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パブラール製剤に含まれる白金 バラジウムコロイ 空

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パブラール製剤に含まれる白金 バラジウムコロイ 空
薬理 と臨床
第 19巻 第
6号 2009年 H月
7 (397)
パ プ ラール 製剤 に含まれる白金および
パ ラジウム コロイ ドと溶存酸素 および
ヒ ドロキ シル ラジカルの反 応
京都工芸繊維大学大学院 生体分子 工学部門
田嶋 邦彦
櫻井 康 博
大石 俊恵
金折 賢二
安田女子大学 薬学部
森本 千恵
安 田女子大学 家政学部
坂本
俊治
キ ー ワ ー ド :パ プ ラール製剤 ,白 金 ,パ ラジ ウム,コ ロイ ド,水 素 ,溶 存酸素濃度
ヒ ドロキシルラジカル消去活 性,ESR,ス ピン トラッピング
緒
,
水素 の血 中投与 ある いは 吸 引な どによる供給 が検
討 され て いるD。 水素原 子 は溶存水素 に比 べ て ヒ
rEI
ヒ ドロキ シル ラジカル消去活 性を維持 ある いは
ドロキ シル ラジカル との反応が 速 い に ∼ 7× 109
M判 Sl)の ことが知 られて い る。水溶液 中で溶存
改善す るため に,抗 酸化活性 を備 えた医 薬品ある
水素 を水素原子 に変換す る機構 として ,白 金 ある
いは食品な どが注 目され ,そ れ らの抗 酸化活性 に
いはパ ラジウムな どの金 属 団体 表面 にお ける水素
つ いて 物理 化学 的な研 究 が 継 続 されて いる
1∼ 3)。
溶存水素 による ヒ ドロキ シル ラジカル の消去反応
が注 目 を集 めて いる
4)。
溶存水 素 とヒ ドロキ シル
ラジカル の反応速度定数は 6× 107M●
分子 の吸着 と水素原子 へ の活 陛化が ある 。 白金お
よびパ ラジウムの金属 コロイ ド溶液で あるパ プラ
ール 製斉Jは 原液 (3.OmL)中 にコ ロイ ド状 の 白金
s■ 程度 で
0.6mgと パ ラジウム0.9mgを 含 み ,コ ロイ ド表面
あ り,そ の反応速度 は比較 的遅 いが ,無 毒な溶存
に吸着 した水素 によって ヒ ドロキ シリ
レラジカル を
Chernical・ Reactivity of Pd‐ ,and Pt― coHoid lnvolved in Papuraru to Solvated Oxygen and Hydroxyl
Radical
Kunihiko TAJIMA(Department of Biomolecular Engineering,Kyoto lnstitute of Technology,Kyoto,
Japan)et al.
薬理と臨床 19(6):397∼ 404,2009
薬理 と臨床 第 19巻第 6号
(398) 8
消去す る機能 を有 して いるD。 パ プ ラ ー ル製斉」
の
Ptコ ロイ ドの粒径 はお お よそ 50A,Pdコ ロィ ド
の粒径 はおお よそ 100Aで あ り,そ の主 な効能 は
急性 胃炎お よび 胃粘膜 損傷 に対す る効果 である
2009年 11月
み合わ せて して 使用 した 。FI‐ ESR測 定 システム
は 高速液体 ク ロマ トグラフ分析 用
送液ポ ンプ,
(TOSOH)の
6方 切 り替えバル ブ,イ ンジェクシ
パ プ ラー ル製斉」
は, ヒ ドロキ シリ
レラジカル に対 し
ョ ンバ ル ブ お よび扁 平型 石 英 ESRフ コー セ ル
(Wilmad)で 構成 され,こ れ らを通 常 のHPLC用
て優れた消 去活性 を有 し,そ の重 量 あた りの消去
のPEEKチ ュ ーブ (外 径 1.58mm,内 径 0
8)。
9。
