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国産大豆の生産・流通の現状と課題

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国産大豆の生産・流通の現状と課題
国産大豆の生産・流通の現状と課題
平成17年5月
農林水産省生産局
目
次
1
生産動向
(1)国産大豆の生産 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(2)単収の安定化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
(3)検査等級・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
(4)実需者の求める品質 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2
流通・販売
(1)国産大豆の流通 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(2)大豆交付金対象大豆の取引方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
(3)入札取引 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
(4)相対取引 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
(5)契約栽培取引 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
(6)多元的販売 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
(7)販売代金の精算 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
3
助成措置
(1)大豆交付金制度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
(2)大豆作経営安定対策(豆経) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
4
技術対策
(1)栽培技術の開発・普及 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
(2)品種開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
1 生産動向
(1)国産大豆の生産
○
大豆の生産は、
「水田を中心とした土地利用型農業活性化対策」
(平成11年10月策定)の推進等に伴い、近年増加傾向にあり、平成13、
14年には、生産量が27万トンに拡大。
○ しかしながら、「売れる米づくり」を掲げた米政策改革の初年である16年産については、作付面積が前年比10%減の13万7千haとなっ
たことに加え、北海道は気象条件に恵まれたものの、全国的な台風、収穫期の降雨等により単収が低下したため、生産量は16万3千ト
ンと大幅に減少。
○ このため、大豆の販売価格(交付金対象)については、16年産は13、14年産の3倍以上に上昇。国産大豆の需要が拡大しつつある中
で、実需者からは生産及び価格の安定が強く求められている。
○
作付面積と生産量の推移
○
円/60kg
生
産
300 努
力
目
250 標
生産量(千トン)
作付面積(千ha)
300 287千トン
27年:27万㌧
250
生
産 200
163千ha
努
作付面積
力
目 150
標 27年:14万ha
生 産 量
18,000
14,000
12,000
8,000
137千ha
11年産
4
5
6
7
8
9
12年産
13年産
14年産
15年産
16年産
資料:(財)日本特産農産物協会入札結果による。
注:1) 入札販売価格には消費税を含む。
2) 16年産は、17年5月末までの累計平均価格である。
0
3
4,815
0
畑作
62 63 元 2
4,726
2,000
50
0
5,936
4,000
61千ha
50
6,780
6,000
100
田作
10,013
10,000
200
150
100
16,938
16,000
163千トン
99千トン
年産別入札販売価格
10 11 12 13 14 15 16 年産
資料:作物統計
- 1 -
(2)単収の安定化
○
単収については、近年、全国平均で180∼190kg/10aと伸び悩んでいる状況。一方、一部の主産県では、豊作年には250kg/10aを上回る
単収を達成。
○ また、単収は天候等の影響による年次変動が大きいが、その原因としては、播種時期や収穫時期の降雨による播遅れや収穫の遅れ、
生育期間中の低温・日照不足等があげられる。
○ 単収の向上や品質改善を図るための基本技術については、依然として未実施の生産者も多く、単収の高い県と低い県の間では、中耕
・培土・防除等、基本技術の取組状況に差がみられる。
○ このため、基本技術の励行について更なる徹底を図ることが必要であり、それに加え、気象被害を軽減する技術の開発、耐冷性品種、
耐病性品種の開発等、技術確立・普及に努めていくことが重要。
○
単収の推移
