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APT第14回政策・規制フォーラムの結果 - ITU-AJ

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APT第14回政策・規制フォーラムの結果 - ITU-AJ
APT第14回政策・規制フォーラムの結果
総務省 情報通信国際戦略局 国際協力課
1.はじめに
は今回で14回目の開催であり、5月20日から22日までの3日
アジア・太平洋電気通信共同体(Asia Pacific Telecom-
間、タイ(パタヤ)で開催された。また今回は、本年9月10-
munity:APT)は、主にアジア・太平洋地域における電気
11日にブルネイで開催予定のAPT大臣級会合の準備が議題
通信及び情報基盤の均衡した発展を目的として1979年に発
として含まれた。出席者は26か国から情報通信主管庁職員
足した国際機関(事務局:バンコク)であり、研修やセミナ
等110名で、我が国からは総務省情報通信国際戦略局国際
ーを通じた人材育成、標準化や無線通信等の地域的政策調
協力課長の近藤勝則を団長とし、梶原隆道国際交渉専門官
整等を行っている。現在の加盟国数は加盟国は38、準加盟
及び西馬達也同課主査の3名が出席した。なお各セッション
国・地域は4であり(図1参照)
、賛助加盟員(民間企業等)
のプレゼンテーション資料等はAPTの会員HPからダウンロー
は2014年5月現在で131となっている。
ドが可能である。
事務局は、局長の山田俊之氏(日本)
、次長は空席、そ
の他職員22名で構成される。
(2)主なフォーラムの結果
我が国は、設立当初からAPTの活動に積極的に協力して
① オープニング
おり、途上国の政府・電気通信事業者職員等に対する研修、
山田APT事務局長が、謝辞の後、歓迎の挨拶を以下の
研究者/技術者支援、パイロットプロジェクト等の業務を特
とおり述べた。
別拠出金により支援する等、中心的な役割を担っている。
(ア)当フォーラムは、規制・政策主管庁のハイレベル関
係者が、地域の優先課題を議論するAPTの重要な会議
のうちの一つである。
2.第14回政策・規制フォーラム(PRF:Policy and Regulatory Forum)
(イ)また民間企業に規制庁との対話の機会を提供し、関
心事項を反映させる場でもある。
(1)概要
政策・規制フォーラムは、各国の通信主管庁が参加する
(ウ)今会合は、本年9月にブルネイで5年ぶりに開催予定
APTの重要な会合の一つであり、APT域内の主要な政策規
のAPT大臣会合に関する議論を行うため、特に重要で
制の課題を取り扱うものである。APT政策・規制フォーラム
ある。
Mongolia
Nepal
China
Bhutan
Iran
Maldives
Japan
Myanmar
Macao
Hong Kong
India
Pakistan
Afghanistan
Korea, Democratic
Republic of
Korea、
Republic of
Bangladesh
Thailand
Malaysia
Sri Lanka
Laos
Vietnam
Cambodia
Brunei
Philippines
Micronesia
Marshall
Palau
Kiribati
Singapore
PNG
Nauru
Solomon Islands
Indonesia
Tuvalu
Vanuatu
Samoa
Fiji
Australia
Niue
Tonga
Cook
Islands
New Zealand
図1.APT加盟国エリア
ITUジャーナル Vol. 44 No. 8(2014, 8)
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会合報告
アジア・太平洋電気通信網高度化のための協力(EBC-J1)
主としてインフラ整備・運用等に関わる実務担当者等を対象と
して、
日本における研修コース及び海外におけるワークショップ
等を通じた基礎的な人材育成を実施。
「ルーラルエリアにおける小規模向け通信技術とその設定」
(2012年度 日本・総務省)
デジタル・ディバイド解消のための
パイロットプロジェクト支援
(EBC-J3)
アジア太平洋IT研究者・技術者支援
(EBC-J2)