活性 は ビタ ミンCに 匹敵す る
本研究 では,パ プラール 製斉Jと ヒ ドロキ シル ラ
ジカルお よび 溶存酸素 との反応 を研 究 し,そ れ ら
の反 応 にお け るPtお よ び Pdコ ロ イ ドの作 用機序
を検 討 した。前者 の ヒ ドロキ シル ラジカルの消去
活 性 は フ ロー イ ン ジェ ク シ ョ ンESR装 置
(FI¨
ESR)3)を 使 用 して 検 討 した 。 さ らに,後 者 の溶
存酸素 との反応 は,電 気化 学 検出法 による溶存酸
素濃度 の時 間変化を計測 した。 本論文では,Ptコ
ロイ ドが ドロキ シル ラジカル消去活 性 について 中
心的 な役割 を果 た し,Pdコ ロ イ ドはPtコ ロ イ ド
の溶存酸素 による酸化 的な失活 を抑 制す る作用 を
有す ることを報告す る。
13mm)
で接続 した。光照射 には,石 英ガ ラス とテ フロン
ス ペ ー サ ー で構 成 され る フ ロー 型 の 照 射 セ ル
GEOL)を 使用 し,紫 外線照射 には光 フ ァイバ ー
式照射装置 (三 永電機 ,UV-203S,150W)使 用
したの。DMPO/OHラ ジカル の濃 度 は,安 定 ラジ
カルで あるTEMPOL(和 光純 薬 )の ESR信 号強
度 と濃度 の検量線か ら評 価 した 。 また,磁 場掃 引
形式で観測す るESR信 号 の強度補正 には外 部標準
試料 として 酸化 マ グネ シウム に希釈 したMn(II)イ
オ ンを使用 し,磁 場強度 の補 正 にはMn(II)イ オ ン
由来 のESR信 号 の低磁 場か ら3本 目 と4本 目 の分
(8.69 mT)を 基準 とした。なお,FI‐ ESR
法 にお ける信号 強度 の実 験誤差 は ±5%以 内で あ
裂幅
る。溶存酸素濃度 の測定 にはTD‐ 51型 微量溶存酸
実
1.試
験
薬
パ プラーリ
の原液 (1.OmL中 にPdコ ロイ ド
レ製斉」
0.3mg,Ptコ ロィ ドの白金0.2mg)を 開封直後 に測
素計 (東 興化学研 究所 )を 使用 した。溶存酸素濃
度 のゼ ロ点補 正 には亜 硫酸水素 ナ トリウム の飽和
溶液 を使用 した。 また,大 気 を連続的に通 気 した
超純水 の溶存酸素濃 度 (8.H
して測定値 を校正 した。
mg/mL)を 基準 と
定 に使用 した。 さ らに,パ プ ラー ル製 剤 の原料で
ある,単 独 のPdコ ロイ ド溶液 (0.6mg/mL)お ょび
Ptコ ロイ ド溶液 (0.4mg/111L)を 測定 に使用 した。
結 果 と 考 察
パ プ ラール 製剤お よび 両 コ ロイ ド溶液 は東洋厚生
1.Ptお よびPdコ ロイ ド溶液および パ プラール
製薬所 か ら提 供 され た。 5,5_dimethyl-1‐ pyrrO_
製剤の酸素吸収挙動
パ プ ラー ル製 剤 の主成 分である Ptお よ 費 dコ
ロイ ドと溶 存 酸 素 の 反 応 を電 極 法 で 観 測 した
line_1_Oxide lDMPO)は 市販 の試薬 (Labotech)
を精 製 せ ず にそ の まま測定 に 使用 した。 DMPO
および過酸化水素 の水溶液 は ,超 純水 を使 用 して
大 気 中で 調 製 した 。 ESR信 号 の 強 度 補 正 に は
TEMPOL (2,2,6,6_tetramethyl‐ 4_hydroxyp―
iperidine― N― oxyl,和 光純薬 )を そ の まま使 用 し
た。 いずれ の試薬及び測定溶液 も測定 の直前 に所
定 の濃度 に調製 した。
2.FI― ESR損 1定 および溶 存酸素濃度の測定
ESR測 定 )こ はTE‐ 100 型電子 ス ピン共 鳴装
(日 本電子 )に 改良型IPRITソ フ トウエ ア と組
FI―
置
CJブ /2た
