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日本の中小企業・小規模事業者政策 - 中小企業庁

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日本の中小企業・小規模事業者政策 - 中小企業庁
日本の中小企業・小規模事業者政策
経 済 産 業 省 中 小 企 業 庁
2013年8月
目
次
1.総論
(1)中小企業とは
(2)中小企業支援体制
(3)中小企業関連予算
3.近時の法改正
2.主な中小企業政策
(1)中小企業を守る
(2)仕事を創る
4.“ちいさな企業”成長本部
1
1.総論
(1)中小企業とは
(2)中小企業支援体制
(3)中小企業関連予算
2
1.(1)
中小企業とは①
・中小企業は、我が国企業数の99.7%、従業者数の7割、付加価値
額(製造業)の5割強を占めるなど、「日本経済の基盤を形成」している。
・ トヨタ、ホンダ、ソニーなどの大企業も町工場からスタートしており、中
小企業の活性化は、市場における競争を促進し、「新産業の創出及び
産業構造の転換の原動力」となりうる。
・大企業の製品も、その大半が下請中小企業の部品で構成されており、
「日本製品の信頼は、中小企業の底力が支えている」。
・ 地域経済は、サービス業、小売業、建設業を中心とした中小企業の活
動によって支えられており、中小企業が「地域経済の活性化」と「就業の
機会の増大」の役割を担っている。
3
1.(1)
中小企業とは② ~定義~
中小企業基本法(1963年制定)
中小企業基本法(1999年改正)
中小企業像
中小企業像
我が国経済の基盤・ダイナミズムの源泉
社会的弱者(画一的な捉え方)
基本理念
基本理念
独立した中小企業の多様で活力ある成長発展
企業間における生産性等の「諸格差の是正」
中小企業基本法の定義
法人税法による定義
中小企業者
うち小規模事業者
業種
資本金
従業員
従業員
製造業
3億円以下
300人以下
20人以下
卸売業
1億円以下
100人以下
5人以下
資本金
1億円以下
サービス業
5,000万円以下
100人以下
5人以下
小売業
5,000万円以下
50人以下
5人以下
4
1.(1)
中小企業とは③ ~政策の変遷~
これまで中小企業政策は、時代の要請に応じて基本理念が見直されつつ、金融政策、振興政策、指導・組織
化政策など、様々な支援施策が整備・充実されてきた。
戦後復興期
高度成長期
安定成長期
転換期
(1945~)
(1955~)
(1970~)
(1989~)
経済力の集中を防止、
健全な中小企業の育成
基本理念
やる気と能力のある
中小企業の支援
二重構造論:
中小企業と大企業との格差是正
○中小企業庁設立(1948)
○中小企業基本法の制定(1963)
○中小企業基本法の改正(1999)
○独占禁止法(1947)
○商工組合中央金庫設立(1936)
金融政策
○ 国民金融公庫(1949) ○中小企業金融公庫(1953)設立
○中小企業信用保険法(1950)
○信用保証協会法(1953)
振興政策
○中小企業基本法の改正(2013)
○株式会社日本政策金融公庫法(2007)
○株式会社商工組合中央金庫法(2007)
○信用保険制度の拡充(2007)
○海外展開に伴う資金調達支援(2012)
○中小企業倒産防止共済法の改正(2010)
○中小企業基盤整備機構設立(2004)
○中小企業振興事業団設立(1967)
○中小企業相談所の設置(1948)
○中小ものづくり高度化法(2006)
○中小企業近代化促進法(1963)
○認定経営革新支援機関(2012)
○中小企業診断員登録制度(1953)
○高度化融資制度(1966)
○中小企業地域資源活用促進法(2007)
○中小企業事業転換法(1976)
○地域商店街活性化法(2009)
○中小企業大学校(1980)
○中小企業新事業活動促進法(2005)
○青色申告制度(1949)
○新連携支援(2005)
○個別産業振興(機械工業振興臨時措置法(1956))
○農商工連携法(2008)
○小規模企業共済法(1965)
○小規模企業共済法の改正(2009)
○下請代金法(1956)
○官公需法(1966)
○産業再生特別措置法(2009) ○産活法の改正(2011)
○商工会議所法(1953)
組織化政策
○マル経融資制度創設(1973)
○中小企業投資育成株式会社(1963)
現在
○商工会法(1960)
○商店街振興組合法(1962)
○中小企業団体組織法(1957)
○中小企業協同組合法(1949)
5
1.(1)
中小企業とは④ ~企業数・従業者数等~
中小企業は、我が国420万企業のうち99.7%を占める。従業者数、付加価値額(製造業)においても、それ
ぞれ6割、5割以上を占める。
企業数(420万社)
大企業
約1.2万社
0.3%
中小企業
約419万社
99.7%
従業者数
大企業
約1,446万人
34%
(4,273万人)
中小企業
約2,827万人
66%
大企業
中小企業
付加価値額(製造業) 約39.7兆円 約40.6兆円
49.5%
50.6%
(80.3兆円)
経済産業省 「工業統計表」(2009年)
総務省 「事業所・企業統計調査」(2009年)再編加工
6
1.(2)
中小企業支援体制①
中小企業政策は、中小企業庁を司令塔として、関連する様々な組織が協力して実施される。
2013年7月末時点
中小企業庁
予算
認定
予算
日本貿易振興機構
(JETRO)
中小企業政策の企画立案
地方経済産業局 (8)
中小企業基盤整備機構
(SMRJ)
申請
経営革新等支援機関(認定支援機関)
(13,459機関)
専門家派遣等
の協力業務
士業
商工組合中央金庫
本店(1)、店舗(100)
※経営革新等支援機関として認定済
国際化
支援
人材育成
訓練プロ
グラム
予算
予算
本部(1)、地方支部(9)
本部(1)、大阪本部(1)
国内事務所(37)
アジア経済研究所(1)
中小企業
大学校(9)
予算
都道府県(47)
地方中小企業政策
の企画立案
予算
日本政策
金融公庫
本店(1)、支店(152)
