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企業倫理の確立に 向けた態勢の整備

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企業倫理の確立に 向けた態勢の整備
コーポレートガバナンス
企業倫理の確立に
向けた態勢の整備
政策金融機関としての使命を果たすため、社会的責任を常に認識しながら、適切かつ健全な
業務運営を行うよう努めています。
業務運営の体制
公庫の業務は総裁が総理しますが、重要な問題につい
り、総裁から独立した権限が与えられています。さら
ては、総裁、副総裁はじめ役員が役員会等において十分
に、監事を補佐する専属の職員を配置しています。監査
に討議します。
は、公庫の業務全般について行われ、監事は、監査の結
業務の適切かつ能率的な運営が確保されているかどう
果について必要があると認めるときは、総裁または主務
かを監査するため、監事が常勤しています。監事は、農
大臣に意見を提出することが同法で認められています。
林漁業金融公庫法により内閣の承認を得て主務大臣(農
(公庫の機構については、82ページを参照)
林水産大臣及び財務大臣)が任命することになってお
業務運営体制
意見
役員会(重要事項を審議・決定)
説明責任
民
意見
意見
監
内閣
主務 の承認
大臣 を得
が任 て
命
※主務大臣の認可等を要する主な事項
事
意見
業務方法書、財政融資資金借入、事業計画・資金計画、債券発行等の認可
主務大臣が必要あると認めるときの報告、検査(金融庁長官への検査委任)
予算、決算報告書の提出
31
●AFC of JAPAN REPORT 2008
農林漁業政策金融に
関する有識者の会
事
主務大臣の認可
を受けて任命
分掌業務
裁
内閣の承認を得て
主務大臣が任命
国
主務大臣の認可
を受けて任命
副総裁 理
総
認可等(※)
農林漁業金融公庫
経営評議委員会
農林漁業金融公庫
コーポレートガバナンス●企業倫理の確立に向けた態勢の整備
農林漁業金融公庫経営評議委員会
平成20年10月の株式会社日本政策金融公庫への移行
を踏まえつつ、経営のあり方及びその実現に向けた準備
移行期間中に公庫として取り組むべき事項の審議を行う
ものとして、外部の委員により構成する「農林漁業金融
同委員会から、公庫自らが行う業績評価に対し、客観
的な幅広い観点からのご意見をいただいています。
※平成16年3月に設置した「農林漁業政策金融に関する改革会議」
をより広い視野からの助言をいただくべく平成18年8月に改組
公庫経営評議委員会」を設置(※)しています。
〈委員〉(敬称略)(平成20年6月現在)
阿南 久
全国消費者団体連絡会事務局長
澤浦
彰治
グリンリーフ株式会社代表取締役
清水
照子
農事組合法人三ツ和農産理事
生源寺眞一
東京大学大学院教授(座長)
瀬戸
雄三
アサヒビール株式会社相談役
松谷
明彦
政策研究大学院大学教授
農林漁業政策金融に関する有識者の会
公庫の機能・役割が十全に発揮できるよう、有識者
全国及び地方5ブロック(北海道、東北、東海・北
の幅広い観点からの意見等を踏まえ、公庫の業務に反
陸、関西、九州)で開催しており、全国各地の有識者の
映させるため、「農林漁業政策金融に関する有識者の
幅広い観点からの意見等を取り入れています。
会」を設置しています。
〈全国有識者の会委員〉(敬称略)(平成20年6月現在)
伊藤
雅俊
味の素株式会社代表取締役専務執行役員
田中
茂治
伊藤忠商事株式会社代表取締役常務
闍久田
博
日本電気株式会社監査役
小田切徳美
明治大学教授
合瀬
宏毅
日本放送協会解説委員
闍岡 淳
農林中央金庫常務理事
河原
株式会社常陽銀行取締役副会長
雄図
伊東依久子
消費科学連合会副会長
谷口
威裕
株式会社谷口農場代表取締役
牧
秀宣
有限会社ジェイ・ウイングファーム代表取締役
佛田
利弘
株式会社ぶった農産社長
志澤
勝
有限会社ブライトピック代表
降矢セツ子
有限会社降矢農園取締役
田島信太郎
田島山業株式会社代表取締役
阿部
八興漁業株式会社社長
達男
AFC of JAPAN REPORT 2008●
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コーポレートガバナンス
リスク管理への取組
自己責任原則に基づく経営の健全性を維持し、政策金
会が統合的な管理を行い、役員会に定期的に報告する態
融機関としての社会的責任を果たすためには、公庫を取