○
単収
kg/10a
(作付面積)
営農排水対策
堆きゅう肥投入
中 耕
培 土
防 除
300
全国
北海道
宮城県
新潟県
秋田県
佐賀県
250
200
150
基本技術の実施状況
平成元年産
15万ha
75%
39%
77%
77%
83%
⇒
⇒
⇒
⇒
⇒
平成15年産
15万ha
77%
28%
76%
69%
84%
資料:農産振興課調べ
100
○
50
単収水準上位下位5県の栽培管理実施状況(平成15年産)
平均単収 作付面積計(ha) 営農排 堆きゅ
う
(kg/10a)
うち田作 水対策
0
7
8
9
資料:作物統計
10
11
12
13
14
15
16
年産
中耕
上位5県
215 47,620 38,310
75%
20%
84%
下位5県
127 12,890 10,179
78%
41%
60%
※作付面積1,000ha以上の都道府県の上位及び下位5県の値。
※下位5県における中耕及び培土のデータは4県の平均値。
資料:平均単収、作付面積は作物統計、その他は農産振興課調べ
- 2 -
培土
69%
57%
防除
95%
56%
(3)検査等級
○ 大豆の品質を農産物検査結果でみると、3等級以下の低品位のものが多く、特に、作付面積が急増した10年産以降、急激に増加して
おり、改善が必要。
○ 農産物検査における3等への主な格付け理由をみると、粒の充実度などの形質が50%、しわ粒の発生が23%、汚損粒の発生が12%と
なっており、天候不順の影響のほか、不十分な肥培管理、収穫時期の遅れ等、基本技術の不徹底に起因していると考えられる。
○
大豆の農産物検査成績の推移
200
千トン
○
189千㌧
3等格付理由
180
154千㌧
143千㌧
160
140
105千㌧
120
100
80
16年産大豆における低位等級の発生要因
1等
63千㌧
40
46
(16)
46
(13)
20
56
(21)
特定
加工
20
(3)
0
8年産
3
等
17,433トン
(50%)
排水対策や肥培管理の不徹底
○しわ粒
○汚損粒
7,977トン
4,317トン
(23%)
(12%)
適期収穫が行われなかった
不適切なコンバイン収穫作業
○虫害粒
1,571トン
( 5%)
適期防除の不徹底
○未熟粒
○褐斑病粒
1,383トン
512トン
( 4%)
( 2%)
排水対策や肥培管理の不徹底
適期防除の不徹底
○その他
1,837トン
( 4%)
計
12年産
14年産
15年産
3等
以下
62%
特定
加工
27%
発生要因
○形質(粒の充実度等)
2
等
60
数量(比率)
資料:農産振興課調べ
16年産
資料:農産物検査成績
- 3 -
35,030トン (100%)
(4)実需者の求める品質
○
国産大豆は、豆腐、納豆、煮豆、味噌等の食用の加工原料として使用されており、その求められる品質は用途により様々であるが、
一般的には、ロットの均質化、用途に適した品質の確保が望まれている。
○ 実需者が大豆を購入する際に重視している品質について、アンケート調査結果でみると、各業種とも産地品種銘柄を最も重視。流通
の大半を担う問屋は、次いで検査等級、粒揃いを重視し、加工業者では粒揃い、内部成分を重視しているところが多い。
○ 実需者ニーズに対応するため、一層の品質向上への取組みが必要。
○
用途別に求められる品質(ヒアリング結果)
豆腐用 → タンパク質含量が高いこと。
○
大豆購入時に重視する品質
問 屋
項目
納豆用 → 極小粒で粒揃いが良いこと。
外観品質が良いこと(1等、2等)。
煮豆用 → 大粒で糖分含量が高いこと。
外観品質が良いこと(1等、2等)。
味噌用 → 大中粒で糖分含量が高いこと。
汚損・着色粒を含まないこと。
豆 腐
割合
項目
納 豆
割合
項目
煮 豆
割合
項目
味 噌
割合
項目
割合
産地品種銘柄
36
産地品種銘柄
33
産地品種銘柄
33
産地品種銘柄
32
産地品種銘柄
32
検査等級
粒揃い
内部成分
22
17
13
粒揃い
内部成分
検査等級
17
17
16
粒揃い
内部成分
自社での試作
19
17
13
粒揃い
自社での試作
検査等級
28
20
15
粒揃い
内部成分
検査等級
20
18
14
自社での試作
ロット規模
12
3
検査等級
ロット規模
11
4
ロット規模
内部成分
自社での試作
ロット規模
10
7
ロット規模
自社での試作
8
5
資料:国産大豆協議会アンケート調査による。
資料:農産振興課調べ
- 4 -
4
2
2 流通・販売
(1)国産大豆の流通
○
○
大豆の流通は、国産品・輸入品とも民間ベースの自由な流通を前提。
国産大豆の流通は、①交付金対象として、JA等に販売委託されるもの、②集荷業者(地域の雑穀商)等が、生産者から直接買い
付け、加工メーカー等へ販売されるもの(庭先買い)、③生産者から地場の加工メーカー等へ直接販売されるもの、④生産者の自家
消費等の形態に分類。
○ 国産大豆のうち、交付金対象大豆として流通するものが6割程度(15年産)であり、問屋を経由した流通が中心。
○ 品目横断的政策への移行に当たり、大豆交付金暫定措置法が廃止される予定であり、法律に基づく流通制度と助成制度がリンクす
る仕組みがなくなることから、国産大豆の安定供給に配慮しつつ、流通体制の再構築が必要。
○
大豆の流通(
は交付金対象大豆の流れ)
<輸入大豆>
○
交付金対象比率等の推移
(単位:万トン、%)