中小企業支援センター
都道府県等(47)
各地域(13)
※経営革新等支援機関 51
保険
金融機関
信用保証協会
商工会議所 (514)
※経営革新等支援機関210
商工会(1,719)
- 経営相談
- 講習会開催
-情報提供
-専門家派遣 等
(52)
既存の中小企業支援者
※経営革新等支援機関として
全て認定済
- 経営相談
- 講習会開催
-情報提供
-専門家派遣 等
- 経営状況の分析
- 事業計画の策定支援
-事業計画の実施 等
融資
信用保証
中小企業 (420万社)
7
1.(2)
中小企業支援体制②
答申
経済産業大臣
中小企業政策審議会
諮問
大臣官房
中小企業庁
経済産業政策局
長官
通商政策局
地方経済産業局
次長
貿易経済協力局
長官官房
産業技術環境局
事業環境部
部長
参事官室
企画課
業務管理官室
経営安定対策室
広報相談室
調査室
経営支援部
部長
経営支援課
製造産業局
商務情報政策局
資源エネルギー庁
小規模政策室
新事業促進課
国際室
金融課
創業・技術課
特許庁
財務課
商業課
取引課
8
1.(2)
中小企業支援体制③
参事官室:
中小企業庁の所掌事務に関する総合調整に関すること等
広報相談室:
広報に関すること等
企画課:
中小企業の育成及び発展を図るための基本となる方策の企画及び立案に関すること等
経営安定対策室:
中小企業の経営の安定に関すること等
調査室:
中小企業の育成及び発展並びにその経営の向上に必要な事項についての総合的な情報
の収集、分析及び提供に関すること等
国際室:
中小企業庁の所掌事務に係る国際協力に関すること等
金融課:
中小企業に対する円滑な資金の供給に関すること等
財務課:
中小企業に関する税制に関する調整に関すること、中小企業における経営の承継の円滑
化に関すること等
取引課:
中小企業に係る取引の適正化に関すること、中小企業の事業活動の機会の確保に関する
こと等
経営支援課:
中小企業の経営方法の改善その他の経営の向上に関すること等
小規模政策室:
小規模企業支援に関すること等
新事業促進課:
中小企業の新たな事業活動を通じた経営の向上に関すること等
創業・技術課:
中小企業の新たな事業の創出に関すること、中小企業の技術の向上に関すること等
商業課:
中小小売商業及び中小サービス業並びに中小卸売業の育成及び発展等
9
1.(3) 平成25年度 中小企業・小規模事業者関係予算のポイント
※( )内は平成24年度予算額
大型経済対策(補正)と25年度予算の「切れ目のない対策」により、地域経済を支える中小企業・小規模事業者
の活力を引き出すとともに、事業再生に向けた取組の徹底支援を行う。
25年度予算では、小規模事業者に着目した施策を拡充するとともに、ものづくりや海外展開への新たな挑戦、
地域商業の機能強化、中小企業・小規模事業者の事業再生の取組を支援する。
緊急経済対策(補正予算)5,434億円
(うち財務省計上1,713億円))
1.中小企業・小規模事業者による
地域経済の活性化、地域需要の創造
○ものづくり補助金
1,007億円
○商店街まちづくり事業
200億円
○地域商店街活性化事業
100億円
○地域需要創造型等起業・創業促進補助金
200億円
○人材対策事業
282億円
○海外展開事業化・研修支援事業 20億円
○ビジネス創造等支援事業 15億円
○地域力活用市場獲得等支援事業200億円
○消費税転嫁対策窓口相談等事業 42億円
平成25年度中小企業対策費 予算
<政府全体>1811億円※(1802億円) (うち経済産業省1071億円(1060億円))
※復旧・復興経費を除く。復旧・復興経費を含む中小企業関係予算は、政府全体で2963億円(3356億円)、経済産業省関連分は1947億円(2048億円)。
中小企業・小規模事業者の支援 <1071億円(1060億円)>
ものづくりや海外展開等への新たな挑戦の支援
小規模事業者等の支援
○小規模事業者活性化補助金 30億円(新規)
○ものづくり中小企業連携支援事業 119億円(新規)
○中小企業・小規模事業者
ビジネス創造等支援事業 48億円(新規)
○中小企業海外展開総合支援事業 32億円(新規)
○下請中小企業・小規模事業者等
自立化支援事業
7億円(新規)
○ものづくり小規模事業者等人材育成事業
4億円(新規)
○新事業活動・農商工連携等促進支援事業
19億円(新規)
地域商業の機能強化による地域経済の活性化
○地域中小商業支援事業 39億円(新規)
資金繰り支援
○資金繰り支援 265億円(270億円)
2.中小企業・小規模事業者の事業再生
○中小企業再生支援協議会事業 43億円(47億円) ○中小企業経営力強化資金融資事業 4億円(新規)
○中小企業経営力基盤支援事業
○認定支援機関による経営改善計画策定支援 ○認定支援機関等研修事業
1億円(新規)
(経営力強化保証制度)2億円(2億円)
405億円
○中小企業再生支援協議会の体制強化
被災中小企業・小規模事業者の復旧・復興支援<復興特会:877億円(988億円)>
40億円
○【復興】資金繰り支援(東日本大震災特別貸付等) 530億円(315億円)
○認定支援機関向け
経営改善・事業再生研修事業
5億円
○【復興】中小企業組合等共同施設等災害復旧事業(グループ補助金) 250億円(500億円)
○資金繰り支援策
2,893億円
(うち財務省計上1,713億円)
中小企業・小規模事業者の事業再生
○【復興】仮設工場・仮設店舗等の整備
30億円(50億円)
○【復興】中小企業再生支援協議会事業(産業復興相談センター) 31億円(新規) 等
10
2.主な中小企業政策
(1)中小企業を守る
(2)仕事を創る
11
2.(1)
中小企業を守る① ~資金繰り対策~
・中小企業は、資産に乏しく、財務基盤も弱く、株式公開市場から資本を調達することが困難である等の理由
により、円滑な資金供給の確保は最も重要な課題の一つ。
このため、「政府系金融機関」を設立し、中小企業に対して低利、長期の資金を供給する体制を整備。
また、公的金融機関のみでは資金供給に限界があるため、民間金融機関の資金を活用することとし、民間
