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H22活12 - 新潟県農業総合研究所
新潟県農林水産業研究成果集(平成22年度) 活 用 技 術 平成 22 年度 飼料用玄米の加工処理方法と栄養価の関係 [要約] 飼料用玄米 を乾物比で 40%混合した飼料を給与した場合、 蒸気加熱圧ぺん 、 破 砕 、 粉砕 処理することで、玄米の 可消化エネルギー は 40%程度向上できる。 農業総合研究所畜産研究センター 酪農肉牛科 連絡先 TEL 0256-46-3103 FAX 0256-46-4865 [背景・ねらい] 飼料用米は、飼料自給率を高めるために必要な飼料原料となる。一方、飼料用米はその まま給与した場合、未消化子実の排せつによる栄養価の低下が危惧されることから、何ら かの加工処理が必要と考えられる。 そこで、飼料用玄米を蒸気加熱圧ぺん、粉砕、破砕の処理を施した場合の栄養価の変化 を明らかにするために、乾乳牛を用いた出納試験を行い、その効果を評価する。 [成果の内容・特徴] 1 飼料用玄米を無処理のまま給与すると、未消化子実が排せつされるため、可消化エネ ルギーが低下するのに対し、蒸気加熱圧ぺん、破砕、粉砕処理すると、その栄養価は大き く向上する(表2)。また、玄米給与に比べて、加工処理したものを給与すると繊維の消化 率が低下する(飼料用米の形状は図参照)。 2 飼料用米を給与する際の加工処理の違いは、ルーメン内容液性状、血液性状に大きな 影響を及ぼさない(表3)。 [成果の活用面・留意点] 1 試験には、 「北陸 193 号」の玄米を用い、蒸気加熱圧ぺんは、90℃の蒸気で 10 分蒸し た後ローラーで圧ぺんし、粉砕は、カッティングミルにより2mm メッシュを通過させ、 破砕は、中央農業総合研究センターおよび畜産草地研究所において共同開発された飼料 用米破砕機の原型機を用いて、破砕ローラーの隙間を1mm 程度に設定し、処理したも のである。なお、飼料用米破砕機は、平成 21 年9月から市販されている。 2 この成果は、基礎飼料としてイタリアンライグラスサイレージを乾物として 60%、飼 料用玄米を 40%給与する条件で、ホルスタイン種乾乳牛 4 頭を用い、1期を 14 日間、 本期(採ふん期間)を5日間とする4×4ラテン方格法で、全ふん、全尿採取による出 納試験で得られたものである。 3 未消化子実排せつ率は、玄米区についてのみ調査し、玄米の摂取量、5日間の排ふん 量およびそのふん中の未消化子実割合(全ふんの 20%を水洗)をもとに求めた。 新潟県農林水産業研究成果集(平成22年度) [具体的データ] 表1 供試飼料の成分組成(乾物中%) 2) 項目 \ 飼料名 IR DM(原物中%) CP NDF EE NFC GE(Mkcal/kg) 1) 玄米 48.0 12.6 53.3 2.3 30.9 4.50 86.1 7.9 5.3 2.8 84.0 4.32 圧ぺん米 破砕米 85.7 7.4 4.2 1.7 86.7 4.30 粉砕米 85.1 7.8 4.2 2.5 85.5 4.36 85.4 7.8 3.8 2.6 85.8 4.34 1) IR:イタリアンライグラスサイレージ 2) DM:乾物、CP:粗蛋白質、NDF:中性デタージェント繊維、EE:粗脂肪、 NFC:非繊維性炭水化物、GE:総エネルギー 表2 飼料全体の消化率(%)および加工処理別のエネルギー価 表3 ルーメン内容液および血液性状 項目 \ 試験区 項目2) \ 試験区 玄米 圧ぺん米 破砕米 粉砕米 DM 67.7 b 76.8 a 77.5 a 75.9 a 1) 68.5 b 78.6 a 79.2 a 77.5 a OM CP 54.9 55.8 58.4 54.5 NDF 72.5 A 66.3 B 68.3 B 68.0 B EE 65.5 73.8 76.2 76.4 87.6 A 87.2 A 85.1 A NFC 67.0 B b a a GE 66.4 76.2 76.6 74.9 a 飼料全体の 2.94 B 3.36 A 3.40 A 3.32 A DE1 )(Mkcal/kg) 3) 飼料米のDE 2.82 B 3.89 A 3.98 A 3.78 A (Mkcal/kg) 3) B A A 70.4 92.5 96.3 94.0 A 飼料米のTDN 未消化子実排 25.1 - - - 4) せつ率 1) OM:有機物、DE:可消化エネルギー 2) 同一行の異符号間に有意差あり a, b(p<0.05) A,B(P<0.01) 3)飼料米のDE、TDN(可消化養分総量)は、間接法により求めた 4) ー記号は、未調査を現す ルーメン内容液性状 pH NH4-N(mg/dl)1) 総VFA(mmol/dl) 1) 酢酸/プロピオン酸 血液性状2) GOT(IU/L) BUN(mg/dl) GLU(mg/dl) Ca(mg/dl) P(mg/dl) 玄米 圧ぺん米 破砕米 粉砕米 7.17 3.7 9.2 3.83 7.06 3.4 9.5 3.57 7.32 2.8 9.3 3.99 7.35 3.5 8.7 3.80 26 8.8 84 9.8 6.4 29 7.3 83 9.8 5.9 36 8.3 87 9.3 6.4 31 8.0 85 9.7 6.8 1)NH4-N:アンモニア態窒素、VFA:揮発性脂肪酸 2)GOT:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、BUN:血中尿 素窒素、GLU:グルコース、Ca:カルシウム、P:リン 蒸 玄 気 加 米 熱 圧 ぺ ん 粉 破 砕 砕 図 供試した飼料用米の形状 [その他] 研究課題名:稲発酵粗飼料、稲わら等自給粗飼料と地域資源を活用した発酵 TMR 調製・ 給与技術の開発 予算区分:委託プロ(えさプロ2系) 研究期間:平成 19~21 年度 発表論文等: