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ニューズレター(支部概況報告)(3月)

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ニューズレター(支部概況報告)(3月)
大阪商工会議所中小企業振興部
〒540-0029 大阪市中央区本町橋2番8号
TEL06(6944)6451 FAX06(4791)0444
No.207
2008.3.21
ニューズレター(支部概況報告)(3月)
テーマ
1.工夫ある経営で頑張っている中小企業(8件)
…………………………
2頁
○高品質の追求で、60%の市場シェアを確保する濾紙製造・販売会社(安積濾紙㈱・東淀川区)
○ジャズが流れる新しいタイプの古書店(天五古書店 Simple Twist of Fate・北区)
○歯科医用品分野で発展を遂げる㈱センジョー(㈱センジョー・旭区)
○オンラインゲームで商売ができる?(㈱ダイアモンドギル・中央区)
○自社の強みを活かした新しいビジネスモデルを「売れる」しくみに
(㈱ドゥ・ワン・ソーイング・東成区)
○ショールームオープンで企画力ある商品をPRし新規顧客を開拓
(㈲JINインターナショナル・生野区)
○明治 32 年創業の手打ち銅製品メーカー、家庭用銅製たこ焼き器をネット販売
(甲野製作所・平野区)
○地域密着を目指す
まちのメンズカジュアルショップ (ア・ドゥ・住之江区)
2.地域の動き(9件)
…………………………
11 頁
○十三の新名所!「見返りトミー君」誕生!(淀川区)
○「ぷららてんま」からはじまる学生グループの取り組み(北区)
○商店街等魅力向上促進事業に取り組む黒崎東商店会(北区)
○西区九条南1丁目に新ランドマーク「119m」の新庁舎(西区)
○高津中学校で職場体験学習を実施(天王寺区)
○「大正区第九合唱団」第2回定期演奏会(大正区)
(大正区)
○大正駅前ぐるめマップ(支部と区役所との連携事例)
○異 異業種交流会 交流会 区をまたいでちんちん電車内で開催(大正・浪速・西成支部)
○講師に恵まれて活動が活発化している女性会(浪速区)
大阪のあるべき姿と重点テーマを示す「ビジョン」と、そ
の実現に向けた「アクションプラン」をとりまとめたのが
「大阪賑わい創出プラン」です。 ビジネス・ホームドク
ター である経営指導員が、
地域商工業に活力あふれる
「大
阪」をつくりだすための支援をします。
新淀川支部(淀川三区担当) 北・都島・福島支部
旭・城東・鶴見支部 中央支部 此花・西・港支部
東成・生野支部 天王寺・阿倍野支部
大正・浪速・西成支部 東住吉・平野支部 住之江・住吉支部
工夫ある経営で頑張っている中小企業
高品質の追求で、60%の市場シェアを確保する濾紙製造・販売会社
安 積 濾 紙 株 式 会 社 ( 所 在 地 : 東 淀 川 区 小 松 4-2-15
℡ : 6327-5145
URL :
http://www.azumi-filter.com/)は、1919 年に創業した伝統ある企業で、90 年近く、濾紙を製
造・販売し続けている。年間売上高は、約 50 憶円で、国内産業用濾紙では、60%の市場シェア
を持つ優良企業でもある。
製造している種類は、きわめて多い。家庭用のコーヒーペーパーやオレンジジュースから果
肉を濾すフィルターなどの食品用製品、自動車のエンジンオイルを浄化するオイルエレメント
などの工業用製品、空気清浄用のエアフィルターなど、多種多様で、約 8000 種類以上の製品が
ある。また、2005 年には、自動車のF1レースの「BARホンダ」にレーシングカーのエアフ
ィルターを供給した実績があり、高品質な製品づくりの評価は高い。
多品種で高品質な製品を製造できるのは、「顧客第一主義」をモットーに、長年、顧客企業の
要望に合わせた開発を続けることで培った技術力とノウハウの蓄積があるからである。顧客企
業の様々な要望や問題に、きめ細かく対応をし、問題解決にふさわしいフィルターを製造して
きた取り組みの成果としての技術力とノウハウである。長年の企業努力が、現在の高い市場シ
ェアにつながっている。
但し、この企業の追求する品質(クオリティー)は製品に対するものにとどまらない。製品
へのクオリティーは当然のこととして、社内における仕組みやシステム、社員一人ひとりの仕
事に対する取り組みなど、企業全体のクオリティーを追求し、「世界の安積濾紙」としての発展
を目指している。
なお、新淀川支部で主催した展示会「淀川ビジネス・エキスポ」への連続出展や、「元気経営
のカギ発表交流会」で発表企業になるなど、大阪商工会議所との関わりも多い。2008 年の大阪
商工会議所カレンダーの3月の絵画は、この企業の顧問で、現社長の実母である安積博子氏の
作品である。
(新淀川支部)
ジャズが流れる新しいタイプの古書店
天神橋筋商店街に、新しいタイプの古書店が生まれた。店名はボブ・ディランの曲名から採っ
た「Simple Twist of Fate(運命のひとひねり)
」(所在地:北区天神橋 5-7-21 2F
木村正氏
代表者:
℡:6354-2335 )で、この名のとおり、従前のものとは一味違った斬新な古書店で
ある。
古書店といえば、その多くが通りに面した1階にあるが、当店は階段を上がった2階にある。
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
外から店内の様子は窺えないので、冷やかし客が来店することは殆んどなく、同店目当ての熱
心なお客さんだけが訪れる。店内のインテリアはモダンで古書店とは思えないほどである。ブ
ディックを思わせるような木製ラックの中には、店主の思い入れの深い蔵書がゆったりと並べ
られている。
書店の堅苦しさを除くために、様々な工夫が
なされている。たとえば、現代アートや名画の
ポスターを掲示したり、季節の花を生けたりし
て、気安く入れる雰囲気を作っている。中央に
は大型の木製テーブルが置かれ、ゆっくり品定
めができるようになっている。また、ウォータ
ーサーバーが用意されており、セルフサービス