金融機関から中小企業への借入債務を保証し、返済が行われない場合には代位弁済を行う「信用補完
制度」を整備。
・現在(2012年度末)、公的金融機関の中小企業向け貸出残高は、中小企業向け貸出残高全体約240兆
円のうち約9%の22.5兆円、信用保証債務残高は約13%の32兆円であり、民間金融機関を補完する体
制となっている。
中小企業向け貸出残高の推移
350
300
28.2
〔9.2%〕
250
民間金融機関による貸出残高
民間金融機関
公的金融機関(公庫・商工中金)
27.6
〔9.7%〕
26.8
〔10.1%〕
政府系金融機関(日本政策金融公庫、商工中金)
信用保証債務残高
26.3
〔10.3%〕
25.5
〔10.3%〕
24.3
〔9.8%〕
23.0
〔9.1%〕
21.7
〔8.7%〕
21.3
〔8.7%〕
22.2
〔9.1%〕
22.5
〔9.4%〕
22.5
〔9.5%〕
22.4
〔9.5%〕
238.2
〔89.9%〕
228.4
〔89.7%〕
221.5
〔89.7%〕
224.4
〔90.2%〕
230.7
〔90.9%〕
227.1
〔91.3%〕
225.0
〔91.3%〕
220.4
〔90.9%〕
217.0
〔90.6%〕
214.2
〔90.5%〕
213.4
〔90.5%〕
33.2
〔12.5%〕
2002
31.1
〔12.2%〕
2003
29.7
〔12.0%〕
2004
28.8
〔11.6%〕
2005
29.3
〔11.5%〕
2006
29.4
〔11.8%〕
2007
33.9
〔13.8%〕
2008
35.9
〔14.8%〕
2009
35.1
〔14.6%〕
2010
34.4
〔14.6%〕
2011
200
150
279.3
〔90.8%〕
100
50
0
258.6
〔90.3%〕
41.5
〔13.5%〕
37.0
〔12.9%〕
2000
2001
中小企業向け貸出のうち、
保証協会による保証付きの貸出
32.1
〔13.6%〕
2012
(年度)
12
2.(1)
中小企業を守る① ~資金繰り対策~
・我が国420万の中小企業にとって、円滑な資金供給の確保は経営上最も重要な課題。
・中小企業向けの政策金融機関は、中小企業向け融資全体の1割程度を安定的に供給。信用保証付きの
融資と併せた場合、中小企業向け融資全体のうち2割程度を公的な融資が担っている。
・具体的には、主に中小企業への①政策融資(創業や海外展開の支援融資)、②セーフティネット融資
(一時的に業況が悪化している企業や災害(地震・台風等)被害を受けた企業等への融資)を行っている。
日本政策金融公庫
(JFC)
商工組合中央金庫
会員企業向け融資
会員企業
(約7.3万社)
中規模企業向け融資
出資
工場等
(約4.7
万社)
小規模企業向け融資
自営業者等
(約95.8
万社)
2013年3月末
13
2.(1)
中小企業を守る① ~資金繰り対策~
・信用力・担保力が不足している中小企業の資金供給を円滑化するため、信用保証協会(全国52ヶ所)が
中小企業の借入債務を民間金融機関に対して保証する。
・保証債務の返済が行われない場合、信用保証協会が代位返済を行う。
4.融資
中小企業
民間金融機関
1.保証の申込み
(一般的に銀行を通じて行われる)
3.保証契約(注)・代位弁済
日本政策金融公庫
(JFC)
信用保証協会
(保証残高:約32兆円)
2.保険契約
出資・監督
補助金・監督
政府
保証を有する中小企業が債務不履行と
なると、保証債務の概ね8割~10割を
信用保証協会が代位弁済する。
2013年3月末
14
2.(1)
中小企業を守る① ~資金繰り支援~
中小企業の中でも経営資源が乏しく、生産性が低い小規模企業の経営改善を支援するため、日本政策金融
公庫から無担保・保証人不要・低金利で融資を行う。
日本政策金融公庫 (JFC)
2.融資推薦
3.無担保・無保証人・低利融資
1.95%(2013年5月現在)
商工会・商工会議所
(国民生活金融公庫の基準金利(貸付期間
5年以内)-0.3%)
1.会計記帳・ビジネスプラン作成指導
約3万5千件、約1500億円
(平成23年度)
小規模企業
担保価値のある財産を持っていない
経営不安
会計記帳・ビジネスプランを作成する技能が経営者に不足
15
2.(1)
中小企業を守る② ~下請取引対策~
・下請中小企業は交渉力が弱く、親事業者が自身の優越的地位を濫用した行為(代金支払いの遅延や
不当な代金の値引き等)によって、利益が侵害されている。このような親事業者の不公正な行為を取り締ま
る規制法を運用することで、下請中小企業の事業環境を整備。
・平成24年度は約26万社に調査を行い、その結果、不当な代金の値引き分等の約13.0億円を親事業者から
返還等させた。
・また、全国48箇所に設置した下請かけこみ寺で相談員と400名以上の弁護士による無料相談やADR(裁判
外紛争解決手続)を実施。
【平成24年度の中小企業庁の下請代金支払遅延等防止法運用状況】
同法に基づく調査
同法に基づく親事業者への指導
警告
書面調査
9,011社
約26万社
立入検査
1,158社
申告受付
改善指導
1,035社
公正取引委員会への
措置請求
79件
より悪質な違反
1社
相談のうち、同法違反の疑いが強い案件は移送
下請かけこみ寺
相談件数:4,931件
16
2.(1)
中小企業を守る③ ~中小企業税制~
中小企業税制は金融制度と同様、最も重要な中小企業施策の一つ。様々な優遇的減免税措置による税負担の軽減等
を通じて、中小企業の事業活動の活性化を支援。
○ 具体的な施策
中小企業は、大企業に比べ低い法人税率(「軽減税率」という)が適用。
普 通 法 人
区
分
大企業
税 率
30%
(資本金1億円超)
中小企業
年所得800万円以下部分
15%
(資本金1億円以下)
年所得800万円超部分
19%
平成23年度税制改正において、中小企業(資本金1億円以下)の所得金額のうち、年800万円以下の金額について適用される
軽減税率の18%から15%への引下げや、年800万円超の所得部分についての法人実効税率5%引下げが盛り込まれた。
○ 歴史的変遷
