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資料3-3-4 21世紀ロボットチャレンジプログラム
事後評価書 1.政策評価の対象とした施策 ・21世紀ロボットチャレンジプログラム 2.政策評価を担当した部局又は機関及びこれを実施した時期 (1)担当 ・経済産業省産業技術環境局研究開発課 ・経済産業省製造産業局産業機械課 (2)時期 ・平成16年4月∼平成17年3月 3.政策評価の観点 ・必要性、有効性、効率性 4.政策効果の把握の手法及びその結果 (1)手法 ・学識経験を有する者の知見を活用した評価の実施。 (2)結果 ・別紙「4.施策効果」等に記述。 5.学識経験を有する者の知見の活用に関する事項 評価を広い視点から可能な限り、客観的に行うため、省外の高い識見や知識を有する以下 の有識者の知見を活用することとした。具体的には、メールレビューにより意見を聴取した。 (五十音順、敬称略) 田所 諭 国立大学法人神戸大学工学部情報知能工学科 中澤 和夫 慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科 山田 陽滋 独立行政法人産業技術総合研究所 安全知能研究グループ 助教授 助教授 知能システム研究部門 グループリーダー 6.政策評価を行う過程において使用した資料その他の情報に関する事項 ・過去の評価結果、本施策の事前評価書 7.政策評価(事後評価)の結果 ・別紙のとおり 別 紙 21世紀ロボットチャレンジプログラムに関する 政策評価(事後評価)結果 平成17年6月 経済産業省産業技術環境局研究開発課 経済産業省製造産業局産業機械課 < 目 次 > 1.施策の概要--------------------------------------------------------- 1 1)施策の概要------------------------------------------------------- 1 2)予算の推移及びスケジュール--------------------------------------- 1 2.施策の必要性------------------------------------------------------- 1 3.目標の達成状況と妥当性--------------------------------------------- 3 1)研究開発の成果、施策の目標達成状況------------------------------- 3 2)施策目標の妥当性------------------------------------------------- 6 4.施策効果----------------------------------------------------------- 7 1)技術的施策効果--------------------------------------------------- 7 2)経済、社会への施策効果------------------------------------------- 9 5.有効性、効率性に関する分析、評価---------------------------------- 10 1)研究開発プログラムの有効性-------------------------------------- 10 2)研究開発プログラムの効率性-------------------------------------- 13 6. 分析結果を踏まえた今後の改善策等--------------------------------- 14 附属資料1------------------------------------------------------------ 17 附属資料2------------------------------------------------------------ 18 附属資料3------------------------------------------------------------ 19 1.施策の概要 1)施策の概要 ①施策の目的 病院、福祉施設、家庭、災害現場等で活用されるロボットなど、製造現場以外におけ る次世代ロボットに対する潜在的ニーズが大きい。しかしながら、次世代ロボットに必 要とされる基盤的要素技術、システム化技術や、これを受け入れる社会環境が未整備な こと等により、次世代ロボット実用化における諸課題のうち技術面に着目し、このよう な潜在ニーズに対応した次世代ロボットの開発・実用化の促進、ロボット市場の飛躍的 拡大を目指す。 ②目標 2005年度までに国民の潜在的ニーズが高いと思われる病院、福祉施設、家庭、災 害現場などで活用されるロボットの開発を本格化し、2009年度までにこれらロボッ トの製品化が進展することを目標とする。また、2020年度までに、ロボット産業を 現在の自動車産業のような我が国における基幹産業の一つに成長させることを目指す。 2)予算の推移及びスケジュール (単位:億円) 研究開発期間 西暦(年度) 14 2002 人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発 H10∼H14 8.3 ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備 H14∼H16 1.0 次世代ロボット基盤的要素技術開発 H15∼H17 和暦(年度) 15 2003 16 2004 0.9 0.8 17 2005 18 2006 32の内数 31.7の内数 表1 予算推移及びスケジュール 2.施策の必要性 本施策は、次世代ロボットを中心とする我が国ロボット産業の発展を比較的短期間の 後に実現しうるだけでなく、中長期的には少子高齢化の進展による要介護者人口の増加 などの諸課題の解決に向けた一つの回答を提示しうるものであり、国民生活の質的向上 への貢献が大いに期待できる。