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Japan. - terrapub

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Japan. - terrapub
大騒音量化石研究会E怠
特別号,
第 12 号p.~ト358,
2001 年 12 月
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房総半島南部の上部中新統西岬層および石堂層群から産出する放散虫化石と
その地質学的意義
川上俊介$
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はじめに
について考察した.
房総半島は本州弧の南東端部に位置し,前弧地域が陸
房総半島南部の館山(たてやま)市南方には,上部中
化しているという特殊性とあいまって数多くの研究がなされてき
新統の三浦〈みうら〉層群相当層である,西岬(にしざき〉
た地域である.しかし,今回検討した上部中新統の三浦層
層および石堂(いしどう}層群が分布する (Fig. 1).本研
群相当層は,岩相及び変形構造が異なるにもかかわらず,
究ではこれらの地層群について放散虫化石を用いて堆積年
上部中新統三浦層群天津〈あまつ}層(斎藤, 1992) あ
代を検討し,半島南部の三浦層群相当層の地質学的意義
るいは上部中新統石堂層群〈中尾ほか,
1986; 小竹,
1988) などとして一括して扱われており,未だに多くの層序
-筑波大学大学院地球科学研究科
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学的問題を抱えている.なお本研究では,斎藤(1 992) に
より定義された保困層群を不整合に覆い,黒滝不整合で黒
滝層に不整合に被われる層位の中で,特に火山性砕屑物の
混入によって特徴づけられ.上方へ組粒化する一連の地層
343
川上俊介
344
群を三滞層群とする.
石堂層群については,連続的に観察される露頭が非常に少
房総半島南部 (Fig. 1)における層序学的研究に関して
は成瀬ほか(1 950 ,
1951) による先駆的研究がある.そ
なく,露出範囲が限られており,各々の層位関係については
不明なため,南朝夷地域に見られる石堂層群の全体的な年
の後の 1980 年代以降に中嶋ほか(1 981) により鴨川地域,
代の傾向についてのみ検討した.その結果,西岬層の堆積
中尾ほか(1 986) により和田{わだ)地域,小竹 (1988)
年代は後期中新世に格当し,南朝夷地域に分布する石堂
により半島南端地域,そして斎藤(1 992) により嶺岡帯以
層群は,後期中新世前期および後期中新世末期の異なる
南の半島南部全域について,本地域の三浦層群相当層を含
年代を示す綾積体が近接して分布することが解った.加え
めた層序区分が試みられた.しかし,これらの研究は本地域
て,本論では,検討した西岬層および石堂届群を,半島南
の三浦層群相当層の区分が主題ではないため,地層の名称
部に分布する模式地の石堂層群および富浦{とみうら)地
や定義が異なったまま,未だ再検討はなされていない.
域の三浦層群天津層に対比しその地質学的意義について考
一方,本地域における微化石層序学的研究は,洲崎(す
察する.
のさき)地域については浮遊性有孔虫化石を用いた米谷
(1972) および土(1 987) による研究が,和団地域につい
地質榎説
ては浮遊性有孔虫化石及び石灰質ナノ化石を用いた中尾ほ
か(1 986) による研究が,半島南端地域については浮遊
房総半島南部は本州弧の南東端部に位置し,砂岩,シ
性有孔虫化石及び石灰質ナノ化石を用いた小竹(1 988)
ルト岩,誕灰岩及び礎岩からなる海成の上部新生界が広く
による研究が,半島南部の三捕踊群相当層全体については
分布する地域である.それらは下位より,囲結度が高く,強
苔灰質ナノ化石を用いて検討した斎藤(1 992) による研究
く変形を受けたシルト岩優勢の凝灰質砂岩シルト岩互層を主
がある.しかし,これらの徹化石層序学的研究についても,
とする下部中新統保困層群,上方粗粒化を示す脅灰色シ
その見解は必ずしも一致していない.例えば,石灰質ナノ化
ルト岩優勢の捷灰質砂岩シルト岩互層を主とする上部中新
石を用いた和田町石堂周辺の試料の検討についても,中尾
統石堂層群,育灰色のシルト岩優勢の躍灰質砂岩シルト岩
ほか(1 986) ではその犠積年代を後期中新世後期 (CN9:
互層を主とし上方組粒化する上部中新統三浦層群天樟層,
石堂層群内郷層)としているのに対し,斎藤 (1992) では
脅灰色のシルト岩優勢砂岩シルト岩互層を主とし上方細粒
中期中新世後期~後期中新世前期 (CN6-8: 三浦層群天
化する上部中新統西岬層,スコリア質砂岩を主とする下部
津層)としており,同一分類群を用いているにもかかわらず異
鮮新統平館層および鏡ケ滞(かがみがうら)層.砂岩を主
なる年代となっている.また,今回検討した洲崎及び南朝夷
としシルト岩及び擁灰岩からなる上部鮮書持続~下部更新統
(みなみあさい)地域 (Fig.
1) については,先の米谷
千倉(ちくら)層群,砂岩及び醸岩を主としシルト岩層を挟
(1 972). 小竹(1 988) 及び斎藤(1 992) により断片的
在する下部更新統豊房{とよふさ)層群に区分される (Fig.
に扱われたのみであり.各々の試料の層位関係が明確でな
1).なお,沓見(くつみ)断層より南方に分布する石堂層
いだけでなく,層序区分も統一されてはいない.斎藤
群は,断層北方の模式地のそれとは明らかに異なり,著しく
(1 992) では本地域に分布する三浦層群相当層を 10
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頃から海溝海側の水深約 2000-3000 m に堆積し,その
変形を受けその泥質部が細裂状に割れる性質を持ち,極め
て複雑な構造を示す.
