識 が 十分 に身 に付 いてい ない
葉 のや りとりか ら他人 の心の動 きを感 じる機会が少 な くな ってい る
この よ うな諸課題 に対 して 「幼児期 か らの生 活体験や 自然体験 な どの直接的 な体験 を積
ませ 、みずみず しい感性や豊 かな人 間関係 を育て るこ とが必要 であ る」 とい う提言X五 もあ
いの教 育」 の 充実 が 自然学校 に期待 され るこ とになった。
り,「 ′
〈
平成 13年 度 自然学校推進事業検討委員会 )
。学校生活 では体験 で きな い 非 日常的 な体験活動 を重視 し,滞 在型 の 自然学校や ゆ と りあ
るプ ロ グラム を設 定す る ともに,児 童 が 自然や人 ,地 域社会 と十分 にかかわるこ とがで
きるよ う工夫す るこ とが大切 である。
・ 児童 が計画段階 か らプ ロ グラムづ く り等 に積極 的に参加 した り,児 童 の興 味 。関心 を重
視 した選 択 プ ロ グラム を取 り入れ る等 ,児 童 の主体性 を重視す ることが大切で ある。
。自然学校 の趣 旨を生 か し,ね らい を達成 させ るには,長 期 間 の連続 したま とま りの ある
活動 日程 が必要 であ り,安 全・ 健康 面 に十 分配慮 し,特 色 あ る自然学校 を実施す ること
が大切 であ る。
これ らの検討事項 か らは, 自然学校 の 目標 よ りも, 自然学校 のプ ロ グラムや運営 の 方法
等 ,内 容面 に 関す る検討事項 が 中心になってい る。特 に,「 特色あ る 自然学校 を実施す るこ
とが大切であ る。」とい う提言 か ら学校 がオ リジナ リテ ィを出す ことが求 め られ てい るこ と
が読 み取れ る。 平成
26年 度 の要項について,各 学校 の独 自性 の重要性 が読み取れ る と述
べ たが ,こ の提言 が き つか け となってい ると考 え られ る。 実際 ,こ れ らの提言 を受 けて平
成 14年 度 には,「 自然学校充実 プ ロ グラム」 が策定 され た。 このプ ログラム では ,計 画段
階 か ら児童 の参画 ,ゆ と りある滞在型 プ ロ グラム ,選 択型 プ ロ グラム,選 択型 プ ログラム
,
そ の後 の生活 と関連 づ けた取組 ,自 己を見 つ め生 き方 を考 えるきつか け とな るプ ログラム
,
ボ ラ ンテ ィア等 の協力 ,豊 かな 自然 とふれ あ うプ ロ グラム,地 域 の 「ひ と 。もの 。こと」
にふれ る活動 ,教 師 の役割 の 明確化 , とい う
10の 視 点が示 され てい る。現在 で もこの観
点 を意識 したプ ログラムデザイ ンが実施 されてお り,各 学校 での推進 状況 に 関 して ,実 践
事例 と共 にホームペ ー ジ上 に紹介 してい る教 育事務所 もあ るX面 。
(平 成
19年 度 自然学校評価検証委員会〉
自然学校 の一 層 の 充実 を図 るための 「 6つ の方策」
方策 2
自然学校 と他 の教 育活動 との 関連 を図 る取組 の充実
事前 。事後 の学習活動 の一層 の充実
方策 3
学校 では得難 い体験活動 プ ロ グラムの 充実
方策 4
社会性や 自立性等 を育むため の集 団活動 の充実
方策 5
子 どもの成長過程 を踏 まえた体験活動 の 充実
方策 6
家庭や地域 との一 層 の連携 を図 る取組 の 充実
方策
1
20年 の節 目にあた り, 自然学校 の成果・ 課題
を踏 ま え,今 後 の方策 の 充実 を図 るために,検 討 を行 った もので ある。委員会 での提 言 を
も とに 自然学校 の充実 のため に 「自然学校 との感動的 な出会 い,集 団で の学び と連 帯感
自然学校評価検証委員会 は 自然学校実施
,
社会的 自立 のステ ップ」 をテ ーマ に取 り組む こ とが決 まった。 このテー マ をも とに打 ち出
され た 自然学校 の一 層 の充実 を図 るため の「 6つ の方策 」が 以 上の 6つ である。「 6つ の 方
策」 か らは, 自然学校 にお ける活動だ けでな く,事 前事後や ,学 校 での他 の教育活動 ,学
校外 での活動等 ,あ らゆる活動 と自然学校 の 関連性 を持 たせ ることで 自然学校 を体系的 な
教育活動 として実施 してい くことを重視 してい ることが読み取れ る。
第 3節
「発達 と しての教 育」 と 「生成 と しての教育 」
第 2節 で取 り上げた 自然学校 の 目標や検討事項 につい て , さらに詳 しく分析す るために
本節 では,矢 野智 司氏 の 唱 える,「 発達 としての教 育」 と「生成 と しての教育」 とい う 2つ
の教 育 の視 点 を用 いて分析 を行 う。
人 の成長 プ ロセスや人 の変容 につい て考 える時 ,私 た ちは学校教育 をモ デル に したイ メ
ー ジで 考 えが ちである。 この こ とにつ いて矢野 (2000)X市 は,学 校教 育 の 特徴 を 「教 える内
容 としての文 化財 、読み書 きの技術や さま ざまな情 報 の集合 体 を,い かに効率 よく子 ども
た ちに伝達す ることがで きるか とい う課題 を実 現 しよ うとす る。」XVと 述 べ た うえで ,「 人
類 の歴 史には、近代学校教育 をモ デル とす る『 教育』 とい う言葉 で回収 す るこ とので きな
い ,さ まざまな教 える一 学 ぶの 実践が存在 して きた。そ して ,そ れ らはいまで も様 々 な機
会 に生起 してはい るの だが ,『 教 育』とい う言葉 の イメー ジが,狭 窄症状 を生み 出 し,そ れ
らの事象 に気 づ くこ とさえで きに くくして い るのだ。」XViと 述 べ ,〈 教 える一 学 ぶ 〉 とい う
きわ めてデ リケー トな関わ りが ,教 育 とい う言葉 を使 うことで情報 の伝達 にまで矮小化 し
て しま うこ とを指摘 してい る。
矢野 によれ ば,人 間 の変容 には動物性 を否定 し人間化 してい くプ ロセス と,有 用 な生 の
あ り方 を求 め,最 初 の否 定 を否定す るこ とで,失 われ た 自然 との連 続性 を取 り戻 し脱人 間
化 してい くプ ロセ ス があるXVi。 矢野 は人 間化 プ ロセ スヘ の企 てを「発達 としての教 育」と
,
脱 人 間化 プ ロセス を引き起 こす体験 を 「生成 としての教育」 と名付 けたXV面 。「発達 として
の教 育」は,い わ ゆる学校教 育 と同 じもので あ るのでイ メー ジ しやす い。これ に対 して「生
成 と しての教 育」は ,「 教 育」 とい う言葉 で回収す るこ とができない (教 える一 学 ぶ)の 実
践 で ある と言 え,イ メー ジ しに くい もので あ る。
これ らの教育観 につい て フランスの思想家 G.バ タイ ユ は ,人 間にお ける動物性 の 問題 と
して 問 い直 した。そ の 中で,バ タイユ の人 間学 の根本的な考 え方 を示す 「二つ の決定的 な
事件 が 世界史 の流れ を区切 ってい る。 ひ とつ は道具
ひ とつ は芸 術
(あ
(あ
るい は労働 )の 誕生 であ り、 も う
るい は遊び)の 誕 生 である。」X破 とい う言葉 を残 してい る。バ タイ ユ の人
間学 の根本理論 こそ ,「 発達 としての教 育」 での人 間化 と,「 生成 としての教 育」 での脱 人
間化 である。 それぞれ の理 論 につい て は以下 の通 りで ある。
人 間化 の原 理
:動 物性 の 否 定
脱 人 間化 の 原 理 :最 初 の 否 定 (動 物 性 の 否 定 )を 新 た に 否 定す る こ とに よつて開 かれ る世
界 との連 続 性 の 回復
人間化の原理における動物性の否定が,教 育の必要性 と結びつ くことを示すために しば
しば登場す るのが野生児の物語XXで ある。野生児 の物語を通 して,「 教育 は『 自然的存在 と
しての人間』か ら、
『 文化的 。社会的存在 としての人間』へ の移行 として理解 されてきた」
XXt したがつて, 自然的存在であった人間が,様 々な欲望を禁止 (=否 定)し ,未 来 の 目
標 に向か うこ とがで きる文化的・ 社会 的存在 にな るこ とが ,人 間化 の理論 である。
バ タイ ユ の考 え方 では,人 間化 による 自然的所与 へ の依存 に対 す る否定 は,新 たに労働
の世界 (=有 用性 の原理 が支配す る世界 )へ 従属す ることの始 ま りである。有用性 の世界
とは,事 物 は全 て
(自
分 自身や他者 を含 む )労 働 の ための材料 。手段 であ り,世 界 が
(目
的 ― 手段 )の 関係 に分断 され る。す なわ ち人 間 自身 も 「秩序」 の一 部 とな り,世 界 へ と
け込 んでい く在 り方 としての 「内奥性 」 の次元 を喪失す る。 これ は ,規 範や法 とい う所 与
「内奥性」を回復す るためには,第 二の所与 も否定す るこ と (否
に服 従 してい る状態 である。
定 の否定 )が 必要 にな る。
バ タイユ が 考 える内奥性や , 自然 との連続性 を取 り戻す方法が 「禁 上の侵犯 」 である。
一 度否 定 され たはず の動物性 が ,再 び 目覚 めることであるが ,こ の ときの動物性 は最初 の
自然的所与 としての動物性 とは異 なる。「再び 目覚 めた動物性 は禁 止 され てい るがゆえに、
そ の禁 止 を乗 り越 えよ うとす る新 たな次元 の欲望 に突 き動 か され てい る。 また 、 日常 の規
範 を破 るこ とが深 い次元 の快楽 と陶酔 の体験 とな り、聖 な る感情 を生み出 してい る。」XXI。
以 上の よ うに 「バ タイ ユ は動物性 を否 定 し労働 す る経験 を根拠 とした人 間化 のモー メン
トと、有用性 の事物 の秩序 か ら離脱 して 内奥性 の次元 を回復 しよ うとす る『 脱』人間化 の
モー メン トとを動的 に とらえて 、人 間変容 の理 論 として展 開 してい る。」XX面
矢野 の唱 える 「発達 としての教 育」,「 生成 と しての教育」 とバ タイ ユ の 人間学 の考 え方
につい て以 下 の 図 2に 整理 した。
生成 としての教育
事
内奥 性
物
発達 としての教育
図 2 発達 と しての教育 と生成 と しての教 育
「発 達 としての教 育」 は学校教育 の イ メー ジ と重 なるので理解 しや す い。 これ に対 して
「生 成 としての教育 は,主 観 的 には 日々の生活 の 中で最 も リアル な もの と して体験 され て
い るが ,教 育学 に とっては 自明ではない。 これ は,発 達 としての教 育 が教 育 の全 てであ る
と考 える戦後教 育 の視 点か ら見 る と,生 成 としての教育 にお ける『 否定 の否定』 が教 育的
でない どころか反教 育的 に捉 え られ るか らであ る。」XX市 そ の理 由は,「 合理 主義」「人 間 中
心主 義」 が戦後教育学 の理 論 的 中心 とな ることもあ つたほ ど,教 育界 に浸透 していた考 え
方 であ ることに対 して ,生 成 と しての教 育 は合理 的 な科学主義 を否 定す る 「非合理主義 」
「神秘主義」 であ り,理 性 と労働 を根幹 にす る人間 の尊厳 を否定す る 「ア ンチ 人間 中心主
義」で あるか らで あ る。 これ に関連 して ,矢 野 は 「生成 としての教育」の 定義 にあたって
「発達 としての教育」 で用いた 「企 て 」 ではな く,「 体験」 を用 いた ことについて,「 生 成
,
としての教 育 を発 達 としての教育 の よ うに『 企 て』 と言 わないのは 、
『 企 て』 =『 企 図 の観
念』 であるこ とが 関係 してい る。有用性 に基 づ く事物 の秩序 を破壊す るこ とで内奥性 を回
復 しよ うとす る『 否定 の否 定』 では,『 企 て』 とい う構 え自体が否定 され る。」XXVと 説 明 し
てい る。
2つ の教育 につい て整理す る と,「 発達 としての教育」は,教 員 が子 どもに身 につ け させ
たい 「力」 を想 定 し,そ の 「力」 を身 につ けさせ るため の 「企 て」 に よって子 どもを変容
させ る教育であ る。 ここで言 う 「力」 とは,社 会 で生 きて い くにあた り身 につ けてお くベ
きもので あるだろ う。 これ に対 して ,「 生成 としての教育」に よる変容 は ,子 どもたちが生
き方 についての考 え方 を変 えて しま うこ とであ り,教 員 がね らって身 につ け させ るこ とが
できるよ うな明確 な 「力」ではない。 また ,社 会 で生 きてい くうえで必ず しも必要 な もの
ではない。 あ る体験 を通 じて 変容 が起 こる子 どももいれ ば,変 容 が起 こ らな い 子 どももい
る。 また,変 容 が起 こる子 どもの 中で も,同 じよ うに変容 してい る とは限 らな い。 したが
って ,「 生成 としての教育」は,引 き起 こそ うと思 って起 きるものでは な く,教 員 にで きる
ことは,「 生成 としての教 育」が起 こ り得 る体験や環境 を用意す るこ とに留 ま り,ま た,そ
の成果 は子 どもた ちに委ね られ る。2つ の教 育 が持 つ この よ うな特性 か ら,「 生成 としての
教 育」 は教育 として捉 え られ なか っ た と考 え られ る。
もちろん学校教育にお いて も生成 としての教育 の側面 を持 つ活動 は実施 され てい る。代表
的 な例 として ,道 徳教育 が挙 げ られ る。 しか し,道 徳教育にお いて も,教 員 は子 どもに身
につ け させ たい力 を想 定 し,授 業 を実施す る。 さらに ワー クシー ト等 を利 用 して子 どもた
ちに どの程 度身 につい たか を確認す るこ とが多 い。 これ らの教員 の動 きは 「企 て」 あ り
,
そ の 点で 「発達 としての教 育」 の面が強 い と考 え られ る。
前 出 の 自然学校 の 目的や ,そ の 変遷 に影響 を与 えた検討事項 につ いて,「 発 達 としての教
育」 と 「生成 としての教育」 の どち らを 目指 してい るのか分析 を行 った。 以 下に 「発達 と
しての教育」の側 面 が強い と感 じた部分 を下一 重線 で ,「 生成 としての教育」の側面 が強 い
と感 じた部分 を下波線 で ,ど ち らの側面 も持 ち合 わせ てい る と感 じた部分 は下 二重線 で示
してい る。
10
実施要項 (昭 和 63年 度 )
学習 の場 を教室か ら豊 かな 自然 の 中へ 移 し,児 童が人や 自然 とふれ あ い,地 域社会 へ の理 解 を深 める
な ど,様 々 な活動 を年間指導計画 に位置付 けて実施す ることに よ り,心 身 ともに調 和の とれ た健全 な
児童 の育成 を 目的 とす る。
〈
平成 9年 度 自然学校推進事業検討委員会〉
。自然学校 の原 点 に帰 り,自 然 と豊 かにふれ あ う活動 を通 して ,自 然 に対す る認識 を広 げ,深 め させ
る プ ログラム を一層 充実 させ る必要があ る。
・ 震災体験 を踏 まえ,生 命 あるもの を身近 に感 じさせ ,生 命 を尊重す るこころを醸成す るプ ログラム
を開発 し,実 践す る必要があ る。
・ 自然学校 で体験 し,学 んだ ことを学校や家庭等 ,普 段 の生活 に生 きてはた らくよ う配慮す ることが
大切 である。
(平 成
13年 度 自然 学校 推進 事 業検討 委 員 会 〉
。学校 生活 で は体 験 で きな い 非 日常的 な体 験活 動 を重視 し,滞 在 型 の 自然 学 校 や ゆ と りあ るプ ロ グラ
ム を設 定す る ともに ,児 童 が 自然 や 人 ,地 域 社 会 と十 分 にか かわ る こ とが で き る よ う工 夫す るこ と
が大切 で あ る。
・ 児 童 が 計画段 階 か らプ ロ グ ラ ムづ く り等 に積 極 的 に参加 した り,児 童 の 興 味 。関 心 を重視 した選 択
プ ロ グラ ム を取 り入 れ る等 ,児 童 の 主 体性 を重 視 す る こ とが大切 で あ る。
。自然 学校 の 趣 旨を生 か し,ね らい を達成 させ るには ,長 期 間 の 連 続 した ま とま りの あ る活 動 日程 が
必 要 で あ り,安 全 。健 康 面 に十 分配慮 し,特 色 あ る 自然 学校 を実施 す る こ とが大切 で あ る。
〈
平成 19年 度 自然学校評価検証委員会〉
○ 自然学校 の一層 の 充実 を図 るための 「 6つ の方 策」
方策
1:自 然学校 と他 の教 育活動 との 関連 を図 る取組 の充実
方策
2:事 前
。事後 の 学 習活動 の一 層
方策 3
学校 では得難 い体験活動 プ ロ グラムの 充実
方策 4
社会性や 自立性等 を育む ための集 団活動 の充実
方策 5
子 どもの成長 過程 を踏 ま えた体 験活 動 の 充実
方策 6
家庭や 地域 との一 層 の連携 を図 る取組 の 充実
実施要項 (平 成
26年 度 )
学習 の場 を教 室か ら豊 かな 自然 の 中へ 移 し,児 童 が人や 自然 ,地 域社会 と触れ合 い ,理 解 を深 め るな
ど,長 期宿泊体験 を通 して , 自分で考 え,主 体的 に判 断 し,行 動 し,よ りよ く問題 を解決す る力や
,
生途上塗鵬磁鐘疑奥2念 ,感 動す る心 ,共 に生 きる心 を育む な ど,「 生 きる力 Jを 育成す ることを 目的
とす る。
実施 当初 に比 べ る と近年 の もの は「発達 としての教育」の側 面が強 くな ってい る。特 に
,
13年 度 の 自然学校推進事業検討委員会か らそ の傾 向が顕著 になってい る。第 2節 で
述 べ た通 り,平 成 13年 度 の委員会 にお ける検討事項が 自然学校 の 内容 に 関す るものが 中
平成
心であ り, 日標 につい て言及 した もので な い こ とが原 因であ ると考 え られ る。 また ,平 成
19年 度 の委員会に置 ける検討事項 につい て も,同 様 に,自 然学校 と他 の教 育活動 を結 びつ
ける ことで教 育的効果 をあげ よ うと してい るこ とか ら,「 発達 としての教育」の側 面が強 く
9年 度 の委員会以前 の検討 で, 自然学校 の 日
標 はあ る程度揺 るがな い ものに な っ た と言 うこ ともで きる。確 かに,平 成 26年 度 の 実施
な ってい るもの と考 え られ る。 つ ま り,平 成
要項 か ら読み取 られ る 目的 も 「発 達 と しての教 育」 の側面が増 えはてい るものの 「生成 と
しての教育」 を重視 してい ると考 え られ る。 また ,「 自然学校推進事業 20年 目の評価検証
生 きる力 を育む 自然学校 」 では ,平 成
19年 度 の 自然学校評価検証委員会 において 「事業
ス ター ト時 の基本理念 を重視す ること」とい う意見が出た とい う記述XX宙 がある。そ こで 第
2節 で明 らかに した 自然学校 の実施 当初 の究極 の 目標 につ いて も同様 に分析 を行 う。
自然学校実施 当初 の 究極 の 目標
1.
,問
題解決能力 ,粘 り強 さな どを培 う
2.生 きる喜 びや苦 しみ を知 り,思 いや り,協 調性 ,社 会性 な どを身 に付 ける
以 上のよ うに 「生成 と しての教育」 の側面 が強い部分 が多 い こ とが 分 か る。 実施 当初 の
提言や ,震 災体験 。須磨 での事 件 な どの存在 , さらに 「事業 ス ター ト時 の基本理念 を重視
す ること」とい う意見 もあ ることか ら,自 然学校 の 目標 はや は り,「 生成 としての教 育」を
重視 してい るはずである。 それ に も関 わ らず ,近 年行 われ てい る評価 ・検 証 では, 目的 を
重視 しないで ,プ ロ グラム論 に傾倒 してい るよ うに感 じられ る。確 かに, 自然学校 は学校
教 育 の 中で実施 され るため,ど うして もプ ロ グラムの 開発 な ど,「 発達 と しての教 育」の 面
での取組 が検討 され がちで ある。そ の理 由 として前述 の よ うに,「 生成 と しての教 育」は教
員 の側 の手 立てに よつて意 図的 に実施 で きるもので はない ことが考 え られ る。したがって
,
教員 にで きるの は,「 生成 としての教育」が起 こ りうる環境 を整 えることに留 ま り,成 果 は
子 どもたちに委ね られ ることにな る。 つ ま り,成 果 を出す こ とがで きない こ とも考 え られ
る。 そ の ため,少 しで も成果 をあげよ うと特色 あ るプ ログラ ム をデザイ ン し,そ のプ ロ グ
ラム を消化 してい く方 向に進 んでいって しま うことが危惧 され る。行政側 が 日標 を意識 さ
せ な いで,プ ロ グラム論 の重要性 を強調すれ ばす るほ ど,現 場 では,プ ロ グラムデザイ ン
が 自然学校 の本質 になって しま う。 そ の ため,兵 庫県教育委員会 をは じめ とす る自然学校
に 関 わ る行政 は,プ ログラム論 の根底 に 「自然学校 で育 てたい子 どもの 姿」 とい う目標 が
あ ることを今 一度 ,強 調 してい く必要 が あるだ ろ う。
以 上のよ うに,自 然学校実施 の経緯や 目標 につ いて 「発達 としての教育」,「 生成 として
の教 育」 の視 点 を用 いて分析す る と, 自然学校 の 目的が ,学 校教 育 では難 しい 「生 成 とし
12
ての教育」の 実施 であ ると明 らか になった。 しか し,近 年 ,行 政側 が「発達 と しての教育」
の 面 を中心 に検討 を実施 してい ることも明 らかにな っ た。
この よ うな行政側 の現状 を受 けて,実 際 の教育現場 では どの よ うに 自然学校 が実施 され
てい るか,第 2章 で分析 してい く。
13
2章
第
第 1節
自然 学 校 に お け る 指 導 の 実 態
プ ログラムか ら見 る 自然学校 における活 動 の 実態
第 1章 においては , 自然学校 を通 して , どの よ うな子 どもを育てて い くこ とが 日標 であ
るのか , 日標 の変遷 も踏 まえて明 らかに してきた。本章 では ,日 標 実現 の ために実 際 の 自
然学校 において どの よ うな活動 が行われ ,そ の 指導者 であ る教員 ,指 導補助員 が どの よ う
に活 動 してい るのか ,そ の実態 につい て明 らか に してい く。 そ の 際 ,実 施者 である教員・
指導補助員 ,双 方 の立 場 か ら考 えてい く。
本節 においては, 自然学校 で どの よ うな活動 が 実施 され ているのか ,実 際 の 自然学校 で
実施 されたプ ログラムか ら明 らかに してい く。
自然学校 で実 際 に どの よ うな活動が行 われてい るかの参考 として ,筆 者 が実 際 に参加 し
た小 学校 の 中か ら典型 的な例 である と感 じた姫 路市 立
S小 学校 2013年 度 のプ ログラム を
ま とめた ものが以 下 の表 1で あ る。
表
生︲ ユ
則
1日 目
2日 日
出発 式
隠れ家
1:自 然学校 における活 動例
3日 目
4日 目
登 山
野 外炊飯
午
後
一
枚
陶芸体験
作り
オ リエ ンテ
隠れ家
登山
ー リング
作り
竹 ス プ ー ン作 り
ス タ ンツ練 習
指導補助員
家族 へ の
との交流会
手紙
星空観 察
キャンプフ ァイヤー
野外炊 飯 (片 付 け)
5日 目
大掃除
木 エ ク ラフ ト
退所式
閉校式
プ ログラムについてはい くつかの先行研究がある。安波 ら (2006)XXV■ は,「『 野外炊事
活動』や『 選択活動』をプ ログラムに組み入れ ることの有効性 が確認 された。」と報告 して
い る。同様に,関 田ら (2013)XXViiiは ,プ ログラムタイプの異なる自然学校 を比較 し,「 生
活体験 。レクリエー ション重視型 の 自然学校 を経験す ると,『 心理的社会的能力』が向上す
るのに対 して,野 外体験 。地域学習重視型の自然学校を経験する と,『 心理 的社会的能力』
『 徳育的能力』
『 身体的能力』の 3つ の能力が ともに向上す ることが明らかになった。」 と
報告 した うえで,「 日常で経験できない 自然体験や学習活動を取 り入れたプ ログラム構成 に
す ることが重要 となる。」 と述べ ている。
実際にどのよ うなプ ログラムが取 り入れ られてい るのか,筆 者が これまでに参加 した 16
校 の小学校 の 自然学校における活動プ ログラムの実施数 を次ページの図 3に ま とめた。
14
16
14
12
10
8
6
4
2
0
う が′
う
り
ヽ
ど んイヾ/
ス
√
叩ギ
'
図 3:自 然学校 における各活動 プ ログラムの 実施校数
実施数が最 も多 いプ ロ グラムは ,キ ャ ンプフ ァイヤ ー で全 ての学校 で実施 されていた。
次 いで 野外炊事 ,オ リエ ンテー リング,家 族 へ の 手紙 ,工 作 ,セ ー リング,ゲ ーム大会 と
続 く。
キャンプ フ ァイヤ ー は ,火 を囲んでゲー ムや ス タンツを行 うレク リエ ー シ ョン的 なプ ロ
グラムであ る。 たいていの場合 ,指 導補助員 がプ ロ グラムの運営や準備 をまか され ,ゲ ー
ムや ス タンツによって子 どもた ちを楽 しませ る。指導補助員 だけでな く,子 どもた ちもス
タンツを行 うため, 自然学校 を通 してプ ロ グラ ムの空 き時間等 に ス タンツ練習 の時間が設
定 され るこ とが 多 い。 また,指 導補助員 とのお別れの会や , 自然学校 を通 して学 んだ こ と
を振 り返 る活動 としての面 を持 たせ る場合 がほ とん どであ る。そ のため 4日 目の夜 に実施
され ることが多 い。 3日 目の夜 に実施す る場合 もあるが ,そ の多 くが施 設 を複数 の学校 で
使用 してお り,4日 目に フ ァイヤ ー場 を使用す ることが出来 ない 学校 が実施 してい る場合
であ る。 また ,3日 目にキャ ンプ フ ァイヤ ー を実施 し,4日 日にキャ ン ドル サ ー ビス でお
別れ のセ レモニー や学習 の振 り返 りを行 うとい う学校 も存在 した。
野外炊事 は,そ の名 の 通 り野外 での調 理 を行 うプ ログラム であ る。 そ の 多 くが飯 ご う炊
飯 を含 めたカ レー 作 りであ り,野 外炊事 実施 の 15校 の うち 14校 が実施 していた。残 る 1
校 は,地 引 き網や ,釣 りで手 に入れた食材 を用 いてバー ベ キ ュー を実施 していた。 この よ
うなバ ーベ キ ュー について は ,カ レー 作 りとは別 の機会 に実施 してい る学校 もあ つ た。 実
施率 の 高 いカ レー 作 りについ ては,班 で活 動す る場合 が 多 く,準 備 ,調 理 ,器 具 の 片付 け
まで を班で責任 を持 って行 う。 特 に,片 付 けは施設 によるチ ェ ックが厳 し く,班 で協力 し
なけれ ば時間がかか るため,仲 間 と協力す る姿勢 を育てた い とい う教 育的 な意 図 も感 じら
15
れ る。 また ,野 外炊事 の 特徴 と して,ガ スや電気 ではな く,薪 を燃 や して調理す ることが
挙 げ られ る。 そ の際 ,火 起 こ し器 を用 い た火起 こ し体験 を実施す る学校 もある。 これ まで
参カロした印象 として ,子 どもたちに とって調 理 を行 うことは 日常的 な ことではない よ うで
,
調理 を通 して子 どもたちは, 日常生活 で 当た り前 の よ うに料理 がでて くる ことへ の感 謝 の
思 い を持 つ よ うであ る。
オ リエ ンテー リングは,施 設 の使 い 方 を知 るために行 われ る。 そ の ため施設 に入 所 して
最初 のプ ロ グラム として実施 され るこ とがほ とん どである。 たいていの場合 ,班 ごとに施
設 内 を自由に回 り,食 堂や風 呂な ど
5日 間生活す る うえで必ず使用す る場所 を確認す る。
施設 に よつては,各 設備 を使用す る うえで知 ってお くべ きこ とをクイ ズ に して用 意 してい
る場合 もあ る。
家族 へ の 手紙 は,子 どもた ちが 自然学校 の宿泊施設 か ら家族宛 に手紙 を書 いて送 るプ ロ
グラ ムであ る。 13校 で実施 され ていたが ,そ の うち 12校 は 2日 目に実施 していた。残 る
1校 も 1日 目に実施 してお り,比 較的序盤 に実施 され るプ ログラムである。 子 どもた ちが
自然学校 の 思 い 出 を家族 に伝 えるには ,1日 日,2日 日では実際 に実施 したプ ログラ ムの
数 が少 ない とい う問題 があるが , 自然学校 実施 中に各家庭 に届 くよ うにす るには,こ の よ
うな 日程 になって しま うよ うであ る。 家族 に向けて手紙 を書 くことを通 して ,子 ど もた ち
は,家 か ら離れ た場 所 で生活 してい るこ とを認識す るよ うである。 また,家 族 も子 どもた
ちが離れて生活 を してい ることを認識 した り,子 どもたちの様子 を知 って安 心 した りす る
よ うである。
工 作は,各 学校 で何 を作 るのか にば らつ きがあ っ た。実施 された具体的な内容 としては
,
陶芸 ,焼 き 目をつ けた板 にデ コ レー シ ョン をす る焼 き板 ,施 設 内で切 つた木材 を使 った木
エ クラフ ト,施 設近辺 の砂浜で砂 の造形 ,蛍 光塗料や ,蛍 光 の紙 を用 いた工作 ,鉱 山で拾
っ た鉱石 を樹脂封入す るな どであ る。 作 っ た作品について は,自 然学校 のお土 産 と して持
ち帰 ることが 多 いが ,砂 の造形や ,蛍 光紙 による作品について は発表会 を実施 していた。
陶芸 に 関 しては,陶 芸 を専門に した外部 の講師 を呼んで指導 をお願 い していた。 また ,学
校 か ら宿泊施設 に向か う途 中に陶芸体験 ができる施設 があ り,1日 目の道 中 に立 ち寄 り