2011年度の法人税率の引き下げ
○大企業の法人税率は、30%から25.5%まで引き下げ。
○中小企業の年所得800万円以下の部分に対する税率(本則)は、22%から19%まで引き下げ。
・設備投資関係、試験研究費関係、事業承継関係等において、中小企業に深堀りした税制あり。
・具体的には、設備投資関係では「取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除」、試験研究費関係で「試験研究費の
12%相当額の税額控除」、事業承継関係では「非上場株式等にかかる相続税(80%)・贈与税(100%)の納税猶予」等。
※設備投資関係
試験研究費関係
事業承継関係
・・・中小企業投資促進税制など
・・・研究開発税制など
・・・非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度など
17
2.(1) 中小企業を守る④ ~支援ポータルサイト「ミラサポ」~
1.支援ポータルサイト「ミラサポ」の開設
中小企業・小規模事業者が抱える経営課題が複雑化、高度化、専門化。
→相談ニーズにきめ細かく対応できる支援体制の構築が必要。
「ミラサポ」・・・時間や場所にとらわれず、自分にあった最新の支援情報を得たり、気軽に専門家や
先輩経営者への相談や他社との情報交換ができる総合ポータルサイト
(中小企業・小規模事業者の未来をサポートするサイト。7月末、暫定運用開始。)
2.「ミラサポ」の主な機能
① 支援策・情報提供・・・国や公的機関の支援施策・支援情報をわかりやすく提供。一部の補助金については
電子申請機能の活用も可能
② コミュニティ形成・・・創業・海外展開などテーマ別に、先輩経営者や専門家との情報交換ができる場(コミュ
ニティ)を提供。ユーザーが自らの課題に応じて、新たなコミュニティを作ることも可能。
③ 専門家相談・・・分野ごとの専門家のデータベースを整備し、ユーザーが自らの課題に応じた専門家を選ん
で、オンライン上での相談が可能。
※「地域プラットフォーム」:地域ごとの中小企業支援機関等が連携して作るネットワークであり、各機関間で専門家のデータベースを共有。
※7月30日から、ミラサポ上で派遣の対象となる専門家の新規募集を開始。
3.今後の予定
今後、ユーザーからの意見や“ちいさな企業”成長本部での議論を踏まえ、機能拡充等を進めて、今秋には
「本格版」として運用開始予定。
18
https://www.mirasapo.jp/
【施策ポータル】
国や公的機関の支援情報。支援施策
をテーマ別/施策種類別に入手する
ことが可能
【ミラサポニュース】
中小企業・小規模事業者の経営の悩みに
対する先輩経営者や専門家からのアドバ
イスを入手することが可能
19
2.(1)
中小企業を守る④ ~経営支援~
中小企業大学校は、中小企業基盤整備機構の付属機関として、全国各地に計9校あり、中小企
業の「人づくり」を支援。中小企業の経営基盤を確保する上で、中小企業経営者の知識レベルの
向上や意識改革、中小企業支援者の養成は極めて重要。
■全国に9校設置。受講者数:年1.6万人、1962年の開校以来延べ約56万人超
■対象者:「中小企業者」及び「中小企業を支援する者(商工会の経営指導員など)」
■主な研修:主な研修として、経営後継者研修、経営管理者研修、中小企業診断士養成課程等
■研修形態としては、受講者の利便性等を考慮し、大学校内での集合研修のみならず、研修ニーズのある地域に対
する出張研修、インターネットを活用したWEB研修がある。
仙台校
旭川校
三条校
関西校
広島校
東京校
直方校
瀬戸校
人吉校
20
2.(1)
中小企業を守る⑤ ~再生支援~
産活法に基づき、各都道府県に中小企業再生支援協議会を設置し、中小企業の再生を支援。
支援スキーム
窓口相談(第一次対応)
課題解決に向けたアドバイス
・面談や提出資料の分析を通して経営上の問題点や、具体的な課題を抽出
・課題の解決に向けて、適切なアドバイスを実施
・必要に応じ、関係支援機関や支援施策を紹介
※再生計画を作成して金融機関と調整する
必要があると協議会が判断した場合
再生計画策定支援(第二次対応)
再生計画の策定支援
・個別支援チームを結成し、具体的な再生計画の策定を支援
実績
(H25.3月末時点)
・相談件数:
27,593社
・再生計画策定件数:
4,711社
関係機関との調整
・関係金融機関等との調整を実施
フォローアップ
・計画策定後も定期的なフォローアップ、必要なアドバイスを実施
21
2.(1)
中小企業を守る⑥ ~事業承継支援①~
○ 中小企業経営者の平均年齢は約60歳まで上昇しており、事業承継の円滑化は喫緊の課題。
○ 事業承継における課題としては、後継者に事業用資産を移転する際に生じる①相続税・贈与税の負担、②遺留分をめぐる
自社株式の散逸防止への対応、③事業用資産の取得費用の不足などが挙げられる。
○ このため、制度面での対応や相談対応など、幅広く中小企業の事業承継円滑化に向けて支援しているところ。
個人事業主
【課題】
・後継者が事業用の土地を相続した場合の税負担が大きい。
・後継者が相続等で分散した事業用資産を買い取る資金が足りない。
【対応】
・事業用の土地を相続した個人事業主の相続税負担を軽減。
<現行>
・居住用と事業用の土地について、
最大400㎡まで80%減額
【要件】相続税申告期限までの事業継続 等
<平成25年度税制改正の内容>
・居住用と事業用の土地について、
最大730㎡まで80%減額
【要件】相続税申告期限までの事業継続 等
会社経営者
【課題】
・後継者が会社の自社株式を取得した場合の税負担が大きい。
・他の親族と遺留分をめぐる争いとなり、株式の一部を取得できないおそれ。
・後継者が相続等で分散した自社株式等を買い取る資金が足りない。
【対応】
・中小企業の実態に即した方法で株式の評価を実施。
会社の規模に応じて「類似業種比準方式」「純資産価額方式」や両方併用
にて評価
・自社株式を相続・贈与により取得した場合に課される相続税・贈与税の課
税価格80%(贈与は100%)の納税を猶予する特例制度を整備。