また「科学技術基本計画」(平成13年3月30日閣議 決定)において「我が国が目指すべき国の姿と科学技術政策の理念 」の中で、「安心 ・安全で質の高い生活のできる国」を目指している。これは「本格的に到来する高齢社 会において国民が健康に生活できるよう疾病の治療・予防能力を飛躍的に向上させるこ と、自然及び人為的な災害やそれによる被害を最小限にとどめること」等、次世代ロボ ットの普及によってその実現が可能になると期待される。さらに、「平成16年度の科 学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」(平成15年6月総合科学技術会議) においても、ロボット技術は、重点4分野の情報通信の中で人間と共存するロボットと 1 して強化すべき研究開発課題として記載されており、製造技術分野においてもマイクロ マシン、高機能ロボットとして重点的に推進すべき領域とされている。 <背景・必要性> 社団法人日本ロボット工業会の調査報告書などによると、我が国のロボット産業は、 1970年代から現在に至るまで、工場における生産財として利用されるロボットが普 及することにより拡大発展してきた。今日、我が国は世界のロボットの大半を生産する 「ロボット大国」であり、競争力のあるユーザー産業からの的確な要求に応えることなど により、国際的にもトップレベルのロボット技術を蓄積している。しかしながら、19 90年代以降、国内のロボットの生産額は5000億円前後で推移しており、短期的に は大幅な成長は期待できない状況にある。一方、少子高齢化の進展による要介護者人口 の増加や、より安全な社会の構築等の諸課題が顕在化する中で、病院、福祉施設、家庭、 災害現場などの製造現場以外で活用される次世代ロボットに対する潜在的ニーズは大 きく、「ロボット大国」である我が国のロボット技術を活用した次世代ロボットの産業 化が強く期待されている。 2004年4月に取りまとめられた経済産業省の「次世代ロボットビジョン懇談会」 報告書において、2025年時点での次世代ロボットの市場規模は約7.2兆円と予測 されており、内訳として生活分野が約3.3兆円、医療・福祉分野が約9000億円、 公共分野が約5000億円となっている。しかしながら、次世代ロボットに必要とされ るモータ、センサ等の基盤的要素技術やシステム化技術には開発リスクが高いものが多 く、民間の独自の取り組みのみでは、次世代ロボット産業の本格化は期待できない。次 世代ロボット市場の創出による経済の活性化や国民生活の質的向上が強く期待されて いることから、国の一定の関与によるこれら技術課題の解決が必要と判断される。また、 我が国は、産業用ロボットでは、技術・産業の両面で世界一の競争力を有するが、原子 力、宇宙、海洋、災害対応、医療・福祉等の非製造ロボットの技術競争力は欧米に比べ て必ずしも高いとはいえない。 米国では、1990年代初頭から宇宙技術開発、軍事技術開発政策等をベースとした 極限環境でのロボットに関する技術開発プログラム/プロジェクトが実施されている。 国防総省(DOD)、NASA等の極限作業ロボット、宇宙環境に適応したロボット、 手術ロボット等のミッションの明確なプロジェクトがロボット技術開発を先導してき た。これらのことから、適用される分野におけるロボットの仕様をあらかじめ明確に与 えるか、あるいは、明確に与えられるような分野に対してロボットの技術開発を注力し ているといえる。また、医療分野では、手術用ロボットに関するロボティクス・サージ ェリー・プロジェクトが1998年度から実施されている。また2001年度から20 05年度にかけて、センサーベースのモーションコントロールやロボティクスの応用研 究「RIMイニシアティブ」が実施されている。 ドイツでは、横断的なロボット技術開発政策は見られないが、実用化を目指したプロ ジェクトに集中して資金提供を行っている。大学や研究機関から企業への技術移転が重 2 視されており、ロボット産業の強みの一つとなっている。2001年度からは、非製造 業用ロボットのアーキテクチャやプラットフォームに関する「NEUROSプロジェク ト」が実施されている。 ドイツ以外の欧州諸国にもロボット技術開発プロジェクトが存在するが、宇宙開発以 外は、基本的には1985年前後から開始されたEUのフレームワークプログラム及び 「EURECA計画」に属するロボット関連のプロジェクトに参加する方式を選択して いる。また、フランスやドイツでは法律に基づき、原子力防災機関における防災ロボッ トの採用が義務付けられており、実際には大規模な原子力事故が発生していないため、 稼働実績はないが、いつでも稼働できるような訓練体制が整備されている。このように、 欧米では、ロボットに関して、実際に使用するロボットの開発を目的として、大規模な 研究開発プロジェクトが開始されており、そのため、ロボットの要素技術だけでなく、 システム化、製品化技術について技術力の強化が図られている。 さらに、中国や韓国でも研究開発プロジェクトが発表されていることから、このよう な諸外国の追い上げに対して、我が国の総合的な競争力を維持・向上させるためには、 政府による基礎研究から実用化までをフォローする研究開発の支援が必要である。 <適切な受益者負担> ロボット技術開発は個々の企業で開発が進められているが、それら個別の要素技術は 標準化に資していない。本施策で実施するプロジェクトなどは、次世代ロボットの早期 確立に必要不可欠であり、2004年4月に取りまとめられた新産業創造戦略を具現化 するためには、技術の標準化、安全性・耐久性の検討も含め国で実施する必要がある。 しかしながら、プロジェクト終了後の市場投入のための研究開発は民間企業等の資金負 担を前提とする。 3.