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国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、世界の平和と安定

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国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、世界の平和と安定
「安全保障と防衛力に関する懇談会」における議論の整理
~~国家安全保障戦略のイメージ(盛り込むべき主な要素)~~
資料1
Ⅰ.策定の趣旨
○我が国をめぐる安全保障環境が一層厳しさを増す中、豊かで平和な社会を引き続き発展させていくためには、
我が国の国益を長期的視点から見定めた上で、国際社会の中で我が国の進むべき針路を定め、国家安全保
障のための方策に政府全体として取り組むことが必要
○国家安全保障に関する分野の政策について指針を与えるもの
○NSCの司令塔機能の下、政治の強力なリーダーシップにより、政府全体として、外交政策及び防衛政策を中心
とした国家安全保障戦略を一層戦略的かつ体系的なものとして実施
○本戦略の内容は、おおむね10年程度後までを念頭に置いたものであるが、政策の実施過程を通じてNSCに
おいて不断の検討を行い、適時適切に発展
Ⅱ.国家安全保障の基本理念
1 我が国が掲げる理念
○我が国は、豊かな文化と伝統を有し、自由・民主主義・基本的人権・法の支配といった普遍的価値を掲げ、
強い経済力と技術力を持つ経済大国
戦後一貫して平和国家としての道を歩み、日米同盟を基軸に我が国及び地域の平和と安全を実現しつつ、
世界の平和と安定に大きく寄与
「人間の安全保障」の理念に立脚し、ODAの活用や地球規模の課題への取組等を通じて、アジア太平洋地
域を始めとする国際社会の平和と安定及び繁栄の実現に寄与
○こうした我が国の国際社会における位置付けを踏まえ、今後も平和国家として、
国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、世界の平和と安定及び繁栄の確保に
これまで以上に積極的に寄与していく。
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Ⅱ.国家安全保障の基本理念(続き)
2 我が国の国益と国家安全保障の目標
国益
○我が国自身の主権・独立の維持や領域の保全、国民の生命・身体・財産の安全を確保し、我が国の平
和と安全を維持し、その存立を全うすること
○我が国の更なる繁栄を実現すること(そのためには、自由貿易体制を強化するとともに、安定性、透明
性、予見可能性の高い国際環境が不可欠)
○自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値やルールに基づく国際秩序の維
持・促進
国家安全保障の目標
○我が国の安全確保に必要な抑止力を強化し、万が一直接侵害が及ぶ場合には、これを排除し、かつ被
害を最小化すること
○日米同盟の強化や実際的な安全保障協力の推進を通じ、アジア太平洋地域の安全保障環境を改善し、
我が国に対する直接的な脅威の発生を予防すること
○普遍的価値やルールに基づく国際秩序を強化することによりグローバルな安全保障環境を改善し、平和で繁栄す
る国際社会を構築すること
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Ⅲ.我が国を取り巻く国際情勢と国家安全保障上の課題
1 グローバルな安全保障環境と課題
(1)パワーバランスの変化及び技術革新の急速な進展
○ 新興国の台頭により国家間のパワーバランスが変化し、国際社会の統治構造(ガバナンス)に大きな影響
○ 技術革新の急速な進展やグローバル化の進展により、非国家主体の相対的影響力の増大
(2)大量破壊兵器等の拡散の脅威
○ 核・ミサイル問題や大量破壊兵器・弾道ミサイル等の移転・拡散・能力向上に係る問題は、我が国や国際社会にとって
の大きな脅威
(3)国際テロの脅威
○ グローバル化が進み、国際テロが拡散・多様化
○ 現に在外邦人等が被害を受けるテロが発生しており、我が国・国民は、国際テロの脅威に直面
(4)国際公共財(グローバル・コモンズ)に関するリスク
○ 海洋においては、近年、資源の確保や自国の安全保障の観点から、「力」による現状変更を企図する動きが増加
○ このような動きや海賊行為等により、海上交通路(シーレーン)の安定や航行の自由をが脅かれるリスクも増大
○ 宇宙ゴミの増加や人工衛星同士の衝突の可能性の高まりを始め、宇宙空間の安定的活用に対するリスクが存在
○ サイバー空間の利用への無防備な依存やサイバー攻撃の存在により、国家安全保障に対するリスクも増大
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Ⅲ.我が国を取り巻く国際情勢と国家安全保障上の課題(続き)
1 グローバルな安全保障環境と課題(続き)
(5)人間の安全保障を脅かす課題
○ 貧困、感染症等の保健課題、気候変動問題、内戦・災害等による人道上の危機といった一国のみでは対処できない地球
規模の課題が、個人の生存と尊厳を脅かす問題として重要性・緊急性を増大
○ こうした問題は、国際社会の平和と安定に影響をもたらす可能性あり
