...

内山委員 説明資料

by user

on
Category: Documents
17

views

Report

Comments

Transcript

内山委員 説明資料
資料2-4
日本のコンテンツ海外展開の
現状と課題(2015年版)
2016年2月5日
青山学院大学総合文化政策学部
内山 隆
現状
地上テレビ番組の輸出金額 (億円)
160.0
140.0
120.0
100.0
80.0
60.0
40.0
20.0
0.0
輸出金額
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
82.0
83.0
88.9
91.8
92.5
75.0
66.3
71.6
104.3
137.8
(データ出所; 総務省 情報通信政策総合研究所、各年)
2
0.0
7,764.6
6,517.8
5,299.7
5,755.3
6,558.7
5,632.8
10,000.0
11,659.7
データ収集範囲の
変更
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年
2009年
7,076.6
6,617.3
2007年
2008年
6,434.5
7,261.2
6,061.4
2006年
2005年
2004年
6,957.9
2003年
8,083.5
7,009.0
5,953.5
5,258.0
6,164.0
2002年
2001年
2000年
1999年
4,467.0
3,855.0
3,099.0
2,342.0
5,000.0
1998年
1997年
1996年
1995年
1994年
1993年 1,214.0
日本映画 輸出金額(単位 万USドル)
データ出所 日本映画製作者連盟 新年記者発表会 各年
3
アニメ業界の海外収入
195
169
144
153
160
253
248
2006
268
2005
150
172
200
224
(億円)
250
312
290
300
313
350
100
50
0
2002
2003
2004
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
データ出所 日本動画協会
4
200,000
1999
2000
2001
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
473,548.2
526,676.1
327,318.2
361,089.2
467,105.6
124,445.5
209,705.9
190,528.7
141,116.1
133,013.4
175,442.2
206,281.3
149,665.1
129,480.9
112,552.8
109,842.9
113,772.1
130,549.2
606,139.5
547,491.3
439,653.1
529,710.9
457,787.3
2002
437,116.3
0
441,063.5
32,344.5
49,067.0
600,000
538,718.7
432,145.7
331,748.1
75,040.0
400,000
361,000.0
海外からの音楽使用料 (単位 千円)
録音
演奏
800,000
2014
データ出所 日本音楽著作権協会 各年定例記者会見 資料
*上記は日本のアーチストの“作詞”、“作曲”の報酬に対応するものであり、“実演”に
対応するものを含まないので、音楽全体を表すものではない。
5
2009
2011
204,200
633,400
293,000
411,492
2010
761,600
2008
960,209
2007
1,289,187
2006
1,675,400
2005
soft
hard
506,056
560,000
362,900
252,818
232,655
2004
1,784,500
2003
716,080
2002
708,553
2001
0
331,816
199,259
586,122
500,000
648,000
1,000,000
225,500
253,229
1,500,000
718,942
(百万円)
2,000,000
723,015
家庭用ゲーム機の海外向け出荷額
2,500,000
2012
【出所】『CESAゲーム白書』各年。
