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防衛省の研究開発について

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防衛省の研究開発について
文部科学省 航空科学技術委員会
資料3-5
防衛省の研究開発について
防衛省の研究開発について
(航空機分野を中心にご紹介)
(航空機分野を中心にご紹介)
平成21年6月8日
防 衛 省
説 明 事 項
■
防衛省における研究開発の特徴
■
防衛省の研究開発における課題
■
JAXAとの連携に関する現状と課題
1
1. 防衛省における研究開発の位置付け
○ 装備品の取得方法としては、①輸入、②ライセンス国産、③研究開発が主な方法。
○ 装備品のほとんどは、民間に需要がないため、防衛省自ら開発する必要がある。
装備品取得
輸
入
ライセンス国産
研究開発
直接調達
(民生品等を直接調達)
(例)
E-767
イージス・システム
F-15
ペトリオット
P-X
FPS-5
・技術的リスクなし
・技術的リスク 小
・技術的リスク あり
・生産・技術基盤維持・育成
に貢献なし
・生産・技術基盤維持・育成
にある程度貢献
・生産・技術基盤維持・
育成に貢献
・独自改善等は不可能
・独自改善等は困難
・独自改善等は容易
・ライセンス国産に比べ割安
傾向
・輸入に比べ割高傾向
・維持補給も容易
・調達価格は割高傾向
2
2. 防衛省における研究開発の特徴
(1)防衛省における研究開発
○ 技術開発: 装備品の創製又は装備品の重要な改善をするために
行う考案、設計及び試作並びに試験
○ 技術研究: 開発に必要な技術上の知識を取得するための技術的
調査研究、考案及び試験並びに自衛隊において必要と
される事項についての科学的調査研究
(2)防衛省における研究開発の特徴
○ 陸海空自衛隊のための一元化研究開発機関(技術研究本部)による
研究開発
○ 運用者の要求に基づく装備品等の「開発」、と将来の装備品に適用
し得る技術の「研究」の双方を実施
○ 優れた民生技術の積極的活用(旧軍のように工廠を持たず、製造は
民間に委託)
○ 武器輸出三原則により、防衛装備品の需要は国内(防衛省)に限定
3
3.技術研究本部の組織
防 衛 大 臣
本 部 長
副本部長
総
務
部
技術企画部
事業監理部
技術顧問
総
務
課
航空装備研究所
会
計
課
陸上装備研究所
企
画
課
艦艇装備研究所
技術情報課
電子装備研究所
管
理
課
計
画
官
先進技術推進センター
研究開発評価官
札幌試験場
技術開発官(陸上担当)
下北試験場
技術開発官(船舶担当)
土浦試験場
技術開発官(航空機担当)
岐阜試験場
技術開発官(誘導武器担当)
4
4. 防衛省の研究開発における課題
課題:
課題: 研究開発事業の大型化及び厳しい財政状況等
研究開発事業の大型化及び厳しい財政状況等
限られた内部資源の「選択と集中」と、外部資源の「積極的な活用」が必要
内部資源の選択と集中
内部資源の選択と集中
○ 将来重視すべき技術研究分野を「中長期技術見積り」において明示。
→ 今後の民生分野での研究進展を踏まえ、重複を排しつつ、さらなる「選択と集中」
を図りつつ、具体的な事業計画に着実に反映させるように努める。
外部資源の積極的な活用
外部資源の積極的な活用
○ 優れた民生技術など国内外の外部研究資源を効果的・効率的に活用。
1 民生先進技術の現状・動向を把握するため、技術情報の調査能力の強化を図る。
・「企画提案型F/S(フィージビリティ・スタディ)調査」の活用
・技術動向調査グループの拡充
2 共同研究・技術協力等を通じ内外の研究機関等との連携・交流の拡大に努める。
・独法研究機関、大学等の国内研究機関との交流拡大
・米国をはじめとする外国研究機関との共同研究・技術協力
5
5. JAXAとの連携に関する現状と課題
航空装備研究所とJAXAとの取決めに基づく研究協力(航空分野)
