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【四国新聞社賞】 いじめとは。 宇多津町立宇多津中学校 3年 多田羅絢子

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【四国新聞社賞】 いじめとは。 宇多津町立宇多津中学校 3年 多田羅絢子
【四国新聞社賞】
いじめとは。
宇多津町立宇多津中学校
3年
多田羅絢子
いじめ。たくさんの本やテレビで聞く言葉。大勢の者が一人を対象
に暴力や言葉で傷つける。テレビや本で感じる「いじめ」は本当にこ
んな行為を行っているの?と思うほどに自分では考えることもできな
いものだった。
なぜいじめは起こるのだろうか。集団というものは生きていく中で
大切だと思う。互いのことを考えること,我慢をすること,競い合っ
たりすることで自分を成長させてくれること。だから学校は集団行動
を大事にするのだと思う。でもいじめはその集団というものが生みだ
している。集団に入れなかったものは敵として見られる。集団はまる
で自分たちが正義だと思い,仲間がたくさんいることを強みに,個性
を潰してくる。集団が悪い道に進めば,いじめは起こるだろう。
小学生の時に同じクラスで嫌いな女の子ができた。小学生の時の私
はなぐさめてほしかったのだろうか。その子にされたことをたくさん
の人に言った。すると皆はその子のことを最低だと言ってくれた。そ
の子はクラスの皆から冷たい視線を受けとった。いじめは空気さえも
味方につけてしまうのだと思った。私は嬉しく思った。自分の味方が
こんなにいるということを。私も辛い思いをしたのだからこれぐらい
どうってことないでしょう?と。これは「みんな」が言ってるから「
正しい」と,まるで洗脳されたようだった。
小学生の時,いじめは普通に存在するものだった。うざいから。男
子 が 好 き だ か ら 。調 子 に の っ て い る か ら 。あ あ ,俺 も 思 っ て た ,私 も 。
言われて見ればそうかも。
「 み ん な 言 っ て る 。」
呪いのような言葉だった。3人でも5人でも意見があえばそれはみ
んなと言われる。みんな嫌だから。無視される,避けられる,冷たい
視線を向けられる。クラスの中でいじめはあった。私は直接手を加え
たことはなかったがいじめの存在は知っていた。きっと私みたいな人
が大半だろう。私は思っていた。いじめられる人にも問題はあると。
集 団 で 生 き る 力 が な い か ら そ う な る ん だ と 。個 性 を 出 し す ぎ た ん だ と 。
それで反省ができるならいいじゃないかと。自分は正しいと信じてい
た。自分も仲の良い子を仲間はずれにしてしまう,そんなことをして
小学校を卒業した。
綺麗事を言ったってしょうがない。いじめはなくなったりしない。
み ん な が 嫌 い と 思 う ほ ど 性 格 の 悪 い 人 が 悪 い 。嫌 い な 人 は 必 ず で き る 。
みんな仲良くなるなんて無理なんだ。個性は大事だ。でもその個性が
いじめを生みだしている一つでもある。仕方がないことなのかなと考
えるのをやめた。
中学生になった。中学生になると人に触れ合うことが増えた。部活
や ク ラ ス 行 事・・・。中 学 生 に な っ て ,よ り 集 団 行 動 が 増 え た と 思 う 。
とても楽しいなと思った。でも小学生の時より人間関係に悩むことが
増えた。どうしたら仲良くなれるのか,なんで冷たい態度をとられる
のか。たくさん悩んで強くなれたと思う。中学生になっていじめを見
ることは少なくなってきた。その分,小学生の自分が憎く恥ずかしい
ものに見えた。ただ自分の感情を周りに押しつけていた。みんなと同
じだからと,いじめを正義だと言い訳にしてしまった。でも過去は変
わらない。謝ったってその人を傷つけたことは変わらない。心の傷が
治ることもない。やっと気づいてしまった。いじめというものに。恐
ろしさに。一人で戦うことがどれだけ辛いのか。いじめてる人が言っ
た「それだけ」がその人にとってはそれだけなんてものじゃないこと
を。気づくのに遅すぎたのだ。自分がされた後に気づくなんて大馬鹿
野郎だ,本当に。いじめはしてはいけないもの。これは綺麗事なんか
じゃない。
たくさんの人を傷つけてしまった。集団から外れるのが嫌で必死に
みんなと同じ色になろうとした。いじめがなかったことにした。いじ
められてる子の目をそらして手を振り払ってしまった。冷たい視線を
向けてしまった。そこから得られたものは何も無かった。後悔と自分
への憎しみばかりだ。いじめから生み出すものは何もないんだと,最
後には一人になってしまうんだと,伝えたい。嫌いな人ができてしま
うのは当たり前だよ。でも傷ついたことを暴力や力で返すのは間違っ
てる。傷ついたことを許せるぐらい強い人になろう。傷ついたものは
涙で流してしまおう。みんなと一緒は嬉しいことだけど,悪いものを
共用するみんななんてだめだ。自分が笑っていられるよう,自分を見
つめなおそう。きっと遅くない。未来は変えられる。
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