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平成21年度 第1回自然共生川づくり勉強会(報告)

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平成21年度 第1回自然共生川づくり勉強会(報告)
平成21年度
第1回自然共生川づくり勉強会(報告)
■河川整備の現場で実践する事項
(※今回の勉強会で改めて確認した事項)
○良好な景観・環境
・必要な立木は極力残すよう、設計時・施工時に配慮する。
・自然の河川風景を壊さないため、現地の自然素材の活用を優先する。
・護岸ブロックやコンクリート構造物は、治水安全性を考慮のうえ面積を極力
小さくし、整備した箇所は、覆土・緑化で目立たせない。
・周囲の風景から構造物を際だたせない仕上がりを工夫した河川整備に心がけ
る。
○生物の生息しやすい環境
・河床の整形時に変化を持たせる。直線的な水際線としない。
・横断方向・縦断方向の変化を持たせる。
○施工現場での柔軟な対応
・河床や土羽部の整形については、直線とならない施工を心がけ、出来型管理、
検査の際にはこの点に配慮する。
第1回自然共生川づくり勉強会(記録)
■テーマ:河畔林を活かした自然共生川づくり
(治水能力を確保するための制約条件がある中で、河畔林をどう保全して
いくか?)
■フィールド河川:梅谷川(垂井町)
■開催日時:平成21年9月9日(水) 14時 ∼ 17時
○14:00 ∼ 15:30
○15:30 ∼ 16:00
○16:00 ∼ 17:00
梅谷川にて概要説明、現地状況確認
休憩(府中公民館へ移動)
意見交換会(府中公民会)
■参 加 者:計 36 名
講
師:(独)土木研究所 自然共生研究センター センター長 萱場祐一氏
事業説明:大垣土木事務所 大坪技術主査
土木事務所職員:10 名
建設業関係:6 名
コンサルタント:4 名
2 次製品メーカー:8 名
(財)岐阜県建設研究センター:1 名
(独)土木研究所 自然共生研究センター:2 名
河川課:4 名(事務局)
主な発言等
【現場での勉強会より】
◆開会挨拶(河川課 飯島技術管理監)
・自然の水辺復活プロジェクトの仕組みをつくり取り組んできたが、配慮不足の現場
が多々ある。
・良い現場というのは、景観に溶け込んで目立たないので気づかないが、悪い現場は
周囲から浮いて目立つため良く目につく。現場で努力していても、悪い施工箇所が
あるとよく目立つので、全て悪いように言われる。
・今回の勉強会は、直接、各参加者の持ち場で活かされるような実のある勉強会にし
たい。今後第2回・第3回と開催するので、勉強会の進め方も含めて皆で意見を出
し合って進めていきたい。
◆現地での主な指導・コメント(講師:萱場センター長)
・川に入る際は、周辺の地形・風景等をしっかり見ること。
・事業を行う際には、事業箇所だけでなく、流域の地理的特徴、周辺の景観、上流部
の川の状況、河畔の土地利用状況、有堤部と無堤部、現地河床材の特徴等々を十分
に見て、川にどういった反応が起こるか予測し計画を検討すること。
・中小河川の技術基準に沿って、帯工・落差工の撤去、拡幅、立木や岩の保全、つま
り自然共生を考えることは重要であるが、その現場ごとに条件が異なるため、河床
変動、上下流への影響等、必要な検討は行う必要がある。
・河畔林が無くなると、川へ差し込む日光量が増え、生物の生息環境が大きく変わる。
出来る限り残すことが必要。海外の研究では、河畔林が無くなると太陽光による水
温上昇が生じるため、地球温暖化対策の一環としても河畔林は必要であるというと
いう説もある。
・景観への配慮が重要。川は自然のものなので、出来る限り自然素材を利用するのが
理想。コンクリート2次製品等を使う場合は、使う面積を最小限にして、出来る限
り覆土や草木で隠すのが良い。周囲の景観と明度差が大きいと目立ってしまい、美
しい景観が台無しになる。
・自然の中には直線は無い。直線は自然景観の中で非常に強調されて目立つ。特に、
天端コンクリートや小口止めの直線のコンクリート面は隠す等の工夫があると良い。
水際も直線にならないよう、変化をもたせること。変化のある水際により景観にも
水生生物の生息にも良い。また横断方向にも、縦断方向にも、水深にも変化をもた
せる配慮が必要。
・護岸ブロックの中央部からのみ植生を繁茂させ、目地部はコンクリートむき出しの
ブロックは従来より評価が低い(鼻毛ブロックと酷評)
。一方、目地部からの繁茂が
網のように繋がっているタイプの護岸ブロックは専門家の評価が高い。
・ブロック法面の空隙や緑化が生物の生息に本当に効果があるのか疑問という見方が
なされている。ブロック法面に設けられた空隙を、生物が生息空間として本当に活