αJ P/1θ ″
″
2α ε
O′ 0,α れ
′τた
ι
′
¢
′y
(Fig.1-1)。
あ らか じめ空 気 を通気 した蒸 留水
(1.2 mL)の 溶存酸素量 ヤ
ま約 8.lmg/mLで あるが
水素ガ スで 置換 した0.4mLの Ptコ ロイ ド溶液 を加
えた混 合溶液 (Pt,0.10mg/mL)の 溶存 酸素濃
度 は 1分 以 内で ほぼゼ ロに 達 した。 この とき ,Pt
コロイ ドが 吸収 した溶存酸素量 は 9.96mgで ある。
次 に ,同 様 に して 0.4mLの Pdコ ロイ ド溶 液 を
1.2mLの 空 気飽和 した超純水 に混合す る と ed,
0.15 mg/mL),溶 存酸素濃度 は1分 以 内 に3.6mg/
mLの 一定値 に達 し,こ のPdコ ロイ ド溶液が吸収
薬理 と臨床 第 19巻 第
9 (399)
△ 0ロ
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9 8 7 6 5 4 3 2 1
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Figure l
6号 2009年 H月
60tillnc(sf0
100
X
120
140
Time dependence of solvated oxygen concentration(mg/mL)of colloidal sOlutions
observed before aeration(1-1)Pd colloid(A:Pd,0.15 mg/mL),Pt colloid(□
:Pt,
0.10 mg/mL),and papuraru(GD:Pt,0.10 mg/mL and Pd,0.15 mg/mL),and after
aeration(1… 2)× ,sunl of the oxygen consumption by Pd and Pt colloids.
The concentration of Pd and Pt c0110ids was equalto that of papuraru.
した 溶存 酸素量 は4.20mgで あ る。 この 結果 は
,
パ プ ラール 製 剤 に含 まれ るPtコ ロ イ ドは Pdコ ロ
イ ドに比 べ て溶存酸素 を効果的 に吸収す る ことを
示唆 して いる。 ここで比 較 のため に,パ プラール
粒子 の性質はそ の粒子径 ,表 面状態お よび 溶存水
素濃 度等 の影 響 を受 け るため ,Ptお よ dPdコ ロ
イ ドの酸素親和性 を定量的 に議論す る ことは 困難
の原 液 0.8mlを 空気飽 和 した超純水 0.8mLに
製斉」
で ある。 ここで ,パ プラー ル製 剤 の主成分である
Ptお よ費 dコ ロ イ ドの酸 素親和性 を比較す る限
混合す る と (Pdコ ロイ ド0.15mg/mL,Ptコ ロィ
ド01l mg/mL),混 合か ら約 1分 以内 に溶存酸素濃
り,酸 素吸収量 のほ とん どはPtコ ロィ ドに依存 し
て いる ことが結論でき る。
度 はほぼ 0に 達 し,そ の時間変化 は先 に述 べ たPt
次 に,こ れ ら単独 のPdお よ びRの コ ロイ ド溶
コロイ ドと類似 して いた 。一 般 に,金 属 コロイ ド
液 の溶存酸素濃度が 8.Omg/mLに 達す るまで空 気
crJれ Jε αJ Pttα ttα ε
ο′
οgy
αれどrLι z″ ′y
薬理 と臨床 第 19巻第
(400) 10
6号 2009年 H月
Figure 2 ESR spectrum observed for DIIPO/OH radical.
The downward arrow indicates the static field for FI―
ESR measurements.