協力項目
三次元・耐熱複合材料技術
ヘリコプタの性能 及び
環境適合性向上技術の研究
対応風洞試験
協力内容等
技術情報の交換を行う。
(16.9.10取決め・附属書締結)
技術情報の交換を行う。
(17.5.20附属書締結)
協力して風洞試験を行うと共に、技術情報の
交換を行う。
(19.3.28附属書締結)
活動状況
○ 年2度程度、技術連絡会を技本、JAXAで相互に開催(成果の取り纏め、協力項目
の発掘などを実施)
○ 協力項目ごとに作業部会を設置し、年数回活動(情報・意見交換を実施)
6
航空分野における研究協力に関する取決め附属書
「三次元・耐熱複合材料技術」 (1/2)
三次元・耐熱複合材料技術の航空機構造への適用に関する情報交換により双方の
研究の効率化を図る。
航装研
JAXA
試験データ等
情報交換
三次元複合材
積層型耐熱複合材
OUTPUT
将来航空機
耐熱三次元複合材
OUTPUT
次世代超音速機
7
航空分野における研究協力に関する取決め附属書
「三次元・耐熱複合材料技術」 (2/2)
現状:平成17年度から19年度に実施された耐熱複合材の基礎強度特性取得
試験の成果について、複合材料構造作業部会の報告書として編纂中
報告書目次(案)
はじめに
研究目標及びアプローチ
ポリシアネート樹脂の成形
及び試験片の製作
4 実験的考察
・試験計画
・各種試験結果
(高温曝露・強度試験)
・SEM観察
5 解析的考察
・高温曝露による重量減少と
強度低下、及びその相関
・試験法(OHC,OHT,DNS等)
による差異
・積層材と3D材による差異
6 まとめ
Appendix(試験データ集)
¾
実験的考察
1
2
3
試験セットアップ状況
¾
器材(高温曝露用炉)
SEM観察結果(一例:層間せん断試験片)
(×100倍)
(×100倍)
【航装研データ】
【JAXAデータ】
2D 180℃ 1000hrs曝露
3D 180℃ 1250hrs曝露
[本資料に関して航空装備研究所の部分については同研究所の許可なく転載することを禁ずる。]
8
航空分野における研究協力に関する取決め附属書
「ヘリコプタの性能及び環境適合性向上技術の研究」 (1/2)
ヘリコプタの性能及び低騒音性の技術的向上を図り、両機関が推進する技術に
関する情報を相互に提供し、防衛省所有の既存機に搭載して技術飛行実証を行う
ことを念頭に置き本研究協力を行う。
航装研
JAXA
メインロータ
ロータ・システム
• 情報交換
• 飛行実証の
推進に関す アクティブ・フラップ
る検討
トランスミッション
低騒音翼端形状
低騒音翼型
全天候対応駆動システム
低騒音型ロータ・ブレード
重量軽減、空気抵抗低減、揺動抑制等
低騒音化
防衛省所有の既存機に搭載して技術飛行実証
を行うことを念頭
9
航空分野における研究協力に関する取決め附属書
「ヘリコプタの性能及び環境適合性向上技術の研究」 (2/2)
現状:平成17年度から双方において実施中の関連事業に係る意見交換等を実施中
【航装研データ】
ブレード変位センサ組み込み案
「航空分野における研究協
力に関する取決め」の締結
2004年
「ヘリコプタの性能及び環境適合性向
上技術の研究」に係る附属書の締結
エラストメリック・ベアリング形式ハブの一例
2005年
全天候対応駆動システム
2007年
2008年
2009年
・
研究試作事業
地上確認フェーズ
2006年
PSDセンサ
LEDマウント
実大メインロータシステム
・
エラストメリック・ベアリング
アクティブ・フラップ装備の低騒音ブレードの詳細設計
飛行実証フェーズ
・
・
・
【JAXAデータ】
変 位拡大 機構
ピエ ゾ・アク チ ュエ ータ
・
・
・
今後の予定:実機を用いた飛行実証の技術課題等に
ついての検討や研究の進捗状況等につ
いての情報交換を継続実施する。
リン ク
ア クティ ブ・フラ ップ
ガ タな どを改 良し効 率的な 実大ア クティブ・ フラップ機
構 を考案・試 作し、遷 音速風 洞試験 により 騒音低 減
