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ソフトウェア投資の動向
− ソフトウェア投資の動向 − 前述の対事業所サービス業活動は、エンジニアリング業、土木・建築サービス業な どの低下により3年ぶりの低下となった。また、13年まで大幅な上昇を続けてきた情報 サービス業活動が鈍化している(第Ⅰ−2−11図)。 第Ⅰ−2−11図 対事業所サービス業活動指数の推移 ①指数水準(7年=100、季節調整済) 対事業所サービス業 情報サービス業 土木・ 建築サービス業 160 150 物品賃貸業 広告業 エンジニアリング業 140 130 120 110 100 90 80 70 60 10 11 12 13 ( 暦 年 14 年 ) Ⅰ └ Ⅱ 10 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 11 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ Ⅲ 12 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 13 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ Ⅰ └ Ⅱ 14 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ ②前期(年)比、伸び率寄与度 その他 エンジニアリング業 土木・建築サービス業 広告業 情報サービス業 物品賃貸業 対事業所サービス業 ( %) ▲ ▲ ▲ ▲ ▲ 7 6 5 4 3 2 1 0 1 2 3 4 5 10 11 ( 12 暦 13 年 14 ) 年 Ⅰ └ Ⅱ 14 Ⅲ 年 Ⅳ ┘ (注) 伸び率寄与度における「その他」とは、自動車賃貸業、映画,ビデオ制作・配給業、放送業、法 務・財務・会計サービス業及びその他の対事業所サービス業の合計である。 この情報サービス業活動の鈍化について、情報サービス産業の業務別売上高から みると、約6割のウェイトを占める受注ソフトウェアの伸びが14年にはほぼ横ばいなっ たことが影響している。一方、電算処理のアウトソーシングの進展からシステム等管理 運営受託が依然として著しい伸びを示し、14年には計算事務等情報処理を上回っ ている(第Ⅰ−2− 12図)。 57 第Ⅰ−2−12図 情報サービス業の業務種類別売上高の推移 (億円) 1,100 (億円) 11,000 1,000 10,000 900 9,000 800 8,000 700 7,000 600 6,000 500 5,000 400 4,000 300 3,000 200 2,000 7 8 9 10 11 12 13 14年 ソフトウエアプロダクト 計算事務等情報処理 システム等管理運営受託 その他 受注ソフトウェア(右目盛) 売上高合計(右目盛) (注) 情報サービス業の売上高を企業向けサービス価格指数により実質化している。 資料:「企業向けサービス価格指数」(日本銀行)、 「特定サービス産業動態統計」 この受注ソフトウェアとシステム等管理運営受託について、さらに詳しくみてみよう。 先ず、堅調な伸びを続けているシステム等管理運営受託について、需要(発注企 業)側からみてみる。システム等管理運営受託は情報処理関係諸経費における外部 要員人件費等に相当するとみられることから、情報処理部門等の社内要員(専従者) 人件費である「人件費」に対する外部要員人件費比率の変化をみると、8年度におけ る外部要員人件費比率(外部要員人件費/人件費)は 0.41 であったが、12年度に は 0.50 に拡大している(第Ⅰ−2−6表)。 業種別にグループ分けしてみると、化学工業や電気・ガス・熱供給・水道業では外 部要員人件費比率は上昇していない。卸売・小売業や放送業、通信業では外部化 の進展がみられ、電気機械器具製造業や情報サービス・調査業、広告業ではさらに 外部化が進んでいる。また、最も外部化の進展がみられた業種グループは金融業、 保険業、証券業や建設業などである。なお、鉄鋼業は 4.32 から1.81 へと縮小してい るものの他の業種に比べ依然として外部化が進んでいる。 58 第Ⅰ−2−6表 業種別外部要員人件費比率の推移 外部要員人件費 /人件費 8年度 12年度 12年度−8年度 鉄 鋼 業 電 気 ・ガ ス ・熱 供 給 ・水 道 業 4.32 0.66 1.81 0.01 ▲ 2.51 ▲ 0.65 窯 業 ・ガ ラス ・土 石 製 品 製 造 業 一 般 機 械 器 具 製 造 業 0.96 0.46 0.67 0.18 ▲ 0.29 ▲ 0.28 化 業 0.44 0.31 ▲ 0.13 精 密 機 械 器 具 製 造 業 運 輸 ・ 倉 庫 業 0.33 0.45 0.20 0.42 ▲ 0.13 ▲ 0.03 輸 送 用 機 械 器 具 製 造 業 非 鉄 金 属 ・金 属 製 品 製 造 業 0.77 0.14 0.76 0.18 ▲ 0.01 0.04 学 育 0.18 0.23 0.05 新 聞 ・出 版 ・印 刷 ・同 関 連 産 業 農林、水産養蚕(共同組合を含む)、鉱業 0.29 0.31 0.34 0.37 0.05 0.06 外 放 卸 業 業 0.58 0.50 0.65 0.57 0.07 0.07 部 化 パ ル プ ・紙 ・紙 加 工 品 製 造 業 0.11 0.22 0.11 そ の 他 の 製 造 業 食 料 品 、飲 料 、飼 料 製 造 業 0.19 0.34 0.33 0.50 0.14 0.16 医 療 業 情 報 サ ー ビス ・調 査 業 、広 告 業 0.47 0.21 0.63 0.39 0.16 0.18 電 気 機 械 器 具 製 造 業 0.17 0.36 0.19 そ の 他 の 非 製 造 業 石油・石炭、プラスチック製品製造業 0.48 0.25 0.68 0.47 0.20 0.22 繊 維 工 業 、衣 服 ・ 繊 維製 品製 造 業 建 設 業 0.17 0.30 0.41 0.61 0.24 0.31 金 融 業 、保 険 業 、証 券 業 平 均 0.65 0.41 0.99 0.50 0.34 0.09 学 工 校 送 売 ・ 業 教 、 ・ 通 小 信 売 (注) 情報処理実態調査における業種分類は13年度から変更されているため、 比較に当たっては8年度と12年度を用いている。 