・遺留分をめぐる争いを未然に防ぐための民法の特例を措置。
・後継者が事業用資産を取得する資金の低利融資等を実施。
・後継者が事業用資産を取得する資金の低利融資等を実施。
上記の制度上の対応のほか、事業承継に悩みを抱える中小企業経営者の方の相談を受けるため、全国の認定支援機関に相談窓口を設置している
ほか、中小企業経営者と日々接している税理士や金融機関等に対しても、事業承継の専門家を派遣して事業承継の講習会を開催するなど中小企業
の「支援者を支援」する取組も実施。このように、中小企業の事業承継の円滑化のため、国としてきめ細かく支援を行っているところ。
22
2.(1)
中小企業を守る⑥ ~事業承継支援②~
○事業承継税制とは、後継者が、経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の株式等を現経営者から相続又は贈与
により取得した場合において、相続税・贈与税の納税が猶予される特例制度である。
現行制度概要
○ 後継者(先代経営者の親族に限る)が、先代経営者から相続・贈与により非上場株式を取得した場合、その一
定割合の80%分(贈与は100%分)の納税を猶予。
○ 相続・贈与後5年間は以下の要件を満たさないと納税猶予は打ち切り(=全額納税)。
・雇用の8割以上を5年間毎年維持
・後継者が、会社の代表者を継続
・先代経営者が役員(有給)を退任(贈与税の場合) 等
○ 5年後以降も株式を保有し事業を継続すれば、後継者死亡(又は会社倒産)時点で納税免除。
平成25年度税制改正の主な内容
※平成27年1月から施行予定
○ 後継者(先代経営者の親族に限る) → 後継者は先代経営者の親族でなくても制度利用可。
○ 雇用の8割以上を5年間毎年維持
→ 雇用の8割以上を5年間平均で維持
○ 先代経営者が役員(有給)を退任
→ 先代経営者が代表者を退任(役員(有給)は可)
経済産業大臣の認定実績
(平成20年10月1日~平成25年6月30日時点)
認定件数
認定(相続税)
438
認定(贈与税)
238
23
2.(1)
中小企業を守る⑦ ~事業引継ぎ~
事業引継ぎの支援を通じ、雇用や技術を維持し、中小企業の新事業展開や事業強化を支援する。
1.47都道府県の各認定支援機関(産活法に基づき認定を受けた商工会議所等の支援機関)に設置されている
「事業引継ぎ相談窓口」(*1)において、事業引継ぎ等に関する情報提供・助言等を行う。
2.さらに、事業引継ぎ支援の需要が多く、支援体制が整った地域に、「事業引継ぎ支援センター」(*2)を設置
し、事業引継ぎに関するより専門的な支援を行う。
(*1)「事業引継ぎ相談窓口」
「事業引継ぎ相談窓口」では、事業引継ぎを行う上での課題など、様々な中小企業の経営上の課題に窓口相
談員が原則として無料で対応し、課題を解決するための支援施策や支援機関の紹介、情報提供等を行う。
(*2)「事業引継ぎ支援センター」
「事業引継ぎ支援センター」では、事業引継ぎに関する専門家(経験のある税理士、金融機関OB等)が、事業
引継ぎを希望する企業間の仲介及び事業引継ぎ契約の成立に向けた支援等を行う。2013年8月現在、事業
引継ぎ支援センターは北海道、宮城、東京、静岡、愛知、大阪、愛媛、福岡の全国計8箇所に設置済み。
【支援体制図】
産活法に基づき
認定を受けた支援機関
(譲り渡したい)
事業を引き
継がせたい企業
事業引継ぎ
の相談
事業再生支援等
中小機構(全国本部)
各認定支援機関
への支援
守秘義務
事業引継ぎ支援
事業を引き
継ぎたい企業
・譲渡企業及び譲受企業
(譲り受けたい) 間の仲介支援
・事業引継ぎ契約成立へ
の支援
(1)「事業引継ぎ相談窓口」の設置
(2)必要に応じ、より専門的な対応が可能な「事業引
継ぎ支援センター」を設置
(3)同センターには、事業の引継ぎに関する専門家
(経験のある税理士、コンサルタント等)を配置
守秘義務
・認定支援機関間の情報交流の
ハブ機能
・引継ぎ支援方法に関する助言
・税務、法務等の支援方法に
関する助言
民間支援人材・機関
民間専門家
と協力
・仲介業者
・税理士
・公認会計士
・弁護士
・コンサルタント
・地銀、信金、保証協会、中小
企業診断士、行政書士 等
24
2.(2)
仕事を創る① ~技術開発支援~
ものづくり中小企業・小規模事業者が新たな需要を切り拓くための、技術開発支援が重要。
ものづくり中小企業・小規模事業者が行う基盤技術の研究開発や、その成果を活用した試作等を
支援することにより、より付加価値の高い事業展開を促進する。
◆戦略的基盤技術高度化支援事業
我が国製造業を支える鋳造、鍛造、切削加工、めっき等のものづくり基盤技術の研究開発から試作
までの資金を支援。
<特定ものづくり基盤技術(22分野)>
・平成25年度予算額 107.8億円
・委託上限額: 初年度4,500万円(一般型)
初年度2,300万円(小規模事業者型)
(支援事例)
鍛造工程の後に仕上げのための切削加工を必
要としていた自動車ギア部品を、鍛造工程のみ
で成型。材料の100%利用、工程1/5による低
コスト化を実現。
組み込みソフトウェア
電子部品・デバイスの実装
溶射・蒸着
部材の締結
位置決め
高機能化学合成
塗装
真空
金型
プラスチック成形加工
鍛造
鋳造
切削加工
熱処理
めっき
冷凍空調
粉末冶金
動力伝達
金属プレス加工
繊維加工
溶接
発酵
新技術の工程
従来工程
自動車ギア部品
25
2.(2)
仕事を創る② ~人材対策~
中小企業・小規模事業者が優秀な人材を確保していくためには、職場実習を通じた中小企業・小規模事業者
と人材等のマッチングのほか、地域特性に応じて大学等との日常的な顔が見える関係作りから、マッチング、
新卒者の採用・定着までを一貫して支援する体制の構築が重要。
中小企業・小規模事業者は、人材確保ニーズが高い一方、学生は大企業志向が強く、依然として雇用ミスマッチは解消
されていない。
※平成25年3月大卒者の求人倍率
5,000人以上の企業:0.60倍、 300人未満の企業: 3.27倍
◆新卒者就職応援プロジェクト
新卒者や既卒3年以内の未就職者に対して、中小企業の事業現場で働く上で必要な技能・
