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日本とメコン

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日本とメコン
ともに未来へ、
と メコン
日本 Together toward the future,
Mekong and Japan
∼日本とメコン−その交流の歴史∼
交流のはじまりは、およそ600年前から
日本からの留学生が中国大陸に渡る遣唐使の時代(8世紀頃)。遣唐使を乗せた船
日 本
が暴風雨に巻き込まれてインドシナ半島に漂着、安南(ベトナム)と接点をもった
Japan
と伝えられていますが、日本とメコン地域の交流が活発になったのは、いまから
【面積】38万k㎡
【人口】1億2,710万人
【1人あたりGDP】36,194.4米ドル
600年ほど前と言われています。当時、琉球(沖縄)が中心になってメコン地域を含
む東南アジア諸国との間で活発な貿易が行われ、貿易船は日本や朝鮮半島にも来
航し、交易品の転売をしていました。琉球がメコン地域との間に形成した貿易ルー
トは、後の朱印船貿易につながっていきます。
ミャンマー連邦
朱印船貿易で、日本人が次々メコンへ
Union of Myanmar
【面積】68万k㎡
【人口】5,344万人
【首都】ネーピードー
【主な言語】ミャンマー語
【主な宗教】仏教
【1人あたりGDP】1,203.8米ドル
江戸時代初期、幕府はメコン地域を含む東南アジ
ア諸国に赴く貿易船に朱印状(幕府公認の海外渡
航許可証)を発行し、海外交易を奨励するように
なります。この朱印船貿易によって、多くの日本
130以上の少数民族が暮らす他民族国家で、働く
人の半分以上が農業に携わっています。6,000万
人を超える人口と豊富な天然資源、仏教遺跡な
どの多彩な観光資源を有しています。2014年は
外交関係樹立60周年を迎えました。
ミャンマー
ラオス
オス
チェンマイ
メコン川
ヤンゴン
ラオス人民民主共和国
日本人町が形成されました。また、当時の日本で
Lao People’
s Democratic Republic
は、アンコール・ワット(カンボジア)が仏教の聖
本人のアンコール参詣が盛んになるなど、日本と
メコン地域の交流は密なものになりました。その
後の江戸幕府の鎖国政策に伴い、朱印船貿易は衰
東南アジアの中で植民地にならなかった唯一の
国です。1980年代以降、日本をはじめとする外
国企業の受入を積極的に行い、経済発展を遂げ
ました。2017年には日タイ修好130周年を迎
えます。
江戸幕府の鎖国政策によって途絶えていたメコン地域との交流は、明治時代に
年に始まった日中戦争の行き詰まりを打開し、石油などの資源を確保するため、南
ベトナム社会主義共和国
Socialist Republic of Viet Nam
CAMBODIA
カンボジア
VIET NAM
プノンペン
ン
ベ
ベトナム
ム
ホーチミン
ホー
ーチミン
カンボジア王国
Kingdom of Cambodia
方に進出する南進政策を開始し、日本とメコン地域諸国は不幸な戦争の時代に突
入しました。しかし、1945年の終戦、その後の国際社会への復帰に伴い、メコン各
【面積】33万k㎡
【人口】9,073万人
【首都】ハノイ
【主な言語】ベトナム語
【主な宗教】仏教
【1人あたりGDP】2,052.3米ドル
国との間でも国交を回復しました。日本とメコン地域諸国は、新たな交流の時代を
迎えることになります。
かつてない広く深い交流の時代へ
人口の9割近くを占めるベトナム族(キン族)の
他に53の少数民族が暮らす多民族国家です。働
く人の約60%が農業に携わる一方、
ドイモイ
(刷
新)政策によって、めざましい経済発展を遂げ
つつあります。最近では観光地としての人気も
高く、日本人観光客の数も増加しています。
戦後、日本は飛躍的な経済成長に伴い、政府開発援助の供与や企業の積極的な進出