,
陶芸体験 を実施 してい る学校 もあ つ た。
以 上の活動 は, どの施設 , どの学校 で もたいていの場合 ,実 施 され てい るプ ログラム で
あった。 一 方 ,図 3に お けるセ ー リング以 下の活動 は,施 設や ,施 設近辺 の 自然環境 に よ
11校 であ る
が ,そ の うち,8校 が宿泊施設 が海 の近 くであ る。同様 に,山 登 りを実施 してい る 5校 は
って 実施 の様子が変わ ってい る。例 えば,セ ー リング を実施 してい る学校 は
,
いずれ も宿泊施設 の近 くに登 山 コースの あ る山があ った。 この よ うに,各 校 で施設 の周 り
の環境 に合 わせ てプ ログラム を設定 してい るよ うであ る。
以 上の よ うに,学 校 に よって様 々 なプ ログラ ムが実施 され てい ることが分か る。 関 田 ら
は,「 自然学校 を通 して児童 に生 きる力 を有意義 に育成す るためには,自 然学校 を実施す る
16
前に児童 の生 きる力 の実態 を把握す る と同時に ,自 然学校 に対す る学校 の 目的 を明確 に し
て,自 然学校 のプ ログラム を構 築 してい くこ との必要性 」XX破 を示唆 してい る。したが つて
,
自然学校 のプ ログラム には,設 定 した指導者 の意 図がある こ とにな る。 これ らプ ログラム
を設 定 し,指 導 を実施す る指導者 は どの よ うな意識 を持 って指導 を実施 してい るのか ,次
節以 降 で明 らかに してい く。
17
第 2節
引率教員か ら見た 自然学校 の 実態
前節 に よ り活動 の 実態 について明 らか になったが,指 導 の 実態 を明 らかにす るためには
,
活動 の 際 に,指 導者 が どのよ うな意識 を持 ち, どの よ うな指導 を実施 してい るのか を明 ら
かにす る必要がある。 まずは,指 導者 の うち,教 員 の意識 につい て述 べ ることにす る。 具
体的 には,以 下 の 項 目につい ての意 識 を明 らかに したい。
。自然 学校 を通 して ,子 どもに身 に つ け させ たい力
・ 自然 学校 にお け る 目標 を達成 す るた めの 教 員 。指 導 補助 員 それ ぞ れ の役 割
。自然 学校 を通 して 子 どもに身 に つ く力
・ 自然 学校 の 活 動 中に感 じてい る問題
以 上の項 目につい ての意識 を明 らかにす るた めに,自 然学校 の 引率経験 があ る教員 にイ
ンタ ビュー を実施 した。
本節 においては,教 員 を対象 に実施 したインタ ビュー か ら,教 員 に よる指 導 が どの よ う
な 目標 の も と,ど の よ うに行 われ , どの よ うな成果 と課題 があ るのか 明 らかに してい く。
(1)イ ンタ ビュー の方法 と質問内容
イ ンタ ビュー はそれぞれ個別 の機会 に ,イ ンフ ォーマ ン トとイ ンタ ビュアーの 1対 1の
形態 で実施 した。 い ずれ も レコー ダー に よる録 音 の許可 を受 け,録 音 を行 い なが らイ ンタ
ビュー を実施 した。
イ ン タ ビュー 実施前 には,事 前調査 として質 問紙 によるイ ンフ ォーマ ン トの 属性調査 を
行 い ,事 前調査 に よる属性情報 も必要 に応 じてイ ンタ ビュー に活用 した。
イ ンタ ビュー 実施 中は以下 の よ うな質 問項 目を中心 に話 を聞 い た。
。自然学校 を通 して,子 どもに どの よ うな力 を身 につ けさせ たい と考 えてい るか
。自然学校 を通 して,子 どもに どの よ うな力が身 につ くと感 じてい るか
。指導 にあたって ,教 員 。指導補助員 の役割 はそれぞれ どの よ うに考 えてい るか
。自然学校実施 中 に困った こと, しん どかった ことは どの よ うなこ とか
(2)イ
ンフ ォ ー マ ン トに つ い て
今 回イ ン タ ビュー に協 力 してい ただい たイ ン フォーマ ン トにつ い て 質 問紙 に よる事 前調
査 で 明 らか になっ た 属性 を以 下 の 表
2に ま とめた。
18
表 2:イ ンフォー マ ン ト (教 員 )の 属性
′
性男リ
教員経験年数
勤務 してい る市町村
引率回数
うち担任 と しての 引率回数
K.A
女
14年
淡路市
13回
4回
N.T
男
7年
姫 路市
4回
1回
0.K
M.R
男
33年
相 生市
15回
0回
男
2年
加東市
1回
1回
(3)イ ンタ ビュー か ら明 らかになった こ と
イ ンタビュー を通 して明 らかになった ことを 4つ の観 点 ご とに ,特 徴的 なイ ンフ ォーマ
ン トの発言 と共に以 下に記述 してい く。
○ 自然学校 を通 して ,子 どもに身につ け させ たい力
自然学校 を通 して ,子 どもに身 につ けた させ たい力 は,「 自然学校 の 目標 。めあて」 と言
い換 えるこ とがで きる。 自然学校 の 目標 として ,イ ンフォーマ ン トか らは 「規律 正 しい生
活態度 の育成 」「協力す る心の 育成」「学習 の実践」「自立 的 な態度 の 育成」「自主的 な態度
の 育成 」「自然 とふれ あ う経験」 が挙 げ られた。 この うち 「学習 の 実践」「自然 とふれ あ う
経験 」 はそれぞれ 1名 ず つが挙 げて い るだけで あるが,そ れ以外 の項 目は複数 のイ ンフ ォ
ーマ ン トが挙 げて い る。福 田 ら(1992)に よる自然 学校 の「参加教員 の意識 」に 関す る調査XXX
において,「 ね らい 。目的」として多 くの学校 が設 定 していた項 目は,設 定率が高 い順 に「自
主的 ,自 立的 な精神 を養 う」「豊かな 自然 の 中で ,学 校では味わえな い 体験学習 をす る」「協
力 ,連 帯 の態度 を養 う」「地域 の 自然 ,生 活 ,文 化 な どの特色 を知 る」「子供 同士の友情 を
深 め る」「規律 ある行動 を身 につ ける」「自然 に親 しむ 」 であった。 これ らの うち上位 3つ
の項 目は 76%以 上 の学校 で設 定 され てい る 日標 であ り,こ れ ら 3項 目がイ ンタ ビュー にお
いて も挙 げ られ てい ることな どか ら,調 査方法 は異 なるが ,今 回 の調 査 とほぼ 同様 の 内容
を見 出せ た と言 えるだ ろ う。 また,吉 田(1988)に よる,「 自然教室に よって児童 。生 徒 に期
待 したい成果」の調 査XX対 において も,上 位
3項 目は「自然 に親 しむ態度 を育て る」「児童・
生徒相 互 の交流 が深 ま る」「規律 ある生活態度 の 育成 がで きる」であ り,今 回 のイ ンタ ビュ
ー と同様 の結果で あ る と言 えるだろ う。福 田 らは調査 か ら明 らかになった「ね らい 。日標 」
に関 して 「人間育成 」 と 「通常 とは異 な った学習環境 の活用 」 の大 き く 2つ に類別 で きる
と述 べ てい る。同様 に ,吉 田も調査 によって明 らかになった項 目を「自然 に 関 わ る」と「一
般 的 な人間 育成 に 関す る」の 2つ に分 けた うえで ,挙 げ られ た項 目の ほ とん どが 「一般 的
な人 間育成 に関す る」 もの であった としてい る。今 回 のイ ンタ ビュー によ り明 らかになっ
た項 目は,「 人間育成」に分類 で きるものが,「 規律 正 しい生 活態度 の 育成 」「協力す る心 の
育成 」「自立 的 な態度 の 育成」「自主的 な態度 の 育成」である。残 る 「学習 の実践」「自然 と
ふ れ あ う経験」 が 「 自然や学習環境 に関す る」 目標 であ る と言 える。今回 の イ ンタ ビュー
19
において も,や は り複数挙 げ られた の は 「人 間育成」 に関す る 目標 であつた。
N.T:担 任 として連 れ て行 っ た時 は ,挑 戦 す る とい うか ,い ろん な こ とに取 り組 ん で い
く力 とい うか ,学 校 で は で き る こ とが 限 られ て くるか ら,学 校 で はで きな い 経 験 を
通 して ,「 こん な こ とが で き るんだ」 とか 「こん な こ とが あ るん だ 」 とか ,ま ぁひ と
くく りで言 うと挑 戦 した り,自 分 で した い こ とを見 つ け る力 って い うの を ,ち ょっ
と抽 象 的や け ど… 。
M.R:
学 校 の机 の上 での勉 強 じゃな くて ,外 で友達 と協 力 して 何 か一 つ の こ とを行 うっ
てい うよ うな協力 す る力 をつ け させ た い な と思 って ま した 。
これ らの 日標 につい て ,全 てのイ ンフ ォーマ ン トが,学 年 団で決 定 され た 目標 であ る と
述 べ てい る。 目標 に関 しては,兵 庫県教 育委員会 か ら出 され る実施要項 に 「日的」力ヽ
明記
され てい る。 それ を受 けて各市町村 の教 育委員会 か ら学校 に要項が下 りて くるよ うにな っ
てお り,こ の要項 に も 「趣 旨」 として 目標 が記述 され てい る。 しか し,今 回話 を聞 いた全
てのイ ンフォーマ ン トが ,要 項ではな く目の前 の子 どもの実態や 学年 の 目標 を参考 に して
,
自然学校 を通 して子 どもに育 てたい力 を設 定 してい る と述 べ てい る。結果的 に ,行 政 が示
す 日標 と重 な る部分 があ ると感 じてい るよ うであ るが , 自然学校 の 目標 は,教 員 の 思 いが
反映 された もので あ る と考 え られ る。
N.T:
どっ ちか っ てい うと,学 校 の 課題 とい うか ,学 年 の 課題 。組 ん で る先 生 と話 して
,
「も つ と自分 か らで き るよ うに な った らいい よね 」とか って い うと ころか ら生 まれ て
きた もの や か ら, どち らか とい うと,学 年 。学校 の課題 か な。 そ れ が 行 政 の 言 うと
ころ と結 び つ く部 分 もあ る と思 うけ ど,実 際計 画 す る段 階 で は ,実 態 を見 て 。
O.K:
今 の 子 どもつて よ く 「先 生 ,次 ,何 す るん ?」 って 受 け身 な こ とが 多 い か らそれ
を絶 対 に させ な い でお こ う,そ こを鍛 えて い こ うって い う学校 もあ つて 。(中 略 )日 々
の 生活 の 中 で ,自 分 で時計 見 なが ら,何 分前 に行 動す るに は ,今 か ら何 した ら良 い
か って ,自 主 的 … , 自主 自立 性 み た い なそ うい った もの を一 番 要 求 したか な。
○ 自然学校 を通 して子 どもに身 につ く力
全 ての教員 が , 日標 として設 定 していた項 目に関 して,成 果 を実感 してい る と述 べ てい
る。 したがつて,「 学習 の 実践」や 「自然 とふれ あ う経験」ができ,そ れ に よって 「規律 正
しい生活態度 」「協力す る心」「自立的 な態度」「自主的 な態度」が子 どもに身 につ く力 とし
て挙 げ られ た。特 に,「 自立 的 な態度」に関 しては,日 標 として設 定 していたか ど うかに関
20
わ らず ,全 てのイ ンフォーマ ン トが子 どもに身 につい た と感 じてい る。「 自立」に関 してイ
ンフ ォーマ ン ト0.Kは ,子 どもが 自分 の ことを 自分 です るよ うにな った 姿を「た くま し く
な った」と表 現 してい る。「自然学校 を通 して子 どもた ちがた くま し くな った 」とい う言葉
はよ く耳にす るが ,「 た くま しさ」を具体的に 「自分 の ことを 自分です る 自立的 な態度 」の
こ とであ る と教員 が認識 してい ることが分か っ た。 日標 に 関与 していない 部分 と しては
「人付 き合 いの 方法 」について
「人付 き合 いの方法 」が身 につい た とい う意見が出て きた。
イ ンフォーマ ン トKAは
,
,
「思春期 の入 り口」 とい う表現 を用 いて説 明 してい る。
N.T:集 団行動 とか,も ちろん多少 は意図 してい る ところではあるんや け ど,自 分 た ち
が意 図 していた,教 師が考 えてた以上 に成長 してたね。自然学校 をき っか けに して。
なんて言 うかね ,み んなで一 つ の ことをや ってい くってい う気持 ち とか,話 し合 っ
てい こ うとか ,高 学年 に向けて学年 で盛 り上 げて い こ うってい う意識 は出て きたな。
O.K:や つぱ り,
自分でや るつてい う部分。子 どもに よっては,全 部 を親 におんぶ に抱
つ こだつた子 もい るだろ うけ ど,や っ ぱ り,そ の子 な りに 自分で 自主的 に行動 で き
るつてい う部分 はみんな育 って る。 で ,み んなだいたいた くま し くな って る つてい
う評価 を先生 は してい る。 た くま し くな って帰 って きて い るな って。それ は ,だ い
たい どこの学校 で も。
K.A:
自然学校 をす る前 とした後 では全 然子 どもが違 う。 特に ,い わ ゆる 「思春期 の入
り口」 って言 えばいいのか な … そ うい う考 え方 を しだす。」「仲 間意識 とか ,ち ょっ
と大人の人付 き合 いがで きるよ うにな って くる。例 えば,子 ども向けの説 明会 では
言 うことやねん け ど…。や っば りい ろんな人がお るや ん。 お 家 によって家庭 でのル
ール ってい ろい ろあるか ら,「 うちでは こ うす る」,「 うちでは こ うしない」 とかって
部分 は,何 が正 しい とかではない 部分や んか。そ うい うプ ライバ シーの部分 を守 ら
せ るために 「見な いふ りす るこ とも大切や で」 っていつ も子 どもに言 うねんな。
○教員 。指導補助員 それぞれ の役割
全 てのイ ンフォーマ ン トが ,教 員 が主 導 して 自然学校 を進行 させ ,補 助員 が子 どもの 中
に入 つて一 緒 に活動す る形で細か い部分 に注意 を配 り,指 導 の補助 を行 う形が望ま しい と
考 えている。 しか し,現 状 として ,指 導補助員 に指 導 を任せ ,教 員 は後 ろで見 てい るだ け
とい う指導形態 も存在 してい る。 実際 にその よ うな指導形態 を経験 してい るイ ンフ ォーマ
ン トもお り,0.Kは この よ うな指導形態 を経験 した うえで望ま し くない と考 えてい る。イ
ンフ ォーマ ン トが この よ うに考 える理 由 として 「指導補助員 は, 自然学校 か ら帰 った後 に
指導 に対 しての責任 を取 ることができな い ことJ「 指導補助員 は 日常 の学校生活 での子 ども
21
の様 子 を把握 してい ない こ と」 の 2点 が挙 げ られ た。
0。
K:
や つぱ り,担 任 が 関 わ る中で ,そ の補助 ってい うかサブってい うか ,回 つ て もら
うのが,本 当 の リー ダーの役 目だ と思 うけれ ども,本 当におんぶ に抱 っ こ して しま
うってい うところ も実際 あ つたか ら,そ れ はや っ ば り甘 えす ぎなん ちゃ うかなって。
教師 が楽 したいか ら,あ の リー ダー選ぶ ってい う選択肢 はおか しいな と思 うね。
M.R:
指導補助員 の方 には,子 どもた ちと密 に接 して も らって ,普 段 の教師 日線 ではな
くて ,少 し年 の近 いお 兄 さんお姉 さん とい う感 じで接 して も らって ,子 どもた ち と
一 緒 に協力 して も らえれ ば良い と思っていま した。指導補助員 の方 に も,子 どもを
見て いて 「い けな い な」 と思 った部分 は しかって も らわな い とい けない と思 ってた
んです が,最 終的 にそ うい うところをきっち りして い くのが教員 の仕事 な のか な と
思 います。 (中 略)補 助員 には子 どもと関わ つて も らって ,自 然学校 中は教師 は一 歩
引 いて見てて つて感 じで。 主 導す るの は もちろん教 師だけ ど,子 どもた ち と一 緒 に
ってい う部分 では,補 助員 の方 の方が多 いのか な と思いますね。
K.A:
だつて責任 取 られ へ んか らね。 同 じことはで きひんやん。 で も一 緒 に運 営 してい
く部分に関 しては一 緒や んか ,子 どもを挟 んで。だ か ら一緒 に打 ち合 わせ もす る し
,
夜寝 かす ときは同 じよ うに指導 に入 つて も ら うし。 それか ら,自 然学校 の時 って私
らが言 うよ り, リー ダー さんに言 つて も らった ほ うが子 どもらも聞 く場合 があるや
ん。や っ ば り,自 然学校 の先生みた い な感 じなんや ろな。悔 しい け どな。
○ 自然学校 の活動 中に感 じてい る問題
自然学校実施 中に困 ることとして,「 教員 の負担増大」「教員 がや りた いプ ロ グラ ムが 実
施 で きない こ と」 の 2つ が挙 げ られ た。福 田 らの研 究 で も 「指導 に関す る意見 」 と して
「準備 ,運 営作業 の負担集 中」「時間外 。超過勤務」 の 2項 目について は得 点が高 く,「 指
,
導環境 には大いに問題や疑 間 を感 じてい ることがわか った。」 と分析 してい る。
「教員 の負担増大」に関 しては,3名 の イ ンフ ォーマ ン トが指摘 してお り,具 体的 には
,
夜尿や ホー ムシ ックな どの 「夜 間 の子 どもの対応 」 と,「 薬 の管 理 」が挙 げ られ た。プ ロ グ
ラム に関 して も, 3名 のイ ンフ ォーマ ン トが指摘 してお り,具 体的 には,天 候や ,施 設 ・
他校 との兼 ね合いの関係 でや りた い こ とがで きな い とい う意見が挙 げ られ た。
今 回困 った こととして挙 がった意 見 はいずれ も 「指導環境 」 につい ての意見であ り,指
導 の方法 な ど,指 導 そ の もの に関 しては 困 り感 を感 じていない よ うであ る。
22
M.R:
しん どかった と思 うの は,夜 尿 で起 こさない とい けない子 どもたちがいて,教 師
の体力的 に しん どか った の と,一 人途 中 でホー ムシ ックにな って あ と 1日 つてい う
ところです ごい泣 い た子が いて対応 が大変で した。 (中 略)あ とは,天 気 にも左右 さ
れ るので一応 雨 プ ロを用意 していて も,実 際 ど うす るのかってい う部分 は大変か な
って思 いますね。や りたい こと もで きな くな って しま うし。
K.A:
実際 の話 ,そ うい うギャ ップが しん どい。気持 ちの面では,お つた りた い し,親
とか子 どもの気持 ち考 えた ら,そ う思 うけ ど,労 働者 とした ら,こ っ ちも人間や し
ってい う部分 でなん とかな らへ んのかなって思 うことはあ る。 あ とはプ ロ グラムの
面や な。行 く施設 に よってで きるプ ロ グラムが違 うか ら,淡 路や と行 く施設 が毎 年
同 じやか ら,結 局 プ ロ グラム も同 じよ うな こと しかで きひんねん。 淡路 は連合 でい
った りす るこ とあ るけ ど,そ れや とほんまに, 自分 らが したい こ と,担 任 の したい
ことはで きへ ん。
イ ンタビュー を通 して ,教 員 の指導 に対す る意識 につい て以下の よ うな こ とが明 らか に
なった。
(1)「 自主的 , 自立 的 な精神 を養 う」「豊 かな 自然 の 中で ,学 校 で は味わ えない体験学習
をす る」「協力 ,連 帯 の 態度 を養 う」「地域 の 自然 ,生 活 ,文 化 な どの特色 を知 る」「子供
同 士の友情 を深 め る」「規律 あ る行動 を身につ ける」「自然 に親 しむ 」 ことを 目標 に指導
にあたってい る。
(2)自 然学校 にお ける 目標 は,子 どもの 実態 をも とに教員 が身 につ け させ たい力 を設 定
してい る。
(3)自 然学校 を通 して 「学習 の 実践」や 「自然 とふれ あ う経験」 がで き,そ れ に よって
「規律 正 しい生活 態度」「協力す る心」「自立的 な態度」「自主的 な態度 」が子 どもに身 に
つ くと感 じてい る。
(4)教 員 が主 導 して 自然学校 を進行 させ ,補 助 員 が子 どもの 中に入 つて一 緒 に活動す る
形 で細かい部分 に注意 を配 り,指 導 の補助 を行 う形 が望 ま しい と考 えてい る。
(5)「 指導補助員 は,自 然学校 か ら帰 った後 に指 導 に対 しての責任 を取 るこ とがで きな い
こ と」「指導補助員 は 日常 の学校 生活 での子 どもの様 子 を把握 していない こ と」が教員 が
指導 の 中心であ るべ き理 由 と考 えてい る。
(6)教 員 は,自 然学校実施 中に 「教員 の負担増大」「教員 がや りたいプ ログラムが実施 で
きない こ と」 の 2点 につい て困ることがある。
(7)教 員 の 困 ってい ることは 「教員 の負担 が大 きい こ と」「教員 がや りた いプ ログラムが
実施 できない こと」 であ り,い ずれ も 「指導環境」 につ いてで あ り,指 導そ の ものには
困 つてい な い。
23
第 3節
指導補助 員 か ら見 た 自然学校 の 実態
前節 によ り,教 員 が子 どもの実態か ら自然学校 の 目標 を設 定 し, 自然学校 においては全
体 を見 なが ら主 となって指導す ることが望 ま しい と感 じてい るこ とが明 らかにな った。 さ
らに指 導 の 実態 を明 らかにす るため, 自然学校 において,同 じ指導者 とい う立 場 であ る指
導補助員 の意識 につい て も明 らかにす る必要が ある。具体的 には ,以 下の 項 日につい ての
意識 である。
自然学 校 を通 して 子 どもに身 に つ く力
自然学 校 にお け る指 導補 助 員 の役 割
自然学 校 の 活動 中 に感 じて い る問題
自然学校 の 持 つ 魅 力
以 上の項 目につい ての意識 を明 らかにす るために,自 然学校 に指 導補助員 と して参加 し
た経験のある大学 生 を対象 にイ ンタ ビュー を実施 した。
本節 においては,指 導補助員 を対象 に実施 したイ ン タ ビューか ら, 自然学校 にお ける指
導 の 実態 を明 らかに してい く。
(1)イ ンタ ビュー の方法 と質問内容
イ ンタ ビュー はそれぞれ個別 の機会 に ,イ ンフ ォーマ ン トとイ ン タ ビュアーの 1対 1の
形態 で 実施 した。 いずれ も レコー ダー に よる録 音 の許可 を受 け,録 音 を行 い なが らイ ンタ
ビュー を実施 した。
イ ンタ ビュー 実施前 には,事 前調査 として質問紙 によるイ ンフ ォーマ ン トの属性調 査 を
行 い ,事 前調査 に よる属性情報 も必要 に応 じてイ ンタ ビュー に活用 した。
イ ンタ ビュー実施 中は以 下 の よ うな質 問項 目を中心 に話 を聞 いた。
。自然 学校 に参加 した理 由
・ 自然 学校 を通 して , 自分 が 得 た も の
。自然 学校 を通 して ,子 どもに どの よ うな力 が 身 に つ くと感 じてい るか
。指導 に あた って ,指 導 補助 員 の 役 割 を どの よ うに考 えて い るか
。指 導 の 際 に ,大 切 に して い る こ と
。自然 学校 実施 中に困 っ た こ と, しん どか った こ とは どの よ うな こ とか
(2)イ
ン フ ォ ー マ ン トに つ い て
今 回 イ ンタ ビュー をお こな ったイ ン フォー マ ン トに つ い て 質 問紙 に よる事 前調査 で 明
24
か に な った 属性 を以 下 の表 3に ま とめた 。
表 3:イ ンフォー マ ン ト (指 導補助 員 )の 属性
′
性男J
学年
出身地
福 井 県
指導補助員
4回
男
Ml
t.a
女
3
姫路市
7回
y.a
女
3
加西市
2回
m.k
女
3
三 田市
1回
kom
女
2
川西市
2回
■k
男
2
小野市
2回
k.y
女
4
y.Illl
女
3
(3)イ
ンタ ビュー か ら明 らか に な った こ と
揖 保 郡
太子 町
南 あわ
じ市
備考
経験 回数
WoS
越前町
日常 的 に子 ども と関 わ る機 会
・ 塾講師
小 学 校 時 ,類
・ 家庭教師
似行 Jrぁ り
い とこ (小
遊ぶ
教員志 望では
ない
無 し
保 育園 の補助
塾講師
(中 学 生 )
無 し
キャンプ リー ダー
(NPO
主催 )
家庭教師
5回
3回
1)と
学校補助
・ ボ ランテ ィア (学 習補助・
レク リエ ー シ ョン)
イ ンタ ビュー を通 して 明 らか に なった こ とを 4つ の観 点 ご とに ,特 徴 的 なイ ンフ ォ ー マ
ン トの発 言 と共 に以 下 に記 述 してい く。
○ 自然学校 を通 して子 どもに身 につ く力
自然学校 を通 して ,子 どもたちに身 につ く力 として 「協力す る心」「自立的な態 度」が 挙
げ られた。福 田 ら(1995)XXX五 に よる指 導補助員 を対象 に実施 した調査 において も指導補助員
が 自然学校 において 「児童 にみ られ た効果 」 と して 「協力・連 帯」「自主 。自立」の項 目が
上位 に入 つてい る こ とか ら,今 回 の イ ンタ ビュー と同様 の結果 が得 られ た と言 えるだ ろ う。
「協力す る心」に関 しては, 8名 の うち, 6名 のイ ンフォーマ ン トが子 どもたちの協力
す る姿勢 が 見 られ た とい う趣 旨の発言 を してい る。
「自立 的 な態度」 に 関 しては , 自分 の こ とは 自分です る とい う意味 だけでな く,問 題 が
発 生 した時 に大人の力 を借 りず に , 自分 たちだ けで解決 しよ うとす るな ど,「 協力す る心」
と関連 した成果 も感 じてい る。
25
一 方 で,教 員 が成 果 を感 じていた 「自主的な態度 」 に関 しては ,不 満や課題 を感 じてい
るイ ンフォ ーマ ン トも数名 い た。 プ ロ グラム 中,子 どもた ちの 中 に入 つて一 緒 に活動す る
指導補助員 の立場 か らは,子 どもたちがプ ログラム を流 してい るだ けで終 わ ってい る と感
じる場面があ るよ うだ。
m.k:
最 後 に 自然 学校 に つ い ての 新 聞作 りを した 時 に ,グ ル ー プ でま とま りが で て きて、
仕切 る子 が で て きて ス ムー ズ に活 動 で きてい たか ら,チ ー ム ワー クみ たい な も のが
で きて る と思 い ま した 。
k.m:
身 の 回 りの こ とを 自分 で で き る よ うにな った りとか 、で きない子 には で きる子 が
助 けて あ げ る よ うに な って 、ひ っ ぱ って くれ る よ うにな った りとか …。 今 年 行 っ た
学校 は 、
2つ の学 校 が合 同や つ たので 、違 う学校 です け ど、 日に 日に団結 してい っ
た な と思 い ます 。 班 も違 う学校 の 子 も混 ぜ て あ ったん で す け ど、協 力 で き る よ うに
な った り、役 割 分 担 とか も 自分 た ちでや って 動 け るよ うに なって い った り、そ うい
うところだ と思 い ます 。
k.y:
もつ と班 の活動 とか ,子 どもたちが 自主的 にで きることを増や した らいいの にな
と思います。や っぱ り先生 が組 んだプ ロ グラムに沿 つて進 んで るのか な と思います。
私 が小 学校 の 時に比 べ た ら,自 分 た ちで考 え られ るス タンツ とか 増 えて るんです け
ど,も つ ともつ と子 どもた ちが こん な ことを したいってい うの を言 えるよ うに。(中
略)。 子 どもた ちもや らされて るんではな くて 自分た ちがや りたい こ とをや ってい る
と思 っ た ら,自 然学校 の質 が上が るのか な と。
○ 自然学校 における指導補助員 の役割
指導補助員 につい ては,
2つ の側 面か らそ の役割 を捉 えてい る意見が挙 が つた。
1つ 目は,子 どもた ちに とって どの よ うな存在 であるか とい う側 面であ る。 指導補助員
は,子 ども と共 に活動す るこ とを通 し,子 どもたち と達 成感 を味わ う存在 であ り,そ のた
めに子 どもた ち と仲 良 くな り,子 どもた ちの記 憶 に残 る存在 になってい くのだ と感 じてい
る。 一 方で ,指 導補助員 はただ仲 良 くな るだけの存在 ではな く,指 導 も行 う存在 であ る。
そ の 点で子 どもたちに とって 中途半端 な存在 であ るとい う意見が多 く挙が つた。 この意見
は,小 学生時代 に 自然学校 に参加 し,そ の時 の 指導補助員 に好意 を持 ってい たイ ンフォ ー
マ ン トか ら多 く出て きた意見であった。
2つ 目は,教 員 の立場 と比 較 し,指 導 を行 う際 に指導補助員が どの よ うな存在 であ るか
とい う面で の意見で ある。比 較的経験 回数 が多 い イ ンフ ォーマ ン トが指導補助員 の役割 に
つい て この よ うな見方 を してい る傾 向があ った。 具体的には,教 員 がプ ロ グラムの進行 を
行 い なが ら全体 を見 てお く役割 であ り,指 導補助員 が子 どもたちの 中 に入 つて ,細 かい 部
26
分 に注意 を配 る役割 であ るとい う意見が挙 げ られ た。そ の際 に,気 を付 けて い ることと し
て,指 導補助員 はあ くまで補助 を行 う役割 であ り,教 員 の意 図を感 じ取 つ た り,実 際 に教
員 の指示 を仰 ぐことで,教 員 の望む よ うに動 くよ う心が けて い る とい うイ ンフ ォーマ ン ト
が 多 かった。
│■
k:先 生でもない し,友 達でもない。子 どもじゃないけど,一 緒に活動に参加 して一