でお茶や冷水が自由に飲めることも来客に好評
である。店内には、店主のお気に入りのBGM
が常時流れている。ジャズ、クラシック、ポピュラーの名盤だけでなく時には落語までが高音
質のスピーカーから流れ、しばし都会の喧騒を忘れさせてくれる。
陳列している書籍にも特徴がある。当店ではプロの写真集、古典芸能、音楽、美術などのジ
ャンルに特化しており、一般の古書店にみられるような雑誌、コミック類、ノウハウ書などは
一切置かれていない。古書というよりは、新刊書では入手できなくなったような貴重な書籍が
多い。文庫本も陳列されているが、ちくま学芸文庫や講談社学術文庫など堅めのものに限定さ
れている。従って、当店にはコレクター・レベルから目の肥えた常連客まで幅広い顧客が訪れて
いる。また、愛好家の希望もあって読書会が毎月一回開催され、朗読会も企画されている。販
売だけでなく、様々な書籍の鑑賞と啓蒙が行われていることもユニークである。
この書店は、近隣で 50 有余年にわたり営業してきた老舗の天四文庫の別店である天五古書店
が新規に出店したものである。昨年の 12 月にホームページをプレオープンした際に、店主の木
村氏は今回の新規出店の趣旨として、「社会科学、歴史などの専門書や文学、一般書、その他料
理本など多種多様な書籍を扱う古書店を、天六・天満という、大阪でもっとも下町らしい、そ
して安いということが最重要の価値基準である街で営業してきました。しかし、減りゆく読者
人口というものを考えた場合、自分なりの価値観をベースにした個性的で将来の需要に耐えう
る古書店を作らなければいけない、という想いからこの店はスタートしました」と語っている
(http://www.kosho.ne.jp/ bookheaven/)。
古書店といえば、古い様式そのままの薄暗い店内にカビ臭さを伴った独特の匂いのするイメ
ージがある。その一方で、最近では大量の在庫を売り物にする大手チェーン店のような店舗も
現れている。若者向けのこのような店では流行もの、単行本、コミック本、雑誌などが主流で
あるが、これらは新刊書よりも安価で購入できることが特徴である。これに対して、このよう
な既成の古書店とは一線を画した新しいタイプの書店として、「Simple Twist of Fate」が誕生
した。ホームページからリンクされているブログで一押し本が写真と共に紹介されているよう
に、1冊1冊の本を深く味わってもらいたいという店主の気持ちがよく表れている。
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
このことは、木村氏が日本ではなくアメリカの大学で勉学に励んだ経験があり、その長期に
わたる海外滞在の中で欧米の斬新な文化を体で吸収してきたことと無縁ではない。同氏は、こ
の新しい店舗を通じて、単に古くて安価であるとか、大量消費に適しているとか言うのではな
く、本当に欲しいと思われるような価値のある書籍を読者に提供したいと考えている。同店は
開店したばかりで、そのユニークさを知る人は多くない。知名度を上げることと、品揃えを更
に充実させることが当面の大きな課題である。
(北・都島・福島支部)
歯科医用品分野で発展を遂げる株式会社センジョー
株式会社センジョー(代表取締役:板山正氏
本金:1,000 万円
所在地:旭区大宮 5-6-12
℡:6953-2341 資
従業員数:10 名)は歯科用医療器械器具及び用品の製造並びに販売を行う
企業である。
昭和 39 年に創業し、昭和 56 年 8 月に株式会社仙丈アイデアを設立、63 年 1 月に現社名に変
更した。平成 19 年 9 月に前代表取締役が退任し、現社長の板山正(まさし)氏が就任された。
歯科器材システムの最新情報を発信する東京デンタルショー2007(会場:東京ビッグサイト
開催日:11 月 17・18 日
出展企業:約 180 社)に同社は①ワークカプセル「ビュー3300 トリ
ム」
(細部まで作業性の向上を追求した技工用作業ボックス。エアーによる冷却と吸引を同時に
行うことができ、拡大レンズや蛍光灯が付いているため、精密作業時にも威力を発揮。また、
内部が広いため、マイクロモーターの操作性が良く、金属回収用トレーも付いている)、②技工
用作業ボックス「スーパーシェル」
(前方からの空気流と独自のファネル・フィルター構造で目
詰まりを防ぎながら効率良く吸塵する技工用作業ボックス。省スペース設計で、作業時の手に
対する 制約はほとんどなく、自然な姿勢で作業ができる。エアーブローと全てのオプション装
備がセットされ、使い易さを追及)
、③集塵機一体型作業ボックス「スィーパー・ベガ」
(エア
ーポンプ搭載の作業ボックス一体型集塵機。プレフィルターと三層メインフィルターの四層構
造のカセットフィルターで効率良く粉塵をキャッチし、クリーンな環境を提供、移動可能なコ
ンパクトモデル)、④技工用レーズボックス「ビューネクスト 550/800/1000」
(歯科技工用レ
ーズを使用して研磨作業を行う際に発生する多量の粉塵を密閉状態で吸塵し、クリーンなワー
クスペースを確保できる技工用レーズボックスで、一台の レーズで二人同時に作業ができる。
バキュームに接続して密閉状態で吸塵するため、粉塵をほとんど外に出さないうえ、音も静か、
また、椅子に掛けて作業ができるため作業姿勢が安定し、照明装置付きのため手元を明るく照
らす、電気装置を外部に設置するなど安全性も考慮し、タイプ 550 及び 800 が別にある)、⑤据
え置き型集塵機「スィーパー・ハッチ」
(自然堆積型のカセットフィルターとワンタッチで交換
可能なカセットハンガーを装備した、パーソナルタイプの集塵機)を出展し好評を博した。
本年 11 月開催の日本デンタルショー2008(会場:パシフィコ横浜、開催日 11 月 14・15・16
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
日)にも既に出展が決まっている。「華やかな展示ショーもあるが本来は地道な息の長い事業で
す」と社長の板山氏は言われる。
(旭・城東・鶴見支部)
オンラインゲームで商売ができる?