アジア・太平洋域内と日本との研
究者によるI
CT利活用モデルの普
及・展開を目的とした国際共同研究
を支援。
域内のルーラルエリアにおけるテ
レセンター等のパイロットプロジェクト
の実施を支援。
「トンガ国における先端ICTの利用による災害通信の研究」
(2011年度 トンガ)
「持続可能な環境に優しいICTテレセンターを通した地域活
性化と文化保存」
(2010年度 マーシャル)
ブロードバンド普及に向けた環境整
備支援(EBC-J4)
アジア・太平洋地域内のブロードバ
ンド化に向けた競争環境整備に必要
な人材育成・政策作成への支援を目
的として、域内途上国より数名を招へ
いし、中期研修(3週間程度)
を年1回
日本で実施。
「デジタルディバイド解消のためのICTサービスとe-アプリ
ケーション」
(2012年度 日本・総務省)
図2.我が国特別拠出金によるプロジェクト
② PRF議長選出
PRF議長は、毎回開催国から選出されており、今回会
合においては、アリーワン・タイ情報通信技術省国際関
係主席顧問が、2015年までPRFの新議長として選出され
(ア)ポーンパン・タイ情報通信技術省ICTビジネス促進
開発課長
デジタルエコノミーに向けたスマート・タイランド構
想について
(イ)ボースウィック・マレーシア・アクシアタ社規制部門
た。
副部門長
③ 各セッションの概要は以下のとおり。
セッション1:「政策・規制立案者の促進的役割(1)
」
アリーワン議長がセッション議長を務め、3者が以下の
とおり、プレゼンテーションを行った。
アクシアタ社から見た規制・政策立案者の役割につ
いて
(ウ)ワラパット・タイ・インテル企業部門長
デジタル化を通じた機会の拡大について
(ア)アメーン・イブラヒム・モルディブ運輸通信大臣
ICTの果たす重要性等の声明を発表した。
(イ)イリヤス・モルディブ規制委員会委員長兼PRF副議
長
南部アジア地域9か国の規制庁で構成される南部ア
ジア規制委員会(SATRC)の関心事項について
(ウ)シャルマITUアジア太平洋地域オフィス・ディレクタ
ー代行
第4世代の規制について
セッション3:「政策・規制立案者の促進的役割(3)
」
梶原総務省国際交渉専門官兼PRF副議長がセッション
議長を務め、3者が以下のとおり、プレゼンテーションを
行った。
(ア)レオン・ケンタイ・シンガポール情報通信開発庁長
官
シンガポール・スマートシティ構想について
(イ)チョンプラン・シンガポール・インターネット・ソサ
エティ・アジア社員
セッション2:「政策・規制立案者の促進的役割(2)
」
レオン・ケンタイ・シンガポール情報通信開発庁長官が
議長を務め、3者が以下のとおり、プレゼンテーションを
行った。
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ITUジャーナル Vol. 44 No. 8(2014, 8)
インターネット発展政策の選択肢について
(ウ)ガマゲー・スリランカ・インテリジェントソリューシ
ョン&コンサルタント代表
次世代の規制について
を務め、3者が以下のとおり、プレゼンテーションを行った。
(ア)ユー・香港通信事務管理局主席経済アナリスト
香港における無線通信分野の成長について
(イ)オレンジ・香港クアルコム東南アジア太平洋政策担
当課長
爆発的に増大するデータ量に対する解決策について
(ウ)オールセン・ベトナムエリクソン周波数無線技術戦
略課長
モバイルブロードバンド:トレンドと機会について
セッション7:「新たなデジタルエコシステムの容認(2)
」
写真1.会合の模様(セッション3)
引き続きピタポル・タイ国家放送通信委員会主席専門
官が議長を務め、3者が以下のとおり、プレゼンテーショ
ンを行った。
セッション4:「政策・規制立案者の促進的役割(4)
」
プナハPRF副議長がセッション議長を務め、3者が以下
のとおり、プレゼンテーションを行った。
(ア)ガマゲー・スリランカ・インテリジェントソリューシ
ョン&コンサルタント代表
規制当局の促進的役割について
(イ)シルバ・オーストラリア・テルソフト有限会社代表
「ブロードバンドの可能性」と「ブロードバンドの実
態」の格差の縮小について
(ウ)アーノン・タイ・モンクット王トンブリー工科大学電
(ア)スー・中国工業情報化部情報電信研究院インターネ
ット電気通信規制研究所課長補佐
中国の電気通信の展望と規制におけるOTTのトレン