緒に達成感 を味わって くれ るんやけど,大 人でもあるので,注 意 も して くれ る人。
1
1
1
1
先生 と違 うのは,一 緒 に活動 している分,全 体を客観的に見てい る先生よ りも,一
人 一 人 の子 どもの気持 ち とか に共感 がで きるのか な と思います。共感 したか らこそ
子 どもの悩み なんか も聞 い て あげ られ るのか な って思います。
lt.●
1
,
: そ うですね ,先 生 に比 べ る と年 も近 い し話やす い け ど,大 人だか ら正 しい こ とは
言 うつてい う良 い意味で微妙 な立 ち位 置 ってい うのが 良 いん じゃな いか な と思いま
す。 (中 略 )先 生 と児童 が 学校 か ら離れ て ,非 日常的 な体験 をす るこ とが 自然学校 だ
と考 えてい るんです が ,そ の仲 立 ちを上手 くスムーズ にす ることが補助員 の仕事 じ
ゃないか な と思います。
wos:勝 手 に行動 す ると,や り過 ぎになって しま うので はないか と。僕 た ちは どち らか
と言 うと補助員 と して 自然学校 に来てい るので子 どもたち と楽 しむ の も良 いんです
が ,や つ ぱ り仕事 な ので ,そ こは割 り切 っておか なけれ ばな らな い な と。
k.y:や っ ぱ り先生が育てて らっ しゃ るクラスや か ら,そ れ を私 の考 えで潰す の はダメ
だな と。先生 の考 えを尊重 しなが らリー ダー しない とい けな い な って 思います 。(中
略)補 助員 の仕事 は子 どもの安全 を守 ること。 まず は安全。子 どもが危 ない場面 で
も,先 生はや っ ぱ り全体 を見ておかない とい けな いか ら目が届 かない部分 があ る と
1
1
思 うの で,そ の分 ,自 分 が 目を配 らせ て ,ち ょっ とで も危 ない ときは,危 ないって
言 うよ うに します。
… … …
¨ ¨ ‐ ‐ ‐ ‐ ‐
… …
○ 自然学校 の活動 中に感 じてい る問題
自然学校 中に指導補助員が困 つ た こ ととして ,「 指導補助員 の負担増大」「子 どもへ の 指
導 の方法 」「指導補助員 の役割 が不明確 」「初参 加 時 の戸惑 い 」 が挙 げ られ た。 前 出 の福 田
らに よる調 査 で も,指 導補助員 の感 じる 「不安・ 心配 」 として 「児童 との接 し方 」「補助員
としての役割・仕事 内容が不 明」「小学校 の先生 との人間 関係 」の項 目が上位 に入 つてい る
ことか ら,今 回 のイ ンタ ビュー と似 た結果が得 られた と言 える。
「初参加 時 の戸惑 い」 に関 して ,前 出 の福 田 らは 「初 めて参加 した時の 不安 ・ 心 配」 と
「今後 自然学校 に参加 す る場合 の 不安 。心 配」 の それぞれ を調査 してい る。調査 の 分析 を
27
J
通 して福 田 らは 「初 めて参加す る時の不安 。心 配 は, 自然学校 の 指導・ プ ログラム を体験
す ることで ,か な り軽減 され る と解釈 で きる。」XXX面 と述 べ てい る。実際 ,今 回 のイ ンタ ビ
ュー において も,複 数 回参加 してい るイ ンフォーマ ン トか らは,「 初 回は困 つていた こと も
経験 を重ね る うちに解 消 され ていった 」 とい う意見が多数挙 がつた。特 に ,そ の意見が多
かったのは,「 子 どもへ の 指導 の方法 」であった。おそ らく,自 然学校 で子 ど も と関 わって
い く中で,子 どもとの接 し方 が確 立 され てい くもの と考 え られ る。 また,初 めて参加 した
際 には,共 に参加 してい る指導補助員 を参考に した り,ア ドバ イ ス をも ら うことで対応 し
てい ることも分か つた。 そ うい う意味 では,指 導補助員間 の ネ ッ トワー クは密 であ り,指
導補助員間 での意 識 の共有 はで きて い る と考 え られ る。
逆 に,複 数 回参加 してい るイ ンフォーマ ン トか らは 「指導補助員 の役割 が不明確 」 だ と
い う意見が多数挙が つた。おそ らく,複 数 回参加す る中で ,学 校や教員 に よって考 えに違
いが あ り,求 め られ る役割 が異 な るために困った経験 があった と考 え られ る。「指導補助員
の負担増大」 に関 して も,多 数挙 がつた意見ではなかったが ,こ れ まで参加 した学校 では
教員 の仕事 であった こ とを任 され て困つた とい う事例 であった ことか ら,こ れ らの項 目は
関連 してい る と言 える。
y.m:先 生 同士 が あま り,仲 が 良 くな か った み たい で ,言 つて る こ とが違 うので ,ど う動
けば いい か 分 か らな くな りま した。や っ ぱ り,先 生 の 考 えに合 わせ て動 く こ とが 多 い
の で 困 りま した。 2つ の こ と言 われ た ら混乱 す る し… 。あ とは ,先 生 自身 が 自然 学校
が 初 めてや った り,そ の 場所 に行 く こ とが初 めてや っ た時 に ,リ ー ダ ー に全 部 ,内 容
を決 め る ところか ら頼 まれ た ときは困 りま した 。
k.m:み ん ながみ ん な言 うこ とを聞い て くれ るわ けで は ないの で 、全 然 言 うこ とを聞か な
い 子 がい る時 は困 りま した け ど…。で も、こ う接 して い けば動 いて くれ るんや な とか
だん だん 分 か って きた ので 、何 とか な りま した 。
m.k:
自分 の 指示 が ちゃん とで きて なか った り、指 示 が 間違 って い たせ い で子 どもが怒 ら
れ る こ とが あ つて 申 し訳 な い と思 うこ とが あ りま した 。 (中 略 )先 生 が 分 か りや す く
指示 して くれ たの もあ る し、 一 緒 に行 っ た先輩 が 自然 学校 に慣 れ て い る方 だ った の
で 、先輩 見 て動 い た りで きた し、相 談 もで きた の で なん とか な りま した 。
28
○ 自然学校 の持 つ魅 力
まず は指導補 助員 が何 を求 めて参加 してい るのか ,参 加理 由につい て見てい く。参加理
由 と して 「子 どもと関 わ る機会 」「小学生時 の 自然学校が楽 しかった」「指導補助員 へ の憧
れ 」 が挙 がった。
mok:私 は幼稚 園教員志望 で 、在学 中に小学生 に関 わ る機会がないので 、一 回小学生 は
どんなものか 関わつてみたい と思ったの と、 自分が小学校 の時 の 自然学校 がす ご く
楽 し くて、良 い思 い 出 を リー ダー さんにつ くって もらったか ら、私 もそ い うことが
で きた らい い な と思 って参加 しま した。
■k:子 どもと関 わ る機会 が大 学 にい るだ けでは少 な いか ら。 自然学校 に参加 して 子 ど
も と関わ る機会 を増や したい な と思 った し,普 段参加す る NPOや ボーイスカ ウ ト
が主催 してい るキャ ンプ は,特 定 の子 ども しか 来 ない とい うか ,キ ャ ンプ慣 れ した
よ うな子 しか来な いんで ,も つ と自然 学校みた い な,ど んな子 も強制的 に参加す る
よ うなキャ ンプの場 に参力日して ,色 々 なタイプ の子 と関 わ ることがで きるか な と思
って参加 しま した。
k.y:や っ ぱ り,私 が 自然 学校 に参加 して み て 1番 魅 力 に感 じた のが ,子 どもた ち と短
期 間 で す ご く仲 良 くなれ る,す ご く信 頼 関係 を築 け る つてい うこ とだ った の で … 。
や っ ば り 5日 間 ,子 どもた ち と寝 て起 きて を一 緒 に繰 り返 して 共 に過 ごす こ とで
子 どもた ち との 仲 が深 ま っ て い くこ とが ,自 分 自身感 じられ たの で ,そ こに魅 力 を
,
感 じて惹 かれ てい った って感 じで す。
続 いて ,指 導補助員 が得 るものについて は「子 どもと関わ る経験」「教員 の指導 を見 る経
験」「子 ども と関 わ ることに よる楽 しさ」が挙 がった。指導補助員 に対す る教育的効果 に 関
しては,田 中 ら (2006)が 分析 を行 ってい る。 田中 らに よれ ば,「 自然学校終 了後 には
,
自然学校 に対す る『 不安』や『 大変そ う』 とい うイ メー ジよ り,『 楽 しい』
『 良 い経験 がで
きる』 とい うイメー ジが 強 くな る とともに,実 践的 に指 導す ることの大切 さや難 し さを学
ぶ機 会 となってい るこ とが確認 され た。」XXX市
2つ の質問 の回答 か ら,イ ンフォーマ ン トが 「子 ども と関 わる機 会」 を求 めて 自然学校
に参加 し,自 然学校 を通 して ,満 足でき るだ けの 「子 ども と関 わ る機会」があ り,「 子 ども
と関わる楽 しさ」を実感 してい るこ とが分 か る。また ,そ の 「子 どもと関 わ る機会」が 「教
員 の 指導 を見 る経験」 に もな ってい るこ とが分 か る。今 回 ,イ ンタ ビュー に協力 していた
だいたインフォーマ ン トはい ずれ も,教 育大学 に在 籍 してお り,将 来 ,教 員 を志す者 が ほ
とん どである。 そ の ため,教 員 と して子 どもと関わ る方法 を学び に くるとい う面 が強い も
の と思われ る。以上の こ とか ら, 自然学校 が子 どもと関 わ る方法 を学びた い とい う要求 を
29
満 たす 場 で あ る と言 え る。
t.a:学 校 によった り,同
じ学校 で も学年 に よって 、子 どものタイプってい うか 一 人 一
人 もそ うです けど,学 年 全体 と して も全 く違 っていて ,そ うい う子 どもた ち と接す
るのに 自分 も臨機応 変 に対応 しない とい けな くて ,そ うい う面で 自分が ど う対応 し
た らいいのか と考 えるよ うにな って成長 したか な と思います。
yoa:
子 ども と関 われ た って い うの が一 番 大 き い。 それ か ら、今 の 小学 生 に関 われ た の
が大 きい です 。 あ とは 、 ど うい うときに怒 って とか 、 どん な風 に 接 した ら良 い の か
考 え る機 会 に なった のが 良 か っ たです 。
k.m:や っ ぱ り学 生 の 間 つて 実習 以外 や と、 なか なか塾 のバ イ トとか ボ ラ ンテ ィア に積
極 的 に参加 しない と子 ども と関 わ る機 会 がない ので 、 まず は、子 ども と関 わ る機 会
にな るこ と。 それ と、実 際 に子 ども と先 生 が い る現 場 、子 ども と先 生 の や りと り、
先 生 の動 き とか を身 近 に見れ た り。先 生 と ミー テ ィ ン グ とか して 、「この 子 は こ うい
う子 や か ら、 こん な風 に対応 して 」 とか 話 が 聞 け る。 先 生 た ち の 経 験談 とか も空 き
時 間 に聞 く こ とが で きた り… なか なか知 れ な い こ とが知 れ て 良 か ったで す。
w.s:私 はキャンプ フ ァイヤ ーの ときにや って よかった と思いま したね。補助員 で出 し
物 を したんです が 、子 どもた ちがす ご く喜んで くれて ,子 どもた ちが よつて きて く
れ て ,子 どもたちのキ ラキ ラ した笑顔 が ス ゴ く良 いんです よね。や っぱ り子 どもた
ち とふれ あ うことが ,教 育大 に在 籍 してい ることもあつて ,子 どもたちが何 を し
た ら喜 ん で くれ るか とか ,実 際 に体験 で きた こ とはす ご く大 きい と思い ます 。
│
イ ンタ ビュー を通 して ,指 導補助員 の 指導 に対す る意識 につい て以下の よ うな こ とが明
らかにな った。
(1)自 然学校 を通 して,子 どもた ちに 「協力す る心」「自立 的な態度」が身 につ くと感 じ
てい る。
(2)指 導補助員 は,子 ども と共 に活動す るこ とを通 して,子 どもと中を深 め る存在 で あ
りなが ら,指 導 も行 うとい う中途半端 な存在 で あると考 えてい る。
(3)指 導補助 員 は子 どもた ちの 中に入 って,細 かい部分 に注意 を配 る役割 であ る と考 え
てい る。
(4)指 導補助員 はあ くまで補助 を行 う役割 であ り,教 員 の意 図 を感 じ取 つ た り,実 際 に
教員 の指示 を仰 ぐことで,教 員 の望 む よ うに動 くよ う心が けて い る。
(5)自 然学校 中,「 指導補助員 の負担増大」「子 どもへ の指導 の方法」「指導補助員 の役割
が不明確 」「初参加 時 の戸惑 い 」 で 困 つてい る。
30
(6)自 然学 校 中 ,初 回 は困 つて いた こ とも経 験 を重 ね る うちに解 消 され て い くが 特 に ,「 子
ど もへ の 指導 の方 法 」 でそ の 傾 向が強 い 。
(7)指 導補 助 員 間 の ネ ッ トワー クは密 で あ り,指 導 補助 員 間 で の 意識 の 共 有 はで きて い
る。
(8)複 数 回参 加 してい るイ ン フ ォ ー マ ン トほ ど 「指 導補助 員 の役 割 が不 明確 」 で困 って
い る。
(9)自 然 学校 に参加 した理 由は 「子 ども と関 わ る機 会 」「小 学 生 時 の 自然 学校 が 楽 しか っ
た 」「指導補 助 員 へ の 憧れ 」 で あ る。
(10)自 然 学校 に参加 す る こ とで 「子 ども と関 わ る経 験」「教員 の 指導 を見 る経 験 」「子 ど
も と関 わ る こ とに よ る楽 しさ」 を得 て い る。
(11)自 然 学 校 は子 ども と関 わ る方 法 を学 び た い とい う要 求 を満 たす場 で あ る。
31
第 4節
自然学校 における指導 が成果 と課題 を生み出す要 因
第 2節 ,第 3節 においては,教 員 。指導補助員 が 自然学校 で どの よ うな子 ど もを育てた
い と考 えて指 導 にあたってお り,実 際 に どの よ うな成果 が あるのか ,ま た , どの よ うな課
題 が生 じてい るのか を明 らかに して きた。
本節 では,双 方 のイ ンタ ビュー か ら明 らかになった 自然学校にお ける成果 と課題 を生み
出す要因につ いて 分析 してい く。
イ ンタビューか ら明 らかになった 自然学校 の成果 は, 自然学校 で子 どもに身 につ く力 の
こ とである。 この うち 「協力す る心」「 自立 的な態度 」は,教 員 。指導補助員共 に共通 して
成果 を感 じてい る。 イ ンフォーマ ン トは,成 果 をあげる要因につ いて も実感 してい るよ う
であ り,以 下 の よ うな発言 が出てきてい る。
)│
NoT:
(ど ち らも集 団生活 である普段 の学校生活 と自然 学校 の違 いについて 聞 かれ て
違 う違 う。 そ うい う意義 はす ごいある と思 うな。 一 緒 に寝起 き して ,一 緒 に食 べ 物
作 って,一 緒 に生活 す るつてい う部分 が大 きいのか な。
■k:
│
自然学校 では,時 間 の きま りが あ って ,そ うい うきま りや時間 を守 らない と周 りに
迷惑 がかか るので,そ の 時間まで に 自分 たちで しお りを確認 して準備 しておか なけ
れ ばいけないわけで …,そ うい う生活 を 5日 間続 けない といけないのが 自然学校 の
特徴 だ と思 うので,そ うい う力 をつ けるのが一 番 の 目的な のか な と思います。 副1練
じゃない け ど,学 校 ではで きな い ,家 で もで きない こ とかな とお も うので。
│
t.a:や っぱ り,家 族 と離れ てい るこ とで寂 しい と感 じる子 も結構 い るみたいなんです
け ど,そ うい う環境 だか らこそ敏感 に友達の こ とに反応 した りとか 自分 の ことをよ
く考 えてみた りす る機会 になって,ち ょっ と人 に優 し くな った り, 自分 の ことを考
える時間になって ,あ あい う年 頃 ではなかなかできない体験がで きるんではないか
な と思います。
k.y:親 元 か ら離 れ て ,お 父 さんお母 さん に頼 らず に ,先 生 とか友達 しか い ない 中で 自
分 た ちで生活 して い く こ とが大 き い か な って 。
y.m:や
つ ば り、 目 然 体 験 を しに 行 く イ メ ー シ な の で 。 今 は そ れ が メ イ ン で ,意 義 な の か
な って思 います。 (中 略)山 登 りとか ,結 構 あ りま した。あ とは星空観 察 とか。普段
は見れ な い ものを見 るのが 大事 な のか な って。
32
│
│
│
│
│
イ ンフォ ーマ ン トの発 言 か ら,自 然学校 の持 つ 「非 日常性 」 が成果 を与 える大 きな要 因
になってい ることが考 え られ る。
先行研 究 において も,非 日常体験 が子 どもたちに成長 を促す ことが明 らかに されて い る。
時 ら(2012)は
,「
自然体験 ,生 活体験 と集 団宿泊体験 を通 じて,子 どもは大 きな成長 を遂 げ
るこ とがで きた。まず ,『 心理 的社会能力』,『 徳 育的能力』,『 身体的能力』を含 め る『 生 き
る力』 の増強 では,統 計的有意 が認 め られ る,プ ロ グラム が『 生 きる力』 の 育成 に良い影
響 を及 ぼす と確認 で きた。」XXXVと 報告 してい る。 同様 に洲 崎 ら (2008)も ,「 体験学習法
‐
に よ り,「
『 対話』か ら『 体話』へ の『 自己 他者 関係 』 の深 ま りが見 られ ,そ れ を相互補完
す る形 で『 自己理解 』 か ら『 自己肯定』 へ の『 自己認識』 の 高ま りについ て確認 で きた。」
XXX宙
と報告 してい る。
自然学校 において非 日常 をもた らす要 因 として ,イ ンタ ビュー か らは 「親 元 を離れ て生
活 を送 るこ と」「学校 生活 を ともにす る同級生 と集 団で 日常生活 を送 ること」「自然豊 かな
「時間的な制 限があ る中で生活 を送 るこ と」な どが考 え られ る。
環境 の 中で生活 を送 ること」
先行研究 においては, 自然学校 の活動 プ ログラム に関 して 「非 日常性 」 を重要視す るも
のが 多 い。関 田 ら(2013)は
,子 どもたちの生 きる力 を高 めるためには,「 日常 で経験 で きな
い 自然体験や学習活動 を取 り入れ たプ ロ グラム構成 にす ることが重要 とな る。」XXX宙 iと 報告
してい る。同様 に,井 之 口ら(201の も,「 自然体験要素 が高 く,日 常的 にあま り体験 で きな
い活動 プ ログラム を実施す るこ と」XXXV面 の必 要性 を示唆 してい る。今 回 の イ ンタ ビュー で
は,自 然学校 においては、活動 プ ログラム だけでな く,生 活 を送 る段階か ら 「非 日常性 」
が子 どもた ちの成長 に影響 を及 ぼ してい ることが示唆 され てい る と言 えるだ ろ う。
また ,教 員 か らは 自然学校 に よる成果 が 日常 の学校生活 に及 ぼす 影響 につ いて も意見が
挙 が つてい る。
これ か ら挑 戦 して い く力 の 芽 生 えか な って ,そ うい うの は見 とれ た な と思 うか な。
(中 略 )集 団 での 動 き とか ,挑 戦す る力 とは違 うんや け どや っ ぱ り,集 団 で な しとげ
た部 分 とか は ,そ れ 以 降 , 自然 学 校 行 っ た後 か らも成 長 が見 えて くる部 分 で , 自然
学校 が き っ か けに な る ところか な。
以 上 の 発 言 か らわ か るよ うに ,自 然 学校 とい う「非 日常 」 にお け る成 果 は ,「 日常 」 の 学
33
校場面にも持 ち越 されてい るい るようである。先行研究において も 「非 日常」における成
果が 「日常」にも影響 を及ぼす ことが明 らかになっている。洲崎 らは,体 験学習法による
子 どもたちの 「自己認識」の高ま りについて,「『 非 日常』にとどま らず ,『 日常』場面にお
いても種 々の好影響 を及ぼ している可能性 が高い」XXX破 と述べている。 また,時 らも,子
どもたちの人間関係 に関 して,「 子 どもが『 非 日常』か ら『 日常』 に戻つても,『 チーム と
して学級』 とい う凝集性 が高ま り,生 徒間あるいは教員 と生徒の間に『 一緒に過 ごし,一
緒 に頑張った』 とい う連帯感が増 した。」ゴことを明 らかに している。
一方で,「 非 日常」の生活を送 っていたことが 「日常」場面で問題 を起 こしていると感 じ
ている部分 もあるよ うである。イ ンタビューで は,次 のよ うな意見が挙が つた。
M.R:
自然学校 を経 てクラス がま とまった ところもあった と思います。 で も困 つた こと │
としては,自 然学校 か ら帰 って きた ら,今 度 は学校 のル ール を忘れ てま した。(中 略):
自然学校 モー ドにな って るか ら,ま た締 めなお さない とい けない ってい うの は,ど
の クラス も言 つてま したね。
この事 例 は,「 発達 としての教育」 と「生成 としての教育」が単 な る二 元論 で語 るこ とが
で きな い ことを示 してい ると考 え られ る。 自然学校 においては 「生成 としての教育」 を行
うこ とが本来 の 目的 であることは,第 1章 で述 べ たが ,自 然学校 においての 学 び は,「 発 達
としての教 育」の側 面 も持 ち合 わせ てい る。例 えば,時 間 を守 ることや施設 の使 い方 な ど
,
社会 に出て行 くにあた って身 につ けてお くべ きル ール が考 え られ る。 これ らは, 日常 の 学
校生活 でも指 導 され てい るこ とであ り,「 発達 としての教育」的 である と言 える。 同様 に
,
日常 の学校生活 において も,道 徳教育 の よ うな 「生成 としての教 育」 の側 面 を持 つ 場面 も
存在 してい る。 この よ うに,教 育場面 において 「生成 としての教 育」 と 「発達 としての教
育」 は,施 され る教育 の 中でその割合 を変化 させ なが ら発揮 され ,子 どもた ちを変容 させ
てい る。
今 回 の事例 で 自然 学校 の 間に忘れて しま うと指摘 され てい る学校 でのル ール は 「発達 と
しての教育」 の側面 が強い部分 である と言 え,自 然学校 中に 「生成 としての教 育」 の 面が
強 くな るこ とに伴 つて 「発達 と しての教育」 の 面が弱ま るこ とに よって子 どもたちが学校
でのル ール を忘れ て しま うもの と考 え られ る。 したがつて ,M.Rは 「非 日常性 」 に よつて
課題 が生み出 され た と感 じてい るが,「 非 日常性 」に よる弊害 ではな く,日 常的 に続 け られ
ていた 「発達 としての教育」の 面が弱 くな っただ けであ り,「 非 日常性 」が 直接影響 したわ
けではない。そ のため,自 然学校 が 学校生活 の延長 であ る こ とを意 識 させ ,「 発 達 として の
教 育」 の面 も意識 しなが ら指導 に取 り組 む ことで解 消できる問題 であ るだ ろ う。視 点 を変
えれ ば,こ の事例 は 自然学校 が 「生成 としての教育」 の場 になってい るこ とを示 してい る
と言 える。
今 回 のイ ンタ ビュー か ら明 らかにな った 自然学校 の指導 における課題 は ,指 導者 が感 じ
34
てい る各問題 である。 具体的 には,「 教員 の負担増大」「教員 がや りた いプ ロ グラムが実施
で きない こと」「指導補助員 の負担増大」「子 どもへ の指導 の方法」「指導補助 員 の役害Jが イく
明確 」「初参加 時 の 戸惑 い 」であ る。この うち教員 か ら出て きた「教員 の負担 が大 きい こ と」
「教員 がや りたいプ ログラム が実施 で きない こ と」に関 しては ,「 指導環境」につい てであ
り, 自然学校実施 中に指導者 の努 力に よる解決 が難 しい 問題 であ るため本稿 では取 り扱 わ
ない こ とにす る。指導補助員 が問題 と考 えてい ることは,「 指導補助員 の負担増大」「子 ど
もへ の指導 の方法 」「指導補助員 の役割 が 不明確 」「初参加 時 の戸惑 い」 であ る。
この うち,「 初参加時 の 戸惑 い 」につ いては,第 3節 で述 べ た通 り,子 ども とのふれ あい
を通 して, 自分で解決策 を見 つ けた り,他 の指導補助員 の助 けに よって解 消 されて い るよ
うである。
「指導補助員 の役割 が 不明確 」 であ ることは,イ ン タ ビュー で指 導補助員 の役割 につ い
て聞いた部分 か らも明 らかにな ってい る。 イ ンフ ォーマ ン トに関 しては,教 員 も指導補助
員 も意識 は共通 していたが ,第 2節 で ,K.Aや ,0.Kか らは,指 導補助員 に指導 のほ とん
どを任 せ て しま う教員 がい るとい う意見 が挙 が つてい る し,第 3節 で
y.mか
らは,「 先生
自身が 自然学校が初 めてや った り,そ の 場所 に行 くことが初 めてや った時 に , リー ダー に
全 部 ,内 容 を決 める ところか ら頼 まれ た ときは困 りま した。」と困つた経験 が 挙 がつてい る。
y.mの 事例 で,y.mは 教員 の仕事 であ ると考 えていたプ ログラムデザイ ン を行 うこ とを
求 め られ戸惑 い を感 じてい る。 つ ま り,想 定 していた指導補助員 の仕事以 上の ことを求 め
られ た こ とで ,困 り感 を感 じてい る。そ の意味 で ,「 指導補助員 の負担増大」 と同義 であ る
と考 えるこ とができる。 したがつて,指 導補助員 が考 える指 導補助員 の役割 と,教 員 が 考
える指 導補助員 の役割 にギャ ップが あ ることが ,こ れ らの 問題 を生み出す要因であ る と言
える。
「子 どもへ の指導 の方法」につい ては ,「 初参 加時 の 戸惑 い」同様 ,子 ども と関 わ ること
を通 して,指 導 の方法 を確 立 してい るこ とがイ ンタ ビュー で も第 3節 の k.mの 発言 な どか
ら読 み取 られ る。 しか し,い ざ子 どもに指 導 を行 う場面にな る と,第 3節 で w.sが 「勝 手
に行動す る と,や り過 ぎにな って しま うので はないか」 と答 えていた り,k.yが 「や っ ぱ
り先生 が育 てて らっ しゃ るクラスやか ら,そ れ を私 の考 えで潰す の はダメだな と。先 生 の
考 えを尊重 しなが ら リー ダー しない とい けない な って思 います。」 と発 言 してい るよ うに
,
「子 ど
教員 の指導方針 と自分 の考 え とのギャ ップで指導 に困 る場面 も存在す るよ うであ る。
もへ の指導 の方法」 において も,困 り感 を生み 出す要因 が指導者 間 ,特 に,教 員 と指 導補
助員 とのギャ ップであ るこ とが 分 か る。
以 上の ことか ら,指 導 の課題 となってい るこ とはいずれ も,指 導者 間 の 考 え方のギャ ッ
プが要 因であ ることが分 か る。指導者 間 で ,考 え方 にギャ ップが ある状態 では,一 貫 した
指導 ができず ,自 然学校 にお ける指導 の効果 は小 さくなって しま うだろ う。 そ の ため,指
導者 間 の ギャ ップ解 消 が必 要 になって くる。
指導者 間で の意識 の共有 が され るこ とで ,ギ ャ ップ解消 が期待 で きる。別惣 ら (2005)
35
に よれ ば,「 自然体験活動 の指導 で求 め られ る教 師 の資質能力」は「
『 知識・ 技術』よ りも
,
自然体験プ ログラムの内容やそ の 目的 。意義に対す る教師間 の共通理 解 を意味す る『 共通
理 解 と集 団指導力』 を
(中
III)重 視す べ き」Xhで あ る。別 惣 らは,教 員 を対象 と して ,資
質能力 につ いて 明 らかに してい るが, 自然学校 の指導者 とい うくく りでみれ ば ,指 導補助
員 において も同様 の資質能力が必要で あ ると言 える。
イ ンタ ビュー において も,k.mの 「自分た ちが教育大生 な の で 、将来先生 にな る学生 と
い う風 に見て くれてて、助言 とか 、 こ うい う風 に接 して くだ さいって言 われ てたので 、や
りやす かったですね。」 とい う発 言が あった り,KoAも 「 うちの 学年 団は,で きるだ け リ
ー ダー さんに明確 に仕事 内容 を伝 えるよ うに しててん。学校 によっては, リー ダー さんに
お任 せ します とか ,適 当にや って くれた らいいか らってい うとこもあるみたいやねん け ど
,
リー ダー さんに聞いた ら,そ れ も困 るつ て話 も聞 いた し, リー ダー さんにな るべ く情報 を
与 えて ,例 えば食事 の準備 で も,整 列 させ る係 ,配 膳 の とこにお る係 とか ,誰 が どこにお
って何 をす る とか明確 に決 めておいて ,渡 す よ うに して た。」と述 べ た うえで指導補助員 と
の意識 の違 いで支障 が 出た こ とはな く,Fリ ー ダー さんに恵 まれてたかな。」と感 じてい る。
以 上の発言 か ら,教 員 か らの指示 によ り指 導 につ いての考 え方 を共有 した うえで指導補助
員 が動 くこ とで,指 導 にお ける課題 が解 消 され てい る事例 が確認 で きる。 したがつて ,自
然学校 にお ける課題 を解決す るためには ,教 員 と指導補助員 を合 わせ た,指 導者 間で の意
識 の 共有が不可欠で ある。
36
第
3章
第 1節
指 導補 助 員 が 自然 学校 に 与 え る影 響
指導補助員の持つ特性