後に本州弧倒に付加されたことを示唆している.本地域に分
本研究地域の鮮新・更新統の地層群(千倉・豊房層群)
布する三浦層群相当層の複雑な分布形態及び地質構造は
は,北方から沓見断層,字国(うだ)断層. }If 口(かわぐ
そこに起因していると考えられる.本地域の層序を検討する
ち)断層などの北傾斜の逆断層に支配され,それぞれの断
ことにより,これまで三浦層群として一括されてきた地局群
層によって区切られた小規模な堆積盆として分布する.西岬
を,各々の地層群の異なった堆積年代および綾積環境を加
層および石堂層群は先の逆断層の近傍あるいは千倉・豊房
味することで,中新世後期の海溝周辺地域における堆積作
層群に見られる背斜部に分布する.また,千倉・豊爵層群
用をより具体的に論じることが可能となる.
は,先に示した逆断簡の周辺や下位層の分布する背斜部
本研究では,房総半島南部,洲崎地域(西岬層)及び
では簿く,逆に向斜部では厚く堆積しており,本地域に見ら
南朝夷地域(石堂層群}に分布する三浦層群相当局につ
れる東北東一西南西を示す大構造に支配されているが,そ
いて放数虫化石を用いて検討した.西師層については,そ
れに対して今回検討した商岬層は,洲崎地域の西岬層で
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は(主に北部において)西北一南東方向の構造が卓越し,石
波長の犠々なオーダーの摺曲構造が観察されるため,先ず
堂層群では一定の構造の傾向は見られずに露頭規模の断
それぞれの層序関係を認識し,西岬層全体の年代傾向を
層や摺曲による地層の繰り返しなどの複雑な構造が観察さ
把握するべく試料を採取し堆積年代について検討を行った.
れ,大構造とは非調和な構造を示す.
の主な露出の見られる海岸部において数 10 mから数 100
上部中新統西岬層および石掌層群から産出する敏散虫化石
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なお,本研究では便宜的に既存の層序区分(および地層
はあると考えられ,そのうち最下部の 100 m 程に単層の厚
名}を使用する.以下に今回検討を行った西岬層および南
さが数 m-l0m の砂岩優勢砂岩シルト岩互層が発遣す
朝夷地域の石堂層群について記載する (Fig.2).
る (Fig. 3). なお,西師層は,波佐聞の東側においてチャ
1
.
ネル状に発達するスコリア質砂岩優勢の鏡ヶ浦層に,分布
西岬膚
成瀬ほか(1 950 , 195 1)による館山市西方の洲崎全域
東縁は豊房層群に不整合に覆われる.
に分布するシルト岩優勢砂岩シルト岩 E 層からなる西岬
小竹(1 988) は西岬層を中尾ほか(1 986) により定義
(累)層に相当する.海岸部によく露出しており,洲崎から
された石堂層群の一部として区分したが,西岬層は模式地
南方の伊戸(いと)にかけてほぼ連続的な膚序が観察される
の石堂層群とは異なり,全体として下部に砂岩層が優勢し
(
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.2 , 3). 西岬層には,より上位の千倉・豊房層群や
上方細粒化を示すことから,本論では独立させた.さらに,西
房総半島全域に発達する東西性の構造とは非調和な西北ー
岬層は,後述する南朝夷地域に分布する石堂層群と比べ
東南性の摺曲構造が発達する.洲崎から東方の坂田(ばん
ても,類似した砂岩泥岩互層から構成されるが,より変形の
だ) -波佐間(はざま}にかけては 100-500 m 間隔で翼
程度が弱いため区別される.また,斎藤(1 992) は,西
問角度が 70 度前後の比較的閉じた背斜・向斜の繰り返し
岬層を含めた半島南部(嶺岡帯以南)に分布する泥質岩
が観察され,洲崎南部に比べて幾分複雑な構造を示す.な
優勢砂岩泥岩互層を主とする中~上部中新統について,千
お,西岬層は大局的には,洲崎南方の洲崎漁港付近に見
葉県天津小湊西方を模式地とする三浦層群天津層として一
られる翼間角度が 120 度前後の比較的聞いた向斜構造に
括したしかし,それは岩相変化や堆積物の変形から見る
支配される (Fig. 2).
西岬層の全層厚は,今回検討した
と斎藤(1 992) による天津層は,明らかに複数の成因を
海岸部の洲崎漁港から伊戸までにおいても少なくとも 400m
持つ堆積体が一つの層として扱われていることから考えて,不
川上俊介
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適切な定義であると考えられる.以上の理由から,本研究で
造を示す.しかし,現段階では北方の模式地や西方の西岬
は成瀬ほか(1 950 ,
層との関係が明らかではないため,小竹(1 988) の見解に
1951) による西岬(累)層の区分に
従って西岬層を用いる.
従って当地域の地層を石堂層群とした.
2
. 石室層群
放散虫化石層序
本研究では,千倉町南朝夷地域の字国断層南方に分布
する石堂層群について検討した.南朝夷地域の石堂層群
1
. 鼠料および処理
は,先の西岬層と同じくシルト岩優勢砂岩シルト岩互層では
西岬層では, a頭条件の良い海岸部から, 20 試料のシ
あるが,シルト岩の中に砂岩のプロックが不規則に混入した
ルト岩を採取した (Fig. 2-a). 特に,西岬膚下部の洲崎南
乱雑な地層によって構成される.そして,著しい変形を受け
方の西川名(にしかわな)から伊戸にかけて(試料 000212-
ており,泥質部が小指大に細裂状に割れる性質を持ってい
06""000212-20)
る.本研究では南朝夷地域の西沢寝(にしざわせき)と林
ように復雑な櫓曲構造や地層の鰻り返しが観察される.その
道山倉(やまくら)線に分布する石堂層群について検討した
ため,生層序学的に有意なハイエイタスの存在が予想される
(
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.2).
ため,挟在する凝灰岩層を追跡して地層の対比を行いそれ
なお,検討した南朝夷地域の石堂層群は,西縁
を千倉層群に不整合に覆われる.
