...

詳細(PDF)はこちら

by user

on
Category: Documents
15

views

Report

Comments

Transcript

詳細(PDF)はこちら
広告局と環境企画
2008 年の北海道洞爺湖サミット開催、09 年の気候変動枠組条約第 15 回締約国会議(COP
15)開催を経て、企業における地球環境への配慮や意識が高まるなか、低炭素・循環型・自然共
生など未来の社会のあり方を問う、多様な広告表現の展開が続いている。とりわけ、10 年は名古
屋で生物多様性条約第 10 回締約国会議(COP10)が開催されたことを契機に、「生物多様性」
について保全への取り組みや、企業活動そのものと「生物多様性」の関わりを明確に打ち出す
紙面が、かつてないほど掲載された。
企業の環境技術、環境対策、企業姿勢が新聞社の広告特集・編集特集などとの多彩な連携
によって、読者の共感を得るまでに浸透した多くの環境コミュニケーションの事例の中から、生物
多様性テーマと、大型環境テーマを中心に報告したい。
「国際生物多様性フォーラム」 (左)と「グリーンウェイブ2010」の特集紙面
<生物多様性・COP10 関連>
◆国際生物多様性フォーラム
COP10 開催直前の 2010 年 9 月 15 日に、その本会場となる名古屋国際会議場において「国
際生物多様性フォーラム」を開催。霊長類学者ラッセル・ミッターマイヤー氏(NGO「コンサベー
ション・インターナショナル」会長)が基調講演。COP10 における議題・焦点について国内外の一
流パネリストが討論した。特別協賛社による環境活動報告の場ではソニー株式会社が、気候変
動、資源、化学物質、生物多様性の4つの視点から環境負荷をゼロにすることを目標として設定
したことや絶滅危惧種の保護活動、里山の管理などの取り組みの具体例についてプレゼンテー
ションを行なった。このフォーラムの模様を全国版朝刊 2 ページの編集特集に採録、全国の読
者へ発信した。
(特別協賛:ソニー株式会社)
1
◆グリーンウェイブ 2010
国連生物多様性条約事務局が提唱する「グリーンウェイブ」キャンペーンは、「生物多様性の日」
である5月22日に世界各国が午前10時に一斉に植樹することで、地球の東から西へ「緑の波」
を広げていく運動である。環境省等の呼びかけに応じ、国土緑化推進機構、森林文化協会、朝
日新聞社などが主体となって「親子で学ぼう生物多様性」イベントを実施した。5月22日午前10時
東京湾「海の森」で、親子174人がクロマツやオオシマザクラ、ヤマモモなど19種の苗木計1,000
本を植えた。植樹後は日本科学未来館で、建築家で海の森事業委員長の安藤忠雄さんの講演
や、絵本作家の中川ひろたかさんの動物にまつわる歌やトーク、みらいななさんによる「葉っぱ
のフレディ」朗読などを楽しみ、環境について考えるひとときを過ごした。この日の植樹は、日本
での植樹本数として国連生物多様性条約事務局に報告されている。
(協賛:木楽舎)
◆ ソニーの環境広告シリーズ
○編集特集「いきものがたり」連携
環境負荷ゼロを目指す環境計画「Road to Zero」を新たに策定したソニーと、生物多様性編集
特集「いきものがたり」とのコラボレーション紙面が実現した。COP10 開催で環境や生物多様性
に関心が高まるタイミングを機に、「Road to Zero」への取り組みを多面的に紹介する「『ECO』は、
こんなかたち」シリーズで変形広告(15 段・1/3)を 6 回掲載。ソニーの環境活動がよくわかると非
常に好評で、シリーズをポスターにして、グループ各社や事業所などに配布し、インナーへの啓
蒙に活用した。
○15 段+小型広告「ちっちゃなエコから始めよう」無水銀電池広告シリーズ
世界初の無水銀化を実現している酸化銀電池を含む、電池全体での「水銀ゼロ%」を広告展
開。信頼性の高い新聞メディアを活用し、全 15 段広告に加え、生活者が日常的に接する新聞で
水銀ゼロのメリットをコンスタントに訴えるために小型広告もシリーズ展開した。ソニーの技術を、
生活者にとってベネフィットのある身近なニュースとして伝えることに成功した。
(協賛:ソニー株式会社)
◆JX日鉱日石エネルギー生物多様性クイズ・マルチ広告
オリジナルキャラクター「エネゴリくん」で親しまれているJX日鉱日石エネルギーとのコラボレ
ーション事例。COP10開催初日に合わせて、当日の朝刊一面の天声人語横からスタートし、小
型広告やTV面表札などの計9つの広告スペースを活用して、絶滅危惧種の動物名を探し出す