2013年よりデータの取り方が変更されたため、ここでは割愛*
*(家庭用ゲームの海外市場規模はハードウェアが2014年:1兆5790億円(2013年:1兆1172億円)、ソ
フトウェアが2014年:1兆9536億円(2013年:1兆7050億円)、合計2014年:3兆5325億円(2013年:2
兆8222億円))。
6
問題提起
問題提起1 政策目標の置き方
今後の日本のコンテンツ産業が海外展開において目指すべき方向性。象徴
的には“米国/ハリウッドを目標とするか?” それは可能であるのか?
問題提起2 流通構造の前提
伝統的B2B流通の前提でよいか? ネット時代を見据えて流通中抜きの
B2C流通を想定に入れるタイミングか? 否か?
7
問題提起1
グローバル・プレイヤーを
目指すのか?
8
産業組織
グローバル・プレイヤーとドメスティック・メジャー
グローバル・プレイヤー
ドメスティック・メジャー、民族系
映画
ハリウッド6大メジャー
世界の多くの国が、シェア1位・2位をアメリカ
製と自国映画で構成。その他国製はインディ
のような存在感。
放送
ハリウッドのドラマ
日本のアニメ
BBC
どこの国でも放送は許認可事業だったので、
各国で、ドメスティック・メジャーが守られ、他
に比べれば、グローバル・プレイヤーが育ち
にくい環境。
音楽
Universal
W.B.
Sony
(以前はさらにEMI)
ドメスティック・メジャーといえる存在がある国
は、まだ積極的に評価すべき国。
ネット配信(音楽、映像)は、映画の構造に近くなりつつある様相(グロー
バル・プレイヤーとしてのSpotify, Netflix, Amazon Primeと、その他リー
ジョナル/ドメスティック・メジャーでの市場構成)。
9
グローバル・プレイヤーの要件
•
圧倒的量的な製作・供給能力
(ex. 戦間期のハリウッドbig5 + little 3の対欧州輸出競争力、戦後のハリウッドのドラマ、80年代の日
本のアニメ)
•
世界的流通網(拠点地域の支社等)の整備
(ex. 現在のハリウッド6大メジャー、音楽3メジャー)
•
B2Bでの価格競争力
(ex. 80年代ハリウッドのドラマ、日本のアニメの対欧州輸出)。母国市場が大きいと他国との価格競
争でも有利に作用する(∵費用逓減性と文化的割引)。
•
言語文化の壁を乗り越える戦略
ローカル・ランゲッジ・プロダクション、etc.)
(ソフトパワー力、言語の置き換えの容易さ/困難さ、
わが国の場合、
コンソール型ゲーム機の世界では、グローバルプレイヤーの要件を持っていたと思う。
⇒圧倒的な世界市場規模
相場感覚的には、
ゲーム 数千億から数兆円(ソフト、ハード込み)
アニメ 200億円弱
映画 100億円弱
放送 100億円強
の輸出/海外からの収入
⇒世界主要地域での支社展開、その現地でのローカル・プロダクション、ライセンシング体制(音楽の3メ
ジャーの構図に近似)
10
映画
放送番組
①海外からの引きと本
国からの輸出
完成作品のライツ展開
完パケ輸出
②企画の海外移転
リメイク権の海外展開
(ハリウッド企画力の低下)
アフターケアのないリメイ
ク・フォーマット
一部のソフトの海外ライセ
ンス許諾。
海外ライセンスアウト
(②‘海外支店、現地
法人の設置)
一部の大手の海外支社、
および駐在
代理店の機能の発揮
プラットフォーム・メーカー
の海外法人。
ソフトウエアメーカーの現
地法人。
一部が海外現地法人を
設置
(欧米メジャーの現地支
社)
③製作プロセスの移転、
海外投資
(国際共同制作)
(ハリウッドからの移転が、
海外各国やFC活動の目
標)
アフターケアのあるリメイ
ク・フォーマット
プラットフォーム・メーカー
現地法人による現地流通
ソフトの認証の必要性
現地法人による海外
アーチストの発掘~育
成~制作~販売。
流通は専ら販売委託。
④現地での開発体制
④‘現地での流通組織
整備
アニメ
ゲーム
(コンソール型)
音楽
完成品輸出
海外ライセンスアウト
韓国・中国などへの下請
発注
認証の後、ゲームソフトが
プラットフォーム・メーカー
の現地法人により量産さ
れ、流通される。
(ハリウッドのローカル・ラ
ンゲッジ・プロダクション戦
略)
(海外でのチャンネル・ネッ
トワーク確保. ex.BBCwstv)
(憧れのハリウッドへの人
材集積)
(元来が地域性を有するメ
ディアであり、言語・文化・