など、官民一体となってメコン地域諸国との交流を深めてきました。また、日本と
メコン各国との間では要人の往来も活発で、1991年には天皇皇后両陛下がご即位
後、初の外国訪問としてタイを、1999年には秋篠宮同妃両殿下が日本の皇室とし
て初めてベトナムとラオスを、2001年にはカンボジアをご訪問され、2009年2月
【面積】18万1,000k㎡
【人口】1,533万人
【首都】プノンペン
【主な言語】カンボジア語
【主な宗教】仏教
【1人あたりGDP】1,094.6米ドル
インドシナ半島の中央に位置し、メコン河と東
南アジア最大のトンレサップ湖に代表される豊
かな自然に恵まれた国です。主な産業は農業と
世界遺産アンコール遺跡に代表される観光です。
2016年は、日カンボジア友好条約発効60周年に
あたります。
01
交流の再開、そして戦争を経て新たな時代へ
政府が東南アジア諸国と外交関係を結ぶ最初の条約でした。その後、日本は1937
バンコク
【面積】51万4,000k㎡
【人口】6,773万人
【首都】バンコク
【主な言語】タイ語
【主な宗教】仏教
【1人あたりGDP】5,977.4米ドル
日本人が建設したと言われるホイアンの
来遠橋(通称、日本橋)
。その街並みはユネ
スコの世界遺産に登録されています
タイ修好宣言)により、タイとの間に正式な国交関係を樹立しました。これは明治
タ イ
タ イ
Kingdom of Thailand
退していきました。
なって再開されました。1887年には、
「日暹
(にちせん)修好通商に関する宣言」
(日
THAILAND
タイ王国
アユタヤ日本人町跡。最盛期には1,000人
を超える日本人が住んでいたと言われて
います
地である祇園精舎と考えられていたことから、日
49の民族が暮らすメコン地域で唯一の内陸国
です。国内総生産の約23%を農業が占め、最近
は有機農法による農産品も注目を集めつつあり
ます。日本の青年海外協力隊(JOCV)が初めて
派遣された国であり、2015年には日本との外交
関係樹立60周年を迎え、政治、経済、文化、芸術、
学術及び観光等の幅広い分野で、両国間の交流
がより一層促進されました。
LAOS
ネーピードー
イアン(ベトナム)、ウドン(カンボジア)などに
【面積】24万k㎡
【人口】668.9万人
【首都】ビエンチャン
【主な言語】ラオス語
【主な宗教】仏教
【1人あたりGDP】1,793.5米ドル
ハノイ
M YA N M A R
人がメコン地域に移り住み、アユタヤ(タイ)、ホ
には皇太子殿下がベトナムを、2012年にはカンボジア、ラオス、タイをご訪問さ
れました。そして2008年1月には東京で初めての日メコン外相会議、2009年11
月には日メコン首脳会議を開催しました。また、2009年を「日メコン交流年」とし
て、政治対話、経済・文化・青少年交流、観光といった様々な分野で交流を行いまし
た。日本とメコン地域諸国との関係は、今後ますます広く深いものになっていくこ
とが期待されており、その後も継続して毎年日メコン外相会議、日メコン首脳会議
を開催し、メコン地域諸国との幅広い協力を進めてきています。
出典:世界銀行(2014)
02
結
これまで結ばれることのなかったメコンの各地域が、いままさに結ばれようとしています。
日本と、様々なメコン地域開発プログラムによって開発されつつある3つの経済回廊。
これまでになくヒトとモノの流れが活発化することで、メコンはいま、
大いなる希望と発展の未来を芽吹かせようとしています。
メコン地域の連結性強化のため、日本政府は東西経済回廊及び南部経済回廊の物流効率化のための支援を続けており、
物流インフラ整備の一層の進展が期待されています。
南北経済回廊
第二メコン国際橋
インドシナ半島を南北に縦断す
北に縦断す
日メコン首脳会議・外相会議の開催
昆明を基点
る回廊。中国雲南省・昆明を基点
日本とメコン地域諸国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム)との間