は,山本 (2000) に報告されている
ぞれの試料の層位関係を明らかにし,集中的に試料を採取
本地域に分布する石堂層群についても,斎藤(1 992) は
した (Fig. 3). 南朝実地域の石堂層群では,比較的よく
三浦層群天津層として一括したが.本研究では,先の西岬
露出する西沢堰及び林道山倉線から網緩的にシルト岩を採
層と同様の理由で天津層とは区別した.また,中尾ほか
取し,各々のルートの全体的な年代範囲について検討した
(1986) に記載された模式地和田町の石堂層群とは明らか
(Fig.2 ・b).
に異なり,南朝夷地域では地層が小断層で分断されたり.
逆転を伴うような露頭規模の宿曲構造により極めて複雑な構
採取した試料は,それぞれ小指大に割り,約 200 g を
8%の塩酸溶液に約 24 時間浸して炭酸塩を除去し,水洗
3
4
7
上部中新統西岬層および石堂庖群から産出する放散虫化石
じでかなり連続的に産出した.
本届下部の試料
000212-08
より下位層準では
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本層上部の試料 000212 ゆ 1 より上位層準では S.
delmontensis 及び S. peregrina が全産出個体数の 10
%を超えて産出し,特に S. peregrina は,その産出個体
数が S. delmontensis の産出個体数を上回る試料
000212-03 より上位層準では,全個体数の 15 %を占め
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後に 1-2 %のフッ酸溶液中に約 6 時間浸した.その後,塩
酸.過酸化水素及びピロリン酸を用いて放散虫化石のクリー
ニングを行い,得られた残誼試料をカバーガラス及びカナダ
パルサムを用いてスライドガラスに封入し,光学顕微鏡を用
いて観察した.なお,水洗,クリーニング及び残誼の回収に
あたっては聞孔径 63μm のふるいを用いた.放散虫化石
て産出する.他に西師層の上部では Druppatractus
irregularis Popofsky , Ommatartus
antepenultimus Riedel and Sanfilippo ,
Ommatartuspenultimus(Riede l), Dictyophimus
hirundo(Haecke l), Pterocaniumcharybdeum
charybdeumMuller, Pterocaniums
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特徴的に産出する.特に , D
. irregularis , O
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penultimus, D
.hirundo 及び L. maritalis は本層上
の産出個体数が 100 個体を上回った試料については特徴
部に限り産出する.なお,下部層で特徴的に多産した C
種及び全検鏡個体数を記録し,
japonica は上部層では,
100 個体以下の試料につ
いては特徴種の有無のみを記録した (Table 1
)
.
炭酸塩の除去にあたり,西岬層及び南朝夷地域西沢堰の
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(Haeckel)と共に再堆積したと考えられる数個体が観察さ
れるのみである.他に
Thecosphaera japonica
試料については比較的豊富に有孔虫化石などの石灰質微化
Nakaseko が 2 試料 (000212-01 ,
石が産するために塩酸との強い反応が見られたが,それに
であるが観察された.
対して林道山倉線の試料についてはほとんど反応が見られな
000212-05) のみ
南朝夷地域の石堂層群の試料については,西岬層の試料
かった
と同様の手法で,林道山倉穂では 5 試料,西沢堰では 3
2
.
試料について検討を行った (Table 1).南朝実地域の石堂
各ルートにおける肱散虫化石群集
処理の結果,西師層の試料では 20 試料中の 12 試料
層群から産出する放散虫化石群集は,西抑層のそれとは異
について特徴種及び全検鏡個体数を記載した (Table 1
)
.
なり, Spumellaria の存在比が Nassellaria のそれを顕
試料 000212・ 11 以外の試料は, Nassellaria の存在比
著に上回っており, Spongodiscidae 科に属する放散虫が
が Spumellaria のそれを上回っており, Theoperidae 科
多産した
Cannartus
s
P
.D i
nSakai (1 980) , S
t
i
c
h
o
c
o
r
y
sd
e
l
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n
t
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n
s
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(CampbellandClark) , S
t
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c
h
o
c
o
r
y
speregrina
(Riede l), Theocoryss
p
.a
f
t
.T
.r
edondoensis
に属する放散虫化石が比較的多産した.また,
(Campbell and Clark) 及び Lamprocyclas
m
a
r
g
a
t
r
e
n
s
i
s (CampbellandClark) が全局準を通
西沢堰の試料からは Cannartus
約 8
s
p
.D
が全個体数の
%, S
.delmontensis が全個体数の約 4%を占め
p
e
t
t
e
r
s
s
o
n
iRiedeland
Sanf i1i ppo , O
. antepenultimus, Ommatartus
e
n
u
l
t
i
m
u
s
hughesi(CampbellandClark) 及び0. p
て産出する.他に Cannartus
が特徴的に産出する.本ルートの試料は, Spumellaria の
川上俊介
348
Th
ble1
.Radiolari加 0ωurrence ofthestudiedsections.Forthesamplesincludingonlyless 曲an
100s戸ぉimens,
ぉterisk(勺 is shownforpresen田 of correspondingspecimen.
Yam蜘 rapa偽悼h同 dan
Sunosakia陪a
Nish包aki Formation
IshidoGroup
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岬E
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1
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A剖府間間 h白p凪dum
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X恥佃官町也店卸・叫申請閣
1
母曲師時脚,曲凶ta
1
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T. n班lC8t臨調
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C酬聞批晴樹脂開us
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Ganna.地JS
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C剛健似胴 b. bit.四時
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SiphosUchalfusc田町田
10凶 sp叩削 larians ∞ untl凶
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Cannanuss
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2
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- 353 -
2328 2
2
5 - 625 -
1
2
82 3
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2 - 1
5
7 48
239 3ω.