を充分 に通気 し,そ の後 の酸素濃度 の 時間変化 を
記録 した (Figure l-2)。 単独 のPtコ ロイ ド溶 液
減少速 度 はPdが 最 も遅 く (約 0.lmg/mL・ min),
Ptと パ プ ラー ル 製 剤 が ほぼ 等 しく約 0.5mg/mL・
(0.lmg/mL)の 場 合 ,酸 素 ガス通気 を停 止 した
後 に。 溶存酸 素濃度 は徐 々 に低下 し,約 120秒 後
に酸 素濃 度 は 約 7.22mg/mLに 減 少 した。 他方
単独 のPdコ ロイ ド溶液 (0.15mg/mL)の 溶存酸
minで あった。試み として ,単 独 のPtお よび Pdコ
,
素吸収はPtに 比べ て 遅 く,約 120秒 後 に溶 存酸素
ロイ ドの酸素消費量 を加算 して ,パ プ ラー ル製剤
と組 成比 が等 しい仮 想的な溶液 の溶存酸素濃度 の
時間変 化 をプ ロ ッ トす る と (Figure l-2),そ の
酸素濃度 は組成が 同 じパ プ ラール 製剤 の観測結果
濃度 は約 7
70mg/mLま で減 少 した。 これ らの酸
素飽和状態 にお ける酸素吸収 は ,前 述 の水素ガ ス
を有意 に下回る傾 向 が 認め られた。 これは ,パ プ
ラー ル製剤 に含 まれるPdと Ptコ ロイ ドは溶液 中
置換 したコ ロイ ド溶 液 の酸素吸収 に比 べ て特徴 的
で相互 作用 し,結 果 的 に溶存酸素 の 吸収 を抑 制 し
に遅 い。興 味深 い ことに ,こ の遅 い酸素吸収 の 挙
動 は水素 置換 したPdコ ロイ ド溶液およびパ プ ラー
た可能性 を示唆 して いる。酸素吸収 をコ ロイ ド金
属 の酸化失活 と考 え る と,こ の観測結果 はパ プ ラ
ル製 剤 につ いて観測 さ れた ,1分 以 降 の遅 い 酸素
吸収 の挙動 とほぼ一 致 している。 これは ,こ の遅
ール 製剤 で 共存す るPdコ ロ イ ドは ,Ptコ ロ イ ド
の酸化失活 を抑制す る効果 を有す る ことを意 味 し
い溶 存酸素 の消費 過程 は ,Ptお よ び Pdコ ロ ィ ド
に比べ て十 分な溶存 酸素 が存在す る場合 に観測 さ
て いる。
れる現象 である可能 性 を支持 して いる。 また ,こ
の遅 い過程 の酸素吸 収量 は コ ロイ ド濃度 に依存す
2.Ptお よびPdコ ロイ ド混合比率 の ヒ ドロキ シ
る ことか ら (data not shown),金 属 コ ロイ ドが
流通型電子 ス ピン共 鳴法
ル ラ ジカル消書 舌性
(FI‐
ESR)に よって
,
溶存酸素 を消費す る 可能性 を示唆 している。 した
が って ,こ の遅 い溶存 酸素 の 消費 は金 属 コロイ ド
混合 組成 の 異なる Ptお よびPdコ ロ ィ ド混 合溶液
の ヒ ドロ キ シル ラジカ ル 消 去活 性 を検 討 した 。
の酸化 的な失活過程 に関連 した反応 として考 える
DMPOを ス ピ ン トラッ ピング試薬 と して使用 し
DMPOの ヒ ドロキ シル ラジカル アダク ト① MPO/
OH)の ESR信 号 を測定対象 とした。過酸化 水素
ことが できる。
次 に,パ プラール 製剤 の2倍 希釈溶液 (Pdコ ロ
ィ ド0.15111g/mL,Ptコ ロィ ド0.lmg/mL)に つ
いて も充分 に空 気 を通気 後 の溶存酸素濃度 の時間
変化 を記 録 した (Figure l-2)。 測定 開始か ら溶
存酸素 濃度 は単 調 に 減少 し,約 120秒 後 にお ける
,
の紫外線照射で生成 す るヒ ドロキ シル ラジカル を
DMPO/OHラ
ジカリ
レとして検出 した 。FiguFe 2に
示 したESRス ペ ク トル は,HPLCポ ンプか ら連続
的 に送液す る超 純水 (1.OmL/min)に イ ンジェク
シ ョンバ ル ブか らDMPO(100μ M)と 過酸化 水
溶存 酸素濃度 は約 7.15mg/mLで あ った。溶存 酸
素濃度 の時間変化 は単 独 のPtコ ロイ ド溶液 の観測
素
結果 に類似 して いる 。 また ,見 か けの酸素濃度 の
液 とす る)を 注入 (0.2mL)し ,反 応溶液がESRセ
C′ ,4ゴ ι
α′Pた α″
αεO′ Ogy αれどZた 9′ッ
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“
(500mM)の 混合溶液
(以 下 ,コ ン トロー ル 溶
第 19巻 第
薬理 と臨床
6号 2009年 H月
11 (401)
3-1
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C-4
C-5