ドと影響について
(イ)ハルソノ・インドネシア電気通信規制機関委員
仮想化したグローバリゼーションの現実化について
(ウ)マスコット・アルカテルルーセント中国アジア太平洋
本部公共課長
ネットワークの仮想化及びクラウド化:ネットワーク
の将来と影響について
気通信経営学科長
デジタルエコノミー及びタイ・APTに対する影響につ
いて
セッション8:「APT大臣会合の準備(1)
」
本年9月10-11日にAPT大臣級会合がブルネイで開催予
定であるところ、ホスト国のヤカップ・ブルネイ情報通信
セッション5:「規制の実施」
イリヤスPRF副議長がセッション議長を務め、3者が以
下のとおり、プレゼンテーションを行った。
(ア)ジェサダ・タイ国家放送通信委員会副議長書記
タイにおける規制緩和のトレンドについて
(イ)トランナリ・ベトナム情報通信省電気通信規制庁政
策規制課補佐
ベトナムにおけるユニバーサルサービスについて
(ウ)近藤総務省国際協力課長
日本におけるサイバーセキュリティ政策の動向につい
て
技術産業庁チーフエグゼクティブが議長を務め、以下のと
おりプレゼンテーション及び議論が行われた。
(ア)ユスリナ・ブルネイ情報通信技術産業庁
APT大臣級会合のホスト国による準備事項に関して
説明。
(イ)ニジェール・OVUM電気通信コンサルティング・グ
ローバル事例リーダー
(バリアクションプランのレポート作成に向けた)ア
ジア太平洋地域におけるICTトレンド
(ウ)アミール・APT開発部長
・バリアクションプランへのAPTの貢献について
・大臣級会合名及び成果に関する準備(案)につい
セッション6:「新たなデジタルエコシステムの容認(1)
」
ピタポル・タイ国家放送通信委員会主席専門官が議長
て
・大臣級会合の議題骨子について
ITUジャーナル Vol. 44 No. 8(2014, 8)
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会合報告
(ア) 2014年APT大臣級会合準備のためのコレスポンデ
(エ)近藤総務省国際協力課長
APT大臣級会合で議論すべき事項に関する日本提案
について説明。
ンスグループ(CGMM)の委任事項とワークプランが
修正され、合意された。
(イ) ジャイラニ・ブルネイ情報通信技術産業庁チーフ
エグゼクティブアシスタントがAPT大臣級会合のための
セッション9:「APT大臣会合の準備(2)
」
ヤカップ・ブルネイ情報通信技術産業庁チーフエグゼク
ティブが議長を務め、以下のとおり大臣級会合名、セッシ
ョンテーマ及び関連するサブテーマが決定された。
(ア) 会 合 名 : 「 Building Smart Digital Economy
CGMM議長として選任された。
④ クロージング
山田事務局長が、次回PRF開催については、ホスト国が未
定であり、希望国は事務局まで連絡ありたい旨、述べた。
through ICT」
(イ)セッションテーマ:
3.おわりに
(. Smart Policy for Sustainable Growth of ICT and
Economy
本年はAPT大臣級会合に加えて、APT総会(GA)が11月
). Safe and Secure Society through ICT
25日-26日までの間、ミャンマー(ヤンゴン)において開催さ
*. Enabling a Sustainable ICT Ecosystem for an
れる予定となっております。本総会においては、総会後の3
Innovative Economy
年を任期とする新事務局長及び新事務局次長の選挙が行わ
+. Business & Industry Related Theme (TDB)
れるほか、今後3か年の財政・活動方針が審議、決定される
こととなっています。APT事務局次長選挙には、御案内のと
おり総務省の近藤国際協力課長が立候補しております。引
セッション10:「APT大臣会合の準備(3)
」
アリーワンPRF議長が、セッション議長を務め、以下の
とおり決定された。
き続き、関係各位の各種APT会合・活動への積極的な御参
加及び御協力・御支援をいただけますようよろしくお願い申
し上げる次第です。
写真2.第14回PRF参加者
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