用しているのか検証中。いっそ、水際や陸地の配慮に徹した方が良いのかもしれな
い。
【意見交換会より】
◆護岸整備と立木保全について
・護岸付近の立木は、ブロックで巻き込む方法がある。
(建設業者)
・残すべき立木は、設計段階(現地踏査)で確認し法線を振る等設計に配慮する。また、
施工時には、丁張り段階で施工方法を確認する。
(土木事務所)
・断面が大きく変化するところ、左右岸が土羽護岸とブロックで粗度係数が大きく異
なるところは片岸の深掘れが発生しやすく、不等流計算によるチェックが必要。
(コ
ンサルタント)
・断面を決めて等流計算をし、現地に当てはめてから支障があるところを補正して最
後に不等流計算でチェックをするのが一般的。しかし、現況河道に対し不等流計算
をして、流下能力不足として支障があるところを少し削ってまた不等流計算をする、
というアプローチに変えるだけで随分違う河道計画に仕上がる(講師)
。
・水衝部に寄せ石をすれば、護岸基礎の保護(河床低下防止)にもなり、水の流れに
変化を持たせることが可能。
(土木事務所)
・河畔林に対して、維持管理を含めどういう対応をしていくかルール作りが必要。治
水安全度からの整理も必要。
(講師)
・立木を残す際の施工は手間がかかる。完了検査時の評定の中で、
「創意工夫」として
評価している。
(土木事務所)
◆自然な凹凸のある河床や水際線の仕上げについて
・担当者によって仕上げ方の指示に温度差がある。また検査時にも検査官の反応が違
う。受注者としては、検査に合格できる対応をしないといけない。
(建設業者)
・現場で自然共生を目指すと、造園的な要素が必要になる。そういった技術やセンス
が必要。完了検査では、やみくもにガチガチにした検査ではなく、ある程度柔軟性
のある検査でないと施工技術者が自然共生に対応しにくい。
(建設業者)
・河床や土羽面の自然な仕上げ方及び施工管理方法について協議書を提出し、それに
沿って出来型管理、段階確認を行う方法を実践している。
(土木事務所)
◆景観に配慮した2次製品の供給について
・設計書にある単価と、実際に使用するブロック単価には大差がある。担当者の要求
がどんどん高くなり単価が上がってしまう。
(2次製品メーカー)
・ニーズがはっきりと示されれば、そういった製品の開発に努力する。現場のニーズ
を明確に示して欲しい。
(2次製品メーカー)
◆流速が遅い箇所での土羽による自然護岸について
・拡幅箇所であれば流速が下がるため土羽護岸採用を検討する余地あり。流速が早め
の箇所では、細粒土砂だけで覆土しても流出してしまうので、岩・礫を混ぜる等の
配慮が必要。箇所によっては自然に州が形成されてくる。
(講師)
■総括(萱場自然共生センター長)
・今までは、植生、空隙の確保だけが先行してしまっていた。
・今後は、河岸のあり方(機能)を議論、整理することが重要。
■閉会あいさつ(堂薗河川課長)
・多忙中にもかかわらず参加された各位に感謝
・今回を皮切りにスタートするこの勉強会の意義を3点紹介したい
① 昨年、国からは「中小河川の新技術基準」が打ち出され、
「多自然川づくりのポイ
ントブック」も2巻まで発行された。しかし国は、実際の現場管理や発注方法等
については県の責任分野であり、これらに関する方針は特段提示しない考え。す
なわち、県がこれらの現場の課題に取り組まなければ、理念のみで、いつまで経
っても県の河川は良くならない。このような課題に対しては、発注者、コンサル、
建設会社の3者で意見交換する場が必要。そこで得た知見をもとに、実際に県が
発注する河川事業に反映させたい
② 本日の勉強会は県職員に加え、自然共生工法研究会のメンバーにも声かけをさせ
ていただいた。本日の議論の中に土木的センスだけでなく、造園のセンスも必要
との意見があったが、元々自然共生工法研究会は河川にとどまらず、農業、林業、
道路等も含めた多様な専門性の融合を目指している。現に農業分野の会員もおら
れる。この勉強会を、異分野も含め、自然共生を踏まえたインフラ整備へ向けた
取り組みの輪を広げる場にして行きたい
③ 国からは決して提示されない基準がある。例えば、空石積みの基準などニッチな
ものについては、県が検討するしかない。よって、この研究会においては、毎回
特定のテーマを掲げて、産官学民で智恵を出し合い、その成果を蓄積し、最終的
には県の基準に採用して行きたい。基準というと大変そうだが、トライ・アンド・
エラーで良いという考えのもと、ある「取り決め」や「注意事項」を定めるとい
った程度のものから始め、それに従い実績を重ね、順次見直すべきことは見直し
ていく。そのような取り組みを展開したい
・2回目意向も万障お繰り合わせの上、宜しくご参加願います
以 上
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