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C-7
C-8
PTPc_10
10
15
time(min)
Figure 3 FI― ESR signals of DⅣIPO/OH radical observed for each iniectiOn Of reaction mixture containing
DMPO(100
μM),H202(500 μM)and diluted(0.05%to l.0%)colloidal solutions.(3-1)FI¨
ESR
signal observed for control solution(A),and diluted colloidal solution of(Pt O.04 mg/mL,Pd O.3
mg/mL),B-1,0.03%;B… 2,0.05%;B-3,0.08%;B-4,0.10%;B-5,0.12%;B-6,0.15%;B-7,0.20
%;B… 8,0.30%;B-9,0.50%.(3-2)FI― ESR signal observed for control solution(A),and diluted
c01loidal solution of(Pt O.2 mg/mL,Pd o.06 mg/mL),C-1,0.005%;C-2,0.01%;C-3,0.03%,C¨
4,
0.05%;C-5,0.10%,C-6,0.15%;C-7,0.20%;C-8,0.309`;C-9,0.50%. FI― ESR measurements
were conducted by following condition;microwave power lo mW,modulation width O.16 1nT,
amplitude 1000,time constants l.O ms,sampling interval l.O ms,and number of accumulation
1000.
ル に到達 した時点で 送液 を停 止 して外 部磁場 を掃
ク頂点 に磁 場 を固定 し,HPLCポ ンプか ら超純水
引 して 記録 した 。ESR信 号 は強 度比1:2:2:1の
を毎分 1.OmLで 連続的 に送液 しなが ら,イ ンジェ
クシ ョンバル ブか ら コ ン トロー ル溶液 を注入す る
(aH=aN=1.50mT)を 示 し,そ
の信号 の線形 と微細 結合定数か ら,本 ラジカル を
4本 線 の微細分裂
DMPO/OHラ ジカル と帰属 した。次 に ,DMPO/
OHラ ジカル のESR信 号 の低磁場か ら2本 目の ピー
と,DMPO/OHラ ジカリ
レの信号強度 の時間変化 曲
線 が観測 された (Figure 3-1)。 TEMPOLラ ジカ
ル のESR信 号強度 を基準 として ,コ ン トロー ル溶
CJげ れ′
εα′Pttα ttπ αcο ′
οgッ
クれグ r72ι ″
¢′ッ
薬理 と臨床
(402) 12
第 19巻第
6号 2009年 H月
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口 ◆
■◆ ▲
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各 コ ロ イ ド溶 液 の希 釈 率 (%)
◇墜
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0
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o.1
各 コロイ ド溶液 の希釈率 (%)
Figure 4 1nhibitory curves of mixed solutions of Pd and Pt colloid.(4-1)圏
mixed solution composed of Pd
(0.3 mg/mL)and Pt colloid(0.o4mg/mL),◆ Pd(o.3 mg/mL)and Pt colloid(0.04mg/mL),and▲
Pd colloid(0.3 mg/mL)and Pt colloid(o.lmg/mL);(4-2)□ mixed solution composed of Pd(o.15
mg/mL)and Pt colloid(0.2 mg/mL),◇ Pd c0110id(o.15 mg/mL)and Pt colloid(o.2 mg/mL),and
∠ゝPd c0110id(0,3 mg/1nL)and Pt colloid(o.2mg/mL).The bottom horizontal axis cOrresponds to
the dilution(%)of these inixed colloidal s01utiOns.