技術・ノウハウを習得するための職場実習を支援。
(1)対象:新卒者等(2万人規模で実施)
(2)助成金:日額最大7,000円(実習期間は、数ヶ月~6ヶ月)
◆中小企業新戦力発掘プロジェクト
育児等で一度、退職し、再就職を希望する女性等に対し、職場経験のブランクを埋める機会
を提供するための職場実習を支援。
(1)対象:育児等で退職し、再就職を希望する女性等(5千人規模で実施)
(2)助成金:日額最大7,000円(実習期間は、数週間~6ヶ月)
◆地域中小企業の人材確保・定着支援事業
地域の中小企業団体等が地域の大学等と連携し、学生と中小企業・小規模事業者との顔が
見える関係作りから、マッチング、新卒者の採用・定着までの一貫して行う取組を支援。
26
2.(2)
仕事を創る③ ~海外展開支援~
○平成23年度中小企業白書によると、直接輸出を行っている中小企業数(製造業)は約6,300社あり、近年着実に
増加する傾向にある。
○海外展開に積極的な企業は、国内での雇用を増加させており海外展開は国内雇用維持にも大きな効果があ
る。
○一方でこれまで海外展開に取り組んでこなかった中小企業は、様々な理由で海外展開を躊躇しており、これら
の障壁を乗り越えるための支援が必要。
中小企業・小規模事業者海外展開
事業化・研修支援事業
24年度補正20.0億円
○海外展開に係る実現可能性調査(F/S調査)、
官民の現地支援機関が連携した現地支援プラット
フォームを構築する。
○中小サービス業等の海外展開を支える現地従業
員を育成するために日本で行う研修等について
支援。
中小企業海外展開総合支援事業
25年度当初31.5億円(新規)
○ジェトロ及び中小機構が連携し、展示会等を活用し国
内外における海外バイヤーとの商談機会の提供、
海外の法規制等の情報の提供など様々な段階で中小
企業の海外展開を支援。
○JAPANブランド育成支援事業において、複数の中
小企業が連携して地域の優れた素材や技術等を活か
して海外市場開拓を行おうとする際の基本戦略の策定
や、商品の開発・海外展示会への出展等を支援。
27
2.(2)
仕事を創る④ ~新事業展開~
地域経済の担い手である中小企業・小規模事業者の新商品開発・販路開拓を支援することが重要。
○新事業活動・農商工連携等促進支援事業(平成25年度予算18.6億円)
中小企業新事業活動促進法、農商工等連携促進法等に基づき、中小企業・小規模事業者による先進的かつモデル性の高い新商品・新サービス
の開発・販路開拓の取組を支援する。
○小規模事業者活性化事業(平成25年度予算30.0億円)
経営力強化支援法に基づく認定支援機関たる金融機関等と連携して、小規模事業者において、女性や若者をはじめとした意欲ある経営者や従業
員が行う新商品・新サービスの開発、販路開拓の取組を支援する。
【新連携の事例】
【地域資源の事例】
【農商工連携の事例】
28
2.(2)
仕事を創る⑤ ~商店街活性化~
商店街まちづくり事業
地域商店街活性化事業
地域中小商業支援事業
【商店街まちづくり事業】(24年度補正200億円)
○商店街振興組合等が、地域の行政機関等からの
要請に基づいて行う施設・設備の整備等を支援。
・対象件数:約2000件(補助率:2/3)
<支援対象イメージ>
・地域住民の安心・安全な生活環境を守るための
防犯カメラの設置、街路灯の整備等
・高齢者の生活のための女性や若手の創業等に
よる空き店舗の活用
【地域商店街活性化事業】(24年度補正100億円)
○地域の中小小売商業者が行う集客力向上の取組
や消費喚起イベント等を支援。
・対象件数:約2500件(補助率:定額)
街路灯の整備
空き店舗活用
25年度当初:39億円(新規)
○地域住民のニーズを踏まえた施設の整備、店舗の集約
化等など、商店街等による地域コミュニティ機能再生に
向けた取組を支援。
○地域資源を活用した集客事業等の商店街活性化
にむけた取組を支援。
<支援対象イメージ>
・地域ニーズを踏まえた子育て向けの施設整備等
・人口減少等の周辺環境に対応した店舗の集約化、
街区の再整備等
子育て施設等の整備
店舗の集約化
29
2.(2)
仕事を創る⑥ ~起業支援~
起業・新事業展開等を促進するため、必要な資金調達等の支援が重要。
<様々な支援策を提供>
地域需要創造型等起業・創業促進補助金(創業補助金)
新たに起業・創業や第二創業を行う女性や若者等に対して事業計画を募集し、計画の実施に要する費用の
一部を助成することで、地域需要を興すビジネス等を支援。
新創業融資制度
新たに事業を始める方、又は事業開始後税務申告を2期終えていない方を対象に、事業計画(ビジネスプラ
ン)等の審査により、無担保・無保証人で、日本政策金融公庫(国民生活事業)が融資。
創業関連保証等
各都道府県等の信用保証協会が、新規開業予定者及び新規開業者事業実施のための借入金を保証。
中小企業基盤整備機構のファンド出資事業
投資会社等が組成する設立5年未満の創業又は成長初期の段階にある中小企業者への投資・ハンズオン
支援を目的としたファンドに対し出資を行い、創業初期の中小企業者を資金面及び経営面から支援する。
Japan Venture Awards (主催:中小企業基盤整備機構)
創業やベンチャーを志す人々のモデルとなる起業家精神に富む経営者を表彰。
創業やベンチャーに対する関心を高めるためのイベントを併催。
30
2.(2)
仕事を創る⑦ ~官公需~
官公需法に基づき、国等の官公需契約において、中小企業者の受注機会の増大を図る。
具体的には、WTOの政府調達協定との整合性を確保しつつ、主に官公需情報ポータルサイト等
による情報提供や相談窓口での契約制度等の説明の充実を通じて、受注機会の増大を図る。
○官公需契約の対象:国等の調達する物件、工事、役務に係る契約
物件:事務用品の購入等
工事:道路工事等
役務:ビルメンテナンス業務等
平成24年度 国等による官公需契約実績
総実績額:7.1兆円
中小企業者向け実績額:3.8兆円
総実績額に占める比率:53.5%
官公需情報ポータルサイト
入札に参加
各府省・独立行政法人等
中小企業
31
3.近時の法改正
32