で南下する
にタイ・バンコクまで南下する
ハノイを結
ルートと、ベトナム・ハノイを結
では、頻繁に二国間会談や多国間での会議が行われています。2008年1月の第1
別されます。
ぶ2つのルートに大別されます。
回日メコン外相会議、2009年11月の第1回日本・メコン地域諸国首脳会議以降、
ラオス国道9号線
取組」
、
「グリーン・メコンの実現」
、
「多様なプレーヤーとの連携」を4本柱とする、今
でいます
後3年間の日・メコン協力の方針
「新東京戦略2015」が採択され、メコン地域に対し
て今後3年間で7,500億円のODA支援を実施することが表明されました。
また、同年8月の第8回日メコン外相会議では、
「新東京戦略2015」を実現するた
ミャンマー
めの「日メコン行動計画」が策定されました。
LAOS
ネーピードー
チェンマイ
2015年7月の第7回日メコン首脳会議では、
「ハード面での取組」、
「ソフト面での
全長約1,600m。タイとラオスを結ん
ハノイ
M YA N M A R
毎年日本とメコン地域諸国との間で首脳級、閣僚級の協議の場が持たれています。
ラオス
オス
タイからラオスを通ってベトナムに
至る約240kmの幹線道路
ビエンチャン
チャン
ヤンゴン
タ イ
インドシナ半島を東西に横断する回廊。ミャンマー・
ダウェイ
ダウェ
ウェ
ウェイ
モーラミャインからタイ東北部を経由し、ラオス・サ
バナケット、ベトナム・ダナンを結ぶルートです。
2006年12月には、タイとラオスを結ぶ第二メコン
国際橋が日本の円借款により開通したことで、人・物
の流通が円滑化され、地域の経済発展につながりま
ダナン
メコン川
THAILAND
東西経済回廊
ハイヴァントンネル
サバナケット
サバナケッ
サ
ット
ット
モーラミャイン
2015 年 7月 第 7 回日メコン首脳会議(於:東京)
( 写真:内閣広報室提供)
バン
バンコク
CAMBODIA
メコン地域の開発にかかわる様々な組織
メ
カンボジア
カンボ
カン
ンボジア
ボ
プノンペン
ペン
ベトナム中部地域の交通の難所である
VIET NAM
ベ
ベトナム
ム
ハイヴァン峠に建設されたトンネル
ADB-GMS(アジア開発銀行 大メコン圏経済協力プログラム)
A
ADB(アジア開発銀行)の地域協力プログラム。メコン地域における開発課題への
A
ホーチミン
ホ
ーチ
チミン
取組・支援において主導的な役割を果たしています。
取
した。
ACMECS(エーヤワディ-チャオプラヤー-メコン経済協力戦略)
A
開発の三角地帯
南部経済回廊
回廊
「つばさ橋」
(ネアックルン橋梁)
タイ・バンコクからカンボジア・プノンペ
クからカンボジア・プノンペ
ナム・ホーチミンに至る回
ンを経て、ベトナム・ホーチミンに至る回
月には、日本の無償資金協力
廊。2015年4月には、
橋」
(ネアックルン橋梁)が開
による「つばさ橋」
的に改善され、地域の連結性
通し、交通が劇的に改善され、
発展から取り残されがちなカンボジア、ベトナム、ラオスの
3か国にまたがる国境貧困地帯。2015年7月の第7回メコン
首脳会議において、日本とメコン地域諸国は開発の三角地
帯におけるメコン地域諸国自身による取組と日メコン協力
との連携の重要性を改めて確認しました。
また、2015年6月に実施されたCLMVサミットでは、
「CLMV
タイの提唱により設立。カンボジア、タイ、ベトナム、ミャンマー、ラオスの5か国
タ
間の協力を通じた結果重視の開発を行うことを目的に活動しています。
間
MRC(メコン河委員会)
M
メコン河流域の開発と管理に関する常設の事務局を持つ唯一の国際機関。洪水緩
メ
和
和、渇水管理、農業灌漑、水力発電、水産といった分野で活動しています。
諸国に対する日本政府および他の開発パートナーに謝意を
表明する」として、日本の支援に感謝が示されました。
した。また、現在、カンボジア
が向上されました。