勢を整備しています。
り巻く諸リスクに的確に対応することが重要です。公庫
また、信用リスク、市場リスク等の個々のリスクにつ
は「リスク管理規則」を規定し、経営上のリスクについ
いては、管理のための方針を個別に定めるとともに、信
て所管する部署を明確にした上で、業務運営全般に関す
用リスク管理第一・第二分科会等個々のリスクに応じた
るさまざまなリスクの把握・分析に努めています。
管理体制を整備し、リスク管理の実効性を確保していま
リスク管理の状況については、統合的リスク管理委員
す。
リスク管理体制
統合的リスク管理委員会※
監査部
内部監査
付議・報告
内部監査
指示・
モニタリング
個別リスク管理分科会
信用リスク管理
第一分科会※
(方針・態勢)
信用リスク管理
第二分科会※
(個別管理)
与信企画部
ALM分科会
流動性リスク
管理分科会※
経営統括部
経理部
オペレーショナル
リスク
管理分科会※
経営統括部
(総合支援準備室)
危機管理
分科会※
総務部
※ 総合的リスク管理委員会
各種リスクを総括して管理。各種リスクを管理するために、各種リス
ク管理分科会を設置
※ 流動性リスク管理分科会
資金調達及び余裕金運用に係る流動性リスクの極小化への対応策の検
討等を通じ、流動性リスクを適正に把握・管理
※ 信用リスク管理第一・第二分科会
資産の健全性の維持・向上のため、信用リスク管理の基盤である信用
格付及び資産査定の実施方法の検討等を通じ、信用リスクを適正に把
握・管理
※ オペレーショナルリスク管理分科会
例規等への規定状況、システムとの整合性、リスクを軽減するための
措置の有無等の観点から事務リスク及びシステムリスクを適正に把握
・管理
※ ALM分科会(Asset Liability Management : 資産・負債の総合
管理)
ALM管理プログラムの策定、ALM分析結果に基づくリスク極小化へ
の対応策の検討等を通じた、市場リスクの適切な把握、政策金融機関
としての資産・負債の特性を踏まえた市場リスク極小化のための最適
な対応策の導出、予想される損失(補給金の必要額)の最小化等、資
産と負債の総合的な管理
※ 危機管理分科会
平時において想定される緊急事態の予測及びその対応策並びに見直し
を審議。なお緊急事態発生時には、「危機対応委員会」を設置し、復
旧・救援体制を確立
33
●AFC of JAPAN REPORT 2008
コーポレートガバナンス●企業倫理の確立に向けた態勢の整備
信用リスク
1 的確な与信管理
や関係機関の方々と話し合い、地域の生産条件や経営の
信用リスクとは、「融資先の財務状況の悪化等によっ
実態を把握し、経営者の意欲と能力、地域の支援態勢等
て、資産の価値が減少または消失し、損失を被るリス
も考慮して審査を行っています。また、研修等を通じて
ク」をいいます。公庫にとっては、融資先に対する貸出
審査能力の強化にも取り組んでいます。
債権が最大の資産であり、この価値の減少等が信用リス
融資後は、融資先の経営状況を定期的に把握し、必要
クの中核です。公庫では、「信用リスク管理方針」に基
に応じて経営上のアドバイスを行うなど、的確な事後
づいて、信用格付・資産査定等を実施し、的確な与信管
フォローに努めています。
理に努めています。
3 信用格付・資産査定
2 適正な審査と融資後のフォロー
公庫では、信用リスクを評価するため、融資先に関す
公庫は、国の農林漁業施策に基づく長期の設備資金を
る定量的・定性的な要素に基づいて、信用格付・資産査
取り扱っています。したがって、融資の審査に当たって
定を定期的に行っています。公庫は、「銀行法」及び
は、経営実績、施策の方向と事業内容との整合性、事業
「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(金融
の適法性、償還の確実性、業界動向等を分析し、厳正な
再生法)」の適用はありませんが、これらに準拠した形
判断が求められます。具体的には、生産の現場で経営者
で資産査定を実施し、その結果を開示しています。
市場リスク
市場リスクとは、一般的に「金利、有価証券等の価
としての特性を有しています。そこで、このような特性
格、為替等のさまざまな市場のリスク・ファクターが変
を踏まえたALM管理方針及び同方針に基づき毎年度策
動することで保有する資産・負債の価値が変動し損失を
定するALM管理プログラムにより、適切な資金の調達
被るリスク」をいいます。公庫の業務は国内融資業務等
と運用の管理を行い、可能な範囲で市場リスクを極小化
