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レーザーマイクロテクスチャ による摩擦低減技術

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レーザーマイクロテクスチャ による摩擦低減技術
レーザー加工技術の金型分野への応用
特集
応用事例
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レーザーマイクロテクスチャ
による摩擦低減技術
㈱リプス・ワークス
井ノ原
忠彦*
プレス加工、絞り加工の現場では、粘性の高い短鎖
してピコ(10−12)秒は、表面組成分解加工である。
塩素化パラフィン鉱物加工油を大量に使用している。
ピコ秒レーザーを導入した時点では、パルス数を単調
これは作業環境を著しく悪化させるばかりでなく、加
に増加させた場合、所定のアスペクト比で制御不能と
工後の洗浄工程においても大量の洗浄水が必要となる。 なり不安定化するなど課題が多く、特徴を活かすべく
加工油の削減、洗浄水の削減は、環境影響側面からも
光学系(集光性能、耐光性能)とモーションコントロ
必須条件である。しかし、加工油の削減は金型のかじ
ーラ(高速描線精度、レーザーパルス同調機能)のす
りや短命化につながり、完成した加工品質も満足のい
べてを自社開発せざるを得ない状況であった。図 1
くものではない。そのため、より複雑形状のプレス・
が高性能をデザインエンクロージャした当社オリジナ
絞り加工を行うためには、強い極圧力を回避するため
ルレーザー加工機である。このレーザー加工機は、ピ
に、より多くの加工油が必要とされてきた。
コ秒を表す Pico と熱影響を排除した意味の Cool を
一方、トライボロジーの世界では、長年にわたり表
面機能の向上が研究されてきたが、表面機能を向上さ
合わせて「PiCooLs」とした。
現在では、フェムト(10−13)秒レーザー加工機が
せた金型の製造技術、その金型の特徴を活かすプレス、 加わり、4 台の極短パルスレーザーが稼働している。
絞り加工、成形技術が追随せず、理論と現場対応力の
以下にレーザー加工技術を紹介する。
間に乖離が生じていた。その隙間を埋めるために、金
1.微細孔加工
型表面の高硬度化と金型表面全面にまんべんなく加工
一部を除き孔加工は基本的にストレート形状が望ま
油を行きわたらせるための、微細構造をもつマイクロ
れるが、この形状は光を収れんするレーザー加工原理
テクスチャ(いわゆるミクロプール、微細な油だまり)
と背反する。この収れん角度を見かけ上打ち消すため
を形成する技術がある。その構造の優位点を十分に理
に、真円性を向上させたビームローテーターを独自開
解したうえで設計された金型を用いて、ニーズに合っ
発した。詳細は省くが、ビーム角変位と軌道半径を高
た最適加工条件を確立し、表面摩擦係数の低減、表面
速円運動中に芯ブレなく回転させることにより、スト
の高硬度化を実現する必要がある。表面摩擦係数の低
レートで高精度の孔加工技術を確立した。壁面の粗さ
減は、少なからず、極圧力、かす上がりなどの現象に
貢献するものと考えている。
極短パルスレーザーの特徴と当社の取組み
ピコ秒、フェムト秒レーザーなどの極短パルスレー
ザーでの加工プロセスは、従来の伝熱型昇華加工に対
*
Tadahiko Inohara:代表取締役 COO
〒144−0033 東京都大田区東糀谷 6−4−17
TEL(03)3745−0330
図 1 開発した短パルスレーザー加工機
型技術
第 30 巻 第 6 号 2015 年 6 月号
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