に 必要 となるア クテ ィブ・フラッ プ舵角 の出力 を実証。
[本資料に関して航空装備研究所の部分については同研究所の許可なく転載することを禁ずる。]
10
航空分野における研究協力に関する取決め附属書
「対応風洞試験」 (1/2)
同一の風洞模型を用いて双方の風洞でデータを取得し、各々の風洞試験に係る
技術情報を相互に提供することにより、双方の風洞試験技術の向上を図る。
航装研
JAXA
相手に
無償貸付
ONERA模型
AGARD模型
三音速風洞装置による試験
遷音速風洞による試験
OUTPUT
0
0
C
0
C
OUTPUT
. 2
. 1
C
L
0
8
C
. 4
6
0
. 1
4
0
. 1
2
0
. 2
–
. 1
0
0
C
0
. 0
8
0
. 0
6
0
. 0
4
0
. 0
2
0
データ提供
0
C
0
8
0
. 4
0
. 1
6
0
. 2
0
. 1
4
0
. 1
2
C
. 1
D
. 2
C
–
0
–
8
–
4
0
速
R A
4
M
M
2 . 0
2 . 0
R
R
e =
e =
2 9 . 6 m
1 9 . 0 m
8
試験データ
i lli o n
i lli o n
1
α
2
[ d
. 1
1
e g
0
0
C
. 1
三
音
O N E
0
–
m
. 1
0
6
L
C
0
m
C
D
. 2
0
L
. 1
0
L
D
0
. 2
0
. 0
8
0
. 0
6
0
. 0
4
0
. 0
2
0
D
. 2
. 2
C
m
0
m
. 1
0
–
0
. 1
三
音
O N E
–
8
–
4
0
速
R A
4
M
M
2 . 0
2 . 0
R
R
e =
e =
2 9 . 6 m
1 9 . 0 m
8
]
i lli o n
i lli o n
1
α
2
[ d
1
e g
6
]
試験データ
11
航空分野における研究協力に関する取決め附属書
「対応風洞試験」 (2/2)
現状:平成19年度および20年度に実施された対応風洞試験の結果について、
相互にデータ検討を実施中
三音速風洞建設開始
1995年
建建 設設
ONERA S2MA(仏)
・
ETW(英)
・
上方視
・
・
2002年
2003年
2004年
気流特性試 験
技本三音速風洞完成
2005年
2006年
データ検討
2007年
2007年
2008年
2008年
2009年
2009年
・・
JAXA
1m×1m 超音速風洞
ONERA S2MAでの対応風洞試験
JAXA 1m×1m
超音速風洞
観測方向
ETWでの対応風洞試験
「航空分野における研究協力に関す
る取り決め」の締結 (JAXA研究開
発本部と技本航空装備研究所)
三音速風洞運用開始
技本 三音速風洞
「対応風洞試験」に係る附属書の締結
シュリーレン画像の比較
(M=2.0、α=0deg、Re=31×106(三音速風洞)、
29×106(1m×1m 超音速風洞)、ラフネス有)
課題:対応風洞試験結果に関するさらなる検討を通じた風洞試験技術の向上
[本資料に関して航空装備研究所の部分については同研究所の許可なく転載することを禁ずる。]
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6. 今後のJAXAとの連携について
防衛省としては、研究開発を、効果的・効率的に推進
するためには、優れた民生技術を積極的に導入すること
が必要であると考えている。
JAXAは、民間航空機分野において、先進的な研究
開発に積極的に取り組むことによって、主導的な役割を
担っており、JAXAとの連携は、防衛省の航空機分野
の研究開発において非常に重要であると認識している。
したがって、今後も、研究協力の取り決めに基づき、
具体的な協力内容について、引き続き検討してまいりた
いと考えている。
13
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