(6)リスクを抱えるグローバル経済
○ 一国の経済危機が世界経済全体に伝播するリスクが増大
○ 資源国による資源ナショナリズムの高揚や新興国によるエネルギー・鉱物資源等の獲得競争の激化等のリスク等の問題
が存在
2 アジア太平洋地域における安全保障環境と課題
(1)北東アジアの戦略環境の特性
○大規模な軍事力の集中、地域的な集団防衛又は危機管理メカニズムの不存在 等
(2)中国の相対的な影響力の増大
(3)北朝鮮の軍事力の増強と挑発行為
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Ⅳ.我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ
1 安全保障分野における我が国自身の役割・能力の拡大・強化
○ 安定した国際環境創出のための外交の強化
⇒ 外交実施体制を強化し、望ましい国際秩序や安全保障環境を実現
○ 我が国を守り抜く総合的な防衛体制の構築
⇒ 防衛力整備に加え、関係機関等の連携を促進し、あらゆる事態に的確に対応 等
○ 領域保全に関する取組の強化
⇒ 警戒監視能力の強化 等
○ 海上安全保障の確保
⇒ 海洋国家としての取組を推進し、自由で開かれた海洋秩序を構築
等
○ 国際テロ対策の強化
⇒ 国内における対策の徹底はもとより、世界各地で活動する在留邦人の安全を確保 等
○ 情報機能の強化
⇒ 体制強化や情報専門家の育成等により、情報収集・分析能力を抜本的に強化 等
○ 防衛装備・技術協力
⇒ 武器輸出三原則等の見直しの必要性とその方向性
○ 安全保障分野の宇宙開発利用の推進
⇒ 各種衛星の機能の拡充・強化 等
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Ⅳ.我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ(続き)
1 安全保障分野における我が国自身の役割・能力の拡大・強化(続き)
○ サイバーセキュリティの強化
⇒ 政府の体制強化に加え、各種分野で官民連携を推進 等
○ 技術力の維持強化
⇒ 産官学が連携し、科学技術を安全保障分野で有効活用 等
2 日米同盟の強化
○ 幅広い分野における日米間の安全保障・防衛協力の更なる強化
⇒ 事態対処から中長期的対応に至るまで政策調整等を緊密に実施し、抑止力・対処力を向上
○ 安定的な米軍プレゼンスの確保
⇒在日米軍再編を日米合意に従って着実に実施
3 アジア太平洋地域及び国際社会の安定のための外交・安全保障戦略の強化
○ 我が国と普遍的価値(自由、民主主義、女性問題を含む人権、法の支配)と戦略的利益を共有する
国との協力関係の強化
等
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Ⅳ.我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ(続き)
4 国際社会の平和と安定のための国際的努力への積極的寄与
○ 国連外交の強化
⇒ 国連における国際の平和と安全の維持・回復に向けた努力に積極的に寄与 等
○ 法の支配の強化
⇒ 国際社会における法の支配の確立に向けて、様々な国際ルールに構想段階から積極的に参加 等
○ 軍縮・不拡散に係る国際努力の主導
⇒ 核廃絶に向けた積極的な取組や、軍縮・不拡散に向けた国際的取組の主導 等
○ 国際平和協力の推進
⇒ 国連PKO等に一層積極的に参加 等
○ 国際テロ対策における国際協力の推進
⇒ 各国との協議や意見交換、国際的な法的枠組みを強化 等
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Ⅳ.我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ(続き)
5 価値観を共有する国々との連帯を通じたグローバルな協力の拡大
○ 普遍的価値(自由、民主主義、女性問題を含む人権、法の支配)の共有
⇒ 普遍的価値を共有する国々との連帯強化を重視した外交の展開 等
○ 地球課題への対応と「人間の安全保障」の実現
⇒ ミレニアム開発目標の達成に向けた取組を強化し、次期国際開発目標の策定にも主導的役割 等
○ 開発途上国の人材育成に対する協力
⇒ 開発途上国からの学生の招致 等
○ 自由貿易体制の強化
⇒ 経済連携の取組を推進 等
○ エネルギー・環境問題への対応
⇒
エネルギーを含む資源の安定供給に向けた各種取組への外交的手段の活用 等
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Ⅳ.我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ(続き)
6 国家安全保障を支える国内基盤の強化と内外における理解促進
○ 防衛生産・技術基盤の維持・強化
⇒ 我が国防衛産業の国際競争力の強化 等
○ 情報発信の強化
⇒ 我が国の安全保障政策の考え方について、我が国国民の理解を得るとともに、諸外国との信頼を醸成 等
○ 社会的基盤の強化
⇒ 国際協調の精神と開かれた形での国を愛する心の涵養 等
○ 知的基盤の強化
⇒ 高等教育機関等における安全保障教育の拡充 等
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