に限定され、為替リスクを負っていないため、金利リス
することとしています。
クの管理を市場リスク管理の主たる目的としています。
なお、金利リスクの把握に当たっては、マチュリ
公庫の融資業務は、農林漁業施策の必要性から償還期
ティー・ラダー分析、デュレーション分析、EaR分析等
間が長期、金利は固定となっているなどの政策金融機関
の手法を活用しています。
AFC of JAPAN REPORT 2008●
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コーポレートガバナンス
流動性リスク
公庫は預金受入れを実施していないこと、資金調達は
あり、償還期日・償還額がほぼ確定していること等か
政府からの長期借入、債券発行が中心であり、償還期
ら、資金収支に関する不安定要素は少ないものと考えて
日・償還額が確定していること、融資は長期固定貸付で
おります。
オペレーショナルリスク
オペレーショナルリスクとは、公庫が行う業務に存在
これらのリスクを軽減するため、次のとおりシステム
するリスクであって、事務リスク、システムリスクなど
の安定稼働及び情報資産の安全確保に努めています。
があります。
(1)顧客データへのアクセス制限やネットワーク
1 事務リスク
(2)コンピュータウイルスやハッカーなどの脅威
利用制限などの措置を講じています。
事務リスクとは、「役職員が正確な事務を怠る、ある
からシステムを守るために、適切な電子的侵
いは事故・不正等を起こすことにより金融機関が損失を
入防止策を施しています。
被るリスク」をいいます。公庫では、すべての事務につ
(3)センターコンピュータは二重化し、一組を遠
いて内部規定、マニュアル等を整備し、事務の内容や決
隔地(バックアップセンター)に設置してい
裁権限を明確化しています。また、事務処理における相
ます。同様にデータ及びソフトウエアも複製
互チェックの実施、コンピュータシステムによる段階ご
して遠隔地保管しており、災害などによる本
とのチェック機能の設定等により、事務リスクの軽減に
店設置のセンターコンピュータシステムのダ
努めています。
ウンに備えています。
2 システムリスク
システムリスクとは、「コンピュータシステムのダウ
ンまたは誤作動など、システムの不備に伴い金融機関が
損失を被るリスク、さらにコンピュータが不正に使用さ
れることにより金融機関が損失を被るリスク」をいいま
す。
緊急事態
災害等の緊急事態に備えて「危機管理規則」を規定し
確立が必要となる場合の危機対応委員会について定めて
ており、役職員の行動の指針、緊急事態が発生した場合
います。
の指揮命令系統、業務継続のための体制等を明確にして
また、危機管理規則の下に、危機管理規則の実効性を
います。この中で、平時において想定される緊急事態の
確保するための「危機管理要領」を規定するとともに、
予測及びその対応方策の策定並びに見直しを審議するた
具体的な行動手引書としての「危機管理マニュアル」を
めの危機管理委員会、緊急事態の発生により本店または
整備し全役職員に周知しており、緊急事態に対して的確
支店の被害が甚大であって相当な復旧対策や救援体制の
かつ冷静に対処できるよう準備しています。
35
●AFC of JAPAN REPORT 2008
コーポレートガバナンス●企業倫理の確立に向けた態勢の整備
法令など遵守の態勢
公庫は、政策金融機関としての公的な使命の高さと社
ライアンスの責任者及び担当者を配置し、各
会的責任の重さを自覚して、役職員のコンプライアンス
部室店における実務対応や統括部署への連絡
意識の徹底を図っています。役職員の一人一人が法令や
など、コンプライアンス態勢の円滑な実践に
公庫内部の規程のみならず社会的規範を遵守して、誠実
取り組んでいます。
な行動を心掛けることが公庫の使命を果たす上での根本
3 倫理憲章、役職員の行動規範、遵守すべき法令
であり、社会からの信頼を得ることにつながるものと考
等の解説などをコンプライアンス・マニュア
えています。
ルとしてとりまとめ、社内LANの執務参考に
業務の適切かつ健全な運営を確保するため、コンプラ
掲載し、毎年改訂のうえ全役職員に周知して
イアンスに関して以下のような態勢を整備しています。
います。また、コンプライアンスに関する質
1 コンプライアンス態勢全般に係る企画・運営に
問と回答の事例やコンプライアンス委員会で
関する事項を検討・審議するため、副総裁を
審議された事例についても社内LANの執務参
委員長としたコンプライアンス委員会を設置