目標の達成状況と妥当性 1)研究開発の成果、施策の目標達成状況 (1)人間協調・共存型ロボットシステム ①概要 ヒューマノイド型ロボットの応用可能性の探求と、複雑な作業を行うことが出来 る作業機能、変化のある地形を柔軟に移動できる移動機構等の要素技術の確立など を目的とし、VR(バーチャル・リアリティ)技術等を活用した二足歩行ロボット の実証に関する研究開発を行った。 ②目標 本プロジェクトは、ヒューマノイド型ロボットの応用可能性の探求と、複雑な作 業を行うことが出来る作業機能、変化のある地形を柔軟に移動できる移動機構等の 3 要素技術の確立などを目的とし、VR技術等を活用した二足歩行ロボットの実証に 関する研究開発を行う。 ③目標達成状況 プロジェクト終了までに、人間と協調し作業するための基盤技術として、脚腕協 調両手作業基礎理論の開発、不整地対応技術の開発及びロボット保護技術に関する 研究開発等を実施し、更に、プラント保守管理、車両運転代行、屋外共同作業、対 人サービス、ビル・ホーム管理の5つの分野における2足歩行ロボットの活用可能 性を検証し、目標を達成した。 (基盤技術の例) ・ 脚腕協調両手作業基礎理論の開発 ・ 不整地対応技術の開発 ・ ロボット保護技術に関する研究開発 等 ③−1個別指標 ロボット化が可能になった作業の数(例えば、動作、環境の種類数) (2003年度末時点の実績) (1)プラント保守分野 10 (2)対人サービス分野 9 (3)代行運転分野 8 (4)ビル・ホーム管理分野 (5)屋外共同作業分野 8 13 合計 48 ③−2共通指標 a.論文数及びそれら論文の被引用度数 b.特許等取得した知的所有権数、それらの実施状況 c.特に、製品化に際してのライセンス供与数、取得ライセンス料 d.国際標準形成への寄与 論文数 ∼11年度 12年度 13年度 14年度 25 30 25 26 論文の 引用数 0 0 0 0 特許件数 (出願を含む) 8 1 13 14 特許件の 実施件数 0 0 0 0 ライセンス の供与数 0 0 0 0 取得 ライセンス料 0 0 0 0 国際標準 への寄与 0 0 0 0 ④プロジェクト等名 人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発 (2)ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤 ①概要 病院、福祉施設、家庭などの製造現場以外で活用されるロボットの開発に不可欠 4 となるソフトウェア上の基盤(ロボットの要素のモジュール化と、モジュールの統 合によるロボットの構築を可能とするソフトウェア仕様、以下「ミドルウェア」とい う。)を整備する。これにより、ソフトウェアとハードウェアを分離したロボット の開発が可能となり、異業種、中小・ベンチャー企業を含む多様な主体によるロボ ット開発が容易となる環境が整備される。 ②目標 ロボット要素をモジュール化して容易に統合・制御を可能とするソフトウェア上 の技術基盤の確立を図る。 ②−1指標 a.開発するミドルウェアが汎用的な複数のOS、複数の通信プロトコルで利用でき ること b.ミドルウェアを介したロボットが稼働すること。 ②−2共通指標 14年度 15年度 論文数 論文の 引用数 (出願を含む) 12 0 0 特許件の 実施件数 0 調査中 特許件数 ライセンス の供与数 取得 ライセンス料 国際標準 への寄与 0 0 0 ③プロジェクト等名 ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備 (3)次世代ロボット基盤的要素技術 ①概要 病院や福祉施設、家庭等で活躍するロボットなど、製造現場以外で活用される次 世代ロボットに必要な基盤的要素技術(モータ、力センサ、画像・音声認識等)を 確立し、次世代ロボットの早期実用化を図る。特に、これら要素技術について高い 技術ポテンシャルを持つ中小・ベンチャー企業のロボット分野への参画を積極的に 支援し、中小・ベンチャー企業をも巻き込んだ新しいロボット産業の実現を目指す。 具体的には、①限られた空間で高出力を高い信頼性で発揮できるような小型高出力 ・高耐久モータ技術(ギア、制御ドライバ等、モータ周辺技術を含む)、②複雑な 周辺環境との接触を検知し衝突による事故の回避などを可能とするための力セン サ及び圧力分布センサの小型化、高信頼性化、高耐久化技術、③明るさや音響など の周辺環境が多様な人間生活環境の実用に耐えうる高信頼性画像・音声認識技術な どの次世代ロボットに必要な共通基盤的技術の開発等を行う。さらに、上記ロボッ ト部品等のシステム化技術開発を行う。 ②目標 a.磁束密度向上、永久磁石磁力向上、摩擦損失減少等により、高トルク重量比モ 5 ータを開発する。 b.ドリフト補償の高精度化、構造材料の改良、高集積回路設計等により、トルク センサの小型・軽量・高精度化技術を開発する。 c.複数台カメラ情報の統合化、画像情報から人間や物体を正確に認識するための アルゴリズム開発、画像処理専用チップの開発等により、高信頼性画像認識技術 を開発する。 ②−1指標 a.モータのトルク重量比:3割程度の向上 b.力センサの重量、占有体積:半減 c.画像認識技術の信頼性向上(一般家庭での使用に耐えうる水準) ②−2共通指標 論文数 論文の 引用数 特許件の ライセンス 実施件数 の供与数 平成15年度開始事業のため実績なし 特許件数 (出願を含む) 取得 ライセンス料 国際標準 への寄与 ③プロジェクト等名 次世代ロボット基盤的要素技術開発(戦略的基盤技術力強化事業) 上記のとおり、各プロジェクト等は計画通り順調に進捗しており、本施策全体でも計 画通り開発が進んでいるといえる。このため、施策終了後には予定どおり施策の目標が 達成されていると推察される。 2)施策目標の妥当性 ○ 閣議決定等上位の政策決定 ・「科学技術基本計画」(平成13年3月13日閣議決定)における、国家的・社会 的課題に対応した研究開発の重点化の中の製造技術分野に位置付けられるものであ り、本プログラムの目標との関連では、以下のとおり記載されている。