第 2章 では,教 員,指 導補助員に対す るイ ンタ ビューか ら教員 ,指 導補助員 の 自然学校
に対す る意識 を明 らかに した。また, 自然学校における指導 の成果 と課題 を抽出 し,そ の
要因を明 らかにした。
本 章では,指 導補助員 に焦点 を絞 り,イ ンタ ビュー か ら指 導補助員 の特性 ・ 役割 を分析
す るこ とで指 導補助員が 自然学校 に与 える影響 につ いて 明 らかに してい く。 そ の うえで 自
然学校 において指導補助員 が有効 に活用 され る方法 を模 索 してい く。
本節 においては,指 導補助員 の持 つ 特性 につ い て分析 してい く。
第 2章 では 自然学校 の持 つ 「非 日常性 」 につい て取 り上 げたが ,イ ン タ ビュー を通 して
イ ンフ ォーマ ン トか らは,指 導補助員 自体が 「非 日常性 」 を持 っ た存在 な の ではないか と
い う意見が挙がつてい る。確 かに指導補助員 は学校外部 の存在 であ り,そ の意味では 「非
日常性 」 を持 つ存在 であ ることは当然 であ る。 しか し,単 にそれ だけの理 由か ら 「非 日常
性」 を持 ってい るだ けではな い。 イ ンフ ォーマ ン トは指 導補助員 の 「非 日常性」 を次 の よ
うに実感 してい る。
t.a: そ うですね ,先 生 に比 べ る と年 も近 い し話 しやす い け ど,大 人だか ら正 しい こ とは
言 うつてい う良い 意味で微妙 な立 ち位 置 つてい うのが 良 いん じゃな いか な と思いま
す。
y.a: 日常生活 か ら離れ て 、色 んな経験 がつ め るこ とは本 当にいい ことだ と思います。例
えば 、先生 よ りも年 が近 くて子 どもに とっては話 か けやすか った り相談 しやすか っ
た りす る リー ダー がい るの もそ うです じ。
k.y:や っ ぱ り,子 どもた ちの近 くにい る と子 どもた ちはお母 さん とかお姉 さん とか家族
みた い に頼 って しま うけ ど,全 部子 どもたちこ とを リー ダー がや って しまった ら子
どもたちの成長 に繋 が らな いか ら,あ る程度 の距離 をおいて,子 どもた ちがや る部
分 は手 を出 さないで見 守 る。 (中 略 )で も先生 よ りは近 い 大人 って感 じで。
lk:学 校教育 ってい う場面です け ど,リ
ー ダーの持 つ 特性 みた い な部分 は
(キ
ャ ンプ と)
同 じなのか な と思います。逆 に言 えば,学 校教育 にそ うい う雰 囲気 を入れ られ る存在
なんですかね。
KoA:
自然学校 の 時 って私 らが言 うよ り, リー ダー さんに言 つて も らったほ うが子 ども
らも聞 く場合 があ るや ん。や っぱ り, 自然学校 の先生みた い な感 じなんや ろな。
37
イ ンタビュー にお けるイ ンフ ォ ーマ ン トの発 言 か ら,指 導補助員 が 「非 日常性 」 を持 つ
存在 になっている要 因は,「 大人 と子 ど もの 両面 を持 ち合 わせ た 中途半端 な立場 である」と
い うこ とを と読み取 るこ とがで きる。 子 どもた ちは, 日常生活 で接す る人 々 を,「 子 ども」
と 「大人」 とい う 2種 類 に分 けて接 してい ると考 え られ る。 しか し,自 然学校実施 中 の指
導補助員 は単 に 「子 ども」 と 「大人」 とい う 2種 類 で分別 で きな い。指導補助員 は ,子 ど
もた ち と共 に活動 してい くこ とを通 して一 緒に達成感 を味わ うな ど,子 どもた ち と共感 す
る機会が教員 に比 べ る と多 い。そ の意味 では子 どもと同 じ立 場であ る。子 どもた ち と共感・
感動す るとい う関わ り方 は 「生成 としての教育」的 であ る。 一方 ,指 導補助員 の多 くが 学
生であるために教員 ほ どではないに しろ,学 校教育的
(「
発達 としての教育」的 )な 働 きか
け も行 う。 この とき指 導補助員 は ,大 人 の立場 で子 どもた ちに接す る。子 どもの立 場 と大
人 の立 場 の 両面 を持 ち合 わせ た 中途半端 な立場 の存在 は,子 どもた ちが 日常で接す るこ と
の少 ない存在 であ り,「 非 日常的」であ る と言 える。また,自 然学校 とい う学校教育 の枠組
み の 中であ りなが ら,「 生成 としての教育」的 な関わ り方 をす る。この立場 は学校教育 の 場
においては 日常的 に存在 していない立 場 であ り,や は り「非 日常的」であ る。
指導補助員 を対象 に実施 したイ ンタ ビュー では,参 加理 由 として 「小学生時 の 自然学校
が楽 しかった 」「指導補助員 へ の憧れ」とい う意見 が挙 がってい るこ とか ら,イ ンフ ォ ーマ
ン トが ,自 身 が小 学 生 の 時に参加 した 自然学校や ,そ の時 の指導補助員 の影響 を強 く受 け
てい ることが感 じられ る。 イ ンタ ビューか らは以 下 の よ うな意見が出て い る。
k.m:
自分 が兵庫県 の小学校 を卒業 して 、 自然学校 が一番思 い 出に残 っていたので …。
教育大に来た し、そ うい うバ イ トがあ るの も知 っていたので、前 か ら参加 したい と
思 っていま した。 (中 略)リ ー ダー に憧れ があ りま した。
y.a:
自分 が 自然 学校 に行 った 時 に来 てい た リー ダ ー さんが 、す ごい 偉 大 な存在 で ,す
ご く楽 しませ て も らった か ら自分 もそ い うこ とがで きた らい い な と思 って 参加 し
ま した。
m.k:
自分が小学校 の時 の 自然学校がす ごく楽 しくて,良 い思い出をリー ダー さんにつ
くつて もらったか ら,私 もそ うい うことができた らいいなと思 って参加 しま した。
k.y:
自分 が小 学 生 で 自然 学校 に行 っ た時 の リー ダ ー さん の こ とがす ご く好 きで ,私 も
そ ん な風 に子 どもた ちに とって人生 に
1回 の 自然 学校 の 5日 間 に 関 わ る こ とが で き
た ら良 い な と思 って 参加 しま した。
これ らイ ンフォーマ ン トの発 言 か ら,「 自然学校 は楽 しい もので ある」,「 指導補助員 は子
38
どもを楽 しませ る存在 であ る」 とい う意識 が共通 してい るこ とが分 か る。 また , y.aは 小
学 生時代 の 指導補助員 につ いて ,「 フル ー ト吹 い とる人 がか っこ良 くて,そ れ 見て私 も吹奏
楽部入 るつて 思 って 」 と大 きな影 響 を受 けた こ とを明か している。 この よ うに 「指導補助
員 へ の 憧れ」 も大 き く, 自身 も子 どもた ちに とって 同 じよ うな存在 にな りた い とい う気持
ちも読 み取 られ る。 つ ま り自分た ち と同様 に子 どもたちに も楽 しさを感 じて欲 しい とい う
自然学校
OBと
しての思 い を持 って教育活動 に 関 わってい ると言 える。
この よ うな指導者 の思 い は,「 日常 」の 学校生活 で も存在 は してい るものの あま り重視 さ
れ な い もので ある と思われ る。 それ は学校 教育 が 「発達 と しての教育」 を担 ってい るた め
に,こ の よ うな思 いが教育的 ではない と考 え られ るか らであ るだ ろ う。 しか し,自 然学校
とい う 「非 日常 」空 間に移 ることで,学 校教育 の場 では表 に出て こなかった思いが表 面 に
出て くるよ うにな ってい る と考 え られ る。つ ま り,指 導補助員 は,学 校教育 に とっては「非
日常」的な思 い を持 って子 どもと接 してい る。
以 上の こ とか ら,指 導補助員 は,子 どもた ちが「日常」で接す るこ との少 な い ,「 子 ども」
と 「大人」 に簡単に区別 できない存在 であ るこ と,学 校教育 の場 で 「生成 としての教育」
的 な関わ り方 をす る存在 であ るこ とな ど,そ の立場 が 「非 日常」的 である。 また,学 校教
育 に とって 「非 日常的」 な思い を持 って 子 どもたちに接 してい る。 これ らの要 因が指導補
助員 の 「非 日常性 」を生み 出 してい ることが分 か る。つ ま り,指 導補助員 には「非 日常性 」
とい う特性 がある。 自然学校 が 「非 日常」的で あるこ とは第
2章 で明 らか に してきたが
,
「非 日常性 」 を持 つ 指導補助員 が参加 す ることが , 自然学校 の 「非 日常性 」 を さらに高 め
てい ると考 えるこ とができる。
39
第 2節
指導補助 員 の 役割
前節 では ,指 導補助員 の持 つ 特性 であ る 「非 日常性」 につ いて 分析す るこ とを通 して
,
指導補助員 が 自然学校 の 「非 日常性」 を高めてい る可能性 につい て明 らかに した。
本節 においては,指 導補助員 が 有効 に指 導す ることので きる範 囲 を分析す ることを通 し
て ,指 導補助員 の役割 につい て考察 してい く。
イ ンタ ビュー を通 して ,指 導補助員 の 困 つた こ との 中に ,「 指導補助員 の役割 が不明確 」
とい う意見 が 多 く挙が った。y.mか らイ ンタ ビュー で挙 がった,「 先生 自身 が 自然学校 が初
めてや った り,そ の場所 に行 くことが初 めてや った時に, リー ダー に全 部 ,内 容 を決 め る
ところか ら頼 まれ た ときは困 りま した。」とい う事例 か ら分 か るよ うに,想 定 していた指導
補助員 としての仕事以 上の こ とを求 め られ る と戸惑い を感 じてい る。
今 回 の事例 では ,プ ログラムデザイ ン を任 され た こ とに対 して ,y.mは 戸惑 い を感 じて
い る。 このプ ログラムデザイ ンの方法 につ いて は, 自然学校評価検証委員会 において も検
証 の対象 になってい る。検証委員会 では,「 子 どもの興味・ 関 心や フ ィール ドの 良 さを生 か
す こ とを基本 に,魅 力 あるプ ロ グラムの 開発 。設 定 とともに,子 どもの 目線 に立 ち,子 ど
もの状況や環境 に応 じて柔軟 にプ ログラム が実施 で きるな ど,教 師 の専門性や指導力 を高
め る研修 の場や各学校 の特色 あ る取組や 蓄積 され た成 果等 につい て ,情 報交流 できる場 を
増やす ことが大切 である。」Xhと 「教師 のプ ロ グラム 開発力 の 向上」につ いての提言が され
てい る。
検 証 を受 けて,兵 庫県教 育委員会 は,「 プ ロ グラムデ ザイ ンの構成 に関 して ,自 然学校 の
プ ロ グラムデザイ ンは、 自然学校 の 目的 を実現す るためのプ ログラムづ く りで あ り、教師
の意 図、具体的 なね らい 、 テー マ 等 をア クテ ィ ビテ ィ (活 動 )と い う目に見 える 「動 き」
「形」を用 いて構成す るもので あ る。プ ログラムデザイ ン を行 う上で、最 も大切 なこ とは 、
子 どもたちが何 を感 じて 、何 を考 えてほ しいか とい うテ ーマ であ り、留意点 としては、子
どもの状況 に配慮 した流れであ る。単 に効果 の 高 い と思われ るア クテ ィ ビテ ィの羅列 は 、
よいプ ロ グラム構成 とはな らない。」Xhiと い う考 えの もと,次 ペ ー ジの 図
4剌 市の よ うな プ
ロ グラムデザインの構 図を示 してい る。
注 目した いのが ,「 自然学校 の 目標 の設 定」であ る。 目標設定 の 際 に考慮 され る要素 と
なるのが, 1つ 目の要素群 にあ る,「 自然 学校 実施要項」「学校教 育 目標 」「地域・ 保護者 ・
児童 の ニー ズ 」「学校 (教 師 )の 願 い 」「資源 」であ る。この うち,「 学校教 育 目標 」「地域 ・
保護者・ 児童 の ニーズ 」「学校 (教 師 )の 願 い 」の部分 につい ては,指 導補助員 が把握 して
お くことは難 しい。したがって ,プ ログラムデザイ ンは教員 が行 うこ とが想 定 され てい る。
そ うな ると,y.mの 事例 は指 導補助員 の役割以 上の こ とを求 め られ てい るこ とが 分 か る。
しか し,経 験 が豊 富 な指導補助員が参加 す る場合 ,「 自然学校 の 日標 Jを 把握 した うえで
,
これ までの経験 か ら有効 なア クテ ィ ビテ ィについ ての意見 を述 べ ることがで きる可能性 が
40
自然 学校 実 施 要 項 (趣 旨 。目的 )
学校教育 目標 (学 年 。学級 目標 )
学校 (教 師 )の 願 い
地域 ・保 護者 ・ 児童 の ニー ズ
資源
(自
然 ・ 施設 。人材 。地域 )
自然 学 校 の 目標 の 設 定
。自然学校の全体計画の作成
。自然学校 を通 して育成 したい資質や能力 の 明確 化
。日標 達成 のイ メー ジ・ 評価規 準 の設 定等
目標 達 成 の 手 立 て
・有効なアクティビティのデザイン
・ プ ログラ ムの流れ 、実施手順 、指導体制等
児 童 の参 画
・ 自然学校 の 目標 にそ ったアクテ ィ ビテ ィを組合わ せ る
・ 自然学校 の 目標 を達成す るた めの活動形態 を工夫す る
(ポ イ ン ト〉
・ フィール ド、自然環境等 の情報提供
。選択型 のプログラムの設定
・ ゆとりあるプログラムデザイ ン
自然学校 プ ログラムの 作成
・集団活動 を高める取組
客観 的な評価 と修正
児 童 の参 画
(疑 問点・活動意欲・準備物等)
タイ ムス ケ ジュール
(所 要時間・ 留意点)
図 4:プ ログラムデザインの構図
41
ある。 そ の ため,事 前打 ち合 わせ等 でプ ロ グラ ムデザイ ン につい て ,教 員 。指導補助員 で
打 ち合 わせ が 実施 され ることが望 ま しいだろ う。南但馬 自然学校 (2001)XⅣ に よれ ば, 自然
学校 実施 にあた り,92%の 学校 で教員 と指 導補助員 との事前 の打 ち合 わせ が行 われ てい る。
打 ち合 わせ の 内容 として 80%を 超 える学校 で「プ ロ グラム内容確認 」が行 なわれ てい るが
,
あ くまで,内 容確認 に留 ま り,プ ログラ ムデザイ ンは実施 されて い な いよ うである。 もち
ろん y.mの 事例 の よ うに,指 導補助員 がプ ログラムデザイ ン をの 大部 分 を担 うことにな る
ことは望ま し くないが ,教 員 と指 導補助 員 が意 見 を出 し合 い ,出 て きた意見 の 中か ら自然
学校 の 目標 や児童 の 実態 と照 らし合 わせ た うえで有効 と思われ るもの を教員 が最終的 に決
定す ることが望ま しいだろ う。 したがって ,事 前打ち合 わせ につ いては,図 4の 「目標 達
成」 の段階で 1回 ,プ ログラムデ ザイ ンが完成 した後 で 1回 ,少 な くとも計 2回 は実施 さ
れ ることが望 ま しい と考 え られ る。
第 1章 第 2節 で取 り上げた,平 成
19年 度 自然学校評価検証委員会 で示 され た 「自然学
校 の一 層 の充実 を図 るための『 6つ の方策』」 の 中に,「 自然学校 と他 の教 育活動 との 関連
を図 る取組 の 充実」「事前 。事後 の学習活動 の一 層 の 充実」 とい う方策があ る。「自然学校
と他 の教育活動 との 関連 を図 る取組 の 充実」につい て ,兵 庫県教育委員会 は,「 各学校 にお
いて ,自 然学校 を通 して,児 童 に学 ばせ たい ことや体験 させ たい こ との十 分 な検討 を行 い
,
自然学校 の 目的 を一 層 明確化 し, 自然学校 での豊 かな学 び を総合 的 な学習 の時間や道徳 な
ど,普 段 の教育活動 に生かす な ど『 知』の統合化 を図 る取組 が期待 され る。」X市 iと
,「 事前 ・
事後 の学習活動 の一 層 の 充実」 につい ては,「 実施期 間中だ けではな く,『 事前学習 ∼ 自然
学校 ∼ 事後学習』 を含 めた全体計画の 作成 の も と,充 実 した 自然学校 を実施す るこ とが大
切 であ る。」X市 五とそれぞれ の重要性 につ いて述 べ てい る。 ここで挙 げ られ てい る 「他 の教
育活動」や ,「 事前・ 事後 の学習活動」は いずれ も,自 然学校 ではな く,通 常 の学校 生活 の
中で行 われ るもので ある。 つ ま り指導補 助員 には 関 わ るこ とがで きず ,教 員 が指導 を行 う
もので ある。 これ らの活動 を効果 的に行 うためには,子 どもの実態 か ら自然学校 の 目標 を
設 定 し,自 然学校実施 中には子 どもの様子 を観 察す るこ とで成 果 と課題 を把握 してお くこ
とが重要であ ると考 え られ るため,教員 も積極的 に関わつてい くこ とが必要 になって くる。
つ ま り,教 員 が指導補助員 に指 導 を任せ るとい う指導形態 は望ま し くない。
「他 の教 育活動」 との 関連 を意識す る と,自 然学校 が小 学校 で行 われ る教 育活動 の 1つ
に過 ぎない こ とが分 か る。子 どもたちは , 自然学校 が きっか け とな り,学 んだ ことを学校
生活 で さらに成長 させ てい くこ とが第 2章 第 2節 のイ ンフ ォーマ ン トの発 言 か らも明 らか
であ る。 この ことか ら, どの よ うな 自然 学校 を実施 し, どの よ うな力 を身 につ け させ , 自
然学校 で得 た もの を学校 で どの よ うに活用 してい くか とい う流れ を意識 して 自然学校 を組
み立ててい くことが 自然学校 を有意義 にす るた めには不可欠 であ る。 したがって, どの よ
うな 自然学校 を実施す るのか 主導 してい くの は教員 の役割 であ り,指 導補助員 の役割 は
,
教員 と考 えを共 有 し,教 員 が望む 自然 学校 を実現す るために子 どもた ちと共 に活動 す る中
で ,子 どもた ち との 関係性 を深 め,必 要 に応 じて指導 してい く立 場 である。
42
指導補助員 は, 自然学校実施 中以外 の場面 で指 導 を行 うこ とはで きないが , 自然学校 実
施 中以外 の 場面 で も子 どもたち との 関 わ りが無 くなるわ けではな い。イ ンタ ビュー で ,t.a
か ら,「 運動会や音楽会 を見に行 った り,手 紙 のや りと りを して個人的 にサ ッカー を見に行
った りして子 どもの成 長 した 姿 を見 るこ とは何 度 かあ りま した。」とい う自然学校実施後 も
,
子 どもたち と付 き合 い を持 ってい る事例 が 出 て きてい る。また ,toaは 自然学校実施後 に子
ども と関 わ る際 に,「 あの時 はで きていたのに」 と感 じるこ ともあ る と述 べ た うえで ,「 自
然学校ではよ く 10分 前行動 、5分 前集合 ってい うことが言 われ るんですが、自分が小学生
で行 った ときもそ うだ つたんです が 、 こ うい うことつて実際、学校 の 中で言 われてい るの
かな と思います。少 な くとも自分 が小 学生 の時 は学校 では全 く言 われ なか ったので … 、 自
然学校 の前 か らとか、終 わってか らで も、例 えば 5分 前行動 な ら運動会 の練習 で取 り入れ
た り出来 る と思 うの で 、学校 で も指導 しない と自然学校 の意味 が 無 い よ うな気 が します。
せ つか く5日 間 も行 くので …」 と,自 然 学校 にお ける学びが学校 において生か され ていな
いので はないかい う疑 間を感 じてい る。この よ うな こ とが起 こる要因 として ,自 然学校 (非
日常 )と 学校生活
(日
常 )が 別物 であ る とい う意識 が存在 してい ることが考 え られ る。 第
2章 第 4節 で取 り上 げた M.Rの ,「 自然学校 か ら帰 つて きた ら,今 度 は学校 のルール を忘
れ てま した。 (中 略 )自 然学校 モー ドになって るか ら,ま た締 めなお さない とい けな い って
い うの は,ど の クラス も言 つてま したね。」とい う発言 も この よ うな意識が存在 してい るた
めに出て きた と考 え られ る。 平成
19年 度 の 自然学校評価検 証委員会 で も,「
自然学校 は
,
日常か ら離れ た非 日常 の体験 を通 して , 自然等 との感 動的 な出会 いや新 たな気付 きな ど
,
自然学校 での豊か な学び が ,他 の教 育活動や 生活 に生 きるこ とに価 値 があ る。 このため
『 日常か ら非 日常 へ ,そ して 日常 へ 』 のサイ クル を踏 まえた実施が求 め られ る。」X市 ‖と提
,
言 され てい るよ うに,「 非 日常」で の学 び を 「 日常」 に取 り入れて い くことが 重要であ る。
この 問題 は,第 2章 第 4節 で述 べ た よ うに,教 育場面 にお ける 「発達 と しての教 育」 と
「生成 としての教育」のバ ラ ンス とも関連 してい る。先 に述 べ た よ うに,「 発達 としての教
育」 と 「生成 としての教育」 は,教 育場 面 において ,両 者 のバ ラ ンス を変 えなが ら,両 立
した 状態 で実施 す ることが可能 であ る。 したがつて ,「 非 日常」と 「日常」にお いて も同様
に指 導 を実施す るこ とは可能 である。
「非 日常」 と「 日常」が別物 であ る とい う意識 を改 め るためには,「 日常」場面に 「非 日
常性 」を持 つ もの を取 り込み ,「 日常」と「非 日常」を擦 り合 わせ てい く必要 があ るだ ろ う。
t.aの よ うに,自 然学校指導補助員 が 自然学校実施後 も子 どもと関 わ りを持 つ機会 は「日
常」場面 に戻 つた子 どもた ちに再び「非 日常」を思 い 出 させ ることがで きる と考 え られ る。
筆者 が ,t.a同 様 に,指 導補助員 として参加 した 自然学校後 に子 どもたち とや り取 りを し
た手紙 を見 る と,そ の 内容 か ら子 どもた ちが ,指 導補助員 との 関 わ りに よって 自然学校 (非
日常 )を 振 り返って い ることが読み取 られ る。次 ペ ー ジに一 部 を掲載す る。
43
自然学校楽 しかったね。私,○ ○がリーダー さんでほんとにうれ しかった。理由は○○
:
│
は,や さしくて,が んば りやでや ることは,早 くや つた りす るし,い ろいろな遊びを考え
て くれたか らだよ。図工体験にサイクリング,フ ァンタジー ワール ド,カ ヌーやあまごつ
かみ,野 外炊飯に,キ ャン ドルサー ビスい ろいろなことをしてた○○ にとつても感謝を し
なければな りません。ほんとうにあ りが とう。 (中 略)○ ○ ,心 に残 る自然学校にして く
れてあ りが と う。私,○ ○ のこと大好 き
自然学校 の時は,○ ○ と△△ と××のおかげで, とっても楽 しい 自然学校になったよ。
ど うもあ りが とう。またどこかで再会 したいな― と思います。自然学校では うれ しい思い
出や悲 しい思い出の他にもた くさんの思い出ができたよ。一生の大切な大切な思い出はい
ろんなことでできてるよ―。
自然学校 でおせ わになった N小 学校 の Kで す。写真 で○○ の横 にい るオ レン ジのジ ャ
ー ジをきっているのが,オ レやで
勉強 をがんばっていますか ,ぼ くはがんばっています
おたがいがんば りま しょ う。またい つか あえる 日があ るといい け ど,た ぶん ,ら いねんの
祭 りで,会 うと思 い ます。 たぶ んム リだ と思 うけ ど,11月 1日 に学校 のオープ ンス クー
ル が あ ります。サ ッカ選 手 (原 文 ママ)が くるそ うです。 できた らきて くだ さい。 11月
25日 は,マ ラ ソン大会 が あ ります。 で きた らお うえん しにきて くだ さい。 そ のほかで も
いつ で も,き て くれ た らだ いかん げいです。 あ りが と うございま した。
この よ うに ,自 然 学校 実施後 の 指導補 助 員 との 接触 は , 自然 学校 (非 日常 )を 振 り返 る
機 会 にな り得 るこ とが 分 か る。この機 会 を教員 が 意識 して 活 用す る こ とが で きれ ば ,「 日常 」
と 「非 日常 」 の ギ ャ ップ を埋 め ,双 方 を擦 り合 わせ てい く こ とが で き るだ ろ う。 したが っ
て ,学 校行 事等 の機 会 を利 用 し,「 日常」場 面 に戻 つ た子 どもた ち と指 導補 助 員 が交 流す る
機 会 を設 定す るこ とで 「 日常 」場 面 と 「非 日常 」場 面 を擦 り合 わせ てい く こ とが 期待 で き
る。つ ま り指 導補 助員 は ,自 然学 校 実施後 も 「 日常」場 面 に戻 つた 子 どもた ちに 「非 日常 」
を思 い 出 させ る役 割 と して 活 用 を期 待 す るこ とが で き る。
以 上 の こ とか ら, 自然学 校 におい て指 導補 助 員 は以 下 の よ うな役 割 を持 つ 。
(1)自 然 学校 実施 前 は ,有 効 な 自然 学 校 実施 の た め ,プ ロ グ ラ ム デ ザ イ ンの 際 に 自分 の
経 験 を も とに,有 効 なア クテ ィ ビテ ィ につ い て 助 言 を行 う役割 。
(2)自 然 学校 実施 中は ,教 員 と考 えを共 有 した うえで ,教 員 が望 む 自然 学 校 実現 の た め
に ,子 どもた ち と共 に活 動 す る こ とを通 して 子 どもた ち との 関係 性 を深 め ,必 要 に応 じ
て指 導 を行 う役 割 。
(3)自 然 学 校 実施 後 は ,「 日常」場 面 に戻 つた 子 どもた ち に 「非 日常 」 を思 い 出 させ る役
害J。
44
第 3節
望 ま しい指導補助 員 の 活用方法
第 1節 では,指 導補助員 が,「 非 日常性 」とい う特性 を持 った存在 であることを明 らかに
した。 第 2節 では,指 導補助員 が ,自 然学校実施前 は,有 効 な 自然学校実施 のため,プ ロ
グラムデザイ ンの際 に 自分 の経験 をも とに,有 効 なア クテ ィ ビテ ィについ て助言 を行 い
,
自然学校実施 中は教員 と考 えを共 有 した うえで ,教 員 が望む 自然学校実現 のために,子 ど
もた ち と共 に活 動す る こ とを通 して子 ど もたち との 関係性 を深 め,必 要 に応 じて指導 を行
う役割 を担 ってお り,自 然学校実施後 は,「 日常」場面 に戻 つた子 どもた ちに 「非 日常」を
思 い 出 させ るために活用 され る役害1も 持 つ ことを明 らかに した。
本節 においては, 自然学校 の 目標 を達成 し,子 ど もたちに 「生成 としての教育」 を実施
す るために ,第 1節 で明 らかに した指導補助員 の持 つ 「非 日常性 」 を第 2節 で明 らかに し
た指 導補助員 の役割 の 中で発 揮す る指導 の あ り方 を提 案す る。
今 回 のイ ンタ ビュー 分析 を通 して得 られ た 自然学校 の指導 にお ける成果 と課題 ,指 導補
助員 の 与 える影響 を踏 ま えて , 自然学校 にお ける有効 な指導 を実施す る指導 の形態 と して
以 下 のプ ロセ ス を提案す る。
。自然学校実施前
(1)教 員 が児童 の実態 を把握 し,子 どもに足 りな い力 ,自 然学校 を通 して身 につ け させ
たい力 を教員間で共 有 してお く。
(2)教 員 が 自然学校 の 目標 を設 定す る。
(3)教 員 と指導補助員 で事前打 ち合 わせ を実施 し,教 員 ,指 導補助員 間で 自然学校 の 日
標 を共有 し,日 標達成 の ために有効 なプ ロ グラムについて話 し合 う。
(4)教 員 が ,打 ち合 わせ の 内容 を踏 ま えて各 プ ロ グラムを設 定 し,タ イ ムス ケジ ュール
までのプ ロ グラムデザイ ン を行 う。
(5)2回 目の事前 打 ち合 わせ を実施 し,教 員 。指導補助員 間で各 プ ログラムの意図,指 導
方針 ,そ れぞれ の役割 を共有 してお く。
。自然学校 実施 中
(6)教 員 がプ ログラムの進行 を行 い なが ら全体 に向 けた指導 ,指 導補助員 が子 どもた ち
と共に活動 しなが ら,教 員 が 目の届 かない部分 で指 導方針 に沿つた指 導 を行 う。
(7)1日
の終 わ りに指導者 ミー テ ィ ング を行 い ,そ の 日の 子 どもの様子 ,子 どもに 実施
した指導 につい て指 導者 間で共有 した うえで ,教 員 が次 の 日の 指導方針 ,各 指導者 の役
割 を決 め,指 導者 間で共有す る。
(8)最 終 日には,自 然学校 を通 して明 らかになった子 どもの実態や , 自然 学校 にお ける
子 どもの成果 と課題 を指 導者 間で共有す る。
45
。自然学校実施後
(9)指 導補助 員 は,学 校行事 の応援 な ど,積 極的 に児童 と関 わ るこ とがで きる機 会 に参
加 す る。 そ の際 ,教 員 は,指 導補助員 をきっか けに,子 どもた ちに 自然学校 を振 り返 ら
せ , 自然学校 にお ける学び を再認識 させ ,学 校生活 に取 り入れ てい く。
最後 に,こ れ らプ ロセス を図式化 した もの を以下 の 図 5-1,
¨
¨
¨
¨
¨
「
¨
¨
¨
―
2, 3に 示 す。
¨
―
¨
―
…
…
…
…
…
…
…
―
―
―
¨
指導補助員
教員
(1)児 童 の 実態 の把握
(2)目 標 の設定
(3)事 前打 ち合 わせ (1回 目
)
自然 学校 の 目標
指
導
方
針
目標達成 のために有効なプロ
グラムについて話 し合 う
●
経験 に基づ く助言
(4)プ ログラムデザイ ン
(5)事 前 打ち合 わせ (2回 目)
各 プ ログ ラムの意 図
指
導
方
針
そ れ ぞ れ の 役 割
図 5-1:自 然 学校 にお け る望 ま しい指導 形態 (実 施前 )
46
¨
¨
―
―
―
!