考に掲載し、コンプライアンスの問題意識を
しています。同委員会での検討・審議結果に
全役職員が共有することにより不適切な事務
ついては、役員会に報告されるほか、全役職
処理等の再発防止に努めています。
員に周知して、業務の的確な運営に役立てて
います。
4 全職員が、コンプライアンスの面から注意すべ
き事項について、毎年1回、チェックリスト
2 総務部をコンプライアンス統括部署とし、関係
に基づき点検を行い、その結果をコンプライ
部署と連携しながらコンプライアンス態勢の
アンス統括部署がとりまとめ、コンプライア
充実を図っています。また、部室店にコンプ
ンス態勢運営上の課題を把握し、業務の改善
に取り組んでいます。
内部監査
業務の健全性を維持し、政策金融機関としての社会的
また、公庫は、政策金融機関として融資事務を取り扱
責任を果たしていくため、公庫自ら業務を監査し、リス
ううえでの事務リスクについて特に留意しており、平成
ク・マネジメント、リスク・コントロール及びガバナン
18年度に事務点検制度を創設して自店検査の内容・頻
ス・プロセスの有効性を評価して、改善を図っていくこ
度を高度化してきていますが、内部監査では、事務点検
とが、自己責任原則の面から重要です。
制度を監査対象とし、制度が有効に機能しているかどう
公庫では、監査部を設置して、本店・支店・拠点のす
かを検証することにより事務リスクの適切な管理に努め
べての部署を対象に、各部署における内部管理態勢の適
ています。
切性・有効性、業務処理の適切性、資産査定の妥当性、
なお、公庫業務を委託している金融機関に対しては、
法令や公庫内部規定等の遵守状況などを検証・評価し、
委託業務の適正かつ円滑な運営を確保するため、監査部
必要に応じて業務改善の提言を行っています。
及び支店が委託業務に関する監査を行っています。
AFC of JAPAN REPORT 2008●
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コーポレートガバナンス
個人情報の保護
公庫は、お客さまの事業等に関する大切な情報を取扱
プライバシーポリシー
う政策金融機関として、「独立行政法人等の保有する個
個人情報の適切な保護と利用に関する取組方針及び個
人情報の保護に関する法律」等に基づき、個人情報の適
人情報の取扱いに関する考えとして、「プライバシーポ
切な保護と利用に努めるとともに、公庫における個人情
リシー」を制定し、公表しています。
報保護の管理体制及びその取組について、継続的な改善
に努めます。
ディスクロージャー
情報開示の積極的な実施
公庫の業務内容、決算状況などについて、次のように開示しています。
資料名
開示方法
財務諸表
官報に公告
(貸借対照表、損益計算書、財産目録)
各支店、本店総務部に備付け
開示時期
7月
総務省特殊法人閲覧室に備付け
附属明細書
各支店、本店総務部に備付け
7月
決算報告書
各支店、本店総務部に備付け
7月
監事の意見書(財務諸表及び決算報告書に係るもの)
各支店、本店総務部に備付け
及び監事監査報告書
業務報告書
7月
国会に提出
各支店、本店総務部に備付け
7月
総務省特殊法人閲覧室に備付け
行政コスト計算財務書類
各支店、本店総務部に備付け
REPORT2008(本誌)
各支店、本店総務部に備付け
総務省特殊法人閲覧室に備付け
37
ホームページ
インターネット上に開設
(業務内容、業務実績、組織概要、財産内容など)
(アドレス http://www.afc.go.jp)
●AFC of JAPAN REPORT 2008
7月
8月
随時内容を更新
コーポレートガバナンス●企業倫理の確立に向けた態勢の整備
情報公開制度
公庫では、
「独立行政法人等の保有する情報の公開に
の保有する法人文書の開示を請求することができます。
関する法律」の趣旨を踏まえ、本店及び支店に情報公
開示請求された文書は、不開示情報が記録されている場
開・個人情報保護窓口を設置しています。
合を除いて、開示されます。
情報公開制度を利用することにより、どなたでも公庫
ホームページのご案内
公庫ホームページでは、公庫のご案内をはじ
め、資金制度、調査レポートなど、さまざまな情
報をタイムリーに紹介しています。
<ホームページアドレス>
http://www.afc.go.jp
AFC of JAPAN REPORT 2008●
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