株式会社ダイアモンドギル(所在地:中央区西心斎橋 1−13−5
℡:6241-5816
URL:
http://rmt.diamond-gil.jp)は、平成 16 年 12 月に設立したオンラインゲーム上のキャラクタ
ーのアイテム(武器や防具)を売買する業者である。お分かりになるだろうか?なかなかゲー
ムをしたことのない中年世代には理解できない商売である。
まず、ロールプレイングゲーム(RPG)という種類のゲームはご存知だろうか?有名なとこ
ろであれば「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」といったゲームタイトルがある。
簡単に言うと、ゲーム中の自分の分身ともいえるキャラクターを操作し、キャラクターのレベ
ル(熟練度)を上げたり、より強力なアイテム(武器や防具)を手に入れて、敵を倒しながら、
ゲームの世界(ステージ)を順次制覇し、冒険するというというものである。
近年、インターネット技術の進展により、このゲームがオンライン化されオンラインゲームと
いうジャンルが確立している。ここでは同じゲームを複数のユーザーがインターネット上で同時
に楽しんでいる。
そのなかでゲーム中のアイテムを売買するというビジネスが生まれた。熟練した人が獲得した
アイテムをほしい人に売る。しかし、個人間売買はトラブルも多い。そこで第3者が介在し、適
正時価額で商品を確実に受け渡しするニーズが生まれ、同社の商売が成立するようになったので
ある。
オンラインゲームの普及(現在 554 タイトル)に比例してアイテム売買の顧客ニーズが増加
しており同社の市場は拡大を続けている。このゲームアイテム売買(RMT)市場は世界で2
千億円、国内の市場規模は 150 億円に達しており、日本国内の同業者は約 65 社ある中、現在同
社はそのトップ企業に位置している。仮想世界における新しい売買システムだが、上山和久社
長は試行錯誤しながら、RMTの倫理協会を立ち上げ、安全・安定したサービスの充実等、基
礎から市場環境の整備をおこなっている。新しいことへの弛まぬ挑戦が市場を広げ、開拓して
いく原動力になっている。
今後は海外企業との競合が予想されるため、海外向けサイトの構築を進める必要があり、重
点課題として今取り組んでいる。
目を転ずれば、海外を中心に仮想空間における日常取引をゲーム化した「セカンドライフ」
が人気を博し、仮想世界での不動産売買が行われるなど、オンラインゲームも日々進化し続け
ている。興味のある方は同社ホームページを覗いてみては。
(中央支部)
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
自社の強みを活かした新しいビジネスモデルを「売れる」しくみに
「日本のビジネスマンをおしゃれに」をコンセプトに「パターンメイドシャツ」を展開する
株式会社ドゥ・ワン・ソーイング(代表取締役:土井重城氏
6972-5701
所在地:東成区中本 3-8-23
℡:
URL:http://www.do-1.co.jp/)は、昭和 60 年当時、シャツの下請縫製(賃加工)
を行い、まだマルケイ融資を利用する規模の企業であった。
平成2年に、1枚流しの生産にも対応できる工場を岡山県に建設し差別化を図ったが、加工
賃は上がらず、中国製品の輸入増や販売先倒産などのため、下請のままの形態では企業として
成り立たないと考えるまでに追い詰められた。このため、自立を目指し、自社ブランドによる
小売店へ直販事業を立ち上げたものの、在庫が膨らみ撤退するに至った。
こうした中、
『自社の強み』を再確認する作業を行った。セレクトショップ向け有名ブランド
シャツの縫製を行う中で磨いた、高い技術力、1枚生産が可能な管理のしくみ、型紙の提案が
できるデザイン力などを確認した。
この強みを活かして立ち上げたのが「パターンメイドシャツ」で、販売先をテーラーなどの
小売店として展開した。お客様の体型に合わせて製作する高価なオーダーシャツとは差別化し、
流行を踏まえ、着てカッコいいパターンをリーズナブルな価格で提供した。このシステムには、
小売店は在庫・売掛金のリスクがなく、お客様はカッコいい自分に合わせたシャツがリーズナ
ブルな価格で買える、同社も在庫リスクを最小限にでき適正価格で販売できると、3者ともに
メリットがある。現在では、同社売上の 80%を占める。
ただ、販売先の開拓は楽に進展したのではない。国の補助金も活用して、受注・発注システ
ムの構築や販促物の製作などの体制を整えたが、このときに実感したのは、
「こちらは良いもの
を作っていると自信を持っていても、世間では無名であるという現実」だったと言う。現在で
は、全国に 500 以上の店と契約しているが、取扱店からの口コミやメンズファッション雑誌へ
