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3.産業化の進展とモータリゼーション(PDF:665KB)
実用車、大衆車の時代の幕開け 3.産業化の進展とモータリゼーション ● モータリゼーションとは 自動車が生活のなかに深く入り込むこと。自動車の大衆化。 ● 超高級車の盛衰 1 特権階級のためのクルマ 自動車の基礎技術が完成した頃、自動車はヨーロッパではまだ貴族や 1910年代、当時まだクルマは貴族や特権階級のための特別な存在でしかありませんでした。そのため、ひたすら 特権階級のための特別な存在でした。そのため、想像を絶するほどの 速く走ることやステイタスとしての豪華さばかりを競った時代があります。 豪華なボディを乗せ、その腕を競い合いました。しかし、第一次世界 ● レースの始まりとエンジンの高性能化 ドゥローニー ベルビュ タイプHB6L 大戦(1914∼18年)や大恐慌(1929年)によって特権階級が没落すると、 ブガッティ タイプ35B フランスのルノー兄弟らによって自動車の大量生産・販売が始まると、 超高級車の多くは淘汰されていき、その後、本格的な「大衆車の時代」 が到来します。 この隆盛をみたフランスの新聞社が、1894年に世界初の都市間自動車 資料:トヨタ博物館提供 レース「パリ∼ルーアントライアル」を開催、これが今日のグランプリ・ レースの始まりとなりました。このことは馬力や排気量を一気に向上 ● ヨーロッパの大衆車 させるのに役立ちました。 アメリカのフォードが世界にあたえた影響は大きく、ヨーロッパでも 資料:トヨタ博物館提供 フィアット500(トッポリーノ) 次第に自国の事情に合わせた大衆車の基礎を築き上げていきます。 そして1930年代に入ると、それぞれ独自のスタイルを持った個性的な ● スポーツタイプ車−より美しく華やかに MGミジェット タイプTA 大衆車を完成させていきました。 実用車でモータリングの楽しみを知った人々は、よりスポーティなクルマ に憧れ、それに応えるメーカーが現れたことから、1910年代以降、安価な 資料:トヨタ博物館提供 ものから高級車までスポーツカーを母体にしたクルマが広く普及しまし た。それらは速さを競うためばかりでなく、次第に人に見せるための装 ● 流線型の流行 いの要素を追求するようになり、ボディの美しさをより究めたさまざま 1920年代、実用車にも高級化が進み、装備の面だけでなくスタイリングも急速に変化しました。アメリカでは なモデルが登場しました。 資料:トヨタ博物館提供 モデルチェンジを毎年行うモデルイヤーも定着、流線型が流行するなど今日に通じるファッション性の追求 が始まりました。 2 大衆化とモータリゼーション 1910年 アメリカのフォード社が「T型フォード」の生産を開始。デトロイトにガソリンスタンドが登場 実用性を追求した量産車「T型フォード」の隆盛は、アメリカの繁栄をもたらしました。これに刺激され、 1911年 フォード社がイギリスに子会社を設立 ヨーロッパでもフォードをめざしクルマの大衆化への動きが始まりました。こうして1920年代、世界的に急 激なモータリゼーション社会が進展しました。 1912年 ドイツのポルシェ水平対向の空冷エンジンを完成 1913年 フォード社がコンベア・システムを採用 ●「T型フォード」に始まった大衆化路線 フォード モデルT 1908年に発表された「T型フォード」は、大量生産システムによるコ 1914年 デトロイトに停止信号が登場 1919年 イギリスのベントレー、フランスのシトロエンガそれぞれ1号車を完成 ストダウンや運転を簡素化する数々のメカニズムで大衆化を果たしま 1923年 イギリスのモーリスモーター社がトランス・ファーマシンを開発 した。発売初年度に1万台の売上げを記録、1927年までの間に1,500万 7033台も生産された空前のベストセラーとなりました。その隆盛は海 1924年 ドイツのダイムラー、初の自動車用ディーゼル・エンジンの試作完成 外進出にもつながり、アメリカ自動車産業に貢献するとともに、アメ 1925年 アメリカ、クライスラー社設立。ドイツ フォード社、日本フォード社設立。 リカの繁栄の原動力にもなりました。 資料:トヨタ博物館提供 1927年 フォード社「T型フォード」を1,500万7033台で生産停止。フィアット、OHCエンジンを採用