<国産大豆>
種
生
穀物輸出業者
・
生
産
者
産
子
用
者
自家消費
(農産物検査)
3等以上
特定加工用
黒大豆等
高価格大豆
規格外
地場流通等
輸入商社
JA等集荷団体
その他集荷業者
年 産
生産量①
集荷数量②
交付金対象外大豆
交付金対象比率②/①
11
18.7
9.3
9.4
49.6
12
23.5
13.9
9.6
59.1
資料:作物統計、農産振興課調べ
経
済
連
等
地場加工工場
地 場 メーカー
農協工場
全農・全集連
(財 )日 本 特 産 農 産 物 協 会
(取引の場)
製油業者
一
次
問
屋
二
次
問
屋
加工メーカー(豆腐・油揚、納豆、煮豆、味噌、醤油等)
大
消
豆
費
加
工
品
者
- 5 -
13
27.1
18.0
9.1
66.3
14
27.0
18.6
8.4
68.8
15 16(見込)
23.2
16.3
14.9
9.8
8.3
6.5
64.1
59.9
(2)大豆交付金対象大豆の取引方法
○
○
○
大豆交付金の対象は、大豆交付金暫定措置法に基づき、生産者団体等が策定する調整販売計画に基づいて販売されたもの。
国産大豆の取引は、入札による取引の他、安定的に数量を確保したいという実需者側のニーズ等も踏まえ、相対取引、契約栽培の
三形態で実施。実需者等と結びついた生産・需要拡大が重要なことから、契約栽培を推進。
大豆交付金対象大豆の流通経路
○
取引形態別販売数量の推移
(単位:千トン、%)
生
産
販売委託
J
12
13
14
15
16(見込)
数量 シェア 数量 シェア 数量 シェア 数量 シェア 数量 シェア
入札取引 41 29 34 19 71 38 61 41 33 34
年 産
者
販売
A
集 荷 業 者
相対取引
78 56 136 76 96 52 46 31
契約栽培
21 15 10
計
全農県本部(経済連)
県
集
連
相対取引
契約栽培
入札取引
【取引場:(財)日本特産農産物協会】
問
屋
・
加
工
メ
ー
カ
相対取引
契約栽培
ー
- 6 -
9
5 19 10 42 28 56 57
139 100 180 100 186 100 149 100
注:16年産は当初計画の販売数量である。
調整販売計画の作成
全農全国本部
全 集 連
〔取扱比率:96%〕
〔取扱比率:4%〕
9
98 100
○
大豆交付金対象大豆の要件(現行)
○
調整販売事業により販売された大豆であること
具体的には、次に掲げる大豆については対象から除外
・ 農産物検査法による検査(以下「検査」)を受けていな
い大豆
・ 交付金の交付を受ける生産者団体等が販売したことがあ
る大豆
・ 毎年12月31日までに売渡しの委託の申込みが行われなか
った大豆
・ 農産物検査規程(以下「規程 」)に定める普通大豆のう
ち黒大豆、種子大豆
・ 検査を受けた大豆のうち規程の普通大豆の1等から3等
まで及び特定加工用大豆の合格の品位に適合しない大豆
○
販売期間内(生産年の11月から翌年の10月まで)に売買契
約が締結され、当該期間終了後2月以内に当該契約の目的物
となっている大豆の引渡しが行われたものであること
○
入札取引によらず販売される大豆にあっては、次に掲げる
基準に適合するものであること
・ 取引単位は、概ね20トン以上であること
・ 取引価格は、入札取引により形成される価格を指標(取
引指標価格)とし、当該価格の上下概ね1,500円以内であ
ること
○
大豆作経営安定対策に係る生産者拠出がなされている大豆
であること
○
取引指標価格【(財)日本特産農産物協会業務規程】
①
(財)日本特産農産物協会は、産地品種銘柄別及び等級別の
取引指標価格を月別に算定して売り手(全農、全集連)に通
知する。
② 取引指標価格は、入札取引における産地品種銘柄等別及び
等級別の落札金額を落札数量で加重平均して得た価格とす
る。
③ 当該月に入札に付されなかった産地品種銘柄等について
は、その前月の取引指標価格をもって取引指標価格とする。
- 7 -
(調整販売計画)
○
現行の大豆交付金制度では、大豆の販売の条件を有利にするため、大豆の集荷、保管又は販売の数量又は方法を調整して計画的か
つ合理的にその販売事業(調整販売事業)を行う生産者団体等を通じ、生産者に交付金を交付。なお、生産者団体等が調整販売事業
を行う場合には、調整販売計画を策定し、農林水産大臣の承認を受けることが必要。
○ 現在、調整販売計画を策定しているのは、全農及び全集連の2全国団体。
○ 現行の調整販売計画に関する評価等としては、以下のとおり。
・ 周年安定供給機能や供給過剰時における一定の価格水準の維持等の面で効果が認められる一方、ここ数年の動向(不作による価
格高騰)を踏まえれば、需給と価格の安定という機能の面では一定の限界
・ また、全国団体が一元的に販売管理する方法は、販売先の競合や買い叩きを回避するなど有利販売に貢献する一方、生産者や産
地自らの販売努力が行い得ないこと、市場評価が産地に伝わりにくく、品質改善への取組が進まないこと等の課題
○ 法律に基づく調整販売計画は廃止されるが、これまでの調整販売計画が果たした役割等を踏まつつ、法律廃止後の調整販売計画の
あり方について検討が必要。
○
調整販売計画の概要
・
交付金の交付を受けようとする生産者団体等は、各年
産の大豆につき、「調整販売計画等」及び「交付金の交
付の方法」を定め、毎年10月15日までに農林水産大