よって、本プ ログラムの目標は妥当である。 製造技術は、我が国の生命線ともいうべき経済力の源泉であり、我が国でしかでき ない高精度加工技術が存在するなど、世界的にも最高水準にある。今後、これらの高 度な技術を基に、革新的な技術の開発を行うことが重要である。具体的には、高精度 技術、精密部品加工技術、マイクロマシン等の高付加価値極限技術、環境負荷最小化 技術、品質管理・製造現場安全確保技術、先進的ものづくり技術(特に情報通信技術 ・生物原理に立脚したものづくり革新に資する次世代技術)、医療・福祉機器技術等 が挙げられる。 ○ 施策開始後に生じた重要な環境変化 ・「平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針」(平成14年 6 6月総合科学技術会議)において示された重点8分野のうち、情報通信分野の他分野 との連携の下で行う融合領域での新しい可能性を探る研究開発や製造技術分野の製 造技術の新たな領域開拓に合致するものである。さらに、「平成16年度の科学技術 に関する予算、人材等の資源配分の方針」(平成15年6月総合科学技術会議)にお いても、ロボット技術は、情報通信分野及び製造技術分野において重点的に推進すべ き領域とされている。 ・「2025年の人間とロボットが共存する社会に向けて 「次世代ロボットビジョ ン懇談会」報告書」(2004年4月経済産業省次世代ロボットビジョン懇談会)に おいて、「わが国の社会全体のテーマである少子・高齢化、安心・安全、便利・ゆと りの課題解決のために、ロボットが産業や生活、公共の場でより身近な存在として役 立つことを期待する。」「次世代ロボットは家庭では育児や家事、在宅介護を支援し つつ、より充実した自由時間を人々に提供する。職場では幅広い業務の効率化、女性 や高齢者の就労支援に役立ち、在宅勤務の選択も広げる。また、災害や治安、医療の 現場でロボットが危険な作業や高度な作業を行い、社会安全の向上に貢献する。」と 記されており、ロボットと共存する社会を実現するために「人間に対する安全性を確 保するための技術、知能を中心とした要素技術」、「ロボットの多様なニーズに対応 可能とするシステム化技術」に取り組む必要があるとされている。 ・「新産業創造戦略」(2004年4月経済産業省)において、ロボット産業は、① 日本経済の将来の発展を支え、②国民ニーズが強く、内需主導の成長に貢献し、③最 終財から素材まで、大企業から中堅・中小まで、大都市から地方まで広範な広がりが あり、我が国の産業集積の強みが活かせ、④市場メカニズムだけでは発展しにくい障 壁や制約があり、官民一体の総合的政策展開が必要な分野として選ばれている。 4.施策効果 本施策の効果については、ロジックモデル(別紙)にまとめている。 1)技術的施策効果 本施策で得られた特許件数等は以下のとおり。 ①特許件数等 論文数 施策通年 (H10∼H15) 155 論文の 被引用 度数 0 H14 H15 38 23 0 0 特許件 数 36 特許権 の実施 件数 0 ライセン ス供与 数 0 取得ラ イセン ス料 0 国際標 準への 寄与 0 13 1 0 0 0 0 0 0 0 0 ②技術的効果 7 図1∼3のロジックモデルに示すとおり、本プログラムの目標達成時期2006年に 向け、プログラム全体として技術的効果が発現しつつある。 一般的に、ロボットにおいては、ソフトウェア(オペレーションシステム、ミドルウ ェア等)、ハードウェア(モータ・アクチュエータ、センサ、マニピュレータ、移動機 構等)、システムインテグレーションの3つの構成要素の開発が必要とされる。本施策 においては、人間協調・共存型ロボットシステムがシステムインテグレーションに、ロ ボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備がソフトウェアの開発に、次世代ロ ボット基盤的要素技術開発(戦略的基盤技術力強化事業)がハードウェアの開発に各々 位置付けられていることから、ロボットに必要な技術がカバーされており、施策の目標 を達成するためにバランスのとれた構成となっている。(表1参照) 以下(ⅰ)∼(ⅱ)に、直接・間接効果の事例を示す。 表1 施策の構成 プロジェクト・事業 役割 次世代ロボット基盤的要素技術開発 ハードウェア部品の開発 ロボットの開発基盤となるソフトウェア上 ソフトウェア部品の開発 の基盤整備 人間協調・共存型ロボット開発 システム(二足歩行型等)としての プラットフォームの開発 (ⅰ)人間協調・共存型ロボットシステム ・基礎データの提供 本事業で得られた基礎データ等について、事業実施期間中にデータを体系的に整 理し、研究成果発表会、報告書、インターネット等を通じ、幅広く社会に提供され ている。 ・研究者・技術者の連携の促進 産学官連携の研究体制を通して活動を行うことで、本プロジェクトの終了後も各 分野の研究者・技術者が有機的に連携し、さらに新たな研究を生み出す環境を構築 している。 ・国際的な研究交流の促進、及び関連技術の底上げへの寄与 また、本プロジェクトは、我が国の二足歩行ロボットや人間協調・共存型ロボッ トに関する国際的な地位を向上させ、世界中の研究者の注目を集め、研究者の国際 的な交流・情報交換が深まり、我が国及び世界の関連技術の底上げに寄与している。 例えば、本プロジェクトに刺激されて、中国・韓国の研究所や企業は人間型ロボッ ト研究の開発を開始し、欧米の多数の大学から研究協力の要請がなされた(出所: 本プロジェクトに関する NEDO 事後評価報告書(2003 年 9 月))。 ・プラットフォーム技術の活用 8 本プロジェクトにおいて開発されたロボットプラットフォーム HRP-2 は川田工 業により、ソフトウェアプラットフォーム OpenHRP は新たに設立された産総研ベン チャー企業「ゼネラルロボティックス」により、それぞれ事業化され、既に3大学 において研究開発に利用され、今後も利用の拡大が見込まれている。