の整備が進んでおり、その完
国道5号線等の整備が進んでおり、
03
全長5.46kmにおよぶメコン河に架か
きな経済効果が期待される回
成によって大きな経済効果が期待される回
る橋。カンボジアのプノンペンからベ
的にミャンマー南部の都市ダ
廊です。将来的にミャンマー南部の都市ダ
トナムのホーチミンへの移動時間が
ウェーとも接続されれば、アジアの連結性
大幅に短縮されました。
に大きく寄与する可能性を秘めています。
04
支
メコンを支える
メコン地域で活躍する日本のNGO
NGOとはNon-Governmental Organization(非政府組織)の略称で、開発援助・
人道支援・環境などの地球規模の問題に取り組む非営利市民組織を指します。現
日本は政府開発援助
(ODA)や非政府組織
(NGO)などとの連携・協力によって、
在、国際協力活動に取り組んでいる日本のNGOの数は400以上とも言われ、各々
多岐にわたる分野でメコンを支援しています。
の理念や目的意識に基づいて、政府中心の援助では対応が困難な草の根レベルの
このような取組を通じて、ますます強固になる日本とメコンのパートナーシップ。
ニーズを把握しながら、きめの細かい支援活動を展開しています。グローバル化が
進展し、日本の国際協力の役割が更に重要となる中、政府開発援助の有効性を高め
それは、日本とメコン共通の財産であり、より豊かな未来への道標となるはずです。
る上でも、こうした活動を行うNGOとの積極的な連携が不可欠なものとなってい
ます。政府が日本NGO連携無償(※)に
よって、資金協力した案件数はメコン
データで見る国別ODA実績
地域で24件(2015年度実績)。日本の
メコン地域に対する支援活動の重要な
※2014年実績(支出総額ベース)、単位:百万米ドル
カンボジア 566.17
ラオス 319.58
担い手として、NGOの存在感はますま
ベトナム 2938.54
ミャンマー 1856.58
13.99
18.83
21.53
328.47
125.8
181.87
141.31
126.96
79.98
66.34
78.36
106.91
231.39
28.98
72.53 79.06
日本
米国
120.68
31.52
オーストラリア
す高まっています。
※日本のNGOが開発途上国・地域で実施する
経済・社会開発事業に資金を供与する制度。
(特活)IVYがカンボジアで実施された農産物組合支援事
業の活動風景
1035.89
1883.97
52.81
26
56.98
106.95
187.05
21
290.13
89
タイ 553.04
415.72
213.92
サイクロンで被災した人々のために─
ミャンマーに向かった日本の国際緊急援助隊医療チーム
韓国
フランス
ドイツ
スイス
オーストリア
英国
その他
2008年5月2日から3日にかけて、ミャンマー南部にサイクロンが上陸。死者
(出典:OECD-DAC)
84,000名を超す未曾有の被害をもたらしました。日本はミャンマー政府の要請
を受け、国際緊急援助隊・医療チーム(計23名)を、特に甚大な被害を受けたミャン
分野別に見る日本の協力実績
マー南部エーヤワディ管区ラブッタ市に派遣。避難キャンプ内に診療用テントを
設営し、医療活動を開始しました。医療チームが活動したのは、乾季から雨季への
05
季節の変わり目にあたる時期。厳しい日射しと激しいスコールによって、気温と湿
インフラ整備
保 健・医 療
日本はメコン地域の経済発展と生活基盤整備
のために様々な支援を行っています。東西経済
回廊の一部をなすラオスの「国道9号線」の整
備や南部経済回廊に位置するカンボジアの「ネ
アックルン橋」
(つばさ橋)の建設、メコン各国主
要空港の保守機材整備などメコン地域の連結
性に貢献するハードインフラ整備のほか、税関
協力や法制度整備支援などソフトインフラ整備
への支援も行っています。
日本はメコン地域の国々の実情に即した保健
医療サービス向上のため、長期にわたり支援を