中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の
平成24年8月施行
促進に関する法律等の一部を改正する法律(中小企業経営力強化支援法)の概要
背景
○ 中小企業の経営課題は、多様化・複雑化。財務及び会計等の専門的知識を有する者(既存の中小企業支援者、金融機関、税理士・税理士法人等)に
よる支援事業を通じ、課題解決の鍵を握る事業計画の策定等を行い、中小企業の経営力を強化することが急務となっている。
○ また、内需が減退する中、中小企業が海外展開を行うに当たって、中小企業の海外子会社の資金調達が困難など、資金面での問題が生じている。こ
のため、中小企業が海外で事業活動を行う際の資金調達を円滑化するための措置を講ずることが急務となっている。
法律の概要
○ 中小企業の経営力の強化を図るため、① 既存の中小企業支援者、金融機関、税理士・税理士法人等の中小企業の支援事業を行う者を認定し※ 、中
小機構によるソフト支援などその活動を後押しするための措置を講ずるとともに、②ものづくり産業のみならず、高付加価値型産業(クールジャパンとし
ての地域産業資源、農業、コンテンツ産業等)も世界に発信可能な潜在力を有する中で、中小企業の海外展開を促進するため、日本政策金融公庫及
び日本貿易保険を活用した中小企業の海外子会社の資金調達を円滑化するための措置を講ずる。
※ 中小企業の経営状況の分析、事業計画策定及び実施に係る指導・助言を行う者を認定。
措置事項の概要
1.支援事業の担い手の多様化・活性化
1.支援事業の担い手の多様化・活性化
(1)既存の中小企業支援者、金融機関、税理士・税理士法人
等の支援事業を行う者の認定を通じ、中小企業に対して
専門性の高い支援事業を実現する。
(2)中小機構の専門家派遣等による協力や保証付与による
資金調達支援を通じ、支援事業を支援する。
(3)これらにより、中小企業は質の高い事業計画を策定する
ことが可能となり、経営力の強化が図られる。
2.海外展開に伴う資金調達支援
認定
中小機構
(①中小機構法の特例)
(支援事業)
経営革新等支援機関※
・専門家派遣等による
協力
・経営の診断、事業計画策
定及び実施に係る指導・助
言、等
(既存の中小企業支援者
金融機関、税理士・税理士法人等 )
信用保証協会
※ 中小企業の経営状況の分析、事業計画策定及
び実施に係る指導・助言
(②信用保険法の特例)
中
小
企
業
者
信用保証協会
信用保証料の引下げ
(予算措置)
・保証付与による資金
調達支援
2.海外展開に伴う資金調達支援
保証(L/C)
海外現地
金融機関
(
貿易保険法の特例)
①現地子会社資金調達支援
(L/C発行、保険付保)
保証申込
(長期融資)
保険引受相談
保険
(短期融資)
日本貿易保険
(日本公庫法の特例)
3.経営基盤強化計画の廃止
申請
日本公庫
承認又は認定を受けた計画に従って事業を行う中小
企業者に対し、以下の措置を講じる。
(1)日本政策金融公庫の債務保証業務、日本貿易保険の保
険業務を拡充し、中小企業の外国関係法人の海外現地金
融機関からの資金調達を支援する。
(2)中小企業信用保険の保険限度額を増額し、親子
ローン等を通じた海外展開を支援する。
国内事業基盤の維持に配慮する。
中小企業者に
対する支援措置
主務大臣
支援措置
本法律で対応
リスクシェア
本邦
金融機関
外国通貨建融資
主務大臣又は
都道府県知事
②親子ローン等を通じた資
金調達支援
(保険限度額の増額)
承認・認定
融資
海外展開に
(海外投資の
取り組む
ための資金)
申請
中小企業
出資関係等
外国関係法人・
海外支店
出資等
本邦
金融機関
保証(限度額の増額)
信用保証協会
(信用保険法の特例)
33
「小規模企業の事業活動の活性化のための中小企業基本法等の一部を改正する等の法律
【小規模企業活性化法】」の概要
平成25年6月21日公布
(平成25年9月20日施行)
1.背 景
(1) 中小企業の約9割を占める小規模企業は、経営資源が脆弱なため、近年、企業数・雇用者数ともに大幅に減少している。
(2) 他方、小規模企業は地域経済の安定と我が国経済社会の発展に寄与するという観点から重要な意義を有している。
(3) このため、小規模企業に焦点を当てた中小企業政策の再構築を図り、施策を集中して講ずることが急務となっている。
2.法律の概要
(1) 中小企業基本法を改正し、小規模企業の事業活動の活性化を図る観点から、「基本理念」と「施策の方針」を明確化する。
また、海外展開の推進等、中小企業施策として今日的に重要な事項を新たに規定する等の措置を講ずる。
(2) あわせて、中小企業支援法等の関連法を改正し、①ITを活用して専門家やビジネスパートナーの紹介等を行う事業の推進、
②下請中小企業の取引先開拓支援、③資金調達の円滑化等の措置を講ずる。
3.措置事項の概要
A.中小企業基本法等の改正
B.小規模企業の活性化に資する施策の充実
(1) 中小企業基本法の「基本理念」に、小規模企業の意義として、
「地域経済の安定と経済社会の発展に寄与」を規定する。
「施策の方針」にも、小規模企業の活性化を明記する。
また、中小企業施策として今日的に重要な事項として、①海外
展開、②ITの活用、③事業承継の円滑化等を新たに規定する。
(2) 関係する個別法律において、小規模企業の範囲の弾力化を図る。
(中小企業信用保険法、小規模企業共済法、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関
(1) 資金調達円滑化のため、信用保証の対象に電子記録債権を追
加する。(中小企業信用保険法)
(2) ITを活用して、小規模企業等に対し、専門家やビジネスパートナー
の紹介等を行う者を国が認定し、(独)中小企業基盤整備機構の協
力等の支援措置を講ずる。(中小企業支援法)
(3) 下請中小企業が連携して、自立的に取引先を開拓する計画を国
が認定し、中小企業信用保険法の特例等の支援措置を講ずる。
(下請中小企業振興法)
する法律)
(参考)小規模企業:従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)