というクイズ形式のマルチ広告。中面の生物多様性をテーマにした編集特集内でも際立つ変形
広告を掲載した。新聞紙面全体のなかから動物を探すという手法やイラスト・プレゼントにも関心
が集まり、多くのこどもたちのクイズ応募があり、反響を呼んだ。
(協賛:JX日鉱日石エネルギー株式会社)
◆「生命の五輪」シリーズ
COP10 開催前年の 2009 年 10 月から1年間、毎月 22 日に連載。生物多様性の保全に取り組
む企業をレポートする形式で、企業が連携する NGO/NPO、行政、大学などの研究機関の紹介
も交え、生物多様性のつながりについて理解を深めた。毎回、設定された環境・生物多様性テ
ーマについて朝日新聞論説委員がコラムで解説。親しみのある生き物の視点も盛り込み、オリジ
ナルキャラクターであるエルとタマの兄妹カエルを登場させ、子どもたちの活動なども紹介した。
2
(協賛:トヨタ自動車株式会社、鹿島建設株式会社、ブラザー工業株式会社、中日信用金庫、中日本高速
道路株式会社、アサヒビール株式会社、中部電力株式会社、東邦ガス株式会社、住友信託銀行、
ケイアンドエスジャパン株式会社)
◆エコロキッズプロジェクト
「地球の未来を担うこどもたちのための環境教育」を目的に、環境活動に積極的に取り組むユ
ニーと朝日新聞が立ち上げた環境プロジェクト。COP10パートナーシップ事業にも登録された
本プロジェクトでは、地元・愛知県の豊かな自然が残る里山や干潟での体験学習を通して、こど
もたちが「生物多様性がもたらす恵み」を学ぶプログラムを組んだ。また、絵画コンテストや、一
連の活動の締めくくりとして実施した体験学習の発表会「エコロキッズ環境会議」も開催し、地球
の未来を担うこどもたちが環境について考え、自らの問題として取り組んでいくことの大切さをイ
ベントと紙面を通して呼びかけた。
(協賛:ユニー株式会社)
◆朝日新聞・メ~テレ 環境7大学集中公開講座 2010
一般市民や次世代を担う大学生を対象に、環境意識の高い著名人を招き、愛知県内の7大学
にて環境意識を高める集中公開講座を3年間にわたり開講。今回は新たな取り組みとして、7大
学から2人ずつ集まった 14 人の学生を中心に「環境7大学学生プロジェクト実行委員会」を組織
し、学生発信の環境ムーブメントを創出するプロジェクト「名古屋キャンドルナイトフェスタ」も実施
した。公開講座から学んだことや、環境問題についての考えを協賛の7大学の学生に語り合って
もらい、その内容を掲載した。講師は、北川正恭氏、草野仁氏、小菅正夫氏、ジョン・ギャスライト
氏、武田邦彦氏、益戸育江氏、ムツゴロウ氏、柳生博氏。
(特別協賛:トーエネック 協賛:愛知学院大学、愛知工業大学、愛知淑徳大学、中京大学、中部大学、南
山大学、名城大学)
◆13 分を考えるバスストップ
13 分間に 1 種の生物が絶滅しているという事実を、COP10 ホスト市民である名古屋市民に訴
えかけることを目的に、バス停の壁面広告と新聞広告で連動したキャンペーンを展開。朝、新聞
広告でキャンペーンを知った読者が、通勤・通学等で使うバス停で、昼夜違うビジュアルとなる
広告を確認。そのポスターの QR コードから携帯電話で特設 WEB サイトにアクセスし環境保全メ
ッセージを伝えると、朝日新聞が 1 メッセージにつき 13 円を環境保全団体に寄付する仕組みを
設けた企画。全国広告連盟・鈴木三郎助選考委員会特別賞を受賞。 (特別協賛:株式会社ニコン)
◆せかい SATO フェスタ「先住民族が伝える“生物多様性”と“文化多様性”」
COP10 会議直前の 10 月 15 日~18 日、愛・地球博記念公園などを舞台に愛知県立大学と世
界先住民族ネットワーク AINU と共催。世界の 19 の先住民族から約 40 人が集い、研究者と NPO
が連携し、「環境の保全と持続的利用」における先住民族文化の重要性に焦点をあてた。議論
だけではなく先住民族の多様な音楽、舞踊、儀礼、芸術、食文化に加え、森林文化協会の協力
により「にほんの里 100 選」から 5 地域の参加もあり、一般の方々も気軽に楽しんでいただく交流
イベントとして、各会場で大きな盛りあがりをみせた。
(協賛:ブラザー販売株式会社、愛知県共済生活協同組合、ユニ・チャーム株式会社、ヒラキ株式会社)
<環境大型企画>
◆Sustainable Japan
朝日新聞社のサステナビリティー・プロジェクトの中核をなすシンポジウム形式のイベント。創
刊 125 周年記念事業として 04 年にスタートし、7回目となる 10 年度は 6 月 6 日に有楽町朝日ホ