臣に申請を行い、承認を受けることが必要
調整販売計画等の策定内容
1 調整販売計画
① 計画の期間
② 販売価格の目標
③ 集荷・保管又は販売の地域別及び時期別の予定数量
④ 集荷・保管又は販売の方法
⑤ 所要資金の額及びその調達方法
⑥ 所要資金を借入れによって調達する場合の償還計画
2 売渡しの委託を受ける大豆の予定数量
3 売渡しの委託を受ける方法及び条件
4 交付金の交付の方法
現在、調整販売計画を策定
している生産者団体等
・全国農業協同組合連合会(全農)
・全国主食集荷協同組合連合会(全集連)
- 8 -
(3)入札取引
○
入札取引の透明かつ適正な実施を確保するため、第三者機関である(財)日本特産農産物協会を市場開設者とし、原則月1回以上実
施。
○ 具体的な運営方法は、(財)日本特産農産物協会の業務規程等で定められており、上場数量は、適正な市場評価を行う観点から、各
銘柄ごとに集荷数量の3分の1以上を義務付け。
○ 適正に価格を形成する観点から、入札取引の場の設定、上場ルールのあり方について検討が必要。
○
大豆の入札取引の概要(16年産入札取引)
市場開設者
入札参加者
入札回数
上場対象銘柄
ロット組み
入札販売数量の通知
入札方法
入札に関するルール
値幅制限
建値制
落札の決定
結果の公表
運営拠出金
供託金
受渡期限
入札取引の監視
入札取引への参加の
制限
適正な価格形成のた
めの調整
(財)日本特産農産物協会
(売り手)大豆の集荷業務を行う者が構成員となっている法人、農業協同組合連合会又は農業協同組合で協会の登録を受
けた者
(買い手)大豆の販売事業を行う者、大豆を使用した製品の製造の事業を行う者で協会の登録を受けた者。ただし、公正
な価格形成・確実な買い受けが行われるよう、入札取引委員会の議決を経て、登録の制限又は条件の設定が可能
原則として毎月1回以上(最盛期は週1回)
各月ごとの実施期日は、協会が定めて前月20日までに登録者に通知
全銘柄
1ロット9.6トン以上
協会は入札販売数量(ロット表)を入札取引実施期日の2日前までに買い手に通知
FAX等で入札
①不当な申込価格の決定の禁止、不当な予定価格(最低販売価格)の決定の禁止
②予定価格制
なし
なし
予定価格の制限の範囲内で最高の価格をもって申込をした者を落札者として決定
落札平均価格(産地品種銘柄別)、入札販売数量、落札数量等を月単位で公表、取引指標価格(月単位)を売り手に通知
売り手及び買い手は、協会の運営に要する経費として、それぞれ1円/60kgを協会に拠出
なし【17年産取引から入札保証金を導入】
協会が定める日(入札日から60日以内)
入札取引の実施期日ごとに取引監視委員3人以上が立ち会い
売り手又は買い手が公正な価格形成を妨げ若しくは妨げるおそれがある場合、又は買い手が落札した大豆の買い受けを確
実に行わず、若しくは確実に行わなくなるおそれがある場合は、入札取引委員会の議決を経て当該売り手又は買い手の入
札取引への参加を制限することが可能
価格の著しい上昇や低下を回避し、円滑かつ安定的な価格形成を行う上で必要と認める場合は、入札取引委員会の議決を
経て入札取引の制限又は停止、実施期日の調整等を行うことが可能
- 9 -
(入札取引価格の動向)
○
○
国産大豆の販売価格は、生産量の急激な増加に伴い、11年産から、13、14年産にかけて急落したが、15、16年産は不作等により一
転して高騰する等、年次変動が大きい。
交付金対象大豆の集荷数量と平均入札販売価格の推移
○
国産大豆入札販売価格の年次別・月別動向
円 /60kg
年
産
11
国産大豆
集荷数量
(千トン)
平均入札
販売価格
(円/60kg)
注:1)
2)
3)
12
13
14
15
16
22,000
12年産
20,000
93
139
180
186
149
92
13年産
18,000
14年産
15年産
16,000
6,780
5,936
4,726
4,815
10,013
16,938
入札販売価格には消費税を含む。
16年産の集荷数量は17年2月末現在の集荷実績である。
16年産の販売価格は17年5月末までの累計平均価格である。
16年産
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
11月
12月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
資料:(財)日本特産農産物協会入札結果による。
注:入札販売価格には消費税を含む。
- 10 -
7月
8月
9月
(4)相対取引
○
相対取引は、特定の実需者が必要とする大豆を確実に供給する手法として、また、供給過剰基調の際には入札取引を補完するなど、
交付金対象大豆の円滑な販売で一定の役割を発揮。
○ 具体的な取引方法は、生産者団体等の内規により、年間、期別、スポットの3類型に区分。
・ 取引価格は、売買契約時の取引指標価格(入札取引により形成される価格)を基準に、上下概ね1,500円以内で決定。
・ 購入申込数量は、概ね20トン以上。
○
相対取引の概要
○
入札取引
取引方法
類型
年間取引 (1)提示時期 収穫年の10月
(2)提示枠の ①産地・品種別の相対取引計画数量の2分の1程度を年間取引数
量とする。
考え方
相対取引
(財)日本特産農産物協会
買
い
手
(入札取引)
落札価格
(加重平均)
売
り
手
買
い
手
(相対取引)