- 1
9
5 -
- 1
7
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3
99
1
1
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- 340 -
- 323 2鈎
1
5
1
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1
8
81
2
5
85
・
26
1
8 1
2
町:1
996
・
289
2
0
61
3
7
側|
上部中新統西崎層および石堂層群から産出する放散虫化石
349
議詰
存在比は Nassellaria のそれを上回るが,それ以外の点
では西岬層上部の群集と類似した群集を示す.
林道山倉線の試料からは Xiphosphaerantha
(CampbellandClark)
a
n
g
e
l
i
n
a
1
.
後期中新世の放散虫化石群集の群集変化
及び s. peregrina がそれぞれ
本検討により,断片的ではあるが,これまで放散虫化石
全個体数の約 5 %を占めて産出し,さらに Lychnoca­
の報告の少なかった中緯度陸域の後期中新世の化石群集に
nomapar
aJ
l
e
l
i
p
e
sMotoyama
ついての知見を得ることが出来た.ここでは房総半島南部地
が特徴的に産出した.ま
た,山倉線の試料中の Spumellaria の存在比は約 90
%
に達し,先の商岬層の群集とは明らかに巽なる.なお,先述
したが,本ルートの試料のみが炭酸塩をほとんど含まず,そ
の意味でも他ルートの試料とは異なる性質を示す.
3
.
放散虫化石帯
今回得られた放散虫化石群集は,林道山倉線のものを除
S
i
t
e 436 における群集
Motoyama (
19
96)
を参考にして分帯した (Fig.4).
petterssoni の産出 (000212-14) ,
C.
E
.yatsuoense の
産出 (000212-08) 及び L. neotera の産出 (000212・
000212-1 7)カEら Cannartus
petterssoni 帯に相当する.なお,三陸沖の DSDP
S
i
t
e
C
.petterssoni 帯中のC. japonica の最
終出現層準の直下で C.
する放散虫は Sakai (1980) の報告した群集と同様に高
い多様性が観察されたため,本論では Sanfilippo
japonica の普遍的出現
Sakai (1980)
属の区分ではなく,
に従い Cannartus 属
及び Ommatartus属の区分を用いた.
特に Cannartus
s
P
.D (
P
l
a
t
e1-14a,b)
は,林道山
倉線の試料を除いて,ほぽ全ての試料中に観察された.この
Cannartuss
p
.D
は,地中海地域の陸域の Sanfilippo
e
t al
.
中におけるC. laticonus 及び o.
(1 973)
antepenultimu.ε
中緯度太平洋の DSDP
S
i
t
e310に
s
p
.B,三
(common) が報告されており (Sakai, 1980) ,このことは
おける Foreman (1 975) 中の Ommatartus
本眉下部におけるC. japonica の 10%を占める産出状況
陸沖陸側斜面の DSDP
とも調和的である.西岬層上部 (000212-01-05 ,
000302-08) は s. peregrina が全個体数
の 10% を占めて産出し ,
T. japonica , O.
antepenultimus 及び Q penultimus が共産すること
から,
S
t
i
c
h
o
c
o
r
y
speregrina
and
RiedeI( 1980) における Didymocyrtis 属及び Diartus
西岬層下部(試料 000212-08 -20) は
000302-06 ,
(Sakai,
1980) と類似性が認められた特に Artiscinae 亜科に属
(1980) による化石帯区分に従い,
436 において,
散虫化石群集の特徴について言及する.
いて,三陸沖の DSDP
得られた放散虫化石群集に基づき,本論では Sakai
08 , 000212-11 ,
域の後期中新世に特徴的な化石種について検討し,次に放
帯下部に相当すると考えら
れる.西岬層中部の試料 000212-06
- 07
は分帯区分
に有効な個体は観察されなかった.しかし,試料 000212-
(1 980)
Si
t
e438A における Reynolds
中の Ommatartus sp. 及び本邦陸域では中世
古・菅野(1 975) による茨城県高萩市の多賀層群下部か
ら産出したC. laticonus と同一種と考えられる.
Cannartuss
p
.D
はC. laticonus に類倒するが,全
体のサイズがやや C. laticonus より大きく,
(
p
o
l
a
rcolumn)
円筒柱
もより発達し,なおかつ殻がより厚い.ま
た外殻 (cortical twin-shell)に突起 (protuberance)
06 から S. delmontensis が S. peregrina の個体数を上
が発達し,様々な大きさの殻孔 (pore) が不規則に配列す
Cannartuss
p
.D が全個体数の 4%
を占めること , C
annartuss
p
.Ei
nSakai (1 980) が
産出すること,および E. yatsuoense, L
.neotera が産
出しないことから , C
. petterssoni 帯中上部から
Ommatartuspenultimus 帯下部のどこかに相当すると考
るC. laticonus に対して,
なお,
えられる.
ことから区別される.恐らく,この Ommatartus
回って産出すること ,
Cannartuss
p
.D
の外殻は,
幾分滑らかな表面を持ち大きさのそろった殻孔が配列する.
Cannartuss
p
.D
の Ommatartus
s
p
.A
は,先の Foreman (1 975) 中
に類似するが,より外殻中央部の
くびれが発達し,円筒柱の付け根の構造は明確になっている
s
p
.A
は
penultimus が共産し,さらに C. petterssoni と c
Cannartuss
p
.D
Cannartuss
p
.D
hughesi の共産関係から少なくともC. petterssoni 帯から
るように,中緯度域に特徴的な化石種であると考えられる.
商沢堰の石堂層群の試料は O. antepenultimus と Q
O
.antepenultimus 帯のどこかに対応すると考えられる.
一方,林道山倉線の試料は ,
S
.peregrina
paraJJelipes の共産関係から,
Motoyama(1 996)
および L.