1999年
企業数
従業者数
2009年
減少数/減少比
(4) 事業再生促進のため、(株)日本政策金融公庫及び沖縄振興開
発金融公庫の業務に、債務の株式化業務(DES)を追加する。
(株式会社日本政策金融公庫法及び沖縄振興開発金融公庫法)
中小企業
484万社
420万社
▲64万社
(▲13%)
※ なお、小規模企業に対する金融措置の抜本強化に伴い、小規模企業者等設備導
入資金助成制度を廃止する。(小規模企業者等設備導入資金助成法)
うち
小規模企業
423万社
(87%)
366万社
(87%)
▲56万社
(▲13%)
地域経済の安定に寄与する小規模企業
北極しろくま堂 (従業員7名)
中小企業
3,120万人
2,834万人
▲285万人
(▲9%)
うち
小規模企業
1,098万人
(35%)
912万人
(32%)
▲186万人
(▲17%)
総務省「事業所・企業統計調査」、「経済センサス」から再編加工
・ スリング(抱っこひも)やお
んぶひもなどのベビー用品
を製造・販売。
・ 子供への愛情と、安全で
負担の少ない子育ての両
立に貢献。
グローバルに成長している小規模企業
二葉 (従業員12名)
・江戸時代から伝わる技術
(東京染小紋)を活用した
スカーフなどの新商品を開
発。
・フランスなど欧州を中心に
約20ヶ国で販路を開拓。
34
4.“ちいさな企業”成長本部
35
4. “ちいさな企業”成長本部
“ちいさな企業”成長本部 設置趣旨
○ 中小企業・小規模事業者の成長を実現していくため、これまで進めてきた「“ちいさな企業”未来
会議」での成果等もいかしていく方針。
○ 「 “ちいさな企業”成長本部」を設置し、中小企業・小規模事業者政策を実行するとともに、関係者
が具体的な行動をコミットする「行動計画」を取りまとめる。
○ 構成メンバー
・本部長:茂木敏充経済産業大臣
・同本部の趣旨に賛同し、行動計画の取りまとめに尽力いただける本部員
・全国各地での開催において、その地域で活躍する元気な女性及び若手経営者など幅広い中小企業・小規
模事業者、認定支援機関、中小企業支援団体等の参加を 呼びかける
“ちいさな企業”成長本部 開催実績
■主な開催実績 (出席した政務)
※本部員会合
○2月27日(水) 東京都 大田区(総理、大臣、平政務官) ○5月8日(水) 東京都 墨田区(菅原副大臣)
○3月16日(土) 岐阜県 岐阜市(佐藤政務官)
○6月4日(火) 経済産業省(大臣、菅原副大臣)
○4月23日(火) 山形県 鶴岡市(佐藤政務官)
○4月25日(木) 北海道 千歳市(平政務官)
○5月12日(日) 兵庫県 神戸市(赤羽副大臣)
「行動計画」フォローアップのための成長本部第2弾
○5月13日(月) 山口県 下関市(赤羽副大臣)
○7月16日(火) 沖縄県那覇市
○5月20日(月) 大阪府 堺市(菅原副大臣)
○8月 1日(木) 宮城県白石市(赤羽副大臣)
○7月16日(火) 沖縄県 那覇市
※ 上記の他、事務方のみが対応したものも含め、全国で23回開催
36
4. 国が約束する「“ちいさな企業”成長本部」行動計画の概要
行動1.地域に眠るリソースを最大限に
活用・結集・ブランド化する
行動2.中小企業の新陳代謝を活発にする
・創業を徹底支援する「創業よろず支援」の順次展開
・起業者に対する元本の据え置き期間の延長等、起業・創業に
係る資金支援の抜本的拡充
・地域資源を活用・結集させた創業に対する総合的支援
(「地域資源活用型創業支援制度」)
・中小企業の各ライフステージにおける取組意欲増進のため
の個人保証制度の見直し
・地域ブランドの一層の強化に向けた、ブランド管理・品質管
理・利益回収メカニズムに関する検討
等
・「事業引継ぎ支援センター」の全国展開
行動3.下請構造から脱却し、自ら積極的に
成長分野に参入する
行動4.海外に打って出る
等
・企業OBを活用したハンズオン一貫支援体制の推進
・サポイン法の22技術分野の見直し
(下請け前提から戦略市場への進出へ)
・認定支援機関への研修による国内相談窓口強化、
有望企業の発掘・支援
・航空宇宙など戦略市場進出のための総合的支援
(国際認証取得サポート等)
・現地支援プラットフォームの主要拠点への整備加速
・医療機器分野の専門家派遣及び開発審査負担の軽減
等
等
中小企業・小規模事業者施策の効果的な実行に向けて
・支援情報の広報の強化
・支援制度の使い勝手の向上
・経営支援体制の再構築(支援人材の量的充実・質の向上)
・行動計画の普及と賛同者の拡大
◎「“ちいさな企業”成長本部」を継続的に開催し、行動計画のフォローアップ、改善を行っていく(PDCAサイクル)
37
4. 新たな成長戦略における中小企業の革新
「“ちいさな企業”成長本部」の行動計画を日本産業再興プランに反映し、施策実行へ
日本産業再興プラン(主要な施策例)
(6) 中小企業・小規模事業者の革新
<成果目標> 開業率が廃業率を上回る状態にし、米国・英国レベル(10%台)に
2020年までに黒字中小企業を増やし70万社から140万社に
5年間で新たに1万社の海外展開を実現
①地域のリソースを活用・結集させた起業・創業等の
促進
 地域のリソースを活用・結集させた起業・創業等の
促進。
 「プレミアム地域ブランド」の創出。
 高機能JIS/JAS規格の活用。
 地方産業競争力協議会(仮称)の設置。
 産業クラスターの創出。
③戦略市場に参入する中小企業の支援
 成長分野進出に向けた専門的支援体制の構築。
 大企業・異業種をターゲットにした新分野展開を促
進。
②中小企業の新陳代謝の促進
 起業・創業から立ち上がりまでの一貫した資金支援。
 経営者保証に関するガイドラインの策定等により、
経営者の抱える個人保証の負担感を軽減。
 「事業引継ぎセンター」を全国展開。
④国際展開する中小企業の支援
 ハンズオン支援体制の拡充・強化。
 海外現地支援プラットフォームの整備を加速。
法務・労務・知財等の専門サービスや縮小撤退等
のトラブルにも対応。
38
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