行ってきています。例えば、ベトナムでは、1960年
代から、南部地域の中核的な病院である
「チョー
ライ病院」に対し、施設の建設・改修、医療人
材の能力向上を継続的に支援してきました。
また、
カンボジアでの母子保健分野の支援やミャン
マーでの感染症対策、医療人材の能力向上支
援等、日本の保健・医療分野の支援は各国で ベトナムの「チョーライ病院」の様子
高い評価を受けています。
(写真:永武ひかる/JICA)
完成した
「つばさ橋」
(写真:JICA)
防 災・災 害対策
水・衛 生
日本はメコン地域に対して、ハード面とソフト面
のインフラ整備を組み合わせた総合的な防災
能力向上支援を行っています。ミャンマーやラオ
スでは、気象観測装置整備や災害の早期通報
システム構築といった災害対処能力向上への
支援を実施しているほか、カンボジアやタイでは
洪水対策として道路の改修や排水施設の整
備・改修を行うなど防災インフラ整備への支援
を行っています。
日本はメコン地域の国々で、安全な飲料水の供
給や上下水道整備のための協力を行っていま
す。発展著しいミャンマーのヤンゴンでは上水道
の整備を支援する他、カンボジアやラオスでも、
給水率が低い地方都市において上水道設備
の拡張を支援しています。また、急激な経済成長
と都市化が進行する一方で、汚水処理能力が
低い水準にとどまっているベトナムのハノイ市で
は、下水道の整備を支援しています。
防災能力向上を目的とした
ワークショップの様子(タイ)
(写真:JICA)
度が急上昇する過酷な気候条件のもと、体調を崩す隊員も出ましたが、全活動を通
して計1,202名の患者を診療しま
した。様々な疾病に対する隊員た
ちの的確な診療に加え、被災者の
気持ちを和らげるきめ細かな対応
が評判となり、遠方の村から大勢
の患者が歩いて訪れるほど。こう
した日本の医療チームの活動に、
ミャンマー政府のみならず、現地
の人々から多くの感謝の言葉が寄
せられました。
過酷な条件下で熱心に診療活動を行う医療チーム隊員
微笑みの国からありがとう!切手や紙幣になった日本のODA
「東西経済回廊」構想の一環として建設された第二
メコン国際橋の完成を記念して、橋のイラストを
安定給水に向けた取組
(ラオス)
用いた切手がタイとラオス両国で発売されまし
た。また、カンボジアとラオスでは、日本の政府開
教 育・女 性
緊急援助
日本はメコン諸国において、教育や女性の能力
向上支援を積極的に行っています。例えば、就学
率の低いラオスの南部地域では、地域住民の参
加を通じた小学校教育の改善等を支援していま
す。また、カンボジアではジェンダーの不平等を改
善するため、女性省や連携省庁を支援し女性の
経済的エンパワーメントを促進するための体制を
整備しています。日本は産業人材の育成支援にも
力を入れており、ベトナムでは、ハノイ工科大学で 日本の支援で建設された
IT教育を実施し、ベトナムに進出する日本企業か 小学校の授業風景(ラオス)
(写真:㈱毛利建築設計事務所)
らも高い評価を受けています。
近年アジア地域では、大規模な自然災害が多発
しています。日本は、
こうした災害の被災者支援のた
めに緊急援助を行っています。
2008年のミャンマー
のサイクロン被害には医療チームを、2011年のタ
イの洪水被害には専門家チームを国際緊急援助
隊として派遣しました。また緊急援助物資を2011
年にはミャンマー、ベトナム及びタイ
(全て洪水被
害)
、2012年にはミャンマー(地震被害)
、2013
年にはミャンマーとカンボジア
(全て洪水被害)
、 国際緊急援助隊・救助チームの活動
2015年にはミャンマー(洪水被害)に対し、供与 (タイ)
しました。
発援助によって建設された橋が紙幣や切手に印刷
されるなど、日本の援助に対する感謝の気持ちが、
様々な形で表現されています。
パクセー橋が描かれた紙幣
(ラオス)
タイ・ラオス両国で発売された「第二メコ
ン国際橋」完成記念切手
つばさ橋
(左)ときずな橋
(右)が描かれた紙幣
(カンボジア)
06
歩
メコンと共に歩む
メコン地域における官民協力・連携促進フォーラム
「日本・メコン地域パートナーシップ・プログラム」の発表以来、日本とメコン地域諸国の関係はますます緊密化しています。
のみならず民間セクターの力もあわせ
メコン地域開発支援及び日メコン協力
を更に進めて行くに当たっては、政府
て、取り組んでいく必要があります。こ
特に経済面においては、日本とメコン各国との間に経済連携協定
(EPA)や投資協定が次々と結ばれるなど、
の観点から、メコン地域における官民
そのパートナーシップ進展の動きは、めざましいものがあります。ここでは、メコン各国の経済及び投資などに
協力を促進するため、第2回日メコン首
関するデータを紹介します。希望と発展の未来へ向け、日本とメコンは、いま共に歩み始めています。
脳会議共同声明に、日メコン官民協力・
連携促進フォーラムの開催が盛り込ま
下記グラフの見方
れたことを受け、我が国は2010年より
●折れ線グラフ
(出典:財務省貿易統計)
( )は、日本との貿易総額推移を表しています。数値は各グラフの左軸に対応します。(出典
毎年同フォーラムを開催してきていま
●棒グラフ
(出典:JETRO)
( )は、日本からの直接投資額推移を表しています。数値は各グラフの右軸に対応します。(出典
す。2015年2月に開催された第5回会
※2014年はそれ以前の数字とは異なる基準で作成しているため、比較不可
合では、各国政府、商工会議所、民間企
業、国際機関、在京外交団等から約150
ジア
カンボ
タ イ
貿易
(億円)
投資
(百万米ドル)
名が出席し、
「投資環境整備」
、
「インフ
ラ」
、
「農業・食品産業」の分野を中心に
貿易
(億円)
投資
(百万米ドル)
議論を行いました。
1,000
500
60,000
12,000
今後も官民の力を結集して、日メコン
800
400
50,000
10,000
協力をすすめていきます。
600
300
40,000
8,000
30,000
6,000
20,000
4,000
10,000
2,000
400
200
200
100
0
2011
2012
2013
2014
0
0
2011
2012
2013
2014
0
日本とメコン地域全体との関係
日本との貿易総額【単位:億円】
日本からの直接投資額【単位:100万米ドル】
100,000
20,000
80,000
15,000
60,000
10,000
40,000
5,000
20,000
0
マー
ミャン
ム
ベトナ
2011
2012
2013
2014
(出典:財務省貿易統計)
メコン地域への日本人観光客【単位:万人】
貿易
(億円)
投資
(百万米ドル)
貿易
(億円)
投資
(百万米ドル)
30,000
6,000
3,000
120
25,000
5,000
2,500
100
20,000
4,000
2,000
80
15,000
3,000
1,500
60
10,000
2,000
1,000
40
5,000
1,000
500
20
200
150
100
50
0
2011
2012
2013
2014
0
0
2011
2012
2013
2014
0
2012
2013
2014
投資
(百万米ドル)
300
30
250
25
200
20
100
10
50
5
2011
2012
2013
2014
0
2,000
1,600
1,200
800
400
0
ASEAN域内格差是正に向けて
日本は貿易の増加を促進
タイ
ベトナム カンボジア ラオス ミャンマー
2008年 7月 日・カンボジア投資協定発効
2008年 8月 日・ラオス投資協定発効
2009年10月 日・ベトナム経済連携協定発効
2014年 8月 日・ミャンマー投資協定発効
メコン地域への日本人観光客【単位:万人】
150
100
50
日本からメコン地域への
観光客増を促進