の祖先型に近いものと考えられる.また
は,既存の産出報告地域から理解され
西岬層下部では Cyrtocapsella japonica が普通的
に観察され,その中に不規則な形態を持つもの (Plate
2
-
に報
11) が頻繁に観察された.特に試料 000212-08 では,不
告されている L. parallelおes の生存期間に相当する O.
規則な形態のC. japonica がその全個体数中の約 3 分の
penu1timus 帯上部から S. peregrina 帯下部のどこかに
1 を占めて観察された.また,今回検討した石堂層群をも含
相当すると考えられる.
めた西岬層下部より上位の層準では Druppatractus
川上俊介
350
園田昌=
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‘ち言
Mi悶mi舗舗
君主
Z:::;)
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a(出陣曲川y)
雲g
号一
{N13一2
08
均単側蜘nFm.
随省也aIcI FI肌
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「意
i国
書
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官F。宮£
崎善要
(
言問
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釧epenu伽凶
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匡霊 Sandr
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Distu巾ed 加ds
(
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)after 細川19位}
(
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)after 蜘胸 etal. (1蜘}
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B
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g
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l
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s (Plate1 ・ 9)
が普遍的に観察された .
D
.
P
.a
f
f
. audax
は Lazarus
e
tal
. (1 985)
ーにより P.
S
i
t
e 372
(
S
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f
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p
p
oe
tal
.
.1978=S
t
a
u
r
o
x
i
p
h
o
scommunis
Carnevale) 及び南極域の ODP Leg119 及び Leg 1
20
(
L
a
z
a
r
u
s
. 1992= L
i
t
h
a
t
r
a
c
t
u
stimmsRCampbell
andClark) から報告されており,本邦では中世古・菅野
孔が小さく殻が全体的に簿く,第3殻室がほぼ円柱形になっ
(
1
9
7
3
)(
=
L
i
t
h
a
t
r
a
c
t
u
stochigiens必 Nakaseko)
る
irregularis は,類似した種が地中海の DSDP
び
and Furutani
Sugiyama
及
(
1994) (=
S
t
y
l
o
s
p
h
a
e
r
a(?) t
i
m
m
s
i
(
C
a
m
p
b
e
l
landClark)) に
外形がより小さく副腕 (by-spine) の発達する種が報告さ
T
.a
f
f
.
T
.redondoensis に似るが,より殻
audaxの small formとして記載されたものである.
redondoensis は .
ていることから区別される.また,本検討試料中の T.
a
f
f
.
Nakaseko (1 963) に報告されてい
Eucyrtidium ?s
p
.B に類似するが,第 1 殻室がより
redondoensis は.
大きく,第 2 殻室と第 3 殻室の聞の狭窄部がより発達してい
る.
今回検討した西岬層及び西沢堰の石堂層群の放散虫化
Si
t
e436 にお
Do
r
c
a
d
o
s
p
y
r
i
s
れている.これらの形態は類似しているが,その生息範囲及
石群集は,先述したように三陸沖の DSDP
び生存期聞がそれぞれ異なっており,今後のより詳細な比
ける群集 (Sakai. 1980) に類似するが.
較検討を必要とする.
alata 帯から Stichocorys peregrina 帯にかけて連続し
他の特徴的な種としては Pterocanium
(
P
l
a
t
e
2
1
6
a
.b)
及び Theocorys
a
f
f
. audax
a
f
f
.r
e
d
o
n
d
o
e
n
s
i
s
(Plate2・ 3a. b) がほぼ検討試料全体を通じて観察された.
n
i
p
p
o
n
i
c
a(Nakaseko).
a
n
t
e
p
e
n
u
l
t
i
m
u
s
Lychnocanoma m
agna-
て産出する Lychnocanoma
および D. alata 帯から Ommatartus
帯中部にかけて産出する
上部中新統商岬層および石堂層群から産出する放散虫化石
c
o
r
n
u
t
aSakai
が産出しないという点で異なる.これら2化
3
5
1
なお,浮遊性有孔虫化石及び石灰質ナノ化石の化石帯の
e
ta1
.(1 995)
石種は,日本近海の九州ーパラオ海嶺付近における DSDP
年代値については Berggren
S
i
t
e 296 では同時期の堆積物中からの産出報告がない
(Li ng , 1975). しかし,本邦の中~上部中新統ではこれ
緯度地域の放散虫の生層序イベントや化石帯については,
らは普遍的に産出する化石種であり,房総半島においても
CandeandKent (1 995)
中部中新統三浦層群天津層中には L. magnacornuta の
補足的に Spencer-Cervato
産出が報告されている(本山・高橋,
総半島の中新統と DSDP
(Sakai ,
1980) から,
北西太平洋について検討した本山・丸山(1 998)
1997). つまり,房
西岬層上部の試料
S
i
t
e 436 における産出状況
よび 000302-08 は.
L
.níPPDnica
および L.
magnaュ
に従った.中
体数の 10
中の
に対応させた年代値に従い,
e
ta1.( 1993) を参考にした.
000212-01- 05 , 000302-06 お
S
t
i
c
h
o
c
o
r
y
speregrína が全個
%を超えて産出するため , S
.peregrína の急
cornuta が房総半島周辺を境にして高緯度地域においてよ
増イベント (6.8・ 7.3Ma: 本山・丸山,
り長い生存期間を示す可能性が考えられる.