の掲載を地道に継続したこと等が功を奏したものである。小売店への支援も大きな要因だ。毎
月 30∼40 種類の新柄生地投入や、フェアの企画など来店頻度を上げる仕組みを提供。また、ト
レンドを反映し、スーツに合わせた型紙を提供して、小売店がお客様に対してトータルな提案
を行うことを支援している。大阪エベッサ(bj リーグ)の選手移動時のシャツサプライヤーと
なる他、著名人からのオーダーも多いとのこと。
苦しい時期に、自社の強みを見つめるとともに、作る側だけの発想から脱却し、認知しても
らい・流通に乗せ・リピートを得るという「売る」ことの重要性にしっかり立ち向かい、地道
に取組んだ結果が今日の発展につながっている。
新ブランド投入など、次への取り組みも具体化しており、更なる成長に期待したい。
(東成・生野支部)
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
ショールームオープンで企画力ある商品をPRし新規顧客を開拓
バッグ、鞄、ベルト、小物類、その他等の皮革
製品の製造販売及び輸出入を手掛けている有限
会社JINインターナショナル(所在地:生野区
生野西 2−4−8
社長:西村友宏氏
℡:
6731-0365)は平成 17 年 7 月の創業であるが、
年々売上を倍増する勢いで業容拡大中である。
同社の特色は商品構成のうち 90%以上が自社
オリジナル商品で占めている点にある。これら
のオリジナル商品の多くは、業界事情に精通
した社長自らが先頭にたって海外での素材発掘から新商品のデザイン・企画にかかわり商品化
に至ったものであり、社長は自社のオリジナル商品に絶対の自信を持っている。
創業間もなく発売した「Christain・Madam」(クリスチャン・マダム)はヨーロ
ッパ(主にイタリア)から仕入れたレザーを使った商品で、30∼40 歳の働く女性をターゲットに
したワーキングバッグであり同社の売れ筋ナンバーワン商品として業容拡大に大いに貢献して
いる。
創業当初はこれらのオリジナル商品は社長が以前から懇意にしている関西圏の問屋に納入し
ていたが、「いくら企画力のある品揃えをしていても今のままでは事業の拡大は望めない。多く
の人に商品を知ってもらわなければならない。」と考えた西村社長は、平成 18 年4月に大阪本
社にショールームを開設した。ショールームは白を基調に赤と白のコンビカラーで内装がまと
められ、外光とともに室内と商品を明るく見せる工夫が施されている。ショールーム開設の噂
を聞きつけた全国のバイヤーがショールーム見学に訪れて新規取引開始にも繋がる効果があら
われている。更に平成 19 年 11 月には「東京での主要取引先を積極的に開拓していきたい」(西村
社長)と東京都台東区浅草橋 2-29-11 のマルケービルに東京ショールームを開設した。
東京ショ
ールームで開催した展示会では上場企業関係者も来られ、その後新たな取引に繋がったとのこ
とである。
「大きなマーケットの東京では今後年2回のペー
スで展示会を開催し、自社のオリジナル商品のPR
に努めていきたい」とバイタリティあふれる 39 歳の
若手経営者は言う。
「自社で新商品を開発したが、良い商品なんだけ
どのように売っていけばいいかわからない」という
悩みをもってられる経営者は多いと思われるが、西
村社長のように経営者自らがいかにして多くの人に知ってもらうかの仕掛けをしていかなけ
ればならないのではないかと思う。
(東成・生野支部)
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
明治 32 年創業の手打ち銅製品メーカー、家庭用銅製たこ焼き器をネット販売。
大阪平野区の南、町工場の一角に4代続く、日本でも数少ない手作りの業務用銅鍋や銅製品
を製造しているメーカーがある。手作りの銅鍋は高価だが底部分の取替修理が可能、20 年以上
は持ちこたえると云う。そのメーカーは甲野製作所(所在地:平野区長吉長原 2-2-12
URL:
、業歴 100 年以上の老舗である。
www.kohno-factory.com)
甲野製作所は創立者、甲野金兵衛氏が京都の鍛冶屋で修業後、明治 32 年、大阪市浪速区で開
業。当時は客船用の銅鑼(どら)なども製造していた。
2代目の金作氏は戦後、業務用銅鍋に本格進出、直径 66cmの銅鍋(和
菓子のあんこ炊き等で使用)も手掛けた。因みに銅鍋以外ではあんこが
小豆色に炊けないと云われる。
「製菓に銅鍋」の定説もあり、銅鍋はあん
こ、カスタードクリーム等、菓子作りの必需品である。
業務用の大型銅鍋
3代目、通弘氏は急死した金作氏の後を 18 歳の若さで引き継ぎ、明石
焼き器やたこ焼き器も開発してバリエーションを拡大した。銅は鉄の約 10 倍の熱伝導性があり、