取引指標価格
売
り
手
±1,500円
取引指標価格
(財)日本特産農産物協会→全農・全集連(通知)
○
相対取引による販売数量の推移
(単位:千トン、%)
年 産
販売数量
相対取引
相対取引の類型別取引方法(全農の場合)
②全農は、経済連と協議の上、①の数量の範囲内において前年産
の産地品種別買入実績に応じて買い手別の提示枠を算出し、年間
取引を希望する買い手に提示する。
③買い手別に提示した数量の残量をオープン提示枠とする。
(3)販売価格 引取時の取引指標価格を基準
(4)引取期限 ①引取期限は、翌年10月末
等
②1回当たりの引取数量は、原則として5トン以上
(5)購入申込 ①買い手は、提示後1か月以内に購入申込
②購入申込数量は、原則として20トン以上
期別取引 (1)提示時期 収穫年の12月並びにその翌年の3月及び6月
(2)販売価格 引取時の取引指標価格を基準
(3)引取期限 ①引取期限は、各期末後1か月以内
等
②1回当たりの引取数量は、原則として5トン以上
12
13
14
15
16(見込)
数量 シェア 数量 シェア 数量 シェア 数量 シェア 数量 シェア
139
100
180
100
186
100
149
100
98
100
78
56
136
76
96
52
46
31
9
9
スポット取引
注:16年産は当初計画の販売数量である。
- 11 -
(4)購入申込 ①買い手は、提示後1か月以内に購入申込
②購入申込数量は、原則として20トン以上
(1)提示時期 取引指標価格の決定後随時
(2)販売価格 引取時の取引指標価格を基準
(3)引取期限 ①引取期限は、取引指標価格が適用される月末
等
②1回当たりの引取数量は、原則として5トン以上
(4)購入申込 ①買い手は、随時購入申込
②購入申込数量は、原則として20トン以上
(5)契約栽培取引
○
国産大豆の需給バランスをとりつつ数量拡大を図っていくためには、生産者・実需者間で安定的な取引関係を構築することが重要
であることから、入札取引により透明かつ適正な価格形成が行われることを前提に、契約栽培等の拡充を推進。
○ 具体的には、全国団体(全農及び全集連)が契約の受け手となり、①は種前に実需者(問屋等)との間で面積契約(産地品種銘柄、
予定数量等を含む。)を締結、②出来秋に契約数量を作況調整等した上で、生産者等から売渡委託された大豆の中から、売買契約を
締結し、実需者に引き渡す方式。
○ 契約栽培数量は、12∼14年産では2万トン台で推移したが、15年産以降、天候不順等による集荷数量の減少の影響等を回避するた
め、必要な銘柄・品質の大豆を確実に確保しておきたいという実需者ニーズの増加等により大幅に拡大。
○
契約栽培の基本的な仕組み
種
類
①契約栽培の契約
(は種前)
条件提示
2月及び
5月
②個別売買の契約
(収穫後)
○
○
契
約
の
内
容
契約栽培に関する生産者団体等内規での規定内容(概要)
①
は種前に契約栽培に関する契約(産地・銘柄・契約面積、予定数
量等)を締結し、収穫後に売買契約(産地・銘柄・契約数量等)
を締結。
②
予定数量には、概ね上下10%のアローワンスを設定。出来秋に
作況調整の上、契約数量を決定し、売買契約を締結。
※アローワンス
予定数量に対する実出荷数量が作況により増減することか
ら、予定数量を基準として一定の幅(概ね上下10%)を設定
し、その幅を上回った場合には改めて追加契約を行い、下回
った場合で、かつ、売り手側の責に帰する場合には、売り手
が違約金を支払う。
③
契約価格は、売渡の委託後に、入札取引結果に基づき(財)日本
特産農産物協会が月ごとに算定した銘柄ごとの取引指標価格に、
プレミアム単価を加算した額を基準として決定。
なお、プレミアム単価は、収量等品種の特性を踏まえ、銘柄ご
とに(1,500円/60㎏の範囲内)決定。
産地、銘柄、契約面積、予定数
量、プレミアム単価等
産地、銘柄、契約数量、単価、
受渡期限、建値場所、倉庫名等
契約栽培の締結状況
(単位:トン)
年 産
は種前契約数量 ①
売渡数量 ②
契約履行率③=②/①
作況指数
12
23,967
20,541
86%
108
13
20,966
9,624
46%
104
14
21,236
18,767
88%
101
15
50,239
41,993
84%
85
16
103,205
−
−
68
注:14年産以降の作況指数は、10a当たり平均収量(過去7カ年の
実績のうち、最高、最低を除いた5カ年の平均値)対比である。
④ 契約には、次の場合の違約条項等の設定が可能。
ア 正当な事由なく契約に基づく引取、出荷が行われない場合
イ 集荷された大豆の品質に関する問題が生じた場合
(なお、上記違約条項が実際に設定・適用された事例はない。)
- 12 -
(6)多元的販売
○
交付金対象大豆は、通常の全国団体による販売の他、一部の経済連等において、全農等と大豆販売代行契約を結び、入札の上場、
相対又は契約栽培の提示及び販売を実施。
○ 全国団体による一括販売は、販売先の競合等を防止する上で有効である反面、①生産者・産地自らが販路を開拓するという意欲を
低下させること、②市場評価が産地に伝わりにくく、生産者・産地の品質改善への取組を助長しにくいこと等が課題。
○ 品質改善への取組の助長や安定的な生産・販売環境の構築の観点から、生産者・産地自らが実需者ニーズを把握し、需要に応じた