歴史の障壁がある)
(4大メジャーによる現地
コンテンツの開発・流通、
国際展開)
⑤トランスナショナル
経営
⑥世界に対する求心
力、集積性
(世界の中心地 なし?
あるいはPixar, Dream
Works?)
一部メーカーは外国人を
雇用している。海外法人
でも現地クリエータを採用。
(3大メジャー)
太字 はわが国事業者の主たる動向
(細字)は海外の先端事例
国際化への課題
海外市場で評価される作品
作り
海外の市場情報が欲しい
海外の動画投稿サイトへ
の対処
海外の輸入規制の壁
日本人開発者は世界の
尊敬を集めている。
世界シェア拡大のために
は技術力向上が必要
わが国の事業者および産業の進捗
海外公館等の活用プロ
モーション
11
天然の貿易障壁
言語の壁、文化的割引
例:
英国とフランスの映画・放送番組輸出額
放送番組
英国
フランス
映画
英国
フランス
12億0700万£/2014
約2102.7億円
2億6660万€/2014
約374.4億円
7億5600万£/2013
約1154.4億円
1億6540万€/2013
約214.3億円
(PACTデータ)
(CNCデータ)
(BFIデータ)
(CNCデータ)
(出典)表内各種データ元から作成。
米国は、映画放送合わせて16,309mUSD輸出(2014, 商務省統計、約1兆7263億円)。
うち放送の割合を約55%と推計して放送約9494.7億円、映画7768.4億円。
フランス語ですら、英語の壁はなかなか乗り越えられない。
ただし仏、独は欧州リージョナル・メジャーとしては強い。
12
リージョナル・メジャー
もし特定地域(あるいはジャンル)で競争力をもてるならば
欧州主要15カ国の主要チャンネルにおけるフィクション(映画、TV映画、短編映
画、ドラマ、シリーズアニメ)の製作国別本数および時間(2011)
AT, BE, CH, DE, DK, ES, FI, FR, GB, IE, IT, LU, NL, NO, SEの視聴シェアが高いとみられるチャンネルでの合算値
ドイツ
本数
Hours
13,694 12,513
2.22%
スペイン
本数
Hours
1,454
1,424
0.26%
フランス
本数
Hours
13,382
9,468
1.68%
欧州
本数
Hours
25,046 22,497
4.00%
共同制作
混合
本数
Hours
54,260 50,222
8.92%
非欧州
Hours
本数
31,699 29,834
5.30%
カナダ
本数
Hours
14,298
7,702
1.37%
非欧州諸国
豪+NZ
本数
Hours
10,967
7,289
1.29%
US
本数
Hours
349,395 293,547
52.15%
合計(hour)
自国製 欧州製 非欧州製 合計 欧州割合
37.8%
74,431 212,888 350,041 562,929
100.00%
欧州製
UK
本数
Hours
32,276 21,806
3.87%
イタリア
自国製
Hours
本数
Hours
本数
3,298 145,347 74,451
4,008
0.59%
13.23%
日本
本数
Hours
12,852
6,259
1.11%
その他
本数
Hours
5,813
5,410
0.96%
その他欧州国製
本数
29,097
Hours
17,178
3.05%
データ出所: ROVI International Solutions
© European Audiovisual Observatory
Yearbook Online Premium Service 2012
USがグローバル・プレイヤー、独・仏がリージョナル・メジャー。UKは中間
的性格。無視できない割合が国際共同制作(欧州特有?)。
13
ドメスティック・メジャー、リージョナル・メジャー、ジャンル・メジャーの課題
国際的B2Bネットワーキングの強化
コンテンツ制作は人の創造力に拠り、”人”が伝えたいもの
を”人”に伝えるもの。まだAIやIoTは補助機器の段階。
流通部門の人的ネットワーキング
• 世界主要見本市への参加強化
• 国内見本市の集客性強化
制作部門の人的ネットワーキング
• 国際共同製作強化(国内、国外)
• リメイク権、フォーマット売り
(アフターケア付)
• グローバルプレイヤーの投資誘致
上記を促す社会制度