あると考えられ,
1998) よりも後で
Lychnocanomaparallelípes が産出し
この問題をより詳細に論じるためには後述する房総半島に
ないため,その出現以前であると考えられる.さらに試料
おける三浦層群相当層の堆積場についても論じねばならな
000212-06 は S. peregrína の産出個体数が上位側の輯
い.先に示した天棒層は,分布地域および分布形態から,嶺
料 (000212-0 1)に比べて明らかに少なく (Table 1) ,急
間帯の北側に堆積した前弧堆積体と考えられる.それに対
増イベント以前の堆積物であると考えられる.故に,試料
して,今回検討した西岬層および石堂層群は,後述するよ
000212-01 と 000212-06 聞に S. peregrína 急増イベ
S
.peregrina
うに海溝および海溝以南で堆積した可能性があり,堆積場
ントが存在すると考えられる.なお,
という観点からは決定的に異なる.つまり,天津層は放散虫
イベントは先の DSDP
化石の産出報告のある主な本邦中新統の海成堆積物と同じ
antepenult加1US 帯の中ほどに見られ,このことは本山・丸
S
i
t
e 436
の急婚
では Ommatartus
.く大陸プレート側に位置する現地位堆積体である.それに
山 (1998) の年代値とそれほど矛盾しない.しかし,本山・
対して,今回検討した西岬層および石堂層群は沈み込む海
丸山(1 998) では S. peregrina の急増イベントと L
洋プレート側に位置した堆積物であり,この堆積場の相違は
parallelipes の出現イベント (6.8-7.3Ma) はほぼ同時期
放散虫化石群集にも少なからぬ影響を与えた可能性がある.
であり,まず S. peregrina の急増イベントがあり次に L.
この問題については,同じく海洋プレート側に堆積したと考え
paraJlelípes の出現があると考えられる本地域の出現順序
られる三浦半島に分布する葉山層群および三浦層群などと
とは若干異なる.このことは ,
合わせて,海洋プレート側のデータを増やして比較検討して
の堆積場より北方の地域に適応した種であるためと考えられ
ゆく必要がある.
る.
また,林道山倉線の石堂層群の試料からは,先の L.
magnacornuta
米谷(1 972) では,洲崎北岸.大構造をなす洲崎誠
L.
港の向斜の北翼側,数 100 m 間隔で複雑に槽曲が発達す
1996) が産出し,他の試料
る地域を主として 13 試料について浮遊性有孔虫化石を用い
から進化してきたと考えられる
para
J
l
el厓es(Motoyama,
L
.parallelípes が,本地域
Globorotalia
と比べ Spumellaria の存在比が Nassellaria のそれに比
て年代検討を行っており,その結果 ,
べ顕著に多く,本邦の後期中新世以降に普遍的に見られる
plesiotumida の産出及び Globorotalía tumida の無
Thecosphaera 属に属する放散虫が観察される.このこと
産出から,
は,林道山倉線の群集は,西岬扇の群集に対してより後期
G
l
o
b
o
r
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僘(
G
.
) tumidap
l
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s
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m
i
d
aConsectiveュ
の群集であるということを示唆する.
rangezone (N17) に対比している.これは Berggren
e
ta1
. (1 995) の Globigerinoides extremusJ
2
.
西岬層及び南朝夷地域の石堂層群の堆積年代
Blow (1 969)
による浮遊性有孔虫化石帯の
石を用いた米谷(1 972) および土 (1987) ,石灰質ナノ化
Globorotalia plesiotumida -Groborotalia
l
e
n
g
u
e
n
s
i
sIntervalSubzone(M13b:8
.
3-6.0Ma)
石及び浮遊性有孔虫化石を用いた小竹(1 988) ,石灰質
に相当する.土 (1987) は
ナノ化石を用いた斎藤(1 992) による研究がある.同様に
からBlow (1 969) による浮遊性有孔虫化石の番号帯N16-
南朝夷地域の石堂層群については小竹(1 988) 及び斎藤
17 を,また,西川名の試料(西岬層中~上部)から番号
(1 992) により検討がなされている.米谷(1 972) ,土
帯 N14-17 を示す有孔虫化石を報告している.また,斎藤
(1 986) 及び斎藤 (1992) については,試料採取地点と
(1992) でも北岸の試料について石灰質ナノ化石を用いて年
共に産出化石が報告されており,ここではそれらの堆積年代
代検討を行っており ,
西師層の堆積年代の検討については,浮遊性有孔虫化
坂田の試料(西岬層上部)
の検討と比較し,西岬盾及び南朝夷地域の石堂層群の堆
Discoaster berggrenii と
D﨎coasterquinqueramus の共産関係から石灰質ナノ化
積年代とその地質学的意味について考察する.
石帯 CN9
(
8
.
6-5.6Ma) (Berggrene
ta1
.
.1995)
に
川上俊介
352
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Am
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uFormation 面白eTomi旧宮町宮&
相当する年代を得ている.これらは,本山・丸山 (1998)
いるが,年代決定に有効な化石が得られていない.また西
による S. peregrina の急増イベントの年代値 (6.8-7.3Ma)
岬層下部の試料 000212-08
と調和的であり,先の検討と矛盾しない.
Cannartuspetterssoni 帯
中上部から O. penultimus 帯最下部に相当すると考えら
れる.米谷(1 972) では,ほぽ同一層準(試料 :My
からは,本山・丸山
(1998) で生贋序イベントとして検討されている分類群が得
また,西岬層中部にあたる試料 000212-06 の堆積年代
については,先述したように,
- 20
884)
られなかったため,ここでは便宜的に Spencer-Cervato
e
t
. (1 993) 中の DSDP S
i
t
e436 の年代値に従う.西岬
al
層下部では 1 試料
(000212-14) のみではあるが,
C
.
petterssoni と O. antepenu1timus が共産する.c.
Ma , O.
が浮遊性有孔虫化石帯 M13b (8.3Ma-6.0Ma) に対比
petterssoni の消滅イベントは 9.0-9.3
されている.先の S. peregrina の急摺イベント (6.8-
antepenultimus の出現イベントは 9.8-10.0 Ma と見積
7.3Ma) が試料 000212-01 と 000212-06 の聞に相当す
もられていることから,共産関係から得られる堆積年代は
ることと考え合わせると,少なくとも8.3-6.8Maのどこかに相
10.0-9.0Ma に相当すると考えられる.さらに西岬層下部
当すると考えられる.