安定生産や販売先の拡大に取り組めるよう流通ルートの多様化を図ることが重要。
○
多元的販売のイメージ
○
経済連・単協等による販売の実施状況
(単位:トン、%)
【通常の販売】
生産者
JA等
経済連等
全農等
年
買い手
産
経済連等販売数量①
販売
販売委託
全販売数量②
【多元的販売】
生産者
構成比(①/②)
JA等
経済連等
全農等
買い手
販売
販売委託
代行販売契約
- 13 -
12
13
14
15
1,064
1,986
1,261
476
138,855
179,987
185,861
148,822
0.8
1.1
0.7
0.3
(7)販売代金の精算
○
生産者に対する販売代金の支払いは、原則として、都道府県を区域とした産地品種銘柄ごとの共同計算により実施されており、調
整販売期間の終了後、生産年の翌年度末頃に精算。なお、生産者の手取りを早期に確保するため、委託販売契約に基づく入庫の時点
で、JA等の立替により、概算金(当年産に係る交付金相当額)の支払いを実施。
○ 精算に時間を要するため、結果として生産者への市場評価の伝達が遅延するとともに、生産者の品質改善への取組意欲が喚起され
ないとの指摘。
○ このため、市場評価が生産者に早期に伝達されるよう、概算金の支払方法の改善について検討が必要。
○
代金精算手続きフロー(16年産の場合)
種子の準備
H15
10
H16(生産年)
3
4
5
(31日)
○
交
付
金
単
価
の
決
定
・
告
示
○
大大
臣豆
がの
定標
め準
る的
金な
額生
の産
決費
定と
・し
告て
示農
林
水
産
は 種
6
収 穫
7
10
11
(15日)(1日)
調
整
販
【決定日:15.10. 3】
売
【告示日:15.10.20】
計
画
等
の
【申請日:16.10.14】 承
【承認日:17. 2.10】 認
【告示日:17. 2.22】 申
請
期
限
12
H17
1
2
(31日)
売
渡
委
託
の
申
込
期
限
3
4
5
6
7
8
9
(28日)(31日)
【※特例:ここ4年間は特例を適用】
入庫完了期日:2月末
入庫日に 概算金支払
※販売の方法
○入札取引
市場開設者
(財)日本特産農産物協会
○相対取引
○契約栽培取引
集荷期間
販売期間
10
11
12
H18
1
2
(31日)
調
整
2ヶ月間 販
売
事
業
実
績
報
告
書
の
提
出
期
限
(31日)
引渡期間
※引渡後、生産者団体等の申請に基づき交付金を交付
(その都度、販売数量等確認調査、交付状況調査等を実施)
- 14 -
3
販
売
代
金
精
算
(最終)
・・ ・ ・
販交 交 交
売付 付 付
数金 金 金
量交 交 交
等付 付 付
確申
状
認請
況
調
等
査
調
査
3 助成措置
(1)大豆交付金制度
○
大豆交付金制度は、銘柄ごとの市場評価が生産者手取りに的確に反映され、需要に応じた良品質大豆の生産拡大に資する観点から、
事前に定めた全銘柄共通の一定の単価により助成する仕組み。
○ 販売価格上昇時における過剰助成を避ける観点から、販売価格が高い場合に助成単価を漸減する水準として 、「標準的な生産費」
を交付金単価と併せて決定。
○ 担い手の支援及び良品質大豆の生産誘導、契約栽培の推進等を図る等の観点から、関連対策を実施。
○
交付金制度のイメージ
○
交付金単価の算定方式
次の算定ルールに基づき毎年決定
当年産の助成単価=前年産の助成単価×生産コスト等変動率※
標準的な生産費
13,606円/60㎏(17年産)
※生産コスト変動率の考え方
Mt/Mo×It/Io÷Ht/Ho
Mt/Mo:主産地の平均作付規模以上層農家の
全算入生産費の変化率(移動3年平均)
It/Io:大豆生産費パリティ指数の変化率
(=物価変化率)
Ht/Ho:10a当たりの収量(平準化単収)の
変化率(移動3年平均)
販 売 価 格
定額助成
交付金単価
8,020円/60㎏(17年産)
○
交付金単価の推移
(単位:円/60㎏)
年
○
産
12
13
14
15
16
17
8,350
8,320
8,280
8,220
8,120
8,020
17年産大豆に係る関連対策
交付金単価
担い手支援・良質大豆生産誘導対策
300円/60㎏
担い手(大豆作付2ha以上の農家又は7ha以上
の集団)が生産する大豆又は1等・2等の大豆
に交付
契約栽培による高品質畑作大豆対策 1,000円/60㎏
実需者と結びついた契約栽培による高品質畑作
大豆に交付
○
標準的な生産費の推移
(単位:円/60㎏)
年
産
標準的な生産費
- 15 -
12
13
14
15
16
17
14,011
13,941
13,901
13,837
13,730
13,606
○
大豆交付金制度は、大豆の生産振興と食料自給率の向上に寄与する一方、以下のような課題。
大豆作の粗収益に占める財政負担の割合は約5∼7割に達しており、生産者手取額は市場評価にかかわらず一定程度確保されて
いるため、生産性の向上や大豆の品質改善のインセンティブが働きにくい
② 一律的な支援措置であり、農業構造の改革を図るという効果に乏しい
③ 交付金対象数量の増加により財政支出が増大
④ 交付金の交付時期が生産年の翌年度末(販売終了後)となっており、早期(当年度内)の支払いが可能となるような運用改善の
検討が必要
①
○
交付対象数量と財政負担の推移
○
億円
180千トン
250
139千トン
274億円
200
