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富士山火山防災避難計画 避難モデル(第一次)
富士山火山防災避難計画 避難モデル(第一次) 平成25年3月 山梨県総務部防災危機管理課 1.作成の経緯 平成23年12月の防災基本計画の改正により位置づけられた火山防災協議会の設立について、富士山で は、平成24年6月8日に三県(山梨県、静岡県、神奈川県)及び国、関係市町村、火山専門家、関係機関によ り、「富士山火山防災対策協議会」が設立され、本年度は、主に溶岩等の流下からの避難対策について、検 討が重ねられてきた。 この「富士山火山防災避難計画避難モデル(第一次)」(以下「避難モデル」という。)は、富士山火山防災対 策協議会の構成機関による連携・協力のもと、広域的かつ具体的な避難対策を行うための避難範囲を設定 し、富士山噴火災害における人的被害の軽減を図る為に作成するものである。 2.避難モデルについて (1)避難ゾーン 富士山火山防災避難マップにより、富士山噴火による影響の度合いに応じて、周辺地域を次のとおり区分 している(第4次ゾーンは、富士山火山ハザードマップ検討委員会報告書による)。 ゾーン区分 噴火の事象等 第1次ゾーン ・火口の出来る可能性がある範囲 (この範囲に必ず火口ができるとは限らない) 第2次ゾーン ・噴火しそうな時、噴火が始まった時、すぐに避難が必要な範囲 ・噴火した場合に次の3つのどれかに当てはまり、すぐに危険になる範囲 ①火口から噴出した石がたくさん落ちてくる範囲 (この範囲以外にも、まれに10㎝未満の小石が飛ばされることもあり) ② 火砕流が発生した場合に、高温のガスが高速で届く範囲 ③ 溶岩が流れ始めた場合に、すぐに到達するかもしれない範囲 (3時間程度を想定) 第3次ゾーン ・すぐには危険にはならないが、火口位置によっては、避難が必要な範囲 ・公的機関から出される避難情報に注意し、災害時要援護者は早めの避難が 必要 ・溶岩が流れ続けた場合に、1日くらいで到達するかもしれない範囲 第4次ゾーン ・想定される最大規模の噴火であれば、最終的に流下物が到達する可能性の ある範囲 ① 溶岩流が7日間で到達する可能性のある範囲を「第4次ゾーンA」とする。 ② 溶岩流が最終的に到達する可能性のある範囲(最大約40日)を 「第4次ゾーンB」とする。 泥流避難ゾーン ・富士山に雪が積もっている時期に噴火が始まった時、すぐに避難が必要 な範囲(避難のタイミングとしては、第2次ゾーンと同じ扱いとなる) (2)噴火警戒レベル 富士山では、平成19年12月に噴火警戒レベルが導入されている。噴火警戒レベルとは、噴火時など に危険な範囲や必要な防災対応を、レベル1から5の5段階に区分したものである。 予報 対象範囲 レベル 火山活動の状況 警報 5 ( 避 難 居住地域及 びそれより 火口側 ) 噴 火 警 報 住民等の行動及び登 山者・入山者等への 対応 想定される減少等 ・大規模噴火が発生し、噴石、火砕流、溶岩流が居住地域に到達 居住地域に重大な被 (危険範囲は状況に応じて設定) 害を及ぼす噴火が発 危険な居住地域から ・顕著な群発地震、地殻変動の加速、小規模噴火開始後の噴火 生、あるいは切迫し の避難等が必要 活動の高まり等、大規模噴火が切迫している(噴石飛散、火砕流 ている状態にある。 等、すぐに影響が及ぶ範囲が危険) 4 ( 避 難 準 備 居住地域に重大な被 害を及ぼす噴火が発 生すると予想される (可能性が高まって いる)。 警戒が必要な居住地 ・小規模噴火の発生、地震多発、顕著な地殻変動等により、居住 域での避難準備、災 地域に影響するような噴火の発生が予想される(火口出現が想定 害時要援護者の避難 される範囲は危険) 等が必要 ) 3 ( 入 山 規 制 ) 2 ( 火 口 周 辺 警 報 火口から居 住地域近く まで 居住地域の近くまで 重大な影響を及ぼ 登山禁止・入山規制 し、生命に危険が及 等危険な地域への立 ・居住地域に影響しない程度の噴火の発生、または、地震、微動の ぶような噴火が発 入規制等 生、あるいは発生す ると予想される。 火口周辺 火 口 周 辺 規 制 火口周辺に影響を及 ぼし、生命に危険が 住民は通常の生活 及ぶような噴火が発 火口周辺への立入規 ・影響が火口周辺に限定されるごく小規模な噴火の発生等 生、あるいは発生す 制等 ると予想される。 ) 1 火口内等 ( 平 常 ) 噴 火 予 報 火山活動は静穏。 