また、OpenHRP のシミュレータ部は、非商用利用に限定して産業技術総合研究所が無償で外部に提 供しており、国内外 50 以上の研究機関で研究開発に利用されている。さらに、仮 想プラットフォームの機能を検証するために開発したロボットをプロトタイプと した人間型ロボットも研究開発用として富士通により事業化され、40 台以上が研 究開発に利用されている。 ・ベンチャー企業の創出 ロボットプラットフォーム HRP-2 は川田工業により、ソフトウェアプラットフォ ーム OpenHRP は新たに設立された産総研ベンチャー企業ゼネラルロボティックス により、それぞれ事業化されている。 ・人間型ロボット技術の発展と事業化 本プロジェクトで開発された人間協調・共存型ロボットの試作機や関連技術は参 加企業におけるプロジェクト終了後の発展的な技術開発に寄与している。(例:仮 想プラットフォームの機能を検証するために開発したロボットをプロトタイプと した人間型ロボット、OpenHRP のシミュレータ部) (ⅱ)ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備 ・学会へのインパクト 本プロジェクト全体として、2002∼2003年度において、以下の研究成果 発表が行われた。 表2 本プロジェクトに関する研究成果発表件数 (単位:件数) 年度 講演 解説 プロシーディング 口頭発表 平成 14 年度 0 0 0 12 平成 15 年度 8 2 1 8 2)経済、社会への施策効果 本施策は社会的な注目を集めており、我が国のロボット開発の象徴となっている。 この結果、九州におけるロボット特区の創設など、全国的にロボット開発やロボット ・ベンチャー、関連する条件整備等の機運が高まっている。具体的は、以下のとおり である。 ①ロボットに対する一般の理解と興味の増進 9 人間協調・共存型ロボットシステムの研究開発は、研究者のみならず世界中のマス コミや一般市民の注目を集め、ロボットに対する一般の理解と興味を深め、二足歩行 ロボットや非製造業用ロボットに対する一般市民の受容性を高めている。 本プロジェクトに関する論文等誌上発表件数は国内 31 件、海外 124 件、口頭発表 件数は 211 件、新聞・雑誌・TV 等発表件数は 207 件(うち TV は 55 件)にも及ぶ。海 外の TV 放送では、例えばドイツ国営放送「人間機械一体型パワードスーツ」 (2003.1.15)、Discovery Channel(世界 144 国放映局) 「パワードスーツ」 (2003.5)、 米国 Discovery Television(2002.9.28)等で紹介されている。 このほか横浜で 2002 年及び 2003 年に国際的なロボット展示会 ROBODEX が開催され、 それぞれ 6.6 万人、6.7 万人の入場者数、70 番組、108 番組の TV 取材、1,090 人、1,496 人のマスコミ関係者来場を記録したところであり、NEDOブースにおいて、プロジ ェクトの成果であるHRP−1及びHRP−2のデモンストレーションが行われた。 ②中小企業におけるロボット分野への参入意欲の高まり 次世代ロボット基盤的要素技術開発については、中小企業のロボット分野への参入 意欲を高めつつあり、今後中小企業におけるロボット関連事業が進展する可能性が高 い。 ③ロボットに関連する複数の標準化の相互連携の促進 ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備プロジェクトでは、ロボット 制御のための標準的なミドルウェアが開発されており、同時にロボット工業会がその 標準化作業を行っている。その過程では、他の関連する標準(ホームオートメーショ ン用のエコネット等)の検討グループと情報交換が行われており、将来的には標準の 相互のハーモナイゼーションの可能性もあり、他分野のソフトウェア標準にもプラス の波及効果を及ぼしつつある。 5.有効性、効率性に関する分析、評価 1)研究開発プログラムの有効性 ○本施策が仮に存在しなかった場合(非事実仮説)の想定 本施策が仮に存在しなかったと想定した場合、以下の事態が想定される。 以下では、これらの具体的様相をプロジェクト別・技術別に述べる。 (ⅰ)人間協調・共存型ロボット開発 (a)人間型ロボット研究開発プラットフォームの開発 ①ハードウェアプラットフォーム 本プロジェクトで開発された人間型ロボットのプロトタイプ HRP-2 は、川田工業に より「働く人間型ロボット HRP-2 ハードウェア」として事業化され、2003 年春から人 間型ロボット研究開発用プラットフォームとして大学など国内学術研究機関向けに 10 レンタル提供されている(レンタル価格は税別 3,800 万円/5 年、メンテナンス価格は 税別 400 万円/年)。2003 年 12 月現在、東京大学、大阪大学、奈良先端科学技術大学 院大学、及び産業技術総合研究所に合計7体が納入され、研究ツールとして利用され ている。 また川田工業は、次世代ロボット基盤的要素技術開発(戦略的基盤技術力強化事業) において、財団法人富山県新世紀産業機構を共同研究体の事業管理法人とするロボッ ト用運動センサの開発計画に参画している。これは 2003 年度から 3 年計画のプロジ ェクトであり、北陸電気工業、ワコー、およびマイクロジェニックス等富山県内の民 間企業と共同で進められている。 このほか、川田工業、産業技術総合研究所、及び川崎重工業は、2002 年度から 5 年計画で、NEDO からの受託により「実環境で働く人間型ロボットの基盤技術の研究開 発」を実施している。本研究では、ヒューマノイド・ロボットの悪環境・危険環境・ 苛酷環境下の現場における作業を想定し、以下の成果を目指している。 ・新型ロボットハードウェア(HRP-3)の開発(川田工業) ・制御ソフトウェアの高度化 (産業技術総合研究所) ・遠隔操作技術の高度化(川崎重工業) このように、本プロジェクトの成果は、プロジェクト終了後の参加機関における関 連研究開発・事業化、及び非参加機関における研究開発に直結しており、もし本プロ ジェクトが無ければ、我が国における人間型ロボット用ハードウェアの開発は大きく 遅れていたものと想定される。 ②ソフトウェアプラットフォーム 本プロジェクトで開発されたOpenHRPは、ヒューマノイドロボティクスのための総 合ソフトウェア開発環境で、動力学シミュレータV-HRP、基本動作ライブラリHRP-C等 から構成されている。OpenHRPを使用すると、ロボット実機を用いること無く、ロボ ット動作制御則(コントローラ) を仮想環境内で開発/検証することが可能になる。 OpenHRPはWebサイト(http://www.is.aist.go.jp/humanoid/openhrp/Japanese/)に おいて提供(非商用目的の場合は無償)されており、国内外の人間型ロボット研究に 活用されている。 一方、OpenHRPの制御ソフトウェア部分は、2002年10月に設立され、200 2年11月に産総研ベンチャー企業に認定されたゼネラルロボティックス株式会社 において、製品として販売されている。本製品は、OpenHRPを構成するCORBAオブジェ クト群の中で、ロボットの制御計算を行うコントローラとして動作し、2足歩行を可 能にするプラグインモジュール、ユーザーの開発したプログラムを組み込むためのシ ステムソフトウェアのほか、実際にロボットハードウェアを動作させるために必要な I/Oアクセスライブラリ、およびVRMLで記述されたシミュレータモデル、各種ユーテ 11 ィリティプログラム等から構成されている。 このように、本プロジェクトの成果は、プロジェクト終了後の参加機関における関 連研究開発・事業化、及び非参加機関における研究開発に直結しており、もし本プロ ジェクトが無ければ、我が国における人間型ロボット用ソフトウェアの開発は大きく 遅れていたものと想定される。 (b)人間型ロボットの応用可能性の実証 本プロジェクトでは、産業車両等代行運転応用ロボット、プラント保守応用ロボッ ト、屋外共同作業応用ロボット、ビル・ホーム管理サービス応用ロボット、対人サー ビス応用ロボットという5種類の人間型ロボットの試作機が開発され、それぞれの応 用分野において必要とされる性能・機能が実証された。 これらは、産業車両の代行運転、プラントの点検・保守作業、屋外での運搬・据付 作業、ビルや住宅の管理サービス、介護者・被介護者の支援といった具体的な応用分 野で役立つ人間型サービスロボットの応用可能性を実証したものであり、その波及効 果(参加機関における研究開発の継続、非参加機関への知的波及効果等)も含めて、 もし本プロジェクトが存在しなければ、これらのサービスロボットの将来における本 格的な実用化時期は大きく遅れていたものと推察される。 今後、継続的にフォローアップをしていくことが重要である。 (ⅱ)次世代ロボット基盤的要素技術開発 本プロジェクトでは管理法人による研究開発マネジメントのもと、中小企業、大企 業、大学、研究機関から構成される複数の共同研究体によって、ロボットのためのア クチュエータ関連技術、センサ関連技術、画像認識関連技術に関する 15 件の研究開 発プロジェクトが実施されている。 本事業は2003年度から開始されたばかりであり、現時点ではまだ具体的な成果 は確認できないが、もし本事業が無ければ、特に中小企業におけるアクチュエータ、 センサ等のロボット部品や画像認識技術等の基盤的要素技術の開発が着手されなか ったものと想定される。こうした要素技術や中小企業の技術力は、ロボットシステム 全体にとって不可欠であり、将来の我が国におけるロボット産業の発展にとって本事 業が与える影響は大きいものと推察される。 (ⅲ)ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備 本プロジェクトでは、モジュール型の多様なロボット設計を可能とするミドルウェ アの開発とその標準化作業、及びミドルウェアを適用したアプリケーションとして、 生活支援ロボットシステム(RT スペース)の開発が行われており、2003年度まで に所定の成果を着実に挙げている。 12 ミドルウェアは多様なサービスロボットを効率よく開発・製作する上で不可欠であ り、もし、本プロジェクトが無ければ、ミドルウェアの開発・標準化の遅れが、ひい ては我が国のロボット開発及びロボット産業の遅れ、さらには我が国の標準化面での 国際的地位の低下にもつながるものと推察される。 以上の(ⅰ)∼(ⅲ)を総合すると、本施策が仮に存在しなかった場合、人間型ロ ボットに関する技術力の向上、中小企業におけるロボット分野への積極的な参入、ロ ボットのモジュール化の推進等はなし得なかったものと考えられ、我が国において、 ロボットに関する技術面、産業面、社会面での負の影響は大きかったと想定される。 ②周辺の関連事業・環境整備を組み合わせた施策パッケージとしての有効性 本プロジェクトでは、非製造業用ロボット等の効率的な開発及び個々のユーザーニー ズに対応したカスタマイズを可能とする「モジュール化」の考え方が活かされており、 後述するように、要素技術の開発とそのシステム化を行うための基盤となるミドルウェ アの開発が行われている。さらに実際に研究開発成果を実用化するため、ロボット関連 部品等の見本市を開催し、システム開発者、要素部品の開発者、ロボットユーザー等の 間のマッチングを図り、中小・ベンチャーや異業種企業のロボット産業への参入を促進 している。また、ハードウェア部品、ソフトウェア・モジュールの開発とシステムレベ ルでのインテグレーション(万博での実証)が適切かつ効果的に組み合わされている。 