1
教員
指導補助員
(6)自 然学校 における指導
プログラムの進行 を行いなが ら,全
子 どもたちと共に活動 しなが ら
,
体に向けた指導
教員が 目の届かない部分 を指 導
方針 に沿 つて指導指導
指導者 ミーテ ィング
子 どもの様子
実施 した指 導
次の 日の指 導方針 ,各 指導
者 の役割 を決定
L
共有
(8)成 果 と課題 の共 有
図 5-2:自 然 学校 にお ける望 ま しい指導 形態 (実 施 中 )
指導 補助 員
(9)指 導補助員の持つ 「非 日常性 」の活月
学校行事 の応援等
自然学校 を振 り返 らせ, 自然学校
における学びを再認識 させ る
L¨
… … __=―
¨ ¨ ¨ ¨ _… … … … ― ― ¨ ― ― ― ― ¨ ¨ ― ― ― ― ― ― ¨
:
図 5-3:自 然学校 における望ま しい指導形態 (実 施後 )
47
終章
研 究 の 成 果 と課 題
本稿 は,兵 庫県 自然学校 にお ける指導補助員 が指導 において どの よ うな活動 を行 い , 自
然学校 に どの よ うな影響 を与 えてい るのか を明 らかにす ることを 目的 と した。
まず ,兵 庫 県 自然学校 実施 の経緯や 日標 の変遷 か ら, 自然学校 の 目標 が ,通 常 の学校教
育 では実施 が難 しい 「生成 としての教育」 を行 うことであ ると明 らかに した。
続 いて, 自然学校 に参加 経験 の ある教員 と指 導補助員 を対象 にイ ンタ ビュー を実施 し
,
指導 の実態 を明 らかに した。
明 らかにな った 指導 の実態 は,以 下 の通 りであ つた。
(1)教 員 は,子 どもの実態 を も とに,「 自主的 , 自立 的な精神 を養 う」「豊 かな 自然 の 中
で ,学 校 では味わ えない体験 学習 をす る」「協力 ,連 帯 の態度 を養 う」「地域 の 自然 ,生
活 ,文 化 な どの特色 を知 る」「子供 同士 の友情 を深 め る」「規律 あ る行動 を身 に つ ける」
「自然 に親 しむ 」 ことを 目標 に指導 にあた つてい る。
(2)自 然学校 を通 して,教 員 は,「 学習 の実践」や 「自然 とふれ あ う経験」 がで き,そ れ
に よつて子 どもた ちに 「規律 正 しい生活態度」「協力す る心」「自立 的 な態度 」「自主的 な
態度」が身 につ くと,指 導補助員 は,子 どもた ちに 「協力す る心」「自立的 な態度 」が 身
につ く と感 じてい る。
(3)教 員 ,指 導補助員共 に,教 員 が主導 して 自然 学校 を進行 させ ,指 導補助員 が子 ども
の 中に入 つて一 緒 に活動す る形 で細かい部分 に注意 を配 り,指 導 の補助 を行 う形 が望 ま
しい と考 えてい る。
(4)一 方 で,指 導補助員 に指導 のほ とん どを任せ てい る教員 も存在 してい る。
(5)指 導補助員 は 自分 た ちの役割 を,あ くまで補助 を行 う役割 であ り,教 員 の意 図 を感
じ取 つた り,実 際 に教員 の指示 を仰 ぐこ とで ,教 員 の望む よ うに動 くよ う心が けて い る。
(6)自 然学校 中に困 ってい る こととして,教 員 は,「 教員 の負担増大」「教 員 がや りた い
プ ログラ ム が実施 で きない こと」を,指 導補助員 は 「指導補助員 の負担増大」「子 どもヘ
の指導 の 方法」「指導補助員 の役害Jが 不明確 」「初参加 時 の戸惑 い 」 を挙 げてい る。
イ ンタ ビュー で明 らかにな った ことの 分析 を通 して, 自然学校 にお ける成果 が 「生成 と
しての教育」 に よるものであ るこ とが明 らかにな った。 また ,成 果 をあげる要 因 が 自然学
校 の持 つ 「非 日常性 」 であ るこ とが明 らかにな った。
また ,自 然学校 にお ける課題 を生み出す要因が ,指 導者 間 の考 え方 のギ ャ ップであ るこ
とが明 らか になった。 したが って課題 を解決す るために,教 員 と指導補助員 を合 わせ た
指導者 間で の意識 の共有が重要 であるだろ う。
48
,
指導補助員 に焦点 を しば り, さらにイ ンタ ビューの分析 を進 め るこ とで指 導補助員 の 特
性 と役害Jを 明 らかに した。
指導補助員 の特性 は 「非 日常性 」である。指導補助員 が 「非 日常性 」を持 つ 要 因 として
,
学校教 育 の現場 に とって 「非 日常」的 な子 ども と大人の 間 の 中途半端 な存在 であるこ と
,
自然 学校 を経験 した OBと して ,「 自身が経験 した楽 しい 自然学校 を子 どもた ちにも経験 し
てほ しい」とい う学校教 育 に とっては「非 日常」的 な思 い を持 ってい ることが考 え られ る。
指導補助員 の役割 は,教 員 と考 えを共 有 した うえで,教 員 が望む 自然学校 実現 のために
,
子 どもたち と共に活動 す ることを通 して子 どもた ち との 関係性 を深 め,必 要 に応 じて指導
を行 うことである。また,自 然学校実施後 は,「 日常」場面に戻 った子 どもたちに「非 日常」
を思 い 出 させ るために活用 され る役割 も持 つ 可能性 が示 唆 された。
以 上 ,明 らかにな っ た指導補助員の特性 ,役 割 をもとに,指 導補助員 を有効 に活用 す る
ための指 導 の あ り方 につい て以 下 のプ ロセス を提 案 した。
・ 自然学校実施前
(1)教 員 が児童 の実態 を把握 し,子 どもに足 りない力 ,自 然学校 を通 して身 につ け させ
たい力 を教員間で共 有 してお く。
(2)教 員 が 自然学校 の 目標 を設 定す る。
(3)教 員 がプ ログラムデザイ ン を行 う。
(4)事 前打 ち合 わせ を実施 し,教 員 ,指 導補助員 間 で 自然 学校 の 目標 ,各 プ ログラムの
意 図,指 導方針 を共有 してお く。
・ 自然学校 実施 中
(5)教 員 がプ ログラムの進 行 を行 い なが ら全体 に向けた指 導 ,指 導補助員 が子 どもた ち
と共に活動 しなが ら,教 員 が 目の届 かない 部分 の指導 を行 う。
(6)1日
の終 わ りに指導者 ミー テ ィ ング を行 い ,そ の 日の 子 どもの様子 ,子 どもに 実施
した指導 につい て指 導者 間で共有 した うえで ,教 員 が次 の 日の指導方針 ,各 指導者 の役
割 を決 め,指 導者 間で共有す る。
(7)最 終 日には, 自然 学校 を通 して明 らかにな った子 どもの実態や , 自然 学校 にお け る
子 どもの成 果 と課題 を指導者 間で共有す る。
・ 自然学校実施後
(8)指 導補助員 は,学 校行事 の応援 な ど,積 極 的 に児童 と関 わ るこ とがで きる機会 に参
加す る。 そ の 際 ,教 員 は,指 導補助員 をきっか けに,子 どもた ちに 自然学校 を振 り返 ら
せ ,自 然学校 にお ける学び を再認識 させ ,学 校生活 に取 り入れ てい く。
以 上で ,本 稿 の 目的は果 た された。
49
一 方 ,イ ン タ ビュー か ら指導補助員 に指 導 の ほ とん どを任 せ る教員 が存在す ることが明
らかになったが ,今 回 ,そ の よ うな教員 の意識 を調査す るこ とがで きなか った。 また ,指
導補助員 につい て も,今 回 のイ ンフォーマ ン トはいずれ も学生であ り,キ ャ ンプ リー ダー
で生計 を立て る,い わ ゆるプ ロの指導補助員 の 意識 については調査 ができなか った。 これ
らの立場 の者 に調査 が実施 されれ ば,兵 庫県 自然学校 の新 たな実態 が 明 らかにな るだろ う。
この点については,今 後 の課題 として残 され た。
また ,本 稿 で提 案 した指 導 のプ ロセ ス は,実 践 されてお らず構想段 階 であ る。 このプ ロ
セス を用い ることで ,指 導補助員 が有効 に活用 され るのか ,実 践 。検証 してい くことを今
後 の研究課題 としてい きた い。
50
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主】
言
【
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1 3 ・ 1 4年 度研究紀要』
, 2002, 20頁 。
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(■
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属性や意識 について を調査 した 量的研 究 であ る。
面 自然学校評価検証委員会 (2008)「 自然学校推進事業 20年 目の評価検証 生 きる力 を育
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V前 掲
(血
),3頁 。
宙 文部科学省 (2008)『 小学校学習指導要領』,2008,13頁 。
V五
前掲
(面
),2頁 。
Vii同 上 ,2頁 よ り抜粋。
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ムペ ー ジ。 http7/www.hyogo‐ c.ed.jp/∼ gimu‐ bo/sizen/H26sizenyoukou.pdf(2014年 7月
16 日)
Xい ずれ も前掲(市 ),3頁 。
対 同 上 ,3頁 。
X五
同 上 ,2頁 。
X面 東播磨教育事務所 「自然学校
」,東 播 磨教育事務所 ホー ムペ ー ジ。
http:〃 www.hyogo‐ coed.jp/∼ higahari‐ bo/kyouikusuisin/sizengakkou/sizengakkou.htlll(2
014年 8月 22日 )
矢野智司,『 自己変容とい う物語
XV同 上 ,8頁 ‐9頁 。
X市
X宙
X宙
同 上 ,9頁 。
i同 上 ,44頁 よ り要約。
X宙 五
X破
生成 。贈与・教育』,2000,金 子書房。
同 上 ,40頁 よ り要約 。
G。
バ タイユ『 ラスコーの壁画』,出 口裕弘訳,二 見書房,1975。
52
XX有 名 な例 と して ,ア マ ラ とカ マ ラ とい うオ オ カ ミに 育 て られ た子 どもの話 が あ る。他 に
も,J・ A・ コ メ ニ ュ ウス が 「大教 授 学 」(1632)の 中 で野生 児 の 話 を紹 介 し,人 に教 育 が必
要 で あ る と結 論 づ けて い る。
X対 前掲 (x市 ),15頁
。
XX五
同上 ,34頁 。
XX面 同上
,38頁 。
XX市 同上
,43頁 。
XXV前 掲∈市),41頁 。
XXVi前 掲(血 ),2頁 。
i安 波雄 三,岡 村泰斗,山 田誠 ,芦 田哲 (2006)「 兵庫県 自然学校におけるプ ログラム
タイプが参加児童の 自然体験効果に及ぼす影響 」
『 野外教育研究』92,2006,43頁 。
XXV面 関田 貴史
,畑 裕介 ,畦 浩二 (2013)「 兵庫県 自然学校 のプログラムタイプが児童の
生きる力に及ぼす影響 一生きる力を構成する下位尺度 の相関関係 に注 目して一『
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XX宙
XX破
同上。
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XX対 吉田 章
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26巻
85頁
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(1995),83‐
。
XXX五
XXX面
XXX市
同 上 ,80頁 。
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『 野外教育研究』 (2006),57頁 。
XXXV時 代 ,明 石 要一 (2012)「 体験活動が子 どもに与える影響 -2年 間の体験活動事例
を通 して一」
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洲崎 洋昭,伊 藤 安浩,軸 丸 勇士 (2008)「 体験学習法が子 どもの 「自己一他者関係」
「自己認識」に及ぼす影響にかんす る研究∼湯布院町 ジュニア リー ダー育成 プ ログラムの
分析 を通 して∼」
『 日本生活体験学習学会誌』,第 8号 ,2008,33頁 。
XXX宙
XXXV‖
前
掲
←
XXV⇒ 48頁
。
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価 ― 西宮 市 立 H小 学校 の 分析 を通 して 一『
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2014,163頁 。
XXXV面
,
XXX破
前
掲
(XXX⇒ ,44頁
。
」 前掲 (xxx宙 ),130頁 。
Xh別 惣淳 二 ,千 駄 忠至 ,長 澤憲保 (2005)「 自然体験活動 の指導で求 め られ る教師 の 資質能
力 に 関す る一 考察」
『 日本教科教 育学会誌』第 28巻 ,第 1号 ,75頁 。
Xh前 掲 (面 ),8頁 。
Xhi同 上 ,9頁 。
同 上 ,9頁 よ り作成 。
前掲 (五 ),6頁 。
X市 i前
掲 (面 ),4頁 。
X市 五
同上 ,6頁 。
X市 ‖
i同 上 ,4頁 。
Xl市
X市
53
付録
1.イ ン タ ビュ ー 記 録
(1)教 員 K.A
(2)教 員 N.T
(3)教 員 0.K
(4)教 員
MR
ws
(6)指 導補助員 ta
(5)指 導補助員
(7)指 導補助員 y.a
(8)指 導補助員 m.k
(9)指 導補助員 k.m
(10)指 導補助員 f.k
(11)指 導補助 員 k.y
(12)指 導補助 員 y.m
2.自 然 学 校 参 加 児 童 か らの 手 紙
(1)S小 学校 M
(2)M小 学校 F
(3)N小 学校 K
3.イ ンタ ビユー 事前 ア ンケー ト用紙
(1)教 員用
(2)指 導補助員用
54
1.イ ン タ ビ ュ ー 記 録
(1)教 員
KA
寺 :20144「 10月 29日
実ガE日 日
I:ま ず ,自 然学校 を実施す るにあた つて ,子 どもたちに どの よ うな力 を身 につ けさせ たい
と感 じて実施 しています か。
K.A:職 員会議や ,保 護者 へ の説 明会 に も出す ことや け ど, と りあえず めあてにあた るも
lを
の は,(資 料① 見 なが ら)「 豊 かな 自然環境 の 中で,集 団生活 を通 して規律 正 しい生活や
協力 ,友 情 ,奉 仕 の心 を育て る」私 の時 は, 5泊 6日 で 3回 行 って ,最 後 の時 , 21年 は
4泊 5日 になってたんや け ど,(資 料① よ り)「 5泊 6日 の長 い期 間,家 族 の手 を借 りず
,
「学校 で学習 した こ とが らを実際
自分 の ことは 自分です るとい う自立の態度 を身 につ ける」
の生活 に生か し,よ り確 か なものにす る」 の 3つ 。
I:そ の 3つ の めあてにいてなんですが ,め あて を決定す る ときは先生方 の 中で 「この子 ど
もた ちには こんな力が足 りてな いか ら… 」 と考 えて設定 してい るのか ,行 政 の 方か ら下 り
てきてい るものが あ るのか
K.A:こ の文言 は職員会議 で決 め る。 または,学 年 で先 に決 めてお く。
I:と い うことは, 日の前 の子 どもた ちを想 定 して とい うことですね。
K.A:う ん。 上か らお りて くるめあて と大 まかには離れ てい ない と思 うけ ど,こ の文言 自
体 は職員会議 までに学年団で練 って ,職 員会議 に掛 ける。
I:で は,こ の文言 は毎年変わって くるよ うな もの なんですか。
K.A:い や ,こ の学校 で はそんなには変わ ってい ない。学校 によつて違 うとは思 うけ ど
,
毎年変 わ るもので はないか な。ただ,時 代 に よって協力が違 う言葉 に変わっていた りとか
,
具体的な内容 に変 わった りす ることはあ つたか な と。
I:大 まかな部分 ではそんなに変 わって くるよ うな ものでは ない とい うこ とですね 。わか り
ま した。それ では,行 政 か らお りて くる 目標 もあ る と思 うんです が ,行 政 が言 つてい る 目
標 と,現 場 でやつてい る側 のギ ャ ップの よ うな ものは感 じた こ とはあ りますか。
K.A:な い ない。 一 緒や もん。 実際にプ ログラム組 んだ りは こち らがす る こ とや し,全 く
な いか な。
I:よ くわか りま した。 では,自 然学校 を実施 しての話 にな るんです が,実 際 に 自然学校 を
通 して ,子 どもた ちに どの よ うな力 がつ いて くる と感 じます か。
KoA:と りあ えず ,め あては頭 の 中に置 きなが ら子 どもた ちにはあた つてい る。 5泊 6日
,
24時 間ず っ とやか ら,子 ども同士の横 のつなが りもそ うや し。普段 しない よ うな注意 も
ここではす る。
1保 護者 向け 自然学校説 明会 にお ける配布 資料
I:や つぱ り生活面 に関す る部 分 です か
K.A:そ うそ う。普段 か ら言 つて る部 分 は引 き続 き言 つてい くけ ど,普 段 は一緒 に生活 し
てい るわ けではな いか ら。学校 にお る 8時 間 ぐらいだ け,ま あ長 い け ど,「 さよ うな ら」 し
たあ とはも う分か らな いか ら。 で も食 べ 物 の こ ととか ,給 食 の延長 で注意 を した りす るか
な。
I:で は,め あての部分 はきつ ち り身 につい て くるな と実感 してい るんですね
K.A:う ん。 実感す る。 自然学校 をす る前 と した後 で は全然子 どもが違 う。 特 に,い わ ゆ
る 「思春期 の入 り口」 つて言 えばいいのかな … そ うい う考 え方 を しだす。
I:「 思春期 の入 り口」です か
K.A:う ん。 仲間意識 とか ,ち よつ と大人 の人付 き合 いがで きるよ うにな って くる。例 え
ば,子 ども向 けの説 明会 では言 うことやねんけ ど…。や っ ば りい ろんな人 がお るや ん。 お
家 に よって家庭 でのルール つていろい ろあるか ら,「 うちでは こ うす る」,「 うちでは こ うし
な い 」 とかって部分 は,何 が正 しい とかではない部 分や んか。そ うい うプ ライバ シーの部
分 を守 らせ るために 「見な いふ りす る ことも大切やで」 つていつ も子 どもに言 うね んな。
I:社 会 で トラブル な く生 きてい くために必要 な ことだ と思います
K.A:そ うそ う。悪 い事 しとった ら言 わない とい けな い け ど,そ うではない習慣 の よ うな
部分 は ,そ うい う風 に言 うんや け ど,そ うい う付 き合 い方ができるよ うにな って くるのか
な と。 あ とは,友 達 関係。誰 かが困つてい る時 に,他 の子 が気付 かな くて も 自分 が気付 い
て助 けてあげた こ とが きっか けで関係 が グッと縮 まった り。
I:そ うい う指導 した実感 は,毎 年 同 じよ うに感 じる もの なのか,行 った年 に よって,「 今
年 は少 し違 うな」 と感 じるよ うなものか どち らですか。
K.A:学 年 に よって とい うか,学 年 のカ ラー によって全然違 う。「ウェ ッ トな学年」 と 「 ド
ライな学年」があるねん。青春 の入 り口にお る子 と,青 春 に入 つて る子 とでは ,全 然違 う
ねん。例 えば,さ っ き言 つた 「横 のつ なが り」,困 つた 時に 「先生 ,先 生 」 って くる学年 は
自然学校 に行 って も同 じよ うに 「縦 のつ なが り」,先 生 との つ なが りを求 めて くるけ ど,青
春 に入 つて るよ う子 らは,「 先生 に言 わん と僕 らで解決 しよ」つてな る。学校 に戻 つて きて
も,ク ラスの雰 囲気 が違 う。「先生お らん くて もいい よ,俺 らできるか ら」って なる学年 も
あ る し。 一番 実感す るの は,最 後 のお別れ の ときやねんな。子 どもつて,す ごい 自然学校
に来て くれ る リー ダー さん の こ と好 きや ん。仲 良 くなるねん。 リー ダー さんは楽 しい こと
も して くれ るやん。や か ら,最 後 の 日は ノー トに 「サイ ン して」 とか 「住所教 えて」 とか
い く し,お 別れ の時 には,親 がお って も,疲 れ とって も, リー ダー さん とのお別れ を惜 し
むか ら,先 生 はお いて けば りや な って思 うぐらい …。思春期 に入 つて る「ウェ ッ トな学年 」
ほ どそんな感 じかな。
I:補 助員 の こ とについて話 がでてきたので,関 連 して聞 きます。 自然学校 を実施 す るにあ
たって補助員 の方 に期待 してい る役割 は何です か。
K.A:や っぱ り生活 の流れ の補助や な。 うちの学年 団は,で きるだ け リー ダー さんに明確
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に仕事 内容 を伝 えるよ うに しててん。学校 によつ ては,リ ー ダー さんにお任せ します とか
,
適 当にや って くれた らい いか らってい うとこもあるみた いやねん け ど, リー ダー さんに聞
い た ら,そ れ も困 るって話 も聞 いた し, リー ダー さんにな るべ く情報 を与 えて ,例 えば食
事 の 準備 で も,整 列 させ る係 ,配 膳 の とこにお る係 とか ,誰 が どこにおって何 をす る とか
明確 に決 めておいて ,渡 す よ うに してた。求 め るの は ,私 はや つ ぱ り,生 活 の部分 …。
I:補 助 って こ とです か。
KoA:補 助や な。お風 呂の こととか。
I:や っ ぱ り,先 生の役割 とは違 う部分 になって くるつてい うことです か。
K.A:う ん。 だって責任 取 られ へ んか らね。 同 じことはで きひんや ん。 で も一 緒 に運 営 し
てい く部分 に関 しては一 緒や んか ,子 どもを挟 んで。 だか ら一緒 に打 ち合 わせ もす る し
,
夜寝 かす ときは同 じよ うに指導 に入 つて も らうし。 それか ら,自 然学校 の時 って私 らが言
うよ り,リ ー ダー さんに言 つて も らったほ うが子 どもらも間 く場合 があるや ん。や っぱ り
,
自然学校 の先生みた い な感 じなんや ろな。 悔 しい け どな。
I:基 本 的には,補 助 に入 つて も ら う立場 つてい う考 え方 ですね。
それ では,こ れまでに リー ダー さん との間で, 自分 たちの指 導方針 と違 うとかで運 営 に支
障がで るよ うな経験 はあ りま したか。
K.A:私 自身 はないねん な。 リー ダー さんに恵 まれ てたかな。 で も他 の年 とか他 の学校 の
話 を聞 くとあるよね。 で も,話 聞 いてた らどっ ちも どつちや な って 思 うねん。や っ ば りこ
つ ちも しん どいか ら,任 せ て しま うと楽 になる部分 はあるか ら…。 そ の間に他 の子 の相手
で きる し,親 へ の対応 せ なあかん場面 とかあつて任 せ て しま うこ とはあるんや け ど。 それ
に,ス タンツなんかや と,や っ ば リネ タ とかい っ ぱい持 って はるか ら,お 祭 り的な面 に 関
しては,任 せ ていい面があ る と思 うか らね。
トラブル につい ては,一 回聞 いた ことあ るのが , リー ダー さんで生計立てて る人 がいて
,
ほんまによ く仕事 で きる人や つた らしい ねん ,よ く動 いて くれ る し,子 どもの動 か し方 も
うま い。そ の 人が ,教 職 につ きた いか ら臨採で雇 つてほ しいって言 つて,実 際 に雇 つた ら
しいねん。 で も夏休 みでや めて もた。
I:や つぱ り先生 と補助員 は違 うんですね。
K.A:や っぱ り,私 らの立場 か らい うと, リー ダー さんは ここ しか知 らんや ん。 この子 ら
の 自然 学校 での部分 しか知 らん。子 ども らの 自然学校 での顔 つて普段 とぜ んぜ ん違 う, 自
然学校 は特別や もん。
I:や っ ぱ り子 どももいつ も とは違 うんですね。
K.A:う ん。 そ うい う意味で リー ダー さん とのズ レはあるのか も しれ んね。
I:そ うですね。それ では,自 然学校全般 で,困 る部分があれ ばお聞き したいんです が。
K.A:よ うさんあるよ。 リー ダー さんや ってた ら分か るかな。例 えば 5泊 6日 あ つた ら先
生 らって何 日お つた ?
I:半 分 はいます よね。 穴 を埋 める形 で応 援 の先 生が 1泊 とか され るイメー ジですね。
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K.A:(職 員 の動静表 を提示 しなが ら)こ れ うちの職員 の動 きやねん。だれ が何 日日にお る
とか ,校 長 ,教 頭は どつちかはお らなあかんねん。 これで ,夜 って書 いて あ るところが泊
ま る ところ。私や と, 1泊 , 2泊 して , 3日 目の昼 はお つて夜 は家 で寝 る。 で も昼 って 言
つて も実際 に昼で帰 るん じゃな くて,寝 るのが 家 ってだ けで ,夜 に子 ども らがねてか ら帰
るねん。代 わ りの人 が夜 の ご飯食 べ る ころに来 て ,引 き継 ぎ して ,つ て言 つて も簡単で ち
ゃん とはで きひんねん けど。絶対 ,男 の先生 も女 の先生 も一 人 はお るよ うに組 み こんで …。
3ク ラスの学年や ってん け ど,ど の 日も必ず 2人 は担任 がお るよ うに して …。 これ が も う
なか なか大変 なんや け ど。
2泊 す る間 も,子 ども らが寝 た後 に, リー ダー さん とミーテ ィングす るや ろ ?私 らはそ
の あ と,先 生 だけでまたす るんや ん。で ,そ のあ と子 ども らを起 こ した り,薬 飲 ませ た り
,
個別 の 対応 があるねん。 特に,薬 は時間が決 まっ とる し,だ れが何飲 むか間違 えた らあか
ん し。 起 こす の も簡 単 じやな いんねん。親 が言 う時間に起 こさんかって子 どもが失 敗 した
らそ の子 の一生の傷 になって しま うか も しれんか ら,気 引き締 めてせ なあかん し,
30人
とか 40人 お つた ら,時 間 もバ ラバ ラや し…。 いつ 寝 るん って な る。 それ を 2泊 せ なあか
んか らな。 それが うま い ことい って寝 とる間 で も,
100人 もお つた ら,シ クシクあんね
ん。本 部に コ ン コンって 来んねん ,「 寝れ ませ ん 」 って。「目
民た くな るまで一 緒 にお ろか 」
つて対応す るねん。「最近 ど うなん」 とか しょ うもな い話 しよつた ら寝 て くれ るんや け ど
,
毎 日来 ることもあつてや つ ぱ り大変。 担任 が対応 で きた らいい け ど,そ うじゃない 時 は特
に困 る。
この 学校 は落 ち着 い とらた け ど,前 に明石 の 学校 にお つた 時は しん どい学年 で,い じめ
なんか もあ つて …。 そんな学年 を持 った 時 に,お 母 さんに 「先生 はなんで毎 日いて くれ な
いんで す か。 うちの子 は,先 生がお らん時 にい じめ られた」 つて言 われた ことがあって
,
かわいそ うな ことした とか,お ったった ら良か った な とか思 った け ど,そ ん時 は私 も若 か
つた し,で も実際 この勤務 の状態 で 5泊 は無理 って思ったな。や っ ぱ り,親 はそ うい う裏
の部分見 えてないか ら。 実際 の話 ,そ うい うギ ャ ップが しん どい。気持 ちの 面ではお つた
りたい し,親 とか子 どもの気持 ち考 えた ら,そ う思 うけ ど,労 働者 とした らこっ ちも人間
や しってい う部分でなん とかな らへ んのか な って 思 うことはあ る。
あ とはプ ロ グラムの 面や な。行 く施設 に よってで きるプ ロ グラム が違 うか ら,淡 路や と
行 く施設 が 毎年 同 じや か ら,結 局 プ ロ グラム も同 じよ うな こ としかで きひんねん。淡路 は
連合 でいった りす ることあるけ ど,そ れや とほんまに 自分 らが したい こと,担 任 の したい
ことはで きへ ん。
I:や っ ぱ り,担 任 として これ は してお きたい ってい うこ とはあ る うんですね。
K.A:例 えば淡路 の施設 や と,カ ッター 印1練 が一つ大 きいプ ログ ラムや け ど,こ れ ,よ う
欠航 になんねんな、 ち ょっ と風 がふいた らあかんか ら。 で も これ無 かった らしょ うもな い
ねん ,は っき り言 うた らな。代 わ りのプ ロ グラム もた い した ことで きへ ん しな。施設 に よ
つてで きることで きへ ん ことがあるの は しん どいかな。
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I:わ か りま した。現場 の生 の声 が 聞 けて よか つたです。
K.A:気 持 ち的にはお つた りた いん よ,担 任 としては。
I:担 任 としては,子 どもたち と一 緒 に とい う意識 は大 きいです か。
K.A:さ つ きの話 で も子 どもが寝 てか ら帰 って ,ほ んまは子 どもが起 きる時 にはお つた り
た いんや け ど,そ れ は しん どい。家 が近 かった らいい け ど,私 は 1時 間 かかつたか らな。
I:そ うです よね。あ りが と うございま した。 ざっ とですが聞 きた い ことは間 くことがで き
ま した。
K.A:ほ かに も,も
し見た い資料 があれ ば ど うぞ。
I:あ りが と うございます。 さきほ どのめあて の部分 をも う一 度見せ て も らえますか。
KoA:保 護者説 明会 の分や ね。 ど うぞ。
I:メ モ させ て もらいます。 このめあては,補 助 員 の方 々 に伝 えてお くもの なんです か。
K.A:し てないな。資料 の あ るこの 2年 間 に関 しては,そ
うい うこ とは伝 え られ てないか
な。
I:僕 も参加 した実感 としてあま り問いた ことがないな と思い ます ね。や っぱ り,こ うい う
教 育的 な部分 よ りも生活 の補助 に入 つて欲 しいです か。
K.A:つ ん。
多分 ,補 助員 の仕事 を して くれ る子 も大学生 が 多 いやんか。将来先生 にな りた いんや って
い う子 が来て くれ ることがおお いか ら,こ っち も子 どもの扱 い方 に 関 しては,よ う勉強 し
てい きな と思 うな。 スポ ンジ と一緒で , 自分 が 吸収 しよ うと思った ら,先 生 の動 き とか
,
対応 の方 法 とか盗 んで くれ ると思 うね ん。
I:そ うです よね。補助員 に とつて も勉強 にな ってます よね。
も う一つだ け聞きた い ことがあつたんで す が, 自然学校 で学 んだ こ とは,学 校 に帰 つてか
らどの よ うに活用 しています か。
K.A:自 然学校 で学 んだ こ とって勉強 とはちが うや ろ。 そ の ときに確認 した りす るもので
はないか ら。 さっ き言 つた よ うに仲間関係 が変 わった り,自 分 でで きるこ とが増 えた りと
か。 ふ とした生活 の場面 で見 えるものや と思 うな。 あ とは家族 との 関係。初 めて親 元 を離
れ る子 もお るや ろ。 家族 に手紙書 くの なんか も,子 どもだ け じやな く親 も学 ぶ ことがあ る
ん じゃないか な。
I:そ うです よね。 ほん と うにいろい ろよ くわ か りま した。 あ りが とうございま した。
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(2)教 員 N.T
実施 日時
:2014年 11月 10日
I:自 然学校 で子 どもにつ け させ た い力 は どんな力 を考 えています か。
N.T:担 任 として連れ て行 った 時 は,挑 戦す る とい うか ,い ろんな ことに取 り組 んでい く
力 とい うか ,学 校 ではで きるこ とが限 られ て くるか ら,学 校 ではで きな い経験 を通 して
,
「こん なこ とができるんだ」 とか 「こん な ことが あるんだ」 とか ,ま ぁひ とくくりで言 う
と挑戦 した り,自 分 で したい こ とを見 つ ける力 ってい うの を,ち ょっ と抽象的や け ど…。
I:そ の 「挑戦す る力」ってい うの は,先 生 自身 の願 いなのか,例 えば行政 か らお りて くる
目標 なんか をふま えてなのか どち らです か。
N.T:ど っ ちか ってい うと,学 校 の課題 とい うか,学 年 の課題。組 んで る先生 と話 して,「 も
っ と自分 か らで きるよ うにな った らいい よね 」 とかってい うところか ら生 まれ てきた もの
や か ら,ど ち らか とい うと,学 年 ,学 校 の課題 かな。それ が行政 の言 うところ と結 び つ く
部分 もあ ると思 うけ ど,実 際計画す る段 階 では ,実 態 を見て。
I:目 の前 の子 どもを見て ?
N.T:そ うそ う。変 わってい く。
I:そ の行政か らお りて くる部分 と,現 場 でや つてい る実感 にギャ ップ を感 じる ことはあ り
ます か。
N.T:行 政 か ら言 われ る部分が色 々 あ るや ん。 全 てを把 握 してい るわけ じやないか らなん
とも言 えへ ん け ど,ま ぁ時期であ った り,期 間であ った り,プ ロ グラムの組 み方 の部分 で
ある程度「縛 り」はあ るのか な。で もそ こに 関 して違 和感 みた い な もの は感 じてないかな。
I:で は, 自然学校 を通 して子 どもたちに身 につ く力 は どんな ものが あ りますか。
N.T:帰 って きてか ら学年 の先生 と 「こ うい うとこが 良 かった」み たい な話 をす るんや け
ど,最 初 に言 つていた 「挑戦す る力 をつ けたい ねん」 ってい う部分 は,ま ぁ…終わ って す
ぐってい うの は見 られ へ んけ ど,あ ま り積極的 に活動 してなかった子が,料 理 の部分 で積
極的 にや っていたな ぁとか ,野 菜作 りを していた時 にす ご く子 どもたちが生 き生 き してた
な ぁとか,そ うい う瞬間瞬間があ って ,そ うい う部分は,こ れか ら挑戦 してい く力 の芽生
えかなって ,そ うい うの は見 とれたな と思 うか な。
I:あ とか ら見 えて くる部分 も結構 あ るんです か。
N.T:そ うやね。特 に集 団での動 き とか ,挑 戦す る力 とは違 うんや け どや っ ぱ り,集 団で
な しとげた部分 とかは,そ れ以降 ,自 然学校行 った後 か らも成長 が見 えて くる部分で , 自
然学校 が き っか けにな るところかな。
I:や っぱ り協力 とか,め あて じゃない けれ どってい う部分 もあ るんですね。
N.T:あ るあ る。集 団行動 とか ,も ちろん多少 は意図 してい る ところではあるんや け ど
,
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自分 たちが意 図 していた ,教 師が考 えてた以上 に成長 してたね, 自然学校 をきっか けに し
て。 なんて言 うかね ,み んなで一 つの こ とをや ってい くつてい う気持 ち とか ,話 し合 って
い こ うとか ,高 学年 に向けて学年 で盛 り上 げて い こ うってい う意識 は出て きたな。
I:わ か りま した。 自然学校 を実施す るにあた つて ,ス タ ッフ として教員 と指 導補助員 が参
加す ると思 うんです け ど,そ れぞれ の役割 は どの よ うに考 えていますか。
N.T:や つぱ り,指 導補助員 の 人 には教 師 が 目の届 かない ところを見て欲 しい ってい うの
があつて。 ど うして も教 師は全体 を見 なあかんか ら,子 どもがち ょつ と体 調悪 い とか ,あ
の子 と トラブル になった とか ,そ うい う細 かい とこをち ょっ と見逃 して しま うんや け ど
,
年 も近 い し,子 どもの中に入 つてい け る人たちが して くれ てたので ,そ うい う部分 の フォ
ロー ができた り,入 つてい けた りを求 めてい る部分があ つて。 で ,今 までは , 自分が主で
や った時 もそ うい う部分 を満 た して くれ る子 た ちや つた。 穴 を埋 めて くれ る感 じで。
I:で は,先 生が主導 で,そ の フォ ロー を して くれ るのが補助員 ?