たこ焼きはカリッとした食感・トロッとした風味に仕上がる。その為、業務用では銅製たこ焼
き器が多く使用されている。
昔、銅製の鍋等は全国の和菓子屋や一流料理人が使用する業務用が主体
で、一般での入手は難しかった。しかしオリジナルの銅製品注文が多くな
り、次第に小売や注文生産を開始するようになった。銅製たこ焼き器も、
10 年程前に個人からの注文で製造したものだが、今では同社の家庭用の主
家庭用たこ焼き器
力商品となった。家庭用たこ焼き器も銅板厚は 1.2mmあり、業務用と同
仕様で作られている。
4代目浩正氏が製造に加わり、平成 10 年8月、ネット販売を開始した。テレビ・書籍でも紹
介され、
「くいだおれ」大阪らしい調理器具として全国から注文が入るようになった。
「昔は全国で約 100 社の銅製調理器具の製造業者が有ったが、今は4社程になった。業務用
鍋などは一度納入すると、数十年間は使えるのでリピートも少ない。需要も減ったが、当社の
ような業者が無くなると、あんこ作りに困る和菓子屋さんも多い。裏方のような立場だが、頑
張っていきたい」と通弘氏は語り、今日も銅を叩く手を休めない。
(東住吉・平野支部)
地域密着を目指す
『ア・ドゥ』
(代表者:東出洋明氏
まちのメンズカジュアルショップ
所在地:住之江区中加賀屋 3−10−3
℡:6686-0258)
は、加賀屋商店街のほぼ中央に位置するメンズカジュアルショップ。若者から年配の方まで幅
広い層に支えられている。1,000 円コーナーでは、Tシャツ・チェックシャツ・トレーナー等
色々、年間常時販売。10 代−30 代向けのカジュアルウェアを低価格で扱っている。
8
ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
同店の創業は 1999 年。親は大正区で衣服店を営んでいる
が、その下ではどうしても
甘え
が出てしまうとして、
大阪ミナミの衣服店やメンズ服飾メーカーに就職。そのな
かで店舗を数多く見る機会があり、その経験を店舗作りに
生かして、お客様と接しながら、相手の立場にたって商品
を提供する仕事の方が「やりがい」を感じられると思い、
開業に到った。
もともと
地域に根ざした商売がしたい と思い、商店街の店舗を探しておられた。そのな
かでも加賀屋商店街には同業店がないことや、この地区は住みやすく、そのためか同店の商品
購入層とその予備軍(若年層)が多いと判断し、この場所での開業を決めた。
同店の強みは、①「ビッグサイズ」が豊富であること。(LLから4Lサイズの種類や品数が
豊富)②同店購入以外のジーパン、綿パンのすそ直しも対応していること。③適切なアドバイ
スが出来ること。
(同店のお客は、夫や息子等の服を買い求める女性が、7,8割を占める。し
かし、女性では、どうしても男性の体格や好みを分かっているようで分からないもので、そう
した相談に適切に応じている)さらに、④「服はお客さんに着てくれてはじめて価値がある。
タンスにしまったまま
では忍びない」気持ちから「返品自由」であること。このためお客
は安心して服を購入できる。
同店では、競合店、特に量販・大型店との違いを発揮するため、それらの店に無い「すきま」
商品を揃えるようにしている。量販店にはなくてもお客が望む商品は結構あるもの。そのため
お客様からは「この店に来てよかった」との声を数多く聞いておられる。
同店は、昨年に当支部事業「住之江区
商店街買物ブック」や「ザ・ビジネスモ
ール」等を活用したいとして本所に入会
された。ビジネスモールは「ホームペー
ジの簡易版」だが、同店の「売り」をネ
ット上で広く知ってもらうべく、同店の
写真や文章を当支部で取材のうえ編集し
て掲載したところ満足いただいた様子。
経営指導員としては、今回のやりとりが
(住之江区商店街買物ブックの抜粋)
同店の「売り」を見直す機会ともなり、
商売繁盛のために前向きな経営を行う好
循環につながることを期待している。
東出氏は、「今まで地道に商売してき
たが、そのなかで「悪い習慣」があるだ
ろうからそれを洗い出し改めたい。さら
にはこの店を 再構築 したい。例えば、
商品の価格帯を広げたい。不景気といっ
ても、今まで気付いていない顧客ニーズ
はあるはず。」と今後の抱負を語る。当
(ビジネスモールの抜粋)
支部としては、このような同店を引き続
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
き経営指導して応援したい。同店名の由来は仏語で「二個一」。加賀屋商店街とともに、お客
さんとの「二個一」で、これからも地域密着店として頑張ってほしい。
(住之江・住吉支部)
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
地域の動き
十三の新名所!「見返りトミー君」誕生!