2)研究開発プログラムの効率性 ①プログラムの構成の適正性 プログラムの目標を達成するためには、図2に示すロジックモデルのように、民間に おけるロボット開発を促進することが最重要である。そのためには、より多くの関係者 が参加できるよう、個々の要素技術の開発支援、ロボットのハードウェア並びにソフト ウェアのモジュール化及び標準化、システムとして作りあげるためのロボット開発とそ の実証及び普及が必要である。 現在のプログラム内の構成としては、その必要部分について、ほぼ含まれている。な お、次世代ロボット懇談会報告書において提案されているとおり、ロボットのパーツを モジュール化するためには、より汎用性及び波及性の高いミドルウェアとともに、その ミドルウェアを実装するために必要なハードウェアを開発することがより効果的であ る。 しかしながら、実際に社会で活躍する非製造業用ロボットの開発、実証の部分につい ては、人間協調・共存型ロボット開発の一部で行われるに留まっており、要素技術と比 13 べて弱いと言える。欧米における研究開発に見られるように、今後は、具体的なニーズ に絞り、開発から実証、実用化に至るまで行う研究開発も実施し、実際に製品化までの 技術力を高めることが重要と言える。 また、開発の基盤となるプラットフォームとして、2002年度に開発を終了した人 間協調・共存型ロボットを活用することにより、プログラムの目標に向けた取り組みが 効率的に行われるものと考えられる。 ②研究開発マネジメントの妥当性 (ⅰ)プログラム管理手法 本プログラムを構成するプロジェクト・事業の推進主体であるNEDOや中小企業総 合事業団内でのプロジェクトの実施体制・運営については、実施者やプロジェクトリー ダーと密接な連携や情報交換を図るなど、適切な管理手法が採られている。 例えば中小企業事業団においては、同事業団の別の制度(ベンチャー支援制度、コー ディネータ制度)を活用して、本事業の対象となる中小企業に適切なアドバイスを行っ ている。また、毎年事業化の可能性を評価して翌年度の事業の絞込みを行うなど、実用 化に向けた効果的なマネジメント手法を採用している。 (ⅱ)プロジェクト間での連携体制の効率化等 本プログラムを構成するプロジェクト・事業間での連携については、独立行政法人産 業技術総合研究所が全てのプロジェクトに参画しており、各々のプロジェクト・事業の 目標を理解しつつ、適宜、成果等の情報交換等を行っていた。また、経済産業省及びN EDOが、プログラム単位及びプロジェクト単位で、産業技術政策上の位置付けを確認 し、進捗状況を把握していた。しかしながら、一部の参画機関においては、プロジェク トの位置付けを理解しておらず、施策パッケージの一部であるとの認識すらないケース も存在した。今後は、経済産業省及びNEDOが主体となり、各プロジェクト間の相互 の情報交換や成果の活用等を促進し、プログラム内の緊密な連携を促す必要がある。 6.分析結果を踏まえた今後の改善策等 (1)研究開発プログラムの成果 国が本プログラムにおいて目標を設定することにより、国のロボット技術開発施策と して国民へ周知することができた。そして、企業は自らの研究開発活動の参考とするこ とができ、民間の研究開発投資について正の効果があった。また、関連する複数のプロ ジェクトをプログラムとしてパッケージングすることにより、国の研究開発投資の重複 の防止のみならず、ロボット産業の創造に向けた大きな目標を設定することが出来た。 さらに本プログラムの内容を俯瞰した場合、「人間協調・共存型ロボットシステム研究 開発」においては、人間型ロボットに関するハード並びにソフトの両面からの研究開発 14 を実施することにより、我が国における人間型ロボットの開発のためのプラットフォー ムを提供し、「ロボットの開発基盤となるソフトウェア上の基盤整備」においては、い わゆるミドルウェアの開発とその開発成果の普及・標準化の推進により、ロボット産業 の裾野を広げ、我が国ロボット技術全般の底上げをも狙っている。 (2)今後において必要な改善点 プログラムの目標達成のために、以下の点において改善すべきであると考えられる。 1)新規プロジェクトの必要性 昨今、国際的にロボット開発の機運が高まっており、欧米諸国のみならず、韓国、 中国でも大規模な研究開発プロジェクトが立ち上がりつつある。我が国のロボット分 野での国際競争力を維持し、一層高めるためには、これらに対抗しうる積極的な研究 開発投資が望まれる。 そのため、今後、非製造業用ロボットの本格的な実用化を図るためには、例えば、 医療・福祉(2004年4月次世代ロボットビジョン懇談会報告書より)等の実際に 活用される特定目的のロボットについて、本プログラムを構成する現行プロジェクト や事業で開発されたハードウェア部品、ソフトウェアモジュール等を活用し、システ ムレベルでのインテグレーション、同システムのユーザーの試用等の本格的な実証試 験までを含めた研究開発を実施する必要がある。その際には、ロボットのユーザーで ある現場のニーズを明確に捉え、目標仕様を定めた上でプロジェクトの評価を行って いくことが重要である。 さらに、中小企業等の部品メーカーを参入しやすくし、短期間かつ低コストで多種 多様なロボットを開発することができる環境の整備として、ロボット部品のインター フェースが共通化されることが必要であり、現在のミドルウェアに合わせたハードウ ェアの共通化を進めることが重要である。 2)実用化を促進するための制度整備 次世代ロボットが普及していくためには、技術開発だけでなく、ロボットの安全性 の確保に関する制度整備に取り組む必要がある。具体的内容としては、人間とロボッ トとの接触にともなう安全性の確保、情報通信機能を持つロボットにおける通信の安 全性の確保、ロボットが事故を起こした場合の制度的課題が挙げられているが、これ らの課題について制度基盤の整備を検討することが必要である。一方で、製品設計を 行う上での安全技術の適用について、社会技術を含めて明示することが必要である。 