2014
(出典:JETRO)
2012
2013
2014
(出典:OECD-DAC)
日本からの直接投資額【単位:100万米ドル】
10,000
5,000
1,000
300
250
200
150
100
50
0
ASEAN域内格差是正に向けて
日本は投資の増加を促進
タイ
ベトナム カンボジア ラオス ミャンマー
(出典:JETRO)
日本のODA実績【単位::100万米ドル】
2,000
1,500
400
300
200
100
0
30
20
10
0
タイ
ベトナム カンボジア ラオス ミャンマー
(出典:日本アセアンセンター)
07
2011
(出典:財務省貿易統計)
2007年11月 日・タイ経済連携協定発効
15
150
0
日本とメコン各国との間で結ばれた
経済及び投資に関する協定 2013
日本とメコン各国との関係(2014年)
日本との貿易総額【単位:億円】
貿易
(億円)
2012
日本のODA実績【単位:100万米ドル】
(出典:日本アセアンセンター)
80,000
60,000
40,000
20,000
ラオス
2011
※2014年はそれ以前の数字とは異なる基準で
作成しているため、比較不可
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
250
2011
0
0
タイ
ベトナム カンボジア ラオス ミャンマー
(出典:OECD-DAC)
08
メコンおもしろ雑学
メコンを知る
カンボジア
日本人にとって、メコン地域諸国はあまり馴染みのない国々かもしれません。
しかし、悠久の歴史に育まれた伝統や文化を知れば知るほど、大河メコンに寄り添って生きる人々の温かみに
触れれば触れるほど、メコンの魅力に惹きつけられてしまうはずです。ここでは、メコン地域諸国の伝統や食文化、
そして日本との意外な共通点などなど、メコンにまつわる様々な話題をお届けします。
食事
カンボジアで一番熱い場所?
カンボジアで一番熱い場
「煙管」
「カボチャ」はカンボジアから
首都プノンペンでは、大型ショッピングモールの建設
大型シ
「煙管(きせる)」はカンボジア語の「クシアウ」から生
ラッシュがおきています。特に2014年に開業した日本
まれた言葉。
「カボチャ」は、朱印船貿易時代、カンボジ
の「イオンモール」は老若男女に大人気。週末になると、
アを経て日本にもたらされたという説が有力で、
「カ
家族連れや若者のカップルで大
ンプチアから来たもの」という意味を込めて名づけら
賑わいになります。エスカレー
れたそうです。
ター初体験で、足を踏み出せず
お米が主食で、お箸を使って食べる。メコン地域の人々と日本人の食習慣はとても似ています。
に戸惑っている人の姿も・・・。
タイ
ミャンマーの人たちがおやつ感覚
で食べる麺料理
「モヒンガー」
伝統芸能
日本でもお馴染み、タイのスープ
「トムヤムクン」
FOOD
日本でも人気上昇中、ベトナムの
「生春巻」
カンボジア、タイ、ラオスには老若男女が輪になって踊る風習があり、日本の盆踊りにも似ています。
微笑みの国、タ
タイ
日本アニメはタイで大人気
タイでは、笑顔の美しい人が尊ばれ、
笑顔の美
怒りなどの負の感
タイでは、日本のアニメ「ドラゴンボールZ」や「ドラ
情を人前で表すことは良く思われません。タイの正式
えもん」が大人気。日本のマンガがタイ語訳され、専門
な挨拶の作法は合掌(ワーイ)で
店も多くあります。コスプレ人気も高く、毎年開かれ
すが、親しい仲間や家族同士で
るイベントでは、アニメのキャラクターに扮したタイ
微笑みが挨拶がわりになる
は、微笑みが挨拶がわり
人の若い男女のコスプレ姿も見かけられるようにな
ことも多いとか。
りました。
ベトナム
もてなし上手のベトナム人
もてなし上手のベト
Traditional Arts
カンボジアの宮廷舞踊である「ア
プサラダンス」
大衆文化
タイ北部、チェンマイに伝わる踊り
「フォーン・レップ」
ベトナムでは日本語が大人気。タイでは、意外な