阪急電鉄「十三」駅西口改札を出てすぐのところにある、通称「ションベン横丁」。「なんや、
それ?」という名称ですが、地元で知らない人はいない、親しみのある有名スポットである。
大阪の空襲で十三周辺も焼け野原になり、戦後、その一角に人が集まる市場、飲み屋が誕生
した。当時は終戦直後のどさくさの時代。公衆便所もなく、またマナーやエチケットも確立し
ておらず、いつの頃からかこの一角を「ションベン横丁」と呼ぶようになったそうである。も
ちろん現在は、この横町の人たちが自費で設置・管理している公衆便所があり、往年の芳しい
(?)匂いなどなく、懐かしさを伴った名前になっている。
この「ションベン横丁」とその周辺店舗で構成されている商店会(十三本一商店会)にて、そ
の歴史的な所縁を示すものとして、平成18年、故根尾靖成・前会長の発案で建立したのが、顕彰
碑の「見返りトミー(十三)君(写真)」。後ろを振り向いて、「オシッコしようかな?アカンか
な?」と考えている子供をイメージしており、壁を向いて、かわいいお尻を正面に向けている。
「言うは易し」ですが、実際に「商店街の公道に顕彰碑を設置する」取り組みは困難を極め
た。それでも、十三本一商店会の皆様の並々ならぬ決意と尽力はもちろん、大阪市、大阪府警、
さまざまな関係者の協力と理解を得て何とか設置にこぎつけ
た。
駅前のアーケード付きの商店会。どこもそうだが、ここも
日中は違法駐輪の自転車で溢れている。「顕彰碑を設置する
ことで、十三のランドマークとして待合せ場所などに使って
もらえたら・・。また、それが違法駐輪に対する抑止力にな
ってくれれば。」違法駐輪の排除、違法看板の撤去など街の
浄化活動の第一線で活躍してこられた故根尾前会長の思い
が込められた「見返りトミー君」。誕生日は2月 14 日のバレ
ンタインデー。チョコレート色したこの少年が十三の街を盛
り上げ、またクリーンにしてくれることだろう。
(新淀川支部)
「ぷららてんま」からはじまる学生グループの取り組み
ぷららてんま2Fにあるカルチャーセンター・ぷららクラブで、昨年 10 月から教職をめざす
学生グループが、地域の子供達を対象に昔遊びや紙芝居などのイベント企画を定期的に実施、
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
子供を中心に地域の「人のつながり」を広げている。学生の活動はすべてボランティアで、当
初 20 名前後の学生ではじめた活動は、たくさんの協力者を得て倍近くの人達が参加するまでな
っている。
学生グループは、いじめなどの様々な教育問題を前に、現役教師から体験を聞こうと学生達
が自主的に開催しているセミナーに集まった人達である。
今後は、地域交流のためのイベントなどを計画し、教職をめざす学生主体の学び合い塾、子
供を対象とした学童保育を発展させた寺子屋事業などを軌道に乗せるべく、3月にはNPO法
人の申請を予定、学生による熱い活動が続いている。
また、別のグループでは学校の廃校などを利用したキャンプ「自然体験学習に重きをおいた
《がっこうづくり》」なども実施している。
(北・都島・福島支部)
商店街等魅力向上促進事業に取り組む黒崎東商店会
商店街等魅力向上促進事業に積極的に取り組んでいる商店街がある。
その商店街は「黒崎東商店会(会長:青山隆一氏)」で、
「大阪が好きで、大阪の商店街が元気
になってほしい」との想いを込め、北天満地区の「商店街を良くしょう・地域を良くしょう」
と地域及び産学連携事業に取り組んでいる。
その一環として、現在は廃校になっている旧北天満小学校は災害時の避難所に指定されてい
るが、湿気、カビ臭等があるために地域の若い有志が「お掃除俱楽部」をつくり週1回窓の開
放、トイレ掃除、講堂の掃除をおこなっている。
「芝生俱楽部」と言う組織は、この小学校の校庭に芝生を植えて手入れをして管理している。
これは避難時に校庭にビニールシートを敷いても痛くないようにと、高齢者にも配慮を施して
いる。掃除道具や芝刈り機などは、メンバーの自己負担で運営されている。
また、
「若い感性で、新しい街の魅力を発信して行きたい」と天五中崎通り商店街やその周辺
地域に点在する店舗情報を掲載した「てづくりのまち、北天満お散歩地図」を完成させた。仕
掛け人は同商店街内の会長の青山氏で、大阪市などの補助金を活用し、地元のマロニエファッ
ションデザイン専門学校に協力。学生 40 人が商店街役員の熱い思いを受け、授業の一環として
店を回り聞き取りや、写真撮影などの調査に取り組み、昔ながらの飲食店や路地裏の木造り長
屋を改造したカフェ、雑貨店などを紹介している。
さらに、昨年夏には、北天満地区サマーカーニバル(夏祭り)を実施し、小学生と幼稚園児
によるファッションショーを催した。これは商店会、地域住民、地域の幼稚園、学校の連携事
業の一環として扇町小学校の生徒に洋服のデザインをしてもらい、マロニエ学園の学生が縫製
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
をし、小学生や幼稚園児がモデルになった手作りのチャイルドファッションショーである。
いずれもマスコミ報道に取り上げてもらい好評であった。
黒崎東商店会や町づくりに賛同する商店街以外の店舗が統一し、共通のイベントを行うこと
で、新たな連帯感を生みだし努力を続けている。
(北・都島・福島支部)
西区九条南1丁目に新ランドマーク「119m」の新庁舎
大阪市 24 区の消防・防災活動を一手に管轄する大阪市消防局。建物の老朽化に伴い西区新町
1丁目から京セラドーム大阪や大阪市交通局庁舎がある西区九条南1丁目の岩崎橋再開発地区
へ、大阪市消防局の新庁舎として、この3月に消防本部の移転が完了した。この新庁舎は、8
階建て 43mの庁舎の上に 76mの鉄塔が建っていて、建物の高さは合計「119m」
。消防の電話番
号「119 番」と合致させた設計となっている。
この建物は、清水・大本・栗本・中林特定建設工事共同企業体の施工により平成 16 年 12 月
から建設工事が開始され、約3年の歳月を経て完成した。構造様式は、基礎免震構造の鉄骨コ
ンクリート造一部鉄骨造で、地下1階・地上8階・塔屋2階建ての敷地面積 4,600 ㎡・延床面