また、実用化に向けては、実際に家庭、医療・福祉、災害等で使用して実証すること が必要である。特に、マーケティングや標準化の戦略を検討することが重要である。 現段階では、実証試験が決定的に不足しており、これから大きな産業に育てていくた めには実証ベースの継続的な改良開発が不可欠である。 さらに、既存のプロジェクトの成果についても、その応用範囲を検証することが重 15 要である。例えば、本プログラムにおいて開発された OpenHRP は、回転関節型ロボッ トに特化されているが、直動関節に対応できるようにする等すれば、使用するロボッ トの範囲が広がると考えられる。 16 直接的な達成目標 間接的な 中間目的・ 目標 規制制度等の整備 社会におけ るロボットの 認知の向上 代表的な社会ニーズに あったロボットの具体化 ト 産 業 を の 現 一 在 つ の に 自 成 動 長 車 さ 産 せ 業 る の よ う な 我 が 国 に お け る 基 幹 産 業 事業等( ツール) ソフトウェア・プラットフォーム(VHRP、OpenHRP等) 評価技術の確立 研究者や開発者による の連携の広がり ハードウェア・プラットフォーム (HRP-1、HRP-2) 人間協調・共存型ロボット開 発 人間協調・共存型ロボットの試作 機(5種類) ッ 2 0 2 0 年 ま で に ロ ボ 安全性の 確保 ロボット関連 市場の拡大 要素技術の 高度化 技 術 開 発 の 推 進 非製造業 用ロボット の開発本 格化 ロボットビジネ スの多様化 部品メーカー 等の参入 ロボット関連産 業の形成 ロボット開発のた めのツール ロボット要素のモジュール化 システムレベルで 技術高度化 基礎データ 等の公開 モジュールの統合によるロボット の構築 ソフトウェア の標準化 部品等の 標準化 アクチュエータ関連技術 センサ関連技術 共通プラットフォー ムの確立 画像認識関連技術 メンテナンス 産業の育成 ロボットの開発基盤となるソフ トウェア上の基盤整備 中小企業のロボット技術力の向上 附属資料1 プログラム作成時に想定していたロジックモデル 17 次世代ロボット基盤的要素技 術開発 (戦略的基盤技術力強化事 業) 事業等(ツール) 事業等の実施による成果 効 果 ソフトウェア・プラットフォームの開発 人間協調・共存型ロボット開 発 規制制度等の整備 代表的な社会ニーズにあったロボットの 具体化 社会におけるロボット の認知の向上 ハードウェア・プラットフォームの開発 ッ 評価技術の確立 人間協調・共存型ロボットの開発 研究者や開発者によるの連 携の広がり 要素技術の高度化 及び共通プラット フォームの確立 安全性 の確保 技 術 開 発 の 推 進 ロボット関連 市場の拡大 非製造業 用ロボット の開発本 格化 ロボットビジネ スの多様化 ロボットの要素のモジュール化 ロボットの開発基盤となるソフ トウェア上の基盤整備 システムレベル で技術高度化 ロボット関連 産業の形成 モジュールの統合によるロボットの構築 ロボット開発の ためのツール 部品等の標準化 達成状況:ソフト ウェアの標準化に 着手 部品メーカー 等の参入 アクチュエータ関連技術 次世代ロボット基盤的要素技 術開発 (戦略的基盤技術力強化事 業) メンテナンス産 業の育成 センサ関連技術 中小企業のロボット 技術力の向上 画像認識関連技術 附属資料2 中間評価時点でのロジックモデル 18 基 2 幹 0 産 2 業 0 の年 一ま つで にに 成ロ 長ボ さ せ ト る産 業 を 現 在 の 自 動 車 産 業 の よ う な 我 が 国 に お け る 事業等(ツール) 事業等の実施による成果 ソフトウェア・プラットフォームの開発 達成状況: V-HRP,openHRP等を実現 (2002FY) 人間協調・共存型ロボット開 発 評価技術の確立 達成状況:基礎データ の提供(一部達成) (2002FY) 人間協調・共存型ロボットの開発 達成状況:5種類の試作機を実現 (2002FY) ロボットの開発基盤となるソフ トウェア上の基盤整備 ロボットの要素のモジュール化 モジュールの統合によるロボットの構築 研究者や開発者によるの連携 の広がり 達成状況:欧米の多数の大学 から研究協力要請があった(一 部達成)(2002FY) 代表的な社会ニーズに あったロボットの具体化 技 術 開 発 の 推 進 要素技術の高度化 及び共通プラット フォームの確立 達成状況: HRP-2及びopenHRP が事業化され、3大 学で利用。人間型ロ ボットが事業化され 40台以上が研究開 発用として利用。 openHRPのシミュ レータ部が無償提供 され、国内外50以上 の研究機関で利用。 (一部達成)(2002 FY) アクチュエータ関連技術 達成状況:開発中(2003FY) 次世代ロボット基盤的要素技 術開発 (戦略的基盤技術力強化事 業) 規制制度等の 整備 社会におけるロボットの認知の向上 達成状況:マスコミ発表207件、ロボッ ト展示会ROBODEX2002及び2003の べ入場者13.3万人(一部達成) (14FY) 基 2 幹 0 産 2 業 0 の年 一ま つで にに 成ロ 長ボ さ せ ト る産 ッ ハードウェア・プラットフォームの開発 達成状況: HRP-1及びHRP-2を実現 (2002FY) 効 果 安全性 の確保 非製造業 用ロボット の開発本 格化 ロボット関連 産業の形成 ロボット開発の ためのツール 画像認識関連技術 達成状況:開発中(2003FY) 附属資料3 中間評価時点における達成状況 部品メーカー 等の参入 メンテナンス産 業の育成 中小企業のロボット 技術力の向上 19 ロボットビジネ スの多様化 システムレベル で技術高度化 部品等の標準化 達成状況:ソフト ウェアの標準化に 着手(2003FY) センサ関連技術 達成状況:開発中(2003FY) ロボット関連 市場の拡大 業 を 現 在 の 自 動 車 産 業 の よ う な 我 が 国 に お け る