186千トン
281億円
100
13
生産者手取額
14,837
14,255
13,536
17,507
財政負担額
9,618
10,076
9,450
8,500
財政負担率
65
71
70
49
150
213億円
注:1)
217億円
93千トン
生産者手取額は、販売価格+交付金+関連対策+豆経補てん金
−(流通経費+豆経拠出金)
2) 財政負担額は、交付金+関連対策+(豆経補てん金×3/4)
100
120億円
50
50
0
0
11年産
←不足払い
12年産
13年産
14年産
(単位:円/60㎏、%)
14
15
12
149千トン
200
150
年 産
千トン
300
生産者手取額の試算
15年産
定額支払い→
- 16 -
(2)大豆作経営安定対策
○
大豆作経営安定対策は、販売価格の変動に対応するため、銘柄ごとの補てん基準価格を販売価格が下回った場合に、その低下額の
8割を、生産者の拠出と国の助成金で造成する資金から補てんする仕組み。
○ 資金収支は、12∼14年産における販売価格の低下に伴い、造成した資金を上回る補てんがなされた結果、赤字が累積。
○ 資金収支の改善を図るため、17年産以降、補てん基準価格算定方法の見直し(過去3年平均→過去5年中庸3年平均)及び拠出率
の引き上げ(国:9→12%、生産者:3→4%)を実施。
○
大豆作経営安定対策のイメージ(17年産)
生
産
者
○
(単位:円/60㎏、億円)
補 て ん
補てん金 資 金 補てん
資金
年産
入札価格
収支
基準価格
単 価 造成額 金 額
残高
国
P×0.04
P×0.12
積
補
て
ん
基
準
価
格
立
金
差
額
大豆作経営安定対策の資金収支
差額×8割
当
年
産
価
格
12
7,620
5,653
1,490
21
34
▲ 13 ▲ 12
13
7,089
4,501
2,101
25
63
▲ 38 ▲ 49
14
6,227
4,585
1,267
23
39
▲ 16 ▲ 64
15
4,848
9,536
0
14
0
14 ▲ 50
16
6,207
注:1)
(P)
注:補てん基準価格(P)は、過去5年中庸3年の平均販売価格。
- 17 -
補てん基準価格及び補てん金単価は加重平均。
2) 入札価格は、(財)日本特産農産物協会での入札取引における
全平均価格(消費税抜き)。
3) 資金残高は、各年産補てん金交付後の残高。
4 技術対策
(1)栽培技術の開発・普及
○
大豆の栽培技術については、独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構(農研機構)を中心に、公立試験研究機関や普及セン
ター、生産者組織等の地域の農業関係者と連携しながら収量・品質の安定・向上、省力・低コスト化を目指した技術開発を推進。
○ また、14年に農研機構において、大豆の収量300kg/10a、Aクラス品質の生産を実現する栽培技術の開発を目標とする「大豆新栽培シ
ステム300A計画」を設定するとともに、その推進体制を「大豆300A研究センター」として整備。この計画では、地域毎に現行
技術の問題点を摘出し、課題解決に向けて、不耕起栽培や無中耕・無培土栽培等低コスト・省力化技術等の技術開発に取り組んでいる。
○
大豆300A研究の概要
○
大豆300A研究センター(事務局:中央農業研究センター)
関東大豆研究チーム
(中央農業総合研究センター関東東海総合研究部)
北海道大豆研究センター
(北海道農研センター総合研究部)
東北大豆研究チーム
(東北農業研究センター水田利用部)
北陸大豆研究チーム
(中央農業総合研究センター北陸総合研究部チーム)
東海大豆研究チーム
(中央農業総合研究センター関東東海総合研究部(三重県))
近畿中国四国大豆研究チーム
(近畿中国四国農業研究センター企画調整部)
九州大豆研究チーム
(九州沖縄農業研究センター水田作研究部)
- 18 -
研究課題
・稲−麦−大豆の輪作体系全体の施肥管理技術の改善
・病害虫の総合的防除技術の開発
・栽培条件と品質の関係解明に基づく栽植密度・培肥培管理
技術の開発
・無中耕・無培土栽培技術を導入した省力化栽培技術の開発
・調湿種子等による湿害対策技術の開発
・各地域の優良経営農家の栽培技術の評価
等を中軸とした大豆新栽培システムの開発
○
具体的な研究成果としては、
・大豆の生産は初期生育の良否が大きく左右することから、初期生育確保のための、土壌条件に応じた耕うん法の確立、調湿種子によ
る出芽の安定
・省力化のための無中耕・無培土栽培と、それに併せて生育期における広葉雑草用茎葉処理剤の効果の確認、
・コンバイン収穫ロスを低減するためのコンバインの改良
等の成果があげられている。
○ さらに、今後の見通しとして、加工適性を左右する内部成分の解明と栽培法の研究の成果が期待されるところ。
○ 今後は、各生産現場での実証を通じて、各産地に適した技術を迅速に導入していくことが重要。
○
土壌に適した耕うん法の実施により、発芽、初期生育が
安定
○
コンバイン収穫ロスを低減するための機械改良等
収穫時の刈取り損失や汚粒の発
生は、20%にも及ぶ。
コンバインの刈り刃を細くする
ことで、刈取り損失を大幅に軽減
できる見通しがついた。
また、省力化効果の大きい、狭
畦無中耕無培土栽培は雑草抑制効
果が大きく、収穫ロスも少ない上、
土壌の搔き込みが少なく、汚粒の
発生も軽減できる。