•
補助金ではなく税制依拠の支援(社会制度としての公正性と公平性の担保。多様性追
•
•
当該産業にまつわるデータ公表(国民と外国人の関心と魅力を誘う)
社会的な問題意識・なぜゆえにコンテンツ産業を守るか? 支援するか?
求の世界では、審査委員会型は客観的な難しさをはらむ。)
14
(外野の研究者の立場で)
例:データの共有
例えば古くからある総合的なものとして
・ 総務省・情政研「メディア・ソフトの制作及び流通の実態」 since 1994 (*古くは(郵政研) 『徹底研究 メ
ディアソフト』で発行)
・ 総務省・情政研『情報通信白書』、『情報通信に関する現状報告』
・ 経産省・DCAJ『デジタルコンテンツ白書』 since 2001
一次データの問題
わが国(の社会体制)はそれを業界団体に依存している。
従来ならば、政府がそれを集められない理由があった。民間が出したくない理由もある。
共有の問題
定量データの共有。ただし外国に比べて少ない。 東南アジア方面の不足。
定性データの共有。議論の中心はコチラ。
15
問題提起2
流通構造の前提?
16
流通構造の前提
コンテンツの国際流通はB2Bを想定している。ゆえに、
グローバル・プレイヤーは独自商談の場とチャネルの構築可能。
(ex. L.A. Screening, BBC showcase,
カンヌ映画祭中に独自にホテルを借り切るハリウッド・メジャー)
その他プレイヤーは、主要な公設見本市、マーケット重視
(Cannes Marche, MIP, E3, SIGGRAPH, SxSW, MIDEM, etc.)
ドメスティック・メジャーのコンテンツは、グローバル・プレイヤーの流通網に載せたほうが、
短期的成果は出しやすい。しかしそれが戦略的、政策的かは別の問題。
ネット配信が、流通の中抜き、B2C流通を形成する可能性があるとすれば、上記の
前提が崩れる。
17
世界で短期的に成果をあげるなら、
世界的な流通網、配給網の確保は不可欠
*映画ならハリウッド6大メジャーの配給力の強さ
公開日
Pokemon:The
First Movie
Pokémon: The
Movie 2000
Pokemon 3
日本国
内興行
米、独、
1999/11/10 75.4億円 $163,644,662 英、仏、
西、伊、
米、独、
2000/7/21 63.3億円 $133,949,270 英、仏、
西、伊、
米、独、
2001/4/6 48.5億円 $68,411,275 英、豪、
AT,DK,他
Pokemon 4Ever
2002/10/11 39.0億円
Pokemon Heroes
2003/5/16 26.7億円
データソース
全世界興行収 主要公開
入
国
$28,023,563 米、蘭
北米(最
(北米)配給
EU27カ国
大)公開 (欧州)配給元
元
動員数
劇場数
W.B.
3043 W.B.(CZ)
W.B.
W.B.(DE, CZ),
2752 Columbia
TriStar Warner
5,185,348
W.B.
2675 W.B.(DE)
1,871,536
W.B. →
Miramax
Miramax
249
$20,867,919 米
200
Box Office
Box
Box Office
Box Office
Mojo,
Office
LIMIERE
Mojo
Mojo, IMDB
LIMUERE
Mojo
12,261,064
27,197
0
LUMIERE
18
ネット配信事業の評価
• 音楽、映像の世界で進む世界的ネット配信事業(月
額定額契約型)
• ネット配信におけるグローバル・プレイヤーの形成
(音楽Spotify, 映像Netflix, etc.)
• B2Bにおいてもネット配信収入の増加
買付単価の上昇(という指摘)
映連新年記者発表会(1/26)での海外売上前年比150%の背景のひとつ
(北米向けアニメの配信収入の伸びがひとつの説明事由)
“So Far, Amazon and Netflix Are Sundance’s Top Buyers,” Jan. 25, 2016, NY Times.
“Sundance: How Amazon, Netflix Turned the Market on Its Head,” 1/27/2016 5:00am
PST, Hollywood Reporter
19
Fly UP