N.T:そ うそ うそ う。 で もキャ ンプ フ ァイヤ ー とかイベ ン トで主 になって も ら うことはあ
るんや け ど。 全体見 た らや つ ぱ りどっ ちか ってい うとサ ポ ー ト。
I:で は,そ こらへ んの価値観 が合 わな くて困 つた こ とはなか ったです か。
N.T:な かったね。 す ごい よ くや って くれ て。 次 ど うすれ ばいいか ,聞 いて くれ る子 た ち
や った … ,待 って るん じゃな くて。 ま ぁ経験 が あ ったんや ろ うと思 うけ どね。
I:わ か りま した。それ では,自 然学校 を通 して 困 つた こ とや ,し ん どかった ことはあ りま
す か。
N.T:そ うやね ,や っぱ り他校 とね …,姫 路 って 同 じ施 設 で何校 か一緒 にや るか らかぶ る
や ん。 そ の辺 の兼 ね合 い とい うか ,だ れ が どこを使 うか とか ,詰 めていか なあかん時 に当
然妥協 せ なあかん部分が出て きて ,例 えば この時 間に キャンプフ ァイヤ ー 場 で これ したい
ってい うのが うま くできな いってい う,そ れ が ち ょっ とも どか しかつたかな。
I:他 校 との兼 ね合 い もそ うです し,施 設 に よつて もで きない こ とがあ る じやないです か。
や っ ぱ り,や りた いのにで きな い こ とは起 こって くるん ですね。
N.T:あ るある…や つ ば り。子 どもの安全 面で もそ うや しね。我慢せ なあかん ってい うか。
I:わ か りま した。 では,担 任 じやな くて も引率 されて い ることがあ ると思 うんです が ,少
し前 の質問に戻 つて ,子 どもたち の成長 の様子 つてい うの は,共 通 して成長 して る部分 と
,
この子 たちだか ら成長 してい る部分 つてい うのが あるんで しょ うか。
N.T:学 年 のカ ラー に もよる し到達点が違 うか ら,ど うして も落 ち着 きが ない学年や とこ
こまで 出来たんや ってい う場所 が前の学年 か ら見て低 いって ことはあるんや け ど, トー タ
ル で見 て…周 囲 が見れ るよ うにな るこ とかな。基本 グル ープ で動 く し,自 分 の役害Jが きち
っ と決 まって るか ら,そ の辺 は意識す るよ うにな ったかな。や っぱ り,一 つの物事 に集 中
して しま うん じゃな くて ,視 野 を広 げて いか なあかん ってい うの は,子 どもた ちの 中に芽
生 えるのかな,4泊 も 5泊 も して るわ けや か らね。
I:集 団生活 とい う意味では,普 段 の学校 生活 も集 団生活 だ と思 うんです が,や つば り,自
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然学校 は少 し違 います か。
N.T:違 う違 う。 そ うい う意義 はす ごい あ る と思 うな。 一緒 に寝起 き して ,一 緒 に食 べ 物
作 って ,一 緒 に生活す るつてい う部分 が大 きいのか な。
N.T:分 か りました。以上で聞きたいことは全て間くことができました。ありがとうござ
いました。
62
(3)教 員 0.K
実施 同時
:2014年 11月 10日 実施
I:子 どもに ど うい つた力 をつ けさせ たい と思 って, 自然学校 の 目標 を考 えています か。
O.K:学 校 に よつて 目指す べ き 自然学校 の タイプってい うのが ,割 と違 うんや。 プ ログラ
ムか ら全部子 どもに考 え させ よ うってい う学校 もあ つた し,そ うじゃな くつて ,あ る程度
教員 の考 えた枠 の 中で , どこを子 どもた ちに考 え させ ,ど こを 自分 でプ ロ グラ ム立 て させ
るか つてい う感 じで …。 目指す ところってい うのが 学校 に よって違 うので ,一 概 には言 え
な い し,僕 は実 は 5年 生 だけは持 った こ とがな くて ,だ か ら直接 自分が こ うしたいつてい
う部分で中心 になって考 えた こ とはないんだけ ど,一 緒 に参加 してい く中でや つぱ り,何
を 目指す かってい う部分で …。 プ ログラムの企画性 を 目指 していた学校 もある し,そ う じ
ゃな くつて ,今 の子 どもつて よ く 「先 生 ,次 ,何 す るん ?」 って受 け身 な ことが多 いか ら
それ を絶対 に させ な いでお こ う,そ こを鍛 えてい こ うつてい う学校 もあ つて。僕 はそれ に
す ご く賛成 なんだけ ど。 プ ログラムは も う,あ る程度事前 に決 めて参加 してい くか ら…。
そ こ じゃな くて , 日々の生活 の 中で, 自分 で時計見 なが ら,何 分前 に行動す るには,今 か
ら何 した ら良 いかって , 自主的 … ,自 主 自立性 みた い なそ ういつた もの を一番 要求 したか
な。
I:実 際 , 自然学校 に参加 して,そ うい つた部分 は身 についていつた と感 じま したか。
O.K:身 につい て きて る と思 う。先 生 同士 で 「言 わない よ うに しよ う,失 敗 して もいいか
ら。」「 5分 前 か ら待 って お こ う」 って した ことが あ って ,そ こで待 つ ことに よつて子 ども
の変化 を見取 ろ う主義 でい ったか ら。そ した ら,日 が経 つ につ れて「あ,何 分前行動や な」
つて子 どもも意識す る し,そ れ を最初 か ら口に出 して しま うと,や っ ぱ り身 につか な い と
思 うか ら,そ こはや つば り教師 の共通理 解 が大事 にな るかな。
I:学 校 によつて色 々 あ った とは,思 うんです が ,ど の学校 で も育 ってい くな と感 じた こ と
はあ りますか。
K:さ つき言 つ た こ とは,ど こで も育 つ ん じゃないか な。や っば り,自 分 でや るつてい
う部分。子 どもに よつては,全 部 を親 におんぶ に抱 っこだった子 もい るだ ろ うけ ど,や っ
ぱ り,そ の子 な りに 自分 で 自主的 に行動 で きるつてい う部分 はみんな育 って る。 で ,み ん
0。
なだ いたいた くま し くな って るつてい う評価 を先生 は してい る。 た くま し くな って 帰 って
きて い るな って。 それ は,だ いたい どこの学校 で も。
I:わ か りま した。先 ほ ど教員 間 の共通理 解 が大切 だ とおつ しゃ っていま したが,自 然学校
の 時 には,ス タ ッフ として指導補助員 も参加 します よね。 そ うい った人た ちに も共通理解
はで きて い るんで しょ うか。
「自然学校 を通 して
O.K:そ れは言 う必要 があ ると思 うんや。事前 の 打ち合 わせ の 中でね。
63
,
こ うい った ところを鍛 えよ うと思 って るか ら,こ こだ けは声 かけん と放 っ といてね 」 って
い うよ うな共通理解 は絶対 にす る必要 が あると思 う。 で も学校 に よっては , リー ダー さん
におんぶ に抱 っこな ところ もあ る。それ はや つ ぱ り楽だか ら。「あ の リー ダー が来て くれ る
と,本 当に全部や って くれ て ,他 の リー ダー もま とめて くれ て,教 師 はす ごい 楽や」 って
声 を耳 にす るの は結構 あ る。 ところが ,そ うい うリー ダー で来て くれてた人で ,相 生 の学
校 にはよ く顔 を出 してた人 なんだけ ど,事 件 を起 こ して,体 罰 の。それで新 聞に も載 つた。
あ ぁ;や っ ば りな って。
I:そ の人 の指導方針 を推 していって しまったって ことです か。
O.K:自 分 で もプ ロ意識 を持 ってや って るか ら,子 どもがそれ に従 わなか った時 に対す る
言 い方 とか ,ま た ,担 任 だつた ら,「 あ の子 はち ょつ と発達障 害持 って るか ら,こ う言 われ
る とこ うな っ ちゃ う」ってい うこ とが 分 か るけ ど,リ ー ダー さんには分か らな い じゃな い。
ど う して も自分 の尺 度 で,「 こ うい う風 に熱 い気持 ちを伝 えた ら子 どもは こ うな って くれ る
はずや 」 ってい う感 じで ,特 にプ ロ意識持 ってや ってて,実 績 も積 んで る リー ダー なんか
は,「 自分が こ うや つた ら,こ う乗 って くるはずや けどそ うな らな い 」つて 時に 「あ いつが
悪 い 」 って感 じて指導 を入れて しまって ,そ れ が 良 くない方 にね …。結局そ の リー ダー は
帰 って きてか ら親 に訴 え られ て しま うってい うことがあつてね。
I:や つぱ り先生 と違 って,普 段 の子 どもの姿 を知 らなか った り,責 任 を取れ ないってい う
部分 が指導補助員 にはあ ります よね。他 の先生方 にイ ン タ ビュー した時 に も同 じよ うな意
見 が 出て いて ,そ うい う理 由もあつて ,「 補助 」とい う感 じで 自分 たちの穴 を埋 め るよ うな
役割 を してほ しいってい う意見 があつたんです が ,や は り先生はそ うい う役割 を期待 して
い るんで しょ っか。
O.K:や つぱ り,そ
うだ と思 うよ。 ただ , さつ きも言 つた よ うに 「頑張 ってね ,お 願 い し
ますね 」 って全 部任 せ て しま う学校 もあ つたか らね。 で もそれ はおか しいて思 うね。や っ
ば り,担 任 が 関 わ る中で ,そ の補助 つてい うかサ ブってい うか,回 つて も ら うのが ,本 当
の リー ダーの役 目だ と思 うけれ ども,本 当におん ぶに抱 っ こ して しま うってい うところ も
実際 あ ったか ら,そ れ はや っ ぱ り甘 えす ぎなん ちゃ うかな って。教師 が楽 したいか ら,あ
の リー ダー選 ぶってい う選択肢 はおか しいな と思 うね。
I:選 ぶ ときつてい うのは,担 任 の先生 が探 して くるんです か。
O.K:担 任 とか,「 去年 良か った よ」 とか ,他 の学校 か ら,「 あの人呼んでみて良か った よ」
とか ,あ るい は,学 校 によった ら大学 の 先生 とパ イプがで きて いて ,毎 年 そ こか ら来 て も
らった りね。 や っ ば り,そ うい う教育学部系 の学 生 は評判 も良い し,学 生 の意識 も高 いか
ら, どの子 に しよ うか選 ぶ のに 困 る ぐらいだ と問 くね。
I:そ うい うず つ と来て も らえる ところがあ る と信 頼 関係 もある し,リ ー ダー との トラブル
ってい うの も起 こ らな いです よね。
0.K:そ うだね , リー ダー絡み の トラブル は聞かないね。
I:他 に 自然学校 の 実施 中に困ってい ることや , しん どい ことはあ ります か。
64
0.K:最 近 ,非 常 に薬 を持 って くる子 どもが多 いんや。 そ の 中で最 近 あった トラブル は
,
この薬 を誰 がいつ飲 むか ってい うの を確認 できていなかったために,一 人 ,全 部飲 んで し
まった子がいて,本 当は子 どもが 管 理 して ,親 が 日付 ごとに ,「 この 日は これ ,次 の 朝 は こ
れ 」 って分 けてあげ るはずで ,そ うい う手配 を してあげない とい けな い はず な のに ,全 部
渡 され て丸 投 げ され て しまっていて,本 人がわ かつてい るか らつてい うこ とだつたんだ け
ど, 1日 分 全 部 を 1回 で飲 んで しまっていて,そ れで病院連 れて行 って大変 だった こ とが
あ ったね。 そ うい う薬 での子 どもの健康 上のチ ェ ックってい う部分 の意思 の疎通 がで きて
い なか った こ とに よる トラブル が一 件 あ つたの と,も う一つ ,向 こ うで体 を壊 した ときに
,
どこまでや らせ るか つてい う部分。「せ つか くここまで来て い るか らや らせ てあげたい 」で
も 「帰 したほ うが いいか な」 ってい う部分 の教師 としての葛藤 はや っ ば りあ るね。
I:や っば り先生 としては させ てあげたい気持 ちが強 いんです か。
O.K:さ せ て あげた い。 で も果 た してそれ が結 果的 にね …。 問題 があつた時 に手遅れ で は
困 る し。病 院 に連 れ て行 つた こ ともある し…それ は管理職 だ った 時 なんだ け どね。
I:わ か りま した。 ざっ とです が聞きたい ことは全 て間 くことがで きま した。あ りが と うご
ざいま した。
65
(4)教 員 M.R
実施 日時
:2014年 11月 30日
I:自 然学校 に行 く前 に,子 どもに こんな力 をつ け させ たいな とい う想 定は何 か していま し
たか。
M.R:学 校 の机 の上 での勉強 じゃな くて,外 で友達 と協力 して何 か一つ の こ とを行 うって
い うよ うな協力す る力 をつ け させ たい な と思ってま した。
I:そ の部分 は行政 の方か らくる要項 の よ うなものか ら考 えてい るのか ,そ れ とも日の前 の
子 どもを見 て感 じた先生の思い なのか どち らで しょ うか。
M.R:お そ らく,も
とを正せ ば,兵 庫 県で 自然学校 を始 めたってい うの は ,そ うい う力 を
つ けた いつてい うの もあ つた と思 うんです けど, どち らか とい うと担任 と して 「この子 た
ちに 自然学校行 って協力 して一つの こ とを成 し遂 げて欲 しい 」つてい う思 い はあ りま した。
I:と い うこ とは,学 校 で も 自然学校 の 目標みた い なものが あ った と思 うんです け ど,先 生
の 思 い を反 映 させ ていつた とい うこ とですね。
M.R:そ
うですね。
I:で は,実 際 自然 学校 に行 って, 日標 に していた部分 は身 に付 いた と感 じま したか。
M.R:自 然学校 に行 った 中で協力 できてい る部分がた くさん あって,特 に,活 動班 の 中で
子 どもたち の絆 も深 まった と思 うし,協 力す ることも覚 えた と思います。 ただ ,そ れ をま
た学校 に戻 つて 同 じよ うにで きるか とい うと,ま たそ こで難 しい と感 じなが らや っていま
した。
I:自 然学校 中に協力はで きてきた とい うことで したが ,上 手 くいつた要因はな んだ と考 え
ています か。
M.R:今 まで の学校 の勉強 とは違 って ,み んなで ご飯 を作 った りとか,み んなでキャンプ
フ ァイヤー に向けて ス タンツの練習 を した りとか ,子 どもの意欲 が 高 まる活動 が設 定 され
ていたんだ と思います 。 また 、それ らの活動 は,一 人ではで きな い もの,絶 対 に全員 が頑
張 らな い とで きない よ うな ものだったので ,協 力 してい く必要 が あ るプ ロ グラムが組 まれ
てたんだ と思います 。
I:め あて以外で成長や変化 を感 じた部分 はあ りますか。
M.R:あ
ま りそ こまで深 く見れ て ない と思 うんです け ど,自 分 の こ とは 自分 で しない とい
けな い 状況 だつたので ,そ うい う力はつ いて る と思 うの と,や っば り,表 情 が 良 か ったで
す。学校 にい る とき よ りも。普段 の勉強 してい る顔や ,遊 んで る顔 よ りも生 き生 き してい
て 良 かったです。
I:自 然学校 を実施す る際 に先生 の他 に指導補助員 が参加 す る と思 うんです が ,ど んな役割
を期待 しています か。
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M.R:指 導補助員 の方 には,子 どもた ち と密 に接 して もらつて,普 段 の教師 日線 ではな く
て ,少 し年 の 近 いお 兄 さんお姉 さん とい う感 じで接 して も らって ,子 どもたち と一 緒 に協
力 して もらえれ ば良 い と思ってい ま した。指導補助員 の方 に も,子 どもを見 ていて 「い け
ない な」 と思 った部分 は しかつて もらわな い といけない と思 って たんです が ,最 終的 にそ
うい うところをきっち りしてい くのが教員 の仕事 な のか な と思います。指導 にあたっての
主 とな る道 筋 は全部教師が進 めて いって ,そ れ に沿 つて補助員 の 方 には前 に出て も ら うこ
ともあつた り,一 緒 にや って も ら うこともあつた り…,例 えばノー トの振 り返 りを見て コ
メン トして も ら うだ けで も,子 どもた ちは 「見て も らえて い る」 と感 じる し。補助員 には
子 ども と関 わつて も らって, 自然学校 中は教師 は一 歩 引いて 見て てつて感 じで。 主 導す る
の は もちろん教師だ け ど,子 どもたち と一 緒 にってい う部分 では ,補 助員 の方 の方 が多 い
のか な と思います ね。
I:補 助員 に期待 してい るの は,や っ ぱ り,途 中 に言 つていた「お兄 さんお姉 さん の よ うな
,
仲 良 くなれ る存在 」 です か。
M.R:そ
うですね。最後 に別れ を惜 しむ よ うな
I:先 生はそ うい う風 に考 えてい ると思 うんです が,そ の考 えは,き っ ち り指導補助員 の方
に も共有す る機会 はあるんで しょ うか。
M.R:事 前 に打 ち合 わせ は していて,「 この活動 では,補 助員 さんには こんな風 に動 いて も
らって」 ってい う部分 は共有 していま した。
I:自 然学校 実施 中に困 った こ とや , しん どかったこ とは何 です か。
M.R:し ん どかった と思 うの は,夜 尿 で起 こさない とい けない子 どもた ちが いて,教 師 の
体力的に しん どか ったの と,一 人途 中 でホー ムシ ックになってあ と 1日 つてい うところで
す ごい泣 いた子が いて対応 が大変で した。
それ か ら, うちの クラス に一人 ,肢 体不 自由 の子が いて ,足 が あんま り動 かせ な くて
,
歩 けた りはす るけ ど素早 く動 くのが しん どくて ,他 の子 と一 緒 に行動 できなかったんです
が ,班 行動 で早 くで きた班か ら次 の行動 に移れ るつて な る と,そ の子 が遅 くて ,班 の他 の
子 たちが不満 がたまっていって ,そ こでは困 つたんです け ど,そ の経験 を通 して,逆 に回
りの子 がその子 に対す る理 解 が深 まったかなって …。困 つた けどプ ラス になった こ ともあ
ります。
あ とは,天 気 にも左右 され るので一応 雨 プ ロを用意 していて も,実 際 ど うす るのか って
い う部分 は大変かな って思 いますね。や りた い こともで きな くな って しま うし。
I:分 か りま した。初任 で 自然学校 に参加 した とい うこ とですが,そ れ に関連 して大 変 だっ
た こ とはあ ります か。
M.R:こ のイ ンタ ビュー で ,め あて とか聞かれ たんです け ど正 直そ こまで意識 してで きて
なか ったんや な と今 思 ってます。今 ,話 を しなが らしお りの めあ て のペ ー ジ を見 つ けて し
ま うぐらいや か ら。同 じ学年団 の先生が ほ とん どや って くれ たな って ,何 もわ か らへ ん し。
7月 に 自然学校 があ るか ら,分 か らな い な りに,そ こに 向けて クラス を作 っていか な い と
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い けない とは思ってま した。 実際行 って み ると, 自然学校 を経 て クラス がま とまった とこ
ろ もあ つた と思います 。 で も困 つた こ ととしては,自 然学校 か ら帰 って きた ら,今 度 は学
校 のルール を忘れ てま した。
I:自 然学校 の方 に意識が 向い ちゃ うんです かね。
M.R:そ
うですね。 自然学校 モー ドにな って るか ら,ま た締 めなお さな い とい けないって
い うの は, どの クラス も言 つてま したね。
I:や っ ぱ り,違 うところに行 っていた感 じにな るんで しょ うか。
M.R:学 校 とは言 え,そ
うで しょ うね。今 回 ,家 島に行 ったのでほん とに環境 が違 う。最
終 日は時間に遅れ る と船 に乗れ な いってい うよ うな ところや し,ほ ん とに天気 に左 右 され
る ところで した。
I:分 か りま した。 イ ンタ ビュー は異常 です。 あ りが と うございま した。
68
(5)指 導補助 員 w.s
実施 同時
:2014年
1月 30日
I:ま ず , 自然学校 に参加 した理 由を教 えて くだ さい。
wos:友 達 に紹介 を受 けて参加 したのが始 ま りです。
I:そ れ は初 めての時ですか。
w,s:そ うです
I:で は 4回 これ まで参加 しています が,初 めて の時 は友達 に誘 われ て とい うこ とです が
,
そ の後 も基本 的には誘 われ てですか。
wos:そ うですね ,基 本的 には誘 われ て行 く感 じで した。
I:で は,誘 われた時 に参加 しよ うと思 った だけの理 由があ る と思 うんです が,特 に 2回 目
3回 日と何 回 か経験 してか らは参加す る価値 があ ると思 ったか ら参加 したんで しょ うか。
wos:そ うです ね。 最初 は一 回経験 してみ よ うかな と思 ったんです が, 2回 目 3回 目に行
く理 由にな ったのが ,子 どもた ちの違 いで あ った り,学 校 ごとの違 い とか ,プ ログラム は
何 をや ってい るのか とか何 のた めにや ってい るのか なんかが気 になって ,何 回か い くき つ
か けにな りま した。
I:福 井県 出身 とい うことです が,自 然学校 は兵庫県独 自の行事だ と思います。質問用紙 に
自然学校 の よ うな行事 はあ りま したか とい う欄 に 「はい」 とあ ります が, どの よ うな行事
だったか教 えて くだ さい。
wos:兵 庫県 の 自然学校 は 5年 生が学年 単位 で ,学 校 単独 で行 くものだ ったんです が,私
は 「み どりの少 年団」 とい うイベ ン トが あ りま して ,私 は越前町 の 出身なんです が ,越 前
4つ ぐらいが一つの少年 の家 の よ うな ところに合 同で,あ る程度班分 けを され
て泊 ま るとい うもので して,他 の学校 の子 どもた ち と友達 になって ,一 緒 に寝泊ま り した
りして ,親 睦 を深 めてい くよ うなイ ベ ン トもあ りま した。
I:期 間的 には どれ くらいで しょ うか。
町 の学校 ,
w.s:2泊 3日 です ね。
I:5年 生の時です か。
w.s:5年 生 で したね。私 の代 で最後 で した。
I:じ ゃあ今 はない とい うこ とですね。それ は福井県全部 で行 われ てい るので はな く町で行
われ ていたんです かね。
w.s:そ うですね ,郡 単位 で行 われ ていま したね。
I:そ れでは,参 加 され た 自然学校 の内容 について聞 いてい きます。 自然学校 に参加 した と
きに困 つた こ とは何 かあ りま したか。
wos:困 つた こ ととしては,ま ず ,初 めての時 は,し か る とい うこ とができませ んで した。
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私 はそれほ ど気 が強 い方 ではないので ,あ ま りしか るとか声 を荒 げ る とい うことを した く
ない性格 な ので ,子 どもたちがふ ざけて い る時 に もそんなに言 えなかった とい うこ とが あ
りま した。 まずそれ ですね ,し か ることができませ んで した。回数 を重ね るご とにち ょっ
とず つ ,あ かん ことはあかん ,良 い ことは 良い と言 えるよ うにな って きま した。 プ ロ グラ
ム につい ては ,子 どもた ちを どこまでサ ポ ー トす るか,ど こまでや っていいのか とい うあ
んばいがち ょっ とわか らな くて ,そ れか ら子 どもた ち と一緒 にす るか ,そ れ とも見 るこ と
に徹す るのか とい うところが …。
I:言 つて しま えば役割 で しょ うか。
w.s:そ うですね ,役 割が分か らない とい うか。
I:そ れ は初 回に限 らずです か。
wos:そ うです ね ,初 回に限 らず です。 そ うい うときは先生方 に指示 を仰 ぐよ うに してま
す。 自分で勝 手に行動せ ず に先生方 に指示 を仰 ぐ。
I:先 生方 に指示 を仰 ぐとい うことです が ,立 ち振 る舞 い方 としては,先 生 が されて い るの
と同 じよ うにす るこ とを心が けてお られ ま したか。
w.s:勝 手 に行動す る と,や り過 ぎにな って しま うのでは ないか と。僕 た ちは どち らか と
言 うと補助員 として 自然学校 に来 てい るので,子 どもたち と楽 しむの も良 いんです が ,や
っ ば り仕事 な ので ,そ こは割 り切 つておかな けれ ばな らない な と。
I:楽 しむだ けではな く。
wos:は い,切 り替 えを。
I:先 ほ ど先生 に聞いて と言 つてま したが ,先 生 との連 携 の面で何 か困 った こ とはあ りま し
たか。
w.s:連 携 の 面 では,オ リエ ンテー リングが あ った ときに,補 助 員 と先生 がば らば らにな
る時があって ,連 絡 手段 が無 線や携帯電話 にな るんです が ,無 線 が無 く,電 波 もな くて
,
も しも万 が一 が起 こった時 に何 も連絡手段がな いの は ど うなのか な と思いま した。
I:相 談 がで きない と困 るとい うことです ね。
I:話 を聞いてい る と w.sさ んは,補 助員 は裏方 で補助す る側 とい う考 え方 だ とお も うんで
す が ,今 まで 4回 参加 されてます が , どの学校 で もそ のスタンスでい けたんで しょ うか ?
学校 に よっては もつ と前 に出てい つて ほ しい と言 われ るのか ,そ うではな く先生主導 の学
校 が 多 かったです か。
wos:基 本的 には,子 どもた ちの行 事 なので,補 助 員 が前 に出て行 くこ とはあま りしない
でお こ うと思 うんです け ど,補 助員 さんがや って くだ さい と先生方 に言 われ た もの に関 し
ては積極的 に前 に出て行 くよ うに しています。
I:基 本的 には先生主導 で,頼 まれた ところを補助員が とい う感 じです か。
w.s:た いていそ うです。
I:先 生 と, 自分た ち との役割 の食 い違 いみたい な経験 はなかったですか。
w.s:そ こはあんま り,あ ま り気 に して ないですね。
70
I:そ うです か。では,次 の質問 にい きます。指導補助員 をす るときに一番 大切 に してい る
ことは何 です か。
w.s:や は り,子 どもた ちの ためな ので,安 全 面 を気 をつ ける こ と,慣 れ な い集 団生活 な
ので , 自分 の ことだ けでな くみんなの こ と,み んな の こと も考 えなければい けない よ とい
うこ とは子 どもたち に伝 えています 。
I:具 体的 に どの よ うに指導 され ま したか。
wos:具 体的 には,準 備 してか ら集 合 をす る時 ,集 合 時間 ぎ りぎ りにな って準備 をす る子
がいて ,周 りの子 は準備 が出来 て整列 出来てい るのに,準 備 せ ず に遊んで い る子 がいたつ
てい うことがあつて ,そ ういつた場面 で注意 を した りしま した。
I:大 切 に され てい ることの大元 にあ るのが 「子 どもたちのために」 とい う意識 だ と思 うん
です が ,こ れ は初 めての時か らこのよ うに考 えていたのか ,そ れ とも回数 を重ね るごとに
そ うい う風 になって いったのか どち らですか。
wos:後 者 ですね。
I:は じめは どのよ うに考 えていま したか。
wos:は じめは何 も分か らない状態 だった ので ,何 を言 つた らいいのか ,何 を した らいの
か分 か らない状態で ,そ こまで子 どもた ちにで きる こともな くて ,集 合 の 時 とかに先生方
が注意 していたのを見て 「こ うや って しなけれ ばい けない な」 と思 った り,ま ぁ学 んでい
くとい う感 じです ね。子 どもた ち とか先生が何 を してい るのか見 るよ うにな りま したね。
I:参 加す る中で,先 生方 の様子 を見 なが ら, 自分 の 中でで きて きた ってい う感 じです か。
wos:は い。
I:そ れでは,今 まで,自 分 とは違 う考 え方の人 と一 緒 に 自然学校 に行 くこ とはあ りま した
か。
w.s:違 う考 え ?
I:w.sさ んは子 どもたちの た めに とい うことを大事 に され てます よね,基 本的 には皆 さん
子 どもたちのために とい う考 えで され て ると思 うんです が ,例 えば wosさ んは集 団生活 を
意識 させて るみたい な ことをお つ しゃ つて たんです が ,中 には楽 しさ優先 みた い な考 えの
方 もい らっ しゃるか も しれ ないで す よね。 そ うい う人 と一 緒 に行 った経験 はあ ります か ?
今 の は例 なんです け ど。
w.s:さ きほ ど言 われ た楽 しけれ ば良 いってい う人 は 自分 も楽 しんでい る人 だ と思 うんで
す よ。 そ うい う人 はいたかな …
自分 も楽 しんで ,楽 しみ過 ぎてバ テて しまった人 は いま
した。
I:そ の時間題 は無 かったです か。
wos:体 調 を崩 した人 が出た ことで ,ス タ ッフの人数 が欠 けて い る状態 になって しまって
,
子 どもたちの活動 を見 るの も大変 で した し,子 どもたちも休 んでい る人 を心配す るよ うに
な って ,こ ち らも不安 にな って くるよ うに思 い ま した。
I:そ の,ば てて しまった方 とその こ とについて何 かお話 は され ま したか
71
wos:な いですね,や っぱ り掘 り返せ ないです ね。
I:そ うです よね,そ れ では次 の質 問です。 自然学校 に参加 して良 かった ことは何 です か。
wos:良 かった ことは,私 はキャ ンプフ ァイヤーの ときにや って よかった と思いま したね。
補助員 で出 し物 を したんです が ,子 どもたちがす ご く喜ん で くれ て ,子 どもた ちが よつて
きて くれて ,子 どもたちのキ ラキ ラした笑顔が ス ゴ く良 いんです よね。や っ ぱ り子 どもた
ち とふれあ うこと,が ,教 育大 に在 籍 しているこ ともあつて ,子 どもたちが何 を した ら喜
んで くれ るか とか ,実 際 に体験 できた こ とはす ご く大 きい と思います。
I:そ れでは逆 に,自 然学校 に参加 してみて,こ の 自然学校 の課題 だ と考 える部分は何 かあ
りますか。 もつ とここをこ うした ら良 くなるの に, とい うことですね。
wos:難 しいですね。
I:不 満 に感 じてい ることとかですね。
w.s:正 直 , 自分 の ことに必死 でそ こまで見 えて こないですね。
I:そ うです か ,そ れ では これでイ ンタ ビュー は終了です。 あ りが と うございま した。
72
(6)指 導補助 員 t.a
実施 同時 :2014年 3月 11日
I:自 然学校 に これ まで 7回 参加 され てい ます が ,参 加 した理 由としては どの よ うな こ とが
あ りますか。
t.a:も とも と子 どもが好 きで ,子 どもと関 わ る機会 が欲 し くて ,探 していた ときに 自然学
校 の ことを聞 いたので参加 しま した。
I:そ れ は初 めての ときだ と思います が 2回 日以 降参加 したのは ど ういった理 由ですか。
toa:や っ ば りい ろんな子 どもがい るこ とが分 かつた し,他 の学校 では どんな子 どもがい る
のか とか , どんなシステ ム な のか とかが気 にな って参加 しま した。
I:他 の学校 では ど うな ってい るのか気 になった とい うこ とですね。
t.a:は い 。
I:そ れでは,こ れ まで 自然学校 に参力日して,自 分 に とつて良かったな と感 じることは何 か
あ りますか。
t.a:学 校 に よつた り,同 じ学校 で も学年 によって ,子 どもの タイプってい うか一 人 一 人 も
そ うです け ど,学 年全体 として も全 く違 っていて ,そ うい う子 どもたち と接す るのに 自分
も臨機応変 に対応 しない とい けな くて ,そ うい う面で 自分 が どう対応 した らいい のか と考
えるよ うにな って成長 したかな と思います。
I:将 来はそれ を生か してい くよ うな仕事 を考 えています か。
t.a:将 来 は,少 し,教 育関係 とは違 う道 を考 えてい るのです が ,子 ども と触れ あ う機会 に
は今 まで経験 した ことを生か して 子 どもを喜ばせ るよ うな こ とがで きた らいい な と思 って
います。
I:先 ほ どは 自分に とって得 るもの につい てお問 き しま したが,で は,自 然学校 に参加 した
子 どもた ちに とって得 るもの は どの よ うなもの が ある と考 えていますか。
t.a:や っ ぱ り,家 族 と離れ てい るこ とで寂 しい と感 じる子 も結構 い るみた い なんです け ど
,
そ うい う環境 だか らこそ敏感 に友達の こ とに反応 した りとか 自分 の ことをよ く考 えてみ た
りす る機会 にな って ,ち ょっ と人 に優 し くな った り, 自分 の ことを考 える時間になって
,
ああ い う年頃 ではなかなかで きない体験 ができ るんではな いか な と思います 。
I:な かなかできない体験 とは具体的 に何 かあ りますか。
t.a:飯 ご う炊 さんで グル ー プ ご とに活動す るんです け ど,先 生の人数 とリー ダーの人数 を
足 して もグル ープの数 には追 いつ かな くて ,一 つ の班 に一人 も付 くことがで きないんです
け ど,片 付 けがす ご く大変で ,次 のプ ロ グラム もせ まってい る し,結 構 もめ るチ ー ム があ
るんですがそ うい う中で も協力 で きるよ うにな るチ ーム もあ る し,逆 に喧 嘩 になって大人
の力 を借 りて話 し合 って解決す る班 もあ つて,そ うい うこ とはなかなか普段 で きない こ と
73
なん じゃな いか な と思います し,先 生 だ けで 1ク ラス 25人 以 上 とかの相手 を してい る中
ではで きない ことだ と思 うので , リー ダー がい ることは意味があ るん じゃな いか と思 い ま
す。
I:先 生だ け じゃな く,い つ も と違 う大人 がい る環境 が重要 とい うことです かね。
t.a:そ うですね ,先 生 に比 べ る と年 も近 い し話やす い けど,大 人 だか ら正 しい ことは言 う
ってい う良 い 意味で微妙 な立 ち位置 ってい うのが 良いん じゃな いか な と思います。
I:さ きほ ど良 い意味で微妙 な立 ち意味 とおっ しゃ ってま したが ,自 然学校 において補助員
に求 め られ て る役割 はそ うい う立ち位 置 だ と考 えていますか
t,a:そ うですね。先生 と児童が 学校 か ら離れ て ,非 日常的 な体験 をす ることが 自然学校 だ
と考 えてい るんです が ,そ の仲 立 ちを上手 くスムーズ にす ることが補助員 の仕事 じゃな い
かな と思います。
I:先 生 と子 どもをつ な ぐってい うイ メー ジです か。
t.a:そ うい う架 け橋 の よ うな役割 だ と思います。
I:そ うい う役害1で 自然学校 を してい くにあた って 自分 の 中 で大切 に してい るこ とはあ りま
す か。
t.a:一 人 一 人 の子 どもを見て ,や つば り考 えてい る こ とはみんな違 うので,一 人 一 人 の気
持 ちを考 え られ るよ うに子 ど もの気持 ちに敏感 になるよ うに努力 しています。
I:子 どもの立場に寄 り添 って接す る とい うイ メー ジで 良いです か。
t.a:そ うですね ,ど ち らか と言 うと先生 ぶ るので はな く,子 ども と一 緒 の 目線 で一 緒 に遊
んだ りしつつ ,大 人 の 目線 で見て ,子 どもの変化 に気 づ けるよ うに してい くつて感 じです。
I:子 ども と同 じよ うに楽 しみなが ら大人 の冷静 さも持 つ とい うこ とです か。
t.a:理 想 はそ うですね。
I:子 どもに寄 り添 うとい うことは初 めて の時か らされ てい るのか ,そ れ とも何 回か参加 し
てい くうちにできて きた もの な のか どち らです か。
t.a:最 初 は,本 当に子 どもに圧倒 され て ,「 遊 んで遊 んで」 って寄 って くるので遊び相 手
をす るの に必死で,周 りの こ となんて何 も見 えてなかったので,そ の反省 として回 を重ね
るご とに周 りも見 ない とい けな い し,大 人 の 目線 も必要だ と感 じるよ うにな って きま した。
I:こ れまで 6校 参加 されて います が ,学 校 に よって求 め られてい る役割 は違 います か。
t.a:は い。リー ダー として子 ども と思い っ き り遊んで くだ さい と言 われ る ところもある し
,
先生 って呼 ばれて,本 当に先生みたい に接 して も らっ た ら良 いです って言 われ るところ も
あ った りして ,な かなか 自分 の 考 える補 助員 の立 場 とギャ ップがあって対応 が難 しい とき
もあ りま した。
I:難 しい時 には どの よ うに対応 しま したか。
t.a:で きるだ け求 め られ てい るこ とをや りなが ら,子 どもに寄 り添 うや り方 を出来 る範 囲
でや ってい きま した。 それが学校 のや り方 と合 って ない 場合 は学校 の意見 に近 づ けて い く
こと も してい きま した。
74
I:こ れ までそ うい う風 に 自分 の 考 え とは違 う時に,自 分 のや り方 をや って「変 えてほ しい 」
と言 われ た こ とはあ るんです か。
t.a:そ うです ね。「も うち ょつ と先生 っぼ く」 とか言 われ た り,先 生 だけでな くほかの リ
ー ダー か ら 「こ うい うときはあんま り子 どもに入 つていか な いほ うがいいん じゃないか 」
と言 われ た こ ともあ りま した。
I:リ ー ダー 同士で もあるんですね。
t.a:は い。そ うい う時は言 われ た ことを実践 しなが ら,自 分 の味 を出せ る時 には 自分 のや
りた い ことを入れ てい くよ うに しま した。
I:そ れでは,こ れ まで参加 した 自然学校 の 中で何 か困 った ことはあ りま したか
t.a:先 生 とリー ダー との事前 の ミーテ ィ ングが上 手 くいつて な くて,自 然学校 が始 まって
か ら役割分担 が上手 くいか なか った り,時 間調整 が上 手 くいかず ,ば たばた して子 どもた
ちに も迷惑 をかけて しまった こ とがあったので ,学 校 との連 携 を とるのが大切 だ と思いま
した。
I:さ きほ どの話 に少 し戻 るんです が,先 生方 との考 え方が合 わな くて 困 った ことはそれ な
りにあるんで しょ うか。
t.a:学 校 に もよ りますが ,私 た ちの ことを成長 させ よ うと して くれ る学校 もあ るみた いで
,
「今 ,怒 って も良か った よ」 とかア ドバ イ ス して くれ ることはあ つたんです が ,自 分 の 中
では ど うしよ うもな い状 態でヘ ル プ を出 してい る状態 な のでそ うい うことを言われ て も と
思 うことはあ ります
I:そ うい うア ドバ イ ス は次 に生かそ うと考 えています か。
t.a:そ うですね,同 じよ うな場 面が次 にあれ ばや って み よ うとは思 っています。
I:先 生 との 関 わ りの 中で 自分 も成長 してい る とい うこ とですね。
t.a:は い 。
I:自 然学校 に参加 して,自 然学校 とい う行事 を改善す るべ きだ と思 うところはあ ります か。
t.a:自 然学校 では よ く
10分 前行動 ,5分 前集合 ってい うこ とが言 われ るんですが, 自分
が小 学 生で行 った ときもそ うだ つ たんです が,こ うい うこ とって実 際 ,学 校 の 中で言 われ
てい るのか な と思います 。少 な くとも 自分が小学生 の時 は学校では全 く言 われ なか ったの
で … , 自然学校 の前 か らとか ,終 わってか らで も,例 えば 5分 前行動 な ら運動会 の練習 で
取 り入れた り出来 る と思 うので ,学 校 で も指導 しない と自然学校 の 意味 が無 い よ うな気 が
します。 せ っか く 5日 間 も行 くの で …
I:そ うい う部分 は学校 での ことなので ,自 然学校 の補助員 をや ってい るだ けでは見 えて こ
ない と思 うんです が , 自然学校 以外 で も継続 して 関 わつてい るんですか。
t.a:運 動会や音楽会 を見 に行 った り,手 紙 のや りと りを して個人的 にサ ッカ ー を見 に行 っ
た り して子 ど もの成長 した 姿 を見 ることは何度 か あ りま した。
I:そ うい う時 にや っば り自然学校が生か され てい るところも見 えて きます か。
そ うですね ,人 の話 を聞 くよ うにな った とか,先 生 に言 われ な くて も自分た ちで時間 の確
75
認 がで きるよ うにな ってい る子 はい るので ,も つ と徹底 した ら広 が って行 くん じゃな いか
な と。
I:で は逆 に,「 あの ときは出来ていた の に」 とな ることもあるんです か。
t.a:そ うですね ,先 生 に怒 られ ていた りす る と 「あの ときは出来て い た のに」 と思 うこ と
はあ りますね。
I:そ うい う意味で も継続的 な指導が必要 とい うこ とですか。
t.a:そ う思 います。
I:分 か りま した。 それではイ ンタ ビュー は以上です。 あ りが と うございま した。
76
(7)指 導補助員 y.a
実施 同時
:2014年 4月 12日
I:こ れ まで 2回 自然学校 に参加 しています が ,自 然学校 に参加 した理 由 として どの よ うな
ことがあ りますか。
y.a:子 ども と関 わ りたか つた こ とと,自 分 が 自然学校 に行 った時 に来ていた リー ダー さん
が ,す ごい偉 大な存在 で ,す ご く楽 しませ て も らったか ら自分 もそ い うこ とができた らい
い な と思って参加 しま した。
I:自 分 が行 った ときの リー ダ さんがす ご く影響 してい るよ うですね。 さきほ ど,「 偉大 だ
った 」 とお っ しゃ っていま したが ,ど の よ うな ところが偉大 だった とか尊敬 で きる と感 じ
ま したか。
y.a:話 をす る ときに,い つ も先生 の話 を聞いてい る ときにはみんな何気 な く聞いてい るだ
けで ,聞 いてい ない子 もいた りとか してたんです け ど,そ の時 の リー ダー さんは,引 きつ
ける力があ って,話 を始 める前 に何 か一つ や って ,み んなの集 中を引いた りだ とか ,楽 器
演奏 した りす る人 もいて ,そ うい うところです。
I:先 生 とはち ょっ と違 う存在 だ った と感 じたんです か
y.a:は い 。
I:そ の時 の リー ダー さんは,自 分 たち
(が 補助員 として参加
した とき と)と 同 じ学生 で し
たか。
y.a:ち ょっ と分 か らないです。
I:そ うです か。それ では次 の質問 です。 自然学校 に参加 してみて良 かった こ とは何 か あ り
ます か。
y.a:子 ども と関われ たってい うのが一番 大 きい。それ か ら,今 の小学生 に関われた のが大
きいです。 あ とは, ど うい うときに怒 って とか , どんな風 に接 した ら良 いのか 考 える機会
になったのが良か ったです。
I:「 今 の子 どもた ち」 とおっ しゃ っていま したが , 自分 たちが子 どもの とき とは違 うと感
じま したか。
y.a:基 本的 な ことは変わ らない と思 うんです け ど,自 分 が小 学生 の とき と,今 の 自分 が小
学生 を客観 的 に見 るの とでは違 うかな と思います。
I:子 どもとの接 し方 につい て考 える機会 になった とお っ しゃっていま したが,ど の よ うに
考 えま したか。
y.a:子 どもが軽い気持 ちでふ ざけた りしてい る ときに,小 さい ことだ し,子 どもた ち も間
違 ってい るこ とはわかってい るか ら放 って お いていいのか ,そ れ ともだめな ことはだめ と
怒 るのか 考 えるこ とがあつて難 しか ったです。
77
I:そ うい うときは,何 か を参考 に した り誰かに相談 した りしま したか。
y.a:先 生 とか他 の補助員 が どの よ うに接 してい るのか様子 を見た りしま した。それ で 自分
の タイ ミングもつ かめたかな と思います 。
I:さ きほ どは 自分 に とって の 良 かった こ とを問いたんです が ,次 は,子 どもた ちに とって
自然学校 に よつて得 るもの は どんな こ とがある と感 じま したか。
y.a:日 常生活 か ら離れて ,色 んな経験 が積 めることは本 当に良 い ことだ と思います。例 え
ば,先 生 よ りも年が近 くて子 どもに とつては話 か けやす かった り相談 しやす か つた りす る
リー ダー がい るの もそ うです し。
I:学 校 と違 う環境 での活動 が大 きい うこ とです ね。色んな経験がで きるのが 良 い とお つ し
ゃ っていま したが ,具 体的 に何 かエ ピソー ドはあ ります か。
y.a:例 えば,キ ャ ンプフ ァイヤー な ら,普 段お とな しい子 の 中で も素 を出せ て る子 がいた
り,普 段 はなかなかで きな い こ となん じゃな いか な と思います。
I:自 然学校 に参加 していて 自分 の 中で難 しかった こととか ,困 つた ことは どの よ うな こと
があ りま したか。
y.a:自 分 の立 ち位置。先生で もない し,だ か らとい つて友達 で もない。伸 良 くな りす ぎる
と怒 って も聞 いて くれ な い し,だ か らとい って先生 の よ うに接 していた ら自然学校 の期 間
内では仲 良 くな りに くいだ ろ うし。
I:仲 良 くな りす ぎて怒 って もきいて くれ ない時 には どの よ うに対応 しま したか。
y.a:何 とか言 うこ とを聞いて も らお うと思 ってま じめな顔 で言 つてみた りとか しま した。
I:ま じめな顔 で接す る と子 どもたちは聞いて くれ ま したか。
yoa:は
い。
I:先 生方か らそ うい う面 で何 かア ドバ イ ス はあ りま したか。
y.a:無 かったです。
I:じ ゃあ 自分 のタイ ミングで指 導 を入れ ていたんてたんですね。
y.a:だ めな こ とはだめ と言 うぐらいは。
I:先 生や他 の補助員 との間で何 か困つた ことはあ りま したか。
y.a:当 日に初 めて顔合 わせ した こ とが あ って,前 もつて あ る程度仲 良 くな っておか ない と
連携 を とるのが難 しいな と感 じま した。
I:そ れでは,自 然学校参加 してみて,自 然学校 とい う制度 について改善すれ ば良い と思 う
ところがあれ ば教 えて くだ さい。
y.a:初 めて参加 した学校 は最後 の 日に住所 を交換 した りとか色 々 あ っ たんです け ど,二 回
目の学校 は,住 所 とか を聞かれ た ときに先生 に確認 を した ら,先 生 もあいまいで,教 えな
い 方が良いか な … とい う感 じだったので ,あ らか じめ決 めておいて ,子 どもに もそ うい う
個人情報 の 交換 は禁止 だ とか指導 しておいて も らえると,子 どもも聞かない と思 うし, リ
ー ダー も困 る ことがなかったかな と思 います。
I:わ か りま した,聞 きたい ことは以 上です。 あ りが と うございま した。
78
(イ
ンタ ビュー 後 の 雑 談〉
I:今 年 は他 に も 自然 学校 行 くの ?