資料:「情報処理実態調査」 59 次に、情報サービス業の売上高全体の約6割を占め、売上高の増減に最も寄与し ている受注ソフトウェアには企業のソフトウェア投資が大きく関係していることから、需 要(発注企業)側からみたソフトウェア投資(ただし、自社開発分を含む。注 ))により業 種別動向をみてみる。 全産業(金融・保険業を除く)のソフトウェア投資は、12年度下期、13年度上期と 増加となった後、一進一退の動きとなっている。特に、大企業では12年度下期を除き 減少となっている。一方、中小企業は12年度下期以降3期連続の増加となり、14年 度の見通しも大幅な増加となっている。全産業では14年度はわずかながら減少とな る見込みである(第Ⅰ−2−13図)。 これを製造業と非製造業(金融・保険業を除く)に分けてみると、製造業では12年 度下期以降3期連続の増加の後、14年度上期も引き続き増加を見込んでいるものの、 下期は5期ぶりに減少となる見込みである。主な業種をみると、14年度下期は自動車 が増加を保つ見込みであるものの、電気機械及び化学が減少となる見込みである。 非製造業(金融・保険業を除く)では13年度下期に減少となり、続く14年度上期も 減少の見込みであるが、下期には3期ぶりに増加となる見込みである。主な業種をみ ると、14年度下期はリースが減少となる見込みであるものの、サービス及び通信が増 加となる見込みである。 また、6月及び12月に短観と併せて調査される金融機関のソフトウェア投資につい てみると、金融機関の統合の影響により、12年度上期から13年度下期にかけて大幅 な増加となっており、特に都市銀行の増加幅が大きい。しかしながら、14年度上期に は銀行業の減少から金融機関全体でも減少の見込み、続く下期においても減少幅 は縮小するものの、減少となる見込みである。 注) 特定サービス産業動態統計調査における情報サービス業売上高は、供給側からのソフトウェア投資額 を示すのに対し、短観におけるソフトウェア投資額は需要(発注企業)側から無形固定資産へ計上した金 額を把握するため、自社開発分も含まれており、両者の比較に当たっては留意する必要がある。 60 第Ⅰ−2−13図 (%) 60 ソフトウェア投資の推移(前年同期比) [全産業( 金融・ 保険業を除く)] [製造業] [非製造業( 金融・ 保険業を除く)] 50 40 30 20 10 0 ▲ 10 ▲ 20 上期 12 下期 年度 (%) 200 180 160 140 120 100 80 60 40 20 0 ▲ 20 ▲ 40 ▲ 60 上期 13 下期 年度 上期 下期 14年度 (計画) 上期 12 下期 年度 [電気機械] 上期 12 下期 年度 (%) 120 上期 13 下期 年度 上期 13 下期 年度 上期 下期 14年度 (計画) 上期 12 下期 年度 [自動車] 上期 下期 14年度 (計画) 上期 12 下期 年度 [サービス] 上期 13 下期 年度 上期 13 下期 年度 上期 下期 14年度 (計画) [化学] 上期 下期 14年度 (計画) 上期 12 下期 年度 [リース] 上期 13 下期 年度 上期 下期 14年度 (計画) [通信] 100 80 60 40 20 0 ▲ 20 ▲ 40 ▲ 60 上期 12 下期 年度 上期 13 下期 年度 上期 下期 14年度 (計画) 規模合計 (%) 120 上期 12 下期 年度 上期 13 大企業 下期 年度 上期 下期 14年度 (計画) 中堅企業 上期 12 下期 年度 上期 13 下期 年度 上期 下期 14年度 ( 計画) 中小企業 [金融機関] 100 前 年 同 期 比 80 60 40 20 0 ▲ 20 ▲ 40 上期 12 下期 年度 上期 13 下期 年度 上期 下期 14年度 (計画) 金融機関計 銀行業 証券業 保険業 うち都市銀行 (注)14年度以前は投資実績の伸び、14年度(計画)は投資実績に対する投資計画の伸びである。 資料:「企業短期経済観測調査」(日本銀行) 61 この金融機関のソフトウェア投資は178社の調査金融機関の単純集計なので、金 融・保険業として推計した上で、全産業のソフトウェア投資への業種別寄与の推移を みると、12年度から13年度にかけて牽引した銀行業が、14年度に入りシステム統合 による需要に一服感がみられ、減少に寄与している(第Ⅰ−2−14図)。 一方、通信業や証券業などの非製造業ではわずかながら増加する見込みもあり、 ソフトウェア投資については、今後の動向を注視する必要がある。 第Ⅰ−2−14図 ソフトウェア投資の業種別前年同期比寄与度 (%) 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 ▲2 ▲4 ▲6 ▲8 ▲ 10 ▲ 12 上期 12 電気機械 サービス 保険業 全産業(伸び率) 下期 年度 上期 13 下期 年度 自動車 銀行業 その他の非製造業( 除く金融・保険業) 上期 14年度 下期 (計画) 通信 証券業 その他の製造業 (注)1.14年度以前は投資実績の伸び、14年度(計画)は投資実績に対する投資計画の伸びである。 2.金融・保険業については、「特定サービス産業実態調査」における年間売上高における金融・保 険 業比率を基に、推計している。 資料:「企業短期経済観測調査」(日本銀行)、「特定サービス産業実態調査」 62