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資格試験問題のオンラインテスト化と相互評価型解説コンテンツライブラリ
帝京大学ラーニングテクノロジー開発室 10 周年記念シンポジウム 資格試験問題のオンラインテスト化と 相互評価型解説コンテンツライブラリの検討 水 谷 晃 三 古 川 文 人 渡 辺 博 芳 †帝京大学理工学部ヒューマン情報システム学科 ‡帝京大学ラーニングテクノロジー開発室 † †‡ †‡ 概 要 情報処理技術者試験の試験対策授業における IT を活用した効果的な教授法を検討. LMS による過去問題のオンラインテスト化とグループウェアによる相互評価型解説コンテンツライブラリ を活用する協調型ブレンディットラーニング. 積極的な過去問演習を促すとともに解説コンテンツの充実が図られ,学習効果の向上が期待できる. 1. はじめに 帝京大学理工学部ヒューマン情報システム学科には,国 家資格である情報処理技術者試験の試験対策のための講義 がある.今年度より新体制のカリキュラムを組むにあたり, 過去問題のオンラインテスト化と解説コンテンツの効果的 な活用法について検討した.本稿では LMS による過去問題 のオンライテスト化とグループウェアを活用した相互評価 型解説コンテンツライブラリについて,現在の整備状況と 期待される効果について述べる. 2. 資格試験対策の検討 効果的な試験対策のために以下の方策を検討した. • オンライン受験の結果を踏まえ た効果的な座学講義 • 出題傾向や自身の苦手分 野の早期把握 • 繰返し受験による知 識問題の早期習得 • 解答の時間配分の 経験化 • 解説コンテンツの 積極的な活用 • 相互評価による解説 コンテンツの質的向上 •苦手分野の問題や論理的思 考問題の早期習得 LMSによる 過去題のオン ライン受験 ブレンディッ トラーニング 型講義 解説コンテン ツの相互評価 解説コンテン ツ作成演習 • 協調学習としての客観的 な評価能力の向上 •Class Response Systemを活用したリアル タイムな過去問演習 • 得意分野における 関連知識の定着化 • 解説コンテンツの充実 •コンテンツ作成能力の育成 • レポート評価としてのインセ ンティブ化による積極性向上 図 1 資格試験のための方策と期待される効果 ① 過去問題のオンライン化 試験対策の対象としている IT パスポート試験,基本情報 技術者試験(午前)は四肢択一問題で構成されている.オ ンラインテスト化により過去問題の繰返し演習の効果が期 待できる. ② ブレンディットラーニング型講義 過去問題の演習の結果を踏まえ理解度の低い領域の講義 を重点的・優先的に行い効率的な学習を図る. ③ 解説コンテンツ作成演習 過去問題の解説コンテンツを受講者に作成させることで 関連分野の知識を深める. ④ 解説コンテンツの相互評価 受講者が作成した解説コンテンツを受講者自身で相互に 評価することにより解説コンテンツの質を高め,同時にコ ンテンツの活用を促す. 以上により期待される効果を図 1 にまとめた. このほか, 過去問に類似した問題を受講者に作成させる作問学習など も検討している. 3. 演習環境の整備 2.で述べた方策を実現するため演習環境の整備を進めて いる. (A) LMS による過去問題のオンラインテスト化 LT 開発室にて IT パスポート試験,基本情報技術者試験 の午前試験のオンラインテスト化を作業を進めている.オ ンラインテスト化は LTA 制度を活用して行われている.現 在,12 試験分,計 1,100 題がオンライン化された(入力後 未検査分を含む) .図 2 に例示するように数式や図表を含む 試験問題がオンライン化されている. (B)相互評価型解説コンテンツライブラリの構築 受講者が作成した解説コンテンツを管理するとともに, 受講者同士が相互評価できる仕組みを用意するため, 図 2 演習環境の画面例 (左)LMS による過去問題のオンラインテスト化 (右)MOSS による相互評価型解説コンテンツライブラリ Microsoft SharePoint Server(MOSS)を試験的に導入し た.図 2 に示すように登録された解説コンテンツを 5 段階 で相互評価できるようになっている. 4. 考察 既に,本演習環境は今年度の「情報技術演習(基本情報) 」 において試験的に導入した.導入後の受講者アンケートで は今後も積極的に活用したいなど好意的な回答が多く得ら れた.一方,解説コンテンツライブラリが学外から使用で きないなど MOSS を試用する上での制約を指摘する回答も あった.MOSS は商用のグループウェア製品であるため教 育用途で使用するためのカスタマイズ等も望まれる. 5. おわりに 本稿では,情報処理技術者試験対策として 4 つの方策の 検討を紹介した.これらの方策を実現するための演習環境 として, LMS による過去問題のオンライテスト化とグルー プウェアを活用した相互評価型解説コンテンツライブラリ の整備状況を報告した.今後は試験導入の結果を踏まえた 演習環境の改善と教育的効果の確認を進めていく予定であ る.