y.a:い や ,今 年 は実 習 もあ るん で行 きた くて も行 けない で す。
I:今 まで は誘 われ て い ったん ?
y.a:先 輩 か ら言 われ てです ね ,部 活 内で じゃ ん けん して決 め ま した。
I:そ ん なん で決 め るんや ,小 学 生 の 時 に来 とった リー ダー が気 に な るんや け ど…
ギ タ ー とか弾 い とっ たんや ろ ?
y.a:ギ ター の 人 は あ ん ま り覚 えてない です け ど,フ ル ー ト吹 い とる人 が お つて ,女 の 人 で
… ,フ ル ー トつて い う楽器 をそれ まで見 た こ とが無 くて ,め っ ち ゃ か っ こ よ くて
I:そ れ学 生 っぽい な。
y.a:で す かね , 自分 が小 さいか らよ く分 か ん な くて …
I:や ん な ,み んな大人 に見 え る もん な。
y.a:二 人 い て ,一 人 は新 人 つて 呼 ばれ て て …
I:二 人 の 中 で は新 人 つて こ とか。
y.a:や か ら学 生 なん です かね ?
I:で もな ,学 生や っ た らみ ん な新 人や ん。
y.a:私 の学 校 にず つ と来 て る人 が一人 と一 つて感 じで した。
フル ー ト吹 い とる人 が か つ こ良 くて ,そ れ 見 て ,「 私 も吹奏 楽入 る」 つて 思 って。
I:そ
うなんや ,そ うい う影 響 も与 えて ん ねや … な るほ どな。
個 人 的 に ,学 生 が 良 い の か ,お るや ん プ ロみ たい な人 ,そ の プ ロが 良 い の かみ たい なん を
ち ょ っ と考 えた くて …。
y.a:自 分 が行 っ とった小 学校 に ,今 ま で ず っ と リー ダ ー を して きた って 先 生 が いた ん です
よ。 職 としてや って きて ,そ こか ら試 験 受 けて先 生 にな った って い う人 で 。 そ の 人 は ,私
の違 う学校 の 友達 の 自然 学校 に リー ダ ー で来 た ら しい ん で うけ ど,「 す ごか った 」つて 言 つ
て ま した。 火 吹 い た りって 。
I:あ ぁ,そ
うい う良 い とこや っ ばあ るや け どな 。
そ うい うの もひ つ くるめて どっ ちが 良 い んか考 えたい ん よな。 参 考 にな りま した 。
79
(8)指 導補助 員 m.k
寺 :2014年 5月 19日
実施 日日
I:ま ず ,自 然学校 に参加 した理 由は何 ですか。
m.k:私 は幼稚 園教員志望 で,在 学 中に小学 生 に関わ る機会 がないので,一 回小学生 は ど
んな ものか 関 わつてみたい と思 ったの と,自 分 が小 学校 の時 の 自然学校 がす ご く楽 し くて
,
良 い 思 い 出を リー ダー さんにつ くって も らったか ら,私 もそ うい うことがで きた らいい な
と思 って参加 しま した。
I:分 か りま した。将来 は幼稚 園 の教員希望 とい うことで,事 前 のア ンケ‐ 卜で も保 育園 の
バ イ トを してい るとあるんです が ,保 育園 の子 どもと関わ つてい るの と比 べ て ,小 学生 と
関 わつてみて どの よ うに感 じま したか。
m.k:保 育園 の子 どもと比 べ る と,体 は大 きい け ど,予 想 していた よ りも言 わない とで き
な い な ぁと,子 どもや つたな ぁと思 いま した。小 5や か ら,も つ と言 われ な くて も動 ける
のか な と思 ってい た け ど,指 示 出 さな い とだめだった り…。 ただ ,子 どもだ けで フ ァイヤ
ーの ことを考 えた り,保 育園 の子 と比 べ るとさすがだな と感 じるこ ともあ りま した。
I:思 っていた よ りも幼 い面 もあ つた け ど,し っか りしてい る ところもある と感 じたんです
ね。 も うひ とつ 問 きた いんです が ,自 分 たちの 自然学校 に来 ていた リー ダー さんが楽 しま
せ て くれた とお っ しゃ っていま した。 そ の方た ちは 自分 た ち と同 じよ うな学 生 で来 てたの
か ,プ ロの よ うな何度 も来て い る方 の どち らに見 えま したか。
m.k:学 生ではなか ったです。 一 人 は私 が行 つていたスイ ミングス クール の先生 を してい
る人 で した。
I:結 構経験 がある方 なんですかね。
m.k:そ うだ と思います。
I:そ の 時 の リー ダー さんが ,自 分 たちに して くれ た ことを 自分 もや つてみた とい うこ とは
何 か あ ります か。
m.k:何 を して くれ たか ,あ ま り覚 えてないんです け ど…。 と りあ えず盛 り上 げ るのがす
ごい上 手で ,楽 しか ったです。
I:楽 しい 自然学校 に して くれ たんですね。
m.k:は い。 みんな 「 リー ダー , リー ダー 」 って寄 っていってま した。
I:自 分 が小 学 生の時 の 自然学校 はす ご く楽 しかった よ うです がが ,そ れ と比 べ て補 助員 と
して参加 した 自然学校 では どの よ うな印象 で したか。
m.k:小 学校 の ときは,台 風 が来 ていて,あ ま り活動 が出来 な くて室 内で の遊び ばか りだ
ったので,今 回は外 での活動 が 多 くて ,こ んなにた くさん の ことが 自然学校 ででき るんだ
な と思いま した。
80
I:色 んな活動 がで きて良か った とい うこ とですね。では,自 然学校 に参加 してみてプ ラス
になった こ とは何 です か。
m.k:子
ども と関 わ るの はや っ ぱ り楽 しいな と思 えた し,一 緒 になって楽 しむ こ とで信 頼
関係 ができる と思いま した。
I:一 緒 になって楽 しむ ことが大切 だ と分 かつたつて こ とですね。では子 どもに とつてプ ラ
ス になってい ると感 じた こ とは何 かあ りますか。
mok:最 後 に 自然学校 につい ての新 聞作 りを した時 に,グ ル ー プでま とま りがでて きて
,
仕切 る子がでてきて スムーズ に活動で きて いたか ら,チ ー ム ワー クみたいな ものがで きて
る と思いま した。
I:分 か りま した。 自然学校 に参加 したのが I回 とい うことなんです が,も う一 度参加 して
みた いです か。
m.k:機 会 が あれ ばぜ ひ したいです。
I:初 めてで大変な こ ともあ つた と思 うんです が, どの よ うな ことで困 りま したか。
m.k:自 分 の指示 が ちゃん とで きてなか った り,指 示 が間違 っていたせ いで子 どもが怒 ら
れ ることがあ つて 申 し訳 な い と思 うこ とがあ りま した。
I:配 慮 が足 りなか つた とい うこ とです か。
m.k:子 どもが気付 けるよ うに 自分た ちが言 つてお いて あげた らそんな こ とにな らなか っ
たのにな ぁとか ,ち ゃん と指 導 できてないか ら悪か った な あと思 いま した。
I:初 めて とい うことで したが,初 めてで もある程度仕事 が分 かつて動 くことが 出来 ま した
か。 それ とも何 を していいのか 分 か らない とい う状況 だつたのか。
m.k:先 生が分 か りやす く指示 して くれ たの もある し,一 緒 に行 った先輩 が 自然学校 に慣
れ てい る方 だったので ,先 輩見 て動 いた りできた し,相 談 もできた ので なん とかな りま し
た。
I:連 携 が うま くいっていたので動 きやす かつた とい うことですね。
mok:は い。
I:自 分 が困 つていた 時 に こんなア ドバ イ ス が も らえた とか ,何 か具体的 な例 はあ ります か。
m.k:毎 日しお りの コメン トす るんです け ど,ど んな こと書 けば良いのか分 か らない時 に
,
先輩 に見せ て も らった りして , どんな風 に書 けば いいか分 か つた し,キ ャ ンプ フ ァイヤ ー
の ゲ ー ム もあんま り知 らな くて ,盛 り上 げ方 も分か らないので,先 輩 に聞いた り,先 輩 が
や つて る姿 を見せ て も らって助 か りま した。
I:な るほ ど。では先 生 との関係 につい て も聞きたいんです が,先 生 と自分 た ち との価値観
のズ レはあ りま したか。
m.k:特 になかった よ うに思います。
I:分 か りま した。では,自 然学校 に参加 してみて ここを改善すれ ば もつ とよ くなるの に と
感 じた ことはあ ります か。
m.k:ご 飯 の ときに,み んなでつ く りなが ら食 べ る機会 が あれ ばいい と思 います。今 回は
OO
給食 みた い な感 じだ ったんです が ,私 の 時はみんなでお鍋 を した りつて感 じだったので。
I:協 力 しなが ら料理 してみ るつて こ とですか。
mok:そ うですね。
I:分 か りま した。 面 白いですね。それ では以上で終わ ります。 あ りが と うございます。
(イ
ンタ ビュー後 の会話〉
I:1回 しか行 って ないか ら分か らん と思 うけ ど今 回の 自然学校 ,ち
ょっ と特 殊 な とこや と
思 うんやん。
m.k:ど
うい うとこがです か。
I:た とえば,ま ず ,キ ャ ンプフ ァイヤ ー を先生が して くれ る とかまず あ り得ん くて,普 通
はファイヤ ー は 「リー ダー さん全部や つてね 」 ってな るか ら。
m.k:そ
うなんです か。
I:し か も結構 ,先 生ががっつ り子 ども と関 わつて るや ん。一 緒 にな って遊んだ りみた い な。
そ うい うのって あんま りな くて。自分 の 中では理想 の 自然学校 みた い な レベ ル や ったか ら
,
す ごい 良 い な と思 うんや ん。
m.k:私 が小 学校 の時 も,先 生 も リー ダー もおんな じよ うに関 わつて くれ てま した。
I:そ うなんや。
m.k:や っぱ り,い つ も一 緒 に先生がいて くれた ら うれ しい じゃないです か。
I:そ うい うとこなん よな。 自然学校 の こと色 々考 えて きた け ど,そ れが大事や と思 う。
それ こそプ ロの人 つて お るけ ど,そ うい う人 を雇 う小学校 って,「 あ と全部お任せ します 」
ってい う感 じの とこが 多 くて ,で もそれ は違 うや ろ と思 って論文書 こ うと思 ってんねん け
ど。 で もそ うい うと こが結構 多 くて 一。や っ ば り先生 ポ ジシ ョンなのかお 兄 さん ,お 姉 さ
んポジシ ョンなのか ,そ こがや つ ぱ り難 しい よなって。
m.k:絶 対,お 兄 さんお姉 さん の方が楽 しいのは楽 しいです よね。
I:そ うそ う。 で も楽 しいばっか りで もあかん し,そ この結論 が 出せ てないんや け ど…
先生 が 「リー ダー さんは盛 り上 げて も らって,締 め るとこは こつちで締 め るんで」 ってい
う先生 もお るんや け ど,そ れや と先生 と子 どもの 関係 がな あって一。 さつ き言 つ とつたみ
たいに結局 ,ず つ と子 ども とお るんは先生なわ けや し。
m.k:自 然学校 で先生 と仲 良 くな るの もあ ります よね。 なんか ,教 頭先 生 と普段 関 わ らん
け ど,キ ャ ンプフ ァイヤ ーで火 の神様 とか して くれ てお も しろか ったです。 い きな リバ ク
転 した りして ,ス ゲ ー って な りま した。
I:そ れ はス ゴい な。今 まで良い 自然学校 ばっか り行 って るな。
m.k:そ うですかね。 で も台風 で したよ。
I:そ れ は残念や け ど…。 どこにいったん ?
m.k:丹 波 で したね。 ログハ ウス とか泊 ま りま した。
82
I:え えな …
ま ぁ台風 や け ど。
良 い 経 験 して るな ぁ。 参 考 に な ったわ 。
83
(9)指 導補助 員 k.m
寺 :2014年 8月 7日
実施 日日
I:こ れまで 自然学校 に 2回 参加 しています が,参 加 した理 由は何 ですか ?
k.m:自 分 が兵庫県 の小学校 を卒業 して,自 然学校 が一番思 い 出に残 つていたので…。 教
育大 に来た し,そ うい うバ イ トがあるの も知 っていたので ,前 か ら参加 したい と思 ってい
ま した。
I:小 学校 の 時 に楽 しかったので ,今 度 は リー ダー として参加 したかった とい うことですね。
k.m:は い。 リー ダー に憧れ があ りま した。
I:リ ー ダー に憧れがあつた とい うことですが ,自 分 た ちが小学校 の 時 に来て くれ た リー ダ
ー は どんな人 たちで したか ?
kom:学 生 さん っぽい人 が 4人 と, 1人 , リー ダーの長 みた い な人が いま した。
I:ど んな風 に接 して くれま したか ?
k.m:お 兄 さん,お 姉 さん って感 じで した。 一緒 に遊 んで くれ た り。
I:自 分 が リー ダー をす るときに,そ の リー ダー さんを参考 に した点 は何 か あ ります か ?
k.m:積 極的 に関 わ るとか,指 導す る ところは指 導す る とい うか,け
じめ をもつて取 り組
む こ とは気 をつ けて い ま した。
I:何 か具体的 な例 はあ ります か ?
k.m:お とな しい子 に声 をかける とか,ず っ とお 兄 さんお姉 さんってい う感 じで接 してい
る と,言 うこ とを聞かない時 もあるので ,注 意す ることが あれば 口調 を先生 の よ うに じや
な いです け ど,少 し,厳 しめに言 つ た りとか ,メ リハ リをつ けてや っていま した。
I:分 か りま した。次 は参加 した 自然学校 の 内容 についてお聞 き します。自然学校 に参加 し
て子 どもた ちが成長 した と感 じる ところはなにか あ ります か ?2つ の学校 で共通 していた
ことで も良 い し,ど ち らか の学校 で感 じた特徴 的 な こ とで も良 いです。
k.m:身 の 回 りの こ とを 自分でで きるよ うにな った りとか,で きない子 にはで きる子が助
けてあげるよ うにな って ,ひ っ ぱ って くれ るよ うにな っ た りとか …。
今年行 った学校 (2回 日)は , 2つ の学校 が合 同や つたので ,違 う学校 です け ど, 日に 日
に団結 してい った な と思います。班 も違 う学校 の子 も混ぜ てあったんです け ど,協 力 で き
るよ うにな った り,役 害1分 担 とか も自分 た ちでや って動 けるよ うにな ってい った り,そ う
い うところだ と思います。
I:で は,自 然 学校 を通 して先生方 は どんな力 を子 どもたちにつ け させ よ うと してい る と感
じま したか ?
k.m:自 然 と関わ ることとを 目標 と して子 どもた ちに分か るよ うに掲 げて い ま した。 それ
か らお風 呂の使 い方 の指導 を しっか りして くだ さいつて言 われた り,施 設 の使 い方 に も気
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を使 ってい たので ,や っ ば り, 自分 の力 で 自立 して頑張 らせ たいのかな と思ぃま した。 実
際 に子 どもた ちに も,自 分 の力 で とい うの も 目標 で掲 げて ,集 合す るたび に確認 させ てい
たので,こ うい う風 に したいんや な ってい うの は伝 わ って きま した。
I:目 標 に してあった ら自分 たち もそれ に合わせ て動 きやす い ?
k.m:そ
うですね。や りやすか っ たです 。
I:自 然学校 を通 して,そ の力 は子 どもた ちに身 に付 い た と感 じま したか ?
k.m:ど れ だ け成長 したか は子 どもに よってそれぞれ違 っていた と思います が ,身 辺整理
とか施設の使 い方 とか ,最 初 は言 われ な い と出来 なかった こ とがで きるよ うにな っていた
子 が多 かったので 自立 とい うめあては達成 出来 ていた と思います。
I:分 か りま した。 じゃあ,子 どもではな く自分 に とって参加 して 良 かった点 は何かあ りま
すか ?
kom:や っ ぱ り学生 の間 つて実習以外や と,な かなか塾 のバ イ トとかボ ラ ンテ ィアに積極
的 に参加 しない と子 ども と関 わ る機会 が ないので ,ま ず は,子 どもと関 わ る機 会 にな るこ
と。 それ と,実 際 に子 どもと先生 がい る現場 ,子 どもと先生 のや りと り,先 生 の動 き とか
を身近 に見れ た り。先生 とミー テ ィ ングとか して ,「 この子 は こ うい う子やか ら,こ んな風
に対応 して」 とか話 が 聞 ける。先生た ちの経験談 とか も空 き時間に聞 くこ とができた り…
なか なか知れ ない こ とが知れ て良かったです。
I:さ きほ ど,先 生 との 関 わ りが良かった とおっ しゃ ってい ま したが ,先 生 との考 え方で合
わなかった と感 じた 面は無 かったです か ?
k.m:そ
うで すね。 こ うい う風 に接 して くだ さいっ て言われ てたので …。 特 に今 年行 った
ところ (2回 目)は 自分たちが教 育大生 な ので ,将 来先生 になる学 生 とい う風 に見て くれ
てて,助 言 とか ,こ うい う風 に接 して くだ さいって言 われ てたので ,や りやす かったです
ね。
I:や つば り前 もつて,こ うい う風 に動 いてほ しいっていわれ る とや りやす い ?
kom:そ うですね。
I:じ ゃあ,こ れまで, どち らもそ うい う指定 が な くて困 つた こ とは無か ったです か ?
k.m:は い。 なか ったです ね。
I:自 然学校 に参加 した ときに 自分が気 を付 けて い るこ と,大 事に してい るこ とは何 かあ り
ます か ?
k.m:自 分 の言動 ですね。 きたない言葉 を使 った りとか,子 どもは 自分た ちの こ とをよ く
見て い る と思 うので気 を付 けるよ うに しています。
I:そ の ことは,自 然学校 に参加す る前 か らそ う思 っていたのか,自 然学校 に参力日してい く
うちに意識す るよ うにな ったのか どち らです か。
k.m:前
もつて考 えていま した。1回 生 の実習 の 時 にそ うい う注意 があったので ,子 ども
と関 わ る時 には基本的 に気 をつ けておか ない とい けな い な と思います。
I:や つぱ り, 自分 が先生 を 目指 してい る立場か らそ うい う意識 が強いです か ?
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k.m:は い。 そ うですね。
I:そ れでは,自 然学校 に参加 していた時 に何 か 困 った ことはあ りま したか ?
k.m:み んながみん な言 うことを聞 いて くれ るわ けではないので,全 然言 うことを聞かな
い子 がい る時 は困 りま したけ ど…。 で も,こ う接 してい けば動 いて くれ るんや な とかだん
だん分 かつて きた ので ,何 とかな りま した。
I:自 然学校 の改善点 だ と感 じた ところはあ ります か ?
k.m:特 に思いつか ないです …
I:分 か りま した。 以 上で終わ ります。 あ りが と うございま した。
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(10)指 導補助員 f.k
実施 日時
:2014年 10月 7日
I:自 然学校 に参加 した理 由はなんです か。
■k:子 ども と関 わ る機会 が大 学 に い るだ けでは少 な いか ら。 自然学校 に参加 して子 ども と
関 わ る機会 を増や したいな と思 った し,普 段参加 す る
NPOや ボーイ スカ ウ トが主催 して
い るキャ ンプは,特 定 の子 ども しか来 な い とい うか ,キ ャ ンプ慣れ した よ うな子 しか 来 な
いんで ,も つ と自然学校 みた い な,ど んな子 も強制的に参加 す るよ うなキャ ンプの場 に参
加 して ,色 々 なタイ プの子 と関 わ る こ とがで きるかな と思 って参加 しま した。
I:キ ャ ンプ リー ダー を され て る とい う話 があ りま したが,自 然学校 に参加 してみて,こ れ
まで 自分が参加 して きたキャ ンプ と違 うな と感 じる部分 はあ ります か。
■k:ま ず ,子 どもが違 うな と思います。 さっきも言 いま したが ,NPOな んかのキ ャ ンプ
や と,そ うい う活動 に熱 心 な家庭 の子 が来 た り,キ ャ ンプ慣 れ した子 どもが来 るか ら割 と
活動 もスムー ズ にいつ た りす るんです け ど, 自然学校 は,学 校 の活動 の一 環 と して ,全 て
の子 どもが くるので ,積 極的に活動 しない子 もいた り,発 達障害 の子 もいた りす る ところ
もあ つて ,大 きく違 うと思いま した。
I:普 段 のキ ャ ンプ よ りも難 しい と感 じる ところがあった とい うことです か。
■k:は い。
I:逆 に, 自然学校 だか ら良か った ところはあ りま したか。
■k:自 分 に とってです か ?積 極 的で ない 子 と関 わ るこ とがで きた こ とで勉強 にな った し
,
先生方 の 関 わ り方 を横 で 見 ることがで きるの も勉強 にな りま した。
学校 の先生が い るので 、
I:分 か りま した。キャンプ との 関 わ りについて はい つたん置 いてお いて,自 然学校 の こ と
につい てお聞 きます。 自然学校 に参加 して みて ,子 どもたちに ど ういった 力 をつ け させ よ
うと して 自然学校 を してい るのか ,自 然学校 の 目的 につい て感 じた ことが あれ ば教 えて く
だ さい。
■k:ま ずは,集 団生活 とい うか ,自 然学校 では,時 間 の きま りがあ って ,そ うい うきま り
や時間 を守 らない と周 りに迷惑がかか るので,そ の 時間までに 自分た ちで しお りを確認 し
て準備 しておかな けれ ばい けないわ けで … ,そ うい う生活 を 5日 間続 けな い といけない の
が 自然学校 の 特徴 だ と思 うので ,そ うい う力 をつ けるのが一 番 の 目的 な のか な と思います。
訓練 じゃな い け ど,学 校 ではで きない ,家 で もで きな い こ とかな とお も うので。
I:社 会性や集 団行動 の面ですね。
■k:そ うですね。
I:そ れ はキャ ンプ とは違 うところです か
■k:キ ャンプに ももちろんそ うい う面 はある と思 うんです け ど,ど っ ちか とい うと,体 験
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であった り楽 しさが重視 され て る と思 う し,楽 しさ以外や と,時 間 の縛 りよ りも命 の 大切
さを考 えることや ,集 団 の 中で 自分が どんな役割 を持 つか 考 える時間を長 くとった り,そ
つ ちに重 きを置 いて ,時 間 を気 に してない よ うな場合 もあ ると思 います。
I:社 会 にで る練習 とい う感 じではない とい うこ とですね。
■k:そ うですね。
I:キ ャ ンプで は 自然 の ことにつ いて な どが重 視 されて い る とい う意見で したが,そ うい う
面 は 自然学校 では少 し弱 い と感 じています か。
■k:自 然学校 では ,時 間的な制 限があ るので,一 つ一つの活動 を深 めてい くとい うこ とは
あま りない のか な と思います。
NPOの
キャンプなんかだ と,例 えば,ご 飯 を作 る活動
を何 時間も何度 も して,そ の 中で子 どもに何か身 につ け させ る感 じなので ,学 びがあ る と
思 うんです け ど。 自然学校 では最 初 に時 間 が組 んである分 ,時 間内 にお さめ るために ,深
め る時間がな いまま ,そ れ こそ 学校教育的 になって しまってい るところはあ る と思います 。
先生や リー ダー も手 を貸 して しま うと ころ もあ る と思 うので ,そ うい うと ころは確 かに弱
いのか も しれ ない と思います。
I:で は,実 際 に参加 していて,先 生は子 どもた ちに どんな こ とを学 ばせ たい と考 えてい る
か ,感 じた ことがあれ ば教 えて くだ さい。今 まで 2回 参加 した時 の 共通 してた ことで もい
い し,特 定 の先生 の特徴的 な部分で もいいので。
■k:2つ しか行 って ないです け ど,カ ッター 体験であ った り,飯 ご う炊飯 とか ,部 屋 の掃
除 なんか の 中 で,自 分 一 人では無 くみんなで生活 してい る,み んなで行 動 しない とい けな
いってい う集 団で の部分 を先生 は学 ばせ たいのかなって僕 は思 いま した。
I:で は,実 際 に 自然学校 を通 して子 どもたちには どんな力 がついた と感 じま したか。
■k:結 構
うるさく言われ るので ,時 間 の ことを意識す る子が増 えて きた のは感 じま した。
しお りを見た り,「 も う並 ばなあかんで」って声 か けがで きた り…。あ とは ,子 ども同 士の
関わ りじゃ無 い け ど,班 活動 を通 して ,最 初 は この班大丈夫 かなって思らてた班 も,力 を
合 わせ られ るよ うにな ってた り,仲 良 くな ってた り,そ うい う面 があつて。学校生活 では
,
仲 が 良 い子 としか 関 わ らない こ ともあ る と思 うんです け ど,自 然学校 では ,一 緒 に生活す
ることを通 して普段 しゃべ らな い子 とも関 わる力 が 自然 に身 につ け られ るん じゃな いか と
思 いますね。
I:で は,参 加 してみて 自分 に とって良か った こ とは何 です か。
■k:自 然学校 に初 めて行 った 時に,言 うことを聞 いて くれ な い子 どもに対 して どんな声 か
けを した ら良 いのかって考 えない とい けない と初 めて思 って ,子 どもの レベ ル じやな い け
ど,こ の子 にはここまでの こ とをや らせ てみた ら良 い とか ,こ っ ちの子 には も うち ょつ と
先 まで 自分 でや らせ てみた らいい とか ,子 どもに合 わせ て補 助員 が どこまで補助す るのか
をよ く考 えるよ うにな りま した。
I:そ れ はや っぱ り,教 員志望 だ と思 うんです け ど,将 来先生 にな るために ってい う部分 が
関係 してます か。
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■k:そ うですね。 大 きいです。
I:指 導補助員 として参加す る ときに 自分 のモ ッ トー とい うか 自分が大切 に してい るこ とは
あ りますか。
・。
■k:ま ず ,子 どもに言 うこ とをきかせ よ うと しな い こ と…
I:と 言 うと ?