積 17,414 ㎡の建物で、この平成 20 年3月に大阪市消防本部と併設の西消防署も移転し、本格
的に大阪市全域をカバーする防災拠点として、災害から人と町を守る消防局として事務を開始
した。
この大阪市消防局の新庁舎の建設には、構造物と
して高い安全性を確保するため免震構造を採用し、
災害時の重要拠点として期待を集めている。吹き抜
けを利用した自然通風システムやエネルギー使用
量を最適化できる省エネシステムなど、最新技術も
導入され、環境対策面での設備も充実している。
今後、この新庁舎が大阪市全域をカバーする防災
拠点として、また、大阪市消防局指令情報センター
として大阪市民や周辺市の住民を守る使命を果た
すべく大きな期待を担っている。
(此花・西・港支部)
高津中学校で職場体験学習を実施
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
高津中学校(天王寺区城南寺町 1-31)では、今年度から職場体験学習を実施し、2年生約 140
名が2月 14 日と 15 日の2日間にわたって学校周辺の企業や商店などに行き、販売・顧客応対
などを体験した。今回の職場体験学習には 43 事業所の協力をもらい、業種は図書館、税務署、
JR、地域の幼小学校、新聞社、金融関係会社、一般企業、飲食店、小売店など多岐にわたっ
ている、1事業所あたり1名から8名の生徒が行って実際に働くということを体験した。
今回、支部から紹介した玉造日の出通商店街の「オカダヤ」(喫茶、洋菓子販売)にも2人の
生徒が行き、客への応対や商品のラッピングなどを体験した。バレンタインデーと重なり忙し
い時ではあったが、始めはぎこちないものの、店主の親切な指導により2日目にはなんとか様
になってきた。実際に販売を体験しただけでなく、店主から店や商店街のことについて聞けて
非常に良かったとのことであった。
生徒たちは、2日間にわたり知らない人たちの中で慣れない仕事をして非常に疲れているよ
うであったが、いきいきして楽しそうであった。普段は買物に行っても何も思っていなかった
が、自分で実際に体験してみたら、働くということが大変なことがわかり、また、多くのこと
を教えてもらえて勉強になったとのことであった。
職場体験学習を行うにあたり、講師の先生を呼んで事前学習を行ない、行き先は生徒に選ば
せて事前打合せも自分たちでさせた。このたびの体験談を生徒に書いてもらい、それを冊子に
して協力事業所などに配布を予定している。
保護者からも、家では普段はあまり話をしないが職場体験学習が話題になりコミュニケーシ
ョンが取れて非常に良かったとのことであった。高津中学校では今年が初めてであったので、
先生たちも協力してもらえる事業所を探すことや準備等で大変な苦労をされたが、次年度以降
も継続していくとのことである。
(天王寺・阿倍野支部)
「大正区第九合唱団」第2回定期演奏会
第1次世界大戦時、大正区(当時は西区)南恩加島に、ドイツの捕虜収容所「大阪俘虜収容
所」(大正3年 11 月から同6年2月まで)があった事実を顕彰し、
「大正ドイツ友好の会」が平
成 17 年 11 月に設立された。
これを機に「大正区第九合唱団」が平成 18 年6月に結成され、デビュー公演が昨年、平成
19 年2月 18 日に開催された。この
2月 18 日
は 90 年前(1917 年)にドイツの捕虜が解放
された日である。
今年は2月 11 日(祝日)に、第2回の定期演奏会が、大阪市立千島体育館で開催された。中
道実行委員長挨拶・ドイツ連邦共和国エルケ・ティート副総領事挨拶・区長による平松市長の
祝辞代読の後、協力合唱団の参加も得て、200 名近い合唱団が、 故郷 をスタートとして、日
本の四季の唱歌メドレーで聴衆を楽しませた。その後、エウフォニカ管弦楽団による、ベート
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
ーベンの交響曲第九番が第1楽章から合唱まで、フルで演奏された。合唱の部分は、さすがに
気合が入っていた。
寒い日であったため、会場には大きなストーブがいくつか設置され、外には、小型の消防自
動車も待機し、多数のスタッフと万全の準備がされていた。会場の大阪市立千島体育館には
1,000 名以上の区民等が、合唱と演奏を楽しんだ。
(大正・浪速・西成支部)
大正駅前ぐるめマップ(支部と区役所との連携事例)
京セラドームの最寄駅の一つJR大正駅は、ドーム稼働日には1∼3万人が乗降するので、
駅とドームを結ぶ道路は非常に混雑する。だから、球場関係者や警備関係者の掛け声は「止ま
らずに進んで下さい!」となる。安全や効率の面からすれば至極当然な誘導である。
しかし、商業振興や地域振興の面からすればこの誘導は仇である。ドームに至る道路は、大
正橋商店街を含む駅前商業地域。「止まらないで!」式の誘導は、乗降客を道路沿いにある商店
に立ち寄らせない。商店としては、巨万のビジネスチャンスが通過電車状態なわけである。
また、大正区の立場からすれば、恩恵を受けずして(ドームは西区にある)、迷惑だけはしっ
かり頂戴している(混雑・ゴミ・騒音・治安の悪化等)始末だ。これではダメだという意見は
昔からあったが具体的な行動には結実してこなかった。
そこで、大阪市雇用施策推進資金という雇用関係の施策実施について模索していた大正区役
所が、施策の充当対象事業の候補案を当支部に求めてきた際に、当支部から提案したのが「大
正橋の商店街案内人構想」である。商工会議所支部が区役所に対し、ささやかながらも具体的
な政策提案を行い、ミニチェンバーとして本部の相似形を実践した。
案はその後、区長直属のチームに支部経営指導員を交えた会合で数回議論され、最終的には
提案から少し異なるものにはなったが、京セラドーム客に大正区内でお金を落として頂くとい
う点を軸に「大正駅ぐるりMAP」として素案化されることになる。別途、区役所内に設置さ
れた「MAP編集委員会」にも委員として参画し、平成 17 年度に当支
部で作成した「大正おもろいお店MAP」の際のノウハウなども紹介
しつつ完成したのが飲食店だけに絞った「大正駅ぐるめMAP」。
雇用と商業振興の両立、区役所と商工会議所支部とのコラボ、西区
と大正区の仲直り(?)
