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最近の米国経済について

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最近の米国経済について
情 報 報 告
シカゴ
最近の米国経済について
○2015 年 2 月の米小売売上高は前月比 0.6%減の 4,370 億ドル
商務省は 2015 年 3 月 12 日、小売統計(速報)を発表した。2015 年 2 月の小売売上高(季節
調整済み)は、市場予測の 0.3%増を下回る前月比 0.6%減(前年同月比 1.7%増)の 4,370 億ド
ルとなり、3 カ月連続で減少した。2 月の落ち込みについて、多くのメディアや専門家は悪天候が
影響したと指摘する。北東部や中西部の一部で観測史上最高の降雪量を記録したほか、2 月は 24
州で平均気温を大幅に下回った。一方、今後の見通しに関しては、労働市場の改善やガソリン価
格の低下による可処分所得の増加などに裏付けられた回復を見込む専門家の意見を紹介するなど、
主要メディアは楽観的な見方が多い。全米小売業協会チーフエコノミストのジャック・クライン
ヘンツ氏は「天候の回復とともに、買い控えている消費者の購入活動は活発になるだろう」
(ロイ
ター3 月 12 日)と述べ、3 月以降の回復に期待を示した。
業種別にみると、2015 年 2 月は 13 業種中 9 業種で前月比減となった。中でも、自動車・同部
品が 2.5%減の 886 億ドルと最も減少した。次いで、建材・園芸用品が 2.3%減の 274 億ドル、総
合小売りが 1.2%減の 551 億ドル、家電が 1.2%減の 89 億ドル、ヘルスケアが 0.7%減の 253 億
ドル、フードサービスが 0.6%減の 496 億ドル、家具が 0.1%減の 87 億ドルと減少した。なお、
衣料は前月とほとんど変わらず、213 億ドルだった。一方、スポーツ・娯楽品・書籍が前月比 2.3%
増の 74 億ドル、オンラインショッピングを含む無店舗小売りは 2.2%増の 420 億ドル、食品・飲
料は 0.3%増の 569 億ドルと増加した。ガソリンスタンドは、足元のガソリン価格上昇に伴い、8
ヵ月ぶりの前月比増となる 1.5%増の 356 億ドルとなった。
また、リテールエコノミストの発表によると、2 月の小売業大手 11 社の既存店売上高(季節調
整前、ドラッグストアを含む)は前年同月比 1.3%増となり、1 月に続き緩やかな伸びにとどまっ
た。同社は「複数の既存店で、2 月の後半 2 週間で悪天候により売上高が大幅に落ち込んだ」と、
悪天候の影響を指摘している。天候が回復するとみられる 3 月は、3.0~4.0%増を見込んでいる。
○2015 年 2 月の米新車販売台数は前年同月比 5.3%増の 125.8 万台超
2015 年 2 月の全米新車販売台数は、前年同月比 5.3%増の 125 万 7,619 台、年率換算台数(季
節調整済み)は 1,623 万台(オートデータ、3 月 3 日)となり、年率換算台数は 12 か月連続で
1,600 万台を越えた。販売台数の推移をみると前年同月比では 12 か月連続で増加するも、伸び率
は 3 か月ぶりに縮小した。販売台数は市場予測(J.D.パワー)の 129 万 6,800 台を下回った。
今回の結果に関し、自動車価格情報サイト「ケリー・ブルー・ブック」シニアアナリストのア
レック・グティエレス氏が「悪天候が明らかな要因」
(デトロイトニュース 3 月 3 日)と述べるな
ど、寒さの影響で販売店への客足が遠のいた、とみる専門家が多い。ウェザーチャンネルなどに
よると、北東部の一部は 1994 年 1 月以来の寒波となり、北西部でも 2 月として記録的な寒さと
なった。
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情報報告 シカゴ
部門別にみると、小型トラックが前年同月比 11.8%増と大きく伸びた。中でもピックアップト
ラックが 13.3%増の 18.5 万台、スポーツ用多目的車(SUV、スポーツワゴンを含む)が 11.9%
増の 43.6 万台、ミニバン・フルサイズバンが 6.6%増の 6.3 万台となった。小型トラックの伸び
は、ガソリンの低価格に後押しされているとの見方が依然強い。一方、乗用車は 1.4%減少となっ
た。大型・高級車が 0.6%増の 8.2 万台と伸びたものの、中型車が 2.8%減の 26.5 万台、小型車が
12 ヵ月ぶりの前年同月比減となる 0.5%減の 22.7 万台となった。
販売台数を主要メーカー別にみると、首位の GM が前年同月比 4.2%増の 23.1 万台となった。
伸びを押し上げたのは 21.0%増となった小型トラックで、中でもシボレーブランドのピックアッ
プトラック「シルベラード」が 24.1%増と大きく伸び全体に寄与した。一方、乗用車は 20.6%減
と大幅に減少した。
2 位のトヨタは前年同月比 13.3%増で、2 月としては 2008 年以降最高の 18 万台となった。シ
ェアはフォードを抜き、6 ヵ月ぶりに 2 位になった。小型トラックが 20.2%増と大幅に増加した
ことに加え、乗用車も 7.6%増と好調だった。乗用車では中型車「カムリ」が 13.6%増、小型車
「カローラ」が 10.0%増となるなど、人気車種が伸びている。「カムリ」は 2 月の全米の販売台
数シェアで、7 ヵ月ぶりの 3 位となった。さらに、高級車のレクサスブランドも 22.0%増と、伸
びを押し上げた。
3 位のフォードは小型トラックが前年同期比 1.1%増にとどまった上に、乗用車が 8.1%減と減
少し、全体で 2.0%減の 18.0 万台だった。SUV「エクスプローラー」が 33.7%増と伸びたが、乗
用車がほぼ全ての車種で減少し、全体を押し下げた。人気車種のピックアップトラック「F シリ
ーズ」は、モデルの切り替え時期にあることから 1.2%減と減少したものの、販売台数では 2008
年 3 月以降連続で首位を保っている。同社は新型「F シリーズ」の需要を見込み、現在のミシガ
ン州ディアボーン工場に加え、計画どおり 3 月からケンタッキー州ルイスビル工場での生産を開
始すると発表した。
次いで、フィアットクライスラーが前年同月比 5.6%増の 16.4 万台となった。小型トラックが
7.0%増加した。乗用車は 2.3%増と伸びている。日産は前年同月比 2.7%増の 11.8 万台となった。
引き続き SUV が好調で、「ローグ」が 24.6%増、「パスファインダー」が 11.0%増と全体の伸び
に寄与した。一方、乗用車では人気車種の減少が目立ち、2.9%減となった。高級車インフィニテ
ィブランドは 19.8%増と大きく伸びた。ホンダは前年同月比 5.0%増の 10.5 万台だった。小型ト
ラックが 12.6%増と全体の伸びを牽引した。乗用車では小型乗用車「フィット」が 81.1%増と伸
びたものの、人気車種の中型車「アコード」が 12.2%減となり、全体で 1.4%減と減少した。高
級車アキュラブランドは 12.5%増と好調だった。
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