液 のDMPO/OHラ ジカル の濃度
([DMPO/OH]c)
Mと 解析 した。
あ らか じめ水素ガス を通 気 したPdコ ロイ ド(o.3
mg/mL)と Ptコ ロイ ド (0.04mg/mL)の 混合溶
は2.6μ
液 を測 定試料 とし,空 気 で飽 和 した超純水で 0.4%
か ら0.02%に 希釈 した測定溶液 につ いてFI― ESR測
CJJκ Jε α
′P″ αp72α ε
Oあgy
α燿グτみ
ι
″
9′ ッ
定 を行 つた (Figure 3-2)。 純水 で 0.05%に 希釈
した コ ロイ ド溶液 を含 む コ ン トロー ル溶液 をFI―
ESRシ ステム に注入す る と,DMPO/OHラ ジカリレ
の信 号強度 は コ ン トロー ルの 約 90%に 減 少 した。
希釈率 の低下 につれて ,DMPO/OHラ ジカル の強
度 は段階的 に減少 し,最 終的 に希釈率力Ю.5%の 溶
薬理と臨床 第19巻第 6 号
2009年 H月
13 (403)
レ
液で はDMPO/OHラ ジカル の強度 は コ ン トロー リ
溶液 の約 25%に 減少 した。 コ ロイ ド溶液 を加 えた
が増加 して も見か け の抗酸化活性 は ,ほ とん ど変
化 しない ことを意 味 して いる。 また,抗 酸化 曲線
溶液 のDMPO/OHラ ジカル濃度
のシグモイ ド曲線 の線形 もPd濃 度 と無 関係 に一 致
釈 率 を横軸 に とって 抗 酸化 曲線 をプ ロ ッ トした
し,そ の線形か ら反応 次数 pは ほぼ 1と 解析 された。
Ptお よJPdコ ロイ ド溶液 の混合溶液 の ヒ ドロキ
シル ラジカル に対す る抗酸化反応 では ,Ptコ ロイ
([DMPO/OH]s)
とコ ン トロール 溶液 のDMPO/OH濃 度 ([DMPO/
OH]c)と の比率(%)を 縦軸 に,コ ロイ ド溶液 の希
(Figure 4-1,轟 :Pd O.3mg/mL,Pt O.04mg/mL,
◆ :Pd O.3mg/mL, Pt O.l mg/mL, ▲ :Pd O.3
mg/mL,Pt O.2mg/mL)。
ドが 中心的な役割 を果 た して いる ことが 明 らか に
された。
いず れ もコロイ ド溶液
もシグモイ ド型 の線形 を示 し,見 か け のID50値 は
それぞ れ約 0.14,0.2お ょび 0.25%で あ り,Ptコ
ロイ ドの濃度増加 につ れてID50値 が減少す る傾 向
払
結
F田
が 顕著 である ,こ れ は,ヒ ドロキ シル ラジカ ル の
あ らか じめ 水素置 換 したPd,Ptコ ロ イ ド溶 液
お よび パ プ ラール製 剤 は ,急 速な溶存酸 素 を吸 収
消 去活 性 が Ptの 添加 によ って 向上 した結果 で あ
る。 さ らに,抗 酸化 曲線 の線形 を比較す る と ,Pt
し,Ptコ ロイ ドの溶存酸素吸収 量 はパ プ ラール製
剤 にほぼ等 しく,Pdコ ロイ ドを有意 に上回る 6さ
濃度 の低下 につれて シグモイ ド曲線がなだ らか に
なる傾 向 が ある。 シグモイ ド曲線 の線 形は競争反
らに ,3種 類 のコ ロイ ド溶液 の 水素 を空 気 で置換