(?)ことに、剣道の人気が段々と高まっています。
カンボジアで広く親しまれている
娯楽と言えば
「ビリヤード」
文化遺産
ミャンマーの民族楽器「竪琴(たて
ごと)
」
Pop Culture
世界的に人気が高まりつつあるラオ
スのビール
「ビアラオ」
「食べる前に、周りに勧めるべし」
周りに勧め
というのが、ベトナ
ベトナム人の姓で圧倒的に多いのが「グエン」。ここま
ムでの食卓のルール。食卓の中央におかずが並べら
で「グエン」姓が普及した理由は、ベトナム最後の王朝
れ、各自ご飯茶碗を片手に、
「どうぞ召し上がれ」と一
である「グエン朝」が、王と同じ姓を名乗っていい、と
声かけあった後、周りの人の茶碗をこまめにチェッ
いう布告を出したから。これにより、多くのベトナム人が
ク。茶碗が空いていれば、すかさず自ら手を伸ばして
「グエン」姓を名乗るようになったわけです。姓だけ見
(時に立ち上がって)、相手の茶碗におかずを取り分け
ると「グエン」さんだらけのベトナムですが、通常は下
テーブルのあちこちから箸を持つ手が
てあげるので、テーブルのあ
の名前で呼ぶのが習慣になっているので、不便は感じ
行き交います。
ないようです。
ミャンマー
穴場のビーチ
日本サッカー創世記の立役者はミャンマー人!
?
ミャンマー西部ラカイン州のインド洋に面したガパ
ミャンマー西部ラカイン州の
1920年代、日本の大学に留学していたミャンマー人
リ・ビーチは、それほど観光地化されておらず、手つ
留学生のチョウ・ディン氏は、当時の日本代表の候補
かずの砂浜が残っています。のんびり過ごすにはもっ
選手達にショートパス戦法を伝授し、日本のサッカー
てこいの場所です。
技術は飛躍的に向上しました。その後、チョウ・ディ
ン氏はミャンマー帰国後消息を絶ちましたが、当時の
ベトナムで一番人気があるスポー
ツと言えば
「サッカー」
メコン地域には、悠久の歴史をいまに伝える様々な遺産があります。
功績が称えられ2007年に日本サッカー協会により日
本サッカー殿堂入りとなりました。
ラオス
ラオスの焼酎は泡盛の元祖?
ラオスの焼酎は泡
近くて遠い、ラオス語と日本語!?
ラオスの人々は伝統的にもち米を主食にしています。
ラオスの人々は伝統的
ラオス語で「托鉢」は「タクバー(ト)
」と言うなど、日本語と
また、もち米からラオ・ラーオ(ラオスの酒、の意味)な
似ている単語もありますが、
その一方で、
「きれい」
は
「キレー
どのお酒も造ります。このラオ・ラーオは沖縄の泡盛
(汚い)
」のように、発音が同じでも意味がまったく異なる単
に似た味わいで、泡盛の元祖という説もあるほどです。
アンコール遺跡群
(カンボジア)
09
Culfural Heritage
アユタヤ王朝の遺跡群
(タイ)
古都フエ(グエン朝)の遺跡群(ベト 世界三大仏教遺跡の一つ、バガン
ナム)
(ミャンマー)
ベトナム人はグエンさんだらけ?
語もあります。
ラオス美人に出会った時
には、うっかり日本語で「きれい…」と
言ってしまわないよう、
ご注意を!
旧王都ルアンパバーン
(ラオス)
10
この笑顔に出会うために
私たちはメコンとの交流を
続けていきます
写真提供:鎌澤久也、国際協力機構(JICA)、瀬井陽子、チア・チャイノラ、内閣広報室、日本アセアンセンター、日本国際ボランティアセンター(JVC)、ラオスのこども〔五十音順、敬称略〕
日メコン協力や渡航情報などについては外務省ホームページをご覧ください。
外務省 〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1 TEL:03-3580-3311(代)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/
編集:南東アジア第一課 発行:国内広報課
2016.3(一部改訂)
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