...

ル・コルビュジェ的 建築空間を探す

by user

on
Category: Documents
22

views

Report

Comments

Transcript

ル・コルビュジェ的 建築空間を探す
R05036
齋藤
ル・コルビュジェ的
建築空間を探す
1.背景
私は、ル・コルビュジェと伊東
民芸術館を見た時、「これはコ
豊雄の「まつもと市民芸術館」
ルビュジェだな」と思いこれに
についての分析をする。私は建
ついて分析してみようと思っ
築史の講義の中で、ル・コルビ
た。また、本や雑誌などでは伊
ュジェに一番の興味を持った。
東豊雄の建築はミース的に書
彼の建築はミースとは違い人
かれていることが多い。しかし、
間を主体に考えられている。そ
私はあえてコルビュジェ的な
して自由で芸術的な建築に私
建築としてみてみようと思っ
は惹かれた。次に現代の建築は
た。
何にしようと色々探している
うちに、伊東豊雄のまつもと市
高慶
2.目的
五大原則を満たしているとい
伊東豊雄のまつもと市民芸術
1横長の窓
館をル・コルビュジェの観点か
2連続窓
ら見て、この建築物にどうコル
3ピロティ
ビュジェの影響があるのか、ど
4屋上庭園
こがコルビュジェ的に見える
5自由な平面
かを分析していく。
しかし、これだけでコルビュジ
えよう。
ェと簡単片付けられてしまえ
3.分析
るほど単純でない。
Ⅰ、五大原則&メタファ(暗喩)
配置
写真1
配置を見ると私にはこの劇場
がバイオリンや、ギターを暗喩
しているように見える。写真か
らだとピアノのようにも感じ
る。偶然かもしれないが、これ
もコルビュジェ的に見ること
ができる。
写真 2
写真を見ればわかるように、こ
の建築は、コルビュジェの近代
Ⅱ、建築プロムナード
エントランスホールからホワイエ
クラッシックなホール
この建築は劇場として建てら
れた建物である。コルビュジェ
がまず建築物の目的を明確化
したように、この建築物は劇場
ホワイエからエントランスホール
ということを第一に考えられ
ている。内部は劇場としての雰
囲気がある空間演出になって
いるといえよう。ホールを見る
と近代的なホワイエとは対照
的にクラシックな空間が広が
る。純粋にオペラを楽しむため
また、本来のオペラをみるため
従来のクラッシックなオペラ
ホール方式の追求がなされて
いる。ホールを包み込むように
人の動き
ホワイエのやさしい空間が存
したように、エントランスホー
在し近代と古典が違和感なく
ルからホワイエ、そしてホール
自然に一体化している。コルビ
へグリッドによって支配され
ュジェがラ・ロッシュ邸で絵画
ずに自然に劇場という空間を
を展示するための空間を演出
視覚に訴え人々を導いている
し、巧みな空間の連続性によっ
といえる。コルビュジェは直行
て建築プロムナードを展開
グリッドの中に斜めによって
方向を指示するが、はじめから
せられるものでなく、自然に導
グリッドには支配されていな
かれ、人間を感動させる。
いことによってより自然に空
間が連続している。ホワイエか
ら視線は外(街の風景)へはい
かない。無秩序な日本の風景を
見せるよりも、あくまで劇場と
いう雰囲気を大切にしている
ためと思える。視線の行き着く
先は圧倒的な存在感を持つホ
ールであるのだ。
昼と夜での外壁の変化
特に目を惹くのは外壁であろ
う。この壁は、GRC(ガラス
繊維強化プレキャストコンク
リート)板に手作りのガラスが
象嵌されている。素材そのもの
を見せることで視覚だけでな
く触覚にも訴えている。またこ
の壁は光と影を見事に演出し
壁とカーペットの空間演出
ている。コルビュジェの建築物
Ⅲ.五感に訴える
はロンシャン教会など光と影
コルビュジェの建築は、人間の
の演出が見事である。それを思
五感に訴える。建築プロムナー
わせるような壁にも見える。光
ドもそうであるし、五大原則も
の多様性と対比が形態と空間
それを満たすためにあるとい
を響かせ、抑揚をもたらす。ま
える。この建築には五感に訴え
た、夜へと変化していくにつれ
るものがたくさんあるといえ
新しい美しさ与える。コルビュ
る。それは強制的に受け入れさ
ジェがロンシャン教会で一つ
一つ計算された光から神秘的
な教会の雰囲気を作り出した
4.結論
ように光によって劇場までの
分析により、この伊東豊雄の
空間をさらに演出する。これは
「まつもと市民芸術館」は、コ
コルビュジェの影響と言って
ルビュジェの流れを持つ建築
もいいだろう。
物といえる。この建築は劇場と
して建てられ存在している。そ
して、コルビュジェのようにプ
ロムナードの展開によって劇
場としての空間演出を見事に
している。あらゆる方向から五
感に訴えられてくる空間は人
間を主体にして感動を与える。
この点でもコルビュジェの影
響が見えてくる。だだし、すべ
てがコルビュジェでなく、ミー
スであり、ライトの影響もある。
現代の建築の中にはしっかり
と近代建築巨匠の影響がある
といえる。
ロンシャン教会との対比
これは Less is more な演出
5.参考文献,資料
ル・コルビュジェと日本 鹿児島出版
ル・コルビュジェの建築―その形態分析
ジェフリー・ベイカー著
新建築 2004/07
GA
JAPAN
世界の教会
69
http://www.worldchurch.jp/france/romchamp03.html
鹿児島出版
Fly UP