■k:積 極的 に入 ろ うと しない子が いた 時 に,つ い,自 分 も時 間がな い とかって ,い らだ っ
て強制的にや らせ よ うと して しま うこ とがでて くるので ,そ うではな くて ,で きるだ け
,
子 どもと話 す ことを大事 に して ,「 なんで活動 に入 りた くないのか 」を聞 いて あげて,話 を
した上で ,「 じゃあ ど うしよ ?」 つて話 を して ,で きるだ け子 どもの意志で活動 に入 つてい
けるよ うに したい と思ってます 。
I:そ うい う意識 は,参 加す る前 か ら持 って たのか,参 加 してい く うちに思 うよ うにな った
のか , どち らですか。
■k:参 力日してい く うちに思 うよ うにな りま した。
I:き っか けになるよ うなエ ピソー ドが あれ ば教 えて くだ さい。
■k:活 動 に参加 しない子 どもがいて ,他 の リー ダーが 「参加 しない とい けないや ろ」 って
強 く言 つてた ことが あって ,そ の ときにふ と子 ど もの立 場 にたつ ことができたんです け ど
,
「こんな感 じで言 われた らや って も楽 し くない な」 って思 った し,他 の子 どもか らして も
リー ダーが どなってた りす ると嫌や ろ うと思 って ,じ ゃあ ど うすれ ばいいかって考 えた ら
,
まず ,子 どもの話 を聞いてあげない とい けないのか な って思 って …。
あ と, 2回 目の 自然学校 に言 つた 時に ,少 し問題行動 が多 い 子 どもがいて ,そ の子 の班 に
ついて た時 に,そ の子 が活動 しな くな っ ちゃ って …。話 を聞 いて みた らそ の子 な りにや り
た くな い理 由を話 して くれて ,対 策 も一 緒 に話す こ とがで きて,結 局 ,最 後 には納 得 して
活動 に戻 つて くれた ので,そ っちの方が 良 いな と思いま した。
I:子 どもの立場 に立 って楽 しいか を考 えるよ うに してい る とい うことですね。
■k:は い。
I:ど んな関 わ り方 を してきたか よ くわ か りま した。それ では,自 然学校 において指 導補助
員 は子 どもに とって どんな立 場 だ と思 います か。 自分 の 中で何 か考 えはあ ります か。
■k:先 生で もない し,友 達 で もな い。子 ども じやな い けど,一 緒 に活動 に参加 して一 緒 に
達成感 を味わ って くれ るんや け ど,大 人 で もあ るので ,注 意 も して くれ る人。先生 と違 う
の は ,一 緒 に活 動 してい る分 ,全 体 を客観 的に見て い る先生 よ りも,一 人 一 人 の子 どもの
気持 ち とかに共感 がで きるのか な と思 います。 共感 したか らこそ ,子 どもの悩みなんか も
問 いて あげ られ るのか な って 思 い ます 。
I:そ こはキ ャ ンプの リー ダー で も言 えることです か。
■k:そ こは共通 してい る と思います。学校教育 ってい う場面です け ど,リ ー ダーの持 つ 特
性 み たいな部 分 は同 じなのかな と思います 。逆 に言 えば,学 校教 育 にそ うい う雰 囲気 を入
れ られ る存在 なんですかね。
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I:子 どもとの関係性 の面 は よ く分 か りま した。では,先 生 との関係性 ,考 え方の違 いで困
つた ことはあ ります か。
■k:さ つ き言 つた部分に関わ るんです け ど,問 題行動が 多 い子 につい てた時 に,先 生か ら
「い ろいろ大変や ったね」 って 言 つて くれ たんです け ど,ぼ くか らす ると,あ の子 に もあ
の子 な りの考 えがあった の に,大 変です ませ て しま うの は良 くな いん じゃな いか な って 思
つて。
先生 はプ ロ グラム を流 さない とい けな いです け ど,子 どもも子 どもな りに考 えてい るこ と
が あ るので ,問 題児扱 い しちゃ うの も ど うな のか な と思いま した。
I:活 動 の 中で,先 生 と合 わな くて スムー ズに行 かなかった とい うことはなかったです か。
■k:そ れ はなか ったですね。
I:自 然学校 に参加 してみて,改 善すれ ば良い と思 うこ とはあ りますか。
■k:先 生は忙 しいんだ と思 うし,2回 目に行 った ところは,先 生 も初 めてや った みた いで
,
自然学校 の ことをよ く分 かつてなかったみたいで …。 バ タバ タ してた ところがあった ぐら
いです。
I:準 備 をきちん と しておいて欲 しい とい うこ とですか。
■k:準 備 とい うか , 目的 とかはきっち りお さえておいて欲 しかった な と思いま した。
I:プ ログラム を流す だけにな って た とい うこ とです か。
■k:そ うですね。実際はわ か らな いです け ど,先 生方 の会話 を聞 いて る限 りでは,プ ロ グ
ラム も施設 の側 か ら紹 介 されて い た り,去 年 も したか らってい う感 じで組 まれ てい るよ う
に感 じたので ,子 どもの ことをよ く知 ってい る先生 が 日の前 の子 どもに合 わせ た活動 も入
れ ていった方が良いん じゃないか と思い ま した。
I:分 か りま した。
兵庫 県 出身 な ので,小 学校 で 自然学校 があった と思 うんです けど,そ の時 の指導補助員 に
つい ては覚 えています か。
■k:う っす らと。
I:ど んな ことを して くれた とかはあ りますか。
■k:と にか くキャ ンプ フ ァイヤ ー を盛 り上 げて くれ た の は覚 えています。
自分 が人見知 りで,あ んま り 「 リー ダー , リー ダー 」 ってい くタイ プではなかったので
,
詳 し くは覚 えてないんです け どキャンプ フ ァイヤ ー を盛 り上 げて くれて楽 しかった こ とだ
けは覚 えています。
I:で は,自 分 が リー ダー を した時 に,か つての 自分 の よ うな子 もいた と思 うんです け ど
,
そ うい う子 どもには ど うい う対応 を しま したか。
■k:あ んま り関われ てないのか も しれ ないです ね。 た しかに,子 どもによつて 関 わ りの度
合 い に違いがあった と思 うので ,今 後行 く時には気 をつ けた いですね。 ただ .男 子 リー ダ
ー はや っ ば り女 の子 に対 しては グイ グイい けな いので,男 の子 との 関 わ りが多 くな るのか
な と思いますね。 自然学校や と女子 リー ダー もい るので ,女 の子 はそ つ ちに い くとも思 う
90
んで。で も男子 の 中にもグイ グイ来 られ る と嫌 な子 もい ると思 うので ,子 どもをよく見て
,
そ の子 ども立 ちに合 わせ た 距離感 をつか むにが大切 だ と思います。
I:子 どもの ころに来た リー ダー とはあま り関わ つて ない との ことなので,自 分 が リー ダー
をす る時に何 かを参 考に した部分 はあま りない と思 うんです けど,そ れで も,初 めての時
は何 か参考 に しなが らリー ダー を した と思 うんです が ,ど うで しょ うか。
■k:や っば り,大 学 の先輩 を参考 に させ て も らいま したね。結構 ,数 行 ってい る人 も一 緒
に行 ってた りした の で ,先 輩 の動 きを見 なが らや ってま した。
I:分 か りま した。 質問 は以上です。
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(11)指 導補助 員 k.y
実施 日時
:2014年 11月 4日
I:自 然学校 に参加 した理 由は ?
k.y:自 分 が小 学生 で 自然学校 に行 った時 の リー ダー さん の ことがす ご く好 きで,私 もそ ん
な風 に子 どもたちに とって人生 に 1回 の 自然学校 の 5日 間に関わ ることがで きた ら良いな
と思 って参加 しま した。
I:自 分 の小学校 の時 の リー ダー さん の こ とは よ く覚 えていますか。
k.y:め っ ちゃ覚 えてます。
I:自 分た ちの よ うに学生 の人 ?
k.y:学 生や と思 うんです け ど, 自分 も小 さか ったのではっ き りは分か らないです。
I:印 象 に残 つてい ることはあ ります か。
k.y:ク ラス に一 人や つ た ので ,あ んま り関わ るこ とはできなかったんです け ど,身 近 にい
る大人 が一 人増 えて , しか も若 いお姉 さんで,っ てなった ら,自 分 か らず っ と引 つ付 いて
いってま した。
I:身 近 な大人や け ど先生 とはや っ ぱ り違 います か。
k.y:や っ ぱ り違 う。
I:じ ゃあ 自分 が リー ダー をす る ときに,そ の リー ダー さんか ら参考 に してい る ところはあ
りますか。
k.y:で きるだ け子 どもに積極的 に話 しか けた り,関 わろ うとす る姿 は覚 えていたか ら,そ
れ は心掛 けま した。
I:な るほ ど。そ の参加 した理 由は 1回 目の きっか け としての面が強い と思 うんです が ,2
回 日以降 も参加 しよ うと思 っ た理 由は何 かあ りますか。
k.y:や っ ぱ り,私 が 自然学校 に参加 して みて 1番 魅 力に感 じたのが ,子 どもた ち と短 期 間
です ご く仲 良 くなれ る,す ご く信頼 関係 を築 けるつてい うこ とだつたので …。や っ ぱ り 5
日間子 どもた ち と寝 て起 きて を一 緒 に繰 り返 して共 に過 ごす ことで ,子 どもた ちとの仲 が
深 まってい くことが 自分 自身感 じ られ たので,そ こに魅力 を感 じて惹 かれ てい ったって感
じです。
I:で は 自然学校 に参加 してみて,自 分 に とって良か った ことはなんです か。
k.y:や っぱ り,子 どもと一 緒 にいた ら楽 しいって思 うこ とができた こ とが一番 良かったか
な。
I:先 生にな る勉強 ,練 習 とい う意識 よ りも,自 分 自身 が楽 しんでい る とい う意識 が大 きい
です か。
k.y:は い。 そ うですね。
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I:子 どもに とって 自然学校 で身 についた ことはなんです か。
k.y:朝 ,自 分 たちで起 きて ,夜 寝て ってい う中で ,最 初 は寝 るのも寝れ な くて ぐず った り
,
泣 いて しまった り,朝 も騒 いで友達 を起 こ して迷 惑 をか けて しまった りだ とか ,そ うい う
自分勝 手な行動 ばっか りや ったのが,後 半 になって くると,周 りの ことを気遣 えるよ うに
なった りってい う成長 はや つ ば り,す ご く感 じ られま した。
I:そ れは これ まで何 回か参加 して,全 てに共通 して言 える部分 です か。
k.y:は い。
I:そ うい う部分は,先 生や ,自 分 たちが こ うな ってほ しい と思ってや っていった成果 なの
か ,ね らい と関係 な く自然 に出てきた部分な のか ,ど ち らに感 じま したか。
koy:や っば り先生か らの声 か けももちろん,子 供 たちか らの 自発 的 な声か けももちろんだ
か ら,両 方 あ るのか な と思います。
I:つ ま り,先 生 もそ うい う力 をつ けさせ たい と考 えて 自然学校 を してい る と感 じる部分 が
あ るんです ね。
k.y:は い。
I:他 に ,先 生 の意 図 は見 えた けれ ど,子 ど もた ち に身 につ か なか った 部 分 つて あ ります か 。
k.y:身 につ か なか った ら分 か らな い ,見 えて こ な い と思 うの で ち ょ っ と分 か らな いで す ね。
I:ど この学校 の先 生 も,生 活 の リズ ム で あ った り,協 調性 の よ うな,先 ほ どお っ しゃ った
こ とは身 に つ け させ よ うと して い る と感 じま す か 。
k.y:そ うですね。
I:そ こが 自然学校 を実施す る意味です かね。
k.y:や っ ぱ りそ うですね。親 元 か ら離れ て,お 父 さんお母 さんに頼 らず に,先 生 とか友達
しかい な い 中で 自分 た ちで生活 してい くことが大 きいか な って。
I:わ か りま した。 自然学校 を参加す る際 に,自 分 が気 をつ けてい ること,大 切 に してい る
ポ リシーの よ うな ものが あれ ば教 えて くだ さい。
k.y:お 母 さんにな らない こと。や っば り,子 どもた ちの近 くにい る と子 どもた ちはお母 さ
ん とかお姉 さん とか 家族 みた いに頼 つて しま うけ ど,全 部子 どもた ちことを リー ダー がや
って しまった ら子 どもた ちの成 長 に繋 が らないか ら,あ る程度 の距離 をお い て ,子 どもた
ちがや る部 分 は手 を出 さないで見守 る。
I:少 し,先 生 目線 みたいな感 じ?
k.y:は い。 で も先生 よ りは近い大人 って感 じで。
I:そ うい う部分は,初 めて参加 した時か らそ うい う風 に感 じていたのか,何 回かや つてい
く うちにでて きた もの なのか どち らです か。
k.y:最 初 か ら思 って た部 分 もあ つたんです け ど,や っぱ り,参 加 してい く中で強 くな って
い きま した。
I:な るほ ど。 では,こ れ まで参加 して きた中で困 つた経験 はあ りますか。
k.y:や っぱ り,リ ー ダー で入 らせ て も らって,1ク ラス を 1人 で見 ない とい けないって な
93
る と,顔 も名 前 も一 致 しない し,全 員 と関わ る時間 つて なか なか とれ ない し,そ うい う面
では大 変です ね。
I:ス タ ッフ間 の価値観 の違 いで 困 った こ とはあ りま したか。
koy:小 さな こ とはポツポツあった と思 うんです け ど,あ んま り印象 に残 って な い とい うこ
とは,そ んなになか ったのか な と思います。
I:例 えば先生 の考 えて る部 分 が 自分 に も理解 で きるつてい うことが多 かった ?
k.y:理 解 しよ うと してたんだ と思います 。や っぱ り先生が育てて らっ しゃるクラスや か ら
,
それ を私 の考 えで潰す のはダメだ な と。先 生の考 えを尊重 しなが らリー ダー しない とい け
な い な って 思 います。
I:で は,や っぱ り補助員 は先生 の 目指 してい る部分 の補助 を行 うとい う考 え方です か。
k.y:そ うですね。 や っ ば り補助員 なので。
I:そ れに関連す るんです が,ス タ ッフ と して先 生 と補助員 がいるわ けです が,そ れぞれ の
役害1は 自分 の 中で ど うい う風 に捉 えてま したか ?
koy:補 助員 の仕事 は子 どもの安全 を守 るこ と。まず は安全。子 どもが危 ない場面 で も,先
生 はや っば り全体 を見ておかな い とい けないか ら目が届 かない部分 がある と思 うので ,そ
の分 ,自 分 が 目を配 らせ て ,ち ょっ とで も危 ない ときは,危 な いつて言 うよ うに します。
I:指 導 の面ではそ うい う役割 を意識 され て るんですね。最 初 に,自 分 の小学校 の ときの リ
ー ダー さん をよ く覚 えてい る と言 つていたので ,補 助員 は子 どもた ちの心 に残 るものだ と
も思 うんですが,そ うい う面では,ど の よ うな役割 があ る と思います か。
koy:子 どもた ちか ら見 て一番頼れ るの は,リ ー ダー さん。担任 の先生がい ない 時 もあ るの
で ,そ うい う場面 で ,子 どもた ちがち ょっ としん どい とか ,辛 い ことが あ る時 とかに,「 こ
んな ことで しん どいんだ 」 とか 「こんな こ とで悩 んで るんだ」 とか 言 えるよ うな立 場 だ と
思 います。 そ うい う相談 に乗 って あげ られ る存在 になれ るよ うに普段 か ら話 を聞 いて あげ
るよ うに していますね。
I:先 生 よ りも リー ダーの方が言 いやす い こともあるとい うことです か。
k.y:ち ょっ との ことで先生に相談 して しまった ら,先 生 に怒 られ る じやな い け どそ うい う
こと も学校 ではあ る と思 うので。リー ダー さんには怒 られ ることもあま りな い と思 うので
,
注意 ぐらい はあ って も。年 も先生 よ り近 い し,い つ も一 緒 にいて くれ る しつてなる とリー
ダー さん の ほ うが話 しやす いのか な と。
I:や っぱ り,先 生 と リー ダー さんはち ょっ と違 うとい うこ とですね。
k.y:は い。
I:で は,最 後 に 自然 学 校 の 改 善 して ほ しい部 分 が あれ ば教 えて下 さい。
k.y:も つ と班 の 活動 とか ,子 どもた ちが 自主的 にで き る こ とを増 や した らい い の に な と思
い ます。 や っ ば り先 生 が 組 ん だ プ ロ グ ラ ム に 沿 って進 ん で る のか な と思 い ます 。私 が小 学
校 の 時 に比 べ た ら, 自分 た ちで考 え られ る ス タ ンツ とか 増 えて るん です け ど,も つ ともつ
と子 どもた ちが こん な こ とを したい っ て い うの を言 え るよ うに。
94
I:子 どもの意見 を取 り入れ たプ ログラム を取 りいれ る ?
koy:そ う。子 どもた ちもや らされ てるんではな くて 自分た ちがや りた い こ とをや ってい る
と思 った ら,自 然学校 の質 が上が るのか な と。
I:ち ょっ とや らされ てい る ところがあ ります か ?
k.y:は い。 まだち ょっ とあ るのか な と感 じます。
I:わ か りま した。以 上で質問は終 わ りです。 あ りが と うございま した。
95
(12)指 導補助員 y.m
実施 日時
:2014年 11月 27日
I:自 然学校 に参加 した理 由はなんです か。
y.m:ど の 自然学校 も先輩 に声 をかか けて も らって,小 学校 の時 に 自分 も行 った し,補 助
員 として参力日して み たいな と思 って。
I:小 学校 の時 の 自然学校 が楽 しかった とい うこ とです か。
y.m:は い。 楽 しか ったです。 だか ら行 ってみたか ったです。
I:そ の 自分 の 自然学校 が楽 しか ったか らとい うの は初 めての時の話 だ と思います。そ の後
も続 けて参加 しよ うと思 っ たのは何 か理 由があ ります か。
y.m:子
ども と関 われ る し,大 学お って もそんなに関わ る機 会 な いか ら,自 然学校 へ 行 っ
て小 学生 と関わ りた い な と思って。
I:や つぱ り,将 来 ,先 生 にな るため とい う意識 があ ります か。
y.m:そ うですね。
I:子 どもと関 わる機会 を求 めて外へ 出て行 くとい う話 で したが,事 前 アンケー トには,ボ
ラ ンテ ィア に参加 してい るとあ ります が ,ボ ラ ンテ ィアで子 ども と関 わ るの と, 自然学校
で子 ども と関 わるのは違 うところが あ ります か。
y.m:ボ ランテ ィア と自然 学校 では環境 が違 うかな と思います。 自然 と触れ合 うの と,建
物 の 中で子 どもと関 わ るの は違 うかな と思います 。
I:環 境 が違 うことに よって子 どもたちの様子 も違 います か。
y.m:や っ ぱ り,普 段見た ことない こととか,火 お こ しとかや った こ とない こ ととか して
る時 は,生 き生 き して るよ うに見 えます 。建物 の 中で,学 習指導 に しろ遊ぶのに しろ普段
か らや ってい るこ となので ,子 どもも退屈 してい るのか な と思います。
I:自 然学校 に これまで 4回 参加 してい るんです が ,子 どもに身 につ い た と感 じる力が あれ
ば教 えて下 さい。
y.m:集 団生活 とい うか,一 緒 に寝泊 ま りす ることで,他 の子 の こ とが考 え られ る よ うに
な った子 もでて きたかな と思います。 なんか,周 りを見て動 けた り,周 りの子 に気 遣 いが
で きるよ うになった り。
I:そ れ は,今 までの 4回 ,ど こで も言 えるこ とです か。
yom:そ うですね。 多分。
I:他 に印象 に残 つて ることはあ ります か。
y.m:女 の子 た ちがぶ つか り合 うとい うか,喧 嘩 とか した時 に,周 りの子 が,間 に入 ろ う
として, 自分 たちで解決 しよ うとす る姿が見 られ たのが 良 かったで す。
I:そ うい う部分 って先生 が意 図 してや つてたんだ と思います か。
96
y.m:意 図 してない部分 もた くさんある と思います。
I:先 生の意 図 してい る ことが感 じられ た部分 って何 かあ りますか。
y.m:こ うい うめあて を持 ってや ってます って事前 に言 われ るとよ く分 か るんです け ど
,
言 われ ない時 はそ うい うの よ く分 か らな くて,プ ログラム を流 しち ゃ って る感 じになって
たか な って。
I:で は,自 分 に とって 良かった こと,身 につ いた ことは何 です か。
yom:子 どもの前 に出 る こ とに抵 抗 を感 じな くな った とい うか, 自分か ら積極 的 に 関 わっ
てい けるよ うにな っ たかなって思います 。
I:そ れ は, どの ぐらい参加 してそ う思 いま したか。初 めての ときか らですか。
いや ,初 めての時 は,他 の リー ダーの こ とを見て る感 じになってて ,子 どもの方か ら,近
付 いて きて くれて関わ つた りだ つたんです け ど,そ の あ と,ボ ラ ンテ ィアに行 った りした
こと もあ つて次 か らは少 し積極的 になれ たよ うに思 います。
I:前 に出ていけるよ うになってか らと,そ の前 では,子 どもの反応 も違 います か。
y.m:反 応 は違 う気 もす るんです け ど,は っ き りこれ が違 うってい うのは よ く分 か らな い
です 。
I:分 か りま した。では,自 然学校 の間 ここに気 を付 けて活動 してい るとい う部分があれ ば
教 えて下 さい。
yom:や っ ぱ り,子 どもに とって思 い 出に残 るものに なって ほ しい と思 って行動 してい る
の と,あ とは,子 どもた ちが 自然学校 を思い返 した時 に, リー ダー が一番 に出て くるん じ
ゃな くて ,体 験 した こ とが出て きた ら良 いのか な って 思 います。
I:そ のために どん な風 に子 どもに接 しています か。
y.m:で きるだけ子 ども自身 が考 え られ るよ うに,こ っ ちか ら言 つて しま うん じゃな くて
,
子 どもが考 え られ るよ うに問 いか けるよ うに します。
I:そ うい う部分 は初 めて参加 した時か ら考 えていた こ となのか,そ れ とも参加 してい く う
ちに出て きた もの な のか どち らです か。
yom:参 加 してい く うちにです。
I:そ れ は,な にかそ う思 うきっか けにな る出来事 があったんです か。それ とも,そ うい う
風 に してい る人 を見 た とかなんです か。
y.m:そ うい う風 に してい る人 もいた ので,参 考 に したんだ と思います。
I:分 か りま した。 それ では, 自然学校 に参加 していて 困 った こ とは何 かあ りま したか。
y.m:先 生 同 士が あま り,仲 が良 くなかったみた いで,言 つて るこ とが違 うので , ど う動
けば いいか 分 か らな くな りま した。や っ ぱ り,先 生 の考 えに合 わせ て動 くこ とが多 いので
困 りま した。2つ の こと言 われ た ら混乱す る し…。
あ とは,先 生 自身 が 自然学校 が初 めてや った り,そ の場所 に行 くこ とが初 めてや った 時
に, リー ダー に全部 ,内 容 を決 めるところか ら頼 まれ た ときは困 りま した。
I:そ うい う時 は ど うしま した。
97
y:m:慣 れ て る先輩 が考 えて くれ ま した。や っば り,学 校 の 方で流れ とか全部決 めて も ら
って ,そ の 中で の進 行 はで きて もそ の前 は困 ります。
I:で は,そ れ に関連 してなんですが,補 助員 の役割 は何 だ と考 えています か。
y.m:こ の夏 に行 った学校 の教頭 先 生が夜 の ミー テ ィ ングの 時に話 してたんです が , リー
ダー が子 ども と接 してい る様子 を外か ら見 るのが , 自然学校 の時 の先生 の役割 だ って …。
なるほ どな と思いま した。そ の 時 は,先 生が全部子 ども と接す る ところ もや つてはつたの
で ,教 頭先 生 が ち ょっ と違 うよって,も つ と引いてみ な さい って先生 に言 つた みた いです。
基本 的 には,先 生が段取 りして ,私 た ちは子 ど もと一 緒 にや ってい くってい うのが ,私 は
いいです。
I:そ うい う自分 の 中考 えてい る役割 と違 う役害Jを 求 め られて困 つた ことはあ りま したか。
y.m:あ んま り,分 か らないですね。基本 的 には,先 生 に合 わせ るよ うには していた と思
います。
I:分 か りま した。で は,こ れ まで参加 して きて感 じた 自然学校 の改善点の よ うな もの はあ
りますか。
y.m:先 輩 が 言 つていた ことなんです け ど,田 舎 の子 が 田舎 に行 って もな って思 うこ とは
あ ります。や っ ぱ り、 自然体験 を しに行 くイメー ジなので。今 はそれがメイ ンで,意 義 な
のか な って 思 います。
I:今 まで行 った ところはそ うい う自然学校で したか。
y.m:そ うですね。
I:自 然 に触 れ るよ うな活動 として どんな ことを しま したか。
y.m:山 登 りとか ,結 構 あ りま した。 あ とは星空観 察 とか。 普段 は見れ ない もの を見 るの
が大事 なのか なって。
I:じ やあ田舎 の子 た ちに とっての意 義 は何だ と思います か。
yom:行 くと した ら,そ れ は集 団生活 なのか な って思います。
I:自 分 の地元 は どんな感 じの ところで したか。
y.m:田 舎 です。
I:じ ゃあ行 って どんな力が身 につい た と思います か。
y.m:家 族 と 1週 間離れ る じやない です か。 そ こが大 きか った と思います 。実際そ うい う
環境 で過 ご して ,喧 嘩 も した し,泣 く子 もいた し,自 然学校 がきっか けで仲悪 くな った子
もいた し,逆 に仲 良 くな った子 もいま したけ ど,っ てい うかん じで した。
I:自 然 とい うよ りは人間関係 ?
y.m:そ んなイ メー ジがあ りますね ,私 は。 あ とは,違
う小 学校 と合 同でや つてて ,そ の
子 らと中学校 に上がって再会 した り,や っ ば り,人 間関係 の部分 が 印象 に残 つてますね。
I:分 か りま した。 聞 きたい こ とは以 上です。 あ りが と うございま した。
98
2.自 然 学校 参 加 児 童 か らの 手 紙
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ヽ
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し ltい ヽ
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、
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き
な ウ ムソ糞鋭て`
`卜
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_ヱ _じ
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うえたししき
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102
3.イ ンタ ビュー事前 ア ンケー ト用紙
(1)教 員用
自然学校 に関す るイ ンタ ビュー
事前ア ンケー ト
1.性 別 を教 えて くだ さい
・女
・男
2.教 員 としての 勤務年 数 を教 えて くだ さい
年
3.勤 務 している市町村 を教 えて ください。
市 0町 ・ 村
4。
これ まで に担 任 と して 自然 学校 の 引率 を した 回数 を教 えて くだ さい
回
質問 は以上 です。
引 き続 きイ ンタ ビュー にご協力 よろ し くお願 い します。
103
(2)指 導補助 員用
「自然学校 についてのイ ンタ ビュー 」 に関す る事前調査
○あなた の学年 は ?
2.大
1.大 学__年
学院__年
○あなた の'陸 別 は ?
2.女
1.男
○ 出身 は どこです か ?
市
県
・ 兵庫 県 の 以外 の 方 は 自分 が小 学校 の 時、 自然 学校 の よ うな行 事 はあ りま し
たか ?
1.は い
2.い
いえ
○指 導補助 員 と して 、 どこ の 小 学校 の 自然学校 に参加 しま した か ?
市立
小 学校
(
回)
市立
小学校
(
回)
市立
小 学校
回)
市立
小学校
市立
小学校
市立
小 学校
(
(
(
(
回)
回)
回)
これ ま で
回参加 した 。
○普 段 か ら子 ども と関 わ る機 会 が あ ります か つ
例 )塾 や 家庭 教 師 の バ イ ト、
キ ャ ンプ リー ダ ー な ど
1. はい
。
「1.は い 」 と答 えた方 は どの よ うな機 会 で す か ?
以 上 で 質 問 は終 わ りです。 あ りが と うご ざい ま した。
引 き続 きイ ン タ ビュー に ご協 力 くだ さい 。
104
2.
いい え
謝辞
本稿 は,様 々 な方 の協力 によ り,完 成 しま した。 お世話 になったす べ ての方 に感 謝 しています。
お忙 しい 中,快 くイ ンタ ビュー に協力 していただいた 4人 の先生方 には,イ ンタ ビューの 内容 だけで
な く,教 員 の立場 か ら様 々 な助言 を していただ き,感 謝 して も しきれ ませ ん。あ りが と うご ざい ま した。
同様 に,指 導補助員経験者 とい う立 場 でイ ンタ ビュー を引 き受 けて くれ た ,大 学 の友人 ,後 輩 た ちに
も感 謝 の気持 ちを伝 えたいです 。 中 には,共 に 自然学校 に参加 し,私 に素晴 らしい体験 を させ て くれ た
もの もいます。 同 じ指導補助員 とい う立 場 で参加 してお きなが ら,自 分 は考 えもつ かなかった意見 をイ
ン タ ビューの 中で挙 げて くれ ,非 常に刺激 を受 けま した。本 当にあ りが と う。
私 が , 自然学校 につい て研 究す るき つか けにな ったのは,実 際 に 自然学校 に参加 し,様 々 な人 々 と出
会 い ,数 々の素晴 らしい 体験 をす る中で , 自然 学校 に惹かれ ていったか らです。 この よ うな素晴 ら しい
体験 を させ ていただいた ,学 校 ,先 生方 ,共 に活 動 した指導補助員 ,そ して子 どもた ちには感 謝 の気持
ち しかあ りませ ん。
本稿 は,様 々 な学 問分野 の考 え方 を取 り入れ るこ とに よって完成す る こ とがで きた とので はないか と
思います 。 指導教官 だけでな く,社 会系教 育分野 の先生方 をは じめ とす る兵庫 教育大学 の様 々 な先生方
か ら,講 義 は もちろん , 日常生活 の場面で も有意義 なお話 を聞かせ ていただいたおか げです。 6年 に も
及 ぶ 学 生生活 を影 で支 え,ま た ,時 には叱咤激励 して くだ さった先生方 に深 く感謝 しています。
特 に ,専 門外であ りなが らご指導 いただいた森秀樹先 生 には,本 当に感 謝 しています。 大学学部時代
には,担 任 として ,最 後 の 1年 間は指導教官 として ,ご 指導 を受 けるたび に,常 に先生 の 考 えに刺激 を
受 けて きま した。 あ りが と うございま した。
そ して ,学 部時代 か ら指 導教官 としてお世話 にな り,最 後 の 1年 間は,遠 く離れ た長崎 の地 か らご指
導 して くだ さつ た首藤 明和先生 には感 謝 の気持 ち しか あ りませ ん。 大学院進学 時 には,先 生 の 専門でな
い こ とを研 究 したい と相 談 したに も関わ らず ,後 押 しして くだ さいま した。 4年 間 の ご指導 が , 自分 の
考 え方の基礎 になってい る と感 じます。本 当にあ りが と うございま した。
最後 に,学 生生活 を支 えて くれた ,家 族 ,友 人 ,後 輩 た ちに感謝 の気持 ちを伝 えます 。 あ りが と う。
平成 26年 12月 21日
伊藤
大介
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