火山活動の状態に よっては、火口内で 特になし 火山灰の噴出等が見 られ、人体に影響が 及ぶ。 ・火山活動は平穏 (3)ラインについて 降水(雨水、融雪水など)が集まって流れる領域の大きな範囲のことを大流域界とし、その範囲に溶岩 等が流下到達する可能性のあると想定して、自治会等の単位に基づいて避難範囲を設定し、1~17まで のラインを定める。 ライン番号1~10については、静岡県側に9~17については、山梨県側に設定(ライン9、10は重複)。 原則として、火口が出現又は出現すると想定されるラインにおける居住者等が、避難対象者となる。 (4)避難範囲(ブロック)について 避難者の最小単位は、富士山周辺市町村における自治会等とする。 自治会等が最小単位であるため、その自治会等の一部が避難範囲に入った場合についても、最小単 位の住民全てが避難の対象となる。 (5)避難範囲の設定、避難の考え方 一般住民の場合 噴火警戒レベルと避難行動 避 難 レベル レベル レベル 順 4 5 3 序 ① ② (観光客 等は活動 自粛) 避難 - 避難 準備 避難 レベル5 レベル5 レベル5 拡大① 拡大② 拡大③ 避難 避難 避難 溶岩流が到達する 可能性のある範囲 (溶岩流の可能性 マップの説明) 火口分布領域 ■第1次ゾーン 火口分布領域 富士山火山ハザードマップによる影響の度合いに応じたゾーン区分(噴火前) ■第2次ゾーン ■第3次ゾーン ■第4次ゾーン 避難 避難 避難 溶岩流2時間 到達範囲 溶岩流の可能性マップ 山頂方向 第1次ゾーン 避難 第1次ゾーン範囲以外で、噴石・ 第1~2次ゾーンの範囲以外 第1~3次ゾーン範囲以外 火砕流・火砕サージが到達、ま で、溶岩流が24時間以内に で、溶岩流が到達(最終)す たは溶岩流が3時間以内に到達 到達する可能性がある範囲 る可能性がある範囲 する可能性がある範囲 道路 第2次ゾーン 避難最小単位 避難最小単位 (町内会) 溶岩流3時間到達範囲 (自治会等) 溶岩流6時間 到達範囲 ③ - - 避難 準備 避難 避難 避難 溶岩流12時間 到達範囲 溶岩流24時間 到達範囲 溶 岩 第3次ゾーン ブロック 流 道路 道路 ④ - - - 避難 準備 避難 避難 溶岩流7日間 到達範囲 第4次ゾーンA ブロック ⑤ - - - - 避難 準備 避難 溶岩流最終 到達範囲 第4次ゾーンBブロック 大流域界 ライン 避難の考え方 避難順序① 噴火警戒レベル4が発せられた場合、第1次ゾーンを避難範囲とする。また、第2次ゾーンを避難準 備範囲とする。 避難順序② 噴火警戒レベル5が発せられた場合、第2次ゾーンを避難範囲とする。 また、第3次ゾーンを避難準備範囲とする。 避難順序③ 噴火警戒レベル5が発せられた状態で、火山災害等が更に拡大する可能性がある場合、溶岩等の 流下が想定される大流域界で、第3次ゾーンがある自治会等を避難範囲とする。 また、同じ大流域界の第4次ゾーンAがある自治会等を避難準備範囲とする。 避難順序④ 噴火警戒レベル5が発せられた状態で、火山災害等が更に拡大する可能性がある場合、溶岩等の 流下が想定される大流域界で、第4次ゾーンAがある自治会等を避難範囲とする。 また、同じ大流域界の第4次ゾーンBがある自治会等を避難準備範囲とする。 避難順序⑤ 噴火警戒レベル5が発せられた状態で、火山災害等が更に拡大する可能性がある場合、溶岩等の 流下が想定される大流域界で、第4次ゾーンBがある自治会等を避難範囲とする。 ※ 第1次ゾーン及び第2次ゾーンについては、原則としてラインに関係なく避難する(ゾーン避難)。 第3次ゾーン以降については、ラインによって避難する(ライン避難)。 ※ 火口が出現及び出現するおそれのあるラインの外側のラインにおいても警戒体制を整えておく 必要がある。 ※ 融雪型火山泥流については、ライン毎の避難とするが、第2次ゾーンと同様のタイミングで 避難を行うものとする。 3.今後の予定 今後は溶岩の外、降灰、融雪型火山泥流、噴石等、様々な噴火災害への対応、交通対策、避難者の移動に かかる検討の継続等、具体的な広域避難計画となるよう、富士山火山防災対策協議会により、検討を重ね、計 画の策定、拡充、修正を行っていく。 ※ ライン番号1~10については、静岡県側(ライン9、10は山梨県と重複) 山梨県の富士山西麓及び北麓地域については、「富士山火山防災避難マップ」上で、次のとおり溶岩等が流下する範囲を設定し、それぞれライン番号を付して、9~17とする。 ○ラインの設定について