ールで約 600 人の参加者を集めて開催した。末吉竹二郎氏ら有識者が環境問題にかかわるビ
ジョンを提言、持続可能な社会に向けて生活者ができることを様々な切り口からアプローチする
3
場となった。2010 年のテーマは「知ろう、地球の今。考えよう、私たちの未来」。協賛企業からは
身近な生活環境のなかで節水を実現する技術や環境問題に取り組む企業姿勢も紹介された。
(協賛:TOTO株式会社、ライオン株式会社)
「13分を考えるバスストップ」 (左)と「地球教室2010」の特集紙面
◆環境教育プロジェクト「地球教室2010」
第 57 回国連総会で「国連持続可能な開発のための教育の 10 年」が決議されて以降、世界的
に環境教育の充実を望む声が強まっている。「地球教室」は新聞社が持つ機能や情報を環境教
育という観点から学校現場に生かせないかという狙いで企画し、創刊130周年記念事業として08
年にスタート、3 年目となる 10 年はより規模が拡大された。環境問題を体系的に解説した「基礎
編」と協賛企業などの環境技術や取り組みをまとめた「応用・研究編」のテキストに加え、環境取
材で世界各地を撮影した写真をポスター化したもの、カードゲーム「マイアース」などのオリジナ
ル教材 2,706 校、約 20 万人の小学生に無料で贈呈した。また、親子を対象とした「かんきょう1日
学校」を 9 月 23 日に開催、朝日新聞記者と協賛企業が出張する合同出張授業を 8 校で実施し
た。こどもたちの環境に対する思いが綴られた「環境新聞・作文」コンクールには、6,590 件の作
品が寄せられた。協賛企業の1社である東京海上日動火災保険とは別途、作文、絵画のコンテ
スト「こども環境大賞」を共催し、より対象を広げた環境教育プログラムを提供している。学校、企
業、行政、自治体、NPO、地域をつなぐ教育CSRプロジェクトとして認知が広がっている。
(特別協賛:旭化成株式会社、東京海上日動火災保険株式会社、kanko、株式会社ロッテ 協力:NEDO)
◆CSR報告書特集
全国新聞総合調査などの読者調査データでは、朝日新聞の読者は「自然環境に強い関心が
4
ある」「環境保護を考えた商品を購入する」「企業の社会的責任(CSR)に関心がある」などの項
目で他紙購読者に比べて高いスコアを示している。企業の発行する環境報告書・CSRレポート・
サステナビリティーレポートなどを行政や企業の環境担当者のほか、一般読者も含めた幅広い
ステークホルダーに周知することを目的に2002年から継続掲載。紙面掲載の企業の報告書を読
者が請求できる仕組みで、10年度は連合広告で2回(7、11月)掲載した。協賛企業はのべ100社
以上、読者の応募総数は1年間に約3,400件と、朝日読者が企業の社会貢献、環境への取り組
みについて強い関心があり、企業にとっても訴求効果があることを裏付けている。
◆北海道大学プロフェッサービジット 2010
北海道大学の環境分野の講師陣を全国の高校へ派遣し、「環境・サステナビリティー」をテー
マに出前授業を行なう事業。05 年からスタートした北海道大学・朝日新聞社との「環境」をテーマ
にした提携・協力関係を結ぶ共同事業「ポプラ・プロジェクト」の一環で、07 年からスタートして継
続している。10 年度は全国 26 校で実施。環境問題への最先端の研究技術を紹介するなど、北
大の教授と朝日新聞社から次世代に向けたメッセージを伝える事業を展開した。
◆ モリゾー・キッコロ里山学校
「自然の叡知」をテーマに05年に開催された「愛・地球博」の理念を継承・発展させる事業とし
て08年からスタートしている。08年は「森の健康診断と木こり体験」「グリーンマップ作り」など自然
学校を愛知県内で開催。09年は8月に三重県尾鷲市、紀北町で、11月に熊野市、御浜町で開校
した。10年は熊野市で「里めしづくり」「棚田のかかしづくり」「三反帄川くだり」、新城市では「五平
餅作り」「蕎麦打ち」「森の健康診断や間伐体験」「和太鼓演奏」などを2箇所で実施した。自然や
歴史文化、生活文化など豊かな地域資源を活用したこの企画は、地域の自治体、NPOと協同
でプログラムを作成している。参加した子どもたちと里の交流が各地域の活性化につながる効果
を生み出しており、地域からも事業継続の要望が寄せられている。
(協賛:東紀州観光まちづくり公社、トヨタ自動車株式会社、敷島製パン株式会社、コカ・コーラセントラル
ジャパン株式会社)
(東京・広告局広告委員
5
菊池 香)
Fly UP