、ドーム観戦と大正区観光の二股など、多方面
に有意義な効果を既にもたらしている当MAPであるが、はたして警
備員の絶叫を振り切って道路沿いの店に入店させるだけの訴求力を持
つかどうか、もうすぐ始まるペナントレースでお手並み拝見である。
(大正・浪速・西成支部)
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
異
異業種交流会
交流会
区をまたいでちんちん電車内で開催
同じ支部内の異なる異業種交流会との交流、他の支部の異業種交流会との交流は、必ずしも
前例がないわけではないが、今回は、市内南部の3つの支部の8つの異業種交流会と一般参加
者が一同に集う大連合的な交流会「異
異業種交流会 交流会」を開催した。
参加した異業種交流会は、大正・浪速・西成支部「やんちゃマスターズ倶楽部」「月浪倶楽部」
「浪速区女性経営者の会」「事業承継研究会」、住之江・住吉支部「大阪南経営革新研究会」「S
ネット」
「なにわ小町」、天王寺・阿倍野支部「経営者サロン」。
開催会場は、これらの会の活動エリアを沿線として走る阪堺電
軌のちんちん電車内。老若男女の 60 人の企業経営者は2台の電
車に分乗して、揺れる車内で名刺交換や歓談を行った。
ちんちん電車での交流会に先立って、電車の発着駅である恵美
須駅近くの新世界会館で講演会を開催。こちらも 70 名の参加者
があり、立ち見客が出るほどの盛況振りであった。
支部の異業種交流会は最近、押並べて曲がり角に立っている。メンバー高齢化、メンバーの
マンネリ化、メンバー事業所の業績悪化、活動のマンネリ化、活動資金の不足、出席者数の低
下、支部統廃合に伴う事務局との役割関係の変遷などなど。
今回、大正・浪速・西成支部が幹事役となって企画した「異
異業種交流会 交流会」は、
多世代との交流、新顔との交流、活動の新奇性、合同開催による活動資金の節減、出席率の向
上など、一定の意義があったものと思われる。
財閥系銀行や電鉄系百貨店すら、経営統合や業務提携をする時代である。支部異業種交流会
も、今後は定期的に合同開催を行うなどし、区や支部を跨いで緩やかな広域的連携を図り、ネ
ットワークや実施事業の分母拡大と事務局の業務効率化を図っていく必要性があるといえよう。
(大正・浪速・西成支部)
講師に恵まれて活動が活発化している女性会
「浪速区女性経営者の会」は、代表者が事業所を閉鎖し辞任したことで中心点を失い、会員
数も減り活動が停滞している状態である。そのなかで、副代表の2人(瀧澤紀久代氏、原佐智
子氏)がその存続に関与し、新しい組織として活性化させようとしている。とりあえずは、I
Tビジネスの研修を目指して若い人たちへの働かけを考えていた。
5月からの例会の集まりは、4名とか5名とかいった状況が続いているが、最近は不思議に
講師に恵まれて、会員の資質向上のための活動が活発になってきた。
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
最も新しい「コーチングの勉強会」には 30 名近くの参加者の申込者があり、この勢いが続け
られれば「浪速区」という枠を越えた、より広範囲な女性経営者の拠点作りも可能性となる。
最近の活動をざっと紹介すると、10 月には㈱シンクベストの山田氏のコミュニケーション技
法マスター講座で 14 名の参加者があり、11 月にはまったくの偶然からハイポイントアカデミ
ーの学園長の茂木氏の好意で、質の高い講習会「アメリカで活躍する女性経営者」を行い、10
名の方に参加してもらった。
さらには、1月には㈱メルキュール代表取締役の合田氏に事業紹介をしてもらった。同氏の
夢を実現するための事業創業と、世界ナンバーワンを目指したコンセプト展開、ブランド重視
の商標(イタリア人に依頼)の作成。そしてそれらを統合したビジネス活動、淡々と語られた
が非常に密度の濃い話で、多くの女性の方に是非一度は聞いていただきたい内容であった。
そして、2月には㈲ハートプロ代表取締役の川村晴美氏の講習と続いている。この勢いは3
月にはミニメイド・サービス難波店代表者の原佐智子(当会副代表)氏、4月には西岡労務管
理事務所の西岡慶子(社会保険労務管理士)氏、5月にはカウンセラーの山口泉氏と発表者が
きまっており、充実した内容の発表が今後も続く。
このような状況であり、支部としては「創業を目指す方」も含め、女性経営者に寄与する女
性会へ発展することを目指している。また、専門知識・能力を持ち資質の高いメンバーが多い
ので、その定着化とその智恵とノウハウが共有できれば多くの女性経営者に貢献できると考え
ている。
(大正・浪速・西成支部)
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ニューズレター207 号(平成 20 年3月)
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