の試料からは Cyrtocapsella japonica が多産し,
西岬層下部については,斎藤(1 992) により検討されて
L
i
t
h
o
p
e
r
aneotera が産出するため,後述する南朝夷地
上部中新統西岬鰭および石堂層群から産出する般散虫化石
域西沢堰の石堂層群より幾分古い堆積物であると考えられ
3
5
3
本研究によって得られた商岬層及び南朝夷地域の石堂層
群を周辺地域の三滅層群相当層に対比し,その地質学的
る.
西岬層下部は.
F
i
g
.3
に示してあるように砂岩優勢砂泥
意義について考察する.
互盾として特徴づけられるだけでなく,山本 (2000) に報
房総半島南部地域に分布する三浦層群相当局は,
F
i
g
.
告されているように著しい側方圧縮を伴うスラスト系が集中す
1 に示してあるように富浦地域の三浦層群天津層,和団地
るゾーンとしても認識される.このことは少なからず研究地域
域の(模式地の)石堂層群字国断層北部地域の石堂層
の層序に影響を及ぼしていると考えられる.土 (1987) で
群,そして今回検討した西岬層及び南朝夷地域の石堂層
は,スラストの集中するゾーンの伊戸甑港南方の背斜軸付
群がある.
近から採取された試料から Blow (1969) の N19 番号帯
勢砂岩シルト岩 E 層,砂岩優勢砂岩シルト岩互層及び乱
に相当する浮遊性有孔虫化石が報告されている.これは,
堆積層の三種類に大別される.
年代的には西岬層を不整合に覆う鏡ヶ浦層の年代を示唆し
年代を, Fig.5 にその堆積環境を示した.なお,各々の地
ていると考えられるが再検討の余地がある.スラストゾーン北
域の堆積年代については,富浦地域は斎藤(1 992) ,和
これらの三浦層群相当層の岩相は,シルト岩優
F
i
g
.4にこれらの岩相と堆積
側に相当する西川名漁港の試料 000212-06 から 000212・
田地域は中尾ほか(1 986) 及び斎藤(1 992) を,字国
08 の聞に観察される放散虫化石の群集変化は非常に急激
断層北部地域は斎藤(1 992) による石灰質ナノ化石を用
であり,時間間隙の可能性も考えられ,さらに試料の採取間
いた堆積年代を Berggren
e
tal
. (1 995)
による年代値
隔を細かくして検討する必要がある.本地域に予想される堆
に適用させて示した.なお,さらに,中尾ほか(1 986) では,
積ギャップは,見かけ上であり,実際には,先のスラストゾー
石灰質ナノ化石による年代検討 (CN9) の他に古地磁気層
ンに起因している可能性があり,他の化石群によるクロス
位学的検討も行っており,その結果,上部の砂岩の優勢す
チェックを含め,今後のより細かい年代学的検討が必要であ
る層準以外の石堂層群の大部分を第 6 逆磁極期 (6.6-
る.
7.4Ma:ChronC3Br-C3Ar.CandeandKent, 1995)
次に荷朝夷地域西沢寝の石堂層群の堆積年代であるが,
S
.peregrina
の存在比から少なくとも S. peregr;臼a 急増
に対比しているが,斎藤(1 992) では,同じ模式地の石
堂層群を石堂周辺の試料 (AM21 , 22) から CN6-CN8 の
:Berggrene
ta l.,
イベント以前の堆積物と考えられる.なお,西沢堰の試料も,
堆積年代 (8.6-1 1.3Ma
先の西岬層下部の試料と同様に,本山・丸山 (1998) で
ており,両者には 1 Ma 以上の輔たりがあり,今後の再検
生層序イベントとして扱っている分類群が産出しないため,
討を要する.
Spencer-Cervatoe
tal
. (1 993) の年代値に従う.試料
970324-11 のみではあるが. C
. petterssoni と O.
層群は,上方組粒化しながら整合的に堆積したと結論づけ
C
.petterssoni の消滅イベン
ている.また,底生有孔虫化石による古水深の検討,石灰
penultimus が共産する.
中尾ほか(1 986) は,層位学的検討から模式地、の石堂
Q penultimus の出現イベントは 9.8-
質微化石と放散虫化石の相対含有率の変化を観察すること
と見積もられていることから,堆積年代は 9.9~9.0
で,石堂層群の古水深が CCD 以深(約 4000 m) から
トは 9.0-9.3
9
.
9Ma
Ma.
1995) を得
Ma に相当すると考えられる.
最上部では 2000m 以深まで次第に浅くなっていったことを
南朝夷地域林道山倉鶴の石堂層群の堆積年代は,連続
的に産出するム parallelipes の生存期間の 6.8マ.3
Ma (本山・丸山.
Ma
示唆した.この結果から,中尾ほか(1 986) では石堂層群
を,古南海トラフの延長部に相当する古相模トラフ中に堆積
1998) の聞のどこかに相当する
を開始して海溝のジャンプによって本州弧側に付加した堆積
と考えられる.また,先述したように S. peregrina 急増イ
体であり,堆積が付加とほぼ同時に起こったとしている.この
ベントより上位の西岬層からはム parallelipes が産出しな
ことは,ほぽ堆積物の厚さ分だけ堆積探度が浅くなっているこ
~5.6
いため.
6
.
8
7
.
3 Ma
より後の堆積が予想される.斎藤
(1 992) でも林道山倉線の千倉町側の入り口近くにおける試
料 (AM 63) について年代検討を行っており .
D
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s
t
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r
berggrenii と Disc,伺 ster quinqueramus の共産関係
から石灰質ナノ化石帯 CN9 (8.6~5.6Ma)
al
.
.
(Berggrene
t
1995) に相当する年代を得ている.これは,ム
とや,上部にスランプ堆積物が発達することからも支持され
る.