・カオリナイト土壌群(過水分で泥濘化、乾燥で硬化)
普通耕(耕深13cm程度)では溶脱層も耕し土壌物理性
を悪化させるため、浅耕(耕深7cm程度)して有機物の多
い表層を耕すことにより、土壌物理性も良く、発芽良好。
不耕起栽培によっても雑草発生
が少なく良好な生育。
・モンモリロナイト系重粘土(乾燥
で収縮)
十分な耕うん(アップカットロ
ータリー)をすることで透水性が
向上し、発芽良好。
また、施肥、播種装置の取付け
により、耕うん、畝立て、播種、
施肥の作業が1工程で同時にでき
る。
アップカットロータリーによる播
50.8
76.2
試作(狭ピッチ)
標準
受け刃のピッチを狭め、刈り刃を鋭く
したコンバインの刈り取り部㊤と既存
機種の刈り取り部(中央農業総合研究
センター)
種(北陸大豆研究センター)
- 19 -
○
モデル事業(政策目標を国民に分かる形で明確に設定し、目標達成のために弾力的執行などにより予算を効果的に活用し、目標達成
の状況を厳しく評価するという新たな予算編成プロセス)を活用し、17年度から高生産性水田輪作システムの確立のための実証・普及
に着手。
○ 実需者や消費者ニーズに即応した産地を実現するため、産地自らが品質向上や安定生産に向けた具体的な目標を設定し、その進捗状
況を毎年点検する等の取組を助長することが必要。
○
高生産性地域輪作システム構築のためのモデル事業
○
高生産性地域輪作システム構築事業
17年度
18年度
19年度
輪作システムの改良
と経営的評価
種いも小粒塊茎生産技術の開発
輪作システムの改良
と経営的評価
現場における技術指導と
問題点の把握
<個別作物ごとの高生産性技術の実証>
実証ほの設置による、既存の高生産性技術、
機械、新品種のモデル実証
現場における技術
指導と問題点の技
術開発へのフィー
ドバック
生産性の向上
水田輪作
低い生産性
地区名
事業の概要
岩手県A町
ブロックローテーションによる2年3作の輪作
体系を確立するため、大豆「ユキホマレ」の狭畦
栽培(耕起、不耕起)の実証などを実施
山形県B町
低コスト化・省力化の促進と水稲・大豆の水田
輪作システムによる営農技術体系を確立するため、
大豆「リュウホウ 」、「スズユタカ」の東北農業セ
ンターが開発した有芯部分耕栽培の実証などを実
施
新潟県C市
単収向上、省力化などを図るため、北陸研究セ
ンターの開発したアップカットロータリによる大
豆耕耘同時畦立て播種栽培の実証などを実施
広島県D町
降雨日数の多い播種期の作業時期の確保と密植
による除草作業や中耕作業の省力化を図るため、
大豆密植部分耕栽培の実証などを実施
不耕起播種機の改良
大豆の狭畦栽培技術の開発
実証
事業
規模拡大
北海道畑輪作
技 術 開 発
担い手の減少
馬鈴しょソイルコンディショニング用機械の改良、適応性拡大
主な事業採択地区の概要
<新システムの導入>
新システムの生産現場
におけるモデル実証
- 20 -
(2)品種開発
○
平成17年3月30日に新たに農林水産研究基本計画を策定し、その中で機械化適性が高い品種並びにシストセンチュウ及びモザイク病
など複合抵抗性を持つ品種等、大豆の品種開発の目標を期間を定めて実施。
○ 新品種の開発にあたっては、実需者ニーズに対応することが重要であるため、品種の育成途中段階から実需者による加工適性評価を
実施。
○ また、開発された新品種については、産地段階での栽培実証ほにおける技術の確立・普及により、産地形成に努めているものの、一
部の品種で作付が拡大しているにすぎない。
○ このため、平成11年に発足した国産大豆協議会等を通じて、品種育成の早い段階から研究者と実需者の連携を一層強化するとともに、
産地においても実需者から加工適性の評価を受け、契約栽培に結び付けるなど、実需者との連携を強化した取組の中で、新品種の導入
・普及を進めていく必要。
○
近年における新品種の育成・導入の事例
地 域
事 例
作 付 面 積(ha)
北海道
ユキホマレ(H13育成)
(早熟で耐冷性が強く、煮豆、納豆、味噌への加工適性が高い)
150 → 1,174 → 2,138
(H13) (H14)
(H15)
青森
おおすず(H10育成)
(大粒、白目で豆腐、煮豆に適しコンバイン収穫性が高い)
700 → 2,180 → 4,455 → 4,374 → 4,699
(H11) (H12) (H13) (H14) (H15) 宮城、北陸
あやこがね(H11育成)
(エンレイよりやや晩熟で多収。豆腐加工適性が高い)
1 → 225 → 745 → 960
(H12) (H13) (H14) (H15)
近畿・中国地方
サチユタカ(H13育成)
(広域適応性が高く、豆腐加工適性に優れた高タンパク品種)
116 → 1,295 → 2,281
(H13) (H14) (H15)
九州地方
すずおとめ(H14育成)
(コンバイン収穫適性が高く納豆加工適性に優れる)
21 →
30
(H14) (H15)
九州地方
キヨミドリ(H14育成)
(暖地栽培に適した青大豆。風味ある豆腐ができる)
14 →
47
(H14) (H15)
愛知・九州地方
エルスター(H12育成)
(リポキシナーゼ完全欠乏により、青臭みが少ない)
120 → 380
(H14) (H15)
資料:作付面積は農産振興課調べ。
- 21 -
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