す る と,金 属 コロイ ドの酸化 的な失活 に伴 う遅 い
応 の反応次数 Φ)に 依存 して変化する。
溶 存酸 素濃 度 の 低下 が認 め られ ,Ptコ ロイ ドは
リや
Pdコ ロイ ドに比べて溶存酸素 による酸化 を受 セ
す い。 また ,パ プラー ル製斉Jの 溶 存酸素 吸収量 と
p・
OH+Aox=H20+P'Oduct
(1カ
た とえば,上 式 の反応で はp=2の シグモイ ド曲線
の線形 は,p=1に 比べ てなだ らかにな ることがシ
単独 のPtお よ び Pdコ ロイ ド溶 液 の酸 素吸収 量 の
比較か ら,パ プ ラー ル製剤 に含 まれ るPdコ ロイ ド
はPtコ ロイ ドの酸化 的 な失活 を抑制す る効果 を有
す る 可能性 が示唆 された 。FI‐ ESR法 で評 価 した
ミュレーション計算 によって明 らかである。Pdお
よびPtコ ロイ ド混合 溶液 の抗 酸化曲線 の線形は
Ptの 存在比率が低下するにつれて ,見 かけの反応
Pdお よ びPtコ ロ イ ドの ヒ ドロキ シル ラジ カル消
去活 性 の比 較か ら,Ptコ ロ イ ドの 消去活 性 がPd
次数 pが 1を 上 回る ことを示 唆 して いる 。 実 際 に
Pdコ ロ イ ド (0.3mg/mL)お よび Ptコ ロ イ ド
コ ロイ ドの活性を上回る ことが判 明 した。さ らに
パ プラール 製剤 のヒ ドロキ シル ラジカル消去活性
,
(0.04mg/mL)混 合溶液 の反応次数pは 約2と 解析
され た。 この結果 は,Pdお よ びPtコ ロ イ ドの抗
酸 化活 性機 構 を考え る うえ で興 味深 い 知見 で あ
り,今 後 の詳細な解析が期待 され る。
次 に,同 様 の測定手順で Ptコ ロイ ド溶液 とPdコ
ロイ ド溶液 の混合溶 液 (Pt,0.2mg/mL,Pd,0.06
か ら0.3mg/mL)に ついてFI‐ ESR測 定 を行 い ,そ
れぞれ の抗酸化曲線 をプ ロ ッ トした (Figure 4-2,
O.06mg/mL,Pt O.2mg/mL,◇ :Pd O.15
mg/mL,Pt O.2mg/mL, △ :Pd 03mg/mL, Pt
,
は単独 のPtコ ロイ ドとほぼ等 しい ことか ら,パ プ
レラジカル活性 は 主 にPt
レ製剤 のヒ ドロキ シリ
ラーフ
コ ロイ ドに起 因す る ことが結 論 された。以上 の結
果か ら,パ プ ラール製剤 の安 定性 と優 れた抗酸化
活性 は ,共 存 す るPtコ ロ イ ドとPdコ ロ イ ドに起
因す る ことが半J明 した 。
謝
辞
□ :Pd
O.2mg/mL)。 組成 の異な る コロイ ド溶液 の抗酸
化 曲線 はほぼ重な り,ID50値 は 0.1%か ら0.12%の
範 囲で一 致 した。 この結果は Pdコ ロイ ドの濃度
パプラール製剤,Ptコ ロイ ド溶液 およ♂ dコ ロイ
ド溶液 を ご提供頂 いた株 式会社東洋厚 生製 薬所の築
地栄一 社長 に深謝 します。
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