また,北里(1 986) は,底生有孔虫化石を用いて,南
部フォッサマグナ地域の後期中新世の海底地形を東に向かつ
て CCD 以深まで深くなる地形と推定した.さらに徐・谷口
(1988) は,石堂層群とその西側に位置する三浦半島の三
paraJleJipe.幼生存期聞から考えられる堆積年代と調和的で
浦層群三崎層および大磯地域大磯層の堆積物の岩石学的
ある.
特徴を比較し,伊豆弧上にそれらの堆積場を配置して,火
3
.
房総半島南部地場の上部中新統の層序区分とそのテ
クトニックな意義
山フロントの背弧側に大磯層を,伊豆前弧梅盆に三崎層を,
そして前弧斜面中に(模式地の)石堂層群を位置付けた.
川上俊介
354
これらと本研究の結果を考えあわせると,中尾ほか
petterssoni 帯から Ommatartus antepenultimus 帯
(1 986) による堆積場の推定を前提とするならば,房総半
に,山倉林道の石堂層群は Ommatartus p
enultimus
島南部の上部中新統の堆積環境がある程度限定される.ま
帯上部から Stichocorys peregrina 帯下部に相当する.
ず,南朝夷地域林道山倉糠の石堂層群であるが,これは
(2) 中~高緯度の放散虫化石の生層序イベントを検討する
炭酸塩をほとんど含まないという岩石的特徴及び堆積年代か
ことにより.酋岬層は S. peregrina の急増イベントを含み
ら,模式地の石堂層群下部の CCD 以深のトラフ底堆積物
に対比される.しかし,明らかにより強い変形を受けているこ
1
0
.
0-6
.
8Ma,南朝夷地域西沢寝の石堂層群は 9.99
.
0Ma,林道山倉線の石堂層群は 7.3 - 5
.
6Ma のどこ
とから,同じトラフ底堆積物でも異なる変形場に位置してい
かに堆積期聞が棺当すると推定された.
たのかもしれない.これについては,今後この地域の石堂層
(3) 本研究地域周辺に分布する上部中新統の三浦層群相
群の変形史について検討しなければならない.
次に,西岬層及び西沢堰の石堂層群についてであるが,
これらは模式地及び林道山倉線の石堂層群より海側に位置
当局について,その堆積年代及び岩相変化から,それぞれ
の堆積環境が推定された.それらは北側から,本州弧の下
部陸側斜面(富務地域の三浦層群天津層) .トラフ底堆積
し,有孔虫化石を含むような CCD より浅い環境での雄積が
物~本州弧の下部陸側斜面(模式地の石堂層群) .トラフ
推定されることから,古南海トラフ以南の伊豆前弧斜面中に
底堆積物(南朝夷地域山倉林道の石堂層群).伊豆前弧
位置していたと考えられる.徐・谷口 (1988) は,伊豆前
斜面堆積物(西岬層及び南朝夷地域西沢堰の石堂層群)
弧斜面中に中尾ほか(1 986) に記載された模式地の石堂
に相当すると考えられた.
層群の堆積場を推定したが,それは東西~東北東一西南
謝辞
西方向の摺曲構造が卓越するというフィールドでの事実と調
和的ではない.つまり,それに対して東西性の構造に対して
本研究をすすめるにあたり筑波大学の小川勇二郎教授に
不調和な構造をなす,字国断層以南の三浦層群相当層の
は始終御指導いただいた.地質調査総合センターの斎藤虞
構造は,伊豆弧側における堆積作用を反映しているのかもし
氏には野外調査および放散虫化石の分析にあたり有益な助
れない.模式地の石堂層群の西方に位置する富浦地域の天
言をいただいた.筑波大学の山本由弦氏には,西岬層の分
津層及び萩生層 (Fig. 1 , 4) は,模式地の石堂層群とほ
布する洲崎地域の層位学的調査にあたり鍵層の層序関係等
ぼ同じ年代を示し,西方延長に位置し,有孔虫化石などの
についての貴重な未公表試料を提供し,さらに始終有益な議
石灰質微化石に富むこと(斎藤, 1992) から,模式地の石
論をしていただいた.また,筑披大学の本山功助教授,兵
堂層群堆積時の下部陸側斜面に堆積していたことが推定さ
庫教育大学の竹村厚司助教授ならびに姫路工業大学の古
れる.そして,伊豆弧側に堆積した西岬層および石堂層群
谷裕助教授には,本稿の査読において有益な意見と適切な
が陸側斜面を構成するようになってから,鏡ヶ浦層,千倉層
指摘をいただいた.以上の方々に心から感謝致します.
群および豊房層群が頼に陸側斜面の下位層のつくる窪地に
文献
堆積してt,..~ったと考えられる.
これらの地層群が堆積していた頃,嶺岡帯以北の房総半
Be唱gren, W.
A
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.Kent, D
.v., S
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.C.,皿組dAublぁ
島では,前弧海盆における模式地の天津層から清澄層の堆
M.-P. , 1995, Ar
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nBerggren, W.A., Kent, D
.V.,
Aub思 M.-P.andH釘denbol, J
.
.e也., Geochronology,
積が進行していたと考えられる.これらの三浦層群相当局
は,三浦層群天津層や石堂層群のように.前弧海盆や海
溝陸側斜面堆積盆あるいは海溝充填堆積物を一括して一つ
の層序区分として分類するものではなく,別個の独立した層
序区分の中で理解される必要がある.
まとめ
房総半島南部の洲崎地域の西岬層及び南朝夷地域の石
堂層群の堆積年代について放散虫化石を用いて検討を行っ
た.
(1)本研究地域の西岬層及び石堂層群中には中緯度に特
有の放散虫化石が多種観察された.西岬層は Cannartus
petterssoni 帯から Stichocorys peregr:加a 帯下部に
相当し,南朝夷地域西沢堰の石堂層群は Cannartus
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紀層一.地質雑,
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川上俊介
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